JP2018028421A - 電気炉における電極長さ推定方法及び、その推定装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、電気炉1に複数配備された各電極5長さを推定する技術であって、操業実績を保存する操業実績ステップと、排出ガス成分及び温度、溶湯8成分の少なくとも1つ以上を含む炉内環境のデータを用いて電極5全体の平均長さを算出する全体平均長さ算出ステップと、各電極5周辺の排出ガス温度、各電極5の上下移動履歴、各電極5の電力量の少なくとも1つ以上を含む電極5のデータを用いて各電極5間の相対長さを算出する相対長さ算出ステップと、電極5全体の平均長さと各電極5間の相対長さを用いて各電極5長さを推定する電極長さ推定ステップと、各電極5長さを出力する電極長さ出力ステップとを有する。
【選択図】図2
Description
ところで、実操業していると、電気炉に備えられている電極は消耗してゆくので、継ぎ足す必要がある。この電極を継ぎ足すにあたっては、電極の消耗度合い、すなわち電極の長さを把握する必要がある。
そこで現在では、電気炉全体の環境(例えば、排出ガスの温度等)や、電極に関するデータ(例えば、上下方向の移動量等)など、実操業のデータを基に、電極の長さを推定する技術が採用されている。
特許文献1には、密閉式電気炉の操業で得られる、排出ガスの温度、電極のストローク長さ、力率、炉内抵抗乱れ指数を用いて、電極の消耗量を推定するモデルを重回帰によって構築し、そのモデルより得られる電極の消耗量と、電極の押し下げ量と、操業開始前の電極の長さから、操業中における各電極の長さを推定する密閉式電気炉用ゼーダベルグ電極長さ推定方法が開示されている。
しかしながら、1つの電気炉に対して複数の電極が備えられている環境下においては、全体に影響する因子を正しく評価できない可能性がある。
つまり、各電極周りの状況の把握は勿論のこと、電気炉における電極全体の状況も把握しておかなくては、十分な精度で各電極単体の長さを推定することはできないと考えられる。
しかし、電極中にガス容器を設置するための装置を導入するコストや、電極中にガス容器を設置することを実施するコストが必要となってくる。また、ガス容器を設置するといった、異物が装入されることによる電極強度の低下や、電極焼成時にガス容器が溶けないようにするための技術が必要という問題が挙げられる。
さて、電気炉内に挿入され、且つその炉内の原料に埋まっている電極の長さを把握したい場合、その手段としては、電極の長さを測定する方法と、電極の長さを推定する方法の2点が考えられる。
しかし、これら従来技術では、全体的な電気炉内の環境を考慮して、電極の長さを推定するもの、もしくは、電極が1本備えられた電気炉内の環境のみを考慮して、電極の長さを推定するものであり、全体的な電気炉内の環境と、電極間の相対的な電気炉内の環境の双方を同時に考慮して、電極の長さを推定するものではない。
本発明にかかる電気炉における電極長さ推定方法は、複数の電極が配備されている電気炉において、当該電気炉内に挿入されている前記各電極の長さを推定する方法であって、前記電気炉の操業実績を保存する操業実績ステップと、保存された前記操業実績から、前記電気炉から排出される排出ガスの成分及び温度、前記電気炉から出湯される溶湯の成分の少なくとも1つ以上を含む、前記電気炉の内部環境に関する操業データを抽出すると共に、抽出した前記操業データを用いて、前記電極全体における平均的な長さを算出する全体平均長さ算出ステップと、保存された前記操業実績から、各電極の周辺における排出ガスの温度、前記電極のそれぞれを上下方向に移動させた移動履歴、前記電極ごとの電力量の少なくとも1つ以上を含む、電極に関する操業データを抽出すると共に、抽出した前記操業データを用いて、各電極間の相対的な長さを算出する相対長さ算出ステップと、算出された前記電極全体における平均的な長さと、算出された前記各電極間の相対的な長さを用いて、前記各電極の長さを推定する電極長さ推定ステップと、推定された前記各電極の長さを外部へ出力する電極長さ出力ステップと、を有していることを特徴とする。
好ましくは、前記統計モデルとして、重回帰モデル、PLSモデル(Partial Least Squares)、サポートベクトル回帰モデルのいずれかを採用するとよい。
本発明にかかる電気炉における電極長さ推定装置は、複数の電極が配備されている電気炉において、当該電気炉内に挿入されている前記各電極の長さを推定する装置であって、前記電気炉の操業実績を保存している操業実績記憶部と、前記操業実績記憶部から、前記電気炉から排出される排出ガスの成分及び温度、前記電気炉から出湯される溶湯の成分の少なくとも1つ以上を含む、前記電気炉の内部環境に関する操業データを抽出すると共に、抽出した前記操業データを用いて、前記電極全体における平均的な長さを算出する全体平均長さ算出部と、前記操業実績記憶部から、各電極の周辺における排出ガスの温度、前記電極のそれぞれを上下方向に移動させた移動履歴、前記電極ごとの電力量の少なくとも1つ以上を含む、電極に関する操業データを抽出すると共に、抽出した前記操業データを用いて、各電極間の相対的な長さを算出する相対長さ算出部と、前記全体平均長さ算出部で算出された前記電極全体における平均的な長さと、前記相対長さ算出部で算出された前記各電極間の相対的な長さを用いて、前記各電極の長さを推定する電極長さ推定部と、前記電極長さ推定部で推定された前記各電極の長さを外部へ出力する電極長さ出力部と、を備えることを特徴とする。
なお、以下に説明する実施形態は、本発明を具体化した一例であって、その具体例をもって本発明の構成を限定するものではない。従って、本発明の技術的範囲は、本実施形態に開示内容だけに限定されるものではない。また、本実施形態においては、電気炉1における電極長さ推定装置10を主体に説明する。
図1に示すように、電気炉1は、内部に投入した冷鉄源(例えばクロムを含むスクラップ鉄)や合金鉱石(Mn鉱石)(以降、合わせて原料7と呼ぶ)を溶解して溶湯8(メタル)を形成するものである。
蓋体2には、アークを発生させる複数の電極5(例えば、炭素電極)が設けられている。この電極5には、電力が供給されており、この電極5と内部に装入された原料7との間にアークを発生させることで、原料7を溶解させて溶湯8(メタル)を形成する。
なお、本発明は、複数の電極5が備えられた電気炉1を対象としており、複数の電極5が備えられた電気炉であれば、上で例示した電気炉の形式に限定されない。
そこで、本発明では、電気炉1内全体の環境に関する情報を用いて、複数備えられている電極5全体における平均的な先端の位置が、炉内全体においてどの辺りに存在しているか、すなわち複数の電極5全体における平均的な長さを把握し、各電極5周辺における環境に関する情報を用いて、各電極5間における相対的な先端の位置、すなわち各電極5間における相対的な長さを把握する。
上記のようにすることで、複数の電極5が相互に関係し合う電気炉1においても、各電極5の長さを正確に推定することが可能になる。
すなわち、本発明の電気炉1における電極長さ推定装置10(以降単に、電極長さ推定装置10と呼ぶこととする)は、電気炉1の操業実績を保存している操業実績記憶部11(操業実績ステップ)と、操業実績記憶部11から、電気炉1から排出される排出ガスの成分及び温度、電気炉1から出湯される溶湯8の成分、電気炉1内における溶湯8の高さの少なくとも1つ以上を含む、電気炉1の内部環境に関する操業データを抽出すると共に、抽出した電気炉1全体に関する操業データを用いて、電極5全体における平均的な長さを算出する全体平均長さ算出部12(全体平均長さ算出ステップ)と、操業実績記憶部11から、各電極5の周辺における排出ガスの温度、電極5のそれぞれを上下方向に移動させた移動履歴、電極5ごとの電力量の少なくとも1つ以上を含む、各電極5に関する操業データを抽出すると共に、抽出した電極5ごとに関する操業データを用いて、各電極5間の相対的な長さを算出する相対長さ算出部16(相対長さ算出ステップ)と、全体平均長さ算出部12で算出された電極5全体の平均的な長さと、相対長さ算出部16で算出された各電極5間の相対的な長さを用いて、各電極5の長さを推定する電極長さ推定部19(電極長さ推定ステップ)と、電極長さ推定部19で推定された各電極5の長さを外部へ出力する電極長さ出力部23(電極長さ出力ステップ)と、を備えている。
このように、上記した統計モデルを採用することで、操業的、冶金的知識から得られる物理・冶金モデルでは表現できない複雑な事象(電気炉1の内部環境)を表現することができる。
物理・冶金モデルを用いて、電気炉1の基礎的な事象を表現することで、より総合的に、各電極5の長さを推定することが可能になる。
さて上でも概略を述べたが、電気炉1は、直径が数〜十数m程度の大きさであり、その電気炉1内部に原料7(鉱石やスクラップなど)を装入し、内部に向けて差し込まれた各電極5に対して電気を供給することで起きるアーク熱、抵抗熱によって、原料7を融解させるものである。
バッチ操業では、十数時間に1度のペースで、電気炉1内下部に溜まったメタル(溶湯8)は、出湯口6から炉外部に出湯される。また、電極5はアーク熱、抵抗熱で、少しずつ消耗していくため、その電極5の消耗量に合わせて、電気炉1上部において順次電極を焼成してゆく。つまり、電極5が消耗した分だけ、電極5を電気炉1上部から継ぎ足すように、焼成している。なお、操業中における各電極5の抵抗値や、電極5の高さを微調整した値、原料7の投入量、副生ガスの成分及びその温度については、電気炉1の操業データとして逐一、電気炉1を監視する監視装置(サーバ)内に保存されている。
本技術では、電極5全体における平均的な長さ(電極5の全体位置)と、各電極5間の相対的な長さ(電極5の相対位置)を別々に算出し、その算出した電極5に関する2つの情報を用いて、個々の電極5の実際の長さを、総合的に推定している。
上記の理由としては、例えば電気炉1内のメタル8高さ(図1参照)など、全電極5に共通する炉内環境(電極5の全体情報)と、例えば各電極5周辺の排出ガスの温度など、電極5毎に異なる炉内環境(電極5の個別情報)が、それぞれ電極5の長さ(各電極5の消耗量)に影響を与えているという考えからである。
そこで、本実施形態では、電極5全体における平均的な長さに加え、その電極5全体における平均的な長さでは示されにくい、各電極5が相対的に消耗し易い環境にあるか否かを判断するための指標である、電極5間の相対的な長さを算出することとしている。
図3に、全体平均長さ算出部12のフローチャートを示す。
図3に示すように、電極5全体における平均的な長さを算出するにあたり、まず全体モデル用データ抽出部13で、予め求められている電極5全体における平均的な長さモデル(全体モデル)に対して、その全体モデルを構築するために必要な変数を確認する(S1-1)。その対象となる電極5全体に関する変数データを、操業実績記憶部11から抽出する(S1-2)。
ここで、全体平均長さ算出部12で使用する全体モデル及び、後述する相対長さ算出部16で使用する電極5間の相対的な長さモデル(相対モデル)は、y=a1F1(x1)+a2F2(x2)+・・・+anFn(xn)+bで表される。
全体モデルでは、電気炉1全体的な排出ガスの成分や温度、排出されるメタル8の成分などが少なくとも1つ以上含まれる炉内全体の環境に関する操業データを使用している。また、相対モデルでは、各電極5周辺の排出ガスの温度や、電極5のそれぞれを上下方向に移動させた移動履歴、電極5ごとの電力量の少なくとも1つ以上を含む各電極5周辺の環境に関する操業データを使用している。
図4に示すように、電極5間の相対的な長さを算出するにあたり、まず複数の電極5のうち、例えば1番目(n=1)の電極5を決定する(S2-1)。相対モデル用データ抽出部17で、予め求められている相対モデルに対して、その相対モデルを構築するために必要な変数を確認する(S2-2)。その対象となる1番目の電極5に関する変数データを、操業実績記憶部11から抽出する(S2-3)。
nが電極5の総数となるか否か、すなわち電極5間の相対的な長さがすべて求められたか否かを判断する(S2-6)。電極5間の相対的な長さがすべて求められていない場合、対象とする電極5(n=n+1)を決定する(S2-7)。
図5に、電極長さ推定部19のフローチャートを示す。
各電極5の長さを推定するにあたり、まず全体平均長さ・相対長さ合成部21で、全体平均長さ算出部12で算出した電極5全体における平均的な長さを抽出する(S3-1)。次いで、例えば1番目(n=1)の電極5の相対長さを算出するとした場合(S3-1)、相対長さ算出部16で算出した1番目の電極5における相対長さを抽出する(S3-3)。
nが電極5の総数となるか否か、すなわち電極5の長さがすべて求められたか否かを判断する(S3-6)。電極5の長さがすべて求められていない場合、対象とする電極5(n=n+1)を決定する(S3-7)。
図6に、電極長さ出力部23のフローチャートを示す。
例えば、n番目の電極5の長さを出力するとした場合(S4-1)、n番目の電極5の長さを、電極長さ記憶部22から抽出する(S4-2)。n番目の電極5の長さを出力する(S4-3)。
つまり、電極長さ出力部23では、備えられた電極5の総数分だけ、繰り返し出力する。
ところで、全体平均長さ・相対長さ合成部21においては、全体モデルによる計算値と相対モデルによる計算値の合成については、(S3-4)に示す方法の他に、電極5全体の平均的な長さを基本として、電極5間の相対的な長さを、倍率として掛けたり、乗数として使用しても良い。
以上述べた本発明によれば、複数の電極5が配備されている電気炉1において、全体的な電気炉1内の環境及び、各電極5周辺の環境を把握し、各環境で得られるデータを用いて、電気炉1内に挿入されている各電極5の長さを正確に推定することができる。
特に、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。
2 蓋体
3 本体
4 耐火レンガ
5 電極
6 出湯口
7 原料
8 溶湯(メタル)
10 電極長さ推定装置
11 操業実績記憶部
12 全体平均長さ算出部
13 全体モデル用データ抽出部
14 全体平均長さ算出部
15 平均長さ記憶部
16 相対長さ算出部
17 相対モデル用データ抽出部
18 相対長さ算出部
19 相対長さ記憶部
20 電極長さ推定部
21 全体平均長さ・相対長さ合成部
22 電極長さ記憶部
23 電極長さ出力部
Claims (5)
- 複数の電極が配備されている電気炉において、当該電気炉内に挿入されている前記各電極の長さを推定する方法であって、
前記電気炉の操業実績を保存する操業実績ステップと、
保存された前記操業実績から、前記電気炉から排出される排出ガスの成分及び温度、前記電気炉から出湯される溶湯の成分の少なくとも1つ以上を含む、前記電気炉の内部環境に関する操業データを抽出すると共に、抽出した前記操業データを用いて、前記電極全体における平均的な長さを算出する全体平均長さ算出ステップと、
保存された前記操業実績から、各電極の周辺における排出ガスの温度、前記電極のそれぞれを上下方向に移動させた移動履歴、前記電極ごとの電力量の少なくとも1つ以上を含む、電極に関する操業データを抽出すると共に、抽出した前記操業データを用いて、各電極間の相対的な長さを算出する相対長さ算出ステップと、
算出された前記電極全体における平均的な長さと、算出された前記各電極間の相対的な長さを用いて、前記各電極の長さを推定する電極長さ推定ステップと、
推定された前記各電極の長さを外部へ出力する電極長さ出力ステップと、を有している
ことを特徴とする電気炉における電極長さ推定方法。 - 前記全体平均長さ算出ステップ、及び、前記相対長さ算出ステップで使用するモデルとして、統計モデルを使用する
ことを特徴とする請求項1に記載の電気炉における電極長さ推定方法。 - 前記統計モデルとして、重回帰モデル、PLSモデル(Partial Least Squares)、サポートベクトル回帰モデルのいずれかを採用する
ことを特徴とする請求項2に記載の電気炉における電極長さ推定方法。 - 前記全体平均長さ算出ステップ、及び、前記相対長さ算出ステップで使用するモデルとして、物理モデルを使用する
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電気炉における電極長さ推定方法。 - 複数の電極が配備されている電気炉において、当該電気炉内に挿入されている前記各電極の長さを推定する装置であって、
前記電気炉の操業実績を保存している操業実績記憶部と、
前記操業実績記憶部から、前記電気炉から排出される排出ガスの成分及び温度、前記電気炉から出湯される溶湯の成分の少なくとも1つ以上を含む、前記電気炉の内部環境に関する操業データを抽出すると共に、抽出した前記操業データを用いて、前記電極全体における平均的な長さを算出する全体平均長さ算出部と、
前記操業実績記憶部から、各電極の周辺における排出ガスの温度、前記電極のそれぞれを上下方向に移動させた移動履歴、前記電極ごとの電力量の少なくとも1つ以上を含む、電極に関する操業データを抽出すると共に、抽出した前記操業データを用いて、各電極間の相対的な長さを算出する相対長さ算出部と、
前記全体平均長さ算出部で算出された前記電極全体における平均的な長さと、前記相対長さ算出部で算出された前記各電極間の相対的な長さを用いて、前記各電極の長さを推定する電極長さ推定部と、
前記電極長さ推定部で推定された前記各電極の長さを外部へ出力する電極長さ出力部と、を備える
ことを特徴とする電気炉における電極長さ推定装置。
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KR20200035520A (ko) * | 2018-09-27 | 2020-04-06 | (주)포스코엠텍 | 합금철 용해 장치 및 이의 전극봉 압하량 산출방법 |
WO2021097500A1 (en) * | 2019-11-11 | 2021-05-20 | Beylefeld Jacques | A system for predicting submerged ore furnace electrode lengths and for automatic adjustment and control thereof |
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