JP2003288938A - 非水電解質二次電池 - Google Patents
非水電解質二次電池Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 セパレータとの濡れ性がよく、負荷特性に優
れた電池を提供することを目的とする。 【解決手段】 リチウムイオンを吸蔵、放出する正極
と、リチウムイオンを吸蔵、放出する負極と、非水溶媒
と電解質塩とを含む非水電解質と、前記正負極の間に介
装されたセパレータと、を有する非水電解質二次電池に
おいて、前記非水電解質にポリエチレングリコール構造
と少なくとも一部がフッ素化されたアルキル基を併せ持
つ化合物が添加されていることを特徴とする。
れた電池を提供することを目的とする。 【解決手段】 リチウムイオンを吸蔵、放出する正極
と、リチウムイオンを吸蔵、放出する負極と、非水溶媒
と電解質塩とを含む非水電解質と、前記正負極の間に介
装されたセパレータと、を有する非水電解質二次電池に
おいて、前記非水電解質にポリエチレングリコール構造
と少なくとも一部がフッ素化されたアルキル基を併せ持
つ化合物が添加されていることを特徴とする。
Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非水電解質二次電
池の負荷特性の改良に関する。 【0002】 【従来の技術】近年、携帯電話やノートパソコン等の移
動情報端末の小型・軽量化が急速に進展しており、その
電源としての電池にはさらなる高容量化が要求されてい
る。リチウムイオン二次電池に代表される非水電解質二
次電池は、高いエネルギー密度を有し、高容量であるの
で、上記のような移動情報端末の駆動電源として広く利
用されている。 【0003】ところで、通常、非水電解質には、電解質
塩と、誘電率が高く且つ前記電解質塩を溶解することの
できる非水溶媒(高誘電率溶媒)とが用いられるが、従
来より使用される高誘電率溶媒は一般に表面エネルギー
が大きく、リチウム塩を溶解することによりさらに表面
エネルギーは大きくなるという性質を有している。 【0004】他方、セパレータは従来よりオレフィン系
樹脂が用いられているが、その表面エネルギーは上記非
水電解質に比べ非常に小さいため、セパレータと非水電
解質の濡れ性が悪い。このため、電池のイオン導電性が
悪く、高負荷放電時の容量が低下するという問題があっ
た。また、濡れ性が悪いため、電池内への電解質の注液
に多くの時間を必要とするという問題があった。 【0005】これらの問題は、電解質に低粘性溶媒を混
合することによりある程度改善されるものの、この方法
では十分な負荷特性が得られていない。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】本発明は以上の事情に
鑑みなされたものであって、セパレータと非水電解質の
濡れ性を向上させ、負荷特性の高い非水電解質二次電池
を提供することを目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、請求項1記載の発明は、リチウムイオンを吸蔵、放
出する正極と、リチウムイオンを吸蔵、放出する負極
と、非水溶媒と電解質塩とを含む非水電解質と、前記正
負極の間に介装されたセパレータと、を有する非水電解
質二次電池において、前記非水電解質に、ポリエチレン
グリコール構造と、少なくとも一部がフッ素化されたア
ルキル基とを併せ持つ化合物が添加されていることを特
徴とする。 【0008】上記の構成では、表面エネルギーが小さい
フッ素化されたアルキル基と、溶媒との親和性が高いポ
リエチレングリコール構造を併せ持つ化合物が非水電解
質に添加されているが、この化合物は界面活性剤として
働き、表面エネルギーの小さいオレフィン系樹脂からな
るセパレータと非水電解質との濡れ性を向上させる。こ
のため、電池のイオン導電性が良好になり、高負荷放電
時においても良好にイオンが導電する。また、電池作製
時における非水電解質の注液が短時間で行えるようにな
る。 【0009】上記ポリエチレングリコール構造と、少な
くとも一部がフッ素化されたアルキル基とを併せ持つ化
合物(以下PEG−CFと呼ぶことがある)は、アルキ
ル基がすべてフッ素化されている必要はないが、フッ素
置換量が少なければ表面エネルギーを小さくする効果が
減少し、フッ素置換量が多ければ表面エネルギーを小さ
くする効果が大きくなる。約50%以上が置換されてい
れば十分な効果が得られるため、フッ素置換量を約50
%以上とすることがより好ましい。 【0010】非水電解質100質量部に対する上記PE
G−CFの添加量が、0.01質量部未満であると、界
面活性剤としての働きが不十分となり、負荷特性は十分
に向上しない。また、3質量部より多いと、界面活性剤
としての働きは十分であるが、PEG−CFにより導電
性が低下する。従って、負荷特性が向上するものの、そ
の効果は十分でない。以上から、上記PEG−CFの非
水電解質100質量部に対する添加量は、0.01質量
部以上、3質量部以下であることが好ましい。 【0011】また、上記PEG−CFは、さらにスルホ
ニル基のような極性の高い官能基を含む構造であると、
非水電解質との相溶性がさらに向上し、界面活性剤とし
ての働きがよくなる。その結果、負荷特性を向上させる
効果が大きくなるため、一層好適に使用することができ
る。また、スルホニル基等が導入されたPEG−CFの
非水電解質100質量部に対する好ましい添加量は、
0.01質量部以上、5質量部以下であり、PEG−C
Fよりも高濃度で添加することができる。 【0012】 【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を、図面に基
づいて以下に詳細に説明する。本発明は下記実施の形態
に何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない
範囲において適宜変更して実施することが可能である。 【0013】図1は本発明の実施例に係るラミネート外
装体を用いた非水電解質電池の正面図、図2は図1のA
−A線矢視断面図、図3は非水電解質電池に用いるラミ
ネート外装体の断面図、図4は非水電解質電池に用いる
電極体の斜視図である。 【0014】図2に示すように、本発明の非水電解質二
次電池は電極体1を有しており、この電極体1は収納空
間2内に配置されている。この収納空間2は、図1に示
すように、ラミネート外装体3の上下端と中央部とをそ
れぞれ封止部4a・4b・4cで封口することにより形
成される。また、収納空間2には、エチレンカーボネー
トとγ―ブチロラクトンとが混合された混合溶媒に、電
解質塩としてLiPF 6が1M(モル/リットル)の割
合で溶解された電解液が注入されている。 【0015】前記電解液には、添加剤として、ポリエチ
レングリコール構造と、少なくとも一部がフッ素化され
たアルキル基を併せ持つ化合物が添加されている。 【0016】また、図4に示すように、上記電極体1
は、正極5と、負極6と、これら両電極を離間するセパ
レータ(図4においては図示せず)とを偏平渦巻き状に
巻回することにより作製される。前記セパレータは、有
機溶媒との反応性が低く、安価なオレフィン系樹脂から
なる微多孔膜(厚み:0.025mm)から構成されて
いる。 【0017】更に、上記正極5はアルミニウムから成る
正極リード7に、また上記負極6は銅から成る負極リー
ド8にそれぞれ接続され、電池内部で生じた化学エネル
ギーを電気エネルギーとして外部へ取り出し得るように
なっている。 【0018】尚、図3に示すように、上記ラミネート外
装体3の具体的な構造は、アルミニウム層11(厚み:
30μm)の両面に、各々、変性ポリプロピレンから成
る接着剤層12・12(厚み:5μm)を介してポリプ
ロピレンから成る樹脂層13・13(厚み:30μm)
が接着される構造である。 【0019】負極材料としては、天然黒鉛、カーボンブ
ラック、コークス、ガラス状炭素、炭素繊維、あるいは
これらの焼成体等の炭素質物、または該炭素質物と、リ
チウム、リチウム合金、およびリチウムを吸蔵・放出で
きる金属酸化物からなる群から選ばれる1種以上との混
合物が使用できる。 【0020】正極材料としては、LixMO2(但し、M
はCo、Ni、Mnの少なくとも1種の金属、0≦x≦
1)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物が単独で、
あるいは二種以上混合して用いることができる。具体例
では、LiCoO2、LiNiO2、LiMn2O4、Li
Co0.5Ni0.5O2、Li0.5CoO2等があげられる。 【0021】また、電解質に使用する非水溶媒として
は、誘電率が高く、電解質塩を溶解することができる高
誘電率溶媒が好適に用いることができる。具体的として
は、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、
ブチレンカーボネート等の環状カーボネート類、γ−ブ
チロラクトン等のラクトン類が単独で、あるいは二種以
上を混合して用いることができる。また、ジエチルカー
ボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボ
ネート等の鎖状カーボネート類、γ−ジメトキシエタ
ン、テトラヒドロフラン、アニソール、1,4−ジオキ
サン等のエーテル類、4−メチル−2−ペンタノン、シ
クロヘキサノン等のケトン類、アセトニトリル、プロピ
オニトリル等のニトリル類、ジメチルホルムアミド等の
アミド類、スルホラン等のスルホン系化合物、蟻酸メチ
ル、蟻酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピ
ル、プロピオン酸エチル等のエステル類、芳香族炭化水
素等の低粘性溶媒を、前記高誘電率溶媒に単独であるい
は2種以上混合して用いることができる。 【0022】また、電解質塩としては、LiN(C2F5
SO2)2、LiN(CF3SO2)2、LiClO4、Li
PF6、LiBF4等が単独で、あるいは2種以上混合し
て使用することができる。また、前期非水溶媒に対する
溶解量は0.5〜2.0モル/リットルとすることが好
ましい。 【0023】(実施例)実施例にかかる非水電解質二次
電池を、以下のようにして作製した。 【0024】(実施例1)コバルト酸リチウム(LiC
oO2)からなる正極活物質(BET=0.6m2/g)
92質量部と、アセチレンブラックからなる炭素系導電
剤5質量部と、ポリビニリデンフルオライド(PVd
F)からなる結着剤3質量部とを混合し、これをN−メ
チル−2−ピロリドン(NMP)に溶解して活物質スラ
リーとした。 【0025】この活物質スラリーを、ドクターブレード
により厚み20μmのアルミニウム箔からなる正極芯体
の両面に均一に塗布した後、乾燥機中を通過させて乾燥
することにより、スラリー作製時に必要であった有機溶
媒を除去した。次いで、この極板を厚みが0.17mm
になるようにロールプレス機により圧延して正極5を作
製した。 【0026】黒鉛(d=0.335nm)からなる負極
活物質と、ポリビニリデンフルオライド(PVdF)か
らなる結着剤とを混合し、これをN−メチル−2−ピロ
リドン(NMP)に溶解して活物質スラリーとした。こ
の活物質スラリーを、ドクターブレードにより厚み20
μmの銅箔からなる負極芯体の両面に均一に塗布した
後、乾燥機中を通過させて乾燥することにより、スラリ
ー作製時に必要であった有機溶媒を除去した。次いで、
この極板を厚みが0.14mmになるようにロールプレ
ス機により圧延して負極6を作製した。 【0027】エチレンカーボネート(EC)とγ−ブチ
ロラクトン(GBL)とを体積比40:60となるよう
に混合した混合溶媒に、電解質塩としてLiPF6を1
M(モル/リットル)となるよう溶解させ、電解液を作
製した。下記化1で示される構造を持つ添加剤aをこの
電解液100質量部に対して1質量部添加し、非水電解
質を作製した。 【0028】 【化1】 (式中x=11、y=8) 【0029】上記のように作製した正極5と負極6に、
それぞれ正極リード7あるいは負極リード8を取り付け
た後、両極をオレフィン系樹脂からなる微多孔膜(厚
み:0.025mm)からなるセパレータを間にし、か
つ各極板の幅方向の中心線を一致させて重ね合わせた。
この後、巻き取り機により巻回し、最外周をテープ止め
することにより偏平渦巻状電極体1を作成した。 【0030】樹脂層(ポリプロピレン)/接着剤層/ア
ルミニウム合金層/接着剤層/樹脂層(ポリプロピレ
ン)の5層構造から成るシート状のラミネート材を用意
した後、アルミラミネート材における端部近傍同士の樹
脂層を重ね合わせ、重ね合わせ部を溶着して封止部4c
を形成した。次に、この筒状アルミラミネート材の収納
空間2内に電極体1を挿入した。この際、筒状アルミラ
ミネート材の一方の開口部から両リード7,8が突出す
るように電極体1を配置した。この後、両電極リードが
突出している開口部のアルミラミネート材の内側の樹脂
層を溶着して封止し、封止部4aを形成した。この際、
溶着は高周波誘導溶着装置を用いて行った。 【0031】もう一方の開口部から上記電解液を4.0
ml注液した後、当該開口部を同様に加熱溶着して封止
部4bを形成し、実施例1に係る本発明電池A1を作製
した。 【0032】(実施例2)電解液に使用する非水溶媒
を、体積比でエチレンカーボネート(EC):ジエチル
カーボネート(DEC)=40:60からなる混合溶媒
にかえたこと以外は、上記実施例1と同様にして、実施
例2に係る本発明電池A2を作製した。 【0033】(実施例3)添加剤aのかわりに下記化2
で示される構造を持つ添加剤bを添加したこと以外は、
上記実施例1と同様にして、実施例3に係る本発明電池
A3を作製した。 【0034】 【化2】 (式中x=11、y=8) 【0035】(実施例4)添加剤の添加量を0.01質
量部としたこと以外は、上記実施例1と同様にして、実
施例4に係る本発明電池A4を作製した。 【0036】(実施例5)添加剤の添加量を0.1質量
部としたこと以外は、上記実施例1と同様にして、実施
例5に係る本発明電池A5を作製した。 【0037】(実施例6)添加剤の添加量を3質量部と
したこと以外は、上記実施例1と同様にして、実施例6
に係る本発明電池A6を作製した。 【0038】(実施例7)添加剤の添加量を0.001
質量部としたこと以外は、上記実施例3と同様にして、
実施例7に係る本発明電池A7を作製した。 【0039】(実施例8)添加剤の添加量を0.01質
量部としたこと以外は、上記実施例3と同様にして、実
施例8に係る本発明電池A8を作製した。 【0040】(実施例9)添加剤の添加量を0.1質量
部としたこと以外は、上記実施例3と同様にして、実施
例9に係る本発明電池A9を作製した。 【0041】(実施例10)添加剤の添加量を2質量部
としたこと以外は、上記実施例3と同様にして、実施例
10に係る本発明電池A10を作製した。 【0042】(実施例11)添加剤の添加量を3質量部
としたこと以外は、上記実施例3と同様にして、実施例
11に係る本発明電池A11を作製した。 【0043】(実施例12)添加剤の添加量を5質量部
としたこと以外は、上記実施例3と同様にして、実施例
12に係る本発明電池A12を作製した。 【0044】(実施例13)添加剤の添加量を8質量部
としたこと以外は、上記実施例3と同様にして、実施例
13に係る本発明電池A13を作製した。 【0045】(比較例1)添加剤を添加しなかったこと
以外は、上記実施例1と同様にして、比較例1に係る比
較電池X1を作製した。 【0046】(比較例2)添加剤aのかわりに下記化3
で示される構造を持つ添加剤xを添加したこと以外は、
上記実施例1と同様にして、比較例2に係る比較電池X
2を作製した。 【0047】 【化3】 (式中x=11、y=8) 【0048】(比較例3)添加剤を添加しなかったこと
以外は、上記実施例2と同様にして、比較例3に係る比
較電池X3を作製した。 【0049】上記のように作製した電池を、以下の条件
で充電し、低負荷放電、高負荷放電容量を測定し、負荷
特性容量維持率を算出した。 【0050】充電条件:定電流 1It、定電圧4.2
V、充電時間 3時間、25℃ 低負荷放電条件:定電流0.2It、終止電圧 2.7
5V、25℃ 高負荷放電条件:定電流3It、終止電圧 2.75
V、25℃ 負荷特性容量維持率(%):(高負荷放電容量/低負荷
放電容量)×100 【0051】本発明電池A1比較電池X1、X2の主な
構成と、負荷特性を下記表1に示す。 【0052】 【表1】 【0053】表1から、フッ素化されたアルキル基とポ
リエチレングリコール構造を併せ持つ化合物を非水電解
質に添加することにより、添加剤を添加しない電池や高
誘電率溶媒と低粘性溶媒とを混合した非水溶媒を用いた
電池、一般的な界面活性剤であるアルキル基とポリエチ
レングリコール構造とを併せ持つ化合物を非水電解質に
添加した電池より、はるかに優れた負荷特性を有する電
池が得られることがわかる。 【0054】このことは、次のように考えられる。添加
剤aに含まれるフッ素化されたアルキル基は、添加剤x
に含まれているようなフッ素置換されていないアルキル
基に比べ表面エネルギーがはるかに小さく、非水電解質
に添加したとき、表面エネルギーの小さいポリオレフィ
ン系セパレータとの濡れ性がより良好である。さらに、
添加剤aに含まれるポリエチレングリコール構造は、電
解液との相溶性が良好である。その結果、添加剤aは電
解液とセパレータとの濡れ性を向上させる界面活性剤と
して機能し、添加剤aを添加した電池の導電性がよくな
り、負荷特性が向上する。 【0055】本発明電池A1、A2、比較電池X1、X
3の主な構成と、負荷特性を下記表2に示す。 【0056】 【表2】 【0057】表2から、使用する非水溶媒としては、高
誘電率溶媒のみからなる非水溶媒だけではなく、高誘電
率溶媒と低粘性溶媒とを混合した非水溶媒においても十
分な効果があることがわかる。また、高誘電率溶媒と低
粘性溶媒とを混合した非水溶媒を使用した電池X3より
も、高誘電率溶媒のみからなる非水溶媒に添加剤aを添
加した電池の方が、優れた負荷特性を示すことがわか
る。 【0058】また、高誘電率溶媒のみからなる非水溶媒
に添加剤aを添加した電池は、高誘電率溶媒のみからな
る非水溶媒に添加剤を添加しない電池に比べ負荷特性の
向上率が大きいこと、また、一般に高誘電率溶媒は低粘
性溶媒と比べて沸点が高く、電池が加熱された時に膨ら
みにくいという特性を持っている。以上より、高誘電率
溶媒のみからなる非水溶媒に添加剤aを添加した電池
が、より好ましい。 【0059】本発明電池A1、A3〜A13、比較電池
X1の主な構成と、負荷特性を下記表3に示すととも
に、添加剤a、bの添加量と負荷特性との相関を図5に
示す。 【0060】 【表3】 【0061】表3及び図5から、フッ素化されたアルキ
ル基とポリエチレングリコール構造を併せ持つ化合物の
非水電解質100質量部に対する添加量が、0.01質
量部未満である場合には、セパレータとの濡れ性の向上
が得られず、負荷特性の向上幅は小さくなる。また、3
質量部より多い場合、セパレータとの濡れ性は十分に得
られるものの、フッ素化されたアルキル基とポリエチレ
ングリコール構造を併せ持つ化合物が電池内の導電性を
下げてしまうため、負荷特性の向上幅は小さくなる。こ
のことから、フッ素化されたアルキル基とポリエチレン
グリコール構造を併せ持つ化合物の非水電解質100質
量部に対する添加量は0.01〜3質量部であることが
より好ましいことがわかる。 【0062】さらに表3及び図5から、フッ素化された
アルキル基とポリエチレングリコール構造を併せ持つ化
合物に、さらにスルホニル基が導入された化合物である
添加剤bを添加した電池が、さらに良好な負荷特性を示
すことがわかる。 【0063】このことは、スルホニル基のような極性が
大きい官能基が導入されているため、非水電解質との相
溶性がさらに向上し、その結果、界面活性剤としての効
果が増大し、導電性が向上したため、と考えられる。こ
のことから、非水電解質に添加する添加剤としては、フ
ッ素化されたアルキル基とポリエチレングリコール構造
を併せ持つ化合物に、さらにスルホニル基のような極性
の大きい官能基が導入された化合物のほうが、溶媒との
相溶性がさらに向上するためより好ましい。 【0064】さらに表3及び図5から、フッ素化された
アルキル基とポリエチレングリコール構造に、さらにス
ルホニル基を持つ化合物は、フッ素化されたアルキル基
とポリエチレングリコール構造を併せ持つ化合物を添加
した場合よりも、好ましく使用できる添加量の範囲が広
くなっていることがわかる。フッ素化されたアルキル基
とポリエチレングリコール構造に、さらにスルホニル基
を持つ化合物の場合、非水電解質100質量部に対する
添加量が0.01〜5質量部であれば、負荷特性の向上
が大きく得られ、より好ましい。 【0065】添加剤b中には、スルホニル基以外に3級
アミンも導入されているが、3級アミンの持つ極性は小
さく、相溶性の向上や、その他の電池特性にはほとんど
関与しないものと考えられる。 【0066】なお、上記実施例では、ポリエチレングリ
コール構造と少なくとも一部がフッ素化されたアルキル
基を併せ持つ化合物の具体例として、下記化4、化5で
示される構造を持つ添加剤a、b(両化合物において式
中x=11、y=8)を使用したが、この値や構造に限
定されるものではなく、例えば下記化4、化5で示され
る構造を持つ化合物では、x、yの範囲が(2≦x,y
≦20)を満たす化合物であれば好適に使用できる。ま
た、本実施例では、すべてがフッ素置換されたアルキル
基を有する化合物を使用しているが、そのすべてがフッ
素置換されている必要はない。しかし、フッ素置換され
ている量が少なければ表面エネルギーを小さくする効果
が減少し、多ければ表面エネルギーが小さくする効果が
増大する。約50%以上が置換されていれば十分な効果
が得られるため、フッ素置換量を約50%以上とするこ
とがより好ましい。 【0067】 【化4】 【0068】 【化5】 【0069】なお、上記実施例では相溶性を向上させる
極性の大きい官能基としてスルホニル基を導入させた添
加剤を用いたが、スルホニル基以外にも、公知の相溶性
を向上させる極性の大きい官能基(例えばエステル基、
カーボネート基)が導入されたフッ素化されたアルキル
基とポリエチレングリコール構造を併せ持つ化合物でも
同様の効果が得られる。 【0070】なお、上記実施例ではラミネート外装体を
使用したが、円筒状、角形、コイン状、ボタン型等種々
の形状にすることができることは当然のことである。 【0071】なお、本発明はゲル状電解質を用いたポリ
マー電池にも用いることができる。 【0072】なお、上記の実施例ではドクターブレード
により活物質スラリーを塗布したが、ダイコーターであ
ってもよい。また、活物質スラリーのかわりに活物質ペ
ーストを用い、ローラコーティング法により塗布するこ
ともできる。また、アルミニウム箔のかわりにアルミニ
ウムメッシュを用いても、同様に作製することができ
る。 【0073】 【発明の効果】上記の結果から明らかなように、本発明
によると、ポリエチレングリコール構造と、フッ素化さ
れたアルキル基を併せ持つ化合物を非水電解質に添加す
ることにより、負荷特性の向上した非水電解質二次電池
が提供されるという優れた効果を奏する。
池の負荷特性の改良に関する。 【0002】 【従来の技術】近年、携帯電話やノートパソコン等の移
動情報端末の小型・軽量化が急速に進展しており、その
電源としての電池にはさらなる高容量化が要求されてい
る。リチウムイオン二次電池に代表される非水電解質二
次電池は、高いエネルギー密度を有し、高容量であるの
で、上記のような移動情報端末の駆動電源として広く利
用されている。 【0003】ところで、通常、非水電解質には、電解質
塩と、誘電率が高く且つ前記電解質塩を溶解することの
できる非水溶媒(高誘電率溶媒)とが用いられるが、従
来より使用される高誘電率溶媒は一般に表面エネルギー
が大きく、リチウム塩を溶解することによりさらに表面
エネルギーは大きくなるという性質を有している。 【0004】他方、セパレータは従来よりオレフィン系
樹脂が用いられているが、その表面エネルギーは上記非
水電解質に比べ非常に小さいため、セパレータと非水電
解質の濡れ性が悪い。このため、電池のイオン導電性が
悪く、高負荷放電時の容量が低下するという問題があっ
た。また、濡れ性が悪いため、電池内への電解質の注液
に多くの時間を必要とするという問題があった。 【0005】これらの問題は、電解質に低粘性溶媒を混
合することによりある程度改善されるものの、この方法
では十分な負荷特性が得られていない。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】本発明は以上の事情に
鑑みなされたものであって、セパレータと非水電解質の
濡れ性を向上させ、負荷特性の高い非水電解質二次電池
を提供することを目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、請求項1記載の発明は、リチウムイオンを吸蔵、放
出する正極と、リチウムイオンを吸蔵、放出する負極
と、非水溶媒と電解質塩とを含む非水電解質と、前記正
負極の間に介装されたセパレータと、を有する非水電解
質二次電池において、前記非水電解質に、ポリエチレン
グリコール構造と、少なくとも一部がフッ素化されたア
ルキル基とを併せ持つ化合物が添加されていることを特
徴とする。 【0008】上記の構成では、表面エネルギーが小さい
フッ素化されたアルキル基と、溶媒との親和性が高いポ
リエチレングリコール構造を併せ持つ化合物が非水電解
質に添加されているが、この化合物は界面活性剤として
働き、表面エネルギーの小さいオレフィン系樹脂からな
るセパレータと非水電解質との濡れ性を向上させる。こ
のため、電池のイオン導電性が良好になり、高負荷放電
時においても良好にイオンが導電する。また、電池作製
時における非水電解質の注液が短時間で行えるようにな
る。 【0009】上記ポリエチレングリコール構造と、少な
くとも一部がフッ素化されたアルキル基とを併せ持つ化
合物(以下PEG−CFと呼ぶことがある)は、アルキ
ル基がすべてフッ素化されている必要はないが、フッ素
置換量が少なければ表面エネルギーを小さくする効果が
減少し、フッ素置換量が多ければ表面エネルギーを小さ
くする効果が大きくなる。約50%以上が置換されてい
れば十分な効果が得られるため、フッ素置換量を約50
%以上とすることがより好ましい。 【0010】非水電解質100質量部に対する上記PE
G−CFの添加量が、0.01質量部未満であると、界
面活性剤としての働きが不十分となり、負荷特性は十分
に向上しない。また、3質量部より多いと、界面活性剤
としての働きは十分であるが、PEG−CFにより導電
性が低下する。従って、負荷特性が向上するものの、そ
の効果は十分でない。以上から、上記PEG−CFの非
水電解質100質量部に対する添加量は、0.01質量
部以上、3質量部以下であることが好ましい。 【0011】また、上記PEG−CFは、さらにスルホ
ニル基のような極性の高い官能基を含む構造であると、
非水電解質との相溶性がさらに向上し、界面活性剤とし
ての働きがよくなる。その結果、負荷特性を向上させる
効果が大きくなるため、一層好適に使用することができ
る。また、スルホニル基等が導入されたPEG−CFの
非水電解質100質量部に対する好ましい添加量は、
0.01質量部以上、5質量部以下であり、PEG−C
Fよりも高濃度で添加することができる。 【0012】 【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を、図面に基
づいて以下に詳細に説明する。本発明は下記実施の形態
に何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない
範囲において適宜変更して実施することが可能である。 【0013】図1は本発明の実施例に係るラミネート外
装体を用いた非水電解質電池の正面図、図2は図1のA
−A線矢視断面図、図3は非水電解質電池に用いるラミ
ネート外装体の断面図、図4は非水電解質電池に用いる
電極体の斜視図である。 【0014】図2に示すように、本発明の非水電解質二
次電池は電極体1を有しており、この電極体1は収納空
間2内に配置されている。この収納空間2は、図1に示
すように、ラミネート外装体3の上下端と中央部とをそ
れぞれ封止部4a・4b・4cで封口することにより形
成される。また、収納空間2には、エチレンカーボネー
トとγ―ブチロラクトンとが混合された混合溶媒に、電
解質塩としてLiPF 6が1M(モル/リットル)の割
合で溶解された電解液が注入されている。 【0015】前記電解液には、添加剤として、ポリエチ
レングリコール構造と、少なくとも一部がフッ素化され
たアルキル基を併せ持つ化合物が添加されている。 【0016】また、図4に示すように、上記電極体1
は、正極5と、負極6と、これら両電極を離間するセパ
レータ(図4においては図示せず)とを偏平渦巻き状に
巻回することにより作製される。前記セパレータは、有
機溶媒との反応性が低く、安価なオレフィン系樹脂から
なる微多孔膜(厚み:0.025mm)から構成されて
いる。 【0017】更に、上記正極5はアルミニウムから成る
正極リード7に、また上記負極6は銅から成る負極リー
ド8にそれぞれ接続され、電池内部で生じた化学エネル
ギーを電気エネルギーとして外部へ取り出し得るように
なっている。 【0018】尚、図3に示すように、上記ラミネート外
装体3の具体的な構造は、アルミニウム層11(厚み:
30μm)の両面に、各々、変性ポリプロピレンから成
る接着剤層12・12(厚み:5μm)を介してポリプ
ロピレンから成る樹脂層13・13(厚み:30μm)
が接着される構造である。 【0019】負極材料としては、天然黒鉛、カーボンブ
ラック、コークス、ガラス状炭素、炭素繊維、あるいは
これらの焼成体等の炭素質物、または該炭素質物と、リ
チウム、リチウム合金、およびリチウムを吸蔵・放出で
きる金属酸化物からなる群から選ばれる1種以上との混
合物が使用できる。 【0020】正極材料としては、LixMO2(但し、M
はCo、Ni、Mnの少なくとも1種の金属、0≦x≦
1)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物が単独で、
あるいは二種以上混合して用いることができる。具体例
では、LiCoO2、LiNiO2、LiMn2O4、Li
Co0.5Ni0.5O2、Li0.5CoO2等があげられる。 【0021】また、電解質に使用する非水溶媒として
は、誘電率が高く、電解質塩を溶解することができる高
誘電率溶媒が好適に用いることができる。具体的として
は、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、
ブチレンカーボネート等の環状カーボネート類、γ−ブ
チロラクトン等のラクトン類が単独で、あるいは二種以
上を混合して用いることができる。また、ジエチルカー
ボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボ
ネート等の鎖状カーボネート類、γ−ジメトキシエタ
ン、テトラヒドロフラン、アニソール、1,4−ジオキ
サン等のエーテル類、4−メチル−2−ペンタノン、シ
クロヘキサノン等のケトン類、アセトニトリル、プロピ
オニトリル等のニトリル類、ジメチルホルムアミド等の
アミド類、スルホラン等のスルホン系化合物、蟻酸メチ
ル、蟻酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピ
ル、プロピオン酸エチル等のエステル類、芳香族炭化水
素等の低粘性溶媒を、前記高誘電率溶媒に単独であるい
は2種以上混合して用いることができる。 【0022】また、電解質塩としては、LiN(C2F5
SO2)2、LiN(CF3SO2)2、LiClO4、Li
PF6、LiBF4等が単独で、あるいは2種以上混合し
て使用することができる。また、前期非水溶媒に対する
溶解量は0.5〜2.0モル/リットルとすることが好
ましい。 【0023】(実施例)実施例にかかる非水電解質二次
電池を、以下のようにして作製した。 【0024】(実施例1)コバルト酸リチウム(LiC
oO2)からなる正極活物質(BET=0.6m2/g)
92質量部と、アセチレンブラックからなる炭素系導電
剤5質量部と、ポリビニリデンフルオライド(PVd
F)からなる結着剤3質量部とを混合し、これをN−メ
チル−2−ピロリドン(NMP)に溶解して活物質スラ
リーとした。 【0025】この活物質スラリーを、ドクターブレード
により厚み20μmのアルミニウム箔からなる正極芯体
の両面に均一に塗布した後、乾燥機中を通過させて乾燥
することにより、スラリー作製時に必要であった有機溶
媒を除去した。次いで、この極板を厚みが0.17mm
になるようにロールプレス機により圧延して正極5を作
製した。 【0026】黒鉛(d=0.335nm)からなる負極
活物質と、ポリビニリデンフルオライド(PVdF)か
らなる結着剤とを混合し、これをN−メチル−2−ピロ
リドン(NMP)に溶解して活物質スラリーとした。こ
の活物質スラリーを、ドクターブレードにより厚み20
μmの銅箔からなる負極芯体の両面に均一に塗布した
後、乾燥機中を通過させて乾燥することにより、スラリ
ー作製時に必要であった有機溶媒を除去した。次いで、
この極板を厚みが0.14mmになるようにロールプレ
ス機により圧延して負極6を作製した。 【0027】エチレンカーボネート(EC)とγ−ブチ
ロラクトン(GBL)とを体積比40:60となるよう
に混合した混合溶媒に、電解質塩としてLiPF6を1
M(モル/リットル)となるよう溶解させ、電解液を作
製した。下記化1で示される構造を持つ添加剤aをこの
電解液100質量部に対して1質量部添加し、非水電解
質を作製した。 【0028】 【化1】 (式中x=11、y=8) 【0029】上記のように作製した正極5と負極6に、
それぞれ正極リード7あるいは負極リード8を取り付け
た後、両極をオレフィン系樹脂からなる微多孔膜(厚
み:0.025mm)からなるセパレータを間にし、か
つ各極板の幅方向の中心線を一致させて重ね合わせた。
この後、巻き取り機により巻回し、最外周をテープ止め
することにより偏平渦巻状電極体1を作成した。 【0030】樹脂層(ポリプロピレン)/接着剤層/ア
ルミニウム合金層/接着剤層/樹脂層(ポリプロピレ
ン)の5層構造から成るシート状のラミネート材を用意
した後、アルミラミネート材における端部近傍同士の樹
脂層を重ね合わせ、重ね合わせ部を溶着して封止部4c
を形成した。次に、この筒状アルミラミネート材の収納
空間2内に電極体1を挿入した。この際、筒状アルミラ
ミネート材の一方の開口部から両リード7,8が突出す
るように電極体1を配置した。この後、両電極リードが
突出している開口部のアルミラミネート材の内側の樹脂
層を溶着して封止し、封止部4aを形成した。この際、
溶着は高周波誘導溶着装置を用いて行った。 【0031】もう一方の開口部から上記電解液を4.0
ml注液した後、当該開口部を同様に加熱溶着して封止
部4bを形成し、実施例1に係る本発明電池A1を作製
した。 【0032】(実施例2)電解液に使用する非水溶媒
を、体積比でエチレンカーボネート(EC):ジエチル
カーボネート(DEC)=40:60からなる混合溶媒
にかえたこと以外は、上記実施例1と同様にして、実施
例2に係る本発明電池A2を作製した。 【0033】(実施例3)添加剤aのかわりに下記化2
で示される構造を持つ添加剤bを添加したこと以外は、
上記実施例1と同様にして、実施例3に係る本発明電池
A3を作製した。 【0034】 【化2】 (式中x=11、y=8) 【0035】(実施例4)添加剤の添加量を0.01質
量部としたこと以外は、上記実施例1と同様にして、実
施例4に係る本発明電池A4を作製した。 【0036】(実施例5)添加剤の添加量を0.1質量
部としたこと以外は、上記実施例1と同様にして、実施
例5に係る本発明電池A5を作製した。 【0037】(実施例6)添加剤の添加量を3質量部と
したこと以外は、上記実施例1と同様にして、実施例6
に係る本発明電池A6を作製した。 【0038】(実施例7)添加剤の添加量を0.001
質量部としたこと以外は、上記実施例3と同様にして、
実施例7に係る本発明電池A7を作製した。 【0039】(実施例8)添加剤の添加量を0.01質
量部としたこと以外は、上記実施例3と同様にして、実
施例8に係る本発明電池A8を作製した。 【0040】(実施例9)添加剤の添加量を0.1質量
部としたこと以外は、上記実施例3と同様にして、実施
例9に係る本発明電池A9を作製した。 【0041】(実施例10)添加剤の添加量を2質量部
としたこと以外は、上記実施例3と同様にして、実施例
10に係る本発明電池A10を作製した。 【0042】(実施例11)添加剤の添加量を3質量部
としたこと以外は、上記実施例3と同様にして、実施例
11に係る本発明電池A11を作製した。 【0043】(実施例12)添加剤の添加量を5質量部
としたこと以外は、上記実施例3と同様にして、実施例
12に係る本発明電池A12を作製した。 【0044】(実施例13)添加剤の添加量を8質量部
としたこと以外は、上記実施例3と同様にして、実施例
13に係る本発明電池A13を作製した。 【0045】(比較例1)添加剤を添加しなかったこと
以外は、上記実施例1と同様にして、比較例1に係る比
較電池X1を作製した。 【0046】(比較例2)添加剤aのかわりに下記化3
で示される構造を持つ添加剤xを添加したこと以外は、
上記実施例1と同様にして、比較例2に係る比較電池X
2を作製した。 【0047】 【化3】 (式中x=11、y=8) 【0048】(比較例3)添加剤を添加しなかったこと
以外は、上記実施例2と同様にして、比較例3に係る比
較電池X3を作製した。 【0049】上記のように作製した電池を、以下の条件
で充電し、低負荷放電、高負荷放電容量を測定し、負荷
特性容量維持率を算出した。 【0050】充電条件:定電流 1It、定電圧4.2
V、充電時間 3時間、25℃ 低負荷放電条件:定電流0.2It、終止電圧 2.7
5V、25℃ 高負荷放電条件:定電流3It、終止電圧 2.75
V、25℃ 負荷特性容量維持率(%):(高負荷放電容量/低負荷
放電容量)×100 【0051】本発明電池A1比較電池X1、X2の主な
構成と、負荷特性を下記表1に示す。 【0052】 【表1】 【0053】表1から、フッ素化されたアルキル基とポ
リエチレングリコール構造を併せ持つ化合物を非水電解
質に添加することにより、添加剤を添加しない電池や高
誘電率溶媒と低粘性溶媒とを混合した非水溶媒を用いた
電池、一般的な界面活性剤であるアルキル基とポリエチ
レングリコール構造とを併せ持つ化合物を非水電解質に
添加した電池より、はるかに優れた負荷特性を有する電
池が得られることがわかる。 【0054】このことは、次のように考えられる。添加
剤aに含まれるフッ素化されたアルキル基は、添加剤x
に含まれているようなフッ素置換されていないアルキル
基に比べ表面エネルギーがはるかに小さく、非水電解質
に添加したとき、表面エネルギーの小さいポリオレフィ
ン系セパレータとの濡れ性がより良好である。さらに、
添加剤aに含まれるポリエチレングリコール構造は、電
解液との相溶性が良好である。その結果、添加剤aは電
解液とセパレータとの濡れ性を向上させる界面活性剤と
して機能し、添加剤aを添加した電池の導電性がよくな
り、負荷特性が向上する。 【0055】本発明電池A1、A2、比較電池X1、X
3の主な構成と、負荷特性を下記表2に示す。 【0056】 【表2】 【0057】表2から、使用する非水溶媒としては、高
誘電率溶媒のみからなる非水溶媒だけではなく、高誘電
率溶媒と低粘性溶媒とを混合した非水溶媒においても十
分な効果があることがわかる。また、高誘電率溶媒と低
粘性溶媒とを混合した非水溶媒を使用した電池X3より
も、高誘電率溶媒のみからなる非水溶媒に添加剤aを添
加した電池の方が、優れた負荷特性を示すことがわか
る。 【0058】また、高誘電率溶媒のみからなる非水溶媒
に添加剤aを添加した電池は、高誘電率溶媒のみからな
る非水溶媒に添加剤を添加しない電池に比べ負荷特性の
向上率が大きいこと、また、一般に高誘電率溶媒は低粘
性溶媒と比べて沸点が高く、電池が加熱された時に膨ら
みにくいという特性を持っている。以上より、高誘電率
溶媒のみからなる非水溶媒に添加剤aを添加した電池
が、より好ましい。 【0059】本発明電池A1、A3〜A13、比較電池
X1の主な構成と、負荷特性を下記表3に示すととも
に、添加剤a、bの添加量と負荷特性との相関を図5に
示す。 【0060】 【表3】 【0061】表3及び図5から、フッ素化されたアルキ
ル基とポリエチレングリコール構造を併せ持つ化合物の
非水電解質100質量部に対する添加量が、0.01質
量部未満である場合には、セパレータとの濡れ性の向上
が得られず、負荷特性の向上幅は小さくなる。また、3
質量部より多い場合、セパレータとの濡れ性は十分に得
られるものの、フッ素化されたアルキル基とポリエチレ
ングリコール構造を併せ持つ化合物が電池内の導電性を
下げてしまうため、負荷特性の向上幅は小さくなる。こ
のことから、フッ素化されたアルキル基とポリエチレン
グリコール構造を併せ持つ化合物の非水電解質100質
量部に対する添加量は0.01〜3質量部であることが
より好ましいことがわかる。 【0062】さらに表3及び図5から、フッ素化された
アルキル基とポリエチレングリコール構造を併せ持つ化
合物に、さらにスルホニル基が導入された化合物である
添加剤bを添加した電池が、さらに良好な負荷特性を示
すことがわかる。 【0063】このことは、スルホニル基のような極性が
大きい官能基が導入されているため、非水電解質との相
溶性がさらに向上し、その結果、界面活性剤としての効
果が増大し、導電性が向上したため、と考えられる。こ
のことから、非水電解質に添加する添加剤としては、フ
ッ素化されたアルキル基とポリエチレングリコール構造
を併せ持つ化合物に、さらにスルホニル基のような極性
の大きい官能基が導入された化合物のほうが、溶媒との
相溶性がさらに向上するためより好ましい。 【0064】さらに表3及び図5から、フッ素化された
アルキル基とポリエチレングリコール構造に、さらにス
ルホニル基を持つ化合物は、フッ素化されたアルキル基
とポリエチレングリコール構造を併せ持つ化合物を添加
した場合よりも、好ましく使用できる添加量の範囲が広
くなっていることがわかる。フッ素化されたアルキル基
とポリエチレングリコール構造に、さらにスルホニル基
を持つ化合物の場合、非水電解質100質量部に対する
添加量が0.01〜5質量部であれば、負荷特性の向上
が大きく得られ、より好ましい。 【0065】添加剤b中には、スルホニル基以外に3級
アミンも導入されているが、3級アミンの持つ極性は小
さく、相溶性の向上や、その他の電池特性にはほとんど
関与しないものと考えられる。 【0066】なお、上記実施例では、ポリエチレングリ
コール構造と少なくとも一部がフッ素化されたアルキル
基を併せ持つ化合物の具体例として、下記化4、化5で
示される構造を持つ添加剤a、b(両化合物において式
中x=11、y=8)を使用したが、この値や構造に限
定されるものではなく、例えば下記化4、化5で示され
る構造を持つ化合物では、x、yの範囲が(2≦x,y
≦20)を満たす化合物であれば好適に使用できる。ま
た、本実施例では、すべてがフッ素置換されたアルキル
基を有する化合物を使用しているが、そのすべてがフッ
素置換されている必要はない。しかし、フッ素置換され
ている量が少なければ表面エネルギーを小さくする効果
が減少し、多ければ表面エネルギーが小さくする効果が
増大する。約50%以上が置換されていれば十分な効果
が得られるため、フッ素置換量を約50%以上とするこ
とがより好ましい。 【0067】 【化4】 【0068】 【化5】 【0069】なお、上記実施例では相溶性を向上させる
極性の大きい官能基としてスルホニル基を導入させた添
加剤を用いたが、スルホニル基以外にも、公知の相溶性
を向上させる極性の大きい官能基(例えばエステル基、
カーボネート基)が導入されたフッ素化されたアルキル
基とポリエチレングリコール構造を併せ持つ化合物でも
同様の効果が得られる。 【0070】なお、上記実施例ではラミネート外装体を
使用したが、円筒状、角形、コイン状、ボタン型等種々
の形状にすることができることは当然のことである。 【0071】なお、本発明はゲル状電解質を用いたポリ
マー電池にも用いることができる。 【0072】なお、上記の実施例ではドクターブレード
により活物質スラリーを塗布したが、ダイコーターであ
ってもよい。また、活物質スラリーのかわりに活物質ペ
ーストを用い、ローラコーティング法により塗布するこ
ともできる。また、アルミニウム箔のかわりにアルミニ
ウムメッシュを用いても、同様に作製することができ
る。 【0073】 【発明の効果】上記の結果から明らかなように、本発明
によると、ポリエチレングリコール構造と、フッ素化さ
れたアルキル基を併せ持つ化合物を非水電解質に添加す
ることにより、負荷特性の向上した非水電解質二次電池
が提供されるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る非水電解質二次電池の正面図。
【図2】図1のA−A線矢視断面図。
【図3】本発明に係る非水電解質電池に用いるラミネー
ト外装体の断面図。 【図4】本発明に係る非水電解質二次電池に用いる電極
体の斜視図。 【図5】添加剤a、bの添加量と、負荷特性と相関を表
した図面。 【符号の説明】 1 電極体 2 収納空間 3 アルミラミネート外装体 4a、4b、4c 封止部 5 正極 6 負極 7 正極リード 8 負極リード
ト外装体の断面図。 【図4】本発明に係る非水電解質二次電池に用いる電極
体の斜視図。 【図5】添加剤a、bの添加量と、負荷特性と相関を表
した図面。 【符号の説明】 1 電極体 2 収納空間 3 アルミラミネート外装体 4a、4b、4c 封止部 5 正極 6 負極 7 正極リード 8 負極リード
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 【請求項1】 リチウムイオンを吸蔵、放出する正極
と、リチウムイオンを吸蔵、放出する負極と、非水溶媒
と電解質塩とを含む非水電解質と、前記正負極の間に介
装されたセパレータと、を有する非水電解質二次電池に
おいて、 前記非水電解質に、ポリエチレングリコール構造と少な
くとも一部がフッ素化されたアルキル基とを併せ持つ化
合物が添加されている、ことを特徴とする非水電解質二
次電池。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002091090A JP2003288938A (ja) | 2002-03-28 | 2002-03-28 | 非水電解質二次電池 |
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---|---|---|---|
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---|---|
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013514609A (ja) * | 2009-12-17 | 2013-04-25 | リ−テック・バッテリー・ゲーエムベーハー | リチウムイオンバッテリー |
-
2002
- 2002-03-28 JP JP2002091090A patent/JP2003288938A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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