JP2003287834A - 平板状ハロゲン化銀写真乳剤 - Google Patents

平板状ハロゲン化銀写真乳剤

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JP2003287834A
JP2003287834A JP2002088939A JP2002088939A JP2003287834A JP 2003287834 A JP2003287834 A JP 2003287834A JP 2002088939 A JP2002088939 A JP 2002088939A JP 2002088939 A JP2002088939 A JP 2002088939A JP 2003287834 A JP2003287834 A JP 2003287834A
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emulsion
silver halide
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mol
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Application number
JP2002088939A
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English (en)
Inventor
Mamoru Sakurazawa
守 桜沢
Terukazu Yanagi
輝一 柳
Yoshihisa Tsukada
芳久 塚田
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高感度、かつ粒子凝集が防止され安定に製造
できるハロゲン化銀乳剤を提供する。 【解決手段】 下記一般式(1)で表されるメルカプト
基を有する含窒素芳香族環を部分構造として有するポリ
マーを少なくとも1種を含む平板状ハロゲン化銀写真乳
剤である。また、ハロゲン化銀粒子の全投影面積の50
%以上が(a)平行な主平面が(111)面、(b)
アスペクト比が2以上、(c) 転位線を1粒子当り1
0本以上を含む、(d) 塩化銀含有率が10mol%
未満の沃臭化銀もしくは塩沃臭化銀を満たすハロゲン化
銀粒子からなる前記平板状ハロゲン化銀写真乳剤であ
る。 一般式(1) Z−SH (Zは含窒素芳香族環を表す。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、メルカプト基を有
する含窒素芳香族環を部分構造とするポリマーを含有す
る平板状ハロゲン化銀写真乳剤に関する。本発明は特に
平板状ハロゲン化銀粒子の凝集による性能の悪化を改良
し得る平板状ハロゲン化銀写真乳剤に関する。
【0002】
【従来の技術】水溶性高分子は写真化学工業において長
い間利用されており、水溶性高分子が写真システムにお
いて果たしている役割は多岐にわたっている。水溶性高
分子の役割が多岐に渡る理由としては、水溶性高分子が
優れた保護コロイド性、ゾルーゲル変換性、イオン透過
性、適度な吸湿、保水性などの優れた特性を有すること
に起因する。特に水溶性高分子の1つであるゼラチンは
上記特性の他にハロゲン化銀の分散安定性に非常に優れ
ており、現在でも写真感光材料用の分散安定化剤、バイ
ンダーとして大量に使用されている。
【0003】しかしながら、ゼラチンは牛や豚の骨や皮
等から抽出された天然物由来の素材であるためにその品
質を一定に保つことは非常に難しく、合成ポリマーをハ
ロゲン化銀の分散安定剤として利用する試みが数多くな
されてきた。例えば、米国特許第3,615,624号
明細書、同3,860,428号明細書、同3,70
6,564号明細書に記載のチオエーテル基含有ポリマ
ー;米国特許第4,030,929号明細書、同4,1
52,161号明細書に記載のヒドロキシキノリン含有
ポリマー;米国特許第2,541,474号明細書、同
3,284,207号明細書、同3,713,834号明細
書、同3,746,548号明細書、独国特許第3,28
4,207号明細書、特公昭45−14031号公報に
記載のアクリルアミドポリマー;米国特許第4,13
1,471号明細書に記載のポリアクリル酸含有ポリマ
ー;米国特許第3,345,346号明細書、同3,70
6,564号明細書、同3,425,836号明細書、同
3,511,818号明細書、同4,350,759号明細
書、同3,832,185号明細書、同3,852,073
号明細書に記載のアミン含有ポリマー;米国特許第3,
000,741号明細書、同3,236,653号明細
書、同2,579,016号明細書、同3,479,189
号明細書に記載のポリビニルアルコール含有ポリマー;
特公昭43−7561号公報に記載のアクリルアミド、
ビニルイミダゾール、アクリル酸の共重合ポリマー、特
開平7−152103号公報に記載のテックスと共有結
合したゼラチン;等が挙げられるが、ハロゲン化銀粒子
の凝集に関して十分な効果を有するものではなかった。
【0004】平板状ハロゲン化銀粒子に関してはすでに
米国特許第4434226号明細書、同4439520
号明細書、同4414310号明細書、同443304
8号明細書、同4414306号明細書、同44593
53号明細書等にその製法、および使用技術が開示され
ており、分光増感色素による色増感効率の向上を含む、
感度/粒状性の関係改良等の利点が知られている。一方
でアスペクト比を高くするほど高感度化に有効である
が、ハロゲン化銀粒子の凝集が問題となってきた。凝集
とは2つ以上の平板状粒子が集まって平板状粒子の主表
面同士が合着して二次粒子を形成する現象で、平板状粒
子のアスペクト比が高いほど、吸着色素量が多いほど、
即ち吸着色素の粒子表面の被覆率が高いほど起こり易
い。この凝集は、粒状性の悪化、現像後の濃度低下、カ
ブリ濃度の上昇等の写真性能の低下を引き起こすことが
知られている。ポリマーに結合しているメルカプトアゾ
ール基をゼラチンへ導入することによりハロゲン化銀写
真感光材料の保存性を改良することが特開平3−376
43号公報などで開示されている。しかし本発明者らに
よると、特開平3−37643号公報の実施例にある修
飾ゼラチンは、平板状粒子においては粒状性が悪化する
という問題が発生し、高アスペクト比の平板状ハロゲン
化銀粒子の凝集を防止する技術の開発が強く望まれてい
た。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、第一に高感
度、かつ粒子凝集が防止され安定に製造できるハロゲン
化銀乳剤およびハロゲン化銀感光材料を提供することを
課題とする。第二に、圧力耐性に優れたハロゲン化銀乳
剤およびハロゲン化銀感光材料を提供することを課題と
する。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
の手段は以下の通りである。 [1] 下記一般式(1)で表されるメルカプト基を有す
る含窒素芳香族環を部分構造として有するポリマーを少
なくとも1種含有する平板状ハロゲン化銀写真乳剤。 一般式(1) Z−SH (Zは含窒素芳香族環を表す。) [2] 前記ポリマーが、下記一般式(2)で表される
水溶性ポリマ−であることを特徴とする平板状ハロゲン
化銀写真乳剤。
【0007】
【化1】
【0008】式中、Xはエチレン性不飽和結合を有する
モノマーの単独重合体または共重合体の基を表す。Y1
およびY2はXの末端基であり、少なくとも一方はSH
−Z−L1−を表す。Zは含窒素芳香族環を表し、L1
2価の連結基または単結合を表す。
【0009】[3] 下記一般式(2―A)で表される
ポリマーを少なくとも1種含有することを特徴とする平
板状ハロゲン化銀写真乳剤。
【0010】
【化2】
【0011】式中、R11は水素原子またはメチル基を表
し、R12およびR13はそれぞれ独立に水素原子または置
換基を表す。X1はエチレン性不飽和結合を有するモノ
マーのユニットを表し、1種類でも複数種であってもよ
い。mおよびnはモノマーユニットの質量比を表し、m
+n=100である。なお、式中に含まれるモノマーユ
ニットの共重合形態は、ランダム共重合、ブロック共重
合および交互共重合のいずれの形態であってもよい。Y
1およびY2は末端基であり、Y1およびY2の少なくとも
一方はSH−Z−L1−で表されるメルカプト基を表
す。Zは含窒素芳香族環を表し、L1は2価の連結基ま
たは単結合を表す。
【0012】[4] 下記一般式(2―B)で表される
ポリマーを少なくとも1種含有する平板状ハロゲン化銀
写真乳剤。
【0013】
【化3】
【0014】式中、X1、R11、m1およびn1は一般式
(2−A)におけるそれらと同義である。Y11およびY
12は末端基であり、Y11およびY12の少なくとも一方
は、下記一般式(3)で表される基を表す。
【0015】
【化4】
【0016】式中、L1Aは2価の連結基または単結合を
表し、QはN、CHまたはC−SHを表す。
【0017】[5] 下記一般式(2―C)で表される
ポリマーを少なくとも1種含有する平板状ハロゲン化銀
写真乳剤。
【0018】
【化5】
【0019】式中、Y11、Y12およびR11は前記一般式
(2−B)におけるそれらと同義である。R21は水素原
子またはメチル基を表し、L2は単結合または2価の連
結基を表す。m2、n2はモノマーユニットの質量比を表
し、m2+n2=100である。Mは水素原子またはカチ
オンを表す。
【0020】[6] ハロゲン化銀粒子の全投影面積の
50%以上が下記(a)〜(d)を満たすハロゲン化銀
粒子からなる[1]〜[5]のいずれかに記載の平板状
ハロゲン化銀写真乳剤; (a) 平行な主平面が(111)面、(b) アスペ
クト比が2以上、(c) 転位線を1粒子当り10本以
上を含む、(d) 塩化銀含有率が10mol%未満の
沃臭化銀もしくは塩沃臭化銀。 [7] ハロゲン化銀粒子の全投影面積の50%以上が
厚み0.1μm以下のハロゲン化銀粒子からなる[6]
に記載の平板状ハロゲン化銀写真乳剤。 [8] ハロゲン化銀粒子の全投影面積の50%以上が
下記(a)、(d)および(e)を満たすハロゲン化銀
粒子からなる[1]〜[5]のいずれかに記載の平板状
ハロゲン化銀写真乳剤; (a) 平行な主平面が(111)面、(d) 塩化銀
含有率が10mol%未満の沃臭化銀もしくは塩沃臭化
銀、(e) 六角形ハロゲン化銀粒子の頂点部および/
または側面部および/または主平面部に1粒子当り少な
くとも1個のエピタキシャル接合を有する。 [9] ハロゲン化銀粒子の全投影面積の50%以上が
下記の(b)、(d)および(g)を満たすハロゲン化
銀粒子からなる[1]〜[5]のいずれかに記載の平板
状ハロゲン化銀写真乳剤; (b) アスペクト比が2以上、(d) 塩化銀含有率
が10mol%未満の沃臭化銀もしくは塩沃臭化銀、
(g) 平行な主平面が(100)面。
【0021】[10] ハロゲン化銀粒子の全投影面積
の50%以上が(b)、(h)および(i)を満たすハ
ロゲン化銀粒子からなる[1]〜[5]のいずれかに記
載の平板状ハロゲン化銀写真乳剤; (b) アスペクト比が2以上、(h) 平行な主平面
が(111)面もしくは(100)面、(i) 少なく
とも80mol%の塩化銀を含有する。 [11] ハロゲン化銀粒子の全投影面積の50%以上
が下記(j)、(k)および(m)を満たすハロゲン化
銀粒子からなる[1]〜[5]のいずれかに記載の平板
状ハロゲン化銀写真乳剤; (j)ハロゲン化銀粒子の投影面積径が2μm以上、
(k)アスペクト比が10以上、(m)個々の粒子の平
均AgI含有量が5mol%以上。 [12] ハロゲン化銀粒子の全投影面積の50%以上
が下記(j)を満たし、全投影面積の80%以上が粒子
投影部の中心から50%以内に転位線が存在しないハロ
ゲン化銀粒子からなる[1]〜[5]のいずれかに記載
の平板状ハロゲン化銀写真乳剤; (j)ハロゲン化銀粒子の投影面積径が2μm以上。
【0022】[13] ハロゲン化銀粒子の全投影面積
の50%以上が、粒子の形成時に沃化物イオン放出剤を
用いて沃化物イオンを急激に生成せしめながら形成する
工程を含む製法により調製されたハロゲン化銀粒子から
なる[1]〜[11]のいずれかに記載の平板状ハロゲ
ン化銀写真乳剤。 [14] ハロゲン化銀粒子の全投影面積の50%以上
が、粒子の形成時にその形成が行われている容器中に沃
化銀微粒子を添加する工程を含む製法により調製された
ハロゲン化銀粒子からなる[1]〜[11]のいずれか
に記載の平板状ハロゲン化銀写真乳剤。 [15] ハロゲン化銀粒子形成の行われている反応容
器外で形成された沃化銀微粒子を添加してなる[1]〜
[11]のいずれかに記載の平板状ハロゲン化銀写真乳
剤。
【0023】[16] ハロゲン化銀粒子の全投影面積
の50%以上が、粒子の形成時に、少なくとも全銀量の
30%の粒子形成が該ハロゲン化銀粒子の存在する容器
中にそれとは別の容器で形成されたハロゲン化銀微粒子
を添加することにより行われた[1]〜[11]のいず
れかに記載の平板状ハロゲン化銀写真乳剤。 [17] ハロゲン化銀粒子の全投影面積の50%以上
が還元増感された[1]〜[16]のいずれかに記載の
平板状ハロゲン化銀写真乳剤。 [18] 上記[1]〜[17]のいずれかに記載の乳
剤を少なくとも1つ含有することを特徴とするハロゲン
化銀写真感光材料。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施方法および実
施態様について詳細に説明する。本明細書において
「〜」はその前後に記載される数値を下限値および上限
値として含む意味で使用される。まず、本発明に用いら
れるメルカプト基含有ポリマーについて説明する。本発
明に用いられるメルカプト基含有ポリマーは、下記一般
式(1)で表されるメルカプト基を含有する。 一般式(1) Z−SH
【0025】前記一般式(1)中、Zで表される含窒素
芳香族環とは、具体的には単環または縮環の含窒素芳香
族ヘテロ環であり、好ましくは5〜7員の含窒素芳香族
ヘテロ環であり、より好ましくは5または6員の含窒素
芳香族ヘテロ環である。具体的には、イミダゾール、ピ
ラゾール、トリアゾール、テトラゾール、チアゾール、
オキサゾール、セレナゾール、ベンズトリアゾール、ベ
ンズチアゾール、ベンズオキサゾール、ベンズセレナゾ
ール、チアジアゾール、オキサジアゾール、ナフトチア
ゾール、ナフトオキサゾール、アザベンズイミダゾー
ル、プリン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダ
ジン、トリアジン、トリアザインデン、テトラザインデ
ン等があげられる。さらに好ましくは、5員の含窒素芳
香族ヘテロ環であり、具体的にはイミダゾール、ピラゾ
ール、トリアゾール、テトラゾール、チアゾール、オキ
サゾール、ベンズトリアゾール、ベンズチアゾール、ベ
ンズオキサゾール、チアジアゾール、オキサジアゾール
が挙げられる。特に好ましくは、トリアゾール、テトラ
ゾールであり、最も好ましくはテトラゾールである。
【0026】前記メルカプト基含有ポリマーは、水溶性
高分子であるのが好ましい。本明細書において、「水溶
性高分子」とは、水に0.5質量%以上溶解する高分子
のことをいい、好ましくは1.0質量%以上溶解する高
分子、より好ましくは2.0質量%以上溶解する高分
子、さらに好ましくは4.0質量%以上溶解する高分子
である。
【0027】前記メルカプト基含有ポリマーは、前記一
般式(1)で表されるメルカプト基を、平均で2個/
(ポリマー鎖1本)以下含有することが好ましい。ポリ
マー鎖1本当たり平均で、より好ましくは0.01〜
1.5個、さらに好ましくは0.1〜2個、よりさらに
好ましくは0.1〜1.8個、特に好ましくは0.2〜
1.5個、最も好ましくは1個以下である。ここで、ポ
リマー鎖1本当たりのメルカプト基の個数は、ポリエチ
レンオキサイドを基準物質としてGPC測定を行った際
のポリマーの数平均分子量Mnから求めた水溶性合成ポ
リマー水溶液のモル濃度AMnと、ポリマー水溶液中のメ
ルカプト基を有する含窒素芳香族環のUV吸光度から求
めたモル濃度QuVとを測定し、QuV/AMnの値とし
て求められる。即ち、メルカプト基含有ポリマーは、Q
uV/AMnが2以下であるのが好ましく、1以下である
のがより好ましい。メルカプト基の導入量が上記範囲で
あると、ハロゲン化銀写真感光材料の感度を低下せず
に、カブリ濃度の上昇をより抑制することができ、さら
に乳剤の溶解経時後のハロゲン化銀粒子の凝集抑制効果
をより発揮する。その結果、塗設における写真性能の悪
化が改良され、製造適性がより優れたハロゲン化銀乳剤
を調製することが可能になる。
【0028】前記メルカプト基含有ポリマーは、前記一
般式(1)で表されるメルカプト基が、ポリマーの片末
端に導入されていることが好ましい。
【0029】前記メルカプト基含有ポリマーの好ましい
態様は、下記一般式(2)で表されるポリマーである。
【0030】
【化6】
【0031】式中、Y1およびY2は、Xの末端基であ
り、少なくとも一方はSH−Z−L1−を表す。なお、
1およびY2のうち一方のみがH−Z−L1−を表すと
き、他方はポリマー合成過程で導入されるいかなる基で
あってもよく、例えば、水素原子、重合開始剤、溶媒分
子またはモノマー誘導体の他、合成時の添加剤誘導体
が、他方の末端基となり得る。
【0032】L1は2価の連結基または単結合を表し、
2価の連結基または単結合であれば特に制限はないが、
1として好ましくは炭素数0〜20の2価の連結基で
ある。具体的には炭素数1〜20のアルキレン基(例え
ばメチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、キシリ
レンなど)、炭素数6〜20のアリーレン基(例えばフ
ェニレン、ナフチレンなど)、−C(=O)−、−S
(=O)2−、−S(=O)−、−S−、−O−、−P
(=O)O-−、−P(=O)O-−、−P(=O)OR
a−、−NRa−(Raは水素原子または置換基を表し、
置換基としては後述の置換基Tとしてあげたものが適用
できる)、−N=、芳香族へテロ環基、またはこれらを
2種以上組み合わせて得られる炭素数0〜20の2価の
連結基である。具体例を以下に示す。
【0033】
【化7】
【0034】これらは、Zに対して左右いずれの向きで
結合していてもよいが、左側がZと結合するのが好まし
い。
【0035】L1は可能な場合にはさらに置換基Tを有
していてもよく、置換基Tとしては例えばアルキル基
(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1
〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメ
チル、エチル、イソ−プロピル、tert−ブチル、n
−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプ
ロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げら
れる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、
より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数
2〜8であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、
3−ペンテニルなどが挙げられる)、アルキニル基(好
ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜1
2、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばプロパ
ルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる)、アリール
基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数
6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例え
ばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチルなどが挙げ
られる)、置換または未置換のアミノ基(好ましくは炭
素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好
ましくは炭素数0〜6であり、例えばアミノ、メチルア
ミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルア
ミノなどが挙げられる)、アルコキシ基(好ましくは炭
素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好
ましくは炭素数1〜8であり、例えばメトキシ、エトキ
シ、ブトキシなどが挙げられる)、アリールオキシ基
(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6
〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えば
フェニルオキシ、2−ナフチルオキシなどが挙げられ
る)、
【0036】アシル基(好ましくは炭素数1〜20、よ
り好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1
〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミ
ル、ピバロイルなどが挙げられる)、アルコキシカルボ
ニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭
素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、
例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどが
挙げられる)、アリールオキシカルボニル基(好ましく
は炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特
に好ましくは炭素数7〜10であり、例えばフェニルオ
キシカルボニルなどが挙げられる)、アシルオキシ基
(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2
〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えば
アセトキシ、ベンゾイルオキシなどが挙げられる)、ア
シルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好まし
くは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10で
あり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノなどが
挙げられる)、アルコキシカルボニルアミノ基(好まし
くは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、
特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシ
カルボニルアミノなどが挙げられる)、アリールオキシ
カルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より
好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜
12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノな
どが挙げられる)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭
素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好
ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニ
ルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなどが挙げられ
る)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、
より好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは炭素数
0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルフ
ァモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファ
モイルなどが挙げられる)、カルバモイル基(好ましく
は炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特
に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイ
ル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェ
ニルカルバモイルなどが挙げられる)、
【0037】アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜2
0、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭
素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオな
どが挙げられる)、アリールチオ基(好ましくは炭素数
6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好まし
くは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが
挙げられる)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜2
0、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭
素数1〜12であり、例えばメシル、トシルなどが挙げ
られる)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜2
0、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭
素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル、ベン
ゼンスルフィニルなどが挙げられる)、ウレイド基(好
ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜1
6、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレ
イド、メチルウレイド、フェニルウレイドなどが挙げら
れる)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、
より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数
1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニ
ルリン酸アミドなどが挙げられる)、ヒドロキシ基、メ
ルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原
子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カ
ルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィ
ノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましく
は炭素数1〜30、より好ましくは1〜12であり、ヘ
テロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原
子、具体的には例えばイミダゾリル、ピリジル、キノリ
ル、フリル、ピペリジル、モルホリノ、ベンゾオキサゾ
リル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリルなどが挙
げられる)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜40、
より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは、炭素
数3〜24であり、例えば、トリメチルシリル、トリフ
ェニルシリルなどが挙げられる)などが挙げられる。こ
れらの置換基はさらに置換されてもよい。また、置換基
が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。ま
た、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよ
い。
【0038】前記一般式(2)中、Xはエチレン性不飽
和結合を有するモノマーの単独重合体または共重合体の
基を表し、共重合体である場合は、ランダム共重合体、
ブロック共重合体、交互共重合体およびグラフト共重合
体のいずれの形態であってもよい。また、Xが共重合体
である場合は、L1と共有結合を形成するモノマーがい
ずれになるかについても特に限定されない。
【0039】Xは、エチレン性不飽和結合を有するモノ
マーユニット(以下モノマー)を少なくとも1種含む。
前記モノマーとしては、重合可能なモノマーであれば特
に制限はなく、ラジカル重合またはイオン重合法で重合
可能なモノマーのいずれも用いることができる。Xのモ
ノマーとしては、その単独重合体が水溶性となるモノマ
ーが好ましい。Xの水溶性を損なわない限り、Xは複数
のモノマーの共重合体であってもよい。
【0040】単独重合体が水溶性となるモノマーとして
は、以下のモノマー群(k)が挙げられ、いずれもXの
モノマーとして好ましく用いられる。(k)アクリル
酸、メタクリル酸、アクリルアミド、N−メチルアクリ
ルアミド、N−n−プロピルアクリルアミド、N−イソ
プロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルア
ミド、N−アクリロイルモルホリン、N−アクリロイル
ピペリジン、メタクリルアミド、N−メチルメタクリル
アミド、N−メタクリロイルモルホリン、N−ビニルピ
ロリドン、N−ビニルアセトアミド、ジアセトンアクリ
ルアミド、ω−メトキシポリエチレングリコールアクリ
レート(付加モル数n=9)、ω−メトキシポリエチレ
ングリコールアクリレート(付加モル数n=23)、N
−メトキシエチルアクリルアミド等。
【0041】Xが共重合体である場合は、前述の(k)
のモノマー群のいずれか少なくとも1種と、下記に示す
モノマー群(a)〜(j)等のいずれか少なくとも1種
との共重合体が好ましい。なお、前述の(k)モノマー
群の属するモノマーであっても、(a)〜(j)モノマ
ー群に属するものは、重複して列挙した。
【0042】−モノマー群(a)〜(j)− (a)共役ジエン:1,3−ブタジエン、イソプレン、
1,3−ペンタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエ
ン、2‐n‐プロピル−1,3−ブタジエン、2,3−
ジメチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−
ブタジエン、1−フェニル−1,3−ブタジエン、1−
α−ナフチル−1,3−ブタジエン、1−β−ナフチル
−1,3−ブタジエン、2‐クロロ1,3−ブタジエ
ン、1−ブロム−1,3−ブタジエン、1‐クロロ1,
3−ブタジエン、2‐フルオロ‐1,3−ブタジエン、
2,3−ジクロロ1,3−ブタジエン、1,1,2−ト
リクロロ1,3−ブタジエン、2‐シアノ−1,3−ブ
タジエン、シクロペンタジエン等 (b) オレフィン:エチレン、プロピレン、塩化ビニ
ル、塩化ビニリデン、6−ヒドロキシ−1−ヘキセン、
4−ペンテン酸、8−ノネン酸メチル、ビニルスルホン
酸、トリメチルビニルシラン、トリメトキシビニルシラ
ン、1,4−ジビニルシクロヘキサン、1,2,5−ト
リビニルシクロヘキサン等
【0043】(c) α,β−不飽和カルボン酸エステ
ル類:アルキルアクリレート(例えば、メチルアクリレ
ート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、シク
ロヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレ
ート、ドデシルアクリレート等)、置換アルキルアクリ
レート(例えば、2−クロロエチルアクリレート、ベン
ジルアクリレート、2−シアノエチルアクリレート
等)、アルキルメタクリレート(例えば、メチルメタク
リレート、ブチルメタクリ−レート、2−エチルヘキシ
ルメタクリレート、ドデシルメタクリレート等)、置換
アルキルメタクリレート(例えば、2−ヒドロキシエチ
ルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、グリセ
リンモノメタクリレート、2−アセトキシエチルメタク
リレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、2
−メトキシエチルメタクリレート、ポリプロピレングリ
コールモノメタクリレート(ポリオキシプロピレンの付
加モル数=2ないし100のもの)、3−N,N−ジメ
チルアミノプロピルメタクリレート、クロロ−3−N,
N,N−トリメチルアンモニオプロピルメタクリレー
ト、2−カルボキシエチルメタクリレート、3−スルホ
プロピルメタクリレート、4−オキシスルホブチルメタ
クリレート、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリ
レート、アリルメタクリレート、2−イソシアナトエチ
ルメタクリレート等)、不飽和ジカルボン酸の誘導体
(例えば、マレイン酸モノブチル、マレイン酸ジメチ
ル、イタコン酸モノメチル、イタコン酸ジブチル等)、
多官能エステル類(例えばエチレングリコールジアクリ
レート、エチレングリコールジメタクリレート、1,4
−シクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトー
ルテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールトリア
クリレート、トリメチロールプロパントリアクリレー
ト、トリメチロールエタントリアクリレート、ジペンタ
エリスリトールペンタメタクリレート、ペンタエリスリ
トールヘキサアクリレート、1,2,4−シクロヘキサ
ンテトラメタクリレート等)
【0044】(d) β−不飽和カルボン酸のアミド
類:例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、N−メ
チルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミ
ド、N−メチル−N−ヒドロキシエチルメタクリルアミ
ド、N−tertブチルアクリルアミド、N−tert
オクチルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリ
ルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−(2−ア
セトアセトキシエチル)アクリルアミド、N−アクリロ
イルモルフォリン、ジアセトンアクリルアミド、イタコ
ン酸ジアミド、N−メチルマレイミド、2−アクリルア
ミド−メチルプロパンスルホン酸、メチレンビスアクリ
ルアミド、ジメタクリロイルピペラジン等 (e)不飽和ニトリル類:アクリロニトリル、メタクリ
ロニトリル等 (f) スチレンおよびその誘導体:スチレン、ビニル
トルエン、p−tertブチルスチレン、ビニル安息香
酸、ビニル安息香酸メチル、α−メチルスチレン、p−
クロロメチルスチレン、ビニルナフタレン、p−ヒドロ
キシメチルスチレン、p−アミノメチルスチレン、1,
4−ジビニルベンゼン等 (g)ビニルエーテル類:メチルビニルエーテル、ブチ
ルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル等 (h)ビニルエステル類:酢酸ビニル、プロピオン酸ビ
ニル、安息香酸ビニル、サリチル酸ビニルクロロ酢酸ビ
ニル等
【0045】(i)酸基を含有するモノマー:アクリル
酸、アクリル酸ナトリウム、アクリル酸カリウム、アク
リル酸リチウム、アクリル酸アンモニウム、メタクリル
酸、メタクリル酸ナトリウム、メタクリル酸カリウム、
メタクリル酸リチウム、メタクリル酸アンモニウム、イ
タコン酸、イタコン酸カリウム、マレイン酸、CH2
CHCOOCH2CH2COOH、CH2=CHCONH
CH2CH2COOH、CH2=CHC65COOH
(p)、CH2=CHCOOCH2CH2CH2COOH、
α−クロロアクリル酸等やスチレンスルホン酸ナトリウ
ム、スチレンスルホン酸アンモニウム、スチレンスルホ
ン酸リチウム、2−アクリルアミド−2−メチル−プロ
パンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチル−プ
ロパンスルホン酸ナトリウム、2−アクリルアミド−2
−メチル−プロパンスルホン酸アンモニウム、3−アク
リロイルオキシ−プロパンスルホン酸ナトリウム、3−
メタクリロイルオキシ−プロパンスルホン酸カリウム、
イソプレンスルホン酸等や3−アクリロイルオキシ−エ
チルホスホン酸ナトリウム等 (j)その他の重合性単量体:N−ビニルイミダゾー
ル、4−ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、2−
ビニルオキサゾリン、2−イソプロペニルオキサゾリ
ン、ジビニルスルホン等等が挙げられる。
【0046】Xとしては、上記(k)モノマー群から選
ばれる1種の単独重合体もしくは2種以上の共重合体、
または(k)モノマー群から選ばれる少なくとも1種と
上記(i)酸基を含有するモノマー群から選ばれる少な
くとも1種との共重合体が好ましく、上記(k)モノマ
ー群から選ばれる1種の単独重合体もしくは2種以上の
共重合体がより好ましい。Xのさらに好ましい態様は、
カルボン酸基を有するモノマーの単独重合体もしくは2
種以上の共重合体であり、よりさらに好ましい態様は、
アクリル酸、メタクリル酸、CH2=CHCOOCH2
2COOH、CH2=CHCONHCH2CH2COOH
もしくはCH2=CHCOOCH2CH2CH2COOHの
単独重合体またはこれら2種以上の共重合体であり、特
に好ましい態様は、アクリル酸もしくはメタクリル酸の
単独重合体、またはこれらとアクリル酸、メタクリル
酸、CH2=CHCOOCH2CH2COOH、CH2=C
HCONHCH2CH2COOHもしくはCH2=CHC
OOCH2CH2CH2COOH等のモノマーとの共重合
体である。
【0047】前記一般式(2)で表されるポリマーの好
ましい態様は、下記一般式(2−A)で表されるポリマ
ーである。
【0048】
【化8】
【0049】式中、R11は水素原子またはメチル基を表
し、好ましくはメチル基である。
【0050】R12およびR13はそれぞれ独立に水素原子
または置換基を表し、置換としては上記置換基Tと同義
である。R12およびR13としては、好ましくは水素原子
またはアルキル基であり、より好ましくは水素原子また
は炭素数1〜6のアルキル基であり、さらに好ましくは
水素原子またはメチル基であり、特に好ましくは水素原
子である。
【0051】式中、X1はエチレン性不飽和結合を有す
るモノマーのユニットを表し、1種類でも複数種であっ
てもよい。X1は重合可能であれば特に制限はなく、上
記一般式(2)中のXのモノマーとして例示した、モノ
マー群(a)〜(k)から選ばれるモノマーを用いるこ
とができる。
【0052】前記一般式(2−a)で表されるポリマー
化合物の好ましい態様は、X1が上記(i)酸基を含有
するモノマー群から選ばれる少なくとも1種、またはX
1がない(すなわちn=0であること)態様である。よ
り好ましい態様は、X1がカルボン酸基を含有するモノ
マーの少なくとも1種である態様であり、さらに好まし
い態様は、X1がアクリル酸、メタクリル酸、CH2=C
HCOOCH2CH2COOH、CH2=CHCONHC
2CH2COOHまたはCH2=CHCOOCH 2CH2
CH2COOHである態様であり、特に好ましい態様
は、X1がアクリル酸またはメタクリル酸の態様であ
る。
【0053】式中、mおよびnはモノマーユニットの質
量比を表し、m+n=100である。mとして好ましく
は50〜100、より好ましくは70〜100、さらに
好ましくは80〜100である。nとして好ましくは0
〜50、より好ましくは0〜30、さらに好ましくは0
〜20である。なお、X1が2種以上のモノマーユニッ
トを含む場合は、そのモノマーユニットの質量比の合計
をnとする。
【0054】Y1およびY2は末端基であるが、少なくと
も一方はSH−Z−L1−を表す。Zは含窒素芳香族環
を表し、前記一般式(1)中のZと同義であり、好まし
い範囲も同様である。L1は2価の連結基または単結合
を表し、前記一般式(2)中のL1と同義であり、好ま
しい範囲も同様である。
【0055】前記一般式(2)で表されるポリマーのよ
り好ましい態様は、下記一般式(2−B)で表されるポ
リマーある。
【0056】
【化9】
【0057】式中、X1、R11、m1およびn1は一般式
(2−A)におけるそれらと同義であり、好ましい範囲
も同様である。Y11およびY12は末端基であり、少なく
とも一方は下記一般式(3)で表される基を表す。
【0058】
【化10】
【0059】式中、L1Aは2価の連結基または単結合を
表す。2価の連結基または単結合であれば特に制限はな
いが、L1Aとして好ましくは炭素数0〜14の2価の連
結基である。具体的には炭素数1〜14のアルキレン基
(例えばメチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、
キシリレンなど)、炭素数6〜14のアリーレン基(例
えばフェニレン、ナフチレンなど)−C(=O)−、−
S(=O)2−、−S(=O)−、−S−、−O−、−
P(=O)O-−、−P(=O)O-−、−P(=O)O
a−、−NRa−(Raは水素原子または置換基を表
し、置換基としては前述の置換基Tとしてあげたものが
適用できる)、−N=、芳香族へテロ環基またはこれら
の2種類以上を組合せて得られる炭素数0〜14の2価
の連結基である。具体例を以下に示す。
【0060】
【化11】
【0061】式中、QはN、CHまたはC−SHを表
し、好ましくはNまたはCHであり、より好ましくはN
である。
【0062】前記一般式(2)で表されるポリマーのさ
らに好ましい態様は、下記一般式(2−C)で表される
ポリマーある。
【0063】
【化12】
【0064】式中、Y11およびY12は、前記一般式(2
−B)におけるそれらと同義である。即ち、Y12および
12の少なくとも一方は、前記一般式(3)で表される
基を表し、好ましい範囲も同様である。式中、R11は前
記一般式(2−B)におけるR11と同義であり、好まし
い範囲も同様である。
【0065】式中、R21は水素原子またはメチル基を表
し、好ましくは水素原子である。
【0066】式中、L2は単結合または2価の連結基を
表し、単結合または2価の連結基であればなんでもよい
が、L2として好ましくは単結合または炭素数0〜20
の2価の連結基であり、より好ましくは単結合または炭
素数0〜10の2価の連結基であり、具体的には単結合
または炭素数1〜10のアルキレン基(例えばメチレ
ン、エチレン、プロピレン、ブチレン、キシリレンな
ど)、炭素数6〜10のアリーレン基(例えばフェニレ
ン、ナフチレンなど)−C(=O)−、−S(=O)2
−、−S(=O)−、−S−、−O−、−P(=O)O
-−、−P(=O)O -−、−P(=O)ORa−、−N
a−(Raは水素原子または置換基を表し、置換基とし
ては前述の置換基Tとしてあげたものが適用できる)、
−N=、芳香族へテロ環基、またはこれらを2種以上組
合わせて得られる炭素数0〜10の2価の連結基であ
り、さらに好ましくは単結合または
【0067】
【化13】
【0068】である。これらは、ポリマー主鎖に対して
左右いずれの向きで結合してもよいが、左側がポリマー
主鎖と結合するのが好ましい。
【0069】式中、m2およびn2はモノマーユニットの
質量比を表し、m2+n2=100である。m2として好
ましくは50〜100、より好ましくは70〜100、
さらに好ましくは80〜100である。n2として好ま
しくは0〜50、より好ましくは0〜30、さらに好ま
しくは0〜20である。
【0070】式中、Mは水素原子またはカチオンを表
す。好ましくは、水素原子またはナトリウムイオンであ
る。
【0071】メルカプト基含有ポリマーの分子量は、数
平均分子量5,000以上が好ましく、より好ましくは
10,000以上、さらに好ましくは30,000以上、
特に好ましくは50,000以上であり、最も好ましく
は100,000以上である。
【0072】次に、メルカプト基含有ポリマーの一般的
合成法の一例を示すが、これらに限定されるものではな
い。メルカプト基含有ポリマーは、あらかじめ重合反
応により得られたポリマーに、メルカプト基を有する含
窒素芳香族環を含みポリマー中の反応性基と共有結合を
形成しうる化合物を反応させて前記メルカプト基を導入
することによって合成してもよいし、メルカプト基を
有する含窒素芳香族環を有する化合物をモノマーととも
に重合してもよい。モノマーユニットは、ラジカル重
合、イオン重合、縮重合、開環重合、重付加等のいずれ
の重合反応によって重合させてもよい。
【0073】以下に、前記一般式(2)、(2−A)、
(2−B)または(2−C)で表されるポリマーの具体
例を示すが、本発明は、以下の具体例によってなんら限
定されるものではない。
【0074】
【化14】
【0075】
【化15】
【0076】
【化16】
【0077】前記メルカプト基含有ポリマーはハロゲン
化銀乳剤の調製時に添加することが好ましく、粒子形成
過程、化学熟成過程、化学熟成終了後の何れであっても
よい。粒子形成過程で添加することが最も好ましい。メ
ルカプト基含有ポリマーは水または親水性有機溶媒(例
えばメタノール、N,N−ジメチルホルムアミド)に溶
解して添加してもよい。
【0078】以下に、前記メルカプト基含有ポリマーを
含むハロゲン化銀写真乳剤(以下、「本発明の乳剤」と
もいう)についてさらに詳細に説明する。本発明の乳剤
は前記メルカプト基含有ポリマーを含む。乳剤中の含有
量の好ましい範囲は、用途および用いる材料の種類によ
って異なり一概に規定できないが、一般的には、乳剤中
の前記メルカプト基含有ポリマーの含有量はハロゲン化
銀1molあたり0.1mg〜5gであるのが好まし
く、1mg〜100mgであるのがより好ましい。
【0079】本発明の乳剤の形状は平板状である。本発
明のハロゲン化銀写真乳剤は、臭化銀、塩化銀、沃臭化
銀、沃塩臭化銀、塩臭化銀、塩沃臭化銀等が好ましい。
【0080】本発明の第一の実施形態は、前記メルカプ
ト基含有ポリマーを含むとともに、粒子の全投影面積の
50%以上が下記(a)〜(d)を満たすハロゲン化銀
粒子からなる平板状ハロゲン化銀写真乳剤である。 (a) 平行な主平面が(111)面 (b) アスペクト比が2以上 (c) 転位線を1粒子当り10本以上を含む (d) 塩化銀含有率が10mol%未満の沃臭化銀も
しくは塩沃臭化銀
【0081】本実施の形態に用いられるハロゲン化銀粒
子は、その全投影面積の50%以上が、対向する(11
1)主平面と該主平面を連結する側面からなり、沃臭化
銀もしくは塩沃臭化銀よりなる。塩化銀を含んでもよい
が、塩化銀含率は10mol%未満であり、8mol%
以下であるのが好ましく、3mol%以下もしくは0モ
ル%であるのがより好ましい。沃化銀含有率は、40m
ol%以下であるのが好ましく、20mol%以下であ
るのがより好ましい。沃化銀含有率および臭化銀含有率
は、それぞれ0.5mol%以上が好ましい。
【0082】沃化銀含有率にかかわらず、粒子間の沃化
銀含量の分布の変動係数は20%以下が好ましく、特に
10%以下が好ましい。沃化銀分布について粒子内で構
造を形成していることが好ましい。この場合、沃化銀分
布の構造は2重構造、3重構造、4重構造さらにはそれ
以上の構造があり得る。また、粒子内部で沃化銀含有量
が連続的に変化していてもよい。
【0083】本実施の形態において、ハロゲン化銀粒子
の全投影面積の50%以上がアスペクト比2以上の粒子
で占められている。ここで平板粒子の投影面積ならびに
アスペクト比は参照用のラテックス球とともにシャドー
をかけたカーボンレプリカ法による電子顕微鏡写真から
測定することができる。アスペクト比が高い程、著しい
効果が得られるので、平板粒子乳剤は全投影面積の50
%以上が好ましくはアスペクト比5以上の粒子で占めら
れることが好ましい。さらに好ましくはアスペクト比8
以上である。アスペクト比があまり大きくなりすぎる
と、前述した粒子サイズ分布の変動係数が大きくなる方
向になるために、通常アスペクト比は100以下が好ま
しい。また、平板粒子は上から見た時に、通常6角形、
3角形もしくは円形状の形態をしているが、該投影面積
と等しい面積の円の直径を厚みで割った値がアスペクト
比である。平板粒子の形状は6角形の比率が高い程好ま
しく、また、6角形の各隣接する辺の長さの比は1:2
以下であることが好ましい。
【0084】平板状ハロゲン化銀粒子は、投影面積径で
0.1μm〜20.0μmが好ましく、0.2μm〜1
0.0μmがさらに好ましい。投影面積径とは、ハロゲ
ン化銀粒子の投影面積と等しい面積の円の直径である。
また、平板粒子の厚みは、0.01μm〜0.5μmが
好ましく、0.02μm〜0.2μmがより好ましく、
0.02μm〜0.1μmが最も好ましい。平板粒子の
厚みとは二つの主平面の間隔である。本実施の形態にお
いて、ハロゲン化銀粒子の全投影面積の50%以上が厚
み0.1μm以下の粒子からなるのが好ましい。球相当
径では0.1μm〜5.0μmが好ましく、0.2μm
〜3μmがさらに好ましい。球相当径とは、個々の粒子
の体積と等しい体積を有する球の直径である。また、本
実施の形態において、全投影面積の50%以上がアスペ
クト比2以上の粒子からなるが、個々の粒子のアスペク
ト比は、1〜100が好ましく、2〜50がさらに好ま
しい。アスペクト比とは粒子の投影面積径をその粒子の
厚みで割った値である。
【0085】本実施の形態および後述する第二の実施の
形態において、乳剤が含有するハロゲン化銀粒子は単分
散性であることが好ましい。本実施の形態および後述す
る第二の実施の形態において、乳剤が含有する全ハロゲ
ン化銀粒子の球相当径の変動係数は30%以下であるの
が好ましく、25%以下であるのがより好ましい。ま
た、本実施の形態および後述する第二の実施の形態にお
いて、平板状粒子の場合は投影面積径の変動係数も重要
であり、全ハロゲン化銀粒子の投影面積径の変動係数は
30%以下であることが好ましく、25%以下であるの
がより好ましく、20%以下であるのがさらに好まし
い。また、平板状粒子の厚みの変動係数は、30%以下
であるのが好ましく、25%以下であるのがより好まし
く、20%以下であるのがさらに好ましい。変動係数と
は個々のハロゲン化銀粒子の投影面積径の分布の標準偏
差を平均投影面積径で割った値、もしくは、個々のハロ
ゲン化銀平板状粒子の厚みの分布の標準偏差を平均厚み
で割った値である。
【0086】本実施の形態および後述する第二の実施の
形態において、乳剤が含有する平板粒子の双晶面間隔は
米国特許第5,219,720号明細書に記載のように
0.012μm以下とする;または特開平5−2495
85号公報に記載のように(111)主平面間距離/双
晶面間隔を15以上としてもよく、目的に応じて選んで
よい。
【0087】平板粒子の転位線は、例えば、J.F.HamIlt
on,Phot.ScI.Eng.,11, 57(1967) および T. Shiozawa,
J. Soc. Phot. ScI. Japan, 35, 213(1972) 等に記載
の、低温での透過型電子顕微鏡を用いた直接的な方法に
より観察することができる。すなわち乳剤から粒子に転
位線が発生するほどの圧力をかけないよう注意して取り
出したハロゲン化銀粒子を電子顕微鏡観察用のメッシュ
にのせ、電子線による損傷(プリントアウト等)を防ぐ
ように試料を冷却した状態で透過法により観察を行う。
この時粒子の厚みが厚い程、電子線が透過しにくくなる
ので高圧型(0.25μmの厚さの粒子に対して200
kV以上)の電子顕微鏡を用いた方がより鮮明に観察す
ることができる。このような方法により得られた粒子の
写真より、主平面に対して垂直方向から見た場合の各粒
子についての転位線の位置および数を求めることができ
る。
【0088】本実施の形態では、ハロゲン化銀粒子の全
投影面積の50%以上が、転位線の数が1粒子当り平均
10本以上のハロゲン化銀粒子からなり、好ましくは1
粒子当り平均20本以上である。転位線が密集して存在
する場合、または転位線が互いに交わって観察される場
合には、1粒子当りの転位線の数は明確には数えること
ができない場合がある。しかしながら、これらの場合に
おいても、おおよそ10本、20本、30本という程度
には数えることが可能であり、明らかに、数本しか存在
しない場合とは区別できる。転位線の数の1粒子当りの
平均数については100粒子以上について転位線の数を
数えて、数平均として求める。
【0089】転位線は、例えば平板粒子の側面近傍に導
入することができる。この場合転位は側面にほぼ垂直で
あり、平板状粒子の中心から辺(側面)までの距離の長
さのx%の位置から始まり側面に至るように転位線が発
生している。このxの値は好ましくは10以上100未
満であり、より好ましくは30以上99未満であり、最
も好ましくは50以上98未満である。この時、この転
位線の開始する位置を結んでつくられる形状は粒子形と
相似に近いが、完全な相似形ではなく、ゆがむことがあ
る。この型の転位数は粒子の中心領域には見られない。
転位線の方向は結晶学的におおよそ(211)方向であ
るがしばしば蛇行しており、また互いに交わっているこ
ともある。
【0090】また平板粒子の側面近傍の全域に渡ってほ
ぼ均一に転位線を有していても、側面近傍の局所的な位
置に転位線を有していてもよい。すなわち六角形平板ハ
ロゲン化銀粒子を例にとると、6つの頂点の近傍のみに
転位線が限定されていてもよいし、そのうちの1つの頂
点近傍のみに転位線が限定されていてもよい。逆に6つ
の頂点近傍を除く辺のみに転位線が限定されていること
も可能である。
【0091】また平板粒子の平行な2つの主平面の中心
を含む領域に渡って転位線が形成されていてもよい。主
平面の全域に渡って転位線が形成されている場合には転
位線の方向は主平面に垂直な方向から見ると結晶学的に
おおよそ(211)方向の場合もあるが(110)方向
またはランダムに形成されている場合もあり、さらに各
転位線の長さもランダムであり、主平面上に短い線とし
て観察される場合と、長い線として辺(外周)まで到達
して観察される場合がある。転位線は直線のこともあれ
ば蛇行していることも多い。また、多くの場合互いに交
わっている。
【0092】転位線の位置は以上のように側面近傍また
は主平面上または局所的な位置に限定されていてもよい
し、これらが組み合わされて、形成されていてもよい。
すなわち、側面近傍と主平面上に同時に存在していても
よい。
【0093】この平板粒子乳剤の粒子表面のヨウ化銀含
有量は、好ましくは10mol%以下で、特に好ましく
は5mol%以下である。なお、本明細書において、粒
子表面のヨウ化銀含有量はXPS(X−ray Pho
toelectron Spectroscopy)を
用いて測定された含有量をいうものとする。ハロゲン化
銀粒子表面付近のヨウ化銀含量の分析に使用されるXP
S法の原理に関しては、相原らの、「電子の分光」(共
立ライブラリ−16、共立出版発行,昭和53年)を参
考にすることができる。XPSの標準的な測定法は、励
起X線としてMg−Kを使用し、適当な試料形態とした
ハロゲン化銀から放出される沃素(I)と銀(Ag)の
光電子(通常はI−3d5/2、Ag−3d5/2)の
強度を観測する方法である。沃素の含量を求めるには、
沃素の含量が既知である数種類の標準試料を用いて沃素
(I)と銀(Ag)の光電子の強度比(強度(I)/強度
(Ag))の検量線を作製し、この検量線からもとめる
ことができる。ハロゲン化銀乳剤ではハロゲン化銀粒子
表面に吸着したゼラチンを蛋白質分解酵素などで分解、
除去した後にXPSの測定をおこなわなければならな
い。粒子表面のヨウ化銀含有量が10mol%以下の平
板粒子乳剤とは、1つの乳剤に含まれる乳剤粒子を、X
PSで分析したときにヨウ化銀含量が10mol%以下
であるものをさす。この場合、明瞭に2種以上の乳剤が
混合されているときには、遠心分離法、濾別法など適当
な前処理を施した上で同1種類の乳剤につき分析を行う
必要がある。
【0094】本実施の形態および後述する第二の実施の
形態において、平板粒子乳剤の構造は、例えば臭化銀/
沃臭化銀/臭化銀からなる3重構造粒子ならびにそれ以
上の高次構造も好ましい。構造間の沃化銀含有率の境界
は明確なものであっても、連続的になだらかに変化して
いるものであっても、いずれでもよい。通常、粉末X線
回折法を用いた沃化銀含有量の測定では沃化銀含有量の
異なる明確な2山を示す様なことはなく、高沃化銀含有
率の方向にすそをひいたようなX線回折プロフィールを
示す。表面よりも内側の層の沃化銀含有率が高いことが
好ましく、表面よりも内側の層の沃化銀含有率は好まし
くは5mol%以上高く、より好ましくは7mol%以
上高い。
【0095】本発明の第二の実施の形態は、前記メルカ
プト基含有ポリマーを含むとともに、ハロゲン化銀粒子
の全投影面積の50%以上が下記(a)、(d)および
(e)を満たすハロゲン化銀粒子からなる平板状ハロゲ
ン化銀写真乳剤である。 (a) 平行な主平面が(111)面 (d) 塩化銀含有率が10mol%未満の沃臭化銀も
しくは塩沃臭化銀 (e) 六角形ハロゲン化銀粒子の頂点部および/また
は側面部および/または主平面部に1粒子当り少なくと
も1個のエピタキシャル接合を有する
【0096】第二の実施の形態の平板状ハロゲン化銀写
真乳剤において、平行な主平面が(111)面であり、
最小の長さを有する辺の長さに対する最大の長さを有す
る辺の長さの比が2以下である六角形ハロゲン化銀粒子
の頂点部、および/または側面部、および/または主平
面部に1粒子当り少なくとも一個以上のエピタキシャル
接合を有する粒子を用いる。エピタキシャル接合した粒
子とは、ハロゲン化銀粒子本体の他に該粒子と接合した
結晶部(すなわち、エピタキシャル部)を持つ粒子であ
り、接合した結晶部は通常ハロゲン化銀粒子本体から突
出している。接合した結晶部(エピタキシャル部)の粒
子全銀量に対する割合は2%〜30%が好ましく、5%
〜15%がより好ましい。エピタキシャル部は粒子本体
のどの部分に存在してもよいが、粒子主平面部、粒子側
面部および粒子頂点部が好ましい。エピタキシャルの個
数は、少なくとも一つ以上が好ましい。また、エピタキ
シャル部の組成は、AgCl、AgBrCl、AgBr
ClI、AgBrI、AgI、AgSCN等が好ましい。
エピタキシャル部が存在する場合、粒子内部には転位線
が存在してもよいが、存在しなくてもよい。
【0097】第二の実施の形態においては、第一の実施
の形態と同様、前記ハロゲン化銀粒子は塩化銀含有率1
0mol%未満の沃臭化銀または塩沃臭化銀よりなる。
【0098】次に、前記第一および第二の実施の形態に
用いられるハロゲン化銀粒子の調製方法について説明す
る。ハロゲン化銀粒子の調製方法の一例は、(a)基盤
粒子形成工程と、それに引き続く粒子形成工程((b)
工程)とを含む。基本的に(a)工程に引き続き(b)
工程を行うことが好ましいが、(a)工程のみでもよ
い。(b)工程は、(b1)転位導入工程、(b2)頂
点部転位限定導入工程、または(b3)エピタキシャル
接合工程、のいずれでもよく、少なくとも一つ含んでい
ればよく、二つ以上組み合わせてもよい。
【0099】まず、(a)基盤粒子形成工程について説
明する。基盤部は、粒子形成に使用した全銀量に対して
少なくとも50%以上が好ましく、さらに好ましくは6
0%以上である。また、基盤部の銀量に対するヨードの
平均含有率は0mol%〜以30%molが好ましく、
0mol%〜15mol%がさらに好ましい。また、基
盤部は必要に応じてコアシェル構造を取ってもよい。そ
の際、基盤部のコア部は基盤部の全銀量に対して50%
か〜70%であることが好ましく、コア部の平均ヨード
組成は0mol%〜30mol%が好ましく、0mol
%〜15mol%がさらに好ましい。シェル部のヨード
組成は0mol%〜3mol%が好ましい。
【0100】ハロゲン化銀乳剤の調製方法としては、ハ
ロゲン化銀核を形成した後、さらにハロゲン化銀粒子を
成長させて所望のサイズの粒子を得る方法が一般的であ
る。また、平板状粒子の形成に関しては、一般的に、少
なくとも核形成、熟成および成長の工程が含まれる。こ
れらの工程については、米国特許第4,945,037
号明細書に詳細に記載されている。
【0101】以下、核形成、熟成および成長の工程につ
いて説明する。 1.核形成 平板粒子の核形成は、一般的にはゼラチンの水溶液を保
持する反応容器に、銀塩水溶液とハロゲン化アルカリ水
溶液を添加して行われるダブルジェット法、あるいはハ
ロゲン化アルカリを含むゼラチン溶液に銀塩水溶液を添
加するシングルジェット法が用いられる。また、必要に
応じて銀塩を含むゼラチン溶液にハロゲン化アルカリ水
溶液を添加する方法も用いることができる。さらに、必
要に応じて特開昭2−44335号公報に開示されてい
る混合器にゼラチン溶液と銀塩溶液とハロゲン化アルカ
リ水溶液とを添加し、ただちにそれを反応容器に移すこ
とによって平板粒子の核形成を行うこともできる。ま
た、米国特許第5,104,786号明細書に開示され
ているように、ハロゲン化アルカリと保護コロイド溶液
を含む水溶液をパイプに通し、そこに銀塩水溶液を添加
することにより核形成を行うこともできる。また、米国
特許第6,022,681号明細書記載の塩素含有量が
核形成に使用した銀量に対して10mol%以上である
ような核形成を用いてもよい。
【0102】核形成は、ゼラチンを分散媒とし、pBr
が1〜4の条件で分散媒形成することが好ましい。ゼラ
チンの種類としては、アルカリ処理ゼラチン、低分子量
ゼラチン(分子量:3000〜4万)、米国特許第4,
713,320号明細書および同第4,942,120
号明細書に記載の酸化処理ゼラチン、および低分子量の
酸化処理ゼラチンを用いてもよい。特に低分子量の酸化
処理ゼラチンを用いることが好ましい。い。
【0103】分散媒の濃度は、10質量%以下が好まし
く、さらに1質量%以下がより好ましい。核形成時の温
度は、5〜60℃が好ましいが、平均粒子サイズが0.
5μm以下の微粒子平板粒子を作る場合は5〜48℃が
より好ましい。分散媒のpHは、1以上10以下が好ま
しいが、1.5以上9以下がさらに好ましい。
【0104】また、米国特許第5,147,771号明
細書,同第5,147,772号明細書、同第5,14
7,773号明細書、同第5,171,659号明細
書、同第5,210,013号明細書、同第5,25
2,453号明細書、および特許第3,089,578
号明細書に記載のポリアルキレンオキサイド化合物を核
形成工程、もしくは後の熟成工程、および成長工程で添
加することが可能である。
【0105】2.熟成 1.核形成工程では、平板粒子以外の微粒子(特に、八
面体および一重双晶粒子)が形成される。次に述べる成
長過程に入る前に平板粒子以外の粒子を消滅せしめ、平
板粒子となるべき形状でかつ単分散性のよい核を得る必
要がある。これを可能とするために、核形成に引き続い
てオストワルド熟成を行うことがよく知られている。
【0106】核形成後、直ちにpBrを調節した後、温
度を上昇させ六角平板粒子比率が最高となるまで熟成を
行う。この時に、ゼラチン溶液を追添加してもよい。そ
の際の分散媒溶液に対するゼラチンの濃度は、10質量
%以下であることが好ましい。この時使用する追添加ゼ
ラチンは、アルカリ処理ゼラチン、アミノ基が95%以
上修飾されたコハク化ゼラチンやトリメリット化ゼラチ
ンのような特開平11−143002号公報記載のアミ
ノ基修飾ゼラチン、特開平11−143003号公報記
載のイミダゾール基修飾ゼラチン、および酸化処理ゼラ
チンを用いる。特に、コハク化ゼラチンやトリメリット
化ゼラチンを用いることが好ましい。熟成の温度は、4
0〜80℃、好ましくは50〜80℃であり、pBrは
1.2〜3.0である。また、pHは1.5以上9以下
が好ましい。
【0107】また、この時平板粒子以外の粒子を速やか
に消失せしめるために、ハロゲン化銀溶剤を添加しても
よい。この場合のハロゲン化銀溶剤の濃度としては、
0.3mol/L以下が好ましく、0.2mol/L以
下がより好ましい。直接反転用乳剤として用いる場合
は、ハロゲン化銀溶剤として、アルカリ性側で用いられ
るNH3より、中性、酸性側で用いられるチオエーテル
化合物等のハロゲン化銀溶剤の方が好ましい。このよう
に熟成して、ほぼ100%平板状粒子のみとする。
【0108】熟成が終わった後、次の成長過程でハロゲ
ン化銀溶剤が不要の場合は、次の(I)または(II)の
ようにしてハロゲン化銀溶剤を除去する。 (I) NH3のようなアルカリ性ハロゲン化銀溶剤の
場合は、HNO3のようなAg+との溶解度積の大きな酸
を加えて無効化する。 (II) チオエーテル系ハロゲン化銀溶剤の場合は、特
開昭60−136736号公報に記載のごとくH22
の酸化剤を添加して無効化する。
【0109】3.成長 熟成過程に続く結晶成長期のpBrは1.4〜3.5に
保つことが好ましい。成長過程に入る前の分散媒溶液中
のゼラチン濃度が低い場合(1質量%以下)に、ゼラチ
ンを追添加する場合がある。その際、分散媒溶液中のゼ
ラチン濃度は、1〜10質量%にすることが好ましい。
この時使用するゼラチンは、アルカリ処理ゼラチン、ア
ミノ基が95%以上修飾されたコハク化ゼラチンやトリ
メリット化ゼラチン、および酸化処理ゼラチンを用い
る。特に、コハク化ゼラチンやトリメリット化ゼラチン
を用いることが好ましい。
【0110】成長中のpHは、2〜10が好ましく、4
〜8がより好ましい。ただし、コハク化ゼラチンおよび
トリメリット化ゼラチン存在時には、5〜8が好まし
い。結晶成長期におけるAg+およびハロゲンイオンの
添加速度は、結晶臨界成長速度の20〜100%、好ま
しくは30〜100%の結晶成長速度になるようにする
のが好ましい。この場合、結晶成長とともに銀イオンお
よびハロゲンイオンの添加速度を増加させていくが、そ
の場合、特公昭48−36890号公報、同52−16
364号公報記載のように、銀塩およびハロゲン塩水溶
液の添加速度を上昇させてもよく、水溶液の濃度を増加
させてもよい。銀塩水溶液とハロゲン塩水溶液を同時に
添加するダブルジェット法で行ってもよいが、米国特許
第4,672,027号明細書および同第4,693,
964号明細書に記載の硝酸銀水溶液と臭化物を含むハ
ロゲン水溶液と沃化銀微粒子乳剤を同時に添加すること
が好ましい。この際、成長の温度は、50℃〜90℃が
好ましく、60℃〜85℃がさらに好ましい。また、添
加するAgI微粒子乳剤は、あらかじめ調製したもので
もよく、連続的に調製しながら添加してもよい。この際
の調製方法は、特開平10−43570号公報を参考に
できる。
【0111】添加するAgI乳剤の平均粒子サイズは
0.005μm〜0.1μmが好ましく、0.007μ
m〜0.08μmがより好ましい。基盤粒子のヨード組
成は、添加するAgI乳剤の量により変化させることが
できる。
【0112】さらに、銀塩水溶液とハロゲン塩水溶液の
添加の代わりに、ヨウ臭化銀微粒子を添加するのが好ま
しい。この際、微粒子のヨード量を所望する基盤粒子の
ヨード量と等しくすることで、所望のヨード組成の基盤
粒子が得られる。ヨウ臭化銀微粒子はあらかじめ調製し
たものでもよいが、連続的に調製しながら添加するほう
が好ましい。添加するヨウ臭化銀微粒子サイズは、0.
005μm〜0.1μmが好ましく、0.01μm〜
0.08μmがより好ましい。成長時の温度は50℃〜
90℃が好ましく、60℃〜85℃がより好ましい。
【0113】次に、(b)工程について説明する。ま
ず、(b1)工程について説明する。(b1)工程は第
1シェル工程と第2シェル工程からなる。上述した基盤
に第1シェルを設ける。第1シェルの比率は好ましくは
全銀量に対して1mol%〜30mol%であって、そ
の平均沃化銀含有率20mol%〜100mol%であ
る。より好ましくは第1シェルの比率は全銀量に対して
1mol%〜20mol%であって、その平均沃化銀含
有率25mol%〜100mol%である。基盤への第
1シェルの成長は基本的には硝酸銀水溶液と沃化物と臭
化物を含むハロゲン水溶液をダブルジェット法で添加す
る。もしくは硝酸銀水溶液と沃化物を含むハロゲン水溶
液をダブルジェット法で添加する。もしくは沃化物を含
むハロゲン水溶液をシングルジェット法で添加する。
【0114】第1シェルの平均沃化銀含有率から明らか
なように、第1シェル形成時には沃臭化銀混晶の他に沃
化銀が析出し得る。いずれの場合でも通常は、次の第2
シェルの形成時に、沃化銀は消失し、すべて沃臭化銀混
晶に変化する。
【0115】第1シェルの形成の好ましい方法として沃
臭化銀もしくは沃化銀微粒子乳剤を添加して熟成し溶解
する方法がある。さらに、好ましい方法として沃化銀微
粒子乳剤を添加して、その後、硝酸銀水溶液の添加もし
くは硝酸銀水溶液とハロゲン水溶液を添加する方法があ
る。この場合、沃化銀微粒子乳剤の溶解は、硝酸銀水溶
液の添加により促進されるが、添加した沃化銀微粒子乳
剤の銀量を用いて第1シェルとし、沃化銀含有率100
mol%とする。そして添加した硝酸銀水溶液の銀量を
用いて第2シェルとして計算する。
【0116】沃化銀微粒子乳剤を添加する場合は、沃化
銀微粒子は急激に添加されることが好ましい。沃化銀微
粒子乳剤を急激に添加するとは、好ましくは10分以内
に沃化銀微粒子乳剤を添加することをいう。より好まし
くは7分以内に添加することをいう。この条件は添加す
る系の温度、pBr、pH、ゼラチン等の保護コロイド
剤の種類、濃度、ハロゲン化銀溶剤の有無、種類、濃度
等により変化しうるが、上述したように短い方が好まし
い。添加する時には実質的に硝酸銀等の銀塩水溶液の添
加は行なわれない方が好ましい。添加時の系の温度は4
0℃〜90℃が好ましく、50℃〜80℃が特に好まし
い。
【0117】沃化銀微粒子乳剤は実質的に沃化銀であれ
ばよく、混晶となり得る限りにおいて臭化銀および/ま
たは塩化銀を含有していてもよい。好ましくは100%
沃化銀である。沃化銀はその結晶構造においてβ体、γ
体ならびに米国特許第4,672,026号明細書に記
載されているようにα体もしくはα体類似構造があり得
る。その結晶構造の制限は特にはないが、β体とγ体の
混合物が好ましく、β体がより好ましく用いられる。沃
化銀微粒子乳剤は米国特許第5,004,679号明細
書等に記載の添加する直前に形成したものでもよいし、
通常の水洗工程を経たものでもいずれでもよいが、本発
明においては好ましくは通常の水洗工程を経たものが用
いられる。沃化銀微粒子乳剤は、米国特許第4,67
2,026号明細書等に記載の方法で容易に形成し得
る。粒子形成時のpI値を一定にして粒子形成を行う、
銀塩水溶液と沃化物塩水溶液のダブルジェット添加法が
好ましい。ここでpIは系のI-イオン濃度の逆数の対
数である。温度、pI、pH、ゼラチン等の保護コロイ
ド剤の種類、濃度、ハロゲン化銀溶剤の有無、種類、濃
度等に特に制限はないが、粒子のサイズは0.1μm以
下、より好ましくは0.07μm以下が本発明に都合が
よい。微粒子であるために粒子形状は完全には特定でき
ないが、粒子サイズの分布の変動係数は25%以下が好
ましい。特に20%以下の場合には、本発明の効果が著
しい。ここで沃化銀微粒子乳剤のサイズおよびサイズ分
布は、沃化銀微粒子を電子顕微鏡観察用のメッシュにの
せ、カーボンレプリカ法ではなく直接、透過法によって
観察して求める。これは粒子サイズが小さいために、カ
ーボンレプリカ法による観察では測定誤差が大きくなる
ためである。粒子サイズは観察された粒子と等しい投影
面積を有する円の直径と定義する。粒子サイズの分布に
ついても、この等しい投影面積円直径を用いて求める。
本発明において最も有効な沃化銀微粒子は粒子サイズが
0.06μm以下0.02μm以上であり、粒子サイズ
分布の変動係数が18%以下である。
【0118】沃化銀微粒子乳剤は上述の粒子形成後、好
ましくは米国特許第2,614,929号明細書等に記
載の通常の水洗およびpH、pI、ゼラチン等の保護コ
ロイド剤の濃度調整ならびに含有沃化銀の濃度調整が行
われる。pHは5以上7以下が好ましい。pI値は沃化
銀の溶解度が最低になるpI値もしくはその値よりも高
いpI値に設定することが好ましい。保護コロイド剤と
しては、平均分子量10万程度の通常のゼラチンが好ま
しく用いられる。平均分子量2万以下の低分子量ゼラチ
ンも好ましく用いられる。また上記の分子量の異なるゼ
ラチンを混合して用いると都合がよい場合がある。乳剤
1kgあたりのゼラチン量は好ましくは10g〜100
gである。より好ましくは20g〜80gである。乳剤
1kgあたりの銀原子換算の銀量は好ましくは10g〜
100gである。より好ましくは20g〜80gであ
る。ゼラチン量および/または銀量は沃化銀微粒子乳剤
を急激に添加するのに適した値を選択することが好まし
い。
【0119】沃化銀微粒子乳剤は、通常、あらかじめ溶
解して添加するが、添加時には系の撹拌効率を十分に高
める必要がある。好ましくは撹拌回転数は、通常よりも
高めに設定される。撹拌時の泡の発生を防じるために消
泡剤の添加は効果的である。具体的には、米国特許第
5,275,929号明細書の実施例等に記述されてい
る消泡剤が用いられる。
【0120】第1シェル形成のさらに好ましい方法とし
て、従来の沃化物イオン供給法(フリーな沃化物イオン
を添加する方法)のかわりに米国特許第5、496、6
94号明細書に記載の沃化物イオン放出剤を用いて、沃
化物イオンを急激に生成せしめながら沃化銀を含むハロ
ゲン化銀相を形成することができる。沃化物イオン放出
剤は沃化物イオン放出調節剤(塩基および/または求核
試薬)との反応により沃化物イオンを放出するが、この
際に用いる求核試薬としては好ましくは以下の化学種が
挙げられる。例えば、水酸化物イオン、亜硫酸イオン、
ヒドロキシルアミン、チオ硫酸イオン、メタ重亜硫酸イ
オン、ヒドロキサム酸類、オキシム類、ジヒドロキシベ
ンゼン類、メルカプタン類、スルフィン酸塩、カルボン
酸塩、アンモニア、アミン類、アルコール類、尿素類、
チオ尿素類、フェノール類、ヒドラジン類、ヒドラジド
類、セミカルバジド類、ホスフィン類、スルフィド類が
挙げられる。
【0121】前記塩基および前記求核試薬の濃度、添加
方法、また反応液の温度をコントロールすることによ
り、沃化物イオンの放出速度、タイミングをコントロー
ルすることができる。塩基として好ましくは水酸化アル
カリが挙げられる。
【0122】沃化物イオンを急激に生成せしめるのに用
いる沃化物イオン放出剤および沃化物イオン放出調節剤
の好ましい濃度範囲は1×10-7〜20Mであり、より
好ましくは1×10-5〜10M、さらに好ましくは1×
10-4〜5M、特に好ましくは1×10-3〜2Mであ
る。濃度が20Mを上回ると、分子量の大きい沃化物イ
オン放出剤および沃化物イオン放出剤の添加量が粒子形
成容器の容量に対して多くなり過ぎるため好ましくな
い。また、1×10-7Mを下回ると沃化物イオン放出反
応速度が遅くなり、沃化物イオン放出剤を急激に生成せ
しめるのが困難になるため好ましくない。
【0123】好ましい温度範囲は30〜80℃であり、
より好ましくは35〜75℃、特に好ましくは35〜6
0℃である。温度が80℃上回る高温では一般に沃化物
イオン放出反応速度が極めて速くなり、また30℃下回
る低温では一般に沃化物イオン放出反応速度が極めて遅
くなるため、それぞれ使用条件が限られ好ましくない。
【0124】沃化物イオンの放出の際に塩基を用いる場
合、液pHの変化を用いてもよい。この時、沃化物イオ
ンの放出速度、タイミングをコントロールするのに好ま
しいpHの範囲は2〜12であり、より好ましくは3〜
11、特に好ましくは5〜10、最も好ましくは調節後
のpHが7.5〜10.0である。pH7の中性条件下
でも水のイオン積により定まる水酸化物イオンが調節剤
として作用する。
【0125】また、求核試薬と塩基とを併用してもよ
く、この時もpHを上記の範囲でコントロールし、沃化
物イオンの放出速度、タイミングをコントロールしても
よい。沃化物イオン放出剤から沃素原子を沃化物イオン
の形で放出させる場合、全沃素原子を放出させてもよい
し、一部は分解せずに残っていてもよい。
【0126】(b1)工程では、さらに上述した基盤お
よび第1シェルを有する平板粒子上に第2シェルを設け
る。第2シェルの比率は好ましくは全銀量に対して10
mol%〜40mol%であって、その平均沃化銀含有
率が0mol%〜5mol%である。より好ましくは第
2シェルの比率は全銀量に対して15mol%以上30
mol%以下であって、その平均沃化銀含有率が0mo
l%以上3mol%以下である。基盤および第1シェル
を有する平板粒子上への第2シェルの成長は該平板粒子
のアスペクト比を上げる方向でも下げる方向でもよい。
基本的には硝酸銀水溶液と臭化物を含むハロゲン水溶液
をダブルジェット法で添加することにより第2シェルの
成長は行なわれる。もしくは臭化物を含むハロゲン水溶
液を添加した後、硝酸銀水溶液をシングルジェット法で
添加してもよい。系の温度、pH、ゼラチン等の保護コ
ロイド剤の種類、濃度、ハロゲン化銀溶剤の有無、種
類、濃度等は広範に変化しうる。pBrについては、本
発明においては該層の形成終了時のpBrが該層の形成
初期時のpBrよりも高くなることが好ましい。好まし
くは該層の形成初期のpBrが2.9以下であり該層の
形成終了時のpBrが1.7以上である。さらに好まし
くは該層の形成初期のpBrが2.5以下であり該層の
形成終了時のpBrが1.9以上である。最も好ましく
は該層の形成初期のpBrが2.3以下1以上である。
最も好ましくは該層の終了時のpBrが2.1以上4.
5以下である。
【0127】(b1)工程の部分には転位線が存在する
ことが好ましい。転位線は平板粒子の側面部近傍に存在
することが好ましい。側面部近傍とは、平板粒子の六辺
の側面部とその内側部分、すなわち(b1)工程で成長
させた部分のことである。側面部に存在する転位線は1
粒子当り平均10本以上が好ましい。より好ましくは1
粒子当り平均20本以上である。転位線が密集して存在
する場合、または転位線が互いに交わって観察される場
合には、1粒子当りの転位線の数は明確には数えること
ができない場合がある。しかしながら、これらの場合に
おいても、おおよそ10本、20本、30本という程度
には数えることが可能であり、明らかに数本しか存在し
ない場合とは区別できる。転位線の数の1粒子当りの平
均数については100粒子以上について転位線の数を数
えて、数平均として求める。
【0128】平板粒子の粒子間の転位線量分布は、均一
であることが望ましい。乳剤は1粒子当たり10本以上
の転位線を含むハロゲン化銀粒子が全粒子の100〜5
0%を占めることが好ましく、より好ましくは100〜
70%を、特に好ましくは100〜90%を占める。5
0%を下回ると粒子間の均質性の点で好ましくない。
【0129】転位線を含む粒子の割合および転位線の本
数を求める場合は、少なくとも100粒子について転位
線を直接観察して求めることが好ましく、より好ましく
は200粒子以上、特に好ましくは300粒子以上につ
いて観察して求める。
【0130】次に、(b2)工程について説明する。 (b2)工程には、(i)頂点近傍のみをヨウ化物イオ
ンにより溶解する方法と、(ii)銀塩溶液とヨウ化物塩
溶液を同時に添加する方法と、(iii)ハロゲン化銀溶
剤を用いて頂点近傍のみを実質的に溶解する方法と、
(iv)ハロゲン変換を介する方法とがあり、いずれによ
り(b2)工程を実施してもよい。以下、各々の方法に
ついて説明する。
【0131】まず、(i)ヨウ化物イオンにより溶解す
る方法について説明する。基盤粒子にヨウ化物イオンを
添加することで基盤粒子の各頂点部近傍が溶解して丸み
を帯びる。続けて、硝酸銀溶液と臭化物溶液、または、
硝酸銀溶液と臭化物溶液とヨウ化物溶液の混合液を同時
に添加すると粒子はさらに成長して頂点近傍に転位が導
入される。この方法に関しては、特開平4−14954
1号公報、および特開平9−189974号公報を参考
にできる。
【0132】この方法では、添加されるヨウ化物イオン
の総量は、該ヨウ化物イオン総モル数を基盤粒子の総銀
量モル数で除した値に100を掛けた値をI2(mol
%)とした時、基盤粒子のヨウ化銀含有率I1(mol
%)に対して、(I2−I1)が0〜8を満たすことが効
果的な溶解を得る上で好ましく、より好ましくは0〜4
である。
【0133】添加されるヨウ化物イオンの濃度は低い方
が好ましく、具体的には0.2mol/L以下の濃度で
あることが好ましく、さらに好ましくは0.1mol/
Lである。また、ヨウ化物イオン添加時のpAgは8.
0以上が好ましく、さらに好ましくは8.5以上であ
る。
【0134】基盤粒子へのヨウ化物イオンの添加による
該基盤粒子の頂点部溶解に引き続き、硝酸銀溶液の単独
添加、または、硝酸銀溶液と臭化物溶液、もしくは、硝
酸銀溶液と臭化物溶液とヨウ化物溶液の混合液を同時に
添加して粒子をさらに成長させ頂点近傍に転位を導入さ
せる。
【0135】次に、(ii)銀塩溶液とヨウ化物塩溶液と
の同時添加による方法について説明する。基盤粒子に対
して銀塩溶液とヨウ化物塩溶液を急速に添加することで
粒子の頂点部にヨウ化銀もしくはヨウ化銀含率の高いハ
ロゲン化銀をエピタキシャル生成させることができる。
この際、銀塩溶液とヨウ化物塩溶液の好ましい添加速度
は0.2分〜0.5分であり、さらに好ましくは0.5
分〜2分である。この方法に関しては、特開平4−14
9541号公報に詳細に記載されているので、参考にす
ることができる。
【0136】基盤粒子へのヨウ化物イオンの添加による
該基盤粒子の頂点部溶解に引き続き、硝酸銀溶液の単独
添加、または、硝酸銀溶液と臭化物溶液、もしくは、硝
酸銀溶液と臭化物溶液とヨウ化物溶液の混合液を同時に
添加して粒子をさらに成長させ頂点近傍に転位を導入さ
せる。
【0137】次に、(iii) ハロゲン化銀溶剤を用いる
方法について説明する。基盤粒子を含む分散媒にハロゲ
ン化銀溶剤を加えた後、銀塩溶液とヨウ化物塩溶液を同
時添加すると、ハロゲン化銀溶剤により溶解した基盤粒
子の頂点部にヨウ化銀もしくはヨウ化銀含率の高いハロ
ゲン化銀が優先的に成長することになる。この際、銀塩
溶液およびヨウ化物塩溶液は急速に添加する必要はな
い。この方法に関しては、特開平4−149541号公
報に詳細に記載されているので、これを参考にできる。
【0138】基盤粒子へのヨウ化物イオンの添加による
該基盤粒子の頂点部溶解に引き続き、硝酸銀溶液の単独
添加、または、硝酸銀溶液と臭化物溶液、もしくは、硝
酸銀溶液と臭化物溶液とヨウ化物溶液の混合液を同時に
添加して粒子をさらに成長させ頂点近傍に転位を導入さ
せる。
【0139】次に、(iv) ハロゲン変換を介する方法
について説明する。基盤粒子にエピタキシャル成長部位
指示剤(以下、サイトダイレクターと呼ぶ)、例えば特
開昭58−108526号公報記載の増感色素や、水溶
性ヨウ化物を添加することで基盤粒子の頂点部に塩化銀
のエピタキシャルを形成した後ヨウ化物イオンを添加す
ることで塩化銀をヨウ化銀もしくはヨウ化銀含率の高い
ハロゲン化銀へハロゲン変換する方法である。サイトダ
イレクターは増感色素、水溶性チオシアン酸イオン、お
よび水溶性ヨウ化物イオンが使用できるが、沃化物イオ
ンが好ましい。ヨウ化物イオンは基盤粒子に対して0.
0005〜1mol%、好ましくは0.001〜0.5
mol%が好ましい。最適な量の沃化物イオンを添加し
た後、銀塩溶液と塩化物塩溶液の同時添加すると塩化銀
のエピタキシャルを基盤粒子の頂点部に形成できる。
【0140】塩化銀のヨウ化物イオンによるハロゲン変
換について説明すると、溶解度の大きいハロゲン化銀は
溶解度のより小さいハロゲン化銀を形成し得るハロゲン
イオンを添加することにより、溶解度のより小さいハロ
ゲン化銀に変換される。この過程はハロゲン変換と呼ば
れ、例えば米国特許第4,142,900号明細書に記
載されている。基盤の頂点部にエピタキシャル成長した
塩化銀をヨウ化物イオンにより選択的にハロゲン変換す
ることで基盤粒子頂点部にヨウ化銀相を形成させる。詳
細は、特開平4−149541号公報に記載されてい
る。
【0141】基盤粒子の頂点部にエピタキシャル成長し
た塩化銀をヨウ化物イオンの添加によるヨウ化銀相への
ハロゲン変換に引き続き、硝酸銀溶液の単独添加、また
は、硝酸銀溶液と臭化物溶液、もしくは、硝酸銀溶液と
臭化物溶液とヨウ化物溶液の混合液を同時に添加して粒
子をさらに成長させ頂点近傍に転位を導入させる。
【0142】(b2)工程の部分には転位線が存在する
ことが好ましい。転位線は平板粒子の頂点部近傍に存在
することが好ましい。頂点部近傍とは、粒子の中心と各
頂点を結ぶ直線の中心からx%の位置の点から、各頂点
を作る辺に垂線を下した時に、その垂線とその辺とで囲
まれた三次元の部分のことである。このxの値は好まし
くは50以上100未満、さらに好ましくは75以上1
00未満である。側面部に存在する転位線は1粒子当り
平均10本以上が好ましい。より好ましくは1粒子当り
平均20本以上である。転位線が密集して存在する場
合、または転位線が互いに交わって観察される場合に
は、1粒子当りの転位線の数は明確には数えることがで
きない場合がある。しかしながら、これらの場合におい
ても、おおよそ10本、20本、30本という程度には
数えることが可能であり、明らかに数本しか存在しない
場合とは区別できる。転位線の数の1粒子当りの平均数
については100粒子以上について転位線の数を数え
て、数平均として求める。
【0143】本発明の平板粒子は粒子間の転位線量分布
が均一であることが望ましい。本発明の乳剤は1粒子当
たり10本以上の転位線を含むハロゲン化銀粒子が全粒
子の100〜50%を占めることが好ましく、より好ま
しくは100〜70%を、特に好ましくは100〜90
%を占める。50%を下回ると粒子間の均質性の点で好
ましくない。
【0144】本発明において転位線を含む粒子の割合お
よび転位線の本数を求める場合は、少なくとも100粒
子について転位線を直接観察して求めることが好まし
く、より好ましくは200粒子以上、特に好ましくは3
00粒子以上について観察して求める。
【0145】次に、(b3)工程について説明する。基
盤粒子へのハロゲン化銀のエピタキシャル形成に関して
は、米国特許第4,435,501号明細書に記載され
ているように、基盤粒子表面に吸着したヨウ化物イオ
ン、アミノアザインデン、もしくは分光増感色素等のサ
イトダイレクターによって銀塩エピタキシャルが選択さ
れた部位、例えば基盤粒子の側面、もしくは頂点に形成
できることが示されている。また、特開平8−6906
9号公報には極薄平板粒子基盤の選択された部位に銀塩
エピタキシャルを形成させ、このエピタキシャル相を最
適な化学増感することで高感化を達成している。
【0146】本発明においても、これらの方法を用いて
本発明の基盤粒子を高感化することは非常に好ましい。
サイトダイレクターは、アミノアザインデン、もしくは
分光増感色素を用いてもよいし、ヨウ化物イオン、もし
くはチオシアン酸イオンを用いることができ、目的に応
じて使い分けることもできるし、組み合わせてもよい。
【0147】増感色素量、ヨウ化物イオン、およびチオ
シアン酸イオンの添加量を変化させることで、銀塩エピ
タキシャルの形成部位を、基盤粒子の側面、あるいは頂
点に限定させることができる。添加するヨウ化物イオン
の量は、基盤粒子の銀量に対して0.0005〜1.0
mol%であるのが好ましく、0.001〜0.5mo
l%であるのがより好ましい。また、チオシアン酸イオ
ンの量は、基盤粒子の銀量に対して、0.01〜0.2
mol%であるのが好ましく、0.02〜0.1mol
%であるのがより好ましい。これらサイトダイレクター
添加後に、銀塩溶液とハロゲン塩溶液を添加して銀塩エ
ピタキシャルを形成する。この際の、温度は、40〜7
0℃であるのが好ましく、45〜60℃であるのがさら
に好ましい。また、この際のpAgは7.5以下が好ま
しく、6.5以下がさらに好ましい。サイトダイレクタ
ーを用いることで、基盤粒子の頂点部、もしくは側面部
に銀塩のエピタキシャルが形成される。こうして得た乳
剤を、特開平8−69069号公報のようにエピタキシ
ャル相に選択的に化学増感を施して高感化させてもよい
が、銀塩エピタキシャル形成に引き続き、銀塩溶液とハ
ロゲン塩溶液を同時添加してさらに成長させてもよい。
この際添加するハロゲン塩水溶液は、臭化物塩溶液、も
しくは、臭化物塩溶液とヨウ化物塩溶液との混合液が好
ましい。またこの際の温度は、40〜80℃が好まし
く、45〜70℃がさらに好ましい。また、この際のp
Agは5.5〜9.5が好ましく、6.0〜9.0がよ
り好ましい。
【0148】(b3)工程において形成されるエピタキ
シャルは、基本的に(a)工程で形成した基盤粒子の外
部に基盤粒子とは異なるハロゲン組成が形成されている
ことを特徴とする。エピタキシャルの組成は、AgC
l、AgBrCl、AgBrClI、AgBrI、Ag
I、AgSCN等が好ましい。また、エピタキシャル層
に特開平8−69069号公報に記載されているような
「ドーパント(金属錯体)」を導入することはさらに好ま
しい。エピタキシャル成長の位置は、基盤粒子の頂点
部、側面部、主平面部の少なくとも一部分でもよく、複
数の個所にまたがってもよい。頂点部のみ、もしくは、
側面部のみ、もしくは、頂点部と側面部の形態を取るこ
とが好ましい。
【0149】(b3)工程の部分には転位線が存在しな
くてもよいが、転位線が存在することはさらに好まし
い。転位線は基盤粒子とエピタキシャル成長部との接合
部、もしくはエピタキシャル部に存在することが好まし
い。接合部、もしくはエピタキシャル部に存在する転位
線は1粒子当り平均10本以上が好ましい。より好まし
くは1粒子当り平均20本以上である。転位線が密集し
て存在する場合、または転位線が互いに交わって観察さ
れる場合には、1粒子当りの転位線の数は明確には数え
ることができない場合がある。しかしながら、これらの
場合においても、おおよそ10本、20本、30本とい
う程度には数えることが可能であり、明らかに数本しか
存在しない場合とは区別できる。転位線の数の1粒子当
りの平均数については100粒子以上について転位線の
数を数えて、数平均として求める。
【0150】エピタキシャル部の形成時に6シアノ金属
錯体がドープされているのが好ましい。6シアノ金属錯
体のうち、鉄、ルテニウム、オスミウム、コバルト、ロ
ジウム、イリジウムまたはクロムを含有するものが好ま
しい。金属錯体の添加量は、ハロゲン化銀1mol当た
り10-9〜10-2molの範囲であることが好ましく、
ハロゲン化銀1mol当たり10-8〜10-4molの範
囲であることがさらに好ましい。金属錯体は、水または
有機溶媒に溶かして添加することができる。有機溶媒は
水と混和性を有することが好ましい。有機溶媒の例に
は、アルコール類、エーテル類、グリコール類、ケトン
類、エステル類、およびアミド類が含まれる。
【0151】添加する金属錯体としては、下記式(M
A)で表される6シアノ金属錯体が特に好ましい。6シ
アノ金属錯体は、高感度の感光材料が得られ、しかも生
感光材料を長期間保存したときでもカブリの発生を抑制
するという効果を有する。 式(MA) [M(CN)6n- 式中、Mは鉄、ルテニウム、オスミウム、コバルト、ロ
ジウム、イリジウムまたはクロムを表し、nは3または
4を表す。
【0152】6シアノ金属錯体の具体例を以下に示す。 (MA−1) [Fe(CN)64- (MA−2) [Fe(CN)63- (MA−3) [Ru(CN)64- (MA−4) [Os(CN)64- (MA−5) [Co(CN)63- (MA−6) [Rh(CN)63- (MA−7) [Ir(CN)63- (MA−8) [Cr(CN)64-
【0153】6シアノ錯体の対カチオンは、水と混和し
やすく、ハロゲン化銀乳剤の沈殿操作に適合しているイ
オンを用いることが好ましい。対イオンの例には、アル
カリ金属イオン(例、ナトリウムイオン、カリウムイオ
ン、ルビジウムイオン、セシウムイオン、リチウムイオ
ン)、アンモニウムイオンおよびアルキルアンモニウム
イオンが含まれる。
【0154】本発明の平板粒子は粒子間の転位線量分布
が均一であることが望ましい。本発明の乳剤は1粒子当
たり10本以上の転位線を含むハロゲン化銀粒子が全粒
子の100〜50%を占めることが好ましく、より好ま
しくは100〜70%を、特に好ましくは100〜90
%を占める。50%を下回ると粒子間の均質性の点で好
ましくない。なお、転位線を含む粒子の割合および転位
線の本数を求める場合は、少なくとも100粒子につい
て転位線を直接観察して求めることが好ましく、より好
ましくは200粒子以上、特に好ましくは300粒子以
上について観察して求める。
【0155】乳剤の調製時には、分散媒もしくは保護コ
ロイドとして、およびその他の親水性コロイド層のバイ
ンターとしては、ゼラチンを用いるのが有利であるが、
それ以外の親水性コロイドも用いることができる。例え
ば、ゼラチン誘導体、ゼラチンと他の高分子とのグラフ
トポリマー、アルブミン、カゼインのような蛋白質;ヒ
ドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロー
ス、セルロース硫酸エステル類のようなセルロース誘導
体、アルギン酸ナトリウム、澱粉誘導体のような糖誘導
体;ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール部分
アセタール、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリアクリ
ル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビ
ニルイミダゾール、ポリビニルピラゾールのような単一
あるいは共重合体の如き多種の合成親水性高分子物質を
用いることができる。
【0156】ゼラチンとしては石灰処理ゼラチンのほ
か、酸処理ゼラチンやBull.Soc.ScI.Photo.Japan.No.1
6.P30(1966)に記載されたような酵素処理ゼラチンを用
いてもよく、また、ゼラチンの加水分解物や酵素分解物
も用いることができる。好ましくは、アミノ基が95%
以上修飾されたコハク化ゼラチン、およびトリメリット
化ゼラチン、または酸化処理ゼラチンである、また低分
子量ゼラチン、および低分子量酸化処理ゼラチンを用い
ることも好ましい。さらに、分子量分布が28万以上の
成分を全ゼラチンに対して、30質量%以上、好ましく
は35質量%以上含んでいるゼラチンを用いてもよい。
石灰処理ゼラチンは、その分子量に基づいてサブα(低
分子量)、α(分子量約10万)、β(分子量約20
万)、γ(分子量約30万)および大高分子部分(ボイ
ド:分子量30万より大)からなる。それぞれの成分の
比率、すなわち分子量分布は、国際的に定められたPA
GI法により測定される。さらに詳しい説明および製法
は、特開平11−237704号公報に詳細に記載され
ている。
【0157】本発明の乳剤は脱塩のために水洗し、新し
く用意した保護コロイド分散にすることが好ましい。こ
の際の保護コロイドは上述した親水性コロイドおよびゼ
ラチンを用いることができる。この際、分子量分布が2
8万以上の成分を30%以上、好ましくは35%以上含
んでいるゼラチンを用いることは好ましい。水洗の温度
は目的に応じて選べるが、5℃〜50℃の範囲で選ぶこ
とが好ましい。水洗時のpHも目的に応じて選べるが2〜
10の間で選ぶことが好ましい。さらに好ましくは3〜
8の範囲である。水洗時のpAgも目的に応じて選べる
が5〜10の間で選ぶことが好ましい。水洗の方法とし
てヌードル水洗法、半透膜を用いた透析法、遠心分離
法、凝析沈降法、イオン交換法のなかから選んで用いる
ことができる。凝析沈降法の場合には硫酸塩を用いる方
法、有機溶剤を用いる方法、水溶性ポリマーを用いる方
法、ゼラチン誘導体を用いる方法などから選ぶことがで
きる。
【0158】本発明の第三の実施の形態は、前記メルカ
プト基含有ポリマーを含むとともに、ハロゲン化銀粒子
の全投影面積の50%以上が下記の(b)、(d)およ
び(g)を満たすハロゲン化銀粒子からなる平板状ハロ
ゲン化銀写真乳剤である。 (b) アスペクト比が2以上 (d) 塩化銀含有率が10mol%未満の沃臭化銀も
しくは塩沃臭化銀 (g) 平行な主平面が(100)面
【0159】本実施の形態の乳剤は(100)平板状粒
子が全投影面積の50〜100%、好ましくは70〜1
00%、より好ましくは90〜100%が主平面が(1
00)面である平均アスペクト比が2以上の平板状粒子
からなる。粒子厚みは0.01〜0.10μm、好まし
くは0.02〜0.08μm、より好ましくは0.03
〜0.07μmであり、アスペクト比は2〜100、好
ましくは3〜50、より好ましくは5〜30である。粒
子厚みの変動係数(「分布の標準偏差/平均粒子厚み」
の100分率、以下COV.と記す)は30%以下、好
ましくは25%以下、より好ましくは20%以下であ
る。このCOV.が小さいほど、粒子厚みの単分散度が
高いことを示している。
【0160】平板状粒子の投影面積径ならびに厚みは、
レプリカ法による透過電子顕微鏡(TEM)写真を撮影
して個々の粒子の投影面積径と厚みを求める。この場
合、厚みはレプリカの影(シャドー)の長さから算出す
る。本発明におけるCOV.の測定は、少なくとも600
個以上の粒子について測定した結果である。
【0161】本実施の形態の(100)平板状粒子の組
成は、塩化銀含有率10mol%未満の塩沃臭化銀ある
いは沃臭化銀である。また、その他の銀塩、例えばロダ
ン銀、硫化銀、セレン化銀、テルル化銀、炭酸銀、リン
酸銀、有機酸銀等が別粒子として、あるいはハロゲン化
銀粒子の一部分として含まれていてもよい。
【0162】AgX結晶中のハロゲン組成を調べる方法
としては、X線回折法が知られている。X線回折法につ
いては基礎分析化学講座24「X線回折」等に詳しく記
載されている。標準的には、CuのKβ線を線源として
AgX(420)面の回折角度を粉末法により求める。
回折核2θが求まるとブラックの式から格子定数aが以
下のように求まる。 2dsInθ=λ d = a /( h2 + k2 + l21/2 ここで、2θは(h k l)面の回折角、λはX線の
波長、dは(h kl)面の面間隔である。ハロゲン化
銀固溶体のハロゲン組成と格子定数aの関係は既に知ら
れているので(例えば、T.H.James編 「The Theory of
PhotographIcProcess. 4thEd.」MacmIllIan New York
に記載されている)、格子定数が分かるとハロゲン組成
が決定できる。
【0163】本実施の形態の(100)平板状粒子のハ
ロゲン組成構造は、どのようなものでもよい。例えば、
コアとシェルのハロゲン組成の異なる(コア/シェル)
2構造を有する粒子やコアと2つ以上のシェルを有する
多重構造の粒子が例として挙げられる。コアの組成とし
ては臭化銀が好ましいがこれに限られるものではない。
また、シェルの組成はコアよりも沃化銀含有率が高い方
が好ましい。
【0164】上記の(100)平板状粒子は、平均沃化
銀含有率2.3mol%以上、かつ表面の平均沃化銀含
有率は8mol%以上であることが好ましい。また、沃
化銀含有率の粒子間の変動係数は20%未満であること
がより好ましい。表面沃化銀含有率は先述したXPSを
用いて測定することができる。
【0165】上記の(100)平板状粒子を形状で分類
すると、次の6つを挙げることができる。(1)主平面
の形状が直角平行四辺形である粒子;(2)該直角平行
四辺形の4つの角の内、1個以上、好ましくは1〜4個
が非等価的に欠落した粒子、即ち〔(最大欠落部の面
積)/最少欠落部の面積=K1が2〜8の粒子)〕;
(3)該4つの角が等価的に欠落した粒子(該K1が2
より小の粒子);(4)該欠落部の側面の面積の5〜1
00%、好ましくは20〜100%が{111}面であ
る粒子;(5)主平面を構成する4つの辺の内の少なく
とも相対する2つの辺が外側に凸の曲線である粒子;
(6)該直角平行四辺形の4つの角のうちの1つ以上、
好ましくは1〜4個が直角平行四辺形状に欠落した粒
子;が挙げられる。これらは電子顕微鏡を用いた観察に
より確認できる。
【0166】上記の(100)平板状粒子の表面の晶癖
に占める(100)面比率は、80%以上、好ましくは
90%以上であるが、それについては粒子の電子顕微鏡
写真を用いて統計的に見積もることができる。乳剤中の
AgX粒子における(100)平板比率が100%にほ
ぼ近い場合には、以下の方法にて上記見積もりを確認す
ることもできる。その方法とは、日本化学会紙198
4、No.6、942pに記載してある方法であり、一
定量の該(100)平板状粒子にベンゾチアシアニン色
素を量を変えて40で17時間吸着させ、625nmで
の光吸収より単位乳剤あたりの全粒子の表面積の総和
(S)および(100)面の面積の総和(S1)を求
め、これらの値をもとに、式:S1/Sラ100(%)
よって(100)面比率を算出する方法である。
【0167】上記の(100)平板状粒子の平均球相当
直径は好ましくは0.35μm未満である。粒子サイズ
の見積もりはレプリカ法によって、投影面積と厚みの測
定により求めることができる。
【0168】上記の(100)平板状粒子は粒子形成中
に多価金属イオンのドープにより電子捕獲ゾーンが導入
されていることが好ましい。「電子捕獲ゾーン」とは、
多価金属イオン含有濃度が1×10-5mol/モル局所
銀から1×10-3mol/モル局所銀で、粒子体積の5
%以上30%以下を占める部分のことをいう。また、
「モル局所銀」とは、多価金属イオン導入時に形成され
る銀量(モル)のこといをいう。多価金属イオン含有濃
度が5×10-5mol/モル局所銀〜5×10-4mol
/モル局所銀であるとより好ましい。
【0169】多価金属イオン含有濃度は均一であること
が必要である。均一であるとは該金属イオンの粒子内へ
の導入を単位銀量当たり一定量で行い、かつ粒子形成に
用いる硝酸銀と同時期に多価金属イオンを粒子形成用反
応容器に導入することをいう。このときハロゲン溶液も
同時に添加されてよい。本発明の多価金属イオンを含む
化合物を水溶液として添加してもよいし、多価金属イオ
ンとなる化合物をドープまたは吸着させた微粒子を調製
し添加してもよい。多価金属には、鉄、ルテニウム、オ
スミウム、コバルト、ロジウム、イリジウムまたはクロ
ムが含まれる。電子捕獲ゾーンは粒子内のどの部分にあ
ってもよい。また電子捕獲ゾーンが粒子内に2カ所以上
あってもよい。
【0170】また、本発明の第四の実施の形態は、前記
メルカプト基含有ポリマーを含むとともに、ハロゲン化
銀粒子の全投影面積の50%以上が(b)、(h)およ
び(i)を満たすハロゲン化銀粒子からなるハロゲン化
銀写真乳剤である。 (b) アスペクト比が2以上 (h) 平行な主平面が(111)面もしくは(10
0)面 (i) 少なくとも80mol%の塩化銀を含有する
【0171】本実施の形態では、高塩化銀で(111)
粒子を製造するためには特別の工夫が必要である。We
yの米国特許第4,399,215号明細書でアンモニ
アを用いて高塩化銀平板粒子を製造する方法を用いても
よい。Maskaskyの米国特許第5,061,61
7号明細書でチオシアン酸塩を用いて高塩化銀平板粒子
を製造する方法を用いてもよい。以下に、高塩化銀粒子
において(111)面を外表面とする粒子を形成するた
めに粒子形成時に添加剤(晶相制御剤)を添加する方法
を示す。これらの方法のいずれも利用することができ
る。
【0172】 特許番号 晶相制御剤 発明者 米国特許第4,400,463 号明細書 アザインデン類+ マスカスキー チオエーテルペプタイザ− 米国特許第4,783,398 号明細書 2−4−ジチアゾリジノン 御舩等 米国特許第4,713,323 号明細書 アミノピラゾロピリミジン マスカスキー 米国特許第4,983,508 号明細書 ビスピリジニウム塩 石黒等 米国特許第5,185,239 号明細書 トリアミノピリミジン マスカスキー 米国特許第5,178,997 号明細書 7-アサ゛イント゛ール 系化合物 マスカスキー 米国特許第5,178,998 号明細書 キサンチン マスカスキー 特開昭64−70741号公報 色素 西川等 特開平3−212639号公報 アミノチオエーテル 石黒 特開平4−283742号公報 チオ尿素誘導体 石黒 特開平4−335632号公報 トリアゾリウム塩 石黒 特開平2−32号公報 ビスピリジニウム塩 石黒等 特開平8−227117号公報 モノピリジニウム塩 大関等
【0173】(111)平板粒子形成に関しては、前記
表中に記載されているように種々の晶相制御剤を用いる
方法が知られているが、特開平2−32号公報に記載さ
れた化合物(化合物例1〜42)が好ましく、特開平8
−227117号公報に記載されている晶相制御剤1〜
29が特に好ましい。しかしながら、これらに限定され
るものではない。
【0174】(111)平板粒子はふたつの平行な双晶
面を形成することにより得られる。双晶面の形成は温
度、分散媒(ゼラチン)、ハロゲン濃度等により左右さ
れるのでこれらの適当な条件を設定しなければならな
い。晶相制御剤を核形成時に存在させる場合にはゼラチ
ン濃度は0.1%〜10%が好ましい。塩化物濃度は
0.01mol/L以上、好ましくは0.03mol/
L以上である。
【0175】また、粒子を単分散化するためには、核形
成に際して晶相制御剤を用いないのが好ましいことが特
開平8−184931号公報に開示されている。晶相制
御剤を核形成時に用いない場合にはゼラチン濃度は0.
03%〜10%、好ましくは0.05%〜1.0%であ
る。塩化物濃度は0.001mol/L〜1mol/
L、好ましくは0.003mol/L〜0.1mol/
Lである。核形成温度は2℃〜90℃まで任意の温度を
選べるが5℃〜80℃が好ましく、特に5℃〜40℃が
好ましい。
【0176】最初の核形成段階で平板粒子の核が形成さ
れるが、核形成直後には反応容器内には平板粒子以外の
核も多数含まれる。そのため、核形成後、熟成を行い、
平板粒子のみを残存させ他を消滅させる技術が必要とな
る。通常のオストワルド熟成を行うと、平板粒子核も溶
解消滅するため、平板粒子核が減少し、結果として得ら
れる平板粒子のサイズが増大してしまう。これを防止す
るために、晶相制御剤を添加する。特にフタル化ゼラチ
ンを併用することで、晶相制御剤の効果を高め、平板粒
子の溶解を防止できる。熟成中のpAgは特に重要であ
り、銀塩化銀電極に対して60〜130mVが好まし
い。
【0177】次に、形成した核を物理熟成および銀塩と
ハロゲン化物の添加により、晶相制御剤存在下に成長さ
せる。この際には、塩化物濃度は5mol/L以下、好
ましくは0.05〜1mol/Lである。粒子成長時の
温度は10℃〜90℃の範囲で選択できるが、30℃〜
80℃の範囲が好ましい。晶相制御剤の全使用量は完成
乳剤中のハロゲン化銀1molあたり、6×10-5mo
l以上、特に3×10 -4mol〜6×10-2molが好
ましい。晶相制御剤の添加時期としては、ハロゲン化銀
粒子の核形成時から物理熟成、粒子成長途中のどの時期
でもよい。添加後より(111)面が形成を開始する。
晶相制御剤は予め反応容器内に添加してもよいが、小サ
イズ平板粒子形成する場合には、粒子成長とともに反応
容器内に添加し、その濃度を増大させるのが好ましい。
【0178】核形成時に使用した分散媒量が成長にとっ
て不足の場合には添加により補う必要がある。成長には
10g/L〜100g/Lのゼラチンが存在するのが好
ましい。補うゼラチンとしてはフタル化ゼラチンあるい
はトリメリットゼラチンが好ましい。粒子形成時のpH
は任意であるが中性から酸性領域が好ましい。
【0179】次に、本実施の形態の(100)平板粒子
について説明する。(100)平板粒子は(100)面
を主平面とした平板状粒子である。該主平面の形状は、
直角平行四辺形形状または、該直角平行四辺形のある一
つの角が欠落した3〜5角形形状(欠落した形状とは、
その角を頂点とし、その角をなす辺によって形成される
直角三角形部分)、または該欠落部分が2つ以上4つ以
下存在する4〜8角形形状等がある。
【0180】欠落した部分を補った直角平行四辺形形状
を、補充四辺形とすると、該直角平行四辺形および該補
充四辺形の隣接辺比率(長辺の長さ/短辺の長さ)は1
〜6、好ましくは1〜4、より好ましくは1〜2であ
る。
【0181】(100)主平面を有する平板状ハロゲン
化銀写真乳剤粒子の形成法としては、ゼラチン水溶液の
ような分散媒中に銀塩水溶液とハロゲン化物塩水溶液を
攪拌しながら添加、混合することにより行うが、この
時、例えば、特開平6−301129号公報、同6−3
47929号公報、同9−34045号公報、同9−9
6881号公報では、ヨウ化銀またはヨウ化物イオン
を、あるいは、臭化銀または臭化物イオンを存在させ、
塩化銀との結晶格子の大きさの違いから核に歪みを生じ
させ、螺旋転位の様な異方成長性を付与する結晶欠陥を
導入する方法が開示されている。該螺旋転位が導入され
ると、低過飽和条件ではその面での2次元核の形成が律
速ではなくなるため、この面での結晶化が進み、螺旋転
位を導入することによって平板状の粒子が形成される。
ここで低過飽和条件とは臨界添加時の好ましくは35%
以下、より好ましくは2〜20%を示す。該結晶欠陥が
螺旋転位であると確定されたわけでは無いが、転位の導
入された方向、あるいは粒子に異方成長性が付与される
事から螺旋転位である可能性が高いと考えられている。
平板粒子をより薄くする為には、導入された該転位保持
が好ましい事が特開平8−122954号公報、同9−
189977号公報に開示されている。
【0182】また、特開平6−347928号公報では
イミダゾール類、3,5−ジアミノトリアゾール類を用
いたり、特開平8−339044号公報ではポリビニル
アルコール類を用いるなどして、(100)面形成促進
剤を添加して(100)平板粒子を形成する方法が開示
されている。しかしながら、本発明はこれらに限定され
るものではない。
【0183】高塩化銀粒子とは塩化銀含有量が80mo
l%以上の粒子をいうが、95mol%以上が塩化銀で
あることが好ましい。本発明の粒子はコア部とコア部を
取り巻くシェル部よりなる、いわゆるコア/シェル構造
をしていることが好ましい。コア部は90mol%以上
が塩化銀であることが好ましい。コア部はさらに、ハロ
ゲン組成の異なる二つ以上の部分からなっていてもよ
い。シェル部は全粒子体積の50%以下であることが好
ましく、20%以下であることが特に好ましい。シェル
部はヨウ塩化銀もしくは沃臭塩化銀であることが好まし
い。シェル部は0.5mol%から13mol%のヨー
ドを含有することが好ましく、1mol%から13mo
l%で含有することが特に好ましい。ヨウ化銀の全粒子
中の含有量は5mol%以下が好ましく、1mol%以
下が特に好ましい。
【0184】臭化銀含有率もコア部よりもシェル部が高
いことが好ましい。臭化銀含有率は20mol%以下が
好ましく、5mol%以下が特に好ましい。ハロゲン化
銀粒子の平均粒子サイズ(体積換算球相当直径)に特に
制限はないが、好ましくは0.1μm〜0.8μm、特
に好ましくは0.1μm〜0.6μmである。
【0185】ハロゲン化銀粒子の投影面積径は好ましく
は0.2〜1.0μmである。ここでハロゲン化銀粒子
の投影面積径とは、電子顕微鏡写真における粒子の投影
面積に等しい面積の円の直径を云う。また、厚みは0.
2μm以下、好ましくは0.1μm以下、特に好ましく
は0.06μm以下である。本発明において全ハロゲン
化銀粒子の投影面積の50%以上が、アスペクト比(その
直径/厚みの比)2以上であり、好ましくは5以上20
以下である。一般に平板粒子は、2つの平行な面を有す
る平板状であり、したがって本発明における「厚み」と
は平板粒子を構成する2つの平行な面の距離で表され
る。
【0186】本実施の形態のハロゲン化銀粒子の粒子サ
イズの分布は、多分散でも単分散でもよいが、単分散で
あることがより好ましい。特に全投影面積の50%以上
を占める平板粒子の投影面積径の変動係数が20%以下
が好ましい。理想的には0%である。
【0187】晶相制御剤が粒子形成後も粒子表面に存在
すると、増感色素の吸着や現像に影響を与える。そのた
め、晶相制御剤は粒子形成後に除去することが好まし
い。ただし、晶相制御剤を除去した場合、高塩化銀(1
11)平板粒子は、通常の条件では(111)面を維持
するのが困難である。したがって、増感色素等写真的に
有用な化合物で置換して粒子形態を保持することが好ま
しい。この方法については、特開平9−80656号公
報、特開平9−106026号公報、米国特許第5,2
21,602号明細書、同第5,286,452号明細
書、同第5,298,387号明細書、同第5,29
8,388号明細書、同第5,176,992号明細書
等に記載されている。
【0188】上記方法により晶相制御剤は粒子から脱着
するが、脱着した晶相制御剤を水洗により乳剤外へ除去
するのが好ましい。水洗温度としては、保護コロイドと
して通常用いられるゼラチンが凝固しない温度で行うこ
とができる。水洗方法としては、フロキュレーション法
や限外ろ過法等の種々の公知技術を用いることができ
る。水洗温度は40℃以上が好ましい。また、晶相制御
剤は低pHで粒子より脱着が促進される。従って、水洗
工程のpHは粒子が過度に凝集しない限りの低いpHが
好ましい。
【0189】ハロゲン化銀粒子には周期律表VIII属金
属、即ちオスミウム、イリジウム、ロジウム、白金、ル
テニウム、パラジウム、コバルト、ニッケル、鉄から選
ばれた金属のイオンまたはその錯イオンを単独または組
み合わせて用いることができる。さらにこれらの金属
は、複数種用いてもよい。
【0190】上記金属イオン提供化合物は、ハロゲン化
銀粒子形成時に分散媒になるゼラチン水溶液中、ハロゲ
ン化物水溶液中、銀塩水溶液中、またはその他の水溶液
中に添加するか、あるいは予め、金属イオンを含有せし
めたハロゲン化銀微粒子の形でハロゲン化銀乳剤に添加
し、この乳剤を溶解させる等の手段によって本発明のハ
ロゲン化銀粒子に含有せしめることができる。また、金
属イオンを該粒子中に含有せしめるには、粒子形成前、
粒子形成、粒子形成直後のいずれかで行うことができる
が、この添加時期は、金属イオンを粒子のどの位置にど
れだけの量含有させるかによって変えることができる。
【0191】ハロゲン化銀粒子には、用いる金属イオン
の提供化合物のうち50mol%以上、好ましくは80
mol%以上が、より好ましくは100mol%がハロ
ゲン化銀粒子表面から粒子体積の50%以下に相当する
までの表面層に局在しているのが好ましい。この表面層
の体積は好ましくは30%以下である。金属イオンを表
面層に局在させることは、内部感度の上昇を抑制し、高
感度を得るのに有利である。こうしたハロゲン化銀粒子
の表面層に集中させて金属イオン提供化合物を含有せし
めるには、例えば表面層を除いた部分のハロゲン化銀粒
子(コア)を形成した後、表面層を形成するための水溶
性銀塩溶液とハロゲン化物水溶液の添加にあわせて金属
イオン提供化合物を供給することで行うことができる。
【0192】ハロゲン化銀乳剤は、第VIII族金属以
外に、その乳剤粒子形成もしくは物理熟成の過程におい
て種々の多価金属イオン不純物を導入することができ
る。これらの化合物の添加量は目的に応じて広範囲にわ
たるが、ハロゲン化銀1molに対して、10-9〜10
-2molが好ましい。
【0193】ハロゲン化銀乳剤をその乳剤が用いられる
層によってさらにハロゲン化銀乳剤に特徴を出してもよ
い。特に青感性層に用いる場合においては、ハロゲン化
銀乳剤に含まれるハロゲン化銀粒子は、ヨウ化銀含有量
が3mol%以上が好ましく、5mol%以上がさらに
好ましい。また、高感度層に用いる場合には投影面積径
は1μm以上が好ましく、2μm以上がさらに好まし
い。
【0194】また、本発明の他の実施の形態として、前
記メルカプト基含有ポリマーを含むとともに、ハロゲン
化銀粒子の全投影面積の50%以上が下記(j)、
(k)および(m)を満たすハロゲン化銀粒子からなる
平板状ハロゲン化銀写真乳剤が挙げられる。 (j)ハロゲン化銀粒子の投影面積径が2μm以上 (k)アスペクト比が10以上 (m)個々の粒子の平均AgI含有量が5mol%以上
【0195】また、本発明の他の実施の形態として、前
記メルカプト基含有ポリマーを含むとともに、ハロゲン
化銀粒子の全投影面積の50%以上が下記(j)を満た
し、全投影面積の80%以上が粒子投影部の中心から5
0%以内に転位線が存在しないハロゲン化銀粒子からな
る平板状ハロゲン化銀写真乳剤が挙げられる。 (j)ハロゲン化銀粒子の投影面積径が2μm以上 本実施の形態では、ハロゲン化銀乳剤に含まれるハロゲ
ン化銀粒子は、主平面の中心から面積で50%以内、好
ましくは80%以内の部分に、透過電子顕微鏡で観察し
た際に転位線が存在しない粒子が全粒子の投影面積の8
0%以上を占めることが好ましく、90%以上を占める
ことがさらに好ましい。主平面の中心とは、主平面の面
積における重心位置のことである。本実施の形態は、特
に感光材料の圧力耐性付与を持たせるの寄与する。
【0196】前述した種々の実施の形態において、乳剤
粒子のアスペクト比についての条件がない形態について
は、アスペクト比は任意に選んでよいが、10〜300
が好ましく、10〜100がより好ましく、15〜10
0が最も好ましい。
【0197】以下に、本発明の乳剤全般に関わる内容に
ついて説明する。本発明に使用できる乳剤は、グラフキ
デ著「写真の物理と化学」、ホ゜ールモンテル社刊(P.GlafkIde
s,ChemIe et PhIsIque PhotographIque,Paul Montel,19
67)、タ゛フィン著「写真乳剤化学」,フォーカルフ゜レス社刊(G.F.DuffI
n,PhotographIc EMulsIon ChemIstry(Focal Press,196
6))、セ゛リクマン等著「写真乳剤の製造と塗布」、フォーカルフ゜レス社刊
(V.L.ZelIkman et al.,MakIng and CoatIng Photograph
Ic EMulsIon,Focal Press,1964)などに記載された方法
を用いて調製することができる。すなわち、酸性法、中
性法、アンモニア法等のいずれでもよく、また可溶性銀
塩と可溶性ハロゲン塩を反応させる形式としては片側混
合法、同時混合法、それらの組合わせなどのいずれを用
いてもよい。粒子を銀イオン過剰の下において形成させ
る方法(いわゆる逆混合法)を用いることもできる。同
時混合法の一つの形式としてハロゲン化銀の生成する液
相中のpAg を一定に保つ方法、すなわちいわゆるコ
ントロールド・ダブルジェット法を用いることもでき
る。この方法によると、結晶形が規則的で粒子サイズが
均一に近いハロゲン化銀乳剤が得られる。
【0198】乳剤調製用の反応容器にあらかじめ沈澱形
成したハロゲン化銀粒子を添加する方法、米国特許第
4,334,012号明細書、同第4,301,241
号明細書、同第4,150,994号明細書に記載の方
法は、場合により好ましい。これらは種結晶として用い
ることもできるし、成長用のハロゲン化銀として供給す
る場合も有効である。後者の場合粒子サイズの小さい乳
剤を添加するのが好ましく、添加方法として一度に全量
添加、複数回に分割して添加あるいは連続的に添加する
などのなかから選んで用いることができる。また表面を
改質させるために種々のハロゲン組成の粒子を添加する
ことも場合により有効である。
【0199】ハロゲン化銀粒子のハロゲン組成の大部分
あるいはごく一部分をハロゲン変換法によって変換させ
る方法は米国特許第3,477,852号明細書、同第
4,142,900号明細書、欧州特許公開EP27
3,429A号公報、同第273,430A号公報、西
独公開特許第3,819,241号公報などに開示され
ており、有効な粒子形成法である。より難溶性の銀塩に
変換するのに可溶性ハロゲンの溶液あるいはハロゲン化
銀粒子を添加することができる。一度に変換する、複数
回に分割して変換する、あるいは連続的に変換するなど
の方法から選ぶことができる。
【0200】粒子成長の方法として、一定濃度、一定流
速で可溶性銀塩とハロゲン塩を添加する方法以外に、英
国特許第1,469,480号明細書、米国特許第3,
650,757号明細書、同第4,242,445号明
細書に記載されているように濃度を変化させる、あるい
は流速を変化させる粒子形成法は好ましい方法である。
濃度を増加させる、あるいは流速を増加させることによ
り、供給するハロゲン化銀量を添加時間の一次関数、二
次関数、あるいはより複雑な関数で変化させることがで
きる。また必要により供給ハロゲン化銀量を減量するこ
とも場合により好ましい。さらに溶液組成の異なる複数
個の可溶性銀塩を添加する、あるいは溶液組成の異なる
複数個の可溶性ハロゲン塩を添加する場合に、一方を増
加させ、もう一方を減少させるような添加方式も有効な
方法である。
【0201】可溶性銀塩と可溶性ハロゲン塩の溶液を反
応させる時の混合器は米国特許第2,996,287号
明細書、同第3,342,605号明細書、同第3,4
15,650号明細書、同第3,785,777号明細
書、西独公開特許2,556,885号公報、同第2,
555,364号公報に記載されている方法のなかから
選んで用いることができる。
【0202】熟成を促進する目的に対してハロゲン化銀
溶剤が有用である。例えば熟成を促進するのに過剰量の
ハロゲンイオンを反応器中に存在せしめることが知られ
ている。また他の熟成剤を用いることもできる。これら
の熟成剤は銀およびハロゲン化物塩を添加する前に反応
器中の分散媒中に全量を配合しておくことができるし、
ハロゲン化物塩、銀塩または解膠剤を加えると共に反応
器中に導入することもできる。別の変形態様として、熟
成剤をハロゲン化物塩および銀塩添加段階で独立して導
入することもできる。
【0203】熟成剤としては、例えば、アンモニア、チ
オシアン酸塩(例えば、ロダンカリ、ロダンアンモニウ
ム)、有機チオエーテル化合物(例えば、米国特許第
3,574,628号明細書、同第3,021,215
号明細書、同第3,057,724号明細書、同第3,
038,805号明細書、同第4,276,374号明
細書、同第4,297,439号明細書、同第3,70
4,130号明細書、同第4,782,013号明細
書、特開昭57−104926号公報に記載の化合
物)、チオン化合物(例えば、特開昭53−82408
号公報、同55−77737号公報、米国特許第4,2
21,863号明細書に記載されている四置換チオウレ
アや、特開昭53−144319号公報に記載されてい
る化合物)や、特開昭57−202531号公報に記載
されているハロゲン化銀粒子の成長を促進しうるメルカ
プト化合物、アミン化合物(例えば、特開昭54−10
0717号公報)があげられる。
【0204】米国特許第3,772,031号明細書に
記載されているようなカルコゲン化合物を乳剤調製中に
添加する方法も有用な場合がある。S、Se、Te以外
にもシアン塩、チオシアン塩、セレノシアン酸、炭酸
塩、リン酸塩、酢酸塩を存在させてもよい。
【0205】本発明のハロゲン化銀粒子は硫黄増感、セ
レン増感等のカルコゲン増感;金増感、パラジウム増感
等の貴金属増感;および還元増感の少なくとも1つをハ
ロゲン化銀乳剤の製造工程の任意の工程で施こすことが
できる。2種以上の増感法を組み合せることは好まし
い。どの工程で化学増感するかによって種々のタイプの
乳剤を調製することができる。粒子の内部に化学増感核
をうめ込むタイプ、粒子表面から浅い位置にうめ込むタ
イプ、あるいは表面に化学増感核を作るタイプがある。
本発明の乳剤は目的に応じて化学増感核の場所を選ぶこ
とができるが、一般に好ましいのは表面近傍に少なくと
も1種の化学増感核を作った場合である。
【0206】本発明で好ましく実施しうる化学増感の一
つはカルコゲン増感と貴金属増感の単独または組合せで
あり、ジェームス(T.H.James)著、ザ・フォトグラフィ
ック・プロセス、第4版、マクミラン社刊、1977
年、(T.H.James、The Theory ofthe PhotographIc Proces
s,4th ed,MacmIllan,1977)67−7
6頁に記載されるように活性ゼラチンを用いて行うこと
ができるし、またリサーチ・ディスクロージャー、12
0巻、1974年4月、12008;リサーチ・ディス
クロージャー、34巻、1975年6月、13452、
米国特許第2,642,361号明細書、同第3,29
7,446号明細書、同第3,772,031号明細
書、同第3,857,711号明細書、同第3,90
1,714号明細書、同第4,266,018号明細
書、および同第3,904,415号明細書、並びに英
国特許第1,315,755号明細書に記載されるよう
にpAg5〜10、pH5〜8および温度30〜80℃
において硫黄、セレン、テルル、金、白金、パラジウ
ム、イリジウムまたはこれら増感剤の複数の組合せとす
ることができる。貴金属増感においては、金、白金、パ
ラジウム、イリジウム等の貴金属塩を用いることがで
き、中でも特に金増感、パラジウム増感および両者の併
用が好ましい。金増感の場合には、塩化金酸、カリウム
クロロオーレート、カリウムオーリチオシアネート、硫
化金、金セレナイドのような公知の化合物を用いること
ができる。パラジウム化合物はパラジウム2価塩または
4価の塩を意味する。好ましいパラジウム化合物は、R
2PdX6またはR2PdX4で表わされる。ここでRは水
素原子、アルカリ金属原子またはアンモニウム基を表わ
す。Xはハロゲン原子を表わし塩素、臭素または沃素原
子を表わす。
【0207】具体的には、K2PdCl4、(NH42
dCl6、Na2PdCl4、(NH42PdCl4、LI
2PdCl4、Na2PdCl6またはK2PdBr4が好ま
しい。金化合物およびパラジウム化合物はチオシアン酸
塩あるいはセレノシアン酸塩と併用することが好まし
い。
【0208】硫黄増感剤として、ハイポ、チオ尿素系化
合物、ロダニン系化合物および米国特許第3,857,
711号明細書、同第4,266,018号明細書およ
び同第4,054,457号明細書に記載されている硫
黄含有化合物を用いることができる。いわゆる化学増感
助剤の存在下に化学増感することもできる。有用な化学
増感助剤には、アザインデン、アザピリダジン、アザピ
リミジンのごとき、化学増感の過程でカブリを抑制し、
且つ感度を増大するものとして知られた化合物が用いら
れる。化学増感助剤改質剤の例は、米国特許第2,13
1,038号明細書、同第3,411,914号明細
書、同第3,554,757号明細書、特開昭58−1
26526号公報および前述ダフィン著「写真乳剤化
学」、138〜143頁に記載されている。
【0209】本発明の乳剤は金増感を併用することが好
ましい。金増感剤の好ましい量としてハロゲン化銀1m
ol当り1×10-4〜1×10-7molであり、さらに
好ましいのは1×10-5〜5×10-7molである。パ
ラジウム化合物の好ましい範囲は1×10-3から5×1
-7である。チオシアン化合物あるいはセレノシアン化
合物の好ましい範囲は5×10-2から1×10-6であ
る。
【0210】本発明のハロゲン化銀粒子に対して使用す
る好ましい硫黄増感剤量はハロゲン化銀1mol当り1
×10-4〜1×10-7molであり、さらに好ましいの
は1×10-5〜5×10-7molである。
【0211】本発明の乳剤に対して好ましい増感法とし
てセレン増感がある。セレン増感においては、公知の不
安定セレン化合物を用い、具体的には、コロイド状金属
セレニウム、セレノ尿素類(例えば、N,N−ジメチル
セレノ尿素、N,N−ジエチルセレノ尿素)、セレノケ
トン類、セレノアミド類のようなセレン化合物を用いる
ことができる。セレン増感は硫黄増感あるいは貴金属増
感あるいはその両方と組み合せて用いた方が好ましい場
合がある。
【0212】本発明のハロゲン化銀乳剤を粒子形成中、
粒子形成後でかつ化学増感前あるいは化学増感中、ある
いは化学増感後に還元増感することは好ましい。
【0213】ここで、還元増感とは、ハロゲン化銀乳剤
に還元増感剤を添加する方法、銀熟成と呼ばれるpAg
1〜7の低pAg の雰囲気で成長あるいは熟成させ
る方法、高pH熟成と呼ばれるpH8〜11の高pHの
雰囲気で成長あるいは熟成させる方法のいずれを選ぶこ
ともできる。また2つ以上の方法を併用することもでき
る。
【0214】還元増感剤を添加する方法は還元増感のレ
ベルを微妙に調節できる点で好ましい方法である。
【0215】還元増感剤としては、例えば、二酸化チオ
尿素、アスコルビン酸およびその誘導体、アミンおよび
ポリアミン類、ヒドラジン誘導体、ジヒドロキシベンゼ
ン類およびその誘導体(例えば4,5−ジヒドロキシー
1,3−ベンゼンジスルホン酸ジナトリウムなど)、ヒ
ドロキシアミン類およびその誘導体、シラン化合物、ボ
ラン化合物が公知である。本発明の還元増感にはこれら
公知の還元増感剤を選んで用いることができ、また2種
以上の化合物を併用することもできる。還元増感剤とし
ては二酸化チオ尿素、アスコルビン酸およびその誘導
体、ヒドラジン誘導体、ジヒドロキシベンゼン類および
その誘導体が好ましい化合物である。還元増感剤の添加
量は乳剤製造条件に依存するので添加量を選ぶ必要があ
るが、ハロゲン化銀1mol当り10-7〜10-1mol
の範囲がである。
【0216】還元増感剤は、例えば、水あるいはアルコ
ール類、グリコール類、ケトン類、エステル類、アミド
類のような有機溶媒に溶かし粒子成長中に添加される。
あらかじめ反応容器に添加するのもよいが、粒子成長の
適当な時期に添加する方法が好ましい。また水溶性銀塩
あるいは水溶性アルカリハライドの水溶性にあらかじめ
還元増感剤を添加しておき、これらの水溶液を用いてハ
ロゲン化銀粒子を沈澱せしめてもよい。また粒子成長に
伴って還元増感剤の溶液を何回かに分けて添加しても連
続して長時間添加するのも好ましい方法である。
【0217】本発明の乳剤の製造工程中に銀に対する酸
化剤を用いることが好ましい。銀に対する酸化剤とは、
金属銀に作用して銀イオンに変換せしめる作用を有する
化合物をいう。特にハロゲン化銀粒子の形成過程および
化学増感過程において副生するきわめて微小な銀粒子
を、銀イオンに変換せしめる化合物が有効である。ここ
で生成する銀イオンは、例えば、ハロゲン化銀、硫化
銀、セレン化銀のような水に難溶の銀塩を形成してもよ
く、又、硝酸銀のような水に易溶の銀塩を形成してもよ
い。銀に対する酸化剤は、無機物であっても、有機物で
あってもよい。無機の酸化剤としては、例えば、オゾ
ン、過酸化水素およびその付加物(例えば、NaBO2
・H22・3H2O、2NaCO3・3H22、Na42
7・2H22、2Na2SO4・H22・2H2O)、ペ
ルオキシ酸塩(例えば、K228、K226、K22
8)、ペルオキシ錯体化合物(例えば、K2[TI(O
2)C2 4]・3H2O、4K2SO4・TI(O2)OH
・SO4・2H2O、Na3[VO(O2)(C242
・6H2O)、過マンガン酸塩(例えば、KMnO4)、
クロム酸塩(例えば、K2Cr27)のような酸素酸
塩、沃素や臭素のようなハロゲン元素、ハロゲンのオキ
ソ酸塩(例えば、過沃素酸カリウム)、高原子価の金属
の塩(例えば、ヘキサシアノ第二鉄酸カリウム)および
チオスルホン酸塩がある。
【0218】また、有機の酸化剤としては、p−キノン
のようなキノン類、過酢酸や過安息香酸のような有機過
酸化物、活性ハロゲンを放出する化合物(例えば、N−
ブロムサクシンイミド、クロラミンT、クロラミンB)
が例として挙げられる。
【0219】本発明の好ましい酸化剤は過酸化水素およ
びその付加物、ハロゲン元素、ハロゲンのオキソ酸塩、
チオスルホン酸塩の無機酸化剤およびキノン類の有機酸
化剤である。前述の還元増感と銀に対する酸化剤を併用
するのは好ましい態様である。酸化剤を用いたのち還元
増感を施こす方法、その逆方法あるいは両者を同時に共
存させる方法のなかから選んで用いることができる。こ
れらの方法は粒子形成工程でも化学増感工程でも選んで
用いることができる。
【0220】本発明に用いられる写真乳剤には、感光材
料の製造工程、保存中あるいは写真処理中のカブリを防
止し、あるいは写真性能を安定化させる目的で、種々の
化合物を含有させることができる。すなわちチアゾール
類、例えば、ベンゾチアゾリウム塩、ニトロイミダゾー
ル類、ニトロベンズイミダゾール類、クロロベンズイミ
ダゾール類、ブロモベンズイミダゾール類、メルカプト
チアゾール類、メルカプトベンゾチアゾール類、メルカ
プトベンズイミダゾール類、メルカプトチアジアゾール
類、アミノトリアゾール類、ベンゾトリアゾール類、ニ
トロベンゾトリアゾール類、メルカプトテトラゾール類
(特に1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール);
メルカプトピリミジン類;メルカプトトリアジン類;例
えば、オキサドリンチオンのようなチオケト化合物;ア
ザインデン類、例えば、トリアザインデン類、テトラア
ザインデン類(特に4−ヒドロキシ置換(1,3,3
a,7)チトラアザインデン類)、ペンタアザインデン
類のようなカブリ防止剤または安定剤として知られた、
多くの化合物を加えることができる。例えば、米国特許
第3,954,474号明細書、同第3,982,94
7号明細書、特公昭52−28660号公報に記載され
たものを用いることができる。好ましい化合物の一つに
特開昭63−212932号公報に記載された化合物が
ある。カブリ防止剤および安定剤は粒子形成前、粒子形
成中、粒子形成後、水洗工程、水洗後の分散時、化学増
感前、化学増感中、化学増感後、塗布前のいろいろな時
期に目的に応じて添加することができる。乳剤調製中に
添加して本来のカブリ防止および安定化効果を発現する
以外に、粒子の晶壁を制御する、粒子サイズを小さくす
る、粒子の溶解性を減少させる、化学増感を制御する、
色素の配列を制御するなど多目的に用いることができ
る。
【0221】本発明に用いられる写真乳剤は、メチン色
素類その他によって分光増感されることが本発明の効果
を発揮するのに好ましい。用いられる色素には、シアニ
ン色素、メロシアニン色素、複合シアニン色素、複合メ
ロシアニン色素、ホロポーラーシアニン色素、ヘミシア
ニン色素、スチリル色素およびヘミオキソノール色素が
包含される。特に有用な色素は、シアニン色素、メロシ
アニン色素、および複合メロシアニン色素に属する色素
である。これらの色素類には、塩基性複素環核としてシ
アニン色素類に通常利用される核のいずれをも適用でき
る。すなわち、例えば、ピロリン核、オキサゾリン核、
チオゾリン核、ピロール核、オキサゾール核、チアゾー
ル核、セレナゾール核、イミダゾール核、テトラゾール
核、ピリジン核;これらの核に脂環式炭化水素環が融合
した核;およびこれらの核に芳香族炭化水素環が融合し
た核、即ち、例えば、インドレニン核、ベンゾインドレ
ニン核、インドール核、ベンゾオキサドール核、ナフト
オキサゾール核、ベンゾチアゾール核、ナフトチアゾー
ル核、ベンゾセレナゾール核、ベンゾイミダゾール核、
キノリン核が適用できる。これらの核は炭素原子上に置
換基を有していてもよい。
【0222】メロシアニン色素または複合メロシアニン
色素にはケトメチレン構造を有する核として、例えば、
ピラゾリン−5−オン核、チオヒダントイン核、2−チ
オオキサゾリジン−2,4−ジオン核、チアゾリジン−
2,4−ジオン核、ローダニン核、チオバルビツール酸
核の5〜6員複素環核を適用することができる。
【0223】これらの増感色素は単独に用いてもよい
が、それらの組合せを用いてもよく、増感色素の組合せ
は特に、強色増感の目的でしばしば用いられる。その代
表例は米国特許第2,688,545号明細書、同第
2,977,229号明細書、同第3,397,060
号明細書、同第3,522,052号明細書、同第3,
527,641号明細書、同第3,617,293号明
細書、同第3,628,964号明細書、同第3,66
6,480号明細書、同第3,672,898号明細
書、同第3,679,428号明細書、同第3,70
3,377号明細書、同第3,769,301号明細
書、同第3,814,609号明細書、同第3,83
7,862号明細書、同第4,026,707号明細
書、英国特許第1,344,281号明細書、同第1,
507,803号明細書、特公昭43−4936号公
報、同53−12375号公報、特開昭52−1106
18号公報、同52−109925号公報に記載されて
いる。
【0224】増感色素とともに、それ自身分光増感作用
をもたない色素あるいは可視光を実質的に吸収しない物
質であって、強色増感を示す物質を乳剤中に含んでもよ
い。
【0225】増感色素を乳剤中に添加する時期は、これ
まで有用であると知られている乳剤調製の如何なる段階
であってもよい。もっとも普通には化学増感の完了後塗
布前までの時期に行なわれるが、米国特許第3,62
8,969号明細書、および同第4,225,666号
明細書に記載されているように化学増感剤と同時期に添
加し分光増感を化学増感と同時に行なうことも、特開昭
58−113928号公報に記載されているように化学
増感に先立って行なうこともでき、またハロゲン化銀粒
子沈澱生成の完了前に添加し分光増感を開始することも
できる。さらにまた米国特許第4,225,666号明
細書に教示されているようにこれらの前記化合物を分け
て添加すること、即ちこれらの化合物の一部を化学増感
に先立って添加し、残部を化学増感の後で添加すること
も可能であり、米国特許第4,183,756号明細書
に開示されている方法を始めとしてハロゲン化銀粒子形
成中のどの時期であってもよい。
【0226】添加量は、ハロゲン化銀1mol当り、4
×10-6〜8×10-3molで用いることができるが、
より好ましいハロゲン化銀粒子サイズ0.2〜1.2μ
mの場合は約5×10-5〜2×10-3molが有効であ
る。
【0227】本発明の乳剤を用いることによって、高感
度、かつ粒子凝集が防止され安定に製造できるハロゲン
化銀写真感光材料、および圧力耐性に優れたハロゲン化
銀写真感光材料を提供することができる。前記ハロゲン
化銀写真感光材料は、本発明の乳剤を含有する感光性層
を少なくとも一層有すればよい。また本発明の乳剤は、
何れの感光性層に含有させても本発明の効果を奏する。
【0228】前記ハロゲン化銀写真感光材料に適用可能
な層配列等の技術、ハロゲン化銀乳剤、色素形成カプラ
ー、DIRカプラー等の機能性カプラー、各種の添加剤
等、および現像処理については、欧州特許公開EP05
65096A1号公報(1993年10月13日公開)
およびこれに引用された特許に記載されている。以下に
各項目とこれに対応する記載個所を列記する。
【0229】 1.層構成:61頁23〜35行、61頁41行〜62
頁14行 2.中間層:61頁36〜40行、 3.重層効果付与層:62頁15〜18行、 4.ハロゲン化銀ハロゲン組成:62頁21〜25行、 5.ハロゲン化銀粒子晶癖:62頁26〜30行、 6.ハロゲン化銀粒子サイズ:62頁31〜34行、 7.乳剤製造法:62頁35〜40行、 8.ハロゲン化銀粒子サイズ分布:62頁41〜42
行、 9.平板粒子:62頁43〜46行、 10.粒子の内部構造:62頁47行〜53行、 11.乳剤の潜像形成タイプ:62頁54行〜63頁5
行、 12.乳剤の物理熟成・化学熟成:63頁6〜9行、 13.乳剤の混合使用:63頁10〜13行、 14.かぶらせ乳剤:63頁14〜31行、 15.非感光性乳剤:63頁32〜43行、 16.塗布銀量:63頁49〜50行、 17.写真用添加剤:リサーチ・ディスクロージャ(R
D)Item17643(1978年12月)、同Ite
m18716(1979年11月)および同Item3
07105(1989年11月)に記載されており、下
記に各項目およびこれに関連する記載個所を示す。
【0230】 添加剤種類 RD17643 RD18716 RD308119 1.化学増感剤 23頁 648頁右欄 996頁 2.感度上昇剤 同 上 3.分光増感剤、 23〜24頁 648頁右欄〜 996右〜 998右 強色増感剤 649頁右欄 4.増 白 剤 24頁 998右 5.カブリ防止剤 24〜25頁 649頁右欄 998右〜1000右 および安定剤 6.光吸収剤、 25〜26頁 649頁右欄〜 1003左〜1003右 フィルター染料、 650頁左欄 紫外線吸収剤 7.ステイン防止剤 25頁右欄 650左〜右欄 1002右 8.色素画像安定剤 25頁 1002右 9.硬 膜 剤 26頁 651頁左欄 1004右〜1005左 10.バインダー 26頁 同 上 1003右〜1004右 11.可塑剤、潤滑剤 27頁 650頁右欄 1006左〜1006右 12.塗布助剤、 26〜27頁 同 上 1005左〜1006左 表面活性剤 13.スタチック 27頁 同 上 1006右〜1007左 防止剤 14.マット剤 1008左〜1009左。
【0231】 18.ホルムアルデヒドスカベンジャー:64頁54〜5
7行、 19.メルカプト系カブリ防止剤:65頁1〜2行、 20.かぶらせ剤等放出剤:65頁3〜7行、 21.色素:65頁7〜10行、 22.カラーカプラー全般:65頁11〜13行、 23.イエロー、マゼンタおよびシアンカプラー:65頁
14〜25行、 24.ポリマーカプラー:65頁26〜28行、 25.拡散性色素形成カプラー:65頁29〜31行、 26.カラードカプラー:65頁32〜38行、 27.機能性カプラー全般:65頁39〜44行、 28.漂白促進剤放出カプラー:65頁45〜48行、 29.現像促進剤放出カプラー:65頁49〜53行、 30.その他のDIRカプラー:65頁54行〜66頁4
行、 31.カプラー分散方法:66頁5〜28行、 32.防腐剤・防かび剤:66頁29〜33行、 33.感光材料の種類:66頁34〜36行、 34.感光層膜厚と膨潤速度:66頁40行〜67頁1
行、 35.バック層:67頁3〜8行、 36.現像処理全般:67頁9〜11行、 37.現像液と現像薬:67頁12〜30行、 38.現像液添加剤:67頁31〜44行、 39.反転処理:67頁45〜56行、 40.処理液開口率:67頁57行〜68頁12行、 41.現像時間:68頁13〜15行、 42.漂白定着、漂白、定着:68頁16行〜69頁31
行、 43.自動現像機:69頁32〜40行、 44.水洗、リンス、安定化:69頁41行〜70頁18
行、 45.処理液補充、再使用:70頁19〜23行、 46.現像薬感光材料内蔵:70頁24〜33行、 47.現像処理温度:70頁34〜38行、 48.レンズ付フィルムへの利用:70頁39〜41行。
【0232】本発明を適用するハロゲン化銀写真感光材
料は適切には、光、レーザーまたはX線照射に感光性の
ある材料であり、白黒リバーサルフィルム、白黒ネガフ
ィルム、カラーネガフィルム、カラーリバーサルフィル
ム、感光性写真成分がデジタルスキャンされたフィル
ム、白黒反転紙、白黒紙、カラー紙、反転カラー紙、感
光性写真成分がデジタルデータベースからのレーザー照
射により感光された紙から選択される。ハロゲン化銀写
真感光材料としてはカラーネガフィルムが好ましく、そ
の実施態様としては例えば特開平11−305396号
公報などを挙げることができる。
【0233】本発明を適用するハロゲン化銀カラー写真
感光材料には、処理の簡略化および迅速化の目的で発色
現像主薬を内蔵させても良い。内蔵させるためには、発
色現像主薬の各種プレカーサーを用いるのが好ましい。
例えば、米国特許第3,342,597号明細書記載の
インドアニリン系化合物、例えば、同第3,342,5
99号明細書、リサーチ・ディスクロージャーNo.1
4,850および同No.15,159に記載のシッフ
塩基型化合物、同No.13,924に記載のアルドー
ル化合物、米国特許第3,719,492号明細書に記
載の金属塩錯体、特開昭53−135628号公報に記
載のウレタン系化合物を挙げることができる。
【0234】本発明を適用するハロゲン化銀カラー感光
材料は、必要に応じて、発色現像を促進する目的で、各
種の1−フェニル−3−ピラゾリドン類を内蔵しても良
い。典型的な化合物は、例えば、特開昭56−6433
9号公報、同57−144547号公報、および同58
−115438号公報に記載されている。本発明におけ
る各種処理液は、10℃〜50℃において使用される。
通常は33℃〜38℃の温度が標準的であるが、より高
温にして処理を促進し処理時間を短縮したり、逆により
低温にして画質の向上や処理液の安定性の改良を達成す
ることができる。
【0235】また、本発明を適用するハロゲン化銀写真
感光材料は、米国特許第4,500,626号明細書、
特開昭60−133449号公報、同59−21844
3号公報、同61−238056号公報、欧州特許公開
EP210,660A2号公報などに記載されている熱
現像感光材料にも適用できる。また、本発明を適用する
ハロゲン化銀カラー写真感光材料は、特公平2−326
15号公報、実公平3−39784号公報などに記載さ
れているレンズ付きフィルムユニットに適用した場合
に、より効果を発現しやすく有効である。
【0236】
【実施例】以下の実施例により本発明をさらに具体的に
説明するが、本発明は以下の実施例によりいかなる意味
においても限定されることはない。
【0237】(実施例1) 《合成例1:WP−1の合成》あらかじめpH4.7の
フタル酸緩衝液(90mL)にアクリルアミド50g、
2−メルカプトエチルアミン塩酸塩0.396gを溶解
したA液と、フタル酸緩衝液(50mL)に和光純薬製
ラジカル発生剤V−50を溶解させたB液を調製した。
窒素雰囲気下、1000mLの3口フラスコにフタル酸
緩衝液(150mL)を加え、60℃で3時間かけて、
A液とB液をそれぞれ別に滴下した。滴下終了後80℃
で3時間加熱攪拌した後、室温まで冷却し、メタノール
10Lに反応液を滴下し、再沈殿操作を行った。得られ
た固形分をろ別し、40℃で減圧乾燥し、ポリアクリル
アミド50gを得た。得られたアクリルアミド20g
(0.22mmol)を水300mLに溶解し、5mo
l/lNaOHでpH値8.0に調整した後、あらかじ
め、N、N−ジメチルホルムアミド30mLに4−(5
−メルカプト−1−テトラゾリル)安息香酸495mg
(2.2mmol)、N−ヒドロキシサクシンイミド
(NHS)253mg(2.2mmol)とWSC(N
−エチル−N、N−ジメチルアミノプロピルカルボジイ
ミド塩酸塩)422mg(2.2mmol)を溶解し、
室温3時間攪拌したものをアクリルアミド水溶液中に2
0分間かけて滴下した。滴下終了後、40℃に保ちなが
らさらに30分間攪拌した。反応終了後、6Lのメタノ
ールに反応液をゆっくりと滴下し、得られた固形分をろ
別した。再び水270mLに溶解させ、6Lのメタノー
ルに再沈殿操作を行い、固形分をろ別した。得られた固
形分を40℃で減圧乾燥を行い、白色の固体としてWP
−1aを20g得た。
【0238】また、2−メルカプトエチルアミン塩酸塩
の添加量を換えることにより、分子量を制御したアクリ
ルアミドを合成し、得られたポリマーに対して10mo
l等量の4−(5−メルカプト−1−テトラゾリル)安
息香酸、NHS、WSCを用いて分子量の異なるポリマ
ーWP−1b〜WP−1dを合成した。合成したWP−
1の物性値を表1に示す。
【0239】《合成例2:ポリマーWP−2の合成》あ
らかじめpH4.7のフタル酸緩衝液(90mL)にア
クリルアミド47.5g、アクリル酸、2.5g、2−
メルカプトエチルアミン塩酸塩0.396gを溶解した
A液と、フタル酸緩衝液(50mL)に和光純薬製ラジ
カル発生剤V−50を溶解させたB液を調製した。窒素
雰囲気下、1000mLの3口フラスコにフタル酸緩衝
液(150mL)を加え、60℃で3時間かけて、A液
とB液をそれぞれ別に滴下した。滴下終了後80℃で3
時間加熱攪拌した後、室温まで冷却し、5mol/lN
aOHでpH値7.8に調整した後メタノール5Lに反
応液を滴下し、再沈殿操作を行った。得られた固形分を
ろ別し、40℃で減圧乾燥し、ポリアクリルアミド、ア
クリル酸共重合ポリマー50gを得た。得られたポリマ
ー20gを水70mLに溶解し、5mol/lNaOH
でpH値8.0に調整した後、あらかじめ、N、N−ジ
メチルホルムアミド70mLに4−(5−メルカプト−
1−テトラゾリル)安息香酸ジナトリウム1.43g
(5.9mmol)、NHS、0.68g(5.9mm
ol)とWSC、1.13g(5.9mmol)を溶解
し、室温3時間攪拌したものをポリマー水溶液中に20
分間かけて滴下した。滴下終了後、40℃に保ちなが
ら、さらに3時間攪拌した。反応終了後、3Lのメタノ
ールに反応液をゆっくりと滴下し、得られた固形分をろ
別した。再び水50mLに溶解させ、3Lのメタノール
に再沈殿操作を行い、固形分をろ別した。得られた固形
分を40℃で減圧乾燥を行い、白色の固体としてWP−
2aを2g得た。また、2−メルカプトエチルアミン塩
酸塩の添加量を換えることにより、分子量を制御したア
クリルアミド、アクリル酸共重合ポリマーを合成し、得
られたポリマーに対して10mol等量の4−(5−メ
ルカプト−1−テトラゾリル)安息香酸、NHS、WS
Cを用いて分子量の異なるポリマーWP−2bを合成し
た。
【0240】《合成例3:ポリマーWP−3の合成》ポ
リマーWP−2と同様の方法で、2−メルカプトエチル
アミン塩酸塩の添加量とアクリルアミド、アクリル酸の
添加質量比を95:5に換えることにより、分子量を制
御したアクリルアミド、アクリル酸共重合ポリマーを合
成し、得られたポリマーに対して10mol等量の4−
(5−メルカプト−1−テトラゾリル)安息香酸、NH
S、WSCを用いて分子量の異なるポリマーWP−3
a、WP−3bを合成した。合成したWP−3の物性値
を表1に示す。
【0241】
【表1】
【0242】(実施例2)本実施例により上記第一の実
施の形態の効果を示す。以下の乳剤調製で分散媒として
用いたゼラチン1〜ゼラチン4は、以下の属性を持つゼ
ラチンである。 ゼラチン1:牛骨を原料とする通常のアルカリ処理オセ
インゼラチン。ゼラチン中の−NH2基の化学修飾な
し。 ゼラチン2:ゼラチン1の水溶液に、温度50℃、pH
9.0の条件下で無水フタル酸を加えて化学反応させた
後、残留するフタル酸を除去して乾燥させたゼラチン。
ゼラチン中の−NH2基が化学修飾された数の割合は9
5%。 ゼラチン3:ゼラチン1の水溶液に、温度50℃、pH
9.0の条件下で無水トリメリット酸を加えて化学反応
させた後、残留するトリメリット酸を除去して乾燥させ
たゼラチン。ゼラチン中の−NH2基が化学修飾された
数の割合95%。 ゼラチン4:ゼラチン1に酵素を作用させて低分子量化
し、平均分子量を15,000にした後、酵素を失活さ
せて乾燥させたゼラチン。ゼラチン中の−NH 2基の化
学修飾なし。 上記のゼラチン1〜4は、全て脱イオン処理をした後、
5%水溶液の35℃におけるpHが6.0となるように
調整を行った。
【0243】(乳剤A−1の調製)KBrを1.0g、
前記のゼラチン4を1.1g含む水溶液1300mLを
35℃に保ち、撹拌した(1st液調製)。Ag−1水
溶液(100mL中にAgNO3を4.9g含有する)
38mLと、X−1水溶液(100mL中にKBrを
5.2g含有する)29mL、およびG−1水溶液(1
00mL中に前記のゼラチン4を8.0g含有する)
8.5mLをトリプルジェット法で、一定の流量で30
秒間にわたり添加した(添加1)。その後、KBr6.
5gを添加し、温度を75℃に昇温した。昇温後12分
間の熟成工程を経た後、G−2水溶液(100mL中に
前記のゼラチン−1を12.7g含有する)300mL
を添加し、次いで、4,5−ジヒドロキシ−1,3−ベ
ンゼンジスルホン酸ジナトリウム一水和物を4.2g添
加した。
【0244】次に、Ag−2水溶液(100mL中にA
gNO3を22.1g含有する)157mLと、X−2
水溶液(100mL中にKBrを15.5g含有する)
をダプルジェット法で28分間にわたり添加した。この
時、Ag−2水溶液の添加は最終流量が初期流量の3.
4倍になるように流量加速を行い、X−2水溶液の添加
は反応容器内のバルク乳剤溶液のpAgが7.52を保
つように行った(添加2)。次いで、Ag−3水溶液
(100mL中にAgNO3を32.0g含有する)3
29mLと、X−3水溶液(100mL中にKBrを2
1.5g、KIを1.2g含有する)をダプルジェット
法で53分間にわたり添加した。この時、Ag−3水溶
液の添加は最終流量が初期流量の1.6倍になるように
流量加速を行い、X−3水溶液の添加は反応容器内のバ
ルク乳剤溶液のpAgが7.52を保つように行った
(添加3)。さらに、Ag−4水溶液(100mL中に
AgNO3を32.0g含有する)156mLと、X−
4水溶液(100mL中にKBrを22.4g含有す
る)をダプルジェット法で17分間にわたり添加した。
この時、Ag−4水溶液の添加は一定の流量で行い、X
−3水溶液の添加は反応容器内のバルク乳剤溶液のpA
gが7.52を保つように行った(添加4)。
【0245】その後、ベンゼンチオスルホン酸ナトリウ
ムを0.0025g、G−3水溶液(100mL中に前
記のゼラチン1を12.0g含有する)125mLを、
1分間づつ間隔をあけて順次添加した。次いでKBr4
3.7gを添加し反応容器内のバルク乳剤溶液のpAg
を9.00にしてから、AgI微粒子乳剤(100g中
に平均粒子サイズ0.047μmのAgI微粒子を1
3.0g含有する)73.9gを添加し、その2分後か
ら、Ag−4水溶液249mLと、X−4水溶液をダブ
ルジェット法で添加した。
【0246】この時Ag−4水溶液は一定の流量で9分
間にわたって添加し、X−4水溶液は最初の3.3分間
だけ反応容器内のバルク乳剤溶液のpAgを9.00に
保つように添加し、残りの5.7分間は添加をせず、反
応容器内のバルク乳剤溶液のpAgが最終的に8.4に
なるようにした(添加5)。その後、通常のフロキュレ
ーション法により脱塩を行い、次いで、攪拌しながら
水、NaOH、前記のゼラチン1を添加し、56℃でp
H6.4、pAg8.6になるように調整した。
【0247】得られた乳剤は、球相当径0.99μm、
アスペクト比の平均値が3.1かつ粒子の全投影面積の
60%がアスペクト比2.5以上4.5以下であり、A
gI含有量の平均値が3.94mol%の沃臭化銀、平
行な主平面が(111)面である平板状ハロゲン化銀粒
子から成り、XPSで測定されたハロゲン化銀粒子表面
のAgI含有量は2.1mol%であった。また、Ag
Cl含量が0mol%であった。
【0248】続いて、下記増感色素Exs−1、チオシ
アン酸カリウム、塩化金酸、チオ硫酸ナトリウムおよび
N,N−ジメチルセレノ尿素、下記化合物RS−1を順
次添加し最適に化学増感を施した後、水溶性メルカプト
化合物ExA−1およびExA−2を4:1の比率で合
計でハロゲン化銀1mol当たり3.6×10-4mol
添加することにより化学増感を終了させた。乳剤A−1
では、Exs−1の添加量がハロゲン化銀1mol当た
り3.65×10-4molの時に最適に化学増感され
た。
【0249】増感色素Exs−1、化合物RS−1
【化17】
【0250】水溶性メルカプト化合物ExA−1および
ExA−2
【化18】
【0251】(乳剤A−2の調製)前記の乳剤A−1の
調製条件に対して、以下の変更を行った調製条件で乳剤
A−2を調製した。 (I) 75℃昇温後12分間の熟成工程を経た後に添
加されるG−2水溶液中のゼラチンを前記のゼラチン−
1からゼラチン−2に変更した。 (II) (添加2)のAg−2水溶液の添加を、添加液
量を157mLとしたままで添加時間が22.4分間と
なるように添加流量を変更した。流量加速は最終流量が
初期流量の3.4倍になるようにした。また、X−2水
溶液の添加は、反応容器内のバルク乳剤溶液のpAgが
7.83を保つように行った。 (III) (添加3)のAg−3水溶液の添加を、添加
液量を329mLとしたままで添加時間が42.4分間
となるように添加流量を変更した。流量加速は最終流量
が初期流量の1.6倍になるようにした。また、X−3
水溶液の添加は、反応容器内のバルク乳剤溶液のpAg
が7.83を保つように行った。
【0252】得られた乳剤は、球相当径0.99μm、
アスペクト比の平均値が5.9かつ粒子の全投影面積の
60%がアスペクト比5.0〜8.0であり、AgI含
有量の平均値が3.94mol%、平行な主平面が(1
11)面である平板状ハロゲン化銀粒子からなり、XP
Sで測定されたハロゲン化銀粒子表面のAgI含有量は
2.4mol%であった。また、AgCl含量は0mo
l%であった。なお、乳剤A−2では、増感色素Exs
−1の添加量がハロゲン化銀1mol当たり4.60×
10-4molの時に最適に化学増感された。
【0253】(乳剤A−3の調製)前記の乳剤A−1の
調製条件に対して、以下の変更を行った調製条件で乳剤
A−3を調製した。 (I) 75℃に昇温後、12分間の熟成工程を経た後
に、添加されるG−2水溶液中のゼラチンを前記のゼラ
チン−1からゼラチン−3に変更した。 (II) (添加2)のAg−2水溶液の添加を、添加液
量を157mLとしたままで添加時間が14分間となる
ように添加流量を変更した。流量加速は最終流量が初期
流量の3.4倍になるようにした。また、X−2水溶液
の添加は、反応容器内のバルク乳剤溶液のpAgが8.
30を保つように行った。 (III) (添加3)のAg−3水溶液の添加を、添加
液量を329mLとしたままで添加時間が27分間とな
るように添加流量を変更した。流量加速は最終流量が初
期流量の1.6倍になるようにした。また、X−3水溶
液の添加は、反応容器内のバルク乳剤溶液のpAgが
8.30を保つように行った。
【0254】得られた乳剤は、球相当径0.99μm、
アスペクト比の平均値が12.5、かつ粒子の全投影面
積の60%がアスペクト比9.0〜15.0であり、A
gI含有量の平均値が3.94mol%、平行な主平面
が(111)面である平板状ハロゲン化銀粒子からな
り、XPSで測定されたハロゲン化銀粒子表面のAgI
含有量は2.6mol%であった。また、AgCl含量
が0mol%であった。なお、乳剤A−3では、増感色
素Exs−1の添加量をハロゲン化銀1mol当たり
6.42×10-4molとした。
【0255】前記の乳剤A−1〜A−3について400
kVの透過型電子顕微鏡を用いて液体窒素温度で観察し
たところ、何れの粒子においても平板粒子のフリンジ部
に転位線が10本以上存在していることがわかった。
【0256】また、前記の乳剤A−1〜A−3は、前記
の乳剤調製工程における(添加2)の直前に4,5−ジ
ヒドロキシ−1,3−ベンゼンジスルホン酸ジナトリウ
ム一水和物を添加したことにより還元増感がなされてい
る。
【0257】(乳剤A−4〜A−6の調製)乳剤A−1
〜A−3において、後述の表2に示すメルカプト基含有
ポリマーWP−1aをハロゲン化銀1mol当たり20
mg、化学増感終了時に前記ExA−1およびExA−
2とともに添加した以外は同様にして、各々乳剤A−4
〜A−6を調製した。
【0258】(乳剤A−7〜A−13の調製)乳剤A−
3において、後述の表2に示すメルカプト基含有ポリマ
ーをハロゲン化銀1mol当たり20mg、化学増感終
了時に前記ExA−1およびExA−2とともに添加し
た以外は同様にして、各々乳剤A−7〜A−13を調製
した。
【0259】(乳剤A−14の調製)乳剤A−3におい
て、メルカプト基含有ポリマーWP−1aをハロゲン化
銀1mol当たり20mg、増感色素ExS−1の前に
添加する以外は同様にして、A−14を調製した。 (乳剤A−15の調製)乳剤A−3において、メルカプ
ト基含有ポリマーWP−1aをハロゲン化銀1mol当
たり20mg、粒子形成時の添加5で添加する以外は同
様にして、A−15を調製した。 (乳剤A−16の調製)乳剤A−3において、実施例1
の合成例2のアクリルアミド−アクリル酸共重合ポリマ
ー(比較ポリマーbとする)を20mg、化学増感終了
時に前記ExA−1およびExA−2とともに添加する
以外は同様にして、乳剤A−16を調製した。 (乳剤A−17の調製)乳剤A−3において、4−(5
−メルカプト−1−テトラゾリル)安息香酸(比較化合
物aとする)を乳剤A−10に含まれるポリマーWP−
2aに由来するモル数の1倍mol、さらに実施例1の
合成例2のアクリルアミド−アクリル酸共重合ポリマー
(比較ポリマーbとする)を20mg、化学増感終了時
に前記ExA−1およびExA−2とともに添加した以
外は同様にして、乳剤A−17を調製した。 (乳剤A−18の調製)乳剤A−3において、前記比較
化合物aが結合した修飾ゼラチンとして特開平3−37
643号公報に開示されている合成例2の例示−3を2
0mg、化学増感終了時に前記ExA−1およびExA
−2とともに添加した以外は同様にして、乳剤A−18
を調製した。
【0260】下塗り層を設けてある三酢酸セルロースフ
ィルム支持体に下記に示すような塗布条件で、前記の乳
剤A−1〜A−18の塗布を行った。塗布試料を各々表
2に示すように試料101〜118とする。
【0261】(乳剤塗布条件)ハロゲン化銀については
銀換算の塗布量を示す。 1)乳剤層 各種の乳剤 銀 1.76g/m2 マゼンタ色素形成カプラー(M−1) 1.58g/m2 トリクレジルホスフェート 1.32g/m2 ゼラチン 3.24g/m2 2)保護層 4ージクロロー6ーヒドロキシーsートリアジンナトリウム塩 0.08g/m2 ゼラチン 1.80g/m2 また塗布性をよくするために、適宜、界面活性剤が含有
されている。
【0262】マゼンタ色素形成カプラーM−1
【化19】
【0263】これらの試料を40℃、相対湿度70%の
条件下で14時間硬膜処理を施した。その後、富士フイ
ルム(株)製ゼラチンフィルターSC−50(カットオ
フ波長が500nmである長波長光透過フィルター)と
連続ウェッジを通して1/100秒間露光を行い、後述
の現像処理を行なった試料を緑色フィルターで濃度測定
することにより写真性能の評価を行った。感度はカブリ
濃度プラス0.2のマゼンタ濃度を与えるルックス・秒
で表示する露光量の逆数の対数の相対値で表示した(試
料101の感度を100とした)。感度を下記表2に示
す。
【0264】富士写真フイルム(株)製ネガプロセサー
FP−350を用い、以下に記載の方法で(液の累積補
充量がその母液タンク容量の3倍になるまで)現像処理
した。 (処理方法) 工 程 処理時間 処理温度 補充量 発色現像 2分45秒 38℃ 45mL 漂 白 1分00秒 38℃ 20mL 漂白液オーバーフローは 漂白定着タンクに全量流入 漂白定着 3分15秒 38℃ 30mL 水洗(1) 40秒 35℃ (2)〜(1)への向流配管方式 水洗(2) 1分00秒 35℃ 30mL 安 定 40秒 38℃ 20mL 乾 燥 1分15秒 55℃ *補充量は35mm巾1.1m長さ当たり(24Ex.1本相当)。
【0265】次に、処理液の組成を記す。 (発色現像液) タンク液(g) 補充液(g) ジエチレントリアミン五酢酸 1.0 1.1 1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸 2.0 2.0 亜硫酸ナトリウム 4.0 4.4 炭酸カリウム 30.0 37.0 臭化カリウム 1.4 0.7 ヨウ化カリウム 1.5mg − ヒドロキシルアミン硫酸塩 2.4 2.8 4−〔N−エチル−N−(β−ヒドロキシエチル)アミノ〕 −2−メチルアニリン硫酸塩 4.5 5.5 水を加えて 1.0L 1.0L pH(水酸化カリウムと硫酸にて調整) 10.05 10.10
【0266】 (漂白液) タンク液、補充液共通(単位 g) エチレンジアミン四酢酸第二鉄アンモニウム二水塩 120.0 エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩 10.0 臭化アンモニウム 100.0 硝酸アンモニウム 10.0 漂白促進剤 0.005mol (CH32N−CH2−CH2−S−S−CH2−CH2−N(CH32・2 HCl アンモニア水(27%) 15.0mL 水を加えて 1.0L pH(アンモニア水と硝酸にて調整) 6.3
【0267】 (漂白定着液) タンク液(g) 補充液(g) エチレンジアミン四酢酸第二鉄アンモニウム二水塩 50.0 − エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩 5.0 2.0 亜硫酸ナトリウム 12.0 20.0 チオ硫酸アンモニウム水溶液(700g/L) 240.0mL 400.0mL アンモニア水(27%) 6.0mL − 水を加えて 1.0L 1.0L pH(アンモニア水と酢酸にて調整) 7.2 7.3
【0268】(水洗液) タンク液、補充液共通 水道水をH型強酸性カチオン交換樹脂(ロームアンドハ
ース社製アンバーライトIR−120B)と、OH型ア
ニオン交換樹脂(同アンバーライトIR−400)を充
填した混床式カラムに通水してカルシウムおよびマグネ
シウムイオン濃度を3mg/L以下に処理し、続いて二
塩化イソシアヌール酸ナトリウム20mg/Lと硫酸ナ
トリウム0.15g/Lを添加した。この液のpHは
6.5〜7.5の範囲にあった。
【0269】 (安定液) タンク液、補充液共通(単位 g) p−トルエンスルフィン酸ナトリウム 0.03 ポリオキシエチレン−p−モノノニルフェニルエーテル (平均重合度10) 0.2 エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩 0.05 1,2,4−トリアゾール 1.3 1,4−ビス(1,2,4−トリアゾール−1− イルメチル)ピペラジン 0.75 水を加えて 1.0L pH 8.5
【0270】(圧力耐性の評価)試料の圧力耐性を評価
するために、以下に示す試験を行った。試料を温度25
℃で55%に調湿し、荷重5gを掛けた0.1mmの細
針で乳剤面を一定方向に引っかいた後、先述した方法に
より露光および現像処理、濃測を行った。引っかきを行
わない試料を上記露光、現像、濃測して求められたマゼ
ンタ濃度の最小濃度(DMmIn)より0.25高い濃
度を与える露光量における、引っかきがある部分と引っ
かきがない部分の濃度差(ΔD)を求めた。ΔDが小さ
いほど圧力耐性に優れていることを示している。これら
のΔDを圧力耐性を示す評価値とした。
【0271】(塗設時の粒子凝集による粒状性悪化の評
価)前記の試料101〜118において各乳剤を40℃
で溶解し8時間経時させた後に試料101〜118と同
様の塗布条件で試料201〜218を新たに作製した。
これらの試料101および201〜218を40℃、相
対湿度70%の条件下で14時間放置した後、前記と同
様の現像処理を行い、各試料のカブリ濃度プラス0.2
の濃度でのRMS粒状度を測定した。粒子が凝集すると
粒状性が悪化しRMS粒状度の値が増大する。粒状度は
溶解経時後の試料の値を試料101を100とした相対
値で示した。
【0272】写真性能の結果を表2にまとめて示した。
【0273】
【表2】
【0274】表2に示すように乳剤A−1〜A−3はア
スペクト比の増加とともに粒子が凝集が起こり易くなる
ため「溶解経時後のRMS粒状度」が悪化した。前記メ
ルカプト基含有ポリマーを用いることにより、粒子の凝
集が抑制され、凝集のない粒子本来の粒状度を示すよう
になった。また粒状性だけでなく、「圧力耐性」もアス
ペクト比の大きな粒子の方が有効である。この「溶解経
時後のRMS粒状度」および「圧力耐性」への効果は、
単にメルカプト基を有する複素環基をもたない水溶性ポ
リマーでは、また単にメルカプト化合物を添加するだ
け、では乳剤A−16およびA−17に示すごとく効果
は発現しない。特開平3−37643号公報の実施例に
記載の修飾ゼラチンcを用いた乳剤A−18では逆に凝
集が悪化した。このように感度、粒状性および経時後の
写真性変化全てに優れた写真性能を満たすにはメルカプ
ト基含有ポリマーが有効である。
【0275】(実施例3)本実施例により上記第二の実
施の形態の効果を示す。以下の製法によりホストハロゲ
ン化銀乳剤Bを調製した。 (種乳剤aの調製)KBr0.017g、平均分子量2
0000の酸化処理ゼラチン0.4gを含水溶液116
4mLを30℃に保ち撹拌した。AgNO3(1.6
g)水溶液とKBr水溶液と平均分子量20,000の
酸化処理ゼラチン(2.1g)水溶液をトリプルジェッ
ト法で30秒間に渡り添加した。AgNO3溶液の濃度
は0.2mol/Lの溶液を用いた。この時、銀電位を
飽和カロメル電極に対して15mVに保った。KBr水
溶液を加え、銀電位を−60mVとした後、75℃に昇
温した。平均分子量100000のコハク化ゼラチン2
1gを添加した。AgNO3(206.3g)水溶液と
KBr水溶液をダブルジェット法で流量加速しながら6
1分間にわたって添加した。この時、銀電位を飽和カロ
メル電極に対して−40mVに保った。脱塩した後、平
均分子量100000のコハク化ゼラチンを加え、40
℃でpH5.8、pAg8.8に調整し、種乳剤を調製
した。この種乳剤は乳剤1kg当たり、Agを1mo
l、ゼラチンを80g含有し、平均円相当直径1.60
μm、円相当直径の変動係数22%、平均厚み0.04
3μm、平均アスペクト比37の平板粒子であった。
【0276】(ホスト平板粒子乳剤Bの調製)上記種乳
剤aを134g、KBr1.9g、平均分子量100,
000のコハク化ゼラチン22gを含む水溶液1200
mLを75℃に保ち撹拌した。AgNO3(137.5
g)水溶液とKBr水溶液と分子量20,000の酸化
処理ゼラチン水溶液を、特開平10−43570号公報
に記載の磁気カップリング誘導型攪拌機を有する別のチ
ャンバ−内で添加前直前混合して25分間にわたって添
加した。この時、銀電位を飽和カロメル電極に対して−
40mVに保った。その後、AgNO3(30.0g)
水溶液とKBr水溶液と予め調製したAgI超微粒子乳
剤をトリプルジェット法で30分間に渡って一定流量で
添加した。AgI超微粒子乳剤の添加量は沃化銀含有率
が15mol%になるように調整した。またAgI超微
粒子乳剤は円相当径0.03μm、円相当径の変動係数
17%で分散ゼラチンとしてトリメリット化ゼラチンを
使用したものを用いた。途中で6塩化イリジウムカリウ
ムとベンゼンチオスルホン酸ナトリウムを添加した。こ
の時、銀電位を飽和カロメル電極に対して−20mVに
保った。その後AgNO3水溶液(36.4g)とKB
r水溶液と前述した予め調整したAgI超微粒子乳剤を
40分間に渡って一定流量で添加した。AgI超微粒子
乳剤の添加量は沃化銀含有率が15mol%になるよう
に調整した。この時、銀電位を飽和カロメル電極に対し
て+80mVに保った。通常の水洗を行い、分子量15
0000の高分子量ゼラチンを添加し、40℃でpH
5.8、pBr4.0に調整した。この乳剤を乳剤B−
1とした。乳剤B−1は平均円相当径4.2μm、円相
当径の変動係数19%、平均厚み0.062μm、平均
アスペクト比68の平板粒子であった。また、全投影面
積の90%以上が円相当径3.0μm以上、厚み0.0
7μm以下であった。また、全投影面積の90%以上が
最小の長さを有する辺の長さに対する最大の長さを有す
る辺の長さの比が1.4以下である六角形平板粒子で占
められていた。低温での投下電子顕微鏡観察の結果、全
投影面積の90%以上の粒子に転位線は全く観測されな
かった。また側面の(111)面比率は68%であっ
た。
【0277】(エピタキシャル沈着と化学増感)ホスト
平板粒子乳剤Bに以下に示した(I)〜(III)のエピ
タキシャル沈着を行い、乳剤B−1〜B−3を調製し
た。 (I) ホスト平板粒子乳剤Bを40℃で溶解しKI水
溶液をホスト平板粒子の銀量1molに対して3×10
-3mol添加した。増感色素I、IIおよびIIIを6:
3:1のモル比で飽和被覆量の70%の比率で添加し
た。但し、増感色素は特開平11−52507号公報に
記載の方法で調製した固体微分散物として、使用した。
すなわち硝酸ナトリウム0.8質量部および硫酸ナトリ
ウム3.2質量部をイオン交換水43部に溶解し、増感
色素13質量部を添加し、60℃の条件下でディゾルバ
−翼を用い2000rpmで20分間分散することによ
り、増感色素の固体分散物を得た。ヘキサシアノルテニ
ウム(II)酸カリウムを3.1×10-6mol(以降ホ
スト平板粒子の銀量1molに対して)添加した後、K
Br水溶液を1.5×10-2mol添加した。その後、
1mol/Lの硝酸銀水溶液3.0×10-2molとN
aCl水溶液2.7×10-2molをダブルジェット法
で10分間にわたって定流量で添加した。添加終了時の
銀電位は、飽和カロメル電極に対して+85mVであっ
た。カブリ防止剤ExA−3を2×10-5mol、Ex
A−4を5×10-5mol添加した後、乳剤を50℃に
昇温し、チオシアン酸カリウム、塩化金酸、チオ硫酸ナ
トリウムおよびN,N−ジメチルセレノ尿素を添加し最
適に化学増感を施した。実施例2のメルカプト化合物E
xA―1を5×10-4mol添加して化学増感を終了し
た。
【0278】増感色素I、IIおよびIII、ならびにカブ
リ防止剤ExA−3およびExA−4を以下に示す。
【0279】
【化20】
【0280】(II) ホスト平板粒子乳剤を40℃で溶
解し、前述したAgI微粒子乳剤をホスト平板粒子の銀
量1molに対して3×10-3mol添加した。増感色
素I、II、およびIIIを6:3:1のモル比で飽和被覆
量の70%の比率で添加した。但し増感色素は、特開平
11−52507号公報に記載の方法で作製した固体微
分散物として、使用した。すなわち硝酸ナトリウム0.
8質量部および硫酸ナトリウム3.2質量部をイオン交
換水43部に溶解し、増感色素13質量部を添加し、6
0℃の条件下でディゾルバ−翼を用い2000rpmで
20分間分散することにより、増感色素の固体分散物を
得た。ヘキサシアノルテニウム(II)酸カリウムを3.
1×10-6mol(以降ホスト平板粒子の銀量1mol
に対して)添加した後、KBr水溶液を1.5×10-2
mol添加した。NaCl水溶液を2.7×10-2mo
l添加した後、0.1mol/Lの硝酸銀水溶液3.0
×10-2molを1分間にわたって定流量で添加した。
添加終了時の銀電位は飽和カロメル電極に対して+85
mVであった。カブリ防止剤ExA−3を2×10-5
ol、ExA−4を5×10-5mol添加した後、乳剤
を50℃に昇温し、チオシアン酸カリウム、塩化金酸、
チオ硫酸ナトリウムおよびN,N−ジメチルセレノ尿素
を添加し最適に化学増感を施した。化合物ExA−1を
5×10-4mol添加して化学増感を終了した。
【0281】(III) ホスト平板粒子乳剤を40℃で
溶解し、前述したAgI微粒子乳剤をホスト平板粒子の
銀量1molに対して3×10-3mol添加した。増感
色素I、IIおよびIIIを6:3:1のモル比で飽和被覆
量の70%の比率で添加した。但し、増感色素は特開平
11−52507号公報に記載の方法で作製した固体微
分散物として、使用した。すなわち硝酸ナトリウム0.
8質量部および硫酸ナトリウム3.2質量部をイオン交
換水43部に溶解し、増感色素13質量部を添加し、6
0℃の条件下でディゾルバ−翼を用い2000rpmで
20分間分散することにより、増感色素の固体分散物を
得た。ヘキサシアノルテニウム(II)酸カリウムを3.
1×10-6mol(以降ホスト平板粒子の銀量1mol
に対して)添加した後、KBr水溶液を1.5×10-2
mol添加した。その後、0.1mol/Lの硝酸銀水
溶液3.0×10-2molとNaCl水溶液2.7×1
-2molをダブルジェット法で2分間にわたって定流
量で添加した。添加終了時の銀電位は飽和カロメル電極
に対して+85mVであった。カブリ防止剤ExA−3
を2×10-5mol、ExA−4を5×10-5mol添
加した後,KBr水溶液を添加して銀電位を飽和カロメ
ル電極に対して+20mVに調整した。乳剤を50℃に
昇温し、チオシアン酸カリウム、塩化金酸、チオ硫酸ナ
トリウムおよびN,N−ジメチルセレノ尿素を添加し最
適に化学増感を施した。化合物ExA−1を5×10-4
mol添加して化学増感を終了した。
【0282】ホスト平板粒子乳剤に上記エピタキシャル
沈着を組み合わせて調製した乳剤B−1からB−3につ
いてEPMA法を用いて粒子間の沃化銀含有率と塩化銀
含有率の分布を測定した。またレプリカでの電子顕微鏡
観察からエピタキシャル沈着の様子を観察した。ホスト
平板粒子乳剤B−1〜3での結果をまとめて表3に示
す。これらの乳剤は塩化銀含有率が1.2mol%、沃
化銀含有率が4.5mol%の沃臭化銀よりなる平板状
ハロゲン化銀粒子であった。
【0283】
【表3】
【0284】(乳剤B−4〜B−9の調製)乳剤B−1
〜B−3において、後述の表4に示すようにメルカプト
基含有ポリマーをハロゲン化銀1mol当たり20m
g、化学増感終了時に前記ExA−1ともに添加する以
外は同様にして、乳剤B−4〜B−9を調製した。
【0285】実施例2と同様に前記の乳剤9種の塗布を
行った。塗布した試料を試料301〜309とした。感
度も実施例2と同様の露光・現像処理を行い、試料30
1の感度を100として実験した。試料301〜309
を用いて実施例2と同様にして圧力耐性の評価を行っ
た。
【0286】また前記9種の乳剤を40℃で溶解し8時
間経時させた後に塗布した試料を試料301〜309と
同様の塗布条件で各々試料311〜319を作製した。
実施例2と同様に感度・RMS粒状度を試料301〜3
09と比較し、塗設時の粒子凝集による粒状性悪化の評
価を行った(試料301の粒状度を100とした相対値
で示した)。
【0287】結果を表4にまとめて示した。
【0288】
【表4】
【0289】表4に示す通り、前記第二の実施の形態の
乳剤においてもメルカプト基含有ポリマーを用いること
で感度を損なうことなく、塗設時の粒子凝集を防止する
ことができ粒状性に優れた乳剤を提供できる。また圧力
耐性も向上できる。
【0290】(実施例4)本実施例により第一の実施の
形態の効果を示す。 (乳剤C−1の調製) (1st液調製)KBrを0.6g、前記のゼラチン4
を1.1g含む水溶液1300mLを35℃に保ち、撹
拌した。
【0291】(添加1)Ag−1水溶液(100mL中
にAgNO3を4.9g含有する)24mLと、X−1
水溶液(100mL中にKBrを4.1g含有する)2
4mL、およびG−1水溶液(100mL中に前記の実
施例2のゼラチン4を1.8g含有する)24mLをト
リプルジェット法で、一定の流量で30秒間にわたり添
加した。
【0292】その後、KBr1.3gを添加し、温度を
75℃に昇温した。昇温後12分間の熟成工程を経た
後、G−2水溶液(100mL中に前記のゼラチン3を
12.7g含有する)300mLを添加し、次いで、
4,5−ジヒドロキシ−1,3−ベンゼンジスルホン酸
ジナトリウム一水和物を8.4g、二酸化チオ尿素を
0.002gを1分間づつ間隔をあけて順次添加した。
【0293】(添加2)次に、Ag−2水溶液(100
mL中にAgNO3を22.1g含有する)157mL
と、X−2水溶液(100mL中にKBrを15.5g
含有する)をダブルジェット法で14分間にわたり添加
した。この時、Ag−2水溶液の添加は最終流量が初期
流量の3.4倍になるように流量加速を行い、X−2水
溶液の添加は反応容器内のバルク乳剤溶液のpAgが
8.3を保つように行った。
【0294】(添加3)次いで、Ag−3水溶液(10
0mL中にAgNO3を32.0g含有する)329m
Lと、X−3水溶液(100mL中にKBrを21.5
g、KIを1.6g含有する)をダブルジェット法で2
7分間にわたり添加した。この時、Ag−3水溶液の添
加は最終流量が初期流量の1.6倍になるように流量加
速を行い、X−3水溶液の添加は反応容器内のバルク乳
剤溶液のpAgが8.3を保つように行った。
【0295】(添加4)さらに、Ag−4水溶液(10
0mL中にAgNO3を32.0g含有する)156m
Lと、X−4水溶液(100mL中にKBrを22.4
g含有する)をダブルジェット法で17分間にわたり添
加した。この時、Ag−4水溶液の添加は一定の流量で
行い、X−3水溶液の添加は反応容器内のバルク乳剤溶
液のpAgが8.3を保つように行った。
【0296】その後、ベンゼンチオスルホン酸ナトリウ
ムを0.0025g、G−3水溶液(100mL中に前
記のゼラチン1を12.0g含有する)125mLを、
1分間づつ間隔をあけて順次添加した。
【0297】次いでKBr43.7gを添加し反応容器
内のバルク乳剤溶液のpAgを9.00にしてから、A
gI微粒子乳剤(100g中に平均粒子サイズ0.04
7mのAgI微粒子を13.0g含有する)73.9g
を添加した。
【0298】(添加5)その2分後から、Ag−4水溶
液249mLと、X−4水溶液をダブルジェット法で添
加した。この時Ag−4水溶液は一定の流量で16分間
にわたって添加し、X−4水溶液はpAgを9.10に
保つように添加した。
【0299】(添加6)最初の5分間に、黄血塩水溶液
をトータルの銀に対して5×10-6mol/molAg
となるように定量で添加した。続いて10分間は、反応
容器内のバルク乳剤溶液のpAgが7.5になるように
して添加を行った。その後、通常のフロキュレーション
法により脱塩を行い、次いで、攪拌しながら水、NaO
H、前記のゼラチン1を添加し、56℃でpH5.8、
pAg8.9になるように調整した。
【0300】得られた粒子は、円相当径1.2μm、粒
子厚み0.20μm、アスペクト比の平均値が6.0、
AgI含有量かつの平均値が3.94mol%である平
行な主平面が(111)面である平板状ハロゲン化銀粒
子から成り、XPSで測定されたハロゲン化銀粒子表面
のAgI含有量は2.1mol%であった。また全粒子
の円相当径の変動係数は24%であった。また、AgC
l含量が0mol%であった。また、透過型電子顕微鏡
によって平板粒子のフリンジ部に転位線が1粒子当たり
10本以上観察された。
【0301】(分光増感・化学増感)得られた粒子に対
して、前記実施例3の化合物ExA−4、下記化合物E
xA−5、前記実施例2および3の増感色素ExS−
1、増感色素II、増感色素III、チオシアン酸カリウ
ム、塩化金酸、チオ硫酸ナトリウムおよびN,N−ジメ
チルセレノ尿素を順次添加し最適に化学増感を施した
後、前記の水溶性メルカプト化合物ExA−1および前
記実施例3の化合物ExA−3を4:1の比率で合計で
ハロゲン化銀1mol当たり3.6×10-4mol添加
することにより化学増感を終了させた。
【0302】化合物ExA−5
【化21】
【0303】(C−2およびC−3の調製)乳剤C−1
の粒子成長条件等を適当に変化させることにより、粒子
厚みの異なる平板乳剤を調製した。粒子厚みはC−2が
0.10μm、C−3が0.07μmであった。粒子厚
み以外は円相当径、AgI含有量とも乳剤C−1と同じ
である。また、C−2およびC−3においても透過型電
子顕微鏡によって平板粒子のフリンジ部に転位線が1粒
子当たり10本以上観察された。
【0304】(C−4からC−6の調製)乳剤C―1〜
C−3において、後述の表6に示すようにメルカプト基
含有ポリマーをハロゲン化銀1mol当たり20mg、
化学増感終了時に前記ExA−1およびExA−3とと
もに添加する以外は同様にして、乳剤C−4〜C−6を
調製した。
【0305】実施例2と同様に前記の乳剤6種の塗布を
行った。塗布した試料を試料401〜406とした。感
度も実施例2と同様の露光・現像処理を行い、試料40
1の感度を100として実験した。試料401〜406
を用いて実施例2と同様にして圧力耐性の評価を行っ
た。
【0306】また前記6種の乳剤を40℃で溶解し8時
間経時させた後に塗布した試料を試料401〜406と
同様の塗布条件で各々試料411〜416を作製した。
実施例2と同様に感度・RMS粒状度を試料401〜4
06と比較し、塗設時の粒子凝集による粒状性悪化の評
価を行った(試料401の粒状度を100とした相対値
を示した)。結果を表5にまとめて示した。
【0307】
【表5】
【0308】表5に示す通り、本発明の第二の実施の形
態の乳剤においてもメルカプト基含有ポリマーを用いる
ことで感度を損なうことなく、塗設時の粒子凝集を防止
することができ粒状性に優れた乳剤を提供できる。また
圧力耐性も向上できる。
【0309】(実施例5)以下の製法によりハロゲン化
銀乳剤を調製した。調製に使用した化合物1〜化合物3
以外の構造は後から一覧に示す。
【0310】(乳剤Em−A1の製法)重量平均分子量
15,000の低分子量ゼラチン2.0g、KBr1.
1gを含む水溶液1300mLを45℃に保ち,pHを
9に調整し激しく攪拌した。AgNO31.1gを含む
水溶液とKBr1.1gと重量平均分子量15,000
の低分子量ゼラチン1.0gを含む水溶液をダブルジェ
ット法で30秒間にわたり添加し、核形成を行った。K
Brを6.6g添加し、75℃に昇温して熟成した。熟
成終了後、重量平均分子量10万のアルカリ処理ゼラチ
ンを、無水コハク酸で化学修飾したゼラチン20.0g
を添加し、その後pHを5.2に調整した(ここまでが
内部核の形成)。AgNO329.3gを含む水溶液2
30mLとKBr15.8gおよびKI1.92gとを
含む水溶液をダブルジェット法で40分間にわたり添加
した。この時、銀電位を飽和カロメル電極に対して−3
0mVに保った。さらに、AgNO3,64.5gを含
む水溶液とKBr42.3gおよびKI5.14gとを
含む水溶液233mLをダブルジェット法で最終流量が
初期流量の1.33倍になるように流量加速して57分
間にわたり添加した。この時、添加されている間、銀電
位を−25mVに保った(内部核の形成後ここまでが、
第1被覆相の形成)。次に、AgNO3,47.2gを
含む水溶液とKBr水溶液をダブルジェット法で銀電位
を−20mVに保ちながら25分間にわたり添加した。
【0311】温度を40℃に降温した後、化合物1を
3.9g添加し、さらに0.8Mの亜硫酸ナトリウム水
溶液を25.6mL添加した。次にNaOH水溶液を用
いてpH9.0に調整し5分間保持した。温度を55℃
に昇温した後、H2SO4にてpHを5.5に調整した。
ベンゼンチオスルホン酸ナトリウムを1.5mg添加
し、カルシウム濃度が1ppmの石灰処理ゼラチンを1
6g添加した。添加終了後、AgNO394.6gを含
む水溶液250mLおよびKBr水溶液を銀電位を+7
5mVに保ちながら30分間にわたり添加した。この
時、黄血塩を銀1molに対して2.0x10-5mol
およびK2IrCl6を銀1molに対して1.5x10
-8mol添加した。
【0312】水洗した後、ゼラチンを添加し40℃でp
H5.6、pAg8.8に調整した。56℃に昇温した
後、前記実施例4の化合物ExA―5、および増感色素
ExS−1、ExS−2、ExS−3を添加した後、チ
オシアン酸カリウム、塩化金酸、チオ硫酸ナトリウム、
ヘキサフルオロフェニルジフェニルホスフィンセレニド
および後述のF−11、下記化合物2を添加し最適に化
学増感した。化学増感終了時に前記化合物ExA―1を
添加した。
【0313】この乳剤は、平均球相当直径1.30μ
m、平均円相当直径2.74μm、平均厚み0.20μ
m、平均アスペクト比14.0の平板状粒子であった。
【0314】化合物1、化合物2
【化22】
【0315】(Em−B1の調製)分子量15000の
低分子量ゼラチンを1.0gとKBrを1.0g含む水
溶液1200mLを35℃に保ち、激しく撹拌した。A
gNO3を1.9g含む水溶液30mL、KBrを1.
5gと分子量15000の低分子量ゼラチンを0.7g
含む水溶液30mLとをダブルジェット法で30秒間に
亘り添加し、核形成を行った。この時、KBrの過剰濃
度を一定に保った。KBrを5g添加し、75℃に昇温
して熟成した。熟成終了後、1gあたり35μmolの
メチオニンを含有する分子量100,000のトリメリ
ット化率98%のトリメリット化ゼラチンを35g添加
した。PHを5.5に調整した。AgNO3を30g含
む水溶液150mLとKBr水溶液をダブルジェット法
で16分間にわたり添加した。この時、銀電位を飽和カ
ロメル電極に対して−25mVに保った。さらに、Ag
NO3を110g含む水溶液とKBr水溶液をダブルジ
ェット法で最終流量が初期流量の1.2倍になるように
流量加速して15分間にわたり添加した。この時、サイ
ズが0.03μmのAgI微粒子乳剤をヨウ化銀含有率
が3.8%になるように同時に流量加速して添加し、か
つ銀電位を−25mVに保った。AgNO 3を35g含
む水溶液132mLとKBr水溶液をダブルジェット法
で7分間にわたり添加した。添加終了時の電位を−20
mVになるようにKBr水溶液の添加を調整した。温度
を40℃にした後、化合物3をKI換算で8g添加し、
さらに0.8Mの亜硫酸ナトリウム水溶液を64mL添
加した。さらにNaOH水溶液を添加してpHを9.0
に上げ4分間保持し、沃化物イオンを急激に生成せしめ
た後、pHを5.5に戻した。温度を55℃に戻した
後、ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム、1mgを添加
し、さらにカルシウム濃度が1ppmの石灰処理ゼラチ
ンを13g添加した。添加終了後、AgNO3を70g
含む水溶液250mLおよびKBr水溶液を電位を60
mVに保ちながら20分間にわたり添加した。このと
き、黄血塩を銀1molに対して1.0×10-5mol
添加した。水洗した後、カルシウム濃度1ppmの石灰
処理ゼラチンを80g添加し、40℃でpHを5.8、
pAgを8.7に調整した。
【0316】化合物3
【化23】
【0317】上記の乳剤のカルシウム、マグネシウムお
よびストロンチウムの含有量をICP発光分光分析法に
より測定したところ、それぞれ15ppm、2ppmお
よび1ppmであった。上記の乳剤を56℃に昇温した
後、前記化合物ExA―5、および増感色素ExS−
1、ExS−2、ExS−3を添加した後,チオシアン
酸カリウム、塩化金酸、チオ硫酸ナトリウム、ヘキサフ
ルオロフェニルジフェニルホスフィンセレニドおよび化
合物F−11、化合物3を添加し最適に化学増感した。
化学増感終了時に前記化合物ExA−1を添加した。こ
の乳剤は、平均球相当直径0.85μm、平均円相当直
径1.60μm、平均厚み0.14μm、平均アスペク
ト比11.4の平板状粒子であった。
【0318】乳剤Em−A1およびEm−B1は液体窒
素で冷却しながら透過電子顕微鏡で観察した結果、とも
に粒子外周部から投影面積で30%の粒子周辺部には1
粒子当り10本以上の転位線が観察された。 (乳剤Kの製法) 《種乳剤の調整》重量平均分子量15,000の低分子
量酸化処理ゼラチン1.0g、KBr0.9gを含む水
溶液1200mLを35℃に保ち激しく攪拌した。Ag
NO31.05gを含む水溶液40mLとKBr 1.
02gおよび分子量15000の低分子量ゼラチン1.
2gを含む水溶液35mLをダブルジェット法で30秒
間添加し、核形成を行った。添加終了後、直ちにKBr
5.4gを加えて、75℃に昇温し熟成を行った。熟成
終了後、重量平均分子量10万のアルカリ処理ゼラチン
を無水コハク酸で化学修飾したゼラチン35gを添加
し、その後pHを5.5に調整した。AgNO3,36
gを含む水溶液250mLとKBr21.2gおよびK
I2.21gとを含む水溶液282mLを銀電位−10
mVに保ちながらダブルジェット法で25分間にわたり
添加した。その後、AgNO3 200gを含む水溶液
650mLとKBr134.1gおよびKI 13.9
gとを含む水溶液900mLをダブルジェット法で最終
流量が初期流量の1.5倍になるように流量加速して1
50分間にわたり添加した。この時、銀電位を飽和カロ
メル電極に対して+5mVに保った。水洗した後、ゼラ
チンを加えpH5.7、pAg8.8、乳剤1kg当た
りの銀換算の重量139.0g、ゼラチン重量56gに
調整し、種乳剤とした。
【0319】カルシウム濃度が1ppmの石灰処理ゼラ
チン33g、KBr3.4gを含む水溶液1200mL
を75℃に保ち激しく攪拌した。前述した種乳剤を89
g加えた後、変成シリコンオイル(日本ユニカ−株式会
社製品,L7602)を0.3g添加した。H2SO4
添加してpHを5.8に調整し、ベンゼンチオスルホン
酸ナトリウム 3mgと二酸化チオ尿素3mgを添加し
た後、AgNO3 51.0gを含む水溶液600mL
とKBr 36.2gおよびKI 3.49gとを含む
水溶液600mLをダブルジェット法で最終流量が初期
流量の1.1倍になるように流量加速して85分間にわ
たり添加した。この時、銀電位を飽和カロメル電極に対
して−35mVに保った。さらに、AgNO3 44.
7gを含む水溶液300mLとKBr 30.6gおよ
びKI 3.06gとを含む水溶液300mLをダブル
ジェット法で最終流量が初期流量の1.1倍になるよう
に流量加速して56分間にわたり添加した。この時、銀
電位を飽和カロメル電極に対して−25mVに保った。
次に、AgNO3 36.9gを含む水溶液180mL
とKBr水溶液をダブルジェット法で40分間に亘り添
加した。この時、銀電位を飽和カロメル電極に対して+
10mVに保った。KBrを添加して銀電位を−70m
Vに調整した後、0.037μmの粒子サイズのAgI
微粒子乳剤をKI重量換算で1.38g添加した。添加
終了後、直ちにAgNO3 17.4gを含む水溶液1
00mLを15分間にわたり添加した。水洗した後、ゼ
ラチンを添加し40℃でpH5.8、pAg8.7に調
整した。60℃に昇温した後、化合物2および増感色素
ExS−10、ExS−13を添加し、チオシアン酸カ
リウム、塩化金酸、チオ硫酸ナトリウム、ヘキサフルオ
ロフェニルジフェニルホスフィンセレニド、化合物F−
11と、化合物3を添加し最適に化学増感した。化学増
感終了時に化合物F−3を添加した。
【0320】この乳剤は、平均球相当直径1.90μ
m、平均円相当直径3.58μm、円相当直径の変動係
数20%、平均厚み0.36μm、平均アスペクト比1
0.0の平板状粒子であった。
【0321】得られた粒子を液体窒素で冷却しながら透
過電子顕微鏡で観察した結果、粒子中心部から投影面積
で80%以内に転位線が存在しない粒子が全数の約97
%であり、粒子外周部から投影面積で20%の粒子周辺
部には1粒子当り10本以上の転位線が観察された。
【0322】《乳剤Nの製法》脱イオンゼラチン48
g、KBr0.75gとを含む水溶液1250mLを7
0℃に保ち激しく攪拌した。この溶液中に、AgNO3
12.0gを含む水溶液276mLと等モル濃度のK
Br水溶液をダブルジェット法により7分間かけてpA
g7.5に保ちながら添加した。次に、AgNO3
08.0gを含む水溶液600mLと等モル濃度のKB
rとKIの混合水溶液(2.2mol%のKI)をダブ
ルジェット法により28分30秒かけてpAg7.30
に保ちながら添加した。この時、添加終了する5分前に
0.1重量%のチオスルホン酸水溶液を24.0mL添
加した。通常のフロキュレーション法による脱塩・水洗
を行って再分散させた後、40℃でpH6.2、pAg
7.6に調整した。温度を40℃に制御した後、化合物
2および増感色素ExS−10、ExS−12を添加
し、チオシアン酸カリウム、塩化金酸、チオ硫酸ナトリ
ウム、ヘキサフルオロフェニルジフェニルホスフィンセ
レニド、化合物F−11、化合物3とを添加した後、6
5℃に昇温し、最適に化学増感した。化学増感終了時に
化合物F−2を添加した。この乳剤は、球相当径0.1
9μm、球相当径の変動係数16%の立方体粒子であっ
た。
【0323】乳剤Em−B1、C〜J、L、M、Oは、
上記実施例1の乳剤Em−A1、上記乳剤Em−Kの調
製における温度、pH、銀電位、硝酸銀量、KI量、化
合物量、増感色素種、種乳剤量などを適宜変更すること
によって調製した。このようにして調製した乳剤の一覧
表を表6に示す。
【0324】
【表6】
【0325】塗布試料の作製 下塗りを施した三酢酸セルロースフィルム支持体上に、
下記に示すような組成の各層を重層塗布し、多層カラー
感光材料である試料501を作製した。
【0326】(感光層の組成)各層に使用する素材の主
なものは下記のように分類されている; ExC:シアンカプラー ExS:分光増感色素 UV :紫外線吸収剤 ExM:マゼンタカプラー HBS:高沸点有機溶剤 ExY:イエローカプラー H :ゼラチン硬化剤 (具体的な化合物は以下の記載で、記号の次に数値が付
けられ、後ろに化学式が挙げられている)。
【0327】各成分に対応する数字は、g/m2単位で
表した塗布量を示し、ハロゲン化銀については銀換算の
塗布量を示す。また、分光増感色素については同一層の
ハロゲン化銀1molに対する塗布量をモル単位で示し
た。
【0328】 第1層(第1ハレーション防止層) 黒色コロイド銀 銀 0.077 ゼラチン 0.560 ExM−1 0.048 Cpd−2 0.001 F−8 0.001 HBS−1 0.120 HBS−2 0.015。
【0329】 第2層(第2ハレーション防止層) 黒色コロイド銀 銀 0.088 ゼラチン 0.830 ExM−1 0.057 ExF−1 0.002 F−8 0.001 HBS−1 0.090 HBS−2 0.010。
【0330】 第3層(中間層) ExC−2 0.010 Cpd−1 0.086 UV−2 0.029 UV−3 0.052 UV−4 0.011 HBS−1 0.100 ゼラチン 0.580。
【0331】 第4層(低感度赤感乳剤層) Em−D 銀 0.67 Em−C 銀 0.37 ExC−1 0.282 ExC−2 0.012 ExC−3 0.102 ExC−4 0.148 ExC−5 0.005 ExC−6 0.008 ExC−8 0.071 ExC−9 0.010 ExS−1 1.6x10-3 ExS−2 5.0x10-4 ExS−3 2.6x10-5 UV−2 0.036 UV−3 0.067 UV−4 0.014 Cpd−2 0.010 Cpd−4 0.012 HBS−1 0.240 HBS−5 0.010 ゼラチン 1.630。
【0332】 第5層(中感度赤感乳剤層) Em−B1 銀 0.73 ExC−1 0.110 ExC−2 0.040 ExC−3 0.018 ExC−4 0.074 ExC−5 0.019 ExC−6 0.024 ExC−8 0.010 ExC−9 0.005 ExS−1 7.1x10-4 ExS−2 2.6x10-4 ExS−3 9.5x10-6 Cpd−2 0.020 Cpd−4 0.015 HBS−1 0.129 ゼラチン 0.900。
【0333】 第6層(高感度赤感乳剤層) Em−A1 銀 1.37 ExC−1 0.122 ExC−6 0.032 ExC−8 0.110 ExC−9 0.005 ExC−10 0.159 ExS−1 4.8x10-4 ExS−2 2.6x10-4 ExS−3 1.0x10-5 Cpd−2 0.068 Cpd−4 0.011 HBS−1 0.440 ゼラチン 1.610。
【0334】 第7層(中間層) Cpd−1 0.081 Cpd−6 0.002 固体分散染料ExF−4 0.015 HBS−1 0.049 ポリエチルアクリレートラテックス 0.088 ゼラチン 0.759。
【0335】 第8層(赤感層へ重層効果を与える層) Em−J 銀 0.46 Cpd−4 0.010 ExM−2 0.082 ExM−3 0.006 ExM−4 0.026 ExY−1 0.010 ExY−4 0.040 ExC−7 0.007 ExS−4 7.8x10-4 ExS−5 3.5x10-4 HBS−1 0.203 HBS−3 0.003 HBS−5 0.010 ゼラチン 0.570。
【0336】 第9層(低感度緑感乳剤層) Em−H 銀 0.20 Em−G 銀 0.17 Em−I 銀 0.30 ExM−2 0.388 ExM−3 0.040 ExY−1 0.003 ExY−3 0.002 ExC−7 0.009 ExS−5 3.4x10-4 ExS−6 7.4x10-5 ExS−7 1.1x10-4 ExS−8 3.5x10-4 ExS−9 1.0x10-4 HBS−1 0.337 HBS−3 0.018 HBS−4 0.260 HBS−5 0.110 Cpd−5 0.010 ゼラチン 1.470。
【0337】 第10層(中感度緑感乳剤層) Em−F 銀 0.40 ExM−2 0.084 ExM−3 0.012 ExM−4 0.005 ExY−3 0.002 ExC−6 0.003 ExC−7 0.007 ExC−8 0.008 ExS−7 1.0x10-4 ExS−8 6.1x10-4 ExS−9 1.3x10-4 HBS−1 0.096 HBS−3 0.002 HBS−5 0.002 Cpd−5 0.004 ゼラチン 0.382。
【0338】 第11層(高感度緑感乳剤層) Em−E 銀 0.90 ExC−6 0.002 ExC−8 0.010 ExM−1 0.014 ExM−2 0.023 ExM−3 0.023 ExM−4 0.005 ExM−5 0.040 ExY−3 0.003 ExS−7 7.4x10-4 ExS−8 6.9x10-4 ExS−9 1.9x10-4 ExA−4(前記実施例3) 4.0x10-6 Cpd−3 0.004 Cpd−5 0.010 HBS−1 0.259 HBS−5 0.020 ポリエチルアクリレートラテックス 0.099 ゼラチン 0.781。
【0339】 第12層(イエローフィルター層) Cpd−1 0.088 固体分散染料ExF−2 0.051 固体分散染料ExF−8 0.010 HBS−1 0.049 ゼラチン 0.593。
【0340】 第13層(低感度青感乳剤層) Em−N 銀 0.18 Em−M 銀 0.04 Em−L 銀 0.60 ExC−1 0.024 ExC−7 0.011 ExY−1 0.002 ExY−2 0.956 ExY−4 0.091 ExS−10 8.5x10-5 ExS−11 7.4x10-4 ExS−12 9.5x10-5 ExS−13 3.0x10-4 Cpd−2 0.037 Cpd−3 0.004 HBS−1 0.372 HBS−5 0.047 ゼラチン 2.201。
【0341】 第14層(高感度青感乳剤層) Em−K 銀 1.32 ExY−2 0.235 ExY−4 0.018 ExS−10 1.0x10-4 ExS−13 1.5x10-4 ExA−4(前記実施例3) 6.0x10-6 Cpd−2 0.075 Cpd−3 0.001 HBS−1 0.087 ゼラチン 1.156。
【0342】 第15層(第1保護層) 0.07μmのヨウ臭化銀乳剤 銀 0.28 UV−1 0.358 UV−2 0.179 UV−3 0.254 UV−4 0.025 F−11 0.0081 S−1 0.078 ExF−5 0.0024 ExF−6 0.0012 ExF−7 0.0010 HBS−1 0.175 HBS−4 0.050 ゼラチン 2.231。
【0343】 第16層(第2保護層) H−1 0.400 B−1(直径1.7μm) 0.050 B−2(直径1.7μm) 0.150 B−3 0.050 S−1 0.200 ゼラチン 0.711。
【0344】さらに、各層に適宜、保存性、処理性、圧
力耐性、防黴・防菌性、帯電防止性および塗布性をよく
するために、W−1ないしW−6、B−4ないしB−
6、F−1ないしF−20および、鉛塩、白金塩、イリ
ジウム塩、ロジウム塩が含有されている。
【0345】有機固体分散染料の分散物の調製 第12層のExF−2を次の方法で分散した。
【0346】 ExF−2のウエットケーキ(17.6重量%の水を含む)2.800kg オクチルフェニルジエトキシメタンスルホン酸ナトリウム (31重量%水溶液) 0.376kg F−15(7%水溶液) 0.011kg 水 4.020kg 計 7.210kg (NaOHでpH=7.2に調整)。
【0347】上記組成のスラリーをディゾルバーで攪拌
して粗分散した後、アジテータミルLMK−4を用い、
周速10m/s、吐出量0.6kg/mIn、0.3m
m径のジルコニアビーズ充填率80%で分散液の吸光度
比が0.29になるまで分散し、固体微粒子分散物を得
た。染料微粒子の平均粒子サイズは0.29μmであっ
た。
【0348】同様にして、ExF−4、ExF−8の固
体分散物を得た。染料微粒子の平均粒子サイズはそれぞ
れ、0.28μm、0.49μmであった。
【0349】以下、各層に用いた化合物を示す。
【0350】
【化24】
【0351】
【化25】
【0352】
【化26】
【0353】
【化27】
【0354】
【化28】
【0355】
【化29】
【0356】
【化30】
【0357】
【化31】
【0358】
【化32】
【0359】
【化33】
【0360】
【化34】
【0361】
【化35】
【0362】
【化36】
【0363】
【化37】
【0364】
【化38】
【0365】
【化39】
【0366】
【化40】
【0367】(乳剤Em−A2の製法)乳剤Em−A1
において、化学増感終了時の化合物ExA−1とともに
本発明の水溶性合成ポリマーWP−2aを銀1molに
対して12mg添加する以外は乳剤Em−A1と同様に
乳剤Em−A2を調製した。
【0368】(乳剤Em−B2の製法)乳剤Em−B1
において、化学増感終了時の化合物ExA−1とともに
添加前に水溶性合成ポリマーを銀1molに対して23
mg添加する以外は乳剤Em−B1と同様に乳剤Em−
B2を調製した。
【0369】(試料502の作製)試料501の第6層
の乳剤Em−A1をEm−A2に、乳剤Em−B1をE
m−B2に、各々等銀量となるように置き換えた以外は
試料501と同じようにして多層カラー感光材料を作製
した。
【0370】特定写真感度の測定 写真感光材料の感度は一般に国際規格であるISO感度
が用いられているが、ISO感度では感光材料を露光後
5日目に現像処理し、かつその現像処理は各社指定の処
理によると規定されているので、本発明では露光後現像
処理までの時間を短縮し、かつ一定の現像処理を行うよ
うにしている。
【0371】この特定写真感度の決定方法は、JIS
K 7614−1981に準じたものであり、異なる点
は、現像処理をセンシトメトリ用露光後30分以上6時
間以内に完了させる点、および現像処理を下記に記すフ
ジカラー処理処方CN−16による点にある。その他は
実質的にJIS記載の測定方法と同一である。
【0372】下記に示した現像処理以外は、特開昭63
−226650号公報に記載されている、試験条件、露
光、濃度測定、特定写真感度の決定と同様の方法とし
た。
【0373】現像は富士写真フイルム社製自動現像機F
P−360Bを用いて以下により行った。尚、漂白浴の
オーバーフロー液を後浴へ流さず、全て廃液タンクへ排
出するように改造を行った。このFP−360Bは公開
技法94−4992号(社団法人発明協会発行)に記載
の蒸発補正手段を搭載している。処理工程および処理液
組成を以下に示す。 (処理工程) 工程 処理時間 処理温度 補充量(*) タンク容量 発色現像 3分5秒 37.8℃ 20mL 11.5L 漂 白 50秒 38.0℃ 5mL 5L 定着(1) 50秒 38.0℃ − 5L 定着(2) 50秒 38.0℃ 8mL 5L 水 洗 30秒 38.0℃ 17mL 3L 安定(1) 20秒 38.0℃ − 3L 安定(2) 20秒 38.0℃ 15mL 3L 乾 燥 1分30秒 60.0℃ *補充量は感光材料35mm幅1.1m当たり(24毎撮り1本相当)
【0374】安定液および定着液は(2)から(1)へ
の向流方式であり、水洗水のオーバーフロー液は全て定
着浴(2)へ導入した。尚、現像液の漂白工程への持ち
込み量、漂白液の定着工程への持ち込み量、および定着
液の水洗工程への持ち込み量は感光材料35mm幅1.
1m当たりそれぞれ2.5mL、2.0mL、2.0m
Lであった。また、クロスオーバーの時間はいずれも6
秒であり、この時間は前工程の処理時間に包含される。
上記処理機の開口面積は発色現像液で100cm2、漂
白液で120cm2、その他の処理液は約100cm2
あった。
【0375】以下に処理液の組成を示す。 (発色現像液) タンク液(g) 補充液(g) ジエチレントリアミン五酢酸 3.0 3.0 カテコール−3,5−ジスルホン酸 ジナトリウム 0.3 0.3 亜硫酸ナトリウム 3.9 5.3 炭酸カリウム 39.0 39.0 ジナトリウム−N,N−ビス(2−スル ホナートエチル)ヒドロキシルアミン 1.5 2.0 臭化カリウム 1.3 0.3 沃化カリウム 1.3mg − 4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3, 3a,7−テトラザインデン 0.05 − ヒドロキシルアミン硫酸塩 2.4 3.3 2−メチル−4−〔N−エチル−N− (β−ヒドロキシエチル)アミノ〕 アニリン硫酸塩 4.5 6.5 水を加えて 1.0L 1.0L pH(水酸化カリウムと硫酸にて調整)10.05 10.18
【0376】 (漂白液) タンク液(g) 補充液(g) 1,3−ジアミノプロパン四酢酸第二 鉄アンモニウム一水塩 113 170 臭化アンモニウム 70 105 硝酸アンモニウム 14 21 コハク酸 34 51 マレイン酸 28 42 水を加えて 1.0L 1.0L pH〔アンモニア水で調整〕 4.6 4.0
【0377】 (定着(1)タンク液s) 上記漂白タンク液と下記定着タンク液の5対95(容量比)混合液。 (pH6.8) (定着(2)) タンク液(g) 補充液(g) チオ硫酸アンモニウム水溶液 240mL 720 mL (750g/L) イミダゾール 7 21 メタンチオスルホン酸アンモニウム 5 15 メタンスルフィン酸アンモニウム 10 30 エチレンジアミン四酢酸 13 39 水を加えて 1.0L 1.0L pH〔アンモニア水、酢酸で調整〕 7.4 7.45
【0378】(水洗水)水道水をH型強酸性カチオン交
換樹脂(ロームアンドハース社製アンバーライトIR−
120B)と、OH型強塩基性アニオン交換樹脂(同ア
ンバーライトIR−400)を充填した混床式カラムに
通水してカルシウムおよびマグネシウムイオン濃度を3
mg/L以下に処理し、続いて二塩化イソシアヌール酸
ナトリウム20mg/Lと硫酸ナトリウム150mg/
Lを添加した。この液のpHは6.5〜7.5の範囲に
あった。
【0379】 (安定液) タンク液、補充液共通 (単位g) p−トルエンスルフィン酸ナトリウム 0.03 ポリオキシエチレン−p−モノノニルフェニルエーテル 0.2 (平均重合度10) 1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン・ナトリウム 0.10 エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩 0.05 1,2,4−トリアゾール 1.3 1,4−ビス(1,2,4−トリアゾール−1− イルメチル)ピペラジン 0.75 水を加えて 1.0L pH 8.5
【0380】また、各感色性層の相対感度は、上記特定
写真感度の測定方法から求めている。カブリをイエロー
濃度、マゼンタ濃度およびシアン濃度の最小値(DYm
In、DMmIn、DCmIn)で定義し、各感色性層
の感度はDYmIn、DMmIn、DCmInより各々
0.15高い濃度を与える露光量の逆数の対数で定義し
た。各試料の赤感色性層の感度値を試料501に対する
相対値で表した。
【0381】粒状度については、特定写真感度の測定と
同様の処理を行い、慣用のRMS(Root Mean
Square)法で測定した。この際、露光は0.0
05Lux・秒、測定は直径48μmのアパチャーを用
いたRMS測定を行った。
【0382】(圧力耐性の評価)試料の圧力耐性を評価
する為に、以下に示す試験を行った。試料を25℃55
%に調湿し、荷重4gを掛けた0.05mmの細針で乳
剤面を一定方向に引っかいた後、先述した方法により露
光および現像処理、濃測を行った。引っかきを行わない
試料を上記露光、現像、濃測して求められた DYmI
n、DMmIn、DCmInより各々0.25高い濃度
を与える露光量における、引っかきがある部分と引っか
きがない部分の濃度差(ΔD)を求めた。ΔDが小さい
ほど圧力耐性に優れていることを示している。これらの
各感色性層のΔDの和を圧力耐性を示す評価値とした。
【0383】(塗設時の粒子凝集による写真性能悪化の
評価)前記の試料501および502において第5層お
よび第6層の乳剤を各々40℃で溶解し8時間経時させ
た後に試料501および502と同様の塗布条件で試料
511および512を作製した。これらの試料を40
℃、相対湿度70%の条件下で14時間放置した後、上
記と同様に連続ウェッジを通して1/100秒間露光を
行いカラー現像処理を行った。処理後の試料を赤色フィ
ルターで濃度測定し、感度はカブリ濃度プラス0.15
のシアン濃度を与えるルックス・秒で表示する露光量の
逆数の対数の相対値で表示した。(試料501の感度を
100とした。)また、試料501、502、511、
および512のカブリ濃度プラス0.15の濃度でのR
MS粒状度を測定した。試料501のRMS粒状度を1
00としたときの相対値を粒状性を示す評価値とした。
数値が小さいほど粒状性に優れていることを示す。
【0384】このようにして求めた試料501、50
2、511、および512の各性能を表7に示した。
【0385】
【表7】
【0386】メルカプト基含有ポリマーを添加した多層
カラー感光材料試料502では試料501に対して感度
を低下せずに、圧力耐性が向上することが分かる。さら
に試料512で乳剤の溶解経時後の塗設における、感度
の低下、粒状性の悪化といった試料511の写真性能の
悪化が改良され、製造適性にも優れていることが分か
る。
【0387】(実施例6)上記第四の実施の形態である
高塩化銀平板状乳剤とメルカプト基含有ポリマーとを含
有する乳剤の効果を示す。
【0388】(乳剤Aの調製<{100}塩化銀平板粒
子Cub=0.500μm [AgCl]>)反応容器
にH2O 1.7L、実施例1の元ゼラチン1(メチオ
ニン含率が約40μmol/gであった)35.5g、
塩化ナトリウム 1.4g、硝酸 1N液6.4mlを
入れ(pHは4.5)、29℃に恒温した。次に硝酸銀
水溶液(A−1液:硝酸銀 0.2g/ml)と塩化ナ
トリウム水溶液(M−1液:塩化ナトリウム 0.06
9g/ml)とを激しく撹拌しながらを68.2ml/
分で45秒間添加した。その2分後にP−2液(臭化カ
リウム:KBr 0.021g/ml)を186ml/
分で14秒間添加した。また3分後にA−2液(硝酸銀
0.4g/ml)とM−3液(塩化ナトリウム:0.1
5g/ml)を34ml/分で135秒間、同時混合添
加した。熟成過程として、1分後、ゼラチン水溶液G−
1[H2O 120ml、ゼラチン1が20g、NaO
H 1N液7ml、NaCl 1.7g]を添加し、1
5分間で75℃に昇温し、10分間熟成した。次に成長
過程として、A−3液(硝酸銀0.4g/ml)を流速
5.0ml/分から9.5ml/分へ直線的に増加させ
ながら466ml添加し、その時M−4液(塩化ナトリ
ウム:0.15g/ml)を銀電位が120mVに保ち
ながら同時に添加した。さらに、A−4液(硝酸銀0.
4g/ml)を流速5.0ml/分から7.4ml/分
へ直線的に増加させながら142ml添加し、同時にM
−5液(塩化ナトリウム:0.14g/ml)を銀電位
が120mVから100mVに直線的に減少するように
同時に添加した。
【0389】その後、40℃にて沈降水洗を行い脱塩を
施した。ゼラチン1を130g加え、乳剤を再分散さ
せ、pH 6.0、pAg7.0とした。そして乳剤の
一部を採取し、粒子のレプリカの電子顕微鏡写真像(T
EM像)を観察した。それによると、全ハロゲン化銀粒
子の投影面積計の95.1%が主平面が{100}面の
平板状粒子であり、その平均粒子サイズ0.94・、平
均粒子厚0.180μm、平均アスペクト比5.1、平
均隣接辺比率1.15、立方体換算辺長=0.500μ
mの粒子Aが得られた。
【0390】(乳剤Bの調製:<{100}塩化銀平板
粒子Cub=0.505μm [AgCl98.6Br1
0.4]>)乳剤Aの調製において、A−3液を流速5.
0ml/分から9.5ml/分へ直線的に増加させなが
ら459ml添加し、その時M−4液を銀電位が120
mVに保ちながら同時に添加した。その後、A−4液と
P−7液を流速5.0ml/分から7.4ml/分へ直
線的に増加させながらそれぞれ142ml添加し、同時
にM−5液を銀電位が120mVから100mVに直線
的に増加するように添加した。その後、A−5液(硝酸
銀0.08g/ml)とP−8液(臭化カリウム0.0
56g/ml)を35.5ml/分で1分間添加した。
その他は全く同様に乳剤Aの調製方法に従った。こうし
て得られた粒子Bは、全ハロゲン化銀粒子の投影面積計
の95.2%が主平面が{100}面の平板状粒子であ
り、その平均粒子サイズは0.94μm、平均粒子厚
0.185μm、平均アスペクト比5.1、平均隣接辺
比率1.14、立方体換算辺長=0.505μmの粒子
であった。
【0391】(乳剤Cの調製:<{111}塩化銀平板
粒子 Cub=0.450μm[AgCl]>)反応容
器にH2O 1.2L、塩化ナトリウム1.0gおよび
ゼラチン1を2.5g添加し、30℃に保たれた容器中
に、攪拌しながら硝酸銀水溶液(B−1液:硝酸銀
0.24g/ml)と塩化ナトリウム水溶液(N−1
液:塩化ナトリウム 0.083g/mlと不活性ゼラ
チン0.01g/mlとの混合物)とを激しく撹拌しな
がら75ml/分で1分間添加した。添加終了1分後に
本発明の晶相制御剤を0.9mmol含む水溶液(K
−1)20mlを添加した。さらに1分後に実施例2の
ゼラチン2の10%水溶液(HG−1)340mlと塩
化ナトリウム2.0gを添加した。次の25分間で反応
容器の温度を55℃に昇温し55℃で30分間熟成し
た。成長過程として、B−2液(硝酸銀0.4g/m
l)を524mlとN−2液(塩化ナトリウム0.17
g/ml)451mlを27分間かけて加速された流量
で添加した。この間、加速された流量で(硝酸銀添加量
に比例)で晶相制御剤1を2.1mmol含む水溶液
(K−2)285mlを同時に添加した。さらに、B−
3液(硝酸銀 0.4g/ml)を流速10.0ml/
分から15ml/分へ直線的に増加させながら142m
l添加し、同時にN−3液(塩化ナトリウム0.14g
/ml)を銀電位が100mVから85mVに直線的に
減少するように同時に添加した。その後30℃にて沈降
水洗を行い、脱塩を施した。さらにゼラチン1を130
g加え、pH6.3、pAg7.2に調製した。こうし
て得られた乳剤Cは全投影面積の98.2%以上が、主
平面が{111}面の平均アスペクト2以上の平板粒子
であり、その平均粒子サイズは0.97μm、平均粒子
厚0.123μm、平均アスペクト比7.2、立方体換
算辺長=0.450μmの粒子の粒子であった。
【0392】(乳剤Dの調製:<{111}塩化銀平板
粒子Cub=0.452μm[AgCl98.6Br
10.4])>)乳剤Dの調製において、B−2液を51
6mlとN−2液445mlを27分間かけて加速され
た流量で添加した。この間、加速された流量で(硝酸銀
添加量に比例)でK−2液280mlを同時に添加し
た。さらに、B−3液とP−7液を流速10.0ml/
分から15ml/分へ直線的に増加させながら142m
l添加し、同時にN−3液を銀電位が100mVから8
5mVに直線的に減少するように同時に添加した。その
後、B−4液(硝酸銀0.08g/ml)とP−8液を
35.5ml/分で1分間添加した。その他は全く同様
に乳剤Gの調製方法に従った。こうして得られた粒子D
は、全ハロゲン化銀粒子の投影面積計の97.6%が主
平面が{111}面の平板状粒子であり、その平均粒子
サイズは0.92μm、平均粒子厚0.139μm、平
均アスペクト比6.7、立方体換算辺長=0.452μ
mの粒子であった。
【0393】上記の乳剤A〜Dの化学増感および分光増
感について説明する。これらの乳剤は全て金増感剤(コ
ロイド状硫化金)9.6×10-5mol/モルAg、赤
感性分光増感色素GおよびHを合計で1.7×10-4
ol/モルAgを添加し、60℃にて最適に化学増感お
よび分光増感し、さらに1−(3−メチルウレイドフェ
ニル)−5−メルカプトテトラゾール(以降、化合物4
とする)5.9×10 -4mol/モルAgを添加して調
製した。
【0394】
【化41】
【0395】紙の両面をポリエチレン樹脂で被覆してな
る支持体の表面に、コロナ放電処理を施した後、ドデシ
ルベンゼンスルホン酸ナトリウムを含むゼラチン下塗層
を設け、さらに第一層〜第七層の写真構成層を順次塗設
して、以下に示す層構成のハロゲン化銀カラー写真感光
材料の試料801を作製した。各写真構成層用の塗布液
は、以下のようにして調製した。
【0396】第一層塗布液調製 イエローカプラー(ExY)57g、色像安定剤(Cp
d−1)7g、色像安定剤(Cpd−2)4g、色像安
定剤(Cpd−3)7g、色像安定剤(Cpd−8)2
gを溶媒(SolV−1)21gおよび酢酸エチル80
mlに溶解し、この液を4gのドデシルベンゼンスルホ
ン酸ナトリウムを含む23.5重量%ゼラチン水溶液2
20g中に高速攪拌乳化機(ディゾルバー)で乳化分散
し、水を加えて900gの乳化分散物Aを調製した。一
方、前記乳化分散物Aと乳剤Aとを混合溶解し、後記組
成となるように第一層塗布液を調製した。乳剤塗布量
は、銀量換算塗布量を示す。
【0397】第二層〜第七層用の塗布液も第一層塗布液
と同様の方法で調製した。各層のゼラチン硬化剤として
は、1−オキシ−3,5−ジクロロ−s−トリアジンナ
トリウム塩(Ha−1)、(Ha−2)、(Ha−3)
を用いた。また、各層に(Ab−1)、(Ab−2)、
(Ab−3)、および(Ab−4)をそれぞれ全量が1
5.0mg/m2、60.0mg/m2,5.0mg/m
2および10.0mg/m2となるように添加した。
【0398】
【化42】
【0399】各感光性乳剤層の塩臭化銀乳剤には以下の
分光増感色素をそれぞれ用いた。青感性乳剤層
【0400】
【化43】
【0401】(増感色素AおよびCをそれぞれハロゲン
化銀1mol当り0.42×10-4mol添加した。ま
た、増感色素Bは、ハロゲン化銀1mol当り3.4×
10-4mol添加した。)
【0402】緑感性乳剤層
【0403】
【化44】
【0404】(増感色素Dをハロゲン化銀1mol当
り、大サイズ乳剤Fに対しては3.0×10-4mol、
小サイズ乳剤Gに対しては3.6×10-4mol、ま
た、増感色素Eをハロゲン化銀1mol当り、大サイズ
乳剤に対しては4.0×10-5mol、小サイズ乳剤に
対しては7.0×10-5mol、また、増感色素Fをハ
ロゲン化銀1mol当り、大サイズ乳剤に対しては2.
0×10-4mol、小サイズ乳剤に対しては2.8×1
-4mol添加した。) 赤感性乳剤層 (増感色素GおよびHをそれぞれ、ハロゲン化銀1mo
l当り、小サイズ乳剤Hに対して1.1×10-4mol
添加した。) さらに、以下の化合物Iを赤感性乳剤層にハロゲン化銀
1mol当たり3.0×10-3mol添加した。)
【0405】
【化45】
【0406】また、青感性乳剤層、緑感性乳剤層および
赤感性乳剤層に対し、1−(3−メチルウレイドフェニ
ル)−5−メルカプトテトラゾールを、それぞれハロゲ
ン化銀1mol当り3.3×10-4mol、1.0×1
-3molおよび5.9×10-4mol添加した。さら
に、第二層、第四層、第六層および第七層にも、それぞ
れ0.2mg/m 2、0.2mg/m2、0.6mg/m
2、0.1mg/m2となるように添加した。また、青感
性乳剤層および緑感性乳剤層に対し、4−ヒドロキシ−
6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデンを、
それぞれハロゲン化銀1mol当たり、1×10-4mo
l、2×10-4mol添加した。また、赤感性乳剤層に
メタクリル酸とアクリル酸ブチルの共重合体ラテックス
(重量比1:1、平均分子量200000〜40000
0)を0.05g/m2を添加した。また第二層、第四
層および第六層にカテコール−3,5−ジスルホン酸二
ナトリウムをそれぞれ6mg/m2、6mg/m2、18
mg/m2となるように添加した。また、イラジエーシ
ョン防止のために、以下の染料(カッコ内は塗布量を表
す)を添加した。
【0407】
【化46】
【0408】(層構成)以下に、各層の構成を示す。数
字は塗布量(g/m2)を表す。ハロゲン化銀乳剤は、
銀換算塗布量を表す。支持体 ポリエチレン樹脂ラミネート紙 [第一層側のポリエチレン樹脂に白色顔料(TIO2
含有率16重量%、ZnO;含有率4重量%)と蛍光増
白剤(4,4’−ビス(5−メチルベンゾオキサゾリ
ル)スチルベン。含有率0.03重量%)、青味染料
(群青)を含む] 第一層(青感性乳剤層) 塩臭化銀乳剤E(立方体、平均粒子サイズ0.74μm
で、粒子サイズ分布の変動係数は0.08であり、臭化
銀0.3mol%を、塩化銀を基体とする粒子表面の一
部に局在含有させた乳剤) 0.24 ゼラチン 1.25 イエローカプラー(ExY) 0.57 色像安定剤(Cpd−1) 0.07 色像安定剤(Cpd−2) 0.04 色像安定剤(Cpd−3) 0.07 色像安定剤(Cpd−8) 0.02 溶媒(SolV−1) 0.21
【0409】 第二層(混色防止層) ゼラチン 0.99 混色防止剤(Cpd−4) 0.09 色像安定剤(Cpd−5) 0.018 色像安定剤(Cpd−6) 0.13 色像安定剤(Cpd−7) 0.01 溶媒(SolV−1) 0.06 溶媒(SolV−2) 0.22
【0410】第三層(緑感性乳剤層) 塩沃臭化銀乳剤(金硫黄増感された立方体、平均粒子サ
イズ0.45μmの大サイズ乳剤Fと0.35μmの小
サイズ乳剤Gとの1:3混合物(銀モル比)。粒子サイ
ズ分布の変動係数はそれぞれ0.10と0.08。各サ
イズ乳剤とも沃化銀0.15mol%を粒子表面近傍に
含有し、臭化銀0.4mol%を粒子表面に局在含有さ
せた) 0.14 ゼラチン 1.36 マゼンタカプラー(ExM) 0.15 紫外線吸収剤(UV−A) 0.14 色像安定剤(Cpd−2) 0.02 色像安定剤(Cpd−4) 0.002 色像安定剤(Cpd−6) 0.09 色像安定剤(Cpd−8) 0.02 色像安定剤(Cpd−9) 0.03 色像安定剤(Cpd−10) 0.01 色像安定剤(Cpd−11) 0.0001 溶媒(SolV−3) 0.11 溶媒(SolV−4) 0.22 溶媒(SolV−5) 0.20
【0411】 第四層(混色防止層) ゼラチン 0.71 混色防止層(Cpd−4) 0.06 色像安定剤(Cpd−5) 0.013 色像安定剤(Cpd−6) 0.10 色像安定剤(Cpd−7) 0.007 溶媒(SolV−1) 0.04 溶媒(SolV−2) 0.16
【0412】第五層(赤感性乳剤層) 塩沃臭化銀乳剤(乳剤Aと、金硫黄増感された立方体、
平均粒子サイズ0.30μmの小サイズ乳剤Hとの5:
5混合物(銀モル比)。粒子サイズ分布の変動係数はそ
れぞれ0.09と0.11。乳剤Hは沃化銀0.1mo
l%を粒子表面近傍に含有し、臭化銀0.8mol%を
粒子表面に局在含有させた) 0.12 ゼラチン 1.11 シアンカプラー(ExC−2) 0.13 シアンカプラー(ExC−3) 0.03 色像安定剤(Cpd−1) 0.05 色像安定剤(Cpd−6) 0.06 色像安定剤(Cpd−7) 0.02 色像安定剤(Cpd−9) 0.04 色像安定剤(Cpd−10) 0.01 色像安定剤(Cpd−14) 0.01 色像安定剤(Cpd−15) 0.12 色像安定剤(Cpd−16) 0.03 色像安定剤(Cpd−17) 0.09 色像安定剤(Cpd−18) 0.07 溶媒(SolV−5) 0.15 溶媒(SolV−8) 0.05
【0413】 第六層(紫外線吸収層) ゼラチン 0.46 紫外線吸収剤(UV−B) 0.45 化合物(S1−4) 0.0015 溶媒(SolV−7) 0.25 第七層(保護層) ゼラチン 1.00 ポリビニルアルコールのアクリル変性共重合体 (変性度17%) 0.04 流動パラフィン 0.02 界面活性剤(Cpd−13) 0.01
【0414】
【化47】
【0415】
【化48】
【0416】
【化49】
【0417】
【化50】
【0418】
【化51】
【0419】
【化52】
【0420】
【化53】
【0421】
【化54】
【0422】(試料602〜604の作製)同様にして
試料601の乳剤Aに同じ銀量となるように、乳剤B〜
Dに変更した試料602〜604を作製した。
【0423】これらの試料601〜604を127mm
巾のロール状に加工し、富士写真フイルム(株)製ミニ
ラボプリンタープロセッサー PP1258ARを用い
てセンシトメトリー用の階調露光を与えた。SP−1フ
ィルターを装着し5秒間露光した。特開2001―42
481号公報の実施例1に記載の処理工程および処理液
を用いて発色現像処理を行った。
【0424】[塗設時の粒子凝集による粒状性悪化の評
価] (試料611〜614の作製)前記の試料601ないし
604において第五層の乳剤を各々40℃で溶解し8時
間経時させた後に、同様の塗布条件で試料611〜61
4を作製した。 (試料621〜624の作製)乳剤A〜Dにおいて、化
学増感終了時に前記化合物4とともにメルカプト基含有
ポリマーWP−3aを17mg添加する以外は同様にし
て各々乳剤A’〜D’を調製した。これらの乳剤A’〜
D’を前記と溶解経時後の乳剤の塗布試料を作製した。
試料801の乳剤Aと同じ銀量となるように、乳剤を乳
剤A’〜D’に各々変更し、該乳剤を40℃で溶解し8
時間経時させた後に、試料621〜624を作製した。
【0425】平板状粒子の凝集防止効果の評価について
説明する。上記試料611〜614および試料621〜
624の多層感光材料の断面を走査型電子顕微鏡にて撮
影し、その第五層の平板状粒子の分散性を観察して評価
を行った。上記断面写真を倍率3000倍で撮影し、5
視野以上の断面写真から1視野当たり平均凝集体個数を
求めた。ここで凝集体とは3つ以上の該平板状粒子の主
表面同士が密着した状態である。
【0426】前記観察によりメルカプト基含有ポリマー
を用いた試料621〜624ではメルカプト基含有ポリ
マーを添加していない試料611〜614に比べて明ら
かに凝集体の個数が減少していることが分かった。
【0427】
【発明の効果】以上説明した様に、本発明のメルカプト
基含有ポリマーを添加した平板状ハロゲン化銀写真およ
びこれを用いたハロゲン化銀写真感光材料は感度を低下
せずに、圧力耐性に優れる。さらにメルカプト基含有ポ
リマーは特に、乳剤の溶解経時後の平板状ハロゲン化銀
粒子の凝集を防止し塗設における写真性能の悪化が改良
され、製造適性にも優れたハロゲン化銀乳剤の調製が可
能になる。即ち、本発明によれば、高感度、かつ粒子凝
集が防止され安定に製造できるハロゲン化銀乳剤を提供
することができる。また、圧力耐性に優れたハロゲン化
銀乳剤を提供することができる。
【手続補正書】
【提出日】平成14年7月8日(2002.7.8)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0252
【補正方法】変更
【補正内容】
【0252】得られた乳剤は、球相当径0.99μm、
アスペクト比の平均値が.9かつ粒子の全投影面積の
60%がアスペクト比5.0〜8.0であり、AgI含
有量の平均値が3.94mol%、平行な主平面が(1
11)面である平板状ハロゲン化銀粒子からなり、XP
Sで測定されたハロゲン化銀粒子表面のAgI含有量は
2.4mol%であった。また、AgCl含量は0mo
l%であった。なお、乳剤A−2では、増感色素Exs
−1の添加量がハロゲン化銀1mol当たり4.60×
10-4molの時に最適に化学増感された。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0282
【補正方法】変更
【補正内容】
【0282】ホスト平板粒子乳剤に上記エピタキシャル
沈着を組み合わせて調製した乳剤B−1からB−3につ
いてEPMA法を用いて粒子間の沃化銀含有率と塩化銀
含有率の分布を測定した。またレプリカでの電子顕微鏡
観察からエピタキシャル沈着の様子を観察した。乳剤B
−1〜3での結果をまとめて表3に示す。これらの乳剤
は塩化銀含有率が1.2mol%、沃化銀含有率が4.
5mol%の沃臭化銀よりなる平板状ハロゲン化銀粒子
であった。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0288
【補正方法】変更
【補正内容】
【0288】
【表4】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G03C 1/04 G03C 1/04 1/053 1/053 1/08 1/08 (72)発明者 塚田 芳久 神奈川県南足柄市中沼210番地 富士写真 フイルム株式会社内 Fターム(参考) 2H023 BA00 BA01 BA02 BA04 CA01 CD00

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1)で表されるメルカプト
    基を有する含窒素芳香族環を部分構造として有するポリ
    マーを少なくとも1種を含む平板状ハロゲン化銀写真乳
    剤。 一般式(1) Z−SH (Zは含窒素芳香族環を表す。)
  2. 【請求項2】 ハロゲン化銀粒子の全投影面積の50%
    以上が下記(a)〜(d)を満たすハロゲン化銀粒子か
    らなる請求項1に記載の平板状ハロゲン化銀写真乳剤; (a) 平行な主平面が(111)面、(b) アスペ
    クト比が2以上、(c) 転位線を1粒子当り10本以
    上を含む、(d) 塩化銀含有率が10mol%未満の
    沃臭化銀もしくは塩沃臭化銀。
  3. 【請求項3】 ハロゲン化銀粒子の全投影面積の50%
    以上が下記(a)、(d)および(e)を満たすハロゲ
    ン化銀粒子からなる請求項1に記載の平板状ハロゲン化
    銀写真乳剤; (a) 平行な主平面が(111)面、(d) 塩化銀
    含有率が10mol%未満の沃臭化銀もしくは塩沃臭化
    銀、(e) 六角形ハロゲン化銀粒子の頂点部および/
    または側面部および/または主平面部に1粒子当り少な
    くとも1個のエピタキシャル接合を有する。
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