JP2003022514A - 磁気記録媒体 - Google Patents
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 高密度磁気記録においても充分なS/Nを示
し、かつ、MRヘッドを使用した再生においてもMRヘ
ッドが静電破壊されにくい磁気記録媒体の提供。 【解決手段】 非磁性支持体の少なくとも一方の面に、
非磁性粉末及び結合剤を含む非磁性層と、強磁性金属粉
末又は六方晶系フェライト粉末である強磁性粉末及び結
合剤を含む磁性層と、をこの順に有する磁気記録媒体で
あって、前記非磁性層が、平均粒径10〜30nmのカ
ーボンブラックを前記非磁性粉末100質量部に対して
10〜50質量部含有し、前記磁性層の厚さが0.2μ
m以下であり、電子線マイクロアナリシスによる前記強
磁性粉末に起因する元素の平均強度aに対する該強度の
標準偏差bが0.03≦b/a≦0.4であり、かつ、
前記磁性層の中心面平均粗さRaが5nm以下、10点
平均粗さRzが50nm以下であること。
し、かつ、MRヘッドを使用した再生においてもMRヘ
ッドが静電破壊されにくい磁気記録媒体の提供。 【解決手段】 非磁性支持体の少なくとも一方の面に、
非磁性粉末及び結合剤を含む非磁性層と、強磁性金属粉
末又は六方晶系フェライト粉末である強磁性粉末及び結
合剤を含む磁性層と、をこの順に有する磁気記録媒体で
あって、前記非磁性層が、平均粒径10〜30nmのカ
ーボンブラックを前記非磁性粉末100質量部に対して
10〜50質量部含有し、前記磁性層の厚さが0.2μ
m以下であり、電子線マイクロアナリシスによる前記強
磁性粉末に起因する元素の平均強度aに対する該強度の
標準偏差bが0.03≦b/a≦0.4であり、かつ、
前記磁性層の中心面平均粗さRaが5nm以下、10点
平均粗さRzが50nm以下であること。
Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、塗布型の磁気記録
媒体に関する。本発明は、特に薄層磁性層と非磁性層と
を有する高密度記録に適した磁気記録媒体に関する。 【0002】 【従来の技術】近年高密度化と共に記録波長が短くなる
傾向にあり、磁性層が厚いと出力が低下する記録時の自
己減磁損失、再生時の厚み損失の問題が大きくなってい
る。このため、磁性層の薄層化が行われているが、2μ
m以下の磁性層を直接支持体に塗布すると磁性層の表面
に非磁性支持体の影響が表れやすくなり、電磁変換特性
やドロップアウトの悪化傾向が見られる。このような状
況に対し、最近ではさらに記録密度を高めるために、ト
ラック幅を一段と狭くした記録再生システムが開発され
ている。これに対応して高感度の磁気抵抗型ヘッド(M
Rヘッド)を使用した再生システムが提案され、ハード
ディスク等で実現されている。しかしながら、既存の磁
気記録媒体では出力は充分に高くても高ノイズであり、
MRヘッドを使用する場合、必ずしも良好なS/Nを得
ることができない。以下にその例を示す。 【0003】例えば、特開平3−214422号公報に
は、非磁性支持体上に高分子樹脂と非磁性粒子を主成分
とするダミー層を設け、該ダミー層の表面をカレンダ処
理により平滑化した後に、前記ダミー層上に磁性層を形
成することで、良好な磁性層表面性を得て、再生出力が
高く、低ノイズの磁気記録媒体が得られる旨が開示され
ている。しかし、この方法により得られた磁気記録媒体
は、磁性体粉末としてガンマ酸化鉄(γ−Fe2O3等)
を使用し、かつ、磁性層の表面粗さが0.01〜0.0
15μmと大きい値を示していたため、高密度記録用と
して必要なS/Nを確保することができない。さらに、
この磁気記録媒体は、静電気が溜まりやすい構造であっ
たため、MRヘッド記録再生時に静電破壊を受けやすい
という問題があった。 【0004】また、特開平2000−11354号公報
は、下層非磁性層を塗布し、乾燥した後に上層磁性層を
塗布するいわゆるwet on dry塗布方式で形成した磁気記
録媒体を開示する。しかし、この磁気記録媒体は、下層
の表面粗さが3.0nmと大きい上、特にMRヘッドを
用いた場合に充分なS/Nを得ることができなかった。
また、この磁気記録媒体には、記録再生時にMRヘッド
が静電破壊を受けやすいという問題もあった。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明の目的
は、高密度磁気記録においても充分なS/Nを確保で
き、かつ、MRヘッドを使用した記録再生においてもM
Rヘッドが静電破壊されにくい磁気記録媒体を提供する
ことにある。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、塗布型の
磁気記録媒体において、磁性層上の表面状態を改善すべ
く鋭意検討を重ねた結果、高S/Nが確保でき、しかも
MRヘッド記録再生時に静電破壊のない磁気記録媒体の
開発に成功し、本発明を完成するに至った。すなわち、
本発明は、非磁性支持体の少なくとも一方の面に、非磁
性粉末及び結合剤を含む非磁性層と、強磁性金属粉末又
は強磁性六方晶フェライト粉末及び結合剤を含む磁性層
と、をこの順に有する磁気記録媒体であって、前記非磁
性層が平均粒径10〜30nmのカーボンブラックを前
記非磁性粉末100質量部に対して10〜50質量部含
有し、前記磁性層の厚さが0.2μm以下であり、電子
線マイクロアナリシスによる前記強磁性粉末に起因する
元素の平均強度aに対する該強度の標準偏差bが0.0
3≦b/a≦0.4であり、かつ、前記磁性層の中心面
平均粗さRaが5nm以下、10点平均粗さRzが50
nm以下であることを特徴とする磁気記録媒体に関す
る。 【0007】本発明の好ましい態様は、次のとおりであ
る。 (1) 前記磁気記録媒体が、前記非磁性支持体上に非
磁性粉末及び結合剤を含有する非磁性層塗料を塗布し乾
燥して非磁性層を形成した後に、前記磁性層を形成する
前記磁気記録媒体。 (2) 前記非磁性層を形成した後に、前記非磁性層の
カレンダ処理を行う前記磁気記録媒体。 (3) 記録再生時にMRヘッドを用いるMRヘッド再
生用の磁気記録媒体。 【0008】 【発明の実施の形態】以下、本発明の磁気記録媒体をさ
らに詳しく説明する。本発明の磁気記録媒体は、非磁性
層(以下、下層ともいう。)が平均粒径10〜30nm
のカーボンブラックを非磁性粉末100質量部に対して
10〜50質量部含有することを第一の特徴とする。本
発明の非磁性層で使用するカーボンブラックの平均粒径
は、10〜30nmであり、15〜25nmであること
が好ましく、18〜22nmであることがさらに好まし
い。 【0009】また、下層におけるカーボンブラックの含
有量は、非磁性粉末100質量部に対して10〜50質
量部、好ましくは20〜40質量部、さらに好ましくは
20〜30質量部含有させるようにする。カーボンブラ
ックの平均粒径を10〜30nm及びカーボンブラック
の含有量を非磁性粉末に対して10〜50質量部の範囲
にすることで、磁性層の表面電気抵抗を低下させ、静電
気の溜まりにくい構造にすることができ、かつMRヘッ
ドの静電破壊を抑制することができる。 【0010】その他、下層にカーボンブラックを含有さ
せることにより、光透過率を小さくし、かつ、所望のマ
イクロビッカース硬度を得るという公知の効果を得るこ
とができる。また、下層にカーボンブラックを含ませる
ことで潤滑剤貯蔵の効果をもたらすことも可能である。 【0011】下層で使用されるカーボンブラックの比表
面積は、通常100〜500m2/gであり、150〜
400m2/gであることが好ましい。DBP吸油量
は、20〜400ml/100gであり30〜400m
l/100gであることが好ましい。カーボンブラック
のpHは2〜10、含水率は0.1〜10%、タップ密
度は0.1〜1g/mlであることが好ましい。 【0012】下層で使用できるカーボンブラックの具体
例としては、例えばWO98/35345に記載のもの
が挙げられる。カーボンブラックは、単独又は組み合わ
せで使用することができる。本発明で使用できるカーボ
ンブラックは、例えば「カーボンブラック便覧」(カー
ボンブラック協会編)を参考にすることができる。 【0013】本発明の磁気記録媒体は、磁性層の厚さが
0.2μm以下であり、電子線マイクロアナリシスによ
る前記強磁性粉末に起因する元素の平均強度aに対する
該強度の標準偏差bが0.03≦b/a≦0.4である
ことを第二の特徴とする。磁性層の厚さは、0.2μm
以下とするが、0.01〜0.15μmであることが好
ましく、0.01〜0.1μmであることがさらに好ま
しい。磁性層を0.2μm以下とすることで、自己減磁
損失が小さく出力を向上することができ、かつ良好なオ
ーバーライト特性(以下「PW50」ともいう)が得ら
れ、高密度記録に有利となる。また、磁性層の厚さが
0.2μm以下であれば、表面電気抵抗が高くなり、M
Rヘッドが静電破壊されることはない。 【0014】本発明の磁性層における電子線マイクロア
ナリシスによる前記強磁性粉末に起因する元素の平均強
度aに対する該強度の標準偏差bは、0.03≦b/a
≦0.4とする。電子線マイクロアナリシス(EPM
A)は、磁性層内の各領域における強磁性粉末の充填度
の分布、すなわち、強磁性粉末の充填性を強磁性粉末に
起因する平均強度aと該強度の標準偏差bとを用いて評
価することができる。すなわち、b/a値が小さいほ
ど、強磁性粉末の凝集、非磁性層−磁性層間の界面変動
や界面の流れ等による充填性の不均一性が少ないことを
示す。本発明の磁気記録媒体では、EPMAで評価した
際にb/a値が所定の範囲になるように強磁性粉末のサ
イズ等を制御する。そこで、先ずEPMAによる評価法
を以下に説明する。 【0015】島津社製EPMA−1600を使用し、電
子ビーム加速電圧15kV、30nA、ビーム径1μm
Φの条件で、磁性層表面から100×100μmの範囲
を少なくとも500×500画素で目的の元素の強度マ
ッピングを測定する。強磁性粉末を構成する元素から固
有の元素、例えば、Fe、Co、Ba等の何れかを選択
する。得られた元素強度マッピングの結果において、強
度を256段階に分割してZEISS製画像解析装置K
S400を用いて強度分布の標準偏差b及び平均強度a
を求め、b/a値を算出する。 【0016】b/a値を制御する手段は、公知の手段か
ら適宜選択し、必要に応じて最適化することができる。
このような制御手段としては、例えば、強磁性粉末、研
磨剤、カーボンブラックなどのサイズ及び形状の制御、
結合剤の選定、分散剤、潤滑剤、界面活性剤等の各種添
加剤等の選定、磁性塗布液の分散方法、並びに塗布方
法、配向方法等の選定、カレンダ処理条件の選定等が挙
げられる。中でも塗布方法による制御が好ましい。塗布
方法は、逐次重層塗布を挙げることができる。 【0017】本発明においてb/a値は、0.03≦b
/a≦0.4、好ましくは0.03≦b/a≦0.3、
さらに好ましくは、0.03≦b/a≦0.2に制御さ
れる。b/a値が0.03≦b/a≦0.4であれば、
自己減磁損失もなく、また強磁性粉末の充填性が均一と
なるため、S/Nを改善でき、所望のS/Nを得ること
ができる。 【0018】本発明の磁気記録媒体は、磁性層の中心面
平均粗さRaが5nm以下であり、10点平均粗さRz
が50nm以下であることを第三の特徴とする。磁性層
の中心面平均粗さRa(以下、Raともいう)は、磁性
層表面をWYKO社製HD−2000型を用いて測定す
ることにより求めることができる。Raは、5nm以
下、好ましくは0.5〜4nm、さらに好ましは0.5
〜3nmに制御する。Raが5nm以下することによ
り、ヘッド−媒体間のスペーシングを低下させることが
でき、出力の向上とPW50の低減を達成することがで
きる。また、磁性層の10点平均粗さRz(以下、Rz
ともいう)は、Raと同じ測定方法により測定すること
により求めることができる。Rzは、50nm以下、好
ましくは5〜40nm、さらに好ましくは5〜30nm
に制御する。10点平均粗さRzが50nm以下とする
ことにより、ヘッド−媒体間のスペーシングを低減させ
ることができ、特に媒体ノイズの低減を達成することが
できる。 【0019】Ra及びRzは、非磁性層に添加するカー
ボンブラックの平均粒径が10〜30nmのものを選択
し、かつ、該カーボンブラックの含有量を非磁性粉末1
00質量部に対して10〜50質量部とするほか、次の
少なくとも1又は2以上の方法により、所定の値に制御
することができる。 (1)非磁性層に含有させる非磁性粉末の平均粒径を
0.2μm以下、好ましくは 0.01〜0.15μ
m、さらに好ましくは0.01〜0.1μmとする。 (2)非磁性層を塗布した後、非磁性層表面のカレンダ
処理を行い、非磁性層のRaを10nm以下、好ましく
は1〜5nm、さらに好ましくは1〜3nmとし、非磁
性層のRzを100nm以下、好ましくは10〜50n
m、さらに好ましくは10〜30nmに調整する。 (3)磁性層を形成した後に、処理温度70℃以上、好
ましくは80℃以上、処理線圧196kN/m(200
kg/cm)以上、好ましくは294kN/m(300
kg/cm)以上の条件でカレンダ処理を行う。 (4)その他、必要に応じて磁性塗料の分散時間を長く
設定する。 【0020】次に、本発明の磁気記録媒体の磁性層、非
磁性層、非磁性支持体等の各層についてさらに詳しく説
明する。 【0021】[磁性層]本発明の磁気記録媒体は、非磁
性支持体の少なくとも一方の面に磁性層(以下、単に上
層ともいう。)を有する。したがって、上層は非磁性支
持体の片面だけでも、あるいは両面に設けても構わな
い。また一方側に形成される上層は、単層でも互いに組
成の異なる複層であってもよい。さらに、本発明の磁気
記録媒体は、非磁性支持体と上層の間に実質的に非磁性
である下層(非磁性層)を有する。 【0022】上層は、下層が乾燥した後に設けるwet on
dry(W/D)又は下層を同時又は逐次塗布後、下層が
湿潤状態の内に設けるwet on wet(W/W)のいずれの
塗布方法により形成することができる。磁性層の厚み分
布に起因するノイズを小さくする観点からは、乾燥後塗
布法(W/D)の方が好ましい。W/Dでは下層形成後
に下層表面をカレンダ処理等による表面処理工程を有効
に活用でき、薄層でも上層(磁性層)の表面粗さを良化
できる。磁性層に使用する強磁性粉末としては、強磁性
金属粉末又は六方晶系フェライト粉末が好ましい。 【0023】<強磁性金属粉末>強磁性金属粉末として
は、α-Feを主成分とする強磁性金属粉末が好まし
い。強磁性金属粉末には所定の原子以外にAl、Si、
Ca、Mg、Ti、Cr、Cu、Y、Sn、Sb、B
a、W、La、Ce、Pr、Nd、P、Co、Mn、Z
n、Ni、Sr、Bなどの原子を含んでもかまわない。
特に、Al、Ca、Mg、Y、Ba、La、Nd、S
m、Co、Niの少なくとも1つをα-Fe以外に含む
ことが好ましい。Coは、Feと合金を作ると飽和磁化
が増加し、かつ減磁が改良されるので特に好ましい。C
oの含有量はFeに対して1〜40原子%が好ましく、
さらに好ましくは15〜35原子%、より好ましくは2
0〜35原子%である。 【0024】Y等の希土類元素の含有量は、1.5〜1
2原子%であることが好ましく、3〜10原子%である
ことがより好ましく、4〜9原子%であることがさらに
好ましい。Alは1.5〜12原子%であることが好ま
しく、3〜10原子%であることがより好ましく、4〜
9原子%であることがさらに好ましい。Yを含む希土類
やAlは焼結防止剤として機能しており、組み合わせて
使用することでより高い焼結防止効果が得られる。これ
らの強磁性粉末にはあとで述べる分散剤、潤滑剤、界面
活性剤、帯電防止剤などで分散前にあらかじめ処理を行
ってもかまわない。具体的には、特公昭44-1409
0号公報、特公昭45-18372号公報、特公昭47-
22062号公報、特公昭47-22513号公報、特
公昭46-28466号公報、特公昭46-38755号
公報、特公昭47-4286号公報、特公昭47-124
22号公報、特公昭47-17284号公報、特公昭4
7-18509号公報、特公昭47-18573号公報、
特公昭39-10307号公報、特公昭46-39639
号公報、米国特許第3026215号、同303134
1号、同3100194号、同3242005号、同3
389014号等の各公報に記載されている。 【0025】強磁性金属粉末には少量の水酸化物又は酸
化物が含まれてもよい。強磁性金属粉末の公知の製造方
法により得られたものを用いることができ、下記の方法
を挙げることができる。焼結防止処理を行った含水酸化
鉄、酸化鉄を水素などの還元性気体で還元してFe又は
Fe-Co粒子などを得る方法、複合有機酸塩(主とし
てシュウ酸塩)と水素などの還元性気体で還元する方
法、金属カルボニル化合物を熱分解する方法、強磁性金
属の水溶液に水素化ホウ素ナトリウム、次亜リン酸塩あ
るいはヒドラジンなどの還元剤を添加して還元する方
法、金属を低圧の不活性気体中で蒸発させて粉末を得る
方法などである。このようにして得られた強磁性金属粉
末は、公知の徐酸化処理する。含水酸化鉄、酸化鉄を水
素などの還元性気体で還元し、酸素含有ガスと不活性ガ
スの分圧、温度、時間を制御して表面に酸化皮膜を形成
する方法が、減磁量が少なく好ましい。 【0026】本発明の磁性層の強磁性金属粉末をBET
法による比表面積(SBET)で表せば、40〜80m2/
gであり、好ましくは45〜70m2/gである。比表
面積(SBET)が40〜80m2/gであれば、ノイズを
抑えることができ、かつ平滑な表面を得ることができる
ため好ましい。本発明の磁性層における強磁性金属粉末
の結晶子サイズは80〜180Åであり、好ましくは1
00〜170Å、さらに好ましくは110〜165Åで
ある。強磁性金属粉末の平均長軸長は、0.02〜0.
25μmであり、0.03〜0.15μmであることが
好ましく、0.03〜0.12μmであることがさらに
好ましい。 【0027】強磁性金属粉末の平均針状比((長軸長/
短軸長)の平均)は、3〜15であることが好ましく、
3〜10であることがさらに好ましい。強磁性金属粉末
の飽和磁化σsは、通常、90〜170A・m2/kg
であり、100〜160A・m2/kgであることが好
ましく、110〜160A・m2/kgであることがさ
らに好ましい。強磁性金属粉末の抗磁力(Hc)は、1
35〜279kA/mであることが好ましく、143〜
239kA/mであることがさらに好ましい。 【0028】強磁性金属粉末の含水率は0.1〜2質量
%とするのが好ましい。結合剤の種類によって強磁性金
属粉末の含水率は最適化するのが好ましい。強磁性金属
粉末のpHは、用いる結合剤との組み合わせにより最適
化することが好ましい。その範囲は6〜12であるが、
好ましくは7〜11である。強磁性金属粉末のSA(ス
テアリン酸)吸着量(表面の塩基性点の尺度)は1〜1
5μmol/m2であり、2〜10μmol/m2である
ことが好ましく、3〜8μmol/m2であることがさ
らに好ましい。ステアリン酸吸着量が多い強磁性金属粉
末を使用する場合には、表面に強く吸着する有機物で表
面修飾して磁気記録媒体を作成することが好ましい。強
磁性金属粉末には可溶性のNa、Ca、Fe、Ni、S
r、NH 4、SO4、Cl、NO2、NO3などの無機イオ
ンを含む場合がある。これらは、本質的にない方が好ま
しい。各イオンの総和が300ppm以下程度であれ
ば、特性には影響しない。また、本発明に用いられる強
磁性金属粉末は、空孔が少ないほうが好ましく、その値
は20容量%以下であり、5容量%以下であることがさ
らに好ましい。形状については、先に示した粉体サイ
ズ、磁気特性を満足すれば針状、米粒状、紡錘状のいず
れでもかまわない。強磁性金属粉末自体のSFD(swit
ching field distribution)は小さい方が好ましく、
強磁性金属粉末の抗磁力(Hc)分布を小さくする必要
がある。テ-プのSFDが小さいと、磁化反転がシャー
プでピークシフトが小さくなり、高密度デジタル磁気記
録に好適である。抗磁力(Hc)分布を小さくするため
には、強磁性金属粉末においてはゲ-タイトの粒度分布
をよくする、単分散α-Fe2O3を使用する、粒子間の
焼結を防止するなどの方法がある。 【0029】<六方晶系フェライト粉末>本発明の磁性
層に含まれる六方晶系フェライトとしては、バリウムフ
ェライト、ストロンチウムフェライト、鉛フェライト、
カルシウムフェライトの各置換体、Co置換体等があ
る。具体的にはマグネトプランバイト型のバリウムフェ
ライト及びストロンチウムフェライト、スピネルで粒子
表面を被覆したマグネトプランバイト型フェライト、更
に一部スピネル相を含有したマグネトプランバイト型の
バリウムフェライト及びストロンチウムフェライト等が
挙げられる。その他、所定の原子以外にAl、Si、
S,Sc、Ti、V、Cr、Cu、Y、Mo、Rh、P
d、Ag、Sn、Sb、Te、Ba、Ta、W、Re、
Au、Hg、Pb、Bi、La、Ce、Pr、Nd、
P、Co、Mn、Zn、Ni、Sr、B、Ge、Nbな
どの原子を含んでもかまわない。一般にはCo-Zn、
Co-Ti、Co-Ti-Zr、Co-Ti-Zn、Ni-T
i-Zn、Nb-Zn-Co、SbーZn-Co、Nb-Z
n等の元素を添加したものを使用することができる。原
料・製法によっては特有の不純物を含有するものもあ
る。 【0030】本発明に用いる六方晶系フェライト粉末の
平均板径は、記録密度によって異なるが、通常、10〜
50nmであり、10〜40nmであることが好まし
く、10〜35nmであることが特に好ましい。ここで
板径とは、六方晶系フェライト磁性粉の六角柱底面の六
角径の最大径を意味し、平均板径とはその算術平均であ
る。特にトラック密度を上げるため、磁気抵抗ヘッドで
再生する場合は、低ノイズにする必要があり、板径は3
5nm以下であることが好ましいが、10〜50nmの
範囲であれば、熱揺らぎの影響を受けない安定な磁化が
望め、かつ、ノイズを抑えることができるため、高密度
磁気記録に好適となる。板状比(板径/板厚)は1〜1
5であることが望ましく、1〜7であることが好まし
い。板状比が1以上であれば、磁性層中の高充填性を維
持しつつ、充分な配向性が得られる。また板状比が15
以下であれば、粒子間のスタッキングによる影響を受け
難くなり、ノイズが大きくなることもない。 【0031】上記粒子サイズ範囲のBET法による比表
面積は30〜200m2/gを示す。比表面積は、概ね
粒子板径と板厚からの算術計算値と符号する。粒子板径
・板厚の分布は、通常、狭いほど好ましい。数値化は困
難であるが粒子TEM写真より500粒子を無作為に測
定することで比較できる。分布は正規分布ではない場合
が多いが、計算して平均サイズに対する標準偏差で表す
とσ/平均サイズ=0.1〜2.0である。粒子サイズ
分布をシャープにするには粒子生成反応系をできるだけ
均一にすると共に、生成した粒子に分布改良処理を施す
ことも行われている。例えば、酸溶液中で超微細粒子を
選別的に溶解する方法等も知られている。 【0032】磁性体で測定される抗磁力(Hc)は、3
9.8〜398kA/m(500〜5000 Oe)程
度まで作成できる。抗磁力(Hc)は高い方が高密度記
録に有利であるが、記録ヘッドの能力で制限される。抗
磁力(Hc)は粒子サイズ(板径・板厚)、含有元素の
種類と量、元素の置換サイト、粒子生成反応条件等によ
り制御できる。飽和磁化(σs)は30〜80A・m2
/kgであり、微粒子になるほど小さくなる傾向があ
る。製法では結晶化温度又は熱処理温度時間を小さくす
る方法、添加する化合物を増量する、表面処理量を多く
する方法等がある。またW型六方晶フェライトを用いる
ことも可能である。磁性体を分散する際に磁性体粒子表
面を分散媒、ポリマーに合った物質で処理することも行
われている。 【0033】表面処理材は、無機化合物、有機化合物が
使用される。主な化合物としてはSi、Al、P、等の
酸化物または水酸化物、各種シランカップリング剤、各
種チタンカップリング剤が代表例である。添加量は磁性
体に対して0.1〜10%である。磁性体のpHも分散
に重要である。通常4〜12程度で分散媒、ポリマーに
より最適値があるが、媒体の化学的安定性、保存性から
6〜11程度が選択される。磁性体に含まれる水分も分
散に影響する。分散媒、ポリマーにより最適値があるが
通常0.01〜2.0%が選ばれる。 【0034】六方晶フェライトの製法としては、酸化
バリウム、酸化鉄、鉄を置換する金属酸化物とガラス形
成物質として酸化ホウ素等を所望のフェライト組成にな
るように混合した後溶融し、急冷して非晶質体とし、次
いで再加熱処理した後、洗浄・粉砕してバリウムフェラ
イト結晶粉体を得ガラス結晶化法、バリウムフェライ
ト組成金属塩溶液をアルカリで中和し、副生成物を除去
した後、100℃以上で液相加熱し、洗浄、乾燥及び粉
砕してバリウムフェライト結晶粉体を得る水熱反応法、
バリウムフェライト組成金属塩溶液をアルカリで中和
し、副生成物を除去した後乾燥し1100℃以下で処理
し、粉砕してバリウムフェライト結晶粉体を得る共沈法
等があるが、本発明は製法を選ばない。 【0035】[非磁性層(下層)]次に非磁性層(下
層)に関する詳細な内容について説明する。非磁性層と
しては非磁性無機粉末と結合剤を主体とするものが好ま
しい。非磁性層に用いられる非磁性無機粉末としては、
例えば、金属酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属窒
化物、金属炭化物、金属硫化物、等の無機質化合物から
選択することができる。無機化合物としては例えばα化
率90%以上のα-アルミナ、β-アルミナ、γ-アルミ
ナ、θ-アルミナ、炭化ケイ素、酸化クロム、酸化セリ
ウム、α-酸化鉄、ヘマタイト、ゲータイト、コランダ
ム、窒化珪素、チタンカ-バイト、酸化チタン、二酸化
珪素、酸化スズ、酸化マグネシウム、酸化タングステ
ン、酸化ジルコニウム、窒化ホウ素、酸化亜鉛、炭酸カ
ルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二硫化モリ
ブデンなどが単独又は組み合わせで使用される。特に好
ましいのは、粒度分布の小ささ、機能付与の手段が多い
こと等から、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、硫酸バ
リウムであり、さらに好ましいのは二酸化チタン、α酸
化鉄である。これら非磁性無機粉末の平均粒子径は0.
005〜2μmであることが好ましい。必要に応じて平
均粒子径の異なる非磁性無機粉末を組み合わせたり、単
独の非磁性無機粉末でも粒径分布を広くして同様の効果
をもたせることもできる。とりわけ好ましいのは非磁性
無機粉末の平均粒子径は0.01〜0.2μmである。
特に、非磁性無機粉末が粒状金属酸化物である場合は、
平均粒子径0.08μm以下であることが好ましく、針
状金属酸化物である場合には、平均長軸長が0.3μm
以下であることが好ましく、0.2μm以下であること
がさらに好ましい。 【0036】タップ密度は通常、0.05〜2g/m
l、好ましくは0.2〜1.5g/mlである。非磁性
無機粉末の含水率は通常、0.1〜5質量%、好ましく
は0.2〜3質量%、さらに好ましくは0.3〜1.5
質量%である。非磁性無機粉末のpHは通常、2〜11
であるが、pHは5.5〜10の間が特に好ましい。非
磁性無機粉末の比表面積は通常、1〜100m2/gで
あり、5〜80m2/gであることが好ましく、10〜
70m2/gであることがさらに好ましい。非磁性無機
粉末の結晶子サイズは、0.004〜1μmであること
が好ましく、0.04〜0.1μmであることがさらに
好ましい。DBP(ジブチルフタレート)を用いた吸油
量は通常、5〜100ml/100gであり、10〜8
0ml/100gであることが好ましく、20〜60m
l/100gであることがさらに好ましい。比重は、通
常、1〜12であり、3〜6であることがさらに好まし
い。形状は、針状、球状、多面体状、板状のいずれであ
ってもよい。モース硬度は、4〜10であることが好ま
しい。非磁性無機粉末のSA(ステアリン酸)吸着量
は、1〜20μmol/m2であり、2〜15μmol
/m2、であることがより好ましく、3〜8μmol/
m2であることがさらに好ましい。pHは、3〜6の間
にあることが好ましい。 【0037】これらの非磁性無機粉末の表面には、表面
処理によりAl2O3、SiO2、TiO2、ZrO2、S
nO2、Sb2O3、ZnO、Y2O3が存在することが好
ましい。特に分散性に好ましいのはAl2O3、Si
O2、TiO2、ZrO2であるが、さらに好ましいのは
Al2O3、SiO2、ZrO2である。これらは組み合わ
せて使用してもよいし、単独で用いることもできる。ま
た、目的に応じて共沈させた表面処理層を用いてもよい
し、先ずアルミナを存在させた後にその表層にシリカを
存在させる方法、又はその逆の方法を採ることもでき
る。また、表面処理層は目的に応じて多孔質層にしても
構わないが、均質で密である方が一般には好ましい。本
発明の下層に用いられる非磁性無機粉末の具体的な例及
び製造法としては、WO98/35345に記載のもの
が例示される。 【0038】下層にはさらに目的に応じて、有機質粉末
を添加することもできる。例えば、アクリルスチレン系
樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、メラミン系樹脂
粉末、フタロシアニン系顔料が挙げられる。また、ポリ
オレフィン系樹脂粉末、ポリエステル系樹脂粉末、ポリ
アミド系樹脂粉末、ポリイミド系樹脂粉末、ポリフッ化
エチレン樹脂も使用することができる。その製法は特開
昭62-18564号公報、特開昭60-255827号
公報に記されているようなものが使用できる。 【0039】下層あるいは後述のバック層の結合剤、潤
滑剤、分散剤、添加剤、溶剤、分散方法その他は、以下
に記載する磁性層のそれが適用できる。特に、結合剤の
量、種類、添加剤、分散剤の添加量、種類に関しては磁
性層に関する公知技術が適用できる。 【0040】[結合剤]本発明の磁気記録媒体の上層で
使用できる結合剤としては、従来公知の熱可塑性樹脂、
熱硬化性樹脂、反応型樹脂やこれらの混合物を挙げるこ
とができる。熱可塑性樹脂としては、ガラス転移温度が
-100〜150℃、数平均分子量が1,000〜20
0,000、好ましくは10,000〜100,00
0、重合度が約50〜1000程度のものである。この
ような例としては、塩化ビニル、酢酸ビニル、ビニルア
ルコール、マレイン酸、アクリル酸、アクリル酸エステ
ル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、メタクリル
酸、メタクリル酸エステル、スチレン、ブタジエン、エ
チレン、ビニルブチラール、ビニルアセタール、ビニル
エ-テル等を構成単位として含む重合体又は共重合体、
ポリウレタン樹脂、各種ゴム系樹脂がある。また、熱硬
化性樹脂又は反応型樹脂としては、フェノール樹脂、エ
ポキシ樹脂、ポリウレタン硬化型樹脂、尿素樹脂、メラ
ミン樹脂、アルキド樹脂、アクリル系反応樹脂、ホルム
アルデヒド樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ-ポリアミ
ド樹脂、ポリエステル樹脂とイソシアネートプレポリマ
ーの混合物、ポリエステルポリオールとポリイソシアネ
ートの混合物、ポリウレタンとポリイソシアネートの混
合物等が挙げられる。これらの樹脂については朝倉書店
発行の「プラスチックハンドブック」に詳細に記載され
ている。また、公知の電子線硬化型樹脂を各層に使用す
ることも可能である。 【0041】これらの例とその製造方法については特開
昭62-256219号公報に詳細に記載されている。
以上の樹脂は単独又は組み合わせて使用できるが、好ま
しいものとして塩化ビニル樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル
共重合体、塩化ビニル酢酸ビニルビニルアルコール共重
合体、塩化ビニル酢酸ビニル無水マレイン酸共重合体か
ら選ばれる少なくとも1種とポリウレタン樹脂の組み合
わせ、又はこれらにポリイソシアネートを組み合わせた
ものが挙げられる。 【0042】ポリウレタン樹脂の構造は、ポリエステル
ポリウレタン、ポリエーテルポリウレタン、ポリエーテ
ルポリエステルポリウレタン、ポリカーボネートポリウ
レタン、ポリエステルポリカーボネートポリウレタン、
ポリカプロラクトンポリウレタンなど公知のものが使用
できる。ここに示したすべての結合剤について、より優
れた分散性と耐久性を得るためには必要に応じ、-CO
OM、-SO3M、-OSO3M、-P=O(OM)2、-O-P
=O(OM)2、(以上につき、Mは水素原子又はアルカ
リ金属塩基)、-NR2、-N+R3(Rは炭化水素基)、
エポキシ基、-SH、-CNなどから選ばれる少なくとも
1つ以上の極性基を共重合又は付加反応で導入したもの
を用いることが好ましい。このような極性基の量は10
-1〜10-8モル/gであり、好ましくは10-2〜10-6
モル/gである。 【0043】これら極性基以外にポリウレタン分子末端
に少なくとも1個ずつ、合計2個以上のOH基を有する
ことが好ましい。OH基は硬化剤であるポリイソシアネ
ートと架橋して3次元の網状構造を形成するので、分子
中に多数含むほど好ましい。特にOH基は分子末端にあ
る方が硬化剤との反応性が高いので好ましい。ポリウレ
タンは、分子末端にOH基を3個以上有することが好ま
しく、4個以上有することが特に好ましい。本発明にお
いて、ポリウレタンを用いる場合はガラス転移温度が通
常、-50〜150℃、好ましくは0〜100℃、特に
好ましくは30〜100℃、破断伸びが100〜200
0%、破断応力は通常、0.49〜98MPa(0.0
5〜10kg/mm2)、降伏点は0.49〜98MP
a(0.05〜10kg/mm2)が好ましい。このよ
うな物性を有することにより、良好な機械的特性を有す
る塗膜が得られる。 【0044】本発明に用いられるこれらの結合剤の具体
例としては、塩化ビニル系共重合体としてユニオンカ-
バイト社製VAGH、VYHH、VMCH、VAGF、
VAGD、VROH、VYES、VYNC、VMCC、
XYHL、XYSG、PKHH、PKHJ、PKHC、
PKFE、日信化学工業社製MPR-TA、MPR-TA
5、MPR-TAL、MPR-TSN、MPR-TMF、
MPR-TS、MPR-TM、MPR-TAO、電気化学
社製1000W、DX80、DX81、DX82、DX
83、100FD、日本ゼオン社製MR-104、MR-
105、MR110、MR100、MR555、400
X-110A、ポリウレタン樹脂として日本ポリウレタ
ン社製ニッポランN2301、N2302、N230
4、大日本インキ社製パンデックスT-5105、T-R
3080、T-5201、バ-ノックD-400、D-21
0-80、クリスボン6109、7209、東洋紡社製
バイロンUR8200、UR8300、UR-870
0、RV530、RV280、大日精化社製ポリカ-ボ
ネートポリウレタン、ダイフェラミン4020、502
0、5100、5300、9020、9022、702
0、三菱化成社製ポリウレタン、MX5004、三洋化
成社製ポリウレタン、サンプレンSP-150、旭化成
社製ポリウレタン、サランF310,F210などが挙
げられる。 【0045】下層に用いられる結合剤は、非磁性無機粉
末100質量部に対し、また磁性層に用いられる結合剤
は磁性粉末100質量部に対し、5〜50質量部の範
囲、好ましくは10〜30質量部の範囲で用いることが
できる。塩化ビニル系樹脂を結合剤として用いる場合
は、5〜30質量部、ポリウレタン樹脂を用いる場合は
2〜20質量部、ポリイソシアネートは2〜20質量部
の範囲でこれらを組み合わせて用いることが好ましい
が、例えば、微量の脱塩素によりヘッド腐食が起こる場
合は、ポリウレタンのみまたはポリウレタンとイソシア
ネートのみを使用することも可能である。 【0046】本発明の磁気記録媒体が二層以上で構成さ
れる場合、結合剤量、結合剤中に占める塩化ビニル系樹
脂、ポリウレタン樹脂、ポリイソシアネート若しくはそ
れ以外の樹脂の量、磁性層を形成する各樹脂の分子量、
極性基量、又は先に述べた樹脂の物理特性などを必要に
応じ各層とで変えることはもちろん可能であり、むしろ
各層で最適化すべきであり、多層磁性層に関する公知技
術を適用できる。例えば、各層で結合剤量を変更する場
合、磁性層表面の擦傷を減らすためには、磁性層の結合
剤量を増量することが有効であり、ヘッドに対するヘッ
ドタッチを良好にするためには、非磁性層のバインダー
量を多くして柔軟性を持たせることができる。 【0047】本発明に用いられるポリイソシアネートと
しては、トリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェ
ニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシ
アネート、キシリレンジイソシアネート、ナフチレン-
1,5-ジイソシアネート、o-トルイジンジイソシアネ
ート、イソホロンジイソシアネート、トリフェニルメタ
ントリイソシアネート等のイソシアネート類、また、こ
れらのイソシアネート類とポリアルコールとの生成物、
また、イソシアネート類の縮合によって生成したポリイ
ソシアネート等が挙げられる。これらのイソシアネート
類の市販されている商品名としては、日本ポリウレタン
社製コロネートL、コロネートHL、コロネート203
0、コロネート2031、ミリオネートMR、ミリオネ
ートMTL、武田薬品社製タケネートD-102、タケ
ネートD-110N、タケネートD-200、タケネート
D-202、住友バイエル社製デスモジュールL、デス
モジュールIL、デスモジュールN、デスモジュールH
L等があり、これらを単独又は硬化反応性の差を利用し
て2つ若しくはそれ以上の組み合わせで各層とも用いる
ことができる。 【0048】[カーボンブラック]本発明の磁気記録媒
体の磁性層で使用されるカーボンブラックは、ゴム用フ
ァーネス、ゴム用サーマル、カラー用ブラック、アセチ
レンブラック等を用いることができる。比表面積は5〜
500m2/g、DBP吸油量は10〜400ml/1
00g、平均粒子径は5〜300nm、pHは2〜1
0、含水率は0.1〜10%、タップ密度は0.1〜1
g/ml、が好ましい。具体的には、WO98/353
45に記載のもが挙げられる。 【0049】カーボンブラックは磁性層の帯電防止、摩
擦係数低減、遮光性付与、膜強度向上などの働きがあ
り、これらは用いるカーボンブラックにより異なる。従
って、本発明が多層構成の場合には、各層でその種類、
量、組み合わせを変え、粒子径、吸油量、電導度、pH
などの先に示した諸特性をもとに目的に応じて使い分け
ることはもちろん可能であり、むしろ各層で最適化すべ
きものである。なお、非磁性層で使用されるカーボンブ
ラックについては、前述のとおりである。 【0050】[研磨剤]本発明の磁気記録媒体は、研磨
剤を磁性層等に用いることができる。研磨剤としてはα
化率90%以上のα-アルミナ、β-アルミナ、炭化ケイ
素、酸化クロム、酸化セリウム、α-酸化鉄、コランダ
ム、人造ダイヤモンド、窒化珪素、炭化珪素、チタンカ
ーバイト、酸化チタン、二酸化珪素、窒化ホウ素、など
主としてモース硬度6以上の公知の材料が単独又は組み
合わせで使用される。また、これらの研磨剤同士の複合
体(研磨剤を他の研磨剤で表面処理したもの)を使用し
てもよい。 【0051】本発明における研磨剤には主成分以外の化
合物又は元素が含まれる場合もあるが、主成分が90%
以上であれば効果に変わりはない。これら研磨剤の平均
粒子径は、0.01〜2μmであることが好ましく、特
に電磁変換特性(S/N)を高めるためには、その粒度
分布が狭い方が好ましい。また耐久性を向上させるに
は、必要に応じて粒子径の異なる研磨剤を組み合わせた
り、単独の研磨剤でも粒径分布を広くして同様の効果を
もたせることも可能である。 【0052】研磨剤のタップ密度は0.3〜2g/m
l、含水率は0.1〜5%、pHは2〜11、比表面積
は1〜30m2/gであることが好ましい。本発明に用
いられる研磨剤の形状は、針状、球状及びサイコロ状の
いずれでもよいが、形状の一部に角を有するものが研磨
性が高くて好ましい。具体的には、WO98/3534
5に記載のものが挙げられ、中でもダイヤモンドを同記
載のごとく用いると、走行耐久性及び電磁変換特性の改
善に有効である。磁性層、非磁性層に添加する研磨剤の
粒径、量はむろん最適値に設定すべきものである。 【0053】[添加剤]本発明の磁性層と非磁性層に使
用される添加剤としては、潤滑効果、帯電防止効果、分
散効果、可塑効果などを有するものが使用され、組み合
わせることにより総合的な性能向上が図れる。潤滑効果
を示すものとしては、物質表面同士の摩擦により生じる
凝着に著しい作用を示す潤滑剤が使用される。潤滑剤に
は2つの型のものがある。磁気記録媒体に使用される潤
滑剤は、完全に流体潤滑か境界潤滑であるか判定するこ
とはできないが、一般的概念で分類すれば流体潤滑を示
す高級脂肪酸エステル、流動パラフィン、シリコン誘導
体などや境界潤滑を示す長鎖脂肪酸、フッ素系界面活性
剤、含フッ素系高分子などに分類される。塗布型媒体で
は、潤滑剤は結合剤に溶解した状態、また一部は強磁性
粉末表面に吸着した状態で存在するものであり、磁性層
表面に潤滑剤が移行してくるが、その移行速度は結合剤
と潤滑剤との相溶性の良否によって決まる。結合剤と潤
滑剤との相溶性が高いときは移行速度が小さく、相溶性
の低いときには早くなる。相溶性の良否に対する一つの
考え方として、両者の溶解パラメ-タ-の比較がある。流
体潤滑には非極性潤滑剤が有効であり、境界潤滑には極
性潤滑剤が有効である。 【0054】本発明において、これら特性の異なる流体
潤滑を示す高級脂肪酸エステルと境界潤滑を示す長鎖脂
肪酸とを組み合わせることが好ましく、少なくとも3種
組み合わせることがさらに好ましい。これらに組み合わ
せて固体潤滑剤を使用することもできる。固体潤滑剤と
しては例えば二硫化モリブデン、二硫化タングステング
ラファイト、窒化ホウ素、フッ化黒鉛などが使用され
る。境界潤滑を示す長鎖脂肪酸としては、炭素数10〜
24の一塩基性脂肪酸(不飽和結合を含んでも、また分
岐していてもかまわない)、及びこれらの金属塩(L
i、Na、K、Cuなど)が挙げられる。フッ素系界面
活性剤、含フッ素系高分子としてはフッ素含有シリコ-
ン、フッ素含有アルコール、フッ素含有エステル、フッ
素含有アルキル硫酸エステル及びそのアルカリ金属塩な
どが挙げられる。流体潤滑を示す高級脂肪酸エステルと
しては、炭素数10〜24の一塩基性脂肪酸(不飽和結
合を含んでも、また分岐していてもかまわない)と炭素
数2〜12の一価、二価、三価、四価、五価、六価アル
コールのいずれか一つ(不飽和結合を含んでも、また分
岐していてもかまわない)とからなるモノ脂肪酸エステ
ル、ジ脂肪酸エステル又はトリ脂肪酸エステル、アルキ
レンオキシド重合物のモノアルキルエ-テルの脂肪酸エ
ステルなどが挙げられる。また流動パラフィン、そして
シリコン誘導体としてジアルキルポリシロキサン(アル
キルは炭素数1〜5個)、ジアルコキシポリシロキサン
(アルコキシは炭素数1〜4個)、モノアルキルモノア
ルコキシポリシロキサン(アルキルは炭素数1〜5個、
アルコキシは炭素数1〜4個)、フェニルポリシロキサ
ン、フロロアルキルポリシロキサン(アルキルは炭素数
1〜5個)などのシリコ-ンオイル、極性基をもつシリ
コ-ン、脂肪酸変性シリコ-ン、フッ素含有シリコ-ンな
どが挙げられる。 【0055】その他の潤滑剤として炭素数12〜22の
一価、二価、三価、四価、五価、六価アルコール(不飽
和結合を含んでも、また分岐していてもかまわない)、
炭素数12〜22のアルコキシアルコール(不飽和結合
を含んでも、また分岐していてもかまわない)、フッ素
含有アルコールなどのアルコール、ポリエチレンワック
ス、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、エチレング
リコール、ポリエチレンオキシドワックスなどのポリグ
リコール、アルキル燐酸エステル及びそのアルカリ金属
塩、アルキル硫酸エステル及びそのアルカリ金属塩、ポ
リフェニルエ-テル、炭素数8〜22の脂肪酸アミド、
炭素数8〜22の脂肪族アミンなどが挙げられる。 【0056】帯電防止効果、分散効果、可塑効果などを
示すものとして、フェニルホスホン酸、具体的には、日
産化学(株)社の「PPA」など、αナフチル燐酸、フ
ェニル燐酸、ジフェニル燐酸、p-エチルベンゼンホス
ホン酸、フェニルホスフィン酸、アミノキノン類、各種
シランカップリング剤、チタンカップリング剤、フッ素
含有アルキル硫酸エステル及びそのアルカリ金属塩、な
どが使用できる。 【0057】本発明において使用される潤滑剤は、特に
脂肪酸と脂肪酸エステルであることが好ましく、具体的
にはWO98/35345に記載のものが挙げられる。
これらに加えて別異の潤滑剤、添加剤も組み合わせて使
用することができる。 【0058】また、アルキレンオキサイド系、グリセリ
ン系、グリシドール系、アルキルフェノールエチレンオ
キサイド付加体、等のノニオン界面活性剤、環状アミ
ン、エステルアミド、第四級アンモニウム塩類、ヒダン
トイン誘導体、複素環類、ホスホニウムまたはスルホニ
ウム類等のカチオン系界面活性剤、カルボン酸、スルフ
ォン酸、燐酸、硫酸エステル基、燐酸エステル基などの
酸性基を含むアニオン界面活性剤、アミノ酸類、アミノ
スルホン酸類、アミノアルコールの硫酸または燐酸エス
テル類、アルキルベダイン型、等の両性界面活性剤等も
使用できる。これらの界面活性剤については、「界面活
性剤便覧」(産業図書株式会社発行)に詳細に記載され
ている。これらの潤滑剤、帯電防止剤等は必ずしも10
0%純粋ではなく、主成分以外に異性体、未反応物、副
反応物、分解物、酸化物等の不純分が含まれてもかまわ
ない。これらの不純分は30%以下が好ましく、さらに
好ましくは10%以下である。本発明は、脂肪酸エステ
ルとしてWO98/35345に記載のようにモノエス
テルとジエステルを組み合わせて使用することも好まし
い。 【0059】本発明の磁気記録媒体、特にディスク状磁
気記録媒体の磁性層表面のオージェ電子分光法によるC
/Feピーク比は、好ましくは5〜100、特に好まし
くは5〜80である。オージェ電子分光法の測定条件
は、以下の通りである。 装置:Φ社製PHI-660型 測定条件:1次電子線加速電圧3KV 試料電流:130nA 倍率:250倍 傾斜角度:30° 上記条件で、運動エネルギ-(Kinetic Energy)130
〜730eVの範囲を3回積算し、炭素のKLLピーク
と鉄のLMMピークの強度を微分形で求め、C/Feの
比をとることで求める。 【0060】一方、本発明の磁気記録媒体の上層及び下
層の各層に含まれる潤滑剤量は、それぞれ強磁性粉末又
は非磁性無機粉末100質量部に対し5〜30質量部が
好ましい。 【0061】本発明で使用されるこれらの潤滑剤、界面
活性剤は個々に異なる物理的作用を有するものであり、
その種類、量及び相乗的効果を生み出す潤滑剤の併用比
率は、目的に応じ最適に定められるべきものである。非
磁性層、磁性層で融点の異なる脂肪酸を用い表面への滲
み出しを制御する、沸点、融点や極性の異なるエステル
類を用い表面への滲み出しを制御する、界面活性剤量を
調節することで塗布の安定性を向上させる、潤滑剤の添
加量を中間層で多くして潤滑効果を向上させるなど考え
られ、無論ここに示した例のみに限られるものではな
い。一般には潤滑剤の総量として磁性粉末または非磁性
粉末100質量部に対し、0.1〜50質量部、好まし
くは2〜25質量部の範囲で選択される。 【0062】また本発明で用いられる添加剤のすべて又
はその一部は、磁性塗料及び非磁性塗料製造のどの工程
で添加してもかまわない、例えば、混練工程前に磁性体
と混合する場合、磁性体と結合剤と溶剤による混練工程
で添加する場合、分散工程で添加する場合、分散後に添
加する場合、塗布直前に添加する場合などがある。ま
た、目的に応じて磁性層を塗布した後、同時または逐次
塗布で、添加剤の一部または全部を塗布することにより
目的が達成される場合がある。また、目的によってはカ
レンダした後、またはスリット終了後、磁性層表面に潤
滑剤を塗布することもできる。 【0063】[支持体]本発明の磁気記録媒体に用いら
れる支持体は、非磁性可撓性支持体であることが好まし
く、支持体の面内各方向に対し、100℃30分での熱
収縮率が0.5%以下であり、80℃30分での熱収縮
率が0.5%以下、さらに好ましくは0.2%以下であ
ることが好ましい。さらに前記支持体の100℃30分
での熱収縮率及び80℃30分での熱収縮率が前記支持
体の面内各方向に対し、10%以内の差で等しいことが
好ましい。支持体は非磁性であることが好ましい。これ
ら支持体はポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン
ナフタレート、等のポリエステル類、ポリオレフィン
類、セルロ-ストリアセテート、ポリカ-ボネート、芳香
族又は脂肪族ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミ
ド、ポリスルフォン、ポリアラミド、ポリベンゾオキサ
ゾールなどの公知のフィルムが使用できる。ポリエチレ
ンナフタレート、ポリアミドなどの高強度支持体を用い
ることが好ましい。また必要に応じ、磁性面とベ-ス面
の表面粗さを変えるため、特開平3-224127号公
報に示されるような積層タイプの支持体を用いることも
できる。これらの支持体にはあらかじめコロナ放電処
理、プラズマ処理、易接着処理、熱処理、除塵処理、な
どをおこなってもよい。また本発明の支持体としてアル
ミまたはガラス基板を適用することも可能である。 【0064】本発明の目的を達成するには、支持体とし
てWYKO社製HD−2000型を用いて測定した中心
面平均表面粗さRaは4.0nm以下、好ましくは2.
0nm以下のものを使用することが好ましい。これらの
支持体は単に中心面平均表面粗さが小さいだけではな
く、0.5μm以上の粗大突起がないことが好ましい。
また表面の粗さ形状は必要に応じて支持体に添加される
フィラーの大きさと量により自由にコントロールされる
ものである。これらのフィラーとしては一例としてはC
a,Si、Tiなどの酸化物や炭酸塩の他、アクリル系
などの有機粉末が挙げられる。支持体の最大高さRma
xは1μm以下、十点平均粗さRzは0.5μm以下、
中心面山高さRpは0.5μm以下、中心面谷深さRv
は0.5μm以下、中心面面積率Srは10%以上、9
0%以下、平均波長λaは5μm以上、300μm以下
が好ましい。所望の電磁変換特性と耐久性を得るため、
これら支持体の表面突起分布をフィラーにより任意にコ
ントロールできるものであり、0.01〜1μmの大き
さのもの各々を0.1mm2当り0〜2000個の範囲
でコントロールすることができる。 【0065】本発明に用いられる支持体のF-5値は、
49〜490MPa(5〜50kg/mm2)であるこ
とが好ましい。また、支持体の100℃30分での熱収
縮率は、3%以下であることが好ましく、1.5%以下
であることがさらに好ましい。80℃30分での熱収縮
率は、1%以下であることが好ましく、0.5%以下で
あることがさらに好ましい。破断強度は、49〜980
MPa(5〜100kg/mm2)であることが好まし
い。また弾性率は、0.98〜19.6GPa(100
〜2000kg/mm2)であることが好ましい。温度
膨張係数は10- 4〜10-8/℃であり、10-5〜10-6
/℃であることが好ましい。湿度膨張係数は10-4/R
H%以下であり、好ましくは10-5/RH%以下であ
る。これらの熱特性、寸法特性、機械強度特性は、支持
体の面内各方向に対し10%以内の差でほぼ等しいこと
が好ましい。 【0066】[バックコート層]本発明の磁気記録媒体
は、上述のようにバックコート層を設けることもでき
る。磁気ディスクでもバックコート層を設けることはで
きるが、一般に、コンピュータデータ記録用の磁気テー
プは、ビデオテープ、オーディオテープに比較して、繰
り返し走行性が強く要求される。このような高い走行耐
久性を維持させるために、バックコート層には、カーボ
ンブラックと無機粉末が含有されていることが好まし
い。 【0067】バックコート層で使用するカーボンブラッ
クは、平均粒子径の異なる二種類のものを組み合わせて
使用することが好ましい。この場合、平均粒子径が10
〜20nmの微粒子状カーボンブラックと平均粒子径が
230〜300nmの粗粒子状カーボンブラックを組み
合わせて使用することが好ましい。一般に、上記のよう
な微粒子状のカーボンブラックの添加により、バック層
の表面電気抵抗を低く設定でき、また光透過率も低く設
定できる。磁気記録装置によっては、テープの光透過率
を利用し、動作の信号に使用しているものが多くあるた
め、このような場合には特に微粒子状のカーボンブラッ
クの添加は有効になる。また微粒子状カーボンブラック
は一般に液体潤滑剤の保持力に優れ、潤滑剤併用時、摩
擦係数の低減化に寄与する。一方、平均粒子径が230
〜300nmの粗粒子状カーボンブラックは、固体潤滑
剤としての機能を有しており、またバック層の表面に微
小突起を形成し、接触面積を低減化して、摩擦係数の低
減化に寄与する。 【0068】本発明のバックコート層に用いられる微粒
子状カーボンブラック及び粗粒子状カーボンブラックと
して、市販のものを用いる場合、具体的な商品として
は、WO98/35345に記載のものを挙げることが
できる。バックコート層において、平均粒子径の異なる
二種類のものを使用する場合、10〜20nmの微粒子
状カーボンブラックと230〜300nmの粗粒子状カ
ーボンブラックの含有比率(質量比)は、前者:後者=
98:2〜75:25の範囲にあることが好ましく、9
5:5〜85:15の範囲にあることがさらに好まし
い。バックコート層中のカーボンブラック(二種類のも
のを使用する場合には、その全量)の含有量は、結合剤
100質量部に対して、通常30〜80質量部の範囲で
あり、好ましくは、45〜65質量部の範囲である。 【0069】バックコート層で使用する無機粉末は、硬
さの異なる二種類のものを併用することが好ましい。具
体的には、モース硬度3〜4.5の軟質無機粉末とモー
ス硬度5〜9の硬質無機粉末とを使用することが好まし
い。モース硬度が3〜4.5の軟質無機粉末を添加する
ことで、繰り返し走行による摩擦係数の安定化を図るこ
とができる。しかもこの範囲の硬さでは、摺動ガイドポ
ールが削られることもない。またこの無機粉末の平均粒
子径は、30〜50nmの範囲にあることが好ましい。
モース硬度が3〜4.5の軟質無機粉末としては、例え
ば、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、珪酸カルシウ
ム、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、及び
酸化亜鉛を挙げることができる。これらは、単独で、あ
るいは二種以上を組み合わせて使用することができる。
バックコート層内の軟質無機粉末の含有量は、カーボン
ブラック100質量部に対して10〜140質量部の範
囲にあることが好ましく、35〜100質量部であるこ
とがさらに好ましい。 【0070】モース硬度が5〜9の硬質無機粉末を添加
することにより、バック層の強度が強化され、走行耐久
性が向上する。これらの無機粉末をカーボンブラックや
前記軟質無機粉末と共に使用すると、繰り返し摺動に対
しても劣化が少なく、強いバックコート層となる。ま
た、この無機粉末の添加により、適度の研磨力が付与さ
れ、テープガイドポール等への削り屑の付着が低減す
る。特に軟質無機粉末と併用すると、表面の粗いガイド
ポールに対しての摺動特性が向上し、バックコート層の
摩擦係数の安定化も図ることができる。硬質無機粉末の
平均粒子径は80〜250nmの範囲にあることが好ま
しく、100〜210nmの範囲にあることがさらに好
ましい。モース硬度が5〜9の硬質無機質粉末として
は、例えば、α-酸化鉄、α-アルミナ、及び酸化クロム
(Cr2O3)を挙げることができる。これらの粉末は、
それぞれ単独で用いてもよいし、あるいは併用してもよ
い。これらの内では、α-酸化鉄又はα-アルミナが好ま
しい。硬質無機粉末の含有量は、カーボンブラック10
0質量部に対して通常、3〜30質量部であり、3〜2
0質量部であることが好ましい。 【0071】バックコート層に前記軟質無機粉末と硬質
無機粉末とを併用する場合、軟質無機粉末と硬質無機粉
末との硬さの差が、2以上(さらに好ましくは、2.5
以上、特に、3以上)であるように軟質無機粉末と硬質
無機粉末とを選択して使用することが好ましい。バック
コート層には、前記それぞれ特定の平均粒子径を有する
モース硬度の異なる二種類の無機粉末と、前記平均粒子
径の異なる二種類のカーボンブラックとが含有されてい
ることが好ましい。 【0072】バックコート層には、潤滑剤を含有させる
ことができる。潤滑剤は、前述した非磁性層、あるいは
磁性層に使用できる潤滑剤として挙げた潤滑剤の中から
適宜選択して使用できる。バック層において、潤滑剤
は、結合剤100質量部に対して通常1〜5質量部の範
囲で添加される。 【0073】[層構成]本発明の磁気記録媒体の厚み構
成は、非磁性支持体が通常、2〜100μmであり、2
〜80μmであることが好ましい。コンピューターテー
プの非磁性支持体は、3.0〜6.5μm(好ましく
は、3.0〜6.0μm、さらに好ましくは、4.0〜
5.5μm)の範囲の厚さのものが使用される。本発明
の磁気記録媒体は、前記支持体、好ましくは非磁性可撓
性支持体と非磁性層又は磁性層の間に密着性向上のため
の下塗層をさらに設けてもかまわない。この場合、下塗
層の厚みは0.01〜0.5μmとし、0.02〜0.
5μmであることが好ましい。また、本発明の磁気記録
媒体は、帯電防止やカール補正などの効果を出すために
磁性層が設けられている側と反対側の支持体にバックコ
ート層を設けてもかまわない。バックコート層の厚み
は、通常0.1〜4μmであり、0.3〜2.0μmで
あることが好ましい。これらの下塗層及びバックコート
層は公知のものが使用できる。 【0074】本発明の磁気記録媒体の下層及び上層構成
の磁性層の厚みは、用いるヘッドの飽和磁化量やヘッド
ギャップ長、記録信号の帯域により最適化されるもので
あるが、本発明では0.2μm以下とする。また、下層
の厚みは、通常0.2〜5.0μmであり、0.3〜
3.0μmであることが好ましく、1.0〜2.5μm
であることがさらに好ましい。なお、下層は、実質的に
非磁性であればその効果を発揮するものであり、たとえ
ば不純物として、或いは意図的に少量の磁性粉を含んで
も、本発明の効果を示すものであるかぎり、本発明と実
質的に同一の構成と見なすことができることは言うまで
もない。ここで、実質的に非磁性層とは、下層の残留磁
束密度が10mT以下又は抗磁力Hcが7.96kA/
m(100 Oe)以下であることを示し、好ましくは
残留磁束密度と抗磁力をもたないことを示す。また、下
層に磁性粉を含む場合は、下層の全無機粉末の1/2未
満含むことが好ましい。さらに下層として、非磁性層に
代えて軟磁性粉末と結合剤を含む軟磁性層を形成しても
よい。軟磁性層の厚みは上記下層と同様である。 【0075】磁性層を2層有する磁気記録媒体の場合、
非磁性層や軟磁性層は設けても設けなくともよく、例え
ば、支持体から遠い側の磁性層の厚さを0.01〜0.
1μm、好ましくは0.01〜0.05μmとして、支
持体から近い側の磁性層の厚さを0.05〜0.15μ
mとすることができる。なお、磁性層を単独で有する場
合、上述したように磁性層の厚さを0.2μm以下とす
る。 【0076】[製法]本発明の磁気記録媒体の磁性塗料
を製造する工程は、少なくとも混練工程、分散工程、及
びこれらの工程の前後に必要に応じて設けた混合工程か
らなる。個々の工程は、それぞれ2段階以上に別れてい
てもかまわない。本発明の磁気記録媒体に使用する磁性
粉末、非磁性粉末、結合剤、カーボンブラック、研磨
剤、帯電防止剤、潤滑剤、溶剤などのすべての原料は、
どの工程の最初又は途中で添加してもかまわない。ま
た、個々の原料を2つ以上の工程で分割して添加しても
かまわない。例えば、ポリウレタンを混練工程、分散工
程、分散後の粘度調整のための混合工程で分割して投入
してもよい。本発明の目的を達成するためには、従来の
公知の製造技術を一部の工程として用いることができ
る。混練工程ではオープンニーダ、連続ニーダ、加圧ニ
ーダ、エクストルーダなど強い混練力をもつものを使用
することが好ましい。ニーダを用いる場合は磁性粉末又
は非磁性粉末と結合剤のすべて又はその一部(但し、全
結合剤の30%以上が好ましい)及び磁性粉末100質
量部に対し15〜500質量部の範囲で混練処理され
る。これらの混練処理の詳細については特開平1-10
6338号公報、特開平1-79274号公報に記載さ
れている。また、磁性層液及び非磁性層液を分散させる
には、ガラスビーズを用いることができるが、高比重の
分散メディアであるジルコニアビーズ、チタニアビー
ズ、スチールビーズが好適である。これら分散メディア
の粒径と充填率は最適化して用いられる。分散機は公知
のものを使用することができる。 【0077】本発明で重層構成の磁気記録媒体を塗布す
る場合、磁性層の厚み分布に起因するノイズを小さくす
るために、下層を塗布し乾燥させた後、その上に磁性層
を設ける乾燥後塗布法(wet on dry塗布法)を用いるこ
とが好ましい。なお、本発明で重層構成の磁気記録媒体
を塗布する場合、以下のような方式を用いることが好ま
しい。 (1)磁性塗料の塗布で一般的に用いられるグラビア塗
布、ロール塗布、ブレード塗布、エクストルージョン塗
布装置等により、まず下層を塗布し、下層がウェット状
態のうちに特公平1-46186号公報や特開昭60-2
38179号公報,特開平2-265672号公報に開
示されている支持体加圧型エクストルージョン塗布装置
により上層を塗布する方法。 (2)特開昭63-88080号公報、特開平2-179
71号公報,特開平2-265672号公報に開示され
ているような塗布液通液スリットを二つ内蔵する一つの
塗布ヘッドにより上下層をほぼ同時に塗布する方法。 (3)特開平2-174965号公報に開示されている
バックアップロール付きエクストルージョン塗布装置に
より上下層をほぼ同時に塗布する方法。 【0078】なお、磁性粒子の凝集による磁気記録媒体
の電磁変換特性等の低下を防止するため、特開昭62-
95174号公報や特開平1-236968号公報に開
示されているような方法により塗布ヘッド内部の塗布液
にせん断を付与することが望ましい。さらに、塗布液の
粘度については、特開平3-8471号公報に開示され
ている数値範囲を満足する必要がある。 【0079】ディスクの場合、配向装置を用いず無配向
でも十分に等方的な配向性が得られることもあるが、コ
バルト磁石を斜めに交互に配置すること、ソレノイドで
交流磁場を印加するなど公知のランダム配向装置を用い
ることが好ましい。六方晶系フェライトは、一般的に面
内及び垂直方向の3次元ランダムになりやすいが、面内
2次元ランダムとすることも可能である。また異極対向
磁石など公知の方法を用い、垂直配向とすることで円周
方向に等方的な磁気特性を付与することもできる。特に
高密度記録を行う場合は垂直配向が好ましい。また、ス
ピンコートを用い円周配向としてもよい。 【0080】磁気テープの場合は、コバルト磁石やソレ
ノイドを用いて長手方向に配向する。乾燥風の温度、風
量、塗布速度を制御することで塗膜の乾燥位置を制御で
きるようにすることが好ましく、塗布速度は20〜10
00m/分、乾燥風の温度は60℃以上が好ましい。ま
た磁石ゾ-ンに入る前に適度の予備乾燥を行うこともで
きる。カレンダ処理ロールとしてエポキシ、ポリイミ
ド、ポリアミド、ポリイミドアミド等の耐熱性のあるプ
ラスチックロールまたは金属ロールで処理するが、特に
両面磁性層とする場合は金属ロール同志で処理すること
が好ましい。処理温度は、好ましくは50℃以上、さら
に好ましくは100℃以上である。線圧力は好ましくは
196kN/m(200kg/cm)以上、さらに好ま
しくは294kN/m(300kg/cm)以上であ
る。 【0081】[物理特性]磁気ディスクの場合、角形比
は2次元ランダムの場合、通常、0.55〜0.67で
あり、0.58〜0.64であることが好ましい。ま
た、3次元ランダムの場合、角形比は0.45〜0.5
5であることが好ましい。垂直配向の場合、角形比は垂
直方向に通常0.6以上であり、0.7以上であること
が好ましい。また、反磁界補正を行った場合は、通常
0.7以上であり、0.8以上であることが好ましい。
2次元ランダム及び3次元ランダムとも配向度比は0.
8以上であることが好ましい。2次元ランダムの場合、
垂直方向の角形比、垂直方向のBrおよび垂直方向のH
cは面内方向の0.1〜0.5倍以内とすることが好ま
しい。磁気テープの場合、角型比は0.7以上、好まし
くは0.8以上である。 【0082】本発明の磁気記録媒体のヘッドに対する摩
擦係数は、温度-10〜40℃、湿度0〜95%の範囲
において、通常0.5以下であり、0.3以下であるこ
とが好ましい。表面固有抵抗は、磁性面104〜1012
Ω/sqであることが好ましく、帯電位は-500V〜
+500Vであることが好ましい。磁性層の0.5%伸
びでの弾性率は、面内各方向で980〜19600MP
a(100〜2000kg/mm2)であることが好ま
しく、破断強度は、98〜686MPa(10〜70k
g/mm2)であることが好ましい。磁気記録媒体の弾
性率は、面内各方向で980〜14700MPa(10
0〜1500kg/mm2)であることが好ましい。残
留伸びは、0.5%以下であることが好ましく、100
℃以下のあらゆる温度での熱収縮率は、1%以下である
ことが好ましく、0.5%以下であることがより好まし
く、0.1%以下であることがさらに好ましい。磁性層
のガラス転移温度(110Hzで測定した動的粘弾性測
定の損失弾性率の極大点)は、50〜120℃であるこ
とが好ましく、下層のそれは0〜100℃であることが
好ましい。損失弾性率は、1×105〜8×108Paの
範囲にあることが好ましく、損失正接は0.2以下であ
ることが好ましい。損失正接が大きすぎると粘着故障が
発生しやすい。これらの熱特性や機械特性は媒体の面内
各方向で10%以内であり、かつ、ほぼ等しいことが好
ましい。磁性層中に含まれる残留溶媒は、100mg/
m2以下であることが好ましく、10mg/m2以下であ
ることがさらに好ましい。塗布層が有する空隙率は、下
層、上層とも30容量%以下であることが好ましく、2
0容量%以下であることがさらに好ましい。空隙率は、
高出力を果たすためには小さい方が好ましいが、目的に
よってはある値を確保した方が良い場合がある。例え
ば、繰り返し用途が重視されるディスク媒体では空隙率
が大きい方が走行耐久性は好ましいことが多い。 【0083】本発明の磁性層における中心面平均表面粗
さRa及び10点平均粗さRzは、前記のとおり、それ
ぞれ5nm以下及び50nm以下である。また、磁性層
の最大高さRmaxは0.5μm以下、中心面山高さRp
は0.3μm以下、中心面谷深さRvは0.3μm以
下、中心面面積率Srは20〜80%、平均波長λaは
5〜300μmが好ましい。磁性層の表面突起は0.0
1〜1μmの大きさのものを0〜2000個の範囲で任
意に設定することが可能であり、これにより電磁変換特
性、摩擦係数を最適化することが好ましい。これらは支
持体のフィラーによる表面性のコントロールや磁性層に
添加する粉体の粒径と量、カレンダ処理のロール表面形
状などで容易にコントロールすることができる。カール
は±3mm以内とすることが好ましい。本発明の磁気記
録媒体は、目的に応じ下層と上層でこれらの物理特性を
変えることができるのは容易に推定されることである。
例えば、上層の弾性率を高くし走行耐久性を向上させる
と同時に下層の弾性率を上層より低くして磁気記録媒体
のヘッドへの当りを良くするなどである。 【0084】 【実施例】以下、本発明の具体的実施例を説明するが、
本発明はこれに限定されるべきものではない。なお、以
下の「部」とは別段断らない限り「質量部」のことであ
る。 【0085】磁性塗料A 六方晶バリウムフェライト 100部 表面処理:Al2O3 5重量%、SiO2 2重量% 抗磁力(Hc):199kA/m(2500 Oe) 板径:30nm 板状比:3 飽和磁化(σs):56A・m2/kg(56emu/g) 塩化ビニル共重合体 MR110(日本ゼオン社製) 6部 ポリウレタン樹脂 UR8200(東洋紡社製) 3部 α−アルミナ HIT60(住友化学社製) 4部 ダイヤモンド(平均粒径100nm) 2部 カーボンブラック #50(旭カーボン社製) 1部 イソセチルステアレート 5部 ステアリン酸 1部 オレイン酸 1部 メチルエチルケトン 80部 シクロヘキサノン 120部 【0086】磁性塗料B 強磁性金属粉末 100部 組成:Fe70%、Co30%、 抗磁力(Hc):183kA/m(2300 Oe) 長軸長:0.045μm 結晶サイズ:115Å 飽和磁化(σs):110A・m2/kg(110emu/g) 焼結防止剤 Al化合物(Al/Fe 原子比 14%) Y化合物 (Y/Fe 原子比 7%) 塩化ビニル共重合体 MR110(日本ゼオン社製) 10部 ポリウレタン樹脂 UR8200(東洋紡社製) 4部 α−アルミナ HIT60(住友化学社製) 4部 ダイヤモンド(平均粒径100nm) 2部 カーボンブラック #50(旭カーボン社製) 1部 フェニルホスホン酸 3部 n−ブチルステアレート 1部 ブトキシエチルステアレート 1部 イソセチルステアレート 2部 ステアリン酸 1部 オレイン酸 1部 メチルエチルケトン 140部 シクロヘキサノン 200部 【0087】非磁性塗料 α−Fe2O3 ヘマタイト 100部 長軸長 0.07μm、短軸長 0.014μm BET法による比表面積 55m2/g pH 9 表面処理剤 Al2O3 8質量% カーボンブラック(平均粒径20nm) コンダクテックスSC−U(コロンビアンカーボン社製) 25部 塩化ビニル共重合体 MR104(日本ゼオン社製) 15部 ポリウレタン樹脂 UR5500(東洋紡社製) 7部 フェニルホスホン酸 4部 イソセチルステアレート 6部 オレイン酸 1.3部 ステアリン酸 1.3部 メチルエチルケトン/シクロヘキサノン(8/2混合溶剤) 250部 【0088】(実施例1)上記磁性塗料Aと非磁性塗料
のそれぞれについて、各成分をニーダで混練した後、サ
ンドミルを用いて分散させた。得られた磁性液Aと非磁
性塗料の分散液にポリイソシアネートを非磁性層の塗布
液には13部、磁性塗料Aの塗布液には4部を加え、さ
らにそれぞれにシクロヘキサノン30部を加え、1μm
の平均孔径を有するフィルターを用いて濾過し、非磁性
層形成用及び磁性層形成用の塗布液をそれぞれ調製し
た。得られた非磁性層形成用塗布液を厚さ62μmで中
心面平均表面粗さが3nmのポリエチレンテレフタレー
ト支持体上に乾燥後の厚さが1.5μmになるように塗
布し乾燥した。乾燥後、7段のカレンダで温度90℃、
線圧294kN/m(300kg/cm)で処理を行っ
た。その後、磁性層の厚さが0.1μmになるように非
磁性層上に塗布を行い、乾燥後、7段のカレンダで温度
90℃、線圧294kN/m(300kg/cm)で処
理を行い、3.7吋に打ち抜き、表面研磨処理を施し
た。 【0089】(実施例2〜7)実施例1の非磁性塗料中
に添加するカーボンブラックを表1に記したような平均
粒子径又は添加量に変更したことを除き、実施例1と同
様に作成した。 【0090】(実施例8〜11)実施例1の非磁性層用
塗布液を支持体上に塗布・乾燥した後に行ったカレンダ
処理の線圧及び温度を表1に記載した条件に変更したこ
とを除き、実施例1と同様に作成した。 【0091】(実施例12)実施例1の磁性層厚を0.
1μmから0.15μmに変更したことを除いて、実施
例1と同様に作成した。 【0092】(実施例13)実施例1の磁性層厚を0.
1μmから0.2μmに変更したことを除いて、実施例
1と同様に作成した。 【0093】(実施例14)実施例1の非磁性塗布液を
支持体上に塗布してから乾燥した後に、カレンダ処理を
行わなかったこと以外は、実施例1と同様に作成した。 【0094】(実施例15)実施例1の磁性塗料をAか
らBに変更し、さらに磁性層厚を0.1μmから0.0
7μmに変更したことを除いて、実施例1と同様に作成
した。 【0095】(実施例16〜21)実施例15の非磁性
塗料中に添加するカーボンブラックを表1に記したよう
な平均粒子径及び添加量に変更したことを除いて、実施
例15と同様に作成した。 【0096】(実施例22)実施例15の非磁性塗布液
を支持体上に塗布してから乾燥した後に、カレンダ処理
を行わなかったこと以外は、実施例1と同様に作成し
た。 【0097】(比較例1)実施例1と同様な方法で、磁
性塗料と非磁性塗料を調製し、得られた非磁性層用塗布
液を乾燥後の厚さが1.5μmになるように、さらにそ
の直後にその上に磁性層の厚さが0.1μmになるよう
に、厚さ62μmで中心面平均表面粗さが3nmのポリ
エチレンテレフタレート支持体上に同時重層塗布(wet
on wet)を行った。両層がまだ湿潤状態にあるうちにラ
ンダム配向処理を行い、乾燥後、7段のカレンダで温度
90℃、線圧294kN/m(300kg/cm)で処
理を行い、3.7吋に打ち抜き、表面研磨処理を施し
た。 【0098】(比較例2〜5)実施例1の非磁性塗料中
に添加するカーボンブラックを表1に記したような平均
粒子径、添加量に変更したことを除いて、実施例1と同
様に作成した。 【0099】(比較例6)実施例1の磁性層の厚さを
0.1μmから0.25μmに変更したことを除き、実
施例1と同様の方法により作成した。 【0100】(比較例7)比較例1の磁性塗料をAから
Bに変更し、磁性層厚を0.1μmから0.07μmに
変更したことを除いて、比較例1と同様に作成した。 【0101】(比較例8〜11)実施例15の非磁性塗
料中に添加するカーボンブラックを表1に記したような
平均粒子径及び添加量に変更したことを除いて、実施例
15と同様に作成した。 【0102】[Ra及びRzの測定]WYKO社製HD
−2000型を用い、以下の条件で測定した。 対物レンズ:×50 中間レンズ:×0.5 測定範囲:242μm×184μm データに傾き補正及び円筒補正を施した後、中心面平均
粗さ(Ra)と10点平均粗さ(Rz)を測定した。 【0103】[b/a値の測定]島津社製EPMA−1
600を使用し、電子ビーム加速電圧15kV、30n
A、ビーム径1μmφの条件で磁性層表面から100×
100μmの範囲を少なくとも500×500画素で目
的の元素の強度マッピング測定した。強磁性金属粉末の
場合にはCo、Y等を磁性層固有の元素として選択でき
るが、本実施例ではCoを選択した。六方晶系フェライ
ト磁性体の場合には、Baを磁性層固有の元素として選
択した。得られた元素強度マッピングの結果において強
度を256段階に分割し、ZEISS製画像解析装置K
S400にて強度分布の標準偏差(b)及び、平均値
(a)を求め、b/a値を算出した。 【0104】[S/Nの測定]S/Nの測定は、米GU
ZIK社製のRWA1001型ディスク評価装置及び協
同電子システム(株)製スピンスタンドLS−90に
て、トラック幅5μmでギャップ長0.2μmのメタル
インギャップヘッド用い、半径24.6mmの位置にお
いて線記録密度100KFCIの信号を書き込み、トラ
ック幅が2.6μmのMRヘッドで再生し、その再生出
力(TAA)とDCイレーズ後のノイズレベルを測定
し、S/N値を求めた。なお、比較例4、6及び10
は、測定中にMRヘッドが静電破壊され、測定すること
ができなかった。 【0105】[PW50の測定]PW50の測定は、米
GUZIK社製のRWA1001型ディスク評価装置及
び協同電子システム(株)製スピンスタンドLS−90
にて、トラック幅5μmでギャップ長0.2μmのメタ
ルインギャップヘッド用い、半径24.6mmの位置に
おいて孤立反転波形信号を書き込み、トラック幅が2.
6μmのMRヘッドで再生し、そのPW50を測定し
た。なお、比較例4、6及び10は、測定中にMRヘッ
ドが静電破壊され、測定することができなかった。 【0106】 【表1】【0107】表1に示されるように、カーボンブラック
の平均粒径については、カーボンブラックの含有量を固
定した場合、平均粒径10〜30μmの範囲内であれ
ば、いずれも高S/Nを得ることができた(実施例1〜
3、15〜17)。これに対して、カーボンブラックの
平均粒径が10μmより小さい場合(比較例2、8)及
び大きい場合(比較例3、9)には、いずれも充分なS
/Nが得られなかった。また、カーボンブラックの含有
量については、カーボンブラックの平均粒径を固定した
場合、10〜50質量部の範囲内であれば、いずれも高
S/Nを得ることができた(実施例4〜7、18〜2
1)。これに対して、10部より少ない場合(比較例
4、10)又は多い場合(比較例5、11)にはいずれ
も充分なS/Nが得られなかった。なお、カーボンブラ
ックの含有量が10部より少なくなると、MRヘッドの
静電破壊が起こった(比較例4、10)。これより所定
質量のカーボンブラックを含有すると磁性層の表面電気
抵抗を下げられることが分かる。 【0108】また、下層塗設後にカレンダ処理したもの
の方がカレンダ処理しないものよりも高いS/Nを得る
ことができた(実施例14及び22)。またカレンダ処
理条件については、線圧が高く、かつ、温度が高いほど
高S/N値を得ることができた(実施例9〜11)。さ
らに、Ra値及びRz値については、小さい値を示すも
のほど高S/Nを得ることができた。これより、磁性層
の表面が平滑な磁気記録媒体ほど高いS/Nを示すこと
が分かった。また、塗布方式については、W/Dの方が
W/Wよりも高S/Nを得ることができた(実施例1〜
22、比較例1及び7)。これより磁性層の厚み分布に
起因するノイズを小さくするためには、wet on dry 塗
布が有効であることが分かった。また、wet on dry 塗
布を行う場合、非磁性層の表面状態が磁性層及び非磁性
層の界面の乱れに大きく影響し、非磁性層の表面が平滑
なもの程、高いS/Nを得ることができることが分かっ
た。また、磁性層の厚さが0.25μmである場合には
静電破壊が起こった(比較例6)。これより、磁性層の
厚さが0.2μm以下であれば静電破壊を防ぐことがで
きる。 【0109】 【発明の効果】以上述べたように、本発明の磁気記録媒
体であれば、磁性層の表面粗さに起因するノイズを低減
することができ、優れた電磁変換特性、特に高S/Nを
得ることができる。また、本発明の磁気記録媒体であれ
ば、MRヘッドと媒体間のスペーシングを低減できるた
め、MRヘッドを用いた磁気記録においても静電破壊を
起こすことのない好適な磁気記録媒体を提供することが
できる。
媒体に関する。本発明は、特に薄層磁性層と非磁性層と
を有する高密度記録に適した磁気記録媒体に関する。 【0002】 【従来の技術】近年高密度化と共に記録波長が短くなる
傾向にあり、磁性層が厚いと出力が低下する記録時の自
己減磁損失、再生時の厚み損失の問題が大きくなってい
る。このため、磁性層の薄層化が行われているが、2μ
m以下の磁性層を直接支持体に塗布すると磁性層の表面
に非磁性支持体の影響が表れやすくなり、電磁変換特性
やドロップアウトの悪化傾向が見られる。このような状
況に対し、最近ではさらに記録密度を高めるために、ト
ラック幅を一段と狭くした記録再生システムが開発され
ている。これに対応して高感度の磁気抵抗型ヘッド(M
Rヘッド)を使用した再生システムが提案され、ハード
ディスク等で実現されている。しかしながら、既存の磁
気記録媒体では出力は充分に高くても高ノイズであり、
MRヘッドを使用する場合、必ずしも良好なS/Nを得
ることができない。以下にその例を示す。 【0003】例えば、特開平3−214422号公報に
は、非磁性支持体上に高分子樹脂と非磁性粒子を主成分
とするダミー層を設け、該ダミー層の表面をカレンダ処
理により平滑化した後に、前記ダミー層上に磁性層を形
成することで、良好な磁性層表面性を得て、再生出力が
高く、低ノイズの磁気記録媒体が得られる旨が開示され
ている。しかし、この方法により得られた磁気記録媒体
は、磁性体粉末としてガンマ酸化鉄(γ−Fe2O3等)
を使用し、かつ、磁性層の表面粗さが0.01〜0.0
15μmと大きい値を示していたため、高密度記録用と
して必要なS/Nを確保することができない。さらに、
この磁気記録媒体は、静電気が溜まりやすい構造であっ
たため、MRヘッド記録再生時に静電破壊を受けやすい
という問題があった。 【0004】また、特開平2000−11354号公報
は、下層非磁性層を塗布し、乾燥した後に上層磁性層を
塗布するいわゆるwet on dry塗布方式で形成した磁気記
録媒体を開示する。しかし、この磁気記録媒体は、下層
の表面粗さが3.0nmと大きい上、特にMRヘッドを
用いた場合に充分なS/Nを得ることができなかった。
また、この磁気記録媒体には、記録再生時にMRヘッド
が静電破壊を受けやすいという問題もあった。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明の目的
は、高密度磁気記録においても充分なS/Nを確保で
き、かつ、MRヘッドを使用した記録再生においてもM
Rヘッドが静電破壊されにくい磁気記録媒体を提供する
ことにある。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、塗布型の
磁気記録媒体において、磁性層上の表面状態を改善すべ
く鋭意検討を重ねた結果、高S/Nが確保でき、しかも
MRヘッド記録再生時に静電破壊のない磁気記録媒体の
開発に成功し、本発明を完成するに至った。すなわち、
本発明は、非磁性支持体の少なくとも一方の面に、非磁
性粉末及び結合剤を含む非磁性層と、強磁性金属粉末又
は強磁性六方晶フェライト粉末及び結合剤を含む磁性層
と、をこの順に有する磁気記録媒体であって、前記非磁
性層が平均粒径10〜30nmのカーボンブラックを前
記非磁性粉末100質量部に対して10〜50質量部含
有し、前記磁性層の厚さが0.2μm以下であり、電子
線マイクロアナリシスによる前記強磁性粉末に起因する
元素の平均強度aに対する該強度の標準偏差bが0.0
3≦b/a≦0.4であり、かつ、前記磁性層の中心面
平均粗さRaが5nm以下、10点平均粗さRzが50
nm以下であることを特徴とする磁気記録媒体に関す
る。 【0007】本発明の好ましい態様は、次のとおりであ
る。 (1) 前記磁気記録媒体が、前記非磁性支持体上に非
磁性粉末及び結合剤を含有する非磁性層塗料を塗布し乾
燥して非磁性層を形成した後に、前記磁性層を形成する
前記磁気記録媒体。 (2) 前記非磁性層を形成した後に、前記非磁性層の
カレンダ処理を行う前記磁気記録媒体。 (3) 記録再生時にMRヘッドを用いるMRヘッド再
生用の磁気記録媒体。 【0008】 【発明の実施の形態】以下、本発明の磁気記録媒体をさ
らに詳しく説明する。本発明の磁気記録媒体は、非磁性
層(以下、下層ともいう。)が平均粒径10〜30nm
のカーボンブラックを非磁性粉末100質量部に対して
10〜50質量部含有することを第一の特徴とする。本
発明の非磁性層で使用するカーボンブラックの平均粒径
は、10〜30nmであり、15〜25nmであること
が好ましく、18〜22nmであることがさらに好まし
い。 【0009】また、下層におけるカーボンブラックの含
有量は、非磁性粉末100質量部に対して10〜50質
量部、好ましくは20〜40質量部、さらに好ましくは
20〜30質量部含有させるようにする。カーボンブラ
ックの平均粒径を10〜30nm及びカーボンブラック
の含有量を非磁性粉末に対して10〜50質量部の範囲
にすることで、磁性層の表面電気抵抗を低下させ、静電
気の溜まりにくい構造にすることができ、かつMRヘッ
ドの静電破壊を抑制することができる。 【0010】その他、下層にカーボンブラックを含有さ
せることにより、光透過率を小さくし、かつ、所望のマ
イクロビッカース硬度を得るという公知の効果を得るこ
とができる。また、下層にカーボンブラックを含ませる
ことで潤滑剤貯蔵の効果をもたらすことも可能である。 【0011】下層で使用されるカーボンブラックの比表
面積は、通常100〜500m2/gであり、150〜
400m2/gであることが好ましい。DBP吸油量
は、20〜400ml/100gであり30〜400m
l/100gであることが好ましい。カーボンブラック
のpHは2〜10、含水率は0.1〜10%、タップ密
度は0.1〜1g/mlであることが好ましい。 【0012】下層で使用できるカーボンブラックの具体
例としては、例えばWO98/35345に記載のもの
が挙げられる。カーボンブラックは、単独又は組み合わ
せで使用することができる。本発明で使用できるカーボ
ンブラックは、例えば「カーボンブラック便覧」(カー
ボンブラック協会編)を参考にすることができる。 【0013】本発明の磁気記録媒体は、磁性層の厚さが
0.2μm以下であり、電子線マイクロアナリシスによ
る前記強磁性粉末に起因する元素の平均強度aに対する
該強度の標準偏差bが0.03≦b/a≦0.4である
ことを第二の特徴とする。磁性層の厚さは、0.2μm
以下とするが、0.01〜0.15μmであることが好
ましく、0.01〜0.1μmであることがさらに好ま
しい。磁性層を0.2μm以下とすることで、自己減磁
損失が小さく出力を向上することができ、かつ良好なオ
ーバーライト特性(以下「PW50」ともいう)が得ら
れ、高密度記録に有利となる。また、磁性層の厚さが
0.2μm以下であれば、表面電気抵抗が高くなり、M
Rヘッドが静電破壊されることはない。 【0014】本発明の磁性層における電子線マイクロア
ナリシスによる前記強磁性粉末に起因する元素の平均強
度aに対する該強度の標準偏差bは、0.03≦b/a
≦0.4とする。電子線マイクロアナリシス(EPM
A)は、磁性層内の各領域における強磁性粉末の充填度
の分布、すなわち、強磁性粉末の充填性を強磁性粉末に
起因する平均強度aと該強度の標準偏差bとを用いて評
価することができる。すなわち、b/a値が小さいほ
ど、強磁性粉末の凝集、非磁性層−磁性層間の界面変動
や界面の流れ等による充填性の不均一性が少ないことを
示す。本発明の磁気記録媒体では、EPMAで評価した
際にb/a値が所定の範囲になるように強磁性粉末のサ
イズ等を制御する。そこで、先ずEPMAによる評価法
を以下に説明する。 【0015】島津社製EPMA−1600を使用し、電
子ビーム加速電圧15kV、30nA、ビーム径1μm
Φの条件で、磁性層表面から100×100μmの範囲
を少なくとも500×500画素で目的の元素の強度マ
ッピングを測定する。強磁性粉末を構成する元素から固
有の元素、例えば、Fe、Co、Ba等の何れかを選択
する。得られた元素強度マッピングの結果において、強
度を256段階に分割してZEISS製画像解析装置K
S400を用いて強度分布の標準偏差b及び平均強度a
を求め、b/a値を算出する。 【0016】b/a値を制御する手段は、公知の手段か
ら適宜選択し、必要に応じて最適化することができる。
このような制御手段としては、例えば、強磁性粉末、研
磨剤、カーボンブラックなどのサイズ及び形状の制御、
結合剤の選定、分散剤、潤滑剤、界面活性剤等の各種添
加剤等の選定、磁性塗布液の分散方法、並びに塗布方
法、配向方法等の選定、カレンダ処理条件の選定等が挙
げられる。中でも塗布方法による制御が好ましい。塗布
方法は、逐次重層塗布を挙げることができる。 【0017】本発明においてb/a値は、0.03≦b
/a≦0.4、好ましくは0.03≦b/a≦0.3、
さらに好ましくは、0.03≦b/a≦0.2に制御さ
れる。b/a値が0.03≦b/a≦0.4であれば、
自己減磁損失もなく、また強磁性粉末の充填性が均一と
なるため、S/Nを改善でき、所望のS/Nを得ること
ができる。 【0018】本発明の磁気記録媒体は、磁性層の中心面
平均粗さRaが5nm以下であり、10点平均粗さRz
が50nm以下であることを第三の特徴とする。磁性層
の中心面平均粗さRa(以下、Raともいう)は、磁性
層表面をWYKO社製HD−2000型を用いて測定す
ることにより求めることができる。Raは、5nm以
下、好ましくは0.5〜4nm、さらに好ましは0.5
〜3nmに制御する。Raが5nm以下することによ
り、ヘッド−媒体間のスペーシングを低下させることが
でき、出力の向上とPW50の低減を達成することがで
きる。また、磁性層の10点平均粗さRz(以下、Rz
ともいう)は、Raと同じ測定方法により測定すること
により求めることができる。Rzは、50nm以下、好
ましくは5〜40nm、さらに好ましくは5〜30nm
に制御する。10点平均粗さRzが50nm以下とする
ことにより、ヘッド−媒体間のスペーシングを低減させ
ることができ、特に媒体ノイズの低減を達成することが
できる。 【0019】Ra及びRzは、非磁性層に添加するカー
ボンブラックの平均粒径が10〜30nmのものを選択
し、かつ、該カーボンブラックの含有量を非磁性粉末1
00質量部に対して10〜50質量部とするほか、次の
少なくとも1又は2以上の方法により、所定の値に制御
することができる。 (1)非磁性層に含有させる非磁性粉末の平均粒径を
0.2μm以下、好ましくは 0.01〜0.15μ
m、さらに好ましくは0.01〜0.1μmとする。 (2)非磁性層を塗布した後、非磁性層表面のカレンダ
処理を行い、非磁性層のRaを10nm以下、好ましく
は1〜5nm、さらに好ましくは1〜3nmとし、非磁
性層のRzを100nm以下、好ましくは10〜50n
m、さらに好ましくは10〜30nmに調整する。 (3)磁性層を形成した後に、処理温度70℃以上、好
ましくは80℃以上、処理線圧196kN/m(200
kg/cm)以上、好ましくは294kN/m(300
kg/cm)以上の条件でカレンダ処理を行う。 (4)その他、必要に応じて磁性塗料の分散時間を長く
設定する。 【0020】次に、本発明の磁気記録媒体の磁性層、非
磁性層、非磁性支持体等の各層についてさらに詳しく説
明する。 【0021】[磁性層]本発明の磁気記録媒体は、非磁
性支持体の少なくとも一方の面に磁性層(以下、単に上
層ともいう。)を有する。したがって、上層は非磁性支
持体の片面だけでも、あるいは両面に設けても構わな
い。また一方側に形成される上層は、単層でも互いに組
成の異なる複層であってもよい。さらに、本発明の磁気
記録媒体は、非磁性支持体と上層の間に実質的に非磁性
である下層(非磁性層)を有する。 【0022】上層は、下層が乾燥した後に設けるwet on
dry(W/D)又は下層を同時又は逐次塗布後、下層が
湿潤状態の内に設けるwet on wet(W/W)のいずれの
塗布方法により形成することができる。磁性層の厚み分
布に起因するノイズを小さくする観点からは、乾燥後塗
布法(W/D)の方が好ましい。W/Dでは下層形成後
に下層表面をカレンダ処理等による表面処理工程を有効
に活用でき、薄層でも上層(磁性層)の表面粗さを良化
できる。磁性層に使用する強磁性粉末としては、強磁性
金属粉末又は六方晶系フェライト粉末が好ましい。 【0023】<強磁性金属粉末>強磁性金属粉末として
は、α-Feを主成分とする強磁性金属粉末が好まし
い。強磁性金属粉末には所定の原子以外にAl、Si、
Ca、Mg、Ti、Cr、Cu、Y、Sn、Sb、B
a、W、La、Ce、Pr、Nd、P、Co、Mn、Z
n、Ni、Sr、Bなどの原子を含んでもかまわない。
特に、Al、Ca、Mg、Y、Ba、La、Nd、S
m、Co、Niの少なくとも1つをα-Fe以外に含む
ことが好ましい。Coは、Feと合金を作ると飽和磁化
が増加し、かつ減磁が改良されるので特に好ましい。C
oの含有量はFeに対して1〜40原子%が好ましく、
さらに好ましくは15〜35原子%、より好ましくは2
0〜35原子%である。 【0024】Y等の希土類元素の含有量は、1.5〜1
2原子%であることが好ましく、3〜10原子%である
ことがより好ましく、4〜9原子%であることがさらに
好ましい。Alは1.5〜12原子%であることが好ま
しく、3〜10原子%であることがより好ましく、4〜
9原子%であることがさらに好ましい。Yを含む希土類
やAlは焼結防止剤として機能しており、組み合わせて
使用することでより高い焼結防止効果が得られる。これ
らの強磁性粉末にはあとで述べる分散剤、潤滑剤、界面
活性剤、帯電防止剤などで分散前にあらかじめ処理を行
ってもかまわない。具体的には、特公昭44-1409
0号公報、特公昭45-18372号公報、特公昭47-
22062号公報、特公昭47-22513号公報、特
公昭46-28466号公報、特公昭46-38755号
公報、特公昭47-4286号公報、特公昭47-124
22号公報、特公昭47-17284号公報、特公昭4
7-18509号公報、特公昭47-18573号公報、
特公昭39-10307号公報、特公昭46-39639
号公報、米国特許第3026215号、同303134
1号、同3100194号、同3242005号、同3
389014号等の各公報に記載されている。 【0025】強磁性金属粉末には少量の水酸化物又は酸
化物が含まれてもよい。強磁性金属粉末の公知の製造方
法により得られたものを用いることができ、下記の方法
を挙げることができる。焼結防止処理を行った含水酸化
鉄、酸化鉄を水素などの還元性気体で還元してFe又は
Fe-Co粒子などを得る方法、複合有機酸塩(主とし
てシュウ酸塩)と水素などの還元性気体で還元する方
法、金属カルボニル化合物を熱分解する方法、強磁性金
属の水溶液に水素化ホウ素ナトリウム、次亜リン酸塩あ
るいはヒドラジンなどの還元剤を添加して還元する方
法、金属を低圧の不活性気体中で蒸発させて粉末を得る
方法などである。このようにして得られた強磁性金属粉
末は、公知の徐酸化処理する。含水酸化鉄、酸化鉄を水
素などの還元性気体で還元し、酸素含有ガスと不活性ガ
スの分圧、温度、時間を制御して表面に酸化皮膜を形成
する方法が、減磁量が少なく好ましい。 【0026】本発明の磁性層の強磁性金属粉末をBET
法による比表面積(SBET)で表せば、40〜80m2/
gであり、好ましくは45〜70m2/gである。比表
面積(SBET)が40〜80m2/gであれば、ノイズを
抑えることができ、かつ平滑な表面を得ることができる
ため好ましい。本発明の磁性層における強磁性金属粉末
の結晶子サイズは80〜180Åであり、好ましくは1
00〜170Å、さらに好ましくは110〜165Åで
ある。強磁性金属粉末の平均長軸長は、0.02〜0.
25μmであり、0.03〜0.15μmであることが
好ましく、0.03〜0.12μmであることがさらに
好ましい。 【0027】強磁性金属粉末の平均針状比((長軸長/
短軸長)の平均)は、3〜15であることが好ましく、
3〜10であることがさらに好ましい。強磁性金属粉末
の飽和磁化σsは、通常、90〜170A・m2/kg
であり、100〜160A・m2/kgであることが好
ましく、110〜160A・m2/kgであることがさ
らに好ましい。強磁性金属粉末の抗磁力(Hc)は、1
35〜279kA/mであることが好ましく、143〜
239kA/mであることがさらに好ましい。 【0028】強磁性金属粉末の含水率は0.1〜2質量
%とするのが好ましい。結合剤の種類によって強磁性金
属粉末の含水率は最適化するのが好ましい。強磁性金属
粉末のpHは、用いる結合剤との組み合わせにより最適
化することが好ましい。その範囲は6〜12であるが、
好ましくは7〜11である。強磁性金属粉末のSA(ス
テアリン酸)吸着量(表面の塩基性点の尺度)は1〜1
5μmol/m2であり、2〜10μmol/m2である
ことが好ましく、3〜8μmol/m2であることがさ
らに好ましい。ステアリン酸吸着量が多い強磁性金属粉
末を使用する場合には、表面に強く吸着する有機物で表
面修飾して磁気記録媒体を作成することが好ましい。強
磁性金属粉末には可溶性のNa、Ca、Fe、Ni、S
r、NH 4、SO4、Cl、NO2、NO3などの無機イオ
ンを含む場合がある。これらは、本質的にない方が好ま
しい。各イオンの総和が300ppm以下程度であれ
ば、特性には影響しない。また、本発明に用いられる強
磁性金属粉末は、空孔が少ないほうが好ましく、その値
は20容量%以下であり、5容量%以下であることがさ
らに好ましい。形状については、先に示した粉体サイ
ズ、磁気特性を満足すれば針状、米粒状、紡錘状のいず
れでもかまわない。強磁性金属粉末自体のSFD(swit
ching field distribution)は小さい方が好ましく、
強磁性金属粉末の抗磁力(Hc)分布を小さくする必要
がある。テ-プのSFDが小さいと、磁化反転がシャー
プでピークシフトが小さくなり、高密度デジタル磁気記
録に好適である。抗磁力(Hc)分布を小さくするため
には、強磁性金属粉末においてはゲ-タイトの粒度分布
をよくする、単分散α-Fe2O3を使用する、粒子間の
焼結を防止するなどの方法がある。 【0029】<六方晶系フェライト粉末>本発明の磁性
層に含まれる六方晶系フェライトとしては、バリウムフ
ェライト、ストロンチウムフェライト、鉛フェライト、
カルシウムフェライトの各置換体、Co置換体等があ
る。具体的にはマグネトプランバイト型のバリウムフェ
ライト及びストロンチウムフェライト、スピネルで粒子
表面を被覆したマグネトプランバイト型フェライト、更
に一部スピネル相を含有したマグネトプランバイト型の
バリウムフェライト及びストロンチウムフェライト等が
挙げられる。その他、所定の原子以外にAl、Si、
S,Sc、Ti、V、Cr、Cu、Y、Mo、Rh、P
d、Ag、Sn、Sb、Te、Ba、Ta、W、Re、
Au、Hg、Pb、Bi、La、Ce、Pr、Nd、
P、Co、Mn、Zn、Ni、Sr、B、Ge、Nbな
どの原子を含んでもかまわない。一般にはCo-Zn、
Co-Ti、Co-Ti-Zr、Co-Ti-Zn、Ni-T
i-Zn、Nb-Zn-Co、SbーZn-Co、Nb-Z
n等の元素を添加したものを使用することができる。原
料・製法によっては特有の不純物を含有するものもあ
る。 【0030】本発明に用いる六方晶系フェライト粉末の
平均板径は、記録密度によって異なるが、通常、10〜
50nmであり、10〜40nmであることが好まし
く、10〜35nmであることが特に好ましい。ここで
板径とは、六方晶系フェライト磁性粉の六角柱底面の六
角径の最大径を意味し、平均板径とはその算術平均であ
る。特にトラック密度を上げるため、磁気抵抗ヘッドで
再生する場合は、低ノイズにする必要があり、板径は3
5nm以下であることが好ましいが、10〜50nmの
範囲であれば、熱揺らぎの影響を受けない安定な磁化が
望め、かつ、ノイズを抑えることができるため、高密度
磁気記録に好適となる。板状比(板径/板厚)は1〜1
5であることが望ましく、1〜7であることが好まし
い。板状比が1以上であれば、磁性層中の高充填性を維
持しつつ、充分な配向性が得られる。また板状比が15
以下であれば、粒子間のスタッキングによる影響を受け
難くなり、ノイズが大きくなることもない。 【0031】上記粒子サイズ範囲のBET法による比表
面積は30〜200m2/gを示す。比表面積は、概ね
粒子板径と板厚からの算術計算値と符号する。粒子板径
・板厚の分布は、通常、狭いほど好ましい。数値化は困
難であるが粒子TEM写真より500粒子を無作為に測
定することで比較できる。分布は正規分布ではない場合
が多いが、計算して平均サイズに対する標準偏差で表す
とσ/平均サイズ=0.1〜2.0である。粒子サイズ
分布をシャープにするには粒子生成反応系をできるだけ
均一にすると共に、生成した粒子に分布改良処理を施す
ことも行われている。例えば、酸溶液中で超微細粒子を
選別的に溶解する方法等も知られている。 【0032】磁性体で測定される抗磁力(Hc)は、3
9.8〜398kA/m(500〜5000 Oe)程
度まで作成できる。抗磁力(Hc)は高い方が高密度記
録に有利であるが、記録ヘッドの能力で制限される。抗
磁力(Hc)は粒子サイズ(板径・板厚)、含有元素の
種類と量、元素の置換サイト、粒子生成反応条件等によ
り制御できる。飽和磁化(σs)は30〜80A・m2
/kgであり、微粒子になるほど小さくなる傾向があ
る。製法では結晶化温度又は熱処理温度時間を小さくす
る方法、添加する化合物を増量する、表面処理量を多く
する方法等がある。またW型六方晶フェライトを用いる
ことも可能である。磁性体を分散する際に磁性体粒子表
面を分散媒、ポリマーに合った物質で処理することも行
われている。 【0033】表面処理材は、無機化合物、有機化合物が
使用される。主な化合物としてはSi、Al、P、等の
酸化物または水酸化物、各種シランカップリング剤、各
種チタンカップリング剤が代表例である。添加量は磁性
体に対して0.1〜10%である。磁性体のpHも分散
に重要である。通常4〜12程度で分散媒、ポリマーに
より最適値があるが、媒体の化学的安定性、保存性から
6〜11程度が選択される。磁性体に含まれる水分も分
散に影響する。分散媒、ポリマーにより最適値があるが
通常0.01〜2.0%が選ばれる。 【0034】六方晶フェライトの製法としては、酸化
バリウム、酸化鉄、鉄を置換する金属酸化物とガラス形
成物質として酸化ホウ素等を所望のフェライト組成にな
るように混合した後溶融し、急冷して非晶質体とし、次
いで再加熱処理した後、洗浄・粉砕してバリウムフェラ
イト結晶粉体を得ガラス結晶化法、バリウムフェライ
ト組成金属塩溶液をアルカリで中和し、副生成物を除去
した後、100℃以上で液相加熱し、洗浄、乾燥及び粉
砕してバリウムフェライト結晶粉体を得る水熱反応法、
バリウムフェライト組成金属塩溶液をアルカリで中和
し、副生成物を除去した後乾燥し1100℃以下で処理
し、粉砕してバリウムフェライト結晶粉体を得る共沈法
等があるが、本発明は製法を選ばない。 【0035】[非磁性層(下層)]次に非磁性層(下
層)に関する詳細な内容について説明する。非磁性層と
しては非磁性無機粉末と結合剤を主体とするものが好ま
しい。非磁性層に用いられる非磁性無機粉末としては、
例えば、金属酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属窒
化物、金属炭化物、金属硫化物、等の無機質化合物から
選択することができる。無機化合物としては例えばα化
率90%以上のα-アルミナ、β-アルミナ、γ-アルミ
ナ、θ-アルミナ、炭化ケイ素、酸化クロム、酸化セリ
ウム、α-酸化鉄、ヘマタイト、ゲータイト、コランダ
ム、窒化珪素、チタンカ-バイト、酸化チタン、二酸化
珪素、酸化スズ、酸化マグネシウム、酸化タングステ
ン、酸化ジルコニウム、窒化ホウ素、酸化亜鉛、炭酸カ
ルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二硫化モリ
ブデンなどが単独又は組み合わせで使用される。特に好
ましいのは、粒度分布の小ささ、機能付与の手段が多い
こと等から、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、硫酸バ
リウムであり、さらに好ましいのは二酸化チタン、α酸
化鉄である。これら非磁性無機粉末の平均粒子径は0.
005〜2μmであることが好ましい。必要に応じて平
均粒子径の異なる非磁性無機粉末を組み合わせたり、単
独の非磁性無機粉末でも粒径分布を広くして同様の効果
をもたせることもできる。とりわけ好ましいのは非磁性
無機粉末の平均粒子径は0.01〜0.2μmである。
特に、非磁性無機粉末が粒状金属酸化物である場合は、
平均粒子径0.08μm以下であることが好ましく、針
状金属酸化物である場合には、平均長軸長が0.3μm
以下であることが好ましく、0.2μm以下であること
がさらに好ましい。 【0036】タップ密度は通常、0.05〜2g/m
l、好ましくは0.2〜1.5g/mlである。非磁性
無機粉末の含水率は通常、0.1〜5質量%、好ましく
は0.2〜3質量%、さらに好ましくは0.3〜1.5
質量%である。非磁性無機粉末のpHは通常、2〜11
であるが、pHは5.5〜10の間が特に好ましい。非
磁性無機粉末の比表面積は通常、1〜100m2/gで
あり、5〜80m2/gであることが好ましく、10〜
70m2/gであることがさらに好ましい。非磁性無機
粉末の結晶子サイズは、0.004〜1μmであること
が好ましく、0.04〜0.1μmであることがさらに
好ましい。DBP(ジブチルフタレート)を用いた吸油
量は通常、5〜100ml/100gであり、10〜8
0ml/100gであることが好ましく、20〜60m
l/100gであることがさらに好ましい。比重は、通
常、1〜12であり、3〜6であることがさらに好まし
い。形状は、針状、球状、多面体状、板状のいずれであ
ってもよい。モース硬度は、4〜10であることが好ま
しい。非磁性無機粉末のSA(ステアリン酸)吸着量
は、1〜20μmol/m2であり、2〜15μmol
/m2、であることがより好ましく、3〜8μmol/
m2であることがさらに好ましい。pHは、3〜6の間
にあることが好ましい。 【0037】これらの非磁性無機粉末の表面には、表面
処理によりAl2O3、SiO2、TiO2、ZrO2、S
nO2、Sb2O3、ZnO、Y2O3が存在することが好
ましい。特に分散性に好ましいのはAl2O3、Si
O2、TiO2、ZrO2であるが、さらに好ましいのは
Al2O3、SiO2、ZrO2である。これらは組み合わ
せて使用してもよいし、単独で用いることもできる。ま
た、目的に応じて共沈させた表面処理層を用いてもよい
し、先ずアルミナを存在させた後にその表層にシリカを
存在させる方法、又はその逆の方法を採ることもでき
る。また、表面処理層は目的に応じて多孔質層にしても
構わないが、均質で密である方が一般には好ましい。本
発明の下層に用いられる非磁性無機粉末の具体的な例及
び製造法としては、WO98/35345に記載のもの
が例示される。 【0038】下層にはさらに目的に応じて、有機質粉末
を添加することもできる。例えば、アクリルスチレン系
樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、メラミン系樹脂
粉末、フタロシアニン系顔料が挙げられる。また、ポリ
オレフィン系樹脂粉末、ポリエステル系樹脂粉末、ポリ
アミド系樹脂粉末、ポリイミド系樹脂粉末、ポリフッ化
エチレン樹脂も使用することができる。その製法は特開
昭62-18564号公報、特開昭60-255827号
公報に記されているようなものが使用できる。 【0039】下層あるいは後述のバック層の結合剤、潤
滑剤、分散剤、添加剤、溶剤、分散方法その他は、以下
に記載する磁性層のそれが適用できる。特に、結合剤の
量、種類、添加剤、分散剤の添加量、種類に関しては磁
性層に関する公知技術が適用できる。 【0040】[結合剤]本発明の磁気記録媒体の上層で
使用できる結合剤としては、従来公知の熱可塑性樹脂、
熱硬化性樹脂、反応型樹脂やこれらの混合物を挙げるこ
とができる。熱可塑性樹脂としては、ガラス転移温度が
-100〜150℃、数平均分子量が1,000〜20
0,000、好ましくは10,000〜100,00
0、重合度が約50〜1000程度のものである。この
ような例としては、塩化ビニル、酢酸ビニル、ビニルア
ルコール、マレイン酸、アクリル酸、アクリル酸エステ
ル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、メタクリル
酸、メタクリル酸エステル、スチレン、ブタジエン、エ
チレン、ビニルブチラール、ビニルアセタール、ビニル
エ-テル等を構成単位として含む重合体又は共重合体、
ポリウレタン樹脂、各種ゴム系樹脂がある。また、熱硬
化性樹脂又は反応型樹脂としては、フェノール樹脂、エ
ポキシ樹脂、ポリウレタン硬化型樹脂、尿素樹脂、メラ
ミン樹脂、アルキド樹脂、アクリル系反応樹脂、ホルム
アルデヒド樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ-ポリアミ
ド樹脂、ポリエステル樹脂とイソシアネートプレポリマ
ーの混合物、ポリエステルポリオールとポリイソシアネ
ートの混合物、ポリウレタンとポリイソシアネートの混
合物等が挙げられる。これらの樹脂については朝倉書店
発行の「プラスチックハンドブック」に詳細に記載され
ている。また、公知の電子線硬化型樹脂を各層に使用す
ることも可能である。 【0041】これらの例とその製造方法については特開
昭62-256219号公報に詳細に記載されている。
以上の樹脂は単独又は組み合わせて使用できるが、好ま
しいものとして塩化ビニル樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル
共重合体、塩化ビニル酢酸ビニルビニルアルコール共重
合体、塩化ビニル酢酸ビニル無水マレイン酸共重合体か
ら選ばれる少なくとも1種とポリウレタン樹脂の組み合
わせ、又はこれらにポリイソシアネートを組み合わせた
ものが挙げられる。 【0042】ポリウレタン樹脂の構造は、ポリエステル
ポリウレタン、ポリエーテルポリウレタン、ポリエーテ
ルポリエステルポリウレタン、ポリカーボネートポリウ
レタン、ポリエステルポリカーボネートポリウレタン、
ポリカプロラクトンポリウレタンなど公知のものが使用
できる。ここに示したすべての結合剤について、より優
れた分散性と耐久性を得るためには必要に応じ、-CO
OM、-SO3M、-OSO3M、-P=O(OM)2、-O-P
=O(OM)2、(以上につき、Mは水素原子又はアルカ
リ金属塩基)、-NR2、-N+R3(Rは炭化水素基)、
エポキシ基、-SH、-CNなどから選ばれる少なくとも
1つ以上の極性基を共重合又は付加反応で導入したもの
を用いることが好ましい。このような極性基の量は10
-1〜10-8モル/gであり、好ましくは10-2〜10-6
モル/gである。 【0043】これら極性基以外にポリウレタン分子末端
に少なくとも1個ずつ、合計2個以上のOH基を有する
ことが好ましい。OH基は硬化剤であるポリイソシアネ
ートと架橋して3次元の網状構造を形成するので、分子
中に多数含むほど好ましい。特にOH基は分子末端にあ
る方が硬化剤との反応性が高いので好ましい。ポリウレ
タンは、分子末端にOH基を3個以上有することが好ま
しく、4個以上有することが特に好ましい。本発明にお
いて、ポリウレタンを用いる場合はガラス転移温度が通
常、-50〜150℃、好ましくは0〜100℃、特に
好ましくは30〜100℃、破断伸びが100〜200
0%、破断応力は通常、0.49〜98MPa(0.0
5〜10kg/mm2)、降伏点は0.49〜98MP
a(0.05〜10kg/mm2)が好ましい。このよ
うな物性を有することにより、良好な機械的特性を有す
る塗膜が得られる。 【0044】本発明に用いられるこれらの結合剤の具体
例としては、塩化ビニル系共重合体としてユニオンカ-
バイト社製VAGH、VYHH、VMCH、VAGF、
VAGD、VROH、VYES、VYNC、VMCC、
XYHL、XYSG、PKHH、PKHJ、PKHC、
PKFE、日信化学工業社製MPR-TA、MPR-TA
5、MPR-TAL、MPR-TSN、MPR-TMF、
MPR-TS、MPR-TM、MPR-TAO、電気化学
社製1000W、DX80、DX81、DX82、DX
83、100FD、日本ゼオン社製MR-104、MR-
105、MR110、MR100、MR555、400
X-110A、ポリウレタン樹脂として日本ポリウレタ
ン社製ニッポランN2301、N2302、N230
4、大日本インキ社製パンデックスT-5105、T-R
3080、T-5201、バ-ノックD-400、D-21
0-80、クリスボン6109、7209、東洋紡社製
バイロンUR8200、UR8300、UR-870
0、RV530、RV280、大日精化社製ポリカ-ボ
ネートポリウレタン、ダイフェラミン4020、502
0、5100、5300、9020、9022、702
0、三菱化成社製ポリウレタン、MX5004、三洋化
成社製ポリウレタン、サンプレンSP-150、旭化成
社製ポリウレタン、サランF310,F210などが挙
げられる。 【0045】下層に用いられる結合剤は、非磁性無機粉
末100質量部に対し、また磁性層に用いられる結合剤
は磁性粉末100質量部に対し、5〜50質量部の範
囲、好ましくは10〜30質量部の範囲で用いることが
できる。塩化ビニル系樹脂を結合剤として用いる場合
は、5〜30質量部、ポリウレタン樹脂を用いる場合は
2〜20質量部、ポリイソシアネートは2〜20質量部
の範囲でこれらを組み合わせて用いることが好ましい
が、例えば、微量の脱塩素によりヘッド腐食が起こる場
合は、ポリウレタンのみまたはポリウレタンとイソシア
ネートのみを使用することも可能である。 【0046】本発明の磁気記録媒体が二層以上で構成さ
れる場合、結合剤量、結合剤中に占める塩化ビニル系樹
脂、ポリウレタン樹脂、ポリイソシアネート若しくはそ
れ以外の樹脂の量、磁性層を形成する各樹脂の分子量、
極性基量、又は先に述べた樹脂の物理特性などを必要に
応じ各層とで変えることはもちろん可能であり、むしろ
各層で最適化すべきであり、多層磁性層に関する公知技
術を適用できる。例えば、各層で結合剤量を変更する場
合、磁性層表面の擦傷を減らすためには、磁性層の結合
剤量を増量することが有効であり、ヘッドに対するヘッ
ドタッチを良好にするためには、非磁性層のバインダー
量を多くして柔軟性を持たせることができる。 【0047】本発明に用いられるポリイソシアネートと
しては、トリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェ
ニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシ
アネート、キシリレンジイソシアネート、ナフチレン-
1,5-ジイソシアネート、o-トルイジンジイソシアネ
ート、イソホロンジイソシアネート、トリフェニルメタ
ントリイソシアネート等のイソシアネート類、また、こ
れらのイソシアネート類とポリアルコールとの生成物、
また、イソシアネート類の縮合によって生成したポリイ
ソシアネート等が挙げられる。これらのイソシアネート
類の市販されている商品名としては、日本ポリウレタン
社製コロネートL、コロネートHL、コロネート203
0、コロネート2031、ミリオネートMR、ミリオネ
ートMTL、武田薬品社製タケネートD-102、タケ
ネートD-110N、タケネートD-200、タケネート
D-202、住友バイエル社製デスモジュールL、デス
モジュールIL、デスモジュールN、デスモジュールH
L等があり、これらを単独又は硬化反応性の差を利用し
て2つ若しくはそれ以上の組み合わせで各層とも用いる
ことができる。 【0048】[カーボンブラック]本発明の磁気記録媒
体の磁性層で使用されるカーボンブラックは、ゴム用フ
ァーネス、ゴム用サーマル、カラー用ブラック、アセチ
レンブラック等を用いることができる。比表面積は5〜
500m2/g、DBP吸油量は10〜400ml/1
00g、平均粒子径は5〜300nm、pHは2〜1
0、含水率は0.1〜10%、タップ密度は0.1〜1
g/ml、が好ましい。具体的には、WO98/353
45に記載のもが挙げられる。 【0049】カーボンブラックは磁性層の帯電防止、摩
擦係数低減、遮光性付与、膜強度向上などの働きがあ
り、これらは用いるカーボンブラックにより異なる。従
って、本発明が多層構成の場合には、各層でその種類、
量、組み合わせを変え、粒子径、吸油量、電導度、pH
などの先に示した諸特性をもとに目的に応じて使い分け
ることはもちろん可能であり、むしろ各層で最適化すべ
きものである。なお、非磁性層で使用されるカーボンブ
ラックについては、前述のとおりである。 【0050】[研磨剤]本発明の磁気記録媒体は、研磨
剤を磁性層等に用いることができる。研磨剤としてはα
化率90%以上のα-アルミナ、β-アルミナ、炭化ケイ
素、酸化クロム、酸化セリウム、α-酸化鉄、コランダ
ム、人造ダイヤモンド、窒化珪素、炭化珪素、チタンカ
ーバイト、酸化チタン、二酸化珪素、窒化ホウ素、など
主としてモース硬度6以上の公知の材料が単独又は組み
合わせで使用される。また、これらの研磨剤同士の複合
体(研磨剤を他の研磨剤で表面処理したもの)を使用し
てもよい。 【0051】本発明における研磨剤には主成分以外の化
合物又は元素が含まれる場合もあるが、主成分が90%
以上であれば効果に変わりはない。これら研磨剤の平均
粒子径は、0.01〜2μmであることが好ましく、特
に電磁変換特性(S/N)を高めるためには、その粒度
分布が狭い方が好ましい。また耐久性を向上させるに
は、必要に応じて粒子径の異なる研磨剤を組み合わせた
り、単独の研磨剤でも粒径分布を広くして同様の効果を
もたせることも可能である。 【0052】研磨剤のタップ密度は0.3〜2g/m
l、含水率は0.1〜5%、pHは2〜11、比表面積
は1〜30m2/gであることが好ましい。本発明に用
いられる研磨剤の形状は、針状、球状及びサイコロ状の
いずれでもよいが、形状の一部に角を有するものが研磨
性が高くて好ましい。具体的には、WO98/3534
5に記載のものが挙げられ、中でもダイヤモンドを同記
載のごとく用いると、走行耐久性及び電磁変換特性の改
善に有効である。磁性層、非磁性層に添加する研磨剤の
粒径、量はむろん最適値に設定すべきものである。 【0053】[添加剤]本発明の磁性層と非磁性層に使
用される添加剤としては、潤滑効果、帯電防止効果、分
散効果、可塑効果などを有するものが使用され、組み合
わせることにより総合的な性能向上が図れる。潤滑効果
を示すものとしては、物質表面同士の摩擦により生じる
凝着に著しい作用を示す潤滑剤が使用される。潤滑剤に
は2つの型のものがある。磁気記録媒体に使用される潤
滑剤は、完全に流体潤滑か境界潤滑であるか判定するこ
とはできないが、一般的概念で分類すれば流体潤滑を示
す高級脂肪酸エステル、流動パラフィン、シリコン誘導
体などや境界潤滑を示す長鎖脂肪酸、フッ素系界面活性
剤、含フッ素系高分子などに分類される。塗布型媒体で
は、潤滑剤は結合剤に溶解した状態、また一部は強磁性
粉末表面に吸着した状態で存在するものであり、磁性層
表面に潤滑剤が移行してくるが、その移行速度は結合剤
と潤滑剤との相溶性の良否によって決まる。結合剤と潤
滑剤との相溶性が高いときは移行速度が小さく、相溶性
の低いときには早くなる。相溶性の良否に対する一つの
考え方として、両者の溶解パラメ-タ-の比較がある。流
体潤滑には非極性潤滑剤が有効であり、境界潤滑には極
性潤滑剤が有効である。 【0054】本発明において、これら特性の異なる流体
潤滑を示す高級脂肪酸エステルと境界潤滑を示す長鎖脂
肪酸とを組み合わせることが好ましく、少なくとも3種
組み合わせることがさらに好ましい。これらに組み合わ
せて固体潤滑剤を使用することもできる。固体潤滑剤と
しては例えば二硫化モリブデン、二硫化タングステング
ラファイト、窒化ホウ素、フッ化黒鉛などが使用され
る。境界潤滑を示す長鎖脂肪酸としては、炭素数10〜
24の一塩基性脂肪酸(不飽和結合を含んでも、また分
岐していてもかまわない)、及びこれらの金属塩(L
i、Na、K、Cuなど)が挙げられる。フッ素系界面
活性剤、含フッ素系高分子としてはフッ素含有シリコ-
ン、フッ素含有アルコール、フッ素含有エステル、フッ
素含有アルキル硫酸エステル及びそのアルカリ金属塩な
どが挙げられる。流体潤滑を示す高級脂肪酸エステルと
しては、炭素数10〜24の一塩基性脂肪酸(不飽和結
合を含んでも、また分岐していてもかまわない)と炭素
数2〜12の一価、二価、三価、四価、五価、六価アル
コールのいずれか一つ(不飽和結合を含んでも、また分
岐していてもかまわない)とからなるモノ脂肪酸エステ
ル、ジ脂肪酸エステル又はトリ脂肪酸エステル、アルキ
レンオキシド重合物のモノアルキルエ-テルの脂肪酸エ
ステルなどが挙げられる。また流動パラフィン、そして
シリコン誘導体としてジアルキルポリシロキサン(アル
キルは炭素数1〜5個)、ジアルコキシポリシロキサン
(アルコキシは炭素数1〜4個)、モノアルキルモノア
ルコキシポリシロキサン(アルキルは炭素数1〜5個、
アルコキシは炭素数1〜4個)、フェニルポリシロキサ
ン、フロロアルキルポリシロキサン(アルキルは炭素数
1〜5個)などのシリコ-ンオイル、極性基をもつシリ
コ-ン、脂肪酸変性シリコ-ン、フッ素含有シリコ-ンな
どが挙げられる。 【0055】その他の潤滑剤として炭素数12〜22の
一価、二価、三価、四価、五価、六価アルコール(不飽
和結合を含んでも、また分岐していてもかまわない)、
炭素数12〜22のアルコキシアルコール(不飽和結合
を含んでも、また分岐していてもかまわない)、フッ素
含有アルコールなどのアルコール、ポリエチレンワック
ス、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、エチレング
リコール、ポリエチレンオキシドワックスなどのポリグ
リコール、アルキル燐酸エステル及びそのアルカリ金属
塩、アルキル硫酸エステル及びそのアルカリ金属塩、ポ
リフェニルエ-テル、炭素数8〜22の脂肪酸アミド、
炭素数8〜22の脂肪族アミンなどが挙げられる。 【0056】帯電防止効果、分散効果、可塑効果などを
示すものとして、フェニルホスホン酸、具体的には、日
産化学(株)社の「PPA」など、αナフチル燐酸、フ
ェニル燐酸、ジフェニル燐酸、p-エチルベンゼンホス
ホン酸、フェニルホスフィン酸、アミノキノン類、各種
シランカップリング剤、チタンカップリング剤、フッ素
含有アルキル硫酸エステル及びそのアルカリ金属塩、な
どが使用できる。 【0057】本発明において使用される潤滑剤は、特に
脂肪酸と脂肪酸エステルであることが好ましく、具体的
にはWO98/35345に記載のものが挙げられる。
これらに加えて別異の潤滑剤、添加剤も組み合わせて使
用することができる。 【0058】また、アルキレンオキサイド系、グリセリ
ン系、グリシドール系、アルキルフェノールエチレンオ
キサイド付加体、等のノニオン界面活性剤、環状アミ
ン、エステルアミド、第四級アンモニウム塩類、ヒダン
トイン誘導体、複素環類、ホスホニウムまたはスルホニ
ウム類等のカチオン系界面活性剤、カルボン酸、スルフ
ォン酸、燐酸、硫酸エステル基、燐酸エステル基などの
酸性基を含むアニオン界面活性剤、アミノ酸類、アミノ
スルホン酸類、アミノアルコールの硫酸または燐酸エス
テル類、アルキルベダイン型、等の両性界面活性剤等も
使用できる。これらの界面活性剤については、「界面活
性剤便覧」(産業図書株式会社発行)に詳細に記載され
ている。これらの潤滑剤、帯電防止剤等は必ずしも10
0%純粋ではなく、主成分以外に異性体、未反応物、副
反応物、分解物、酸化物等の不純分が含まれてもかまわ
ない。これらの不純分は30%以下が好ましく、さらに
好ましくは10%以下である。本発明は、脂肪酸エステ
ルとしてWO98/35345に記載のようにモノエス
テルとジエステルを組み合わせて使用することも好まし
い。 【0059】本発明の磁気記録媒体、特にディスク状磁
気記録媒体の磁性層表面のオージェ電子分光法によるC
/Feピーク比は、好ましくは5〜100、特に好まし
くは5〜80である。オージェ電子分光法の測定条件
は、以下の通りである。 装置:Φ社製PHI-660型 測定条件:1次電子線加速電圧3KV 試料電流:130nA 倍率:250倍 傾斜角度:30° 上記条件で、運動エネルギ-(Kinetic Energy)130
〜730eVの範囲を3回積算し、炭素のKLLピーク
と鉄のLMMピークの強度を微分形で求め、C/Feの
比をとることで求める。 【0060】一方、本発明の磁気記録媒体の上層及び下
層の各層に含まれる潤滑剤量は、それぞれ強磁性粉末又
は非磁性無機粉末100質量部に対し5〜30質量部が
好ましい。 【0061】本発明で使用されるこれらの潤滑剤、界面
活性剤は個々に異なる物理的作用を有するものであり、
その種類、量及び相乗的効果を生み出す潤滑剤の併用比
率は、目的に応じ最適に定められるべきものである。非
磁性層、磁性層で融点の異なる脂肪酸を用い表面への滲
み出しを制御する、沸点、融点や極性の異なるエステル
類を用い表面への滲み出しを制御する、界面活性剤量を
調節することで塗布の安定性を向上させる、潤滑剤の添
加量を中間層で多くして潤滑効果を向上させるなど考え
られ、無論ここに示した例のみに限られるものではな
い。一般には潤滑剤の総量として磁性粉末または非磁性
粉末100質量部に対し、0.1〜50質量部、好まし
くは2〜25質量部の範囲で選択される。 【0062】また本発明で用いられる添加剤のすべて又
はその一部は、磁性塗料及び非磁性塗料製造のどの工程
で添加してもかまわない、例えば、混練工程前に磁性体
と混合する場合、磁性体と結合剤と溶剤による混練工程
で添加する場合、分散工程で添加する場合、分散後に添
加する場合、塗布直前に添加する場合などがある。ま
た、目的に応じて磁性層を塗布した後、同時または逐次
塗布で、添加剤の一部または全部を塗布することにより
目的が達成される場合がある。また、目的によってはカ
レンダした後、またはスリット終了後、磁性層表面に潤
滑剤を塗布することもできる。 【0063】[支持体]本発明の磁気記録媒体に用いら
れる支持体は、非磁性可撓性支持体であることが好まし
く、支持体の面内各方向に対し、100℃30分での熱
収縮率が0.5%以下であり、80℃30分での熱収縮
率が0.5%以下、さらに好ましくは0.2%以下であ
ることが好ましい。さらに前記支持体の100℃30分
での熱収縮率及び80℃30分での熱収縮率が前記支持
体の面内各方向に対し、10%以内の差で等しいことが
好ましい。支持体は非磁性であることが好ましい。これ
ら支持体はポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン
ナフタレート、等のポリエステル類、ポリオレフィン
類、セルロ-ストリアセテート、ポリカ-ボネート、芳香
族又は脂肪族ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミ
ド、ポリスルフォン、ポリアラミド、ポリベンゾオキサ
ゾールなどの公知のフィルムが使用できる。ポリエチレ
ンナフタレート、ポリアミドなどの高強度支持体を用い
ることが好ましい。また必要に応じ、磁性面とベ-ス面
の表面粗さを変えるため、特開平3-224127号公
報に示されるような積層タイプの支持体を用いることも
できる。これらの支持体にはあらかじめコロナ放電処
理、プラズマ処理、易接着処理、熱処理、除塵処理、な
どをおこなってもよい。また本発明の支持体としてアル
ミまたはガラス基板を適用することも可能である。 【0064】本発明の目的を達成するには、支持体とし
てWYKO社製HD−2000型を用いて測定した中心
面平均表面粗さRaは4.0nm以下、好ましくは2.
0nm以下のものを使用することが好ましい。これらの
支持体は単に中心面平均表面粗さが小さいだけではな
く、0.5μm以上の粗大突起がないことが好ましい。
また表面の粗さ形状は必要に応じて支持体に添加される
フィラーの大きさと量により自由にコントロールされる
ものである。これらのフィラーとしては一例としてはC
a,Si、Tiなどの酸化物や炭酸塩の他、アクリル系
などの有機粉末が挙げられる。支持体の最大高さRma
xは1μm以下、十点平均粗さRzは0.5μm以下、
中心面山高さRpは0.5μm以下、中心面谷深さRv
は0.5μm以下、中心面面積率Srは10%以上、9
0%以下、平均波長λaは5μm以上、300μm以下
が好ましい。所望の電磁変換特性と耐久性を得るため、
これら支持体の表面突起分布をフィラーにより任意にコ
ントロールできるものであり、0.01〜1μmの大き
さのもの各々を0.1mm2当り0〜2000個の範囲
でコントロールすることができる。 【0065】本発明に用いられる支持体のF-5値は、
49〜490MPa(5〜50kg/mm2)であるこ
とが好ましい。また、支持体の100℃30分での熱収
縮率は、3%以下であることが好ましく、1.5%以下
であることがさらに好ましい。80℃30分での熱収縮
率は、1%以下であることが好ましく、0.5%以下で
あることがさらに好ましい。破断強度は、49〜980
MPa(5〜100kg/mm2)であることが好まし
い。また弾性率は、0.98〜19.6GPa(100
〜2000kg/mm2)であることが好ましい。温度
膨張係数は10- 4〜10-8/℃であり、10-5〜10-6
/℃であることが好ましい。湿度膨張係数は10-4/R
H%以下であり、好ましくは10-5/RH%以下であ
る。これらの熱特性、寸法特性、機械強度特性は、支持
体の面内各方向に対し10%以内の差でほぼ等しいこと
が好ましい。 【0066】[バックコート層]本発明の磁気記録媒体
は、上述のようにバックコート層を設けることもでき
る。磁気ディスクでもバックコート層を設けることはで
きるが、一般に、コンピュータデータ記録用の磁気テー
プは、ビデオテープ、オーディオテープに比較して、繰
り返し走行性が強く要求される。このような高い走行耐
久性を維持させるために、バックコート層には、カーボ
ンブラックと無機粉末が含有されていることが好まし
い。 【0067】バックコート層で使用するカーボンブラッ
クは、平均粒子径の異なる二種類のものを組み合わせて
使用することが好ましい。この場合、平均粒子径が10
〜20nmの微粒子状カーボンブラックと平均粒子径が
230〜300nmの粗粒子状カーボンブラックを組み
合わせて使用することが好ましい。一般に、上記のよう
な微粒子状のカーボンブラックの添加により、バック層
の表面電気抵抗を低く設定でき、また光透過率も低く設
定できる。磁気記録装置によっては、テープの光透過率
を利用し、動作の信号に使用しているものが多くあるた
め、このような場合には特に微粒子状のカーボンブラッ
クの添加は有効になる。また微粒子状カーボンブラック
は一般に液体潤滑剤の保持力に優れ、潤滑剤併用時、摩
擦係数の低減化に寄与する。一方、平均粒子径が230
〜300nmの粗粒子状カーボンブラックは、固体潤滑
剤としての機能を有しており、またバック層の表面に微
小突起を形成し、接触面積を低減化して、摩擦係数の低
減化に寄与する。 【0068】本発明のバックコート層に用いられる微粒
子状カーボンブラック及び粗粒子状カーボンブラックと
して、市販のものを用いる場合、具体的な商品として
は、WO98/35345に記載のものを挙げることが
できる。バックコート層において、平均粒子径の異なる
二種類のものを使用する場合、10〜20nmの微粒子
状カーボンブラックと230〜300nmの粗粒子状カ
ーボンブラックの含有比率(質量比)は、前者:後者=
98:2〜75:25の範囲にあることが好ましく、9
5:5〜85:15の範囲にあることがさらに好まし
い。バックコート層中のカーボンブラック(二種類のも
のを使用する場合には、その全量)の含有量は、結合剤
100質量部に対して、通常30〜80質量部の範囲で
あり、好ましくは、45〜65質量部の範囲である。 【0069】バックコート層で使用する無機粉末は、硬
さの異なる二種類のものを併用することが好ましい。具
体的には、モース硬度3〜4.5の軟質無機粉末とモー
ス硬度5〜9の硬質無機粉末とを使用することが好まし
い。モース硬度が3〜4.5の軟質無機粉末を添加する
ことで、繰り返し走行による摩擦係数の安定化を図るこ
とができる。しかもこの範囲の硬さでは、摺動ガイドポ
ールが削られることもない。またこの無機粉末の平均粒
子径は、30〜50nmの範囲にあることが好ましい。
モース硬度が3〜4.5の軟質無機粉末としては、例え
ば、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、珪酸カルシウ
ム、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、及び
酸化亜鉛を挙げることができる。これらは、単独で、あ
るいは二種以上を組み合わせて使用することができる。
バックコート層内の軟質無機粉末の含有量は、カーボン
ブラック100質量部に対して10〜140質量部の範
囲にあることが好ましく、35〜100質量部であるこ
とがさらに好ましい。 【0070】モース硬度が5〜9の硬質無機粉末を添加
することにより、バック層の強度が強化され、走行耐久
性が向上する。これらの無機粉末をカーボンブラックや
前記軟質無機粉末と共に使用すると、繰り返し摺動に対
しても劣化が少なく、強いバックコート層となる。ま
た、この無機粉末の添加により、適度の研磨力が付与さ
れ、テープガイドポール等への削り屑の付着が低減す
る。特に軟質無機粉末と併用すると、表面の粗いガイド
ポールに対しての摺動特性が向上し、バックコート層の
摩擦係数の安定化も図ることができる。硬質無機粉末の
平均粒子径は80〜250nmの範囲にあることが好ま
しく、100〜210nmの範囲にあることがさらに好
ましい。モース硬度が5〜9の硬質無機質粉末として
は、例えば、α-酸化鉄、α-アルミナ、及び酸化クロム
(Cr2O3)を挙げることができる。これらの粉末は、
それぞれ単独で用いてもよいし、あるいは併用してもよ
い。これらの内では、α-酸化鉄又はα-アルミナが好ま
しい。硬質無機粉末の含有量は、カーボンブラック10
0質量部に対して通常、3〜30質量部であり、3〜2
0質量部であることが好ましい。 【0071】バックコート層に前記軟質無機粉末と硬質
無機粉末とを併用する場合、軟質無機粉末と硬質無機粉
末との硬さの差が、2以上(さらに好ましくは、2.5
以上、特に、3以上)であるように軟質無機粉末と硬質
無機粉末とを選択して使用することが好ましい。バック
コート層には、前記それぞれ特定の平均粒子径を有する
モース硬度の異なる二種類の無機粉末と、前記平均粒子
径の異なる二種類のカーボンブラックとが含有されてい
ることが好ましい。 【0072】バックコート層には、潤滑剤を含有させる
ことができる。潤滑剤は、前述した非磁性層、あるいは
磁性層に使用できる潤滑剤として挙げた潤滑剤の中から
適宜選択して使用できる。バック層において、潤滑剤
は、結合剤100質量部に対して通常1〜5質量部の範
囲で添加される。 【0073】[層構成]本発明の磁気記録媒体の厚み構
成は、非磁性支持体が通常、2〜100μmであり、2
〜80μmであることが好ましい。コンピューターテー
プの非磁性支持体は、3.0〜6.5μm(好ましく
は、3.0〜6.0μm、さらに好ましくは、4.0〜
5.5μm)の範囲の厚さのものが使用される。本発明
の磁気記録媒体は、前記支持体、好ましくは非磁性可撓
性支持体と非磁性層又は磁性層の間に密着性向上のため
の下塗層をさらに設けてもかまわない。この場合、下塗
層の厚みは0.01〜0.5μmとし、0.02〜0.
5μmであることが好ましい。また、本発明の磁気記録
媒体は、帯電防止やカール補正などの効果を出すために
磁性層が設けられている側と反対側の支持体にバックコ
ート層を設けてもかまわない。バックコート層の厚み
は、通常0.1〜4μmであり、0.3〜2.0μmで
あることが好ましい。これらの下塗層及びバックコート
層は公知のものが使用できる。 【0074】本発明の磁気記録媒体の下層及び上層構成
の磁性層の厚みは、用いるヘッドの飽和磁化量やヘッド
ギャップ長、記録信号の帯域により最適化されるもので
あるが、本発明では0.2μm以下とする。また、下層
の厚みは、通常0.2〜5.0μmであり、0.3〜
3.0μmであることが好ましく、1.0〜2.5μm
であることがさらに好ましい。なお、下層は、実質的に
非磁性であればその効果を発揮するものであり、たとえ
ば不純物として、或いは意図的に少量の磁性粉を含んで
も、本発明の効果を示すものであるかぎり、本発明と実
質的に同一の構成と見なすことができることは言うまで
もない。ここで、実質的に非磁性層とは、下層の残留磁
束密度が10mT以下又は抗磁力Hcが7.96kA/
m(100 Oe)以下であることを示し、好ましくは
残留磁束密度と抗磁力をもたないことを示す。また、下
層に磁性粉を含む場合は、下層の全無機粉末の1/2未
満含むことが好ましい。さらに下層として、非磁性層に
代えて軟磁性粉末と結合剤を含む軟磁性層を形成しても
よい。軟磁性層の厚みは上記下層と同様である。 【0075】磁性層を2層有する磁気記録媒体の場合、
非磁性層や軟磁性層は設けても設けなくともよく、例え
ば、支持体から遠い側の磁性層の厚さを0.01〜0.
1μm、好ましくは0.01〜0.05μmとして、支
持体から近い側の磁性層の厚さを0.05〜0.15μ
mとすることができる。なお、磁性層を単独で有する場
合、上述したように磁性層の厚さを0.2μm以下とす
る。 【0076】[製法]本発明の磁気記録媒体の磁性塗料
を製造する工程は、少なくとも混練工程、分散工程、及
びこれらの工程の前後に必要に応じて設けた混合工程か
らなる。個々の工程は、それぞれ2段階以上に別れてい
てもかまわない。本発明の磁気記録媒体に使用する磁性
粉末、非磁性粉末、結合剤、カーボンブラック、研磨
剤、帯電防止剤、潤滑剤、溶剤などのすべての原料は、
どの工程の最初又は途中で添加してもかまわない。ま
た、個々の原料を2つ以上の工程で分割して添加しても
かまわない。例えば、ポリウレタンを混練工程、分散工
程、分散後の粘度調整のための混合工程で分割して投入
してもよい。本発明の目的を達成するためには、従来の
公知の製造技術を一部の工程として用いることができ
る。混練工程ではオープンニーダ、連続ニーダ、加圧ニ
ーダ、エクストルーダなど強い混練力をもつものを使用
することが好ましい。ニーダを用いる場合は磁性粉末又
は非磁性粉末と結合剤のすべて又はその一部(但し、全
結合剤の30%以上が好ましい)及び磁性粉末100質
量部に対し15〜500質量部の範囲で混練処理され
る。これらの混練処理の詳細については特開平1-10
6338号公報、特開平1-79274号公報に記載さ
れている。また、磁性層液及び非磁性層液を分散させる
には、ガラスビーズを用いることができるが、高比重の
分散メディアであるジルコニアビーズ、チタニアビー
ズ、スチールビーズが好適である。これら分散メディア
の粒径と充填率は最適化して用いられる。分散機は公知
のものを使用することができる。 【0077】本発明で重層構成の磁気記録媒体を塗布す
る場合、磁性層の厚み分布に起因するノイズを小さくす
るために、下層を塗布し乾燥させた後、その上に磁性層
を設ける乾燥後塗布法(wet on dry塗布法)を用いるこ
とが好ましい。なお、本発明で重層構成の磁気記録媒体
を塗布する場合、以下のような方式を用いることが好ま
しい。 (1)磁性塗料の塗布で一般的に用いられるグラビア塗
布、ロール塗布、ブレード塗布、エクストルージョン塗
布装置等により、まず下層を塗布し、下層がウェット状
態のうちに特公平1-46186号公報や特開昭60-2
38179号公報,特開平2-265672号公報に開
示されている支持体加圧型エクストルージョン塗布装置
により上層を塗布する方法。 (2)特開昭63-88080号公報、特開平2-179
71号公報,特開平2-265672号公報に開示され
ているような塗布液通液スリットを二つ内蔵する一つの
塗布ヘッドにより上下層をほぼ同時に塗布する方法。 (3)特開平2-174965号公報に開示されている
バックアップロール付きエクストルージョン塗布装置に
より上下層をほぼ同時に塗布する方法。 【0078】なお、磁性粒子の凝集による磁気記録媒体
の電磁変換特性等の低下を防止するため、特開昭62-
95174号公報や特開平1-236968号公報に開
示されているような方法により塗布ヘッド内部の塗布液
にせん断を付与することが望ましい。さらに、塗布液の
粘度については、特開平3-8471号公報に開示され
ている数値範囲を満足する必要がある。 【0079】ディスクの場合、配向装置を用いず無配向
でも十分に等方的な配向性が得られることもあるが、コ
バルト磁石を斜めに交互に配置すること、ソレノイドで
交流磁場を印加するなど公知のランダム配向装置を用い
ることが好ましい。六方晶系フェライトは、一般的に面
内及び垂直方向の3次元ランダムになりやすいが、面内
2次元ランダムとすることも可能である。また異極対向
磁石など公知の方法を用い、垂直配向とすることで円周
方向に等方的な磁気特性を付与することもできる。特に
高密度記録を行う場合は垂直配向が好ましい。また、ス
ピンコートを用い円周配向としてもよい。 【0080】磁気テープの場合は、コバルト磁石やソレ
ノイドを用いて長手方向に配向する。乾燥風の温度、風
量、塗布速度を制御することで塗膜の乾燥位置を制御で
きるようにすることが好ましく、塗布速度は20〜10
00m/分、乾燥風の温度は60℃以上が好ましい。ま
た磁石ゾ-ンに入る前に適度の予備乾燥を行うこともで
きる。カレンダ処理ロールとしてエポキシ、ポリイミ
ド、ポリアミド、ポリイミドアミド等の耐熱性のあるプ
ラスチックロールまたは金属ロールで処理するが、特に
両面磁性層とする場合は金属ロール同志で処理すること
が好ましい。処理温度は、好ましくは50℃以上、さら
に好ましくは100℃以上である。線圧力は好ましくは
196kN/m(200kg/cm)以上、さらに好ま
しくは294kN/m(300kg/cm)以上であ
る。 【0081】[物理特性]磁気ディスクの場合、角形比
は2次元ランダムの場合、通常、0.55〜0.67で
あり、0.58〜0.64であることが好ましい。ま
た、3次元ランダムの場合、角形比は0.45〜0.5
5であることが好ましい。垂直配向の場合、角形比は垂
直方向に通常0.6以上であり、0.7以上であること
が好ましい。また、反磁界補正を行った場合は、通常
0.7以上であり、0.8以上であることが好ましい。
2次元ランダム及び3次元ランダムとも配向度比は0.
8以上であることが好ましい。2次元ランダムの場合、
垂直方向の角形比、垂直方向のBrおよび垂直方向のH
cは面内方向の0.1〜0.5倍以内とすることが好ま
しい。磁気テープの場合、角型比は0.7以上、好まし
くは0.8以上である。 【0082】本発明の磁気記録媒体のヘッドに対する摩
擦係数は、温度-10〜40℃、湿度0〜95%の範囲
において、通常0.5以下であり、0.3以下であるこ
とが好ましい。表面固有抵抗は、磁性面104〜1012
Ω/sqであることが好ましく、帯電位は-500V〜
+500Vであることが好ましい。磁性層の0.5%伸
びでの弾性率は、面内各方向で980〜19600MP
a(100〜2000kg/mm2)であることが好ま
しく、破断強度は、98〜686MPa(10〜70k
g/mm2)であることが好ましい。磁気記録媒体の弾
性率は、面内各方向で980〜14700MPa(10
0〜1500kg/mm2)であることが好ましい。残
留伸びは、0.5%以下であることが好ましく、100
℃以下のあらゆる温度での熱収縮率は、1%以下である
ことが好ましく、0.5%以下であることがより好まし
く、0.1%以下であることがさらに好ましい。磁性層
のガラス転移温度(110Hzで測定した動的粘弾性測
定の損失弾性率の極大点)は、50〜120℃であるこ
とが好ましく、下層のそれは0〜100℃であることが
好ましい。損失弾性率は、1×105〜8×108Paの
範囲にあることが好ましく、損失正接は0.2以下であ
ることが好ましい。損失正接が大きすぎると粘着故障が
発生しやすい。これらの熱特性や機械特性は媒体の面内
各方向で10%以内であり、かつ、ほぼ等しいことが好
ましい。磁性層中に含まれる残留溶媒は、100mg/
m2以下であることが好ましく、10mg/m2以下であ
ることがさらに好ましい。塗布層が有する空隙率は、下
層、上層とも30容量%以下であることが好ましく、2
0容量%以下であることがさらに好ましい。空隙率は、
高出力を果たすためには小さい方が好ましいが、目的に
よってはある値を確保した方が良い場合がある。例え
ば、繰り返し用途が重視されるディスク媒体では空隙率
が大きい方が走行耐久性は好ましいことが多い。 【0083】本発明の磁性層における中心面平均表面粗
さRa及び10点平均粗さRzは、前記のとおり、それ
ぞれ5nm以下及び50nm以下である。また、磁性層
の最大高さRmaxは0.5μm以下、中心面山高さRp
は0.3μm以下、中心面谷深さRvは0.3μm以
下、中心面面積率Srは20〜80%、平均波長λaは
5〜300μmが好ましい。磁性層の表面突起は0.0
1〜1μmの大きさのものを0〜2000個の範囲で任
意に設定することが可能であり、これにより電磁変換特
性、摩擦係数を最適化することが好ましい。これらは支
持体のフィラーによる表面性のコントロールや磁性層に
添加する粉体の粒径と量、カレンダ処理のロール表面形
状などで容易にコントロールすることができる。カール
は±3mm以内とすることが好ましい。本発明の磁気記
録媒体は、目的に応じ下層と上層でこれらの物理特性を
変えることができるのは容易に推定されることである。
例えば、上層の弾性率を高くし走行耐久性を向上させる
と同時に下層の弾性率を上層より低くして磁気記録媒体
のヘッドへの当りを良くするなどである。 【0084】 【実施例】以下、本発明の具体的実施例を説明するが、
本発明はこれに限定されるべきものではない。なお、以
下の「部」とは別段断らない限り「質量部」のことであ
る。 【0085】磁性塗料A 六方晶バリウムフェライト 100部 表面処理:Al2O3 5重量%、SiO2 2重量% 抗磁力(Hc):199kA/m(2500 Oe) 板径:30nm 板状比:3 飽和磁化(σs):56A・m2/kg(56emu/g) 塩化ビニル共重合体 MR110(日本ゼオン社製) 6部 ポリウレタン樹脂 UR8200(東洋紡社製) 3部 α−アルミナ HIT60(住友化学社製) 4部 ダイヤモンド(平均粒径100nm) 2部 カーボンブラック #50(旭カーボン社製) 1部 イソセチルステアレート 5部 ステアリン酸 1部 オレイン酸 1部 メチルエチルケトン 80部 シクロヘキサノン 120部 【0086】磁性塗料B 強磁性金属粉末 100部 組成:Fe70%、Co30%、 抗磁力(Hc):183kA/m(2300 Oe) 長軸長:0.045μm 結晶サイズ:115Å 飽和磁化(σs):110A・m2/kg(110emu/g) 焼結防止剤 Al化合物(Al/Fe 原子比 14%) Y化合物 (Y/Fe 原子比 7%) 塩化ビニル共重合体 MR110(日本ゼオン社製) 10部 ポリウレタン樹脂 UR8200(東洋紡社製) 4部 α−アルミナ HIT60(住友化学社製) 4部 ダイヤモンド(平均粒径100nm) 2部 カーボンブラック #50(旭カーボン社製) 1部 フェニルホスホン酸 3部 n−ブチルステアレート 1部 ブトキシエチルステアレート 1部 イソセチルステアレート 2部 ステアリン酸 1部 オレイン酸 1部 メチルエチルケトン 140部 シクロヘキサノン 200部 【0087】非磁性塗料 α−Fe2O3 ヘマタイト 100部 長軸長 0.07μm、短軸長 0.014μm BET法による比表面積 55m2/g pH 9 表面処理剤 Al2O3 8質量% カーボンブラック(平均粒径20nm) コンダクテックスSC−U(コロンビアンカーボン社製) 25部 塩化ビニル共重合体 MR104(日本ゼオン社製) 15部 ポリウレタン樹脂 UR5500(東洋紡社製) 7部 フェニルホスホン酸 4部 イソセチルステアレート 6部 オレイン酸 1.3部 ステアリン酸 1.3部 メチルエチルケトン/シクロヘキサノン(8/2混合溶剤) 250部 【0088】(実施例1)上記磁性塗料Aと非磁性塗料
のそれぞれについて、各成分をニーダで混練した後、サ
ンドミルを用いて分散させた。得られた磁性液Aと非磁
性塗料の分散液にポリイソシアネートを非磁性層の塗布
液には13部、磁性塗料Aの塗布液には4部を加え、さ
らにそれぞれにシクロヘキサノン30部を加え、1μm
の平均孔径を有するフィルターを用いて濾過し、非磁性
層形成用及び磁性層形成用の塗布液をそれぞれ調製し
た。得られた非磁性層形成用塗布液を厚さ62μmで中
心面平均表面粗さが3nmのポリエチレンテレフタレー
ト支持体上に乾燥後の厚さが1.5μmになるように塗
布し乾燥した。乾燥後、7段のカレンダで温度90℃、
線圧294kN/m(300kg/cm)で処理を行っ
た。その後、磁性層の厚さが0.1μmになるように非
磁性層上に塗布を行い、乾燥後、7段のカレンダで温度
90℃、線圧294kN/m(300kg/cm)で処
理を行い、3.7吋に打ち抜き、表面研磨処理を施し
た。 【0089】(実施例2〜7)実施例1の非磁性塗料中
に添加するカーボンブラックを表1に記したような平均
粒子径又は添加量に変更したことを除き、実施例1と同
様に作成した。 【0090】(実施例8〜11)実施例1の非磁性層用
塗布液を支持体上に塗布・乾燥した後に行ったカレンダ
処理の線圧及び温度を表1に記載した条件に変更したこ
とを除き、実施例1と同様に作成した。 【0091】(実施例12)実施例1の磁性層厚を0.
1μmから0.15μmに変更したことを除いて、実施
例1と同様に作成した。 【0092】(実施例13)実施例1の磁性層厚を0.
1μmから0.2μmに変更したことを除いて、実施例
1と同様に作成した。 【0093】(実施例14)実施例1の非磁性塗布液を
支持体上に塗布してから乾燥した後に、カレンダ処理を
行わなかったこと以外は、実施例1と同様に作成した。 【0094】(実施例15)実施例1の磁性塗料をAか
らBに変更し、さらに磁性層厚を0.1μmから0.0
7μmに変更したことを除いて、実施例1と同様に作成
した。 【0095】(実施例16〜21)実施例15の非磁性
塗料中に添加するカーボンブラックを表1に記したよう
な平均粒子径及び添加量に変更したことを除いて、実施
例15と同様に作成した。 【0096】(実施例22)実施例15の非磁性塗布液
を支持体上に塗布してから乾燥した後に、カレンダ処理
を行わなかったこと以外は、実施例1と同様に作成し
た。 【0097】(比較例1)実施例1と同様な方法で、磁
性塗料と非磁性塗料を調製し、得られた非磁性層用塗布
液を乾燥後の厚さが1.5μmになるように、さらにそ
の直後にその上に磁性層の厚さが0.1μmになるよう
に、厚さ62μmで中心面平均表面粗さが3nmのポリ
エチレンテレフタレート支持体上に同時重層塗布(wet
on wet)を行った。両層がまだ湿潤状態にあるうちにラ
ンダム配向処理を行い、乾燥後、7段のカレンダで温度
90℃、線圧294kN/m(300kg/cm)で処
理を行い、3.7吋に打ち抜き、表面研磨処理を施し
た。 【0098】(比較例2〜5)実施例1の非磁性塗料中
に添加するカーボンブラックを表1に記したような平均
粒子径、添加量に変更したことを除いて、実施例1と同
様に作成した。 【0099】(比較例6)実施例1の磁性層の厚さを
0.1μmから0.25μmに変更したことを除き、実
施例1と同様の方法により作成した。 【0100】(比較例7)比較例1の磁性塗料をAから
Bに変更し、磁性層厚を0.1μmから0.07μmに
変更したことを除いて、比較例1と同様に作成した。 【0101】(比較例8〜11)実施例15の非磁性塗
料中に添加するカーボンブラックを表1に記したような
平均粒子径及び添加量に変更したことを除いて、実施例
15と同様に作成した。 【0102】[Ra及びRzの測定]WYKO社製HD
−2000型を用い、以下の条件で測定した。 対物レンズ:×50 中間レンズ:×0.5 測定範囲:242μm×184μm データに傾き補正及び円筒補正を施した後、中心面平均
粗さ(Ra)と10点平均粗さ(Rz)を測定した。 【0103】[b/a値の測定]島津社製EPMA−1
600を使用し、電子ビーム加速電圧15kV、30n
A、ビーム径1μmφの条件で磁性層表面から100×
100μmの範囲を少なくとも500×500画素で目
的の元素の強度マッピング測定した。強磁性金属粉末の
場合にはCo、Y等を磁性層固有の元素として選択でき
るが、本実施例ではCoを選択した。六方晶系フェライ
ト磁性体の場合には、Baを磁性層固有の元素として選
択した。得られた元素強度マッピングの結果において強
度を256段階に分割し、ZEISS製画像解析装置K
S400にて強度分布の標準偏差(b)及び、平均値
(a)を求め、b/a値を算出した。 【0104】[S/Nの測定]S/Nの測定は、米GU
ZIK社製のRWA1001型ディスク評価装置及び協
同電子システム(株)製スピンスタンドLS−90に
て、トラック幅5μmでギャップ長0.2μmのメタル
インギャップヘッド用い、半径24.6mmの位置にお
いて線記録密度100KFCIの信号を書き込み、トラ
ック幅が2.6μmのMRヘッドで再生し、その再生出
力(TAA)とDCイレーズ後のノイズレベルを測定
し、S/N値を求めた。なお、比較例4、6及び10
は、測定中にMRヘッドが静電破壊され、測定すること
ができなかった。 【0105】[PW50の測定]PW50の測定は、米
GUZIK社製のRWA1001型ディスク評価装置及
び協同電子システム(株)製スピンスタンドLS−90
にて、トラック幅5μmでギャップ長0.2μmのメタ
ルインギャップヘッド用い、半径24.6mmの位置に
おいて孤立反転波形信号を書き込み、トラック幅が2.
6μmのMRヘッドで再生し、そのPW50を測定し
た。なお、比較例4、6及び10は、測定中にMRヘッ
ドが静電破壊され、測定することができなかった。 【0106】 【表1】【0107】表1に示されるように、カーボンブラック
の平均粒径については、カーボンブラックの含有量を固
定した場合、平均粒径10〜30μmの範囲内であれ
ば、いずれも高S/Nを得ることができた(実施例1〜
3、15〜17)。これに対して、カーボンブラックの
平均粒径が10μmより小さい場合(比較例2、8)及
び大きい場合(比較例3、9)には、いずれも充分なS
/Nが得られなかった。また、カーボンブラックの含有
量については、カーボンブラックの平均粒径を固定した
場合、10〜50質量部の範囲内であれば、いずれも高
S/Nを得ることができた(実施例4〜7、18〜2
1)。これに対して、10部より少ない場合(比較例
4、10)又は多い場合(比較例5、11)にはいずれ
も充分なS/Nが得られなかった。なお、カーボンブラ
ックの含有量が10部より少なくなると、MRヘッドの
静電破壊が起こった(比較例4、10)。これより所定
質量のカーボンブラックを含有すると磁性層の表面電気
抵抗を下げられることが分かる。 【0108】また、下層塗設後にカレンダ処理したもの
の方がカレンダ処理しないものよりも高いS/Nを得る
ことができた(実施例14及び22)。またカレンダ処
理条件については、線圧が高く、かつ、温度が高いほど
高S/N値を得ることができた(実施例9〜11)。さ
らに、Ra値及びRz値については、小さい値を示すも
のほど高S/Nを得ることができた。これより、磁性層
の表面が平滑な磁気記録媒体ほど高いS/Nを示すこと
が分かった。また、塗布方式については、W/Dの方が
W/Wよりも高S/Nを得ることができた(実施例1〜
22、比較例1及び7)。これより磁性層の厚み分布に
起因するノイズを小さくするためには、wet on dry 塗
布が有効であることが分かった。また、wet on dry 塗
布を行う場合、非磁性層の表面状態が磁性層及び非磁性
層の界面の乱れに大きく影響し、非磁性層の表面が平滑
なもの程、高いS/Nを得ることができることが分かっ
た。また、磁性層の厚さが0.25μmである場合には
静電破壊が起こった(比較例6)。これより、磁性層の
厚さが0.2μm以下であれば静電破壊を防ぐことがで
きる。 【0109】 【発明の効果】以上述べたように、本発明の磁気記録媒
体であれば、磁性層の表面粗さに起因するノイズを低減
することができ、優れた電磁変換特性、特に高S/Nを
得ることができる。また、本発明の磁気記録媒体であれ
ば、MRヘッドと媒体間のスペーシングを低減できるた
め、MRヘッドを用いた磁気記録においても静電破壊を
起こすことのない好適な磁気記録媒体を提供することが
できる。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(72)発明者 斉藤 真二
神奈川県小田原市扇町2丁目12番1号 富
士写真フイルム株式会社小田原工場内
Fターム(参考) 5D006 BA02 BA04 BA06 BA19 CA04
CA05
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 【請求項1】 非磁性支持体の少なくとも一方の面に、
非磁性粉末及び結合剤を含む非磁性層と、強磁性金属粉
末又は六方晶系フェライト粉末である強磁性粉末及び結
合剤を含む磁性層と、をこの順に有する磁気記録媒体で
あって、 前記非磁性層が、平均粒径10〜30nmのカーボンブ
ラックを前記非磁性粉末100質量部に対して10〜5
0質量部含有し、 前記磁性層の厚さが0.2μm以下であり、電子線マイ
クロアナリシスによる前記強磁性粉末に起因する元素の
平均強度aに対する該強度の標準偏差bが0.03≦b
/a≦0.4であり、かつ、前記磁性層の中心面平均粗
さRaが5nm以下、10点平均粗さRzが50nm以
下であることを特徴とする磁気記録媒体。
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