JP2003294748A - 卵成分検査用抗体及び検査方法並びに検査用キット - Google Patents

卵成分検査用抗体及び検査方法並びに検査用キット

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JP2003294748A
JP2003294748A JP2002130988A JP2002130988A JP2003294748A JP 2003294748 A JP2003294748 A JP 2003294748A JP 2002130988 A JP2002130988 A JP 2002130988A JP 2002130988 A JP2002130988 A JP 2002130988A JP 2003294748 A JP2003294748 A JP 2003294748A
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egg yolk
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Tsutomu Honjo
勉 本庄
Shinichi Mamekoshi
慎一 豆越
Tsuguro Muraoka
嗣朗 村岡
Masatoshi Sakai
雅寿 境
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Morinaga and Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 卵黄を主体とする食品原材料の食品への混入
を迅速且つ正確に検査するための免疫学的方法を提供す
る。 【解決手段】 卵白由来のタンパク質により免疫化した
哺乳動物の血清から得られた抗体を用いて、卵黄を主体
とする食品原材料の食品への混入を検査する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、食品へ混入或い
は混合された、卵黄を主体とする食品原材料を検査する
ために用い得る抗体及び当該抗体を利用した検査方法並
びに該検査方法に用いるキットに関する。
【0002】
【従来技術】食品の安全性への関心が、近年、益々高ま
っている。特に食物アレルギーは、重度の場合、重篤な
全身性アナフェラキシー(咽頭の水腫、重度の喘息或い
は低血圧等)を引き起こし、時には致命的な障害をもた
らす場合もあるため、これらの食物アレルギー症状を有
する消費者のみならず食品製造業者・監督管庁にとって
も食品の安全性を保全する立場から極めて重要な課題で
ある。現在、当該食物アレルギーによる症状の発生を防
止する最も有効な方法は、それらの食物アレルギー発症
履歴を有するか潜在的に有する対象者がその食物アレル
ゲンと接触することを防止するものであるが、厚生労働
省は、当該観点から「アレルギー物質を含む食品につい
ては、特定のアレルギー体質を持つ方の健康危害の発生
を防止する観点から、食物アレルギーを引き起こすこと
が明らかになった食品のうち、特に発症数、重篤度から
勘案して表示する必要性の高い小麦、そば、卵、乳及び
落花生の5品目(以下「特定原材料」という。)を食品
衛生法施行規則(昭和23年厚生省令第23号。以下
「規則」という。)別表第5の2に掲げ、これらを含む
加工食品については、規則第5条に定めるところにより
当該特定原材料を含む旨を記載しなければならない」と
し、当該5品目を含む食品に対してそれら原材料を含む
旨の表示を製造者に義務づけている。また、消費者の商
品選択の幅を不当に狭めることのないよう、当該表示に
おいては、「入っているかもしれません。」「入ってい
る恐れがあります。」などの可能性表示を禁止し、製品
への「特定原材料」混入の監視・検査義務を明確にして
いる。更に、食品を生産する際に、原材料としては使用
していないにも関わらず、特定原材料等がごく微量混入
(コンタミネーション)してしまう場合にも当該混入が
必ず起こり得るならば表示を必要とし、消費者の高度の
安全を確保する立場から原則として数μg/g以上程度
の混入についても表示するよう求めている。従って、食
品製造業者は、上記施行規則を遵守するのは勿論のこ
と、更なる消費者の安全と適切な商品選択の機会を提供
すべく、自らの製品について十分な監視と検査を行うこ
とが望まれている。
【0003】ここで、小麦、そば、卵、乳及び落花生の
5品目からなる原材料といってもその組成や、形態、製
造方法は一様でなく、卵を例にとると、該原材料は全卵
の他、卵黄と卵白に分離しているものも含み、さらに、
生卵を使用している場合は勿論のこと、液卵、粉末卵、
凍結卵等も上記特定原材料に相当する。更にこれらの原
材料は、引き続く食品加工の段階で変性することもあ
り、完成した加工食品中に含まれる、これらの多種多様
な形態をとりうる食品原材料を少なくとも10μg/g
の感度で検査するのは容易でない。
【0004】このような高度の検査を達成する検査方法
としてはPCRを用いた特異的遺伝子の増幅に基づく検
査法があげられるが、当該方法は、現在までのところ、
熟練した技術と高い費用や比較的長い検査時間を要し、
製造現場での迅速且つ簡便な検査という観点から不利益
がある。当該検査を実行する際の他の有効な選択肢は、
上記食品原材料に由来する成分に対する抗体を利用した
免疫学的検査方法である。特に、免疫学的な検査方法は
ELISA法等として広く普及しており、その操作も高
度の熟練を必要とせず、精度のよい結果も短時間で得ら
れるので、当該検査の目的には好適である。しかしなが
ら、当該抗体を利用した免疫学的測定方法は、測定対象
を抗原に用いて動物を免疫化し、得られた特異的抗体を
利用するという原理に基づくため、食品原材料のいずれ
の成分を抗原として用いるかにより、その測定結果の信
頼性が大きく左右される。とりわけ、卵の場合では、食
品原材料として卵白を主体とするものと卵黄を主体とす
るものがあり、食品原材料としてそれらが用いられてい
るか否か、或いはそれらが微量でも混入している可能性
があるか否かを的確に検査するには、卵白及び卵黄のう
ちの一種のみを検査したのでは意味がなく、その双方を
認識するような抗体、或いは抗体の組み合わせにおいて
検査を行う必要がある。
【0005】特公平7−34013号公報「卵蛋白質の
定量定性分析方法」には、オボムコイドを指標としたエ
ライザ分析法を使用する加熱肉製品中の卵蛋白質の定量
定性分析方法が開示されている。しかしながら、当該方
法で分析されているのは卵白蛋白質のみであり、またそ
の効果についても卵白アレルゲンの検出に利用すること
ができるとされるのみで、卵黄成分については言及され
ていない。
【0006】一般に、多種の食品原料の組成物として定
義され得る加工食品において、卵黄成分を免疫学的手法
で検査することは困難と考えられてきた。すなわち、卵
黄成分の主要なものは筋肉組織から由来することが多い
ため、卵黄成分を抗原に調製した抗体類は筋肉組織由来
の成分とも交差反応性を示す場合が多く、特に筋肉組織
に由来する成分の混入が想定される食品においては、正
確且つ特異的な検査が困難であると考えられる。このよ
うな交差反応に基づく誤判定は、消費者にあっては適切
な商品選択の機会が損なわれ、製造者にあっては誤判定
による検査の信頼性の低下と、他の長時間を要するよう
な方法の採用といった損失を招き得る。よって、卵黄を
主体とするような食品の原材料を正確且つ迅速に検査で
きる方法の確立が望まれていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は、卵
黄を主体とする食品原材料の食品への混入を迅速且つ正
確に検査するための免疫学的方法を提供する。すなわ
ち、本発明によれば、卵黄を主体とする食品原材料の食
品への混入を検査するための抗体及び当該抗体を利用し
た検査方法が提供される。更に、卵黄を主体とする食品
原材料の食品への混入を検査するための上記抗体を含む
検査キットも提供される。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、卵黄を主
体とする食品原材料の食品への混入を迅速且つ正確に検
査する方法に関し鋭意研究を行ったところ、驚くべきこ
とに、当該卵黄を主体とする成分が、卵白由来のタンパ
ク質により免疫化した哺乳動物の血清から得られた抗体
によって検査できることを見いだした。従って、本発明
の第1は、(1)卵黄を主体とする食品原材料の食品へ
の混入を検査するための抗体であって、該抗体は卵白由
来のタンパク質により免疫化した哺乳動物の血清から得
られることを特徴とする、前記抗体である。
【0009】上記卵白由来のタンパク質が、精製された
オボアルブミン又はオボムコイドである場合、特に上記
検査が好適に行え得た。従って、本発明の第2は。
【0010】(2)前記卵白由来のタンパク質がオボア
ルブミン及び/又はオボムコイドである上記(1)に記
載の抗体である。
【0011】ウサギは、その飼育・管理等が容易であ
り、ウサギから得たポリクローナル抗体において上記検
査は好適に実施され得る。また、当該抗体のフラグメン
トも好適に使用し得る。従って、本発明の第3乃至第5
は、(3)ポリクローナル抗体であることを特徴とする
上記(1)又は(2)に記載の抗体、(4)前記哺乳動
物がウサギであることを特徴とする上記(1)乃至
(3)のいずれかに記載の抗体、および(5)抗体が抗
体フラグメントの形態である上記(1)乃至(4)のい
ずれかに記載の抗体である。
【0012】上記抗体の利用は、卵黄を主体とする食品
原材料の食品への混入の正確且つ迅速な検査を可能とす
る。従って、本発明の第6は、(6)卵黄を主体とする
食品原材料の食品への混入を検査するための方法であっ
て、該方法は上記(1)乃至(5)のいずれかに記載の
抗体を用いた免疫学的測定を実施することを特徴とす
る、前記方法である。
【0013】上記抗体はキットの形で検査に用いること
ができ、当該キットは、サンドウイッチアッセイ法を利
用してELISA法を応用した形態となすことにより、
更に検査者の利便性に供することができる。従って、本
発明の第7乃至第9は、(7)卵黄を主体とする食品原
材料の食品への混入を検査するためのキットであって、
該キットは上記(1)乃至(5)のいずれかに記載の抗
体を含むことを特徴とする、前記キットであり、(8)
サンドウィッチアッセイ法を利用することを特徴とする
上記(7)に記載のキットであり、及び(9)ELIS
A法を利用することを特徴とする上記(7)又は(8)
に記載のキットである。
【0014】これらの抗体、検査方法及び検査キットに
よれば、食品への卵黄を主体とする食品原材料の混入を
正確に測定することができ、消費者にとってはその商品
選択の幅を不必要に束縛されることなく信頼性の高い情
報を得ることが可能になり、製造者にとっても自己の製
品の安全性確保と、検査の効率化を図ることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明により検査される対象とな
る、食品に混入或いは混合された「卵黄を主体とする食
品原材料」には、全卵より卵殻、卵白及びカラザを食品
工業的な手法により積極的に除去して得られたものの
他、それを加熱、乾燥、抽出或いは酵素処理して得られ
たもの、更には、広く卵黄レシチン等のように卵黄に含
有される成分を何らかの方法で精製・抽出したものも含
まれる。また、原材料の主成分自体は他の品目由来、例
えば乳や小麦、その他天然物又はその抽出物、或いは合
成品であるような食品原材料であって、副成分としての
卵由来の成分は当該原材料の助剤、安定剤、賦形剤、乳
化剤、或いはいわゆるキャリーオーバー等として存在す
る場合においても、当該卵由来の成分が上記で定義され
た意味において「卵黄を主体とする」ものである限りに
おいて、当該原材料も本明細書にいう「卵黄を主体とす
る食品原材料」に含まれる。上記「卵黄を主体とする食
品原材料」の例としては、乾燥卵黄や、粉末カスタード
クリーム、粉末マヨネーズ、酵素消化レシチン等があげ
られるがこれらに限定されない。検体としての食品はあ
らゆる範疇のものを含み、その生産・製造の過程で上記
「卵黄を主体とする食品原材料」が積極的に混合される
ものの他、意図しているか否かに関わらず「卵黄を主体
とする食品原材料」が、例えば製造工程におけるコンタ
ミネーションや他の食品原料からのキャリーオーバー等
により混入する可能性のあるものも含まれ、その加工の
程度や加工方法は問わない。
【0016】本発明は、卵白由来のタンパク質により免
疫化した哺乳動物の血清から得られる抗体を用いて、上
記卵黄を主体とする食品原材料の食品への混入を検査す
ることを特徴とする。哺乳動物の免疫化に用いうる卵白
由来のタンパク質の例としは、オボアルブミン、オボム
コイド、オボグロブリン、コンアルブミン及びリゾチー
ムがあげられるが、オボアルブミン及びオボムコイドが
好ましい。充分に精製された当該オボアルブミンやオボ
ムコイドは容易に入手することが可能であり、例えば、
オボアルブミンについては、生化学工業株式会社より
「Egg Albumin、5x Cryst.(Ch
icken)」の商品名で市販されており、また、オボ
ムコイドについては、ナカライテスク社より「トリプシ
ンインヒビター(from chicken Egg
White)」として入手することができる。
【0017】本発明に用いる抗体は、上記のようにして
得られた卵白タンパク質を抗原に用いて免疫した哺乳動
物からの抗血清を使用して調製する。抗原の調製、免疫
動物への投与及び当該動物からの抗血清の採取は当業者
にとって周知のいずれのプロトコールをも使用すること
ができ、そのようなプロトコールの最適化も当業者にと
って容易であろう。
【0018】免疫動物としては、ヒツジ、ウサギ、サル
等も用いられ得るが、ウサギを用いるのが特に有利であ
る。
【0019】具体的に、当該免疫動物からの抗血清は、
例えば、アジュバントと共に抗原を免疫動物に皮下注射
し、当該皮下投与を適当な間隔(例えば1週間)で所定
の回数(例えば5回)繰り返し、最終免疫後に全血を採
集して、これを分離することで得ることができる。その
ような方法は、例えば、「CURRENT PROTO
COLS IN IMMUNOLOGY、第2.4章
(発行元:John Wiley & Sons,In
c.,New York)」等に記載されている。
【0020】本発明の抗体は、それらを含有する上記抗
血清の形態としても使用できるが、当該抗血清からIg
G画分または特異的ポリクローナル抗体を精製し使用す
ることが便利である。当該IgG画分または特異的ポリ
クローナル抗体は、例えばサンドウイッチ法を利用した
免疫学的アッセイにおいて、そのままでキャプチャー側
の固相化抗体として使用することができ、また、放射性
物質、金コロイドなどの着色粒子或いは酵素で標識すれ
ば検出側の標識抗体として使用することができる。その
ような固相化抗体や標識抗体も本発明の抗体に含まれ
る。IgG画分等の精製や抗体の標識の方法としては当
業者にとって周知のいかなる方法も採用することがで
き、例えば、夫々、「CURRENT PROTOCO
LS INIMMUNOLOGY、第2.7章(発行
元:John Wiley & Sons,Inc.,
New York)」記載の方法や、「J.Bioch
em.vol.11、395〜399頁(1979
年)」「J.Biochem.、vol.14、41〜
57頁(1982年)」「Immunofluores
cence and Related Techniq
ues (Elsevier/North Holla
nd Biomedical Press、215〜2
25頁(1978年))」記載の方法を利用することが
できる。
【0021】更に、本発明の抗体として、上記のような
IgG画分または特異的ポリクローナル抗体の他、それ
らの抗体を酵素消化処理して得られるような当該抗体の
反応性フラグメントも用いることもできる。当該抗体フ
ラグメントの例には、Fabフラグメント、Fab’フ
ラグメント、F(ab’)フラグメント、F(v)フ
ラグメント、H鎖モノマー又はダイマー、L鎖モノマー
又はダイマー、1個のH鎖及び1個のL鎖からなるダイ
マー等が含まれる。該フラグメントは、例えばペプシン
やパパイン等のプロテアーゼにより完全な抗体を消化す
るか、消化後、必要に応じて還元剤で処理することによ
り得ることができる。H鎖及びL鎖モノマーは、完全な
抗体をジチオスレイトール等の還元剤で処理した後、精
製した鎖状体を分離することにより得ることもできる。
【0022】上記の抗体又は抗体フラグメントを用い
て、本発明の、卵黄を主体とする食品原材料の食品への
混入が検査され得る。理論に拘束されることは好まず、
またその詳細は明らかでないが、本発明の卵白由来のタ
ンパク質により免疫化した哺乳動物の血清から得た抗体
は、卵黄成分に存在する、卵白由来タンパク質と卵黄成
分との共通又は類似のエピトープを認識するのかもしれ
ない。或いは、卵白由来のタンパク質と卵黄成分とが、
通常の食品加工条件下では不可分の複合体を形成してお
り、これが卵黄成分を主体とする食品原材料の検出に有
利に作用している可能性もある。なお、本発明の抗体作
製に用いた卵白由来タンパク質は十分且つ慎重に精製さ
れたものであり、また、得られた抗体は筋肉組織由来の
成分とも交差反応しないことから、抗原として用いた当
該卵白由来タンパク質に実質量の卵黄成分が混入してい
たと考えることはできない。
【0023】本発明の検査は、試料として食品の抽出液
を用いるのが好適である。すなわち、検体の食品を当業
者に公知の抽出用溶媒、例えば任意に界面活性剤を含む
リン酸緩衝液等に浸責し、市販のホモジェナイザー或い
は超音波震動器を用いて所定時間処理することによりそ
の成分を十分に抽出した後、不溶物を遠心分離等の手段
を用いて除去して試料用の食品抽出液を得ることができ
る。次いで、当該抽出液は本発明の抗体と接触させら
れ、その特異的結合反応を検出することにより免疫学的
測定が行われる。なお、食品が液状であれば、特別な抽
出操作が必要とされないことはいうまでもない。
【0024】免疫学的測定の例としては、いわゆる競合
アッセイ法やサンドウィッチアッセイ法があげられる
が、試薬の調製の便等を考慮してサンドウィッチ法が好
ましい。当該サンドウイッチアッセイの一例では、本発
明の1の抗体或いは抗体の一部がウェル底面などの固相
のコーティングに用いられてキャプチャー側抗体を提供
し、その他の抗体或いは抗体のもう一方の一部が放射性
物質や着色粒子又は酵素で標識されて検出側抗体を提供
する。キャプチャー側抗体を有するウェル内に上記試料
用の食品抽出液が添加され、所定時間インキュベートさ
れた後、該抽出液をウェルから取り除き、好適な緩衝液
等によりウェル内を充分に洗浄後、検出側の抗体がウェ
ルに添加される。所定のインキュベーションの後、ウェ
ル内を洗浄し、キャプチャー側抗体−測定対象物−検出
側抗体複合体の生成を検出する。検出は、検出側抗体に
標識された標識物質の性質に依存し、放射性標識であれ
ば放射線量が、着色粒子標識であれば発色量や吸光度
が、また酵素標識(ELISA法)であれば、更に適当
な基質をウェルに添加し、所定のインキュベーション後
の吸光度が検出される。なお、上記ELISA法で酵素
標識に用いる酵素に特に制限はなく、例えば西洋ワサビ
ペルオキシダーゼやアルカリ性フォスファターゼ等の酵
素が有利に使用される。西洋ワサビペルオキシダーゼで
標識する場合は、当該酵素の基質として3,3’,5,
5’−テトラメチルベンチジン等がその基質として利用
可能である。アルカリ性フォスファターゼを使用する場
合は、基質としてp−ニトロフェニル燐酸が基質として
あげられる。上記の免疫学的測定結果に基づき、卵黄を
主体とする食品原材料の食品への混入が検査され得る。
【0025】本発明の検査方法は、本発明の抗体を含む
キットを用いて容易に実施することができる。サンドウ
ィッチ法に基づくELISA用キットの例では、キャプ
チャー用としての本発明の抗体からなる試薬と、検出用
としての酵素標識した本発明の抗体からなる試薬及び適
切な酵素基質がキットに含まれ得る。洗浄用の緩衝液
や、ウェルへの非特異的吸着を抑制するブロッキング用
試薬等が更に含まれてもよい。そのようなキットの構成
及びその製造方法は当業者にとって公知であろう。
【0026】以下、本発明を実施例により更に詳しく説
明するが、本実施例は本発明を何ら限定するものではな
い。
【0027】
【実施例】実施例1:抗体の調製 オボアルブミン及びオボムコイドを用いて、本発明の卵
白由来のタンパク質により免疫化した哺乳動物の血清か
ら得られる抗体を調製した。哺乳動物の免疫に用いたオ
ボアルブミンは、生化学工業株式会社から市販されてい
る「Egg Albumin 5x Cryst.(C
hicken)」を用いた。当該オボアルブミンにより
フロイントのアジュバントを用いてエマルジョンを作製
し、当該エマルジョンをウサギの皮下に注射して免疫し
た。免疫は、一回あたり1mgのオボアルブミンが投与
されるように行い、一週間おきに5回投与を行った。最
終免疫終了の一週間後に、免疫したウサギの全血を採集
し、血清を調製した。得られたウサギ血清を、オボアル
ブミンを固相化したHiTrap NHS−activ
ated(Amersham Pharmacia社
製)のカラムに通じ、当該カラムに吸着された抗体を
0.1M Gly−HCl(pH2.7)により溶出す
ることで、抗オボアルブミン抗体を回収した。
【0028】オボムコイドは、ナカライテスク社より
「トリプシンインヒビター(fromchiken E
gg White)」として市販されているものを用い
た。抗オボムコイド抗体は、オボアルブミンと同様にウ
サギを免疫してその血清を得、当該血清を、オボムコイ
ドが固相化されたカラムに通ずることにより回収して調
製した。
【0029】実施例2:卵黄を主体とする食品原材料の
分析 a)分析方法 上記により得られた抗オボアルブミン抗体或いは抗オボ
ムコイド抗体を用いて、以下の手順によりサンドウィッ
チアッセイを実施した。まず、抗オボアルブミン抗体を
用いる場合は、実施例1で得られた抗オボアルブミン抗
体を炭酸緩衝液(pH9.6)に溶解した後、該溶液を
マイクロプレートの各ウェルに100μ1づつ分注し、
ついで、該マイクロプレートを常温で2時間静置するこ
とにより抗オボアルブミン抗体の固相化を行った。更
に、各ウエル内を洗浄液(0.05% Tween20
/PBS)で洗浄後、ブロッキング溶液(0.1% B
SA/PBS)の200μlをウェルに分注し、常温で
2時間静置した。静置後、ブロッキング溶液をウエルか
ら取り除き、ウェルを乾燥して、キャプチャー側として
の抗オボアルブミン抗体によるウェルのコーティングを
完了した。標識抗体も抗オボアルブミン抗体を用いてナ
カネ法により作成した。すなわち、実施例1で得られた
抗オボアルブミン抗体を炭酸水素ナトリウム溶液(pH
9.6)に溶解し、抗体と同重量の活性化PODを該溶
液に添加して、遮光下で、抗体と活性化PODのカップ
リング反応を行った。水素化ホウ素ナトリウムを添加し
て反応を停止させ、得られた標識抗体を緩衝液に対して
透析して、検出側の酵素標識抗体を得た。
【0030】抗オボムコイド抗体を用いる場合も、上記
抗オボアルブミン抗体の場合と同様にして、キャプチャ
ー側抗体によるウェルのコーティングと検出側の酵素標
識抗体を作製した。
【0031】上記キャプチャー側抗体及び検出側抗体を
用いるサンドウィッチアッセイは以下の手順で行った。
すなわち、上記キャプチャー側抗体が固相化されたウェ
ルに100μlの標準溶液または試料溶液を添加し、常
温で正確に1時間静置して反応を行わせた。反応後、各
ウェルを洗浄液(0.05% Tween20/PB
S)で洗浄し、ついで、酵素標識抗体溶液の100μl
を該ウェルに分注した。分注後、常温で正確に30分間
静置して反応を進行させ、その後ウェルを上記の洗浄液
で洗浄し、ついで、100μlの酵素基質(TMB)溶
液を各ウェルに添加した。常温、遮光下で正確に10分
間静置して酵素−基質反応を行わせ、該反応を、100
μlの反応停止液(1N 硫酸)をウェルに添加するこ
とにより停止させた。その後、各ウェルの吸光度を測定
した。
【0032】b)試料溶液の調製方法 本発明の抗体を用いた食品および食品原材料の分析の実
施例および比較例においては、以下の方法により検体と
なる食品等からの試料溶液を調製した。すなわち、ま
ず、検体となる食品(或いは食品原材料)を、それが均
一となるように市販のミキサーで、充分、粉砕、或いは
混合した。ミキサーでの処理後、検体を2g秤取し、こ
れに40mlの検体希釈液(PBS)を加え、ついで、
市販のホモゲナイザーを用いて30秒間攪拌した。当該
攪拌操作を3回繰り返した後、得られた液を3,000
xgで10分間遠心分離し、上清を分取した。該上清を
ろ紙により濾過して試料溶液とした。
【0033】c)食品原材料および食品の分析への応用 上記のa)およびb)に記載の方法に従って、市販の乾
燥卵黄(キューピー株式会社製、食品原材料)およびマ
ヨネーズ(キューピー株式会社製、原材料名:食用植物
油脂、卵黄、醸造酢、食塩、調味料(アミノ酸)、香辛
料)について、本発明の抗体を用いて分析を行った。抗
オボアルブミン抗体を用いた場合の結果を表1に、抗オ
ボムコイド抗体を用いた場合の結果を表2に、各々、示
す。また、各々の抗体において、鶏卵タンパク質を標準
試料として測定した結果を、参考として、表3に示す。
【0034】
【表1】
【表2】
【表3】 なお、表の脚注における「鶏卵タンパク質換算量」は、
表3の標準試料の測定値をもとにして算出した。上記表
1および2から、本発明の、卵白由来のタンパク質によ
り免疫化した哺乳動物の血清から得られる抗体を用いる
ことにより、卵黄を主体とする食品原材料の食品への混
入を精度よく検査できることがわかる。
【0035】d)比較例 本発明の、卵白由来のタンパク質により免疫化した哺乳
動物の血清から得られる抗体が筋肉組織由来の成分と交
差反応性を示さないことを確認するため、上記のa)お
よびb)に記載の方法に従って、市販の牛肉および豚肉
を検体として検査を実施した。結果を表4に示す。ま
た、参考として、標準試料として鶏卵タンパク質を検査
した結果を表5に示す。
【0036】
【表4】
【表5】 表4から、本発明の、卵白由来のタンパク質により免疫
化した哺乳動物の血清から得られる抗体が筋肉組織由来
の成分と交差反応性を示さないことがわかる。
【0037】
【発明の効果】本発明の抗体及びそれを用いた測定方法
によれば、食品への卵黄を主体とする食品原材料の混入
を正確に測定することができ、消費者にとってはその商
品選択の幅を不必要に束縛されることなく信頼性の高い
情報を得ることが可能になり、製造者にとっても自己の
製品の安全性確保と、検査の効率化を図ることができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 村岡 嗣朗 神奈川県横浜市鶴見区下末吉2−1−1 株式会社森永生科学研究所内 (72)発明者 境 雅寿 神奈川県横浜市鶴見区下末吉2−1−1 株式会社森永生科学研究所内 Fターム(参考) 4H045 AA11 CA40 DA76 EA50 FA71 GA26

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 卵黄を主体とする食品原材料の食品への
    混入を検査するための抗体であって、該抗体は卵白由来
    のタンパク質により免疫化した哺乳動物の血清から得ら
    れることを特徴とする、前記抗体。
  2. 【請求項2】 前記卵白由来のタンパク質がオボアルブ
    ミン及び/又はオボムコイドである請求項1に記載の抗
    体。
  3. 【請求項3】 ポリクローナル抗体であることを特徴と
    する請求項1又は2に記載の抗体。
  4. 【請求項4】 前記哺乳動物がウサギであることを特徴
    とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の抗体。
  5. 【請求項5】 抗体が抗体フラグメントの形態である請
    求項1乃至4のいずれか一項に記載の抗体。
  6. 【請求項6】 卵黄を主体とする食品原材料の食品への
    混入を検査するための方法であって、該方法は請求項1
    乃至5のいずれか一項に記載の抗体を用いた免疫学的測
    定を実施することを特徴とする、前記方法。
  7. 【請求項7】 卵黄を主体とする食品原材料の食品への
    混入を検査するためのキットであって、該キットは請求
    項1乃至5のいずれか一項に記載の抗体を含むことを特
    徴とする、前記キット。
  8. 【請求項8】 サンドウィッチアッセイ法を利用するこ
    とを特徴とする請求項7に記載のキット。
  9. 【請求項9】 ELISA法を利用することを特徴とす
    る請求項7又は8に記載のキット。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009069779A1 (ja) 2007-11-30 2009-06-04 Morinaga & Co., Ltd. 食品成分抽出方法及び食品検査方法並びに食品検査キット
JP2011058811A (ja) * 2009-09-07 2011-03-24 Girasol Bio Kk アレルギー診断用キット
CN104945507A (zh) * 2015-05-22 2015-09-30 天津科技大学 一种卵类黏蛋白兔多克隆抗体的制备方法及免疫分析方法

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