JP4506001B2 - ディーゼルエンジンの燃料噴射装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はディーゼルエンジンの燃料噴射装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
直噴式ディーゼルエンジンでは圧縮行程上死点付近で燃料が燃料噴射弁によって気筒内燃焼室に噴射供給されているが、この圧縮行程上死点において燃料を一括して噴射するのではなく、複数回に分けて噴射する分割噴射の技術が知られている。例えば特開平9−209866号公報には、圧縮行程上死点を起点として分割噴射を開始すること、各回の噴射量を後の回になるほど多くすることが記載されている。燃焼室での熱発生率を広範に且つ適切に制御せんとするものである。特開平10−122084号公報には、少量の燃料を噴射する前噴射を行なうことにより燃焼室での着火を惹起し、続く主噴射を複数回に分けて噴射することにより、煤及びNOx(窒素酸化物)の発生量を抑えることが記載されている。
【0003】
また、特開平11−200933号公報には、圧縮行程上死点付近の主噴射の終了直後に後噴射を行なうことにより、燃焼室における燃焼を新たに生じせしめて煤発生量を低減させることが記載されている。さらに特開2000−170585号公報には、圧縮行程上死点付近での燃料の主噴射後、圧縮行程上死点後の15〜25゜CAで後噴射を行なうことにより、この後噴射による燃費悪化及び煤の発生を抑えながら、排気ガス中の酸素濃度を下げてNOx吸収材からNOxを放出させ、そのリフレッシュを図ることが記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述の如く主噴射直後に後噴射を行なった場合、後噴射を行なわない場合に比べて煤の量が確かに少なくなるが、それは、燃料を2回に分けて噴射したことによって燃焼における空気利用率が高まった結果と考えられる。しかし、この噴射方式による煤の低減度合はそれほど大きくない。また、圧縮行程上死点後の15〜25゜CAで後噴射を行なうと、この後噴射燃料自体が煤になってしまう量は少ないと考えられる。しかし、このような比較的早い時期の後噴射であれば、この後噴射燃料の燃焼によって筒内温度が高い状態が続くことから、主噴射燃料によって生じている煤の核成長が促進され、その煤の低減にはそれほど効を奏しない、と考えられる。
【0005】
そこで、本発明は、エンジンから排出される煤の量をさらに低減することを課題とし、特にNOx発生量の低減を図りながら、煤の量を少なくすることを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、このような課題に対して、上記後噴射時期を種々に変えて煤の排出量を調べたところ、後噴射時期が遅くしていけば、煤の排出量が多くなっていくが、後噴射時期をさらに遅らせていくと、ある時点で煤の排出量が大きく低下することを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
【0007】
請求項1に係る発明は、燃焼室内に燃料を噴射する燃料噴射弁と、
燃料を複数回に分割して噴射すべく、吸気行程初期から膨張行程初期までの所定時期に且つ最後の噴射時期が圧縮行程上死点付近になるように、閉弁状態になる所定の噴射休止間隔を挟んで断続的に開弁するようにエンジンの運転状態に応じて上記燃料噴射弁の作動を制御する分割噴射制御手段と、
上記分割噴射終了後にさらに燃料が噴射されるようにエンジンの運転状態に応じて上記燃料噴射弁の作動を制御する後噴射制御手段とを備え、
上記後噴射制御手段は、上記分割噴射された燃料の拡散燃焼終了時点を基準として、該終了時点の付近又は該終了時点よりも後に後噴射の燃料の燃焼が開始するように、その後噴射時期を設定し、エンジン回転数が高くなるほど又はエンジン負荷が高くなるほど、上記分割噴射と後噴射とを合わせた総燃料噴射量に占める後噴射量の割合が多くなるように後噴射量を設定することを特徴とする。
【0008】
かかる構成であれば、燃料の分割噴射によってNOxの発生及び煤の発生を抑えながら、一旦発生した煤を後噴射燃料の燃焼によって再燃焼させて、煤排出量を大きく低減させることができる。
【0009】
まず、本発明は後噴射前の燃料噴射に分割噴射を採用しているから、この分割噴射燃料の燃焼初期に燃焼圧や燃焼温度が過度に上昇することを避けることが容易になり、NOxの生成を抑制することができる。また、分割噴射によって燃料と空気との混合、ひいては燃焼性が改善され、煤の生成が抑制される。この場合、分割噴射形態としては、圧縮行程上死点付近で短い噴射休止間隔(閉弁時間)をおいて燃料を断続的に噴射する方式、並びに一部の燃料を早期に、つまり吸気行程に又は圧縮行程の上死点前60゜CA付近までに噴射し、残りの燃料を圧縮行程上死点付近で噴射する方式など種々の分割噴射方式を採用することができる。
【0010】
このような分割噴射形態(燃焼形態)を採用すれば、NOxの低減には有利になるが、拡散燃焼が主過程であるディーゼル燃焼では局所的に酸素不足の過濃混合気が形成されることは避けられないから、上記分割噴射のみで煤の排出量を大きく低減させることは難しい。
【0011】
すなわち、ディーゼル燃焼では局所的に生じた過濃混合気の熱分解によって一次粒子が形成され、これが重・縮合を繰り返すことによって煤の核が生成し、それが高温雰囲気において成長・凝集することによって所謂煤を生ずる、と考えられている。また、上述の早期噴射によって予混合圧縮着火燃焼を図った場合、煤の低減に有利になるが、拡散燃焼も生ずることから煤の生成は避けられず、さらに早期に噴射された燃料が燃焼室壁面に付着するため、それも煤の原因となる。そうして、このような煤核の成長・凝縮は、分割噴射された燃料の拡散燃焼が終わりに近付く頃まで続いていると考えられる。
【0012】
これに対して、本発明の場合は、後噴射燃料は分割噴射された燃料の拡散燃焼が終了する時点を基準として着火燃焼するように噴射時期が制御されるから、この後噴射燃料の燃焼自体が分割噴射燃料による煤の生成を促進することにはならず、それは既に生成している煤の再燃焼を促してその量を低減することに働く。そうして、上記拡散燃焼が終了する頃には煤が筒内で偏在せず酸素との接触が比較的良好なものとなるために、後噴射燃料による煤の再燃焼が効率良く行なわれることになる。しかも、このような比較的遅い時期の後噴射であれば、筒内温度が下がっているから、煤核の生成、成長、凝縮を生ずることが避けられる。このために、本発明によれば、煤の排出量が格段に少なくなるものと考えられる。
【0013】
そうして、一般にはエンジン回転数が高くなるほど又はエンジン負荷が高くなるほど、煤の生成量が増大するが、そのような場合に本発明は後噴射量の割合を多くするから、一旦生成した煤の再燃焼が促進され、煤の排出量を抑えることができる。
【0014】
分割噴射された燃料の拡散燃焼終了時点の付近又は該終了時点よりも後に後噴射の燃料の燃焼が開始するとは、後噴射燃料の燃焼が厳密に当該拡散燃焼終了時点から開始することを要求するものではないという意味であり、その終了時点を中心に例えばクランク角にして±5゜程度の範囲で又は±3゜の範囲で後噴射燃料の燃焼が開始するもの、あるいはそれよりも少し遅れて後噴射燃料の燃焼が開始するものであればよい。
【0015】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載のディーゼルエンジンの燃料噴射装置において、
上記分割噴射における噴射休止間隔は、分割噴射された各燃料間で燃焼が継続した状態になるように0.05ms〜1.0msに設定されていることを特徴とする。
【0016】
これにより、分割噴射の最初の噴射される燃料による予混合燃焼の割合が相対的に少なくなり、燃焼初期に燃焼圧や燃焼温度が過度に上昇することが避けられ、NOx生成量の低減に有利になる。また、燃料の微粒化を促進して燃料蒸気と空気との混合・燃焼を良好なものにすることができ、燃費改善と煤の生成抑制に有利になり、しかも、有効な燃焼時間が長くなって燃焼ガスの膨張力がピストンに有効に伝わって機械効率が高まり、さらに排気エネルギーも高めることができる。
【0017】
また、上記噴射休止間隔は0.05ms以上であるから、先に噴射された燃料噴霧に次に噴射された燃料噴霧が追いついて大きな燃料液滴となることが避けられ、燃料の微粒化、気化霧化、燃料蒸気と空気との良好な混合に有利になる。一方、上記噴射休止間隔は1.0ms以下であるから、各噴射燃料が途切れることなく継続して良好に燃焼する。
【0018】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載のディーゼルエンジンの燃料噴射装置において、
上記分割噴射制御手段は、エンジン回転数が高くなるほど又はエンジン負荷が高くなるほど、燃料の分割噴射回数が多くなるように又は上記噴射休止間隔が長くなるように上記燃料噴射弁の作動を制御することを特徴とする。
【0019】
すなわち、分割噴射回数を多くすると、分割噴射の最初の噴射される燃料による予混合燃焼の割合を相対的に少なくして、燃焼初期の燃焼圧や燃焼温度の過度上昇を避ける上で有利になり、また、噴射休止間隔が長くなると、それだけ燃焼時間が長くなって燃焼温度が急激に高くなることが避けられるから、NOxの低減に有利になる。従って、従前はエンジン回転数が高くなるほど又はエンジン負荷が高くなるほどNOxを生成し易くなったが、本発明によれば、そのような場合でもNOxの生成を抑えることができる。
【0020】
【発明の効果】
以上のように、請求項1に係る発明によれば、分割噴射の終了後、この分割噴射の最後に噴射された燃料の拡散燃焼終了時点を基準として、該終了時点の付近又は該終了時点よりも後に後噴射の燃料の燃焼が開始するように、且つエンジン回転数が高くなるほど又はエンジン負荷が高くなるほど、上記分割噴射と後噴射とを合わせた総燃料噴射量に占める後噴射量の割合が多くなるように、当該後噴射を行なうようにしたから、燃料の分割噴射によってNOxの発生及び煤の発生を抑えながら、一旦発生した煤を後噴射燃料の燃焼によって再燃焼させて、煤排出量を大きく低減させることができ、さらに、エンジン回転数が高くなったとき又はエンジン負荷が高くなったときの煤の排出量の増大を抑える上で有利になる。
【0021】
請求項2に係る発明によれば、上記分割噴射における噴射休止間隔を分割噴射された各燃料間で燃焼が継続した状態になるように0.05ms〜1.0msに設定したから、燃焼初期の燃焼圧や燃焼温度の過度上昇を避けてNOx生成量を低減させる上で有利になり、また、燃料の微粒化を促進して燃料蒸気と空気との混合・燃焼を良好なものにし、燃費改善と煤の生成抑制に有利になり、しかも、機械効率の改善、排気エネルギーの上昇にも有利になる。
【0022】
請求項3に係る発明によれば、エンジン回転数が高くなるほど又はエンジン負荷が高くなるほど、燃料の分割噴射回数が多くなるように又は上記噴射休止間隔が長くなるようにしたから、エンジン回転数が高くなったとき又はエンジン負荷が高くなったときのNOx生成量の増大を防止する上で有利になる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0024】
図1は本発明の実施形態に係るディーゼルエンジンの燃料噴射装置Aの全体構成を示し、1は車両に搭載された多気筒ディーゼルエンジンのエンジン本体である。このエンジン本体1は複数の気筒2(1つのみ図示する)を有し、その各気筒2内にピストン3が往復動可能に嵌挿されていて、この気筒2とピストン3によって各気筒2内に燃焼室4が形成されている。また、燃焼室4の上面の略中央部には、インジェクタ(燃料噴射弁)5が先端部の噴孔を燃焼室4に臨ませて配設され、各気筒毎に所定の噴射タイミングで噴孔が開閉作動されて、燃焼室4に燃料を直接噴射するようになっている。また、エンジン1にはエンジン冷却水温度を検出する水温センサ18が設けられている。
【0025】
上記各インジェクタ5は高圧の燃料を蓄える共通のコモンレール(蓄圧室)6に接続されていて、そのコモンレール6にはクランク軸7により駆動される高圧供給ポンプ8が接続されている。この高圧供給ポンプ8は、圧力センサ6aによって検出されるコモンレール6内の燃圧が所定値以上に保持されるように作動する。また、クランク軸7の回転角度を検出するクランク角センサ9が設けられており、このクランク角センサ9は、クランク軸7の端部に設けた被検出用プレート(図示省略)と、その外周に相対向するように配置され電磁ピックアップとからなり、その電磁ピックアップが被検出用プレートの外周部全周に所定角度おきに形成された突起部の通過に対応してパルス信号を出力するようになっている。
【0026】
10はエンジン本体1の燃焼室4に対しエアクリーナ(図示省略)で濾過した吸気(空気)を供給する吸気通路であり、この吸気通路10の下流端部には、図示しないがサージタンクが設けられ、このサージタンクから分岐した各通路が吸気ポートにより各気筒2の燃焼室4に接続されている。また、サージタンクには各気筒2に供給される過給圧力を検出する吸気圧センサ10aが設けられている。上記吸気通路10には上流側から下流側に向かって順に、エンジン本体1に吸入される吸気流量を検出するホットフィルム式エアフローセンサ11と、後述のタービン21により駆動されて吸気を圧縮するブロワ12と、このブロワ12により圧縮した吸気を冷却するインタークーラ13と、吸気通路10の断面積を絞る吸気絞り弁(吸入空気量調節手段)14とがそれぞれ設けられている。この吸気絞り弁14は、全閉状態でも吸気が流通可能なように切り欠きが設けられたバタフライバルブからなり、後述のEGR弁24と同様、ダイヤフラム15に作用する負圧の大きさが負圧制御用の電磁弁16により調節されることで、弁の開度が制御されるようになっている。また、上記吸気絞り弁14にはその開度を検出するセンサ(図示省略)が設けられている。
【0027】
20は各気筒2の燃焼室4から排気ガスを排出する排気通路で、排気マニホールドを介して各気筒2の燃焼室4に接続されている。この排気通路20には、上流側から下流側に向かって順に、排気ガス中の酸素濃度を検出するリニアO2センサ17と、排気流により回転されるタービン21と、排気ガス中のHC、CO及びNOxを浄化可能な触媒22とが配設されている。
【0028】
上記排気通路20のタービン21よりも上流側の部位からは、排気ガスの一部を吸気側に還流させる排気還流通路(以下EGR通路という)23が分岐し、このEGR通路23の下流端は吸気絞り弁14よりも下流側の吸気通路10に接続されている。EGR通路23の途中の下流端寄りには、開度調節可能な排気還流量調節弁(吸入空気量調節手段:以下EGR弁という)24が配置されていて、排気通路20の排気ガスの一部をEGR弁24により流量調節しながら吸気通路10に還流させるようになっている。
【0029】
上記EGR弁24は、負圧応動式のものであって、その弁箱の負圧室に負圧通路27が接続されている。この負圧通路27は、負圧制御用の電磁弁28を介してバキュームポンプ(負圧源)29に接続されており、電磁弁28が後述のECU35からの制御信号(電流)によって負圧通路27を連通・遮断することによって、負圧室のEGR弁駆動負圧が調節され、それによって、EGR通路23の開度がリニアに調節されるようになっている。
【0030】
上記ターボ過給機25は、VGT(バリアブルジオメトリーターボ)であって、これにはダイヤフラム30が取り付けられていて、負圧制御用の電磁弁31によりダイヤフラム30に作用する負圧が調節されることで、ノズル断面積が調節されるようになっている。
【0031】
上記各インジェクタ5、高圧供給ポンプ8、吸気絞り弁14、EGR弁24、ターボ過給機25等はコントロールユニット(Engine Contorol Unit:以下ECUという)35からの制御信号によって作動するように構成されている。一方、このECU35には、エンジン運転状態を検出するためのクランク角センサ9からの出力信号と、エアフローセンサ11からの出力信号と、車両の運転者による図示しないアクセルペダルの操作量(アクセル開度)を検出するアクセル開度センサ32からの出力信号と、エンジン水温を検出するセンサ18からの出力信号とが入力され、さらに上記圧力センサ6aからの出力信号と、圧力センサ10aからの出力信号と、O2センサ17からの出力信号と、EGR弁24のリフトセンサ26からの出力信号等も入力されている。
【0032】
そして、インジェクタ5による燃料噴射量(燃料供給量)及び燃料噴射時期(着火時期)がエンジンの運転状態に応じて制御されるとともに、高圧供給ポンプ8の作動によるコモンレール圧力、即ち燃量噴射圧の制御が行なわれ、これに加えて、EGR弁24の作動による排気還流量(吸入空気量)の制御と、ターボ過給機25の作動制御(VGT制御)とが行なわれるようになっている。
【0033】
本実施形態の特徴は、分割噴射制御手段と後噴射制御手段とを備え、分割噴射された燃料の拡散燃焼終了時点を基準として、該終了時点の付近又は該終了時点よりも後に後噴射の燃料の燃焼が開始するように、その後噴射時期を設定するようにした点にある。
【0034】
分割噴射制御手段は、燃料を複数回に分割して噴射すべく、吸気行程初期から膨張行程初期までの所定時期に且つ最後の噴射時期が圧縮行程上死点付近になるように、閉弁状態になる所定の噴射休止間隔を挟んで断続的に開弁するようにエンジンの運転状態に応じてインジェクタ5の作動を制御する。後噴射制御手段は、分割噴射終了後にさらに燃料が噴射されるように且つ上記拡散燃焼終了時点を基準として、該終了時点の付近又は該終了時点よりも後に後噴射の燃料の燃焼が開始するようにエンジンの運転状態に応じて上記燃料噴射弁の作動を制御する。以下、具体的に説明する。
【0035】
(燃料噴射制御)
上記ECU35には、アクセル開度(エンジン負荷)とエンジン回転数の変化に対して目標トルクの最適値を実験的に決定して記録した目標トルクマップ、並びにこの目標トルク、吸入空気量及び回転数の変化に応じて実験的に決定した最適な燃料噴射量Qbを記録した燃料噴射量マップが、メモリ上に電子的に格納して備えられている。通常は、アクセル開度とエンジン回転数とに基づいて目標トルクを求め、この目標トルクとエンジン回転数とエアフローセンサ11の出力信号による吸入空気量とに基づいて燃料噴射量Qbを求め、燃料噴射量Qbと圧力センサ6aにより検出されたコモンレール圧力とに基づいて、各インジェクタ5の励磁時間(開弁時間)が決定されるようになっている。尚、前記のようにして求めた燃料噴射量をエンジン水温や大気圧等に応じて補正した上で、この補正後の燃料噴射量を燃料噴射量Qbとしてもよい。
【0036】
上記のような基本的な燃料噴射量制御によって、エンジン1の目標トルク(エンジン1への要求出力)に対応する分量の燃料が供給され、エンジン1は燃焼室4における平均的空燃比がかなりリーン(A/F≧18,酸素濃度4%以上)な状態で運転される。上記アクセル開度センサ32及びクランク角センサ9がエンジン1への要求出力を検出する要求出力検出手段に対応している。
【0037】
上記ECU35のメモリには、上記燃料噴射量マップと同様に目標トルク(又はアクセル開度)とエンジン回転数とに応じて燃料の噴射形態を設定した噴射形態マップが電子的に格納されており、エンジン1の目標トルクとエンジン回転数とに基づいて、上記噴射形態マップから最適な噴射形態が選択される。すなわち、主噴射に関しては、図2(a)に示すように燃料を圧縮行程上死点付近で一括して噴射するか(以下、一括噴射という)、或いは、同図(b)に示すように2回に分割して噴射するか(2分割噴射という)、同図(c)に示すように3回に分割して噴射するか(3分割噴射という)のいずれかが選択されるとともに、そのように2回又は3回に分割して噴射させる場合には、その途中の閉弁状態となる噴射休止間隔Δtを変更して、エンジン1の燃費性能や排気特性等が最適なものになるように、特にNOxの低減が図れるように、燃焼状態を変化させるようにしている。なお、図2には3分割噴射形態までを例示しているが、必要に応じて4分割以上に、例えば4分割噴射ないしは7分割噴射にするようにしてもよい。
【0038】
尚、上記図2の(a)〜(c)にそれぞれ示す燃料噴射形態において、インジェクタ5の実際の励磁時間(開弁時間)は、燃料噴射量だけではなく、圧力センサ6aにより検出されたコモンレール圧を加味して決定される。
【0039】
後噴射に関しては、上記分割噴射によって発生する煤を低減することができるように、分割噴射の最後に噴射された燃料の拡散燃焼終了時点を基準として、該終了時点の付近又は該終了時点よりも後に後噴射の燃料の燃焼が開始するように、エンジンの運転状態に応じた最適な後噴射時期が予め設定されて、その噴射時期マップが電子的に格納されており、このマップに基づいてその噴射時期が制御される。
【0040】
また、後噴射量Qfは目標トルクとエンジン回転数とに基づいて予め設定されたマップにより制御される。一方、分割噴射すべき主噴射量Qmには基本燃料噴射量Qbが与えられるが、後噴射による出力トルクの上昇を考慮して必要な減算補正がなされる。
【0041】
以下、図3に示す燃料噴射制御のフロー等に基づいて本実施形態を詳述する。この制御は気筒毎にクランク角信号に同期して実行される。
【0042】
スタート後のステップA1において、クランク角信号、エアフローセンサ出力、アクセル開度等の必要なデータを読み込む。続くステップA2において、アクセル開度とエンジン回転数Neとに基づいてマップにより目標トルクTrを設定する。このマップでは、アクセル開度が大きくなるほど、また、エンジン回転数が高くなるほど目標トルクTrが高くなるように設定されている。続くステップA3では、目標トルクTrとエンジン回転数Neと吸入空気量とに基づいて、燃料噴射量マップにより基本燃料噴射量Qbを設定する。
【0043】
続くステップA4では、目標トルクTrとエンジン回転数Neとに基づいて後噴射量Qfをマップにより設定する(フォローアップの設定)。すなわち、図4に示すように、当該マップでは目標トルクTrとエンジン回転数Neとに応じてフォローアップ領域(同図の太線で囲まれたQf>0の領域)が定められている。後噴射が実行されるのは、エンジン回転数Neが所定値以下で且つ目標トルクTrが所定値以下の領域である。但し、アイドル運転領域は除かれる。高回転又は高負荷の運転領域ないしは全負荷運転領域はエンジン出力を高めることを重視して、燃費率(燃料消費率)の悪化に結びつく後噴射は行なわないものである。また、アイドル運転領域は、煤の生成量が少ないため後噴射は行なわれない。尚、アイドル運転領域及び高回転高負荷運転領域でも後噴射を行なうようにしてもよい。
【0044】
フォローアップ領域では目標トルクTrが高くなるほど、また、エンジン回転数Neが高くなるほど、後噴射量Qfが多くなるように、特に主噴射量Qmと後噴射量Qfとを合わせた全噴射量に占める後噴射量Qfの割合が多くなるように設定されている。また、主噴射量Qmは、後噴射がエンジンの出力トルクに寄与するため、その寄与分を基本燃料噴射量Qbから減算して設定する。
【0045】
続くステップA5では主噴射の噴射形態及び噴射時期を設定する。すなわち、後噴射が行なわれない場合には圧縮行程上死点付近での一括噴射(図2(a)参照)となり、後噴射を実行する場合は、エンジン運転状態に応じて分割噴射形態を設定する。すなわち、図5に示すように、分割噴射を行なうべき運転領域は図4に示すフォローアップ領域と基本的には一致し、アイドル運転領域でも分割噴射を行なう点で相違する。
【0046】
分割噴射運転領域において、中回転中負荷の運転領域では3分割噴射とし、他の領域は2分割噴射とするように設定されている。この実施例の分割噴射は等分割噴射である。すなわち、2分割噴射の各噴射量はQm1=Qm2=1/2Qmとなり、3分割噴射の各噴射量はQm1=Qm2=Qm3=1/3Qmとなる。3分割噴射の領域の噴射休止間隔Δtは0.3〜0.7msとし、目標トルクTrが高くなるほど、また、エンジン回転数Neが高くなるほど、当該Δtが長くなるように定められている。一方、2分割噴射の領域の噴射休止間隔Δtは0.4〜0.9msとし、目標トルクTrが高くなるほど、また、エンジン回転数Neが高くなるほど、当該Δtが長くなるように定められている。なお、各噴射量は等量でなくてもよく、また、3分割噴射の場合の2回の噴射休止間隔も同じである必要はない。
【0047】
分割数を多くする方がNOxの低減に有利であるため、エンジン回転数が高く且つエンジン負荷が高い上記中回転中負荷領域では3分割噴射とするものであり、また、噴射休止間隔Δtを長くするほどNOxの低減に有利であるため、エンジン回転数Neが高くなるほど、当該Δtが長くなるようにしているものである。但し、Δtが長くなると、煤を生成し易くなるため、上述の如くΔtの上限を定めているものである。この分割数及びΔtと、煤及びNOxとの関係については後に詳述する。
【0048】
噴射時期は、エンジン運転状態に応じて予め設定して電子的に格納したマップに基づいて設定する。すなわち、この噴射時期マップでは、エンジン水温及びエンジン回転数に対応する最適な噴射時期が実験的に求められて記録されており、例えば、エンジン水温やエンジン回転数が異なれば燃料噴霧の着火遅れ時間が異なるので、このことに対応して基本的な噴射時期Imが設定されている。一括噴射の場合はこのImが噴射開始時期となり、分割噴射の場合は最初の噴射開始時期Im1としてImを与え、2回目、3回目の噴射開始時期Im2、Im3は、各噴射量Qm1、Qm2を得るためのインジェクタ5の開弁時間及びΔtに基づいて定めることになる。
【0049】
続くステップA6ではフォローアップの噴射時期、すなわち、後噴射時期Ifを、主噴射燃料の拡散燃焼終了時点、この実施例では分割噴射された燃料の拡散燃焼終了時点で、当該後噴射燃料が着火燃焼を開始するように設定する。続くステップA7では以上のように設定された燃料噴射量及び噴射時期に基づいて主噴射及び後噴射を実行する。
【0050】
上記制御フローにおいて、上記ステップA5及びA7は上述の分割噴射制御手段を構成している。また、上記ステップA4、A6及びA7が後噴射制御手段を構成している。
【0051】
上記主噴射(分割噴射)の拡散燃焼終了時点は、エンジン運転状態(目標トルクTr及びエンジン回転数Ne)に応じて設定される主噴射の開始時期Im、主噴射量Qm、分割噴射の形態、最後の噴射時期等によって異なる。また、後噴射を行なっても、直ちに着火するわけではなく、着火遅れがあり、さらにインジェクタ5に対する駆動信号の出力から実際に開弁するまでには駆動遅れがある。
【0052】
従って、予め実験により各エンジン運転状態での主噴射燃料の拡散燃焼終了時点を求め、これに上記着火遅れ及び駆動遅れを考慮して、上記拡散燃焼終了時点よりも当該着火遅れ時間及び駆動遅れ時間分だけ進角させた時点を後噴射時期Ifと定め、これをエンジン運転状態に対応させてマップ化して電子的に格納している。そうして、このマップにより後噴射時期Ifをエンジン運転状態に応じて設定するようになっている。
【0053】
上記各エンジン運転状態での主噴射燃料の拡散燃焼終了時点は、実験によって各エンジン運転状態での各クランク角毎の筒内圧力データを求め、これに基づいて熱発生率を熱力学的に計算しグラフ化することによって求めることができる。すなわち、熱発生率が零になる時点を当該拡散燃焼の終了時点とするものである。
【0054】
「内燃機関講義」(出版社株式会社養賢堂、著者長尾不二夫)によれば、上記熱発生率は下記式(1)に示すように表される。
【0055】
dQ/dθ=A/(Kθ−1)×[Vθ・(dPθ/dθ)+Kθ・Pθ・(dVθ/dθ)]…(1)
ここで、Aは熱の仕事当量、Kθは比熱比、Vθは行程容積、Pθは筒内圧カ、θはクランク角である。
【0056】
小野測器株式会社製の燃焼解析装置CB566のマニュアルによれば、上記比熱比Kθは、下記式(2)〜(5)で表される。
【0057】
θ=Cp/Cv…(2)
Cp=ap+b(Tθ/100)+c(Tθ/100)+d(100/Tθ)…(3)
Cv=Cp−(A・Ro)/M…(4)
θ=(Pθ・Vθ)/29.27・G…(5)
ここで、Cpは定圧比熱、Cvは定容比熱、Roはガス定数、Mは空気の分子量、Tθはガス温度、Gはガス重量、ap,b,c,dはその他の定数である。
【0058】
上記式(2)〜(5)より、式(1)で示す熱発生率dQ/dθは、筒内圧力Pθと、行程容積Vθとの関数f(Pθ,Vθ)になる。また、上記行程容積Vθを、ボア径BおよびピストンストロークSに基づいて表すと、下記式(6)に示すようになるため、上記熱発生率dQ/dθは、下記式(7)に示すようになる。
【0059】
θ=(π・BS/8)・(1−cosθ)…(6)
dQ/dθ=[f(Pθ△θ),Vθ△θ)−f(Pθ,Vθ)]/△θ
…(7)
従って、クランク角毎の筒内圧カデー夕があれば、これに基づいて上記熱発生率を計算することができる。このようにして求めた熱発生率を図示すると、主噴射として一括噴射を採用した場合は図6(a)〜(c)のようになり、燃料の主噴射による燃焼に応じて熱発生率が正の方向に大きな値を示した後、その拡散燃焼の終了に応じて熱発生率が0となるため、この熱発生率が略0となる時点t1を上記拡散燃焼の終了時点として求めることができる。
【0060】
また、後噴射燃料の着火遅れ時間は、エンジンの排気量、燃料噴射圧力等によって異なるが、排気量1〜3Lクラスのエンジンでは、燃料噴射圧力が50〜200MPa程度のときは0.4〜0.7ms程度となる。この後噴射燃料の着火遅れ時間は、圧縮行程上死点付近で行なわれる主噴射燃料の着火遅れ時間(0.1〜0.3ms程度)よりも長いが、これは、後噴射が筒内温度が下がった時点で行なわれるためである。
【0061】
図6(a)はエンジン回転数Neが1500rpm、平均有効圧力Peが0.3MPaの低回転低負荷運転時のものであり、図6(b)はエンジン回転数Neが2000rpm、平均有効圧力Peが0.57MPaの中回転中負荷運転時のものであり、図6(c)はエンジン回転数Neが2500rpm、平均有効圧力Peが0.9MPaの高回転高負荷運転時のものである。
【0062】
同図において、τmは主噴射燃料の着火遅れ時間、τfは後噴射燃料の着火遅れ時間を示す。主噴射燃料の着火遅れ時間τmは主としてエンジン回転数によって異なり、低回転時には0.3ms程度、高回転時には0.1ms程度となる。後噴射燃料の着火遅れ時間τfは0.4〜0.7ms程度となるが、これはエンジン運転状態によって区々である。
【0063】
図6(a)の低回転低負荷運転時では、後噴射時期をATDC30゜CA(クランク角)としたときに、主噴射燃料の拡散終了時点で当該後噴射燃料が着火燃焼した。後噴射燃料の着火遅れ時間τfは約0.6msである。図6(b)の中回転中負荷運転時では、後噴射時期をATDC35゜CA(クランク角)としたときに、主噴射燃料の拡散終了時点で当該後噴射燃料が着火燃焼した。後噴射燃料の着火遅れ時間τfは約0.5msである。図6(c)の高回転高負荷運転時では、後噴射時期をATDC48゜CA(クランク角)としたときに、主噴射燃料の拡散終了時点で当該後噴射燃料が着火燃焼した。後噴射燃料の着火遅れ時間τfは約0.7msである。
【0064】
図7(a)及び(b)は主噴射として分割噴射を採用したときのインジェクタのニードルリフト量と熱発生率との関係を示す。図7(a)は上述の中回転中負荷運転時のものであり、図7(b)は上述の高回転高負荷運転時のものである。分割噴射の場合は、一括噴射に比べて燃焼期間が長くなるため、拡散燃焼終了時点が遅くなることに対応させて後噴射時期を遅くする必要がある。また、分割噴射の場合は一括噴射の場合よりも熱発生率のピークが低くなる。
【0065】
なお、燃焼室4内の温度を検出する温度センサの検出信号、燃焼光センサの検出信号、または燃焼室4内に存在する電荷が偏った反応性の高い水素や炭化水素等の量を検出するセンサの検出信号等に応じて上記拡散燃焼状態を判別する燃焼状態判別手段を設け、この燃焼状態判別手段において、燃料の主噴射後の温度が所定温度以下の低温となった否か、燃焼光の発光がなくなったか否か、または水素や炭化水素の量が急減したか否か等を判別することにより、上記拡散燃焼の終了時点を求め、これに基づいて次の燃焼サイクルでの後噴射時期を設定するように構成してもよい。さらに、温度センサによって検出された気筒内温度から断熱膨張温度を減算した値の微分値を求め、この微分値がマイナスの値から0になった時点を検出することによって上記拡散燃焼の終了時点を判別するようにしてもよい。
【0066】
次に以上のような燃料噴射制御の作用効果を詳述する。
【0067】
−分割噴射について−
まず、分割噴射について説明すると、燃料が分割噴射されることで、そのうちの最初に噴射される燃料による予混合燃焼の割合は相対的に少なくなり、燃焼初期に燃焼圧や燃焼温度が過度に上昇することがなくなるので、NOxの生成が少なくなる。また、噴射休止間隔Δtの間は燃料の噴出が中止するが、このΔtを50μs以上に設定することにより、先に噴出した燃料液滴に次の噴出燃料液滴が追いつくことがないようにしている。特に、この実施形態では、2回目の噴射を圧縮上死点以降に行うようにしているので、この噴射された燃料が直ちに燃焼し、燃焼室4の圧力が大きく上昇して圧縮空気の粘性が高くなるので、3回目に噴射された燃料液滴は直ちに減速され、先に噴射された燃料液滴に追いつくことが避けられる。
【0068】
また、各回の開弁時間は略0.8ms以下に設定している。これにより、各回の燃料噴射量が多くならないので、その燃料噴霧中での燃料液同士の再結合も最小限に抑制される。よって、一旦、微粒化した燃料液滴同士の再結合が最小限に抑えられるので、例えば燃圧を高めて燃料の噴出速度を大きくすることにより、燃料の微粒化ひいては気化霧化が十分に促進して、燃料蒸気と空気との混合状態を大幅に改善することができる。
【0069】
さらに、噴射休止間隔Δtの上限は1.0ms程度としている。このような上限値を定めているのは、2回目に噴射された燃料が1回目に噴射された燃料の燃焼終了前に燃焼し始め、3回目に噴射された燃料も2回目に噴射された燃料の燃焼終了前に燃焼するというように、各噴射による燃料が途切れることなく継続して良好に燃焼するようにするためである。最後の噴射の終了時期は圧縮行程上死点後35°CAより前になるようにすることが、燃焼が過度に緩慢になることを避ける上で好ましい。
【0070】
要するに、主噴射を分割して行うことにより、噴射された燃料の燃焼状態を極めて良好なものにして、燃費改善と煤生成の抑制とを実現できる。また、噴射終了時期は相対的に遅くなるものの、その間に断続的に噴射される燃料は上述の如く良好に気化霧化されて拡散燃焼するので、燃料噴射時期を遅角補正した場合のように燃焼状態が悪くなることはなく、むしろ、燃焼室4の圧力が相対的に長い間、高い状態に維持されて、燃焼ガスの膨張力が極めて有効にピストン3に伝達されるようになり、機械効率の向上によっても燃費の改善が図られる。
【0071】
そして、前記のように燃料が良好に燃焼されて燃焼エネルギーそのものが大きくなる上に、燃焼の終了時期が遅くなって、排気の一部が温度状態が高いうちに排気通路20に流出するようになるので、排気圧力及び排気温度を上昇させて、触媒22の早期昇温を促すことができる。
【0072】
上述の如く、気筒2の圧縮上死点近傍でインジェクタ5により燃料を複数回に分割して噴射することで、燃料の微粒化を促進して燃焼状態を大幅に改善するとともに、有効な燃焼時間を延長して機械効率を改善しかつ排気エネルギーも高めることができるのであるが、このためには、インジェクタ5による分割噴射の回数や1回毎の開弁時間、噴射休止間隔Δtを適切に設定して、燃焼室4に噴出した燃料液滴同士ができるだけ再結合しないようにするとともに、燃焼を開始から終了まで途切れずにかつ良好に継続させる必要がある。
【0073】
本発明者らは、エンジン1の目標トルクに対応する基本噴射量の燃料を一括噴射した場合、2分割噴射した場合、及び3分割噴射した場合のそれぞれについて、噴射休止間隔Δtを変更しながら、これに伴い変化する噴射終了時のクランク角度と、NOx量、煤量、燃費率等との関係を調べた。
【0074】
排気中の有害成分であるNOx、煤、CO及びHCの排出量(エンジン本体からの排出量。以下、同じ。)の計測結果を、それぞれ図8〜図11に示す。なお、これらの図において、各プロット点に付記した数値は噴射休止間隔Δtであり、その単位には「μsec 」を使用している。この点は後述する図12も同じである。
【0075】
図8によれば、燃料噴射の分割数が多くなるほどNOx排出量が少なくなっており、また、2分割及び3分割噴射のいずれの場合も、噴射休止間隔Δtが長くなるほどNOx排出量が少なくなっている。一方、煤量は、図9によれば、2分割及び3分割噴射のいずれの場合も、噴射休止間隔Δtが短いときは一括噴射の場合よりも少なくなっているが、噴射休止間隔Δtが長くなるに連れて煤量が増大し、一括噴射の場合よりも多くなることがあることがわかる。また、図10に示すように、CO排出量については煤と同様の傾向が見られる。HC排出量については、図11に示すように、2分割又は3分割噴射とすることで一括噴射の場合よりも排出量が低減しているが、噴射休止間隔Δtを長くしていくとその排出量が増えていくことがわかる。
【0076】
燃費率に関しては、図12に示すように、一括噴射よりも2分割噴射の方が燃費率が改善されているが、3分割噴射とした場合には、噴射休止間隔Δtが短いときは燃費率がやや改善される一方、噴射休止間隔Δtが長くなるに連れて燃費率が悪化することが分かる。これは、分割噴射により燃焼性が改善しかつ機械効率が向上する一方、それと同時に熱効率が低下するためであり、このことから、噴射の終了時期はあまり遅くしないほうが好ましいと言うことができる。
【0077】
尚、前記実験結果は、この実施形態と同様に可変式のターボ過給機25を装備した排気量2000ccの4気筒ディーゼルエンジンを用いて、このエンジンを比較的負荷の低い状態でかつエンジン回転数Neを約1500rpmで運転したときのものである。
【0078】
−後噴射について−
エンジン低負荷低回転時(エンジン回転数Ne;1500rpm,平均有効圧力Pe;0.3Mpa)、エンジン中回転中負荷時(エンジン回転数Ne;2000rpm,平均有効圧力Pe;0.57Mpa)及びエンジン高回転高負荷時(エンジン回転数Ne;2500rpm,平均有効圧力Pe;0.9Mpa)の各々において、燃料の主噴射後に、燃料の後噴射時期を種々に変化させて煤、HC、CO、NOxの各排出量及び燃費率を測定する実験を行った。主噴射は一括噴射とし、噴射比率はQm:Qf=5:1とした。
【0079】
煤、HC、CO及び燃費率の測定においては、NOx排出量が、エンジン低負荷低回転時には50ppmになるように、エンジン中回転中負荷時には120ppmになるように、エンジン高回転高負荷時には250ppmになるように、それぞれ排気還流率を調節した。一方、NOx排出量の測定においては、EGRが行なわれると、後噴射による排気圧力の上昇によって排気還流率が変化してNOx生成量に影響が出るため、上記エンジンの各運転時では排気還流率が一定になるように制御した。
【0080】
図13に示すように、煤の排出量に関しては、後噴射時期を、エンジン低回転低負荷時(同図(a))では圧縮行程上死点後30゜CAに設定した場合に、エンジン中回転中負荷時(同図(b))では圧縮行程上死点後35゜CA〜40゜CAに設定した場合に、エンジン高回転高負荷時(同図(c))では圧縮行程上死点後45゜CA〜50゜CAに設定した場合に、それぞれ煤の排出量が顕著に低減されることが確認された。後噴射時期が0゜CAの箇所に付した白抜き丸は後噴射量零の場合を示す。この点は図14〜図17においても同じである。
【0081】
図14に示すように、HCの排出量に関しては、エンジン低回転低負荷時(同図(a))は圧縮行程上死点後35゜CA程度までの後噴射時期ではHC量はそれほど多くないが、それよりも後噴射時期が遅くなると急増している。エンジン中回転中負荷時(同図(b))では、後噴射時期が圧縮行程上死点後40゜CA付近まではそれほど多くないが、それよりも遅くなると急増し、エンジン高回転高負荷時(同図(c))では、圧縮行程上死点後55゜CA付近まではそれほど多くないが、それよりも遅くなると急増している。後噴射時期が遅くなると、HC排出量が急増しているのは、筒内温度の低下により、燃焼せずに排出される後噴射燃料が多くなることによると考えられる。
【0082】
図15に示すように、COの排出量に関しては、HC排出量と同様の傾向が見られ、エンジン低回転低負荷時(同図(a))では、後噴射時期が圧縮行程上死点後35゜CA付近まではそれほど多くないが、それよりも遅くなると急増し、エンジン中回転中負荷時(同図(b))では変動が見られるが、圧縮行程上死点後40゜CAよりも遅くなると急増し、エンジン高回転高負荷時(同図(c))では、圧縮行程上死点後55゜CAまではそれほど多くないが、それよりも遅くなると急増している。このような急増は後噴射燃料の不完全燃焼が原因になっていると考えられる。
【0083】
図16に示すように、NOxの排出量に関しては、エンジン低回転低負荷時(同図(a))、中回転中負荷時(同図(b))及び高回転高負荷時(同図(c))のいずれの場合も、後噴射時期が遅くなるほど少なくなる傾向が見られるが、それほど顕著な低下傾向ではない。従って、後噴射自体はNOxの低減にはそれほど有効でないということができる。
【0084】
図17に示すように、燃費率に関しては、エンジン低回転低負荷時(同図(a))、中回転中負荷時(同図(b))及び高回転高負荷時(同図(c))のいずれの場合も、後噴射時期が遅くなるほど燃費率が悪化している。しかし、エンジン低回転低負荷時(同図(a))では後噴射時期が圧縮行程上死点後35゜CA付近まで、中回転中負荷時(同図(b))では45゜CA付近まで、高回転高負荷時(同図(c))では48゜CA付近までであれば、その悪化はそれほどひどくない。この燃費率の悪化傾向は上記HC及びCOの排出量の増大傾向に略対応している。
【0085】
以上から、主噴射燃料の拡散燃焼終了付近又はそれ以降に後噴射燃料の燃焼が開始するようにすれば、煤を低減させることができ、特に、主噴射燃料の拡散燃焼終了付近で後噴射燃料の燃焼が開始するようにすれば、すなわち、上述の例では、後噴射時期を、エンジン低回転低負荷時には圧縮行程上死点後30゜CA付近(例えば27〜35゜CA)に、中回転中負荷時には同35゜CA付近(例えば33〜40゜CA)に、高回転高負荷時には同48゜CA付近(例えば45〜50゜CA)に設定すればHC排出量及びCO排出量の急増を避けながら、また、燃費率が大きく悪化することを避けながら、煤の排出量が大きく低下すること、そして、NOxの排出量も低下することがわかる。
【0086】
−後噴射量の割合について−
上記測定結果に基づき、後噴射時期を、上記エンジン低回転低負荷時に関しては圧縮行程上死点後8゜CA及び30゜CAの2点に設定し、上記中回転中負荷時に関しては同20゜CA及び35゜CAの2点に設定し、上記高回転高負荷時に関しては同20゜CA及び48゜CAの2点に設定して、それぞれ後噴射燃料の割合(Qf/(Qm+Qf))を種々に変えて、煤及びHCの排出量、並びに燃費率を測定した。
【0087】
煤の排出量に関しては、図18に示すように、エンジン低回転低負荷時(同図(a))、中回転中負荷時(同図(b))、高回転高負荷時(同図(c))のいずれにおいても、主噴射燃料の拡散燃焼終了付近で後噴射燃料の燃焼が開始するように後噴射時期を設定したときは(ATDC30゜CA、35゜CA、48゜CA)、後噴射燃料の割合が高くなるほど、煤の排出量が少なくなっている。また、エンジン回転数及び負荷が高いときほど後噴射燃料の割合を高めたときの煤の低減効果が高い傾向が見られる。
【0088】
これに対して、後噴射時期を早めたときは(ATDC8゜CA、20゜CA、20゜CA)、後噴射燃料の割合が高くなるに従って煤の排出量が増大するか、又は後噴射燃料の割合が煤排出量に影響を与えない、という結果になっている。これから、後噴射時期が早すぎるときは後噴射燃料の割合を高めても煤の再燃焼には有効でないことがわかる。
【0089】
HCの排出量に関しては、図19に示すように、エンジン低回転低負荷時(同図(a))及び中回転中負荷時(同図(b))では、主噴射燃料の拡散燃焼終了付近で後噴射燃料の燃焼が開始するようにしたときは(ATDC30゜CA、35゜CA、48゜CA)、後噴射燃料の割合が高くなるほどHC排出量が多くなっている。高回転高負荷時(同図(c))の場合は後噴射燃料の割合が高くなってもHC排出量はそれほど多くなっていない。この理由は定かでないが、筒内温度が高いために後噴射燃料が比較的良く燃焼したためと考えられる。一方、後噴射時期が早い場合(ATDC8゜CA、20゜CA、20゜CA)は低回転低負荷時、中回転中負荷時、高回転高負荷時のいずれの場合も、後噴射燃料の割合が高くなってもHC排出量は多くなっていない。これは、後噴射時期が早い場合は筒内温度が高いために後噴射燃料が燃焼し易いためと考えられる。
【0090】
燃費率に関しては、図20に示すように、エンジン低回転低負荷時(同図(a))、中回転中負荷時(同図(b))、高回転高負荷時(同図(c))のいずれにおいても、主噴射燃料の拡散燃焼終了付近で後噴射燃料の燃焼が開始するようにしたときは(ATDC30゜CA、35゜CA、48゜CA)、後噴射燃料の割合が高くなるほど燃費率が悪くなっている。一方、後噴射時期が早い場合(ATDC8゜CA、20゜CA、20゜CA)は後噴射燃料の割合が高くなっても燃費率はそれほど悪化していない。この結果は、上記HC排出量の結果と良く対応している。
【0091】
以上から、後噴射燃料の割合を高めると、煤の排出量の低減には有利になるものの、HC排出量の増大、燃費率の悪化を招くことから、その割合を高めることはあまり好ましくないが、エンジン回転数が比較的高いときないしはエンジン負荷が比較的高いときは、煤の発生量が多くなる一方、後噴射燃料の割合を高めることによる煤の低減効果が高いから、エンジン回転数が高くなるほど、また、エンジン負荷が高くなるほど当該割合を高めることには意義があるということができる。
【0092】
以上では、主噴射の分割形態として圧縮行程上死点付近で燃焼が途切れないように多段に分割噴射する方式を説明したが、最初の噴射を吸気行程又は圧縮行程前半ないしは中間(圧縮行程上死点前60゜CA付近までに)に行ない、次の噴射を圧縮行程上死点付近に行なうという分割噴射形態を採用してもよい。
【0093】
この場合は、所謂予混合圧縮着火燃焼方式になり、燃料の拡散を促進して比較的均質な混合気を形成し、着火時の急激な熱炎反応を抑制してNOxを低減することができる。また、同時に噴射燃料と空気との混合が良くなるため、すなわち、過濃混合気の形成が抑制されるため、煤の発生量も少なくなる。従って、このような分割噴射形態と上記フォローアップ噴射との組み合わせにより、NOx低減と煤の低減とを同時に効果的に達成することができるようになる。
【0094】
参考形態
上記実施形態ではNOx低減のために主噴射として分割噴射形態を採用したが、本参考形態では主噴射として一括噴射形態を採用し、NOx低減にその噴射時期のリタードを採用したものである。本参考形態に係るディーゼルエンジンの燃料噴射装置は、主噴射時期をエンジンの運転状態に応じてリタードさせる主噴射制御手段と、フォローアップ噴射を行なうための後噴射制御手段と、パイロット噴射制御手段とを備えている。
【0095】
主噴射制御手段は、燃料が圧縮行程上死点付近で一括して主噴射されるようにエンジンの運転状態に応じてインジェクタ5の作動を制御し且つ所定のエンジン運転領域では上記主噴射の開始時期を圧縮行程上死点よりも遅くなるようにリタードさせる。後噴射制御手段は、上記主噴射開始時期がリタードされたとき、その主噴射の終了後にさらに燃料が噴射されるようにエンジンの運転状態に応じて上記インジェクタ5の作動を制御し、しかも、上記主噴射燃料の拡散燃焼終了時点を基準として、該終了時点の付近又は該終了時点よりも後に後噴射の燃料の燃焼が開始するように、その後噴射時期を設定する。パイロット噴射制御手段は、上記主噴射開始時期のリタード時に該主噴射よりも前に少量の燃料がパイロット噴射されるように上記インジェクタ5の作動を制御する。
【0096】
図21に本参考形態の燃料噴射制御フローを示す。ステップB1〜B4及びB6、B7は先の実施形態のステップA1〜A4及びA6、A7と同じであり、その説明は省略する。当該制御フローにおいて、ステップB4、B5及びB7が上記主噴射制御手段を構成し、ステップB4、B6及びB7が後噴射制御手段を構成している。本参考形態の特徴はステップB5にあり、主噴射時期Imについては、予め設定して電子的に格納したマップに基づいてエンジン運転状態に応じて必要なリタード設定を行なう。
【0097】
すなわち、図22は当該マップを示すものであり、主噴射時期Imのリタードはエンジンのアイドル運転領域と中回転中負荷の運転領域において行なうように目標トルクTr及びエンジン回転数Neに基づいて設定されている。この場合、主噴射時期Imは圧縮行程上死点後5゜CA以降になるように、さらには15゜CA以降になるようにリタードすることがNOxの低減の上で好ましい。あるいは、低回転低負荷の運転領域においては、エンジン負荷が大に又はエンジン回転数が大になるほど主噴射時期を第1の変化率で進角させ、中回転中負荷の運転領域においては、エンジン負荷が大に又はエンジン回転数が大になるほど主噴射時期を第1の変化率よりも小さい変化率で進角させるように、若しくはエンジン負荷が大に又はエンジン回転数が大になるほど主噴射時期を遅角させるようにしてもよい。フォローアップ領域は同図の太線で囲まれた領域である。従って、リタード領域以外でもエンジン中回転乃至は中負荷の運転領域では主噴射燃料の拡散燃焼終了付近で後噴射燃料の燃焼が開始するように後噴射を実行することになる。アイドル運転領域や高回転高負荷運転領域でも当該後噴射を実行してもよいことは先の実施形態と同じである。
【0098】
また、上記リタード領域ではパイロット噴射を併せて実行し、これにより、当該リタードを大きくすることができるようにしている。もちろん、他の運転領域においても、パイロット噴射を実行してエンジン燃焼騒音の低減及びNOxの低減を図るようにしてもよい。リタード量はアイドル運転時の方が中回転中負荷の運転域よりも大きくなるように設定している。これは、アイドル運転時は排気ガス温度が低いため、リタード量を大きくして排気ガス温度を高め、触媒22の早期活性を促すためである。
【0099】
従って、本参考形態の場合は、上記主噴射時期ImのリタードによってNOxの低減が図れ、フォローアップ噴射によって煤の低減が図れることになる。しかも、当該リタードによって煤発生量が増大する傾向にあるところ、フォローアップ噴射によってこの煤を効率良く再燃焼させてその排出量の低減を図ることができる。
【0100】
(他の特徴)
記実施形態及び参考形態において他の特徴とするところは、EGRを実行しつつ上記フォローアップ噴射を行なう点、また、ターボ過給を行ないつつ上記フォローアップ噴射を行なう点である。
【0101】
−EGRとフォローアップ噴射との関係−
EGRを実行すると、NOxの低減が図れるものの、燃焼室における不活性ガス(還流排気ガス)の増加によって燃焼が悪化することと、高温の排気ガスが還流することによる吸気温度の上昇によって吸入空気量が低下することとが原因となって、煤の発生量が多くなる。
【0102】
これに対して、上記実施形態及び参考形態ではEGRを実行しつつ上記フォローアップ噴射を行なうことから、このEGRで煤の発生量が増大しても、フォローアップ噴射によってその煤を効率良く再燃焼させることができ、NOxの低減と煤の低減の両立に有利になる。
【0103】
−ターボ過給とフォローアップ噴射との関係−
上記フォローアップ噴射を実行すると、後燃え(膨張行程での燃料の燃焼)によって排気エネルギーが高まり、そのためにターボ過給機25の過給効率が高まる。このことにより、吸入空気の充填効率が高まり、すなわち、新気量が増大し、フォローアップ噴射による煤の再燃焼時に煤と接触する空気量が増え、その着火燃焼に有利になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係るディーゼルエンジンの全体構成を示す図。
【図2】 同実施形態の分割噴射形態を示すタイムチャート図。
【図3】 同実施形態の燃料噴射制御フロー図。
【図4】 同実施形態のフォローアップ領域を示す図。
【図5】 同実施形態の分割噴射領域を示す図。
【図6】 同実施形態の各エンジン運転状態における一括噴射の場合のインジェクタのニードルリフト量と熱発生率との関係を示すタイムチャート図。
【図7】 同実施形態の各エンジン運転状態における分割噴射の場合のインジェクタのニードルリフト量と熱発生率との関係を示すタイムチャート図。
【図8】 燃料噴射の分割回数及び噴射休止間隔をそれぞれ変化させたときの、排気中のNOx量の変化特性を示すグラフ図。
【図9】 燃料噴射の分割回数及び噴射休止間隔をそれぞれ変化させたときの、排気中の煤量の変化特性を示すグラフ図。
【図10】 燃料噴射の分割回数及び噴射休止間隔をそれぞれ変化させたときの、排気中のCO量の変化特性を示すグラフ図。
【図11】 燃料噴射の分割回数及び噴射休止間隔をそれぞれ変化させたときの、排気中のHC量の変化特性を示すグラフ図。
【図12】 燃料噴射の分割回数及び噴射休止間隔をそれぞれ変化させたときの燃費率の変化特性を示すグラフ図。
【図13】 後噴射時期と排気中の煤量との関係を示すグラフ図。
【図14】 後噴射時期と排気中のHC量との関係を示すグラフ図。
【図15】 後噴射時期と排気中のCO量との関係を示すグラフ図。
【図16】 後噴射時期と排気中のNOx量との関係を示すグラフ図。
【図17】 後噴射時期と燃費率との関係を示すグラフ図。
【図18】 後噴射燃料の割合と排気中の煤量との関係を示すグラフ図。
【図19】 後噴射燃料の割合と排気中のHC量との関係を示すグラフ図。
【図20】 後噴射燃料の割合と燃費率との関係を示すグラフ図。
【図21】 参考形態の燃料噴射制御フロー図。
【図22】 同参考形態の主噴射リタード領域を示すマップ図。
【符号の説明】
A ディーゼルエンジンの燃料噴射制御装置
1 エンジン
2 気筒
4 燃焼室
5 インジェクタ(燃料噴射弁)
20 排気通路
22 触媒
35 ECU

Claims (3)

  1. 燃焼室内に燃料を噴射する燃料噴射弁と、
    燃料を複数回に分割して噴射すべく、吸気行程初期から膨張行程初期までの所定時期に且つ最後の噴射時期が圧縮行程上死点付近になるように、閉弁状態になる所定の噴射休止間隔を挟んで断続的に開弁するようにエンジンの運転状態に応じて上記燃料噴射弁の作動を制御する分割噴射制御手段と、
    上記分割噴射終了後にさらに燃料が噴射されるようにエンジンの運転状態に応じて上記燃料噴射弁の作動を制御する後噴射制御手段とを備え、
    上記後噴射制御手段は、上記分割噴射された燃料の拡散燃焼終了時点を基準として、該終了時点の付近又は該終了時点よりも後に後噴射の燃料の燃焼が開始するように、その後噴射時期を設定し、エンジン回転数が高くなるほど又はエンジン負荷が高くなるほど、上記分割噴射と後噴射とを合わせた総燃料噴射量に占める後噴射量の割合が多くなるように後噴射量を設定することを特徴とするディーゼルエンジンの燃料噴射装置。
  2. 請求項1に記載のディーゼルエンジンの燃料噴射装置において、
    上記噴射休止間隔は、分割噴射された各燃料間で燃焼が継続した状態になるように0.05ms〜1.0msに設定されていることを特徴とするディーゼルエンジンの燃料噴射装置。
  3. 請求項2に記載のディーゼルエンジンの燃料噴射装置において、
    上記分割噴射制御手段は、エンジン回転数が高くなるほど又はエンジン負荷が高くなるほど、燃料の分割噴射回数が多くなるように又は上記噴射休止間隔が長くなるように上記燃料噴射弁の作動を制御することを特徴とするディーゼルエンジンの燃料噴射装置。
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