JP2003291605A - 重荷重用空気入りタイヤ - Google Patents
重荷重用空気入りタイヤInfo
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Abstract
高温多湿な地域での使用における内面保護層の割れを防
止する。 【解決手段】 カーカス層と、インナーライナー層と、
その間に配設した内面保護層とを備えた重荷重用空気入
りタイヤにおいて、内面保護層がゴム層Aとゴム層Bと
からなり、各層を構成する各ゴム組成物がゴム成分と硫
黄と有機酸コバルト化合物とを配合してなり、該硫黄の
配合量が下記式(I)及び(II)を満たす重荷重用空気入り
タイヤである。 SA<SB≦SC ・・・ (I) 2≦SA≦4 ・・・ (II) (式中、SA、SB、SCは、それぞれゴム層A、ゴム
層B、カーカス層を構成するゴム組成物に配合される硫
黄のゴム成分100質量部に対する配合量を示す。)
Description
タイヤに関し、特に温暖湿潤地域での使用に対し耐久性
を著しく向上させた重荷重用空気入りタイヤに関する。
ヤの空気圧を保持するため最内層には空気透過性の低い
ブチル系ゴム組成物からなるインナーライナー層が配設
され、また、インナーライナー層とカーカス層の間には
内面保護層が配設されている。ここで、カーカス層と称
するは、プライコードと該プライコードを被覆するカー
カスゴムからなるカーカスプライのカーカスゴム部分を
いう。
を透過した酸素がカーカスプライまで到達してプライコ
ードとカーカスゴムとの接着力を低下させることがない
よう酸素をトラップする機能と、タイヤ走行やタイヤ内
圧によってカーカスゴムが径方向外側にクリープしてタ
イヤ内面にプライコードが浮き出ることがないようカー
カスゴムを補強する機能とが要求される。また、内面保
護層は、加硫前後でカーカスゴムの組成が変化すること
により本来のカーカスプライの機能を低下させないよう
カーカスゴムに近い配合であること、更には、ブチル系
ゴム組成物からなるインナーライナー層と加硫前後で高
い接着力を有することも要求される。
ゴム自体が酸化されて劣化することで達成される。しか
し、この酸化劣化により内面保護層の耐破壊性が低下す
ると、タイヤ走行末期に突起踏み越え等により大きな力
がタイヤにかかった際に内面保護層が割れてしまい、パ
ンク等のタイヤの故障につながる。そのため、酸化劣化
しても高い耐破壊性を有するゴムが内面保護層のゴムと
して望ましい。また、カーカスプライを補強してタイヤ
走行やタイヤ内圧によるクリープの発生を抑制するため
には、高弾性、高耐クリープ性を有するゴムが内面保護
層のゴムとして望ましい。
ヤにおいては、カーカス層の内側に配設したインナーラ
イナー層を内層-中間層-外層の3層構造にし、耐酸化劣
化性を付与するために、中間層にp-フェニレンジアミ
ン系老化防止剤をゴム成分100重量部当り5〜30重量部配
合している。
プライとインナーライナー層との間に弾性補強層を配置
し、該補強層に共役ジエンを含む一種以上のモノマーと
一種以上のビニル芳香族モノマーとのコポリマーを用い
る技術が記載されている。
209号では、内面保護層を2層構造にし、インナーライ
ナー層側に位置する層のゴム組成物から有機酸コバルト
化合物を実質的に除去することにより内面保護層の耐酸
化劣化性を向上させる技術が記載されている。
14441号では、中間層に配合したp-フェニレンジアミン
系老化防止剤が加硫中にカーカスプライ中に移行し、プ
ライコードとカーカスゴムとの接着に悪影響を及ぼすと
いう問題があった。
ンを含む一種以上のモノマーと一種以上のビニル芳香族
モノマーとのコポリマーを用いるので、弾性補強層の配
合コストが高くなるという問題があった。
209号に記載のようにインナーライナー層側に位置する
層から有機酸コバルト化合物を実質的に除去しても、内
面保護層の耐酸化劣化性を向上させる効果は十分でな
く、特に高温多湿な地域では、該内面保護層が割れてし
まう恐れがあるという問題が残っていた。
ライナー層の間に設けた内面保護層が、カーカスゴムの
クリープを抑制すると共に、高温多湿な地域で使用して
も内面保護層の割れの発生を防止するのに十分高い耐酸
化劣化性を有する重荷重用空気入りタイヤを提供するこ
とを目的とする。
達成すべく鋭意研究を重ねた結果、重荷重用空気入りタ
イヤのインナーライナー層とカーカス層の間に配置した
内面保護層を2層構造とし、インナーライナー層に隣接
するゴム層とカーカス層に隣接するゴム層とのゴム組成
物の配合を変え、カーカス層側のゴム層は高い耐クリー
プ性を有し、且つカーカス層と近い配合にしてカーカス
層への配合組成の違いの影響を抑え、インナーライナー
層側のゴム層は酸化劣化後も高い耐破壊性を有するよう
に機能を分離することによって、カーカスゴムのクリー
プが抑制でき、プライコードとカーカスゴムとの接着性
も維持し、更に耐酸化劣化性を向上させることができる
ことを見出し、本発明を完成させるに至った。
配設した内面保護層とを備えた重荷重用空気入りタイヤ
において、前記内面保護層がインナーライナー層に隣接
するゴム層Aとカーカス層に隣接するゴム層Bとからな
り、前記インナーライナー層、前記カーカス層、前記ゴ
ム層A及び前記ゴム層Bを構成する各ゴム組成物がゴム
成分と硫黄と有機酸コバルト化合物とを配合してなり、
該硫黄の配合量が下記式(I)及び(II)を満たすことを特
徴とする重荷重用空気入りタイヤである。 SA<SB≦SC ・・・ (I) 2≦SA≦4 ・・・ (II) (式中、SA、SB、SCは、それぞれゴム層A、ゴム
層B、カーカス層を構成するゴム組成物に配合される硫
黄のゴム成分100質量部に対する配合量を示す。) <2> 前記SBが4以上であることを特徴とする前記<1>
に記載の重荷重用空気入りタイヤである。
る。本発明の重荷重用空気入りタイヤは、一対のビード
部と、一対のサイド部と、トレッド部と、前記ビード部
間にトロイド状に延在させたカーカスプライと、インナ
ーライナー層と、カーカスプライを構成するカーカス層
とインナーライナー層との間に配設した内面保護層とを
備え、該内面保護層はインナーライナー層に隣接するゴ
ム層Aとカーカス層に隣接するゴム層Bとからなる。ま
た、インナーライナー層、カーカス層、ゴム層A及びゴ
ム層Bを構成する各ゴム組成物は、ゴム成分と硫黄と有
機酸コバルト化合物とを配合してなる。
物とカーカス層を構成するゴム組成物との配合差異によ
る悪影響がカーカス層に及ばないようにゴム層Aとカー
カス層とを隔て距離を置く役割と、タイヤ内面にプライ
コードが浮き出ることがないようにカーカスプライを補
強してカーカスゴムのクリープを抑制する役割を担う。
プをゴム層Bで抑制しているため、耐クリープ性がゴム
層Bより低くてもよく、従って、ゴム層Aを構成するゴ
ム組成物の配合は、酸化劣化後の耐破壊性に重きを置
き、ゴム層Bより硫黄及び有機酸コバルト化合物の配合
量を減じた配合とすることができる。なお、インナーラ
イナー層を透過した酸素は、ゴム層Aでトラップされる
ため、ゴム層Bを通ってカーカスプライまで到達するこ
とは殆ど無い。
を構成するゴム組成物と同一若しくは類似の配合からな
るゴム組成物により構成される。かかるゴム組成物にお
けるゴム成分としては、天然ゴムを70質量%以上含む単
独又はブレンドゴムが好ましく、ブレンドゴムの場合の
他のゴムとしては、合成ポリイソプレンゴム、ポリブタ
ジエンゴム、スチレン-ブタジエン共重合ゴム等が挙げ
られる。また、かかるゴム組成物に配合する有機酸コバ
ルト化合物は、接着促進剤として、プライコード(例え
ば、スチールコード)を補強材とするカーカスプライの
カーカスゴムに通常配合されているものであり、例え
ば、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸コバルト、オレ
イン酸コバルト、トール油酸コバルト、樹脂酸コバルト
等が挙げられる。ゴム組成物中の有機酸コバルト化合物
の配合量は、ゴム成分100質量部に対し通常0.1〜2.0質
量部である。更に、該ゴム組成物は、加硫剤として硫黄
をゴム成分100質量部に対し、4〜7質量部の配合量で含
有する。
成物には、前述したゴム成分、硫黄、有機酸コバルト化
合物の他、カーボンブラック、加硫促進剤、老化防止
剤、軟化剤等が適宜配合される。カーボンブラックとし
ては、FEF、HAF又はISAFグレードのものが用
いられ、その配合量はゴム成分100質量部に対し通常40
〜65質量部である。
組成物は、上記ゴム層Bとほぼ同一の成分組成からなる
が、ゴム層Aとゴム層Bの分離した機能を達成し、且つ
酸化劣化後の耐破壊性を向上させるために、硫黄の配合
量が後述する硫黄の配合量関係を満たすように減ぜられ
たものである。
ける硫黄の配合量は、酸化劣化後の耐破壊性を向上させ
る観点から、カーカス層及びゴム層Bを夫々構成する各
ゴム組成物における硫黄の配合量に対し、下記式(I)及
び(II)を満たす必要がある。 SA<SB≦SC ・・・ (I) 2≦SA≦4 ・・・ (II) 式中、SA、SB、SCは、それぞれゴム層A、ゴム層
B、カーカス層を構成するゴム組成物に配合される硫黄
のゴム成分100質量部に対する配合量を示す。
ム組成よりなるゴム層A及びゴム層Bで構成して各層の
機能を分離すると共に、特にゴム層Aの耐酸化劣化性を
十分に向上させ、その結果温暖湿潤地域での使用に対し
て耐久性を著しく向上させた重荷重用空気入りタイヤを
提供することができる。
効果を十分に発現するためには、ゴム層Aの厚さは0.2
〜2.0mm、ゴム層Bの厚さは0.2〜2.0mmの範囲にあるの
が好ましい。また、ゴム層Aの厚さとゴム層Bの厚さと
の合計は0.5〜3.0mmの範囲にあるのが好ましい。
説明するが、本発明はこれらの実施例によりその範囲を
限定されるものではない。
供試タイヤは、サイズが11R22.5リブパターンの
トラック・バス用タイヤであり、ゴム層A、ゴム層B及
びカーカス層を表1に示す配合処方に従い作製した。な
お、ゴム層Aの厚さは0.3mmであり、ゴム層Bの厚さは
0.3mmである。
た後、該タイヤを解剖し、ゴム層Aのゴム破断時伸び、
プライコードのめり込み量及びプライコードとの接着性
を後述する測定法により測定して表2に示す結果を得
た。
に準拠) ゴム層Aの部分から、JIS#3サンプルを採取し、インス
トロン引張試験機により破断時伸びを測定した。
取り、内面保護層の凹凸状態を、めり込み量(凹凸の山
部と谷部との垂直長さの差)の平均値により評価した。
ードとカーカスゴム間の接着力を、マイナス80℃におけ
るプライコードへのカーカスゴムの付着率で比較した。
を、比較例1を100とした指数で表示し表2に示す。な
お、何れの試験結果も指数が大きい程良好であることを
示す。
ドのめり込み量が比較例1と同等で、プライコードとカ
ーカスゴムとの接着性も比較例1と同等である一方、ゴ
ム破断時の伸びが大きく向上し耐破壊性が向上してい
た。一方、比較例2のタイヤでは、ゴム破断時の伸びは
著しく改善されるので耐破壊性が向上しているものの、
弾性率が低すぎるため、プライコードのめり込み量が無
視できない程度にまで悪化し、更にプライコードとカー
カスゴムとの接着性も低下していた。
ヤのインナーライナー層とカーカス層の間に配設される
内面保護層について、プライコードとカーカスゴムとの
接着性及びプライコードのめり込み量を悪化させること
無く、内面保護層のインナーライナー層に隣接するゴム
層Aの耐酸化劣化性に関与するゴム破断時伸びを改善
し、重荷重用空気入りタイヤの耐久性を著しく向上させ
ることができる。
Claims (2)
- 【請求項1】 カーカス層と、インナーライナー層と、
その間に配設した内面保護層とを備えた重荷重用空気入
りタイヤにおいて、前記内面保護層がインナーライナー
層に隣接するゴム層Aとカーカス層に隣接するゴム層B
とからなり、前記インナーライナー層、前記カーカス
層、前記ゴム層A及び前記ゴム層Bを構成する各ゴム組
成物がゴム成分と硫黄と有機酸コバルト化合物とを配合
してなり、該硫黄の配合量が下記式(I)及び(II)を満た
すことを特徴とする重荷重用空気入りタイヤ。 SA<SB≦SC ・・・ (I) 2≦SA≦4 ・・・ (II) (式中、SA、SB、SCは、それぞれゴム層A、ゴム
層B、カーカス層を構成するゴム組成物に配合される硫
黄のゴム成分100質量部に対する配合量を示す。) - 【請求項2】 前記SBが4以上であることを特徴とす
る請求項1に記載の重荷重用空気入りタイヤ。
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