JP2003297271A - モノクロメータ付走査形電子顕微鏡 - Google Patents
モノクロメータ付走査形電子顕微鏡Info
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Abstract
エネルギーを単色化し色収差を低減して、像分解能を高
めることのできるモノクロメータを備えた走査形電子顕
微鏡を提供する。 【解決手段】電子ビームを収束する第1集束レンズと第
2集束レンズの間に、それぞれ2つの扇形磁場を有し、
且つスリットを介して対称に配置される前段と後段の偏
向磁場を形成し、前段偏向磁場でスリット位置に磁場分
散方向(x)の空間収束をさせるとともに、スリットで
エネルギー幅を制限し、更に前記後段の偏向磁場で再び
空間的に点収束させるとともに、エネルギー分散を打ち
消し、前記第2集束レンズの物点を形成させる。
Description
係わり、特に照射電子ビームのエネルギーを単色化する
モノクロメータを備えた走査形電子顕微鏡に関する。
導体試料などの電子線の帯電防止を目的にして、照射電
子線の加速エネルギーを下げて使用する場合が多い。こ
のような低加速SEMにおいて、照射電子のもつエネル
ギー幅が加速エネルギーに対して大きく、いわゆる色収
差によって十分に小さなスポット径が得られなく像分解
能に限界が生じる。
ルギー幅をさらに縮小する必要がある。この技術は一般
に単色化(モノクロ化)とよばれ、従来からいくつかの
技法が提案されている。例えば、図8に示したE. Welme
r のエネルギーフィルタを備えた荷電粒子装置(US6,23
9,430 B1)がある。これはH. Rose の発明したオメガフ
ィルタ(特開62−66553号)を走査形電子顕微鏡
の第1集束レンズ4と第2集束レンズ13の間に装着し
て、エネルギー分散したビームをスリット8でモノクロ
化しようとするものである。
オメガ型磁場エネルギーフィルタをそのままモノクロメ
ータと利用する方式には次のような問題がある。
第1扇形磁場6の入射像面23に物点としてクロスオー
バを作り、オメガフィルタの出射像面11にモノクロ化
されて結像される。このモノクロ像が試料表面18に絞
られるのだが、エネルギー選択スリット位置8では空間
的には収束されていない。そのため十分に小さくエネル
ギーを絞ると、ビーム電流は減少する。
度を著しく下げずに、エネルギーを単色化し色収差を低
減して、スポット径を縮小することにより、像分解能を
高めることのできる実用的なモノクロメータを備えた走
査形電子顕微鏡を提供することにある。
を備えた走査形電子顕微鏡の光学系を図1に示す。1は
フィールドエミッション型電子源、2は電子ビームの中
心軸、3はビームの広がり、4は第1集束レンズ、5は
そのクロスオーバ、6は第1扇形磁場、7は第2扇形磁
場、8はエネルギー選択スリット、9は第3扇形磁場、
10は第4扇形磁場、11はそのクロスオーバ、12は
絞り、13は第2集束レンズ、14はそのクロスオー
バ、15と16は走査用コイル、17は対物レンズ、1
8は試料、19は2次電子検出器、22は2次電子ビー
ムである。
源1より加速され出射された電子ビーム3は、第1集束
レンズ4でクロスオーバ5を結ばれる。その後、第1扇
形磁場6により90度以上に偏向され、第2扇形磁場7
で反対方向に同一角度で向されて、スリット8の位置で
x方向に収束され、エネルギー選択される。その後スリ
ットを含む面に対して対称な位置に設置された第3,第
4扇形磁場9,10によって鏡対称の軌道を描いて点収
束するとともに、前段(第1,2扇形磁場)で生じたエ
ネルギー分散を相殺して非分散のクロスオーバ11を形
成する。このモノクロ化されたクロスオーバを、第2集
束レンズ13で縮小して、さらに対物レンズ17で縮小
して、試料表面18に微小なクロスオーバを形成する。
このビームは走査用コイル15,16で走査され、発生
された2次電子22は検知器19で検出され、CRTに
顕微鏡像として表示される。
の電子光学系による電子ビームの軌道の詳細を図2に示
す。オメガ型のモノクロメータは、基本的には電子ビー
ムの軸外に電子ビームを偏向させる第1の偏向磁場と、
当該第1の偏向磁場で偏向された電子ビームを偏向前の
電子ビームの照射方向と同じ方向に偏向させる第2の偏
向磁場と、当該第2の偏向磁場によって偏向された電子
ビームを、前記電子ビームの光軸に戻す方向に偏向させ
る第3の偏向磁場と、当該第3の偏向磁場で偏向された
電子ビームを、前記電子ビーム光軸に沿うように偏向す
る第4の偏向磁場を含むエネルギーフィルタである。
ムの広がりを表している。前図1における第1集束レン
ズ4のクロスオーバ5から発した電子ビーム3aはx方
向(図2の左側に表示)には第1扇形磁場6を通過後、
自由空間で収束した後、第2扇形磁場7を通過し、スリ
ット8の位置で収束する。(図上では点線で表示)エネ
ルギーの違いは第1,2扇形磁場6,7によってスリッ
ト8上で分散されるので、スリット幅を小さくすること
により、モノクロ化される。スリットを通過した電子ビ
ームは対称面21に対して鏡対称に設置された第3,4
の扇形磁場9,10によって鏡対称の電子軌道を描く
が、最終のクロスオーバ11において分散が打ち消さ
れ、x方向に収束される。扇形磁場による偏向を受けな
い状態の電子ビームの光軸方向に、第1,第2扇形磁場
6,7に対称になるように第3,第4扇形磁場9,10
が設けられている。
示したように、第1扇形磁場6の端縁磁場へのいわゆる
斜め入射の効果によりz軸に対して並行ビーム3bにな
るように適当な入射角を選択する。したがってスリット
8ではビームはy方向に広がった細いライン状になる。
スリット8を通過後、並行ビームは鏡対称に設置された
第3,4の扇形磁場9,10によってクロスオーバ11
においてy方向にも収束される。したがって、11での
クロスオーバでは、点収束と非分散(分散がゼロ)の3
重収束が達成されるように、扇形磁場類のパラメータが
選択される。
るには、TRIO(T. Matsuo, H.Matsuda et al.;Com
puter Program“TRIO”for Third Order Calculation o
fIon Trajectory;Mass Spectrometry 24 (1976),pp19
-62)と呼ばれる軌道計算プログラムを使用した。パラ
メータの定義を図3に示した。ここに自由空間距離はD
L1,DL2,DL3、磁場への入射角はEP1、磁場
中の偏向軌道半径はAM1,AM2、第1,4扇形磁場
の偏向角はWM1、第2,3扇形磁場の偏向角はオメガ
型の軌道を描くには偏向角は同じで向きが反対の関係に
なる。
扇形磁場による軌道パラメータと、第3,4扇形磁場に
よる軌道パラメータは、鏡対称面21に対して対称に設
定する。
1)が無視できるほど小さいとき、エネルギー分散の方
向をxとする直交x−y軸に関して、ビームの広がり角
を2と2βとし、エネルギー幅をδ(=ΔE/E)とし
た場合、モノクロメータのレンズ系を通過後の、x方向
のビーム幅x2は2次近似で次の式で表される。
AD,DD,AA,BBはそれぞれのビームのエネルギ
ーの広がりと空間の広がり角に関する2次収差係数であ
る。
られる。
を下記の値に定めた場合の収束条件を示す。
Dがモノクロメータ内で変化する値を図4に示す。
ロが物点(クロスオーバ)5で、M1,M2,M3,M
4はそれぞれ第1,2,3,4の扇形磁場6,7,9,
10を表し、中間点“6”がスリット8で、右端位置
“12”がモノクロ収束点11を表す。縦軸はそれぞれ
の位置での1次収差係数である。図4より明らかなよう
に、スリット8の位置でx方向開角αの収差係数Aが収
束(A=0)しており、エネルギー分散係数Dが−0.
027 である。y方向開角βの収差係数Bを見ると、
M1に入射後、M2,スリット,M3およびM4入射ま
でz軸に対して並行(B=0.023 )であるが、M4
を出射後はクロスオーバ11(z軸の目盛12の位置)
でx方向とy方向が同時に収束しており、しかも分散も
相殺されている。このように1次近似の軌道計算では、
本発明のモノクロメータでは、空間的にもエネルギー的
にも3重収束(A=B=D=0)されている。
(1),(2)の空間の広がりに関する2次収差係数A
A,BB,BAの変化を図5に示すと、最終のクロスオ
ーバ11では、3つとも除去されている。(AA=BB
=BA=0)これはモノクロメータのスリット位置での
鏡対称性による効果である。
タを走査形電子顕微鏡の第1集束レンズの下に配置すれ
ば、スリットでエネルギー制限された後に、1次と2次
の収差係数A,B,D,AA,BB,BAのすべてが収
束したモノクロ収束点が得られる。これを第2集束レン
ズの物点にして、対物レンズで縮小すれば、色収差の少
ない極微小のスポットが得られSEMの分解能が向上す
る。
形磁極を2体化されたモノクロメータを図6に示す。4
0は第1と第4の扇形磁場の磁路(ヨーク)、41は第
2と第3の扇形磁場の磁路、42は第1と第4扇形磁場
の励磁コイル、43は第1と第4の磁極、44は第2と
第3の磁極、45,47,49,51はそれぞれの磁場
への入射口、46,48,50,52はそれぞれ磁場の
出射口、53はエネルギー分散をしないでビームを通す
場合の通路、54は第2と第3磁場の励磁コイル、55
はスリットを収納する穴である。
して、モノクロ点収束を得る場合に有効である。
たモノクロメータを図7に示す。56は一体化した磁路
である。4つの磁極が一つの磁路の中に収納されている
ので、相対位置が機械加工精度で保証されるので、優れ
た対称性を有するモノクロメータが作成でき、部品点数
も少なくなる利点がある。
の電流強度を過度に下げることなく、エネルギーを単色
化し色収差を低減して、スポット径を縮小することがで
き、像分解能の高いモノクロメータを備えた走査形電子
顕微鏡を提供することが可能となる。
形電子顕微鏡の光学系を示す図である。
を示す図である。
ラメータを示す図である。
を示す図である。
を示す図である。
である。
である。
の中心軸、3…ビームの広がり、4…第1集束レンズ、
5,14…クロスオーバ、6…第1扇形磁場(M1)、
7…第2扇形磁場(M2)、8…エネルギー選択スリッ
ト、9…第3扇形磁場(M3)、10…第4扇形磁場
(M4)、11…クロスオーバ(モノクロ収束点)、1
2…絞り、13…第2集束レンズ、15,16…走査用
コイル、17…対物レンズ、18…試料、19…2次電
子検出器、22…2次電子。
Claims (7)
- 【請求項1】電子ビームを放出する電子銃,電子ビーム
を収束する第1集束レンズ,第2集束レンズおよび対物
レンズを有する走査形電子顕微鏡において、 前記第1集束レンズと第2集束レンズの間に、それぞれ
2つの扇形磁場を有し、且つスリットを介して対称に配
置される前段と後段の偏向磁場を形成し、前段偏向磁場
でスリット位置に磁場分散方向(x)の空間収束をさせ
るとともに、スリットでエネルギー幅を制限し、更に前
記後段偏向磁場で再び空間的に点収束させるとともに、
エネルギー分散を打ち消し、前記第2集束レンズの物点
を形成させる電子エネルギーモノクロメータを備えた走
査形電子顕微鏡。 - 【請求項2】請求項1において、 前記電子ビームは、前段の第1扇形磁場で90度以上に
偏向されて自由空間を通過後、前段の第2扇形磁場で、
上記第1扇形磁場の偏向方向と逆で同一角度で偏向され
て、自由空間に設置されたスリットの位置で、同一エネ
ルギーのビームは分散方向(x)に収束されるととも
に、スリット幅でエネルギーを制限されて通過し、上記
第2扇形磁場と鏡対称に設置された後段の第3扇形磁場
に入射して偏向されて、自由空間を通過後、上記第1扇
形磁場と鏡対称に設置された後の段第4扇形磁場で逆方
向に偏向され、初期の入射方向(z)と同一方向に出射
してエネルギー分散が打ち消されたx,y同時収束のク
ロスオーバを形成し、第2集束レンズの物点とする電子
エネルギーモノクロメータ付きの走査形電子顕微鏡。 - 【請求項3】請求項2において、 空間的に広がった電子ビームは、x方向(エネルギー分
散方向)には、第1集束レンズの物点が第1扇形磁場に
よって、第2扇形磁場との間にx収束され、第2扇形磁
場によって鏡対称面のスリットにx収束され、第3扇形
磁場によって第4扇形磁場との間にx収束され、第4扇
形磁場によって、初めの物点と鏡対称の位置にx収束す
るとともに、スリットでエネルギー幅を縮小し、後段の
第3,4扇形磁場を通過後、x収束点でエネルギー分散
が打ち消される収束特性を有するモノクロメータを備え
た走査形電子顕微鏡。 - 【請求項4】請求項2において、 第1扇形磁場の入口磁極端面がビームの入射方向の垂直
面に対して偏向方向と同一方向の入射角をもち、入射
後、y方向(磁力線の方向)にビームの中心軸z(進行
方向)に対してほぼ並行して第2,第3扇形磁場を通過
し、鏡対称の第4扇形磁場の出射角で、出射後y方向に
対して、x方向と同時収束して、エネルギー分散が打ち
消されたクロスオーバを形成するモノクロメータを備え
た走査形電子顕微鏡。 - 【請求項5】請求項2において、 第1扇形磁場と第2扇形磁場と、後段の第3扇形磁場と
第4扇形磁場の形状が、スリットを含む中間面に対して
鏡対称にすることにより、入射前の物点と鏡対称な位置
におけるクロスオーバで、エネルギー分散1次係数D
と、ビームのx方向の開角α、およびy方向の開角βに
関する1次収差係数A,Bがゼロに収束されるととも
に、開角α、および開角βに関する2次収差係数AA,
BB,BAがゼロに収束される特性を有するモノクロメ
ータを備えた走査形電子顕微鏡。 - 【請求項6】請求項2において、 第1および第4の扇形磁場を一体の磁路(ヨーク)で形
成し、第2および第3の扇形磁場を別の一体の磁路(ヨ
ーク)で形成され、前者磁路の第1と第4扇形磁場の間
にトンネルを設け、磁場を印加しない場合に入射ビーム
が偏向されずに出射できるとともに、後者磁路の第3と
第4扇形磁場の中間部に空洞を設け、内部にスリットを
備える機構を有するモノクロメータを備えた走査形電子
顕微鏡。 - 【請求項7】上記のモノクロメータが全ての扇形磁場を
含む一つの磁路で形成され、第1と第4扇形磁場の間に
トンネルを設けられ、磁場を印加しない場合に入射ビー
ムが偏向されずに出射できるとともに、第3と第4扇形
磁場の中間部に空洞を設け、内部にスリットが備えら
れ、それぞれの磁極に異なる極性を発生させる励磁コイ
ルを内蔵したモノクロメータを備えた走査形電子顕微
鏡。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002100722A JP2003297271A (ja) | 2002-04-03 | 2002-04-03 | モノクロメータ付走査形電子顕微鏡 |
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JP2002100722A JP2003297271A (ja) | 2002-04-03 | 2002-04-03 | モノクロメータ付走査形電子顕微鏡 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2003297271A true JP2003297271A (ja) | 2003-10-17 |
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ID=29388474
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002100722A Pending JP2003297271A (ja) | 2002-04-03 | 2002-04-03 | モノクロメータ付走査形電子顕微鏡 |
Country Status (1)
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