JP2003305477A - 硫酸イオンの除去方法 - Google Patents
硫酸イオンの除去方法Info
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Abstract
硫酸イオンを効率的に除去することができる硫酸イオン
の除去方法を提供することを課題とする。 【解決手段】 本発明は硫酸イオンを含む被処理水にカ
ルシウムイオン及びアルミニウムイオンを共存させて、
pHを所定範囲に保つことで、前記硫酸イオンを含有す
る硫酸含有化合物を析出させ、前記被処理水中の硫酸イ
オン濃度を低下させることを特徴とする硫酸イオンの除
去方法を提供する。
Description
方法に関する。
食品製造加工工場、飲料水製造工場、紙パルプ工場、繊
維紡績工場等から排出されるプロセス排水、総合排水
は、その水質に応じて、放流基準や自主管理基準、ある
いは、回収再利用に要求される水質を満足するように、
凝集処理、沈澱処理、生物処理、酸化分解、ろ過、蒸
発、イオン交換等の方法を、単独に又は組み合わせて処
理される。
域によっては水資源の枯渇、製造コストに占める上下水
道費用の高騰、環境ISOへの取り組み等から、工場内
での水の再利用が進んでいる。
物を分解処理するのに適しており、好気性処理、嫌気性
処理等を組み合わせてCOD成分の低減や、窒素成分の
除去に幅広く用いられている。
に、好気性処理と比較して高い有機物濃度の排水の処理
に適している。しかし、嫌気性処理を行う場合に水中に
硫酸イオンが数百〜数千mg/Lの濃度で存在すると、
硫酸イオンが還元されて硫化水素が発生する。硫化水素
は、悪臭が強く、有毒であるのみならず、装置や配管の
腐食をもたらし、あるいは、ガスを有効利用する際の障
害となる。バイオガス中の硫化水素の除去には、大量の
吸着剤やアルカリ剤が必要となる為に、低コストで嫌気
性処理を行っても、ガス処理のコストのために、結果的
に嫌気性処理が適用できないという排水が多い。硫酸イ
オンは数百mg/Lでも前記の問題が発生するために、
100mg/L以下の濃度まで減少させることが望まれ
るが、硫酸カルシウムの析出による処理(硫酸カルシウ
ム法)では、数千mg/Lの硫酸イオンが排水中に残留
する。イオン交換処理は、硫酸イオンの濃度が高い場合
は再生頻度が高くなり、また再生廃液の処理が必要とな
る為に実用的ではない。
000mg/L)に近い濃度で水中に存在すると、その
水を使用する系では、温度、pH等の環境の微妙な変化
により硫酸カルシウムがスケールとして析出し、配管、
機器等にスケール障害をもたらすことになる。このため
排水中に含まれる硫酸イオンを効果的に除去することが
できる処理方法の開発が望まれていた。
問題点に鑑みなされたものであり、硫酸イオンが含まれ
る排水中から、硫酸イオンを効率的に除去することがで
きる硫酸イオンの除去方法を提供することを課題とす
る。
の結果、前記課題を解決するために、硫酸イオンを含む
被処理水にカルシウムイオン及びアルミニウムイオンを
共存させて、pHを所定範囲に保つことで、前記硫酸イ
オンを硫酸含有化合物として析出させ、前記被処理水中
の硫酸イオン濃度を低下させることが可能であるとの知
見に基づき本発明の硫酸イオンの除去方法を完成した。
む被処理水にカルシウムイオン及びアルミニウムイオン
を共存させて、pHを所定範囲に保って、前記硫酸イオ
ンを硫酸含有化合物として析出させ、前記被処理水中の
硫酸イオン濃度を低下させることを特徴とする硫酸イオ
ンの除去方法である。
範囲を9〜13とすることを特徴とする請求項1記載の
硫酸イオンの除去方法である。
を、不溶部分を有するカルシウム含有化合物及び/又は
不溶部分を有するアルミニウム含有化合物と接触させ、
前記pHの所定範囲を5〜13とすることを特徴とする
請求項1に記載の硫酸イオンの除去方法である。
含有化合物が、炭酸カルシウム及び/又はヒドロキシア
パタイトであることを特徴とする請求項3に記載の硫酸
イオンの除去方法である。
ム含有化合物が、カオリン、ハロイサイト及びアロフェ
ンからなる群から選択される1以上の粘土化合物である
ことを特徴とする請求項3に記載の硫酸イオンの除去方
法である。
とともに、アルミン酸ナトリウムを前記被処理水に添加
することを特徴とする請求項5に記載の硫酸イオンの除
去方法である。
として析出する際には、被処理水中の硫酸イオン、アル
ミニウムイオン及びカルシウムイオンとが、下記(1)
式の反応を生じ、水に難溶性のエトリンジャイト(3C
aSO4・3CaO・Al2O 3・nH2O(ここでnは正
の整数))様の硫酸含有化合物が生成する。
は、請求項2に記載のように、前記pHの所定範囲が9
〜13の条件で、実用上許容できる速度で反応が右辺に
進行することが明らかとなった。
ためには、カルシウムイオンのモル濃度は硫酸イオンの
モル濃度に対して、少なくとも1.5倍以上、より好適
には2倍以上であることが望ましい。カルシウムイオン
の濃度をこの範囲とすることで、被処理水中の硫酸イオ
ンは化学量論比に基づいて硫酸含有化合物として析出
し、被処理水中から除かれる。
硫酸イオンのモル濃度に対して2/3倍以上であること
が望ましい。アルミニウムイオンの濃度をこの範囲とす
ることで被処理水中の硫酸イオンは化学量論比に基づい
て硫酸含有化合物として析出し、被処理水中から除かれ
る。
ることが望ましい。被処理水のpHが9以上であれば、
(1)式を右辺に進行させるために必要なOH-は、実
用上許容できる濃度となる。また、被処理水のpHが1
3以下であれば、硫酸イオンの除去処理を行った後の処
理水のpHが高くなりすぎることはなく、処理水の中和
作業に手間が掛かることがない。
の後処理の容易さを勘案すると、被処理水のpHは9.
5〜12.5であればより一層望ましい。
中のカルシウムイオン及び/又はアルミニウムイオンの
濃度が、(1)より予想される化学量論係数よりも小さ
い場合であっても、前記被処理水を、不溶部分を有する
カルシウム含有化合物及び/又は不溶部分を有するアル
ミニウム含有化合物に接触させ、前記pHの所定範囲を
5〜13とすることで、被処理水中の硫酸イオンを除去
することが可能となる。
ム含有化合物及び/又はアルミニウム含有化合物が一部
溶解して、カルシウムイオン及び/又はアルミニウムイ
オンを被処理水に供給するとともに、これらの化合物の
不溶部分が晶析核となることにより、前記した硫酸含有
化合物が、この晶析核に析出するためである。
理水のpHが5〜13の範囲で右辺に進行する。被処理
水中に晶析核を存在させない請求項2に記載の発明の場
合には、pHが9〜13のときに(1)式は右辺に反応
が進行したが、晶析核が存在する条件では、被処理水が
弱酸性〜弱アルカリ性の範囲でも硫酸イオンを硫酸含有
化合物として被処理水から除去することが可能となる。
ば高いほど硫酸含有化合物が析出し易いことが予想され
るが、晶析核が存在する条件においては、pHが6〜
9.5の範囲であれば、硫酸イオンの除去効果は好まし
いレベルである。
不溶部分を有し、被処理水中で、硫酸含有化合物の晶析
核となるものであれば特に制限はないが、特に、炭酸カ
ルシウム及び/又はヒドロキシアパタイトが好適であ
る。これらのカルシウム含有化合物は、水に対する溶解
度が小さいため、被処理水中で未溶解のまま懸濁して硫
酸含有化合物の晶析核となる。ここで、カルシウム含有
化合物は、粒径が0.05〜5mmの粉末状態及び粒状
態で用いることが可能である。
化石、貝殻等を破砕して所定粒径として用いることがで
きる。また、ヒドロキシアパタイトとしては、化学合成
により所定の粒径に調製したしたものや、リン鉱石、骨
炭等を破砕して用いることができる。また、天然ゼオラ
イト等の表面にヒドロキシアパタイトを析出担持させた
ものを用いることができる。
方法は、カルシウム含有化合物の表面が被処理水中の硫
酸イオンと接触し、前記した(1)式の反応が充分に進
行する方法であれば特に制限はない。例えば、カルシウ
ム含有化合物を被処理水に懸濁して撹拌する懸濁反応装
置や、カルシウム含有化合物を被処理水に懸濁して流動
させて、カルシウム含有化合物と被処理水との接触を図
る流動層式反応装置、及び、反応装置の一部に比較的粒
径の大きなカルシウム含有化合物を充填した固定層を設
け、そこに、被処理水を通水する固定層式反応装置を用
いることができる。
は、前記した接触方法により好適な値が異なり、懸濁反
応装置の場合には、被処理水との接触面積を高めるため
に、粒径は0.05〜0.2mmであることが望まし
い。また、流動層式反応装置の場合には、被処理水との
接触面積を高めるために、粒径は0.05〜0.3mm
であることが望ましい。また、固定層式反応装置の場合
には、カルシウム含有化合物を固定する必要上、若干粒
径が大きな粒子が用いられ、粒径は0.2〜5mmであ
ることが望ましい。
被処理水中で少なくとも一部が溶解して、アルミニウム
イオンを発生しうるものであれば特に制限はないが、カ
オリン、ハロイサイト及びアロフェンからなる群から選
択される1以上の粘土化合物を用いることが好ましい。
小さいので、粘土化合物は、一部分は溶解して被処理水
中にアルミニウムイオンを供給するとともに、未溶解の
部分は、被処理水中で懸濁して、硫酸含有化合物の晶析
核となる。
トリウムを併用することで被処理水中から硫酸イオンを
より効果的に除去することが可能となる。つまり、アル
ミン酸ナトリウムは、水に容易に溶けて、被処理水中に
アルミニウムイオンを供給するので、(1)式の反応は
右辺に進行しやすくなる。
硫酸イオンの除去方法について説明する。図1は、本発
明の硫酸イオンの除去方法を利用した硫酸イオン除去装
置の第1の実施形態を示すブロック図である。本実施の
形態では、晶析核を用いない硫酸イオン除去装置の装置
構成を示しており、請求項2に記載の発明に対応するも
のである。
交換カラム2、中和槽3、pH計4等からなる。被処理
水は、反応塔1に導入される前に、流路中に設けられた
pH計6によりpHが測定され、その結果はデータ処理
部18に送信される。被処理水のpHが規定範囲(9〜
13)よりも低い場合には、データ処理部18により開
閉度が制御される可変バルブ7が開閉し、アルカリタン
ク8に貯蔵されている高濃度の水酸化ナトリウム等が被
処理水に導入され、被処理水のpHが規定範囲(9〜1
3)に調整される。尚、図1において、データ処理部1
8から可変バルブ7への制御線は図面が煩雑となるため
に図示を省略した。可変バルブ11,14,17につい
ても同様である。
より被処理水中の硫酸イオン濃度が測定される。このS
O4 2-計9で測定された硫酸イオン濃度は、データ処理
部18に送信され、被処理水中のカルシウムイオン濃度
及びアルミニウムイオン濃度を調整するために用いられ
る。
より被処理水中のカルシウムイオン濃度が測定される。
ここで測定されたカルシウムイオン濃度はデータ処理部
18に送信され、カルシウムイオン濃度が、SO4 2-計
9で測定された硫酸イオン濃度に対して少ない場合に
は、データ処理部18からの指令により開閉度が制御さ
れる可変バルブ11が開閉し、Ca2+タンク12に貯蔵
されているカルシウムイオン含有溶液が被処理水中に導
入され、被処理水中のカルシウムイオン濃度(モル濃
度)が、硫酸イオン濃度(モル濃度)に対して少なくと
も1.5倍、好適には2倍以上の濃度に調整される。
により、被処理水中のアルミニウムイオン濃度が測定さ
れる。ここで測定されたアルミニウムイオン濃度が、同
様にデータ処理部18に送信され、SO4 2-計9で測定
された硫酸イオン濃度に対して少ない場合には、データ
処理部18からの指令により開閉度が制御される可変バ
ルブ14が開閉し、Al3+タンク15に貯蔵されている
アルミン酸ナトリウム水溶液等のアルミニウムイオン含
有溶液が被処理水中に導入され、被処理水中のアルミニ
ウムイオン濃度(モル濃度)が、硫酸イオン濃度(モル
濃度)に対して少なくとも2/3倍以上の濃度に調整さ
れる。尚、ここで、pH調整、カルシウムイオン濃度調
整及びアルミニウムイオン濃度調整は、必ずしもこの順
序で行う必要はなく、適宜順序を変更しても構わない。
アルミニウムイオン濃度が調整された被処理水は反応塔
1に底部から導入され、反応塔1内部で、前記した
(1)式に示した硫酸イオンの晶析反応が進行する。
尚、この際、反応塔1に循環路16を設けて、一部の被
処理水を反応塔1内部で循環するように構成してもよ
い。被処理水の循環処理を行うことで、(1)式の反応
が充分に右辺に進行し、被処理水中の硫酸イオンを効果
的に析出させることが可能となる。
処理水は、不図示のフィルタ等により、硫酸含有化合物
が除去された上で処理水となり、イオン交換カラム2に
導入される。イオン交換カラム2中には、H形陽イオン
交換樹脂が充填されており、処理水はイオン交換樹脂を
通過することで余分なNa+等のカチオンが除去された
上で中和槽3に導入される。
性であるので、それを中和するために、処理水は中和槽
3に導入される。中和槽3には、pH計4が設置されて
おり中和槽3中の処理水のpHが測定されている。処理
水が酸性である場合には、このpH計4のデータに基づ
いてデータ処理部18から信号が送られ、可変バルブ1
7が開閉し、反応塔1から放出される処理水(アルカリ
性)が中和槽3に導入され、これにより中和槽3中の処
理水(酸性)の中和を行う。
利用した硫酸イオン除去装置の第2の実施形態を示すブ
ロック図である。本実施の形態では、晶析核を用いる硫
酸イオン除去装置の装置構成を示しており、請求項3に
記載の発明に対応するものである。
ては先ず、流路中に設けられたpH計6により被処理水
のpHが測定される。この情報はデータ処理部18に送
信され、被処理水のpHが所定範囲(5〜13)以外の
場合には、この情報に基づいて開閉度が制御される可変
バルブ19a,19bが開閉し、アルカリタンク18a
又は酸タンク18bに貯蔵されているアルカリ水溶液又
は酸水溶液が被処理水に導入され、被処理水のpHが規
定範囲(5〜13)に調整される。尚、図2において、
データ処理部18から可変バルブ19a,19bへの制
御線は図面が煩雑となるために図示を省略した。可変バ
ルブ14についても同様である。
5〜0.3mm)を有する炭酸カルシウム、ヒドロキシ
アパタイト等の不溶部分を有するカルシウム含有化合物
が、カルシウム含有化合物タンク20から被処理水中に
適宜導入される。
シウム含有化合物を被処理水に導入したが、晶析核とし
ては、カオリン、ハロイサイト、アロフェン等の不溶部
分を有するアルミニウム含有化合物を用いることが可能
である。また、晶析核として、カルシウム含有化合物と
アルミニウム含有化合物とを混合して用いることも可能
である。
アルミニウムイオン濃度がそれぞれ、SO4 2-計9及び
Al3+計13により測定され、データ処理部18に情報
が送信される。ここで測定されたアルミニウムイオン濃
度が、SO4 2-計9で測定された硫酸イオン濃度に対し
て少ない場合には、データ処理部からの信号で開閉度が
制御される可変バルブ14が開閉し、Al3+タンク15
に貯蔵されているアルミン酸ナトリウム水溶液等のアル
ミニウムイオン含有溶液が被処理水中に導入され、被処
理水中のアルミニウムイオン濃度(モル濃度)が、硫酸
イオン濃度(モル濃度)に対して少なくとも2/3倍以
上の濃度に調整される。
範囲に調整された被処理水は、反応塔1に底部から導入
される。本実施の形態においては、反応塔1内部には、
(1)式の晶析反応を促進するために、粒径が0.2〜
5mmのカルシウム含有化合物(炭酸カルシウム及び/
又はヒドロキシアパタイト)が充填されている。
質を分散させ、さらに、反応塔1内部にカルシウム含有
化合物を充填することにより、被処理水のpHが6〜
9.5の範囲であっても(1)式の反応を充分に右辺に
進行させることが可能となり、被処理水中の硫酸イオン
を効果的に析出させることが可能となる。
応塔1に循環路16を設けて一部の被処理水を反応塔1
内部で循環するように構成してもよい。
被処理水は、不図示のフィルタ等により析出物がろ過さ
れ、被処理水のpHに応じて第1の実施形態に示したよ
うな中和処理がなされる。尚、本実施の形態において
は、被処理水に晶析核を投入しているので、被処理水が
中性(pH≒7)であっても、充分に被処理水中の硫酸
イオンを除去することが可能であり、反応塔1に導入さ
れる被処理水のpHを7程度に調整しておけば、第1の
実施形態に示したような処理水の中和処理の手間が省け
より好適である。
はこの実施例にのみ限定されるものではない。
炭酸カルシウム粒子を用いるものであり、請求項3に対
応するものである。
イオン560mg/Lを含む被処理水を用いて、本発明
の硫酸イオン除去方法の実験を行った。内径40mm、
高さ2320mmのカラムを反応塔に用い、この反応塔
に粒径が0.3〜0.5mmのカルサイト型結晶構造を
有する炭酸カルシウム粒子1000mLを充填し、被処
理水を反応塔底部より10L/hの流量の上向流で通水
した。
た枝管より炭酸ナトリウム水溶液を連続的に添加して反
応塔出口部における被処理水のpHが9.5に保たれる
ように制御した。また、反応塔底部より100mmに設
けた枝管よりアルミン酸ナトリウム水溶液を被処理溶液
中におけるアルミニウムイオン濃度が400mg/Lで
一定となるように連続的に注入した。
から、被処理水の一部を抜き出し、反応塔底部に45L
/hで循環させた。このような条件で硫酸イオンの除去
を行い、通水開始後20時間後に反応塔出口部より処理
水を採取し、硫酸イオン濃度及びカルシウムイオン濃度
をイオンクロマトグラフィーにより測定した。その結果
を表1に示す。
を行わない以外は実施例1と同様にして被処理水中の硫
酸イオンの除去効果を確認した。その結果を表1に示
す。
ルシウム含有化合物及びアルミニウム含有化合物を共存
させた実施例1においては、処理水の硫酸イオンの濃度
は669mg/L(除去率68%)となっており、硫酸
カルシウムの溶解度未満まで硫酸イオンが除去されてい
る。それに対し、アルミニウム含有化合物(アルミン酸
ナトリウム)を共存させない比較例1においては、処理
水における硫酸イオンの除去率は6%であり、殆ど硫酸
イオンが除去されていないことが明らかである。
除去されたのは、処理水中に元々含まれていたアルミニ
ウムイオンが、前記した(1)式の反応を右辺に進行さ
せ、硫酸イオンが硫酸含有化合物として晶析されたため
と推測される。
効果的に除去するためには、アルミニウムイオンが存在
することが重要であることを示している。
ヒドロキシアパタイト粉末を用いるものであり、請求項
4に対応するものである。
ムイオンを830mg/Lを含むpH8.5に調整され
た被処理水200mLにアルミン酸ナトリウム0.35
gとヒドロキシアパタイト粉末(粒径0.05〜0.2
mm)10gを添加して、3時間撹拌した後に、30分
静置してヒドロキシアパタイト粉末を沈降分離して上澄
み液(処理水)中の硫酸イオン濃度及びカルシウムイオ
ン濃度をイオンクロマトグラフィーにより測定した。そ
の結果を表2に示す。
添加しない以外は実施例2と同様にして硫酸イオンの除
去効果を確認した。その結果を表2に示す。
イト)を添加しない比較例2においては硫酸イオンの除
去率は0%であった。実施例2及び比較例2の結果よ
り、被処理水中から硫酸イオンを効果的に除去するため
には、被処理水中にカルシウムイオンとともに、晶析核
となる物質が存在することが重要であることを示してい
るまた、比較例2の結果より、晶析核を用いない場合
(請求項2)には、例え充分な量のカルシウムイオン及
びアルミニウムイオンが被処理水中に存在したとして
も、pHが9未満となると、(1)式の反応は殆ど進行
せず、硫酸イオンが除去されないことが明らかとなっ
た。
ヒドロキシアパタイト粉末を用いるものであり、請求項
4に対応するものである。
ムイオンを1660mg/Lを含み、pHを6.0〜
9.0まで5段階に変化させた被処理水200mLにア
ルミン酸ナトリウム0.70gとヒドロキシアパタイト
粉末(粒径0.05〜0.2mm)10gを添加して、
3時間撹拌した後に、30分静置してヒドロキシアパタ
イト粉末を沈降分離して上澄み液(処理水)中の硫酸イ
オン濃度及びカルシウムイオン濃度をイオンクロマトグ
ラフィーにより測定した。その結果を表3に示す。
6.0〜9.0の範囲で殆ど変化が無いことが明らかと
なり、本発明の硫酸イオンの除去方法は、弱酸性〜弱ア
ルカリ性の条件でも効果を発揮することが明白である。
アロフェン粉末を用いるものであり、請求項5に対応す
るものである。
ムイオンを830mg/Lを含むpH8.5に調整され
た被処理水200mLにアルミン酸ナトリウム0.35
gとアルミニウムの含水ケイ酸塩であるアロフェン(粒
径0.05〜0.2mm)10gを添加して、3時間撹
拌した後に、30分静置してアロフェン粉末を沈降分離
して上澄み液(処理水)中の硫酸イオン濃度及びカルシ
ウムイオン濃度をイオンクロマトグラフィーにより測定
した。その結果を表4に示す。
在するカルシウムイオンが消費されることで、硫酸含有
化合物が生成されて晶析核であるアロフェン粉末(アル
ミニウム含有化合物)に析出したものと考えられる。
ず、被処理水中に存在する硫酸イオン、カルシウムイオ
ン及びアルミニウムイオンのみで硫酸イオンを除去する
ものであり、請求項2に対応するものである。
ol/L)、カルシウムイオン100mg/L(約2.
5mmol/L)を含む被処理水を用いて、本発明の硫
酸イオン除去方法の実験を行った。
して、カルシウムイオンの濃度が不足していたために、
塩化カルシウム水溶液を所定量添加することで、被処理
水中のカルシウムイオン濃度を400mg/L(約1
0.0mmol/L)と、硫酸イオンのモル濃度の2倍
程度の濃度とした。
を反応塔に用い、カルシウムイオン濃度を調整した被処
理水を水酸化ナトリウムによりpHを12.2に調整
し、反応塔底部より6L/hの流量の上向流で通水し
た。
た枝管からアルミニウムイオン濃度が1000mg/L
に調整されたアルミン酸ナトリウム水溶液を0.5L/
hの速度で注入した。
から、被処理水の一部を抜き出し、反応塔底部に25.
8L/hで循環させた。このような条件で硫酸イオンの
除去を行なったところ、約 時間後に被処理水の水質
が安定した。そのときの、水質を表5に示す。
216mg/Lであり、硫酸カルシウムの溶解度(約2
000mg/L)の1/10程度にまで減少している。
このことより、晶析核が存在しない条件でもpHを適切
な範囲(9〜13)に調整することにより被処理水中の
硫酸イオンを効果的に除去できることが明らかとなっ
た。
オン交換樹脂(バイエル社製、レバチットCNP−8
0)1Lを充填したイオン交換カラム(内径40mm、
高さ1000mm、充填高さ800mm)へ、5L/h
の流速で通水した。
3.8から徐々に上昇し、30時間後にはpH7.0を
越えた。酸性である出口水を中和するために、イオン交
換カラムの出口に中和槽を設け、この中和槽のpHに基
づき、反応塔からの処理水(pH11.5)を中和槽に
直接導入することで、出口水の中和を行った。出口水の
pHが7.0を越えた時点で、イオン交換樹脂を定法に
従い再生し、再利用した。
る。本発明の硫酸イオンの除去方法によれば、適切なp
Hに調整された被処理水中において硫酸イオン、カルシ
ウムイオン及びアルミニウムイオンを反応させて水に難
溶性のエトリンジャイトを晶析することで硫酸イオンを
除去する。よって、被処理水中のカルシウムイオン及び
アルミニウムイオンの濃度を適切に調整すれば、処理水
中の硫酸イオンの濃度を硫酸カルシウムの溶解度(約2
000mg/L)未満にまで低減することが可能とな
る。
硫酸カルシウム法では、処理水中に残留する硫酸イオン
及びカルシウムイオンの濃度が高いため配管等にスケー
ルが発生するという問題点が存在したが、本発明におい
て硫酸カルシウムの溶解度未満にまで硫酸イオンを低減
することが可能となったので配管等へのスケールの析出
を抑制することが可能となった。
度を従来に比べて格段に小さくすることが可能となった
ので、微生物による嫌気性処理の際に発生する硫化水素
の発生量を減少することが可能となり、硫化水素による
配管の腐食等の問題を解決することが可能となった。
イオン除去装置の第1の実施形態のブロック図である。
イオン除去装置の第2の実施形態のブロック図である。
Claims (6)
- 【請求項1】 硫酸イオンを含む被処理水にカルシウム
イオン及びアルミニウムイオンを共存させて、pHを所
定範囲に保って、前記硫酸イオンを硫酸含有化合物とし
て析出させ、前記被処理水中の硫酸イオン濃度を低下さ
せることを特徴とする硫酸イオンの除去方法。 - 【請求項2】 前記pHの所定範囲を9〜13とするこ
とを特徴とする請求項1記載の硫酸イオンの除去方法。 - 【請求項3】 前記被処理水を、不溶部分を有するカル
シウム含有化合物及び/又は不溶部分を有するアルミニ
ウム含有化合物と接触させ、前記pHの所定範囲を5〜
13とすることを特徴とする請求項1に記載の硫酸イオ
ンの除去方法。 - 【請求項4】 前記カルシウム含有化合物が、炭酸カル
シウム及び/又はヒドロキシアパタイトであることを特
徴とする請求項3に記載の硫酸イオンの除去方法。 - 【請求項5】 前記アルミニウム含有化合物が、カオリ
ン、ハロイサイト及びアロフェンからなる群から選択さ
れる1以上の粘土化合物であることを特徴とする請求項
3に記載の硫酸イオンの除去方法。 - 【請求項6】 前記粘土化合物とともに、アルミン酸ナ
トリウムを前記被処理水に添加することを特徴とする請
求項5に記載の硫酸イオンの除去方法。
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