JP2003306954A - 擁壁部材及び擁壁構造 - Google Patents

擁壁部材及び擁壁構造

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JP2003306954A
JP2003306954A JP2002115720A JP2002115720A JP2003306954A JP 2003306954 A JP2003306954 A JP 2003306954A JP 2002115720 A JP2002115720 A JP 2002115720A JP 2002115720 A JP2002115720 A JP 2002115720A JP 2003306954 A JP2003306954 A JP 2003306954A
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heat insulating
retaining
wall
reinforcing member
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JP2002115720A
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Kojiro Shoji
更二郎 東海林
Kiyomichi Aoyama
清道 青山
Makoto Fukuda
誠 福田
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Nikko Corp Ltd
Original Assignee
Nippon Hodo Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 補強土工法における土留め用の擁壁を形成す
る擁壁部材において、寒冷地における盛土の凍上を防止
し、擁壁の破損を効果的に防止する。 【解決手段】 補強土工法における擁壁を形成する擁壁
部材10であって、外壁材11の少なくとも一方の面に
断熱性を有する断熱材13を積層して一体的に形成する
と共に、帯状の補強部材15の一端部が固定可能とされ
たことを特徴とする。この擁壁部材10によって、補強
土工法における擁壁を形成するので、擁壁背面の盛土
が、擁壁の外側の空気によって冷却されるのを防止で
き、盛土の凍上に伴う擁壁の破損が防止できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、補強土工法におけ
る土留め用の擁壁を形成する擁壁部材及び擁壁構造に関
し、特に、寒冷地における盛土の凍上を防止し、擁壁の
破損を防止する擁壁部材及び擁壁構造に関する。
【0002】
【従来の技術】補強土工法とは、盛土中に補強部材を埋
設し、その補強部材と盛土との間に働く摩擦力を利用し
て土留め用の擁壁の膨らみや脱落を抑える工法であっ
て、図11に示すように、外壁材1を鉛直に配置し、ジ
ョイント2で接合しつつ順次積み上げて擁壁3を形成
し、その擁壁3の背面側に、材料となる盛土4と帯状の
補強部材5とを交互に層状に敷設するものである。通
常、外壁材1としては、コンクリート製のパネルが使用
され、補強部材5としては、鋼製のストリップが使用さ
れる。
【0003】補強土工法においては、外壁材1を鉛直に
配置し、該外壁材1の背面側に盛土4を敷き均し、この
盛土4の上に補強部材5を敷設して外壁材1に取り付
け、さらに上記補強部材5の上に盛土4を敷き均すとい
う作業を繰り返すことによって、複数の補強部材5が所
定間隔で埋め込まれた状態の盛土4が形成される。この
工法によれば、盛土4と補強部材5との間に生ずる摩擦
力Fによって外壁材1が背面側に引っ張られるようにな
り、土圧Gによる擁壁3の擁壁の膨らみや脱落を効果的
に防止することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、近年、補強土
工法によって形成された擁壁3が破損するといった現象
が、寒冷地域において発生した。これは、図12に示す
ように、盛土4に含まれた水分が凍結し、盛土4の中に
埋め込まれている補強部材5に過剰な引張応力が作用す
ることによって、補強部材5が破断される為であるが、
上記擁壁3の破損は、擁壁3の外側の気温、盛土4に含
まれる水分、盛土4の材質等の要因によって発生するこ
とが確認された。
【0005】このような現象を防止する手段としては、
凍結を起こしにくい材質の盛土を用いることが提案され
ている。しかし、熱伝導率が低い、或いは排水性が高い
等の性質を有する凍結を起こしにくい盛土は、一般的に
高価なものが多い。また、排水性の高い盛土を使用する
と、樹木の植生が阻まれるので緑化推進の観点から好ま
しくない場合もある。一方、図13に示すように、盛土
中の凍結の起こし易い部位にのみ、凍結を起こし難い性
質の盛土6を使用するという方法も提案されているが、
通常の盛土4と凍結を起こし難い性質の盛土6との2種
類を、それらが敷き均される部位を考慮しつつ施工する
必要があるので、施工に高度な技術が要求される。
【0006】そこで、本発明は、寒冷地における盛土の
凍上を防止し、擁壁の破損を効果的に防止することがで
きる擁壁部材及び擁壁構造を提供することを目的とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、第1の発明による擁壁部材は、補強土工法における
擁壁を形成する擁壁部材であって、外壁材の少なくとも
一方の面に断熱性を有する断熱材を積層して一体的に形
成すると共に、上記外壁材には帯状の補強部材の一端部
が固定可能とされたものである。
【0008】そして、上記断熱材の外壁材とは反対側の
面に、その表面を保護する表面保護層が形成されてい
る。第2の発明による擁壁部材は、補強土工法における
擁壁を形成する擁壁部材であって、複数層の外壁材の間
に断熱性を有する断熱材層を挟んで一体的に形成すると
共に、上記外壁材には帯状の補強部材の一端部が固定可
能とされたものである。
【0009】第3の発明による擁壁部材は、補強土工法
における擁壁を形成する擁壁部材であって、外壁材の母
材に断熱性を有する断熱材を混合した材料を板状に一体
成形すると共に、帯状の補強部材の一端部が固定可能と
されたものである。第4の発明による擁壁構造は、補強
土工法における擁壁を形成する擁壁部材と、一端部が上
記擁壁部材に固定された帯状の補強部材と、を備えた擁
壁構造であって、上記擁壁部材は、外壁材の少なくとも
一方の面に断熱性を有する断熱材を積層して一体的に形
成され、上記補強部材は、少なくとも上記擁壁部材に固
定された側から所定の長さの部分が断熱性を有する部材
で形成されたものである。
【0010】そして、上記擁壁部材には、上記断熱材の
外壁材とは反対側の面に、その表面を保護する表面保護
層が形成されている。第5の発明による擁壁構造は、補
強土工法における擁壁を形成する擁壁部材と、一端部が
上記擁壁部材に固定された帯状の補強部材と、を備えた
擁壁構造であって、上記擁壁部材は、複数層の外壁材の
間に断熱性を有する断熱材層を挟んで一体的に形成さ
れ、上記補強部材は、少なくとも上記擁壁部材に固定さ
れた側から所定の長さの部分が断熱性を有する部材で形
成されたものである。
【0011】第6の発明による擁壁構造は、補強土工法
における擁壁を形成する擁壁部材と、一端部が上記擁壁
部材に固定された帯状の補強部材と、を備えた擁壁構造
であって、上記擁壁部材は、外壁材の母材に断熱性を有
する断熱材を混合した材料を板状に一体成形され、上記
補強部材は、少なくとも上記擁壁部材に固定された側か
ら所定の長さの部分が断熱性を有する部材で形成された
ものである。
【0012】
【発明の作用及び効果】請求項1に係る擁壁部材によれ
ば、外壁材の少なくとも一方の面に断熱性を有する断熱
材を積層して一体的に形成したので、擁壁部材の断熱性
を高めることができる。このような擁壁部材を使用して
擁壁を形成することにより、補強土工法における擁壁の
断熱性を高めることができる。これにより、擁壁の背面
側に形成された盛土が、擁壁の外側の空気によって冷却
されるのを防止でき、盛土の凍上、及び盛土内に埋め込
まれた補強部材に対する過剰な引張応力の作用が防止さ
れる。これによって、補強部材の破断及び擁壁の破損が
防止できる。
【0013】請求項2に係る擁壁部材によれば、上記断
熱材の上記外壁材とは反対側の面に表面を保護する表面
保護層を設けたので、風雨や紫外線による断熱材の腐食
及び侵食、又は盛土中の水分等による侵食及び施工作業
中の破損等を防止できる。これによって、擁壁部材の耐
久性を高めることができる。請求項3に係る擁壁部材に
よれば、複数層の外壁材の間に断熱性を有する断熱材層
を挟んで一体的に形成したので、擁壁部材の断熱性を高
めることができる。このような擁壁部材を使用して擁壁
を形成することにより、補強土工法における擁壁の断熱
性を高めることができる。これにより、擁壁の背面側に
形成された盛土が、擁壁の外側の空気によって冷却され
るのを防止でき、盛土の凍上、及び盛土内に埋め込まれ
た補強部材に対する過剰な引張応力の作用が防止され
る。これによって、補強部材の破断及び擁壁の破損が防
止できる。また、断熱材が外壁材によって保護されるの
で、長期的な使用に耐えることができる。
【0014】請求項4に係る擁壁部材によれば、外壁材
の母材に断熱性を有する断熱材を混合した材料を板状に
一体成形したので、擁壁部材の断熱性を高めることがで
きる。このような擁壁部材を使用して擁壁を形成するこ
とにより、補強土工法における擁壁の断熱性を高めるこ
とができる。これにより、擁壁の背面側に形成された盛
土が、擁壁の外側の空気によって冷却されるのを防止で
き、盛土の凍上、及び盛土内に埋め込まれた補強部材に
対する過剰な引張応力の作用が防止される。これによっ
て、補強部材の破断及び擁壁の破損が防止できる。ま
た、擁壁部材は、外壁材の母材に断熱性を有する断熱材
を混合した材料を板状に一体成形されるので、製造工程
数が少なくてすみ、容易に製造できる。
【0015】請求項5に係る擁壁構造によれば、外壁材
の少なくとも一方の面に断熱性を有する断熱材を積層し
て一体的に形成された擁壁部材と、少なくとも擁壁部材
に固定された側から所定の長さの部分が断熱性を有する
部材で形成された補強部材と、を備えたので、擁壁部材
及び補強部材の断熱性を高めることができる。このよう
な擁壁構造を適用して補強土工法における擁壁が形成で
きるので、擁壁の背面側に形成された盛土が、擁壁の外
側の空気によって冷却されるのを防止できる上に、地表
又は擁壁の外側からの冷気が補強部材を介して盛土内に
伝達されるのを防止できる。これによって、補強部材の
破断及び擁壁の破損が防止できる。断熱性を有する部材
を、擁壁部材に固定された側から所定の長さの部分のみ
に使用して補強部材を製造した場合は、材料コストが削
減される。
【0016】請求項6に係る擁壁構造によれば、上記擁
壁部材には、上記断熱材の上記外壁材とは反対側の面に
表面を保護する表面保護層が設けられているので、風雨
や紫外線による断熱材の腐食及び侵食、又は盛土中の水
分等による侵食及び施工作業中の破損等を防止できる。
これによって、擁壁の耐久性を高めることができる。請
求項7に係る擁壁構造によれば、複数層の外壁材の間に
断熱性を有する断熱材層を挟んで一体的に形成された擁
壁部材と、少なくとも上記擁壁部材に固定された側から
所定の長さの部分が断熱性を有する部材で形成された補
強部材と、を備えたので、擁壁部材及び補強部材の断熱
性を高めることができる。このような擁壁構造を適用し
て補強土工法における擁壁が形成できるので、擁壁の背
面側に形成された盛土が、擁壁の外側の空気によって冷
却されるのを防止できる上に、地表又は擁壁の外側から
の冷気が補強部材を介して盛土内に伝達されるのを防止
できる。これによって、補強部材の破断及び擁壁の破損
が防止できる。また、擁壁部材の断熱材が外壁材によっ
て保護されているので、擁壁の耐久性を高めることがで
きる。
【0017】請求項8に係る擁壁構造によれば、外壁材
の母材に断熱性を有する断熱材を混合した材料を板状に
一体成形された擁壁部材と、少なくとも上記擁壁部材に
固定された側から所定の長さの部分が断熱性を有する部
材で形成された補強部材と、を備えたので、擁壁部材及
び補強部材の断熱性を高めることができる。このような
擁壁構造を適用して補強土工法における擁壁が形成でき
るので、擁壁の背面側に形成された盛土が、擁壁の外側
の空気によって冷却されるのを防止できる上に、地表又
は擁壁の外側からの冷気が補強部材を介して盛土内に伝
達されるのを防止できる。これによって、補強部材の破
断及び擁壁の破損が防止できる。また、擁壁部材は、外
壁材の母材に断熱性を有する断熱材を混合した材料を板
状に一体成形されるので、製造工程数が少なくてすみ、
容易に製造できる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。図1は、第1の発明による擁壁部
材10の第1の実施形態を示す側面断面図である。この
擁壁部材10は、補強土工法における擁壁を形成する部
材として使用されるものであり、外壁材11と、断熱材
13と、を含み、さらに保護表面層14を設けて構成さ
れる。
【0019】外壁材11は、擁壁部材10の本体となる
もので、コンクリート材料を板状に成形したパネルであ
る。上記外壁材11の一方の面には、断熱性を有する断
熱材13が積層されている。この断熱材13は、接着剤
によって外壁材11の一方の面に貼り合わされて一体化
されている。この断熱材13は、厚さ30mm程度の発
泡ポリスチレン等の断熱性を有する材料からなる板状部
材である。
【0020】上記断熱材13の外壁材11が貼り合わさ
れている側とは反対側の面には、表面保護層14が設け
られている。この表面保護層14は、風雨や紫外線によ
る腐食や侵食からこの断熱材13を保護するためのもの
で、防水性、耐食性及び耐衝撃性に優れたシートを、上
記断熱材13の外壁材11とは反対側の面に貼付したも
のである。
【0021】上記の外壁材11に断熱材13を積層し一
体化させて形成された擁壁部材10には、帯状の補強部
材15の一端部が固定できるような取付手段が設けられ
ている。この取付手段としては、例えば、後述の擁壁構
造40を説明する図7に示すように、補強部材15の一
端部を受ける受板16等が採用できる。この場合、受板
16には透孔が開設されており、この透孔を介して補強
部材15がボルトとナット17によって固定される。
【0022】上記擁壁部材10によれば、外壁材11に
断熱材13を積層して一体化された擁壁部材10によっ
て、補強土工法における擁壁を形成できるので、擁壁の
外側の冷気によって盛土が冷却されるのを防止できる。
なお、断熱材13に、厚さ30mm程度の発泡ポリスチ
レン板を用いた場合には、凍結指数約600℃・daysの
気象条件下において盛土の凍上を防止できた。
【0023】断熱材13として発泡ポリスチレン板以外
の部材を用いる場合、その部材の厚さは、発泡ポリスチ
レンに対するその部材の熱伝導率を勘案しつつ、施工地
域における気象条件(凍結指数)に適応するように、図
2のグラフに基づいて決定するとよい。上記外壁材11
として使用される部材は、所定の重量及び剛性を有する
部材であるならば如何なるものであってもよく、断熱材
13として使用される部材も外壁材11よりも熱伝導率
の低いものであれば如何なるものでもよい。なお、断熱
材13として防水性、耐食性及び耐衝撃性に優れた部材
を用いた場合は、表面保護層14は必ずしも必要ではな
い。
【0024】図3は、第1の発明による擁壁部材の第2
の実施形態を示す側面断面図である。この実施形態の擁
壁部材10′は、断熱材13を、外壁材11の補強部材
15が取り付けられる側の面に積層したものである。こ
の擁壁部材10′によって擁壁を形成した場合は、断熱
材13が擁壁の背面の盛土側に位置することとなるの
で、風雨や紫外線によって断熱材13が劣化する虞がな
い。しかし、盛土の敷き均しや転圧の際に断熱材13が
損傷することがあり、また盛土中の水分が断熱材13の
内部に浸入することもあるので、断熱材13の表面に、
耐水性等を有する表面保護層14を設けるのが望まし
い。
【0025】図4は、第1の発明による擁壁部材の第3
の実施形態を示す側面断面図である。この実施形態の擁
壁部材10″は、断熱材13を、外壁材11の両側面に
積層したものである。この擁壁部材10″によって擁壁
を形成した場合も、風雨、紫外線又は盛土中の水分によ
って断熱材13が劣化することがあり、また盛土の敷き
均しや転圧の際に断熱材13が損傷することもあるの
で、夫々の断熱材13の表面に、耐水性等を有する表面
保護層14を設けておくのが望ましい。
【0026】図5は、第2の発明による擁壁部材を示す
側面断面図である。この擁壁部材20は、複数層の外壁
材21の間に断熱材23の層を挟んで一体的に形成する
と共に、帯状の補強部材15の一端部が固定可能とされ
たものである。この擁壁部材20によれば、断熱材23
は外壁材21に挟まれて保護された状態となるので、粉
状、シート状、繊維状等の多様な性状の断熱材23を用
いることが可能となる。この擁壁部材20によって擁壁
を形成した場合は、風雨や紫外線による断熱材23の腐
食及び侵食、又は盛土中の水分等による侵食及び施工作
業中の破損等が生じる虞がないので、耐久性の高い擁壁
を形成できる。
【0027】図6は、第3の発明による擁壁部材を示す
側面断面図である。この擁壁部材30は、外壁材の母材
31に断熱性を有する断熱材33を混合した材料を板状
に一体成形することによって構成されると共に、帯状の
補強部材15の一端部が固定可能とされたものである。
この擁壁部材30によれば、母材31に断熱材33を混
合した材料を板状に成型することによって製造できるの
で、製造工程数が少なくてすみ、容易に製造できる。
【0028】図7は、本発明による擁壁構造の第1の実
施形態を示す斜視図である。この擁壁構造40は、補強
土工法における擁壁に適用される擁壁構造であって、擁
壁部材10と、補強部材15とを含んで構成される。こ
の擁壁部材10は、図1に示された第1の発明の第1の
実施形態と同様に構成されたものである。この場合にお
いて、擁壁部材10の外壁材11の側の面には、補強部
材15を受けるための受板16が設けられている。この
受板16には図示しない透孔が設けられている。
【0029】上記擁壁部材10の受板16には、補強部
材15の一端部が、透孔を介してボルトとナット17に
よって固定されている。この補強部材15は、一端部に
おいて擁壁部材10に固定された状態で盛土内に埋設さ
れることによって盛土を補強し擁壁の膨らみを防止する
ものであって、擁壁部材10に固定される側の一端部か
ら所定の長さの部分のみを断熱性を有する部材を用いて
形成したものである。
【0030】上記補強部材15は、擁壁部材10に固定
される側の端部から20〜30cmの部分に、ガラス繊
維又はナイロン繊維を含んで構成された断熱性板部材1
8を使用し、それに鋼製の板状部材19を接ぎ合わせて
形成している。なお、上記補強部材15に使用される断
熱性を有する部材は、少なくとも金属よりも熱伝導率が
低いものであれば如何なるものであってもよく、例えば
シート部材であってもよい。
【0031】この擁壁構造40によれば、外壁材11に
断熱材13を積層して一体形成された擁壁部材10によ
って擁壁が形成されるので、擁壁背面側の盛土が擁壁の
外側から冷却されるのを防止できる。また、盛土内に埋
設される補強部材15には、擁壁側の端部から所定の長
さの部分が、ガラス繊維又はナイロン繊維等を含んで構
成された断熱性板部材18によって形成されているの
で、擁壁の外側からの冷気が補強部材15を介して盛土
内に伝達されにくくなり、盛土の凍上を効果的に防止で
きる。また、ガラス繊維又はナイロン繊維を含んで構成
される断熱性板部材18の使用量を少なくできるので経
済的である。
【0032】図8は、本発明による擁壁構造の第2の実
施形態を示す斜視図である。この実施形態の擁壁構造4
0′は、補強部材15として、ガラス繊維又はナイロン
繊維を含んで構成された断熱性板部材18を全長に渡っ
て使用した。本実施形態に係る擁壁構造40′によれ
ば、盛土内に断熱性を有する断熱性板部材18が埋設さ
れるので、盛土の凍上を一層効果的に防止できる。
【0033】図9は、上記擁壁構造40を適用して補強
土工法による擁壁を形成する状態を示す工程説明図であ
る。先ず、擁壁部材10を鉛直に配置する。その上面に
ジョイント2を施して擁壁部材10を接合する。このよ
うにして擁壁部材10を数段積み上げることによって擁
壁3が形成される。この擁壁3の背面側では、擁壁部材
10の受板16の位置まで盛土4を敷き均し、その上に
補強部材15を水平に置いて擁壁部材10の受板16に
ボルトとナット17で固定していく。擁壁部材10に固
定された補強部材15の上に、更に盛土4を敷き均し、
その上に更に補強部材15を敷設するいう作業を繰り返
すことによって、擁壁3の背面側に複数の補強部材15
が所定間隔で埋設された状態の盛土4が形成される。こ
の場合において、擁壁の中下層部においては、図7に示
す第1の実施形態の擁壁構造40を適用し、擁壁の上層
部においては、図8に示す第2の実施形態の擁壁構造4
0′を適用するのが好ましい。
【0034】このように、上記擁壁構造40、40′を
適用して補強土工法における擁壁3を形成したので、擁
壁3の外側の冷気によって盛土4が冷却されるのを防止
でき、盛土4に含まれる水分の凍結、及び盛土4に埋め
込まれた補強部材15に対する過剰な引張応力の作用が
防止できる。これによって、補強部材15の破断が防止
され、補強土工法における擁壁3の破損が防止される。
擁壁3の上層部の擁壁構造において、ガラス繊維又はナ
イロン繊維を含んで構成された断熱性板部材18からな
る補強部材15を使用した場合は、地表からの冷気が伝
達されにくくなるという利点を有する。また、擁壁3の
中下層部の擁壁構造において、擁壁部材10に固定され
る側の端部から所定の長さの部分のみが断熱性板部材1
8によって形成された補強部材15を用いた場合は、擁
壁外側の冷気が補強部材15を介して伝達されるのを経
済的に防止できる。
【0035】図10は、砕石等の非凍上性の材料によっ
て構成された盛土において、凍結指数と凍結深さとの関
係を示すグラフである。このグラフによれば、凍結深さ
は、凍結指数が増えるに従って曲線状に深くなっている
点が理解できる。本発明の擁壁構造に適用される補強部
材15は、このグラフに基づいて、土質や地下水等の要
因を勘案しつつ使用する部材の材質を決定し、また断熱
性板部材18の使用範囲を決定するのが望ましい。
【0036】また、本発明の擁壁構造に適用される擁壁
部材は、図1に示されるものに限られず、図3〜図6に
示されるものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の発明による擁壁部材の第1の実施形態
を示す側面断面図である。
【図2】 上記擁壁部材において、凍結指数と断熱材の
厚さとの関係を示すグラフである。
【図3】 上記擁壁部材の第2の実施形態を示す側面断
面図である。
【図4】 上記擁壁部材の第3の実施形態を示す側面断
面図である。
【図5】 第2の発明による擁壁部材を示す側面断面図
である。
【図6】 第3の発明による擁壁部材を示す側面断面図
である。
【図7】 本発明による擁壁構造の第1の実施形態を示
す斜視図である。
【図8】 上記擁壁構造の第2の実施形態を示す斜視図
である。
【図9】 本発明による擁壁構造を適用して擁壁を形成
する状態を示す工程説明図である。
【図10】 凍結指数と凍結深さの関係を示すグラフで
ある。
【図11】 従来の擁壁部材によって形成された補強土
工法の擁壁を示す断面図である。
【図12】 上記擁壁が破損する状態を示す断面説明図
である。
【図13】 上記擁壁において凍結を起こし難い盛土を
部分的に使用した状態を示す断面図である。
【符号の説明】
3…擁壁 10、20、30…擁壁部材 11、21…外壁材 31…外壁材の母材 13、23、33…断熱材 14…表面保護層 15…補強部材 18…断熱性板部材 40、40′…擁壁構造
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Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】補強土工法における擁壁を形成する擁壁部
    材であって、外壁材の少なくとも一方の面に断熱性を有
    する断熱材を積層して一体的に形成すると共に、上記外
    壁材には帯状の補強部材の一端部が固定可能とされたこ
    とを特徴とする擁壁部材。
  2. 【請求項2】上記断熱材の外壁材とは反対側の面に、そ
    の表面を保護する表面保護層を設けたことを特徴とする
    請求項1に記載の擁壁部材。
  3. 【請求項3】補強土工法における擁壁を形成する擁壁部
    材であって、複数層の外壁材の間に断熱性を有する断熱
    材層を挟んで一体的に形成すると共に、上記外壁材には
    帯状の補強部材の一端部が固定可能とされたことを特徴
    とする擁壁部材。
  4. 【請求項4】補強土工法における擁壁を形成する擁壁部
    材であって、外壁材の母材に断熱性を有する断熱材を混
    合した材料を板状に一体成形すると共に、帯状の補強部
    材の一端部が固定可能とされたことを特徴とする擁壁部
    材。
  5. 【請求項5】補強土工法における擁壁を形成する擁壁部
    材と、一端部が上記擁壁部材に固定された帯状の補強部
    材と、を備えた擁壁構造であって、 上記擁壁部材は、外壁材の少なくとも一方の面に断熱性
    を有する断熱材を積層して一体的に形成され、 上記補強部材は、少なくとも上記擁壁部材に固定された
    側から所定の長さの部分が断熱性を有する部材で形成さ
    れたことを特徴とする擁壁構造。
  6. 【請求項6】上記擁壁部材には、上記断熱材の外壁材と
    は反対側の面に、その表面を保護する表面保護層を設け
    たことを特徴とする請求項5に記載の擁壁構造。
  7. 【請求項7】補強土工法における擁壁を形成する擁壁部
    材と、一端部が上記擁壁部材に固定された帯状の補強部
    材と、を備えた擁壁構造であって、 上記擁壁部材は、複数層の外壁材の間に断熱性を有する
    断熱材層を挟んで一体的に形成され、 上記補強部材は、少なくとも上記擁壁部材に固定された
    側から所定の長さの部分が断熱性を有する部材で形成さ
    れたことを特徴とする擁壁構造。
  8. 【請求項8】補強土工法における擁壁を形成する擁壁部
    材と、一端部が上記擁壁部材に固定された帯状の補強部
    材と、を備えた擁壁構造であって、 上記擁壁部材は、外壁材の母材に断熱性を有する断熱材
    を混合した材料を板状に一体成形され、 上記補強部材は、少なくとも上記擁壁部材に固定された
    側から所定の長さの部分が断熱性を有する部材で形成さ
    れたことを特徴とする擁壁構造。
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