JP2003314399A - 燃料噴射弁 - Google Patents

燃料噴射弁

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JP2003314399A JP2002121030A JP2002121030A JP2003314399A JP 2003314399 A JP2003314399 A JP 2003314399A JP 2002121030 A JP2002121030 A JP 2002121030A JP 2002121030 A JP2002121030 A JP 2002121030A JP 2003314399 A JP2003314399 A JP 2003314399A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 コア筒内にばね受を圧入するときに発生する
削れ片が弁座部材等に付着するのを抑える。 【解決手段】 ばね受6の圧入部6Aのうち、長さ方向
の途中部位までの下流側部位6A1をコア筒5の縮径部
5D内に圧入し、圧入部6Aのうち上流側部位6A2を
コア筒5の拡径部5C内に突出させる構成とする。これ
により、コア筒5の縮径部5D内にばね受6を圧入する
ときに発生する削れ片Dを、圧入部6Aの下流側部位6
A1の外周面とコア筒5の縮径部5Dの内周面との間に
確実に封じ込めておくことができる。従って、削れ片D
が、燃料通路3内に供給された燃料に混入して弁座部材
7の弁座7B等に付着するのを防止することができ、弁
体9を確実に閉弁することができるので、燃料噴射量を
適正に制御することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば自動車用エ
ンジン等に燃料を噴射するのに好適に用いられる燃料噴
射弁に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、例えば自動車用エンジン等に用
いられる燃料噴射弁は、弁ケーシング内に設けられた燃
料通路を弁体によって開,閉することにより、燃料通路
に供給された燃料をエンジンに向けて噴射する構成とな
っている(例えば特開平10−122085号公報
等)。
【0003】ここで、この種の従来技術による燃料噴射
弁は、通常、磁性材料により筒状に形成され内部が燃料
通路となった磁性筒体と、磁性材料によって筒状に形成
され該磁性筒体内に挿嵌して設けられたコア筒と、該コ
ア筒内に圧入して設けられた筒状のばね受と、コア筒よ
りも下流側に位置して磁性筒体内に設けられ燃料が流通
する弁座が形成された弁座部材と、コア筒と該弁座部材
との間に位置して磁性筒体内に変位可能に設けられ該弁
座部材の弁座に離着座する弁体と、該弁体を閉弁方向に
付勢するためばね受と弁体との間に設けられた弁ばね
と、磁性筒体の外周側に設けられた磁性材料からなるヨ
ークと、磁性筒体の外周側で該ヨークとの間に設けられ
た電磁コイルとにより構成されている。
【0004】そして、燃料噴射弁は、電磁コイルが通電
されたときに、コア筒、弁体およびヨークを通じて閉磁
路を形成することにより、弁ばねに抗して弁体を弁座部
材の弁座から離座させ、燃料通路に供給された燃料をエ
ンジンの吸気管等に向けて噴射するものである。
【0005】ここで、弁体を閉弁方向に付勢する弁ばね
は、コア筒内に圧入されたばね受と弁体との間に縮装さ
れ、コア筒に対するばね受の圧入量を変化させることに
より、弁ばねの付勢力(ばね力)を調整することができ
る構成となっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来技術に
よる燃料噴射弁においては、コア筒は、磁性金属材料を
用いて形成され、ばね受は、磁性金属材料よりも軟質な
りん青銅等を用いて形成されている。このため、燃料噴
射弁の組立時にコア筒内にばね受を圧入するときには、
ばね受の外周面がコア筒の内周面によって削られること
により、ばね受の外周面とコア筒の内周面との間に微小
な削れ片が発生する。
【0007】そして、この削れ片が、燃料通路内に供給
される燃料に混入し、コア筒等を通過して弁座部材の弁
座等に付着した場合には、弁体を確実に閉弁させること
ができなくなり、燃料噴射量の制御を適正に行うことが
できなくなるという問題がある。
【0008】本発明は上述した従来技術の問題に鑑みな
されたもので、コア筒内にばね受を圧入するときに発生
する削れ片が弁座部材等に付着するのを抑え、燃料噴射
量を適正に制御することができるようにした燃料噴射弁
を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
ため、請求項1に係る発明の特徴は、コア筒の内周側に
は、上流側に位置する拡径部と、下流側に位置し該拡径
部よりも縮径した縮径部とを設け、ばね受は、弾性材料
を用いて長さ方向の中間部位が大径な圧入部となった筒
状体として形成し、該ばね受は、圧入部をコア筒の縮径
部に長さ方向の途中部位まで圧入し当該圧入部の上流側
部位はコア筒の拡径部内に位置させる構成とし、ばね受
の圧入部をコア筒の縮径部に圧入したときに発生する削
れ片を、該圧入部の外周面とコア筒の縮径部の内周面と
の間に封じ込める構成としたことにある。
【0010】このように構成したことにより、ばね受の
圧入部をコア筒の縮径部内に圧入したときに、該ばね受
の圧入部の上流側部位はコア筒の縮径部から拡径部側に
突出するので、コア筒の縮径部のうち上流側の端部に、
ばね受の圧入部を確実に対面させることができる。この
ため、ばね受をコア筒の縮径部に圧入するときに削れ片
が発生したとしても、この削れ片を、ばね受の圧入部外
周面とコア筒の縮径部の内周面との間に封じ込めておく
ことができる。
【0011】これにより、燃料通路内に供給される燃料
に削れ片が混入するのを防止し、該削れ片が弁座部材等
に付着するのを抑えることができるので、燃料噴射量を
適正に制御することができる。
【0012】請求項2の発明は、ばね受の長さ方向の両
端側には、圧入部から徐々に縮径するテーパ部を設ける
構成としたことにある。
【0013】このように構成したことにより、ばね受の
圧入部をコア筒の縮径部内に圧入するのに先だって、ば
ね受のテーパ部がコア筒の縮径部に挿入されるので、こ
のテーパ部に沿って圧入部をコア筒の縮径部へと円滑に
案内することができる。
【0014】これにより、コア筒の縮径部にばね受の圧
入部を圧入するときの作業性を高めることができ、か
つ、ばね受の圧入時における削れ片の発生を抑えること
ができる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る燃料噴射弁の
実施の形態を、図1ないし図9を参照しつつ詳細に説明
する。
【0016】図中、1は燃料噴射弁の外殻をなす弁ケー
シングで、該弁ケーシング1は、後述の磁性筒体2、ヨ
ーク13、樹脂カバー16等を含んで構成されている。
【0017】2は弁ケーシング1の本体部分を構成する
段付き筒状の磁性筒体で、該磁性筒体2は、例えば磁性
を有するステンレス材料等の素材に深絞り加工等のプレ
ス加工手段を施すことにより、段付き形状をなす薄肉な
金属パイプとして形成されている。ここで、磁性筒体2
は、軸方向の一側部位が大径な大径部2Aとなり、軸方
向の中間部位が該大径部2Aよりも小径な中径部2Bと
なり、軸方向の他側部位が該中径部2Bよりも小径な小
径部2Cとなる段付円筒体として形成されている。
【0018】そして、大径部2Aの一端側には拡径した
フランジ部2Dが形成され、大径部2Aの内側には後述
の燃料フィルタ4が挿着され、大径部2Aの外側は後述
の樹脂カバーによって覆われている。また、中径部2B
の内側には後述するコア筒5の大径圧入部5Aが圧入さ
れ、中径部2Bの外側には後述する電磁コイル15のコ
イルボビン15Aが取付けられている。さらに、小径部
2Cの内側には後述するコア筒5の小径スリーブ部5B
が遊嵌状態で挿入されると共に、後述の弁体9が軸方向
に変位可能に収容され、小径部2Cの外側には後述のヨ
ーク13が圧入されている。
【0019】3は磁性筒体2内に設けられた燃料通路
で、該燃料通路3は、磁性筒体2の大径部2Aの一端側
が流入口となり、この流入口から後述する弁座部材7の
位置まで軸方向に延びている。
【0020】4は磁性筒体2の大径部2A内に圧入手段
により挿嵌された燃料フィルタで、該燃料フィルタ4
は、大径部2Aの一端側(燃料通路3の流入口側)に配
置され、燃料通路3に供給される燃料を濾過して清浄化
するものである。
【0021】5は磁性筒体2の内側に挿嵌して設けられ
たコア筒で、該コア筒5は、後述する弁体9のアンカ部
10、ヨーク13と共に電磁コイル15による閉磁路H
を形成すると共に、弁体9の開弁位置を規定するもので
ある。
【0022】ここで、コア筒5は、例えば電磁ステンレ
ス鋼等の磁性金属材料により段付き円筒状に形成され、
その外周側には、磁性筒体2の中径部2B内に圧入され
る大径圧入部5Aと、磁性筒体2の小径部2C内に遊嵌
される小径スリーブ部5Bとが設けられている。一方、
コア筒5の内周側には、燃料の流れ方向の上流側に位置
する拡径部5Cと、下流側に位置し該拡径部5Cよりも
縮径した縮径部5Dと、拡径部5Cと縮径部5Dとの間
に設けられた滑らかなテーパ状の案内部5Eとが形成さ
れている。
【0023】そして、コア筒5は、大径圧入部5Aを磁
性筒体2の中径部2B内に圧入することにより該磁性筒
体2に取付けられ、小径スリーブ部5Bの先端面は、弁
体9の吸着部10A端面に隙間Sをもって対面する構成
となっている。また、コア筒5の縮径部5Dには、後述
のばね受6が圧入される構成となっている。
【0024】6はコア筒5内に圧入して設けられたばね
受で、該ばね受6は、弁体9との間に設けられる後述の
弁ばね12が当接するものである。そして、ばね受6
は、例えばりん青銅等の弾性材料を用いて薄肉な円筒状
に形成され、図3及び図5等に示すように、長さ方向
(軸方向)の中間部に位置する円筒状の圧入部6Aと、
軸方向の両端側に位置し圧入部6Aから徐々に縮径する
テーパ部6B,6Bとを有している。また、ばね受6に
は長さ方向の全長に亘って直線状に延びるスリット6C
が設けられ、ばね受6は、スリット6Cを設けることに
よりC字状の断面形状を有し、径方向に弾性を有する構
成となっている。
【0025】ここで、ばね受6は、図5に示すように、
圧入部6Aの全長さ方向のうち燃料の流れ方向に対して
下流側から途中部位までの下流側部位6A1を、コア筒
5の縮径部5D内に圧入している。これにより、圧入部
6Aのうち燃料の流れ方向に対して上流側となる上流側
部位6A2は、コア筒5の拡径部5C内に突出して位置
する構成となっている。即ち、ばね受6は、圧入部6A
の長さ寸法をLとしたときに、この圧入部6Aのうち下
流側部位6A1を長さ寸法L1だけコア筒5の縮径部5
D内に圧入し、上流側部位6A2を長さ寸法L2だけコ
ア筒5の拡径部5C側に突出させた状態でコア筒5に固
定される構成となっている。
【0026】これにより、コア筒5内にばね受6の圧入
部6Aを圧入したときに、コア筒5の縮径部5Dのうち
上流側(ばね受6の入口側)の端部5D1が、ばね受6
の圧入部6Aと確実に対面する。このため、図6に示す
ように、ばね受6の圧入部6Aをコア筒5の縮径部5D
内に圧入したときに、該圧入部6Aの外周面が削られて
微小な削れ片D,D,…が発生したとしても、これら削
れ片Dを、ばね受6の圧入部6A(下流側部位6A1)
の外周面とコア筒5の縮径部5Dの内周面との間に封じ
込めておくことができる構成となっている。
【0027】一方、ばね受6の長さ方向両側に、圧入部
6Aから徐々に縮径するテーパ部6Bを設けることによ
り、コア筒5内にばね受6の圧入部6Aを圧入するとき
に、該圧入部6Aに先だってテーパ部6Bがコア筒5の
縮径部5Dに挿入されるので、このテーパ部6Bに沿っ
て圧入部6Aを徐々にコア筒5の縮径部5Dへと案内す
ることができる。これにより、コア筒5(縮径部5D)
に対するばね受6の圧入作業を円滑に行うことができ、
かつ、削れ片Dの発生を少なくすることができる構成と
なっている。
【0028】7はコア筒5の下流側に位置して磁性筒体
2の小径部2C内に設けられた筒状の弁座部材で、該弁
座部材7は、図2に示すように、燃料通路3内の燃料を
外部に噴射する噴射口7Aと、該噴射口7Aを取囲んで
形成されたロート状の弁座7Bとを有している。そし
て、弁座部材7は、磁性筒体2の小径部2C内に圧入さ
れ、その外周側は小径部2Cに全周に亘って溶接されて
いる。また、弁座部材7の先端面には、複数のノズル孔
8Aが穿設されたノズルプレート8が、噴射口7Aを覆
う位置に溶接手段を用いて固着されている。
【0029】9はコア筒5と弁座部材7との間に位置し
て磁性筒体2の小径部2C内に軸方向に変位可能に収容
された弁体で、該弁体9は、例えば磁性金属材料により
軸方向に延びる段付筒状に形成されたアンカ部10と、
該アンカ部10の先端部に固着され、弁座部材7の弁座
9Bに離着座する球状の弁部11とによって構成されて
いる。
【0030】ここで、アンカ部10は、外周側が磁性筒
体2の小径部2C内周面に摺接し、コア筒5側に吸着さ
れる大径な吸着部10Aと、該吸着部10Aから延び先
端部に前記弁部11が固着された小径な軸部10Bと、
吸着部10A内に形成され弁ばね12を収容するばね収
容部10Cと、軸部10Bに穿設され燃料が流通する通
油孔10Dとによって構成されている。
【0031】そして、弁体9は、常時は弁ばね12のば
ね力によって弁部11が弁座部材7の弁座7Bに着座し
た状態に保持され、アンカ部10の吸着部10A端面と
コア筒5との間には、軸方向の隙間Sが形成される。一
方、弁体9は、後述の電磁コイル15に対する給電によ
りコア筒5、アンカ部10、ヨーク13等が閉磁路H
(図2中に点線で図示)を形成したときには、アンカ部
10の吸着部10Aがコア筒5に磁気的に吸着されるこ
とにより、弁ばね12のばね力に抗して弁部11を弁座
部材7の弁座7Bから離座させる。
【0032】12はばね受6と弁体9との間に設けられ
た弁ばねで、該弁ばね12は、長さ方向の一端側がコア
筒5内に収容され、他端側が弁体9(アンカ部10)の
ばね収容部10C内に収容され、ばね受6と弁体9との
間に圧縮状態で配設されている。そして、弁ばね12は
弁体9を閉弁方向(弁部11が弁座部材7の弁座7Bに
着座する方向)に常時付勢し、この弁ばね12のばね力
は、コア筒5に対するばね受6の圧入量によって調整さ
れる構成となっている。
【0033】13は磁性筒体2の外周側に設けられたヨ
ークで、該ヨーク13は、例えば磁性金属材料により段
付筒状に形成され、弁ケーシング1の一部を構成するも
のである。ここで、ヨーク13は、電磁コイル15の外
周側を覆うように設けられた拡径筒部13Aと、該拡径
筒部13Aの他端側を縮径して形成された縮径筒部13
Bとを有し、縮径筒部13Bは、磁性筒体2の小径部2
C外周側に圧入して固着されている。
【0034】14はヨーク13の拡径筒部13Aと磁性
筒体2の中径部2Bとの間に設けられた連結コアで、該
連結コア14は、磁性材料を用いて中径部2Bの外周側
を取囲むように略C字状に形成されている。
【0035】15は磁性筒体2とヨーク13の拡径筒部
13Aとの間に設けられた電磁コイルで、該電磁コイル
15は、樹脂材料により形成された筒状のコイルボビン
15Aと、該コイルボビン15Aに巻装されたコイル1
5Bとにより大略構成され、コイルボビン15Aの内周
側は磁性筒体2の中径部2Bに嵌着されている。
【0036】そして、電磁コイル15は、後述のコネク
タ17を介して通電されることにより、磁性筒体2の小
径部2C、コア筒5、弁体9のアンカ部10、ヨーク1
3、連結コア14を通じて閉磁路Hを形成し、コア筒5
によりアンカ部10の吸着部10Aを弁ばね12のばね
力に抗して磁気的に吸着することにより、弁体9の弁部
11を弁座部材7の弁座7Bから離座させる。
【0037】16は磁性筒体2の外周側に設けられた樹
脂カバーで、該樹脂カバー16は、磁性筒体2の外周側
にヨーク13、連結コア14、電磁コイル15等を組付
けた状態で、射出成形等の手段を用いて形成されてい
る。また、樹脂カバー16には、電磁コイル15のコイ
ル15Bに対する通電を行うためのコネクタ17が一体
に成形されている。
【0038】また、18は磁性筒体2の大径部2Aの外
周側に位置してフランジ部2Dと樹脂カバー16との間
に装着されたOリング、19はヨーク13の縮径筒部1
3A外周側に装着されたOリング、20はヨーク13の
縮径筒部13A先端に取付けられた円環状のプロテクタ
を示している。
【0039】本実施の形態による燃料噴射弁は上述の如
き構成を有するもので、次に、この燃料噴射弁を組立て
るときの手順について説明する。
【0040】まず、図4に示すように、磁性筒体2を用
意し、該磁性筒体2の中径部2Bの外側に小径部2C側
から連結コア14と電磁コイル15とを取付ける。次
に、磁性筒体2の小径部2Cにその先端側からヨーク1
3を圧入し、該ヨーク13の拡径筒部13Aによって電
磁コイル15を覆う。
【0041】そして、磁性筒体2の外周側に電磁コイル
15、ヨーク13等を組付けた後、磁性筒体2の大径部
2A外周側からヨーク13の拡径筒部13Aに亘る部分
に、樹脂カバー16、コネクタ17を射出成形によって
形成する。
【0042】次に、磁性筒体2の小径部2C内に弁座部
材7を圧入し、該弁座部材7を、レーザ溶接等の手段を
用いて磁性筒体2の小径部2C先端側に固着する。
【0043】そして、磁性筒体2の小径部2Cに弁座部
材7を固着した後、磁性筒体2内に大径部2A側から弁
体9を挿入し、該弁体9を小径部2C内に配置する。こ
こで、弁座部材7と弁体9とは、磁性筒体2の小径部2
C内に一緒に配設されているから、弁座部材7と弁体9
とを正確に軸線を一致させて同心位置に配置することが
できる。この結果、弁座部材7の弁座7Bに弁体9の弁
部11を着座させて閉弁したときの密着性を高めること
ができる。
【0044】次に、磁性筒体2内に大径部2A側からコ
ア筒5を挿入し、該コア筒5の大径圧入部5Aを磁性筒
体2の中径部2B内周側に圧入することにより、コア筒
5の小径スリーブ部5B端面を、弁体9に設けたアンカ
部10の吸着部10A端面に隙間Sをもって対面させ
る。このとき、弁体9(吸着部10A)の端面とコア筒
5(小径スリーブ部5B)の端面との間に形成された隙
間Sにより、弁体9が開弁、閉弁するときのストローク
が決定する。
【0045】そして、コア筒5を磁性筒体2に圧入した
後には、磁性筒体2の大径部2A側から弁ばね12を挿
入し、該弁ばね12を、弁体9に設けたアンカ部10の
ばね収容部10C内とコア筒5の縮径部5D内とに亘っ
て配置する。
【0046】さらに、磁性筒体2の大径部2A側からば
ね受6を挿入し、該ばね受6の圧入部6Aを、コア筒5
の縮径部5C内に段階的に圧入することにより、燃料の
動的流量調整を行いつつ、弁ばね12のばね力を調整す
る。
【0047】ここで、上述した燃料の動的流量調整は、
コア筒5内に一旦ばね受6を圧入した後、磁性筒体2内
の燃料通路3に燃料を供給した状態で、弁体9を一定時
間だけ開弁させて燃料の噴射量を測定することにより行
われる。
【0048】そして、測定された燃料噴射量が、例えば
規定量よりも多い場合には、弁体9を弁座部材7の弁座
7Bに押付ける弁ばね12のばね力が弱く、弁体9の閉
弁時における応答性が悪いことを示しているため、コア
筒5に対するばね受6の圧入量を大きくし、弁ばね12
のばね力を大きくする調整を行う。
【0049】このようにして、燃料の動的流量調整を行
いつつ、コア筒5の縮径部5C内に段階的にばね受6を
圧入し、動的流量調整時に測定された機燃噴射量が規定
の噴射量に合致した状態で、コア筒5に対するばね受6
の圧入作業が終了する。
【0050】ここで、コア筒5に対するばね受6の圧入
作業が終了したときには、図5及び図6に示すように、
ばね受6は、長さ寸法Lを有する圧入部6Aのうち、下
流側部位6A1がコア筒5の縮径部5D内に長さ寸法L
1だけ圧入され、上流側部位6A2が長さ寸法L2だけ
コア筒5の拡径部5C側に突出している。
【0051】これにより、コア筒5の縮径部5Dの上流
側の端部5D1が、ばね受6の圧入部6Aと確実に対面
し、ばね受6の圧入部6Aをコア筒5の縮径部5D内に
圧入したときに発生した削れ片Dを、ばね受6の圧入部
6Aの外周面とコア筒5の縮径部5Dの内周面との間に
長さ寸法L1の範囲に亘って封じ込めておくことができ
る。
【0052】そして、上述の如くコア筒5内にばね受6
を圧入した後には、磁性筒体2の大径部2A内に燃料フ
ィルタ4を挿入し、該燃料フィルタ4を大径部2Aの流
入口側に圧入手段によって固定する。また、磁性筒体2
の大径部2A外周側にOリング18を装着し、ヨーク1
3の縮径筒部13B外周側にOリング19を装着し、ヨ
ーク13の縮径筒部13B先端にプロテクタ20を取付
けることにより、図1に示す燃料噴射弁を組立てること
ができる。
【0053】次に、上述の如く組立てられた本実施の形
態による燃料噴射弁の作動について説明する。
【0054】まず、コネクタ17から電磁コイル15に
対する通電が行われると、図2に示すように閉磁路Hが
形成され、この閉磁路Hは弁体9のアンカ部10とコア
筒5との間の隙間Sを通過する。この結果、弁体9は、
コア筒5によって磁気的に吸着され、弁ばね12に抗し
て軸方向に変位し、その弁部11が弁座部材7の弁座7
Bから離座して開弁する。これにより、磁性筒体2の燃
料通路3内に供給された燃料は、弁座部材7の噴射口7
A、ノズルプレート8のノズル孔8Aを通じエンジンの
吸気管内に向けて噴射される。
【0055】一方、電磁コイル15への通電を停止する
と、弁体9は弁ばね12の付勢力によって弁部11を弁
座部材7の弁座7Bに着座させ、該弁座部材7の噴射口
7Aを閉塞(閉弁)する。これにより、エンジンの吸気
管内への燃料の噴射が停止される。
【0056】次に、図5及び図6に示す本実施の形態に
よるコア筒に対するばね受の圧入状態を、図7及び図8
に示す比較例と対比しつつ説明する。
【0057】まず、比較例によるばね受6′は、本実施
の形態に用いたばね受6とほぼ同一形状に形成され、長
さ方向の中間部に位置する圧入部6A′と、長さ方向両
側に位置するテーパ部6B′とを有し、圧入部6A′
は、本実施の形態によるばね受6の圧入部6Aよりも短
い長さ寸法L′を有している。
【0058】そして、比較例によるばね受6′は、圧入
部6A′をその長さ寸法L′以上の深さをもってコア筒
5の縮径部5D内に圧入されている。これにより、比較
例によるばね受6′の圧入部6A′は、その上流側の端
部6A1′が、コア筒5の縮径部5Dの端部5D1から
長さ寸法ΔLだけ縮径部5D内に没入している。
【0059】ここで、この比較例の場合には、ばね受
6′の圧入部6A′をコア筒5の縮径部5D内に圧入す
るときに、圧入部6A′の端部6A1′が縮径部5Dの
端部5D1を通過するまでの間は、ばね受6′の圧入部
6A′外周面とコア筒5の縮径部5D内周面との間に削
れ片Dを封じ込めておくことができる。
【0060】しかし、圧入部6A′の上流側の端部6A
1′が、コア筒5の縮径部5Dの端部5D1を通過し、
この端部5D1から更に長さ寸法ΔLだけ縮径部5D内
に没入することにより、縮径部5Dの内周面のうち端部
5D1の近傍部位が、ばね受6′のテーパ部6B′と対
面するようになり、両者間には、長さ寸法ΔLの範囲に
環状の隙間21が形成される。
【0061】これにより、図8に示すように、コア筒5
の縮径部5Dの内周面のうち端部5D1の近傍部位に削
れ片Dの一部が付着し、この削れ片Dが上述の隙間21
内に残留してしまう。このため、隙間21内に残留した
削れ片Dが、燃料通路3内に供給された燃料に混入し、
コア筒5内を通過して弁座部材7の弁座7B等に付着す
る虞れがある。
【0062】これに対し、本実施の形態による燃料噴射
弁は、図5及び図6に示すように、ばね受6の圧入部6
Aのうち、長さ方向の途中部位までの下流側部位6A1
をコア筒5の縮径部5D内に圧入し、圧入部6Aのうち
上流側部位6A2がコア筒5の拡径部5C内に位置する
構成としたので、コア筒5の縮径部5D内にばね受6を
圧入するときに発生する削れ片Dを、圧入部6Aの下流
側部位6A1の外周面とコア筒5の縮径部5Dの内周面
との間に確実に封じ込めておくことができる。
【0063】かくして、本実施の形態による燃料噴射弁
は、弁体9の開弁時に、燃料通路3内の燃料が弁座部材
7の噴射口7A等を通じて外部に噴射されるときに、削
れ片Dが、燃料に混入して弁座部材7の弁座7B等に付
着するのを確実に防止することができる。これにより、
弁体9の閉弁時に、該弁体9の弁部11を確実に弁座部
材7の弁座7Bに着座させることができ、燃料噴射量を
適正に制御することができるので、燃料噴射弁の信頼性
を高めることができる。
【0064】また、本実施の形態によれば、ばね受6の
長さ向両側にテーパ部6Bを設けることにより、コア筒
5内にばね受6を圧入するときに、このテーパ部6Bに
沿って圧入部6Aを円滑にコア筒5の縮径部5Dへと案
内することができるので、コア筒5(縮径部5D)に対
するばね受6の圧入作業を円滑に行うことができ、か
つ、削れ片Dの発生を少なくすることができる。
【0065】なお、上述した実施の形態では、コア筒5
の内周側に円筒状の拡径部5Cと縮径部5Dとを形成
し、これら拡径部5Cと縮径部5Dとの間にテーパ状の
案内部5Eを設ける構成としている。しかし、本発明は
これに限るものではなく、例えば図9に示す変形例のよ
うに、大径圧入部5A′と小径スリーブ部5B′とを有
し、内周側にテーパ状の大径部5C′と、円筒状の縮径
部5D′とが形成されたコア筒5′を用いてもよい。
【0066】この場合には、コア筒5′の縮径部5D′
内にばね受6を圧入するときに、テーパ状の大径部5
C′によってばね受6を一層円滑に縮径部5D′内へと
案内することができ、削れ片の発生を抑えることができ
る。
【0067】さらに、上述した実施の形態から把握し得
る請求項以外の技術的思想について、以下にその効果と
共に記載する。
【0068】請求項1または2に記載の燃料噴射弁にお
いて、コア筒の拡径部と縮径部との間には、拡径部内に
挿入されたばね受を縮径部へと案内する滑らかなテーパ
状の案内部を設ける構成としてなる燃料噴射弁。
【0069】このように構成したことにより、コア筒の
拡径部にばね受を挿入すると、該ばね受は、コア筒の案
内部に沿って拡径部から縮径部へと案内されるので、コ
ア筒の縮径部にばね受を圧入するときの作業性を高める
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係る燃料噴射弁を示す断面図で
ある。
【図2】図1中のコア筒、ばね受、弁体、弁ばね等を拡
大して示す拡大断面図である。
【図3】ばね受を単体で示す斜視図である。
【図4】燃料噴射弁の組立て手順を示す断面図である。
【図5】本実施の形態によるコア筒とばね受との圧入状
態を示す断面図である。
【図6】図5中のA部を拡大して示す拡大断面図であ
る。
【図7】比較例によるコア筒とばね受との圧入状態を示
す図5と同様の断面図である。
【図8】図7中のB部を拡大して示す拡大断面図であ
る。
【図9】コア筒の変形例を示す断面図である。
【符号の説明】
2 磁性筒体 3 燃料通路 5 コア筒 5C 拡径部 5D 縮径部 6 ばね受 6A 圧入部 6A1 下流側部位 6A2 上流側部位 6B テーパ部 7 弁座部材 7B 弁座 9 弁体 12 弁ばね 13 ヨーク 15 電磁コイル

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁性材料により筒状に形成され内部が燃
    料通路となった磁性筒体と、磁性材料によって筒状に形
    成され該磁性筒体内に挿嵌して設けられたコア筒と、該
    コア筒内に圧入して設けられた筒状のばね受と、前記コ
    ア筒よりも下流側に位置して前記磁性筒体内に設けられ
    燃料が流通する弁座が形成された弁座部材と、前記コア
    筒と該弁座部材との間に位置して前記磁性筒体内に変位
    可能に設けられ該弁座部材の弁座に離着座する弁体と、
    該弁体を閉弁方向に付勢するため前記ばね受と弁体との
    間に設けられた弁ばねと、前記磁性筒体の外周側に設け
    られた磁性材料からなるヨークと、前記磁性筒体の外周
    側で該ヨークとの間に設けられ通電されたとき前記コア
    筒、弁体およびヨークを通じて閉磁路を形成することに
    より前記弁ばねに抗して前記弁体を弁座部材の弁座から
    離座させる電磁コイルとを備えてなる燃料噴射弁におい
    て、 前記コア筒の内周側には、上流側に位置する拡径部と、
    下流側に位置し該拡径部よりも縮径した縮径部とを設
    け、 前記ばね受は、弾性材料を用いて長さ方向の中間部位が
    大径な圧入部となった筒状体として形成し、 該ばね受は、圧入部を前記コア筒の縮径部に長さ方向の
    途中部位まで圧入し当該圧入部の上流側部位は前記コア
    筒の拡径部内に位置させる構成とし、 前記ばね受の圧入部を前記コア筒の縮径部に圧入したと
    きに発生する削れ片を、該圧入部の外周面と前記コア筒
    の縮径部の内周面との間に封じ込めることを特徴とする
    燃料噴射弁。
  2. 【請求項2】 前記ばね受の長さ方向の両端側には、前
    記圧入部から徐々に縮径するテーパ部を設ける構成とし
    てなる請求項1に記載の燃料噴射弁。
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