JP2003299433A - 電気柵用防草シート - Google Patents

電気柵用防草シート

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孝典 田中
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雅人 渡辺
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毅 中原
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電気柵の裸電線の下方の草類の生長を抑制す
ることにより、草類の刈り払いに要する時間と手間を不
要又は大幅に削減し、しかも、害獣に有効に衝撃電流を
与えることができる電気柵用防草シートを提供するこ
と。 【解決手段】 化学繊維を織って作られたシートに、導
電物22、22’を織り込んだ。これにより、電気柵用
防草シート20を敷設した範囲の草類の生長が抑えられ
るため、草類の刈り払いに要する時間と手間を不要又は
大幅に削減することができる。そして、導電物22、2
2’を織り込んだことにより電気柵用防草シート20の
表面と裏面のどちらにでも導電物22、22’が表出す
ることになり、害獣と地表との導電性が確保されるの
で、衝撃電流が害獣の体内を通り効果的に地中に流れ込
むことにより、害獣に有効な衝撃電流を与えることがで
きる。

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、害獣の田畑への侵
入を防止するために設置される電気柵の裸電線の下方に
おける草類の生長を抑えるために、電気柵の裸電線の下
方に敷設する電気柵用防草シートに関する。 【0002】 【従来の技術】中山間地域の農村地帯では、田畑を荒ら
す猪等の害獣を電気ショックで撃退するために電気柵が
多く使用されている。 【0003】この電気柵は図7に示すように、田畑の周
囲に打設された支柱2に取り付けられた碍子1a、碍子
1bにより支持された裸電線3a、裸電線3bを張設
し、その裸電線3a、裸電線3bを約50mごとに裸電
線からなる上下結線4で結線したものである。地表より
1段目の裸電線3bは地表より約20cm程度、裸電線
3aは裸電線3bの上方約20cm程度の比較的低い位
置に張設されている。そして、この張設された裸電線3
a、裸電線3bに、電池もしくはバッテリー等を電源と
している衝撃電圧発生器5より発生された衝撃電圧が印
加されている。 【0004】田畑に侵入しようとして、この張設された
裸電線3aもしくは裸電線3bに接触した猪等の害獣に
は図7中の矢印のように衝撃電圧発生器5の出力端子
6、出力線7、裸電線3a、上下結線4、裸電線3b、
猪8、地中9、アース棒10、アース線11、アース端
子12の順路で衝撃電流が流れ、猪8は電気ショックに
より電撃を受け、田畑へ侵入する意欲を失い、侵入をあ
きらめる。 【0005】この電気柵において地表より1段目の裸電
線3bの張設された高さは地表より約20cmと低いた
め、裸電線3bの下の草類が生長を続け、この草類が裸
電線3b及び裸電線3aに接触すると 衝撃電流はこの
接触した草類を通して地中へ漏電することになる。この
漏電は裸電線3bまたは裸電線3aに触れる草類の数が
増えるのに略比例して多くなり、そして、漏電が多くな
れば多くなるほど衝撃電圧発生器5から裸電線3a、裸
電線3bにかかる衝撃電圧は減少することになる。その
結果、猪等の害獣に有効な衝撃電流を与えることができ
なくなる。 【0006】したがって、猪等の害獣が裸電線3bまた
は裸電線3aに触れると害獣に電気ショックを与えると
いう電気柵のこの忌避効果を維持するためには、裸電線
3bまたは裸電線3aに接触している草類、又は、接触
しようとしている草類を常に取り除く作業が必要であ
る。このため、従来の電気柵では設置コース上に除草剤
を使用することも実施されている。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、近年除
草剤の環境への影響や地盤が緩む等の理由で、除草剤を
使用しない場合も多く見られる。除草剤を使用しない場
合は、草類が生長し、電気柵の裸電線に触れようとする
度に草類の刈り払い作業を頻繁に行う必要がある。しか
も、支柱付近に生えた草類を刈り払い機により刈り払お
うとすれば、支柱に誤って刈り払い機の回転している刃
物を当ててしまい、支柱を切断または破損させてしまう
のが常であるために、支柱付近に生えた草類は手作業に
よって草取りをする必要があり、これには、大変な手間
がかかり、作業者の負担が極めて大きいという問題があ
った。 【0008】また、電気柵の裸電線の下方の草類の生長
を抑えるために、電気柵を設置するコース上に化学樹脂
で製造されたフィルム状のシートを敷設することも行わ
れている。しかしながら、化学樹脂で製造されたフィル
ム状のシートを使用した場合、このフィルムは電気的な
絶縁物であるから、地表との導電性を充分には確保する
ことができない。そのため、猪等の害獣が化学樹脂で製
造されたフィルム状のシートに両足を載せ、電気柵の裸
電線に触れたとしても衝撃電流が害獣の体内を通り効果
的に地中に流れ込むことができず、害獣に有効な衝撃電
流を与えることができないという問題があった。 【0009】そこで、本発明が解決しようとする課題
は、猪等の害獣の田畑への侵入を防止する目的の電気柵
において、電気柵の裸電線の下方の草類の生長を抑制す
ることにより、草類の刈り払いに要する時間と手間を不
要又は大幅に削減することができ、しかも、衝撃電圧発
生器より発生した衝撃電流が害獣の体内を通り効果的に
地中に流れ込むことにより、害獣に有効な衝撃電流を与
えることができる電気柵用防草シートを提供することに
ある。 【0010】 【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、本発明の電気柵用防草シートは、化学樹脂でできた
フィルムを使用せず、化学繊維で織られたシートに、導
電物を織り込んだものである。 【0011】すなわち、本発明の電気柵用防草シート
は、田畑の周囲に裸電線を張設し、この裸電線に衝撃電
圧を印加して、害獣の田畑への侵入を防止する電気柵に
おいて、その裸電線の下方に敷設する電気柵用防草シー
トであって、化学繊維を織って作られたシートに、導電
物を織り込んだことを特徴とする。 【0012】これにより、本発明の電気柵用防草シート
を敷設した範囲の草類の生長が抑えられるため、草類の
刈り払いに要する時間と手間を不要又は大幅に削減する
ことができる。そして、導電物を織り込んだことにより
本発明の電気柵用防草シートの表面と裏面のどちらにで
も導電物が表出することになり、害獣と地表との導電性
が確保されるので、衝撃電流が害獣の体内を通り効果的
に地中に流れ込むことにより、害獣に有効な衝撃電流を
与えることができる。 【0013】 【発明の実施の形態】以下、本発明の電気柵用防草シー
トを、猪等の害獣撃退用電気柵に適用した例によって、
本発明の実施の形態を説明する。 【0014】図1は、本発明の電気柵用防草シートの平
面図であり、図2は図1の電気柵用防草シートの一部2
4の拡大図である。 【0015】本発明の電気柵用防草シート20の本体
は、図1及び図2に示すように耐候性ポリプロピレンの
幅約2.0mm、厚さ約0.4mm程度の細帯25を縦
横に織り込んで形成されたものである。この細帯25の
色は周囲の景観を損なわないよう、また、耐候性を強め
るために一般的に黒色系が使用される。 【0016】幅方向の中央部には色違いの細帯が中央線
21として織り込まれている。本実施例では、銀色の細
帯を織り込んでいる。これは、電気柵用支柱2を打設す
る位置を示す線となる。また、幅方向の両端より5cm
程度離れた各位置にも色違いの細帯が止め杭打ち込み線
23、止め杭打ち込み線23’として織り込まれてい
る。本実施例では、青色の細帯を織り込んでいる。これ
は、電気柵用防草シート20を地表に押止するための杭
を打ち込む位置を示す線になるものである。さらに、中
央線21から幅方向へ約20cm程度離れた各位置には
ステンレス線が導電物22、導電物22’として織り込
まれている。ステンレス線は直径0.3mm程度のもの
を使用している。 【0017】図1の24部分を拡大した図2に示すよう
に、導電物22及び導電物22’は電気柵用防草シート
20の本体を形成する耐候性ポリプロピレンの細帯25
と同時に織り込まれ、また、完成した電気柵用防草シー
ト20の表面と裏面の両方に交互に表出するように織り
込まれている。 【0018】以下、本発明の電気柵用防草シート20を
敷設し、電気柵を設置する手順を図3を参照して説明す
る。 【0019】まず、田畑の周囲に電気柵を施工するコー
スを決定し、この決定された電気柵を施工するコース上
に草類が生えているなら、そのコース上の草類を1m程
度の幅のラインで刈り払う。電気柵を施工するコース上
の草類を刈り払い終えたら、電気柵の施工コースに電気
柵用防草シート20を図3のように敷いてゆく。電気柵
用防草シート20は幅75cm程度で長さが約100m
程度あり、図4に示すように反物状に巻かれているの
で、転がすようにして電気柵用防草シート20を敷いて
ゆく。 【0020】次に、図3に示すように、電気柵用防草シ
ート20の中央線21の上に電気柵用支柱2を打設す
る。すると、電気柵用防草シート20は仮固定される。
中央線21に電気柵用支柱2を打設していく間隔は、電
気柵用防草シート20を使用しないで電気柵を施工する
際に電気柵用支柱2を打設していく間隔と同じで、現場
地形が平坦であれば3m〜5mの間隔で電気柵用支柱2
を打設してゆく。電気柵用支柱2が地中に打設される部
分の深さは、電気柵用支柱2の長さが本実施例では約9
0cmであるので約25cm位が理想であるが、地面が
硬く電気柵用支柱2が地中に打設される部分の深さが2
5cmに満たなくとも電気柵用支柱2がぐらつかずに、
ある程度固定されれば問題ない。 【0021】全ての電気柵用支柱2を打設し、敷き終え
た電気柵用防草シート20の仮固定を終えた後は、電気
柵用防草シート20を押止し固定するために、電気柵用
防草シート20の幅方向の両端より5cm程の各位置に
織り込まれた色違いの止め杭打ち込み線23及び23’
に止め杭30を押し込み押止してゆく。止め杭30を押
止してゆく間隔は50cm〜2mと電気柵用支柱2を打
設した時ほどに気を配る必要はない。 【0022】ここまでの作業で電気柵用防草シート20
を敷設し終わると、後は通常の電気柵施工方法と同じで
ある。 【0023】本実施例の猪用電気柵では、打設された電
気柵用支柱2に地表より約20cmの高さに碍子1bを
取り付けて固定し、その碍子1bの上方約20cmの位
置に碍子1aを取り付けて固定し、碍子1aに裸電線3
aを巻き掛けて支持させ、碍子1bに裸電線3bを巻き
掛けて支持する。 【0024】上下2段の裸電線3aと裸電線3bは約5
0mごとに裸電線からなる上下結線4で結線し電気的に
接続する。そして、電気柵の衝撃電圧発生器5を据え付
け、衝撃電圧発生器5の出力端子6から出ている出力線
7を裸電線3aに電気的に接続し、また、衝撃電圧発生
器5のアース端子12にアース線11を取り付け、その
アース線11の先に接続されたアース棒10を地中9に
打ち込む。 【0025】以上の作業で、本発明の電気柵用防草シー
ト20を用いた電気柵の施工が整い、この状態で衝撃電
圧発生器5の電源スイッチ13を入れると裸電線3a、
裸電線3bへ1秒間に1回の割合で繰り返すパルス状の
衝撃電圧が裸電線3a、裸電線3bに印加されることに
なる。なお、前述した実施例では、衝撃電圧発生器5の
出力端子6から出ている出力線7を裸電線3aに接続し
たが、裸電線3a、裸電線3bは上下結線4で電気的に
接続されているので、衝撃電圧発生器5の出力端子6か
ら出ている出力線7は裸電線3aに接続しないで裸電線
3bに接続しても裸電線3a、裸電線3b双方に衝撃電
圧は印加される。 【0026】図5は猪が田畑へ侵入しようとして裸電線
3a又は裸電線3bに接触している状態を示す正面図で
あり、図6はその側面図である。 【0027】猪8が田畑に侵入しようと電気柵用防草シ
ート20の導電物22又は導電物22’に前足を載せて
衝撃電圧が印加された裸電線3a又は裸電線3bに体の
一部が触れると、下記の順路で猪8の体内に衝撃電流が
流れ、猪8は強烈な電気ショックを受ける。すなわち、
図5において衝撃電流は、衝撃電圧発生器5の出力端子
6、出力線7、裸電線3a、上下結線4、裸電線3b、
猪8の体の一部、猪8の前足、導電物22、地中9、ア
ース棒10、アース線11、アース端子12、衝撃電圧
発生器5の順路で流れることになる。 【0028】本実施例の電気柵用防草シート20の場
合、電気柵用支柱2を打設した中央線21の両側約20
cm程の二つの位置に導電物22及び導電物22’がそ
れぞれ織り込まれているために、電気柵の設置コース上
に、平面上において、電気柵用防草シート20を右廻り
に敷設しても、左廻りに敷設しても、必ず猪8の侵入側
に、織り込まれた導電物22又は導電物22’が配置さ
れることになる。本実施例では導電物は、導電物22、
及び導電物22’のように、電気柵用防草シート20の
2ケ所に織り込んだがこの導電物の数を増すことによ
り、より効果的に衝撃電流を猪等に流すことができる。 【0029】また、本実施例では電気柵用防草シート2
0の幅を75cm程度としているので、電気柵用防草シ
ート20の中央線21から、電気柵用防草シート20の
幅方向の端の位置まで約37.5cm程度であり、たと
え猪8が電気柵用防草シート20の導電物22又は導電
物22’の上に前足を載せなくとも通常は後ろ足が地面
についているので、猪8の体の一部が衝撃電圧のかかっ
た裸電線3a又は裸電線3bに触れると、下記の順路で
猪8の体内に衝撃電流が流れ、猪8は電気ショックを受
ける。すなわち図5及び図6において衝撃電流は、衝撃
電圧発生器5の出力端子6、出力線7、裸電線3a、上
下結線4、裸電線3b、猪8、猪の後ろ足8’、地中
9、アース棒10、アース線11、アース端子12、衝
撃電圧発生器5の順で流れ、猪8は電気的ショックを受
ける。 【0030】そして、電気柵の裸電線の下方に敷設され
た電気柵用防草シート20の下の草類の生長は抑制さ
れ、除草が不要又は大幅に削減できる。さらに、電気柵
用防草シート20は化学繊維で織られているので、これ
を敷設することによって、その部分のぬかるみを防止で
きる。特に、本実施例のように、化学繊維としてポリプ
ロピレンを使用すると、電気柵用防草シート20の耐候
性・耐久性・耐薬品性が向上するとともに、その表面が
滑りにくくなる。 【0031】 【発明の効果】本発明の電気柵用防草シートは導電物を
織り込んだことにより、その表面と裏面のどちらにでも
導電物が表出することになり、衝撃電圧発生器より発生
した衝撃電流が害獣の体内を通り効果的に地中に流れ込
むことにより、害獣に有効な衝撃電流を与えることがで
きる。 【0032】そして、電気柵用防草シートを敷設した範
囲の草類の生長が抑えられるため、草類の刈り払いに要
する時間と手間を不要又は大幅に削減することができ
る。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の電気柵用防草シートの平面図である。 【図2】本発明の電気柵用防草シートの平面の部分拡大
図である。 【図3】本発明の電気柵用防草シートを用いた電気柵の
設置例を示す概要図である。 【図4】本発明の電気柵用防草シートの全体図である。 【図5】本発明の電気柵用防草シートを下方に敷設した
電気柵の設置例を正面から見たものであり、猪が電気シ
ョックを受けた時の衝撃電流の流れを説明する図であ
る。 【図6】図5を側面から見た図である。 【図7】従来の電気柵の設置例を示す概要図である。 【符号の説明】 1a、1b 碍子 2 電気柵用支柱 3a、3b 裸電線 4 上下結線 5 衝撃電圧発生器 6 出力端子 7 出力線 8 猪 8’猪の後ろ足 9 地中 10 アース棒 11 アース線 12 アース端子 13 電源スイッチ 20 電気柵用防草シート 21 中央線 22、22’ 導電物 23、23’ 止め杭打ち込み線 24 電気柵用防草シートの一部 25 細帯 30 止め杭
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田中 孝典 熊本県八代市川田町東34−1 株式会社末 松電子製作所内 (72)発明者 渡辺 雅人 熊本県八代市川田町東34−1 株式会社末 松電子製作所内 (72)発明者 中原 毅 熊本県八代市川田町東34−1 株式会社末 松電子製作所内 Fターム(参考) 2B121 AA01 AA19 BB21 BB27 BB31 DA04 EA26 FA12

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 田畑の周囲に裸電線を張設し、この裸電
    線に衝撃電圧を印加して、害獣の田畑への侵入を防止す
    る電気柵において、その裸電線の下方に敷設する電気柵
    用防草シートであって、化学繊維を織って作られたシー
    トに、導電物を織り込んだことを特徴とする電気柵用防
    草シート。
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