JP2003293817A - エンジンの制御装置 - Google Patents

エンジンの制御装置

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JP2003293817A JP2002094385A JP2002094385A JP2003293817A JP 2003293817 A JP2003293817 A JP 2003293817A JP 2002094385 A JP2002094385 A JP 2002094385A JP 2002094385 A JP2002094385 A JP 2002094385A JP 2003293817 A JP2003293817 A JP 2003293817A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 予混合燃焼の割合が拡散燃焼の割合よりも多
い予混合圧縮着火燃焼がTDC付近から開始するよう
に、圧縮行程上死点よりも前の早い時期に燃料を筒内に
噴射するとともに設定量以上の排気を還流させるように
したエンジンの燃焼制御装置において、トラクション制
御が開始されたときのエンジン出力の調節を容易にす
る。 【解決手段】 予混合圧縮着火燃焼が実行されていると
きに、トラクション制御開始されたときは、排気還流量
が減少するようにEGR弁85を作動させるとともに、
拡散燃焼を主体とするディーゼル燃焼を生ずるように燃
料噴射弁55を作動させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はエンジンの制御装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、直噴式ディーゼルエンジンで
は、気筒の圧縮行程上死点近傍で高温高圧の燃焼室に燃
料を噴射して、自着火により燃焼させるようにしてい
る。このとき、燃焼室に噴射された燃料は高密度の空気
との衝突によって微細な液滴に分裂(霧化)しながら進
行し、略円錐状の燃料噴霧を形成するとともに、その燃
料液滴の表面から気化しつつ燃料噴霧の主に先端側や外
周側で周囲の空気を巻き込んで混合気を形成し、この混
合気の濃度及び温度が着火に必要な状態になったところ
で燃焼を開始する(予混合燃焼)。そして、そのように
して着火、即ち燃焼を開始した部分が核となり、周囲の
燃料蒸気及び空気を巻き込みながら拡散燃焼すると考え
られている。
【0003】そのような通常のディーゼルエンジンの燃
焼(以下、単にディーゼル燃焼ともいう)では、初期の
予混合燃焼に続いて大部分の燃料が拡散燃焼することに
なるが、この際、濃度の不均質な燃料噴霧(混合気)の
中で空気過剰率λが1に近い部分では急激な熱発生に伴
い窒素酸化物(NOx)が生成され、また、燃料の過濃
な部分では酸素不足によって煤が生成されることにな
る。この点について、NOxや煤を低減するために排気
の一部を吸気に還流させる(Exhaust Gas recirculatio
n:以下、単にEGRという)ことや燃料の噴射圧力を
高めることが従来から行われている。
【0004】そのようにEGRによって不活性な排気を
吸気系に還流させると、燃焼温度が低下してNOxの生
成が抑えられる一方で、吸気中の酸素が減ることになる
から、多量のEGRは煤の生成を助長する結果となる。
また、燃料噴射圧力を高めると、燃料噴霧の微粒化が促
進されるとともに、その貫徹力が大きくなって空気利用
率が向上するので、煤の生成は抑制されるが、NOxは
むしろ生成し易い状況になる。つまり、ディーゼル燃焼
においてはNOxの低減と煤の低減とがトレードオフの
関係にあり、両者を同時に低減することは難しいのが実
状である。
【0005】これに対し、近年、燃料の噴射時期を大幅
に進角させて、予混合燃焼が主体の燃焼状態とすること
により、NOxと煤とを同時に且つ格段に低減できる新
しい燃焼の形態が提案されており、一般に予混合圧縮着
火燃焼と呼ばれるものが公知である。特開2000−1
10669号公報に記載のディーゼルエンジンでは、E
GRによって多量の排気を還流させるとともに、気筒の
圧縮行程で燃料を噴射して空気と十分に混合し、この予
混合気を圧縮行程の終わりに自着火させて、燃焼させる
ようにしている。
【0006】そのような予混合燃焼(予御合圧縮着火燃
焼)のときには、EGRによって吸気中に還流させる排
気の割合(EGR率)を上述したディーゼル燃焼のとき
よりも一段、高くするのが好ましい。すなわち、空気に
比べて熱容量の大きい排気を吸気中に多量に混在させ、
予混合気中の燃料及び酸素の密度を低下させることで、
着火遅れ時間を延長して予混合気の着火タイミングを圧
縮上死点(TDC)近傍に制御することができる。しか
も、その予混合気中では燃料及び酸素の周囲に不活性な
排気が略均一に分散し、これが燃焼熱を吸収することに
なるので、NOxの生成が大幅に抑制されるのである。
【0007】但し、EGRによって吸気中の排気の還流
割合が多くなるということは、その分、空気の量が少な
くなるということなので、予混合圧縮着火燃焼をエンジ
ンの高負荷側で実現することは困難であると考えられて
いる。このため、従来は、低負荷側の運転領域では前記
の如く予混合圧縮着火燃焼とし、この際、EGR率は比
較的高い第1の設定値以上に制御する一方、高負荷側の
運転領域では燃料の噴射態様を切換えてディーゼル燃焼
となるようにTDC近傍で噴射させるようにしており、
この際、EGR率は、煤の増大を回避すべく前記第1の
設定値よりも小さい第2の設定値以下に制御するように
している。
【0008】また、特開2000−8929号公報に
は、燃料の一部を吸気行程から圧縮行程にかけて筒内に
噴射し空気と混合させて希薄予混合気を形成させ、残り
の燃料を着火時期に筒内へ点火用燃料として噴射するよ
うにした予混合燃焼方法において、予混合気形成用の燃
料を複数回に分割して噴射することにより、正規の着火
以前の自着火を防止することが記載されている。
【0009】また、特開平11−159369号公報に
は、EGR率を70%以上にし且つ圧縮行程上死点前に
燃料を筒内に噴射して燃焼させる第1の燃焼と、EGR
率を30〜50%にし且つ圧縮行程上死点付近で燃料を
筒内に噴射して燃焼させる第2の燃焼とを選択的に行な
うようにした圧縮着火式内燃機関において、排気通路の
触媒温度が低いときは第2の燃焼形態から第1の燃焼形
態に切り換えて排気温度を上昇させることが記載されて
いる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ところで、車両の発進
性ないし加速性を向上させるトラクションコントロール
では、駆動輪の過度のスリップを抑えるためにエンジン
出力を調節することが行なわれている。また、車両の旋
回走行時に過度のオーバーステア傾向になったり、過度
のアンダーステア傾向になることを防止して旋回走行性
を高めるダイナミックスタビリティコントロールにおい
ても、エンジン出力を調節することが行なわれる。
【0011】しかし、このような走行状態制御のための
エンジン出力の調節を、前記予混合圧縮着火燃焼形態を
とっているときに行なうと、この燃焼形態が排気を多量
に還流させて行なう低温燃焼であることから、エンジン
の失火を招く懸念があり、エンジン出力の調節幅が制限
され、所期の走行状態制御を行なうことが難しい、とい
う問題がある。本発明はこのようなエンジン出力の調節
による走行状態の制御を行なう場合に生ずる問題に対策
することを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題に対
して、エンジンが予混合圧縮着火燃焼を実行すべき運転
状態にあるときでも、前記走行状態制御を行なうときは
ディーゼル燃焼を実行してエンジン出力の調節を容易に
するものである。
【0013】すなわち、請求項1に係る発明は、エンジ
ンの気筒内の燃焼室に臨む燃料噴射弁と、前記燃焼室へ
の排気の還流量を調節する排気還流量調節手段と、エン
ジンの燃焼形態として、燃料が吸気行程ないし圧縮行程
で噴射され且つ排気の還流量に関するEGR値が第1の
設定値以上になって予混合燃焼が圧縮行程上死点付近か
ら開始され且つ該予混合燃焼の割合が拡散燃焼の割合よ
りも多くなる第1の燃焼形態と、燃料が圧縮行程上死点
付近で噴射され且つ前記EGR値が前記第2の設定値以
下になって拡散燃焼の割合が予混合燃焼の割合よりも多
くなる第2の燃焼形態とをとることができるように、前
記燃料噴射弁及び排気還流量調節手段を制御する燃焼制
御手段とを備えている車両のエンジンの制御装置におい
て、エンジン出力の調節によって車両の走行状態を制御
する走行状態制御手段と、前記燃焼制御手段は、前記走
行状態制御手段がエンジン出力の調節を必要とするとき
には、前記第2の燃焼形態となるように前記燃料噴射弁
及び排気還流量調節手段を制御することを特徴とする。
【0014】従って、車両の走行状態の制御のためにエ
ンジン出力の調節、すなわち、燃料噴射量の低減ないし
は増減を行なっても、エンジンの燃焼形態は燃焼性の良
い拡散燃焼を主体とする第2の燃焼形態となるから、失
火が避けられ、所期の走行状態を制御を行なう上で有利
になる。
【0015】請求項2に係る発明は、請求項1に記載さ
れているエンジンの制御装置において、前記走行状態制
御手段は、エンジン出力による走行状態の非制御中に駆
動輪に所定レベル以上のスリップを生じたときにエンジ
ン出力を所定量低減させる制御を開始するものであり、
前記燃焼制御手段は、前記走行状態制御手段による前記
エンジン出力の低減が開始されたときに前記第2の燃焼
形態となるように前記燃料噴射弁及び排気還流量調節手
段を制御することを特徴とする。
【0016】すなわち、前記走行状態制御手段は車両の
トラクションをコントロールするものであり、駆動輪に
過大なスリップを発生してエンジン出力の低減が開始さ
れると、燃焼性の良い第2の燃焼形態となるから、その
出力低減によるエンジンの失火が防止される。
【0017】また、エンジン出力による走行状態の非制
御中に駆動輪に所定レベル以上のスリップを生ずるの
は、車両の発進時又は低回転低負荷の運転からの加速時
であることが多い。従って、エンジンの低回転低負荷の
運転状態において第1の燃焼形態をとり、高回転高負荷
の運転状態で第2の燃焼形態をとるようにしている場
合、エンジンの低回転低負荷の運転状態において前記エ
ンジン出力の低減開始により第1の燃焼形態から第2の
燃焼形態に移行することになり、煤の発生量の増大を抑
える上で有利になる。すなわち、低回転低負荷時であれ
ば、拡散燃焼を主体とする第2の燃焼形態に移行して
も、その移行の際の燃料噴射量は少なく、また、排気の
還流量も多くないことから、拡散燃焼によって煤の生成
が盛んになっても、煤排出量はそれほど多くならない。
【0018】請求項3に係る発明は、請求項2に記載さ
れているエンジンの制御装置において、前記走行状態制
御手段は、前記エンジン出力の低減により、前記駆動輪
のスリップ量の増大が収まった後、前記エンジン出力を
調節して前記駆動輪のスリップ率が目標スリップ率にな
るようにフィードバック制御するものであり、前記燃焼
制御手段は、少なくとも前記走行状態制御手段による前
記エンジン出力の低減開始から前記フィードバック制御
の終了までは、前記第2の燃焼形態となるように前記燃
料噴射弁及び排気還流量調節手段を制御することを特徴
とする。
【0019】従って、スリップ率のフィードバック制御
のために燃料噴射量の増減を行なっても、拡散燃焼を主
体とする第2の燃焼形態をとっているから、エンジンの
失火を招くことを避けながら、所期の走行状態制御を行
なう上で有利になる。
【0020】請求項4に係る発明は、請求項1乃至請求
項3のいずれか一に記載されているエンジンの制御装置
において、前記燃焼制御手段は、前記第1の燃焼形態か
ら前記第2の燃焼形態に切り換えるときは、前記EGR
値が前記第1の設定値以上の状態から前記第2の設定値
以下の状態になるように前記排気還流量調節手段を作動
させる一方、燃料が膨張行程の所定時期に噴射されて予
混合燃焼の割合が拡散燃焼の割合よりも多い第3の燃焼
形態となった後、燃料が圧縮行程上死点付近で噴射され
て前記第2の燃焼形態に切り換わるように前記燃料噴射
弁を作動させることを特徴とする。
【0021】すなわち、前記第1の燃焼形態から第2の
燃焼形態に移行するには、燃料噴射時期を圧縮行程上死
点前の早期噴射から圧縮行程上死点付近での噴射に変更
するだけでなく、排気の還流量に関するEGR値も第1
の設定値以上の状態から第2の設定値以下の状態に変更
する必要があるが、このEGR値の変更は遅れる。その
場合、排気還流量が多いにも拘わらず、噴射時期が遅角
された状態になって着火遅れ時間が確保できず、燃料と
空気との混合が不充分になって煤生成量が増大するとと
もに、トルクショックを招き易くなる。
【0022】そこで、本発明は、前記第1の燃焼形態か
ら第2の燃焼形態に移行するときに途中で第3の燃焼形
態を経るようにしたものである。この第3の燃焼形態で
は、燃料が気筒の膨張行程の所定時期に噴射されるが、
膨張行程ではピストンの上死点からの下降に伴い燃焼室
の容積が増大して、その温度及び圧力が低下するので、
燃料の着火遅れ時間が長くなり、燃料と空気との十分な
混合が図れる。よって、予混合燃焼が主体となり、前記
第1の燃焼と同様にNOxや煤の生成を抑えることがで
きる。
【0023】尚、前記第3の燃焼状態では圧縮上死点後
に燃焼が開始することになるので、サイクル効率が低下
して燃費が悪化するきらいがある。そこで、EGR値が
第1及び第2設定値の中間の値にあるときの全期間で第
3の燃焼形態にするのではなく、例えば、特に煤の生成
が盛んになる所定範囲にあるときにのみ、第3の燃焼形
態にするようにしてもよい。
【0024】請求項5に係る発明は、請求項1乃至請求
項3のいずれか一に記載されているエンジンの制御装置
において、前記燃焼制御手段は、前記第1の燃焼形態か
ら前記第2の燃焼形態に切り換えるとき、前記EGR値
が前記第1及び第2設定値の間の所定値になった後に、
燃料が吸気行程ないし圧縮行程で噴射される噴射形態か
ら、燃料が圧縮行程上死点付近で噴射される噴射形態に
切り換わるように、前記燃料噴射弁及び排気還流量調節
手段を制御することを特徴とする。
【0025】従って、EGR値が過大な状態で第2の燃
焼形態となることが避けられ、過渡的な煤の増大を抑制
できる。
【0026】請求項6に係る発明は、請求項1乃至請求
項5のいずれか一に記載されているエンジンの制御装置
において、前記燃焼制御手段は、前記走行状態制御手段
がエンジン出力の調節を必要とするときには、前記第2
の燃焼形態による燃焼開始後の膨張行程又は排気行程に
おいてさらに燃料が後噴射されるように前記燃料噴射弁
を作動させることを特徴とする。
【0027】従って、第1の燃焼形態から第2の燃焼形
態に切り換わるとき、燃料噴射時期の切換えに対してE
GR値の変更が遅れて煤の生成が一時的に多くなって
も、膨張行程又は排気行程において後噴射される燃料の
着火燃焼により、煤の再燃焼が図れ、煤排出量が増大す
ることを防止することができる。また、走行状態制御の
ために燃料噴射量を調節してエンジン出力の増減を行な
う場合、燃料噴射量の増減に対してEGR値の変化が遅
れる場合でも、煤排出量が増大することを防止すること
ができる。
【0028】前記燃料の後噴射を圧縮行程上死点後10
度〜60度のクランク角度のときに実行するようにすれ
ばよい。なお、本明細書において、「〜」はその両側に
記載した数値(10度〜60度の場合は10度及び60
度)を含む範囲であることを意味する。
【0029】前記燃料の後噴射時期は、前記第2の燃焼
形態による熱発生率が所定値以下になったときに、特に
熱発生率が略零になった時点又は該時点から所定期間内
に当該後噴射燃料の燃焼が開始するように設定すること
が好ましい。
【0030】すなわち、第2の燃焼形態は拡散燃焼を主
体とするが、この拡散燃焼においては、筒内において局
所的に生じた過濃混合気の熱分解によって一次粒子が形
成され、これが重・縮合を繰り返すことによって煤の核
が生成し、それが高温雰囲気において成長・凝集するこ
とによって所謂煤を生ずると一般には考えられている。
また、このような煤核の成長・凝縮は、燃料の拡散燃焼
が終わりに近付く頃まで、つまり、熱発生率が略零にな
るまで続いていると考えられる。
【0031】これに対して、第2の燃焼の熱発生率が所
定値以下になったときに前記後噴射燃料の燃焼が開始す
るようにすれば、特に熱発生率が略零になった時点又は
該時点から所定期間内に当該後噴射燃料の燃焼が開始す
るようにすれば、拡散燃焼によって生ずる煤の再燃焼を
促してその量を低減する上で有利になる。
【0032】前記第2の燃焼の熱発生率が略零になった
時点又は該時点から所定期間内に前記後噴射の燃料の燃
焼が開始するとは、その熱発生率が零になった時点を中
心に例えばクランク角にして±5゜程度の範囲で又は±
3゜の範囲で後噴射燃料の燃焼が開始する、あるいはそ
れよりも少し遅れて後噴射燃料の燃焼が開始することを
意味する。
【0033】
【発明の効果】以上のように、請求項1に係る発明によ
れば、エンジンの燃焼形態として、燃料の早期噴射と多
量の排気還流とによって予混合燃焼の割合が拡散燃焼の
割合よりも多い第1の燃焼形態と、圧縮行程上死点付近
での燃料噴射と相対的に少ない排気還流量とによって拡
散燃焼の割合が予混合燃焼の割合よりも多い第2の燃焼
形態とをとることができるようにしたエンジンの制御装
置において、車両の走行状態制御手段がエンジン出力の
調節を必要とするときには、前記第2の燃焼形態となる
ようにしたから、エンジンの失火を避けながら、所期の
走行状態を制御を行なう上で有利になる。
【0034】請求項2に係る発明によれば、請求項1に
記載されているエンジンの制御装置において、エンジン
出力による走行状態の非制御中に駆動輪に所定レベル以
上のスリップを生じたときにエンジン出力を所定量低減
させる制御を開始するようにし、このエンジン出力の低
減が開始されたときに前記第2の燃焼形態となるように
したから、エンジン出力の低減によるエンジンの失火を
防止する上で有利になるとともに、エンジンの低回転低
負荷の運転状態において第1の燃焼形態から第2の燃焼
形態に移行することができるようになり、煤の発生量の
増大を抑える上で有利になる。
【0035】請求項3に係る発明によれば、請求項2に
記載されているエンジンの制御装置において、前記走行
状態制御手段による前記エンジン出力の低減開始から目
標スリップ率とするためのフィードバック制御の終了ま
で、前記第2の燃焼形態となるようにしたから、エンジ
ンの失火を招くことを避けながら、所期の走行状態制御
を行なう上で有利になる。
【0036】請求項4に係る発明によれば、請求項1乃
至請求項3のいずれか一に記載されているエンジンの制
御装置において、前記第1の燃焼形態から前記第2の燃
焼形態に切り換えるときに、燃料が膨張行程の所定時期
に噴射されて予混合燃焼の割合が拡散燃焼の割合よりも
多い第3の燃焼形態を経るようにしたから、EGR値の
変更遅れによる、煤生成量の増大を防止する上で有利に
なる。
【0037】請求項5に係る発明によれば、請求項1乃
至請求項3のいずれか一に記載されているエンジンの制
御装置において、前記第1の燃焼形態から前記第2の燃
焼形態に切り換えるとき、前記EGR値が前記第1及び
第2設定値の間の所定値になった後に、燃料の噴射形態
を切り換えるようにしたから、EGR値が過大な状態で
第2の燃焼形態となることが避けられ、過渡的な煤の増
大を抑制できる。
【0038】請求項6に係る発明によれば、請求項1乃
至請求項5のいずれか一に記載されているエンジンの制
御装置において、前記走行状態制御手段がエンジン出力
の調節を必要とするときには、前記第2の燃焼形態によ
る燃焼開始後に燃料の後噴射を実行するようにしたか
ら、第1の燃焼形態から第2の燃焼形態に切り換わると
きの煤排出量の増大を防止する上で有利になるととも
に、走行状態制御のための燃料噴射量の増減に対してE
GR値の変化が遅れる場合の煤排出量の増大を防止する
上でも有利になる。
【0039】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。
【0040】(全体構成)図1は走行状態制御手段を備
えた車両を示す。同図において、1は車体、2,2,…
は、前後左右の4つの車輪21FR,21FL,21RR,2
1RLに個別に配設された4つの液圧式ブレーキ(ホイー
ルシリンダ)、3は上記各ブレーキ2に圧液を供給する
ための加圧ユニット、4は該加圧ユニット3からの圧液
を上記各ブレーキ2に分配供給する液圧ユニット(Hudr
aulic Unit:以下HUという)である。5は加圧ユニッ
ト3及びHU4を介して各ブレーキ2の制御を行なうと
ともに、エンジン出力の制御を行なうメインコントロー
ラ、6は上記各車輪の車輪速を検出する車輪速センサ、
7は車両の横方向(左右方向)の加速度Yを検出する横
加速度センサ、8は車両のヨーレイトψ′を検出するヨ
ーレイトセンサ、9は前輪操舵角θH を検出する舵角セ
ンサ、10は運転者のブレーキ操作に応じた液圧を発生
するマスタシリンダ、11は多気筒のディーゼルエンジ
ン、12はオートマチックトランスミッション(AT)
である。13は燃料噴射弁の作動制御を行なってエンジ
ン運転状態を制御するエンジンコントローラである。
【0041】(走行状態制御系)図2に示すように、右
側前輪21FR及び左側後輪21RLの各ブレーキ2,2は
第1液圧管路22aによりマスタシリンダ10に接続さ
れ、左側前輪21FL及び右側後輪21RRの各ブレーキ
2,2は第2液圧管路22bによりマスタシリンダ10
に接続されて、所謂、X配管タイプの互いに独立した2
つのブレーキ系統が構成されており、ブレーキペダル1
4の踏み操作に応じて各車輪に制動力が付与されるよう
になっている。
【0042】上記加圧ユニット3は、液圧管路22a,
22bにそれぞれ接続された液圧ポンプ31a,31b
と、これらの液圧ポンプ31a,31b及びマスタシリ
ンダ10を断続可能なように液圧管路22a,22bの
各々に配設されたカットバルブ32a,32bと、これ
らのカットバルブ32a,32b及び上記マスタシリン
ダ10の間の液圧を検出する液圧センサ33とを備えて
いる。そして、コントローラ5からの信号に応じて上記
カットバルブ32a,32bが閉状態にされることで、
運転者によるブレーキ操作とは無関係に、上記液圧ポン
プ31a,31bから吐出される圧液がHU4を介して
各ブレーキ2に供給される。
【0043】上記HU4は、第1液圧管路22a又は第
2液圧管路22bを介して加圧ユニット3から供給され
る圧液を各ブレーキ2に供給して増圧させる加圧バルブ
41,41…と、上記各ブレーキ2をリザーバタンク4
2に接続し圧液を排出させて減圧する減圧バルブ43,
43…とを備えている。そして、コントローラ5からの
信号に応じて上記加圧バルブ41,41,…及び減圧バ
ルブ43,43,…の開度がそれぞれ独立に増減制御さ
れることで、上記ブレーキ2,2,…の液圧が増減され
て、各車輪21FR,21FL,…に付与される制動力がそ
れぞれ増減変更される。
【0044】図3に示すように、メインコントローラ5
は、車輪速センサ6、横加速度センサ7、ヨーレイトセ
ンサ8、舵角センサ9、液圧センサ33、及びブレーキ
ペダル14の踏み込みを検出するブレーキセンサ44か
らの各出力信号を受け入れる一方、各輪の制動力調節の
ために、加圧ユニット3の液圧ポンプ31a,31b及
びカットバルブ32a,32b、並びにHU4の加圧バ
ルブ41及び減圧バルブ42にそれぞれ作動信号を出力
する。また、メインコントローラ5は、エンジン出力調
節のために、エンジンコントローラ13に目標トルクを
出力し、エンジンコントローラ13からフィードバック
信号がメインコントローラ5に入力される。
【0045】(エンジン制御系)図4はエンジン制御系
Aを示す。ディーゼルエンジン11の各気筒52にはピ
ストン53が往復動可能に嵌挿されていて、このピスト
ン53とシリンダヘッドとにより各気筒52内に燃焼室
54が区画形成されている。また、燃焼室54の天井部
にはインジェクタ55(燃料噴射弁)が配設されてい
て、その先端部の噴口から高圧の燃料を燃焼室54に直
接、噴射するようになっている。一方、各気筒52毎の
インジェクタ55の基端部は、それぞれ分岐管56a
(1つのみ図示する)により共通の燃料供給管56(コ
モンレール)に接続されている。このコモンレール56
は、燃料供給管58により高圧供給ポンプ59に接続さ
れていて、該高圧供給ポンプ59から供給される燃料を
前記インジェクタ55に任意のタイミングで供給できる
ように高圧の状態で蓄えるものであり、その内部の燃圧
(コモンレール圧力)を検出するための燃圧センサ57
が配設されている。
【0046】前記高圧供給ポンプ59は、図示しない燃
料供給系に接続されるとともに、歯付ベルト等によりク
ランク軸60に駆動連結されていて、燃料をコモンレー
ル56に圧送するとともに、その燃料の一部を電磁弁を
介して燃料供給系に戻すことにより、コモンレール56
への燃料の供給量を調節するようになっている。この電
磁弁の開度が前記燃圧センサ57による検出値に応じて
ECU13(後述)により制御されることによって、燃
圧がエンジン1の運転状態に対応する所定値に制御され
る。
【0047】また、エンジン1の上部には、図示しない
が、吸気弁及び排気弁をそれぞれ開閉させる動弁機構が
配設されていて、各気筒52毎の吸気弁及び排気弁の閉
弁時期は、当該気筒52の実圧縮比、即ち、気筒52内
に吸入された気体が圧縮行程上死点において圧縮された
ときの実質的な圧縮比率が、略17以下になるように設
定されている。一方、エンジン11の下部には、クラン
ク軸60の回転角度を検出するクランク角センサ61
と、冷却水の温度を検出するエンジン水温センサ63と
が設けられている。前記クランク角センサ61は、詳細
は図示しないが、クランク軸端に設けた被検出用プレー
トとその外周に相対向するように配置した電磁ピックア
ップとからなり、前記被検出用プレートの外周部全周に
亘って等間隔に形成された突起部が通過する度に、パル
ス信号を出力するものである。
【0048】エンジン11の一側(図の右側)の側面に
は、各気筒52の燃焼室54に対しエアクリーナ65で
濾過した空気(新気)を供給するための吸気通路66が
接続されている。この吸気通路66の下流端部にはサー
ジタンク67が設けられ、このサージタンク67から分
岐した各通路がそれぞれ吸気ポートにより各気筒52の
燃焼室54に連通しているとともに、サージタンク67
には吸気の圧力状態を検出する吸気圧センサ68が設け
られている。
【0049】また、前記吸気通路66には、上流側から
下流側に向かって順に、外部からエンジン11に吸入さ
れる空気の流量を検出するホットフィルム式エアフロー
センサ69と、後述のタービン77により駆動されて吸
気を圧縮するコンプレッサ70と、このコンプレッサ7
0により圧縮した吸気を冷却するインタークーラ71
と、バタフライバルブからなる吸気絞り弁72とが設け
られている。この吸気絞り弁72は、弁軸がステッピン
グモータ73により回動されて、全閉から全開までの間
の任意の状態とされるものであり、全閉状態でも吸気絞
り弁72と吸気通路66の周壁との間には空気が流入す
るだけの間隙が残るように構成されている。
【0050】一方、エンジン11の反対側(図の左側)
の側面には、各気筒52の燃焼室54からそれぞれ燃焼
ガス(排気)を排出するように、排気通路76が接続さ
れている。この排気通路76の上流端部は各気筒72毎
に分岐して、それぞれ排気ポートにより燃焼室74に連
通する排気マニホルドであり、該排気マニホルドよりも
下流の排気通路76には上流側から下流側に向かって順
に、排気中の酸素濃度を検出するリニアO2センサ79
と、排気流を受けて回転されるタービン77と、排気中
の有害成分(未燃HC、CO、NOx、煤等)を浄化可
能な排気浄化手段としての触媒コンバータ78とが配設
されている。
【0051】前記タービン77と吸気通路66のコンプ
レッサ70とからなるターボ過給機80は、可動式のフ
ラップ81,81,…によりタービン77への排気の通
路断面積を変化させるようにした可変ターボ(以下VG
Tという)であり、前記フラップ81,81,…は各
々、図示しないリンク機構を介してダイヤフラム82に
駆動連結されていて、そのダイヤフラム82に作用する
負圧の大きさが負圧制御用の電磁弁83により調節され
ることで、該フラップ81,81,…の回動位置が調節
されるようになっている。尚、ターボ過給機は可変ター
ボでなくてもよい。
【0052】前記排気通路76には、タービン77より
も排気上流側の部位に臨んで開口するように、排気の一
部を吸気側に還流させるための排気還流通路(以下EG
R通路という)84の上流端が接続されている。このE
GR通路84の下流端は吸気絞り弁72及びサージタン
ク67の間の吸気通路66に接続されていて、排気通路
76から取り出された排気の一部を吸気通路66に還流
させるようになっている。また、EGR通路84の途中
には、その内部を流通する排気を冷却するためのEGR
クーラ87(冷却手段)と、開度調節可能な排気還流量
調節弁(以下EGR弁という)85とが配置されてい
る。このEGR弁85は負圧応動式のものであり、前記
VGT80のフラップ81,81,…と同様に、ダイヤ
フラムへの負圧の大きさが電磁弁86によって調節され
ることにより、EGR通路84の断面積をリニアに調節
して、吸気通路66に還流される排気の流量を調節する
ものである。尚、前記EGRクーラ87はなくてもよ
い。
【0053】そして、前記各インジェクタ55、高圧供
給ポンプ59、吸気絞り弁72、VGT80、EGR弁
85等は、いずれも燃焼制御手段としてのコントロール
ユニット(Electronic Contorol Unit:以下ECUとい
う)13からの制御信号を受けて作動する。一方、この
ECU13には、前記燃圧センサ57、クランク角セン
サ61、エンジン水温センサ63、吸気圧センサ68、
エアフローセンサ69、リニアO2センサ79等からの
出力信号がそれぞれ入力され、さらに、図示しないアク
セルペダルの踏み操作量(アクセル開度)を検出するア
クセル開度センサ89からの出力信号が入力される。
【0054】(エンジンの燃焼制御の概要)前記ECU
13によるエンジン1の基本的な制御は、主にアクセル
開度に基づいて基本的な目標燃料噴射量を決定し、イン
ジェクタ55の作動制御によって燃料の噴射量や噴射時
期を制御するとともに、高圧供給ポンプ59の作動制御
により燃圧、即ち燃量の噴射圧力を制御するというもの
である。また、吸気絞り弁72やEGR弁85の開度の
制御によって燃焼室54への排気の還流割合を制御し、
さらに、VGT80のフラップ81,81,…の作動制
御(VGT制御)によって吸気の過給効率を向上させ
る。
【0055】具体的には、例えば図5の制御マップ(燃
焼モードマップ)に示すように、エンジン11の温間の
全運転領域のうちの相対的に低回転ないし低負荷側に
は、予混合燃焼領域(H)が設定されていて、ここで
は、図6(a)〜(c)に模式的に示すように、インジェクタ
55により気筒52の圧縮行程中期から後期にかけて燃
料を噴射させ、予めできるだけ均質な混合気を形成した
上で自着火により燃焼させるようにしている(第1の運
転状態)。このような燃焼形態は、従来より予混合圧縮
着火燃焼と呼ばれており、気筒の1サイクル当たりの燃
料噴射量があまり多くないときにその燃料の噴射時期を
適切に設定して、燃料を適度に広く分散させ且つ空気と
十分に混合した上で、自着火させて一斉に燃焼させるも
のである。つまり、予混合圧縮着火燃焼は、予混合燃焼
の割合が拡散燃焼の割合よりも多い燃焼形態(第1の燃
焼形態)である。
【0056】尚、前記インジェクタ55による燃料の噴
射は、図6(a)に示すように1回で行うようにしてもよ
く、或いは同図(b)、(c)に示すように複数回に分けて行
うようにしてもよい。これは、気筒52の圧縮行程中期
から後期にかけて、即ち圧縮行程上死点近傍よりも気体
の圧力や密度状態が低い燃焼室54に燃料を噴射する場
合に、燃料噴霧の貫徹力が強くなり過ぎることを避ける
ためであり、従って、燃料噴射量が多いほど燃料噴射の
回数(分割回数)を増やすのが好ましい。
【0057】前記予混合圧縮着火燃焼の際には、EGR
通路84のEGR弁85を相対的に大きく開いて吸気通
路66に多量の排気を還流させるようにする。こうする
ことで、新気、即ち外部から供給される新しい空気に不
活性で熱容量の大きい排気が多量に混合され、これに対
して燃料の液滴及び蒸気が混合されることになるから、
予混合気自体の熱容量が大きくなるとともに、その中の
燃料及び酸素の密度は比較的低くなる。このことで、着
火遅れ時間を延長して空気と排気と燃料とを十分に混合
した上で、TDC近傍の最適なタイミングで着火させて
燃焼させることができる。
【0058】図7に示すグラフは、エンジン11の低負
荷域でBTDCの所定のクランク角(例えばBTDC3
0°CA)に燃料を噴射して予混合圧縮着火燃焼させた
ときに、熱発生のパターンがEGR率(吸気中の新気に
対する還流排気の割合)に応じてどのように変化するか
を示した実験結果である。同図に仮想線で示すように、
EGR率が低いときには燃料はTDCよりもかなり進角
側で自着火してしまい、サイクル効率の低い過早な熱発
生のパターンとなる。一方、EGR率が高くなるに連れ
て自着火のタイミングは徐々に遅角側に移動し、図に実
線で示すようにEGR率が略55%のときには、熱発生
のピークが略TDCになってサイクル効率の高い熱発生
パターンとなる。
【0059】また、前記図7のグラフによれば、EGR
率が低いときには熱発生のピークがかなり高くなってい
て、燃焼速度の高い激しい燃焼であることが分かる。こ
のときには燃焼に伴うNOxの生成が盛んになり、ま
た、極めて大きな燃焼音が発生する。一方、EGR率が
高くなるに連れて熱発生の立ち上がりが徐々に緩やかに
なり、そのピークも低下する。これは、前記の如く混合
気中に多量の排気が含まれる分だけ、燃料及び酸素の密
度が低くなることと、その排気によって燃焼熱が吸収さ
れることとによると考えられる。そして、そのように熱
発生の穏やかないわゆる低温燃焼ではNOxの生成が大
幅に抑制される。
【0060】図8に示すグラフは、前記の実験において
EGR率の変化に対する燃焼室54の空気過剰率λ、排
気中のNOx及び煤の濃度の変化を示し、同図(a)によ
れば、この実験条件においてEGR率が0%のときには
空気過剰率λがλ≒2.7と大きく、EGR率が大きく
なるに従い空気過剰率λが徐々に小さくなって、EGR
率が略55〜60%のときに略λ=1になっている。す
なわち、排気の還流割合が多くなるに連れて混合気の平
均的な空気過剰率λが1に近づくのであるが、たとえ燃
料及び空気の比率が略λ=1であっても、それらの周囲
には多量の排気が存在しているから、燃料や酸素の密度
自体はあまり高くはないのである。従って、同図(b)に
示すように、排気中のNOxの濃度はEGR率の増大と
ともに一様に減少していて、EGR率が45%以上では
NOxは殆ど生成しなくなる。
【0061】一方、煤の生成については、同図(c)に示
すように、EGR率が0〜略30%では殆ど煤が見られ
ず、EGR率が略30%を超えると煤の濃度が急激に増
大するが、EGR率が略50%を超えると再び減少し、
EGR率が略55%以上になると略零になる。これは次
のように考えられる。まず、EGR率が低いときは吸気
中には燃料に対して酸素が過剰に存在することから、着
火遅れ時間が短くても煤は殆ど生成しない。これに対し
て、EGR率が増大してくると、吸気中の酸素が少なく
なるにも拘わらず、着火遅れ時間は酸素と燃料とが十分
に混合する時間が得られるほどには長くならず、そのた
めに煤の生成量が急増する。一方、EGR率が略55%
以上になると、上述したように、着火遅れ時間がかなり
長くなるため、新気と排気と燃料とが十分に混合された
上で燃焼するようになり、煤は殆ど生成しない。
【0062】以上、要するに、この実施形態では、エン
ジン1が低負荷側の予混合燃焼領域(H)にあるとき
に、燃料を比較的早期に噴射するとともに、EGR弁8
5の開度を制御して、EGR率を予め設定した所定値
(第1設定値:前記の実験例では略55%くらい)以上
とすることで、NOxや煤の殆ど生成しない予混合燃焼
が主体の低温燃焼を実現するものである。
【0063】これに対し、前記図5の制御マップに示す
ように、予混合燃焼領域(H)以外の高回転ないし高負
荷側の運転領域(D)では、混合気の拡散燃焼の割合が
予混合燃焼の割合よりも多い一般的なディーゼル燃焼を
行うようにしている(第2の運転状態)。すなわち、図
6(d)に示すように、インジェクタ55により主にTD
C近傍で燃料を噴射させて、初期の予混合燃焼に続いて
大部分の混合気を拡散燃焼させるようにする(以下、こ
の運転領域(D)を拡散燃焼領域というが、この運転領
域では圧縮行程上死点近傍以外でも燃料を噴射するよう
にしてもよい)。このように拡散燃焼が主体の燃焼形態
により、高い出力が得られる。
【0064】その際、EGR弁85の開度は、前記した
予混合燃焼領域(H)に比べれば小さくして、EGR率
が予め設定した所定値(第2設定値)以下になるように
する。これは、拡散燃焼が主体の一般的なディーゼル燃
焼において煤の増大を招かない範囲で、NOxの生成を
できるだけ抑制するように設定されていて、具体的には
図9のグラフに一例を示すように、拡散燃焼領域(D)
におけるEGR率の上限は、例えば略30〜略40%の
範囲に設定されている。また、エンジン1の負荷が高く
なるほど気筒2への新気の供給量を確保する必要がある
ので、高負荷側ほどEGR率は低くなり、しかも、高速
ないし高負荷側ではターボ過給機80による吸気の過給
圧が高くなるので、排気の還流は実質的に行われない。
【0065】なお、ディーゼル燃焼としては、EGR率
を予混合圧縮着火燃焼のときよりは少ないが、比較的多
い状態(例えばEGR率が約40〜50%)とし、燃料
噴射時期を膨張行程で且つ失火を招かない範囲でできる
だけ遅らせて(例えば圧縮行程上死点後10゜CA程度
として)着火燃焼させるものであってもよい。
【0066】<本発明の特徴の詳細説明>本発明の特徴
とするところは、エンジン出力の調節によって車両の走
行状態を制御する場合に、エンジンの燃焼形態を適切な
ものにして、そのエンジン出力の調節に容易にし、所期
の走行状態制御を効率良く行なうことができるようにし
た点にある。特に、エンジンの失火や煤排出量の増大を
招くことなく、走行状態の制御のためのエンジン出力調
節を可能にしている。以下、具体的に説明する。
【0067】(走行状態制御(トラクション制御))車
両発進時又は加速時に駆動輪に過大なスリップを発生し
たとき、このスリップをエンジン出力の調節によって抑
制し、目標スリップ率となるようにするトラクション制
御について、図10に示す制御フローに従って説明す
る。
【0068】スタート後のステップSA1では、車輪速
センサ6からの信号、ブレーキセンサ44からの信号等
を入力し(データ入力)、また、ECU13のメモリに
記憶されている各種フラグの値を読み込む。続くステッ
プSA2で駆動輪21RR,21RLの実スリップ率SLを
算出する。この実スリップ率SLには、車体速(従動輪
21FR,21FLの車輪速の略平均値)に対する各駆動輪
21RR,21RLの車輪速の比のうちの大きい方が与えら
れる。
【0069】続くステップSA3では、実スリップ率S
Lが所定の制御開始閾値SL1を越えているか否かを判
定する。この制御開始閾値SL1は、路面摩擦係数(以
下、路面μという。)と車体速とに基づいて、路面μが
高くなるほど、また車体速が低くなるほど高くなるよう
に設定するものであり、後述する目標スリップ率SL2
よりは高めに設定されている。図11には参考のために
制御開始閾値SL1に対応する車輪速SL1*と、目標ス
リップ率SL2に対応する車輪速SL2*とを示してい
る。また、路面μは、トラクション非制御中の実スリッ
プ率等に基づいて周知の手法により求める。
【0070】実スリップ率SLが所定の制御開始閾値S
L1を越えているときはステップSA4に進み、トラク
ション制御中であることを表すフラグFが設定されてい
るか否かを判定する。設定されていないとき(F≠1)
はステップSA5に進んでフラグ設定をして(F=1)
ステップSA6に進み、既にフラグ設定されているとき
(制御中)はそのままステップSA6に進む。
【0071】ステップSA6では、実スリップ率SLの
変化量ΔSL(今回のスリップ率から前回の実スリップ
率を減算した値)が所定値ΔSL0よりも大であるか否
かを判定する。所定値ΔSL0は図11に示す駆動輪車
輪速が所定速度で減少していくときの傾きΔSL0*に対
応する負の値である。従って、実スリップ率が増大して
いる間はΔSL>ΔSL0であり、実スリップ率の増大
が収まって減少に転じ、その減少度合が大きくなったと
きにΔSL≦ΔSL0となる。
【0072】ステップSA6においてΔSL>ΔSL0
であるときはステップSA7に進んで、エンジン出力を
フィードフォワードで低減させるための目標トルクTrt
FFを設定する。実スリップ率の増大を速やかに抑えるた
めである。目標トルクTrtFFは、図12に示すように、
実スリップ率SLが制御開始閾値SL1になったときの
実スリップ率変化量ΔSLに基づいて、ΔSLが大きい
ほど低い値になるように設定する。続くステップSA8
で目標トルクTrtFFをトラクション制御用の目標トルク
Trtとする。
【0073】一方、ステップSA3で実スリップ率SL
が所定の制御開始閾値SL1以下であるときは、ステッ
プSA9に進み、トラクション制御中(F=1)か否か
を判定し、制御中でなければリターンする。制御中であ
れば、ステップSA10に進み、ブレーキセンサ44の
信号に基づいて運転者によりブレーキペダル14が踏ま
れているか否かを判定する。また、先のステップSA6
でΔSL≦ΔSL0であるときもステップSA10に進
む。ブレーキペダル14が踏まれている場合は、スリッ
プ率の増大はなくなるので、ステップSA18に進んで
トラクション制御を終了する。
【0074】ステップSA10でブレーキペダル14が
踏まれていないと判定されたときは、ステップSA11
に進んで目標スリップ率SL2が設定されているか否か
を判定し、設定されていなければ、ステップSA12に
進んでその設定を行なう。設定済みのときはステップS
A13に進む。目標スリップ率SL2は、路面μと車体
速とに基づいて、路面μが高くなるほど、また車体速が
低くなるほど高くなるように設定する。
【0075】ステップSA13では、実スリップ率SL
の目標スリップ率SL2からの偏差difSL(=SL2−
SL)を算出し、続くステップSA14で偏差difSL
の前回偏差difSLからの変化量が所定値以下か否かを
判定する。偏差difSLの変化が小さい場合は、ステッ
プSA15に進んで偏差difSLが所定値difSL0より
も大きいか否かを判定する。偏差difSLの変化が小さ
く且つ偏差difSLが所定値difSL0以下のときは、実
スリップ率SLが目標スリップ率SL0に収束したとし
てステップSA18に進んで制御を終了し(F=0と
し)、そうでない場合はステップSA16に進んで実ス
リップ率SLを目標スリップ率SL0に収束させるため
のフィードバック制御用の目標トルクTrtFBを設定す
る。
【0076】フィードバック制御用の目標トルクTrtFB
の設定にあたっては、まず、前記偏差difSLに基づい
て目標トルク補正量ΔTrtを求める。この補正量ΔTrt
は、図13に示すように偏差difSLがプラス(+)に大
きいほどΔTrtがプラス(+)に大きくなり、偏差difS
Lがマイナス(−)に大きいほどΔTrtがマイナス(−)に
大きくなるように設定されている。但し、プラス側及び
マイナス側の各ΔTrtには限界値が設けられている。そ
うして、前回の目標トルクTrtFBに補正量ΔTrtを加算
することにより、今回の目標トルクTrtFBを設定する。
そして、続くステップSA17で当該目標トルクTrtFB
をトラクション制御用の目標トルクTrtとして設定す
る。
【0077】図10に示す制御フローによって、エンジ
ン出力の調節によって車両の走行状態を制御する走行状
態制御手段、すなわち、本形態ではトラクション制御手
段が構成されている。なお、上述のエンジン出力の制御
と共に駆動輪に対する制動量の制御を行なう。
【0078】(燃料噴射制御)次に、前記ECU13に
よるインジェクタ5の具体的な制御手順を図14に示す
制御フローに基づいて説明する。スタート後のステップ
SB1において、少なくとも、燃圧センサ57からの信
号、クランク角センサ61からの信号、吸気圧センサ6
8からの信号、エアフローセンサ69からの信号、アク
セル開度センサ89からの信号等を入力し(データ入
力)、また、ECU13のメモリに記憶されている各種
フラグの値を読み込む。続いて、ステップSB2におい
て、クランク角信号から求めたエンジン回転速度Neと
アクセル開度Accとに基づいてエンジン11の目標トル
クTrを目標トルクマップから読み込んで設定する。こ
の目標トルクマップは、アクセル開度Accとエンジン回
転速度Neとに対応する最適な値を予め実験的に求めて
設定して、ECU40のメモリに電子的に格納したもの
であり、アクセル開度Accが大きいほど、またエンジン
回転速度Neが高いほど、目標トルクTrが大きくなって
いる。
【0079】続いて、ステップSB3において、燃焼モ
ードマップ(図5参照)を参照してエンジン11の燃焼
モードを判定する。すなわち、目標トルクTrとエンジ
ン回転速度Neとに基づいてエンジン11が予混合燃焼
領域(H)にあるかどうか判定する。予混合燃焼領域
(H)であるときはステップSB4に進み、トラクショ
ン制御中か否かをフラグFにより判定する。制御中であ
れば(F=1)、ステップSB5に進んでトラクション
制御用の目標トルクTrtを目標トルクTrとして設定す
る。
【0080】続くステップSB6では前回がトラクショ
ン制御中でない(F≠1)か否かを判定する。トラクシ
ョン制御中でなければ、ステップSB7に進んで予混合
圧縮着火燃焼からディーゼル燃焼への燃料噴射形態の切
換えを実行するためのEGR率EGR0を設定する。この切
換え実行EGR率EGR0は、トラクション制御開始時のエ
ンジン運転状態(目標トルクTr及びエンジン回転速度
Ne)に基づいて、当該噴射形態の切換えを実行したと
きに煤生成量が大きく増大しない値に設定する。
【0081】すなわち、図15に例示するように、予混
合圧縮着火燃焼及びディーゼル燃焼の各々における煤生
成量は、EGR率によって異なるとともに、エンジン運
転状態によっても異なる。予混合圧縮着火燃焼からディ
ーゼル燃焼への燃料噴射形態の切換えは、エンジン運転
状態に応じて設定される前記第1設定値と第2設定値と
の中間のEGR率のときに行なうことを基本とするが、
この切換え時に煤生成量が大きく増大しないようにしな
ければならない。
【0082】そこで、予混合圧縮着火燃焼においてEG
R率を第1設定値以上の値に設定した状態から漸次減少
させていったときに、煤生成量がディーゼル燃焼での煤
生成量と略同じになるEGR率を目安として、それより
も若干高めのEGR率のときに燃料噴射形態の切換えを
行なうようにするものである。その場合は、EGR率の
変化に伴って燃焼形態は矢符で示すように切り換わるこ
とになり、煤生成量が大きく増大することが避けられ
る。
【0083】そうして、前記煤生成量が略同じになるE
GR率はエンジン運転状態に応じて異なることから、予
め最適な切換え実行EGR率EGR0を目標トルクTr及び
エンジン回転速度Neに対応付けて実験により求めてマ
ップ化しておき、このマップににより、前記トラクショ
ン制御開始時のエンジン運転状態に基づいて切換え実行
EGR率EGR0を設定するものである。
【0084】続くステップSB8において実EGR率が
前記切換え実行EGR率EGR0よりも大きいか否かを判定
し、大きいときはステップSB9に進んで予混合圧縮着
火燃焼用の燃料噴射形態を設定して当該形態での噴射を
実行する(ステップSB10)。実EGR率が前記切換
え実行EGR率EGR0以下になれば、ステップSB11に
進んでディーゼル燃焼用の燃料噴射形態を設定し、すな
わち、予混合圧縮着火燃焼形態からディーゼル燃焼形態
に切り換えて、噴射を実行する。
【0085】ステップSB3においてエンジン11の運
転状態が拡散燃焼領域(D)にあると判定されたとき
も、ステップSB11に進み、ディーゼル燃焼用の燃料
噴射形態を設定して噴射を実行することになる。また、
ステップSBにおいてトラクション制御中(F=1)と
判定されたときは、ステップSB9に進んで予混合圧縮
着火燃焼用の燃料噴射形態を設定して噴射を実行するこ
とになる。
【0086】前記実EGR率は、エアフローセンサ69
からの信号により求められる吸入空気量と、リニアO2
センサ79からの信号により求まる排気の酸素濃度と、
燃料噴射量とに基づいて、計算により推定することがで
きる。
【0087】予混合圧縮着火燃焼及びディーゼル燃焼の
各々の燃料噴射形態の設定は、目標トルクTrとエンジ
ン回転速度Neとに基づいて、噴射量マップから基本噴
射量を読み込んで設定し、また、噴射時期マップから基
本噴射時期(インジェクタ5の針弁が開くクランク角位
置)を読み込んで設定する。
【0088】前記噴射量マップや噴射時期マップは、目
標トルクTrとエンジン回転速度Neとに対応する最適な
値を予め実験的に求めて設定して、ECU13のメモリ
に電子的に格納したものであり、前記噴射量マップにお
ける基本噴射量の値は、予混合燃焼領域(H)及び核酸
燃焼領域(D)の各々においてアクセル開度Accが大き
いほど、またエンジン回転速度Neが高いほど大きくな
っている。
【0089】また、基本噴射時期の値は、予混合燃焼領
域(H)では、アクセル開度Accが大きいほど、またエ
ンジン回転速度Neが高いほど進角側になっていて、燃
料噴霧の殆どが空気と十分に混合されてから燃焼するよ
う、圧縮行程における所定のクランク角範囲(例えばB
TDC90°〜20°CA)において燃料噴射量や燃圧
に対応付けて設定されている。拡散燃焼領域(D)で
は、燃料噴射の終了時期(インジェクタ5の針弁が閉じ
るクランク角位置)が圧縮上死点後の所定の時期になっ
て、燃料噴霧が良好に拡散燃焼するように燃料噴射量や
燃圧(コモンレール圧)に対応付けて設定されている。
【0090】図14に示す制御フローによって、エンジ
ン1が予混合燃焼領域(H)にあるときは、燃料が吸気
行程ないし圧縮行程で噴射され、エンジン1が拡散燃焼
領域(D)にあるとき、又は走行状態制御手段(トラク
ション制御手段)によりエンジン出力の調節がされると
きは燃料が圧縮行程上死点付近で噴射されるように、イ
ンジェクタ5の作動を制御する燃料噴射制御部(燃料噴
射制御手段)が構成されている。
【0091】(EGR制御)次に前記ECU13による
EGR弁85の具体的な制御手順を図16に示す制御フ
ローに基づいて説明する。スタート後のステップSC1
において、燃圧センサ57からの信号、クランク角セン
サ61からの信号、吸気圧センサ68からの信号、エア
フローセンサ69からの信号、アクセル開度センサ89
からの信号等を入力し(データ入力)、また、ECU1
3のメモリに記憶されている各種フラグの値を読み込
む。続くステップSC2において、フラグFに基づいて
トラクション制御中か否かを判定する。
【0092】トラクション制御中(F=1)であれば、
ステップSC3に進み、トラクション制御(スリップ制
御)用マップより目標トルクTr及びエンジン回転速度
Neに基づいてEGR弁開度の目標値EGRbを設定する。
そして、ステップSC4に進んで当該目標値EGRbとなる
ようにEGR弁85を駆動する。
【0093】前記マップは、目標トルクTrとエンジン
回転速度Neとに対応する最適な値を予め実験的に求め
て設定したものであり、図17に一例を示すように、E
GR弁開度の目標値EGRbは、拡散燃焼領域(D)では目
標トルクTrが大きいほど、またエンジン回転速度Neが
高いほど小さくなるように設定され、予混合燃焼領域
(H)では、拡散燃焼領域(D)での最大目標値程度で
略一定になるように設定されている。予混合燃焼領域
(H)であっても、トラクション制御を行なう場合は拡
散燃焼を主体とする前記第2の燃焼形態を採用するか
ら、ディーゼル燃焼形態への移行を見越して速やかにE
GR率を低減させるためである。
【0094】ステップSC2においてトラクション制御
中でないと判定されると、ステップSC5に進んで、通
常制御用(トラクション非制御用)のマップによりEG
R弁開度の目標値EGRbを設定し、ステップSC4に進ん
で当該目標値EGRbとなるようにEGR弁85を駆動す
る。
【0095】前記通常制御用のマップは、目標トルクT
rとエンジン回転速度Neとに対応する最適な値を予め実
験的に求めて設定したものである。図18に一例を示す
ように、EGR弁開度の目標値EGRbは、拡散燃焼領域
(D)ではトラクション制御用マップと同様に目標トル
クTrが大きいほど、またエンジン回転速度Neが高いほ
ど小さくなるように設定されている。予混合燃焼領域
(H)では、拡散燃焼領域(D)よりも一段高い値で、
目標トルクTrが大きいほど、またエンジン回転速度Ne
が高いほど、目標値EGRb小さくなるように設定されてい
る。
【0096】すなわち、予混合燃焼領域(H)では、E
GR弁85を相対的に大きく開いて、多量の排気を還流
させ、これによりEGR率を第1設定値以上として良好
な予混合圧縮着火燃焼を実現し、拡散燃焼領域(D)で
は、EGR弁85の開度を相対的に小さくしてEGR率
を第2設定値以下とし、煤の増大を招くことなく、NO
xの生成を抑制することができるディーゼル燃焼を実現
するためである。
【0097】前記図16に示す制御フローによって、エ
ンジン1が予混合燃焼領域(H)にあるときに、EGR
率が第1設定値以上になるように、拡散燃焼領域(D)
にあるときにはEGR率が前記第1設定値よりも少ない
第2設定値以下になるように、さらに、予混合燃焼領域
(H)にあっても、トラクション制御のためにエンジン
出力の調節を必要とするときには、ディーゼル燃焼への
移行のためにEGR率が前記第2設定値以下になるよう
に、EGR弁85の開度を制御するEGR制御部(排気
還流制御手段)が構成されている。
【0098】(作用効果)次に、この実施形態の作用効
果を説明すると、まず、エンジン1が予混合燃焼領域
(H)にあるときには、EGR弁85が相対的に大きく
開かれ、タービン77上流の排気通路76から取り出さ
れた排気がEGR通路84によって吸気通路66に還流
される。そして、そのように還流する多量の排気が外部
から供給される新気と共に気筒52内の燃焼室54へ供
給されて、実EGR率EGRが第1設定値(例えば55
%)以上の状態になる。
【0099】また、前記気筒52内の燃焼室54に臨む
インジェクタ55により燃料が当該気筒52の圧縮行程
の所定クランク角範囲(BTDC90°〜20°CA)
にて分割噴射され、この燃料が燃焼室54において比較
的広く分散し且つ吸気(新気及び還流排気)と十分に混
合して、均質度合いの高い混合気を形成する。この混合
気中では、特に燃料蒸気や酸素の密度が高い部分で比較
的低温度の酸化反応(いわゆる冷炎)が進行するが、混
合気中には空気(窒素、酸素等)と比べて熱容量の大き
い排気(二酸化炭素等)が多量に混在していて、その
分、燃料及び酸素の密度が全体的に低くなっており、し
かも、冷炎の反応熱は熱容量の大きい二酸化炭素等に吸
収されることになるので、高温の酸化反応への移行(い
わゆる着火)は抑制されて、着火遅れ時間が長くなる。
【0100】そして、気筒52の圧縮上死点近傍に至
り、燃焼室54の気体の温度がさらに上昇し且つ燃料及
び酸素の密度が十分に高くなると、混合気は一斉に着火
して燃焼する。この際、混合気中の燃料蒸気と空気及び
還流排気とは既に十分に均一に分散しており、特に燃料
の密度が高い部分では冷炎反応が進行しているから、混
合気中には燃料の過濃な部分が殆ど存在せず、従って、
煤の生成は見られない。
【0101】また、前記の如く混合気中の燃料蒸気の分
布が均一化されていて、さらに多量の二酸化炭素等が均
一に分散して存在することから、この混合気全体が一斉
に燃焼してもその内部で局所的に急激な熱発生の起こる
ことがなく、さらに、燃焼熱は周囲の二酸化炭素等によ
って吸収されることになるから、燃焼温度の上昇が抑え
られて、NOxの生成が大幅に抑制される。
【0102】そうして、エンジン11が予混合燃焼領域
(H)にあるときに、トラクション制御が開始される
と、まず、エンジンの目標トルクがトラクション制御用
の目標トルクTrt(TrtFF)に切り換えられ、エンジン出
力が低下していくことにより、駆動輪のスリップ率の増
大が抑制され、やがてそのスリップ率が低下していって
フィードバック制御に移行する。一方、トラクション制
御の開始により、EGR弁開度の目標値が直ちに低下す
ることから、実EGR率も応答遅れをもって低下してい
く。この場合、実EGR率は、その低下に応答遅れがあ
るといっても、エンジン出力の低減によってスリップ率
が増大から減少に転じるまでよりは早く、噴射形態の切
換え実行EGR率EGR0まで低下する。
【0103】従って、トラクション制御開始からフィー
ドバック制御に移行するまでには、エンジンの燃焼形態
は予混合圧縮着火燃焼からディーゼル燃焼に切り換わっ
ている。すなわち、インジェクタ55により燃料がTD
C近傍で燃焼室54に噴射され、初期の予混合燃焼に続
いて良好な拡散燃焼を生ずる状態になる(通常のディー
ゼル燃焼)。よって、その後にフィードバック制御のた
めに目標トルクが増減してもエンジンの失火を招くこと
が避けられる。また、EGR弁85の開度は相対的に小
さくされ、適度な分量の排気の還流によってNOxや煤
の生成が抑制される。
【0104】また、トラクション制御が開始するのは、
車両の発進時又は低回転低負荷の運転からの加速時であ
ることが多い。従って、エンジンの低回転低負荷の運転
状態において予混合圧縮着火燃焼形態からディーゼル燃
焼形態に切り換わることになり、この切り換わりの際の
燃料噴射量は少なく、また、排気の還流量も多くないこ
とから、拡散燃焼によって煤の生成が盛んになっても、
煤排出量はそれほど多くならない。
【0105】また、予混合圧縮着火燃焼形態からディー
ゼル燃焼形態への切換え(噴射形態の切換え)は、実E
GR率が低下して第1設定値と第2設定値との間の所定
値EGR0になったときに行なわれるから、煤生成量が急増
することが避けられる。
【0106】(燃焼形態切換えの他の実施形態)予混合
圧縮着火燃焼形態からディーゼル燃焼形態に切り換える
ときは、実EGR率が前記第1の設定値以上の状態から
前記第2の設定値以下の状態になるようにEGR弁35
を作動させる一方、燃料が膨張行程の所定時期に噴射さ
れて予混合燃焼の割合が拡散燃焼の割合よりも多い第3
の燃焼形態となった後、燃料が圧縮行程上死点付近で噴
射されるディーゼル燃焼形態に切り換わるように前記燃
料噴射弁を作動させる。
【0107】すなわち、予混合圧縮着火燃焼形態からデ
ィーゼル燃焼形態に移行するときに途中で第3の燃焼形
態を経るようにするものである。この第3の燃焼形態で
は、燃料が気筒の膨張行程の所定時期に噴射されるが、
膨張行程ではピストンの上死点からの下降に伴い燃焼室
の容積が増大して、その温度及び圧力が低下するので、
燃料の着火遅れ時間が長くなり、燃料と空気との十分な
混合が図れる。よって、予混合燃焼が主体となり、前記
第1の燃焼と同様にNOxや煤の生成を抑えることがで
きる。
【0108】前記第3の燃焼状態では圧縮上死点後に燃
焼が開始することになるので、サイクル効率が低下して
燃費が悪化するきらいがある。そこで、EGR値が第1
及び第2設定値の中間の値にあるときの全期間で第3の
燃焼形態にするのではなく、特に煤の生成が盛んになる
所定範囲にあるときにのみ、第3の燃焼形態にするよう
にしてもよい。
【0109】例えば、予混合圧縮着火燃焼から前記第3
の燃焼形態への切換え(噴射形態の切換え)は、実EG
R率が図15に示す第1設定値とEGR0との間にあるとき
に行ない、前記第3の燃焼形態からディーゼル燃焼形態
への切換え(噴射形態の切換え)は、実EGR率が前記
EGR0よりも小さくなったときに行なうようにすればよ
い。
【0110】(後噴射の実行)予混合圧縮着火燃焼形態
からディーゼル燃焼形態へ切り換わったとき、煤生成量
の増大に対策するために、ディーゼル燃焼開始後の膨張
行程又は排気行程においてさらに燃料が後噴射されるよ
うにインジェクタ55を作動させ、この後噴射燃料によ
って煤を再燃焼させることが好ましい。
【0111】すなわち、図14に示す制御フローのステ
ップSB11において、ディーゼル燃焼用の噴射形態を
設定した後、さらに、燃料の後噴射量及び後噴射時期を
設定して、主噴射及び後噴射を実行する。
【0112】後噴射量は主噴射と後噴射とを合わせた総
燃料噴射量に占める後噴射量の割合が10%〜20%程
度となるように、且つエンジン回転数が高くなるほど又
はエンジン負荷が高くなるほど後噴射量の割合を多くな
るように設定する。エンジン回転数が高くなるほど又は
エンジン負荷が高くなるほど煤の生成量が増大するから
である。後噴射時期は、エンジン運転状態に応じて予め
設定された後噴射時期マップにより、ATDC10゜〜
60゜CAになるように設定する。
【0113】従って、予混合圧縮着火燃焼からディーゼ
ル燃焼に切り換わったとき、この噴射形態の切換えに対
してEGR値の変更が遅れて煤の生成が一時的に多くな
っても、膨張行程又は排気行程において後噴射される燃
料の着火燃焼により、煤の再燃焼が図れ、煤排出量が増
大することを防止することができる。また、トラクショ
ン制御のために燃料噴射量を調節してエンジン出力の増
減を行なう場合、燃料噴射量の増減に対してEGR値の
変化が遅れる場合でも、煤排出量が増大することを防止
することができる。
【0114】次に前記後噴射時期の好ましい態様につい
て説明する。後噴射時期については、前記ディーゼル燃
焼による熱発生率が所定値以下になったとき、特にその
熱発生率が略零になった時点又は該時点から所定期間内
に後噴射燃料の燃焼が開始するように設定することが好
ましい。ディーゼル燃焼では、その大部分が拡散燃焼で
あり、この拡散燃焼で生ずる煤の再燃焼を図る上で有利
になるからである。
【0115】前記熱発生率が零になる時点は、エンジン
運転状態(目標トルクTr及びエンジン回転数Ne)に
応じて設定される主噴射の開始時期、主噴射量、噴射の
形態(一括か分割か)、最後の噴射時期等によって異な
る。また、後噴射を行なっても、直ちに着火するわけで
はなく、着火遅れがあり、さらにインジェクタ55に対
する駆動信号の出力から実際に開弁するまでには駆動遅
れがある。
【0116】従って、予め実験により各エンジン運転状
態での主燃焼(この場合はディーゼル燃焼)の熱発生率
が零になる時点を求め、これに上記着火遅れ及び駆動遅
れを考慮して、当該熱発生率が所定値以下になったと
き、又はその熱発生率が略零になった時点、又は該時点
から所定期間内に後噴射燃料の燃焼が開始するように、
後噴射時期を定め、これをエンジン運転状態に対応させ
てマップ化して電子的に格納し、このマップにより後噴
射時期をエンジン運転状態に応じて設定すればよい。
【0117】上記各エンジン運転状態での主燃焼の熱発
生率が零になる時点は、実験によって各エンジン運転状
態での各クランク角毎の筒内圧力データを求め、これに
基づいて熱発生率を熱力学的に計算しグラフ化すること
によって求めることができる。
【0118】このようにして求めた熱発生率を図示する
と、図19のようになり、燃料の主噴射による燃焼に応
じて熱発生率が正の方向に大きな値を示した後、その拡
散燃焼の終了に応じて熱発生率が0となるため、この熱
発生率が略0となる時点t1を基準に後噴射時期を定め
ることになる。
【0119】また、後噴射燃料の着火遅れ時間τfは、
エンジンの排気量、燃料噴射圧力等によって異なるが、
排気量1〜3Lクラスのエンジンでは、燃料噴射圧力が
50〜200MPa程度のときは0.4〜0.7ms程
度となる。この後噴射燃料の着火遅れ時間は、圧縮行程
上死点付近で行なわれる主噴射燃料の着火遅れ時間
(0.1〜0.3ms程度)よりも長いが、これは、後
噴射が筒内温度が下がった時点で行なわれるためであ
る。
【0120】なお、燃焼室4内の温度を検出する温度セ
ンサの検出信号、燃焼光センサの検出信号、または燃焼
室4内に存在する電荷が偏った反応性の高い水素や炭化
水素等の量を検出するセンサの検出信号等に応じて上記
拡散燃焼状態を判別する燃焼状態判別手段を設け、この
燃焼状態判別手段において、燃料の主噴射後の温度が所
定温度以下の低温となった否か、燃焼光の発光がなくな
ったか否か、または水素や炭化水素の量が急減したか否
か等を判別することにより、上記拡散燃焼による熱発生
率が零になる時点を求め、これに基づいて次の燃焼サイ
クルでの後噴射時期を設定するように構成してもよい。
さらに、温度センサによって検出された気筒内温度から
断熱膨張温度を減算した値の微分値を求め、この微分値
がマイナスの値から0になった時点を検出することによ
って上記拡散燃焼による熱発生率が零になる時点を判別
するようにしてもよい。
【0121】(他の走行状態制御)上記実施形態の走行
状態制御はトラクション制御であるが、本発明は、車両
の旋回走行性を高めるダイナミックスタビリティコント
ロール(以下、DSCという。)にも適用することがで
きる。
【0122】すなわち、DSCは、車体速、前輪舵角及
び路面μから車両の目標ヨーレートを求め、さらに車体
重量、ホイールベース等を考慮して目標横滑り角を求
め、ヨーレートセンサ及び横加速度センサから求まる実
際のヨーレート及び横滑り角との偏差に基づいて、それ
ら偏差が所定の閾値を越えたときに、制御を開始し、目
標ヨーレート及び目標横滑り角となるようにエンジン出
力の調節及び車輪制動力の調節により、目標とする旋回
走行状態を得る。
【0123】従って、DSCの場合も、トラクション制
御の場合と同様に、予混合燃焼領域(H)において制御
が開始されたときは、上記実施形態と同様の手段で予混
合圧縮着火燃焼形態からディーゼル燃焼形態に切換え、
このディーゼル燃焼形態において、目標トルクとなるよ
うに燃料噴射量を制御することになる。
【0124】なお、上記実施形態では、トラクション制
御中はエンジンの全運転域でディーゼル燃焼を行なうマ
ップを設定するようにしたが、これに限らず、トラクシ
ョン等の走行状態を制御するトルク領域(例えば低負荷
を除いた運転領域)だけディーゼル燃焼を行なうマップ
を設定し、低負荷運転中は予混合圧縮着火燃焼を行なう
マップを設定してもよい。
【0125】また、通常運転時(走行状態非制御中)に
はエンジンの全運転域で予混合圧縮着火燃焼を行ない、
トラクション等の走行状態制御時にディーゼル燃焼を行
なうように制御してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る車両の構成を示す概略
平面図である。
【図2】同車両のブレーキ系統を示す平面図である。
【図3】同車両の制御系を示すブロック図である。
【図4】同車両のエンジン制御系の全体構成図である。
【図5】エンジンの燃焼モードを切換える制御マップの
一例を示す図である。
【図6】インジェクタによる噴射作動の様子を模式的に
示す説明図である。
【図7】EGR率の変化に対する熱発生率の変化を示す
グラフ図である。
【図8】EGR率の変化に対して、(a)空気過剰率、
(b)NOx濃度及び(c)煤の濃度の変化を互いに対
応付けて示すグラフ図である。
【図9】ディーゼル燃焼のときのEGR率の変化に対す
る排気中のNOx及び煤の濃度の変化をそれぞれ示すグ
ラフ図である。
【図10】トラクション制御のフローチャート図であ
る。
【図11】トラクション制御における車体速及び車輪速
の経時変化を示すグラフ図である。
【図12】スリップ率変化量ΔSLと目標トルクTrtFF
との関係を示すグラフ図である。
【図13】スリップ率偏差difSLと目標トルク補正量
ΔTrtとの関係を示すグラフ図である。
【図14】燃料噴射制御のフローチャート図である。
【図15】予混合圧縮着火燃焼及びディーゼル燃焼にお
けるEGR率の変化に対する煤生成量の変化を示すグラ
フ図である。
【図16】EGR制御のフローチャート図である。
【図17】トラクション制御時の燃焼モードマップ
(a)とEGR弁開度(b)との関係を示すグラフ図で
ある。
【図18】通常制御時の燃焼モードマップ(a)とEG
R弁開度(b)との関係を示すグラフ図である。
【図19】インジェクタのニードルリフト量と熱発生率
との関係を示すタイムチャート図である。
【符号の説明】
A エンジンの制御装置 H 予混合燃焼領域(第1運転領域) D 拡散燃焼領域(第2運転領域) 5 メインコントローラ(走行状態制御手段) 11 ディーゼルエンジン 13 エンジンコントローラ(ECU) 52 気筒 54 燃焼室 55 インジェクタ(燃料噴射弁) 66 吸気通路 76 排気通路 78 触媒コンバータ(排気浄化手段) 84 EGR通路 85 EGR弁(排気還流量調節手段) 13 コントロールユニット(ECU)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F02M 25/07 550 F02M 25/07 550A 570 570D 570J (72)発明者 齊藤 智明 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内 Fターム(参考) 3G062 AA01 BA04 DA02 EA10 FA05 FA06 FA13 GA02 GA06 GA25 GA28 3G084 AA01 BA13 BA15 BA20 DA17 EB08 EB12 FA00 FA05 FA07 FA10 FA33 3G093 AA01 AB01 BA01 CB09 DA01 DA06 DA09 DB05 EA02 EA05 3G301 HA02 HA13 JA38 KB06 LB11 MA11 NC01 NC02 ND02 PA01Z PA07Z PB08Z PE01Z PE03Z PF01Z

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジンの気筒内の燃焼室に臨む燃料噴
    射弁と、 前記燃焼室への排気の還流量を調節する排気還流量調節
    手段と、 エンジンの燃焼形態として、燃料が吸気行程ないし圧縮
    行程で噴射され且つ排気の還流量に関するEGR値が第
    1の設定値以上になって予混合燃焼が圧縮行程上死点付
    近から開始され且つ該予混合燃焼の割合が拡散燃焼の割
    合よりも多くなる第1の燃焼形態と、燃料が圧縮行程上
    死点付近で噴射され且つ前記EGR値が前記第2の設定
    値以下になって拡散燃焼の割合が予混合燃焼の割合より
    も多くなる第2の燃焼形態とをとることができるよう
    に、前記燃料噴射弁及び排気還流量調節手段を制御する
    燃焼制御手段とを備えている車両のエンジンの制御装置
    において、 エンジン出力の調節によって車両の走行状態を制御する
    走行状態制御手段と、 前記燃焼制御手段は、前記走行状態制御手段がエンジン
    出力の調節を必要とするときには、前記第2の燃焼形態
    となるように前記燃料噴射弁及び排気還流量調節手段を
    制御することを特徴とするエンジンの制御装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載されているエンジンの制
    御装置において、 前記走行状態制御手段は、エンジン出力による走行状態
    の非制御中に駆動輪に所定レベル以上のスリップを生じ
    たときにエンジン出力を所定量低減させる制御を開始す
    るものであり、 前記燃焼制御手段は、前記走行状態制御手段による前記
    エンジン出力の低減が開始されたときに前記第2の燃焼
    形態となるように前記燃料噴射弁及び排気還流量調節手
    段を制御することを特徴とするエンジンの制御装置。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載されているエンジンの制
    御装置において、 前記走行状態制御手段は、前記エンジン出力の低減によ
    り、前記駆動輪のスリップ量の増大が収まった後、前記
    エンジン出力を調節して前記駆動輪のスリップ率が目標
    スリップ率になるようにフィードバック制御するもので
    あり、 前記燃焼制御手段は、少なくとも前記走行状態制御手段
    による前記エンジン出力の低減開始から前記フィードバ
    ック制御の終了までは、前記第2の燃焼形態となるよう
    に前記燃料噴射弁及び排気還流量調節手段を制御するこ
    とを特徴とするエンジンの制御装置。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至請求項3のいずれか一に記
    載されているエンジンの制御装置において、 前記燃焼制御手段は、前記第1の燃焼形態から前記第2
    の燃焼形態に切り換えるときは、前記EGR値が前記第
    1の設定値以上の状態から前記第2の設定値以下の状態
    になるように前記排気還流量調節手段を作動させる一
    方、燃料が膨張行程の所定時期に噴射されて予混合燃焼
    の割合が拡散燃焼の割合よりも多い第3の燃焼形態とな
    った後、燃料が圧縮行程上死点付近で噴射されて前記第
    2の燃焼形態に切り換わるように前記燃料噴射弁を作動
    させることを特徴とするエンジンの制御装置。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至請求項3のいずれか一に記
    載されているエンジンの制御装置において、 前記燃焼制御手段は、前記第1の燃焼形態から前記第2
    の燃焼形態に切り換えるとき、前記EGR値が前記第1
    及び第2の設定値の間の所定値になった後に、燃料が吸
    気行程ないし圧縮行程で噴射される噴射形態から、燃料
    が圧縮行程上死点付近で噴射される噴射形態に切り換わ
    るように、前記燃料噴射弁及び排気還流量調節手段を制
    御することを特徴とするエンジンの制御装置。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至請求項5のいずれか一に記
    載されているエンジンの制御装置において、 前記燃焼制御手段は、前記走行状態制御手段がエンジン
    出力の調節を必要とするときには、前記第2の燃焼形態
    による燃焼開始後の膨張行程又は排気行程においてさら
    に燃料が後噴射されるように前記燃料噴射弁を作動させ
    ることを特徴とするエンジンの制御装置。
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