JP2003291502A - インクジェット記録用紙およびその製造方法 - Google Patents

インクジェット記録用紙およびその製造方法

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JP2003291502A
JP2003291502A JP2002095902A JP2002095902A JP2003291502A JP 2003291502 A JP2003291502 A JP 2003291502A JP 2002095902 A JP2002095902 A JP 2002095902A JP 2002095902 A JP2002095902 A JP 2002095902A JP 2003291502 A JP2003291502 A JP 2003291502A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、塗層強度、インク吸収性、塗布ムラ
の良好なインクジェット記録用紙、およびその製造方法
を提供する。 【解決手段】支持体上に少なくとも1層以上のインク受
理層を有し、インク受理層に無機超微粒子、ケン化度9
9%未満のポリビニルアルコールおよびケン化度95%
未満のシラノール変性ポリビニルアルコーい下層に多い
方が好ましい。さらに、無機超微粒子と該ポリビニルア
ルコールをルを含有する。インク受理層中の総ポリビニ
ルアルコール含有量に対して、該シラノール変性ポリビ
ニルアルコールが30%以下であると好ましい。また、
多層の場合、該シラノール変性ポリビニルアルコールが
上層よりも支持体に近混合後、該シラノール変性ポリビ
ニルアルコールを添加する製造方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクを用いて記
録するインクジェット記録用紙に関するものであり、特
にインク受理層の塗層強度とインク吸収性に優れたイン
クジェット記録用紙とその製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】近年、インクジェットプリンターやプロ
ッターの目ざましい進歩により、フルカラーでしかも高
精細な画像が容易に得られるようになってきた。
【0003】インクジェット記録方式は、種々の作動原
理によりインクの微小液滴を飛翔させて紙等の記録シー
トに付着させ、画像・文字等の記録を行なうものであ
る。インクジェットプリンターやプロッターはコンピュ
ーターにより作成した文字や各種図形等の画像情報のハ
ードコピー作成装置として、種々の用途に於いて近年急
速に普及している。特に多色インクジェット方式により
形成されるカラー画像は製版方式による多色印刷やカラ
ー写真方式による印画に比較しても遜色のない記録を得
ることが可能であり、更に作成部数が少ない用途に於い
ては、印刷技術や写真技術によるよりも安価で済むこと
から広く応用されつつある。
【0004】さらに、用途の多様化に伴い、大判のポス
ターやPOPアート、製図用途に使用されることが多く
なってきている。これら用途ではインクジェットの高鮮
鋭性を活かせ、色彩性も優れていることから、良好な画
像を得ることが可能であり、宣伝効果が大きいものとな
る。これらへの適用はパーソナルコンピュータレベル
で、鮮鋭性や色彩性といった画像再現性や色再現性に優
れた画像を簡単に得ることが可能であるためであり、イ
ンクジェット記録用紙を多用する理由ともなっている。
【0005】近年のパーソナルコンピューターの普及に
伴い、個人で手軽に写真を楽しめるデジタルカメラもま
た普及し、そのデータ出力用としてインクジェットプリ
ンターが急激に伸長している。インクジェット記録装置
の高性能化により、個人レベルでも銀塩写真並の画像出
力が可能となってきた。このような用途の多様化によ
り、インクジェット記録媒体の外観に対しても要求が生
じており、従来からある普通紙やマット紙といった光沢
のない或いは光沢の低い外観に加え、アート紙、コート
紙、キャスト紙、印画紙等に類似の光沢を有した外観が
求められている。
【0006】このような要求を満たすために、用紙での
対応も進んでいる。インク受理層の最表層に無機超微粒
子を用い、これをキャスト処理して光沢を付与した用紙
や、支持体として該表面をラミネート処理したいわゆる
レジンコート紙を用い、その表面に無機超微粒子を主成
分とする塗層を塗設して光沢を付与する用紙等が開発さ
れている。しかし、これら用紙以上の特性を求める要望
も出てきている。
【0007】特に最近では、デジタル方式のカメラ等か
らの写真画像をインクジェット記録装置で印刷するとい
う様な個人的な用途が拡大し、画質やその他に関する記
録装置への要求も一段と厳しくなっている。具体的に
は、より一層の高精細化、高速化が求められており、こ
れは即ちインクジェット記録用紙への要求と合致する。
つまり、より一層の高精細化に対してはインクの吸収性
を更に向上させる必要があり、また、高速化に対して
は、塗層強度を向上させて記録用シートからの粉落ちを
より少なくして記録装置の搬送機構にできるだけ負担を
かけない様にし、搬送不良等を起こさせないようにする
必要がある。
【0008】このようなインクジェット記録装置は、最
近のハードコピー枚数の増加に伴い、更なる高速化が不
可欠になってきている。インクジェット記録装置の高速
化はインク噴射速度の向上、インクノズルの並列化や大
サイズ化、インクノズル移動速度の向上、インクジェッ
ト記録用紙のインク吸収速度の向上等により実現されて
きている。このインクジェット記録装置の高速化によ
り、インクジェット記録用紙の搬送速度が上昇したた
め、それに対応する搬送性に優れたインクジェット被記
録材が必要になってきた。
【0009】このようなインクジェット記録用紙の搬送
性に影響する特性として、インクジェット記録用紙の塗
層強度がある。インクジェット記録装置において、イン
クジェット記録用紙の搬送は、主としてピックアップロ
ール被覆弾性体(給紙ローラー)によって行われる。イ
ンクジェット記録用紙の塗層強度が弱いとインク受理層
が支持体から剥離し、インクジェット記録装置で搬送さ
れる際に給紙ローラーにインク受理層の粉が付着してし
まう。給紙ローラーに付着するインク受理層の粉が多く
なってくるとインクジェット記録用紙と給紙ローラーと
の摩擦係数が低下し、連続給紙を行うと給紙不良や排紙
不良が発生する。
【0010】インク受理層の塗層強度を高める提案が従
来から数多くされてきている。インク受理層に樹脂等を
オーバーコートする方法やインク受理層中の親水性バイ
ンダーを硬化する方法は、インク受理層のインク吸収性
が低下し、印字境界部における滲みを起こす。特開平5
−221115号公報には、インク受理層にデンプン粒
子を添加したインクジェット記録用紙が開示されている
が、インク受理層自体の強度は高まるが、インクのにじ
み及び他紙への転写という点では不充分である。また、
これらはインク受理層の塗層強度が高くなることは記載
されている。
【0011】これら用紙は表面光沢を付与するために無
機超微粒子を主成分としている。これら無機超微粒子は
その粒子径が数百nm以下と小さく、故に形成されたイ
ンク受理層は一般的な非晶質シリカ等を主成分としたイ
ンク受理層と比較するとその空隙容量が少ない。よって
十分なインク吸収性を得るために塗層の塗設量を増加し
たり、塗層中のバインダー成分を減少させる手法を取る
場合が多い。
【0012】しかし、インク吸収性を得るために前述の
ような手法を取った場合、インク受理層の塗層強度低下
を生ずる。塗層強度の低下は銀塩写真と同等の取扱いが
想定される用紙にとっては重大な欠陥となる。例えばハ
ンドリング時の擦過・断裁等の衝撃による塗層欠落であ
る。これにより、用紙の質感が著しく低下するばかり
か、印字画像部の欠落も発生する可能性がある。よって
塗層強度の改善とインク吸収性の両立が必要となってい
る。
【0013】これまで数多くのインクジェット記録用紙
に関する発明がなされており、どの発明においてもある
一定の効果があった。しかし、高精細化及び高速化に同
時に対応できるインクジェット記録用紙に関する発明は
皆無であった。以下に理由を述べる。インクの吸収性を
向上させるにはインクが入り込むいわゆる細孔を増やす
ことが必要であり、できるだけ吸収性素材の細孔を塞が
ないようにすること即ち接着剤等吸収を阻害する素材は
できるだけ使わないということで達成される。一方、粉
落ちを少なくするためには、インク受理層の塗工量を減
らすか、インク受理層中の接着剤等を増やす等の手法で
接着強度を強くすることにより達成される。従って、イ
ンクの吸収性を向上させることと粉落ちを少なくするこ
とは相反することであり、これがこれまでの発明におい
て高精細化及び高速化に同時に対応できなかった最大の
理由である。
【0014】塗層強度を向上させるために、インク受理
層中にバインダーとして含まれるポリビニルアルコール
を、ホウ酸やその他架橋剤で架橋させる方法が考えられ
る。しかしながらホウ酸の場合、十分な塗層強度を得る
ことが可能となるものの、塗液粘度の温度依存性が高く
安定した特性を得にくいばかりでなく、環境上の問題よ
りその使用が制限される。また、他の架橋剤では十分な
塗層強度が得られていないのが現実である。
【0015】また、バインダーとして、ポリビニルアル
コールが使用され、種々の方法が開示されている。
【0016】特開平8−39925号公報には、ケン化
度80〜95%からなるポリビニルアルコールとカチオ
ン変性ポリビニルアルコールを併用し、滲み、定着性、
ブロッキング等を改善する方法が開示されている。特開
平8−99457号公報には、同様に、ポリビニルアル
コールとカチオン変性ポリビニルアルコールを併用し、
インク吸収性、搬送性等を改善する方法が開示される。
特開平11−321086号公報には、アルミナ水和物
と、ケン化度92%以上のポリビニルアルコールおよび
ケン化度90%以下のポリビニルアルコールを併用し、
クラック、経時安定性を改善する方法が開示されてい
る。
【0017】特開平9−99629号公報、特開平9−
248959号公報には、2種類のポリビニルアルコー
ルを併用することにより、発色濃度、インク流れ、滲
み、粉落ち等を改善する方法が開示されている。また、
特開平10−272837号公報には、ケン化度95%
以上のポリビニルアルコール、または、シラノール変性
ポリビニルアルコールを併用し、ビーティング、光沢を
向上する方法が開示されている。しかしながら、これら
の公報では無機超微粒子を使用しておらず、凝集につい
ては検討されていない。特に、この凝集は、ポリビニル
アルコールよりもシラノール変性ポリビニールアルコ−
ルを使用する際に顕著であり、インク受理層塗液を調整
する際に、塗布困難となることがある。
【0018】また、シラノール変性ポリビニルアルコー
ルを使用する方法が別途公開される。特開昭63−17
6172号公報には、ケン化度99%以上のポリビニル
アルコールとケン化度90%以上のシラノール変性ポリ
ビニルアルコールを併用することにより、塗層強度を改
善する方法が開示される。しかしながら、同公報では、
ケン化度99%以上のポリビニルアルコールの使用によ
り塗工液の増粘は検討されておらず、また、無機超微粒
子の使用は開示されず、ケン化度99%以上のポリビニ
ルアルコールとの併用によるゲル化は考慮されていな
い。
【0019】また、バインダーとして比較的ガラス転移
点や最低造膜温度高いエマルジョンの使用も考えられ
る。しかし、これらでは十分な強度を得ることができ
ず、エマルジョンの不透明性により発色性の低下が生ず
ることがあるため、有効な手段とは言い難い。
【0020】更に、シランカップリング剤等により無機
超微粒子を架橋させる方法も考えられるが、その添加量
によっては効果が高すぎて塗液の凝集を招いたり、逆に
効果が低く強度が発現しない等の問題や、塗層の硬化に
より脆くなることが懸念される。よって有効な手段とは
言い難く、上述したような課題すべてを満足する品質を
得ることは難しかった。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、イン
ク受理層の塗層強度とインク吸収性が良好なインクジェ
ット記録用紙を提供するとともに、塗液安定性が良好で
あるインクジェット記録用紙の製造方法を提供すること
にある。
【0022】
【課題を解決するための手段】本発明は、支持体上に少
なくとも1層以上のインク受理層を有するインクジェッ
ト記録用紙において、該インク受理層が無機超微粒子、
ケン化度99%未満のポリビニルアルコールおよびケン
化度95%未満のシラノール変性ポリビニルアルコール
を含有するインクジェット記録用紙である。本発明にお
いては、該インク受理層中のポリビニルアルコール含有
総量に対して、該シラノール変性ポリビニルアルコール
に占める割合が30%以下であると好ましい。また、本
発明において多層塗布する場合には、該インク受理層中
の該シラノール変性ポリビニルアルコールの含有量が、
上層よりも支持体に近い下層の方が多くなくなることが
好ましい。
【0023】また、本発明のインクジェット記録シート
において、該無機超微粒子をコロイダルシリカ、気相法
非晶質シリカ、アルミナ顔料から選ばれる少なくとも1
種以上の顔料と好ましい。更に好ましくは、該アルミナ
顔料が、気相法アルミナ、γアルミナ、δアルミナ、ア
ルミナ水和物から選ばれる少なくとも1種以上の顔料で
あり、また該アルミナ水和物顔料が、アルミナゾル、コ
ロイダルアルミナ、カチオン性アルミニウム酸化物又は
その水和物、擬ベーマイトから選ばれる少なくとも1種
以上の顔料である。
【0024】さらに、本発明は、無機超微粒子およびケ
ン化度99%未満のポリビニルアルコールを含有する塗
液を撹拌・分散後、ケン化度95%未満のシラノール変
性ポリビニルアルコール添加して調整したインク受理層
塗液を支持体上に塗布するインクジェット記録用紙の製
造方法でもある。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明のインクジェット記
録シートを詳細に説明する。本発明者らは、インク吸収
性を損なわずにインク受理層の塗層強度を向上させる方
法として、バインダーとして、ポリビニルアルコール及
び、無機物との反応性の高いシラノール基を導入したポ
リビニルアルコールを併用することで、少ないバインダ
ー量で塗層強度を発現でき、インク吸収性を損なわない
インク受理層を形成できた。
【0026】本発明者らは、シラノール基を導入したポ
リビニルアルコールに関し検討した結果、無機超微粒子
とシラノール変性ポリビニルアルコールのみを組み合わ
せた場合の塗層強度の向上は確認できたが、その反面、
無機超微粒子に対する該ポリビニルアルコールの相互作
用が強すぎるために塗液が増粘、凝集することも確認し
た。そこで、シラノール変性ポリビニルアルコールを使
用した場合でも安定した塗液の液性を維持し、かつ塗層
強度を向上させるべく鋭意検討した結果、バインダーと
して2種以上のポリビニルアルコールを使用し、少なく
とも1種をシラノール変性ポリビニルアルコールとする
ことで前述した特性を安定して発現させることが可能で
あることを見出した。
【0027】また、該シラノール変性ポリビニルアルコ
ールのケン化度を95%未満とすることで、ケン化度が
95%以上シラノール変性ポリビニルアルコールを使用
した場合と同等の塗層強度とインク吸収性を維持しつ
つ、塗液の安定性を更に向上させることができることを
見出した。
【0028】更に、塗液の安定性と塗層強度及びインク
吸収性を両立するために、シラノール変性ポリビニルア
ルコールとそれ以外のポリビニルアルコールの比率に関
し鋭意検討した結果、該シラノール変性ポリビニルアル
コールのポリビニルアルコール含有総量に占める割合を
30%とすることで安定した特性を得られることをも見
出した。
【0029】また、本発明において多層塗布する場合に
は、該インク受理層中の該シラノール変性ポリビニルア
ルコールの含有量が、上層よりも支持体に近い下層の方
が少なくなることにより、上層のインク受理層の沈み込
みや上層と下層の乱れによるインク吸収性の低下を改善
することができた。
【0030】さらに、本発明のインクジェット記録用紙
の製造方法は、無機超微粒子およびケン化度99%未満
のポリビニルアルコールを含有する塗液を撹拌・分散
後、ケン化度95%未満のシラノール変性ポリビニルア
ルコール添加して調整することにより安定的なインク受
理層塗液を調整することができる。このインク受理層塗
液を支持体上に塗布することで、インク吸収性や塗層強
度が向上したインクジェット記録用紙を製造することが
できる。
【0031】本発明のインクジェット記録用紙における
塗層強度の改善は、ポリビニルアルコール鎖中に導入さ
れたシラノール基が無機物表面の水酸基や無機物と強固
な結合をすることによるもので、同じシラノール基を有
するシリカとは特に強固に結びつき強度を発現できる。
【0032】塗層強度を向上させる方法として、バイン
ダーの増量、ポリビニルアルコールの重合度増加、エマ
ルジョン・架橋剤・カップリング剤の使用等が考えられ
るが、何れもインク吸収性の低下や発色性の低下、塗層
の硬化による脆化を招き、有効な手段とは言えない。特
に無機超微粒子を用いる場合、一般的に使用される非晶
質シリカよりもそれらの空隙容量は少なく、インク吸収
性が低くなる場合が多い。従って少量のバインダー量で
塗層強度を発現させる必要がある。これらの点から、シ
ラノール変性ポリビニルアルコールのインク受理層への
適用は有効な手段であるといえる。
【0033】本発明のインク受理層中の無機超微粒子は
コロイダルシリカ、気相法非晶質シリカ、アルミナ顔料
から選ばれる少なくとも1種以上の顔料を含有する。こ
れら無機超微粒子は顔料自体の屈折率が低く、画像印字
の際に高い発色性を得られるばかりでなく、その粒子径
の小ささから光沢を付与しやすいために多用される。し
かしこれら顔料は粒子径が小さく、空隙容量も少ないた
め、塗層強度とインク吸収性を両立させるのはかなり難
しかった。本発明の場合、塗層強度とインク吸収性の両
立が可能であり、該顔料を使用することで優れた特性を
有するインクジェット記録用紙を提供することができ
る。
【0034】また、本発明におけるアルミナ顔料を気相
法アルミナ、γアルミナ、δアルミナ、アルミナ水和物
から選ばれる少なくとも1種以上の顔料としている。更
に該アルミナ水和物顔料が、アルミナゾル、コロイダル
アルミナ、カチオン性アルミニウム酸化物又はその水和
物、擬ベーマイトから選ばれる少なくとも1種以上の顔
料としている。これら顔料はインク受理層に光沢を付与
し、且つ良好なインク吸収性を得るために有効な顔料で
あるが、シラノール変性ポリビニルアルコールとの相互
作用も大きく、調製時に凝集することが多い。しかしな
がら、本発明において該顔料を使用することで、そのよ
うな調製時の凝集が発生せず、インク受理層塗設後の塗
層強度を発現し、インク吸収性を損なうことのない優れ
た特性を有するインクジェット記録用紙を提供すること
ができる。
【0035】本発明において、該インク受理層が光沢を
有し、該光沢度が、JIS Z8741に規定される7
5度鏡面光沢度において、40%以上であることを特徴
としている。40%を超える光沢度を得ようとした場
合、通常インク受理層中の無機超微粒子の割合を増加さ
せる必要がある。これまでの方法ではインク吸収性と塗
層強度を両立させることが困難であったり、塗液の凝集
が生じたりした。本発明ではこのように無機超微粒子が
多く存在する場合においても安定した塗液の液性を維持
し、インク吸収性と塗層強度を両立したインクジェット
記録用紙を提供できることから、該光沢度が40%以上
であることで本発明の効果は確実なものとなる。
【0036】本発明におけるインク受理層は、無機超微
粒子と2種以上のポリビニルアルコールを含有し、その
他多孔質顔料、無機及び有機微粒子顔料といった各種顔
料、バインダー、その他添加剤から構成される。
【0037】本発明のインク受理層に含有される無機超
微粒子とは、例えば合成シリカ(コロイダルシリカ、湿
式法非晶質シリカ、気相法非晶質シリカ)、アルミナ
(気相法アルミナ、γアルミナ、δアルミナ)或いはア
ルミナ水和物(アルミナゾル、コロイダルアルミナ、カ
チオン性アルミニウム酸化物又はその水和物、擬ベーマ
イト等)で、一次粒子あるいはこれらが凝集した凝集粒
子径が500nm以下のの粒子を指す。これらの顔料を
1種以上用いることができる。
【0038】本発明のインク受理層に含有されるポリビ
ニルアルコールは、2種以上であり且つ少なくともその
1種がシラノール変性ポリビニルアルコールであれば特
に限定されるものではない。シラノール変性ポリビニル
アルコールと組み合わせるポリビニルアルコールとして
は特に変性をしていない通常のポリビニルアルコール以
外に例えば、カルボキシル基を導入したカルボン酸変性
ポリビニルアルコール、カチオン性ポリマーやモノマー
を導入したカチオン変性ポリビニルアルコール、アルキ
ル基を導入したアルキル変性ポリビニルアルコール等が
挙げられる。
【0039】また本発明のインク受理層に含有されるポ
リビニルアルコールの重合度或いはケン化度についても
特に限定されるものではないが、一般的に重合度の低下
に伴い塗層強度は低下することが知られている。重合度
に関しては好ましくは500〜4000、より好ましく
は1000〜2400である。またケン化度が高い場
合、無機超微粒子の種類によっては相互作用が強く発現
するものがある。ケン化度に関しては、ポリビニルアル
コールについては99%未満、かつシラノール変性ポリ
ビニルアルコールについては95%未満である必要があ
る。
【0040】本発明における無機超微粒子としては、従
来公知の各種顔料を用いることができる。例えば、合成
シリカ(コロイダルシリカ、湿式法非晶質シリカ、気相
法非晶質シリカ)、アルミナ(気相法アルミナ、γアル
ミナ、δアルミナ)或いはアルミナ水和物(アルミナゾ
ル、コロイダルアルミナ、カチオン性アルミニウム酸化
物又はその水和物、擬ベーマイト等)が挙げられる。特
に凝集粒子径が500nm以下の微小粒子の場合、本発
明の効果がより発現できる。
【0041】また、本発明において、必要に応じて軽質
炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウ
ム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウ
ム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サ
チンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カ
ルシウム、珪酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、リ
トポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、水酸化マグネ
シウムなどの白色無機顔料や、スチレン系プラスチック
ピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリ
エチレン微粒子、マイクロカプセル、尿素樹脂微粒子、
メラミン樹脂微粒子などの有機顔料などを適宜組み合わ
せることもできる。
【0042】ポリビニルアルコール以外のバインダーと
しては、酸化澱粉、エーテル化澱粉、リン酸エステル化
澱粉などの澱粉誘導体;カルボキシメチルセルロース、
ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース誘導体;
カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白またはその誘導体;ポリ
ビニルピロリドン、無水マレイン酸樹脂、スチレン−ブ
タジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン
共重合体などの共役ジエン系共重合体ラテックス;アク
リル酸エステルおよびメタクリル酸エステルの重合体ま
たは共重合体などのアクリル系重合体などのアクリル系
重合体ラテックス;エチレン酢酸ビニル共重合体などの
ビニル系重合体ラテックス;或はこれら各種重合体のカ
ルボキシ基などの官能基含有単量体による官能基変性重
合体ラテックス;メラミン樹脂、尿素樹脂などの熱硬化
合成樹脂などの水性接着剤;ポリメチルメタクリレート
などのアクリル酸エステル、メタクリル酸エステルの重
合体または共重合体樹脂;ポリウレタン樹脂、不飽和ポ
リエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、
ポリビニルブチラール、アルキッド樹脂などの合成樹脂
系接着剤などを挙げることができる。
【0043】ポリビニルアルコールを含むバインダーの
配合量としては、無機超微粒子及び必要ならその他の顔
料との総和100質量部に対して3〜50質量部、好ま
しくは5〜30質量部であり、3質量部未満ではインク
受理層の塗層強度が不足するし、50質量部を超えると
インク吸収性が低下する。
【0044】本発明において、インク受理層の塗工量は
特に限定されるものではないが、あまり少ないとノンコ
ートタイプインクジェット記録用紙と同様にインクの吸
収性は良いものの、画像濃度・色彩性・鮮明性が低く、
インクが支持体の面方向に拡散して、鳥の羽状にギザギ
ザしたフェザリングと呼ばれるドット形状の悪化が発生
し、良好な品質の画像が得られない。また、あまり塗工
量が多いと、塗工又は含浸後の乾燥工程における乾燥負
荷が高まり、塗工又は含浸速度の低下に伴う生産性の低
下ばかりでなく、高負荷での乾燥では、インク受理層を
構成する塗被組成物中のバインダーが、蒸発する溶媒と
共にインク受理層表面に移動して、その表面の空隙量を
低下させるために、記録時に地汚れなどの発生がある。
該塗工量の範囲は1〜30g/m2、より好ましくは4
〜20g/m2である。
【0045】塗工量の多いインク受理層で生じる問題
は、要求される品質に合わせて、インク受理層を複数に
分けて設けることも可能であり、1層当たりのインク受
理層の塗工量は塗被組成物の濃度や乾燥工程の能力に影
響されるが、望ましくは、1〜30g/m2さらに好ましく
は4〜20g/m2である。
【0046】又、光沢を有するインクジェット記録シー
トについても上述のインク受理層と同じように、要求さ
れる品質に合わせた塗工量を設定すればよい。本発明で
云う光沢を有するインクジェット記録シートとは、支持
体上にインク受理層を設けスーパーカレンダー、ソフト
カレンダー、TGカレンダー等でカレンダー処理したも
の或いはキャスト処理したもの、最表層にコロイダルシ
リカやアルミナゾル等の無機超微粒子を主体とした塗工
層を塗設したもの或いはこれらをカレンダー処理、キャ
スト処理したもの、フィルムや工程紙上にインク受理層
を予め塗工し、支持体或いは支持体に塗工層を設けた基
材と貼り合わせたもの、支持体表面をポリエチレンやポ
リプロピレン、その他樹脂等でコーティングした表面平
滑性の高い支持体上に塗工層を塗設したもの等、支持体
を基材とし、表層に光沢を有するものを指す。
【0047】更に、インク受理層には、添加剤として、
染料定着剤、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡
剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、紫外線吸収剤、
酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤、耐水化剤、湿潤紙力増
強剤、乾燥紙力増強剤などを適宜配合することもでき
る。
【0048】本発明のインクジェット記録シートに於い
ては、インク受理層を多層構成とし表面に光沢を発現す
る層を設けることも出来る。
【0049】本発明に於ける、インク受理層を設ける方
法としては、オンマシンコーター、オフマシンコーター
のいずれでも良い。例えば、従来公知のエアーナイフコ
ーター、カーテンコーター、ダイコーター、ブレードコ
ーター、ゲートロールコーター、バーコーター、ロッド
コーター、ロールコーター、ビルブレードコーター、シ
ョートドエルブレードコーター、キャストコーター、サ
イズプレスなどの各種装置をオンマシン或いはオフマシ
ンで用いることができる。また、塗工後には、マシンカ
レンダー、TGカレンダー、スーパーカレンダー、ソフ
トカレンダーなどのカレンダー装置を用いて仕上げるこ
とも可能である。
【0050】本発明で使用される支持体としては、LB
KP、NBKPなどの化学パルプ、GP、PGW、RM
P、TMP、CTMP、CMP、CGPなどの機械パル
プ、DIPなどの古紙パルプなどの木材パルプと従来公
知の顔料を主成分として、バインダーおよびサイズ剤や
定着剤、歩留まり向上剤、カチオン化剤、紙力増強剤な
どの各種添加剤を1種以上用いて混合し、長網抄紙機、
円網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機などの各種装置で製
造された支持体、更に支持体に、澱粉、ポリビニルアル
コールなどでのサイズプレスやアンカーコート層を設け
た支持体や、それらの上にコート層を設けたアート紙、
コート紙、キャストコート紙などの塗工紙も含まれる。
この様な支持体および塗工紙に、そのまま本発明に係る
塗層を設けても良いし、平坦化をコントロールする目的
で、マシンカレンダー、TGカレンダー、ソフトカレン
ダーなどのカレンダー装置を使用しても良い。
【0051】また、支持体を挟んだインク受理層の反対
面には、カール適性を付与するために、バックコート層
を塗工することも可能であり、その際の顔料としては、
前述した無機或いは有機顔料が使用できるが、特に平板
状顔料や加水ハロイサイトが好ましい。
【0052】
【実施例】以下に、本発明の実施例をあげて説明する
が、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
又、実施例に於いて示す「部」および「%」は、特に明
示しない限り質量部及び質量%を示す。
【0053】<支持体の作製>濾水度450mlCSF
のLBKP70部、濾水度450mlCSFのNBKP
30部から成る木材パルプ100部に、軽質炭酸カルシ
ウム/重質炭酸カルシウム/タルクの比率が30/35
/35の顔料5部、アルキルケテンダイマー0.1部、
市販カチオン系アクリルアミド0.03部、カチオン化
澱粉1.0部、硫酸バンド0.5部を調成後、長網抄紙
機を用いて坪量105g/m2で抄造し、市販酸化澱粉
をインクラインドサイズプレスで乾燥付着量5g/m2
とさせて乾燥して支持体を得た。
【0054】実施例1 インク受理層の塗工液は、コロイダルシリカ100部、
ポリビニルアルコール10%水溶液140部(ケン化度
97%,重合度1700)、カチオン性染料定着剤(ス
ミレーズレジン1001:住友化学工業株式会社製)1
0部を混合した。その後、塗工液を撹拌しながら、シラ
ノール変性ポリビニルアルコール10%水溶液60部
(ケン化度94%,重合度1700)を添加し、固形分
濃度15%に調整して得た。この塗工液をエアナイフコ
ーターで乾燥塗工量15g/m2となるように支持体上
に塗布、乾燥した。次いでインク受理層をスーパーカレ
ンダー処理して実施例1のインクジェット記録用紙を作
製した。
【0055】実施例2 実施例1において、ポリビニルアルコール10%水溶液
140部(ケン化度97%,重合度1700)を120
部、シラノール変性ポリビニルアルコール10%水溶液
60部(ケン化度94%,重合度1700)を80部に
代えた以外は実施例1と全く同様にして実施例2のイン
クジェット記録用紙を作製した。
【0056】実施例3 インク受理層の塗工液は、コロイダルシリカ100部、
ポリビニルアルコール10%水溶液200部(ケン化度
88%,重合度1700)、カチオン性染料定着剤(ス
ミレーズレジン1001:住友化学工業株式会社製)1
0部を混合した。その後撹拌しながら、シラノール変性
ポリビニルアルコール10%水溶液100部(ケン化度
94%,重合度1700)を添加し、固形分濃度15%
に調整して得た。この塗工液をエアナイフコーターで乾
燥塗工量15g/m2となるように支持体上に塗布、乾
燥した。次いでインク受理層をスーパーカレンダー処理
して実施例3のインクジェット記録用紙を作製した。
【0057】実施例4 実施例3において、ポリビニルアルコール10%水溶液
(ケン化度88%,重合度1700)100部を90部
に、シラノール変性ポリビニルアルコール10%水溶液
(ケン化度94%,重合度1700)50部を10部に
代えた以外は実施例3と全く同様にして実施例4のイン
クジェット記録用紙を作製した。
【0058】実施例5 インク受理層の塗工液は、アルミナゾル100部、ポリ
ビニルアルコール10%水溶液(ケン化度88%,重合
度2400)160部、カチオン性染料定着剤(スミレ
ーズレジン1001:住友化学工業株式会社製)10部
を混合した。その後、撹拌しながら、シラノール変性ポ
リビニルアルコール10%水溶液(ケン化度88%,重
合度1700)40部を添加して、固形分濃度15%に
調整して得た。この塗液をエアナイフコーターで乾燥塗
工量15g/m2となるように支持体上に塗布、乾燥し
た。次いでインク受理層をスーパーカレンダー処理して
実施例5のインクジェット記録用紙を作製した。
【0059】実施例6 実施例5において、アルミナゾルを気相法シリカに、ポ
リビニルアルコール10%水溶液(ケン化度88%,重
合度2400)160部を100部に、シラノール変性
ポリビニルアルコール10%水溶液(ケン化度88%,
重合度1700)40部を100部に代えた以外は実施
例5と全く同様にして実施例6のインクジェット記録用
紙を作製した。
【0060】実施例7 インク受理層の下層塗工液は、コロイダルシリカ100
部、ポリビニルアルコール10%水溶液(ケン化度97
%,重合度1700)270部、カチオン性染料定着剤
(スミレーズレジン1001:住友化学工業株式会社
製)20部を混合した。その後、撹拌しながら、シラノ
ール変性ポリビニルアルコール10%水溶液(ケン化度
94%,重合度1700)30部添加して、固形分濃度
15%に調整して得た。エアナイフコーターで乾燥塗工
量8g/m2となるように支持体上に塗布、乾燥した。
次いで、インク受理層の上層塗工液を、コロイダルシリ
カ100部、ポリビニルアルコール10%水溶液(ケン
化度97%,重合度1700)140部、カチオン性染
料定着剤(スミレーズレジン1001:住友化学工業株
式会社製)10部を混合した。その後撹拌しながら、シ
ラノール変性ポリビニルアルコール10%水溶液(ケン
化度94%,重合度1700)60部を添加して、固形
分濃度15%に調整して得た。この塗液をエアナイフコ
ーターで乾燥塗工量5g/m2となるように、インク受
理層下層を設けた支持体上に塗布、乾燥した。インク受
理層をスーパーカレンダー処理して実施例1のインクジ
ェット記録用紙を作製した。
【0061】実施例8 実施例7において、インク受理層上層塗液を下層に、イ
ンク受理層下層塗液を上層に代えた以外は実施例7と全
く同様にして実施例8のインクジェット記録用紙を作製
した。
【0062】実施例9 インク受理層の塗工液は、コロイダルシリカ100部、
シラノール変性ポリビニルアルコール10%水溶液60
部(ケン化度97%,重合度1700)、カチオン性染
料定着剤(スミレーズレジン1001:住友化学工業株
式会社製)10部を混合した。その後、塗工液を撹拌し
ながら、ポリビニルアルコール10%水溶液140部
(ケン化度94%,重合度1700)を添加し、固形分
濃度15%に調整して得た。この塗工液をエアナイフコ
ーターで乾燥塗工量15g/m2となるように支持体上
に塗布、乾燥した。次いでインク受理層をスーパーカレ
ンダー処理して実施例9のインクジェット記録用紙を作
製した。
【0063】比較例1 実施例1において、シラノール変性ポリビニルアルコー
ルを全く添加しなかった以外は実施例1と全く同様にし
て比較例1のインクジェット記録用紙を作製した。
【0064】比較例2 実施例1において、シラノール変性ポリビニルアルコー
ルをポリビニルアルコール(ケン化度97%)に変更し
た以外は、実施例1と全く同様にして比較例2のインク
ジェット記録用紙を作製した。
【0065】比較例3 実施例1において、シラノール変性ポリビニルアルコー
ルをカチオン変性ポリビニルアルコール(ケン化度97
%,重合度1800)に変更した以外は、実施例1と全
く同様にして比較例3のインクジェット記録用紙を作製
した。
【0066】比較例4 実施例1において、コロイダルシリカを合成非晶質シリ
カに変更した以外は、実施例1と全く同様にして比較例
4のインクジェット記録用紙を作製した。
【0067】比較例5 実施例1において、ポリビニルアルコールのケン化度9
7%を99%に変更した以外は、実施例1と全く同様に
して比較例5のインクジェット記録用紙を作製した。
【0068】比較例6 実施例1において、シラノール変性ポリビニルアルコー
ルのケン化度94%を98%に変更した以外は、実施例
1と全く同様にして比較例6のインクジェット記録用紙
を作製した。
【0069】実施例1〜15及び比較例1〜9は、以下
に示す方法により評価を行った。
【0070】<印字>フォトインクカートリッジBC−
22eを装填したキヤノン社製インクジェットプリンタ
ー(BJC−430J)で、インクジェット記録用シー
トにブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各単色及
び、ブラックインクを除く他の3色インクでの2重色
(レッド、グリーン、ブルー)の計7色のベタパターン
を、2cm×2cm四方で横一列に隙間なく並べて記録
するという方法で、ベタ印字を行い、これをインク吸収
性の評価に用いた。
【0071】<インク吸収性の評価>上記印字部の各色
境界部について目視評価を行い、以下の基準で判定し
た。 A:境界を接する各色がすっきりした線で分けられてお
り、一方の色が他方の色の側へ滲み出していない。 B:各色の境界がはっきりした線ではないが識別でき、
一方の色が他方の色の側へ滲み出していない。 C:各色の境界がぼやけており、一方の色が他方の色の
側へ若干滲み出している。 D:各色の境界がわからず、隣接色への滲み出しが大き
い。 A、Bがインク吸収性として良好である。
【0072】<塗層強度の評価>上記各インクジェット
記録用シートのインク受理層表面に黒布を置き、そのう
えに1cm角、1.5mm厚のプラスチック板を張り付
けた19.6Nの重りを乗せる。次に、黒布の端を手で
持って静かに水平方向に引き、この黒布に転写された剥
離塗層について、以下の基準で評価した。 A:剥離塗層が全く見られず、インク受理層表面と接触
した黒布部分は光沢がある。 B:剥離塗層は目視では確認できないが、黒布に光沢は
ない。 C:剥離塗層が目視でも確認できるが、その量は少な
く、実用上の問題は生じない。 D:かなりの量の剥離塗層が目視で確認できる。 E:インク受理層と接触した黒布部分全体に剥離塗層が
転写されている。 A、Bが塗層強度として良好である。
【0073】<印字ムラの評価>上記印字部のブルー印
字部について目視評価を行い、以下の基準で判定した。 A:印字ムラが全く見られず、均一である。 B:印字ムラが若干見られるが、印字に影響を及ぼすほ
どではない。 C:印字ムラが見られ、印字部の場所により濃淡が現
れ、画像が乱れている。 A、Bが実用上問題のないレベルである。
【0074】<光沢度>光沢発現層面の光沢度は、JI
S P8142に準拠して、市販の光沢度計(ディジタ
ル光沢計 GM−260D型:村上色彩研究所株式会社
製)を用いて、75度鏡面光沢度を測定した。
【0075】
【表1】
【0076】表1から、ポリビニルアルコールとシラノ
ール変性ポリビニルアルコールを含有する実施例1〜9
のインクジェット記録用紙は、良好な塗層強度、インク
吸収性を示すことがわかる。また、実施例7,8のイン
クジェット記録用紙にようにインク受理層を多層塗布し
ても、何れのインク受理層に適用してもその効果が認め
られ、実施例7のようにシラノール変性ポリビニルアル
コールが下層に多い方が塗層強度には好ましい。さら
に、実施例9のように、無機超微粒子とシラノール変性
ポリビニルアルコールを先に混合後、その後、ポリビニ
ルアルコール添加を添加する場合は、若干塗布ムラが悪
化する傾向を示す。ところが、比較例1〜3のように、
シラノール変性ポリビニルアルコールを抜いたり、ポリ
ビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール
に変更したりすると、塗層強度が低下した。また、比較
例4のように無機超微粒子以外に変更した場合も塗層強
度が低下した。さらに、比較例5のように、本発明以外
のケン化度を有するポリビニルアルコールの場合は、イ
ンク吸収性が悪くなり、本発明以外のケン化度を有する
シラノール変性ポリビニルアルコールを使用する場合
は、塗布ムラが悪くなった。
【0077】
【発明の効果】以上説明した様に、支持体上に少なくと
も1層以上のインク受理層を有するインクジェット記録
用紙において、インク受理層に、無機超微粒子と特定の
ケン化度を有するポリビニルアルコールとシラノール変
性ポリビニルアルコールを併用して含有することによ
り、塗層強度、インク吸収性、塗布ムラに優れたインク
ジェット記録用紙を提供することが可能となる。また、
ポリビニルアルコールとシラノール変性ポリビニルアル
コールの添加手段により、より効果的に、本発明の特性
を向上することができる。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に少なくとも1層以上のインク
    受理層を有するインクジェット記録用紙において、該イ
    ンク受理層が無機超微粒子、ケン化度99%未満のポリ
    ビニルアルコールおよびケン化度95%未満のシラノー
    ル変性ポリビニルアルコールを含有することを特徴とす
    るインクジェット記録用紙。
  2. 【請求項2】 該インク受理層中のポリビニルアルコー
    ル含有総量に対して、該シラノール変性ポリビニルアル
    コールに占める割合が30%以下であることを特徴とす
    る請求項1記載のインクジェット記録用紙。
  3. 【請求項3】 該インク受理層中の該シラノール変性ポ
    リビニルアルコールの含有量が、上層よりも支持体に近
    い下層の方が多くなることを特徴とする請求項2記載の
    インクジェット記録用紙。
  4. 【請求項4】 無機超微粒子が、コロイダルシリカ、気
    相法非晶質シリカ、アルミナ顔料から選ばれる少なくと
    も1種以上の顔料であることを特徴とする請求項1、2
    または3記載のインクジェット記録用紙。
  5. 【請求項5】 該アルミナ顔料が、気相法アルミナ、γ
    アルミナ、δアルミナ、アルミナ水和物から選ばれる少
    なくとも1種以上の顔料であることを特徴とする請求項
    1〜4いずれか一項記載のインクジェット記録用紙。
  6. 【請求項6】 該アルミナ水和物顔料が、アルミナゾ
    ル、コロイダルアルミナ、カチオン性アルミニウム酸化
    物又はその水和物、擬ベーマイトから選ばれる少なくと
    も1種以上の顔料であることを特徴とする請求項1〜5
    いずれか一項記載のインクジェット記録用紙。
  7. 【請求項7】 該インク受理層が光沢を有し、該光沢度
    が、JIS Z8741に規定される75度鏡面光沢度
    において、40%以上であることを特徴とする請求項1
    〜6いずれか一項記載のインクジェット記録用紙。
  8. 【請求項8】 無機超微粒子およびケン化度99%未満
    のポリビニルアルコールを含有する塗液を撹拌・分散
    後、ケン化度95%未満のシラノール変性ポリビニルア
    ルコール添加して調整したインク受理層塗液を支持体上
    に塗布することを特徴とする請求項1〜7記載いずれか
    一項のインクジェット記録用紙の製造方法。
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