JP2003322775A - 光ファイバ素線 - Google Patents
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Abstract
ス発生頻度が低い光ファイバ素線を提供する。 【解決手段】 最外樹脂被覆層のヤング率が400〜1000M
Pa、且つ動摩擦係数が0.15以上の光ファイバ素線におい
て、動摩擦係数μが下記関係式(a)及び(b)を満たす光フ
ァイバ素線。 μ≦−0.9822LogY+3.45156 (a) μ≧−0.5418LogY+1.74128 (b) (式中Yは最外樹脂被覆層のヤング率を表し、単位はMpa
である。μは動摩擦係数を表す。)
Description
domain reflectometry)における段差ロス発生頻度が
低く、後工程での負担が軽減された光ファイバ素線に関
する。
フト材と呼ばれる樹脂組成物からなる柔軟な一次被覆層
を、その外側に、ハード材と呼ばれる樹脂組成物からな
る剛性の高い二次被覆層を形成してなる構造が一般的で
ある。その被覆層樹脂組成物として、硬化速度の観点か
らウレタン−アクリレート系やエポキシ−アクリレート
系のオリゴマーを主成分とした紫外線硬化型樹脂組成物
(以下、UV樹脂とする。)が採用されている。光ファ
イバ素線の製造は、紡糸後の光ファイバの表面にこのよ
うなUV樹脂液を塗布し、連続的に紫外線を照射するこ
とにより架橋・硬化させるものである。この光ファイバ
素線において、二次被覆層表面のべとつき、いわゆる表
面タック性は、後工程でのハンドリング性、製造性を左
右する重要な因子であり、低く抑える必要がある。
に巻き返し伝送損失を検査する。通常、この検査には光
ファイバの端末から光パルスを入射し、光ファイバの長
手方向の各点より反射される後方散乱光を時間軸上で観
測する前記のOTDRが使用されるが、ファイバ素線の表面
タック性が高いと、それに起因すると思われる段差ロス
(OTDRの減衰曲線おいて損失が階段状に大きくなる箇所)
が発生し、光損失の増加が大きくなる。このような段差
ロスは、何度か巻き直しを行うことで消失する場合がほ
とんどであるが、段差ロスが発生する度に、巻き返し、
OTDR測定をし直すことになり、後工程の負担が増大し、
問題となる。そのため、表面タック性を改善した光ファ
イバ素線の製造方法としては、例えば特許公報第261494
9号では紫外線照射による架橋・硬化を酸素濃度1%以下
の雰囲気下で行う方法が提案されている。これは、紫外
線照射により開裂した開始剤ラジカルが酸素にトラップ
され、表面が未硬化になり、タック性が増大するのを防
ぐものである。しかしながら、この光ファイバ素線も、
表面タック性とそれに起因する段差ロス防止の点ではま
だ十分のものと言えなかった。また、OTDR段差の低減の
試みは、例えば特開平11-194071号において、光ファイ
バ素線の摩擦係数を低くすることで試みられているが、
十分な解決は見られていない。
を軽減するために、OTDR段差ロス発生頻度が低い光ファ
イバ素線を提供することを主な目的とする。
解決するために鋭意検討を行った結果、OTDR段差ロス発
生頻度は、光ファイバ素線の表面摩擦係数と、さらに最
外樹脂被覆層のヤング率が関係していること、そしてこ
れらを特定の関係に設定することにより、前記の問題が
解決しうることを見い出した。すなわち、本発明は (1)最外樹脂被覆層のヤング率が400〜1000MPa、且つ
動摩擦係数が0.15以上の光ファイバ素線において、動摩
擦係数μが下記関係式(a)及び(b)を満たすことを特徴と
した光ファイバ素線、 μ≦−0.9822LogY+3.45156 (a) μ≧−0.5418LogY+1.74128 (b) (式中Yは最外樹脂被覆層のヤング率を表し、単位はMpa
である。μは動摩擦係数を表す。) (2)最外樹脂被覆層のヤング率が400〜1000Mpaであ
り、且つ動摩擦係数が0.15以上の光ファイバ素線におい
て、動摩擦係数μが下記関係式(c)及び(b)を満たすこと
を特徴とした光ファイバ素線 μ≦−0.5418LogY+1.85912 (c) μ≧−0.5418LogY+1.74128 (b) (式中Yは最外樹脂被覆層のヤング率を表し、単位はMPa
である。μは動摩擦係数を表す。)を提供するものであ
る。
(裸線)の種類に特に限定はないが、石英系シングルモー
ド、石英系マルチモード、石英系ステップインデック
ス、石英系分散シフト、多成分系、プラスティック系、
プラスティッククラッド系等が挙げられる。一次被覆
層、二次被覆層、最外樹脂被覆層(通常は二次被覆層=
最外樹脂被覆層となる)に用いられるUV樹脂は特に限定
されないが、例えば、ラジカル重合性オリゴマー(I)を
主成分とし、反応性モノマー(II)、重合開始剤(III)、
各種添加剤(IV)等が必要量配合された樹脂組成物が挙げ
られる。
端にビニル基、(メタ)アクリル基等の重合性不飽和基を
有する化合物があげられ、その中でもポリオール(I
A)とポリイソシアネート(IB)と末端に重合性不飽和
基と水酸基とを含有する化合物(IC)から合成される樹
脂であるウレタンアクリレートやグリシジルエーテル化
合物と(メタ)アクリル酸等の重合性不飽和基を有する
カルボン酸類の反応生成物としての樹脂、エポキシアク
リレート等が挙げられる。これらの重合性オリゴマー
(I)は市販品としても入手できる。このラジカル重合
性オリゴマー(I)の数平均分子量は、一次被覆層樹脂
として好ましくは2000〜10000、より好ましく
は3000〜6000であり、二次被覆層樹脂または最
外樹脂被覆層樹脂として好ましくは800〜4000、
より好ましくは1000〜3000である。
上記ポリオール(IA)としては、エチレンオキシド、
プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等のアルキレン
オキシド、テトラヒドロフラン、アルキル置換テトラヒ
ドロフラン等の環状エーテルの重合体またはこれらの2
種以上の共重合体であるポリエーテルポリオール、ポリ
ブタジエンポリオール、水添ポリブタジエンポリオー
ル、多塩基酸と多価アルコールの重縮合化合物であるポ
リエステルポリオール、ε−カプロラクトン、γ−バレ
ロラクトン等のラクトン類を開環重合して得られるポリ
エステルポリオール等が挙げられる。
ては、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジ
イソシアネート、4,4´−ジフェニルメタンジイソシ
アネート、水添4,4´−ジフェニルメタンジイソシア
ネート、1,3-キシリレンジイソシアネート、1,4-キシリ
レンジイソシアネート、水添1,3-キシリレンジイソシア
ネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、イソフ
ォロンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシ
アネート、p−フェニレンジイソシアネート、トランス
シクロヘキサン1,4−ジイソシアネート、リジンジイ
ソシアネート、テトレメチルキシレンジイソシアネー
ト、リジンエステルトリイソシアネート、1,6,11
−ウンデカントリイソシアネート、1,8−ジイソシア
ネート−4−イソシアネートメチルオクタン、1,3,
6−ヘキサメチレントリイソシアネート、ビシクロヘプ
タントリイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジ
イソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート等のポ
リイソシアネートが挙げられる。
に用いられる末端に重合性不飽和基と水酸基とを有する
化合物(IC)としては、例えば、2−ヒドロキシエチ
ル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メ
タ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプ
ロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイ
ルオキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸、ペン
タエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、3−アク
リロイルオキシグリセリンモノ(メタ)アクリレート、
2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒド
ロキシ−1−(メタ)アクリロキシ−3−(メタ)アク
リロキシプロパン、グリセリンジ(メタ)アクリレー
ト、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレー
ト、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレー
ト、ポリε−カプロラクトンモノ(メタ)アクリレー
ト、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ε−
カプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等が挙げられ
る。
フェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールF等
のビスフェノール類およびフェノール樹脂等の芳香環を
含むポリオールのグリシジルエーテルと(メタ)アクリ
ル酸の反応生成物が挙げられる。ラジカル重合性オリゴ
マー(I)としては、上記ラジカル重合性オリゴマーを
単独で用いても、複数を混合して用いても良い。
基を含む化合物に(メタ)アクリル酸がエステル化反応
で結合した構造の化合物等が挙げられ、例えばメトキシ
エチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポ
リエチレングリコール(メタ)アクリレート、β−(メ
タ)アクリロイルオキシエチルハイドロゲンフタレー
ト、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロゲ
ンサクシネート、ノニルフェノキシエチル(メタ)アク
リレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メ
タ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレ
ート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アク
リレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコールア
クリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコー
ルアクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メ
タ)アクリレート、β−(メタ)アクリロイルオキシプ
ロピルハイドロゲンフタレート、β−(メタ)アクリロ
イルオキシプロピルハイドロゲンサクシネート、ブトキ
シポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、アル
キル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)ア
クリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレ
ート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル
(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)
アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリ
レート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メ
タ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエ
チル−2−ヒドロキシエチルフタル酸、3−アクリロイ
ルオキシグリセリンモノ(メタ)アクリレート、2−ヒ
ドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ
−1−(メタ)アクリロキシ−3−(メタ)アクリロキ
シプロパン、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)ア
クリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アク
リレート、ポリε−カプロラクトンモノ(メタ)アクリ
レート、ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレー
ト、グリシジル(メタ)アクリレート、モノ[2−(メ
タ)アクリロイルオキシエチル]アッシドホスフェー
ト、トリフロロエチル(メタ)アクリレート、2,2,
3,3,−テトラフロロプロピル(メタ)アクリレー
ト、2,2,3,4,4,4,−ヘキサフロロブチル
(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシアル
キル(メタ)アクリート、ジシクロペンテニル(メタ)
アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレー
ト、トリシクロデカニルオキシエチル(メタ)アクリレ
ート、イソボルニルオキシエチル(メタ)アクリレー
ト、N−ビニルピロリドン、N−ビニルピリジン、モル
ホリン(メタ)アクリレート、N−ビニルカプロラクタ
ム等の単官能希釈剤;同様に、例えば2,2−ジメチル
−3−ヒドロキシプロピル−2,2−ジメチル−3−ヒ
ドロキシプロピオネートのジ(メタ)アクリレート、エ
チレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレ
ングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリ
コールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコ
ールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオール
ジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ
(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレ
ート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレー
ト、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのジ
(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレンオ
キシド付加物のジ(メタ)アクリレート、ビスフェノー
ルAのプロピレンオキシド付加物のジ(メタ)アクリレ
ート、2,2´−ジ(ヒドロキシプロポキシフェニル)
プロパンのジ(メタ)アクリレート、2,2´−ジ(ヒ
ドロキシエトキシフェニル)プロパンのジ(メタ)アク
リレート、トリシクロデカンジメチロールのジ(メタ)
アクリレート等の2官能希釈剤;同様に、例えばトリメ
チロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエ
リスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリス
リトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリス
リトールヘキサ(メタ)アクリレート、テトラメチロー
ルメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロール
メタンテトラ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒド
ロキシエチル)イソシアヌレートのトリメタアクリレー
ト、トリス(ヒドロキシプロピル)イソシアヌレートの
トリ(メタ)アクリレート、トリアリルトリメリット
酸、トリアリルイソシアヌレート等の多官能希釈剤が挙
げられる。ノニルフェノキシポリエチレングリコールア
クリレート(東亜合成のアロニックスM−113など)
類は、一次被覆層樹脂に用いて、硬化後のガラス転移温
度(Tg)を低くする作用が有り、イソボルニルアクリレ
ートなどリジッドな骨格を有するモノマーは前記の低T
gモノマーと併用することで粘着機構によりガラスと一
次被覆間の密着性を向上させる作用が有る。N−ビニル
ピロリドンなどN−ビニルアミド系のモノマーは、アク
リレートの反応系に配合されることにより、アクリレー
トの重合速度を速める作用が有る。二(多)官能性モノ
マーは架橋点間分子量の調整に使用し、具体的には架橋
点間分子量を低下させ、硬化後のヤング率を高める作用
が有る。
(I)と反応性モノマー(II)は、一次被覆層として求
められる硬化速度、ヤング率、ガラスと一次被覆間の密
着性等の特性、及び最外樹脂被覆層(例えば、二次被覆
層が兼ねる場合がある)として求められる硬化速度、ヤ
ング率等の特性を発現するように、使用する前述のオリ
ゴマー、モノマー種、且つ配合量等を調整される。重合
開始剤(III)としては、例えば4−ジメチルアミノ安息
香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸エステル、アルコキ
シアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、ベンゾ
フェノン及びベンゾフェノン誘導体、ベンゾイル安息香
酸アルキル、ビス(4−ジアルキルアミノフェニル)ケ
トン、ベンジル及びベンジル誘導体、ベンゾイン及びベ
ンゾイン誘導体、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオ
フェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケト
ン、チオキサントン及びチオキサントン誘導体、2,
4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィン
オキシド、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェ
ニル]−2−モルホリノプロパン−1、2−ベンジル−
2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)
−ブタノン−1、ビス(2、6−ジメトキシベンゾイ
ル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキ
シド等が挙げられる。重合開始剤(III)の使用量は、
常法で用いられる量と特に変わらない。
剤、紫外線吸収剤、光安定剤、増感剤、連鎖移動剤、重
合禁止剤、シランカップリング剤、レべリング剤、滑
剤、酸化安定剤、老化防止剤、耐侯剤、保存安定剤、可
塑剤、界面活性剤等が挙げられる。特にUV樹脂の硬化シ
ートの摩擦係数を低減させる目的では、シリコーン系表
面改質材が好適に用いられる。また、UV樹脂の硬化後の
ヤング率はラジカル重合性オリゴマー(I)の分子量、特
にポリオール(IA)部分の分子量を変化させたり、ラ
ジカル重合性オリゴマー(I)に対する反応性モノマー
(II)の種類を選択することにより調整できる。
ら柔軟さが必要であり、一次被覆層用UV樹脂としては硬
化後のヤング率が2MPa以下のものを好適に用いることが
できる。より好ましくは1MPa以下である。そのような低
ヤング率を発現させるUV樹脂は、例えばラジカル重合性
オリゴマー(I)の分子量を前述の範囲内で大きくした
り、反応性モノマー(II)として直鎖状で分子量の大きい
単官能性種を選択することにより調整される。より好ま
しい実施態様を述べると、ラジカル重合性オリゴマー
(I)の数平均分子量は、2000〜10000が好ましく、よ
り好ましくは3000〜6000であり、反応性モノマー(II)
としては、前記のうち、ノニルフェノキシポリエチレン
グリコールアクリレート(東亜合成のアロニックスM−
113など)、イソボルニルアクリレート、N−ビニル
カプロラクタム等が好ましい。最外樹脂被覆層(例え
ば、二次被覆層が兼ねる場合がある)のヤング率は400
〜1000MPaのものを好適に用いることができる。別に二
次被覆層を有する場合も同様である。400MPa未満では剛
性、硬さが不十分なため側圧特性を確保できなくなり、
また、光ファイバ素線表面に傷等がつきやすくなり、商
品価値を低下させてしまうためであり、1000MPaを超え
ると剛性が高すぎて曲げロスが生じたり、脆弱になり、
外部からの衝撃により光ファイバ素線表面に容易にひび
割れが発生し、場合によっては最外樹脂被覆層が剥離欠
落してしまうためである。
は、例えばラジカル重合性オリゴマー(I)の分子量を前
述の範囲内で小さくしたり、ポリイソシアネート(I
B)として硬い構造のものを選定したり、反応性モノマ
ー(II)として剛性の高い種を選定したり、多官能性種の
配合量を増やすことにより達成できる。より好ましい実
施態様を述べると、ラジカル重合性オリゴマー(I)の
数平均分子量は、800〜4000が好ましく、より好ましく
は1000〜3000であり、反応性モノマー(II)としては、
前記のうちトリシクロデカンジメチロールのジ(メタ)
アクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキシド付
加物のジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール
テトラ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオー
ルジ(メタ)アクリレート等が好ましい。また、摩擦係
数が0.15未満では、光ファイバ素線作成後の巻き取り工
程、及び巻き取った後での巻き崩れが発生しやすくなる
ため好ましくない。本発明においては最外樹脂被覆層の
動摩擦係数(μ)が前記関係式(a)及び(b)を満足
することが必要である。関係式(a)(b)の右辺の値
が大きすぎると動摩擦係数が大きくなり、ファイバ素線
の表面タック性が高くなることから、それに起因すると
思われるOTDR段差ロスの発生が多くなるからであり、ま
た、小さすぎると光ファイバ素線作成後の巻き取り工
程、及び巻き取った後での巻き崩れが発生しやすくなる
という問題を生じる。関係式(a)(b)でヤング率が
小さくなるほどより大きな動摩擦係数になる理由は、ヤ
ング率が小さくなると表面の硬度が小さくなるため、フ
ァイバ同士はそれぞれ沈み込んで接触するようになり、
ミクロレベルでの真の接触面積が大きくなることから、
その結果得られる動摩擦係数は大きくなるためである。
なお、本発明は上記の製造方法については特に限定され
るものではない。
説明する。 (実施例)まず、被覆層の樹脂として次のUV樹脂1〜
10を調製した。すなわち、各樹脂について説明したラ
ジカル重合成性オリゴマー(I)を、下記表1に示すよ
うに反応性モノマーと重合開始剤の存在下で、表面改質
材を添加し、又は添加しないで、反応させ、UV樹脂1
〜10を調製した。
g(数平均分子量2000)、2,4−トリレンジイソシアネー
ト60g、2−ヒドロキシエチルアクリレート30gから合
成されたポリエーテル系ウレタンアクリレート(数平均
分子量5000)を前記の重合性オリゴマー(I)とし、反
応性モノマー(II)と反応させ、0.2mm厚の硬化シート
とした時のヤング率が1.0MPaに調整された樹脂組成物。
尚、シートのヤング率は、大気中、UV照度200mW/cm2、U
V照射量1000mJ/cm2の条件で硬化させた0.2mm厚シートを
作成し、23℃、引張り速度1mm/minの条件で引張り試験
を行い、2.5%歪時の引張り強さから算出されたものであ
る。
リブタジエンオキサイドの共重合ポリエーテルポリオー
ル500g(数平均分子量1000)、2,4−トリレンジイソシア
ネート176g、2−ヒドロキシエチルアクリレート118g
から合成されたポリエーテル系ウレタンアクリレート
(数平均分子量1500)を重合性オリゴマーとし、反応性
モノマー(II)と反応させ、0.2mm厚の硬化シートとし
た時のヤング率が780MPaに調整された樹脂組成物。
ーン系表面改質剤を0.1重量部加え、0.2mm厚の硬化シー
トとした時のヤング率が700MPaに調整された樹脂組成
物。 [UV樹脂4]UV樹脂2 100重量部にシリコーン系表面改
質剤を0.3重量部加え、0.2mm厚の硬化シートとした時の
ヤング率が670MPaに調整された樹脂組成物。
-メチルテトラヒドロフランの共重合ポリエーテルポリ
オール500g(数平均分子量2000)、2,4−トリレンジイソ
シアネート88g、2−ヒドロキシエチルアクリレート59
gから合成されたポリエーテル系ウレタンアクリレート
(数平均分子量2500)40重量部とビスフェノールAエ
チレンオキシド付加物(ビスフェノールAの片方のOH基が
OCH2CH2OH)100g(平均分子量272)、2,4−トリレンジイ
ソシアネート96g、2−ヒドロキシエチルアクリレート4
3gから合成されたポリエーテル系ウレタンアクリレー
ト(数平均分子量1300)15重量部との混合物を重合性
オリゴマーとし、反応性モノマー(II)と反応させ、0.
2mm厚の硬化シートとした時のヤング率が740MPaに調整
された樹脂組成物。 [UV樹脂6]UV樹脂5 100重量部にシリコーン系表面改
質剤を0.1重量部加え、0.2mm厚の硬化シートとした時の
ヤング率が730MPaに調整された樹脂組成物。
g(数平均分子量1000)、2,4−トリレンジイソシアネー
ト176g、2−ヒドロキシエチルアクリレート118gから
合成されたポリエーテル系ウレタンアクリレート(数平
均分子量1500)を重合性オリゴマーとし、反応性モノマ
ー(II)と反応させ、0.2mm厚の硬化シートとした時の
ヤング率が590MPaに調整された樹脂組成物。 [UV樹脂8]ポリテトラメチレングリコールとアジピン
酸と1,6-ヘキサンジオールの共重合ポリエステルポリオ
ール500g(数平均分子量850)、イソフォロンジイソシア
ネート246g、2−ヒドロキシエチルアクリレート137g
から合成されたポリエステル系ウレタンアクリレート
(数平均分子量1500)を重合性オリゴマーとし、反応性
モノマー(II)と反応させ、0.2mm厚の硬化シートとし
た時のヤング率が550MPaに調整された樹脂組成物。
ーン系表面改質剤を0.1重量部加え、0.2mm厚の硬化シー
トとした時のヤング率が540MPaに調整された樹脂組成
物。 [UV樹脂10]UV樹脂8 100重量部にシリコーン系表面改
質剤を0.3重量部加え、0.2mm厚の硬化シートとした時の
ヤング率が530MPaに調整された樹脂組成物。
グルモード光ファイバ裸線上に、液状のUV樹脂1を塗布
し、引き続き紫外線を照射して硬化させ、外径約195μ
mの一次被覆層を形成した。更にその上に、液状のUV樹
脂2〜10を塗布し、引き続き紫外線を照射して硬化さ
せ、外径約245μmの二次被覆層を形成し、表2に示す
実施例1〜12、比較例1〜4の光ファイバ素線を得た。ま
た、それぞれの光ファイバ素線の二次被覆層の硬化雰囲
気の酸素濃度及び線引き速度を併せて表2に記載した。
尚、硬化雰囲気の酸素濃度の調整は、二次被覆用UV樹脂
を塗布し、その後当該光ファイバ素線前駆体を雰囲気制
御が可能なUV照射室を通過させ、その中の酸素濃度を制
御して、紫外線ランプを照射することにより行った。光
ファイバ素線はそれぞれ250km作成し、大型ボビンに
巻き取り、その後設定張力50gfで25km毎小型ボビンに巻
き変えた。この巻き変えた光ファイバ素線につき最外樹
脂被覆層のヤング率、つまり、二次被覆層のヤング率測
定、動摩擦係数の測定、及びOTDR段差ロス発生頻度の測
定を行った。その測定方法を次に説明する。
ファイバ裸線3と一次被覆層4の界面に沿った線)に沿
って、被覆層部分を図1(b)に示すスライス片6とし
て得た。5は二次被覆層である。このスライス片6を23
℃、引張り速度1mm/min、標線間距離25mmの条件で引張
り試験を行い、2.5%歪時の引張り強さからヤング率を算
出した。尚、スライス片の断面積にはマイクロスコープ
を用いた実測値を用いた。
測定を行った。図2は装置の平面図、図3は正面図であ
る。具体的には、図示のように水平なテーブル11上に
2本の光ファイバ素線1を平行に固定し、その上に2本の
光ファイバ素線を水平に底面に固定した滑り片12を、
テーブル11上に固定された光ファイバ素線1と滑り片
底面に固定された光ファイバ素線1とが直角に交差する
ように積載した。その後、すべり片はスプリング13、
牽引糸14を介してロードセル15に固定され、引張り
速度300mm/minで引張り試験を行った。このときの滑り
片重さは85gf、スプリングは基準荷重0.29N、バネ定数
0.031N/mm若しくは基準荷重0.49N、バネ定数0.047N/mm
であった。ロードセル15は滑り片12が移動した後、
100mm移動した位置で停止させ、得られた摩擦力プロフ
ァイルから移動開始時の力を除いた移動中の摩擦力を平
均したものを動摩擦力とし、更に、動摩擦力を滑り片重
さで除した値を動摩擦係数とした。
ビンにつき、OTDR段差ロス発生頻度を測定した。その減
衰曲線おいて損失が階段状に大きくなる箇所のうち、前
後100m区間の損失平均値の差が0.03dB以上となるものOT
DR段差ロスとしてカウントした。
に示すように本発明の光ファイバ素線である実施例1〜1
2はOTDR段差ロス発生頻度が5個/250km以下と低く、比較
例1〜4のOTDR段差ロス発生頻度が18個/250km以上である
のに比べて明らかに低くなっている。(比較例2,4は巻き
崩れが発生して測定できなかった。)
ファイバ素線の最外樹脂被覆層ヤング率と動摩擦係数の
関係を、図4に表示した。図4において、OTDR段差ロス
発生頻度が0個/250kmを○、1〜5個/250kmを△、10個/25
0km以上を×、巻き崩れが多く発生し測定不可能であっ
たものを*とした。図4において、実線で囲まれた部分
は最外樹脂被覆層のヤング率が400〜1000MPa、且つ動摩
擦係数が0.15以上で、動摩擦係数μが下記関係式(a)及
び(b)を満たしている。 μ≦−0.9822LogY+3.45156 (a) μ≧−0.5418LogY+1.74128 (b) (式中Yは最外樹脂被覆層のヤング率を表し、単位はMpa
である。μは動摩擦係数を表す。)
段差ロス発生頻度が5個/250km以下であって、いずれもO
TDR段差ロス発生頻度が低い光ファイバ素線として使用
できる。前記関係式(a)の範囲外 μ>−0.9822LogY+3.45156 では、OTDR段差ロス発生頻度が10個/250km以上と高く、
問題がある。前記関係式(b)の範囲外 μ<−0.5418LogY+1.74128 (式中Yは最外樹脂被覆層のヤング率を表し、単位はMPa
である。μは動摩擦係数を表す。)では、巻き崩れが多
発するため、OTDR段差測定が不可能であった。また、図
4において破線で囲まれた部分が関係式(c)及び
(b)を満たしている。
ス発生頻度を著しく低減しうるという優れた効果を奏す
る。そのため後工程の負担は軽減される。
全体斜視図、(b)は被覆層部分のスライス片の斜視図
である。
ある。
ある。
擦係数との関係を示すグラフである。
Claims (2)
- 【請求項1】 最外樹脂被覆層のヤング率が400〜1000M
Pa、且つ動摩擦係数が0.15以上の光ファイバ素線におい
て、動摩擦係数μが下記関係式(a)及び(b)を満たすこと
を特徴とした光ファイバ素線。 μ≦−0.9822LogY+3.45156 (a) μ≧−0.5418LogY+1.74128 (b) (式中Yは最外樹脂被覆層のヤング率を表し、単位はMpa
である。μは動摩擦係数を表す。) - 【請求項2】 最外樹脂被覆層のヤング率が400〜1000M
paであり、且つ動摩擦係数が0.15以上の光ファイバ素線
において、動摩擦係数μが下記関係式(c)及び(b)を満た
すことを特徴とした光ファイバ素線。 μ≦−0.5418LogY+1.85912 (c) μ≧−0.5418LogY+1.74128 (b) (式中Yは最外樹脂被覆層のヤング率を表し、単位はMPa
である。μは動摩擦係数を表す。)
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