JP2003301207A - 流動状態の推定装置、方法、コンピュータプログラム、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体 - Google Patents

流動状態の推定装置、方法、コンピュータプログラム、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体

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JP2003301207A
JP2003301207A JP2002109316A JP2002109316A JP2003301207A JP 2003301207 A JP2003301207 A JP 2003301207A JP 2002109316 A JP2002109316 A JP 2002109316A JP 2002109316 A JP2002109316 A JP 2002109316A JP 2003301207 A JP2003301207 A JP 2003301207A
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淳一 中川
Hiroyuki Yoshino
博之 吉野
Junichi Hayashi
順一 林
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一幸 合原
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 流体の流動状態を的確に推定できるようにす
る。 【解決手段】 上流側の検出端101から得られる時系
列情報と、下流側の検出端102から得られる時系列情
報とに基づいて、相互リカレンスプロットを作成し、そ
の相互リカレンスプロットに基づいて、それぞれ所定の
次元を有する遅延ベクトルを生成し、アトラクタを再構
成して、2変数のリカレンスプロットを作成する。2箇
所の検出端101、102間に強い流れが存在すれば、
2変数のリカレンスプロット上では対角線に平行な線分
として表現されるので、2変数のリカレンスプロット上
で対角線に平行な線分が存在するか否かによって、上流
側から下流側に向かう健全な流れが存在するか、流れが
停滞しているかを診断することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、流体の流動状態を
推定するための流動状態の推定装置、方法、コンピュー
タプログラム、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒
体に関する。
【0002】
【従来の技術】流体の流動状態を直接観察できない場合
には、その流体の状態が反映された情報に基づいて該流
体の流動状態を推定することがなされている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、例え
ば、上流側から下流側に向かう流体の流動状態を推定す
るような場合に、ある1点の検出端における情報だけで
は、流動状態を的確に捉えることができない。また、例
えば、流体が複数方向に分かれてできる一方の流体及び
他方の流体の流動状態を推定する場合に、一方の流体側
の情報と他方の流体側の情報を単に検出して比較するだ
けでは、例えば偏流の発生等を的確に捉えることができ
ない。
【0004】本発明は上記のような点に鑑みてなされた
ものであり、流体の流動状態を的確に推定できるように
することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の手段として、本発明の流動状態の推定装置について説
明すれば、本発明の流動状態の推定装置は、上流側から
下流側に向かう流体の流動状態を推定するための流動状
態の推定装置であって、上流側位置及び下流側位置の2
箇所の検出端から得られる上記流体の状態が反映された
各時系列情報に基づいて、それぞれ所定の次元を有する
遅延ベクトルを生成し、アトラクタを再構成するアトラ
クタ作成手段と、上記アトラクタに基づいて、2変数の
リカレンスプロットを作成するリカレンスプロット作成
手段と、上記リカレンスプロットに基づいて、上流側か
ら下流側に向かう流体の流動状態を推定する推定手段と
を備えた点に特徴を有する。
【0006】本発明の他の流動状態の推定装置は、上流
側から下流側に向かう流体の流動状態を推定するための
流動状態の推定装置であって、上流側位置及び下流側位
置の2箇所の検出端から得られる上記流体の状態が反映
された各時系列情報に基づいて、それぞれ所定の次元を
有する遅延ベクトルを生成し、アトラクタを再構成する
アトラクタ作成手段と、上記いずれか一方のアトラクタ
上の基準時刻での点の周囲に存在する他方のアトラクタ
上の近傍点が、上記基準時刻から所定時間推移後での点
の周囲にいくつ存在するかの割合を評価指標として求め
る評価指標演算手段と、上記評価指標に基づいて、上流
側から下流側に向かう流体の流動状態を推定する推定手
段とを備えた点に特徴を有する。
【0007】本発明の他の流動状態の推定装置は、流体
が複数方向に分かれてできる一方の流体及び他方の流体
の流動状態を推定するための流動状態の推定装置であっ
て、上記一方の流体の状態が反映された時系列情報と、
上記他方の流体の状態が反映された時系列情報とに基づ
いて、それぞれ所定の次元を有する遅延ベクトルを生成
し、アトラクタを再構成するアトラクタ作成手段と、上
記アトラクタに基づいて、2変数のリカレンスプロット
を作成するリカレンスプロット作成手段と、上記リカレ
ンスプロットに基づいて、上記一方の流体と上記他方の
流体との流動状態を推定する推定手段とを備えた点に特
徴を有する。
【0008】本発明の他の流動状態の推定装置は、流体
が複数方向に分かれてできる一方の流体及び他方の流体
の流動状態を推定するための流動状態の推定装置であっ
て、上記一方の流体の状態が反映された時系列情報と、
上記他方の流体の状態が反映された時系列情報とに基づ
いて、それぞれ所定の次元を有する遅延ベクトルを生成
し、アトラクタを再構成するアトラクタ作成手段と、上
記いずれか一方のアトラクタ上の基準時刻での点の周囲
に存在する他方のアトラクタ上の近傍点が、上記基準時
刻から所定時間推移後での点の周囲にいくつ存在するか
の割合を評価指標として求める評価指標演算手段と、上
記評価指標に基づいて、上記一方の流体と上記他方の流
体との流動状態を推定する推定手段とを備えた点に特徴
を有する。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、本発明の
流動状態の推定装置、方法、コンピュータプログラム、
及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体の実施の形態
について説明する。
【0010】(第1の実施の形態)図1には、第1の実
施の形態の流動状態の推定装置の概略構成を示す。本実
施の形態において対象となる流動状態は、液体、気体等
の流体100がなんらかの動力源により上流側から下流
側に向かう流れである。上流側及び下流側の2箇所に
は、当該流体100の状態が反映された時系列情報、例
えば時系列の温度情報や時系列の圧力情報等を検出する
ための検出端101、102が配置されている。
【0011】図1において、103はアトラクタ作成部
であり、上記各検出端101、102から得られた時系
列情報に基づいて、それぞれ所定の次元を有する遅延ベ
クトルを生成し、アトラクタと呼ばれる軌道を再構成す
る。
【0012】104はリカレンスプロット作成部であ
り、上記アトラクタ作成部103により再構成されたア
トラクタに基づいて、2変数のリカレンスプロット、す
なわち上流側の検出端101から得られた時系列情報及
び下流側の検出端102から得られた時系列情報を変数
とするリカレンスプロットを作成する。
【0013】105は推定部であり、上記リカレンスプ
ロット作成部104により作成された2変数のリカレン
スプロットに基づいて、上流側から下流側に向かう流体
100の流動状態を推定する。
【0014】一般的に、離れた位置にある2箇所間の情
報は、流体100の連続性の性質により上流側から下流
側へと伝達される。また、例えば流れを誘起するような
動力源が下流に存在する場合、その動力源に関する下流
側の情報は上流側にも伝達される。本実施の形態では、
上流側の検出端101から得られた時系列情報と下流側
の検出端102から得られた時系列情報との相互相関性
を捉えて、上流側から下流側に向かう流体100の流動
状態を推定しようとするものである。
【0015】以下、図2のフローチャートを参照して、
本実施の形態の流動状態の推定処理について説明する。
アトラクタ作成部103において、各検出端101、1
02から得られる時系列情報に基づいて、アトラクタと
呼ばれる軌道を再構成する(ステップS201)。ま
ず、アトラクタ作成部103は、各検出端101、10
2から得られた時系列情報から、対象とする現象の2倍
以上の次元mを持つ遅延ベクトルv(t)=(u(t),u
(t+τ),u(t+2τ),・・・,u(t+(m−1)τ))
を作成する。なお、u(T)は時刻Tにおける熱流束、τ
は時間遅れ間隔である。続いて、上記作成した遅延ベク
トルv(t)を所定の次元を有する位相空間に写像する。
この写像した遅延ベクトルv(t)の時間推移による軌道
を作成することによりアトラクタを再構成する。
【0016】次に、リカレンスプロット作成部104に
おいて、上記再構成されたアトラクタに基づいて、リカ
レンスプロットを作成する(ステップS202)。リカ
レンスプロットとは再構成されたアトラクタの非定常挙
動を2次元表示したものであり、ここで作成するリカレ
ンスプロットは、リカレンスプロットを2変数(上流側
の検出端101から得られた時系列情報及び下流側の検
出端102から得られた時系列情報)に拡張したもの
(「相互リカレンスプロット」と称する)である。
【0017】具体的には、一方の変数のアトラクタ上に
ある現在時刻点から所定の範囲内にあるの近傍点を、他
方の変数のアトラクタ上から検索する。その結果、検索
された近傍点の時刻を、横軸を現在時刻、縦軸を上記近
傍点の時刻として2次元表示することにより相互リカレ
ンスプロットを作成する。
【0018】図3〜6には、相互リカレンスプロットの
一例を示す。これら相互リカレンスプロットは、詳細は
後述するが、本実施の形態を高炉炉底における湯流れ状
態の診断に適用した場合の実績例である。
【0019】次に、診断部105において、上記作成さ
れた相互リカレンスプロットに基づいて、流体100の
流動状態を推定し、上流側から下流側に向かう健全な流
れが存在するか、流れが停滞しているかを判断する(ス
テップS203)。
【0020】具体的には、上記のようにして得られた相
互リカレンスプロットは、上流側の検出端101から得
られた時系列情報と下流側の検出端102から得られた
時系列情報との相互相関性を表しており、2箇所の検出
端101、102間に強い流れが存在すれば、相互リカ
レンスプロット上では対角線(現在時刻と近傍点の時刻
とが同じ点の集合)に平行な線分として表現される。
【0021】したがって、相互リカレンスプロット上で
対角線に平行な線分が存在するか否かによって、上流側
から下流側に向かう健全な流れが存在するか、流れが停
滞しているかを推定することができる。例えば、図4の
符号1に示す部分では、対角線に平行な線分がほとんど
存在しておらず、上流側から下流側に向かう流れが存在
しないことが分かる。上流側から下流側に向かう流れが
存在すべき場合に、図4の符号1に示すような状態であ
れば、何らかの理由により流れが停滞しているものと推
定される。
【0022】なお、ノイズのない系では実際の流線を表
す1本の線分として表示されるが、現実世界にあるノイ
ズを含む系では、類似状態にある流れの集合体として表
現されるため、多数の線分が表示される。
【0023】また、ノイズが小さい系では、2つの検出
端間の距離を相互リカレンスプロット上の対角線と線分
との間の垂直距離で除した値が流速を示し、線分の長さ
が流れの安定性を示す。現実世界にあるノイズを含む系
では、ノイズが小さな系のように流速の直接評価は困難
であるが、相互リカレンスプロット上の対角線に平行に
現れる多数の線分の集合体としての密度で流れの大きさ
を表現することができる。
【0024】(第2の実施の形態)図7には、第2の実
施の形態の流動状態の推定装置の概略構成を示す。な
お、同図において、検出端101、102及びアトラク
タ作成部103については上記第1の実施の形態で説明
したものと同じであり、以下では相違点を中心に説明す
る。
【0025】701は評価指標演算部であり、上記アト
ラクタ作成部103により再構成された検出端101側
及び検出端102側のいずれか一方のアトラクタ上の基
準時刻での点の周囲に存在する他方のアトラクタ上の近
傍点が、上記基準時刻から所定時間推移後での点の周囲
にいくつ存在するかの割合を評価指標として求める。
【0026】評価対象の状態の挙動、具体的には上流側
から下流側に向かう流体100の流動状態の挙動をΔt
の時間スケールで観察したときに、時間発展の様子が決
定論的、すなわちある法則性に支配されて推移するよう
にみえるということは、図8に示すように、再構成され
た軌道群の近接した部分がΔt後に同じように近傍した
部分に移されることを意味する。
【0027】そこで、評価指標演算部701では、検出
端101側及び検出端102側のいずれか一方のアトラ
クタ上の現時刻点x(t)を中心とする直径εの超球を考
え、そこに含まれる他方のアトラクタ上の近傍点が、Δ
t時刻後のx(t+Δt)を中心とする直径εの超球に
いくつ存在するかの割合を評価指標として定義する。
【0028】具体的には、評価指標は、評価指標=(Δ
t時刻後に生き残った近傍点数)/(時刻tにおける近
傍点数)により表される。この評価指標は、2変数(上
流側の検出端101から得られた時系列情報及び下流側
の検出端102から得られた時系列情報)の時系列変化
の法則性依存度を表し、法則性依存度が大きいほど1に
近づき、ランダム状態となるほど0に近づく。例えば、
図8において、評価指標は3/5=0.6となる。
【0029】702は推定部であり、上記評価指標演算
部701により求められた評価指標に基づいて、上流側
から下流側に向かう流体100の流動状態を推定する。
すなわち、評価指標は上流側の検出端101から得られ
た時系列情報と下流側の検出端102から得られた時系
列情報との相互相関性を表しており、2箇所の検出端1
01、102間に強い流れが存在すれば、評価指標は1
に近い値として表現される。したがって、評価指標が1
に近いか、0に近いかによって、上流側から下流側に向
かう健全な流れが存在するか、流れが停滞しているかを
推定することができ、例えば、上流側から下流側に向か
う流れが存在すべき場合に、評価指標が0に近い値であ
れば、何らかの理由により流れが停滞しているものと推
定される。
【0030】(第3の実施の形態)図9には、第3の実
施の形態の流動状態の推定装置の概略構成を示す。本実
施の形態において対象となる流動状態は、液体、気体等
の流体900が二手方向に分かれてできる一方の流体9
00aの流れ及び他方の流体900bの流れである。
【0031】一方の流体900a側には該流体900a
の状態が反映された時系列情報、例えば時系列の温度情
報や時系列の圧力情報等を検出するための検出端901
が、他方の流体900b側には該流体900bの状態が
反映された時系列情報、例えば時系列の温度情報や時系
列の圧力情報等を検出するための検出端902が配置さ
れる。流体900a、900bが対称的に分流するよう
にされている場合、検出端901、902も対称的に配
置されるのが望ましい。
【0032】図9において、903はアトラクタ作成部
であり、上記各検出端901、902から得られた時系
列情報に基づいて、それぞれ所定の次元を有する遅延ベ
クトルを生成し、アトラクタと呼ばれる軌道を再構成す
る。
【0033】904はリカレンスプロット作成部であ
り、上記アトラクタ作成部903により再構成されたア
トラクタに基づいて、2変数のリカレンスプロット、す
なわち一方の流体900a側の検出端901から得られ
た時系列情報及び他方の流体900b側の検出端902
から得られた時系列情報を変数とするリカレンスプロッ
トを作成する。
【0034】905は推定部であり、上記リカレンスプ
ロット作成部904により作成された2変数のリカレン
スプロットに基づいて、一方の流体900a及び他方の
流体900bの流動状態を推定する。
【0035】以下、図10のフローチャートを参照し
て、本実施の形態の流動状態の推定処理について説明す
る。アトラクタ作成部903において、各検出端90
1、902から得られる時系列情報に基づいて、アトラ
クタと呼ばれる軌道を再構成する(ステップS100
1)。アトラクタ作成部903は、各検出端901、9
02から得られた時系列情報から、対象とする現象の2
倍以上の次元mを持つ遅延ベクトルv(t)=(u(t),
u(t+τ),u(t+2τ),・・・,u(t+(m−1)
τ))を作成する。なお、u(T)は時刻Tにおける熱流
束、τは時間遅れ間隔である。続いて、上記作成した遅
延ベクトルv(t)を所定の次元を有する位相空間に写像
する。この写像した遅延ベクトルv(t)の時間推移によ
る軌道を作成することによりアトラクタを再構成する。
【0036】次に、リカレンスプロット作成部904に
おいて、上記再構成されたアトラクタに基づいて、リカ
レンスプロットを作成する(ステップS1002)。リ
カレンスプロットとは再構成されたアトラクタの非定常
挙動を2次元表示したものであり、ここで作成するリカ
レンスプロットは、リカレンスプロットを2変数(一方
の側の検出端901から得られた時系列情報及び他方の
側の検出端902から得られた時系列情報)に拡張した
もの(「相互リカレンスプロット」と称する)である。
【0037】具体的には、一方の変数のアトラクタ上に
ある現在時刻点から所定の範囲内にあるの近傍点を、他
方の変数のアトラクタ上から検索する。その結果、検索
された近傍点の時刻を、横軸を現在時刻、縦軸を上記近
傍点の時刻として2次元表示することにより相互リカレ
ンスプロットを作成する。
【0038】図11には、相互リカレンスプロットの一
例を示す。この相互リカレンスプロットは、詳細は後述
するが、本実施の形態を連続鋳造鋳型内における溶鋼流
動状態の診断、具体的には、連続鋳造鋳型内で浸漬ノズ
ルから両凝固シェル方向に溶鋼が吐出される場合での溶
鋼偏流の発生の有無を診断する場合の実績例である。
【0039】次に、診断部905において、上記作成さ
れた相互リカレンスプロットに基づいて、一方の流体9
00a及び他方の流体900bの流動状態を推定し、流
体900a、900b間で偏流が発生していないかを推
定する(ステップS1003)。
【0040】具体的には、上記のようにして得られた相
互リカレンスプロットは、一方の側の検出端901から
得られた時系列情報と他方の側の検出端902から得ら
れた時系列情報との相互類似性を表しており、これら時
系列情報の類似性が大きければ、相互リカレンスプロッ
ト上では対角線(現在時刻と近傍点の時刻とが同じ点の
集合)に平行な線分として表現される。逆に、流体90
0a、900b間で偏流が発生して、一方の側の検出端
901から得られた時系列情報と他方の側の検出端90
2から得られた時系列情報との乖離が生じると、相互リ
カレンスプロット上では対角線近傍に平行な線分がほと
んど存在しなくなる。
【0041】例えば、図11に示す相互リカレンスプロ
ットでは、中央部分(鋳造長さ45[m]付近)で対角線
に平行な線分がほとんど存在しておらず、対角線上両側
が白抜き状態となっている。すなわち、その白抜き部分
では一方の側の検出端901から得られた時系列情報と
他方の側の検出端902から得られた時系列情報とつい
ての類似性がなく、流体900a、900b間で偏流が
発生していると判断することができる。
【0042】(第4の実施の形態)図12には、第4の
実施の形態の流動状態の推定装置の概略構成を示す。な
お、同図において、検出端901、902及びアトラク
タ作成部903については上記第1の実施の形態で説明
したものと同じであり、以下では相違点を中心に説明す
る。
【0043】1201は評価指標演算部であり、上記ア
トラクタ作成部903により再構成された検出端101
側及び検出端102側のいずれか一方のアトラクタ上の
基準時刻での点の周囲に存在する他方のアトラクタ上の
近傍点が、上記基準時刻から所定時間推移後での点の周
囲にいくつ存在するかの割合を評価指標として求める。
【0044】評価対象の状態の挙動、具体的には一方の
流体900aの流動状態及び他方の流体900bの流動
状態の挙動をΔtの時間スケールで観察したときに、時
間発展の様子が決定論的、すなわちある法則性に支配さ
れて推移するようにみえるということは、上記第2の実
施の形態でも述べた図8に示すように、再構成された軌
道群の近接した部分がΔt後に同じように近傍した部分
に移されることを意味する。
【0045】そこで、評価指標演算部1201では、検
出端901側及び検出端902側のいずれか一方のアト
ラクタ上の現時刻点x(t)を中心とする直径εの超球を
考え、そこに含まれる他方のアトラクタ上の近傍点が、
Δt時刻後のx(t+Δt)を中心とする直径εの超球
にいくつ存在するかの割合を評価指標として定義する。
【0046】具体的には、評価指標は、評価指標=(Δ
t時刻後に生き残った近傍点数)/(時刻tにおける近
傍点数)により表される。この評価指標は、2変数(一
方の側の検出端901から得られた時系列情報及び他方
の側の検出端902から得られた時系列情報)の時系列
変化の法則性依存度を表し、法則性依存度が大きいほど
1に近づき、ランダム状態となるほど0に近づく。例え
ば、図8において、評価指標は3/5=0.6となる。
【0047】1202は推定部であり、上記評価指標演
算部1201により求められた評価指標に基づいて、一
方の流体900a及び他方の流体900bの流動状態を
推定する。すなわち、評価指標は一方の側の検出端90
1から得られた時系列情報と他方の側の検出端902か
ら得られた時系列情報との相互類似性を表しており、こ
れら検出端901、902での時系列情報に大きな類似
性が存在すれば、評価指標は1に近い値として表現され
るが、偏流が発生して検出端901、902での時系列
情報に乖離が生じると、評価指標は低くなる。したがっ
て、評価指標が1に近いか、0に近いかによって、流体
900a、900b間に偏流が発生しているかを推定す
ることができる。
【0048】以下では、上記説明した実施の形態につい
ての具体的な実施例を説明する。 (実施例1)実施例1は、上記第1の実施の形態を高炉
炉底における湯流れ状態の診断に適用した例である。ま
ず、図13を参照して、高炉について簡単に説明する
と、高炉内は概ね5つの領域に大別することができる。
すなわち、原料が挿入前と同じように塊として存在する
塊状帯201、原料が熱と荷重とにより半溶融状になっ
ている融着帯202、溶けた銑鉄やスラグがコークスの
間を降下する滴下帯203、コークスが羽口251から
の送風によって燃焼、運動するレースウェイ204、溶
融生成物(スラグ、銑鉄)が貯留される湯だまり205
である。なお、滴下帯203については、コークスが長
時間ほとんど静止している領域(炉心203a)と、連
続的にコークスがレースウェイ204に溶下する領域
(活性コークス帯203b)とに分けられる
【0049】高炉炉底の湯だまり205から溶融生成物
を抽出する作業を出銑という。出銑がスムーズに行われ
なければ、湯面が上昇して羽口251に達し、送風が不
可能になったり、羽口251が破損したりするおそれが
ある。また、羽口251まで到達する前に、レースウェ
イ204が歪むことによって通気不良が起こるおそれも
ある。したがって、高炉の操業においては、溶融生成物
をスムーズに出銑孔252から抽出することが重要とさ
れる。特に、大型高炉の場合、常にどこかの出銑孔25
2から出銑が行われており、生成速度と比較して出銑速
度があまり大きくないことから、溶融生成物をスムーズ
に出銑孔252から抽出することが更に重要とされる。
【0050】また、出銑孔252から出銑が行われてい
るが、何らかの原因により炉底内では湯流れが停滞して
いるといった状態もありうる。そのため、出銑孔252
からの出銑を外部観察するだけでは、高炉炉底における
湯流れ状態を的確に診断することができない。
【0051】本実施例では、上記のような高炉炉底にお
ける湯流れ状態の健全性を診断するために、図13、1
4に示すように、炉底303の底盤303a中央に、熱
電対301が埋め込まれている。また、炉底303の炉
壁303bには、周方向に配置された複数(No.1〜
No.4)の出銑孔252(1)〜252(4)の付
近、例えば各出銑孔252(1)〜252(4)の真下
位置に、熱電対302(1)〜302(4)が埋め込ま
れている。
【0052】本実施例では、出銑という動力源に誘起さ
れて出銑孔252に向かう湯流れが生じるものであり、
熱電対301が図1で示す上流側の検出端101に相当
し、熱電対302(1)〜302(4)のそれぞれが図
1で示す下流側の検出端102に相当するものである。
【0053】ここで、本実施例では、高炉炉底の底盤中
央に埋め込まれた熱電対301により計測された時系列
の温度情報と、高炉炉底の出銑孔付近に埋め込まれた熱
電対302(1)〜302(4)により計測された時系
列の温度情報とをそのまま「流体の状態が反映された時
系列情報」として用いるのではなく、これら各時系列の
温度情報から、逆問題解析により、各熱電対301、3
02(1)〜302(4)位置に対応する高炉炉底の稼
動面での時系列の熱流束情報を求め、その時系列の熱流
束情報を「流体の状態が反映された時系列情報」として
用いるようにしている。
【0054】例えば、底盤303a中央の熱電対301
を例にして説明すると、逆問題解析では、熱電対30
1、熱電対301から埋め込まれた炉底303煉瓦を含
む系を対象にした所定の方程式(偏微分方程式等)と、
熱電対301位置に対応する炉底303の稼動面での熱
流束の仮定値とを用いて、熱電対301位置での温度を
算出する。そして、その算出した熱電対301位置での
温度と、熱電対301により実際に計測された温度との
誤差が所定の値より小さくなるように、上記熱流束の仮
定値を修正し、熱電対301位置での温度の算出を繰り
返す。その結果、算出した熱電対301位置での温度
と、熱電対301により実際に計測された温度との誤差
が所定の値より小さくなったときの熱流束の仮定値を、
熱電対301位置に対応する炉底303の稼動面での熱
流束値とする。
【0055】また、例えば、下記の数1に示す式
(1)、(2)に基づいて、熱電対301位置に対応す
る炉底303の稼動面での熱流束を算出する。
【0056】
【数1】
【0057】上記式(1)は非定常の熱伝導方程式であ
る。式(1)に対して所定の演算等を施すと、式(2)
に示すような積分境界方程式になる。式(2)におい
て、Gは共役方程式の解、uはスカラー量(本例の場
合、温度)、∂u/∂nはスカラー勾配(本例の場合、
熱流束)である。
【0058】上記式(2)において、左辺は熱電対30
1位置に対応する炉底303の稼動面に関する積分であ
り、右辺は所定の既知境界面、例えば熱電対301位置
を含む面に関する積分である。したがって、熱電対30
1での計測温度に基づいて、式(2)の右辺の各値が求
められ、その求められた値から式(2)の左辺のスカラ
ー勾配∂u/∂n(熱電対301位置に対応する炉底3
03の稼動面での熱流束)が求められる。
【0059】図15には、底盤303a中央の熱電対3
01について上記のような逆問題解析により求められた
時系列の熱流束情報の実績例を示す。同図に示すよう
に、符号1〜7を付した部分で炉底中央での熱流束の落
ち込みが見られるが、特に符号1〜4を付した部分にお
いては、炉底中央での熱流束が大幅に低下する現象(い
わゆる炉底不活性)が発生した。
【0060】上記のようにして各熱電対301、302
(1)〜302(4)位置に対応する高炉炉底の稼動面
での時系列の熱流束情報を求めたならば、図2のフロー
チャートに従って、アトラクタを再構成するとともに、
相互リカレンスプロットを作成し、その相互リカレンス
プロットに基づいて高炉炉底における湯流れ状態の診断
を行う。
【0061】説明の繰り返しになるが、上記逆問題解析
により求められた各熱電対301、302(1)〜30
2(2)から得られた熱流束情報に基づいて、アトラク
タと呼ばれる軌道を再構成する(ステップS201)。
まず、逆問題解析部101により算出された各熱電対3
01、302(1)〜302(2)についての熱流束情
報から、対象とする現象の2倍以上の次元mを持つ遅延
ベクトルv(t)=(u(t),u(t+τ),u(t+2
τ),・・・,u(t+(m−1)τ))を作成する。なお、u
(T)は時刻Tにおける熱流束、τは時間遅れ間隔であ
る。続いて、上記作成した遅延ベクトルv(t)を所定の
次元を有する位相空間に写像する。この写像した遅延ベ
クトルv(t)の時間推移による軌道を作成することによ
りアトラクタを再構成する。
【0062】次に、上記再構成されたアトラクタに基づ
いて、リカレンスプロットを作成する(ステップS20
2)。リカレンスプロットとは再構成されたアトラクタ
の非定常挙動を2次元表示したものであり、ここで作成
するリカレンスプロットは、リカレンスプロットを2変
数(熱電対301から得られた時系列の熱流束情報及び
熱電対302(1)〜302(4)から得られた時系列
の熱流束情報)に拡張したものである。
【0063】具体的には、一方の変数の再構成アトラク
タ上にある現在時刻点から所定の範囲内にあるの近傍点
を、他方の変数の再構成アトラクタ上から検索する。そ
の結果、検索された近傍点の時刻を、横軸を現在時刻、
縦軸を上記近傍点の時刻として2次元表示することによ
り相互リカレンスプロットを作成する。
【0064】図3には、高炉での実績例であり、底盤3
03a中央の熱電対301から得られた熱流束情報と、
No.1出銑孔252(1)付近の熱電対302(1)
から得られた熱流束情報との相互相関性を表す相互リカ
レンスプロットを示す。
【0065】同様に、図4には、底盤303a中央の熱
電対301から得られた熱流束情報と、No.2出銑孔
252(2)付近の熱電対302(2)から得られた熱
流束情報との相互相関性を表す相互リカレンスプロット
を示す。
【0066】同様に、図5には、底盤303a中央の熱
電対301から得られた熱流束情報と、No.3出銑孔
252(3)付近の熱電対302(3)から得られた熱
流束情報との相互相関性を表す相互リカレンスプロット
を示す。
【0067】同様に、図6には、底盤303a中央の熱
電対301から得られた熱流束情報と、No.4出銑孔
252(4)付近の熱電対302(4)から得られた熱
流束情報との相互相関性を表す相互リカレンスプロット
を示す。
【0068】次に、上記作成された相互リカレンスプロ
ットに基づいて、高炉炉底における湯流れ状態を推定
し、炉底中央からNo.1〜No.4各出銑孔252
(1)〜252(4)に向かう健全な流れが存在する
か、炉底中央において湯流れが停滞しているかを診断す
る(ステップS203)。
【0069】具体的には、熱電対301(上流側の検出
端)と各熱電対302(1)〜302(4)(下流側の
検出端)とについての相互リカレンスプロットを考える
と、2箇所の検出端間に強い流れが存在すれば、相互リ
カレンスプロット上では対角線(現在時刻と近傍点の時
刻とが同じ点の集合)に平行な線分として表現される。
【0070】したがって、相互リカレンスプロット上で
対角線に平行な線分が存在するか否かによって、炉底中
央からNo.1〜No.4各出銑孔252(1)〜25
2(4)に向かう健全な流れが存在するか、炉底中央に
おいて湯流れが停滞しているかを診断することができ
る。例えば、図4の符号1に示す部分では、対角線に平
行な線分がほとんど存在しておらず、炉底中央からN
o.2出銑孔252(2)に向かう流れが存在しないこ
とが分かる。No.2出銑孔252(2)が閉じている
のであれば、炉底中央からNo.2出銑孔252(2)
に向かう流れが存在しなくても問題はないが、No.2
出銑孔252(2)から出銑を行っているにもかかわら
ず、図4の符号1に示すような状態であれば、何らかの
理由により高炉炉底において湯流れが停滞しているもの
と考えられる。
【0071】以上述べたように、底盤303a中央の熱
電対301から得られた熱流束情報と、No.1〜N
o.4出銑孔252(1)〜252(4)付近の各熱電
対302(1)〜302(4)から得られた熱流束情報
との相互相関性を表す相互リカレンスプロットを作成
し、その相互リカレンスプロットに基づいて高炉炉底に
おける湯流れ状態を判断するようにしたので、高炉炉底
における湯流れ状態を的確に診断することができ、出銑
孔252から出銑が行われているが、炉底内では湯流れ
が停滞しているといった状態を診断することも可能とな
る。
【0072】(実施例2)実施例2は、上記第3の実施
の形態を連続鋳造鋳型内における溶鋼流動状態の診断に
適用した例である。まず、図16を参照して、連続鋳造
について簡単に説明すると、連続鋳造においては、取鍋
1からタンディッシュ2へと供給された溶鋼3が連続鋳
造鋳型4へと注入される。タンディッシュ2から連続鋳
造鋳型4への溶鋼注入は、タンディッシュ2の底部に設
けられたスライディングノズル5の下部に位置する浸漬
ノズル6の先端を連続鋳造鋳型4内の溶鋼3に浸漬した
状態で行われる。
【0073】スライディングノズル5の下部に位置する
浸漬ノズル6は連続鋳造鋳型4の中央部に配置され、タ
ンディッシュ2からの溶鋼3はスライディングノズル5
を介して浸漬ノズル6内を流下し左右一対の吐出孔7か
ら連続鋳造鋳型4内に注入される。この左右一対の吐出
孔7から吐出される流体が、上記第3の実施の形態で述
べた流体900a、900bに相当するものである。浸
漬ノズル6の吐出孔7から吐出された溶鋼3は、凝固シ
ェル8に衝突した後、同図の矢印で表されるように上昇
流と下降流とに分流される。
【0074】定常時では、浸漬ノズル6の左右の吐出孔
7から吐出される溶鋼量はほぼ均等になっている(図2
6の一方の連続鋳造鋳型4を参照)が、場合によって
は、左右の吐出孔7から吐出される溶鋼量が左右で不均
等となる溶鋼偏流が生じることがある(図16の他方の
連続鋳造鋳型4を参照)。
【0075】かかる溶鋼偏流が生じる原因としては、浸
漬ノズル6の内面等にアルミナ等による付着物が付着し
たり、溶鋼流によって左右の吐出孔7が溶損して形状が
不均一となったりすることが挙げられる。また、スライ
ディングバルブ5の構造上、溶鋼3が浸漬ノズル6内の
中央を流下せず、左右いずれかに偏って流下することが
挙げられる。
【0076】上記のような理由により連続鋳造鋳型4内
で溶鋼偏流が生じると、溶鋼量の多い側では、凝固シェ
ル8への衝突力が大きく、溶鋼3が凝固シェル8の内面
に沿って上方及び下方に勢いよく分流することになる。
勢いの強い上昇流は、湯面盛り上がりを生起して湯面上
のフラックスが連続鋳造鋳型4の内壁面と凝固シェル8
との間に供給されるのを阻害し、凝固シェル8の形成が
不均一となりやすく、鋳造される鋳片の湯じわや割れ等
の原因となってしまう。また、勢いの強い下降流は、溶
鋼3の深くまで達して非金属介在物の浮上を妨げ、鋳片
の非金属介在物性欠陥をもたらす等の原因となってしま
う。
【0077】一方、溶鋼量の少ない側では、凝固シェル
8への衝突力が小さく、溶鋼3が凝固シェル8の内面に
沿って上方及び下方に分流する力は弱い。上昇流及び下
降流の勢いが弱いと、吐出孔7内の溶鋼流によどみが発
生しやすく、アルミナ等の付着によりノズル閉塞等の原
因となってしまう。
【0078】以上述べたように連続鋳造鋳型4内におい
て溶鋼偏流が生じると、連続鋳造の操業に支障があるば
かりではなく、鋳片の品質悪化を招き、好ましくないた
め、溶鋼偏流の発生の有無を検知する必要がある。
【0079】本実例では、上記のような連続鋳造鋳型内
における溶鋼流動状態の健全性を診断するために、図1
7に示すように、連続鋳造鋳型4に熱電対が埋め込まれ
ている。図17(A)に示すように、連続鋳造鋳型4は
一対の長辺4aと一対の短辺4bとを有する平面断面形
状とされており、その中央に浸漬ノズル6が配置され
る。浸漬ノズル6には、連続鋳造鋳型4の両短辺4b方
向に溶鋼を吐出する一対の吐出孔7が形成されている。
【0080】図17(A)、(B)に示すように、連続
鋳造鋳型4のある高さ位置(鋳造方向位置)において、
一方の長辺4a側の面(「F面」と称する)には、長辺
幅方向の中心(図中Y線)を挟んで対称的に配置された
複数の熱電対F1、F3、F5、F7、F9、F11が
埋め込まれている。同様に、他方の長辺4a側の面
(「L面」と称する)には、長辺幅方向の中心(図中Y
線)を挟んで対称的に配置された複数の熱電対L1、L
3、L5、L7、L9、L11が埋め込まれている。
【0081】また、連続鋳造鋳型4のF面及びL面に
は、上記の高さ位置とは異なる一又は複数の高さ位置に
も、同様に熱電対F2、F4、F6、F8、F10、F
12、熱電対L2、L4、L6、L8、L10、L12
が埋め込まれている。
【0082】さらに、図17(C)、(D)に示すよう
に、一方の短辺4b側の面(「S面」と称する)には、
短辺幅方向の中心に配置された熱電対S12が埋め込ま
れている。同様に、他方の短辺4b側の面(「N面」と
称する)には、短辺幅方向の中心に配置された熱電対N
12が埋め込まれている。これら熱電対S12、N12
も、図では1個ずつしか示さないが、上記各高さ位置の
熱電対F1〜F11、L1〜L11に対応して連続鋳造
鋳型4の適当な高さ位置に配置されている。
【0083】ここで、本実施例では、連続鋳造鋳型4に
埋め込まれた所定の高さ位置の熱電対F1〜F11、L
1〜L11、S12、N12の組により計測された計測
された時系列の温度情報をそのまま「流体の状態が反映
された時系列情報」として用いるのではなく、これら各
時系列の温度情報から、逆問題解析により、各熱電対F
1〜F11、L1〜L11、S12、N12位置に対応
する連続鋳造鋳型4の稼動面での時系列の熱流束情報を
求め、その時系列の熱流束情報を「流体の状態が反映さ
れた時系列情報」として用いるようにしている。
【0084】逆問題解析については上記実施例1で既述
したので、ここではその説明は省略する。また、上記所
定の高さ位置の熱電対F1〜F11、L1〜L11、S
12、N12の組をどのようにして決めるかについてで
あるが、高さ方向(鋳造方向)に熱電対F1〜F11、
L1〜L11、S12、N12の組が複数配置されてい
る場合に、各熱電対F1〜F11、L1〜L11、S1
2、N12が最高温度を示す組を対象とすればよい。こ
のように最高温度を示す熱電対F1〜F11、L1〜L
11、S12、N12では、連続鋳造鋳型4内の温度変
動すなわち流動状態が最も直接的に反映されているとい
え、凝固シェル8や上方の空気層による影響が小さい。
【0085】なお、通常は、ある高さ位置の熱電対F1
〜F11、L1〜L11、S12、N12すべてが最高
温度を示すことがほとんどであるが、例えば、一部の熱
電対はある高さ位置で最高温度を示し、残りの熱電対は
別の高さ位置で最高温度を示すような場合は、最高温度
を示す熱電対の数が多い高さ位置の熱電対F1〜F1
1、L1〜L11、S12、N12の組を対象とした
り、各高さ位置から最高温度を示す熱電対F1〜F1
1、L1〜L11、S12、N12をそれぞれ選び出し
てその組を対象としたりしてもよい。
【0086】図18には、溶鋼偏流が発生していること
が分かっている鋳造長さ(≒鋳造時間)において、熱電
対F1〜F11、L1〜L11、S12、N12を用い
て得られた熱流束情報の実績例を示す。同図に示すよう
に、連続鋳造鋳型4内で溶鋼偏流が発生している場合、
長辺幅方向の中心を挟んで対称的に配置された熱電対間
で熱流束が互いに増減する方向に変動する。本例の場
合、特に熱電対F1/F11、L1/L11で熱流束が
大きな割合で互いに増減する方向に変動しており、熱流
束の大きなN側(熱電対F1、L1のある側)では溶鋼
量が多くなっているのに対して、熱流束の小さなS側
(熱電対F11、L11のある側)ではS側の溶鋼量が
少なくなっているといえる。
【0087】上記のようにして各熱電対F1〜F11、
L1〜L11、S12、N12位置に対応する連続鋳造
鋳型4の稼動面での時系列の熱流束情報を求めたなら
ば、図10のフローチャートに従って、アトラクタを再
構成するとともに、相互リカレンスプロットを作成し、
その相互リカレンスプロットに基づいて連続鋳造鋳型内
における溶鋼流動状態の診断を行う。
【0088】説明の繰り返しになるが、長辺幅方向の中
心に対して一方の側(S側)の熱電対F7、F9、F1
1、L7、L9、L11、S12から得られた時系列の
熱流束情報に基づいて、所定の次元を有する遅延ベクト
ルを生成し、アトラクタと呼ばれる軌道を再構成する。
また、長辺幅方向の中心に対して他方の側(N側)の熱
電対F1、F3、F5、L1、L3、L5、N12から
得られた時系列の熱流束情報に基づいて、所定の次元を
有する遅延ベクトルを生成し、アトラクタと呼ばれる軌
道を再構成する(ステップS1001)。まず、N側の
熱電対F5、F3、F1、N12、L1、L3、L5の
熱流束情報から、下記の数2に示すように、対象とする
現象の2倍以上の次元mを持つ遅延ベクトルvN(t)を
作成する。同様に、S側の熱電対F7、F9、F11、
S12、L11、L9、L7の熱流束情報から、下記の
数2に示すように、対象とする現象の2倍以上の次元m
を持つ遅延ベクトルvS(t)を作成する。なお、x(t)
は時刻tにおける熱流束、τは時間遅れ間隔である。
【0089】
【数2】
【0090】続いて、遅延ベクトルvN(t)、vS(t)を
所定の次元を有する位相空間にそれぞれ写像する。この
写像した遅延ベクトルvN(t)、vS(t)の時間推移によ
る軌道を作成することによりアトラクタを再構成する。
【0091】次に、上記再構成されたS側のアトラクタ
及びN側のアトラクタに基づいて、2変数のリカレンス
プロット、すなわちS側の熱流束分布及びN側の熱流束
分布を変数とするリカレンスプロットを作成する(ステ
ップS1002)。リカレンスプロットとは再構成され
たアトラクタの非定常挙動を2次元表示したものであ
り、ここで作成するリカレンスプロットは、リカレンス
プロットを2変数に拡張したものである。
【0092】具体的には、一方の変数の再構成アトラク
タ上にある現在時刻点から所定の範囲内にあるの近傍点
を、他方の変数の再構成アトラクタ上から検索する。そ
の結果、検索された近傍点の時刻を、横軸を現在時刻、
縦軸を上記近傍点の時刻として2次元表示することによ
り、相互相関性を表す相互リカレンスプロットを作成す
る。
【0093】図11には、上記図18で述べたのと同じ
連続鋳造鋳型4でのS側の熱流束分布及びN側の熱流束
分布を変数とする相互リカレンスプロットを示す。
【0094】次に、上記作成された相互リカレンスプロ
ットに基づいて、連続鋳造鋳型4内での溶鋼の流動状態
を推定し、溶鋼偏流の発生の有無を診断する(ステップ
S1003)。
【0095】具体的には、S側の熱流束分布及びN側の
熱流束分布を変数とする相互リカレンスプロットを考え
ると、S側の熱流束分布及びN側の熱流束分布の類似性
が大きければ、相互リカレンスプロット上では対角線
(現在時刻と近傍点の時刻とが同じ点の集合)近傍に平
行な線分が密集して現れる。逆に、連続鋳造鋳型4内で
溶鋼偏流が発生して、S側の熱流束分布及びN側の熱流
束分布に乖離が生じると、相互リカレンスプロット上で
は対角線近傍に平行な線分がほとんど存在しなくなる。
【0096】図11に示す相互リカレンスプロットで
は、中央部分(鋳造長さ45[m]付近)で対角線に平行
な線分がほとんど存在しておらず、対角線上両側が白抜
き状態となっている。すなわち、その白抜き部分ではS
側の熱流束分布及びN側の熱流束分布についての類似性
がなく、連続鋳造鋳型4内で溶鋼偏流が発生していると
判断することができる。
【0097】以上述べたように本実施の形態において
は、S側の熱流束分布及びN側の熱流束分布の類似性を
表す相互リカレンスプロットを作成し、その相互リカレ
ンスプロットに基づいて連続鋳造鋳型4内での溶鋼偏流
の発生の有無を診断するようにしたので、溶鋼偏流の発
生の有無を的確に診断することができる。
【0098】すなわち、図18にも示したように、溶鋼
偏流が発生した場合、長辺幅方向の中心を挟んで配置さ
れた熱電対間で熱流束が互いに増減する方向に変動する
ことから、S側及びN側での温度を測定して比較し、そ
ういった変動を捉えることにより溶鋼偏流の発生の有無
を診断することも可能である。しかしながら、図18に
示すように瞬間を捉えた関係からは明確に理解できる
が、実際には温度等は瞬時に変動するものであり、それ
らを比較した上で上記のような変動を捉えることは難し
く、溶鋼偏流の発生の有無を的確に検知しえないことが
多い。
【0099】それに対して、S側の熱流束分布及びN側
の熱流束分布を変数とするリカレンスプロットを作成す
ることにより、長辺幅方向の中心を挟んで配置された熱
電対間で熱流束が互いに増減するといった変動を精度よ
く捉えることができ、溶鋼偏流の発生の有無を的確に診
断することが可能となるものである。
【0100】(実施例3)実施例3は、上記第4の実施
の形態を連続鋳造鋳型内における溶鋼流動状態の診断に
適用した例である。本実施例では、上記実施例3と同じ
連続鋳造を対象として評価指標を求めるようにしたもの
であり、結果のみを示す。
【0101】図19には、上記図11、18で述べたの
と同じ連続鋳造鋳型4での鋳造長さと評価指標との関係
の実績例を示す。S側の熱流束分布及びN側の熱流束分
布の類似性が大きければ、評価指標は1に近くなるが、
連続鋳造鋳型4内で溶鋼偏流が発生して、S側の熱流束
分布及びN側の熱流束分布に乖離が生じると、評価指標
は低くなる。図8では、鋳造長さ45[m]付近で評価指
標が低下しており、S側の熱流束分布及びN側の熱流束
分布についての類似性がなく、連続鋳造鋳型4内で溶鋼
偏流が発生していると判断することができる。
【0102】(その他の実施の形態)上述した実施の形
態の流動状態の推定装置は、コンピュータのCPU或い
はMPU、RAM、ROM等により構成され、RAMや
ROMに記憶されたプログラムが動作することによって
実現される。したがって、コンピュータに対し、上記実
施の形態の機能を実現するためのプログラム自体が上述
した実施の形態の機能を実現することになり、そのプロ
グラム自体は本発明を構成する。
【0103】また、上記プログラムをコンピュータに供
給するための手段、例えばかかるプログラムを格納した
記録媒体は本発明を構成する。かかるプログラムコード
を記憶する記録媒体としては、例えばフレキシブルディ
スク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、
CD−ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、
ROM等を用いることができる。
【0104】また、コンピュータが供給されたプログラ
ムを実行することにより、上述の実施の形態の機能が実
現されるだけでなく、そのプログラムがコンピュータに
おいて稼働しているOS(オペレーティングシステム)
或いは他のアプリケーションソフト等と共同して上述の
実施の形態の機能が実現される場合にもかかるプログラ
ムドは本発明の実施の形態に含まれることはいうまでも
ない。
【0105】さらに、供給されたプログラムがコンピュ
ータの機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能
拡張ユニットに備わるメモリに格納された後、そのプロ
グラムの指示に基づいてその機能拡張ボードや機能拡張
ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部又は全部
を行い、その処理によって上述した実施の形態の機能が
実現される場合にも本発明に含まれることはいうまでも
ない。
【0106】なお、上記実施の形態において示した各部
の形状及び構造は、何れも本発明を実施するにあたって
の具体化のほんの一例を示したものに過ぎず、これらに
よって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはなら
ないものである。すなわち、本発明はその精神、又はそ
の主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施す
ることができる。例えば、本発明をネットワーク環境で
利用すべく、全部或いは一部のプログラムが他のコンピ
ュータで実行されるようになっていてもかまわない。
【0107】
【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、上流
側から下流側に向かう流体の流動状態や流体が複数方向
に分かれてできる一方の流体及び他方の流体の流動状態
を推定するような場合に、流体の流動状態を的確に推定
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態の流動状態の推定装置の概略
構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施の形態における流動状態の推定処理
について説明するためのフローチャートである。
【図3】相互リカレンスプロットの一例を示す図であ
る。
【図4】相互リカレンスプロットの一例を示す図であ
る。
【図5】相互リカレンスプロットの一例を示す図であ
る。
【図6】相互リカレンスプロットの一例を示す図であ
る。
【図7】第2の実施の形態の流動状態の推定装置の概略
構成を示すブロック図である。
【図8】アトラクタ近傍点の時間推移を説明するための
図である。
【図9】第3の実施の形態の流動状態の推定装置の概略
構成を示すブロック図である。
【図10】第3の実施の形態における流動状態の推定処
理について説明するためのフローチャートである。
【図11】相互リカレンスプロットの一例を示す図であ
る。
【図12】第3の実施の形態の流動状態の推定装置の概
略構成を示すブロック図である。
【図13】高炉内の状況を模式的に示した断面図であ
る。
【図14】熱電対301、302(1)〜302(4)
の配置関係を説明するための図である。
【図15】底盤303a中央の熱電対301から得られ
た時系列の熱流束情報の実績例を示す図である。
【図16】連続鋳造について説明するための図である。
【図17】熱電対F1〜F11、L1〜L11、S1
2、N12の配置関係を説明するための図である。
【図18】熱電対F1〜F11、L1〜L11、S1
2、N12から得られた時系列の熱流束情報の実績例を
示す図である。
【図19】鋳造長さと評価指標との関係を示す実績例を
示す図である。
【符号の説明】
100、900、900a、900b 流体 101、102、901、902 検出端 103、903 アトラクタ作
成部 104、904 リカレンスプ
ロット作成部 105、702、905、1202 推定部 701、1201 評価指標演算
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B22D 46/00 B22D 46/00 (72)発明者 林 順一 富津市新富20−1 新日本製鐵株式会社技 術開発本部内 (72)発明者 合原 一幸 千葉県習志野市谷津4−8−8−208 Fターム(参考) 4E004 MB20 NB01 NC01 PA07

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 上流側から下流側に向かう流体の流動状
    態を推定するための流動状態の推定装置であって、 上流側位置及び下流側位置の2箇所の検出端から得られ
    る上記流体の状態が反映された各時系列情報に基づい
    て、それぞれ所定の次元を有する遅延ベクトルを生成
    し、アトラクタを再構成するアトラクタ作成手段と、 上記アトラクタに基づいて、2変数のリカレンスプロッ
    トを作成するリカレンスプロット作成手段と、 上記リカレンスプロットに基づいて、上流側から下流側
    に向かう流体の流動状態を推定する推定手段とを備えた
    ことを特徴とする流動状態の推定装置。
  2. 【請求項2】 上流側から下流側に向かう流体の流動状
    態を推定するための流動状態の推定装置であって、 上流側位置及び下流側位置の2箇所の検出端から得られ
    る上記流体の状態が反映された各時系列情報に基づい
    て、それぞれ所定の次元を有する遅延ベクトルを生成
    し、アトラクタを再構成するアトラクタ作成手段と、 上記いずれか一方のアトラクタ上の基準時刻での点の周
    囲に存在する他方のアトラクタ上の近傍点が、上記基準
    時刻から所定時間推移後での点の周囲にいくつ存在する
    かの割合を評価指標として求める評価指標演算手段と、 上記評価指標に基づいて、上流側から下流側に向かう流
    体の流動状態を推定する推定手段とを備えたことを特徴
    とする流動状態の推定装置。
  3. 【請求項3】 上記周囲として上記基準時刻での点及び
    上記所定時間推移後での点を中心とする一定直径の超球
    を考えることを特徴とする請求項2に記載の流動状態の
    推定装置。
  4. 【請求項4】 流体が複数方向に分かれてできる一方の
    流体及び他方の流体の流動状態を推定するための流動状
    態の推定装置であって、 上記一方の流体の状態が反映された時系列情報と、上記
    他方の流体の状態が反映された時系列情報とに基づい
    て、それぞれ所定の次元を有する遅延ベクトルを生成
    し、アトラクタを再構成するアトラクタ作成手段と、 上記アトラクタに基づいて、2変数のリカレンスプロッ
    トを作成するリカレンスプロット作成手段と、 上記リカレンスプロットに基づいて、上記一方の流体と
    上記他方の流体との流動状態を推定する推定手段とを備
    えたことを特徴とする流動状態の推定装置。
  5. 【請求項5】 流体が複数方向に分かれてできる一方の
    流体及び他方の流体の流動状態を推定するための流動状
    態の推定装置であって、 上記一方の流体の状態が反映された時系列情報と、上記
    他方の流体の状態が反映された時系列情報とに基づい
    て、それぞれ所定の次元を有する遅延ベクトルを生成
    し、アトラクタを再構成するアトラクタ作成手段と、 上記いずれか一方のアトラクタ上の基準時刻での点の周
    囲に存在する他方のアトラクタ上の近傍点が、上記基準
    時刻から所定時間推移後での点の周囲にいくつ存在する
    かの割合を評価指標として求める評価指標演算手段と、 上記評価指標に基づいて、上記一方の流体と上記他方の
    流体との流動状態を推定する推定手段とを備えたことを
    特徴とする流動状態の推定装置。
  6. 【請求項6】 上流側から下流側に向かう流体の流動状
    態を推定するための流動状態の推定方法であって、 上流側位置及び下流側位置の2箇所の検出端から得られ
    る上記流体の状態が反映された各時系列情報に基づい
    て、それぞれ所定の次元を有する遅延ベクトルを生成
    し、アトラクタを再構成するアトラクタ作成手順と、 上記アトラクタに基づいて、2変数のリカレンスプロッ
    トを作成するリカレンスプロット作成手順と、 上記リカレンスプロットに基づいて、上流側から下流側
    に向かう流体の流動状態を推定する推定手順とを有する
    ことを特徴とする流動状態の推定方法。
  7. 【請求項7】 上流側から下流側に向かう流体の流動状
    態を推定するための流動状態の推定方法であって、 上流側位置及び下流側位置の2箇所の検出端から得られ
    る上記流体の状態が反映された各時系列情報に基づい
    て、それぞれ所定の次元を有する遅延ベクトルを生成
    し、アトラクタを再構成するアトラクタ作成手順と、 上記いずれか一方のアトラクタ上の基準時刻での点の周
    囲に存在する他方のアトラクタ上の近傍点が、上記基準
    時刻から所定時間推移後での点の周囲にいくつ存在する
    かの割合を評価指標として求める評価指標演算手順と、 上記評価指標に基づいて、上流側から下流側に向かう流
    体の流動状態を推定する推定手順とを有することを特徴
    とする流動状態の推定方法。
  8. 【請求項8】 流体が複数方向に分かれてできる一方の
    流体及び他方の流体の流動状態を推定するための流動状
    態の推定方法であって、 上記一方の流体の状態が反映された時系列情報と、上記
    他方の流体の状態が反映された時系列情報とに基づい
    て、それぞれ所定の次元を有する遅延ベクトルを生成
    し、アトラクタを再構成するアトラクタ作成方法と、 上記アトラクタに基づいて、2変数のリカレンスプロッ
    トを作成するリカレンスプロット作成方法と、 上記リカレンスプロットに基づいて、上記一方の流体と
    上記他方の流体との流動状態を推定する推定方法とを有
    することを特徴とする流動状態の推定方法。
  9. 【請求項9】 流体が複数方向に分かれてできる一方の
    流体及び他方の流体の流動状態を推定するための流動状
    態の推定方法であって、 上記一方の流体の状態が反映された時系列情報と、上記
    他方の流体の状態が反映された時系列情報とに基づい
    て、それぞれ所定の次元を有する遅延ベクトルを生成
    し、アトラクタを再構成するアトラクタ作成手順と、 上記いずれか一方のアトラクタ上の基準時刻での点の周
    囲に存在する他方のアトラクタ上の近傍点が、上記基準
    時刻から所定時間推移後での点の周囲にいくつ存在する
    かの割合を評価指標として求める評価指標演算手順と、 上記評価指標に基づいて、上記一方の流体と上記他方の
    流体との流動状態を推定する推定手順とを有することを
    特徴とする流動状態の推定方法。
  10. 【請求項10】 上流側から下流側に向かう流体の流動
    状態を推定するための処理をコンピュータに実行させる
    コンピュータプログラムであって、 上流側位置及び下流側位置の2箇所の検出端から得られ
    る上記流体の状態が反映された各時系列情報に基づい
    て、それぞれ所定の次元を有する遅延ベクトルを生成
    し、アトラクタを再構成するアトラクタ作成処理と、 上記アトラクタに基づいて、2変数のリカレンスプロッ
    トを作成するリカレンスプロット作成処理と、 上記リカレンスプロットに基づいて、上流側から下流側
    に向かう流体の流動状態を推定する推定処理とを実行さ
    せることを特徴とするコンピュータプログラム。
  11. 【請求項11】 上流側から下流側に向かう流体の流動
    状態を推定するための処理をコンピュータに実行させる
    コンピュータプログラムであって、 上流側位置及び下流側位置の2箇所の検出端から得られ
    る上記流体の状態が反映された各時系列情報に基づい
    て、それぞれ所定の次元を有する遅延ベクトルを生成
    し、アトラクタを再構成するアトラクタ作成処理と、 上記いずれか一方のアトラクタ上の基準時刻での点の周
    囲に存在する他方のアトラクタ上の近傍点が、上記基準
    時刻から所定時間推移後での点の周囲にいくつ存在する
    かの割合を評価指標として求める評価指標演算処理と、 上記評価指標に基づいて、上流側から下流側に向かう流
    体の流動状態を推定する推定処理とを実行させることを
    特徴とするコンピュータプログラム。
  12. 【請求項12】 流体が複数方向に分かれてできる一方
    の流体及び他方の流体の流動状態を推定するための処理
    をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムで
    あって、 上記一方の流体の状態が反映された時系列情報と、上記
    他方の流体の状態が反映された時系列情報とに基づい
    て、それぞれ所定の次元を有する遅延ベクトルを生成
    し、アトラクタを再構成するアトラクタ作成処理と、 上記アトラクタに基づいて、2変数のリカレンスプロッ
    トを作成するリカレンスプロット作成処理と、 上記リカレンスプロットに基づいて、上記一方の流体と
    上記他方の流体との流動状態を推定する推定処理とを実
    行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
  13. 【請求項13】 流体が複数方向に分かれてできる一方
    の流体及び他方の流体の流動状態を推定するための処理
    をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムで
    あって、 上記一方の流体の状態が反映された時系列情報と、上記
    他方の流体の状態が反映された時系列情報とに基づい
    て、それぞれ所定の次元を有する遅延ベクトルを生成
    し、アトラクタを再構成するアトラクタ作成処理と、 上記いずれか一方のアトラクタ上の基準時刻での点の周
    囲に存在する他方のアトラクタ上の近傍点が、上記基準
    時刻から所定時間推移後での点の周囲にいくつ存在する
    かの割合を評価指標として求める評価指標演算処理と、 上記評価指標に基づいて、上記一方の流体と上記他方の
    流体との流動状態を推定する推定処理とを実行させるこ
    とを特徴とするコンピュータプログラム。
  14. 【請求項14】 請求項10〜13のいずれか1項に記
    載のコンピュータプログラムを格納したことを特徴とす
    るコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
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