JP2003288953A - 光電変換素子及びその作製方法、並びにその光電変換素子を有する光電池 - Google Patents

光電変換素子及びその作製方法、並びにその光電変換素子を有する光電池

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JP2003288953A
JP2003288953A JP2002088473A JP2002088473A JP2003288953A JP 2003288953 A JP2003288953 A JP 2003288953A JP 2002088473 A JP2002088473 A JP 2002088473A JP 2002088473 A JP2002088473 A JP 2002088473A JP 2003288953 A JP2003288953 A JP 2003288953A
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JP2002088473A
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Susumu Yoshikawa
将 吉川
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた変換効率を有する色素増感光電変換素
子の作製方法、この方法により作製した光電変換素子、
及びこの光電変換素子を用いた光電池を提供する。 【解決手段】 少なくとも1種の色素が吸着した半導体
微粒子を含有する感光層を有する光電変換素子を作製す
る本発明の方法は、前記色素を前記半導体微粒子に吸着
させると同時に、前記半導体微粒子を下記一般式(I): MZm ・・・(I) (一般式(I)中、Mは周期律表の第3〜6族及び第12〜1
5族のいずれかに属する元素を表し、Zはアルコキシ基
を表し、mは2〜6の整数を表す。)により表される少
なくとも1種の化合物を含有する処理液で処理すること
を特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は色素によって増感し
た半導体微粒子を用いた光電変換素子の作製方法、この
方法により作製され優れた変換効率を示す光電変換素
子、及びこの光電変換素子を用いた光電池に関する。
【0002】
【従来の技術】光電変換素子は各種光センサー、複写
機、光発電装置等に用いられている。光電変換素子には
金属を用いたもの、半導体を用いたもの、有機顔料や色
素を用いたもの、これらを組み合わせて用いたもの等が
あり、様々な方式が実用化されている。
【0003】米国特許4,927,721号、同4,684,537号、同
5,084,365号、同5,350,644号、同5,463,057号、同5,52
5,440号、WO 98/50393号、特開平7-249790号及び特表平
10-504521号には、色素によって増感された半導体微粒
子を用いた光電変換素子(以下、「色素増感光電変換素
子」と称する)並びにこれを作製するための材料及び製
造技術が開示されている。色素増感光電変換素子は、二
酸化チタン等の安価な酸化物半導体を高純度に精製する
ことなく使用できるため、比較的安価な光電変換素子を
提供できる利点がある。しかしながら、このような光電
変換素子は変換効率が必ずしも十分に高いとは限らず、
変換効率の向上が求められている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明の目的
は、優れた変換効率を有する色素増感光電変換素子の作
製方法、この方法により作製した光電変換素子、及びこ
の光電変換素子を用いた光電池を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的に鑑み鋭意研究
の結果、本発明者は色素増感光電変換素子の感光層に用
いる半導体微粒子を特定の化合物で処理することによっ
て、変換効率を改善できることを発見し、本発明に想到
した。
【0006】すなわち、少なくとも1種の色素が吸着し
た半導体微粒子を含有する感光層を有する光電変換素子
を作製する本発明の方法は、前記色素を前記半導体微粒
子に吸着させると同時に、前記半導体微粒子を下記一般
式(I): MZm ・・・(I) (一般式(I)中、Mは周期律表の第3〜6族及び第12〜1
5族のいずれかに属する元素を表し、Zはアルコキシ基
を表し、mは2〜6の整数を表す。)により表される少
なくとも1種の化合物を含有する処理液で処理すること
を特徴とする。
【0007】本発明の光電変換素子は、上記方法により
作製されたことを特徴とする。また本発明の光電池は、
上記光電変換素子を用いたことを特徴とする。
【0008】以上の他に、本発明の好ましい実施態様と
して下記のものが挙げられる。 (1) 一般式(I)中のMがゲルマニウム、錫、アルミニウ
ム又は亜鉛である光電変換素子の作製方法。 (2) 一般式(I)中のMがゲルマニウムである光電変換素
子の作製方法。 (3) 前記処理液がさらに下記一般式(II):
【化1】 (一般式(II)中、RA及びRBはそれぞれ独立に水素原子又
は脂肪族炭化水素基を表し、RCは水素原子又はメチル基
を表し、nは1以上の整数を表す。)により表される少
なくとも1種の化合物を含有する光電変換素子の作製方
法。 (4) 一般式(II)中のRA、RB及びRCが水素原子を表し、か
つ一般式(II)により表される化合物の平均分子量が4×
102〜4×106である光電変換素子の作製方法。 (5) 前記処理液がさらに下記一般式(III):
【化2】 (一般式(III)中、Xは酸素原子、硫黄原子、セレン原
子又はNR3を表し、R1及びR2はそれぞれ独立に水素原
子、脂肪族炭化水素基、アリール基、ヘテロ環基、-O
R4、-N(R5)(R6)、-C(=O)R7、-C(=S)R8又はSO2R9を表
し、Yは水素原子、脂肪族炭化水素基、アリール基、ヘ
テロ環基、-OR4、-N(R5)(R6)又は-SR10を表す。またR3
は水素原子、脂肪族炭化水素基、ヒドロキシ基又はアル
コキシ基を表し、R4は水素原子又は脂肪族炭化水素基を
表し、R5及びR6はR1及びR2と同義であり、R7、R8及びR9
はYと同義であり、R10はR4と同義である。)により表
される少なくとも1種の化合物を含有する光電変換素子
の作製方法。 (6) 一般式(III)中のXが酸素原子であり、Yが-N(R5)
(R6)である光電変換素子の作製方法。 (7) 前記処理液がさらに下記一般式(IV): Lp・Qq ・・・(IV) (一般式(IV)中、Lはアルカリ金属イオン、アルカリ土
類金属イオン、アンモニウムイオン、イミダゾリウムイ
オン又はピリジニウムイオンを表し、Qはハロゲンイオ
ン、カルボン酸イオン、スルホン酸イオン、ホスホン酸
イオン、スルホニルイミドイオン、スルホニルメチドイ
オン、硫酸イオン、チオシアン酸イオン、シアン酸イオ
ン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン又は
ヘキサフルオロリン酸イオンを表し、p及びqはそれぞ
れ1以上の整数を表す。)により表される少なくとも1
種の化合物を含有する光電変換素子の作製方法。 (8) 一般式(IV)中のLがリチウムイオンである光電変換
素子の作製方法。 (9) 前記色素がルテニウム錯体色素である光電変換素子
の作製方法。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の光電変換素子は、導電性
支持体上に感光層を有するものであり、感光層は色素が
吸着した半導体微粒子からなる。本発明の光電変換素子
の作製方法では、半導体微粒子に色素を吸着させる時
に、後述する一般式(I)により表される化合物で処理す
ることにより、光電変換素子の変換効率を改善する。ま
た一般式(I)により表される化合物で処理する際に、後
述する一般式(II)〜(IV)により表される少なくとも一種
の化合物も存在させるのが好ましい。以下、一般式(I)
〜(IV)により表される化合物及び色素による半導体微粒
子の処理、光電変換素子及び光電池について詳述する。
【0010】[1] 半導体微粒子の処理 (A) 一般式(I)により表される化合物 本発明の光電変換素子の作製方法において、半導体微粒
子の処理には下記一般式(I): MZm ・・・(I) により表される化合物を用いる。以下、一般式(I)によ
り表される化合物を「化合物(I)」と称する。
【0011】一般式(I)中、Mは周期律表の第3〜6族
のいずれかに属する元素(スカンジウム、イットリウ
ム、ランタノイド類、チタン、ジルコニウム、ハフニウ
ム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデ
ン、タングステン等)又は第12〜15族のいずれかに属す
る元素(亜鉛、アルミニウム、ガリウム、インジウム、
ゲルマニウム、錫、アンチモン、ビスマス等)を表す。
Mはゲルマニウム、錫、アルミニウム又は亜鉛を表すの
が好ましく、ゲルマニウムを表すのがより好ましい。ま
たZはアルコキシ基を表し、具体例としてはメトキシ
基、エトキシ基、i-プロポキシ基、n-ブトキシ基等が挙
げられる。mは2〜6の整数を表し、Mの価数に応じて
決定される。複数のZは同じでも異なっていてもよい。
【0012】化合物(I)は、公知の方法を適用して容易
に得ることができる。以下に化合物(I)の好ましい具体
例を示すが、本発明はそれらに限定されない。
【0013】
【表1】
【0014】(B) 一般式(II)により表される化合物 本発明の光電変換素子の作製方法においては、化合物
(I)で処理する際に、下記一般式(II):
【化3】 により表される少なくとも1種の化合物も存在させるの
が好ましい。以下、一般式(II)により表される化合物を
「化合物(II)」と称する。
【0015】一般式(II)中、RA及びRBはそれぞれ独立に
水素原子又は脂肪族炭化水素基を表す。脂肪族炭化水素
基としては、置換又は無置換のアルキル基(例えばメチ
ル基、エチル基、i-プロピル基等)等が挙げられる。こ
こでアルキル基は直鎖状であっても分岐状であってもよ
い。RCは水素原子又はメチル基を表す。RA、RB及びRC
それぞれ水素原子を表すのが好ましい。nは1以上の整
数を表し、nが2以上の整数である場合、複数のRCは同
じでも異なっていてもよい。またnの値が互いに異なる
複数の化合物(II)を混合して用いてもよい。
【0016】化合物(II)の平均分子量は4×102〜4×1
06であるのが好ましく、1×103〜5×105であるのがよ
り好ましい。化合物(II)は公知の方法を適用して容易に
得ることができる。例えばRA、RB及びRCが水素原子であ
る化合物は、エチレングリコール、ジエチレングリコー
ル等の単一な化合物、又はポリエチレングリコール(PE
G)等の様々な分子量を有する化合物の混合物として容
易に得られる。
【0017】以下に化合物(II)の好ましい具体例を示す
が、本発明はそれらに限定されない。 (II-1) ポリエチレングリコール400(PEG400) (II-2) ポリエチレングリコール500(PEG500) (II-3) ポリエチレングリコール1,000(PEG1,000) (II-4) ポリエチレングリコール3,400(PEG3,400) (II-5) ポリエチレングリコール8,000(PEG8,000) (II-6) ポリエチレングリコール20,000(PEG20,000) (II-7) ポリエチレングリコール500,000(PEG500,00
0) (II-8) ポリエチレングリコール200,000(PEG200,00
0) (II-9) ポリエチレングリコール500ジメチルエーテル (II-10)ポリプロピレングリコール(ジオール型)3,0
00 (II-11)ポリプロピレングリコール(トリオール型)
3,000 (II-12)ジエチレングリコール
【0018】(C) 一般式(III)により表される化合物 本発明の光電変換素子の作成方法においては、化合物
(I)で処理する際に、下記一般式(III):
【化4】 により表される化合物も存在させるのが好ましい。以
下、一般式(III)により表される化合物を「化合物(II
I)」と称する。
【0019】一般式(III)中、Xは酸素原子、硫黄原
子、セレン原子又はNR3を表す。R3は水素原子、脂肪族
炭化水素基、ヒドロキシ基又はアルコキシ基を表す。こ
こでR3により表される脂肪族炭化水素基としては炭素原
子数1〜10の置換又は無置換の直鎖、分岐又は環状のア
ルキル基(例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、
i-プロピル基、シクロヘキシル基、カルボキシメチル基
等)等が挙げられ、アルコキシ基としてはメトキシ基、
エトキシ基、i-プロピルオキシ基等が挙げられる。Xは
酸素原子であるのが好ましい。
【0020】一般式(III)中、R1及びR2はそれぞれ独立
に水素原子、脂肪族炭化水素基、アリール基、ヘテロ環
基、-OR4、-N(R5)(R6)、-C(=O)R7、-C(=S)R8又はSO2R9
を表す。ここで、R4は水素原子又は脂肪族炭化水素基を
表し、R5及びR6はR1及びR2と同義であり、R7、R8及びR9
は後に述べるYと同義である。
【0021】R1及びR2が脂肪族炭化水素基を表す場合、
その例としては炭素原子数1〜30の直鎖又は分岐の無置
換アルキル基(例えばメチル基、エチル基、i-プロピル
基、n-プロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基、2-ペンチ
ル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、t-オクチル基、2-
エチルヘキシル基、1,5-ジメチルヘキシル基、n-デシル
基、n-ドデシル基、n-テトラデシル基、n-ヘキサデシル
基、n-オクタデシル基等)、炭素原子数1〜30の直鎖又
は分岐の置換アルキル基(例えばヒドロキシエチル基、
N,N-ジメチルアミノプロピル基、トリフルオロエチル
基、トリ-n-ヘキシルアンモニムプロピル基、ピリジル
プロピル基、トリエトキシシリルプロピル基、トリメト
キシシリルプロピル基、トリクロロシリルメチル基、カ
ルボキシメチル基、スルホエチル基、スルホメチル基、
ホスホプロピル基、ジメトキシホスホプロピル基、n-ブ
トキシプロピル基、メトキシエトキシエチル基、ポリエ
トキシエチル基、アセチルオキシエチル基、メチルチオ
プロピル基、3-(N-エチルウレイド)プロピル基等)、炭
素原子数3〜18の置換又は無置換の環状アルキル基(例
えばシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキ
シル基、シクロオクチル基、アダマンチル基、シクロド
デシル基等)、炭素原子数2〜16のアルケニル基(例え
ばアリル基、2-ブテニル基、3-ペンテニル基等)、炭素
原子数2〜10のアルキニル基(例えばプロパルギル基、
3-ペンチニル基等)、炭素原子数6〜16のアラルキル基
(例えばベンジル基等)等が挙げられる。
【0022】R1及びR2がアリール基を表す場合、その例
としては炭素原子数6〜30の置換又は無置換のフェニル
基(例えば無置換フェニル基、メチルフェニル基、オク
チルフェニル基、シアノフェニル基、エトキシカルボニ
ルフェニル基、ジエチルホスホメチルフェニル基、スル
ホフェニル基、ジメチルアミノフェニル基、トリメトキ
シシリルフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、
カルボキシフェニル基、ブトキシフェニル基等)、ナフ
チル基(例えば無置換ナフチル基、4-スルホナフチル基
等)等が挙げられる。
【0023】R1及びR2がヘテロ環基を表す場合、その例
としては置換又は無置換の含窒素ヘテロ5員環(例えば
イミダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ピロール基
等)、置換又は無置換の含窒素ヘテロ6員環(例えばピ
リジル基、キノリル基、ピリミジル基、トリアジノ基、
モルホリノ基等)、フリル基、チオフリル基等が挙げら
れる。
【0024】またR1及びR2が-OR4を表す場合、R4により
表される脂肪族炭化水素基の例としては、上述したR1
びR2が表す脂肪族炭化水素基の例と同様のものが挙げら
れる。R1及びR2が-N(R5)(R6)を表す場合のR5及びR6はR1
及びR2と同義であり、-C(=O)R7、-C(=S)R8及びSO2R9
表す場合のR7、R8及びR9は以下に示すYと同義である。
【0025】R1及びR2は、それぞれ独立に水素原子、炭
素原子数1〜20の置換又は無置換アルキル基、炭素原子
数6〜20の置換又は無置換フェニル基、含窒素ヘテロ環
基、-N(R5)(R6)、-C(=O)R7又はSO2R9であるのが好まし
く、R1が水素原子を表し、かつR2が水素原子、炭素原子
数1〜10の置換又は無置換アルキル基を表すのがより好
ましい。
【0026】一般式(III)中、Yは水素原子、脂肪族炭
化水素基、アリール基、ヘテロ環基、-OR4、-N(R5)(R6)
又は-SR10を表す。Yにより表される脂肪族炭化水素
基、アリール基、ヘテロ環基、-OR4、-N(R5)(R6)の例と
しては、上記R1及びR2の例と同様のものが挙げられる。
-SR10を表す場合のR10は上記R4と同義である。
【0027】Yは水素原子、炭素原子数1〜16の置換又
は無置換アルキル基、炭素原子数6〜16の置換又は無置
換フェニル基、含窒素ヘテロ環基或いは-N(R5)(R6)であ
るのが好ましく、水素原子、炭素原子数1〜12の置換又
は無置換アルキル基、炭素原子数6〜12の置換又は無置
換フェニル基、含窒素ヘテロ6員環或いは-N(R5)(R6)で
あるのがより好ましく、-N(R5)(R6)であるのがさらに好
ましく、-NH2であるのが特に好ましい。R5及びR6の好ま
しい例は上記R1及びR2と同様であり、R7、R8及びR9の好
ましい例は上記Yと同様である。
【0028】一般式(III)中のX、Y、R1及びR2は互い
に連結して環を形成してもよい。また化合物(III)は
X、R1、R2及び/又はY上に置換基を有していてもよ
い。置換基の好ましい例としては、-C(=O)OR'、-P(=O)
(OR')2、-S(=O)OR'、-OR'、-B(OR')2、-Si(R11)(R12)(R
13)等が挙げられる。R'はそれぞれ独立に水素原子又は
脂肪族炭化水素基(例えばメチル基、エチル基等)を表
し、R11、R12及びR13はそれぞれ独立にヒドロキシ基、
アルキルオキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基、i-
プロピル基等)、ハロゲン原子(例えば塩素原子等)又
は脂肪族炭化水素基(例えばメチル基、エチル基等)を
表し、R11、R12及びR13のうち少なくとも1つはアルキ
ルオキシ基又はハロゲン原子である。好ましい置換基は
-C(=O)OR'、-P(=O)(OR')2及び-Si(R11)(R12)(R13)であ
り、より好ましくは-Si(R11)(R12)(R13)である。
【0029】また一般式(III)により表される化合物が
電荷を有する場合には、電荷を中和するための対イオン
としてアニオン又はカチオンを有してもよい。アニオン
又はカチオンは特に制限されず、有機イオンであっても
無機イオンであってもよい。代表的なアニオンの例とし
ては、ハロゲン化物イオン(フッ化物イオン、塩化物イ
オン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン)、過塩素酸イオ
ン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロりん
酸イオン、酢酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、メタ
ンスルホン酸イオン、パラトルエンスルホン酸イオン、
トリフルオロメタンスルホン酸イオン、ビス(トリフル
オロエタンスルホニル)イミドイオン、トリス(トリフル
オロメタンスルホニル)メチドイオン等が挙げられ、カ
チオンの例としてはアルカリ金属イオン(リチウムイオ
ン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等)、アルカリ
土類金属イオン(マグネシウムイオン、カルシウムイオ
ン等)、置換又は無置換のアンモニウムイオン(無置換
アンモニウムイオン、トリエチルアンモニウムイオン、
テトラメチルアンモニウムイオン等)、置換又は無置換
のピリジニウムイオン(無置換ピリジニウムイオン、4-
フェニルピリジニウムイオン等)、置換又は無置換のイ
ミダゾリウムイオン(N-メチルイミダゾリウムイオン
等)等が挙げられる。
【0030】以下に化合物(III)の好ましい具体例を示
すが、本発明はそれらに限定されない。
【0031】
【化5】
【0032】
【化6】
【0033】(D) 一般式(IV)により表される化合物 前述したように、本発明では半導体微粒子をさらに下記
一般式(IV): Lp・Qq ・・・(IV) により表される化合物で処理するのが好ましい。以下、
一般式(IV)により表される化合物を「化合物(IV)」と称
する。
【0034】一般式(IV)中、Lはアルカリ金属イオン、
アルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオン、イミダ
ゾリウムイオン又はピリジニウムイオンを表す。ここで
アルカリ金属イオンの例としてはリチウムイオン、ナト
リウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオン、セ
シウムイオン等が挙げられ、アルカリ土類金属イオンの
例としてはマグネシウムイオン、カルシウムイオン、ス
トロンチウムイオン等が挙げられ、アンモニウムイオン
の例としては無置換アンモニウムイオン、トリエチルア
ンモニウムイオン、テトラメチルアンモニウムイオン、
テトラ-n-ブチルアンモニウムイオン、テトラ-n-ヘキシ
ルアンモニウムイオン、エチルトリメチルアンモニウム
イオン等が挙げられ、イミダゾリウムイオンの例として
は無置換イミダゾリウムイオン、1,3-ジメチルイミダゾ
リウムイオン、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムイオ
ン、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムイオン、2,3-ジ
メチル-1-プロピルイミダゾリウムイオン等が挙げら
れ、ピリジニウムイオンの例としては無置換ピリジニウ
ムイオン、N-メチルピリジニウムイオン、4-フェニルピ
リジニウムイオン等が挙げられる。Lは好ましくはアル
カリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、四級アンモ
ニウムイオン又はイミダゾリウムイオンを表し、より好
ましくはリチウムイオンを表す。
【0035】一般式(IV)中、Qはハロゲンイオン、カル
ボン酸イオン、スルホン酸イオン、ホスホン酸イオン、
スルホニルイミドイオン、スルホニルメチドイオン、硫
酸イオン(SO4 2-)、チオシアン酸イオン(NCS-)、シ
アン酸イオン(NCO-)、過塩素酸イオン(ClO4 -)、テ
トラフルオロホウ酸イオン(BF4 -)又はヘキサフルオロ
リン酸イオン(PF6 -)を表す。ここで、ハロゲンイオン
の例としてはフルオロイオン、クロロイオン、ブロモイ
オン、ヨードイオン等が挙げられ、カルボン酸イオンの
例としては炭素原子数1〜18の置換又は無置換のアルキ
ル又はアリールカルボン酸イオン(酢酸イオン、プロピ
オン酸イオン、安息香酸イオン、トリクロロ酢酸イオ
ン、トリフルオロ酢酸イオン等)等が挙げられ、スルホ
ン酸イオンの例としては炭素原子数1〜18の置換又は無
置換のアルキル又はアリールスルホン酸イオン(メタン
スルホン酸イオン、パラトルエンスルホン酸イオン、ト
リフルオロメタンスルホン酸イオン、パーフルオロオク
タンスルホン酸イオン等)等が挙げられ、ホスホン酸イ
オンの例としては炭素原子数1〜18の置換又は無置換の
アルキル又はアリールホスホン酸イオン(ベンジルホス
ホン酸イオン等)等が挙げられ、スルホニルイミドイオ
ンの例としてはビス(トリフルオロメタンスルホニル)イ
ミドイオン等が挙げられ、スルホニルメチドイオンの例
としてはトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド
イオン等が挙げられる。Qは好ましくはヨードイオン、
酢酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、メタンスルホン
酸イオン、パラトルエンスルホン酸イオン、トリフルオ
ロメタンスルホン酸イオン、ビス(トリフルオロメタン
スルホニル)イミドイオン、チオシアン酸イオン、過塩
素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン又はヘキサフ
ルオロリン酸イオンを表し、より好ましくはヨードイオ
ン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、ビス(トリ
フルオロメタンスルホニル)イミドイオン、過塩素酸イ
オン又はテトラフルオロホウ酸イオンを表す。
【0036】一般式(IV)中、Lの数を表すp及びQの数
を表すqは、それぞれ1以上の整数であり、好ましくは
1又は2である。またp及びqはL及びQの電荷を中和
するような組み合わせであるのが好ましい。例えばLが
1価のカチオンであり、Qが2価のアニオンである場
合、pは2でありqは1であるのが好ましい。
【0037】以下に本発明で好ましく用いられる化合物
(IV)の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されな
い。
【0038】
【化7】
【0039】(E) 色素 上述した化合物(I)〜(IV)による処理は、半導体微粒子
への色素の吸着と同時に行う。ここで感光層に用いる増
感色素は、可視域や近赤外域に吸収特性を有し半導体を
増感し得るものであれば特に限定されないが、金属錯体
色素、メチン色素、ポルフィリン系色素及びフタロシア
ニン系色素が好ましく使用できる。また光電変換の波長
域をできるだけ広くして変換効率を上げるために、二種
類以上の色素を併用することもできる。この場合、目的
とする光源の波長域と強度分布に合わせて併用する色素
とその割合を選ぶ。
【0040】色素は半導体微粒子の表面に対して吸着能
力のある適当な結合基(interlocking group)を有する
のが好ましい。好ましい結合基の例としては、-COOH
基、-OH基、-SO2H基、-P(O)(OH)2基及び-OP(O)(OH)2
のような酸性基、並びにオキシム、ジオキシム、ヒドロ
キシキノリン、サリチレート及びα-ケトエノレートの
ようなπ伝導性を有するキレート化基が挙げられる。中
でも-COOH基、-P(O)(OH)2基及び-OP(O)(OH)2基が特に好
ましい。これらの結合基はアルカリ金属等と塩を形成し
ていてもよく、また分子内塩を形成していてもよい。ま
たポリメチン色素の場合、メチン鎖がスクアリリウム環
やクロコニウム環を形成する場合のように酸性基を含有
するなら、この部分を結合基としてもよい。以下、感光
層に用いる好ましい増感色素を具体的に説明する。
【0041】(a) 有機金属錯体色素 色素が金属錯体色素である場合、金属原子はルテニウム
(Ru)であるのが好ましい。ルテニウム錯体色素として
は、例えば米国特許4,927,721号、同4,684,537号、同5,
084,365号、同5,350,644号、同5,463,057号、同5,525,4
40号、特開平7-249790号、特表平10-504512号、WO 98/5
0393号等に記載の錯体色素が挙げられる。また特開2001
-320068号の51〜57段落にも、有機金属錯体色素の具体
例が詳細に記載されている。最も典型的なルテニウム錯
体色素としては、下記D-1、D-2等が挙げられる。
【0042】
【化8】
【0043】(b) メチン色素 本発明に使用することができる好ましいメチン色素は、
シアニン色素、メロシアニン色素、スクワリリウム色素
等のポリメチン色素である。ポリメチン色素の好ましい
例は、特開平11-35836号、特開平11-158395号、特開平1
1-163378号、特開平11-214730号、特開平11-214731号、
欧州特許892411号及び同911841号に記載されている。こ
れらの色素の合成法については、エフ・エム・ハーマー
(F. M.Hamer)著「ヘテロサイクリック・コンパウンズ
−シアニンダイズ・アンド・リレィティド・コンパウン
ズ(Heterocyclic Compounds-Cyanine Dyes and Relate
d Compounds)」(ジョン・ウィリー・アンド・サンズ
(John Wiley & Sons)社−ニューヨーク、ロンドン、1
964年)、デー・エム・スターマー(D. M. Sturmer)著
「ヘテロサイクリック・コンパウンズ−スペシャル・ト
ピックス・イン・ヘテロサイクリック・ケミストリー
(Heterocyclic Compounds-Specialtopics in heterocy
clic chemistry)」(第18章、第14節、第482〜515頁、
ジョン ・ウィリー・アンド・サンズ(John Wiley & So
ns)社−ニューヨーク、ロンドン、1977年)、「ロッズ
・ケミストリー・オブ・カーボン・コンパウンズ(Rod
d's Chemistry of Carbon Compounds)」(2nd. Ed. vo
l. IV, part B、1977年、第15章、第369〜422頁、エル
セビア・サイエンス・パブリック・カンパニー・インク
(Elsevier Science Publishing Company Inc.)社刊、ニ
ューヨーク)、英国特許第1,077,611号、Ukrainskii Kh
imicheskii Zhurnal, 第40巻, 第3号, 253〜258頁、Dy
es and Pigments, 第21巻, 227〜234頁及びこれらの文
献に引用された文献等に記載されている。
【0044】上記の色素の他、フタロシアニン及びナフ
タロシアニンとその誘導体、金属フタロシアニン及び金
属ナフタロシアニンとその誘導体、テトラフェニルポル
フィリンやテトラアザポルフィリン等のポルフィリン類
とその誘導体、金属ポルフィリンとその誘導体等も好ま
しく用いることができる。さらに色素レーザーに用いら
れる色素類も本発明に用いてよい。
【0045】(F) 処理方法 化合物(I)〜(IV)による半導体微粒子の処理は、少なく
とも1種の色素の吸着と同時に行われるため、好ましい
処理方法は実質的に好適な色素吸着方法に準ずる。本発
明において「処理」とは、電荷輸送層を設置する前に半
導体微粒子と化合物(I)〜(IV)をある時間接触させる操
作を意味する。接触後には、半導体微粒子にこれらの化
合物が吸着していても吸着していなくてもよい。
【0046】本発明においては、色素を吸着させる際に
使用する色素の溶液(色素吸着液)に化合物(I)〜(IV)
を溶解又は分散させて処理液として用いるが、化合物
(I)〜(IV)を色素吸着液に溶解させて処理液として用い
るのが好ましい。処理液(色素吸着液)中の化合物(I)
の濃度は、好ましくは1×10-6〜2mol/Lであり、より好
ましくは1×10-5〜5×10-1 mol/Lである。処理液中の
化合物(II)の濃度は、好ましくは1×10-3〜100 g/Lであ
り、より好ましくは1×10-2〜20 g/Lである。処理液中
の化合物(III)及び(IV)の濃度は、それぞれ1×10-6〜2
mol/Lであるのが好ましく、1×10-5〜5×10-1 mol/L
であるのが好ましい。
【0047】半導体微粒子への色素吸着と化合物(I)〜
(IV)による処理とを行う際には、色素及び化合物(I)〜
(IV)の混合溶液(処理液)中によく乾燥した半導体微粒
子層を有する導電性支持体を浸漬する方法、又は該処理
液を半導体微粒子層に塗布する方法を用いることができ
る。前者の方法の場合、浸漬法、ディップ法、ローラ
法、エアーナイフ法等が利用可能である。浸漬法を用い
る場合は室温で行ってもよいし、特開平7-249790号に記
載されているように加熱還流して行ってもよい。後者の
方法の場合、ワイヤーバー法、スライドホッパー法、エ
クストルージョン法、カーテン法、スピン法、スプレー
法等が利用できる。またインクジェット法等によって色
素を画像状に塗布し、この画像そのものを光電変換素子
とすることもできる。
【0048】色素及び化合物(I)〜(IV)の混合溶液(処
理液)に用いる溶媒は、好ましくはアルコール類(メタ
ノール、エタノール、t-ブタノール、ベンジルアルコー
ル等)、ニトリル類(アセトニトリル、プロピオニトリ
ル、3-メトキシプロピオニトリル等)、ニトロメタン、
ハロゲン化炭化水素(ジクロロメタン、ジクロロエタ
ン、クロロホルム、クロロベンゼン等)、エーテル類
(ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等)、ジメチ
ルスルホキシド、アミド類(N,N-ジメチルホルムアミ
ド、N,N-ジメチルアセタミド等)、N-メチルピロリド
ン、1,3-ジメチルイミダゾリジノン、3-メチルオキサゾ
リジノン、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、
炭酸エステル類(炭酸ジエチル、炭酸エチレン、炭酸プ
ロピレン等)、ケトン類(アセトン、2-ブタノン、シク
ロヘキサノン等)、炭化水素(へキサン、石油エーテ
ル、ベンゼン、トルエン等)又はこれらの混合溶媒であ
る。
【0049】色素の吸着量は、半導体微粒子層の単位面
積(1m2)当たり0.01〜100 mmolとするのが好ましい。
また色素の半導体微粒子に対する吸着量は、半導体微粒
子1g当たり0.01〜1mmolであるのが好ましい。このよ
うな色素の吸着量とすることにより半導体微粒子の増感
効果が十分に得られる。色素の吸着量が少なすぎると増
感効果が不十分となり、色素の吸着量が多すぎると半導
体に付着していない色素が浮遊し、増感効果が低減す
る。色素の吸着量を増やすためには、吸着前に半導体微
粒子を加熱処理するのが好ましい。半導体微粒子表面に
水が吸着するのを避けるために、加熱処理後には常温に
戻さずに半導体微粒子層の温度が60〜150℃の間で素早
く色素の吸着を行うのが好ましい。
【0050】色素間の凝集等の相互作用を低減するため
に、界面活性な性質を持つ無色の化合物を色素吸着液に
添加し、半導体微粒子に共吸着させてよい。ただ化合物
(I)〜(IV)による処理を同時に行う場合、その効果はあ
まり大きくない。このような無色の化合物の例として
は、カルボキシル基やスルホ基を有するステロイド(コ
ール酸、デオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、タ
ウロデオキシコール酸等)や、下記のようなスルホン酸
塩類等が挙げられる。
【0051】
【化9】
【0052】未吸着の色素や化合物は、吸着及び処理の
工程後、速やかに洗浄により除去するのが好ましい。洗
浄は湿式洗浄槽中でアセトニトリル、アルコール系溶剤
のような有機溶媒等を用いて行うのが好ましい。
【0053】化合物(I)〜(IV)による処理と色素の吸着
を同時に行った後に、さらに後処理を施してもよい。後
処理として、アミン類、4級アンモニウム塩、化合物
(I)〜(IV)及び/又は少なくとも一つのアルコキシシリ
ル基が置換した化合物を用いて、半導体微粒子の表面を
処理することができる。好ましいアミン類の例としては
ピリジン、4-t-ブチルピリジン、ポリビニルピリジン等
が挙げられる。好ましい4級アンモニウム塩の例として
はテトラブチルアンモニウムヨージド、テトラヘキシル
アンモニウムヨージド等が挙げられる。化合物(I)〜(I
V)の中で、後処理には化合物(III)を用いるのが好まし
く、特にウレイド化合物(例えば化合物III-8等)が好
ましい。これらの化合物は有機溶媒に溶解して後処理に
用いてもよく、化合物が液体の場合はそのまま用いても
よい。
【0054】また本発明の光電変換素子の作製方法で
は、感光層に用いる半導体微粒子をさらに金属化合物の
溶液で処理してもよい。金属化合物としては、例えばス
カンジウム、イットリウム、ランタノイド、ジルコニウ
ム、ハフニウム、ニオブ、タンタル、ガリウム、インジ
ウム、ゲルマニウム及びスズからなる群から選ばれる金
属のアルコキシド若しくはハロゲン化物等が挙げられ
る。金属化合物の溶液は通常水溶液又はアルコール溶液
である。処理は半導体微粒子層を形成した後に行うのが
好ましい。
【0055】上記金属化合物の溶液による処理の具体的
方法としては、半導体微粒子を金属化合物の処理液に浸
漬する方法(浸漬法)が好ましい例として挙げられる。
また処理液をスプレー状に一定時間吹き付ける方法(ス
プレー法)も適用できる。浸漬法を行う際の処理液の温
度(浸漬温度)は特に限定されないが、典型的には-10
〜70℃であり、好ましくは0℃〜40℃である。処理時間
も特に限定されず、典型的には1分〜24時間であり、好
ましくは30分〜15時間である。浸漬の後、半導体微粒子
を蒸留水等の溶媒で洗浄してもよい。また浸漬処理によ
って半導体微粒子に付着した物質の結合を強めるために
焼成してもよい。焼成の条件は、上述した加熱処理の条
件と同様に設定すればよい。
【0056】[2] 光電変換素子 本発明の光電変換素子は上記本発明の作製方法により作
製される。本発明の光電変換素子は、好ましくは図1に
示すように導電層10、感光層20、電荷輸送層30及び対極
導電層40をこの順に積層してなり、色素22によって増感
した半導体微粒子21とこの半導体微粒子21の間の空隙に
浸透した電荷輸送材料23とから感光層20を構成する。感
光層20中の電荷輸送材料23は通常、電荷輸送層30に用い
る材料と同じものである。導電層10と感光層20の間には
下塗り層60を設けてもよい。また光電変換素子に強度を
付与するために、導電層10及び/又は対極導電層40の下
地として基板50を設けてもよい。本発明では、導電層10
及び任意で設ける基板50からなる層を「導電性支持
体」、対極導電層40及び任意で設ける基板50からなる層
を「対極」と呼ぶ。なお、図1中の導電層10、対極導電
層40、基板50はそれぞれ透明導電層10a、透明対極導電
層40a、透明基板50aであってもよい。このような光電変
換素子のうち、電気的仕事(発電)をさせるために外部
負荷に接続したものが光電池であり、光学的情報のセン
シングを目的に作られたものが光センサーである。光電
池の中で、電荷輸送材料が主としてイオン輸送材料から
なるものを光電気化学電池と呼び、また太陽光による発
電を主目的とするものを太陽電池と呼ぶ。
【0057】図1に示す光電変換素子において、色素22
により増感した半導体微粒子21を含む感光層20に入射し
た光は色素22等を励起し、励起された色素22等中の高エ
ネルギーの電子は半導体微粒子21の伝導帯に渡され、さ
らに拡散して導電層10に到達する。このとき色素22は酸
化体となっている。光電池においては、導電層10中の電
子が外部回路で仕事をしながら対極導電層40及び電荷輸
送層30を経て色素22の酸化体に戻り、色素22が再生す
る。感光層20は負極として働き、対極導電層40は正極と
して働く。それぞれの層の境界(例えば導電層10と感光
層20との境界、感光層20と電荷輸送層30との境界、電荷
輸送層30と対極導電層40との境界等)では、各層の構成
成分同士が相互に拡散混合していてもよい。以下各層及
び構成について詳細に説明する。
【0058】(A) 導電性支持体 導電性支持体は(1) 導電層の単層又は(2) 導電層及び基
板の2層からなる。(1) の場合、導電層の材料として
は、導電層の強度や密封性を十分に保つことができ、か
つ導電性を有するもの(例えば白金、金、銀、銅、亜
鉛、チタン、アルミニウム、これらを含む合金のような
金属材料等)を用いることができる。(2) の場合、感光
層側に導電剤からなる導電層を有する基板を導電性支持
体として使用することができる。好ましい導電剤の例と
しては金属(白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウ
ム、インジウム等)、炭素及び導電性金属酸化物(イン
ジウム−スズ複合酸化物、酸化スズにフッ素をドープし
たもの等)が挙げられる。導電層の厚さは好ましくは0.
02〜10μm程度である。
【0059】導電性支持体の表面抵抗は低いほどよい。
この表面抵抗は好ましくは100Ω/□以下であり、より
好ましくは40Ω/□以下である。表面抵抗の下限には特
に制限はないが、通常0.1Ω/□程度である。
【0060】導電性支持体側から光を照射する場合に
は、導電性支持体は実質的に透明であるのが好ましい。
実質的に透明であるとは光の透過率が10%以上であるこ
とを意味する。導電性支持体の光透過率は好ましくは50
%以上、特に好ましくは70%以上である。
【0061】透明導電性支持体としては、ガラス、プラ
スチック等からなる透明基板の表面に導電性金属酸化物
からなる透明導電層を塗布、蒸着等により形成したもの
が好ましく使用できる。透明導電層をなす好ましい材料
の例としてはフッ素をドーピングした二酸化スズ等が挙
げられる。透明基板としては、コストと強度の点で有利
なソーダ石灰フロートガラスからなるガラス基板、低コ
ストでフレキシブルな光電変換素子を得るために有用な
透明ポリマーフィルム等が使用できる。透明ポリマーフ
ィルムをなす材料の例としては、テトラアセチルセルロ
ース(TAC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポ
リエチレンナフタレート(PEN)、シンジオタクチック
ポリスチレン(SPS)、ポリフェニレンスルフィド(PP
S)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート(PA
r)、ポリスルフォン(PSF)、ポリエステルスルフォン
(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、環状ポリオレフ
ィン、ブロム化フェノキシ樹脂等が挙げられる。十分な
透明性を確保するためには、上記導電性金属酸化物の塗
布量はガラス又はプラスチックの基板1m2当たり0.01〜
100 gとするのが好ましい。
【0062】透明導電性支持体の抵抗を下げる目的で、
金属リードを集電体として用いることができる。金属リ
ードは白金、金、ニッケル、チタン、アルミニウム、
銅、銀等の金属からなるのが好ましく、アルミニウム又
は銀からなるのが特に好ましい。透明基板上に金属リー
ドを蒸着、スパッタリング等で設置し、その上にフッ素
をドープした酸化スズ、ITO膜等からなる透明導電層を
設けるのが好ましい。また透明導電層を透明基板上に設
けた後、透明導電層上に金属リードを設置することも好
ましい。金属リード設置による入射光量の低下は、好ま
しくは10%以内、より好ましくは1〜5%とする。
【0063】(B) 感光層 感光層において半導体微粒子は感光体として作用し、光
を吸収して電荷分離を行い電子と正孔を生ずる。色素増
感した半導体微粒子では光吸収及びこれによる電子及び
正孔の発生は主として色素において起こり、半導体微粒
子はこの電子又は正孔を受け取り、伝達する役割を担
う。本発明で用いる半導体は、光励起下で伝導体電子が
キャリアーとなり、アノード電流を与えるn型半導体で
あるのが好ましい。
【0064】(1) 半導体 本発明で用いる半導体は、単体半導体(シリコン、ゲル
マニウム等)、III-V族系化合物半導体、金属カルコゲ
ナイド(酸化物、硫化物、セレン化物等)、ペロブスカ
イト構造を有する化合物(チタン酸ストロンチウム、チ
タン酸カルシウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸バリ
ウム、ニオブ酸カリウム等)等であってよい。
【0065】金属カルコゲナイドの例としては、チタ
ン、スズ、亜鉛、鉄、タングステン、ジルコニウム、ハ
フニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イ
ットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ又はタンタ
ルの酸化物、カドミウム、亜鉛、鉛、銀、アンチモン又
はビスマスの硫化物、カドミウム又は鉛のセレン化物、
カドミウムのテルル化物等が挙げられる。他の化合物半
導体の例としては亜鉛、ガリウム、インジウム、カドミ
ウム等のリン化物、ガリウム−ヒ素又は銅−インジウム
のセレン化物、銅−インジウムの硫化物等が挙げられ
る。
【0066】本発明で用いる半導体は、好ましくはSi、
TiO2、SnO2、Fe2O3、WO3、ZnO、Nb2O5、CdS、ZnS、Pb
S、Bi2S3、CdSe、CdTe、GaP、InP、GaAs、CuInS2、CuInS
e2又はこれらの組み合わせであり、より好ましくはTi
O2、ZnO、SnO2、Fe2O3、WO3、Nb2O5、CdS、PbS、CdSe、
InP、GaAs、CuInS2、CuInSe2又はこれらの組み合わせで
あり、特に好ましくはZnO、SnO2、WO3、TiO2又はNb2O5
であり、最も好ましくはTiO 2である。TiO2の結晶系とし
て、アナターゼ型、ルチル型、ブルッカイト型等が知ら
れている。本発明で用いるTiO2はこれらのいずれの結晶
形を有していてもよい。
【0067】本発明に用いる半導体は単結晶でも多結晶
でもよいが、製造コスト、原材料確保、エネルギーペイ
バックタイム等の観点からは多結晶が有利であり、多結
晶の形態で用いられる場合は、半導体微粒子からなる多
孔質膜が特に好ましい。また本発明の半導体は一部アモ
ルファス部分を含んでいてもよい。
【0068】半導体微粒子の粒径は一般にnm〜μmのオ
ーダーであるが、投影面積を円に近似したときの直径か
ら求めた一次粒子の平均粒径は好ましくは5〜200 nmで
あり、より好ましくは8〜100 nmである。また分散液中
の半導体微粒子(二次粒子)の平均粒径は好ましくは0.
01〜100μmである。
【0069】粒径分布の異なる2種類以上の半導体微粒
子を混合して用いてもよく、この場合、小さい粒子の平
均粒径は好ましくは5〜50 nmであり、大きい粒子の平
均粒径は好ましくは100〜600 nmである。小さい粒子は
色素が吸着する表面の面積を増やす効果を有し、大きい
粒子は入射光を散乱させて光捕獲率を向上させる効果を
有する。混合比率(質量比)は小さい粒子が50〜99%か
つ大きい粒子が1〜50%であるのが好ましく、小さい粒
子が70〜95%かつ大きい粒子が5〜30%であるのがより
好ましい。
【0070】半導体微粒子の作製法としては、作花済夫
の「ゾル−ゲル法の科学」アグネ承風社(1998年)、技
術情報協会の「ゾル−ゲル法による薄膜コーティング技
術」(1995年)等に記載のゾル−ゲル法、杉本忠夫の
「新合成法ゲル−ゾル法による単分散粒子の合成とサイ
ズ形態制御」、まてりあ, 第35巻, 第9号, 1012〜1018
頁(1996年)等に記載のゲル−ゾル法、清野学の「酸化
チタン 物性と応用技術」技報堂出版(1997年)に記載
の硫酸法及び塩素法、Degussa社が開発した塩化物を酸
水素塩中で高温加水分解により酸化物を作製する方法等
が好ましく使用できる。
【0071】半導体微粒子として酸化チタン微粒子を用
いる場合、Barbeらのジャーナル・オブ・アメリカン・
セラミック・ソサエティ, 第80巻, 第12号, 3157〜3171
頁(1997年)、Burnsideらのケミストリー・オブ・マテ
リアルズ, 第10巻, 第9号, 2419〜2425頁等に記載のゾ
ル−ゲル法が特に好ましく使用できる。
【0072】(2)半導体微粒子層 導電性支持体上に上記半導体微粒子からなる半導体微粒
子層を形成する際には、半導体微粒子を含有する分散液
又はコロイド溶液を導電性支持体上に塗布する方法を用
いるのが一般的である。光電変換素子の量産化、半導体
微粒子を含有する分散液又はコロイド溶液の物性、導電
性支持体の融通性等を考慮すると、湿式の製膜方法を用
いるのが比較的望ましい。湿式の製膜方法としては塗布
法及び印刷法が代表的である。
【0073】半導体微粒子の分散液を作製する方法の例
としては、前述のゾル−ゲル法等で調製した分散液又は
コロイド溶液をそのまま用いる方法、乳鉢ですり潰す方
法、ミルを使って粉砕しながら分散する方法等が挙げら
れる。
【0074】半導体微粒子の分散液に用いる分散媒は、
水又は各種有機溶媒(メタノール、エタノール、イソプ
ロピルアルコール、ジクロロメタン、アセトン、アセト
ニトリル、酢酸エチル等)であってよい。分散する際に
必要に応じてポリエチレングリコールのようなポリマ
ー、界面活性剤、酸、キレート剤等を分散助剤として用
いてもよい。ポリエチレングリコールの分子量を変える
ことで、分散液の粘度が調節でき、また剥がれにくい半
導体微粒子層を形成することができるので、ポリエチレ
ングリコールを添加することは好ましい。
【0075】好ましい塗布方法の例としては、アプリケ
ーション系としてローラ法、ディップ法等、メータリン
グ系としてエアーナイフ法、ブレード法等、またアプリ
ケーションとメータリングを同一部分にできるものとし
て特公昭58-4589号に開示されているワイヤーバー法、
米国特許2,681,294号、同2,761,419号、同2,761,791号
等に記載のスライドホッパー法、エクストルージョン
法、カーテン法等が挙げられる。また汎用法としてスピ
ン法やスプレー法も好ましい。湿式印刷方法としては凸
版、オフセット及びグラビアの三大印刷法をはじめ、凹
版、ゴム版、スクリーン印刷等が好ましい。これらの中
から液粘度やウェット厚さに応じて製膜方法を選択して
よい。
【0076】半導体微粒子の分散液の粘度は半導体微粒
子の種類や分散性、使用溶媒種、界面活性剤やバインダ
ー等の添加剤により大きく左右される。分散液が高粘度
(例えば0.01〜500 Poise)である場合はエクストルー
ジョン法、キャスト法又はスクリーン印刷法を用いるの
が好ましい。また低粘度(例えば0.1 Poise以下)であ
る場合は、均一な膜を形成するためにはスライドホッパ
ー法、ワイヤーバー法又はスピン法を用いるのが好まし
い。なお、塗布量がある程度多い場合は低粘度であって
もエクストルージョン法による塗布が可能である。この
ように分散液の粘度、塗布量、支持体、塗布速度等に応
じて適宜製膜方法を選択すればよい。
【0077】半導体微粒子層は単層に限定されず、粒径
の違った半導体微粒子の分散液を多層塗布したり、種類
が異なる半導体微粒子(或いは異なるバインダー、添加
剤等)を含有する層を多層塗布したりすることもでき
る。一度の塗布で膜厚が足りない場合にも多層塗布は有
効である。多層塗布にはエクストルージョン法及びスラ
イドホッパー法が適している。多層塗布する場合は同時
に多層を塗布してもよいし、数回から十数回、順次重ね
塗りしてもよい。順次重ね塗りする際にはスクリーン印
刷法も好ましく使用できる。
【0078】一般に半導体微粒子層の厚さ(感光層の厚
さと同じ)が厚くなるほど、単位投影面積当たりの担持
色素量が増えるため光の捕獲率が高くなるが、生成した
電子の拡散距離が増すため電荷再結合によるロスも大き
くなる。従って半導体微粒子層の好ましい厚さは0.1〜1
00μmである。本発明の光電変換素子を太陽電池に用い
る場合、半導体微粒子層の厚さは好ましくは1〜30μm
であり、より好ましくは2〜25μmである。導電性支持
体1m2当たりの半導体微粒子の塗布量は、好ましくは0.
5〜400 gであり、より好ましくは5〜100 gである。
【0079】半導体微粒子を導電性支持体上に塗布した
後、半導体微粒子同士を電気的に接触させるとともに塗
膜強度や導電性支持体との密着性を向上させるために、
加熱処理するのが好ましい。加熱処理における加熱温度
は好ましくは40〜700℃であり、より好ましくは100〜60
0℃である。また加熱時間は10分〜10時間程度である。
ポリマーフィルムのように融点や軟化点の低い基板を用
いる場合、高温処理は基板の劣化を招くため好ましくな
い。またコストの観点からもできる限り低温で加熱処理
を行うのが好ましい。5nm以下の小さい半導体微粒子や
鉱酸等の存在下で加熱処理を行うと、加熱温度の低温化
が可能となる。
【0080】加熱処理後、半導体微粒子の表面積を増大
させたり、半導体微粒子近傍の純度を高め色素から半導
体微粒子への電子注入効率を高める目的で、米国特許第
5,084,365号に記載されているような四塩化チタン水溶
液等を用いた化学メッキ処理や、三塩化チタン水溶液等
を用いた電気化学的メッキ処理を行ってもよい。
【0081】半導体微粒子層は、多くの色素を吸着する
ことができるように大きい表面積を有するのが好まし
い。半導体微粒子層を導電性支持体上に塗布した状態で
の表面積は投影面積に対して10倍以上であるのが好まし
く、100倍以上であるのがより好ましい。この上限は特
に制限はないが、通常1000倍程度である。
【0082】(C) 電荷輸送層 電荷輸送層は、色素の酸化体に電子を補充する機能を有
する電荷輸送材料を含有する。本発明で用いる電荷輸送
材料は、(i) イオンが関わる電荷輸送材料であっても、
(ii) 固体中のキャリアー移動が関わる電荷輸送材料で
あってもよい。(i) イオンが関わる電荷輸送材料として
は、酸化還元対イオンを含有する溶融塩電解質組成物、
酸化還元対のイオンが溶解した溶液(電解液)、酸化還
元対の溶液をポリマーマトリクスのゲルに含浸したいわ
ゆるゲル電解質組成物、固体電解質組成物等が挙げら
れ、(ii) 固体中のキャリアー移動が関わる電荷輸送材
料としては、電子輸送材料や正孔(ホール)輸送材料等
が挙げられる。これらの電荷輸送材料は複数併用しても
よい。本発明では、電荷輸送層に溶融塩電解質組成物又
はゲル電解質組成物を用いるのが好ましい。
【0083】(1) 溶融塩電解質組成物 溶融塩電解質組成物は溶融塩を含む。溶融塩電解質組成
物は常温で液体であるのが好ましい。主成分である溶融
塩は室温において液状であるか、又は低融点の電解質で
あり、その一般的な例としてはWO 95/18456号、特開平8
-259543号、電気化学, 第65巻, 11号, 923頁 (1997年)
等に記載のピリジニウム塩、イミダゾリウム塩、トリア
ゾリウム塩等が挙げられる。溶融塩の融点は50℃以下で
あるのが好ましく、25℃以下であるのが特に好ましい。
溶融塩の具体例は特開2001-320068号の66〜82段落に詳
しく記載されている。
【0084】溶融塩は単独で使用しても2種以上混合し
て使用してもよい。またLiI、NaI、KI、LiBF4、CF3COOL
i、CF3COONa、LiSCN、NaSCN等のアルカリ金属塩を併用
することもできる。アルカリ金属塩の添加量は、組成物
全体に対して2質量%以下であるのが好ましく、1質量
%以下であるのがさらに好ましい。また溶融塩電解質組
成物に含まれるアニオンの50モル%以上はヨウ化物イオ
ンであるのが好ましい。
【0085】通常、溶融塩電解質組成物はヨウ素を含有
する。ヨウ素の含有量は、溶融塩電解質組成物全体に対
して0.1〜20質量%であるのが好ましく、0.5〜5質量%
であるのがより好ましい。
【0086】溶融塩電解質組成物は揮発性が低いという
特徴があるので、溶媒を用いないのが好ましい。溶媒を
添加する場合でも、溶媒の添加量は溶融塩電解質組成物
全体に対して30質量%以下に留めるのが好ましい。溶融
塩電解質組成物は後述のようにゲル化して使用してもよ
い。
【0087】(2) 電解液 電解液は電解質、溶媒及び添加物から構成されるのが好
ましい。電解液に用いる電解質の例としては、I2とヨウ
化物(LiI、NaI、KI、CsI、CaI2等の金属ヨウ化物、テ
トラアルキルアンモニウムヨーダイド、ピリジニウムヨ
ーダイド、イミダゾリウムヨーダイド等の4級アンモニ
ウム化合物ヨウ素塩等)の組み合わせ、Br2と臭化物(L
iBr、NaBr、KBr、CsBr、CaBr2等の金属臭化物、テトラ
アルキルアンモニウムブロマイド、ピリジニウムブロマ
イド等の4級アンモニウム化合物臭素塩等)の組み合わ
せ、フェロシアン酸塩−フェリシアン酸塩やフェロセン
−フェリシニウムイオン等の金属錯体、ポリ硫化ナトリ
ウム、アルキルチオール−アルキルジスルフィド等のイ
オウ化合物、ビオロゲン色素、ヒドロキノン−キノン等
が挙げられる。中でも、I2とLiI又はピリジニウムヨー
ダイド、イミダゾリウムヨーダイド等の4級アンモニウ
ム化合物ヨウ素塩を組み合わせた電解質が好ましい。電
解質は混合して用いてもよい。
【0088】電解液中の電解質濃度は好ましくは0.1〜1
0 Mであり、より好ましくは0.2〜4Mである。また電解
液にヨウ素を添加する場合の好ましいヨウ素の添加濃度
は0.01〜0.5 Mである。
【0089】電解液に使用する溶媒は、粘度が低くイオ
ン移動度を向上したり、若しくは誘電率が高く有効キャ
リアー濃度を向上したりして、優れたイオン伝導性を発
現できる化合物であるのが望ましい。このような溶媒の
例としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボ
ネート等のカーボネート化合物、3-メチル-2-オキサゾ
リジノン等の複素環化合物、ジオキサン、ジエチルエー
テル等のエーテル化合物、エチレングリコールジアルキ
ルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテ
ル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリ
プロピレングリコールジアルキルエーテル等の鎖状エー
テル類、メタノール、エタノール、エチレングリコール
モノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアル
キルエーテル、ポリエチレングリコールモノアルキルエ
ーテル、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテ
ル等のアルコール類、エチレングリコール、プロピレン
グリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレン
グリコール、グリセリン等の多価アルコール類、アセト
ニトリル、グルタロジニトリル、メトキシアセトニトリ
ル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル化
合物、ジメチルスルホキシド、スルフォラン等の非プロ
トン極性物質、水等が挙げられる。これらの溶媒は混合
して用いることもできる。
【0090】またJ. Am. Ceram. Soc., 80 (12) 3157-3
171 (1997)に記載されているようなtert-ブチルピリジ
ンや、2-ピコリン、2,6-ルチジン等の塩基性化合物を前
述の溶融塩電解質組成物や電解液に添加するのが好まし
い。塩基性化合物を電解液に添加する場合の好ましい濃
度範囲は0.05〜2Mである。溶融塩電解質組成物に添加
する場合、塩基性化合物はイオン性基を有するのが好ま
しい。溶融塩電解質組成物全体に対する塩基性化合物の
質量比は好ましくは1〜40質量%であり、より好ましく
は5〜30質量%である。
【0091】(3) ゲル電解質組成物 本発明では、ポリマー添加、オイルゲル化剤添加、多官
能モノマー類を含む重合、ポリマーの架橋反応等の手法
により、前述の溶融塩電解質組成物や電解液をゲル化
(固体化)させて使用することもできる。ポリマー添加
によりゲル化する場合は、“Polymer Electrolyte Revi
ews-1及び2”(J. R. MacCallumとC. A.Vincentの共
編、ELSEVIER APPLIED SCIENCE)に記載された化合物を
使用することができるが、特にポリアクリロニトリル及
びポリフッ化ビニリデンが好ましく使用できる。オイル
ゲル化剤添加によりゲル化する場合は工業科学雑誌(J.
Chem. Soc. Japan, Ind. Chem. Sec.), 46, 779 (194
3)、J. Am. Chem. Soc., 111, 5542 (1989)、J. Chem.
Soc., Chem. Commun., 1993, 390、Angew. Chem. Int.
Ed. Engl., 35, 1949 (1996)、Chem. Lett., 1996, 88
5、及びJ. Chem. Soc.,Chem. Commun., 1997, 545に記
載されている化合物を使用することができるが、アミド
構造を有する化合物を使用するのが好ましい。電解液を
ゲル化した例は特開平11-185863号に、溶融塩電解質を
ゲル化した例は特開2000-58140号にも記載されており、
これらも本発明に適用できる。
【0092】またポリマーの架橋反応によりゲル化させ
る場合、架橋可能な反応性基を含有するポリマー及び架
橋剤を併用することが望ましい。この場合、好ましい架
橋可能な反応性基は、アミノ基、含窒素複素環(ピリジ
ン環、イミダゾール環、チアゾール環、オキサゾール
環、トリアゾール環、モルホリン環、ピペリジン環、ピ
ペラジン環等)であり、好ましい架橋剤は、窒素原子に
対して求電子反応可能な2官能以上の試薬(ハロゲン化
アルキル類、ハロゲン化アラルキル類、スルホン酸エス
テル類、酸無水物、酸クロライド類、イソシアネート化
合物、α,β-不飽和スルホニル化合物、α,β-不飽和カ
ルボニル化合物、α,β-不飽和ニトリル化合物等)であ
る。特開2000-17076号及び同2000-86724号に記載されて
いる架橋技術も適用できる。
【0093】(4 )正孔輸送材料 本発明では、溶融塩等のイオン伝導性電解質のかわり
に、有機固体正孔輸送材料、無機固体正孔輸送材料、或
いはこの両者を組み合わせた材料を使用することができ
る。
【0094】(a) 有機正孔輸送材料 本発明において好ましく使用できる有機正孔輸送材料の
例としては、J. Hagen, et al., Synthetic Metal, 89,
215-220 (1997)、Nature, Vol.395, 8 Oct.,p583-585
(1998)、WO 97/10617、米国特許第4,923,774号、同第4,
764,625号、特開昭59-194393号、特開平5-234681号、同
4-308688号、同3-269084号、同4-129271号、同4-175395
号、同4-264189号、同4-290851号、同4-364153号、同5-
25473号、同5-239455号、同5-320634号、同6-1972号、
同7-138562号、同7-252474号、同11-144773号等に記載
の芳香族アミン類、特開平11-149821号、同11-148067
号、同11-176489号等に記載のトリフェニレン誘導体類
等が挙げられる。またAdv. Mater., 9, No.7, p557 (19
97)、Angew. Chem. Int. Ed. Engl., 34, No.3, p303-3
07 (1995)、JACS, Vol.120, No.4, p664-672 (1998)等
に記載のオリゴチオフェン化合物、K. Murakoshi, et a
l., Chem. Lett. p471 (1997)に記載のポリピロール、
“Handbook of Organic Conductive Molecules and Pol
ymers, Vol. 1,2,3,4”(NALWA著、WILEY出版)に記載
のポリアセチレン及びその誘導体、ポリ(p-フェニレン)
及びその誘導体、ポリ(p-フェニレンビニレン)及びその
誘導体、ポリチエニレンビニレン及びその誘導体、ポリ
チオフェン及びその誘導体、ポリアニリン及びその誘導
体、ポリトルイジン及びその誘導体等の導電性高分子も
好ましく使用することができる。
【0095】Nature, Vol.395, 8 Oct., p583-585 (199
8)に記載されているように、ドーパントレベルをコント
ロールするためにトリス(4-ブロモフェニル)アミニウム
ヘキサクロロアンチモネートのようなカチオンラジカル
を含有する化合物を正孔輸送材料に添加してもよい。ま
た酸化物半導体表面のポテンシャル制御(空間電荷層の
補償)を行うためにLi[(CF3SO2)2N]のような塩を添加し
てもよい。
【0096】(b) 無機正孔輸送材料 無機正孔輸送材料としてはp型無機化合物半導体を用い
ることができ、そのバンドギャップは好ましくは2eV以
上、より好ましくは2.5 eV以上である。またp型無機化
合物半導体のイオン化ポテンシャルは、色素の正孔を還
元するためには色素吸着電極のイオン化ポテンシャルよ
り小さいことが必要である。使用する色素によってp型
無機化合物半導体のイオン化ポテンシャルの好ましい範
囲は異なるが、一般に好ましくは4.5〜5.5 eV、より好
ましくは4.7〜5.3 eVである。好ましいp型無機化合物
半導体は1価の銅を含む化合物半導体であり、その例と
してはCuI、CuSCN、CuInSe2、Cu(In,Ga)Se2、CuGaSe2
Cu2O、CuS、CuGaS2、CuInS2、CuAlSe2等が挙げられる。
中でも、CuI及びCuSCNが好ましく、CuIが最も好まし
い。他のp型無機化合物半導体の例としては、GaP、Ni
O、CoO、FeO、Bi2O3、MoO 2、Cr2O3等が挙げられる。
【0097】(5) 電荷輸送層の形成 電荷輸送層は2通りの方法のいずれかにより形成でき
る。1つは感光層の上に先に対極を貼り合わせておき、
その間隙に液状の電荷輸送層を挟み込む方法である。も
う1つは感光層上に直接電荷輸送層を付与する方法で、
対極はその後付与することになる。
【0098】前者の方法の場合、電荷輸送層を挟み込む
際には、浸漬等による毛管現象を利用する常圧プロセ
ス、又は常圧より低い圧力にして間隙の気相を液相に置
換する真空プロセスを利用できる。
【0099】後者の方法において、湿式の電荷輸送層を
用いる場合は、通常未乾燥のまま対極を付与しエッジ部
の液漏洩防止措置を施す。またゲル電解質組成物を用い
る場合には、これを湿式で塗布した後で重合等の方法に
より固体化してよい。固体化は対極を付与する前に行っ
ても後に行ってもよい。電解液、湿式有機正孔輸送材
料、ゲル電解質組成物等からなる電荷輸送層を形成する
場合は、前述の半導体微粒子層の形成方法と同様の方法
を利用できる。
【0100】固体電解質組成物や固体正孔輸送材料を用
いる場合には、真空蒸着法やCVD法等のドライ成膜処理
で電荷輸送層を形成し、その後対極を付与することもで
きる。有機正孔輸送材料は真空蒸着法、キャスト法、塗
布法、スピンコート法、浸漬法、電解重合法、光電解重
合法等により電極内部に導入することができる。無機固
体化合物はキャスト法、塗布法、スピンコート法、浸漬
法、電解析出法、無電解メッキ法等により電極内部に導
入することができる。
【0101】(D) 対極 対極は前述の導電性支持体と同様に、導電性材料からな
る対極導電層の単層構造でもよいし、対極導電層と支持
基板から構成されていてもよい。対極導電層に用いる導
電剤の例としては、金属(白金、金、銀、銅、アルミニ
ウム、マグネシウム、インジウム等)、炭素、導電性金
属酸化物(インジウム−スズ複合酸化物、フッ素ドープ
酸化スズ等)等が挙げられる。この中でも白金、金、
銀、銅、アルミニウム及びマグネシウムが好ましい。対
極に用いる基板は、好ましくはガラス基板又はプラスチ
ック基板であり、これに上記の導電剤を塗布又は蒸着し
て用いることができる。対極導電層の厚さは特に制限さ
れないが、好ましくは3nm〜10μmである。対極導電層
の表面抵抗は低いほどよく、好ましくは50Ω/□以下で
あり、より好ましくは20Ω/□以下である。
【0102】導電性支持体と対極のいずれか一方又は両
方から光を照射してよいので、感光層に光が到達するた
めには、導電性支持体と対極の少なくとも一方が実質的
に透明であればよい。発電効率の向上の観点からは導電
性支持体を透明にして光を導電性支持体側から入射させ
るのが好ましい。この場合、対極は光を反射する性質を
有するのが好ましい。このような性質を得るために、対
極として金属又は導電性酸化物を蒸着したガラス又はプ
ラスチック、或いは金属薄膜を使用してよい。
【0103】対極は電荷輸送層上に直接導電剤を塗布、
メッキ又は蒸着(PVD、CVD)するか、導電層を有する基
板の導電層側を貼り付けて設置すればよい。導電性支持
体の場合と同様に、特に対極が透明の場合には、対極の
抵抗を下げる目的で金属リードを用いるのが好ましい。
金属リードの好ましい態様は導電性支持体の場合と同じ
である。
【0104】(E) その他の層 対極と導電性支持体の短絡を防止するため、導電性支持
体と感光層の間には緻密な半導体の薄膜層を下塗り層と
して予め塗設しておくのが好ましい。この下塗り層によ
り短絡を防止する方法は、電荷輸送層に電子輸送材料や
正孔輸送材料を用いる場合は特に有効である。下塗り層
は好ましくはTiO2、SnO2、Fe2O3、WO3、ZnO又はNb2O5
らなり、さらに好ましくはTiO2からなる。下塗り層は、
例えばElectrochim. Acta, 40, 643-652 (1995)に記載
のスプレーパイロリシス法や、スパッタ法等により塗設
することができる。下塗り層の膜厚は好ましくは5〜10
00nmであり、より好ましくは10〜500 nmである。
【0105】また導電性支持体と対極の一方又は両方の
外側表面、導電層と基板の間又は基板の中間に、保護
層、反射防止層等の機能性層を設けてもよい。これらの
機能性層の形成方法は、その材質に応じて塗布法、蒸着
法、貼り付け法等から適宜選択できる。
【0106】(F) 光電変換素子の内部構造の具体例 上述のように、光電変換素子の内部構造は目的に合わせ
様々な形態が可能である。大きく2つに分ければ、両面
から光の入射が可能な構造と、片面からのみ可能な構造
が可能である。図2〜図9は、前述の図1以外の実施形
態による光電変換素子の内部構造の例を示す。
【0107】図2に示す構造は、透明導電層10aと透明
対極導電層40aとの間に、感光層20と電荷輸送層30とを
介在させたものであり、両面から光が入射する構造とな
っている。図3に示す構造は、透明基板50a上に一部金
属リード11を設け、その上に透明導電層10aを設け、下
塗り層60、感光層20、電荷輸送層30及び対極導電層40を
この順で設け、さらに支持基板50を配置したものであ
り、透明導電層10a側から光が入射する構造となってい
る。図4に示す構造は、支持基板50上に導電層10を有
し、下塗り層60を介して感光層20を設け、さらに電荷輸
送層30と透明対極導電層40aとを設け、一部に金属リー
ド11を設けた透明基板50aを金属リード11側を内側にし
て配置したものであり、対極側から光が入射する構造で
ある。図5に示す構造は、透明基板50a上に一部金属リ
ード11を設け、さらに透明導電層10a(又は40a)を設け
たもの1組の間に下塗り層60、感光層20及び電荷輸送層
30を介在させたものであり、両面から光が入射する構造
である。図6に示す構造は、透明基板50a上に透明導電
層10a、下塗り層60、感光層20、電荷輸送層30及び対極
導電層40を設け、この上に支持基板50を配置したもので
あり、導電層側から光が入射する構造である。図7に示
す構造は、支持基板50上に導電層10を有し、下塗り層60
を介して感光層20を設け、さらに電荷輸送層30及び透明
対極導電層40aを設け、この上に透明基板50aを配置した
ものであり、対極側から光が入射する構造である。図8
に示す構造は、透明基板50a上に透明導電層10aを有し、
下塗り層60を介して感光層20を設け、さらに電荷輸送層
30及び透明対極導電層40aを設け、この上に透明基板50a
を配置したものであり、両面から光が入射する構造とな
っている。図9に示す構造は、支持基板50上に導電層10
を設け、下塗り層60を介して感光層20を設け、さらに固
体の電荷輸送層30を設け、この上に一部対極導電層40又
は金属リード11を有するものであり、対極側から光が入
射する構造となっている。
【0108】[3] 光電池 本発明の光電池は、上記本発明の光電変換素子に外部負
荷で仕事をさせるようにしたものである。光電池のう
ち、電荷輸送材料が主としてイオン輸送材料からなる場
合を特に光電気化学電池と呼び、また太陽光による発電
を主目的とする場合を太陽電池と呼ぶ。
【0109】光電池の側面は、構成物の劣化や内容物の
揮散を防止するためにポリマーや接着剤等で密封するの
が好ましい。導電性支持体及び対極にリードを介して接
続する外部回路自体は公知のものでよい。
【0110】本発明の光電変換素子を太陽電池に適用す
る場合も、そのセル内部の構造は基本的に上述した光電
変換素子の構造と同じである。また本発明の光電変換素
子を用いた色素増感型太陽電池は、従来の太陽電池モジ
ュールと基本的には同様のモジュール構造をとりうる。
太陽電池モジュールは、一般的には金属、セラミック等
の支持基板の上にセルが構成され、その上を充填樹脂や
保護ガラス等で覆い、支持基板の反対側から光を取り込
む構造をとるが、支持基板に強化ガラス等の透明材料を
用い、その上にセルを構成してその透明の支持基板側か
ら光を取り込む構造とすることも可能である。具体的に
は、スーパーストレートタイプ、サブストレートタイ
プ、ポッティングタイプと呼ばれるモジュール構造、ア
モルファスシリコン太陽電池等で用いられる基板一体型
モジュール構造等が知られており、本発明の光電変換素
子を用いた色素増感型太陽電池も使用目的や使用場所及
び環境により、適宜モジュール構造を選択できる。具体
的には、特願平11-8457号、特開2000-268892号等に記載
の構造や態様とするのが好ましい。
【0111】
【実施例】以下、本発明を実施例によって具体的に説明
するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0112】実施例1〜7、比較例1及び2 1.二酸化チタン粒子塗布液の作製 オートクレーブ温度を230℃にしたこと以外はバルベら
のジャーナル・オブ・アメリカン・セラミック・ソサエ
ティ, 第80巻, 3157頁に記載の方法と同様の方法で、二
酸化チタン濃度が11質量%の二酸化チタン粒子分散物を
得た。この分散物中の二酸化チタン粒子の平均粒径は約
18 nmであった。この分散物に二酸化チタンに対して20
質量%のポリエチレングリコール(分子量20000、和光
純薬製)を添加し、混合して二酸化チタン粒子塗布液を
得た。
【0113】2.二酸化チタン電極の作製 フッ素をドープした酸化スズをコーティングした透明導
電性ガラス(日本板硝子製、表面抵抗:約10Ω/cm2
の導電面側に上記二酸化チタン粒子塗布液をドクターブ
レードで120μmのウェット厚みで塗布し、25℃で30分間
乾燥した後、電気炉(ヤマト科学製「マッフル炉FP-32
型」)を用いて450℃で30分間加熱処理して二酸化チタ
ン層を形成し、二酸化チタン電極を得た。透明導電性ガ
ラスの単位面積あたりの二酸化チタン塗布量は16.5 g/m
2であり、二酸化チタン層の膜厚は約11.5μmであった。
【0114】3.色素の吸着及び化合物(I)〜(IV)によ
る処理 上記二酸化チタン電極を10 mm×12 mmの大きさに切断し
た。ただし、二酸化チタン層の面積は10 mm×10 mmとし
た。これを再び電気炉で450℃にて30分間焼成した。焼
成後、この二酸化チタン電極をドライルーム中で100℃
のホットプレートに移して徐々に冷却し、液温40℃の色
素吸着液に3時間浸漬した。浸漬は振とう機で振とうし
ながら行った。浸漬後、二酸化チタン電極をエタノール
及びアセトニトリルで順次洗浄し、暗所・窒素気流下で
乾燥して色素吸着二酸化チタン電極E-2を作製した。な
お、色素吸着液としては下記Ru錯体色素D-1(濃度0.3 m
mol/l)、下記界面活性剤(濃度3 g/l)並びにエタノー
ル、2-メチル-2-プロパノール及びアセトニトリルの混
合溶媒(エタノール:2-メチル-2-プロパノール:アセ
トニトリル=1:1:2(体積比))からなる溶液(下
記表2のDS-2)を用いた。
【0115】またこの色素吸着液DS-2の代わりに、界面
活性剤を添加しない色素のみの吸着液DS-1用いた以外は
上記電極E-2の作製方法と同様にして電極E-1を作製し
た。さらに色素吸着液DS-2の代わりに、下記表2に示す
ように化合物(I)〜(IV)を添加した処理液DS-3〜DS-9を
用いた以外は上記電極E-2の作製方法と同様にして電極E
-3〜E-9をそれぞれ作製した。尚、DS-1及びDS-3〜DS-9
に使用した溶媒、色素や界面活性剤の濃度は全てDS-1と
同じであり、化合物(I)〜(IV)の添加濃度は、化合物
(I)、化合物(III)及び化合物(IV)をそれぞれ10 mmol/
l、化合物(II)を3g/lとした。
【0116】
【表2】
【0117】
【化10】
【0118】4.光電変換素子の作製 得られた色素吸着酸化チタン電極E-2を15 mm×20 mmの
白金蒸着ガラスと重ね合わせた。次に、両ガラスの隙間
に毛細管現象を利用して電解液(ヨウ化1,3-ジメチルイ
ミダゾリウム(0.6 mol/l)、ヨウ化リチウム(0.1 mol
/l)及びヨウ素(0.05 mol/l)のアセトニトリル溶液)
をしみこませて電極中に導入し、比較例2の光電変換素
子C-2を得た。
【0119】また電極E-2の代わりに下記表3に示す電
極を用いた以外は光電変換素子C-2の作製と同様にし
て、比較例1の光電変換素子C-1、及び実施例1〜7の
光電変換素子C-3〜C-9をそれぞれ作製した。これらの光
電変換素子はいずれも、図10に示すように、導電性ガラ
ス1(ガラス2上に導電層3が設層されたもの)、色素
吸着二酸化チタン層4、電荷輸送層5、白金層6及びガ
ラス7が順に積層された構造を有していた。
【0120】5.光電変換効率の測定 500 Wのキセノンランプ(ウシオ電機(株)製)の光を
分光フィルター(Oriel社製「AM1.5」)に通すことによ
り模擬太陽光を発生させた。この模擬太陽光の強度は垂
直面において90 mW/cm2であった。各光電変換素子C-1〜
C-9の導電性ガラスの端部に銀ペーストを塗布して負極
とし、この負極と白金蒸着ガラス(正極)を電流電圧測
定装置(ケースレーSMU238型)に接続した。各光電変換
素子に模擬太陽光を垂直に照射しながら電流電圧特性を
測定し光電変換効率を求めた。表3に各光電変換素子の
変換効率を示す。
【0121】
【表3】
【0122】表3から明らかなように、半導体微粒子を
色素吸着と同時に化合物(I)で処理すると、光電変換素
子の変換効率が向上することが分かった(C-1及びC-2と
C-3〜C-9との比較)。また化合物(I)とともに、化合物
(II)〜(IV)で半導体微粒子を処理すると、光電変換素子
の変換効率がさらに向上することが分かった(C-3とC-4
〜C-9との比較)。
【0123】
【発明の効果】以上詳述したように、半導体微粒子を色
素吸着と同時に化合物(I)で処理することによって、従
来よりも変換効率に優れた色素増感光電変換素子が得ら
れる。特に半導体微粒子を化合物(I)とともに化合物(I
I)〜(IV)で処理すると、変換効率をより一層改善するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の好ましい一実施態様による光電変換
素子の構造を示す部分断面図である。
【図2】 本発明の好ましい他の実施態様による光電変
換素子の構造を示す部分断面図である。
【図3】 本発明の好ましいさらに他の実施態様による
光電変換素子の構造を示す部分断面図である。
【図4】 本発明の好ましいさらに他の実施態様による
光電変換素子の構造を示す部分断面図である。
【図5】 本発明の好ましいさらに他の実施態様による
光電変換素子の構造を示す部分断面図である。
【図6】 本発明の好ましいさらに他の実施態様による
光電変換素子の構造を示す部分断面図である。
【図7】 本発明の好ましいさらに他の実施態様による
光電変換素子の構造を示す部分断面図である。
【図8】 本発明の好ましいさらに他の実施態様による
光電変換素子の構造を示す部分断面図である。
【図9】 本発明の好ましいさらに他の実施態様による
光電変換素子の構造を示す部分断面図である。
【図10】 各実施例で作製した光電変換素子の構造を示
す部分断面図である。
【符号の説明】 10・・・導電層 10a・・・透明導電層 11・・・金属リード 20・・・感光層 21・・・半導体微粒子 22・・・色素 23・・・電荷輸送材料 30・・・電荷輸送層 40・・・対極導電層 40a・・・透明対極導電層 50・・・基板 50a・・・透明基板 60・・・下塗り層 1・・・導電性ガラス 2・・・ガラス 3・・・導電剤層 4・・・TiO2層 5・・・電解液 6・・・白金層 7・・・ガラス

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも1種の色素が吸着した半導体
    微粒子を含有する感光層を有する光電変換素子の作製方
    法であって、前記色素を前記半導体微粒子に吸着させる
    と同時に、前記半導体微粒子を下記一般式(I): MZm ・・・(I) (一般式(I)中、Mは周期律表の第3〜6族及び第12〜1
    5族のいずれかに属する元素を表し、Zはアルコキシ基
    を表し、mは2〜6の整数を表す。)により表される少
    なくとも1種の化合物を含有する処理液で処理すること
    を特徴とする光電変換素子の作製方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の方法によって作製され
    たことを特徴とする光電変換素子。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の光電変換素子を用いた
    ことを特徴とする光電池。
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JP2013539155A (ja) * 2010-06-29 2013-10-17 ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア ヒドロキサム酸誘導体又はその塩を添加剤として含む光電変換装置及びその製造方法

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