JP2003294737A - そば成分検査用抗体及び検査方法並びに検査用キット - Google Patents

そば成分検査用抗体及び検査方法並びに検査用キット

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 そばを主体とする食品原材料の食品への混入
を高感度且つ正確に検査するための免疫学的方法を提供
する。 【解決手段】 そばの70〜500kDに相当するタン
パク質画分を主体とする抗原により免疫化した哺乳動物
の血清から得られる当該血清のIgG画分又はポリクロ
ーナル抗体を用いて、そばを主体とする食品原材料の食
品への混入を検査する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、食品へ混入或い
は混合された、そばを主体とする食品原材料を検査する
ために用い得る抗体及び当該抗体を利用した検査方法並
びに該検査方法に用いるキットに関する。
【0002】
【従来技術】食品の安全性への関心が、近年、益々高ま
っている。特に食物アレルギーは、重度の場合、重篤な
全身性アナフェラキシー(咽頭の水腫、重度の喘息或い
は低血圧等)を引き起こし、時には致命的な障害をもた
らす場合もあるため、これらの食物アレルギー症状を有
する消費者のみならず食品製造業者・監督管庁にとって
も食品の安全性を保全する立場から極めて重要な課題で
ある。現在、当該食物アレルギーによる症状の発生を防
止する最も有効な方法は、それらの食物アレルギー発症
履歴を有するか潜在的に有する対象者がその食物アレル
ゲンと接触することを防止するものであるが、厚生労働
省は、当該観点から「アレルギー物質を含む食品につい
ては、特定のアレルギー体質を持つ方の健康危害の発生
を防止する観点から、食物アレルギーを引き起こすこと
が明らかになった食品のうち、特に発症数、重篤度から
勘案して表示する必要性の高い小麦、そば、卵、乳及び
落花生の5品目(以下「特定原材料」という。)を食品
衛生法施行規則(昭和23年厚生省令第23号。以下
「規則」という。)別表第5の2に掲げ、これらを含む
加工食品については、規則第5条に定めるところにより
当該特定原材料を含む旨を記載しなければならない」と
し、当該5品目を含む食品に対してそれら原材料を含む
旨の表示を製造者に義務づけている。また、消費者の商
品選択の幅を不当に狭めることのないよう、当該表示に
おいては、「入っているかもしれません。」「入ってい
る恐れがあります。」などの可能性表示を禁止し、製品
への「特定原材料」混入の監視・検査義務を明確にして
いる。更に、食品を生産する際に、原材料としては使用
していないにも関わらず、特定原材料等がごく微量混入
(コンタミネーション)してしまう場合にも当該混入が
必ず起こり得るならば表示を必要とし、消費者の高度の
安全を確保する立場から原則として数μg/g以上程度
の混入についても表示するよう求めている。従って、食
品製造業者は、上記施行規則を遵守するのは勿論のこ
と、更なる消費者の安全と適切な商品選択の機会を提供
すべく、自らの製品について十分な監視と検査を行うこ
とが望まれている。
【0003】ここで、小麦、そば、卵、乳及び落花生の
5品目からなる原材料といってもその組成や、形態、製
造方法は一様でなく、そばを例にとると、該原材料は、
生のそば子実の他、そば粉やそば麺等も含み、そば粉が
副原料として配合されるような調味料等も上記特定原材
料に相当する。更にこれらの原材料は、引き続く食品加
工の段階で変性することもあり、完成した加工食品中に
含まれる、これらの多種多様な形態をとりうる食品原材
料を少なくとも10μg/gの感度で検査するのは容易
でない。
【0004】このような高度の検査を達成する検査方法
としてはPCRを用いた特異的遺伝子の増幅に基づく検
査法があげられるが、当該方法は、現在までのところ、
熟練した技術と高い費用や比較的長い検査時間を要し、
製造現場での迅速且つ簡便な検査という観点から不利益
がある。当該検査を実行する際の他の有効な選択肢は、
上記食品原材料に由来する成分に対する抗体を利用した
免疫学的検査方法である。特に、免疫学的な検査方法は
ELISA法等として広く普及しており、その操作も高
度の熟練を必要とせず、精度のよい結果も短時間で得ら
れるので、当該検査の目的には好適である。しかしなが
ら、当該抗体を利用した免疫学的測定方法は、測定対象
を抗原に用いて動物を免疫化し、得られた特異的抗体を
利用するという原理に基づくため、食品原材料のいずれ
の成分を抗原として用いるかにより、その測定結果の信
頼性が大きく左右される。
【0005】すなわち、食品原材料として使用される場
合、そば等の原材料は種々の由来のものが様々な製造工
程を経て、多種多様な組成及び形態として提供されるの
であり、更にそれを用いた加工食品においては、当該原
材料の成分組成や構造が著しく変性されうる。してみれ
ば、個々の消費者においていずれの成分が主要アレルゲ
ンとなりうるかを完全に予測することはできず、また成
分の変性等をも考慮してその存在を検出しなければなら
ない食品の検査においては、測定対象である食品原材料
を正確且つ精度よく分析することが要求されるのであ
る。
【0006】以上のことなどから、そばを主体とするよ
うな食品の原材料においても、それを正確且つ高感度で
迅速に検査できる方法の確立が望まれていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は、そ
ばを主体とする食品原材料の食品への混入を高感度且つ
正確で迅速に検査するための免疫学的方法を提供する。
すなわち、本発明によれば、そばを主体とする食品原材
料の食品への混入を検査するための抗体及び当該抗体を
利用した検査方法が提供される。更に、そばを主体とす
る食品原材料の食品への混入を検査するための上記抗体
を含む検査キットも提供される。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、そばを主
体とする食品原材料の食品への混入を高感度且つ正確で
迅速に検査する方法に関し鋭意研究を行ったところ、食
品中のそばを主体とする成分が、そばの70〜500k
Dに相当するタンパク質画分を主体とする抗原により免
疫化した哺乳動物の血清から得られる当該血清のIgG
画分又はポリクローナル抗体よって検査できることを見
いだした。従って、本発明の第1は、(1)そばを主体
とする食品原材料の食品への混入を検査するための抗体
であって、該抗体は、そばの70〜500kDに相当す
るタンパク質画分を主体とする抗原により免疫化した哺
乳動物の血清から得られる当該血清のIgG画分又はポ
リクローナル抗体であることを特徴とする、前記抗体で
ある。
【0009】ウサギは、その飼育・管理等が容易であ
り、ウサギから得たIgG画分又はポリクローナル抗体
において上記検査は好適に実施され得る。また、当該抗
体のフラグメントも好適に使用し得る。従って、本発明
の第2及び第3は、(2)前記哺乳動物がウサギである
ことを特徴とする上記(1)に記載の抗体、および
(3)抗体が抗体フラグメントの形態である上記(1)
又は(2)に記載の抗体である。
【0010】上記抗体の利用は、そばを主体とする食品
原材料の食品への混入の正確且つ高感度で迅速な検査を
可能とする。従って、本発明の第4は、(4)そばを主
体とする食品原材料の食品への混入を検査するための方
法であって、該方法は上記(1)乃至(3)のいずれか
に記載の抗体を用いた免疫学的測定を実施することを特
徴とする、前記方法である。
【0011】上記抗体はキットの形で検査に用いること
ができ、当該キットは、サンドウイッチアッセイ法を利
用してELISA法を応用した形態となすことにより、
更に検査者の利便性に供することができる。従って、本
発明の第5乃至第7は、(5)そばを主体とする食品原
材料の食品への混入を検査するためのキットであって、
該キットは上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の抗
体を含むことを特徴とする、前記キットであり、(6)
サンドウィッチアッセイ法を利用することを特徴とする
上記(5)に記載のキットであり、及び(7)ELIS
A法を利用することを特徴とする上記(5)又は(6)
に記載のキットである。
【0012】これらの抗体、検査方法及び検査キットに
よれば、食品へのそばを主体とする食品原材料の混入を
正確に測定することができ、消費者にとってはその商品
選択の幅を不必要に束縛されることなく信頼性の高い情
報を得ることが可能になり、製造者にとっても自己の製
品の安全性確保と、検査の効率化を図ることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明により検査される対象とな
る、食品に混入或いは混合された「そばを主体とする食
品原材料」には、生のそばの子実或いは穀粒の他、それ
を脱穀、加熱、乾燥、粉砕、或いは練り上げて得られた
ものも含まれ、また、原材料の主成分自体は他の品目由
来、例えば香辛料や小麦、その他天然物又はその抽出
物、或いは合成品であるような食品原材料であって、副
成分としてのそば由来の成分は当該原材料の助剤、安定
剤、賦形剤、乳化剤、或いはいわゆるキャリーオーバー
等として存在する場合においても、当該そば由来の成分
が上記で定義された意味において「そばを主体とする」
ものである限りにおいて、当該原材料も本明細書にいう
「そばを主体とする食品原材料」に含まれる。例えば、
そばは胡椒等の調味料に含まれる場合もあり、これらも
「そばを主体とする食品原材料」の一例に含まれる。そ
の他、そばボーロや、そば饅頭、そば餅やそば麺等があ
げられるがこれらに限定されない。検体としての食品は
あらゆる範疇のものを含み、その生産・製造の過程で上
記「そばを主体とする食品原材料」が積極的に混合され
るものの他、意図しているか否かに関わらず「そばを主
体とする食品原材料」が、例えば製造工程におけるコン
タミネーションや他の食品原料からのキャリーオーバー
等により混入する可能性のあるものも含まれ、その加工
の程度や加工方法は問わない。
【0014】本発明は、そばの70〜500kDに相当
するタンパク質画分を主体とする抗原により免疫化した
哺乳動物の血清から得られる当該血清のIgG画分又は
ポリクローナル抗体を用いて上記そばを主体とする食品
原材料の食品への混入を検査することを特徴とし、当該
IgG画分又はポリクローナル抗体を用いた場合には、
試料溶液中のそばを主体とする食品原料を、そばタンパ
ク質として1ng/mlという低濃度から正確且つ高感
度に分析可能である。ここで、上記の「そばの70〜5
00kDに相当するタンパク質画分を主体とする抗原」
とは、そば子実の70〜500kDに相当するタンパク
質画分から実質的になる抗原を意味し、典型的に、当該
抗原には、上記のそばタンパク質画分が80重量%以
上、好ましくは95重量%以上含まれる。
【0015】上記の、そばの70〜500kDに相当す
るタンパク質画分は、具体的に、例えば、そばの子実を
磨砕し、当該磨砕物に塩化ナトリウム等の塩を含む緩衝
液(例えば、トリスー塩酸緩衝液)を加えてその成分を
抽出する。その後、該抽出物を遠心分離して上清を回収
し、当該上清をスーパーデックスG−200やスーパー
ロース6(ともにAmersham Pharmaci
a社製)のゲル濾過カラムに供し、分子量として70〜
500kDの範囲に溶出される画分を回収することで調
製され得る。
【0016】上記調製法からも明らかなように、本発明
の「タンパク質画分」は主にタンパク質からなる画分で
あるが、当該画分は、夾雑物として、タンパク質以外の
ものをごく微量の濃度で含む場合がある。そして、その
ようなタンパク質以外の成分を夾雑物程度の量で含む画
分も、本発明にいう「タンパク質画分」に含まれる。ま
た、実際の動物の免疫化において、上記抗原は、上記画
分の抗原性を更に高めることなどを目的に、それ自体当
業者に公知の別のタンパク質と該画分を融合させた形態
となすこともでき、或いは、上記抗原をアジュバントと
共に動物に投与して免疫化してもよい。従って、これら
融合タンパク質の形態やアジュバントを更に含むような
抗原も、それがそばを主体とする食品原材料に対する特
異的な抗体を産生するための抗原である限りにおいて本
発明の抗原である。
【0017】本発明に用いる抗体(すなわちIgG画分
または特異的ポリクローナル抗体)は、上記のようにし
て得られたそばの70〜500kDに相当するタンパク
質画分を主体とする抗原を用いて免疫した哺乳動物から
の抗血清を使用して調製する。抗原の調製、免疫動物へ
の投与及び当該動物からの抗血清の採取は当業者にとっ
て周知のいずれのプロトコールをも使用することがで
き、そのようなプロトコールの最適化も当業者にとって
容易であろう。
【0018】免疫動物としては、ヒツジ、ウサギ、サル
等も用いられ得るが、ウサギを用いるのが特に有利であ
る。
【0019】具体的に、当該免疫動物からの抗血清は、
例えば、アジュバントを含む抗原を免疫動物に皮下注射
し、当該皮下投与を適当な間隔(例えば1週間)で所定
の回数(例えば5回)繰り返し、最終免疫後に全血を採
集して、これを分離することで得ることができる。その
ような方法は、例えば、「CURRENT PROTO
COLS IN IMMUNOLOGY、第2.4章
(発行元:John Wiley & Sons,In
c.,New York)」等に記載されている。
【0020】本発明の抗体は、上記のような抗血清から
IgG画分または特異的ポリクローナル抗体を精製して
調製したものである。好ましい本発明のIgG画分また
は特異的ポリクローナル抗体の精製法は、哺乳動物の免
疫に用いたそばの70〜500kDに相当するタンパク
質画分をクロマトグラフィー用の樹脂、例えば、CNB
r活性化セファロースやHiTrap NHS−act
ivated(ともにAmersham Pharma
cia社製)に共有結合で固相化し、該固相化樹脂に上
記抗血清を供して当該抗血清中の抗体を特異的に樹脂上
に吸着させ、ついで、該樹脂上に吸着した抗体を適切な
緩衝液やカオトロピックイオン等を用いて溶出させて回
収することよりなるが、これに限定されない。
【0021】当該IgG画分または特異的ポリクローナ
ル抗体は、例えばサンドウイッチ法を利用した免疫学的
アッセイにおいて、そのままでキャプチャー側の固相化
抗体として使用することができ、また、放射性物質、金
コロイドなどの着色粒子或いは酵素で標識すれば検出側
の標識抗体として使用することができる。そのような固
相化抗体や標識抗体も本発明の抗体に含まれる。IgG
画分等の精製や抗体の標識の方法としては当業者にとっ
て周知のいかなる方法も採用することができ、例えば、
夫々、「CURRENT PROTOCOLS IN
IMMUNOLOGY、第2.7章(発行元:John
Wiley & Sons,Inc.,New Yo
rk)」記載の方法や、「J.Biochem.vo
l.11、395〜399頁(1979年)」「J.B
iochem.、vol.14、41〜57頁(198
2年)」「Immunofluorescence a
ndRelated Techniques (Els
evier/NorthHolland Biomed
ical Press、215〜225頁(1978
年))」記載の方法を利用することができる。
【0022】更に、本発明の抗体として、上記のような
IgG画分または特異的ポリクローナル抗体の他、それ
らの抗体を酵素消化処理して得られるような当該抗体の
反応性フラグメントも用いることもできる。当該抗体フ
ラグメントの例には、Fabフラグメント、Fab’フ
ラグメント、F(ab’)フラグメント、F(v)フ
ラグメント、H鎖モノマー又はダイマー、L鎖モノマー
又はダイマー、1個のH鎖及び1個のL鎖からなるダイ
マー等が含まれる。該フラグメントは、例えばペプシン
やパパイン等のプロテアーゼにより完全な抗体を消化す
るか、消化後、必要に応じて還元剤で処理することによ
り得ることができる。H鎖及びL鎖モノマーは、完全な
抗体をジチオスレイトール等の還元剤で処理した後、精
製した鎖状体を分離することにより得ることもできる。
【0023】上記の抗体又は抗体フラグメントを用い
て、本発明の、そばを主体とする食品原材料の食品への
混入が検査され得る。検査の試料としては、食品の抽出
液を用いるのが好適である。すなわち、検体となる食品
を当業者に公知の抽出用溶媒、例えば任意に界面活性剤
を含むリン酸緩衝液等に浸責し、市販のホモジェナイザ
ー或いは超音波震動器を用いて所定時間処理することに
よりその成分を十分に抽出した後、不溶物を遠心分離等
の手段を用いて除去して試料用の食品抽出液を得ること
ができる。次いで、当該抽出液は本発明の抗体と接触さ
せられ、その特異的結合反応を検出することにより免疫
学的測定が行われる。なお、食品が液状であれば、特別
な抽出操作が必要とされないことはいうまでもない。
【0024】免疫学的測定の例としては、いわゆる競合
アッセイ法やサンドウィッチアッセイ法があげられる
が、試薬の調製の便等を考慮してサンドウィッチ法が好
ましい。当該サンドウイッチアッセイの一例では、本発
明の1の抗体或いは抗体の一部がウェル底面などの固相
のコーティングに用いられてキャプチャー側抗体を提供
し、その他の抗体或いは抗体のもう一方の一部が放射性
物質や着色粒子又は酵素で標識されて検出側抗体を提供
する。キャプチャー側抗体を有するウェル内に上記試料
用の食品抽出液が添加され、所定時間インキュベートさ
れた後、該抽出液をウェルから取り除き、好適な緩衝液
等によりウェル内を充分に洗浄後、検出側の抗体がウェ
ルに添加される。所定のインキュベーションの後、ウェ
ル内を洗浄し、キャプチャー側抗体−測定対象物−検出
側抗体複合体の生成を検出する。検出は、検出側抗体に
標識された標識物質の性質に依存し、放射性標識であれ
ば放射線量が、着色粒子標識であれば発色量や吸光度
が、また酵素標識(ELISA法)であれば、更に適当
な基質をウェルに添加し、所定のインキュベーション後
の吸光度が検出される。なお、上記ELISA法で酵素
標識に用いる酵素に特に制限はなく、例えば西洋ワサビ
ペルオキシダーゼやアルカリ性フォスファターゼ等の酵
素が有利に使用される。西洋ワサビペルオキシダーゼで
標識する場合は、当該酵素の基質として3,3’,5,
5’−テトラメチルベンチジン等がその基質として利用
可能である。アルカリ性フォスファターゼを使用する場
合は、基質としてp−ニトロフェニル燐酸が基質として
あげられる。上記の免疫学的測定結果に基づき、そばを
主体とする食品原材料の食品への混入が検査され得る。
【0025】本発明の検査方法は、本発明の抗体を含む
キットを用いて容易に実施することができる。サンドウ
ィッチ法に基づくELISA用キットの例では、キャプ
チャー用としての本発明の抗体からなる試薬と、検出用
としての酵素標識した本発明の抗体からなる試薬及び適
切な酵素基質がキットに含まれ得る。洗浄用の緩衝液
や、ウェルへの非特異的吸着を抑制するブロッキング用
試薬等が更に含まれてもよい。そのようなキットの構成
及びその製造方法は当業者にとって公知であろう。
【0026】以下、本発明を実施例により更に詳しく説
明するが、本実施例は本発明を何ら限定するものではな
い。
【0027】
【実施例】実施例1:そばの70〜500kDに相当す
るタンパク質画分の調製 熱処理していないそばの子実を乳鉢ですり潰し、その重
量に対して5倍量の0.5M塩化ナトリウムを含む20
mMトリスー塩酸緩衝液(pH7.4)を加えて市販の
ホモゲナイザーで更に破砕し、そば子実の成分を抽出し
た。該抽出物を遠心分離後、上清を回収し、これをゲル
濾過カラム(スーパーデックスG−200:Amers
ham Pharmacia社製)に供して、20mM
リン酸緩衝液(pH7.4)で溶出することで分子量に
基づく分画を行った。分子量として70〜500kDの
範囲に溶出される画分を分取して本発明のタンパタ質画
分を調製した。
【0028】実施例2:抗体の調製 実施例1で分取したタンパク質画分について、フロイン
トのアジュバントを用いてエマルジョンを作製し、当該
エマルジョンをウサギの皮下に注射して免疫した。免疫
は、一回あたり1mgの上記タンパク質画分が投与され
るように行い、一週間おきに5回投与を行った。最終免
疫終了の一週間後に、免疫したウサギの全血を採集し、
抗血清を調製した。当該抗血清からの本発明の抗体の調
製は、以下の手順に従った。すなわち、上記ウサギの免
疫に用いたタンパク質画分をHiTrap NHS−a
ctivated(Amersham Pharmac
ia社製)に共有結合で固相化し、該固相化樹脂に上記
抗血清を供した。ついで、当該固相化樹脂上のタンパク
質画分に結合した抗体を、pH2.7に調製した0.1
M Gly−HClで溶出して、本発明の抗体を得た。
【0029】実施例3:そばを主体とする食品原材料の
分析 a)分析方法 上記の抗体を用いて、以下の手順によりサンドウィッチ
アッセイを実施した。まず、実施例2で得られた抗体を
炭酸緩衝液(pH9.6)に溶解した後、該溶液をマイ
クロプレートの各ウェルに100μlづつ分注し、つい
で、該マイクロプレートを常温で2時間静置することに
より抗体の固相化を行った。更に、各ウェル内を洗浄液
(0.05% Tween20/PBS)で洗浄後、ブ
ロッキング溶液(0.1% BSA/PBS)の200
μlをウェルに分注し、常温で2時間静置した。静置
後、ブロッキング溶液をウェルから取り除き、ウェルを
乾燥して、キャプチャー側としての抗体によるウェルの
コーティングを完了した。標識抗体も実施例2の抗体を
用いてナカネ法により作成した。すなわち、実施例2で
得られた抗体を炭酸水素ナトリウム溶液(pH9.6)
に溶解し、抗体と同重量の活性化PODを該溶液に添加
して、遮光下で、抗体と活性化PODのカップリング反
応を行った。水素化ホウ素ナトリウムを添加して反応を
停止させ、得られた標識抗体を緩衝液に対して透析し
て、検出側の酵素標識抗体を得た。
【0030】上記キャプチャー側抗体及び検出側抗体を
用いるサンドウィッチアッセイは以下の手順で行った。
すなわち、上記キャプチャー側抗体が固相化されたウェ
ルに100μlの標準溶液または試料溶液を添加し、常
温で正確に1時間静置して反応を行わせた。反応後、各
ウェルを洗浄液(0.05% Tween20/PB
S)で洗浄し、ついで、酵素標識抗体溶液の100μl
を該ウェルに分注した。分注後、常温で正確に30分間
静置して反応を進行させ、その後ウェルを上記の洗浄液
で洗浄し、ついで、100μlの酵素基質(TMB)溶
液を各ウェルに添加した。常温、遮光下で正確に10分
間静置して酵素−基質反応を行わせ、該反応を、100
μlの反応停止液(1N 硫酸)をウェルに添加するこ
とにより停止させた。その後、各ウェルの吸光度を測定
した。
【0031】上記の分析方法による標準タンパク質(そ
ばタンパク質)の分析例を表1に示す。
【0032】
【表1】 標準タンパク質の分析例から、本発明の抗体を用いれ
ば、そばタンパク質を1ng/mlという低濃度から正
確且つ高感度に分析できることがわかる。
【0033】b)試料溶液の調製方法 本発明の抗体を用いた食品分析の実施例においては、以
下の方法により検体となる食品等からの試料溶液を調製
した。すなわち、まず、検体となる食品を、それが均一
となるように市販のミキサーで、充分、粉砕した。ミキ
サーでの処理後、検体を2g秤取し、これに40mlの
検体希釈液(PBS)を加え、ついで、市販のホモゲナ
イザーを用いて30秒間攪拌した。当該攪拌操作を3回
繰り返した後、得られた液を3,000xgで10分間
遠心分離し、上清を分取した。該上清をろ紙により濾過
して試料溶液とした。
【0034】c)食品の分析への応用 上記a)およびb)の方法に従って、市販の食品を分析
した。検体とした食品は、蕎麦ぼうる(商品名、(株)
本家尾張屋製:原材料;そば粉、小麦粉、砂糖、玉子)
である。分析の結果、該食品中で12800ppm
(1.28g/100g)のそばタンパク質が検出され
た。
【0035】
【発明の効果】本発明の抗体及びそれを用いた測定方法
によれば、食品へのそばを主体とする食品原材料の混入
を極めて高感度に且つ正確に測定することができ、消費
者にとってはその商品選択の幅を不必要に束縛されるこ
となく信頼性の高い情報を得ることが可能になり、製造
者にとっても自己の製品の安全性確保と、検査の効率化
を図ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 村岡 嗣朗 神奈川県横浜市鶴見区下末吉2−1−1 株式会社森永生科学研究所内 (72)発明者 境 雅寿 神奈川県横浜市鶴見区下末吉2−1−1 株式会社森永生科学研究所内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 そばを主体とする食品原材料の食品への
    混入を検査するための抗体であって、該抗体は、そばの
    70〜500kDに相当するタンパク質画分を主体とす
    る抗原により免疫化した哺乳動物の血清から得られる当
    該血清のIgG画分又はポリクローナル抗体であること
    を特徴とする、前記抗体。
  2. 【請求項2】 前記哺乳動物がウサギであることを特徴
    とする請求項1に記載の抗体。
  3. 【請求項3】 抗体が抗体フラグメントの形態である請
    求項1又は2に記載の抗体。
  4. 【請求項4】 そばを主体とする食品原材料の食品への
    混入を検査するための方法であって、該方法は請求項1
    乃至3のいずれか一項に記載の抗体を用いた免疫学的測
    定を実施することを特徴とする、前記方法。
  5. 【請求項5】 そばを主体とする食品原材料の食品への
    混入を検査するためのキットであって、該キットは請求
    項1乃至3のいずれか一項に記載の抗体を含むことを特
    徴とする、前記キット。
  6. 【請求項6】 サンドウィッチアッセイ法を利用するこ
    とを特徴とする請求項5に記載のキット。
  7. 【請求項7】 ELISA法を利用することを特徴とす
    る請求項5又は6に記載のキット。
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JP2009271092A (ja) * 2004-03-05 2009-11-19 Prima Meat Packers Ltd そばアレルゲンの検出方法

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