JP2003292243A - 合成繊維糸条のチーズ状パッケージおよびその製造方法 - Google Patents

合成繊維糸条のチーズ状パッケージおよびその製造方法

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JP2003292243A JP2002095967A JP2002095967A JP2003292243A JP 2003292243 A JP2003292243 A JP 2003292243A JP 2002095967 A JP2002095967 A JP 2002095967A JP 2002095967 A JP2002095967 A JP 2002095967A JP 2003292243 A JP2003292243 A JP 2003292243A
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一登 長谷川
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Abstract

(57)【要約】 【課題】バルジ、サドルの形成をともに低いレベルに抑
えるチーズ状パッケージおよびその製造方法を提供す
る。 【解決手段】合成繊維糸条をチーズ状パッケージに巻上
げる際のトラバース速度が、合成繊維糸条チーズ状パッ
ケージ中の綾角が最表層から最内層までの間の全域もし
くはその一部で下記式(1)、(2)の揺動を行い、そ
の周期に同調して糸条のトラバース幅が下記式(3)の
揺動を行うことを特徴とするチーズ状パッケージの製造
方法。 8≦Dθ≦55 ・・(1) Lt×T/L<3.2×107 ・・(2) 0.90≦Lmin/Lmax<0.99 ・・(3) ただし、θ:綾角[rad] Dθ:tanθの揺動率[%] Lt:綾角が1周期揺動するまでに巻かれる糸長[m] Lmax:最大トラバース幅[m] Lmin:最小トラバース幅[m]

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、合成繊維糸条のチ
ーズ状パッケージおよびその製造方法に関するものであ
り、特にチーズ状パッケージの巻き形状が良好であると
ともに、高次加工性も良好なチーズ状パッケージおよび
その製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】合成繊維糸条をボビン上に巻上げ、チー
ズ状パッケージを形成することは、製糸工程等で広く行
われている。この巻上げの際、糸条はトラバース装置に
よりトラバースされつつ巻き取られるが、従来は、巻始
めから巻終わりまでのトラバース速度を、実質的に増減
させることなく、殆ど一定とする方法、すなわち、ドラ
ムとして巻かれる糸条の綾角を実質的に一定とする巻取
法(以下、綾角一定巻き法と称する)、トラバース回転
数を、ワインド比(ボビンホルダー回転数/トラバース
往復回数)が一定となるように巻厚の増加に対し漸減す
る巻取り法(以下、ワインド比一定巻き法)、このワイ
ンド比一定巻きを多段に切り替える巻取り法(以下、ワ
インド比多段切り替え法と称する)、あるいは、リボン
帯の発生部位にてトラバース速度を急激に変化させる巻
取り法(以下、突変巻き法と称する)などが行われてい
た。
【0003】このチーズ状パッケージは、巻き上げの時
の巻取張力、トラバース折返し部の糸溜まり、糸条の遅
延回復などに起因して、その中層端面に膨らみが、ま
た、その表層端部に突起が形成され、これらはそれぞ
れ、サドル、バルジと称されている。
【0004】バルジやサドルの大きいチーズ状パッケー
ジは、外観が悪く商品的価値が低いばかりか、取扱い性
も悪いので、輸送の際に端面の糸条が損傷を受け易い。
また、チーズ状パッケージ端面の糸条と中央部の糸条と
の収縮差や染着差が発生し易くなるし、糸条をチーズ状
パッケージから解舒する時の張力変動が大きくなるた
め、高速解舒時に輪抜けが発生し易いなどの問題点があ
り、高次加工性が劣り、得られる高次加工品の品位も劣
るものとなる。このため、チーズ状パッケージのバルジ
およびサドルをともにできる限り小さく抑えることが要
求されている。
【0005】また、さらにチーズ状パッケージの端面に
部分的な凹凸がある場合については、その部分で巻上げ
時に糸条あるいは単糸がチーズ状パッケージ端面から落
ち込んだりしてその張力変動により糸切れとなったり、
また、解舒時においても正常に解舒できないため糸切れ
や節となり易い。
【0006】例えば、糸条を巻上げる際の巻上げ張力
(繊度当たりの値)を高く設定せざるを得ない場合や、
巻取り糸条の遅延回復が高くなる3000m/分以上の
ポリアミド繊維高速紡糸の場合などについては、従来の
綾角一定巻き法、ワインド比一定巻き法、ワインド比多
段切替巻き法では、バルジおよびサドルをともに低いレ
ベルに抑えることは難しく、また、さらにチーズ状パッ
ケージ端面に凹凸のない良好なチーズ状パッケージとす
ることが困難であった。
【0007】このバルジ、サドルをともにトラバース速
度の制御によって減少させる方法が、特開平3−216
460号公報、特開平5−306069号公報で提案さ
れている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
3−216460号公報では、チーズ状パッケージ端面
に凹凸が発生し易く、また、全糸落ちや単糸落ちなどの
トラブルが生じ易いという問題があった。一方、特開平
5−306069号公報では、摩擦係数の低い品種や糸
条内のフィラメント数の少ない品種など、フォームが崩
れ易いもしくは糸落ちの発生し易い品種への適応が困難
もしくは効果が不十分であり、品種汎用性が低いという
問題があった。
【0009】そこで本発明は、バルジ、サドルの形成を
ともに低いレベルに抑えるチーズ状パッケージおよびそ
の製造方法を提供することを第一の課題とし、ドラム端
面に局部的な凹凸のない良好なチーズ状パッケージおよ
びその製造方法を提供することを第二の課題とし、さら
に、ドラム端面での全糸落ち、単糸落ちを発生させない
チーズ状およびその製造方法を提供することを第三の課
題とする。
【0010】そしてこれらの目的を同時に達成すること
によって、チーズ状パッケージの梱包性、取扱い性、巻
取り時の糸切れ、ドラム解舒時の張力変動および輪抜け
などの諸問題を解決することを課題とする。
【0011】また、高次加工性や高次加工品品位の向上
をはかることをもさらに課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題を達成するた
め、本発明は次のような構成を有している。すなわち、
(1)合成繊維糸条を巻き上げたチーズ状パッケージに
おいて、該パッケージの最表層から最内層までの間の全
域もしくはその一部でパッケージの綾角の正弦(tan
θ)の揺動率(Dθ)が下記式(1)を満足し、綾角が
1周期揺動するまでに巻かれる糸長[m]をLtとし、
巻かれる糸条の繊度[dT]をTとし、平均トラバース
幅[m]をLとしたとき、Lt×T/Lが下記式(2)
を満足し、最大トラバース幅[m]Lmax/最小トラ
バース幅[m]Lminが下記式(3)を満足したもの
であることを特徴とするチーズ状パッケージ。
【0013】 8≦Dθ≦55 ・・(1) Lt×T/L<3.2×107 ・・(2) 0.9≦Lmin/Lmax<0.99 ・・(3) (2)合成繊維糸条をチーズ状パッケージに巻上げる際
のトラバース速度が、合成繊維糸条チーズ状パッケージ
中の綾角が最表層から最内層までの間の全域もしくはそ
の一部で下記式(1)、(2)の揺動を行い、その周期
に同調して糸条のトラバース幅が下記式(3)の揺動を
行うことを特徴とするチーズ状パッケージの製造方法。
【0014】 8≦Dθ≦55 ・・(1) Lt×T/L<3.2×107 ・・(2) 0.9≦Lmin/Lmax<0.99 ・・(3) ただし、θ:綾角[rad] Dθ:tanθの揺動率[%] Lt:綾角が1周期揺動するまでに巻かれる糸長[m] Lmax:最大トラバース幅[m] Lmin:最小トラバース幅[m] (3)前記トラバース速度が、巻始めから巻終わりまで
の間の全域もしくはその一部で下記式(4)の揺動を行
うことを特徴とする前記(2)に記載のチーズ状パッケ
ージへの製造方法。
【0015】 8≦Dh≦55 ・・(4) ただし、Dh:トラバース速度揺動率[%] (4)前記合成繊維糸条の巻上げの速度が3000m/
分以上であることを特徴とする前記(2)または(3)
に記載のチーズ状パッケージへの製造方法。
【0016】(5)前記合成繊維糸条がポリアミド繊維
糸条であることを特徴とする前記(2)〜(4)のいず
れかに記載のチーズ状パッケージへの製造方法。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。
【0018】本発明においては、対象とするチーズ状パ
ッケージの綾角の正弦(tanθ)の揺動率(Dθ)が
8〜55%であるものである。ここで、最大綾角、最小
綾角はチーズ状パッケージの綾角を綾角揺動1周期分に
相当する巻厚の少なくとも0.05倍以下の巻厚毎に測
定した際のそれぞれ最大値、最小値として得られ、ta
nθの揺動率(Dθ)は、次のように求められる。 Dθ=2×{tan(最大綾角)−tan(最小綾
角)}/{tan(最大綾角)+tan(最小綾角)}
×100 揺動率が8%未満では、前記したリボンブレークとして
の効果は得られるが、最大トラバース幅と最小トラバー
ス幅間差が小さく、実質上綾角一定巻と同等となり、従
ってバルジ減少もしくは全糸落ち、単糸落ち発生の抑制
のいずれか片方の効果しか得られない。一方、55%を
越えると端面への糸溜まり量が少なくなり過ぎ、適正硬
度の端面が形成できなくなるためチーズ状パッケージ取
り扱い性が悪くなる。さらに好ましくは10〜40%で
ある。
【0019】本発明の対象とするチーズ状パッケージ
は、綾角が1周期揺動するまでに巻かれる糸長[m]を
Lt、巻き取られる糸条の繊度[dT]をT、平均トラ
バース幅[m]をLとしたとき、Lt×T/Lの値を
3.2×107 以下とするものである。この値が3.2
×107を超えると、チーズ状パッケージ端面の最大ト
ラバース幅部−最小トラバース幅部間の間隔が大きくな
り、チーズ状パッケージ端面の局部的な凹凸が発生す
る。またこのことにより全糸落ち、単糸落ちも併発し易
くなる。この値は小さいほど端面の局所的な凹凸がなく
なるので、トラバース装置の性能上許される範囲で綾角
揺動周期を短くすることが好ましい。さらに好ましくは
2.9×107 以下である。
【0020】本発明の対象とするチーズ状パッケージ
は、その最大トラバース幅と最小トラバース幅の比(L
max/Lmin)が0.9〜0.99であるものであ
る。0.9未満では、端面への糸溜まり量が少なくなり
過ぎ、適正硬度の端面が形成できなくなるためチーズ状
パッケージの取り扱い性が悪くなる。また、0.99を
超えるとリボンブレークとしての効果は得られるが、最
大トラバース幅と最小トラバース幅間差が小さく、実質
上綾角一定巻と同等となり、したがってバルジ減少もし
くは全糸落ち、単糸落ち発生の抑制のいずれか片方の効
果しか得られない。さらに好ましくは0.95〜0.9
9である。
【0021】ここで、トラバース速度揺動方法を、その
一例を示す図1、図2に基づいて説明する。図1は、横
軸を糸条巻取中の時間、縦軸をトラバース速度比とし、
トラバース速度揺動率、トラバース速度揺動周期がそれ
ぞれ30%、20秒の場合のトラバース揺動方法を例示
するものである。また図2は、横軸を図1と同位相の時
間、縦軸をトラバース巻幅比とし、図1のトラバース揺
動方法で巻取った際のトラバース巻幅の変化を例示する
ものである。
【0022】本発明において、トラバース速度揺動率
(Dh)は8〜55%とすることが好ましい。8%未満
では前記したリボンブレークとしての効果は得られる
が、最大トラバース幅と最小トラバース幅間差が小さ
く、実質上綾角一定巻と同等となり、したがってバルジ
減少もしくは全糸落ち、単糸落ち発生の抑制のいずれか
片方の効果しか得られない。一方、55%を越えると端
面への糸溜まり量が少なくなり過ぎ、適正硬度の端面が
形成できなくなるためチーズ状パッケージ取り扱い性が
悪くなる。さらに好ましくは10〜40%である。
【0023】本発明において、トラバース速度揺動方法
については特に限定はないが、例えば前記した式(1)
(2)を満たす範囲内であれば特に規定するものではな
いが、バルジ、サドルの形成性、チーズ状パッケージ端
面の硬度などを見ながらトラバース速度揺動方法を図
3、図4に示す例のようにトラバースの高速/低速回転
時間、巻き幅の広幅/狭幅の比を増減してもよい。ま
た、トラバース速度を揺動させる巻厚範囲についても特
に限定はないが、チーズ状パッケージ端面の膨れの位置
や程度に応じて、例えば膨れの著しい巻厚部分のみでト
ラバース速度を揺動させたり、その揺動率を巻厚や膨れ
の程度に応じて変動させてもよい。
【0024】また、本発明においては、合成繊維糸条の
巻上げの速度が高いほど、パッケージ端面の膨れが生じ
やすく、また膨れ抑制のためトラバース速度を上げると
端面糸落ちが発生しやすくなるため、本発明による効果
は巻上げの速度が高いほどより顕著となる。したがっ
て、巻取速度が3000m/min以上である高速直接
延伸紡糸法により巻き取られることが好ましいが、これ
に限定されるものではない。
【0025】また、本発明における合成繊維糸条として
は特に限定されるものではないが、巻取り後の収縮によ
る端面膨れが顕著なポリアミド繊維糸条において本発明
による効果はより顕著となる。ポリアミド繊維として
は、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ナイロ
ン610や、これらコポリマーなどからなるポリアミド
繊維が挙げられる。
【0026】糸条をトラバースさせつつボビン上に巻取
りチーズ状パッケージを形成する工程では、一般に、そ
のトラバース速度を高くすると、機械的なトラバースの
振り幅に対しチーズ状パッケージ表層に巻かれている糸
の追従が遅れる度合いが大きくなるので、チーズ状パッ
ケージ上に巻かれる時点の糸条トラバース幅(実パッケ
ージ巻幅)が狭くなる。また、綾角を大きくすることに
より収縮力が綾振り幅の中心方向に強くなるため端面の
膨れ(バルジ)を抑える効果がはたらく。このため、ド
ラム中内層部端面の膨れ(バルジ)を減少させるにはト
ラバース速度を高く設定することが有効である。しか
し、トラバース速度を高く設定して実巻幅を狭くすると
ドラム端面に溜まる糸の量が多くなる傾向にあるためサ
ドルは逆に増大し、同時にトラバースの高回転化に伴う
巻幅のズレにより、巻幅が大きくなった瞬間に全糸落ち
や単糸落ちが発生することになる。
【0027】このため、ワインド比を一定とするワイン
ド比一定巻では、巻厚の増大に伴ってトラバース速度を
遅くするため、最内層部では全糸落ちや単糸落ちが発生
しやすく、これを回避すべく相対的にトラバース速度を
遅くすると、中、表層部でのバルジ増大を抑制すること
ができない。また、ワインド比を多段に切り変えるワイ
ンド多段切り変え巻きやリボン帯回避のため急激にトラ
バース速度を変化させる突変巻については巻幅が急激に
変化するためドラム端面の段付きによりやはり全糸落ち
や単糸落ちが発生し易くなる。また、特開平5−306
069号公報で提案されているように、トラバース速度
比を巻厚比に対して漸増、漸減と変化させる巻取方法に
ついても、特定の品種に対しては効果があるが、摩擦係
数の低い品種や糸条内のフィラメント数の少ない品種な
ど、フォームが崩れ易いもしくは糸落ちの発生し易い品
種への適応が困難もしくは効果が不十分であり、品種汎
用性が低いという問題があった。
【0028】これに対し本発明は、トラバース速度の変
化に伴う巻幅の変化と全糸落ちおよび単糸落ちの発生し
易さの変化に着眼し、サドル、バルジが小さく、かつド
ラム端面の段付きのないパッケージを得るため、トラバ
ース速度揺動率と揺動周期の最適化を図ったものであ
り、この最適化により前記した問題点が解決できるもの
である。
【0029】本発明では、トラバース速度の高い部分と
低い部分を短周期で交互に繰り返えして巻取り、トラバ
ース速度の高い部分で端面の膨れを抑え、トラバース速
度の低い部分で高回転化に伴う巻幅のズレによる全糸落
ちや単糸落ちの発生を抑え、巻幅を周期的に変化させる
ことで端面への糸溜まり量を少なくし、さらにトラバー
ス速度揺動周期を短くすることで最大綾振り幅部−最小
綾振り幅部間の間隔を細かくすることにより、パッケー
ジ端面の局部的な凹凸が実質上なく、全糸落ちや単糸落
ちもなく、バルジ、サドル共に低いレベルの良好なチー
ズ状パッケージを得ることができる。ひいては、糸条の
端面収縮斑や染め斑が少なく、パッケージ取り扱い性が
良好でかつ解舒時の張力変動が低く、輪抜けの発生を抑
えるチーズ状パッケージを得ることができるのである。
【0030】また本発明は、トラバース速度を増減変化
させる手段を付加するのみで実施することができるの
で、工業的にも容易に適応することができる。
【0031】
【実施例】次に本発明を実施例によって具体的に説明す
る。なお、実施例中の特性値は、次のとおりに行った。 (a)バルジ率 図5に従い、糸条を巻き取ったチーズ状パッケージの最
内層巻幅c(mm)に対する内層の最大膨らみ部巻幅b
(mm)の割合(%)を意味しており、次式で算出した
ものである。 バルジ率(%)={(b−c)/c}×100 (b)サドル 図5に従い、糸条を巻き取ったチーズ状パッケージの最
大巻き径f1と最小巻き径f2との差(mm)を意味し
ており、次式で表される。 サドル(mm)=(f1−f2)/2 (c)綾角θ チーズ状パッケージ巻取時回転軸と垂直な面に対してト
ラバースされた糸条の巻取り方向のなす角であり、次式
で表される。 綾角θ[rad]=Asin(L1×2/Lt1) Lt1:トラバースが1往復する間に巻取られる糸長
[m] L1:上記トラバース1往復でのトラバース幅[m] (d)最大トラバース幅、最小トラバース幅、平均トラ
バース幅 糸条がトラバース1往復した際の糸条のチーズ状パッケ
ージ巻取時回転軸方向の変位をトラバース幅とし、最大
トラバース幅(Lmax)[m]、最小トラバース幅
(Lmin)[m]はそれぞれ綾角最小時、綾角最大時
のトラバース幅とする。また、平均トラバース幅Lは最
大トラバース幅、最小トラバース幅の平均値であり、次
式で表される。 L[m]=(Lmax+Lmin)/2 実施例1〜8、比較例1〜12 図6に示す工程にしたがってポリアミド繊維を製糸し、
チーズ状パッケージとして巻き取った。相対粘度(96
%硫酸を溶媒とし、試料濃度1g/l、室温25℃で測
定)が2.6のナイロン6チップを溶融押出機に供給
し、紡糸温度270℃で溶融し、孔径が0.25mmの
紡糸孔を5個有する紡糸口金1より吐出させた。これを
冷却装置2より風温20℃、風速30m/分の冷却風を
吹き付けて糸条Yを冷却し、油剤付与装置3により油剤
を付与、糸条を収束させた後、第1ゴデローラ4により
引き取り、第2ゴデローラ(表面温度140℃)5を介
して4000m/分で引き取り、巻き取り装置6で40
00m/分で巻き取って17〜37T(テックス)/7
f(フィラメント)の繊維を得た。このときトラバース
速度を表1に示すように種々変更して行った。また、測
定により得られた糸条パッケージのバルジ率、サドルの
値を表1に示す。
【0032】なお、表1中、Lt×T÷Lの欄におい
て、例えば1.9E+007は1.9×107の意であ
る。
【0033】
【表1】
【0034】表1の結果から明らかなように、実施例1
〜8では端面の膨れ、糸落ち等の異常なく、耳立ちにつ
いても問題ないレベルのチーズ状パッケージを得ること
ができるという極めて顕著な効果を奏することがわか
る。
【0035】一方、比較例1〜3ではトラバース速度揺
動率(Dh)が8%より低かったため、バルジ率、サド
ル共に高く、解舒性、梱包性の悪いパッケージとなって
しまった。比較例4〜6では逆にトラバース速度揺動率
(Dh)が55%より高かったため最大トラバース幅と
最小トラバース幅との差が大きくなり、端面の糸密度が
下がってしまい、端面硬度の低い糸落ち気味で解舒性の
悪いパッケージとなってしまった。比較例7、8につい
ては繊度を高く、比較例9、10ではトラバース揺動周
期を長くしたことにより、Lt×T÷Lの値が高くなっ
たため、端面に凹凸が見られ、またバルジ率も高く、解
舒性、梱包性の悪いパッケージとなってしまった。比較
例11、12では Lmin/Lmax の値が0.9
0より低く、最大トラバース幅と最小トラバース幅との
差が大きくなったため、端面の糸密度が下がってしま
い、端面硬度の低い糸落ち気味で解舒性の悪いパッケー
ジとなってしまった。
【0036】
【発明の効果】本発明によれば、良好なチーズ状パッケ
ージに良好なチーズ状パッケージを製糸性よく製造する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】トラバース速度揺動方法の一例を示すグラフで
ある。
【図2】トラバース速度揺動方法の一例を示すグラフで
ある。
【図3】トラバース速度揺動方法の一例を示すグラフで
ある。
【図4】トラバース速度揺動方法の一例を示すグラフで
ある。
【図5】チーズ状パッケージの一例を示す縦断面図であ
る。
【図6】本発明の一実施態様を示す工程概略図である。
【符号の説明】
b:チーズ状パッケージ最大巻き幅[mm] c:チーズ状パッケージ最内層巻き幅[mm] f1:チーズ状パッケージ最大巻き径[mm] f2:チーズ状パッケージ最小巻き径[mm] 1:紡糸口金 2:冷却装置 3:油剤付与装置 4:第1ゴデローラ 5:第2ゴデローラ 6:巻き取り装置 Y:糸条

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】合成繊維糸条を巻き上げたチーズ状パッケ
    ージにおいて、該パッケージの最表層から最内層までの
    間の全域もしくはその一部でパッケージの綾角の正弦
    (tanθ)の揺動率(Dθ)が下記式(1)を満足
    し、綾角が1周期揺動するまでに巻かれる糸長[m]を
    Ltとし、巻かれる糸条の繊度[dT]をTとし、平均
    トラバース幅[m]をLとしたとき、Lt×T/Lが下
    記式(2)を満足し、最大トラバース幅[m]Lmax
    /最小トラバース幅[m]Lminが下記式(3)を満
    足したものであることを特徴とするチーズ状パッケー
    ジ。 8≦Dθ≦55 ・・(1) Lt×T/L<3.2×107 ・・(2) 0.9≦Lmin/Lmax<0.99 ・・(3)
  2. 【請求項2】合成繊維糸条をチーズ状パッケージに巻上
    げる際のトラバース速度が、合成繊維糸条チーズ状パッ
    ケージ中の綾角が最表層から最内層までの間の全域もし
    くはその一部で下記式(1)、(2)の揺動を行い、そ
    の周期に同調して糸条のトラバース幅が下記式(3)の
    揺動を行うことを特徴とするチーズ状パッケージの製造
    方法。 8≦Dθ≦55 ・・(1) Lt×T/L<3.2×107 ・・(2) 0.9≦Lmin/Lmax<0.99 ・・(3) ただし、θ:綾角[rad] Dθ:tanθの揺動率[%] Lt:綾角が1周期揺動するまでに巻かれる糸長[m] Lmax:最大トラバース幅[m] Lmin:最小トラバース幅[m]
  3. 【請求項3】前記トラバース速度が、巻始めから巻終わ
    りまでの間の全域もしくはその一部で下記式(4)の揺
    動を行うことを特徴とする請求項2に記載のチーズ状パ
    ッケージへの製造方法。 8≦Dh≦55 ・・(4) ただし、Dh:トラバース速度揺動率[%]
  4. 【請求項4】前記合成繊維糸条の巻上げの速度が300
    0m/分以上であることを特徴とする請求項2または3
    に記載のチーズ状パッケージへの製造方法。
  5. 【請求項5】前記合成繊維糸条がポリアミド繊維糸条で
    あることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の
    チーズ状パッケージへの製造方法。
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