JP3853692B2 - 落花生成分検査用抗体及び検査方法並びに検査用キット - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本願発明は、食品へ混入或いは混合された、落花生を主体とする食品原材料を検査するために用い得る抗体及び当該抗体を利用した検査方法並びに該検査方法に用いるキットに関する。
【0002】
【従来技術】
食品の安全性への関心が、近年、益々高まっている。特に食物アレルギーは、重度の場合、重篤な全身性アナフェラキシー(咽頭の水腫、重度の喘息或いは低血圧等)を引き起こし、時には致命的な障害をもたらす場合もあるため、これらの食物アレルギー症状を有する消費者のみならず食品製造業者・監督管庁にとっても食品の安全性を保全する立場から極めて重要な課題である。現在、当該食物アレルギーによる症状の発生を防止する最も有効な方法は、それらの食物アレルギー発症履歴を有するか潜在的に有する対象者がその食物アレルゲンと接触することを防止するものであるが、厚生労働省は、当該観点から「アレルギー物質を含む食品については、特定のアレルギー体質を持つ方の健康危害の発生を防止する観点から、食物アレルギーを引き起こすことが明らかになった食品のうち、特に発症数、重篤度から勘案して表示する必要性の高い小麦、そば、卵、乳及び落花生の5品目(以下「特定原材料」という。)を食品衛生法施行規則(昭和23年厚生省令第23号。以下「規則」という。)別表第5の2に掲げ、これらを含む加工食品については、規則第5条に定めるところにより当該特定原材料を含む旨を記載しなければならない」とし、当該5品目を含む食品に対してそれら原材料を含む旨の表示を製造者に義務づけている。また、消費者の商品選択の幅を不当に狭めることのないよう、当該表示においては、「入っているかもしれません。」「入っている恐れがあります。」などの可能性表示を禁止し、製品への「特定原材料」混入の監視・検査義務を明確にしている。更に、食品を生産する際に、原材料としては使用していないにも関わらず、特定原材料等がごく微量混入(コンタミネーション)してしまう場合にも当該混入が必ず起こり得るならば表示を必要とし、消費者の高度の安全を確保する立場から原則として数μg/g以上程度の混入についても表示するよう求めている。従って、食品製造業者は、上記施行規則を遵守するのは勿論のこと、更なる消費者の安全と適切な商品選択の機会を提供すべく、自らの製品について十分な監視と検査を行うことが望まれている。
【0003】
ここで、小麦、そば、卵、乳及び落花生の5品目からなる原材料といってもその組成や、形態、製造方法は一様でなく、落花生を例にとると、該原材料は、一般にタンパク質が多い大粒種の他、脂肪の多い小粒種も含み、さらに、生の落花生を使用している場合は勿論のこと、粉砕、ローストした落花生やピーナッツオイル、ピーナッツバター等も上記特定原材料に相当する。更にこれらの原材料は、引き続く食品加工の段階で変性することもあり、完成した加工食品中に含まれる、これらの多種多様な形態をとりうる食品原材料を少なくとも10μg/gの感度で検査するのは容易でない。
【0004】
このような高度の検査を達成する検査方法としてはPCRを用いた特異的遺伝子の増幅に基づく検査法があげられるが、当該方法は、現在までのところ、熟練した技術と高い費用や比較的長い検査時間を要し、製造現場での迅速且つ簡便な検査という観点から不利益がある。当該検査を実行する際の他の有効な選択肢は、上記食品原材料に由来する成分に対する抗体を利用した免疫学的検査方法である。特に、免疫学的な検査方法はELISA法等として広く普及しており、その操作も高度の熟練を必要とせず、精度のよい結果も短時間で得られるので、当該検査の目的には好適である。しかしながら、当該抗体を利用した免疫学的測定方法は、測定対象を抗原に用いて動物を免疫化し、得られた特異的抗体を利用するという原理に基づくため、食品原材料のいずれの成分を抗原として用いるかにより、その測定結果の信頼性が大きく左右される。
【0005】
公表平11−507840号公報「ピーナッツアレルゲンおよび方法」では、ピーナッツのアレルゲンとしてAra h I及びAra h IIが同定されているが、Ara h IIに対して作製した4つのモノクローナル抗体が、ある種のピーナッツに優先的に結合しなかったとされる(公表平11−507840号公報、第10頁、第16乃至18行目)。
【0006】
上記のとおり、食品原材料として使用される場合、それらの原材料は種々の由来のものが様々な製造工程を経て、多種多様な組成及び形態として提供されるのであり、更にそれを用いた加工食品においては、当該原材料の成分組成や構造が著しく変性されうる。そして、これらの変性等された成分もまた食物アレルギーを誘発しうるのであり、してみれば、個々の消費者においていずれの成分が主要アレルゲンとなりうるかを完全に予測することはできず、また成分の変性等をも考慮してその存在を検出しなければならない食品の検査においては、測定対象である食品原材料を正確且つ精度よく分析することが要求されるのである。
【0007】
以上のことなどから、落花生を主体とするような食品の原材料においても、それを正確且つ高感度で迅速に検査できる方法の確立が望まれていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明は、落花生を主体とする食品原材料の食品への混入を高感度且つ正確で迅速に検査するための免疫学的方法を提供する。すなわち、本発明によれば、落花生を主体とする食品原材料の食品への混入を検査するための抗体及び当該抗体を利用した検査方法が提供される。更に、落花生を主体とする食品原材料の食品への混入を検査するための上記抗体を含む検査キットも提供される。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、落花生を主体とする食品原材料の食品への混入を高感度且つ正確で迅速に検査する方法に関し鋭意研究を行ったところ、食品中の落花生を主体とする成分が、落花生の30〜100kDに相当するタンパク質画分を主体とする抗原により免疫化した哺乳動物の血清から得られる当該血清のIgG画分又はポリクローナル抗体よって検査できることを見いだした。従って、本発明の第1は、
(1)落花生を主体とする食品原材料の食品への混入を検査するための抗体であって、該抗体は落花生の30〜100kDに相当するタンパク質画分を主体とする抗原により免疫化した哺乳動物の血清から得られる当該血清のIgG画分又はポリクローナル抗体であることを特徴とする、前記抗体である。
【0010】
ウサギは、その飼育・管理等が容易であり、ウサギから得たIgG画分又はポリクローナル抗体において上記検査は好適に実施され得る。また、当該抗体のフラグメントも好適に使用し得る。従って、本発明の第2及び第3は、
(2)前記哺乳動物がウサギであることを特徴とする上記(1)に記載の抗体、および
(3)抗体が抗体フラグメントの形態である上記(1)又は(2)に記載の抗体である。
【0011】
上記抗体の利用は、落花生を主体とする食品原材料の食品への混入の正確且つ高感度で迅速な検査を可能とする。従って、本発明の第4は、
(4)落花生を主体とする食品原材料の食品への混入を検査するための方法であって、該方法は上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の抗体を用いた免疫学的測定を実施することを特徴とする、前記方法である。
【0012】
上記抗体はキットの形で検査に用いることができ、当該キットは、サンドウイッチアッセイ法を利用してELISA法を応用した形態となすことにより、更に検査者の利便性に供することができる。従って、本発明の第5乃至第7は、
(5)落花生を主体とする食品原材料の食品への混入を検査するためのキットであって、該キットは上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の抗体を含むことを特徴とする、前記キットであり、
(6)サンドウィッチアッセイ法を利用することを特徴とする上記(5)に記載のキットであり、及び
(7)ELISA法を利用することを特徴とする上記(5)又は(6)に記載のキットである。
【0013】
これらの抗体、検査方法及び検査キットによれば、食品への落花生を主体とする食品原材料の混入を正確に測定することができ、消費者にとってはその商品選択の幅を不必要に束縛されることなく信頼性の高い情報を得ることが可能になり、製造者にとっても自己の製品の安全性確保と、検査の効率化を図ることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明により検査される対象となる、食品に混入或いは混合された「落花生を主体とする食品原材料」には、生の落花生の他、それを加熱、乾燥或いは粉砕して得られたもの、更には、広くピーナッツオイル等のように落花生に含有される成分を何らかの方法で精製・抽出したものも含まれる。また、原材料の主成分自体は他の品目由来、例えば乳や小麦、その他天然物又はその抽出物、或いは合成品であるような食品原材料であって、副成分としての落花生由来の成分は当該原材料の助剤、安定剤、賦形剤、乳化剤、或いはいわゆるキャリーオーバー等として存在する場合においても、当該落花生由来の成分が上記で定義された意味において「落花生を主体とする」ものである限りにおいて、当該原材料も本明細書にいう「落花生を主体とする食品原材料」に含まれる。上記「落花生を主体とする食品原材料」の例としては、ローストピーナッツや、マジパン、ピーナッツオイル、ピーナッツバター等があげられるがこれらに限定されない。検体としての食品はあらゆる範疇のものを含み、その生産・製造の過程で上記「落花生を主体とする食品原材料」が積極的に混合されるものの他、意図しているか否かに関わらず「落花生を主体とする食品原材料」が、例えば製造工程におけるコンタミネーションや他の食品原料からのキャリーオーバー等により混入する可能性のあるものも含まれ、その加工の程度や加工方法は問わない。
【0015】
本発明は、落花生の30〜100kDに相当するタンパク質画分を主体とする抗原により免疫化した哺乳動物の血清から得られる当該血清のIgG画分又はポリクローナル抗体を用いて上記落花生を主体とする食品原材料の食品への混入を検査することを特徴とし、当該IgG画分又はポリクローナル抗体を用いた場合には、試料溶液中の落花生を主体とする食品原料を、落花生タンパク質として1ng/mlという低濃度から正確且つ高感度に分析可能である。ここで、「落花生の30〜100kDに相当するタンパク質画分を主体とする抗原」とは、落花生子実の30〜100kDに相当するタンパク質画分から実質的になる抗原を意味し、典型的に、当該抗原には、落花生の30〜100kDに相当するタンパク質画分が80重量%以上、好ましくは95重量%以上含まれる。
【0016】
上記の、落花生の30〜100kDに相当するタンパク質画分は、具体的に、例えば、落花生の子実を磨砕し、当該磨砕物に塩化ナトリウム等の塩を含む緩衝液(例えば、トリス−塩酸緩衝液)を加えてその成分を抽出する。その後、該抽出物を遠心分離して上清を回収し、当該上清をスーパーデックスG−200やスーパーロース6(ともにAmersham Pharmacia社製)のゲル濾過カラムに供し、分子量として30〜100kDの範囲に溶出される画分を回収することで調製され得る。
【0017】
上記調製法からも明らかなように、本発明の「落花生の30〜100kDに相当するタンパク質画分」は主にタンパク質からなる画分であるが、当該画分は、夾雑物として、落花生の30〜100kDに相当する成分であってタンパク質以外のものをごく微量、典型的には10重量%以下の濃度で含む場合がある。そして、そのようなタンパク質以外の成分を夾雑物程度の量で含む画分も、本発明にいう「落花生の30〜100kDに相当するタンパク質画分」に含まれる。また、実際の動物の免疫化において、上記抗原は、上記画分の抗原性を更に高めることなどを目的に、それ自体当業者に公知の別のタンパク質と該画分を融合させた形態として調製することもでき、或いは、上記抗原をアジュバントと共に動物に投与して免疫化してもよい。従って、これら融合タンパク質の形態やアジュバントを更に含むような抗原も、それが落花生を主体とする食品原材料に対する特異的な抗体を産生するための抗原である限りにおいて本発明の抗原である。
【0018】
本発明に用いる抗体(すなわちIgG画分または特異的ポリクローナル抗体)は、上記のようにして得られた落花生の30〜100kDに相当するタンパク質画分を主体とする抗原を用いて免疫した哺乳動物からの抗血清を使用して調製する。抗原の調製、免疫動物への投与及び当該動物からの抗血清の採取は当業者にとって周知のいずれのプロトコールをも使用することができ、そのようなプロトコールの最適化も当業者にとって容易であろう。
【0019】
免疫動物としては、ヒツジ、ウサギ、サル等も用いられ得るが、ウサギを用いるのが特に有利である。
【0020】
具体的に、当該免疫動物からの抗血清は、例えば、アジュバントを含む抗原を免疫動物に皮下注射し、当該皮下投与を適当な間隔(例えば1週間)で所定の回数(例えば5回)繰り返し、最終免疫後に全血を採集して、これを分離することで得ることができる。そのような方法は、例えば、「CURRENT PROTOCOLS IN IMMUNOLOGY、第2.4章(発行元:John Wiley & Sons,Inc.,New York)」等に記載されている。
【0021】
本発明の抗体は、上記のような抗血清からIgG画分または特異的ポリクローナル抗体を精製して調製したものである。好ましい本発明のIgG画分または特異的ポリクローナル抗体の精製法は、哺乳動物の免疫に用いた落花生の30〜100kDに相当するタンパク質画分をクロマトグラフィー用の樹脂、例えば、CNBr活性化セファロースやHiTrap NHS−activated(ともにAmersham Pharmacia社製)に共有結合で固相化し、該固相化樹脂に上記抗血清を供して当該抗血清中の抗体を特異的に樹脂上に吸着させ、ついで、該樹脂上に吸着した抗体を適切な緩衝液やカオトロピックイオン等を用いて溶出させて回収することよりなるが、これに限定されない。
【0022】
本発明のIgG画分または特異的ポリクローナル抗体は、例えばサンドウイッチ法を利用した免疫学的アッセイにおいて、そのままでキャプチャー側の固相化抗体として使用することができ、また、放射性物質、金コロイドなどの着色粒子或いは酵素で標識すれば検出側の標識抗体として使用することができる。そのような固相化抗体や標識抗体も本発明の抗体に含まれる。IgG画分等の精製や抗体の標識の方法としては当業者にとって周知のいかなる方法も採用することができ、例えば、夫々、「CURRENT PROTOCOLS IN IMMUNOLOGY、第2.7章(発行元:John Wiley & Sons,Inc.,New York)」記載の方法や、「J.Biochem.vol.11、395〜399頁(1979年)」「J.Biochem.、vol.14、41〜57頁(1982年)」「Immunofluorescence and Related Techniques (Elsevier/North Holland Biomedical Press、215〜225頁(1978年))」記載の方法を利用することができる。
【0023】
更に、本発明の抗体として、上記のようなIgG画分または特異的ポリクローナル抗体の他、それらの抗体を酵素消化処理して得られるような当該抗体の反応性フラグメントも用いることもできる。当該抗体フラグメントの例には、Fabフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab’)フラグメント、F(v)フラグメント、H鎖モノマー又はダイマー、L鎖モノマー又はダイマー、1個のH鎖及び1個のL鎖からなるダイマー等が含まれる。該フラグメントは、例えばペプシンやパパイン等のプロテアーゼにより完全な抗体を消化するか、消化後、必要に応じて還元剤で処理することにより得ることができる。H鎖及びL鎖モノマーは、完全な抗体をジチオスレイトール等の還元剤で処理した後、精製した鎖状体を分離することにより得ることもできる。
【0024】
上記の抗体又は抗体フラグメントを用いて、本発明の、落花生を主体とする食品原材料の食品への混入が検査され得る。当該検査法によれば、従来のArahIIのみを抗原として用いて得られた抗体を使用する検査法に比べて高い感度で食品中の落花生を主体とする成分を検出することが可能になる。検査の試料としては、食品の抽出液を用いるのが好適である。すなわち、検体となる食品を当業者に公知の抽出用溶媒、例えば任意に界面活性剤を含むリン酸緩衝液等に浸責し、市販のホモジェナイザー或いは超音波震動器を用いて所定時間処理することによりその成分を十分に抽出した後、不溶物を遠心分離等の手段を用いて除去して試料用の食品抽出液を得ることができる。次いで、当該抽出液は本発明の抗体と接触させられ、その特異的結合反応を検出することにより免疫学的測定が行われる。なお、食品が液状であれば、特別な抽出操作が必要とされないことはいうまでもない。
【0025】
免疫学的測定の例としては、いわゆる競合アッセイ法やサンドウィッチアッセイ法があげられるが、試薬の調製の便等を考慮してサンドウィッチ法が好ましい。当該サンドウイッチアッセイの一例では、本発明の1の抗体或いは抗体の一部がウェル底面などの固相のコーティングに用いられてキャプチャー側抗体を提供し、その他の抗体或いは抗体のもう一方の一部が放射性物質や着色粒子又は酵素で標識されて検出側抗体を提供する。キャプチャー側抗体を有するウェル内に上記試料用の食品抽出液が添加され、所定時間インキュベートされた後、該抽出液をウェルから取り除き、好適な緩衝液等によりウェル内を充分に洗浄後、検出側の抗体がウェルに添加される。所定のインキュベーションの後、ウェル内を洗浄し、キャプチャー側抗体−測定対象物−検出側抗体複合体の生成を検出する。検出は、検出側抗体に標識された標識物質の性質に依存し、放射性標識であれば放射線量が、着色粒子標識であれば発色量や吸光度が、また酵素標識(ELISA法)であれば、更に適当な基質をウェルに添加し、所定のインキュベーション後の吸光度が検出される。なお、上記ELISA法で酵素標識に用いる酵素に特に制限はなく、例えば西洋ワサビペルオキシダーゼやアルカリ性フォスファターゼ等の酵素が有利に使用される。西洋ワサビペルオキシダーゼで標識する場合は、当該酵素の基質として3,3’,5,5’−テトラメチルベンチジン等がその基質として利用可能である。アルカリ性フォスファターゼを使用する場合は、基質としてp−ニトロフェニル燐酸が基質としてあげられる。上記の免疫学的測定結果に基づき、落花生を主体とする食品原材料の食品への混入が検査され得る。
【0026】
本発明の検査方法は、本発明の抗体を含むキットを用いて容易に実施することができる。サンドウィッチ法に基づくELISA用キットの例では、キャプチャー用としての本発明の抗体からなる試薬と、検出用としての酵素標識した本発明の抗体からなる試薬及び適切な酵素基質がキットに含まれ得る。洗浄用の緩衝液や、ウェルへの非特異的吸着を抑制するブロッキング用試薬等が更に含まれてもよい。そのようなキットの構成及びその製造方法は当業者にとって公知であろう。
【0027】
以下、本発明を実施例により更に詳しく説明するが、本実施例は本発明を何ら限定するものではない。
【0028】
【実施例】
実施例1:落花生の30〜100kDに相当するタンパク質画分の調製
熱処理していない落花生の子実を乳鉢ですり潰し、その重量に対して5倍量の0.5M塩化ナトリウムを含む20mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.4)を加えて市販のホモゲナイザーで更に破砕し、落花生子実の成分を抽出した。該抽出物を遠心分離後、上清を回収し、これをゲル濾過カラム(スーパーデックスG−200:Amersham Pharmacia社製)に供して、20mMリン酸緩衝液(pH7.4)で溶出することで分子量に基づく分画を行った。分子量として30〜100kDの範囲に溶出される画分を分取して本発明のタンパク質画分を調製した。
【0029】
実施例2:抗体の調製
実施例1で分取したタンパク質画分について、フロイントのアジュバントを用いてエマルジョンを作製し、当該エマルジョンをウサギの皮下に注射して免疫した。免疫は、一回あたり1mgの上記タンパク質画分が投与されるように行い、一週間おきに5回投与を行った。最終免疫終了の一週間後に、免疫したウサギの全血を採集し、抗血清を調製した。当該抗血清からの本発明の抗体の調製は、以下の手順に従った。すなわち、上記ウサギの免疫に用いたタンパク質画分をHiTrap NHS−activated(Amersham Pharmacia社製)に共有結合で固相化し、該固相化樹脂に上記抗血清を供した。ついで、当該固相化樹脂上のタンパク質画分に結合した抗体を、pH2.7に調製した0.1M Gly−HClで溶出して、本発明の抗体を得た。
【0030】
実施例3:落花生を主体とする食品原材料の分析
a)分析方法
上記の抗体を用いて、以下の手順によりサンドウィッチアッセイを実施した。まず、実施例2で得られた抗体を炭酸緩衝液(pH9.6)に溶解した後、該溶液をマイクロプレートの各ウェルに100μlづつ分注し、ついで、該マイクロプレートを常温で2時間静置することにより抗体の固相化を行った。更に、各ウェル内を洗浄液(0.05% Tween20/PBS)で洗浄後、ブロッキング溶液(0.1% BSA/PBS)の200μlをウェルに分注し、常温で2時間静置した。静置後、ブロッキング溶液をウェルから取り除き、ウェルを乾燥して、キャプチャー側としての抗体によるウェルのコーティングを完了した。標識抗体も実施例2の抗体を用いてナカネ法により作成した。すなわち、実施例2で得られた抗体を炭酸水素ナトリウム溶液(pH9.6)に溶解し、抗体と同重量の活性化PODを該溶液に添加して、遮光下で、抗体と活性化PODのカップリング反応を行った。水素化ホウ素ナトリウムを添加して反応を停止させ、得られた標識抗体を緩衝液に対して透析して、検出側の酵素標識抗体を得た。
【0031】
上記キャプチャー側抗体及び検出側抗体を用いるサンドウィッチアッセイは以下の手順で行った。すなわち、上記キャプチャー側抗体が固相化されたウェルに100μlの標準溶液または試料溶液を添加し、常温で正確に1時間静置して反応を行わせた。反応後、各ウェルを洗浄液(0.05% Tween20/PBS)で洗浄し、ついで、酵素標識抗体溶液の100μlを該ウェルに分注した。分注後、常温で正確に30分間静置して反応を進行させ、その後ウェルを上記の洗浄液で洗浄し、ついで、100μlの酵素基質(TMB)溶液を各ウェルに添加した。常温、遮光下で正確に10分間静置して酵素−基質反応を行わせ、該反応を、100μlの反応停止液(1N 硫酸)をウェルに添加することにより停止させた。その後、各ウェルの吸光度を測定した。
【0032】
上記の分析方法による標準タンパク質(落花生タンパク質)の分析例を表1に示す。
【0033】
【表1】
Figure 0003853692
標準タンパク質の分析例から、本発明の抗体を用いれば、落花生タンパク質を1ng/mlという低濃度から正確且つ高感度に分析できることがわかる。
【0034】
b)試料溶液の調製方法
本発明の抗体を用いた食品分析の実施例においては、以下の方法により検体となる食品等からの試料溶液を調製した。すなわち、まず、検体となる食品を、それが均一となるように市販のミキサーで、充分、粉砕した。ミキサーでの処理後、検体を2g秤取し、これに40mlの検体希釈液(PBS)を加え、ついで、市販のホモゲナイザーを用いて30秒間攪拌した。当該攪拌操作を3回繰り返した後、得られた液を3,000xgで10分間遠心分離し、上清を分取した。該上清をろ紙により濾過して試料溶液とした。
【0035】
c)食品の分析への応用
上記a)およびb)の方法に従って、市販の食品を分析した。検体とした食品は、チョコボール(商品名、森永製菓株式会社製:原材料;ピーナッツ、砂糖、食用油脂、カカオマス、全粉乳、でん粉、小麦粉、ココアバター、水あめ、脱脂粉乳、光沢剤、乳化剤、香料)である。分析の結果、該食品中で1200ppm(0.12g/100g)の落花生タンパク質が検出された。
【0036】
【発明の効果】
本発明の抗体及びそれを用いた測定方法によれば、食品への落花生を主体とする食品原材料の混入を極めて高感度に且つ正確に測定することができ、消費者にとってはその商品選択の幅を不必要に束縛されることなく信頼性の高い情報を得ることが可能になり、製造者にとっても自己の製品の安全性確保と、検査の効率化を図ることができる。

Claims (7)

  1. 落花生を主体とする食品原材料の食品への混入を検査するための抗体であって、該抗体は落花生の30〜100kDに相当するタンパク質画分を主体とする抗原により免疫化した哺乳動物の血清から得られる当該血清のIgG画分又はポリクローナル抗体であることを特徴とする、前記抗体。
  2. 前記哺乳動物がウサギであることを特徴とする請求項1に記載の抗体。
  3. 抗体が抗体フラグメントの形態である請求項1又は2に記載の抗体。
  4. 落花生を主体とする食品原材料の食品への混入を検査するための方法であって、該方法は請求項1乃至3のいずれか一項に記載の抗体を用いた免疫学的測定を実施することを特徴とする、前記方法。
  5. 落花生を主体とする食品原材料の食品への混入を検査するためのキットであって、該キットは請求項1乃至3のいずれか一項に記載の抗体を含むことを特徴とする、前記キット。
  6. サンドウィッチアッセイ法を利用することを特徴とする請求項5に記載のキット。
  7. ELISA法を利用することを特徴とする請求項5又は6に記載のキット。
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