JP2003286991A - 真空ポンプ - Google Patents

真空ポンプ

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JP2003286991A
JP2003286991A JP2002091747A JP2002091747A JP2003286991A JP 2003286991 A JP2003286991 A JP 2003286991A JP 2002091747 A JP2002091747 A JP 2002091747A JP 2002091747 A JP2002091747 A JP 2002091747A JP 2003286991 A JP2003286991 A JP 2003286991A
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pump
spacer
screw pump
rotor
screw
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JP2002091747A
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Manabu Nonaka
学 野中
Tsuyoshi Kabasawa
剛志 樺澤
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Edwards Japan Ltd
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BOC Edwards Technologies Ltd
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F04POSITIVE - DISPLACEMENT MACHINES FOR LIQUIDS; PUMPS FOR LIQUIDS OR ELASTIC FLUIDS
    • F04DNON-POSITIVE-DISPLACEMENT PUMPS
    • F04D19/00Axial-flow pumps
    • F04D19/02Multi-stage pumps
    • F04D19/04Multi-stage pumps specially adapted to the production of a high vacuum, e.g. molecular pumps

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  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Non-Positive Displacement Air Blowers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ロータの破壊により飛散したロータ破片の運
動エネルギーを効果的に吸収できる低コストの真空ポン
プを提供する。 【解決手段】 筒状のポンプケース1−1と筒状のポン
プベース1−2とをその筒軸方向に連結した外装ケース
1内に、ロータ2が回転可能に配設され、このロータ2
の一部が複数の円筒体2−1、2−2を同心円状に配置
し接合してなる多重円筒構造からなり、該円筒体2−
1、2−2の近傍に、この円筒体2−1、2−2の周面
との間にネジ溝ポンプの排気流路R1、R2、R3を形
成するネジポンプスペーサ9が設けられる場合に、この
ネジポンプスペーサ9は、ポンプベース1−2の構成材
料に比し破断に至るまでの歪みエネルギーが大きい材料
で形成されるものとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体製造装置、
電子顕微鏡、表面分析装置、質量分析装置、粒子加速
器、核融合実験装置等に用いられる真空ポンプに関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、この種真空ポンプとしてはターボ
分子ポンプとネジ溝ポンプを複合した形態のポンプ(以
下「複合型真空ポンプ」という。)が知られている。
【0003】図5は従来の複合型真空ポンプの一例を示
した断面図であり、同図の複合型真空ポンプにおいて
は、ポンプ圧縮比を上げ、かつポンプ全体のコンパクト
化を図るため、ネジ溝ポンプの一連の排気流路R1、R
2、R3が折り返す構造となっている。
【0004】また、この図5の複合型真空ポンプにおい
ては、そのネジ溝ポンプの排気流路R1、R2、R3を
上述の折り返し構造とするために、ポンプ下流側、すな
わちネジ溝ポンプとして機能するロータ2の略下半分を
2つの円筒体2−1、2−2からなる多重円筒構造とす
るとともに、その内外両円筒体2−1、2−2間とその
外側円筒体2−2の外周側にネジ溝10付のネジポンプ
スペーサ9を設置している。
【0005】なお、この図5の複合型真空ポンプの場
合、そのポンプ上流側、すなわちロータ2の略上半分が
ターボ分子ポンプとして機能する構造上、当該ロータ2
の上部側外周面には回転翼11が一体に設けられてい
る。
【0006】ところで、上記のような構造からなる図5
の複合型真空ポンプによると、そのロータ2の略下半分
が2つの円筒体2−1、2−2からなる多重円筒構造で
あるため、ロータ2全体のうち特に多重円筒構造の部分
において、質量と慣性モーメントが大きく、大きな応力
が生じる可能性が高い。
【0007】また、図5の複合型真空ポンプにおいて、
ネジ溝ポンプの性能はロータ中の多重円筒構造を構成す
る各円筒体2−1、2−2(回転部)と停止しているネ
ジポンプスペーサ9(固定部)との速度差に大きく影響
する。すなわち、回転部の周速が速いほどネジ溝ポンプ
の性能は向上する。このため、一般的なポンプ設計にお
いては、ネジ溝ポンプの回転部、すなわち多重円筒構造
の各円筒体2−1、2−2の周速を可能な限り大きくす
るために、その各円筒体2−1、2−2を大径に設計す
るものとしているので、ロータ2全体の中でも多重円筒
構造部分の応力はより一層大きいものとなる。
【0008】さらに、図5の複合型真空ポンプにおい
て、ネジ溝ポンプが設けられているポンプ下流側は排気
ガスの濃度が高いので、このネジ溝ポンプを構成する多
重円筒構造の各円筒体2−1、2−2やネジポンプスペ
ーサは排気ガスにより腐食されやすい。
【0009】以上のことから、ネジ溝ポンプを構成する
多重円筒構造の円筒体2−1、2−2は、図5の複合型
真空ポンプを構成する各種ポンプ回転部品の中でも、応
力腐食割れが最も進行しやすい部品である。
【0010】ところで、ネジ溝ポンプを構成する多重円
筒構造の円筒体2−1、2−2において、上述の応力腐
食割れ等に起因するクラックが成長し(図6参照)、こ
の成長したクラックを起点としてロータ2全体が短時間
で破壊した場合は、次の過程により真空ポンプ全体にモ
ーメントが発生する。
【0011】すなわち、図7に示したように、破壊によ
り分裂したロータ破片2aはロータ接線方向に飛散しネ
ジポンプスペーサ9に接触する。この際、ロータ破片2
aの運動エネルギーは、ネジポンプスペーサ9を変形
させる歪みエネルギー、および、ネジポンプスペーサ
9とロータ破片2aとの接触部において発生する摩擦エ
ネルギーとして変換・吸収される形態で消費される。
【0012】ここで、上記の歪みエネルギーを数式で
示すと、この歪みエネルギーは次式のように表すことが
できる。
【0013】
【0014】また、上記歪みエネルギーは、図8に示す
材料の応力−歪み線図上では応力−歪み曲線の下部範囲
内の面積として表される。
【0015】したがって、ある一定の材料において運動
エネルギーを歪みエネルギーに変換し吸収するものとし
た場合、当該材料の耐力が大きく、かつ該材料の歪みが
大きい程、歪みエネルギーへのエネルギー変換・吸収は
大きくなる。
【0016】ここで、図5の複合型真空ポンプにおい
て、ロータ2の破壊により分裂したロータ破片2aの運
動エネルギーをネジ溝ポンプのネジポンプスペーサ9に
おいて歪みエネルギーに変換し吸収するものとした場
合、次の(1)と(2)のケースのときに、歪みエネル
ギーへのエネルギー変換・吸収が少なくなる。
【0017】(1)ネジポンプスペーサ9の耐力が小さ
く、かつ、ロータ破片2a接触後のネジポンプスペーサ
9の歪みが大きい場合(図9中の材料aについての応力
−歪み線図および図10参照)。
【0018】(2)ネジポンプスペーサ9の変形が少な
い場合、すなわちネジポンプスペーサ9の弾性係数と耐
力が大きく、かつ、ロータ破片2a接触後のネジポンプ
スペーサ9の歪みが小さい場合(図9中の材料cについ
ての応力−歪み線図および図11参照)。
【0019】ところで、上記(1)のケースの場合は、
歪みエネルギーへのエネルギー変換吸収が小さいため、
ロータ破片2aの運動エネルギーは減少しない。このた
め、ロータ破片2aはネジポンプスペーサ9を変形させ
た後、その後もなお残存するエネルギーにより他のポン
プ構造体に大きなダメージを与える。たとえば、ロータ
破片2aの衝突により多重円筒構造の内側円筒体2−1
が破損し、このとき内側円筒体2−1の外周側に設置さ
れているネジポンプスペーサ9においてロータ破片2a
の運動エネルギーの吸収が小さいと、さらに、そのネジ
ポンプスペーサ9の外側に設置されている多重円筒構造
の外側円筒体2−2が損傷し、内外2つの円筒体2−
1、2−2の連鎖的な破壊が生じ、この一連の破壊がポ
ンプケース1−1にも及ぶ場合もある。
【0020】一方、上記(2)のケースの場合には、ネ
ジポンプスペーサ9が変形しないため、ロータ破片2a
はネジポンプスペーサ9との衝突時にネジポンプスペー
サ9側から大きな反力を受け(図11参照)、その反力
がロータ破片2aとネジポンプスペーサ9との垂直抗力
となり、摩擦に起因する大きなモーメントがネジポンプ
スペーサ9に発生し、そのネジポンプスペーサ9をポン
プベース1−2側に位置決め固定している固定部や、ネ
ジポンプスペーサ9周辺のポンプ構造体に大きなダメー
ジを与える。
【0021】要するに、上記(1)および(2)のいず
れの場合においても、ロータ2の破壊によりポンプ構造
体にダメージを与える最大の原因は、ネジポンプスペー
サ9の変形によりロータ破片2aの運動エネルギーを歪
みエネルギーに変換し吸収する効果が不足していること
にある。このことは、ロータ破片2aの運動エネルギー
を受け得る全ポンプ構造体についても同様に言えること
であるが、全ポンプ構造体のうち特にネジポンプスペー
サ9はロータ2の直ぐ外側に存在するので、ポンプ内部
の損傷を最小限に抑えるものとした場合、ネジポンプス
ペーサ9におけるロータ破片2aの運動エネルギーの吸
収が重要である。
【0022】そこで、図5に示した構造の複合型真空ポ
ンプや、この複合型真空ポンプのロータ2の略下半分と
同等の構造、すなわち複数の円筒体2−1、2−2から
なる多重円筒構造とネジポンプスペーサ9のみからなる
ネジ溝ポンプ(ドラックポンプ)においては、ロータ破
片2aの運動エネルギーをネジポンプスペーサ9におい
て減衰させ、ポンプ全体に作用するモーメントを減少さ
せる手段として、次の技術が採用されている。
【0023】ロータ破片2aがネジポンプスペーサ9
に接触したときの衝撃力でネジポンプスペーサ9自体が
回転しポンプケース1−2と摺動する構造を採用するこ
とにより、そのロータ破片2aの運動エネルギーを摩擦
エネルギーに変換して吸収する技術。
【0024】ポンプ内部に構造的に弱い部分を設け、
その弱い部分がロータ破片2aの衝突による衝撃力で破
壊されることにより、当該ロータ破片2aの運動エネル
ギーを吸収する技術。
【0025】ロータ2は、一般に金属の中でも比強度
の高いアルミ合金材料で作成されるが、このロータ2全
体のうち特にネジポンプスペーサ9と対向する部分、す
なわちロータ2の多重円筒構造部分をより軽量なカーボ
ンファイバー等で作製することにより、当該ロータ2の
質量を小さくしてロータ破片2aの運動エネルギーを低
減する技術。
【0026】しかしながら、上記の技術ではネジポン
プスペーサ9を回転可能な別部品として形成する必要が
ある。上記の技術ではポンプ内部に構造的に弱い部分
を別途形成する加工が必要となる。また、上記の技術
ではロータ2の多重円筒構造部分だけをカーボンファイ
バー等の軽量な材料で別部品として形成する必要がある
ので、上記ないしの技術によると、真空ポンプ全体
の部品点数若しくは加工工数が増え、ポンプ全体の製造
コストが高くなるという問題点がある。
【0027】特に、図5の複合型真空ポンプによると、
そのロータ2の略下半分が2つの円筒体2−1、2−2
からなる多重円筒構造となっているため、多重円筒構造
を採らない真空ポンプと比べてロータ2全体の質量が大
きく、ロータ2が破壊した際に大きなモーメントがポン
プケース1−2に生じ、ポンプケース2−1上端のフラ
ンジ部と図示しない真空チャンバーとを締結しているボ
ルト(図示省略)がポンプケース1−2のねじれにより
破損する、あるいは、その破損が真空チャンバー側に及
ぶ等、真空ポンプの周辺装置側に多大な損傷を与える可
能性がある。
【0028】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記問題点を
解決するためになされたもので、その目的とするところ
は、ロータの破壊により飛散したロータ破片の運動エネ
ルギーを効果的に吸収できる低コストの真空ポンプを提
供することにある。
【0029】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、(1)本発明は、筒状のポンプケースと筒状のポン
プベースとをその筒軸方向に連結してなる外装ケース
と、上記外装ケース内に回転可能に配設されたロータ
と、上記ロータをその中心軸線回りに回転駆動するロー
タシャフトとを有し、上記ロータの一部または全部が、
複数の円筒体を同心円状に配置し接合してなる多重円筒
構造からなり、上記円筒体の近傍に、この円筒体の周面
との間にネジ溝ポンプの排気流路を形成するネジポンプ
スペーサが設けられ、上記ネジポンプスペーサは、上記
ポンプベースの構成材料に比し破断に至るまでの歪みエ
ネルギーが大きい材料で形成されていることを特徴とす
るものである。
【0030】(2)本発明は、筒状のポンプケースと筒
状のポンプベースとをその筒軸方向に連結してなる外装
ケースと、上記外装ケース内に回転可能に配設されたロ
ータと、上記ロータをその中心軸線回りに回転駆動する
ロータシャフトとを有し、上記ロータの一部または全部
が、複数の円筒体を同心円状に配置し接合してなる多重
円筒構造からなり、上記円筒体の近傍に、この円筒体の
周面との間にネジ溝ポンプの排気流路を形成するネジポ
ンプスペーサが設けられ、上記ネジポンプスペーサは、
上記複数の円筒体のうち互いに隣接する2つの円筒体間
に介挿設置されるとともに、上記ポンプベースの構成材
料に比し破断に至るまでの歪みエネルギーが大きい材料
で形成された中間ネジポンプスペーサを有する構造から
なることを特徴とするものである。
【0031】上記(1)本発明または上記(2)本発明
においては、JISで定義される4000番、5000
番、6000番系相当の通常のアルミ合金材料を用いて
上記ポンプベースが形成されている場合に、このポンプ
ベースの形成材料に比し破断に至るまでの歪みエネルギ
ーが大きい材料として、粒子分散型アルミ基複合材料を
用いて上記ネジポンプスペーサを形成することができ
る。
【0032】上記(1)本発明または上記(2)本発明
においては、JISで定義される4000番、5000
番、6000番系相当の通常のアルミ合金材料を用いて
上記ポンプベースが形成されている場合に、このポンプ
ベースの形成材料に比し破断に至るまでの歪みエネルギ
ーが大きい材料として、急冷凝固アルミ合金材料を用い
て上記ネジポンプスペーサを形成することができる。
【0033】上記(1)本発明または上記(2)本発明
において、上記ネジポンプスペーサは、上記ポンプベー
スと同じ構成材料からなる第1ネジポンプスペーサ部品
と、上記ポンプベースの構成材料よりも破断に至るまで
の歪みエネルギーの大きい材料からなる第2ネジポンプ
スペーサ部品とを結合一体化した構造を採用することが
できる。
【0034】上記の如くネジポンプスペーサが第1ネジ
ポンプスペーサ部品と第2ネジポンプスペーサ部品の一
体化構造からなる場合は、第1ネジポンプスペーサ部品
および第2ネジポンプスペーサ部品をともに筒状に形成
し、かつ、この筒状の第2ネジポンプスペーサ部品の内
側に、上記筒状の第1ネジポンプスペーサ部品が内挿さ
れてなる構造を採用することができる。
【0035】また、上記の如くネジポンプスペーサが第
1ネジポンプスペーサ部品と第2ネジポンプスペーサ部
品の一体化構造からなる場合は、上記第1ネジポンプス
ペーサ部品を筒状に形成し、上記第2ネジポンプスペー
サ部品をリング状に形成するとともに、その筒状の第1
ネジポンプスペーサ部品の一部に、上記リング状の第2
ネジポンプスペーサ部品を取り付けてなる構造を採用し
てもよい。
【0036】上記(1)本発明または上記(2)本発明
においては、上記ロータの破壊により分裂したロータ破
片が上記ネジポンプスペーサに接触したときの該ネジポ
ンプスペーサの膨張方向と干渉しない位置に、このネジ
スポンプスペーサと上記ポンプベースとの接合部が設け
られる構造を採用することもできる。
【0037】(3)本発明は、筒状のポンプケースと筒
状のポンプベースとをその筒軸方向に連結してなる外装
ケースと、上記外装ケース内に回転可能に配設されたロ
ータと、上記ロータをその中心軸線回りに回転駆動する
ロータシャフトとを有し、上記ロータの一部または全部
が、複数の円筒体を同心円状に配置し接合してなる多重
円筒構造からなり、上記円筒体の近傍に、この円筒体の
周面との間にネジ溝ポンプの排気流路を形成するネジポ
ンプスペーサが設けられ、上記ネジポンプスペーサは、
上記複数の円筒体のうち互いに隣接する2つの円筒体間
に介挿設置されるとともに、その下端部に設けたフラン
ジ部を介して上記ポンプベース側に位置決め固定された
中間ネジポンプスペーサを有する構造からなり、上記中
間ネジポンプスペーサのフランジ部の外周端と上記ポン
プベースの内周との間に、間隙部が形成されてなること
を特徴とするものである。
【0038】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る真空ポンプの
実施形態について図1ないし図4を基に詳細に説明す
る。
【0039】図1に示した真空ポンプは、ターボ分子ポ
ンプとネジ溝ポンプを複合した真空ポンプであって、外
装ケース1の内側にロータ2を回転可能に設置した構造
となっている。
【0040】外装ケース1は、筒状のポンプケース1−
1とこれと同じく筒状のポンプベース1−2とをその筒
軸方向にボルトで一体に連結した筒型構造であり、この
ような筒型構造の外装ケース1内に上記ロータ2が収納
されている。
【0041】上記ポンプケース1−1の上端部側はガス
吸気口3として開口しているが、上記ポンプベース1−
2の下端部側はその側面のガス排気口4を除き密閉され
ている。
【0042】上記のようなロータ収納状態において、当
該ロータ2の下部側外周は、外装ケース1の約下半分を
構成している上記筒状のポンプベース1−2により囲ま
れる構造となっている一方、同ロータ2の上部側外周
は、外装ケース1の約上半分を構成している上記筒状の
ポンプケース1−1で囲まれる構造となっている。
【0043】上記ロータ2はその全体形状が筒状に形成
され、このような筒状のロータ2の内側にステータコラ
ム5が立設され、さらにそのステータコラム5の中心部
にロータシャフト6が回転可能に設置されている。
【0044】ロータシャフト6は、ステータコラム5の
内側に設けた径方向電磁石7−1および軸方向電磁石7
−2等からなる磁気軸受により、その軸方向及び径方向
にそれぞれ軸受支持されている。また、ロータシャフト
6の上部はステータコラム5の上端部から突出し、この
ロータシャフト6の上部突出端に上記ロータ2が連結固
定されている。
【0045】ステータコラム5の内側には駆動モータ8
が配置されており、この駆動モータ8は、その固定子8
−1をステータコラム5の内側に配置し、その回転子8
−2をロータシャフト6側に一体に配置してなる構造で
あって、かつ、ロータシャフト6と一体にロータ2をそ
の中心軸心回りに回転駆動する構造となっている。
【0046】本実施形態の場合、上記ロータ2の一部、
すなわちポンプベース1−2により囲まれている該ロー
タ2の略下半分側は、内外2つの円筒体2−1、2−2
を同心円状に配置し接合してなる多重円筒構造となって
いる。
【0047】上記のような多重円筒構造を構成する円筒
体2−1、2−2の近傍には、その円筒体2−1、2−
2の周面との間にネジ溝ポンプの排気流路R1、R2、
R3を形成するネジポンプスペーサ9が設けられてお
り、このネジポンプスペーサ9は、本実施形態の場合、
中間ネジポンプスペーサ9−1と外周ネジポンプスペー
サ9−2とを含む構造となっている。
【0048】上記ネジポンプスペーサ9のうち、中間ネ
ジポンプスペーサ9−1は互いに隣接する内外2つの円
筒体2−1、2−2間に介挿設置されている一方、外周
ネジポンプスペーサ9−2は、同2つの円筒体2−1、
2−2のうち最外周に位置する円筒体、すなわち外側円
筒体2−2の外周側に設置されている。
【0049】なお、上記中間ネジポンプスペーサ9−1
と外周ネジポンプスペーサ9−2はいずれも、多重円筒
構造を構成する円筒体2−1、2−2と同じく、円筒形
状に形成されている。
【0050】また、図2に示したように、上記中間ネジ
ポンプスペーサ9−1は、その下端部に設けたフランジ
部15を介してボルトでポンプベース1−2側に位置決
め固定されているが、本実施形態では、その中間ネジポ
ンプスペーサ9−1のフランジ部15の外周端とポンプ
ベース1−2の内周との間に積極的に間隙部16が形成
される構造を採用している。
【0051】すなわち、図5に示した従来の複合型真空
ポンプでは、ロータ2の破壊により分裂したロータ破片
が中間ネジポンプスペーサ9−1に接触し、これにより
中間ネジポンプスペーサ9−1が膨張したとき、その中
間ネジポンプスペーサ9−1のフランジ部15の外周端
とポンプベース1−2の内周とが強固に密着固定してし
まう現象(以下「ロック現象」という。)が生じ、その
密着固定部を介して中間ネジポンプスペーサ9−1の歪
みエネルギーがポンプベース2−1側に逃げることか
ら、当該ポンプベース1−2に大きなトルクが発生し得
る。
【0052】そこで、図1に示した本実施形態の複合型
真空ポンプにおいては、上記のようなロック現象を回避
するために、図2に示した通り、中間ネジポンプスペー
サ9−1のフランジ部15の外周端とポンプベース1−
2の内周との間に間隙部16を形成するものとした。
【0053】したがって、本実施形態の複合型真空ポン
プの場合は、上述のように中間ネジポンプスペーサ9−
1が膨張しても、この中間ネジポンプスペーサ9−1の
フランジ部15の外周端とポンプベース1−2の内周面
との間は間隙部16により遠く引き離されているので、
上記ロック現象は生じ難く、よって、この種ロック現象
による上記不具合、すなわちポンプベース2−1に大き
なトルクが発生することを効果的に防止することができ
る。
【0054】なお、本実施形態では、ネジポンプスペー
サ9側にネジ溝10が形成されるとともに、このような
ネジ溝10と多重円筒構造を構成する各円筒体2−1、
2−2の周面との間に形成される隙間構造部分が、ロー
タ2の回転によりネジ溝ポンプとして機能する構成を採
用している。
【0055】上記ネジ溝10は、外周ネジポンプスペー
サ9−2の内面、すなわち外側円筒体2−2の外周面と
対向する面、および、中間ネジポンプスペーサ9−1の
内外両面、すなわち外側円筒体2−2の内周面に対向す
る面と、内側円筒体2−1の外周面に対向する面に形成
されている。
【0056】外周ネジポンプスペーサ9−2と外側円筒
体2−2との間にはネジ溝ポンプの第1のガス排気流路
R1が形成され、外側円筒体2−2と中間ネジポンプス
ペーサ9−1との間には同ネジ溝ポンプの第2のガス排
気流路R2が形成され、さらに、中間ネジポンプスペー
サ9−1と内側円筒体2−1との間には同ネジ溝ポンプ
の第3のガス排気流路R3が形成される。そして、第1
のガス排気流路R1と第2のガス排気流路R2は、外側
円筒体2−2の下端部で連通し、第2のガス排気流路R
2と第3のガス排気流路R3は、中間ネジポンプスペー
サ9−1の上端部で連通する構造となっている。
【0057】上記ロータ2の他の一部、すなわちポンプ
ケース1−1により囲まれている該ロータ2の略上半分
側は、そのロータ外周に複数の回転翼11が多段に一体
に配置固定される構造となっている。また、ポンプケー
ス1−1の内周には、複数の固定翼12が上記回転翼1
1と交互に翼スペーサ13を介して多段に位置決め設置
されており、このような回転翼11と固定翼12からな
る翼構造の部分がロータ2の回転によりターボ分子ポン
プとして機能するように構成されている。
【0058】したがって、本実施形態のような複合型真
空ポンプの場合、ロータシャフト6と一体にロータ2が
回転すると、ロータ2の略上半分では、回転翼11と固
定翼12の相互作用により、ポンプケース1−1上部の
ガス吸気口3側から最下段の回転翼11aおよび固定翼
12a側へ向かってガスの分子を排気する動作が行われ
る。
【0059】また、上記のように排気されるガスは引き
続き次のステージ、すなわちネジ溝ポンプの排気動作に
よりポンプベース1−2下部のガス排気口4からポンプ
外部へ排気される。つまり、上記の如く最下段の回転翼
11aおよび固定翼12a側に移行したガス分子は、第
1のガス排気流路R1に流入し、かつ、図上そのガス排
気流路R1を下向きに流れる。そして、この下向きに流
れるガスは、外側円筒体2−2の下端部側で180°反
転し折り返した後、第2のガス排気流路R2に流入し、
かつ、図上そのガス排気流路R2を上向きに流れる。次
に、この上向きに流れるガスは、中間ネジポンプスペー
サ9−1の上端部側で180°反転し折り返した後、第
3のガス排気流路R3に流入し、かつ、図上そのガス排
気流路R3を下向きに流れ、最後に内側円筒体2−1の
下端部側からガス排気口4側へ移行しポンプ外部へ排気
される。
【0060】なお、ポンプケース1−1上部側のガス吸
気口3は、ポンプケース1−1上縁のフランジ部1−1
aに設けられている図示しないボルトを介し、たとえば
半導体製造装置のプロセスチャンバ等、高真空となる真
空容器(図示省略)側に接続され、ポンプベース1−2
下部側のガス排気口4は図示しない補助ポンプ側に連通
するようにセットされる。
【0061】ところで、上記のような構造の複合型真空
ポンプにおいて、ロータ2の破壊により分裂したロータ
破片がネジポンプスペーサ9に接触したときに、そのロ
ータ破片の運動エネルギーをネジポンプスペーサ9にお
いて歪みエネルギーに変換し吸収するものとした場合、
このネジポンプスペーサ9の構成材料が歪むために必要
なエネルギー、すなわち歪みエネルギーが大きい程、そ
の変換・吸収の効果は高い。
【0062】そこで、本実施形態の場合、ネジポンプス
ペーサ9については、ポンプベース1−2の構成材料に
比し破断に至るまでの歪みエネルギーが大きい材料で形
成する構造を採用した。
【0063】すなわち、従来、加工性、熱伝導性、軽量
化のため、ポンプベース1−2、ステータコラム5、ネ
ジポンプスペーサ9を支持する構造体等はすべて通常の
アルミ合金材料、すなわちJISで定義される4000
番、5000番、6000番台のアルミ合金材料、若し
くは特殊な例として放熱性を向上させるために1000
番台のアルミ合金材料を使用して形成されている。ネジ
ポンプスペーサ9もまた同様に従来はこの種通常のアル
ミ合金を使用して形成されていたが、本実施形態では、
そのポンプベース1−2の構成材料(通常のアルミ合金
材料)に比し破断に至るまでの歪みエネルギーが大きい
材料として、たとえばステンレス鋼、クロムモリブデン
鋼等の延性に優れた鋼材を採用するとともに、このよう
な鋼材によりネジポンプスペーサ9全体、すなわち中間
ネジポンプスペーサ9−1および外周ネジポンプスペー
サ9−2が形成される構成を採用した。
【0064】したがって、上記のような本実施形態の複
合型真空ポンプによると、ロータ2の破壊により分裂し
たロータ破片がネジポンプスペーサ9に接触したときの
該ロータ破片の運動エネルギーはネジポンプスペーサ9
の歪みエネルギーに変換される形で吸収されるが、この
際、その変換・吸収の割合が従来に比し増大する。この
ため、ロータ全体の質量とモーメントが大きくなり得る
多重円筒構造のロータ2であっても、そのロータ2の破
壊時に大きなモーメント、すなわち破壊トルクが外装ケ
ース1に生じることを効果的に防止することができ、こ
の種の破壊トルクによる不具合、たとえばポンプケース
1−1上端のフランジ部1−1aと真空チャンバーとを
締結しているボルトがポンプケース1−1のねじれによ
り破損する、あるいは、その破損が真空チャンバー側に
及ぶ等、真空ポンプの周辺装置側に多大な損傷を与える
ことを回避することができる。
【0065】上記実施形態では、中間ネジポンプスペー
サ9−1および外側ネジポンプスペーサ9−2の双方を
ステンレス鋼、クロムモリブデン鋼等の延性に優れた鋼
材により形成する構造を採用したが、中間ネジポンプス
ペーサ9−1だけをそのような鋼材により形成してもよ
く、この構造を採用した場合も、該中間ネジポンプスペ
ーサ9−1の部分において、ロータ破片の運動エネルギ
ーを歪みエネルギーとして変換・吸収する割合が従来に
比し増しているから、上記実施形態と同様な効果が得ら
れる。
【0066】また、上記実施形態では、通常のアルミ合
金材料を用いてポンプベース1−2が形成されている場
合に、このポンプベース1−2の形成材料に比し破断に
至るまでの歪みエネルギーが大きい材料として、ステン
レス鋼等の延性に優れた鋼材を使用してネジポンプスペ
ーサ9を形成するものとしたが、これに代えて、「粒子
分散型アルミ基複合材料」または「急冷凝固アルミ合金
材料」を使用してネジポンプスペーサ9全体若しくは中
間ネジポンプスペーサ9−1だけを形成する構造を採用
してもよい。
【0067】「粒子分散型アルミ基複合材料」とは、ア
ルミニウム中にSiC、Al等の粉末上セラミッ
クスを分散させた材料であって、その粒子がアルミ材料
中の転位の動きを抑制するため、アルミ合金に対して高
い材料耐力が得られるものである。
【0068】「急冷凝固アルミ合金材料」とは、スプレ
ーフォーミング等による急冷凝固により前述した通常の
アルミ合金と比べて組織が微細化し、材料強度が強化さ
れているものである。
【0069】さらに、上記実施形態では、中間ネジポン
プスペーサ9−1や外周ネジポンプスペーサ9−2の全
体をポンプベース1−2の構成材料に比し破断に至るま
での歪みエネルギーが大きい材料で形成するものとした
が、このような構造を採用した場合において、ネジポン
プスペーサ9全体の材料コストが比較的高くなる、また
は、ネジポンプステータ9からポンプベース1−2側へ
の熱伝導性やネジポンプスペーサ9自体の加工性が問題
となるときは、たとえば、図3または図4に示す構造の
中間ネジポンプスペーサ9−1を採用することができ
る。外周ネジポンプスペーサ9−2についても同様であ
る。
【0070】図3または図4に示した中間ネジポンプス
ペーサ9−1は、それ全体の中で加工性や熱伝導性を必
要とする部分、すなわちネジ溝10が形成される部位の
一部だけを第1ネジポンプスペーサ部品9−1―1とし
てポンプベース1−2と同じ構成材料(アルミ合金材
料)により形成し、それ以外の部分は補強のため第2ネ
ジポンプスペーサ部品9−1−2としてアルミ合金材料
よりも歪みエネルギーの大きい材料を用いて別途形成し
た後、その両部品(9−1−1、9−1−2)を結合一
体化した構造である。
【0071】上記のような2つの部品を結合一体化した
構造からなる中間ネジポンプスペーサ9−1において、
図示は省略するが、そのネジ溝10が形成される部位の
一部だけでなく、その部位の全体を第1ネジポンプスペ
ーサ部品9−1―1としてポンプベース1−2と同じ構
成材料(アルミ合金材料)により形成し、それ以外の部
分は上記同様、補強のため第2ネジポンプスペーサ部品
9−1−2としてアルミ合金材料よりも歪みエネルギー
の大きい材料を用いて別途形成してもよい。
【0072】なお、第1ネジポンプスペーサ部品9−1
―1と第2ネジポンプスペーサ部品9−1−2との結合
一体化方法については、焼きバメ、嵌め合い、接着、ボ
ルト固定等を採用することができる。
【0073】図3の中間ネジポンプスペーサ9−1は、
第1ネジポンプスペーサ部品9−1−1および第2ネジ
ポンプスペーサ部品9−1−2がともに筒状に形成され
てなるとともに、この筒状の第2ネジポンプスペーサ部
品9−1−2の内側に、上記筒状の第1ネジポンプスペ
ーサ部品9−1−1が内挿されてなる構造となってい
る。
【0074】このような図3の中間ネジポンプスペーサ
9−1については、たとえば、第1ネジポンプスペーサ
部品9−1−1としてポンプベース1−2の構成材料と
同じ通常のアルミ合金材料からなる円筒部材を用いる一
方、第2ネジポンプスペーサ部品9−2−2として通常
のアルミ合金材料よりも破断に至るまでの歪みエネルギ
ーが大きいステンレス鋼からなる円筒部材を用いるとと
もに、このステンレス鋼製の円筒部材の内側に、上記通
常のアルミ合金製の円筒部材を内挿してなる構造を採用
することができる。
【0075】上記のような構造からなる図3の中間ネジ
ポンプスペーサ9−1によると、その一部である第2ネ
ジポンプスペーサ部品9−2−2がステンレス鋼により
形成されることから、それ全体をアルミ合金材料で一体
成形したものと比べ、吸収できる歪みエネルギーが大き
くなり、かつ、通常のアルミ合金材料からなる第1ネジ
ポンプスペーサの部分においてポンプベース1−2側へ
の放熱性が確保されるという利点がある。
【0076】また、図4に示した中間ネジポンプスペー
サ9−1は、第1ネジポンプスペーサ部品9−1−1だ
けが筒状に形成され、第2ネジポンプスペーサ部品9−
1−2はリング状に形成されてなるとともに、その筒状
の第1ネジポンプスペーサ部品9−1−1の一部、具体
的には第1ネジポンプスペーサ部品9−1−1の上端側
外周に、上記リング状の第2ネジポンプスペーサ部品9
−1−2が嵌め込み装着されてなる構造となっている。
この嵌め込み装着構造については、図3の例では第1ネ
ジポンプスペーサ部品9−1−1の上端側外周に環状の
段部14を切り欠き形成するとともに、このような段部
14にリング状の第2ネジポンプスペーサ部品9−1−
2を嵌め込み装着する構造を採用している。
【0077】このような図4の中間ネジポンプスペーサ
9−1については、たとえば、第1ネジポンプスペーサ
部品9−1−1としてポンプベース1−2の構成材料と
同じ通常のアルミ合金材料からなる円筒部材を用いる一
方、第2ネジポンプスペーサ部品9−1−2として通常
のアルミ合金材料よりも破断に至るまでの歪みエネルギ
ーが大きいステンレス鋼からなるリング部材を用いると
ともに、このステンレス鋼製のリング部材を上記通常の
アルミ合金製の円筒部材に取り付けてなる構造を採用す
ることができる。
【0078】上記のような構造からなる図4の中間ネジ
ポンプスペーサ9−1によると、その一部である第2ネ
ジポンプスペーサ部品9−1−2がステンレス鋼により
形成されるから、それ全体をアルミ合金材料で一体成形
したものと比べ、吸収できる歪みエネルギーが大きくな
るとともに、また、図3に示した中間ネジポンプスペー
サ9−1と比べアルミ合金材料からなる第1ネジポンプ
スペーサ部品9−2−2の占める割合が大きいので、そ
のアルミ合金の熱伝導性、加工性の良さを利用できると
いう利点がある。
【0079】なお、上記実施形態では、ロータ2の多重
円筒構造として内外2つの円筒体からなる例について説
明したが、本発明は、2以上の円筒体を同心円状に配置
し接合した多重円筒構造からなるロータ2の場合にも適
用することができる。
【0080】上記実施形態では、中間ネジポンプスペー
サの内外両面と外周ネジポンプスペーサの内側面にネジ
溝を形成したが、これとは逆の対偶、すなわち、中間ネ
ジポンプスペーサや外周ネジポンプスペーサ等のネジポ
ンプスペーサに形成されているネジ溝を円筒体側に形成
してもよい。
【0081】上記実施形態では、ロータ2の略下半分が
多重円筒体構造の例について説明したが、本発明は、ロ
ータ2の全体が多重円筒体構造からなる真空ポンプにも
適用することができる。
【0082】
【発明の効果】本発明に係る真空ポンプにあっては、ポ
ンプベースの構成材料に比し破断に至るまでの歪みエネ
ルギーが大きい材料でネジポンプスペーサや、このネジ
ポンプスペーサに含まれる中間ネジポンプスペーサを形
成するという構造を採用しものである。このため、ロー
タの破壊により分裂したロータ破片がネジポンプスペー
サに接触した場合に、このネジポンプスペーサにおいて
該ロータ破片の運動エネルギーがネジポンプスペーサの
歪みエネルギーとして変換・吸収される割合が増えるか
ら、部品点数や加工工数の増加を招くことなく、ロータ
の破壊時において大きなモーメントが外装ケースに生じ
ることを効果的に防止することができ、この種のモーメ
ントの発生による不具合、たとえばポンプケース上端の
フランジ部と真空チャンバーとを締結しているボルトが
ポンプケースのねじれにより破損したり、その破損が真
空チャンバー側に及ぶ等、真空ポンプの周辺装置側に多
大な損傷を与えることを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である複合型真空ポンプの
断面図。
【図2】図1に示した複合型真空ポンプにおける中間ネ
ジスペーサ下端部付近の拡大図。
【図3】本発明の他の実施形態の要部説明図。
【図4】本発明の他の実施形態の要部説明図。
【図5】従来の真空ポンプの断面図。
【図6】図5のC−C断面図であって、ロータの多重円
筒構造部分が破壊(分裂)する過程の説明図。
【図7】図5のC−C断面図であって、ロータの破壊に
より分裂したロータ破片が飛散する様子の説明図。
【図8】材料の応力−歪み線図。
【図9】ロータ破片の運動エネルギーを材料の歪みエネ
ルギーに変換し吸収するものとした場合に、その歪みエ
ネルギーへのエネルギー変換・吸収が少なくなる材料に
ついての応力−歪み線図。
【図10】ネジポンプスペーサの耐力が小さく、かつ、
ロータ破片接触後のネジポンプスペーサの歪みが大きい
場合の説明図。
【図11】ネジポンプスペーサの弾性係数と耐力が大き
く、かつ、ロータ破片接触後のネジポンプスペーサの歪
みが小さい場合の説明図。
【符号の説明】
1 外装ケース 1−1 ポンプケース 1−2 ポンプベース 2 ロータ 2−1 内側円筒体 2−2 外側円筒体 3 ガス吸気口 4 ガス排気口 5 ステータコラム 6 ロータシャフト 7−1 径方向電磁石 7−2 軸方向電磁石 8 駆動モータ 8−1 固定子 8−2 回転子 9 ネジポンプスペーサ 9−1 中間ネジポンプスペーサ 9−1―1 第1ネジポンプスペーサ部品 9−1−2 第2ネジポンプスペーサ部品 9−2 外周ネジポンプスペーサ 10 ネジ溝 11 回転翼 12 固定翼 13 翼スペーサ 14 段部 15 中間ネジポンプスペーサのフランジ部 16 間隙部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3H031 DA02 DA07 EA09 FA01 FA03 FA34 FA36

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 筒状のポンプケースと筒状のポンプベー
    スとをその筒軸方向に連結してなる外装ケースと、 上記外装ケース内に回転可能に配設されたロータと、 上記ロータをその中心軸線回りに回転駆動するロータシ
    ャフトとを有し、 上記ロータの一部または全部が、複数の円筒体を同心円
    状に配置し接合してなる多重円筒構造からなり、 上記円筒体の近傍に、この円筒体の周面との間にネジ溝
    ポンプの排気流路を形成するネジポンプスペーサが設け
    られ、 上記ネジポンプスペーサは、上記ポンプベースの構成材
    料に比し破断に至るまでの歪みエネルギーが大きい材料
    で形成されていることを特徴とする真空ポンプ。
  2. 【請求項2】 筒状のポンプケースと筒状のポンプベー
    スとをその筒軸方向に連結してなる外装ケースと、 上記外装ケース内に回転可能に配設されたロータと、 上記ロータをその中心軸線回りに回転駆動するロータシ
    ャフトとを有し、 上記ロータの一部または全部が、複数の円筒体を同心円
    状に配置し接合してなる多重円筒構造からなり、 上記円筒体の近傍に、この円筒体の周面との間にネジ溝
    ポンプの排気流路を形成するネジポンプスペーサが設け
    られ、 上記ネジポンプスペーサは、上記複数の円筒体のうち互
    いに隣接する2つの円筒体間に介挿設置されるととも
    に、上記ポンプベースの構成材料に比し破断に至るまで
    の歪みエネルギーが大きい材料で形成された中間ネジポ
    ンプスペーサを有する構造からなることを特徴とする真
    空ポンプ。
  3. 【請求項3】 JISで定義される4000番、500
    0番、6000番系相当の通常のアルミ合金材料を用い
    て上記ポンプベースが形成されている場合に、このポン
    プベースの形成材料に比し破断に至るまでの歪みエネル
    ギーが大きい材料として、粒子分散型アルミ基複合材料
    を用いて上記ネジポンプスペーサを形成したことを特徴
    とする請求項1または請求項2に記載の真空ポンプ。
  4. 【請求項4】 JISで定義される4000番、500
    0番、6000番系相当の通常のアルミ合金材料を用い
    て上記ポンプベースが形成されている場合に、このポン
    プベースの形成材料に比し破断に至るまでの歪みエネル
    ギーが大きい材料として、急冷凝固アルミ合金材料を用
    いて上記ネジポンプスペーサを形成したことを特徴とす
    る請求項1または請求項2に記載の真空ポンプ。
  5. 【請求項5】 上記ネジポンプスペーサは、上記ポンプ
    ベースと同じ構成材料からなる第1ネジポンプスペーサ
    部品と、上記ポンプベースの構成材料よりも破断に至る
    までの歪みエネルギーの大きい材料からなる第2ネジポ
    ンプスペーサ部品とを結合一体化した構造からなること
    を特徴とする請求項1または請求項2に記載の真空ポン
    プ。
  6. 【請求項6】 上記第1ネジポンプスペーサ部品および
    第2ネジポンプスペーサ部品がともに筒状に形成されて
    なるとともに、この筒状の第2ネジポンプスペーサ部品
    の内側に、上記筒状の第1ネジポンプスペーサ部品が内
    挿されてなることを特徴とする請求項5に記載の真空ポ
    ンプ。
  7. 【請求項7】 上記第1ネジポンプスペーサ部品は筒状
    に形成され、上記第2ネジポンプスペーサ部品はリング
    状に形成されてなるとともに、その筒状の第1ネジポン
    プスペーサ部品の一部に、上記リング状の第2ネジポン
    プスペーサ部品が取り付けられてなることを特徴とする
    請求項5に記載の真空ポンプ。
  8. 【請求項8】 筒状のポンプケースと筒状のポンプベー
    スとをその筒軸方向に連結してなる外装ケースと、 上記外装ケース内に回転可能に配設されたロータと、 上記ロータをその中心軸線回りに回転駆動するロータシ
    ャフトとを有し、 上記ロータの一部または全部が、複数の円筒体を同心円
    状に配置し接合してなる多重円筒構造からなり、 上記円筒体の近傍に、この円筒体の周面との間にネジ溝
    ポンプの排気流路を形成するネジポンプスペーサが設け
    られ、 上記ネジポンプスペーサは、上記複数の円筒体のうち互
    いに隣接する2つの円筒体間に介挿設置されるととも
    に、その下端部に設けたフランジ部を介して上記ポンプ
    ベース側に位置決め固定された中間ネジポンプスペーサ
    を有する構造からなり、 上記中間ネジポンプスペーサのフランジ部の外周端と上
    記ポンプベースの内周との間に、間隙部が形成されてな
    ることを特徴とする真空ポンプ。
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