JP2003304993A - 係合機能を有する払拭用布帛およびそれを用いたモップ - Google Patents

係合機能を有する払拭用布帛およびそれを用いたモップ

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JP2003304993A
JP2003304993A JP2002110888A JP2002110888A JP2003304993A JP 2003304993 A JP2003304993 A JP 2003304993A JP 2002110888 A JP2002110888 A JP 2002110888A JP 2002110888 A JP2002110888 A JP 2002110888A JP 2003304993 A JP2003304993 A JP 2003304993A
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cloth
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Hideyasu Sakai
秀泰 境
Toshihiro Funabiki
俊宏 船曳
Toshiaki Yamaguchi
俊朗 山口
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Kuraray Co Ltd
3M Japan Ltd
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Kuraray Co Ltd
Sumitomo 3M Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 面ファスナー機構によって清掃具の基台と着
脱可能とした払拭用布帛であって、洗濯時に、払拭面に
取り込まれた汚れが除去しやすいカットパイル構造を有
する払拭用布帛を提供することを目的とするものであ
る。 【解決手段】 剥離分割型複合繊維を含むカットパイル
糸を払拭面に有する払拭用布帛であって、前記カットパ
イル糸を構成する剥離分割型複合繊維が部分的に剥離分
割されており、かつ、前記払拭面と反対側の裏面は合成
繊維フィラメントからなるループ群を有する繊維糸条が
地糸の一部として編みこまれて係合機能を有することを
特徴とする、払拭用布帛。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、係合機能を有する
払拭用布帛及びこれを装着したモップに関し、より詳細
にはモップの装着ホルダー(基台)に設けられた面ファ
スナーフック材との着脱が容易であり、洗濯により繰り
返しの使用が可能で、優れた清拭効果を有する払拭用布
帛を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、清掃用布帛と清掃用具を面フ
ァスナーにより係止する方式は広く採用されており、例
えば、カナダ特許出願CA2206730(Al)に
は、払拭用布帛のベース組織中にループを有する繊維糸
条を挿入し、該布帛裏面に露出したループ群を形成させ
ることにより、面ファスナーループ機能が備わった払拭
用布帛として供給し、該布帛を、面ファスナーフック材
を備えた装着ホルダーに係止して使用するモップが提案
されている。
【0003】また、清拭用の素材としては、従来から不
織布も広く使用されており、この場合には構造的に適度
な毛羽が存在するために、上記のような面ファスナーの
ループ機能を持つ部材は特に設けずに、面ファスナーフ
ック材を備えた装着ホルダーへ係止させて使用すること
も可能である。しかしながら、不織布は使い捨て(ディ
スポーザブル)を前提としているため、耐久性を問題と
することは無く、むしろ安価に供給することが重視され
ている。
【0004】ところが、経済産業省は循環型社会におい
て3R(Reduce、Reuse,Recycle)
を提唱しており、大量消費、大量廃棄の低減を進めてい
るため、ディスポーザブル商品は今後見直される可能性
が予測される状況にある。このような状況下では払拭作
業と洗濯作業等を繰り返し行なうために、耐久性に優れ
た織編物を使用していくことが考えられるが、面ファス
ナーフック材を備えた装着ホルダーへ係止させて使用す
る場合、上記開示の如く払拭用布帛の裏面側に係合機能
を有することが好ましい構造体と考えられる。しかしな
がら、払拭作業と洗濯作業等を繰り返し行なうことがで
きるようにするためには、布帛にも適度な硬さが要求さ
れる。カナダ特許出願CA2206730(Al)によ
れば、払拭用布帛の地組織部を硬化剤を用いたコーティ
ング法による布帛の硬化方法が開示されているが、布帛
裏面に露出したループ群が硬化剤により汚染されること
による係合性への悪影響が懸念される。
【0005】また、近年では、優れた清拭機能を付与す
るために極細繊維を用いた払拭用布帛が一般的な素材と
して定着しており、極細繊維を形成するために、易溶出
成分を複合成分として含む複合繊維から易溶出成分を除
去したり、機械的な分割処理によって極細化を達成させ
る剥離分割型複合繊維が多く使用され、払拭用布帛の製
造最終段階で完全に極細化された状態で使用されている
ものが多い。
【0006】一方、不織布を用いた払拭用布帛において
は極細繊維を使用しない商品も多数見受けられるが、極
細繊維を使用した編織物に比べても、除去する汚れの対
象によっては、清拭性能面で必ずしも劣るということは
なく、むしろ不織布のように構成繊維が複雑に絡み合っ
た構造が払拭作用に効果的に影響を及ぼすと考えられて
いる。
【0007】しかしながら、払拭用布帛としては払拭対
象面が平坦な場合のみならず、凹凸を有するような面に
対しても有効に機能することが望まれる。したがって、
不織布のような平坦な生地よりも払拭作用面の自由度が
高い立毛布帛が好適であるが、立毛布帛に従来のような
製造方法に極細繊維を応用しただけでは不織布のような
繊維の絡み合いが生ぜず、このため、除去する汚れの対
象によっては払拭性について不十分であるといった欠点
があった。さらに、除去する対象となる汚れの種類によ
っては、特に油性汚れのような場合、払拭用布帛の洗浄
性が構成繊維素材により大きく影響され、汚れの除去性
と耐洗濯再汚染性も作業者の作業負荷となって、商品の
優位性を決定づける要素となる。
【0008】したがって、極細繊維からなる不織布が油
性汚れに対して特に効果的である点と上記したディスポ
ーザブル性が作業時の負荷を軽減するために広く普及し
てきたが、既に記したような背景の下では今後は見直さ
れる状況にある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の背景を
鑑みてなされたものであって、面ファスナー機構によっ
て清掃具の基台と着脱可能とした払拭用布帛において、
使用後に汚れた該払拭用布帛を再使用するための布帛自
体の洗濯時に、払拭面に取り込まれた汚れが除去しやす
いカットパイル構造を有する払拭用布帛を提供すること
を目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、その1
つの態様として、剥離分割型複合繊維を含むカットパイ
ル糸を払拭面に有する払拭用布帛であって、前記カット
パイル糸を構成する剥離分割型複合繊維が部分的に剥離
分割されており、かつ、前記払拭面と反対側の裏面は合
成繊維フィラメントからなるループ群を有する繊維糸条
が地糸の一部として編みこまれて係合機能を有すること
を特徴とする、払拭用布帛を提供する。また、本発明
は、別の態様として、上記の払拭用布帛と、該払拭用布
帛の前記裏面と着脱可能な係合素子を有する基台とを備
えるモップを提供する。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明において、カットパイル糸
を構成する剥離分割型複合繊維は部分的に剥離分割され
ている。ここにいう、「部分的に剥離分割された」と
は、未分割の複合繊維のみからなるものでなく、また、
完全に剥離分割された複合繊維のみからなるものでもな
いことを意味する。すなわち、(1)剥離分割型複合繊
維糸条を構成する個々の複合繊維を構成している層(分
割可能成分)の一部が剥離分割されている状態である
か、又は、(2)未分割の繊維の部分と完全に分割され
た繊維の部分が混在している状態であるか、或いは、
(3)上記(1)と(2)とが混在している状態を包含
するように理解されるべきである。カットパイル糸とし
て、完全に剥離分割された繊維からなる繊維糸条を用い
た場合には、極細化された構成繊維の本数が著しく増大
するので、払拭時に発生する被払拭面との摩擦力が増大
する。この結果、払拭用布帛の易動性が低下して円滑な
払拭作業ができなくなってしまう。他方、未分割の繊維
からなる繊維糸条を用いた場合には、塵埃の捕捉作用が
低く、払拭性が不十分になる。本発明において、部分的
に剥離分割された繊維を用いることにより、払拭性が高
くかつ作業性のよい払拭用布帛を得ることが可能にな
る。
【0012】払拭布の払拭面を構成するカットパイル糸
は塵埃を効率よく捕捉するために捲縮を有することが好
ましい。上記の「部分的に剥離分割された繊維」は捲縮
付与加工時にもたらされる捲縮の程度を調節することに
より達成できる。一般に、捲縮率が10%を下回ると、
複合繊維の分割が実質的に進行せず、捕捉作用もしくは
払拭作用が効果的ではなく、また捲縮率が20%を上回
ると、複合繊維の分割が進行しすぎて、払拭作用につい
ては一応の達成感は得られるものの、被払拭面との摩擦
力が大きくなり作業者への負荷が非常に高くなるという
欠点が生じる。尚、上記した捲縮率は繊維糸条のまとま
りとして測定され、したがって、平均の捲縮率を示し、
構成する単繊維の繊度が均一である繊維糸条の捲縮率を
規定するものではない。このため、部分的に剥離分割さ
れた複合繊維は、複合繊維を構成する多層の層が完全に
分割されている部分、未分割の部分、及び複合繊維を構
成する多層の層の一部が分割された部分を有することが
できる。図1に、剥離分割型複合繊維の剥離分割前の断
面模式図を示し、図2に、剥離分割型複合繊維の剥離分
割処理後の断面模式図{完全に剥離分割された状態の断
面図(a)、分割されていない状態の断面図(b)及び
複合繊維構成層の一部が分割された状態の断面図
(c)}を示す。
【0013】上記の捲縮付与加工は、例えば、仮撚法に
より行なうことができる。仮撚加工により剥離分割型複
合繊維の剥離分割が行なわれる。剥離分割は仮撚加工時
の設定仮撚数を高くすることにより進行するので、この
設定仮撚数を制御することにより部分的に分割された繊
維を得ることが可能になる。一般に、本発明に好適な繊
維を得るため条件は下記式に記載される標準仮撚数を基
準に設定できる。 標準仮撚糸数=2500×(165/仮撚の対象となる
マルチフィラメントの繊度)0.5 (式中、繊度はデシテックス単位である)。上記式にお
いて、標準仮撚数を用いた場合には、通常、完全に分割
された繊維が得られる。本発明において使用される部分
的に分割された繊維を得るためには、標準仮撚数の80
%以上90%以下とすることが好ましい。このようにし
て、上記(a)、(b)及び(c)の断面形状が繊維内
に混在するものが得られる。
【0014】本発明の払拭用布の払拭面に露出されたカ
ットパイル糸を構成する複合繊維は好ましくは単繊維繊
度が0.01デシテックス以上0.5デシテックス未満
である部分と、短繊維繊度が0.5デシテックス以上
5.0デシテックス以下である部分が混在する。なお、
単繊維繊度が0.01デシテックス以上0.5デシテッ
クス未満である部分は、一般に、複合繊維がほぼ完全に
分割された状態(図2(a))で達成できる極細化され
た繊維繊度に対応し、単繊維繊度が0.5デシテックス
以上5.0デシテックス以下である部分は未分割のまま
の状態(図2(b))と一部分が分割されて未剥離層が
残存した状態(図2(c))とが混在した場合の繊維繊
度に対応している。好ましくは、単繊維繊度が0.01
デシテックス以上0.5デシテックス未満の繊維糸条は
70%以下の割合で存在することが好ましく、単繊維繊
度が0.01デシテックス以上0.5デシテックス未満
の繊維糸条は30%以上70%以下で存在することがよ
り好ましい。
【0015】単繊維繊度が0.01デシテックス以上
0.5デシテックス未満および0.5デシテックス以上
5.0デシテックス以下の範囲であることは、本発明が
繊維の極細化手段の一つである剥離分割型複合繊維であ
りながら不完全な分割を意図的に図ったものであって、
上記の範囲にあることが払拭用布帛の使用時の払拭性及
び作業性に多大な効果を発揮するものである。すなわ
ち、完全分割を図ると極細化されることによる構成繊維
本数が著しく増大して被払拭面との摩擦力も増大し、払
拭時の布帛の易動性が著しく低下して円滑な払拭作業が
できなくなってしまう。払拭用布帛を装着するホルダー
に角度が可変の柄が付いたモップなどの清掃具を用いる
場合、作業者が柄を持った時の柄と被払拭面との角度は
作業者の身体に影響されるものであって、払拭用布帛と
被払拭面との摩擦力が著しく大きくなる場合は前記の角
度を小さくして作業する必要があるが、この場合、摩擦
力は確かに軽減されるが払拭性は低下してしまう。一
方、意図的に単繊維繊度を0.01デシテックス以上
0.5デシテックス未満および0.5デシテックス以上
5.0デシテックス以下の範囲となるように剥離分割型
複合繊維の分割を制御すると、払拭用布帛と被払拭面と
の摩擦力の軽減が一義的ではなく、このような不十分な
分割処理がなされた繊維糸条は分岐を有する枝の如く形
成されており、複雑な形態を呈するために塵や油分等の
塵埃を効率よく捕捉することを見出した。したがって、
このような分割様式であることが作業者の払拭作業を損
なうことなく、さらに効果的な払拭作用が得られるので
ある。
【0016】本発明で使用される剥離分割型複合繊維は
特に限定されるものではないが、多層積層型、放射状分
割型好ましく、例えば「WRAMP」(商標)((株)クラレ
製)がある。
【0017】カットパイル糸を構成する剥離分割型複合
繊維が6.45cmあたり30000本から8000
0本で存在することも好ましい。上記の本数は地組織か
ら立設するカットパイル糸を構成する分割処理前の状態
の剥離分割型繊維の本数を指すものであって、これは払
拭用布帛の裏面側よりカットパイル糸として組織されて
いる密度を計測して算出されるもので、地組織を貫通し
て立設するカットパイル糸中の分割処理前の状態の剥離
分割型複合繊維の本数を数えることに等しい。
【0018】このように定義したカットパイルの糸を構
成する剥離分割型複合繊維の本数が30000本を下回
ると外観としてのカットパイルのカバリング性は低くは
見えないが、油分を拭き取る場合には本数が少なく、払
拭性としては不十分であることがある。一方、当該複合
繊維の本数が80000本を上回ると払拭性としては十
分であるが、カットパイル表面に付着した油分の洗濯時
の洗浄性が著しく低下し、繰り返しの使用による洗濯に
よって付着した油分が脱落せず、結果的には耐久性のな
い払拭用布帛となってしまうことがある。
【0019】したがって、カットパイル糸を構成する剥
離分割型複合繊維の本数としてはこれまでの知見により
6.45cmあたり30000本から70000本が
好ましいと考えられる。
【0020】また、本発明においては裏面が合成繊維フ
ィラメントからなるループ群を有する繊維糸条が地糸の
一部として編みこまれて係合機能を有し、このループ群
が露出することにより面ファスナーループ材として機能
することが重要な構成要件となっている。すなわち、面
ファスナーフック材を備えたホルダーとの装着におい
て、新たに面ファスナーループ材を別途装着させる別の
工程を必要とせず、コストを低減させることができると
いう点に特長を有するものである。
【0021】これに関連して、自動車内装材、椅子張り
地等の表皮材のアッセンブリー方法を合理的に実施する
ことと、素材の単一化を目的として面ファスナーループ
材としての機能を発現させるために、面ファスナーフッ
ク材との着脱の際にも表面に影響を及ぼさないようにル
ープ群を有する繊維糸条を裏面側に編み込んで一体化し
たダブルニット地が特開平10−77553号公報に提
案されている。本発明においても上記の技術は有効に活
用でき、すなわち、面ファスナーフック材を装着したホ
ルダーとの着脱の際にもカットパイル面が影響を受けな
いようにループを有する繊維糸条をカットパイルを把持
する地組織中に編み込むことが消費性能上重要である
が、組織的に全く同様の技術手法を用いることはできな
い。即ち、従来の丸編製カットパイルの製法において
は、カットパイルを形成する糸条が裏面に露出するため
に、ループ群を有する繊維糸条を単に地糸として編み込
んでも、該カットパイルを形成する糸条により被覆され
てしまうために、ループ機能が発現しない。このため、
係合機能を付与するためには以下のとおりの新規の工夫
が必要である。
【0022】ループ群を有する繊維糸条に面ファスナー
ループ材としての機能を発揮させるためには該繊維糸条
のみを払拭用布帛の裏面に露出させることが重要であ
る。カットパイルを有する布帛としては織物、丸編物、
経編物、タフテッドが知られているが、本発明において
は、生産の自由度が高いという点で丸編物を活用するこ
とが好ましい。しかしながら、従来の丸編物、中でもシ
ンカーパイル編地はカットパイル糸が裏面に露出されて
しまうのでループ群を有する繊維糸条を地糸に用いても
係合機能を発揮しない。そこで、カットパイル糸をタッ
ク組織により立設させることにより、ループ群を有する
繊維糸条のみを裏面に露出させることが可能となり、本
発明に至った。
【0023】ループ群を有する繊維糸条としては例え
ば、意匠撚糸、流体乱流加工法により得られるものが考
えられるが、生産性の点で流体乱流加工法が好ましい。
ループ群を有する繊維糸条は、より具体的にはタスラン
(ヘバライン ファイバー テクノロジー Incの登録商
標)ノズルを用いて常法により製造することができる
が、編立工程通過性、係合性および耐久性の点を考慮し
て最適化条件を見出す必要がある。得られたループのサ
イズが大き過ぎる及び/又は単位長さ当りの個数が多す
ぎる場合には巻き取られた繊維糸条の解舒性が悪くな
り、また編機へ供給する場合の張力変動が大きくなるた
め、生地への疵発生を増大させることにつながる。係合
性については、面ファスナーフック材の形状やサイズ、
密度などとの関係があるために、上記の工程通過性との
関連において個々に最適化を図ることが好ましい。
【0024】また、用いる繊維糸条の形態としては捲縮
が付与されていても、付与されていなくてもループは形
成されるが、面ファスナーフック材へのループへの引っ
係りにおいて、ループを形成する繊維糸条は分繊されて
いることが好適であるため、糸条が揃った無捲縮の繊維
糸条よりも繊維間に空隙が形成し易い捲縮糸のほうが好
ましく、より好ましくは低捲縮仮撚糸を用いる。さら
に、ループを形成する繊維糸条の強力も面ファスナーフ
ック材との関係があるために一義的には決定できない
が、これまでの知見によれば4cN/dTex以上あれ
ば耐久性に問題が生じることは少ない。
【0025】本発明の係合機能を有する払拭用布帛の好
適な態様に関して記載してきたが、以下に述べる工夫に
より、払拭性能、メインテナンス性の向上を図ることが
できる。
【0026】本発明に係る払拭用布帛が払拭する対象と
しては、埃、塵および油分等があるが、払拭性は払拭用
布帛に要求される基本的な性能であり、これを高めるこ
とは非常に重要である。以下において、本発明の払拭用
布帛の払拭面を構成するカットパイル糸に使用できる繊
維について記載する。油分を拭き取った後の払拭面は油
分が繊維へ強固に付着しており、使用後の払拭用布帛を
洗濯作業によっても洗浄することは困難であり、熟練し
た専門業者の場合でも作業に時間を要する。極細繊維に
おいて油分除去性能はその断面形状に大きく左右され、
エッジを有する形状のものが有利であることが公知であ
る。そして、油分除去機構は物理的な削り取りと繊維間
への絡み取りにより説明されている。しかしながら、繊
維に付着した油分と繊維とは化学的な相互作用も存在
し、繊維形成ポリマーの種類によっては機械的な揉み操
作と界面活性剤による汚れ除去操作である洗濯操作でも
除去され難い繊維の種類が存在する。洗濯操作による油
分除去性は親水性繊維のほうが疎水性繊維よりも良好で
ある。疎水性繊維の代表例がポリエステル、ナイロン、
アクリルおよびアクリル系、ポリオレフィン系、ポリ塩
化ビニリデン繊維であり、親水性繊維の代表がセルロー
ス系繊維、ポリビニルアルコールおよびその共重合体か
らなる繊維を挙げることが出来るが、繊維強度の点でポ
リビニルアルコールおよびその共重合体からなる繊維が
好ましいが、捲縮が付与できる点と剥離分割型繊維が得
られる点でポリビニルアルコール共重合体がより好まし
い。
【0027】このため、払拭面を構成するカットパイル
糸を構成する繊維としては、エチレン−ビニルアルコー
ル共重合体からなる相と他の熱可塑性重合体からなる相
から構成される剥離分割型複合繊維が好ましい。本発明
に関する研究で、洗濯操作による油分除去性はポリエス
テルまたはポリエステルとナイロンからなる剥離分割型
繊維よりも優れていることを見出した。好ましい剥離分
割型複合繊維としてはエチレン−ビニルアルコール系共
重合体からなる相とポリエステルからなる相から構成さ
れる複合繊維が挙げられる。
【0028】また、洗濯を繰り返すことにより布帛に皺
が発生して清掃具の基台(ホルダー)への装着性が悪く
なることを防止するために布帛の硬さに耐久性を付与す
ることも重要である。これを達成するために、上記のル
ープ群を有する繊維糸条とともに、ポリエステル製仮撚
糸などが地糸として地組織中に編みこまれる。
【0029】前述の地糸同士の結合性を上げるために、
地糸として、前記ポリエステル製仮撚糸に替えて熱融着
繊維を使用することにより、耐久性がさらに増すことも
見出した。熱融着繊維の使用形態としては、裏面に露出
させるループ群に影響を及ぼさないようにするために、
カットパイル糸を把持させる編目に関して、熱融着繊維
を該カットパイル糸とループ群を有する繊維糸条の真中
に存在するように設定する。融着繊維を含有させる二次
的な効果としてはパイル糸がほつれることを防止するこ
とでもある。
【0030】使用できる熱融着繊維としては鞘成分の軟
化温度が芯成分の軟化温度よりも40℃以上低くなるよ
うに構成した芯鞘複合繊維が通常は使用されるが、編成
上の問題から捲縮を有することが好ましいため、比較的
融点の高いエチレン−ビニルアルコール共重合体を鞘成
分とする芯鞘複合繊維が仮撚加工を施せる点で好まし
い。さらに、カットパイル糸をどのように配列させるか
という点も払拭性とメインテナンス性に影響を及ぼし、
完全に表面を覆う構造は払拭性を低下させると同時に被
払拭面との摩擦力を大きくしてしまい、作業者への負荷
をも増大してしまう点で好ましくなく、さらに、洗濯操
作の面においてもカットパイル糸の根元にまで絡みつい
た油分を除去する上で、メインテナンス性も著しく低下
させてしまう。
【0031】本発明者はかかる点について鋭意検討した
結果、カットパイル組織列と地組織のみの組織列とが交
互に存在させることが上記の問題点を解決する手段であ
ることを見出した。すなわち、本発明の払拭用布帛は、
好ましくは、カットパイル糸が存在する領域と、カット
パイル糸が存在しない領域とが交互に形成されている。
このような配列とすることにより、表面に溝が形成さ
れ、払拭操作時のカットパイル糸の自由度が高められ
る。その結果、効果的に塵埃、油分が除去され、また、
洗濯操作においても溝が形成されているために揉み効果
も効率よく行われて良好な汚染物除去性が得られる。カ
ットパイル糸の地組織からの高さは5mm以上15mm
以下であることが好ましい。カットパイル糸の高さは、
カットパイル糸の自由度に影響を及ぼし、5mmを下回
ると自由度が低下して良好な払拭性が得られず、また、
15mmを上回ると払拭性が低下するということはない
が、洗濯操作における洗浄性が著しく低下することと同
時にコストも増大してしまうことがある。したがって、
カットパイル糸の地組織からの高さは6〜11mmがよ
り好ましい。
【0032】上記のような払拭性とメインテナンス性に
関する要件に加えて、モップなどの清掃具の基台(ホル
ダー)へ装着する際の方向が払拭性に影響を及ぼす。カ
ットパイル糸が存在する領域と、カットパイル糸が存在
しない領域とが帯状に交互に形成されている払拭用布帛
において、この帯の長手方向が払拭作業方向に対して平
行に配列されていると、カットパイル糸が存在しない領
域の帯状部分では払拭作用が実質的になくなるために、
払拭性が低下してしまう。したがって、上記帯の長手方
向が払拭作業方向に対して30°以上となるように配置
されることが望ましく、最も好ましくは90°(すなわ
ち、垂直)になるように配置される。より詳細に述べる
と、清掃具の基台(ホルダー)は長方形の形状であるこ
とが一般的であるが、カットパイル列と長辺とのなす角
度が60°以下となるように装着される。長辺とのなす
角度の調整は裁断方法を変更することによっても可能で
あるが、縫製ロスが発生しやすくなるために、編地の製
造段階で組織的に形成させることが好ましい。
【0033】以下、図面を用いて、本発明をより詳細に
説明する。図3は本発明の払拭用布帛の断面模式図を示
す。カットパイル糸1は、ループ群を有する繊維糸条3
を含む地糸2からなる地組織4に把持されて立設してい
る。ループ群を有する繊維糸条3はカットパイル糸1と
は反対側の面に露出している。ループ群を有する繊維糸
条3とを含む地糸2には熱融着繊維が編みこまれること
が好ましい。熱融着繊維は熱処理により地組織を構成す
る地糸2同士を熱融着して地組織を強化するとともに、
カットパイル糸を固着させて、耐洗濯性を改良すること
ができる。
【0034】図4は本発明の払拭用布帛のカットパイル
糸1の部分拡大模式図を示す。カットパイル糸1は剥離
分割型複合繊維を含み、概ね(l)〜(p)の分割状態
から形成されている。分割状態(l)は完全に分割され
た状態を示し、分割状態(m)は殆ど分割が生じていな
い状態を示し、分割状態(n)は枝分かれしたような分
割状態を示し、分割状態(o)は先端のみがほぼ完全に
分割された状態であり、分割状態(p)は複合繊維構成
層の一部分が剥離した状態を示すものである。実際には
これらの分割状態が複雑に混在していてよいが、本発明
において重要なことは図4に示した分割状態(l)のみ
からなる状態では払拭用布帛と被払拭面との間に生じる
摩擦力が大きくなって、作業性が著しく低下してしまう
という問題がある。このため、本発明の払拭用布帛は、
意図的に分割状態を混在させている。
【0035】図5は本発明で使用するループ群を有する
繊維糸条3の模式図を示す。ループ群を有する繊維糸条
3は好ましくは流体乱流加工により形成され、大きさの
異なるループ5が多数形成されるが、ループ5の単位長
さ当りの数が多すぎるおよび/または大きすぎると編立
工程で問題となってしまうので、係合させる面ファスナ
ーフック材との関係で調整することが好ましい。
【0036】図6は本発明の払拭用布帛を編成するため
の編組織図の一例を示す。給糸口(A)、(D)におい
てカットパイル用糸を挿入し、給糸口(B)、(C)に
はループ群を有する繊維糸条と、場合により熱融着性を
有する地糸とを含む地糸を挿入する。給糸口(C)、
(F)では糸を供給しないで、シリンダー針によりカッ
トパイル用糸を切断してカットパイルを編機上で形成さ
せる。製法上、重要なことは給糸口(A)と(B)およ
び(D)と(E)の間に糸の浮き上がり防止具を設置す
ることと、(B)と(C)および(E)と(F)の間に
も糸の浮き上がり防止具を設置することである。図7は
本発明の払拭用布帛においてカットパイル組織列と地組
織のみの組織列とが交互に存在するように形成させた構
造体を示す斜視模式図である。カットパイル組織列6と
地組織のみの組織列7とが交互に形成されている状態を
示す。このような構造により、カットパイル糸に付着し
た汚れは洗濯操作時に効果的に除去される。図8は本発
明の払拭用布帛を、面ファスナーフック材を備えた柄付
き基台(ホルダー)に係合装着したモップの分解斜視図
である。本発明の払拭用布帛8が柄付き基台9に装着さ
れて、モップ10を構成する。カットパイル組織列6の
帯状部分が柄付き基台9の長手方向に対して平行である
状態を示す。モップ10は床面、壁面又は天井面などの
払拭に用いられる。
【0037】
【実施例】以下実施例により本発明を更に詳細に説明す
るが、本発明はこの実施例に何ら限定されるものではな
い。また、以下の例において、捲縮率、払拭性能、洗濯
性は以下のようにして測定または評価した。
【0038】(1)捲縮率 カセ取機で5500デシテックスのカセとなるまで糸条
を巻き取った後、カセの下端中央に10gの荷重を吊る
し、上部でこのカセを固定し、0.009cN/dte
xの荷重が掛かった状態で90℃にて30分間熱水処理
を行なった。ついで、無荷重状態で室温に放置して乾燥
した後、再び10gの荷重をかけて5分間放置後の糸長
を測定し、これをL1(mm)とした。次に1kgの荷
重を掛け、30秒間放置後の糸長を測定し、これをL2
(mm)とするとき、下記式により算出した。 捲縮率(%)={(L2−L1)/L2}×100
【0039】(2)単繊維繊度 デジタルマイクロスコープ(キーエンス製 HV−70
00)を用いて、矩形面積測定ソフトを利用して算出し
た。
【0040】(3)カットパイル糸を構成する剥離分割
型複合繊維の本数 布帛裏面の6.45平方センチメートル当りのカットパ
イル編目数Rを目視により測定し、構成繊維フィラメン
ト数Fを用いて、下記の式により算出した。 繊維本数=R×F×2
【0041】(4)カットパイル糸の高さ 図9に示すように布帛の地組織面からカットパイル糸の
先端までの高さ(H)を計測する。
【0042】(5)払拭性(油汚れ除去性) Pタイル(プラスティック・タイル)に樹脂ワックスを
塗布して十分に乾燥させた。このPタイルの表面を分光
測色計(ミノルタCM−2002)でL表色
測定し、標準初期値とした。オイルパステル(Maim
eriClasicoBlack6285530)を用
いて約15mm間隔で幅約10mmの線を4本平行に描
き、これを油汚れの代用(標準油汚れタイル)とした。
試験体(布帛)を65mm(幅)×110mm(長さ)
の大きさに裁断し、スプレーで洗剤(3Mフロアーコン
ディショナー120倍希釈液)を均一に試験体カットパ
イル面に0.057g/cm塗布した後、圧力が1
2.2g/cm(モップ作業時と同等の圧力)となる
ように荷重をかけながら標準油汚れタイルをパステルラ
インに垂直に同じ所を10往復させた。10往復した
後、パステルライン部分を分光測色計を用いて、標準初
期値との差ΔEを測定した。ΔEが小さいほど、油汚れ
を良く除去したことを示す。
【0043】(6)洗濯性 汚れのない試験体(10cm×10cm)を十分に乾燥
させた後に、払拭面の表面を分光計色計(ミノルタ株式
会社製CM−2002)でL表色測定し、標
準初期値とした。黒色オイルパステル(Maimeri Clasic
o Black 6285530)を用いて、幅約10mmの線を、間隔
を開けずに5本平行に描いて油汚れ試験体とした。汚れ
試験体を、洗濯機(三洋電機株式会社製ASW-T1)を用い
て以下の条件で洗浄した。 6.の脱水の後に、80℃のオーブンで2時間乾燥させ
た。乾燥後、試験体のオイルパステル部分を分光測色計
を用いて、標準初期値との色差(ΔE)を測定した。Δ
Eが小さいほど、除去した油汚れを放しやすいことを示
す。
【0044】実施例1 (1)カットパイル用繊維の製造 6−ナイロンとポリエチレンテレフタレートを重量比を
1:2の割合で溶融紡糸し、図1に示す横断面とほぼ同
等の6−ナイロンが5分割、ポリエチレンテレフタレー
トが6分割の11分割型複合繊維の紡糸原糸を得た。得
られた紡糸原糸を延伸して165デシテックス/48フ
ィラメントのマルチフィラメントを得た。したがって、
完全分割時の単繊維繊度は0.3dTexとなり、未分
割の場合には3.4デシテックスとなる。得られたマル
チフィラメントを仮撚数2350T/M、1段ヒーター
温度180℃、2段ヒーター温度170℃により仮撚加
工を施して、捲縮率が15%となる仮撚糸を得た。得ら
れた仮撚糸の約40%が0.3デシテックスであり、残
りの約60%近くが0.5〜3デシテックスの範囲で繊
度が混在した状態であった。次いで、インターレースノ
ズル(クラレエンジニアリング製)を用いて、上記の仮
撚加工糸3本を引き揃えて、エア圧2.3kg/c
、加工速度250m/minで混繊糸を得た。 (2)ループ群を有する繊維糸条の製造 ナイロン製(東レ製)140デシテックス/14フィラ
メントを2本準備し、芯成分としてフィード率1.10
と鞘成分としてフィード率を1.50としてタスランノ
ズル(ヘバライン社製 #15)に供給して、エア圧
5.5kg/cm 、加工速度200m/minにより
加工した。 (3)編地の製造 24インチ14ゲージのダブルニット編機を本発明の構
造体が得られるように改造した。即ち、シリンダー針と
してラッチがなく、糸が切断できる鋭利な部分をフック
の根元に備えた針を挿入し、図6で示した給糸口(A)
と(B)、(B)と(C)、(D)と(E)、(E)と
(F)、(G)と(H)、(H)と(I)、(J)と
(K)および(K)と(L)の間に糸および生地の浮き
上がりを防止するための押さえバーをシリンダー側に設
置した。給糸口(A)、(D)、(G)および(J)に
はカットパイル糸を供給して、カットパイルの長さが7
mmとなるようにシリンダー針を引き込む。給糸口
(B)、(E)、(H)および(K)には地糸としてポ
リエステル製仮撚糸165デシテックス/36フィラメ
ントとタスラン(商標)加工糸を引き揃えて供給する。
このとき、タスラン(商標)加工糸が生地の裏面に露出
するようにダイヤル針に掛かる繊維糸条の位置関係を張
力を制御して設定する。給糸口(C)、(F)、(I)
および(L)には繊維を供給せずに、シリンダー針のみ
を上昇させて糸を切断する。このようにして本発明の裏
面がループを有する繊維糸条により被覆され、表面が高
さ7mmとなるカットパイル布帛を得た。また、カット
パイル糸を構成する剥離分割型複合繊維は6.45cm
あたり69120本存在していた。
【0045】実施例2 (1)カットパイル用繊維の製造 複合繊維の各層を構成するポリマーとして、ポリエチレ
ンテレフタレート(Aポリマー)と、ケン化度が99%
でエチレン含有量が48モル%のエチレン酢酸ビニル共
重合体のケン化物(エチレンビニルアルコール共重合
体)(Bポリマー)を用いて、Aポリマー:Bポリマー
の重量比を2:1の割合で溶融紡糸し、図1とほぼ同様
の横断面を有する紡糸原糸(Aポリマーが6分割、Bポ
リマーが5分割)を得た。得られた紡糸原糸を延伸し
て、110デシテックス/24フィラメントのマルチフ
ィラメントを得た。したがって、完全分割時の単繊維繊
度は0.4デシテックスとなり、未分割の場合には4.
6デシテックスとなる。得られたマルチフィラメント
を、仮撚数2750T/M、1段ヒーター温度120
℃、2段ヒーター温度135℃により仮撚加工を施し
て、捲縮率が17%である仮撚加工糸を得た。得られた
仮撚糸の約50%が0.3デシテックスであり、残りの
約50%近くが0.5〜3デシテックスの範囲で繊度が
混在した状態であった。次いで、インターレースノズル
(クラレエンジニアリング製)を用いて、上記の仮撚加
工糸5本を引き揃えて、エア圧2.3kg/cm、加
工速度250m/minで混繊糸を得た。
【0046】(2)編地の製造 カットパイル糸として上記で得られた繊維糸条を用いた
以外は実施例1と全く同様にして本発明のカットパイル
布帛を得た。得られた布帛のカットパイル糸の高さは7
mmであり、カットパイル糸を構成する剥離分割型複合
繊維は6.45cmあたりに57600本であった。
【0047】実施例3 (1)熱融着繊維の製造 微粒子シリカを3質量%含有したポリエチレンテレフタ
レートを芯成分とし、鞘成分としてエチレン含有量40
モル%、MI=10のエチレン−ビニルアルコール系共
重合体を用い、芯鞘比率を1:1として溶融紡糸をして
紡糸原糸を得た。得られた紡糸原糸を延伸して167デ
シテックス/48フィラメントの芯鞘複合繊維を得た。
この繊維を用いて仮撚数2350T/M、1段ヒーター
温度120℃により仮撚加工を施して捲縮率が20%で
ある仮撚加工糸を得た。
【0048】(2)編地の製造 実施例2において、ポリエステル製仮撚糸165デシテ
ックス/36フィラメントに替えて、給糸口(B)、
(E)、(H)および(K)に上記の熱融着繊維を供給
した以外は実施例2と全く同様にして制御しながら編み
込んだ。得られた布帛のカットパイル糸の高さは7mm
であり、カットパイル糸を構成する剥離分割型複合繊維
は6.45cmあたり64800本であった。
【0049】実施例4 実施例2において、経ストライプのカットパイル組織と
なるように針の上昇をニットカムにより制御して編み立
てた以外は実施例2と全く同様にして編み立てを行っ
た。得られた編地は2×2のストライプ柄となり、カッ
トパイルが存在する列とカットパイルが存在しない列を
有する構造となった。得られた布帛のカットパイル糸の
高さは7mmであり、カットパイル糸を構成する剥離分
割型複合繊維は6.45cmあたり36000本であ
った。
【0050】比較例1 実施例2において、カットパイルとなる110デシテッ
クス/24フィラメントのマルチフィラメントを仮撚数
3030T/M、1段ヒーター温度120℃、2段ヒー
ター温度135℃により仮撚加工を施して、捲縮率が8
%である仮撚加工糸を得た。得られた仮撚糸は、単繊維
繊度が0.4デシテックスであった。得られた仮撚加工
糸を5本引き揃えてエア混繊してカットパイル用加工糸
を準備した。上記のカットパイル用加工糸を用いた以外
は実施例2と全く同様にしてカットパイル布帛を得た。
得られた布帛のカットパイル糸の高さは7mmであり、
カットパイル糸を構成する剥離分割型複合繊維は6.4
5cmあたり57600本であった。
【0051】下記の表1に油分の払拭性と布帛の洗濯性
(洗濯による汚れ放れ性)について示す。
【0052】
【表1】
【0053】表1の結果より、本発明の払拭用布帛につ
いて、払拭性はカットパイル糸に使用する剥離分割型複
合繊維を形成するポリマー成分及びカットパイル配列に
よって左右されるが、剥離分割型複合繊維の分割度合い
の影響が最も大きく、実施例1〜4の本発明の払拭用布
帛は、複合繊維をほぼ完全に分割させた比較例1よりも
払拭性が高いことが判る。特に、カットパイル糸が存在
する列とカットパイル糸が存在しない列とが交互に形成
されている実施例4の場合は払拭性が高い。また、比較
例1では、布帛を床面に対して移動したときに摩擦力が
大きく、易動性が悪かった。
【0054】また、洗濯による汚れ放れ性については、
剥離分割型複合繊維を形成するポリマー成分として親水
性ポリマーを含んでいる実施例2〜4の場合のほうが疎
水性ポリマーのみからなる実施例1の場合よりも良好な
汚れ放れ性を有することが判る。さらに、実施例4のよ
うな凹凸を有する組織にするともっとも良好な汚れ放れ
性を示す。複合繊維をほぼ完全に分割させた比較例1に
ついては汚れ放れ性が悪く、これは単繊維の総表面積が
増大していることに起因するものと考えられる。
【0055】以上の結果から、本発明の払拭用布帛は汚
れ払拭性においても、また、洗濯による繊維表面からの
汚れ放れ性においても優れたものであるといえる。
【0056】
【発明の効果】本発明により、モップの装着ホルダー
(基台)に設けられた面ファスナーフック材との着脱が
容易であり、洗濯により繰り返しの使用が可能で、優れ
た清拭効果を有する払拭用布帛を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】剥離分割型複合繊維の剥離分割前の断面模式図
を示す。
【図2】剥離分割型複合繊維の分割処理後の断面模式図
を示す。
【図3】本発明の払拭用布帛の断面模式図を示す。
【図4】本発明の払拭用布帛のカットパイル糸の部分拡
大模式図を示す。
【図5】ループ群を有する繊維糸条の模式図を示す。
【図6】本発明の払拭用布帛を編成するための編組織図
を示す。
【図7】カットパイル組織列と地組織のみの組織列とが
交互に存在する本発明の布帛構造体の斜視模式図を示
す。
【図8】本発明の払拭用布帛を係合装着したモップの分
解斜視図を示す。
【図9】本発明の払拭用布帛のカットパイル糸の高さを
説明するための断面模式図を示す。
【符号の説明】
1…カットパイル糸 2…地糸 3…ループ群を有する繊維糸条 4…地組織 5…ループ 6…カットパイル組織列 7…地組織のみの組織列 8…払拭用布帛 9…基台 10…モップ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 船曳 俊宏 神奈川県相模原市南橋本3−8−8 住友 スリーエム株式会社内 (72)発明者 山口 俊朗 大阪府大阪市北区梅田1−12−39 株式会 社クラレ内 Fターム(参考) 3B074 AA02 AB04 BB04 EE01 4L036 MA04 MA15 MA33 MA39 PA43 UA25

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 剥離分割型複合繊維を含むカットパイル
    糸を払拭面に有する払拭用布帛であって、前記カットパ
    イル糸を構成する剥離分割型複合繊維が部分的に剥離分
    割されており、かつ、前記払拭面と反対側の裏面は合成
    繊維フィラメントからなるループ群を有する繊維糸条が
    地糸の一部として編みこまれて係合機能を有することを
    特徴とする、払拭用布帛。
  2. 【請求項2】 前記剥離分割型複合繊維は単繊維繊度が
    0.01デシテックス(dTex)以上0.5デシテッ
    クス(dTex)未満である部分と、単繊維繊度が0.
    5デシテックス以上5.0デシテックス以下である部分
    とを混在して有し、かつ、前記カットパイル糸を構成す
    る剥離分割型複合繊維が6.45平方センチメートルあ
    たり30000本〜80000本存在する、請求項1記
    載の払拭用布帛。
  3. 【請求項3】 前記剥離分割型複合繊維がエチレン−ビ
    ニルアルコール共重合体からなる相と他の熱可塑性重合
    体からなる相から構成される複合繊維である、請求項1
    又は2に記載の払拭用布帛。
  4. 【請求項4】 前記地糸に熱融着繊維がさらに含有され
    ている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の払拭用布
    帛。
  5. 【請求項5】 前記ループ群を有する繊維糸条が流体乱
    流加工により形成されている、請求項1〜4のいずれか
    1項に記載の払拭用布帛。
  6. 【請求項6】 払拭面において、布帛の地組織からの高
    さが5mm以上15mm以下であるカットパイル糸が存
    在する領域と該カットパイル糸が存在しない領域とが交
    互に形成されている、請求項1〜5のいずれか1項に記
    載の払拭用布帛。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれか1項に記載の払
    拭用布帛と、該払拭用布帛の前記裏面と着脱可能な係合
    素子を有する基台とを備えるモップ。
  8. 【請求項8】 前記払拭用布帛は、前記カットパイル糸
    が存在する領域の組織列と該カットパイル糸が存在しな
    い領域の組織列とが帯状に交互に形成されており、該帯
    の長手方向が払拭作業方向に対して30°以上の角度を
    なすように基台に配置されている、請求項7に記載のモ
    ップ。
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