JP2003308608A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JP2003308608A
JP2003308608A JP2002110793A JP2002110793A JP2003308608A JP 2003308608 A JP2003308608 A JP 2003308608A JP 2002110793 A JP2002110793 A JP 2002110793A JP 2002110793 A JP2002110793 A JP 2002110793A JP 2003308608 A JP2003308608 A JP 2003308608A
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JP2002110793A
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Nobuo Yamazaki
信夫 山崎
Hitoshi Noguchi
仁 野口
Shinji Saito
真二 斉藤
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】電磁変換特性が良好で高記録密度特性が格段に
改良された磁気記録媒体を提供すること。 【解決手段】支持体上に実質的に非磁性である下層と六
方晶系フェライト粉末を結合剤中に分散してなる磁性層
をこの順に設けた磁気記録媒体において、前記六方晶系
フェライト粉末のFe/Ba(原子比)が10〜14
で、角形比(SQ)が0.48以上であり、面内抗磁力
角形比(S*)が0.3〜0.65であることを特徴と
する磁気記録媒体。

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は塗布型の高記録密度
の磁気記録媒体に関する。特に磁性層と実質的に非磁性
の下層を有し、最上層に六方晶系フェライト粉末微粉末
を含む高密度記録用の磁気記録媒体に関するものであ
る。 【0002】 【従来の技術】磁気ディスクの分野において扱うデータ
容量が急激に増加している今日、フロッピー(登録商
標)ディスクの大容量化が望まれている。また磁気テー
プの分野においても近年、ミニコンピューター、パーソ
ナルコンピューター、ワークステーションなどのオフィ
スコンピューターの普及に伴って、外部記憶媒体として
コンピューターデータを記録するための磁気テープ(い
わゆるバックアップテープ)の研究が盛んに行われてい
る。このような用途の磁気テープの実用化に際しては、
とくにコンピューターの小型化、情報処理能力の増大と
相まって、記録の大容量化、小型化を達成するために、
記録容量の向上が強く要求される。 【0003】従来、電磁誘導を動作原理とする磁気ヘッ
ド(誘導型磁気ヘッド)が用いられ普及している。だが
更に高密度記録再生領域で使用するには限界が見え始め
ている。すなわち、大きな再生出力を得るためには再生
ヘッドのコイル巻数を多くする必要があるがインダクタ
ンスが増加し高周波での抵抗が増加し結果として再生出
力が低下する問題があった。近年MR(磁気抵抗)を動
作原理とする再生ヘッドが提案され、ハードデイスク等
で使用され始めている。MRヘッドは誘導型磁気ヘッド
に比較して数倍の再生出力が得られ、かつ誘導コイルを
用いないため、インピーダンスノイズ等の機器ノイズが
大幅に低下し、磁気記録媒体のノイズを下げることで大
きなSN比を得ることが可能になってきた。換言すれば
従来機器ノイズに隠れていた磁気記録媒体ノイズを小さ
くすれば良好な記録再生が行え、高密度記録特性が飛躍
的に向上できることになる。従来から使用されている生
産性に優れ、低価格で提供できる塗布型磁気記録媒体と
MRヘッドを組み合わせた場合にも、ノイズが低く、高
いSN比を有し、高密度特性に優れる磁気記録媒体が望
まれている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】本発明は電磁変換特性
が良好で高記録密度特性が格段に改良された磁気記録媒
体を提供することを目的としている。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明者らは電磁変換特
性が良好で高記録密度特性が格段に改良された磁気記録
媒体を得るために鋭意検討した結果、以下のような媒体
とすることで本発明の目的である優れた高密度記録特性
が得られることを見いだし、本発明に至ったものであ
る。即ち、本発明は支持体上に実質的に非磁性である下
層と六方晶系フェライト粉末を結合剤中に分散してなる
磁性層をこの順に設けた磁気記録媒体において、前記六
方晶系フェライト粉末のFe/Ba(原子比)が10〜
14で、角形比(SQ)が0.48以上であり、面内抗
磁力角形比(S*)が0.3〜0.65であることを特
徴とする磁気記録媒体である。本発明の好ましい態様
は、以下の通りである。 (1)MRヘッド再生用である上記磁気記録媒体。 (2)磁性層のSQが0.48〜0.55である上記磁
気記録媒体。 (3)前記六方晶系フェライト粉末の平均板径が15〜
35nmである上記磁気記録媒体。 【0006】 【発明の実施の形態】本発明の磁気記録媒体は、Fe/
Ba(原子比)が10〜14と特定の六方晶系フェライ
ト粉末を磁性層に用い、SQを0.48以上、S*
0.3〜0.63としたことを特徴とする。純粋な六方
晶系バリウムフェライト(六方晶系バリウムフェライト
を以下、Baフェライトとも記す)のFe/Baは12
である。Baフェライトの欠点のひとつである飽和磁化
を補うためにFe/Baを約20位に増加させてスピネ
ルフェライトを複合した磁性体がある。理由は不明だ
が、これらスピネル複合型のBaフェライトを用いると
SQ、S*が本発明範囲でもノイズが低くならない。S
Qは飽和磁化密度と残留磁化密度の比であり、磁気記録
の理想は1.0である。但し、ディスク媒体のような面
内の方向性を嫌う媒体の場合、一軸異方性の磁性体をも
ちい磁性体が2次元ランダム配向されている場合は、
0.64、3次元ランダム配向されている場合は、0.
50が期待値となる。Baフェライトのような板状粒子
の場合は3次元ランダムになりやすく、針状粒子の場合
は2次元ランダムになりやすい。本発明のSQは0.4
8以上であり、好ましくは、0.48〜0.55であ
る。SQが0.48未満ではノイズ・出力ともに優れた
ものにならない。SQが0.55を超えるとディスクを
再生した際に出力の変動を生じる傾向がある。 【0007】S*は主に磁気ヒステリシスカーブの傾き
を示す。S*について説明する。X、Yの直交座標にお
いて、Xを磁界にYを磁束密度にとったヒステリシスカ
ーブを作成する。Xが0の時のヒステリシスカーブ上
(Yは正の残留磁束密度)のX軸に平行な線をB、Yが
0の時のヒステリシスカーブ上(Hcは負の抗磁力)の
接線をAとし、接線AとBの交点をCとし、交点Cの磁
界をaとすると、S *=a/Hcで表される。従来の理
想ではS*は1.0である。本発明のS*は、0.3〜
0.65である。S*は好ましくは、0.35〜0.5
5であり、更に好ましくは、0.35〜0.50であ
る。本発明はS*を上記範囲としたことによりノイズ及
びSN比が改善された。 【0008】S*がノイズ及びSN比に影響する理由は
明らかではない。S*の要因は全て解明できていない
が、磁性体の分散状態(結合剤の極性基と分子量、分散
時間等)、磁性層の厚み、磁性体の種類等でS*が影響
を受けるので磁気記録媒体の磁性層塗膜中での磁性体の
存在状態を示す尺度になっていると考えられる。この磁
性体の存在状態がノイズ、SN比に影響していると考え
られる。従って、本発明においてS*を所定の範囲に制
御する手段としては、この磁性体、即ち、六方晶系フェ
ライトの磁性層における存在状態を制御することが挙げ
られる。具体的には、上記要因を制御することによりS
*を制御することが挙げられる。例えば、磁性体のF
e/Baを調整すること、磁性体の分散性を強化する
こと、磁性層を薄層化すること、磁性体の平均板径
を選択すること等が挙げられる。平均板径を小さくする
につれて上記は増強することが、また上記ではより
薄くすることが有効である。 【0009】ところで、六方晶系フェライト粉末は強磁
性金属粉末と共に高密度記録特性に優れることが知られ
ている。MRヘッドとの組み合わせでは飽和磁化の低い
六方晶系フェライト粉末の方がMRヘッドの飽和が起こ
りにくく強磁性金属粉末より扱い易い。高密度記録に必
要なHcも六方晶系フェライト粉末は強磁性金属より高
くできるため優れている。 【0010】本発明の磁気記録媒体のHcは2000〜
4000Oe(160〜320kA/m)であることが
好ましい。Hcは高い方が高密度記録に優れるため高い
方が好ましいが、Hcを高くしすぎると記録ヘッドの能
力不足で記録できない不都合を生じる。Hcが2000
Oe(160kA/m)未満では本発明の目的である高
密度記録に不足である。Hcの好ましい範囲は2100
〜3500Oeである。 【0011】また、本発明に用いる六方晶系フェライト
粉末の平均板径は15〜35nmであることが好まし
い。更に好ましくは20〜33nmである。更に好まし
くは22〜30nmである。平均板径15nm未満では
現在の技術では分散が難しいのが理由と考えられる。平
均板径35nmを超えると粒子が大きすぎるためと思わ
れ、ノイズ、出力への効果は見られない。ここで板径と
は六方晶系フェライト粉末の六角柱底面の六角径の最大
径を意味し、平均板径とはその算術平均である。本発明
に用いる六方晶系フェライト粉末の平均板状比は1.5
〜4が好ましい。更に好ましくは2〜3である。平均板
状比が大きいと配向させた際にスタッキングを発生させ
易くなり本発明の範囲の媒体を作成し難い。平均板状比
は、(板径/板厚)の算術平均を意味する。 【0012】次に本発明の磁気記録媒体について詳述す
る。 [磁性層]本発明の磁気記録媒体は、六方晶系フェライ
ト粉末を有する磁性層を支持体の片面だけでも、両面に
設けても良い。その片側に設けられている磁性層は単層
でも互いに組成の異なる複層でもよい。また、本発明は
支持体と磁性層の間に実質的に非磁性である下層(非磁
性層または下層ともいう)を設ける。磁性層を上層また
は上層磁性層ともいう。上層は下層を同時または逐次塗
布後、下層が湿潤状態の内に設けるウェット・オン・ウ
ェット(W/W)でも、下層が乾燥した後に設けるウェ
ット・オン・ドライ(W/D)にでも形成できる。生産
得率の点からW/Wが好ましいが、デイスクの場合は乾
燥後塗布も十分使用できる。W/Wでは上層/下層が同
時に形成できるため、カレンダー工程などの表面処理工
程を有効に活用でき、薄層でも上層磁性層の表面粗さを
良化できる。 【0013】[六方晶系フェライト粉末]本発明に用い
る六方晶フェライトは、Fe/Baが上記であるバリウ
ムフェライトであれば、特に制限はない。その他所定の
原子以外にAl、Si、S,Sc、Ti、V,Cr、C
u,Y,Mo,Rh,Pd,Ag、Sn、Sb、Te、
Ba、Ta、W、Re、Au、Hg、Pb、Bi、L
a、Ce、Pr、Nd、P,Co,Mn,Zn、Ni、
Sr、B、Ge、Nbなどの原子を含んでもかまわな
い。一般にはCo−Zn、Co−Ti,Co−Ti−Z
r、Co−Ti−Zn,Ni−Ti−Zn,Nb−Zn
−Co、SbーZn−Co、Nb−Zn等の元素を添加
した物を使用することができる。原料・製法によっては
特有の不純物を含有するものもある。また、本発明の効
果を増強乃至低下させることのない範囲で他の六方晶系
フェライト粉末を併用することができる。例えば、スト
ロンチウムフェライト、鉛フェライト、カルシウムフェ
ライトの各置換体、Co置換体等がある。その添加元素
等の条件は上記Baフェライトと同様である。 【0014】本発明に用いる六方晶系フェライト粉末の
BET法による比表面積(SBET)は通常、30〜20
0m2/gを示す。比表面積は概ね粒子板径と板厚から
の算術計算値と符号する。粒子板径・板厚の分布は通常
狭いほど好ましい。数値化は困難であるが粒子TEM写
真より500粒子を無作為に測定する事で比較できる。
分布は正規分布ではない場合が多いが、計算して平均サ
イズに対する標準偏差で表すとσ/平均サイズ=0.1
〜2.0である。粒子サイズ分布をシャープにするには
粒子生成反応系をできるだけ均一にすると共に、生成し
た粒子に分布改良処理を施すことも行われている。たと
えば酸溶液中で超微細粒子を選別的に溶解する方法等も
知られている。磁性体で測定される抗磁力Hcは500
Oe〜5000Oe(40〜400kA/m)程度まで
作成できる。Hcは高い方が高密度記録に有利である
が、記録ヘッドの能力で制限される。Hcは粒子サイズ
(板径・板厚)、含有元素の種類と量、元素の置換サイ
ト、粒子生成反応条件等により制御できる。飽和磁化σ
sは30〜80A・m2/kgである。微粒子になるほ
ど小さくなる傾向がある。製法では結晶化温度、または
熱処理温度時間を小さくする方法、添加する化合物を増
量する、表面処理量を多くする方法等がある。またW型
六方晶フェライトを用いることも可能である。磁性体を
分散する際に磁性体粒子表面を分散媒、ポリマーに合っ
た物質で処理することも行われている。表面処理材は無
機化合物、有機化合物が使用される。主な化合物として
はSi、Al、P、等の酸化物または水酸化物、各種シ
ランカップリング剤、各種チタンカップリング剤が代表
例である。量は磁性体に対して0.1〜10%である。
磁性体のpHも分散に重要である。通常4〜12程度で
分散媒、ポリマーにより最適値があるが、媒体の化学的
安定性、保存性から6〜11程度が選択される。磁性体
に含まれる水分も分散に影響する。分散媒、ポリマーに
より最適値があるが通常0.01〜2.0%が選ばれ
る。六方晶フェライトの製法としては、酸化バリウム
・酸化鉄・鉄を置換する金属酸化物とガラス形成物質と
して酸化ホウ素等を所望のフェライト組成になるように
混合した後溶融し、急冷して非晶質体とし、次いで再加
熱処理した後、洗浄・粉砕してバリウムフェライト結晶
粉体を得ガラス結晶化法、バリウムフェライト組成金
属塩溶液をアルカリで中和し、副生成物を除去した後1
00℃以上で液相加熱した後洗浄・乾燥・粉砕してバリ
ウムフェライト結晶粉体を得る水熱反応法、バリウム
フェライト組成金属塩溶液をアルカリで中和し、副生成
物を除去した後乾燥し1100℃以下で処理し、粉砕し
てバリウムフェライト結晶粉体を得る共沈法等がある
が、本発明は製法を選ばない。 【0015】[下層]次に下層に関する詳細な内容につ
いて説明する。下層としては非磁性無機粉末と結合剤を
主体とするものが好ましい。下層に用いられる非磁性無
機粉末としては、例えば、金属酸化物、金属炭酸塩、金
属硫酸塩、金属窒化物、金属炭化物、金属硫化物、等の
無機質化合物から選択することができる。無機化合物と
しては例えばα化率90%以上のα−アルミナ、β−ア
ルミナ、γ−アルミナ、θ−アルミナ、炭化ケイ素、酸
化クロム、酸化セリウム、α−酸化鉄、ヘマタイト、ゲ
ータイト、コランダム、窒化珪素、チタンカ−バイト、
酸化チタン、二酸化珪素、酸化スズ、酸化マグネシウ
ム、酸化タングステン、酸化ジルコニウム、窒化ホウ
素、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸
バリウム、二硫化モリブデンなどが単独または組み合わ
せで使用される。特に好ましいのは、粒度分布の小さ
さ、機能付与の手段が多いこと等から、二酸化チタン、
酸化亜鉛、酸化鉄、硫酸バリウムであり、更に好ましい
のは二酸化チタン、α酸化鉄である。これら非磁性無機
粉末の平均粒子径は0.005〜2μmが好ましいが、
必要に応じて平均粒子径の異なる非磁性無機粉末を組み
合わせたり、単独の非磁性無機粉末でも粒径分布を広く
して同様の効果をもたせることもできる。とりわけ好ま
しいのは非磁性無機粉末の平均粒子径は0.01μm〜
0.2μmである。特に、非磁性無機粉末が粒状金属酸
化物である場合は、平均粒子径0.08μm以下が好ま
しく、針状金属酸化物である場合は、平均長軸長が0.
3μm以下が好ましく、0.2μm以下がさらに好まし
い。タップ密度は通常、0.05〜2g/ml、好まし
くは0.2〜1.5g/mlである。非磁性無機粉末の
含水率は通常、0.1〜5質量%、好ましくは0.2〜
3質量%、更に好ましくは0.3〜1.5質量%であ
る。非磁性無機粉末のpHは通常、2〜11であるが、
pHは5.5〜10の間が特に好ましい。非磁性無機粉
末のSBETは通常、1〜100m2/g、好ましくは5〜
80m2/g、更に好ましくは10〜70m2/gであ
る。非磁性無機粉末の結晶子サイズは0.004μm〜
1μmが好ましく、0.04μm〜0.1μmが更に好
ましい。DBP(ジブチルフタレート)を用いた吸油量
は通常、5〜100ml/100g、好ましくは10〜
80ml/100g、更に好ましくは20〜60ml/
100gである。比重は通常、1〜12、好ましくは3
〜6である。形状は針状、球状、多面体状、板状のいず
れでも良い。モース硬度は4以上、10以下のものが好
ましい。非磁性無機粉末のSA(ステアリン酸)吸着量
は1〜20μmol/m2、好ましくは2〜15μmo
l/m2、さらに好ましくは3〜8μmol/m2であ
る。pHは3〜6の間にあることが好ましい。これらの
非磁性無機粉末の表面には表面処理によりAl23、S
iO2、TiO2、ZrO2、SnO2、Sb23、Zn
O、Y23が存在するが好ましい。特に分散性に好まし
いのはAl23、SiO2、TiO2、ZrO2である
が、更に好ましいのはAl23、SiO2、ZrO2であ
る。これらは組み合わせて使用しても良いし、単独で用
いることもできる。また、目的に応じて共沈させた表面
処理層を用いても良いし、先ずアルミナを存在させた後
にその表層をシリカを存在させる方法、またはその逆の
方法を採ることもできる。また、表面処理層は目的に応
じて多孔質層にしても構わないが、均質で密である方が
一般には好ましい。本発明の下層に用いられる非磁性粉
末の具体的な例としては、昭和電工製ナノタイト、住友
化学製HIT−100,ZA−G1、戸田工業社製αヘ
マタイトDPN−250,DPN−250BX,DPN
−245,DPN−270BX,DPN−500BX、
DBN−SA1,DBN−SA3、石原産業製酸化チタ
ンTTO−51B,TTO−55A,TTO−55B,
TTO−55C,TTO−55S,TTO−55D,S
N−100、αヘマタイトE270,E271,E30
0,E303、チタン工業製酸化チタンSTT−4D,
STT−30D,STT−30,STT−65C、αヘ
マタイトα−40、テイカ製MT−100S,MT−1
00T,MT−150W,MT−500B,MT−60
0B,MT−100F,MT−500HD、堺化学製F
INEX−25,BF−1,BF−10,BF−20,
ST−M、同和鉱業製DEFIC−Y,DEFIC−
R、日本アエロジル製AS2BM,TiO2P25、宇
部興産製100A,500A、及びそれを焼成したもの
が挙げられる。特に好ましい非磁性粉末は二酸化チタン
とα−酸化鉄である。 【0016】下層にカーボンブラックを混合させて公知
の効果である表面電気抵抗Rsを下げること、光透過率
を小さくすることができるとともに、所望のマイクロビ
ッカース硬度を得る事ができる。また、下層にカーボン
ブラックを含ませることで潤滑剤貯蔵の効果をもたらす
ことも可能である。カーボンブラックの種類はゴム用フ
ァーネス、ゴム用サーマル、カラー用ブラック、アセチ
レンブラック、等を用いることができる。下層のカーボ
ンブラックは所望する効果によって、以下のような特性
を最適化すべきであり、併用することでより効果が得ら
れることがある。 【0017】下層のカーボンブラックのSBETは通常、
100〜500m2/g、好ましくは150〜400m2
/g、DBP吸油量は20〜400ml/100g、好
ましくは30〜400ml/100gである。カーボン
ブラックの平均粒子径は通常、5nm〜80nm、好ま
しくは10〜50nm、さらに好ましくは10〜40n
mである。平均粒子径が80nmより大きいカーボンブ
ラックを少量含んでもかまわない。カーボンブラックの
pHは2〜10、含水率は0.1〜10%、タップ密度
は0.1〜1g/mlが好ましい。本発明に用いられる
カ−ボンブラックの具体的な例としてはキャボット社製
BLACKPEARLS 2000,1300,100
0,900,800,880,700、VULCAN
XC−72、三菱化成工業社製#3050B,#315
0B,#3250B,#3750B,#3950B,#
950,#650B,#970B,#850B,MA−
600,MA−230,#4000,#4010、コン
ロンビアカ−ボン社製CONDUCTEX SC、RA
VEN 8800,8000,7000,5750,5
250,3500,2100,2000,1800,1
500,1255,1250、アクゾー社製ケッチェン
ブラックECなどがあげられる。カ−ボンブラックを分
散剤などで表面処理したり、樹脂でグラフト化して使用
しても、表面の一部をグラファイト化したものを使用し
てもかまわない。また、カ−ボンブラックを塗料に添加
する前にあらかじめ結合剤で分散してもかまわない。こ
れらのカーボンブラックは上記非磁性無機粉末(カーボ
ンブラックは包含しない)に対して50質量%を越えな
い範囲、非磁性層総質量の40%を越えない範囲で使用
できる。これらのカ−ボンブラックは単独、または組合
せで使用することができる。本発明で使用できるカ−ボ
ンブラックは例えば「カ−ボンブラック便覧」(カ−ボ
ンブラック協会編)を参考にすることができる。 【0018】また下層には有機質粉末を目的に応じて、
添加することもできる。例えば、アクリルスチレン系樹
脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、メラミン系樹脂粉
末、フタロシアニン系顔料が挙げられるが、ポリオレフ
ィン系樹脂粉末、ポリエステル系樹脂粉末、ポリアミド
系樹脂粉末、ポリイミド系樹脂粉末、ポリフッ化エチレ
ン樹脂も使用することができる。その製法は特開昭62
−18564号、特開昭60−255827号に記され
ているようなものが使用できる。 【0019】下層あるいは後述のバック層の結合剤樹
脂、潤滑剤、分散剤、添加剤、溶剤、分散方法その他は
以下に記載する磁性層のそれが適用できる。特に、結合
剤樹脂量、種類、添加剤、分散剤の添加量、種類に関し
ては磁性層に関する公知技術が適用できる。 【0020】[結合剤]本発明に使用される結合剤とし
ては従来公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応型樹
脂やこれらの混合物が使用される。熱可塑性樹脂として
は、ガラス転移温度が−100〜150℃、数平均分子
量が1,000〜200,000、好ましくは10,0
00〜100,000、重合度が約50〜1000程度
のものである。このような例としては、塩化ビニル、酢
酸ビニル、ビニルアルコール、マレイン酸、アクリル
酸、アクリル酸エステル、塩化ビニリデン、アクリロニ
トリル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、スチレ
ン、ブタジエン、エチレン、ビニルブチラール、ビニル
アセタール、ビニルエ−テル、等を構成単位として含む
重合体または共重合体、ポリウレタン樹脂、各種ゴム系
樹脂がある。また、熱硬化性樹脂または反応型樹脂とし
てはフェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン硬化
型樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、アク
リル系反応樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリコーン樹
脂、エポキシ−ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂とイ
ソシアネートプレポリマーの混合物、ポリエステルポリ
オールとポリイソシアネートの混合物、ポリウレタンと
ポリイソシアネートの混合物等があげられる。これらの
樹脂については朝倉書店発行の「プラスチックハンドブ
ック」に詳細に記載されている。また、公知の電子線硬
化型樹脂を各層に使用することも可能である。これらの
例とその製造方法については特開昭62−256219
に詳細に記載されている。以上の樹脂は単独または組み
合わせて使用できるが、好ましいものとして塩化ビニル
樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル酢酸
ビニルビニルアルコール共重合体、塩化ビニル酢酸ビニ
ル無水マレイン酸共重合体、から選ばれる少なくとも1
種とポリウレタン樹脂の組み合わせ、またはこれらにポ
リイソシアネートを組み合わせたものがあげられる。 【0021】ポリウレタン樹脂の構造はポリエステルポ
リウレタン、ポリエーテルポリウレタン、ポリエーテル
ポリエステルポリウレタン、ポリカーボネートポリウレ
タン、ポリエステルポリカーボネートポリウレタン、ポ
リカプロラクトンポリウレタンなど公知のものが使用で
きる。ここに示したすべての結合剤について、より優れ
た分散性と耐久性を得るためには必要に応じ、−COO
M,−SO3M、−OSO3M、−P=O(OM)2、−
O−P=O(OM)2、(以上につきMは水素原子、ま
たはアルカリ金属塩基)、−NR2、−N+3(Rは炭
化水素基)、エポキシ基、−SH、−CN、などから選
ばれる少なくともひとつ以上の極性基を共重合または付
加反応で導入したものを用いることが好ましい。このよ
うな極性基の量は10-1〜10-8モル/gであり、好ま
しくは10-2〜10-6モル/gである。これら極性基以
外にポリウレタン分子末端に少なくとも1個ずつ、合計
2個以上のOH基を有することが好ましい。OH基は硬
化剤であるポリイソシアネートと架橋して3次元の網状
構造を形成するので、分子中に多数含むほど好ましい。
特にOH基は分子末端にある方が硬化剤との反応性が高
いので好ましい。ポリウレタンは分子末端にOH基を3
個以上有することが好ましく、4個以上有することが特
に好ましい。本発明において、ポリウレタンを用いる場
合はガラス転移温度が通常、−50〜150℃、好まし
くは0℃〜100℃、特に好ましくは30〜100℃、
破断伸びが100〜2000%、破断応力は通常、0.
05〜10Kg/mm2(0.49〜98MPa)、降
伏点は0.05〜10Kg/mm2(0.49〜98M
Pa)が好ましい。このような物性を有することによ
り、良好な機械的特性を有する塗膜が得られる。 【0022】本発明に用いられるこれらの結合剤の具体
的な例としては塩化ビニル系共重合体としてユニオンカ
−バイト社製VAGH、VYHH、VMCH、VAG
F、VAGD,VROH,VYES,VYNC,VMC
C,XYHL,XYSG,PKHH,PKHJ,PKH
C,PKFE,日信化学工業社製、MPR−TA、MP
R−TA5,MPR−TAL,MPR−TSN,MPR
−TMF,MPR−TS、MPR−TM、MPR−TA
O、電気化学社製1000W、DX80,DX81,D
X82,DX83、100FD、日本ゼオン社製MR−
104、MR−105、MR110、MR100、MR
555、400X−110A、ポリウレタン樹脂として
日本ポリウレタン社製ニッポランN2301、N230
2、N2304、大日本インキ社製パンデックスT−5
105、T−R3080、T−5201、バ−ノックD
−400、D−210−80、クリスボン6109,7
209,東洋紡社製バイロンUR8200,UR830
0、UR−8700、RV530,RV280、大日精
化社製ポリカ−ボネートポリウレタン、ダイフェラミン
4020,5020,5100,5300,9020,
9022、7020,三菱化成社製ポリウレタン、MX
5004,三洋化成社製ポリウレタン、サンプレンSP
−150、旭化成社製ポリウレタン、サランF310,
F210などが挙げられる。 【0023】非磁性層に用いられる結合剤は非磁性無機
粉末に対し、また磁性層に用いられる結合剤は六方晶系
フェライト粉末に対し、5〜50質量%の範囲、好まし
くは10〜30質量%の範囲で用いられる。塩化ビニル
系樹脂を用いる場合は5〜30質量%、ポリウレタン樹
脂を用いる場合は2〜20質量%、ポリイソシアネート
は2〜20質量%の範囲でこれらを組み合わせて用いる
ことが好ましいが、例えば、微量の脱塩素によりヘッド
腐食が起こる場合は、ポリウレタンのみまたはポリウレ
タンとイソシアネートのみを使用することも可能であ
る。 【0024】本発明の磁気記録媒体は二層以上からな
る。従って、結合剤量、結合剤中に占める塩化ビニル系
樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイソシアネート、あるい
はそれ以外の樹脂の量、磁性層を形成する各樹脂の分子
量、極性基量、あるいは先に述べた樹脂の物理特性など
を必要に応じ各層とで変えることはもちろん可能であ
り、むしろ各層で最適化すべきであり、多層磁性層に関
する公知技術を適用できる。例えば、各層でバインダー
量を変更する場合、磁性層表面の擦傷を減らすためには
磁性層のバインダー量を増量することが有効であり、ヘ
ッドに対するヘッドタッチを良好にするためには、非磁
性層のバインダー量を多くして柔軟性を持たせることが
できる。 【0025】本発明に用いられるポリイソシアネートと
しては、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェ
ニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシ
アネート、キシリレンジイソシアネート、ナフチレン−
1,5−ジイソシアネート、o−トルイジンジイソシア
ネート、イソホロンジイソシアネート、トリフェニルメ
タントリイソシアネート等のイソシアネート類、また、
これらのイソシアネート類とポリアルコールとの生成
物、また、イソシアネート類の縮合によって生成したポ
リイソシアネート等が挙げられる。これらのイソシアネ
ート類の市販されている商品名としては、日本ポリウレ
タン社製、コロネートL、コロネートHL,コロネート
2030、コロネート2031、ミリオネートMR,ミ
リオネートMTL、武田薬品社製、タケネートD−10
2,タケネートD−110N、タケネートD−200、
タケネートD−202、住友バイエル社製、デスモジュ
ールL,デスモジュールIL、デスモジュールN,デス
モジュールHL,等がありこれらを単独または硬化反応
性の差を利用して二つもしくはそれ以上の組み合わせで
各層とも用いることができる。 【0026】[カーボンブラック、研磨剤]本発明の磁
性層に使用されるカーボンブラックはゴム用ファーネ
ス、ゴム用サーマル、カラー用ブラック、アセチレンブ
ラック、等を用いることができる。S BETは5〜500
2/g、DBP吸油量は10〜400ml/100
g、平均粒子径は5nm〜300nm、pHは2〜1
0、含水率は0.1〜10%、タップ密度は0.1〜1
g/cc、が好ましい。本発明に用いられるカ−ボンブ
ラックの具体的な例としてはキャボット社製、BLAC
KPEARLS 2000、1300、1000、90
0、905、800,700、VULCAN XC−7
2、旭カ−ボン社製、#80、#60,#55、#5
0、#35、三菱化成工業社製、#2400B、#23
00、#900,#1000#30,#40、#10
B、コロンビアンカ−ボン社製、CONDUCTEX
SC、RAVEN 150、50,40,15、RAV
EN−MT−P、日本EC社製、ケッチェンブラックE
C、などがあげられる。カ−ボンブラックを分散剤など
で表面処理したり、樹脂でグラフト化して使用しても、
表面の一部をグラファイト化したものを使用してもかま
わない。また、カ−ボンブラックを磁性塗料に添加する
前にあらかじめ結合剤で分散してもかまわない。これら
のカ−ボンブラックは単独、または組合せで使用するこ
とができる。カ−ボンブラックを使用する場合は磁性体
に対する量の0.1〜30%でもちいることが好まし
い。カ−ボンブラックは磁性層の帯電防止、摩擦係数低
減、遮光性付与、膜強度向上などの働きがあり、これら
は用いるカ−ボンブラックにより異なる。従って本発明
に使用されるこれらのカ−ボンブラックは上層磁性層、
下層でその種類、量、組合せを変え、粒子サイズ、吸油
量、電導度、pHなどの先に示した諸特性をもとに目的
に応じて使い分けることはもちろん可能であり、むしろ
各層で最適化すべきものである。本発明の磁性層で使用
できるカ−ボンブラックは例えば「カ−ボンブラック便
覧」(カ−ボンブラック協会編)、WO98/3534
5に記載のものを参考にすることができる。 【0027】本発明は研磨剤を磁性層等に用いることが
できる。研磨剤としてはα化率90%以上のα−アルミ
ナ、β−アルミナ、炭化ケイ素、酸化クロム、酸化セリ
ウム、α−酸化鉄、コランダム、人造ダイアモンド、窒
化珪素、炭化珪素、チタンカーバイト、酸化チタン、二
酸化珪素、窒化ホウ素、など主としてモース硬度6以上
の公知の材料が単独または組み合わせで使用される。ま
た、これらの研磨剤同士の複合体(研磨剤を他の研磨剤
で表面処理したもの)を使用してもよい。これらの研磨
剤には主成分以外の化合物または元素が含まれる場合も
あるが主成分が90%以上であれば効果にかわりはな
い。これら研磨剤の平均粒子径は0.01〜2μmが好
ましく、特に電磁変換特性を高めるためには、その粒度
分布が狭い方が好ましい。また耐久性を向上させるには
必要に応じて粒子径の異なる研磨剤を組み合わせたり、
単独の研磨剤でも粒径分布を広くして同様の効果をもた
せることも可能である。タップ密度は0.3〜2g/m
l、含水率は0.1〜5%、pHは2〜11、比表面積
は1〜30m2/gが好ましい。本発明に用いられる研
磨剤の形状は針状、球状、サイコロ状、のいずれでも良
いが、形状の一部に角を有するものが研磨性が高く好ま
しい。具体的にはWO98/35345に記載のものが
挙げられ、中でもダイアモンドを同記載のごとく用いる
と走行耐久性及び電磁変換特性の改善に有効である。磁
性層、非磁性層に添加する研磨剤の粒径、量はむろん最
適値に設定すべきものである。 【0028】[添加剤]本発明の磁性層と非磁性層に使
用される、添加剤としては潤滑効果、帯電防止効果、分
散効果、可塑効果、などをもつものが使用され、組み合
わせることにより総合的な性能向上が図れる。潤滑効果
を示すものとしては物質の表面同士の摩擦の際、生じる
凝着を著しく作用を示す潤滑剤が使用される。潤滑剤に
は2つの型のものがある。磁気記録媒体に使用される潤
滑剤は完全に流体潤滑か境界潤滑であるか判定すること
はできないが、一般的概念で分類すれば流体潤滑を示す
高級脂肪酸エステル、流動パラフィン、シリコン誘導体
などや境界潤滑を示す長鎖脂肪酸、フッ素系界面活性
剤、含フッ素系高分子などに分類される。塗布型媒体で
は潤滑剤は結合剤に溶解した状態また一部は六方晶系フ
ェライト粉末表面に吸着した状態で存在するものであ
り、磁性層表面に潤滑剤が移行してくるが、その移行速
度は結合剤と潤滑剤との相溶性の良否によって決まる。
結合剤と潤滑剤との相溶性が高いときは移行速度が小さ
く、相溶性の低いときには早くなる。相溶性の良否に対
する一つの考え方として両者の溶解パラメ−タ−の比較
がある。流体潤滑には非極性潤滑剤が有効であり、境界
潤滑には極性潤滑剤が有効である。 【0029】本発明においてはこれら特性の異なる流体
潤滑を示す高級脂肪酸エステルと境界潤滑を示す長鎖脂
肪酸とを組み合わせることが好ましく、少なくとも3種
組み合わせることが更に好ましい。これらに組み合わせ
て固体潤滑剤を使用することもできる。固体潤滑剤とし
ては例えば二硫化モリブデン、二硫化タングステングラ
ファイト、窒化ホウ素、フッ化黒鉛などが使用される。
境界潤滑を示す長鎖脂肪酸としては、炭素数10〜24
の一塩基性脂肪酸(不飽和結合を含んでも、また分岐し
ていてもかまわない)、および、これらの金属塩(L
i、Na、K、Cuなど)が挙げられる。フッ素系界面
活性剤、含フッ素系高分子としてはフッ素含有シリコ−
ン、フッ素含有アルコール、フッ素含有エステル、フッ
素含有アルキル硫酸エステルおよびそのアルカリ金属塩
などが挙げられる。流体潤滑を示す高級脂肪酸エステル
としては、炭素数10〜24の一塩基性脂肪酸(不飽和
結合を含んでも、また分岐していてもかまわない)と炭
素数2〜12の一価、二価、三価、四価、五価、六価ア
ルコールのいずれか一つ(不飽和結合を含んでも、また
分岐していてもかまわない)とからなるモノ脂肪酸エス
テルまたはジ脂肪酸エステルまたはトリ脂肪酸エステ
ル、アルキレンオキシド重合物のモノアルキルエ−テル
の脂肪酸エステルなどが挙げられる。また流動パラフィ
ン、そしてシリコン誘導体としてジアルキルポリシロキ
サン(アルキルは炭素数1〜5個)、ジアルコキシポリ
シロキサン(アルコキシは炭素数1〜4個)、モノアル
キルモノアルコキシポリシロキサン(アルキルは炭素数
1〜5個、アルコキシは炭素数1〜4個)、フェニルポ
リシロキサン、フロロアルキルポリシロキサン(アルキ
ルは炭素数1〜5個)などのシリコ−ンオイル、極性基
をもつシリコ−ン、脂肪酸変性シリコ−ン、フッ素含有
シリコ−ンなどが挙げられる。 【0030】その他の潤滑剤として炭素数12〜22の
一価、二価、三価、四価、五価、六価アルコール(不飽
和結合を含んでも、また分岐していてもかまわない)、
炭素数12〜22のアルコキシアルコール(不飽和結合
を含んでも、また分岐していてもかまわない)、フッ素
含有アルコールなどのアルコール、ポリエチレンワック
ス、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、エチレング
リコール、ポリエチレンオキシドワックスなどのポリグ
リコール、アルキル燐酸エステルおよびそのアルカリ金
属塩、アルキル硫酸エステルおよびそのアルカリ金属
塩、ポリフェニルエ−テル、炭素数8〜22の脂肪酸ア
ミド、炭素数8〜22の脂肪族アミンなどが挙げられ
る。 【0031】帯電防止効果、分散効果、可塑効果などを
示すものとしてフェニルホスホン酸、具体的には日産化
学(株)社の「PPA」など、αナフチル燐酸、フェニ
ル燐酸、ジフェニル燐酸、p−エチルベンゼンホスホン
酸、フェニルホスフィン酸、アミノキノン類、各種シラ
ンカップリング剤、チタンカップリング剤、フッ素含有
アルキル硫酸エステルおよびそのアルカリ金属塩、など
が使用できる。 【0032】本発明において使用される潤滑剤は特に脂
肪酸と脂肪酸エステルが好ましく、具体的にはWO98
/35345に記載のものが挙げられる。これらに加え
て別異の潤滑剤、添加剤も組み合わせて使用することが
できる。 【0033】また、アルキレンオキサイド系、グリセリ
ン系、グリシドール系、アルキルフェノールエチレンオ
キサイド付加体、等のノニオン界面活性剤、環状アミ
ン、エステルアミド、第四級アンモニウム塩類、ヒダン
トイン誘導体、複素環類、ホスホニウムまたはスルホニ
ウム類等のカチオン系界面活性剤、カルボン酸、スルフ
ォン酸、燐酸、硫酸エステル基、燐酸エステル基、など
の酸性基を含むアニオン界面活性剤、アミノ酸類、アミ
ノスルホン酸類、アミノアルコールの硫酸または燐酸エ
ステル類、アルキルベダイン型、等の両性界面活性剤等
も使用できる。これらの界面活性剤については、「界面
活性剤便覧」(産業図書株式会社発行)に詳細に記載さ
れている。これらの潤滑剤、帯電防止剤等は必ずしも1
00%純粋ではなく、主成分以外に異性体、未反応物、
副反応物、分解物、酸化物等の不純分が含まれてもかま
わない。これらの不純分は30%以下が好ましく、さら
に好ましくは10%以下である。本発明は脂肪酸エステ
ルとしてWO98/35345に記載のようにモノエス
テルとジエステルを組み合わせて使用することも好まし
い。 【0034】本発明の磁気記録媒体、特にディスク状磁
気記録媒体の磁性層表面のオージェ電子分光法によるC
/Feピーク比は、好ましくは5〜100、特に好まし
くは5〜80である。オージェ電子分光法の測定条件
は、以下の通りである。 装置:Φ社製PHI−660型 測定条件:1次電子線加速電圧3KV 試料電流130nA 倍率250倍 傾斜角度30° 上記条件で、運動エネルギ−(KineticEner
gy)130〜730eVの範囲を3回積算し、炭素の
KLLピークと鉄のLMMピークの強度を微分形で求
め、C/Feの比をとることで求める。 【0035】一方、本発明の磁気記録媒体の上層及び下
層の各層に含まれる潤滑剤量は、それぞれ六方晶系フェ
ライト粉末又は非磁性無機粉末100質量部に対し5〜
30質量部が好ましい。 【0036】本発明で使用されるこれらの潤滑剤、界面
活性剤は個々に異なる物理的作用を有するものであり、
その種類、量、および相乗的効果を生み出す潤滑剤の併
用比率は目的に応じ最適に定められるべきものである。
非磁性層、磁性層で融点の異なる脂肪酸を用い表面への
滲み出しを制御する、沸点、融点や極性の異なるエステ
ル類を用い表面への滲み出しを制御する、界面活性剤量
を調節することで塗布の安定性を向上させる、潤滑剤の
添加量を中間層で多くして潤滑効果を向上させるなど考
えられ、無論ここに示した例のみに限られるものではな
い。一般には潤滑剤の総量として六方晶系フェライト粉
末または非磁性粉末に対し、0.1質量%〜50質量
%、好ましくは2〜25質量%の範囲で選択される。 【0037】また本発明で用いられる添加剤のすべてま
たはその一部は、磁性塗料および非磁性塗料製造のどの
工程で添加してもかまわない、例えば、混練工程前に磁
性体と混合する場合、磁性体と結合剤と溶剤による混練
工程で添加する場合、分散工程で添加する場合、分散後
に添加する場合、塗布直前に添加する場合などがある。
また、目的に応じて磁性層を塗布した後、同時または逐
次塗布で、添加剤の一部または全部を塗布することによ
り目的が達成される場合がある。また、目的によっては
カレンダーした後、またはスリット終了後、磁性層表面
に潤滑剤を塗布することもできる。本発明で用いられる
有機溶剤は公知のものが使用でき、例えば特開昭6−6
8453に記載の溶剤を用いることができる。 【0038】[層構成]本発明の磁気記録媒体の厚み構
成は支持体が通常、2〜100μm、好ましくは2〜8
0μmである。コンピューターテープの支持体は、3.
0〜6.5μm(好ましくは、3.0〜6.0μm、更
に好ましくは、4.0〜5.5μm)の範囲の厚さのも
のが使用される。支持体、好ましくは非磁性可撓性支持
体と非磁性層または磁性層の間に密着性向上のための下
塗り層を設けてもかまわない。本下塗層厚みは0.01
〜0.5μm、好ましくは0.02〜0.5μmであ
る。帯電防止やカール補正などの効果を出すために磁性
層が設けられている側と反対側の支持体にバック層を設
けてもかまわない。この厚みは通常、0.1〜4μm、
好ましくは0.3〜2.0μmである。これらの下塗
層、バック層は公知のものが使用できる。 【0039】本発明の下層及び上層構成の磁性層の厚み
は用いるヘッドの飽和磁化量やヘッドギャップ長、記録
信号の帯域により最適化されるものであるが、一般には
0.05〜0.25μmであり、好ましくは0.05〜
0.20μmである。下層の厚みは通常、0.2〜5.
0μm、好ましくは0.3〜3.0μm、さらに好まし
くは1.0〜2.5μmである。なお、下層は実質的に
非磁性であればその効果を発揮するものであり、たとえ
ば不純物としてあるいは意図的に少量の磁性粉を含んで
も、本発明の効果を示すものであり、本発明と実質的に
同一の構成と見なすことができることは言うまでもな
い。実質的に非磁性層とは下層の残留磁束密度が10m
T以下または抗磁力が100エルステッド(8kA/
m)以下であることを示し、好ましくは残留磁束密度と
抗磁力をもたないことを示す。又、下層に磁性粉を含む
場合は、下層の全無機粉末の1/2未満含むことが好ま
しい。また、軟磁性粉末と結合剤を含む軟磁性層を形成
してもよい。 【0040】[バック層]本発明の磁気記録媒体は、バ
ック層を設けることができる。磁気ディスクでもバック
層を設けることはできるが、一般に、コンピュータデー
タ記録用の磁気テープは、ビデオテープ、オーディオテ
ープに比較して、繰り返し走行性が強く要求される。こ
のような高い走行耐久性を維持させるために、バック層
には、カーボンブラックと無機粉末が含有されているこ
とが好ましい。 【0041】カーボンブラックは、平均粒子径の異なる
二種類のものを組み合わせて使用することが好ましい。
この場合、平均粒子径が10〜20nmの微粒子状カー
ボンブラックと平均粒子径が230〜300nmの粗粒
子状カーボンブラックを組み合わせて使用することが好
ましい。一般に、上記のような微粒子状のカーボンブラ
ックの添加により、バック層の表面電気抵抗を低く設定
でき、また光透過率も低く設定できる。磁気記録装置に
よっては、テープの光透過率を利用し、動作の信号に使
用しているものが多くあるため、このような場合には特
に微粒子状のカーボンブラックの添加は有効になる。ま
た微粒子状カーボンブラックは一般に液体潤滑剤の保持
力に優れ、潤滑剤併用時、摩擦係数の低減化に寄与す
る。一方、平均粒子径が230〜300nmの粗粒子状
カーボンブラックは、固体潤滑剤としての機能を有して
おり、またバック層の表面に微小突起を形成し、接触面
積を低減化して、摩擦係数の低減化に寄与する。 【0042】本発明に用いられる微粒子状カーボンブラ
ック及び粗粒子状カーボンブラックとして、市販のもの
を用いる場合、具体的な商品としては、WO98/35
345に記載のものを挙げることができる。バック層に
おいて、平均粒子径の異なる二種類のものを使用する場
合、10〜20nmの微粒子状カーボンブラックと23
0〜300nmの粗粒子状カーボンブラックの含有比率
(質量比)は、前者:後者=98:2〜75:25の範
囲にあることが好ましく、更に好ましくは、95:5〜
85:15の範囲である。バック層中のカーボンブラッ
ク(二種類のものを使用する場合には、その全量)の含
有量は、結合剤100質量部に対して、通常30〜80
質量部の範囲であり、好ましくは、45〜65質量部の
範囲である。 【0043】無機粉末は、硬さの異なる二種類のものを
併用することが好ましい。具体的には、モース硬度3〜
4.5の軟質無機粉末とモース硬度5〜9の硬質無機粉
末とを使用することが好ましい。モース硬度が3〜4.
5の軟質無機粉末を添加することで、繰り返し走行によ
る摩擦係数の安定化を図ることができる。しかもこの範
囲の硬さでは、摺動ガイドポールが削られることもな
い。またこの無機粉末の平均粒子径は、30〜50nm
の範囲にあることが好ましい。モース硬度が3〜4.5
の軟質無機粉末としては、例えば、硫酸カルシウム、炭
酸カルシウム、珪酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸マ
グネシウム、炭酸亜鉛、及び酸化亜鉛を挙げることがで
きる。これらは、単独で、あるいは二種以上を組み合わ
せて使用することができる。バック層内の軟質無機粉末
の含有量は、カーボンブラック100質量部に対して1
0〜140質量部の範囲にあることが好ましく、更に好
ましくは、35〜100質量部である。 【0044】モース硬度が5〜9の硬質無機粉末を添加
することにより、バック層の強度が強化され、走行耐久
性が向上する。これらの無機粉末をカーボンブラックや
前記軟質無機粉末と共に使用すると、繰り返し摺動に対
しても劣化が少なく、強いバック層となる。またこの無
機粉末の添加により、適度の研磨力が付与され、テープ
ガイドポール等への削り屑の付着が低減する。特に軟質
無機粉末と併用すると、表面の粗いガイドポールに対し
ての摺動特性が向上し、バック層の摩擦係数の安定化も
図ることができる。硬質無機粉末の平均粒子径は80〜
250nmが好ましく、100〜210nmの範囲にあ
ることが更に好ましい。モース硬度が5〜9の硬質無機
質粉末としては、例えば、α−酸化鉄、α−アルミナ、
及び酸化クロム(Cr23)を挙げることができる。こ
れらの粉末は、それぞれ単独で用いても良いし、あるい
は併用しても良い。これらの内では、α−酸化鉄又はα
−アルミナが好ましい。硬質無機粉末の含有量は、カー
ボンブラック100質量部に対して通常3〜30質量部
であり、好ましくは、3〜20質量部である。 【0045】バック層に前記軟質無機粉末と硬質無機粉
末とを併用する場合、軟質無機粉末と硬質無機粉末との
硬さの差が、2以上(更に好ましくは、2.5以上、特
に、3以上)であるように軟質無機粉末と硬質無機粉末
とを選択して使用することが好ましい。バック層には、
前記それぞれ特定の平均粒子径を有するモース硬度の異
なる二種類の無機粉末と、前記平均粒子径の異なる二種
類のカーボンブラックとが含有されていることが好まし
い。 【0046】バック層には、潤滑剤を含有させることが
できる。潤滑剤は、前述した非磁性層、あるいは磁性層
に使用できる潤滑剤として挙げた潤滑剤の中から適宜選
択して使用できる。バック層において、潤滑剤は、結合
剤100質量部に対して通常1〜5質量部の範囲で添加
される。 【0047】[支持体]本発明に用いられる支持体は、
非磁性可撓性支持体であることが好ましく、支持体の面
内各方向に対し、100℃30分での熱収縮率が0.5
%以下であり、80℃30分での熱収縮率が0.5%以
下、更に好ましくは0.2%以下であることが好まし
い。更に前記支持体の100℃30分での熱収縮率及び
80℃30分での熱収縮率が前記支持体の面内各方向に
対し、10%以内の差で等しいことが好ましい。支持体
は非磁性であることが好ましい。これら支持体はポリエ
チレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、等
のポリエステル類、ポリオレフィン類、セルロ−ストリ
アセテート、ポリカ−ボネート、芳香族又は脂肪族ポリ
アミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリスルフォ
ン、ポリアラミド、ポリベンゾオキサゾールなどの公知
のフィルムが使用できる。ポリエチレンナフタレート、
ポリアミドなどの高強度支持体を用いることが好まし
い。また必要に応じ、磁性面とベ−ス面の表面粗さを変
えるため特開平3−224127に示されるような積層
タイプの支持体を用いることもできる。これらの支持体
にはあらかじめコロナ放電処理、プラズマ処理、易接着
処理、熱処理、除塵処理、などをおこなっても良い。ま
た本発明の支持体としてアルミまたはガラス基板を適用
することも可能である。 【0048】本発明の目的を達成するには、支持体とし
てWYKO社製の表面粗さ計TOPO−3Dで測定した
中心面平均表面粗さRaは通常、8.0nm以下、好ま
しくは4.0nm以下、更に好ましくは2.0nm以下
のものを使用することが好ましい。これらの支持体は単
に中心面平均表面粗さが小さいだけではなく、0.5μ
m以上の粗大突起がないことが好ましい。また表面の粗
さ形状は必要に応じて支持体に添加されるフィラーの大
きさと量により自由にコントロールされるものである。
これらのフィラーとしては一例としてはCa,Si、T
iなどの酸化物や炭酸塩の他、アクリル系などの有機粉
末があげられる。支持体の最大高さRmaxは1μm以
下、十点平均粗さRzは0.5μm以下、中心面山高さ
Rpは0.5μm以下、中心面谷深さRvは0.5μm
以下、中心面面積率Srは10%以上、90%以下、平
均波長λaは5μm以上、300μm以下が好ましい。
所望の電磁変換特性と耐久性を得るため、これら支持体
の表面突起分布をフィラーにより任意にコントロールで
きるものであり、0.01〜1μmの大きさのもの各々
を0.1mm2あたり0〜2000個の範囲でコントロ
ールすることができる。 【0049】本発明に用いられる支持体のF−5値は好
ましくは5〜50Kg/mm2(49〜490MP
a)、また、支持体の100℃30分での熱収縮率は好
ましくは3%以下、さらに好ましくは1.5%以下、8
0℃30分での熱収縮率は好ましくは0.5%以下、さ
らに好ましくは0.1%以下である。破断強度は5〜1
00Kg/mm2(49〜980MPa)、弾性率は1
00〜2000Kg/mm2(0.98〜19.6GP
a)が好ましい。温度膨張係数は10-4〜10-8/℃で
あり、好ましくは10-5〜10-6/℃である。湿度膨張
係数は10-4/RH%以下であり、好ましくは10-5
RH%以下である。これらの熱特性、寸法特性、機械強
度特性は支持体の面内各方向に対し10%以内の差でほ
ぼ等しいことが好ましい。 【0050】[製法]本発明の磁気記録媒体の磁性塗料
を製造する工程は、少なくとも混練工程、分散工程、お
よびこれらの工程の前後に必要に応じて設けた混合工程
からなる。個々の工程はそれぞれ2段階以上にわかれて
いてもかまわない。本発明に使用する磁性粉末、非磁性
粉末、結合剤、カーボンブラック、研磨剤、帯電防止
剤、潤滑剤、溶剤などすべての原料はどの工程の最初ま
たは途中で添加してもかまわない。また、個々の原料を
2つ以上の工程で分割して添加してもかまわない。例え
ば、ポリウレタンを混練工程、分散工程、分散後の粘度
調整のための混合工程で分割して投入してもよい。本発
明の目的を達成するためには、従来の公知の製造技術を
一部の工程として用いることができる。混練工程ではオ
ープンニーダ、連続ニ−ダ、加圧ニ−ダ、エクストルー
ダなど強い混練力をもつものを使用することが好まし
い。ニ−ダを用いる場合は磁性粉末または非磁性粉末と
結合剤のすべてまたはその一部(ただし全結合剤の30
%以上が好ましい)および磁性粉末100部に対し15
〜500部の範囲で混練処理される。これらの混練処理
の詳細については特開平1−106338、特開平1−
79274に記載されている。また、磁性層液および非
磁性層液を分散させるにはガラスビーズを用いることが
できるが、高比重の分散メディアであるジルコニアビー
ズ、チタニアビーズ、スチールビーズが好適である。こ
れら分散メディアの粒径と充填率は最適化して用いられ
る。分散機は公知のものを使用することができる。 【0051】本発明で重層構成の磁気記録媒体を塗布す
る場合、以下のような方式を用いることが好ましい。第
一に磁性塗料の塗布で一般的に用いられるグラビア塗
布、ロール塗布、ブレード塗布、エクストルージョン塗
布装置等により、まず下層を塗布し、下層がウェット状
態のうちに特公平1−46186や特開昭60−238
179,特開平2−265672に開示されている支持
体加圧型エクストルージョン塗布装置により上層を塗布
する方法。第二に特開昭63−88080、特開平2−
17971,特開平2−265672に開示されている
ような塗布液通液スリットを二つ内蔵する一つの塗布ヘ
ッドにより上下層をほぼ同時に塗布する方法。第三に特
開平2−174965に開示されているバックアップロ
ール付きエクストルージョン塗布装置により上下層をほ
ぼ同時に塗布する方法である。なお、磁性粒子の凝集に
よる磁気記録媒体の電磁変換特性等の低下を防止するた
め、特開昭62−95174や特開平1−236968
に開示されているような方法により塗布ヘッド内部の塗
布液にせん断を付与することが望ましい。さらに、塗布
液の粘度については、特開平3−8471に開示されて
いる数値範囲を満足する必要がある。本発明の構成を実
現するには下層を塗布し乾燥させたのち、その上に磁性
層を設ける逐次重層塗布を用いてもむろんかまわず、本
発明の効果が失われるものではない。ただし、塗布欠陥
を少なくし、ドロップアウトなどの品質を向上させるた
めには、前述の同時重層塗布を用いることが好ましい。 【0052】ディスクの場合、コバルト磁石を斜めに交
互に配置すること、ソレノイドで交流磁場を印加するな
ど公知のランダム配向装置を用いることができるが、配
向装置を用いず無配向でも十分に等方的な配向性が得ら
れる。六方晶フェライトは、一般的に面内および垂直方
向の3次元ランダムになりやすいが、面内2次元ランダ
ムとすることも可能である。また異極対向磁石など公知
の方法を用い、垂直配向とすることで円周方向に等方的
な磁気特性を付与することもできる。特に高密度記録を
行う場合は垂直配向が好ましい。また、スピンコートを
用い円周配向をしてもよい。 【0053】磁気テープの場合はコバルト磁石やソレノ
イドを用いて長手方向に配向する。乾燥風の温度、風
量、塗布速度を制御することで塗膜の乾燥位置を制御で
きる様にすることが好ましく、塗布速度は20m/分〜
1000m/分、乾燥風の温度は60℃以上が好まし
い、また磁石ゾ−ンに入る前に適度の予備乾燥を行うこ
ともできる。 【0054】塗布乾燥後、通常、磁気記録媒体にカレン
ダー処理が施される。カレンダー処理ロールとしてエポ
キシ、ポリイミド、ポリアミド、ポリイミドアミド等の
耐熱性のあるプラスチックロールまたは金属ロールで処
理するが、特に両面磁性層とする場合は金属ロール同志
で処理することが好ましい。処理温度は、好ましくは5
0℃以上、さらに好ましくは100℃以上である。線圧
力は好ましくは200kg/cm(196kN/m)以
上、さらに好ましくは300kg/cm(294kN/
m)以上である。カレンダー処理後、磁気記録媒体は所
望の形状に打ち抜きまたは裁断される。必要に応じディ
スク形状に打ち抜いたあと高温でのサーモ処理(通常5
0℃〜90℃)を行ない塗布層の硬化処理を促進させ
る、研磨テープでバーニッシュ処理を行うことができ
る。また、磁気テープの場合、スリット品の送り出し、
巻き取り装置を持った装置に不織布とカミソリブレ−ド
が磁性面に押し当たるように取り付け、テ−プクリ−ニ
ング装置で磁性層の表面のクリ−ニングを行うことがで
きる。 【0055】[物理特性]本発明になる磁気記録媒体の
磁性層の飽和磁束密度は、好ましくは、100〜300
mTである。SFDは好ましくは0.1〜1.0であ
る。 【0056】本発明の磁気記録媒体のヘッドに対する摩
擦係数は温度−10〜40℃、湿度0〜95%の範囲に
おいて通常0.5以下、好ましくは0.3以下、表面固
有抵抗は好ましくは磁性面104〜1012オ−ム/s
q、帯電位は−500V〜+500Vが好ましい。磁性
層の0.5%伸びでの弾性率は面内各方向で好ましくは
100〜2000Kg/mm2(980〜19600N
/mm2)、破断強度は好ましくは10〜70Kg/m
2(98〜686N/mm2)、磁気記録媒体の弾性率
は面内各方向で好ましくは100〜1500Kg/mm
2(980〜14700N/mm2)、残留のびは好まし
くは0.5%以下、100℃以下のあらゆる温度での熱
収縮率は好ましくは1%以下、さらに好ましくは0.5
%以下、もっとも好ましくは0.1%以下である。磁性
層のガラス転移温度(110Hzで測定した動的粘弾性
測定の損失弾性率の極大点)は50℃以上120℃以下
が好ましく、下層のそれは0℃〜100℃が好ましい。
損失弾性率は1×103〜8×104N/cm2の範囲に
あることが好ましく、損失正接は0.2以下であること
が好ましい。損失正接が大きすぎると粘着故障が発生し
やすい。これらの熱特性や機械特性は媒体の面内各方向
で10%以内でほぼ等しいことが好ましい。磁性層中に
含まれる残留溶媒は好ましくは100mg/m2以下、
さらに好ましくは10mg/m2以下である。塗布層が
有する空隙率は下層、上層とも好ましくは30容量%以
下、さらに好ましくは20容量%以下である。空隙率は
高出力を果たすためには小さい方が好ましいが、目的に
よってはある値を確保した方が良い場合がある。例え
ば、繰り返し用途が重視されるディスク媒体では空隙率
が大きい方が走行耐久性は好ましいことが多い。 【0057】磁性層の最大高さRmaxは0.5μm以
下、十点平均粗さRzは0.3μm以下、中心面山高さ
Rpは0.3μm以下、中心面谷深さRvは0.3μm
以下、中心面面積率Srは20%以上、80%以下、平
均波長λaは5μm以上、300μm以下が好ましい。
磁性層の表面突起は0.01〜1μmの大きさのものを
0〜2000個の範囲で任意に設定することが可能であ
り、これにより電磁変換特性、摩擦係数を最適化するこ
とが好ましい。これらは支持体のフィラ−による表面性
のコントロールや磁性層に添加する粉体の粒径と量、カ
レンダー処理のロール表面形状などで容易にコントロー
ルすることができる。カールは±3mm以内とすること
が好ましい。本発明の磁気記録媒体は、目的に応じ下層
と上層でこれらの物理特性を変えることができるのは容
易に推定されることである。例えば、上層の弾性率を高
くし走行耐久性を向上させると同時に下層の弾性率を上
層より低くして磁気記録媒体のヘッドへの当りを良くす
るなどである。 【0058】 【実施例】以下に、実施例を用いてさらに本発明を詳細
に説明するが、本発明はこれに限定されるものではな
い。尚、「部」は「質量部」を示す。 磁気ディスクの作成 試料1(比較例) <塗料の作成> 磁性塗料 バリウムフェライト磁性粉: 100部 (平均板径:35nm、平均板状比:3、Hc:2260Oe(176kA /m)) 塩化ビニル共重合体 MR555(日本ゼオン社製) 10部 ダイアモンド微粒子(平均粒子径:0.10μm) 8部 カーボンブラック(平均粒子径:15nm) #55(旭カーボン社製) 0.5部 ステアリン酸 0.5部 ブチルステアレート 2部 メチルエチルケトン 230部 シクロヘキサノン 150部 【0059】 非磁性塗料(下層) 非磁性粉末:α−Fe23 100部 平均長軸長:0.09μm、SBET:50m2/g pH:7、DBP吸油量:27〜38ml/100g、 表面にAl23としてが粒子全体の8質量%存在 カーボンブラック コンダクテックスSC−U(コロンビアンカーボン社製) 25部 塩化ビニル共重合体 MR104(日本ゼオン社製) 13部 ポリウレタン樹脂 UR8200(東洋紡社製) 5部 フェニルホスホン酸 3.5部 ブチルステアレート 1部 ステアリン酸 2部 メチルエチルケトン 205部 シクロヘキサノン 135部 【0060】上記の塗料のそれぞれについて、各成分を
ニ−ダで混練したのち、縦型サンドミルに1.0mmφ
のジルコニアビーズと共に入れ、1500rpmで12
0分、分散させた。得られた分散液にポリイソシアネ−
トを非磁性層の塗布液には6.5部、さらにメチルエチ
ルケトン7部を加え,1μmの平均孔径を有するフィル
ターを用いて濾過し、非磁性層形成用および磁性層形成
用の塗布液をそれぞれ調製した。得られた非磁性層塗布
液を、乾燥後の厚さが1.5μmになるようにさらにそ
の直後にその上に磁性層の厚さが0.15μmになるよ
うに、非磁性支持体上に同時重層塗布をおこない、乾燥
後、7段のカレンダ−で温度90℃、線圧300kg/
cm(294kN/m)にて分速200m/minで処
理を行った。これらの操作を非磁性支持体の両面に施し
た。3.5吋に打ち抜き、表面研磨処理を施して試料1
のディスク媒体を得た。 【0061】試料2は、平均板径30nmの磁性体(F
e/Ba:12.8、Hc:2060(165kA/
m)、平均板状比:3、σs:52A・m2/kg)を
用いた他は、試料1と同様に作成した。試料3は磁性塗
料の分散時間を500分にした他は試料1と同様に作成
した。試料4は磁性塗料の分散時間を500分にした他
は試料2と同様に作成した。試料5は磁性塗料の分散時
間を700分に、磁性層厚みを0.11μmにした他は
試料2と同様に作成した。試料6は、平均板径25nm
の磁性体(Fe/Ba:11.5、Hc:2160(1
73kA/m)、平均板状比:3、σs:50A・m2
/kg)を用いた他は、試料1と同様に作成した。試料
7は、0.5mmφのジルコニアビーズを用いた他は試
料6と同様に作成した。試料8は磁性塗料の分散時間を
500分にした他は試料7と同様に作成した。試料9は
磁性層厚みを0.10μmにした他は試料8と同様に作
成した。試料10は磁性塗料の分散時間を700分にし
た他は試料9と同様に作成した。試料11は、スピネル
複合型のBaフェライト磁性体(平均板径:25nm、
Fe/Ba:15.8、Hc:2250(180kA/
m)、平均板状比:3、σs:58A・m2/kg)を
用いた他は、試料9と同様に作成した。試料12は、磁
性体(平均板径:17nm、Fe/Ba:12.1、H
c:2300(184kA/m)、平均板状比:3、σ
s:48A・m2/kg)を用いた他は、試料7と同様
に作成した。試料13は磁性塗料の分散時間を700分
にした他は試料12と同様に作成した。試料14は磁性
塗料の分散時間を1000分にした他は試料12と同様
に作成した。試料15は磁性層厚みを0.10μmにし
た他は試料14と同様に作成した。 【0062】得られた上記試料を下記により評価した。 (1)磁気特性(Hc、SQ、S*):振動試料型磁束
計(東英工業社製)を用い、Hm10kOe(800k
A/m)で測定した。 (2)ノイズ、S/N:記録ヘッド(MIG、ギャップ
0.15μm、1.8T)と再生用MRヘッドをスピン
スタンドに取り付けて測定した。メディア回転数400
0rpm、ノイズは変調ノイズを測定した。 (3)Fe/Baは磁性体または磁気記録媒体を塩酸に
溶解し、セイコー電子工業社製ICP SPS1200
Aを用いてFeとBaの濃度を測定して原子比を算出し
た。 【0063】 【表1】 【0064】上記実施例に示す様に、本発明による磁気
記録媒体はノイズ、SN特性に優れる。 【発明の効果】本発明は支持体上に実質的に非磁性であ
る下層と六方晶系フェライト粉末を結合剤中に分散して
なる磁性層をこの順に設けた磁気記録媒体において、F
e/Baが10〜14の六方晶系フェライト粉末を用い
ると共にSQを0.48以上、且つS*を0.3〜0.
65としたことにより、MRヘッドを組み合わせた場合
にも、ノイズの低い高密度特性に優れ、SN特性に優れ
る高密度記録用磁気記録媒体を提供することができる。
フロントページの続き (72)発明者 斉藤 真二 神奈川県小田原市扇町2丁目12番1号 富 士写真フイルム株式会社内 Fターム(参考) 5D006 BA06 BA08 BA19

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 支持体上に実質的に非磁性である下層と
    六方晶系フェライト粉末を結合剤中に分散してなる磁性
    層をこの順に設けた磁気記録媒体において、前記六方晶
    系フェライト粉末のFe/Ba(原子比)が10〜14
    で、角形比(SQ)が0.48以上であり、面内抗磁力
    角形比(S*)が0.3〜0.65であることを特徴と
    する磁気記録媒体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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