JP2003320029A - 誤刺し防止具並びに誤刺し防止具付き医療用具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 輸液、輸血、輸血用血液の採血、体外環
流、腹膜かん流等の中空針が接続具を介して導管に接続
された医療用具において、紛失の危険がなく、中空針の
突刺時にも邪魔にならず、中空針の留置時にも医療事故
発生の恐れを増加することなく、誤って手指を針先で刺
してしまうような事故を防止する。 【解決手段】 導管上を中空針側の端まで導管に沿って
移動可能に遊嵌するための導管ガイドと、導管上に解除
可能に係止するための係止手段と、接続具に固定するた
めの固定手段と、接続具との固定時に接続具の少なくと
も一部及び中空針を収納するための筺体とからなること
を特徴とする誤刺し防止具並びに誤刺し防止具付き医療
用具を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、医療用具または医
薬品の付属品（以降、医療用具という）に関するもので
あり、さらには、輸液、輸血、輸血用血液の採血、体外
循環、腹膜かん流等において、静脈等に留置して使用さ
れる導管付きの中空針を有する医療用具に関するもので
あり、さらには、使用後の中空針による誤刺し事故を防
止するための誤刺し防止具を具備する誤刺し防止具並び
に誤刺し防止具付き医療用具に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】輸液、輸血、輸血用血液の採血、体外環
流、腹膜かん流等のように比較的量の多い液体を体内に
注入、または、体内から取り出す際には、輸液セット、
輸血セット、血液バッグ、留置針等のように中空針が接
続具を介して導管に接続された導管付きの中空針を有す
る医療用具が用いられる。これらの医療用具の中空針
は、使用前には、針先が破損しないように、また、針先
により手指を傷つけないようにプロテクターと呼ばれる
保護具により針先が保護されている。

【０００３】該医療用具は、中空針のプロテクターを外
して使用されるが、使用後、針先による手指等の刺通事
故が起こらないようにプロテクターを再び中空針に針先
によりかぶせていた。ところが、プロテクターを持った
指先を中空針の針先から針元に向けて移動しながらプロ
テクターを中空針にかぶせることになるので、この時
に、誤ってプロテクターを持つ手指を針先で刺してしま
うような事故、すなわち、誤刺し事故が発生することが
あった。この一見取るに足らないように見える事故が、
医療の現場においては、エイズ、ウイルス性肝炎等の重
大なウイルス性疾患の感染の原因になることが知られて
いる。

【０００４】この問題を解決するには、中空針を患者か
ら抜き取った直後にその場で切り取って廃棄する廃棄装
置を準備するか、または、誤刺し防止具を準備すれば良
いことは明らかである。前者は、比較的大きな器具また
は機器になるので、医療従事者一人一人が注射するたび
に常に持ち歩くには不便であり、必ずしも、常に使用さ
れている状況にはなかった。通常、人為的なミスによる
事故は、その人が通常と異なる場に臨んだ場合に起こり
易いものなので、こういった作業は、常に、より安全で
簡単な作業を、同じ操作環境で常に提供することが望ま
しい。そのためには、導管付きの中空針を有する医療用
具に付属する部品として、全ての導管付きの中空針を有
する医療用具に誤刺し防止具が準備されているのが望ま
しいことは明らかである。

【０００５】ところが、誤刺し防止具においても次のよ
うな問題点があった。すなわち、誤刺し防止具が導管付
きの中空針を有する医療用具に組み付けられていない場
合、特に、輸液、輸血、輸血用血液の採血、体外環流、
腹膜かん流等のように比較的量の多い液体を体内に注
入、または、体内から取り出す際には、中空針を静脈ま
たは体腔に長時間留置することになるので、置き場所が
分からなくなったり、紛失したりする危険があった。ま
た、誤刺し防止具が導管付きの中空針を有する医療用具
の中空針近傍に組み付けられている場合、突刺時に中空
針の近傍に突刺行為に必要のないものがあると、それが
邪魔になってミスまたは事故が発生しかねないし、中空
針の近傍は、体の近くであったり、布団が掛けられるよ
うな場所なので、ただでさえ、導管が腕に絡んだり、折
れ曲がったり、留置されている中空針が抜ける恐れがあ
るのに、留置に必要がない誤刺し防止具があれば、さら
にその危険を増してしまうものである。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、輸
液、輸血、輸血用血液の採血、体外環流、腹膜かん流等
のように比較的量の多い液体を体内に注入、または、体
内から取り出す際に使用する中空針が接続具を介して導
管に接続された導管付きの中空針を有する医療用具にお
いて、置き場所が分からなくなったり、紛失したりする
危険がなく、中空針の突刺時にも邪魔にならず、中空針
を留置している間の、導管が絡んだり、折れ曲がった
り、留置されている中空針が抜ける恐れを増加すること
なく、より安全で簡単な作業を、同じ操作環境で提供す
る誤刺し防止具、すなわち、誤ってプロテクターを持つ
手指を針先で刺してしまうような事故を防止する誤刺し
防止具並びにこれを具備する誤刺し防止具付き医療用具
を提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は、導管と、導管
の一方の端に接続具を介して配され、体内に注入または
体外から排出するための中空針と、他方の端に直接また
は間接的に配され、体内に注入するための液体が充填さ
れた容器または体内から取り出した液体を貯留するため
の容器、または、それらの容器と連結するための連結具
とからなる医療用具において、導管上を中空針側の端ま
で導管に沿って移動可能に遊嵌するための導管ガイド
と、導管上に解除可能に係止するための係止手段と、接
続具に固定するための固定手段と、接続具との固定時に
接続具の少なくとも一部及び中空針を収納するための筺
体とからなることを特徴とする誤刺し防止具並びに誤刺
し防止具付き医療用具を提供することにより、上記目的
を達成したものである。

【０００８】すなわち、本発明は、誤刺し防止具の置き
場所が分からなくなったり、誤刺し防止具を紛失したり
する危険がなく、中空針の突刺時にも誤刺し防止具が邪
魔にならず、中空針を留置している間の、導管が絡んだ
り、折れ曲がったり、留置されている中空針が抜ける恐
れを誤刺し防止具が増加することがないように、中空針
の突刺時及び中空針を留置している間は、導管上の体か
ら離れた、邪魔にならない位置に誤刺し防止具を係止し
ておき、中空針の抜き取り時に、誤刺し防止具を導管に
沿って中空針の先端まで簡単にまた確実に移動して、接
続部に固定することによって、誤刺し防止具の筐体内に
使用済みの中空針を完全に収納して、誤刺し事故を防止
する誤刺し防止具並びに誤刺し防止具を具備する誤刺し
防止具付き医療用具を提供することにより、上記目的を
達成したものである。なお、本発明は、誤刺し防止のた
めに、構造が簡単で、安価な方法を提供できるので、各
種の導管付きの中空針を有する医療用具において採用で
き、そのため、異なる導管付きの中空針を有する医療用
具においても同じ操作環境提供でき、誤操作を減少させ
ることも期待できる。

【０００９】本発明に係る請求項２記載の誤刺し防止具
並びに誤刺し防止具付き医療用具は、請求項１記載の誤
刺し防止具並びに誤刺し防止具付き医療用具において、
固定手段の構成の一部または全部と係止手段の構成の一
部または全部が同一であることを特徴とする。すなわ
ち、請求項１記載の誤刺し防止具並びに誤刺し防止具付
き医療用具において、係止手段の構成を固定手段の構成
として兼用することにより、例えば、係止手段の係止部
または係止ハンドルを、接続具との固定手段またはその
一部として兼用することにより、誤刺し防止具の構成部
分が少なくなり、ひいては、構造が簡単になり、安価に
提供できる。なお、さらに、導管ガイドを、係止手段の
構成で兼用したり、筐体の構成で兼用にすることによっ
ても、さらなる効率化が図れる。

【００１０】本発明に係る請求項３記載の誤刺し防止具
並びに誤刺し防止具付き医療用具は、請求項１または２
記載の誤刺し防止具並びに誤刺し防止具付き医療用具に
おいて、筐体及び筐体の開口部の内側寸法が中空針のプ
ロテクターより大きいことを特徴とする。すなわち、請
求項１または２記載の誤刺し防止具並びに誤刺し防止具
付き医療用具において、中空針にプロテクターをかぶせ
ることによって、安全性をさらに確実にしようとするも
のである。すなわち、誤刺し事故もさらに発生しにくく
するとともに、針先に付着した体液が飛散することによ
って発生する別の事故の発生も防止しようとするもので
ある。そのために、筐体及び筐体の開口部の内側寸法は
プロテクターより大きくて、プロテクターをかぶせやす
い構造である必要がある。また、プロテクターは、もと
もと使用前に中空針を保護していたものを使用しても、
別途用意されたものを使用しても良い。

【００１１】このような形態であれば、針先を保護して
いたプロテクターを筐体または筐体の開口部をガイドに
して中空針に安全に且つ容易にかぶせることができる。
なお、プロテクターも、中空針を留置している間に置き
場所が分からなくなったり、紛失したりする危険がある
ので、これを係止するための構造を誤刺し防止具に設け
ることが好ましい。ここでいうプロテクターとは、一般
に、使い捨ての中空針に、針先を保護し、または、針先
により医療従事者等がけがをしないように、中空針にか
ぶせられるプラスチック、または、ゴム製の部品をい
う。

【００１２】本発明に係る請求項４記載の誤刺し防止具
並びに誤刺し防止具付き医療用具は、請求項１または２
記載の誤刺し防止具並びに誤刺し防止具付き医療用具に
おいて、筐体の開口部を密封する蓋体が、誤刺し防止具
に係止され、または、筐体の開口部近傍にヒンジ機構を
介して筐体と一体化して、設けられていることを特徴と
するすなわち、請求項１または２記載の誤刺し防止具並
びに誤刺し防止具付き医療用具において、中空針を筐体
に収納後、筐体の開口部を蓋体で密封することによっ
て、安全性をさらに確実にしようとするものである。す
なわち、誤刺し事故をさらに発生しにくくするととも
に、針先に付着した体液が飛散することによって発生す
る別の事故の発生も防止しようとするものである。ま
た、筐体の開口部を密封する蓋体は、中空針を留置して
いる間に置き場所が分からなくなったり、紛失したりす
る危険があるので、誤刺し防止具の何れかの場所に係止
されているか、または、筐体の開口部近傍にヒンジ機構
を介して筐体と一体化されていることが望ましい。この
ような形態であれば、中空針が収納された筐体を安全に
且つ容易にかぶせることができる。

【００１３】本発明に係る請求項５記載の誤刺し防止具
並びに誤刺し防止具付き医療用具は、請求項１ないし４
記載の誤刺し防止具並びに誤刺し防止具付き医療用具に
おいて、係止手段が、係止ハンドルと、係止ハンドルに
力を加えると容易に変形する弾性体と、係止部からな
り、係止ハンドルに力を加えると、弾性体が変形して係
止部が導管から離れ、係止ハンドルに加える力を除去す
ると弾性体が復元して係止部が導管を締め付けることを
特徴とする。

【００１４】本発明に係る請求項６記載の誤刺し防止具
並びに誤刺し防止具付き医療用具は、請求項５記載の誤
刺し防止具並びに誤刺し防止具付き医療用具において、
係止手段が、扁平な断面を有する筒状の弾性体と、筒状
の弾性体の長軸側外周に設けられた一対の係止ハンドル
と、筒状の弾性体に設けられた係止部からなり、係止ハ
ンドルに長軸を短くする方向の力を加えて筒状の弾性体
の扁平状態を解消することによって係止部が導管から離
れ、係止ハンドルに加える力を除去して扁平状態に戻す
ことによって、係止部が導管を締め付けることを特徴と
する。

【００１５】本発明に係る請求項７記載の誤刺し防止具
並びに誤刺し防止具付き医療用具は、請求項６記載の誤
刺し防止具並びに誤刺し防止具付き医療用具において、
扁平な断面を有する筒状の弾性体に別途設けられた係止
部が、接続具に設けられた突起または溝に係合して誤刺
し防止具を接続具に固定可能ならしめるとともに、係止
部が導管から離れた筒状の弾性体が、誤刺し防止具を導
管に沿って移動可能に遊嵌ならしめることを特徴とす
る。

【００１６】本発明に係る請求項８記載の誤刺し防止具
並びに誤刺し防止具付き医療用具は、請求項５記載の誤
刺し防止具並びに誤刺し防止具付き医療用具において、
係止手段が、筒状の弾性体と、その内側に突出して設け
られたリブ状の係止部と、係止部の中心から時計回り及
び反時計回りにそれぞれ９０°ずれた筒状の弾性体の外
周に設けられた一対の係止ハンドルからなり、係止ハン
ドルに係止ハンドル間の距離を短くする方向に力を加え
て筒状の弾性体を扁平にすることによって係止部が導管
から離れ、係止ハンドルに加える力を除去して元に戻す
ことによって、係止部が導管を締め付けることを特徴と
する。

【００１７】本発明に係る請求項９記載の誤刺し防止具
並びに誤刺し防止具付き医療用具は、請求項８記載の誤
刺し防止具並びに誤刺し防止具付き医療用具において、
筒状の弾性体の内側に突出した係止部が、接続具に設け
られた突起または溝に係合して誤刺し防止具を接続具に
固定可能ならしめるとともに、係止部が導管から離れた
筒状の弾性体が、誤刺し防止具を導管に沿って移動可能
に遊嵌ならしめることを特徴とする。

【００１８】ここで、上記で使用した語句の意味につい
て確認のため説明する。導管とは、基本的には、医療用
具にける点滴チューブ、採血チューブ、連結チューブ等
と呼ばれるもののチューブ部分を意味するもので、一般
に、軟質の塩化ビニル樹脂、軟質のオレフィン樹脂等に
より形成される。また、接続具とは、中空針と導管の間
にある部品を意味するものであって、必ずしも、１部品
とは限らず、複数の部品から構成される場合もある。一
般に、ハブ、コネクター等と呼ばれ、硬質の塩化ビニル
樹脂、ポリプロピレン樹脂、ＡＢＳ樹脂等の硬質の樹脂
により形成される。

【００１９】また、係止とは、将来移動することを前提
に留め置くことを意味する場合に使用した。また、上記
でいう固定とは、将来、外したり、移動することを前提
としないでその場所に留めることを意味する場合に使用
した。なお、誤刺し防止具は、通常、安価で、軽く、製
造し易いので、硬質の塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン
樹脂、ＡＢＳ樹脂等の硬質の樹脂を使用されるが、一部
または全部を金属で形成しても良い。特に、蓋体等を金
属で形成すれば、針が蓋体を貫く危険が減少し、より安
全な誤刺し防止具が完成する。

【００２０】

【実施例】本発明の実施の形態を実施例に基づき図面を
参照しながら説明する。 実施例１ 図１及び図２に示すが如く、本実施例の誤刺し防止具２
並びに誤刺し防止具付き医療用具１は、導管３と、導管
３の一方の端に接続具４を介して配され、体内に注入ま
たは体外から排出するための中空針５と、他方の端に点
滴筒２１を介して配され、体内に注入するための液体が
充填された容器６と連結するための連結具７とからなる
医療用具において、導管３上を中空針５側の端まで導管
３に沿って移動可能に遊嵌するための導管ガイド８と、
導管上に解除可能に係止するための係止手段９と、接続
具４に固定するための固定手段と、接続具４との固定時
に接続具４の少なくとも一部及び中空針５を収納するた
めの筺体１０とを基本的な構成として実施される。本実
施例は、輸液の場合であり、通常、導管３は点滴チュー
ブ、接続具４はコネクター及びハブ、中空針５は静脈
針、容器６は輸液バッグ、連結具７は瓶針と呼ばれるも
のである。

【００２１】また、図２ないし図５に示すが如く、本実
施例の誤刺し防止具２は、係止手段９が、扁平な断面を
有する筒状の弾性体１１と、筒状の弾性体の長軸側外周
に設けられた一対の係止ハンドル１２と、筒状の弾性体
１１の内側に突出して設けられたリブ状の係止部１３か
らなり、係止ハンドル１２に長軸を短くする方向、すな
わち、筒状の弾性体１１の扁平状態を解消する方向の力
を加えることによって係止部１３が導管３から離れ、筒
状の弾性体１１の導管３への係止状態が解除される。そ
して、誤刺し防止具２は、扁平状態が解消する方向に変
形した筒状の弾性体１１により導管３上を接続具４及び
中空針５まで案内されることになる。すなわち、筒状の
弾性体１１が、導管上を中空針側の端まで導管に沿って
移動可能に遊嵌するための導管ガイド８として機能す
る。

【００２２】逆に、係止ハンドル１２に加える力を除去
して、筒状の弾性体１１を扁平状態に戻すことによっ
て、係止部１３が導管を締め付け、その結果として、誤
刺し防止具２は、再び、導管３に係止される。本実施例
では、図２に示すが如く、本発明の誤刺し防止具２を、
点滴量を調整するクレンメ１４のすぐ下あたりに係止し
ておけば、誤刺し防止具２の置き場所が分からなくなっ
たり、誤刺し防止具２を紛失したりする危険がなく、中
空針５の突刺時にも誤刺し防止具２が邪魔にならず、中
空針５を留置している間の、導管３が絡んだり、折れ曲
がったり、留置されている中空針５が抜ける恐れが増加
することもない。

【００２３】ここで、筒状の弾性体の長軸とは、筒状の
弾性体の扁平な断面を楕円と見なした時の長軸を意味す
る。但し、扁平な断面は必ずしも真の楕円とは限らな
い。例えば、正多角形を潰したものも、ここでは扁平な
断面としている。また、本実施例の誤刺し防止具２は、
接続具４及び中空針５まで案内された後に、図６または
図７に示すが如く、扁平な断面を有する筒状の弾性体１
１に突出して設けられたリブ状の係止部１３が、接続具
４に設けられた溝１５に係合して誤刺し防止具２を接続
具４に固定することができ、同時に、筐体１０内に中空
針５を完全に収納することができる。すなわち、点滴作
業が終了し、患者の体から中空針を抜き取った後で、こ
れを行えば、使用済みの中空針５を、簡単に、安全に、
迅速に、誤刺し防止具２の筐体１０内に収納できるの
で、誤刺し事故を防止できることは言うまでもない。な
お、本実施例においては、係止部１３は、係止手段の構
成であるとともに固定手段の構成でもあるので、本発明
の誤刺し防止具２は構造が簡単になり、安価に提供でき
る。なお、本実施例では、係止部１３は、筒状の弾性体
１１にリブ状に突出させて別途設けたものとしたが、筒
状の弾性体１１の端面等、筒状の弾性体１１の一部を係
止部１３として兼用することもできる。

【００２４】また、図８に示すが如く、本実施例の誤刺
し防止具２は、筐体１０及び筐体の開口部１６の内側寸
法が中空針５のプロテクター１７より大きいので、中空
針５にプロテクター１７をかぶせることが可能で、これ
により、さらに、誤刺し事故を発生しにくくするととも
に、針先に付着した体液が飛散することによって発生す
る別の事故の発生も防止することができる。プロテクタ
ー１７は、もともと使用前に中空針５を保護していたも
のを使用しても、別途用意したものを使用しても良い。
しかしながら、プロテクター１７も、中空針５を留置し
ている間に置き場所が分からなくなったり、紛失したり
する危険があるので、何れの場合にも、図１に示すが如
く、これを係止するためにプロテクター係止リブ１８を
誤刺し防止具２に設けることが好ましい。

【００２５】実施例２ 本実施例の誤刺し防止具２は、実施例１で中空針５をプ
ロテクター１７で密封した代わりに、筐体の開口部１６
を蓋体で密封しようとするものである。すなわち、図９
及び図１０に示すが如く、本実施例の誤刺し防止具２
は、筐体の開口部１６を密封する蓋体１９が、筐体の開
口部１６近傍にヒンジ機構２０を介して筐体１０と一体
化して、設けられているので、中空針を筐体に収納後、
筐体の開口部を蓋体で密封することによって、誤刺し事
故をさらに発生しにくくするとともに、針先に付着した
体液が飛散することによって発生する別の事故の発生も
防止することができる。また、筐体の開口部を密封する
蓋体は、中空針を留置している間に置き場所が分からな
くなったり、紛失したりする危険があるので、筐体の開
口部近傍にヒンジ機構を介して筐体と一体化されている
ので、その心配もない。

【００２６】実施例３ 本実施例の誤刺し防止具２は、実施例１で筒状の弾性体
１１が扁平な断面を有したのに対して、筒状の弾性体１
１が扁平でない断面を有する場合の実施例である。すな
わち、図１１及び図１２に示すが如く、本発明の別の実
施例の誤刺し防止具２は、筒状の弾性体１１と、その内
側に突出して設けられたリブ状の係止部１３と、係止部
１３の中心から時計回り及び反時計回りにそれぞれ９０
°ずれた筒状の弾性体１１の外周に設けられた一対の係
止ハンドル１２からなり、係止ハンドル１２に係止ハン
ドル１２間の距離を短くする方向に力を加えて筒状の弾
性体１１を扁平にすることによって係止部１３が導管か
ら離れ、筒状の弾性体１１の導管３への係止状態が解除
される。逆に、係止ハンドル１２に加える力を除去し
て、筒状の弾性体１１を元に戻すことによって、係止部
１３が導管を締め付け、その結果として、誤刺し防止具
２は、再び、導管３に係止される。

【００２７】

【発明の効果】以上のとおり本発明によれば、輸液、輸
血、輸血用血液の採血、体外環流、腹膜かん流等のよう
に比較的量の多い液体を体内に注入、または、体内から
取り出す際に使用する中空針が接続具を介して導管に接
続された導管付きの中空針を有する医療用具において、
置き場所が分からなくなったり、紛失したりする危険が
なく、中空針の突刺時にも邪魔にならず、中空針を留置
している間の、導管が絡んだり、折れ曲がったり、留置
されている中空針が抜ける恐れを増加することなく、よ
り安全で簡単な作業を、同じ操作環境で常に提供する誤
刺し防止具、すなわち、誤ってプロテクターを持つ手指
を針先で刺してしまうような事故を防止する誤刺し防止
具並びにこれを具備する誤刺し防止具付き医療用具を提
供することが、容易に達成できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る誤刺し防止具の実施例１の斜視図
である。

【図２】本発明に係る誤刺し防止具付き医療用具の実施
例１の模式図である。

【図３】実施例１の誤刺し防止具２が導管３に係止され
ている状態の断面図である。

【図４】図３に示した実施例１の誤刺し防止具２の矢視
図Ａである。

【図５】図３に示した実施例１の誤刺し防止具２のＢ−
Ｂ’断面図である。

【図６】実施例１の誤刺し防止具２が接続具４に固定さ
れている状態の断面図である。

【図７】図６に示した実施例１の誤刺し防止具２のＣ−
Ｃ’断面図である。

【図８】実施例１の誤刺し防止具２が接続具４に固定さ
れ、さらに、中空針５にプロテクター１７をかぶせた状
態の断面図である。

【図９】実施例２の誤刺し防止具２が接続具４に固定さ
れている状態の断面図である。

【図１０】図９に示した実施例２の誤刺し防止具２の筐
体の開口部１６が蓋体１９密封されている状態の断面図
である。

【図１１】実施例３の誤刺し防止具２が接続具４に固定
されている状態の断面図である。

【図１２】図１１に示した実施例３の誤刺し防止具２の
矢視図Ｄである。

【符号の説明】

１ 誤刺し防止付き医療用具 ２ 誤刺し防止具 ３ 導管 ４ 接続具 ５ 中空針 ６ 液体が充填された容器 ７ 連結具 ８ 導管ガイド ９ 係止手段 １０ 筐体 １１ 筒状の弾性体 １２ 係止ハンドル １３ 係止部 １４ クレンメ １５ 溝 １６ 筐体の開口部 １７ プロテクター １８ プロテクター係止リブ １９ 蓋体 ２０ ヒンジ機構 ２１ 点滴筒

Claims (9)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 導管と、導管の一方の端に接続具を介し
   て配され、体内に注入または体外から排出するための中
   空針と、他方の端に直接または間接的に配され、体内に
   注入するための液体が充填された容器または体内から取
   り出した液体を貯留するための容器、または、それらの
   容器と連結するための連結具とからなる医療用具におい
   て、 導管上を中空針側の端まで導管に沿って移動可能に遊嵌
   するための導管ガイドと、導管上に解除可能に係止する
   ための係止手段と、接続具に固定するための固定手段
   と、接続具との固定時に接続具の少なくとも一部及び中
   空針を収納するための筺体とからなることを特徴とする
   誤刺し防止具並びに誤刺し防止具付き医療用具。
2. 【請求項２】 固定手段の構成の一部または全部と係止
   手段の構成の一部または全部とが同一であることを特徴
   とする請求項１に記載の誤刺し防止具並びに誤刺し防止
   具付き医療用具。
3. 【請求項３】 筐体及び筐体の開口部の内側寸法が中空
   針のプロテクターより大きいことを特徴とする請求項１
   または２の何れかに記載の誤刺し防止具並びに誤刺し防
   止具付き医療用具。
4. 【請求項４】 筐体の開口部を密封する蓋体が、誤刺し
   防止具に係止され、または、筐体の開口部近傍にヒンジ
   機構を介して筐体と一体化して、設けられていることを
   特徴とする請求項１または２の何れかに記載の誤刺し防
   止具並びに誤刺し防止具付き医療用具。
5. 【請求項５】 係止手段が、係止ハンドルと、係止ハン
   ドルに力を加えると容易に変形する弾性体と、係止部か
   らなり、係止ハンドルに力を加えると、弾性体が変形し
   て係止部が導管から離れ、係止ハンドルに加える力を除
   去すると弾性体が復元して係止部が導管を締め付けるこ
   とを特徴とする請求項１ないし４の何れかに記載の誤刺
   し防止具並びに誤刺し防止具付き医療用具。
6. 【請求項６】 係止手段が、扁平な断面を有する筒状の
   弾性体と、筒状の弾性体の長軸側外周に設けられた一対
   の係止ハンドルと、筒状の弾性体の一部に設けられた係
   止部からなり、係止ハンドルに長軸を短くする方向の力
   を加えて筒状の弾性体の扁平状態を解消することによっ
   て係止部が導管から離れ、係止ハンドルに加える力を除
   去して扁平状態に戻すことによって、係止部が導管を締
   め付けることを特徴とする請求項５に記載の誤刺し防止
   具並びに誤刺し防止具付き医療用具。
7. 【請求項７】 扁平な断面を有する筒状の弾性体の一部
   に設けられた係止部が、接続具に設けられた突起または
   溝に係合して誤刺し防止具を接続具に固定可能ならしめ
   るとともに、係止部が導管から離れた筒状の弾性体が、
   誤刺し防止具を導管に沿って移動可能に遊嵌ならしめる
   ことを特徴とする請求項６に記載の誤刺し防止具並びに
   誤刺し防止具付き医療用具。
8. 【請求項８】 係止手段が、筒状の弾性体と、その内側
   に突出したリブと、リブの中心から時計回り及び反時計
   回りにそれぞれ９０°ずれた筒状の弾性体の外周に設け
   られた一対の係止ハンドルからなり、係止ハンドルに係
   止ハンドル間の距離を短くする方向に力を加えて筒状の
   弾性体を扁平にすることによってリブが導管から離れ、
   係止ハンドルに加える力を除去して元に戻すことによっ
   て、リブが導管を締め付けることを特徴とする請求項５
   に記載の誤刺し防止具並びに誤刺し防止具付き医療用
   具。
9. 【請求項９】 筒状の弾性体の内側に突出したリブが、
   接続具に設けられた突起または溝に係合して誤刺し防止
   具を接続具に固定可能ならしめるとともに、リブが導管
   から離れた筒状の弾性体が、誤刺し防止具を導管に沿っ
   て移動可能に遊嵌ならしめることを特徴とする請求項８
   に記載の誤刺し防止具並びに誤刺し防止具付き医療用
   具。