JP2003287024A - 動圧軸受装置及びこれを用いたモータ並びにこのモータを備えたディスク装置 - Google Patents

動圧軸受装置及びこれを用いたモータ並びにこのモータを備えたディスク装置

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JP2003287024A
JP2003287024A JP2002090446A JP2002090446A JP2003287024A JP 2003287024 A JP2003287024 A JP 2003287024A JP 2002090446 A JP2002090446 A JP 2002090446A JP 2002090446 A JP2002090446 A JP 2002090446A JP 2003287024 A JP2003287024 A JP 2003287024A
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sleeve
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Kiyobumi Inoue
清文 井上
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 軸部材とスリーブ部材との間の微小間隙全体
に潤滑流体を充填した構造の動圧軸受装置において、テ
ーパシール部の容積を大きくすることなく、熱膨張によ
る装置外への潤滑流体の漏出を防止する。 【解決手段】 軸部111とスラストプレート部112とを有
する軸部材11と、軸部111に対し微小間隙を有して対向
配置された、多孔質焼結体からなるスリーブ部材12と、
このスリーブ部材12を支持するスリーブ支持部材13と、
スラストプレート部112下面に対し微小間隙を有して対
向配置され、スリーブ支持部材13の下側開口を封止する
スラストブッシュ部材14と、微小間隙全体に充填された
潤滑流体とを備え、軸部材11、スリーブ部材12、スリー
ブ支持部材13及びスラストブッシュ部材14の少なくとも
1つの部材における、潤滑流体に接触し且つ動圧発生溝
以外の部位に、負の熱膨張係数を有する伸縮部材B1を取
り付ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は動圧軸受装置及びこ
れを用いたモータ並びにこのモータを備えたディスク装
置に関し、より詳細には軸部材とスリーブ部材との間の
微小間隙全体に潤滑流体を充填した構造(以下「フルフ
ィル構造」と記すことがある)の動圧軸受装置及びこれ
を用いたモータ並びにこのモータを備えたディスク装置
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ハードディスクドライブ(HDD)や高
容量のフロッピィディスクドライブ(FDD)などの磁
気ディスク装置は年々著しく高容量化、小型化が進み、
そこで使用されるスピンドルモータには、高速化に耐え
られる寿命と静寂性、それに優れた振れ精度が要求され
るが、このようなスピンドルモータの軸受手段としてこ
れまで主に用いられてきたボールベアリングでは、相対
回転する回転側部材と静止側部材との間にボールによる
接触が生じるため、このような要求を満足することが困
難になりつつある。そこで、回転側部材と静止側部材と
の間に介在させた潤滑流体中に発生する流体動圧を用い
て非接触支持する動圧軸受装置が使用されるようになっ
てきた。動圧軸受装置の構造は、大きくはスラストプレ
ート部を有する軸部材と、この軸部材に対して微小間隙
を有して対向配置されるスリーブ部材と、前記微小間隙
に充填された潤滑流体と、モータの回転時にこの潤滑流
体中に流体動圧を誘起するための動圧発生溝とからな
る。このような基本構造の動圧軸受装置において、装置
の一層の信頼性並びに耐久性の改善および構造の簡略化
による低コスト化という市場要求に応えるため、例えば
特開平10−196646号公報に代表されるような、いわゆる
フルフィル構造の動圧軸受装置が提案されている。フル
フィル構造を用いた従来の動圧軸受装置の例を図8に示
す。
【0003】図8の動圧軸受装置では、スリーブ支持部
材13の中心に軸線方向に貫通孔131が形成され、ス
リーブ支持部材13の下端には貫通孔131の内径より
も大径に形成された嵌合溝部132が形成されている。
そしてこの貫通孔131の内周面に、2つのラジアル動
圧発生溝121a,121bが軸方向に離隔して内周面
に形成されると共に、下端面にスラスト動圧発生溝12
1cが形成された、軸方向長さがスリーブ支持部材13
よりも短い多孔質焼結体からなる中空円筒状のスリーブ
部材12が固着されている。
【0004】一方、軸部材11は、軸部111と、軸部
111の下端に形成されたスラストプレート部112と
からなる。そして、スラストプレート部112の上面が
スリーブ部材12の下端面に当接するまで、スリーブ部
材12の中空部に軸部材11の軸部111が一定の間隙
を介して挿入され、スリーブ支持部材13に形成された
貫通孔131の下側開口を封止するように、スラスト動
圧発生溝141が上面に形成されたスラストブッシュ部
材14が嵌合溝部132に装着されている。他方、貫通
孔131の上側開口には、軸部111に嵌通させた環状
のシール部材15が、その上面とスリーブ支持部材13
の上端面とが同一面となるように貫通孔131の内周面
に固着されている。そして、スリーブ支持部材13とス
ラストブッシュ部材14、シール部材15とで囲まれた
貫通孔131の内部は潤滑流体(不図示)で充填されて
いる。すなわち、スリーブ部材12と軸部111との間
およびスラストプレート部112とスラストブッシュ部
材14との間の微小間隙、それにスリーブ部材12の内
部に形成された連続孔は潤滑流体で充填されている。
【0005】そして、潤滑流体の装置外への漏出を防止
する、装置上部のテーパシール部は、図9に示すような
構成を有する。すなわち、環状のシール部材15と微小
間隙を有して対向する軸部111に、軸方向上方に向か
って徐々に軸部外径を縮径することによってテーパ面1
17が形成されている。このテーパ面117とシール部
材15とで、毛細管現象を利用して潤滑流体Lが装置外
に漏出しないようにしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このような構造の動圧
軸受装置では、微小間隙の全体に潤滑流体が充填されて
いるため、微小間隙の軸受部分にのみ潤滑流体が充填さ
れた装置に比べて潤滑流体量が多く温度上昇による潤滑
流体の体積膨張も大きい(図9において、体積膨張時の
潤滑流体の界面を破線で示す)。したがって、潤滑流体
の体積膨張による漏出を防止するためには、テーパシー
ル部の容積を十分に確保しておく必要がある。しかしな
がら、テーパシール部を1箇所しか有さないフルフィル
構造の動圧軸受装置では、テーパシール部の容積を大き
くするにはテーパシール部の軸方向の寸法(シール長)
を長くせざるを得ず、装置の薄型化や軸受剛性の向上と
いった市場の要望に逆行することになる。
【0007】本発明はこのような従来の問題に鑑みてな
されたものであり、その目的とするところは、いわゆる
フルフィル構造の動圧軸受装置において、テーパシール
部の容積を大きくすることなく、熱膨張による装置外へ
の潤滑流体の漏出を有効に防止する動圧軸受装置を提供
することにある。
【0008】また本発明の目的は、動圧軸受装置からの
潤滑流体漏出がなく、また薄型化が可能で軸受剛性の低
下することないモータ及びディスク記憶装置を提供する
ことにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
第1の発明に係る動圧軸受装置では、軸部と該軸部から
半径方向外方に突出するスラストプレート部とを有する
軸部材と、前記軸部に対し微小間隙を有して対向配置さ
れた、多孔質焼結体からなるスリーブ部材と、このスリ
ーブ部材を支持するスリーブ支持部材と、前記スラスト
プレート部下面に対し微小間隙を有して対向配置され、
前記スリーブ支持部材の下側開口を封止するスラストブ
ッシュ部材と、前記微小間隙全体に充填された潤滑流体
とを備え、前記軸部およびこの軸部と対向する前記スリ
ーブ部材の内周面の少なくとも一方に、ラジアル荷重を
支持するためのラジアル動圧発生溝を設け、また前記ス
ラストプレート部の下側面およびこの下側面と対向する
前記スラストブッシュ部材の内側面の少なくとも一方
と、前記スリーブ部材の下端面およびこの下端面と対向
する前記スラストプレート部の上側面の少なくとも一方
とにスラスト荷重を支持するためのスラスト動圧発生溝
を設け、前記スリーブ部材と前記軸部材とを相対的に回
転可能に支持する動圧軸受装置であって、前記軸部材、
前記スリーブ部材、前記スリーブ支持部材及び前記スラ
ストブッシュ部材の少なくとも1つの部材における、前
記潤滑流体に接触し且つ前記動圧発生溝以外の部位に、
負の熱膨張係数を有する伸縮部材を取り付けた構成とし
た。
【0010】また第2の発明に係る動圧軸受装置では、
軸部と該軸部から半径方向外方に突出するスラストプレ
ート部とを有する軸部材と、前記軸部に対し微小間隙を
有して対向配置された、金属材料からなるスリーブ部材
と、前記スラストプレート部下面に対し微小間隙を有し
て対向配置され、前記スリーブ部材の下側開口を封止す
るスラストブッシュ部材と、前記微小間隙全体に充填さ
れた潤滑流体とを備え、前記軸部およびこの軸部と対向
する前記スリーブ部材の内周面の少なくとも一方に、ラ
ジアル荷重を支持するためのラジアル動圧発生溝を設
け、また前記スラストプレート部の下側面およびこの下
側面と対向する前記スラストブッシュ部材の内側面の少
なくとも一方と、前記スラストプレート部の上側面およ
びこの上側面と対向する前記スリーブ部材の下端面の少
なくとも一方とにスラスト荷重を支持するためのスラス
ト動圧発生溝を設け、前記スリーブ部材と前記軸部材と
を相対的に回転可能に支持する動圧軸受装置であって、
前記軸部材、前記スリーブ部材、前記スラストブッシュ
部材の少なくとも1つの部材における、前記潤滑流体に
接触し且つ前記動圧発生溝以外の部位に、負の熱膨張係
数を有する伸縮部材を取り付けた構成とした。
【0011】ここで、潤滑流体とつり合う負の熱膨張係
数を有しまた耐久性に優れるなどの観点から、前記伸縮
部材としてはアラミド繊維、ポリエチレン繊維又はこれ
らの繊維と樹脂あるいは金属との複合材料であるのが好
ましい。
【0012】振れ精度を高く維持するためには、ラジア
ル動圧発生溝は2つ以上設けられているのが望ましい。
また、潤滑流体の装置外への流出をより確実に防止する
ためには、前記軸部又は前記スリーブ部材に形成された
軸方向最も上側のラジアル動圧発生溝を、軸方向下方に
潤滑流体を流動させる、軸方向に不平衡に形成されたヘ
リングボーン状溝とするのが望ましい。
【0013】また本発明のモータでは、前記のいずれか
に記載の動圧軸受装置を備えたことを特徴とする。
【0014】さらに本発明のディスク装置では、ハウジ
ング部材と、該ハウジング部材の内部に固定された、情
報を記録できる円板状記録媒体を回転させるスピンドル
モータと、前記記録媒体の所望の位置に情報を書き込み
又は読み出すための情報アクセス手段とを有するディス
ク装置であって、前記スピンドルモータが前記記載のモ
ータであることを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明者は、テーパシール部を大
きくすることなく潤滑流体の熱膨張による漏出を防止で
きないか鋭意検討を重ねた結果、負の熱膨張係数を有す
る部材、すなわち加熱収縮する部材を潤滑流体と接触す
る部位に取り付け、潤滑流体の熱膨張分をこの部材の加
熱収縮分で相殺させればよいという、これまでにないま
ったく新しい着想に基づき本発明をなすに至った。これ
により、潤滑流体を多く充填しなければならないフルフ
ィル構造の動圧軸受装置であっても、従来と同等あるい
はそれ以下の大きさのテーパシール部で、熱膨張による
潤滑流体の装置外への漏出を有効に防止できるようにな
る。
【0016】以下、図に基づいて本発明の動圧軸受装置
について詳述する。図1は第1の発明に係る動圧軸受装
置の縦断面図である。なお、図8に示した従来の動圧軸
受装置と同じ部材及び部分は同じ符号を付している。
【0017】図1は第1の発明に係る動圧発生装置の一
例を示す縦断面図である。なお、図8に示した従来の動
圧軸受装置と同じ部材及び部分は同じ符号を付してい
る。また図8の動圧軸受装置と共通する構造および機能
についてはその説明をここでは省略し、相違する構造お
よび機能についてのみ説明する。
【0018】軸部111の底面中央から軸方向に有底穴
113が形成され、この穴113に伸縮部材B1が隙間
なく嵌挿され、穴113の上面で固着されている。ここ
で使用する伸縮部材としては負の熱膨張係数を有するも
のであれば特に限定はない。中でも、アラミド繊維、ポ
リエチレン繊維及びこれらの繊維を含有した繊維強化プ
ラスチック(FRP)や繊維強化金属などが、潤滑流体
とつり合う負の熱膨張係数を有し、また優れた耐久性を
有することから推奨される。市販されているものとして
は例えば「ケブラー49」(デュポン社製)、「トワロ
ンHM」(エンカ社製)、「テクノーラ」(帝人社
製)、「ダイニーマ」(東洋紡社製)などが挙げられ
る。
【0019】伸縮部材の取付量については、潤滑流体の
種類・充填量及び装置の使用温度範囲などから算出した
体積膨張量に見合う収縮量が得られるよう、伸縮部材の
熱膨張係数を考慮して適宜決定すればよい。伸縮部材の
取付量が決まれば、例えば図1の装置における穴113
の長さや大きさなどを取付量に合わせて調整するのがよ
い。
【0020】また、テーパシール部からの潤滑流体の漏
出を一層防止する観点からは、テーパーシール部に直近
のラジアル動圧発生溝121aを軸方向に不平衡なヘリ
ングボーン溝とし、この動圧発生溝121aによって軸
方向下方向に潤滑流体を流動させるようにするのが望ま
しい。図2にラジアル動圧発生溝の具体例を示す。図2
はスリーブ部材12の縦断面図である。スリーブ部材1
2の内周面に形成された2つのラジアル動圧発生溝12
1a,121bはどちらもヘリングボーン溝であるが、
下側のラジアル動圧発生溝121bはスリーブ部材12
の軸方向に溝部分が平衡に形成されたヘリングボーン溝
であるのに対し、上側のラジアル動圧発生溝121a
は、上側(スリーブ部材12の開口端側)の溝部分が下
側の溝部分よりも長く形成されたヘリングボーン溝であ
る。これにより、上側のラジアル動圧発生溝121aで
は軸受作用に加えて、潤滑流体を軸方向下方に流動させ
る作用が生じ、前記テーパシール部からの潤滑流体の漏
出が一層防止される。また、上側のラジアル動圧発生溝
12aが発生する潤滑流体を軸方向下方に流動させる作
用によって、軸受部に充填された潤滑流体全体の内部圧
力が大気圧以上に保たれるため、潤滑流体中に気泡が発
生することがない。従って、気泡に起因する潤滑流体の
漏れ出しや振動の発生が防止される。
【0021】また図1において、スリーブ部材12の下
端面及びスラストブッシュ部材14の上面にはスラスト
動圧発生溝121c,141が形成されている。これら
の動圧発生溝は基本的に同一構造である。図3にスラス
ト動圧発生溝の一例を示す。図3はスラストブッシュ部
材14の平面図であって、スラストブッシュ部材14と
同軸の2つの同心円で囲まれた帯状領域にスパイラル溝
141が形成されている。このスパイラル溝141が相
対的に回転することにより、スラストプレート部の中央
部で極大動圧が発生し、この動圧により軸部材11がス
ラスト方向に非接触支持される。
【0022】多孔質焼結体からなるスリーブ部材12に
このような動圧発生溝を形成するには、従来公知の方法
を用いることができ、例えば動圧発生溝と反対の凹凸を
表面に形成した型に焼結材を充填して圧縮成形した後焼
結することによって作製できる。スリーブ部材12の表
面開口率は一般に15%以下が好ましく、潤滑流体の流
動を考慮すると5〜10%の範囲がより好ましい。また
動圧発生溝を形成した部分は、潤滑流体を流動させて動
圧を発生させる必要があるためその表面開口率は5%以
下が望ましい。表面開口率を部分的に小さくするには例
えば封孔処理を行えばよい。なお、ここでいう表面開口
率とは単位面積当たりの開口面積の割合を意味する。
【0023】スリーブ部材をなす多孔質焼結体は、内部
に連続空孔を有するものであればその材質に特に限定は
なく、各種金属粉末や金属化合物粉末、非金属粉末を原
料として成形、焼結したものが使用できる。原料として
はFe−CuやCu−Sn、Cu−Sn−Pb、Fe−
Cなどが挙げられる。
【0024】このような構成の動圧軸受装置において、
軸受作用が奏され始めると装置内温度が上昇し、微小間
隙に充填された潤滑流体は熱膨張する一方、軸部111
に穿設した穴113に取り付けた伸縮部材B1は加熱収
縮する。このため潤滑流体の熱膨張による増加体積は伸
縮部材の加熱収縮により吸収され、テーパシール部の潤
滑流体界面は温度上昇によってもほとんど変化しない。
これにより温度上昇による潤滑流体の漏出が効果的に防
止される。
【0025】図1の装置では、軸部111の底面中央に
穿設された穴113に伸縮部材B1を取り付けている
が、伸縮部材の取付位置はこれに限定されるものではな
く、潤滑流体に接触し且つ動圧発生溝以外の部位であれ
はどこでもよい。特に、第1の発明に係る動圧発生装置
ではスリーブ部材12が多孔質焼結体からなり、スリー
ブ部材12内にも潤滑流体が含浸しているので、スリー
ブ部材12の内部および外周面にも伸縮部材を取り付け
ることができる。
【0026】図4は、第1の発明に係る動圧発生装置の
他の実施態様を示す縦断面図である。図4の装置では、
スリーブ部材12の外周面、すなわちスリーブ支持部材
13とスリーブ部材12との間に伸縮部材B2を取り付
けるとともに、スリーブ部材12に伸縮部材B3を含有
させている。伸縮部材B2,B3をこのような位置に取り
付けても潤滑流体と接触している限り、装置内の温度上
昇による潤滑流体の体積膨張を伸縮部材で吸収できる。
なお、スリーブ部材12に伸縮部材を含有させるには、
伸縮部材を予め混合させた材料を用いてこれを成形・焼
結すればよい。
【0027】次に、第2の発明について説明する。第2
の発明において、負の熱膨張係数を有する伸縮部材をス
リーブ部材や軸部材に取り付けて、温度上昇による潤滑
流体の体積膨張をこの伸縮部材の加熱収縮で相殺し、潤
滑流体の漏出を防止するという技術的思想は第1の発明
と共通する。第1の発明との相違点は、スリーブ部材が
第1の発明では多孔質焼結体からなっていたのに対し第
2の発明では金属材料からなっている点にある。かかる
相違点に起因して第2の発明に係る動圧発生装置では、
第1の発明では必要であったスリーブ支持部材が不要と
なる。
【0028】以下、図面に基づいて第2の発明に係る動
圧発生装置について説明する。なお、図1の動圧発生装
置と同じ部材および部分は同じ符号を付している。また
図1の動圧軸受装置と共通する構造および機能について
はその説明をここでは省略し、相違する構造および機能
についてのみ説明する。図5は第2の発明に係る動圧発
生装置の一例を示す縦断面図である。スリーブ部材1
2’は例えばステンレス鋼や銅合金などの金属材料から
なり中空円筒状をなし、中空部内周面には軸方向の離隔
位置に2つのラジアル動圧発生溝121a,121bが
形成されていると共に、スラスト動圧発生溝121cが
形成されている。そしてスリーブ部材12’の上端部お
よび下部には中空円筒の内径よりも大径に形成された溝
部122,123がそれぞれ形成され、下端部には溝部
123より大径の嵌合溝部124がさらに形成されてい
る。また溝部123の内周面には、負の熱膨張係数を有
する伸縮部材B4がスラストプレート部112の外周面
に接触しないように取り付けられている。
【0029】一方、軸部材11は、軸部111と、軸部
111の下端に形成されたスラストプレート部112と
からなり、軸部111の底面中央から軸方向に有底穴1
13が形成され、この穴113には伸縮部材B1が隙間
なく嵌挿され、穴113の上面に取り付けられている。
そして軸部材11のスラストプレート部112がスリー
ブ部材12’の溝部123に装着するまで、スリーブ部
材12’の中空部に軸部111が挿通されている。そし
て、スラスト動圧発生溝141が上面に形成されたスラ
ストブッシュ部材14がスリーブ部材12’の嵌合溝部
124に装着され、スリーブ部材12’の下側開口が封
止されている。他方、スリーブ部材12’の上側開口に
は、軸部111に嵌通させた環状のシール部材15が、
その上面とスリーブ部材12’の上端面とが同一面とな
るように溝部122に装着固定されている。そして、ス
リーブ部材12’とスラストブッシュ部材14、シール
部材15とで囲まれたスリーブ部材12’の中空部は潤
滑流体(不図示)で充填されている。潤滑流体のシール
は図9で示したように、環状のシール部材15と軸部テ
ーパ面117とで構成されるテーパシール部で行われて
いる。
【0030】このような構成の動圧軸受装置において、
装置内温度が上昇すると微小間隙に充填された潤滑流体
は熱膨張する一方、溝部123の内周面及び軸部11に
穿設した穴113に取り付けた伸縮部材B4,B1は加熱
収縮する。このため潤滑流体の熱膨張による増加体積は
伸縮部材B4,B1の加熱収縮により吸収され、テーパシ
ール部の潤滑流体界面は温度上昇によってもほとんど変
化しない。これにより温度上昇による潤滑流体の漏出が
効果的に防止される。なお、伸縮部材の取付位置はこれ
に限定されるものではなく、例えばラジアル動圧発生溝
121a,121bの間のスリーブ部材12の内周面又
は軸部111の外周面に周溝を形成し、その周溝に伸縮
部材を取り付けてもよい。
【0031】次に、本発明に係るモータについて説明す
る。本発明のモータの大きな特徴は前記説明した動圧軸
受装置を搭載した点にある。以下、図に基づいて本発明
のモータを詳述する。
【0032】図6はフルフィル構造の動圧軸受装置を搭
載したHDDスピンドルモータの縦断面図である。ブラ
ケット2は中心部に設けられた基部21と、この基部2
1の外周方向に設けられた周壁22と、この周壁22か
らさらに外方向に延設された鍔部23とからなり、これ
らが一体且つ同軸的に形成されている。
【0033】基部21の中心部には環状突部24が形成
され、そこに図1に示した動圧軸受装置1が嵌合固定さ
れている。そして動圧軸受装置1の軸部材11の上端
は、略円筒状のロータハブ3の上面中央部に形成された
孔部31に嵌合固定されている。ロータハブ3の内周面
には、周方向に多極着磁されたロータマグネット32が
全周にわたり配設されている。またロータマグネット3
2の半径方向内方には、ロータマグネット32に対向し
てステータ4がブラケット2の基部22に形成された環
状突部24に配設されている。ステータ4と環状突部2
4との固定は、圧入による嵌合固定の他、接着剤による
固定でもよい。
【0034】ロータハブ3の外周下側には鍔部33が形
成され、ここにハードディスク(不図示)が装着され
る。具体的にはロータハブ3の外周部34により位置決
めされて、鍔部33の上に1又は複数のハードディスク
が装着された後、クランプ部材(不図示)などにより孔
部35にネジ止めされて、ハードディスクはロータハブ
3に対して保持固定される。
【0035】本発明のディスク装置について以下説明す
る。図7に、一般的なディスク装置50の内部構成を模
式図として示す。ハウジング部材51の内部は塵・埃な
どが極端に少ないクリーンな空間を形成しており、その
内部に情報を記憶する円板状のディスク板(記録媒体)
53が装着されたモータ52が設置されている。加えて
ハウジング51の内部には、ディスク板53に対して情
報を読み書きするヘッド移動機構(情報アクセス手段)
が配置され、このヘッド移動機構はディスク板53上の
情報を読み書きするヘッド56、このヘッド56を支え
るアーム55,およびヘッド56並びにアーム55をデ
ィスク板53上の所要位置に移動させるアクチュエータ
部54により構成される。
【0036】
【発明の効果】多孔質焼結体からなるスリーブ部材を用
いた第1の発明に係る動圧軸受装置では、軸部材、スリ
ーブ部材、スラストブッシュ部材及びスリーブ支持部材
の少なくとも1つの部材における、前記潤滑流体に接触
し且つ前記動圧発生溝以外の部位に、また金属材料から
なるスリーブ部材を用いた第2の発明に係る動圧軸受装
置では、前記軸部材、前記スリーブ部材、前記スラスト
ブッシュ部材の少なくとも1つの部材における、前記潤
滑流体に接触し且つ前記動圧発生溝以外の部位に、それ
ぞれ負の熱膨張係数を有する伸縮部材を取り付けたの
で、テーパシール部の容積を大きくすることなく、熱膨
張による装置外への潤滑流体の漏出を有効に防止でき
る。
【0037】また伸縮部材として、アラミド繊維、ポリ
エチレン繊維又はこれらの繊維と樹脂又は金属との複合
材料を用いると、温度上昇による潤滑流体の体積膨張を
効率的に吸収でき、また長期間にわたって安定して使用
できる。
【0038】また、ラジアル動圧発生溝を2つ以上設け
ることによって、振れ精度を高く維持することが可能に
なる。更に、軸方向最も上側のラジアル動圧発生溝を、
軸方向下方に潤滑流体を流動させる、軸方向に不平衡に
形成されたヘリングボーン状溝とすると、潤滑流体の装
置外への漏出をより確実に防止できる。
【0039】また、本発明のモータ及びディスク装置で
は前記動圧軸受装置を用いるので、動圧軸受装置からの
潤滑流体漏出がなく長期間にわたって安定して作動し、
また薄型化が可能で軸受剛性が低下することがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の発明に係る動圧軸受装置の一例を示す
縦断面図である。
【図2】 図1の動圧軸受装置のスリーブ部材内周面に
形成されたラジアル動圧発生溝の一例を示す図である。
【図3】 図1の動圧軸受装置のスラストブッシュ部材
に形成されたスラスト動圧発生溝の一例を示す平面図で
ある。
【図4】 第1の発明に係る動圧軸受装置の他の例を示
す縦断面図である。
【図5】 第2の発明に係る動圧軸受装置の一例を示す
縦断面図である。
【図6】 本発明に係るモータの一例を示す縦断面図で
ある。
【図7】 本発明に係るディスク装置の一例を示す縦断
面図である。
【図8】 従来の動圧軸受装置を示す縦断面図である。
【図9】 動圧軸受装置におけるテーパシール部の拡大
断面図である。
【符号の説明】
1 動圧軸受装置 2 ブラケット 3 ロータハブ 4 ステータ 11 軸部材 12、12’ スリーブ部材 13 スリーブ支持部材 14 スラストブッシュ部材 15 シール部材 51 ハウジング部材 52 モータ 53 ディスク板(記録媒体) 111 軸部 112 スラストプレート部 113 穴 114 多孔質焼結体 115 貫通孔 116 軸部外周面側開口 121a,121b ラジアル動圧発生溝 121c,141 スラスト動圧発生溝 B1,B2,B3,B4 伸縮部材 L 潤滑流体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3J011 AA07 AA08 BA04 CA02 JA02 KA02 KA03 MA12 MA23 QA00 5H605 AA04 BB05 BB19 CC04 DD05 DD09 EB03 EB06 EB13 EB17 EB28 5H607 AA04 BB01 BB14 BB17 CC01 DD03 DD16 GG03 GG09 GG10 GG12

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軸部と該軸部から半径方向外方に突出す
    るスラストプレート部とを有する軸部材と、前記軸部に
    対し微小間隙を有して対向配置された、多孔質焼結体か
    らなるスリーブ部材と、このスリーブ部材を支持するス
    リーブ支持部材と、前記スラストプレート部下面に対し
    微小間隙を有して対向配置され、前記スリーブ支持部材
    の下側開口を封止するスラストブッシュ部材と、前記微
    小間隙全体に充填された潤滑流体とを備え、 前記軸部およびこの軸部と対向する前記スリーブ部材の
    内周面の少なくとも一方に、ラジアル荷重を支持するた
    めのラジアル動圧発生溝を設け、また前記スラストプレ
    ート部の下側面およびこの下側面と対向する前記スラス
    トブッシュ部材の内側面の少なくとも一方と、前記スリ
    ーブ部材の下端面およびこの下端面と対向する前記スラ
    ストプレート部の上側面の少なくとも一方とにスラスト
    荷重を支持するためのスラスト動圧発生溝を設け、前記
    スリーブ部材と前記軸部材とを相対的に回転可能に支持
    する動圧軸受装置であって、 前記軸部材、前記スリーブ部材、前記スリーブ支持部材
    及び前記スラストブッシュ部材の少なくとも1つの部材
    における、前記潤滑流体に接触し且つ前記動圧発生溝以
    外の部位に、負の熱膨張係数を有する伸縮部材を取り付
    けたことを特徴とする動圧軸受装置。
  2. 【請求項2】 軸部と該軸部から半径方向外方に突出す
    るスラストプレート部とを有する軸部材と、前記軸部に
    対し微小間隙を有して対向配置された、金属材料からな
    るスリーブ部材と、前記スラストプレート部下面に対し
    微小間隙を有して対向配置され、前記スリーブ部材の下
    側開口を封止するスラストブッシュ部材と、前記微小間
    隙全体に充填された潤滑流体とを備え、 前記軸部およびこの軸部と対向する前記スリーブ部材の
    内周面の少なくとも一方に、ラジアル荷重を支持するた
    めのラジアル動圧発生溝を設け、また前記スラストプレ
    ート部の下側面およびこの下側面と対向する前記スラス
    トブッシュ部材の内側面の少なくとも一方と、前記スラ
    ストプレート部の上側面およびこの上側面と対向する前
    記スリーブ部材の下端面の少なくとも一方とにスラスト
    荷重を支持するためのスラスト動圧発生溝を設け、前記
    スリーブ部材と前記軸部材とを相対的に回転可能に支持
    する動圧軸受装置であって、 前記軸部材、前記スリーブ部材及び前記スラストブッシ
    ュ部材の少なくとも1つの部材における、前記潤滑流体
    に接触し且つ前記動圧発生溝以外の部位に、負の熱膨張
    係数を有する伸縮部材を取り付けたことを特徴とする動
    圧軸受装置。
  3. 【請求項3】 前記伸縮部材がアラミド繊維、ポリエチ
    レン繊維又はこれらの繊維と樹脂あるいは金属との複合
    材料である請求項1又は2記載の動圧軸受装置。
  4. 【請求項4】 前記ラジアル動圧発生溝は2つ以上設け
    られていると共に、該2つ以上設けられたラジアル動圧
    発生溝のうち軸方向最も上側のラジアル動圧発生溝が、
    軸方向下方に潤滑流体を流動させる、軸方向に不平衡に
    形成されたヘリングボーン状溝である請求項1〜3のい
    ずれかに記載の動圧軸受装置。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の動圧軸
    受装置を備えたことを特徴とするモータ。
  6. 【請求項6】 情報を記録できる円板状記録媒体が装着
    されるディスク装置において、ハウジング部材と、該ハ
    ウジング部材内部に固定され前記記録媒体を回転させる
    スピンドルモータと、前記記録媒体の所望の位置に情報
    を書き込み又は読み出すための情報アクセス手段とを有
    するディスク装置であって、前記スピンドルモータが請
    求項5記載のモータであることを特徴とするディスク装
    置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100810477B1 (ko) 2005-09-27 2008-03-10 닛뽕빅터 가부시키가이샤 유체 베어링 장치
US8353630B2 (en) 2007-10-09 2013-01-15 Hgst, Netherlands B.V. Fluid dynamic bearing with a labyrinth seal

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