JP2003322058A - 内燃機関の蒸発燃料処理装置 - Google Patents

内燃機関の蒸発燃料処理装置

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JP2003322058A
JP2003322058A JP2002126990A JP2002126990A JP2003322058A JP 2003322058 A JP2003322058 A JP 2003322058A JP 2002126990 A JP2002126990 A JP 2002126990A JP 2002126990 A JP2002126990 A JP 2002126990A JP 2003322058 A JP2003322058 A JP 2003322058A
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control valve
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purge control
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JP2002126990A
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Takanaga Kono
隆修 河野
Hideaki Itakura
秀明 板倉
Naoya Kato
直也 加藤
Takuji Matsubara
卓司 松原
Yoshihiko Hyodo
義彦 兵道
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Toyota Motor Corp
Soken Inc
Original Assignee
Nippon Soken Inc
Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 内燃機関が所望通りに運転せしめられるよう
に蒸発燃料をキャニスタから機関吸気通路内にパージす
る。 【解決手段】 内燃機関の燃料タンク26にて発生した
蒸発燃料を一時的に捕集しておくためのキャニスタ23
と、キャニスタ内に捕集されている蒸発燃料を機関吸気
通路11にパージするためにキャニスタと機関吸気通路
とを連結するパージ通路22と、キャニスタから機関吸
気通路内にパージされる蒸発燃料の量を制御するために
パージ通路に配置されたパージ制御弁24とを具備す
る。パージ制御弁が作動された後にキャニスタに捕集さ
れている蒸発燃料の量を代表するキャニスタ状態学習値
が学習されるようになっている。直前のパージ制御弁の
作動後に学習されたキャニスタ状態学習値に基づいてパ
ージ制御弁の目標開度が設定される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は内燃機関のパージ制
御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】内燃機関の燃料タンク内の燃料量が増え
るときには燃料タンク内の空気がその外部(すなわち、
大気)に放出され、一方、燃料タンク内の燃料量が減る
ときには燃料タンク内に大気から空気が流入するよう
に、燃料タンク内は大気に連通されていなければならな
い。ところが、燃料タンク内において燃料は蒸発して気
体状の燃料(以下、ベーパと称す)となる。ここで、上
述したように、燃料タンク内が大気に直接連通せしめら
れていると、ベーパが燃料タンクから大気に流出するこ
ととなる。大気へのベーパの流出は抑制されるべきであ
る。
【0003】そこで、こうした大気へのベーパの流出を
抑制するために、例えば、特開平7−109941号公
報に記載されているように、燃料タンクをいわゆるキャ
ニスタを介して大気に連通させることが公知である。す
なわち、燃料タンクからの空気中のベーパをキャニスタ
によって捕獲することで、大気へのベーパの流出を抑制
することが公知である。
【0004】ところで、キャニスタが捕獲することがで
きるベーパの量には限りがあるので、キャニスタ内に捕
獲されているベーパの量がキャニスタの捕獲限界量に達
する前に、キャニスタに捕獲されているベーパを何らか
の方法によりキャニスタから除去する必要がある。そこ
で、上記公報では、キャニスタ内を内燃機関の吸気通路
に連通させ、内燃機関の運転中に吸気通路内に発生する
負圧によってキャニスタに捕獲されているベーパを吸気
通路内に吸い込む(パージする)ようにしている。
【0005】ところで、ベーパを吸気通路内にパージす
るということは、燃料噴射弁から燃料が噴射される前
に、既に、吸気中に燃料が含まれていることを意味す
る。ところが、内燃機関は或る所定の空燃比にて運転せ
しめられることが要求されるので、燃料噴射弁から噴射
される燃料噴射量を適宜制御し、内燃機関が所定の空燃
比にて運転せしめられるのであるが、上述したように、
吸気中に既に燃料が含まれていると、所定の量の燃料を
燃料噴射弁から噴射したとしても、空燃比は所定の空燃
比とはならない。そこで、上記公報では、キャニスタか
ら吸気通路内にパージされるベーパ(HC)の濃度を検
出するためのHC濃度センサを設け、このHC濃度セン
サによって検出されるHC濃度に応じて、燃料噴射弁か
らの燃料噴射量を制御するようにしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記公報に
記載されているように、HC濃度センサを設け、このH
C濃度センサによって検出されるHC濃度に応じて、燃
料噴射弁からの燃料噴射量を制御するようにしても、そ
の制御応答性に問題がある。すなわち、上記公報では、
燃料噴射量に対する制御応答性が低いので、結局のとこ
ろ、内燃機関を所定の空燃比にて運転させることができ
ない。いずれにしても、内燃機関のパージ制御装置の分
野においては、内燃機関が所望通りに運転せしめられる
ようにベーパをキャニスタから吸気通路内にパージする
という要請がある。本発明の目的は、内燃機関が所望通
りに運転せしめられるようにベーパをキャニスタから吸
気通路内にパージすることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、1番目の発明では、内燃機関の燃料タンクにて発生
した蒸発燃料を一時的に捕集しておくためのキャニスタ
と、該キャニスタ内に捕集されている蒸発燃料を機関吸
気通路にパージするために該キャニスタと機関吸気通路
とを連結するパージ通路と、キャニスタから機関吸気通
路内にパージされる蒸発燃料の量を制御するために該パ
ージ通路に配置されたパージ制御弁とを具備し、該パー
ジ制御弁が作動された後にキャニスタに捕集されている
蒸発燃料の量を代表するキャニスタ状態学習値が学習さ
れるようになっている蒸発燃料処理装置において、直前
のパージ制御弁の作動後に学習されたキャニスタ状態学
習値に基づいてパージ制御弁の目標開度が設定される。
【0008】上記課題を解決するために、2番目の発明
では、内燃機関の燃料タンクにて発生した蒸発燃料を一
時的に捕集しておくためのキャニスタと、該キャニスタ
内に捕集されている蒸発燃料を機関吸気通路にパージす
るために該キャニスタと機関吸気通路とを連結するパー
ジ通路と、キャニスタから機関吸気通路内にパージされ
る蒸発燃料の量を制御するために該パージ通路に配置さ
れたパージ制御弁とを具備し、キャニスタに捕集されて
いる蒸発燃料の量を代表するキャニスタ状態学習値が学
習されるようになっている蒸発燃料処理装置において、
吸気中の蒸発燃料濃度の上昇率が許容される上昇率とな
るように上記キャニスタ状態学習値に基づいてパージ制
御弁の目標開弁速度が設定される。
【0009】3番目の発明では、2番目の発明におい
て、パージ制御弁が作動された後にキャニスタ状態学習
値が学習され、直前のパージ制御弁の作動後に学習され
たキャニスタ状態学習値に基づいてパージ制御弁の目標
開弁速度が設定される。これによれば、パージ制御弁の
目標開弁速度を設定するときに、直前のパージ制御弁の
作動後に学習されたキャニスタ状態学習値が利用され、
キャニスタ状態学習値を改めて学習するという処理が省
略されるので、より迅速に、パージ制御弁の目標開弁速
度が設定される。したがって、本発明によれば、より確
実に、吸気中の蒸発燃料濃度の上昇率が許容される上昇
率とされる。
【0010】4番目の発明では、1または3番目の発明
において、前回のパージ処理が停止されてから今回のパ
ージ処理が再開されるまでの期間が予め定められた期間
よりも短いときには直前のパージ制御弁の作動後に学習
されたキャニスタ状態学習値が利用され、一方、前回の
パージ処理が停止されてから今回のパージ処理が再開さ
れるまでの期間が上記予め定められた期間よりも長いと
きには改めて学習したキャニスタ状態学習値が利用され
る。前回のパージ処理が停止されてから今回のパージ処
理が再開されるまでの期間が比較的長いと、キャニスタ
に捕集されている蒸発燃料の量は比較的大きく上昇して
いると考えられる。この場合に、直前のパージ制御弁の
作動後に学習されたキャニスタ状態学習値は、キャニス
タに捕集されている蒸発燃料の真の量を代表していない
可能性がある。これに対して、本発明によれば、キャニ
スタ状態学習値が改めて学習されるので、より確実に、
吸気中の蒸発燃料濃度がその許容濃度に維持され、或い
は、吸気中の蒸発燃料濃度の上昇率がその許容上昇率に
維持されることとなる。
【0011】5番目の発明では、4番目の発明におい
て、前回のパージ処理が停止されてから今回のパージ処
理が再開されるまでの期間が予め定められた期間よりも
長いときにはキャニスタ状態学習値が改めて学習される
までの間、パージ制御弁の目標開度が吸気中の蒸発燃料
濃度がその許容濃度を確実に超えないように予め定めら
れていた目標開度に設定され、或いは、パージ制御弁の
目標開弁速度が吸気中の蒸発燃料濃度の上昇率がその許
容上昇率を確実に超えないように予め定められていた目
標開弁速度に設定される。これによれば、キャニスタ状
態学習値が改めて学習されるまでの間、より確実に、吸
気中の蒸発燃料濃度がその許容濃度以下に維持され、或
いは、吸気中の蒸発燃料濃度の上昇率がその許容上昇率
以下に維持されることとなる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明につ
いて説明する。図1は、本発明の蒸発燃料処理装置を備
えた内燃機関を示す図である。図1において、1は機関
本体、2はシリンダブロック、3はシリンダヘッド、4
は吸気ポート、5は吸気弁、6は排気ポート、7は排気
弁、8は燃焼室、9はピストン、10は点火栓を示して
いる。吸気ポート4には吸気通路11が接続されてい
る。吸気通路11内にはサージタンク12が形成されて
いる。また、吸気通路11にはエアクリーナ13が配置
されている。吸気ポート4上流であってサージタンク1
2下流の吸気通路11には、燃料噴射弁14が取り付け
られている。さらに、燃料噴射弁14上流であってサー
ジタンク12下流の吸気通路11には、吸気通路11内
の炭化水素(HC)の濃度を検出するためのHC濃度セ
ンサ15が取り付けられている。
【0013】また、サージタンク12上流であってエア
クリーナ13下流の吸気通路11内には、スロットル弁
16が配置されている。スロットル弁16はステップモ
ータ17によって駆動される。さらに、サージタンク1
2上流であってスロットル弁16下流の吸気通路11に
は、吸気通路11内の圧力(吸気圧)を検出するための
吸気圧センサ18が取り付けられている。さらに、スロ
ットル弁16上流であってエアクリーナ13下流の吸気
通路11には、燃焼室8に吸入される空気の量(吸入空
気量)を検出するためのエアフローメータ19が取り付
けられている。
【0014】一方、排気ポート6には排気通路20が接
続されている。排気通路20には排気ガス中の酸素濃度
を検出することによって内燃機関における空燃比を推定
するための空燃比センサ21が取り付けられている。
【0015】また、サージタンク12内はパージ通路2
2を介してキャニスタ23内に連通されている。パージ
通路22には、パージ通路22の開口面積を連続的に変
えることができるパージ制御弁24が配置されている。
すなわち、パージ制御弁24の開度を調節することによ
って、キャニスタ23からパージ通路22を介して吸気
通路11に流入する気体の流量を制御することができ
る。
【0016】また、キャニスタ23内は空気流通路25
を介して燃料タンク26内に連通されている。空気流通
路25には、燃料タンク26内の圧力が或る一定の範囲
内の圧力に収まるように、開閉弁する圧力調整弁27が
配置されている。すなわち、燃料タンク26内の圧力
(以下、タンク内圧力と称す)が或る所定の上限値を超
えると、圧力調整弁27は開弁し、このときには、燃料
タンク26内の気体が空気流通路25を介してキャニス
タ23へとパージ(放出)される。一方、タンク内圧力
が或る所定の下限値を下回ると、このときにも圧力調整
弁27は開弁し、このときには、キャニスタ23内の気
体が空気流通路25を介して燃料タンク26内へと流入
する。
【0017】なお、キャニスタ23は燃料タンク26内
からパージされた気体中の蒸発燃料(以下、ベーパと称
す)を吸着することによって捕集するための吸着材とし
て活性炭28をその内部に有する。また、キャニスタ2
3内は大気通路29を介して大気に開放されている。
【0018】また、HC濃度センサ15、吸気圧センサ
18、エアフローメータ19、および、空燃比センサ2
1は電子制御回路(ECU)30に接続されており、こ
れらの出力信号はECU30に入力される。また、点火
栓10、燃料噴射弁14、スロットル弁16用のステッ
プモータ17、および、パージ制御弁24もECU30
に接続されており、これらの作動はECU30によって
制御される。
【0019】ところで、燃料タンク26内の燃料が消費
されると、燃料タンク26内の圧力(タンク内圧力)が
低下する。ここで、タンク内圧力が上記圧力調整弁27
に関する所定の下限値を下回ると、圧力調整弁27が開
弁する。この場合には、大気から空気が、大気通路、キ
ャニスタ23、そして、空気流通路25を介して燃料タ
ンク26内に流入する。一方、燃料タンク26内に燃料
が補給されると、タンク内圧力が上昇する。ここで、タ
ンク内圧力が上記圧力調整弁27に関する所定の上限値
を下回ると、圧力調整弁27が開弁する。この場合に
は、燃料タンク26内の空気が、空気流通路25、キャ
ニスタ23、そして、大気通路29を介して大気にパー
ジされる。
【0020】さて、燃料タンク26内の燃料液面上方の
空間には、気化した燃料(ベーパ)が溜まっている。し
たがって、上述したように、燃料タンク26内の空気
が、空気流通路25、キャニスタ23、そして、大気通
路29を介して大気にパージされるときには、燃料タン
ク26内のベーパが、空気流通路25を介して、キャニ
スタ23内に流入する。ここで、キャニスタ23はベー
パを捕集することができるので、キャニスタ23に流入
したベーパはこのキャニスタ23によって捕集され、大
気へ流出しないようにされている。
【0021】ところで、キャニスタ23が捕集すること
ができるベーパの量には限界がある。ここで、キャニス
タ23が捕集しているベーパ量(以下、捕集ベーパ量と
称す)がその限界値を超えてしまうと、それ以降は、キ
ャニスタ23はそこに新たに流入してくるベーパを捕集
することができず、したがって、ベーパが大気に流出し
てしまうこととなる。このような大気へのベーパの流出
を抑制するためには、捕集ベーパ量がその限界値を超え
てしまう前に、キャニスタ23に捕集されているベーパ
を除去する必要がある。
【0022】ここで、スロットル弁16下流の吸気通路
11(詳細には、サージタンク12)内には負圧が発生
しているので、パージ制御弁24が開弁せしめられる
と、キャニスタ23に捕集されているベーパがパージ通
路22を介して吸気通路11内に吸入(パージ)され
る。すなわち、キャニスタ23に捕集されているベーパ
がキャニスタ23から除去される。そこで、第1実施形
態では、捕集ベーパ量がその上限値を超える前に成立す
るような条件を所定条件として設定し、この所定条件が
成立する毎にパージ制御弁24を開弁するようにしてい
る。これによれば、大気へのベーパの流出が抑制される
こととなる。
【0023】ところで、キャニスタ23から吸気中にベ
ーパ(すなわち、燃料(HC))がパージされると、燃
焼室8に流入する空気(以下、吸気と称す)は既にHC
を含んでいることになる。ここで、吸気中のHC濃度が
高いと、内燃機関の運転に支障をきたすことがある。し
たがって、内燃機関を良好に運転させるためには、単位
時間当たりにキャニスタ23から吸気通路11にパージ
されるHCの量(以下、パージHC量と称す)をできる
だけ少なく抑えておく必要がある。しかしながら、その
一方で、キャニスタ23に捕集された状態にあるベーパ
の量をできるだけ少なくすることも要求されるので、こ
の要求を満足するためには、パージHC量をできるだけ
大きくする必要がある。
【0024】ここで、内燃機関を良好に運転させるとい
う観点から許容される吸気中のHC濃度の上限値(以
下、許容濃度と称す)は機関運転状態毎に決まってい
る。そこで、第1実施形態では、この許容濃度を機関運
転状態の関数で予め求めておき、吸気中のHC濃度がこ
の許容濃度となるように機関運転状態に基づいて吸気中
のHC濃度に影響を与える手段を制御するようにしてい
る。具体的には、以下の通りである。
【0025】すなわち、吸気中のHC濃度は、単位時間
当たりに燃焼室8内に吸入される吸気量(以下、吸気量
と称す)と、単位時間当たりにキャニスタ23から吸気
中にパージされるHCの量(パージHC量)との関数で
あり、さらに、このパージHC量は、スロットル弁16
下流の吸気通路11内の負圧(以下、吸気負圧と称す)
の大きさと、パージ制御弁24の開度との関数である
が、吸気量と吸気負圧とは内燃機関の運転状態(機関運
転状態)によって決まってしまうので、実際に制御可能
な制御パラメータはパージ制御弁24の開度のみであ
る。そこで、第1実施形態では、許容濃度を機関運転状
態の関数で予め求めておき、HC濃度がこの許容濃度と
なるように機関運転状態に基づいて目標とするパージ制
御弁24の開度を設定し、パージ制御弁24の開度をこ
の目標開度に制御するようにしている。
【0026】ところで、上述したように、吸気量や吸気
負圧に応じてパージ制御弁24の目標開度を設定し、パ
ージ制御弁24の開度をこの目標開度とすれば、吸気中
のHC濃度は、内燃機関を良好に運転させるという観点
から許容される吸気中のHC濃度の上限値(許容濃度)
に維持されるはずである。しかしながら、吸気中のHC
濃度は、キャニスタ23に捕集されているベーパの量
(捕集ベーパ量)によっても異なってくる。すなわち、
吸気負圧とパージ制御弁24の開度とが同じであって
も、捕集ベーパ量が多いほど、単位時間当たりにキャニ
スタ23から吸気通路11にパージされるHCの量(パ
ージHC量)は多く、逆に、捕集ベーパ量が少ないほ
ど、パージHC量は少ない。したがって、パージ制御弁
24の開度を目標開度としても、HC濃度が必ずしも許
容濃度に維持されるとは限らない。このため、HC濃度
を許容濃度に確実に維持するためには、捕集ベーパ量を
も考慮してパージ制御弁24の目標開度を設定する必要
がある。
【0027】ここで、パージ制御弁24の目標開度の設
定方法として、吸気中のHC濃度を検出することができ
るセンサ(HC濃度センサ)によって検出されるHC濃
度を監視し、HC濃度が許容濃度よりも大きくなったと
きにはパージ制御弁24の目標開度を小さくし、逆に、
HC濃度が許容濃度よりも小さくなったときにはパージ
制御弁24の目標開度を大きくするという方法が考えら
れる。しかしながら、一般的に、HC濃度センサが吸気
中のHC濃度を検出する速度(HC濃度検出速度)は、
パージ制御弁の目標開度を設定するのに求められている
速度に比べて遅い。したがって、このHC濃度センサを
用いる方法では、吸気中のHC濃度が必ずしも許容濃度
に維持されるとは限らない。
【0028】そこで、第1実施形態では、これとは別の
方法によって、吸気中のHC濃度を許容濃度に確実に維
持するようにしている。すなわち、第1実施形態では、
一回目のパージ制御弁24の目標開度の設定時には、目
標開度を機関運転状態毎に予め定めておいた開度に設定
し、一回目以降のパージ制御弁24の目標開度の設定時
には、パージ制御弁24の開度が目標開度となるように
パージ制御弁24が開弁せしめられた後にHC濃度セン
サ15によって検出されるHC濃度を新たなキャニスタ
状態学習値としてキャニスタ状態学習値を更新し、次の
パージ制御弁24の目標開度の設定時には、それ以前に
更新されたキャニスタ状態学習値を利用して、パージ制
御弁24の目標開度を設定するようにしている。これに
よれば、パージ制御弁24の目標開度を設定するとき
に、改めて、キャニスタ状態学習値を算出する必要がな
いので、パージ制御弁24の目標開度が迅速に算出さ
れ、したがって、吸気中のHC濃度が許容濃度に確実に
維持されることとなる。
【0029】なお、第1実施形態において、HC濃度セ
ンサが吸気中のHC濃度を検出することができる速度
(いわゆる、応答性)をも考慮して、許容濃度を設定し
てもよい。また、HC濃度センサの代わりに、吸気中の
酸素濃度を検出することができる酸素センサを用い、こ
の酸素センサによって検出された酸素濃度に基づいて算
出される空燃比と、エアフローメーター19によって検
出される吸気量とから、吸気中のHC濃度を推定するよ
うにしてもよい。もちろん、この場合においても、酸素
センサが吸気中の酸素濃度を検出することができる速度
(応答性)をも考慮して、許容濃度を設定するようにし
てよい。
【0030】ところで、パージ制御弁24を開弁する
と、単位時間当たりにキャニスタ23から吸気中にパー
ジされるHCの量(パージHC量)は徐々に多くなる。
ここで、パージ制御弁24を一気に目標開度にまで開弁
すると、パージHC量も一気に多くなる。このようにパ
ージHC量が一気に多くなると、内燃機関の運転に支障
をきたすことがある。したがって、内燃機関を良好に運
転させるためには、パージHC量の上昇率をできるだけ
小さく抑えておく必要がある。しかしながら、その一方
で、キャニスタ23に捕集された状態にあるベーパをで
きるだけ迅速に吸気中にパージすることも要求されるの
で、この要求を満足するためには、パージHC量の上昇
率をできるだけ大きくする必要がある。
【0031】ここで、内燃機関を良好に運転させるとい
う観点から許容されるパージHC量の上昇率の上限値、
例えば、キャニスタ23から吸気中へのHCのパージに
起因する空燃比の変動量を許容範囲内に収めることがで
きる上昇率(許容上昇率)は、機関運転状態毎に決まっ
ている。そこで、第2実施形態では、この許容上昇率を
機関運転状態の関数で予め求めておき、パージHC量の
上昇率がこの許容上昇率となるように機関運転状態に基
づいてパージ制御弁24を目標開度にまで開弁する目標
開弁速度を設定し、パージ制御弁24をこの目標開弁速
度でもって開弁するようにしている。これによれば、キ
ャニスタ23から吸気中にHCをパージしたとしても、
内燃機関は良好に運転せしめられる。
【0032】なお、第2実施形態において、パージ制御
弁24の開度は、吸気中のHC濃度が内燃機関を良好に
運転させるという観点から許容される吸気中のHC濃度
の上限値(許容濃度)となるように、HC濃度センサ1
5によって検出される吸気中のHC濃度に基づいて制御
される。また、第1実施形態に関連して説明したよう
に、第2実施形態において、HC濃度センサが吸気中の
HC濃度を検出することができる速度(応答性)をも考
慮して、許容上昇率を設定してもよい。
【0033】もちろん、第2実施形態に第1実施形態を
組み合わせてもよい。すなわち、第3実施形態では、第
1実施形態に従ってパージ制御弁24の目標開度を設定
すると共に、第2実施形態に従ってパージ制御弁24の
目標開弁速度を設定し、パージ制御弁24を斯くして設
定された目標開度に向かって斯くして設定された目標開
弁速度でもって開弁するようにする。
【0034】次に、図2を参照して、第3実施形態の概
略について説明する。図2において、(A)は吸気中の
HC濃度を示し、(B)はパージ制御弁24の開度を示
し、(C)はキャニスタ23に捕集されているベーパの
量(捕集ベーパ量)を示している。また、図2におい
て、Chmaxは許容濃度を示し、Dmaxはパージ制
御弁24の最大開度を示している。
【0035】図2に示した例では、1回目のパージで
は、パージ制御弁24は、図2(B)に示されているよ
うに、開弁速度V1でもって期間T1をかけて目標開度
まで開弁せしめられる。このとき、吸気中のHC濃度
は、図2(A)に示されているように、上昇率A1でも
って許容濃度Chmaxまで上昇する。そして、このと
き、捕集ベーパ量は、図2(C)に示されているよう
に、徐々に減少する。ここで、上昇率A1は許容上昇率
となっている。云い換えれば、上昇率A1が許容上昇率
となるように、開弁速度V1が決定され、最終的な吸気
中のHC濃度が許容濃度Cmaxを超えないように、目
標開度が設定されている。
【0036】次いで、2回目のパージでは、パージ制御
弁24は開弁速度V2でもって期間T2をかけて目標開
度(図2に示した例では、最大開度Dmax)まで開弁
せしめられ、吸気中のHC濃度は上昇率A2でもって許
容濃度Chmaxまで上昇し、そして、捕集ベーパ量は
徐々に減少する。ここで、上昇率A2は許容上昇率であ
り、開弁速度V2は開弁速度V1よりも速い。このよう
に、開弁速度V1よりも速い開弁速度V2でもってパー
ジ制御弁24を開弁させたとしても、二回目のパージ実
行時の捕集ベーパ量が一回目のパージ実行時の捕集ベー
パ量よりも少なくなっているので、開弁速度V1よりも
速い開弁速度V2でもってパージ制御弁24を開弁させ
たとしても、上昇率A2は許容上昇率に維持されること
となる。なお、図2に示した例において、期間T2は期
間T1に等しい。
【0037】次いで、3回目のパージでは、パージ制御
弁24は開弁速度V3でもって期間T3をかけて目標開
度(図2に示した例では、最大開度Dmax)まで開弁
せしめられ、吸気中のHC濃度は上昇率A3でもって上
昇し、そして、捕集ベーパ量は徐々に減少する。ここで
も、上昇率A3は許容上昇率であり、開弁速度V3は開
弁速度V2よりも速い。なお、3回目のパージでは、捕
集ベーパ量が比較的少なくなっているので、パージ制御
弁24の開度が最大開度とされても、吸気中のHC濃度
は許容濃度Chmaxよりも小さい。また、図2に示し
た例において、期間T3は期間T2よりも短い。
【0038】次いで、4回目のパージでは、パージ制御
弁24は開弁速度V4でもって期間T4をかけて目標開
度(図2に示した例では、最大開度Dmax)まで開弁
せしめられ、吸気中のHC濃度は上昇率A4でもって上
昇し、そして、捕集ベーパ量は徐々に減少する。ここで
も、上昇率A4は許容上昇率であり、開弁速度V4は開
弁速度V3よりも速い。なお、4回目のパージが実行さ
れるときの捕集ベーパ量が3回目のパージ実行時におけ
る捕集ベーパ量よりも少ないので、最終的な吸気中のH
C濃度は3回目のパージ実行時の最終的な吸気中のHC
濃度よりも小さい。また、図2に示した例において、期
間T4は期間T3よりも短い。
【0039】ところで、第1実施形態に関連して説明し
たが、上述した実施形態では、一回目のパージ制御弁2
4の目標開度の設定時には、目標開度は機関運転状態毎
に予め定めておいた開度に設定される。すなわち、上述
した実施形態では、キャニスタ23から吸気中へのHC
のパージがいったん停止され、その後、パージが再開さ
れたときには、まず始めに、目標開度は機関運転状態毎
に予め定めておいた開度に設定される。
【0040】こうした処理は、パージがいったん停止さ
れてから次にパージが再開されるまでの間に、燃料タン
ク26からキャニスタ23に新たにベーパが流入し、こ
のベーパがキャニスタ23に捕集され、したがって、キ
ャニスタ23に捕集されているベーパの量(捕集ベーパ
量)が比較的大きく変化しており、したがって、パージ
がいったん停止されたときに更新されたキャニスタ状態
学習値を利用して、パージが再開されたときのパージ制
御弁24の目標開度を設定し、パージ制御弁24の開度
をこの目標開度としても、吸気中のHC濃度は内燃機関
を良好に運転させるという観点から許容される吸気中の
HC濃度の上限値(許容濃度)とならない可能性がある
ことから実行される処理である。
【0041】ところが、パージがいったん停止されてか
ら次にパージが再開されるまでの期間(パージ停止期
間)が比較的短い場合、その間に、燃料タンク26から
キャニスタ23に新たに流入してキャニスタ23に捕集
されたベーパの量は比較的少ないと考えることができ
る。すなわち、パージ停止期間が比較的短い場合、パー
ジがいったん停止されたときに更新されたキャニスタ状
態学習値を利用して、パージが再開されたときのパージ
制御弁24の目標開度を設定し、パージ制御弁24の開
度をこの目標開度とすれば、吸気中のHC濃度は許容濃
度となるはずである。
【0042】そこで、第4実施形態では、上述した実施
形態において、パージ停止期間が予め定められた期間よ
りも短いときには、パージがいったん停止されたときに
更新されたキャニスタ状態学習値を利用して、パージが
再開されたときのパージ制御弁24の目標開度を設定
し、一方、パージ停止期間が予め定められた期間よりも
長いときには、予め定めておいた開度を目標開度に設定
するようにしている。これによれば、パージ停止期間が
短い場合においては、パージが再開されたときに、改め
て、キャニスタ状態学習値を算出する必要がないので、
パージ制御弁24の目標開度を迅速に算出することがで
き、したがって、全体として、吸気中のHC濃度が許容
濃度に確実に維持されることとなる。
【0043】なお、パージ停止期間中にキャニスタに新
たに捕集されるベーパの量は燃料タンクの構成(例え
ば、容量等)や内燃機関が搭載される車両の構成によっ
て異なるので、上述した予め定められた期間はこれら燃
料タンクの構成や車両の構成に応じて定められる。ま
た、パージ停止期間が予め定められた期間よりも長いと
きに目標開度として設定される予め定めておいた開度
は、吸気量および吸気負圧がいかなる値であっても吸気
中のHC濃度が確実に許容濃度以下となるように定めら
れる。
【0044】ところで、第4実施形態に関連して説明し
た事項は、パージ制御弁の目標開弁速度に関しても同様
に当てはまる。そこで、第5実施形態では、上述した実
施形態において、パージ停止期間が予め定められた期間
よりも短いときには、パージがいったん停止されたとき
に更新されたキャニスタ状態学習値を利用して、パージ
が再開されたときのパージ制御弁24の目標開弁速度を
設定し、一方、パージ停止期間が予め定められた期間よ
りも長いときには、予め定めておいた開弁速度を目標開
弁速度に設定するようにしている。これによれば、第4
実施形態と同様に、パージ停止期間が短い場合において
は、パージが再開されたときに、改めて、キャニスタ状
態学習値を算出する必要がないので、パージ制御弁24
の目標開弁速度を迅速に算出することができ、したがっ
て、全体として、吸気中のHC濃度の上昇率が許容上昇
率に確実に維持されることとなる。
【0045】ところで、何らかの要因によって、HC濃
度センサ15に出力異常が発生することがある。この場
合、キャニスタ状態学習値をHC濃度センサ15によっ
て検出されるHC濃度(検出HC濃度)に基づいて算出
して更新すると、更新されたキャニスタ状態学習値はキ
ャニスタ23に捕集されているベーパの真の量を示して
いないこととなる。
【0046】ここで、上述した実施形態では、キャニス
タ状態学習値の算出は、キャニスタ23に捕集された状
態にあるベーパの量(捕集ベーパ量)がさほど変化しな
いうちに行われるようにしているので、新たに算出され
たキャニスタ状態学習値は、現在のキャニスタ状態学習
値からさほどずれていないはずである。すなわち、新た
に算出されたキャニスタ状態学習値が現在のキャニスタ
状態学習値から比較的大きくずれているときには、新た
に算出されたキャニスタ状態学習値は、真の捕集ベーパ
量を示しておらず、一方、新たに算出されたキャニスタ
状態学習値が現在のキャニスタ状態学習値から比較的小
さくしかずれていないときには、新たに算出されたキャ
ニスタ状態学習値は、真の捕集ベーパ量を示しているは
ずである。
【0047】そこで、第6実施形態では、上述した実施
形態において、検出HC濃度に基づいてキャニスタ状態
学習値を算出する場合に、キャニスタ状態学習値の算出
が複数回(例えば、3回)行われる間に通常減少すると
推定されるベーパの量に見合ったキャニスタ状態学習値
の変動量を所定の値として設定し、検出HC濃度に基づ
いて算出されたキャニスタ状態学習値(算出キャニスタ
状態学習値)と現在のキャニスタ状態学習値との間のず
れが上記所定の値よりも大きいときにはキャニスタ状態
学習値を更新せず、算出キャニスタ状態学習値と現在の
キャニスタ状態学習値との間のずれが上記所定の値より
も小さいときにはキャニスタ状態学習値を算出キャニス
タ状態学習値に更新するようにしている。これによれ
ば、より確実に、キャニスタ状態学習値が真の捕集ベー
パ量を示していることとなる。
【0048】ところで、HC濃度センサ15によって検
出されるHC濃度(検出HC濃度)に基づいて算出され
たキャニスタ状態学習値(算出キャニスタ状態学習値)
と現在のキャニスタ状態学習値との間のずれが比較的小
さいとしても、空燃比の変動幅が大きいときには、算出
キャニスタ状態学習値がキャニスタ23に捕集されてい
るベーパの真の量(捕集ベーパ量)を示していない可能
性がある。
【0049】そこで、第7実施形態では、上述した実施
形態において、通常の機関運転状態において生じうる空
燃比の変動幅を所定の変動幅として設定し、算出キャニ
スタ状態学習値と現在のキャニスタ状態学習値との間の
ずれが上記所定の値よりも小さいときであっても、空燃
比センサ21によって検出される空燃比の変動幅が上記
所定の変動幅よりも大きいときにはキャニスタ状態学習
値を変更せず、一方、空燃比センサ21によって検出さ
れる空燃比の変動幅が上記所定の変動幅よりも小さいと
きにはキャニスタ状態学習値を算出キャニスタ状態学習
値に更新する。これによれば、より確実に、キャニスタ
状態学習値が真の捕集ベーパ量を示していることとな
る。
【0050】ところで、第4実施形態に関連して説明し
たように、上述した実施形態では、パージ停止期間が予
め定められた期間よりも長いときには、予め定めておい
た開度を目標開度に設定するようにしており、この予め
定めておいた開度は、吸気量および吸気負圧がいかなる
値であっても吸気中のHC濃度が確実に許容濃度以下と
なるように定められている。
【0051】ところが、吸気中のHC濃度は吸気量に関
係し、また、単位時間当たりに吸気中にパージされるH
Cの量は吸気負圧に関係する。すなわち、パージ制御弁
の開度が同じ場合であっても、吸気量が多いほど吸気中
のHC濃度は小さくなり、吸気負圧が小さいほど吸気中
のHC濃度は小さくなる。このようにパージ制御弁の開
度が同じであっても、吸気中のHC濃度は吸気量および
吸気負圧によって異なる。したがって、できるだけ迅速
にキャニスタからHCを除去するという要請を満足させ
るためには、パージ停止期間が予め定められた期間より
も長いときに目標開度とされる開度をこれら吸気量およ
び吸気負圧に応じて定めるべきである。
【0052】そこで、第8実施形態では、上述した実施
形態において、パージ停止期間が予め定められた期間よ
りも長いときであって、吸気量が予め定められた吸気量
よりも多いか、或いは、吸気負圧の絶対値が予め定めら
れた値よりも小さいときには、予め比較的大きく定めて
おいた開度を目標開度に設定するようにしている。そし
て、パージ停止期間が予め定められた期間よりも長いと
きであって、吸気量が予め定められた吸気量よりも少な
く且つ吸気負圧の絶対値が予め定められた値よりも大き
いときには、予め比較的小さく定めておいた開度を目標
開度に設定するようにしている。これによれば、できる
だけ迅速にキャニスタからHCが除去されることとな
る。
【0053】ところで、第8実施形態に関連して説明し
た事項は、第5実施形態に関しても同様に当てはまる。
そこで、第9実施形態では、上述した実施形態におい
て、パージ停止期間が予め定められた期間よりも長いと
きであって、吸気量が予め定められた吸気量よりも多い
か、或いは、吸気負圧の絶対値が予め定められた値より
も小さいときには、予め比較的大きく定めておいた開弁
速度を目標開弁速度に設定するようにしている。そし
て、パージ停止期間が予め定められた期間よりも長いと
きであって、吸気量が予め定められた吸気量よりも少な
く且つ吸気負圧の絶対値が予め定められた値よりも大き
いときには、予め比較的小さく定めておいた開弁速度を
目標開弁速度に設定するようにしている。これによれ
ば、第7実施形態と同様に、できるだけ迅速にキャニス
タからHCが除去されることとなる。
【0054】図3は、第9実施形態に従ってパージ制御
弁24の作動を制御するためのフローチャートを示して
いる。図3のフローチャートでは、始めに、ステップ1
0において、内燃機関の状態、例えば、機関回転数、吸
入空気量、吸気圧、スロットル弁16の開度、機関要求
負荷が読み込まれる。次いで、ステップ11において、
キャニスタ23に捕集されているベーパを吸気通路11
内にパージしても内燃機関の運転状態が許容できる程度
以上に悪化しないという条件(以下、パージ条件と称
す)が成立しているか否かが、ステップ10で読み込ま
れた内燃機関の状態に基づいて判別される。
【0055】ステップ11において、パージ条件が成立
していないと判別されたときには、ルーチンはステップ
17に進んで、パージ停止期間カウンタToffがカウ
ントアップされる。ここで、パージ停止期間カウンタT
offはパージが実行されずに停止されていた期間(パ
ージ停止期間)を示すカウンタであり、そして、ステッ
プ11においてパージ条件が成立していないと判別され
たときにはパージが停止されているので、ステップ17
において、パージ停止期間カウンタToffがカウント
アップされるのである。
【0056】一方、ステップ11において、パージ条件
が成立していると判別されたときには、ステップ12に
進んで、パージ停止期間カウンタToffが所定の期間
Tthよりも短い(Toff<Tth)か否かが判別さ
れる。ステップ12において、Toff<Tthである
と判別されたときには、ルーチンはステップ13に進ん
で、図4に示したフローチャートに従って、目標開度T
Dが設定され、次いで、ステップ14において、図5に
示したフローチャートに従って、目標開弁速度TVが設
定され、次いで、ルーチンはステップ15に進む。
【0057】ここで、目標開度TDは目標とすべきパー
ジ制御弁24の開度であり、目標開弁速度TVはパージ
制御弁24を目標開度TDにまで開弁する間において単
位時間当たりに増大せしめられるパージ制御弁24の開
度である。また、図4および図5に示したフローチャー
トでは、現在のキャニスタ状態学習値に基づいて、目標
開度TDおよび目標開弁速度TVが算出される。
【0058】一方、ステップ12において、Toff≧
Tthであると判別されたときには、ルーチンはステッ
プ18に進んで、初期学習完了フラグFinがセットさ
れている(Fin=1)か否かが判別される。ここで、
初期学習完了フラグFinは、キャニスタ状態学習値の
初期学習が必要であると判定されたときにリセットさ
れ、その後、キャニスタ状態学習値の初期学習が完了し
たときにセットされるフラグである。
【0059】すなわち、上述したように、パージ停止期
間Toffが所定の期間Tthよりも長いときには、パ
ージが停止されている期間が比較的長く、したがって、
キャニスタ23に比較的多量のベーパが新たに捕集され
たと考えられるので、現在のキャニスタ状態学習値に基
づいて設定されたパージ制御弁24の目標開度および目
標開弁速度は、内燃機関の良好な運転を維持することが
できる開度および開弁速度に相当しない。この場合に
は、新たにキャニスタ状態学習値を算出する必要、すな
わち、初期学習を実行する必要がある。
【0060】そこで、ステップ18では、パージ条件が
成立し且つパージ停止期間Toffが所定の期間Tth
よりも長いと判別されたときに、キャニスタ状態学習値
が新たに算出されているか否か、すなわち、キャニスタ
状態学習値の初期学習が完了しているか否かが判別され
る。
【0061】ステップ18において、Fin=1である
と判別されたときには、キャニスタ状態学習値の初期学
習は既に完了しているので、ルーチンはステップ13に
進む。すなわち、ルーチンは、ステップ12においてT
off<Tthと判別された場合のルーチン、すなわ
ち、パージ停止期間が比較的短かった場合におけるパー
ジ制御弁24の制御ルーチンに入る。
【0062】一方、ステップ18において、Fin=0
であると判別されたときには、ルーチンはステップ19
に進んで、図7および図8に示したフローチャートに従
って、初期目標開度TDinおよび初期目標開弁速度T
Vinが設定され、次いで、ルーチンはステップ15に
進む。なお、ステップ19は、後述するステップ16に
おいて、キャニスタ状態学習値Cgを学習して更新する
ときに、初期学習が行われるようにするための準備とし
て実行されるステップである。
【0063】さて、ステップ15では、パージ制御弁2
4が駆動されて開弁される。ここで、ステップ12おい
てToff<Tthであると判別された後にルーチンが
ステップ15に進んだ場合、および、ステップ12にお
いてToff≧Tthであると判別されたがその後のス
テップ18においてFin=1であると判別された後に
ルーチンがステップ15に進んだ場合には、ステップ1
3において設定された目標開度TDに向かって、ステッ
プ14にて設定された目標開弁速度TVでもってパージ
制御弁24が開弁せしめられる。
【0064】一方、ステップ12においてToff≧T
thであると判別された後にステップ18においてFi
n=0であると判別された場合には、ステップ19にて
設定された初期目標開度TDinに向かって、ステップ
19にて設定された初期目標開弁速度TVinでもって
パージ制御弁24が開弁せしめられる。
【0065】そして、ルーチンはステップ16に進ん
で、図6に示したフローチャートに従って、キャニスタ
状態学習値Cgが算出される。
【0066】なお、図3のルーチンは、パージ制御弁2
4の開度が目標開度TDまたは初期目標開度TDinと
なるまで、繰り返し実行される。
【0067】次に、図4に示した目標開度を設定するた
めのフローチャートについて説明する。このフローチャ
ートのルーチンは、図3のステップ13において実行さ
れるルーチンである。図4のフローチャートでは、始め
に、ステップ20において、現在ECU30に記憶され
ているキャニスタ状態学習値Cgが読み込まれる。ここ
で読み込まれるキャニスタ状態学習値Cgは前回、図3
のルーチンが実行されたときに、図3のステップ16に
おいて更新された学習値、或いは、更新されずにそのま
ま維持された学習値である。
【0068】次いで、ステップ21において、吸気中の
HC濃度を目標濃度(許容濃度)とするために必要なパ
ージ制御弁24の開度(以下、基準開度と称す)TDb
が、ステップ20で読み込まれたキャニスタ状態学習値
Cgと吸気量と吸気負圧とに基づいて算出され、次い
で、ステップ22において、この基準開度TDbがパー
ジ制御弁24が最大限に開弁可能な開度(以下、最大開
度と称す)TDmaxを超えている(TDb>TDma
x)か否かが判別される。
【0069】ステップ22において、TDb>TDma
xであると判別されたときには、ルーチンはステップ2
3に進んで、目標開度TDが最大開度TDmaxに設定
される。一方、ステップ22においてTDb≦TDma
xであると判別されたときには、ルーチンはステップ2
4に進んで、目標開度TDが基準開度TDbに設定され
る。
【0070】次に、図5に示した目標開弁速度を設定す
るためのフローチャートについて説明する。このフロー
チャートのルーチンは図3のステップ14において実行
されるルーチンである。図5のフローチャートでは、始
めに、ステップ30において、現在ECU30に記憶さ
れているキャニスタ状態学習値Cgが読み込まれる。こ
こで読み込まれるキャニスタ状態学習値Cgは前回、図
3のルーチンが実行されたときに、図4のステップ16
において更新された学習値、或いは、更新されずにその
まま維持された学習値である。
【0071】次いで、ステップ31において、パージ制
御弁24を最も速く開弁させたときの開弁速度(以下、
最大開弁速度)がECU30から読み込まれる。次い
で、ステップ32において、単位時間当たりにキャニス
タ23から吸気中にパージされるHCの量の上昇率が内
燃機関を良好に運転させるという観点から許容される上
昇率となるようなパージ制御弁24の開弁速度(許容開
弁速度)Vaが、ステップ30で読み込まれたキャニス
タ状態学習値Cgと吸気量と吸気負圧とに基づいて算出
される。
【0072】次いで、ステップ33において、ステップ
31で読み込まれた最大開度Vmaxがステップ32で
算出された許容開弁速度Vaよりも大きい(Vmax>
Va)か否かが判別される。ステップ32において、V
max>Vaであると判別されたときには、ルーチンは
ステップ34に進んで、目標開弁速度TVが許容開弁速
度Vaに設定される。一方、ステップ33において、V
max≦Vaであると判別されたときには、ルーチンは
ステップ35に進んで、目標開弁速度TVが最大開弁速
度Vmaxに設定される。
【0073】次に、図6に示したキャニスタ状態学習値
を学習するためのフローチャートについて説明する。こ
のフローチャートのルーチンは、図3のステップ16に
おいて実行されるルーチンである。図6のフローチャー
トでは、始めに、ステップ40において、HC濃度セン
サ15によって吸気中のHC濃度が検出される。次い
で、ステップ41において、ステップ40で検出された
HC濃度とパージ制御弁24の開度と吸気量と吸気負圧
とに基づいて、キャニスタ23に捕集されているベーパ
の量を示すキャニスタ状態学習値Cgsが算出される。
【0074】次いで、ステップ42において、初期学習
完了フラグFinがセットされている(Fin=1)か
否かが判別される。ステップ42において、Fin=1
であると判別されたときには、ルーチンはステップ43
に進む。
【0075】ステップ43では、現在ECU30に記憶
されているキャニスタ状態学習値Cgと、ステップ41
で算出されたキャニスタ状態学習値Cgsとの間のずれ
が、所定の値Sよりも小さい(|Cg−Cgs|<S)
か否かが判別される。ステップ43において、|Cg−
Cgs|<Sであると判別されたときには、ルーチンは
ステップ44に進む。
【0076】ステップ44では、空燃比の変動量FAF
が所定の範囲内に収まっている(−α<FAF<α)か
否かが判別される。ステップ44において、−α<FA
F<αであると判別されたときには、ルーチンはステッ
プ45に進む。
【0077】ステップ45では、ECU30に現在記憶
されているキャニスタ状態学習値がステップ41で算出
されたキャニスタ状態学習値Cgsに更新される。すな
わち、図6に示したフローチャートによれば、キャニス
タ状態学習値の初期学習が完了しており、且つ、新たに
算出されたキャニスタ状態学習値が現在のキャニスタ状
態学習値からさほどずれておらず、且つ、空燃比の変動
が比較的小さいときに、ルーチンがステップ45に進ん
で、キャニスタ状態学習値が新しい学習値に更新され
る。
【0078】一方、ステップ42において、Fin=0
であると判別されたとき、および、ステップ43におい
て、|Cg−Cgs|≧Sであると判別されたとき、お
よび、ステップ44において、FAF≦−αまたはFA
F≧αであると判別されたときには、ルーチンは終了す
る。すなわち、図6に示したフローチャートによれば、
キャニスタ状態学習値の初期学習が完了していないと
き、および、新たに算出されたキャニスタ状態学習値が
現在のキャニスタ状態学習値から大きくずれていると
き、および、空燃比の変動が比較的大きいときは、キャ
ニスタ状態学習値は更新されない。
【0079】次に、図7および図8に示した初期目標開
度および初期目標開弁速度を設定するためのフローチャ
ートについて説明する。このフローチャートのルーチン
は、図3のステップ19において実行されるルーチンで
ある。図7および図8のフローチャートでは、始めに、
ステップ50において、スロットル弁16下流の吸気通
路11内の負圧の絶対値Pが予め定められた値Pthよ
りも小さい(P<Pth)か否かが判別される。すなわ
ち、ステップ50では、吸気負圧が大気圧に比較的近い
か否かが判別される。ステップ50において、P<Pt
hであると判別されたときには、ルーチンはステップ5
1に進んで、吸気量Gaが予め定められた吸気量Gat
hよりも多い(Ga>Gath)か否かが判別される。
【0080】ステップ50において、P≧Pthである
と判別されたとき、および、ステップ51において、G
a>Gathであると判別されたときには、ルーチンは
ステップ52に進んで、初期目標開度TDinが実験等
によって予め求められている第1設定値TDin1に設
定される。すなわち、吸気負圧が非常に小さいか、或い
は、吸気量が非常に多いときには、パージ制御弁24の
目標開度が比較的大きくても、吸気中のHC濃度はさほ
ど大きくならないので、図7および図8のフローチャー
トでは、この場合には、初期目標開度は、後述する第2
設定値TDin2よりも大きい値(すなわち、第1設定
値TDin1)とされる。もちろん、この第1設定値T
Din1は、吸気中のHC濃度が内燃機関を良好に運転
させるという観点から許容される吸気中のHC濃度(許
容濃度)を超えることがない値に設定されている。
【0081】次いで、ステップ53において、現在のパ
ージ制御弁24の開度Dとステップ52で設定された初
期目標開度TDinとのずれ(TDin−D)が、予め
定められた値W1よりも大きい(TDin−D>W1)
か否かが判別される。すなわち、ステップ53では、パ
ージ制御弁24の開度Dが既に初期目標開度TDinに
非常に近くなっているか否かが判別される。ステップ5
3において、TDin−D>W1であると判別されたと
き、すなわち、パージ制御弁24の開度Dが初期目標開
度TDinから離れているときには、ルーチンはステッ
プ54に進んで、初期目標開弁速度TVinが実験等に
よって予め求められている第1設定値TVin1に設定
される。ここで、第1設定値TVin1は、後述する第
2設定値TVin2よりも大きい値とされている。もち
ろん、この第1設定値TVin1は、単位時間当たりに
キャニスタ23から吸気中にパージされるHCの量の上
昇率(パージHC量上昇率)が、内燃機関を良好に運転
させるという観点から許容される上昇率(許容上昇率)
を超えることがない値に設定されている。
【0082】一方、ステップ53において、TDin−
D≦W1であると判別されたとき、すなわち、パージ制
御弁24の開度Dが初期目標開度TDinに近いときに
は、ルーチンはステップ57に進んで、初期目標開弁速
度TVinが最大開弁速度TVmaxに設定される。す
なわち、パージ制御弁24の開度Dが初期目標開度TD
inに近くなっていれば、パージ制御弁24を最大開弁
速度でもって開弁させたとしても、パージHC量上昇率
が許容上昇率を超えることは少ないと考えることができ
るので、図7および図8のフローチャートでは、この場
合に、初期目標開弁速度は最大開弁速度に設定される。
【0083】次いで、ステップ55において、パージ制
御弁24の開度Dが初期目標開度TDinとなっている
か(D=TDin)か否かが判別される。ステップ55
において、D=TDinであると判別されたときには、
ルーチンはステップ56に進んで、初期学習完了フラグ
Finがセットされる。この場合には、図3のステップ
18において、Fin=1であると判別されるので、こ
れ以降は、ステップ13,14が実行される。一方、ス
テップ55において、D≠TDinであると判別された
ときには、ルーチンは終了する。この場合には、図3の
ステップ18において、Fin=0であると判別される
ので、図3のステップ19、すなわち、図7および図8
のルーチンが再び実行される。
【0084】ところで、ステップ51において、Ga≦
Gathであると判別されたときには、ルーチンはステ
ップ58に進んで、初期目標開度TDinが実験等によ
って予め求められている第2設定値TDin2に設定さ
れる。すなわち、吸気負圧が大きいか、或いは、吸気量
が少ないときには、パージ制御弁24の目標開度が大き
いと、吸気中のHC濃度が許容濃度よりも大きくなって
しまう可能性があるので、図7および図8のフローチャ
ートでは、この場合には、初期目標開度は、上述した第
1設定値TDin1よりも小さい値(すなわち、第2設
定値TDin2)とされる。
【0085】次いで、ステップ59において、現在のパ
ージ制御弁24の開度Dとステップ58で設定された初
期目標開度TDinとのずれ(TDin−D)が、予め
定められた値W2よりも大きい(TDin−D>W2)
か否かが判別される。すなわち、ステップ58では、ス
テップ53と同様に、パージ制御弁24の開度Dが既に
初期目標開度TDinに非常に近くなっているか否かが
判別される。ステップ58において、TDin−D>W
2であると判別されたとき、すなわち、パージ制御弁2
4の開度Dが初期目標開度TDinから離れているとき
には、ルーチンはステップ60に進んで、初期目標開弁
速度TVinが実験等によって予め求められている第2
設定値TVin2に設定される。ここで、第2設定値T
Vin2は、上述した第1設定値TVin1よりも小さ
い値とされている。
【0086】一方、ステップ59において、TDin−
D≦W2であると判別されたとき、すなわち、パージ制
御弁24の開度Dが初期目標開度TDinに近いときに
は、ルーチンはステップ61に進んで、ステップ57と
同様に、初期目標開弁速度TVinが最大開弁速度TV
maxに設定される。
【0087】なお、上述した予め定められた値W1,W
2は異なる値でもよいし、等しい値でもよい。
【0088】最後に、上述した第9実施形態のフローチ
ャートに従ったパージ制御弁24の制御の一例を図9を
参照して説明する。図9において、(A)はパージ条件
が成立しているか否かを表す信号を示し、(B)はパー
ジ制御弁24の開度を示し、(C)はキャニスタ23に
捕集された状態にあるベーパの量(捕集ベーパ量)を示
し、(D)は吸気中のHC濃度を示し、(E)は吸気中
のHC濃度の上昇率を示し、(F)は時刻を示してい
る。
【0089】第9実施形態において、パージ条件が不成
立となったとき(図9に示した例では、時刻t0)に
は、パージ制御弁24の開度が零とされ、パージがいっ
たん停止される。そして、パージ条件が成立したとき
(図9に示した例では、時刻t1)に、パージが再開さ
れる。ここで、パージ停止期間(図9に示した例では、
時刻t0から時刻t1までの期間)が比較的短いときに
は、図3のステップ13,14に従って、目標開度およ
び目標開弁速度が設定される。ここで、目標開度および
目標開弁速度を設定するときに利用されるキャニスタ状
態学習値は、ECU30に現在記憶されている学習値、
すなわち、時刻t0においてパージが停止されたときに
更新された学習値、或いは、更新されずにそのまま維持
された学習値である。
【0090】斯くして目標開度および目標開弁速度が設
定されると、パージ制御弁24がこの目標開弁速度でも
って開弁され始め、パージ制御弁24の開度が目標開度
になるまでの間(図9に示した例では、時刻t1から時
刻t2までの間)は、パージ制御弁24はこの目標開弁
速度でもって開弁され続ける。すると、図9(C)に示
したように、捕集ベーパ量は徐々に少なくなり、図9
(D)に示したように、吸気中のHC濃度は徐々に大き
くなる。そして、図9(E)に示したように、時刻t1
から時刻t2までの間における吸気中のHC濃度の上昇
率は、許容上昇率よりも小さい値となっている。
【0091】なお、パージ制御弁24が目標開度に向か
って開弁せしめられている間、キャニスタ状態学習値の
学習が継続的に行われ、新たに学習されたキャニスタ状
態学習値を利用して、パージ制御弁24の目標開度と目
標開弁速度とが設定される。もちろん、パージ制御弁2
4の開度が目標開度となってから以降(図9に示した例
では、時刻t2以降)においても、キャニスタ状態学習
値の学習が継続的に行われ、新たに学習されたキャニス
タ状態学習値を利用して、パージ制御弁24の目標開度
と目標開弁速度とが設定される。
【0092】パージ制御弁24の開度が目標開度となっ
てから以降(図9に示した例では、時刻t2以降)にお
いては、パージ制御弁24の開度は目標開度に維持され
るが、時刻t2以降においても、キャニスタ状態学習値
の学習が継続的に行われ、新たに学習されるキャニスタ
状態学習値は減少しつつある捕集ベーパ量を反映し、そ
して、目標開度はこのキャニスタ状態学習値を利用して
吸気中のHC濃度が許容濃度となるように設定されるの
で、時刻t2以降において、パージ制御弁24の開度を
目標開度に維持すると、パージ制御弁24の開度は徐々
に大きくなる。したがって、図9(D)に示したよう
に、パージ制御弁24の開度が大きくされている間(図
9に示した例では、時刻t2から時刻t6の間)は、吸
気中のHC濃度は許容濃度に維持される。
【0093】このように捕集ベーパ量が減少し続ける
と、パージ制御弁24の開度は継続的に大きくされるの
で、やがて、パージ制御弁24の開度は最大開度に達す
る。図9に示した例では、時刻t6において、パージ制
御弁24の開度が最大開度Dmaxに達する。そして、
これ以降は、パージ制御弁24の開度を大きくすること
ができないので、図9(D)に示したように、吸気中の
HC濃度が徐々に小さくなる。なお、図9(E)に示し
たように、時刻t6以降の吸気中のHC濃度の上昇率は
マイナスの上昇率となる。
【0094】一方、パージ停止期間(時刻t0から時刻
t1までの期間)が比較的長いときには、図3のステッ
プ19に従って、目標開度および目標開弁速度が設定さ
れる。ここで、目標開度および目標開弁速度を設定する
ときにはキャニスタ状態学習値は利用されず、目標開度
および目標開弁速度は予め定められた設定値に設定され
る。そして、吸気中のHC濃度が目標濃度に達するまで
の間(時刻t1から時刻t2までの間)は、キャニスタ
状態学習値を学習せず、パージ制御弁24は、予め定め
られた設定値に設定された目標開弁速度でもって、予め
定められた設定値に設定された目標開度に向かって開弁
せしめられる。
【0095】そして、パージ制御弁24の開度が目標開
度に達したとき(図9に示した例では、時刻t2)に、
キャニスタ状態学習値が学習され、これ以降は、パージ
停止期間が比較的短い場合と同様にして、パージ制御弁
24の作動が制御される。
【0096】なお、上述した実施形態では、機関運転状
態(例えば、要求負荷と機関回転数)毎に予め定められ
た燃料噴射量を空燃比センサによって検出される空燃比
と、HC濃度センサによって検出される吸気中のHC濃
度とに基づいて補正することによって空燃比が所望の空
燃比となるように燃料噴射量が決定される。もちろん、
ここで、吸気中のHC濃度をHC濃度センサによって検
出するのではなく、パージ制御弁24の開度とキャニス
タ状態学習値とから推定するようにしてもよい。
【0097】
【発明の効果】1番目、4番目、および、5番目の発明
では、パージ制御弁の目標開度を設定するときに、直前
のパージ制御弁の作動後に学習されたキャニスタ状態学
習値が利用され、キャニスタ状態学習値を改めて学習す
るという処理が省略されているので、より迅速に、パー
ジ制御弁の目標開度が設定される。したがって、これら
発明によれば、より確実に、吸気中の蒸発燃料濃度がそ
の許容濃度に維持され、結果として、内燃機関が所望通
りに運転せしめられることとなる。
【0098】2番目〜5番目の発明では、パージ制御弁
の目標開弁速度を設定するときに、キャニスタ状態学習
値が利用される。吸気中の蒸発燃料濃度の上昇率は、キ
ャニスタに捕集されている蒸発燃料の量によって変わっ
てくる。したがって、これら発明によれば、より正確
に、吸気中の蒸発燃料濃度の上昇率を許容される上昇率
とすることができるパージ制御弁の目標開弁速度が設定
され、結果として、内燃機関が所望通りに運転せしめら
れることとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のパージ制御装置を備えた内燃機関を示
す図である。
【図2】第3実施形態を説明するためのタイムチャート
を示す図である。
【図3】第9実施形態に従ってパージ制御弁の作動を制
御するためのフローチャートを示す図である。
【図4】第9実施形態に従って目標バルブ開度を設定す
るためのフローチャートを示す図である。
【図5】第9実施形態に従って目標開弁速度を設定する
ためのフローチャートを示す図である。
【図6】第9実施形態に従ってキャニスタ状態学習値を
学習するためのフローチャートを示す図である。
【図7】第9実施形態に従って初期目標バルブ開度等を
設定するためのフローチャートの一部を示す図である。
【図8】第9実施形態に従って初期目標バルブ開度およ
び初期目標開弁速度を設定するためのフローチャートの
一部を示す図である。
【図9】第9実施形態を説明するためのタイムチャート
を示す図である。
【符号の説明】
1…機関本体 11…吸気通路 12…サージタンク 15…HC濃度センサ 16…スロットル弁 23…キャニスタ 24…パージ制御弁 26…燃料タンク
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 板倉 秀明 愛知県西尾市下羽角町岩谷14番地 株式会 社日本自動車部品総合研究所内 (72)発明者 加藤 直也 愛知県西尾市下羽角町岩谷14番地 株式会 社日本自動車部品総合研究所内 (72)発明者 松原 卓司 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 兵道 義彦 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 Fターム(参考) 3G044 BA08 DA02 EA17 EA26 EA35 FA00 FA04 FA05 FA10 FA27 FA28 FA39

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内燃機関の燃料タンクにて発生した蒸発
    燃料を一時的に捕集しておくためのキャニスタと、該キ
    ャニスタ内に捕集されている蒸発燃料を機関吸気通路に
    パージするために該キャニスタと機関吸気通路とを連結
    するパージ通路と、キャニスタから機関吸気通路内にパ
    ージされる蒸発燃料の量を制御するために該パージ通路
    に配置されたパージ制御弁とを具備し、該パージ制御弁
    が作動された後にキャニスタに捕集されている蒸発燃料
    の量を代表するキャニスタ状態学習値が学習されるよう
    になっている蒸発燃料処理装置において、直前のパージ
    制御弁の作動後に学習されたキャニスタ状態学習値に基
    づいてパージ制御弁の目標開度が設定されることを特徴
    とする内燃機関の蒸発燃料処理装置。
  2. 【請求項2】 内燃機関の燃料タンクにて発生した蒸発
    燃料を一時的に捕集しておくためのキャニスタと、該キ
    ャニスタ内に捕集されている蒸発燃料を機関吸気通路に
    パージするために該キャニスタと機関吸気通路とを連結
    するパージ通路と、キャニスタから機関吸気通路内にパ
    ージされる蒸発燃料の量を制御するために該パージ通路
    に配置されたパージ制御弁とを具備し、キャニスタに捕
    集されている蒸発燃料の量を代表するキャニスタ状態学
    習値が学習されるようになっている蒸発燃料処理装置に
    おいて、吸気中の蒸発燃料濃度の上昇率が許容される上
    昇率となるように上記キャニスタ状態学習値に基づいて
    パージ制御弁の目標開弁速度が設定されることを特徴と
    する内燃機関の蒸発燃料処理装置。
  3. 【請求項3】 パージ制御弁が作動された後にキャニス
    タ状態学習値が学習され、直前のパージ制御弁の作動後
    に学習されたキャニスタ状態学習値に基づいてパージ制
    御弁の目標開弁速度が設定されることを特徴とする請求
    項2に記載の内燃機関の蒸発燃料処理装置。
  4. 【請求項4】 前回のパージ処理が停止されてから今回
    のパージ処理が再開されるまでの期間が予め定められた
    期間よりも短いときには直前のパージ制御弁の作動後に
    学習されたキャニスタ状態学習値が利用され、一方、前
    回のパージ処理が停止されてから今回のパージ処理が再
    開されるまでの期間が上記予め定められた期間よりも長
    いときには改めて学習したキャニスタ状態学習値が利用
    されることを特徴とする請求項1または3に記載の内燃
    機関の蒸発燃料処理装置。
  5. 【請求項5】 前回のパージ処理が停止されてから今回
    のパージ処理が再開されるまでの期間が予め定められた
    期間よりも長いときにはキャニスタ状態学習値が改めて
    学習されるまでの間、パージ制御弁の目標開度が吸気中
    の蒸発燃料濃度がその許容濃度を確実に超えないように
    予め定められていた目標開度に設定され、或いは、パー
    ジ制御弁の目標開弁速度が吸気中の蒸発燃料濃度の上昇
    率がその許容上昇率を確実に超えないように予め定めら
    れていた目標開弁速度に設定されることを特徴とする請
    求項4に記載の内燃機関の蒸発燃料処理装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016130455A (ja) * 2015-01-13 2016-07-21 いすゞ自動車株式会社 内燃機関の故障防止システム、内燃機関及び内燃機関の故障防止方法
JP2020033918A (ja) * 2018-08-29 2020-03-05 株式会社デンソー 内燃機関システム

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016130455A (ja) * 2015-01-13 2016-07-21 いすゞ自動車株式会社 内燃機関の故障防止システム、内燃機関及び内燃機関の故障防止方法
JP2020033918A (ja) * 2018-08-29 2020-03-05 株式会社デンソー 内燃機関システム
JP7176301B2 (ja) 2018-08-29 2022-11-22 株式会社デンソー 内燃機関システム

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