JP2003286084A - 焼成用セッター及びその製造方法並びにセラミック成形体の焼成方法及び誘電体磁器の製造方法 - Google Patents

焼成用セッター及びその製造方法並びにセラミック成形体の焼成方法及び誘電体磁器の製造方法

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JP2003286084A
JP2003286084A JP2002094210A JP2002094210A JP2003286084A JP 2003286084 A JP2003286084 A JP 2003286084A JP 2002094210 A JP2002094210 A JP 2002094210A JP 2002094210 A JP2002094210 A JP 2002094210A JP 2003286084 A JP2003286084 A JP 2003286084A
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Yuji Anzai
裕司 安西
Kazuhisa Itakura
一久 板倉
Shiyouji Ono
詔次 小野
Katsuhisa Murakami
勝久 村上
Kazuaki Nakanishi
一晃 中西
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Niterra Co Ltd
Original Assignee
NGK Spark Plug Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 セラミック成形体を焼成した際に変形、組成
不良等を防ぐことができる焼成用セッター及びその製造
方法並びにセラミック成形体の焼成方法及び誘電体磁器
の製造方法を提供する。 【解決手段】 本発明の焼成用セッターは、安定化ジル
コニア等の耐火材料からなる耐火体と、この耐火体の表
面に形成され且つ後に焼成されることとなるセラミック
成形体の焼成物を構成する主成分を含む保護部と、を備
える。また、本発明のセラミック成形体の焼成方法は、
焼成用セッター2の少なくとも保護部2aの表面にセラ
ミック成形体1を配置し、これを焼成するものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、被焼成物としての
セラミック成形体を焼成するに際し、焼成体の変形、組
成不良等を防ぐことができる焼成用セッター及びその製
造方法並びにセラミック成形体の焼成方法及び誘電体磁
器の製造方法に関する。本発明の焼成用セッターは、あ
らゆる用途のセラミック製品を製造する際に、その構成
原料からなる成形体を焼成するために用いられる。ま
た、本発明の誘電体磁器の製造方法によって得られた誘
電体磁器は、誘電体フィルタ等の電子部品や誘電体共振
器等として使用することができる。
【0002】
【従来の技術】セラミックコンデンサ、マイクロ波誘電
体、各種サーミスタ等の半導体セラミックス等の電子部
品は、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、酸
化亜鉛、希土類元素の酸化物等の酸化物あるいはこれら
の複合物等を構成原料としている。これらの成分は所定
の割合で配合され、成形され、焼成用セッターにのせて
焼成される。この焼成用セッターとしては、一般に、ア
ルミナ、ムライト、安定化ジルコニア等の酸化物系の耐
火材が用いられている。
【0003】従来より、上記電子部品等のセラミック製
品は、その構成原料からなるセラミック成形体を焼成す
ることによって製造されるが、その際には、焼成体及び
焼成用セッターの各接触部における接着や、接触部が起
点となって成形体を構成する成分と、焼成用セッターを
構成する成分とが反応したり、焼成体の組成不良あるい
は変形等が発生したりするといった問題があり、数々の
対策が講じられてきた。例えば、焼成用セッターの上に
セラミック成形体と同質のグリ−ンシートを配置し、そ
の上にセラミック成形体を配置して焼成する方法がある
が、焼成によってセラミック成形体とグリーンシートが
付着するだけでなく、セラミック成形体を構成する成分
が接触面から拡散し焼成物の表面層の組成が不均一にな
り、更には焼成物が収縮してしまうという欠点がある。
特に、成形体の構成原料として希土類元素を含む場合、
焼成物の収縮が顕著である。そのほか、特開平9−15
9014号公報に開示されている、アルミナセッターの
上に敷かれたジルコニア粉末の上にセラミック成形体を
配置し、焼成する方法や、特開平10−29872号公
報に開示されている、セラミック成形体の少なくとも一
端面側に、アルミナ、ベリリア、マグネシア、ジルコニ
ア等からなる多孔質体を配置すると共に、この多孔質体
を介してセラミック成形体と同質の材料を配置して焼成
する方法等がある。しかし、これらの方法は、セラミッ
ク成形体と異質の材料が接触する限り、上記の問題点を
完全に解決するに至っていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記従来の問
題点を解決するものであり、各種セラミック成形体を焼
成するに際し、焼成体の変形、組成不良等を防ぐことが
できる焼成用セッター及びその製造方法並びにセラミッ
ク成形体の焼成方法及び誘電体磁器の製造方法を提供す
ることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の焼成用セッター
は、セラミック成形体の焼成に用いられる焼成用セッタ
ーであって、安定化ジルコニア等の耐火材料からなる耐
火体と、該耐火体の表面に形成され且つ上記セラミック
成形体の焼成物を構成する主成分を含む保護部と、を備
えることを特徴とする。上記セラミック成形体は、希土
類元素を含むものとすることができる。本発明の焼成用
セッターの製造方法は、耐火材料からなる耐火体の表面
に、上記セラミック成形体の焼成物を構成する主成分を
形成することとなる成分を含む組成物を載置し、これを
熱処理することを特徴とする。また、本発明のセラミッ
ク成形体の焼成方法は、上記焼成用セッターの少なくと
も保護部の上にセラミック成形体を配置し、焼成するこ
とを特徴とする。更に、本発明の誘電体磁器の製造方法
は、上記焼成用セッターの少なくとも保護部の上にセラ
ミック成形体を配置し、焼成することを特徴とする。上
記セラミック成形体は、希土類元素の酸化物を含む原料
からなるものとすることができる。
【0006】
【発明の効果】本発明の焼成用セッターによれば、目的
のセラミック製品(最終製品)が不均一組成となること
なく、更には変形することがない。また、焼成用セッタ
ーにセラミック成形体の焼成物を構成する主成分を含む
保護部を備えることで、セラミック成形体を焼成する際
に、得られる焼成体とセッターとが付着することがな
い。更には、上記問題が発生することがないので繰り返
し使用が可能である。また、本発明の焼成用セッターに
よれば、セラミック成形体に希土類元素を含む場合、焼
成体に含まれる希土類元素のセッターへの移動を抑制
し、均一組成の焼成体を得ることができる。本発明の焼
成用セッターの製造方法によれば、目的のセラミック製
品(最終製品)の組成、性質、形状等に応じて耐火体及
び保護部の各組成、各形状等を考慮して、容易に保護部
を備える焼成用セッターを得ることができる。また、本
発明のセラミック成形体の焼成方法及び誘電体磁器の製
造方法によれば、上記焼成用セッターを用いてセラミッ
ク成形体を焼成するので、変形が発生することなく、均
一組成であり、且つ寸法安定性に優れた焼成体を得るこ
とができる。特に、セラミック成形体を構成する原料と
してNd,Sm,La等の希土類元素の酸化物等を含む
場合には、焼成による組成不良発現の抑制に非常に効果
がある。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の焼成用セッターに関わる
上記耐火体を構成する上記耐火材料は特に限定されな
い。その例としては、安定化ジルコニア、ジルコニア、
アルミナ、ムライト、スピネル等が挙げられる。これら
のうち、融点が高く、セラミック成形体の焼成時に異常
膨張収縮を示さず、耐食性に優れる安定化ジルコニアが
好ましい。この安定化ジルコニアは、一般に、ジルコニ
アに、CaO,MgO,Sc ,Y,CeO
等の酸化物に例示される安定化剤を固溶させたもので
あり、上記安定化剤の添加量等も特に限定されない。
【0008】上記耐火体の形状は特に限定されず、円
形、角形等の平らな、あるいは溝を有する板状、容器形
状等が挙げられる。セラミック成形体を配置する面は、
凹形あるいは凸形に湾曲していてもよい。また、上記耐
火体の厚さは特に限定されない。
【0009】上記耐火体の表面に形成される上記保護部
は、後に焼成されるセラミック成形体の焼成物を構成す
る主成分を含むものであり、後に焼成されることとなる
セラミック成形体を構成するあらゆる成分について適用
できる。ここで、「主成分」とは、セラミック成形体の
焼成物を構成する金属成分の酸化物を基準として、各金
属成分の酸化物の含有量の合計を100質量%とした場
合、各金属成分の酸化物の含有量の多い順に少なくとも
2つ以上足し合わせ、その合計が50質量%以上である
条件を満たすものをいう。上記保護部を構成する「主成
分」に、上記セラミック成形体の焼成物を構成する主成
分と異なるものが含まれる(50質量%未満の場合)
と、セラミック成形体を焼成した際に、得られる焼成体
の変形、組成不良を招くおそれがある。特に、セラミッ
ク成形体を構成する成分の中には、接触する耐火体の構
成成分との組み合わせによっては、焼成等の熱処理の際
に、保護部及び耐火体の各接触部を起点として、両者の
構成成分の一部の元素の移動をはじめとする物質移動を
起こしたり、物質移動を誘発したりすることがある。
【0010】上記「セラミック成形体の焼成物を構成す
る主成分」(以下、「成分(A)」という。)の全含有
量及び上記保護部に含まれる成分(A)の全含有量は、
それぞれ同じであることが好ましいが、それに加えて、
上記成分(A)以外の構成成分が同じであること、更に
はそれらの含有量も同じであることがより好ましい。し
かし、両者が異なる場合、以下のような態様(1)及び
(2)によっても本発明に含まれる。
【0011】(1)「上記保護部に含まれる上記成分
(A)の全含有量の、上記保護部に含まれる成分の全含
有量に対する割合が50%以上、より好ましくは60%
以上、更に好ましくは70%以上である。」 (2)「上記保護部に上記成分(A)を少なくとも含有
し、且つ、上記成分(A)を構成する各酸化物の含有量
に着目し、上記保護部に含まれる上記成分(A)を構成
する酸化物の各含有量の、上記セラミック成形体の焼成
物を構成する主成分を構成する同じ種類の酸化物の含有
量に対する割合が、それぞれ±50%以内、より好まし
くは±40%以内、更に好ましくは±30%以内であ
る。」 上記態様(1)及び(2)は、いずれか一方のみでもよ
いし、組み合わせて適用してもよい。
【0012】上記態様を、セラミック成形体の焼成物
(X)を構成する酸化物がP、Q、R及びSの4成分で
ある例をとって説明する(表1参照)。P、Q、R及び
Sの4成分の含有量が表1に示すような値である場合、
P及びQが「主成分」に該当する。保護部(Y−1)
は、Q成分の含有量が少ないが、上記態様(1)を満足
している。保護部(Y−2)は、焼成物(X)と類似組
成であり、上記態様(1)及び(2)を満足している。
保護部(Y−3)は、P及びQ成分の含有量の合計が5
0質量%を超えて上記態様(1)を満足しており、更に
P及びR成分の各含有量が上記態様(2)を満足してい
る。保護部(Y−4)は、焼成物(X)を構成しないT
成分が含まれているが、P、Q及びR成分によって上記
態様(1)及び(2)を満足している。保護部(Y−
5)は、P成分の含有量が少ないが、上記態様(1)を
満足している。保護部(Y−6)は、主成分であるP及
びQ成分の各含有量が少ないために、これらの合計量も
25質量%と少なく、更にR成分が多量に含まれており
組成バランスに劣る。
【0013】
【表1】
【0014】尚、上記保護部は、上記「主成分」を含む
ものであればよいため、上記セラミックス成形体を構成
し、且つ焼成により主成分となる原料成分と、上記保護
部を構成する主成分となる原料成分とが同じであっても
異なるものであってもよい。
【0015】上記耐火体を構成する成分として例示した
安定化ジルコニアと、上記セラミック成形体を構成する
主成分に希土類元素化合物が含まれる場合の希土類元素
とは、熱処理によって、互いに耐火体及び保護部の接触
部において反応あるいは単に侵入という形で移動するこ
とがある。これは、上記安定化ジルコニアを構成する安
定化剤の種類、希土類元素(例えば、Sc,Y,La,
Ce,Pr,Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,D
y,Ho.Er,Tm、Yb、Lu等)、熱処理条件等
によって程度の差はある。これを考慮すると、均一組成
の焼成体を得るためのセラミック成形体を焼成するため
に用いられる焼成用セッターとしては、上記保護部の効
果は非常に大きい。
【0016】上記保護部の厚さは、通常20μm以上で
あり、好ましくは50〜500μm、より好ましくは1
00〜500μmである。上記保護部の厚さが小さすぎ
ると、セラミック成形体を焼成した際に、得られる焼成
体の特に表面層における組成分布が変化することがあ
る。上記保護部としては、上記好ましい厚さを備えるも
のであれば、複数の層からなるものであってもよい。ま
た、上記セラミック成形体が安定した状態で配置するた
めに、上記保護部を複数箇所設けてもよい。
【0017】上記保護部は、上記耐火体の表面に板状に
形成されていてもよいし、直線あるいは曲線の線状でも
よいし、角形又は円形(真円及び楕円)の点でもよい。
また、上記セラミック成形体と接触することとなる上記
保護部の表面は、平滑であることが好ましいが、表面粗
さの度合い等は特に限定されない。上記保護部を備える
本発明の焼成用セッターの形状は、特に限定されず、例
えば、図2〜6に示されるような断面を有するものが挙
げられる。
【0018】次に、本発明の焼成用セッターの製造方法
について説明する。本発明の焼成用セッターは、安定化
ジルコニア等の耐火材料からなる耐火体の表面に、後に
焼成されるセラミック成形体の焼成物を構成する主成分
を形成することとなる成分を含む組成物を載置し、これ
を熱処理することによって製造することができる。この
熱処理によって、焼成用セッターを構成する「保護部」
が形成される。
【0019】上記組成物は、上記主成分を形成すること
となる成分のほか、セラミックスを構成する金属成分を
含む化合物等、更にはバインダー、可塑剤等を含むもの
とすることができる。バインダー及び可塑剤の種類、含
有量等は公知の範囲で適用できる。上記組成物の載置方
法は特に限定されず、上記主成分を形成することとなる
成分を含む分散体を塗布する方法、上記主成分を形成す
ることとなる成分を含むグリーンシートを積層する方
法、これらを併用する方法、あるいは、耐火体の表面に
接着剤等を塗布し、その上に上記主成分を形成すること
となる成分等を載置する方法等が挙げられる。
【0020】上記耐火体の表面に載置された組成物の熱
処理条件は、セラミック成分の種類あるいは最終製品
(焼成品)に求められる物性に合わせて決定されるが、
通常、最終製品(焼成品)を得るための焼成条件(温
度、時間、雰囲気等)に近い条件とすることができる。
例えば、最終製品(焼成品)を得るための条件を「15
00℃で5時間」という条件で行うとすると、「保護
部」を形成するための熱処理条件は、「1300〜17
00℃の温度範囲で、3〜7時間の処理を少なくとも1
回」等とすることができる。
【0021】具体的な例を挙げると、セラミック成分が
Ba−Ti−Sm系材料である場合、大気雰囲気下、好
ましくは1150〜1550℃で1〜6時間、より好ま
しくは1350〜1500℃で2〜4時間である。ま
た、セラミック成分がBa−Ti−Nd−Bi系である
場合、大気雰囲気下、好ましくは1200〜1600℃
で1〜6時間、より好ましくは1300〜1450℃で
2〜4時間である。また、セラミック成分がMg−Ca
−Ti−Nd系材料である場合、大気雰囲気下、好まし
くは1100〜1500℃で1〜8時間、より好ましく
は1200〜1350℃で2〜6時間である。
【0022】本発明の焼成用セッターあるいは本発明の
焼成用セッターの製造方法により得られた焼成用セッタ
ーを用いると、あらゆる用途のセラミック製品(最終焼
成品)を、組成を均一に、変形させることなく良好な寸
法安定性を備えて製造することができる。
【0023】次に、本発明の焼成方法及び誘電体磁器の
製造方法について説明する。本発明の焼成方法により得
られる焼成体あるいは誘電体磁器を得る前(焼成前)
の、被焼成物としてのセラミック成形体は、公知の方法
で所定の形状に成形されたものを用いることができる。
焼成されることとなるセラミック成形体は、例えば、図
2〜6に示したような焼成用セッターを用いて、その少
なくとも保護部の表面に配置して、目的に応じた条件で
焼成される。尚、図6は、第1保護部21a及び第2保
護部22aという複数からなる保護部を示すものであ
る。セラミック成形体の配置方法としては、例えば、図
1のように、保護部の表面にそのまま載置する方法や、
図7のように、複数の保護部を備える焼成用セッターの
各保護部によって挟むようにして配置する方法等があ
る。
【0024】誘電体磁器を製造する場合には、焼成前の
セラミック成形体は、焼成により、誘電特性を有する元
素を含むものから構成されるものであれば特に限定され
ない。上記例示した希土類元素を含む化合物、例えば、
希土類元素の酸化物の少なくとも1種を原料の一部とす
ることが好ましい。その例としては、Ba−Ti−Sm
系材料、Ba−Ti−Nd−Bi系材料、Ba−Ti−
(Sm,Nd)系材料、Ba−Ti−Nd−Y系材料、
Mg−Ca−Ti−Nd系材料等が挙げられる。
【0025】焼成によりBa−Ti−Sm系セラミック
スとなる構成原料からなるセラミック成形体の焼成条件
は、通常、大気雰囲気中、好ましくは1200〜150
0℃で1〜7時間、より好ましくは1250〜1450
℃で1〜5時間、更に好ましくは1300〜1400℃
で2〜4時間である。焼成温度が高すぎると、誘電特性
が低下する傾向がある。尚、昇温速度及び降温速度等は
特に限定されない。
【0026】焼成によりBa−Ti−Nd−Bi系セラ
ミックスとなる構成原料からなるセラミック成形体の焼
成条件は、通常、大気雰囲気中、好ましくは1250〜
1550℃で1〜7時間、より好ましくは1300〜1
500℃で1〜5時間、更に好ましくは1350〜14
50℃で2〜4時間である。焼成温度が高すぎると、誘
電特性が低下する傾向がある。尚、昇温速度及び降温速
度等は特に限定されない。
【0027】焼成によりMg−Ca−Ti−Nd系セラ
ミックスとなる構成原料からなるセラミック成形体の焼
成条件は、通常、大気雰囲気中、好ましくは1200〜
1500℃で1〜7時間、より好ましくは1200〜1
400℃で2〜6時間、更に好ましくは1250〜13
50℃で3〜5時間である。焼成温度が高すぎると、焼
成体の強度が低下する傾向がある。尚、昇温速度及び降
温速度等は特に限定されない。
【0028】上記各成形体の焼成処理の後、必要に応じ
て、更に再加熱による熱処理を行うことができる。その
条件としては、目的に応じて選択することができ、雰囲
気は、大気雰囲気でも、大気以外の雰囲気でもよい。ま
た、上記最初の焼成処理を終えてからこの熱処理を行う
までの時間についても特に限定はなく、焼成体の温度が
室温まで低下した後に行うことが好ましい。
【0029】
【実施例】本発明について、実施例を挙げて具体的に説
明する。以下の説明では、焼成するセラミック成形体の
構成材料をそれぞれBa−Ti−Sm系及びBa−
Ti−Nd−Bi系とする。尚、Ba−Ti−Sm系
材料は、モル比が12.5/72.5/15であるBa
O/TiO/Sm、NaO及びKOを含
み、BaO/TiO/Sm全体を100質量部
とした場合に、NaOの含有量を0.5質量部及びK
Oの含有量を0.5質量部とするものである。また、
Ba−Ti−Nd−Bi系材料は、モル比が14/6
7/15/4であるBaO/TiO/Nd/B
及びMnOを含み、BaO/TiO/Nd
/Bi全体を100質量部とした場合に、
MnOの含有量を0.1質量部とするものである。
【0030】〔1〕焼成用セッターの製造 1−1.Y安定化Zrセッターの製造 縦96mm、横96mm、高さ3mmであり、組成がZ
rO(+HfO)/Y/不可避不純物=89
/10/1(単位は質量%)である耐火体の表面に、塗
布面積が縦90mm、横90mmとなるように、主成分
をポリビニルアルコールとする濃度30質量%のバイン
ダー溶液を均一に塗布した。乾燥する前に、平均粒子径
が5μmである上記Ba−Ti−Sm系材料粉末により
そのバインダー層表面を被覆した。これを大気雰囲気
中、1500℃で2時間熱処理し、厚さ50μmの上記
Ba−Ti−Sm系材料からなる保護部を形成し、図2
に示すような断面形状のY安定化Zrセッターを得た。
【0031】1−2.Ca安定化Zrセッターの製造 縦96mm、横96mm、高さ2.3mmであり、組成
がZrO(+HfO )/CaO/不可避不純物=7
2/27/1(単位は質量%)である耐火体の表面に、
塗布面積が縦90mm、横90mmとなるように、主成
分をポリビニルアルコールとする濃度30質量%のバイ
ンダー溶液を均一に塗布した。乾燥する前に、平均粒子
径が5μmである上記Ba−Ti−Nd−Bi系材料粉
末によりそのバインダー層表面を被覆した。これを大気
雰囲気中、1400℃で2時間熱処理し、厚さ50μm
の上記Ba−Ti−Nd−Bi系材料からなる保護部を
形成し、Ca安定化Zrセッターを得た。
【0032】〔2〕Ba−Ti−Sm系セラミックス焼
成体の製造及び評価 実施例1 上記Ba−Ti−Sm系材料粉末を用いて、内径8m
m、外径20mm、厚さ10mmのドーナツ型成形体を
作製した。これを上記で得たY安定化Zrセッターの保
護部の上に配置し(図1参照)、大気雰囲気中、135
0℃で2時間焼成し、Ba−Ti−Sm系セラミックス
焼成体を得た。
【0033】上記のようにして得られたBa−Ti−S
m系セラミックス焼成体のセッターとの接触部の表面か
らその深さ方向に、Zr及びYの分布をEPMAにより
測定した。その結果、Zr及びYは全く検出されず、セ
ッターからの異物質の移動がないことが分かった。ま
た、焼成体はセッターに付着しなかった。ドーナツ型形
状に変形は見られず、寸法も変化がなかった。更に、焼
成体のセッターとの接触面も、目視においても、変色等
変化は全く確認されなかった。
【0034】比較例1 実施例1と同様のドーナツ型成形体を、保護部のないY
安定化Zrセッターの上に直に配置し、実施例1と同様
の条件で焼成し、Ba−Ti−Sm系セラミックス焼成
体を得た。焼成体とセッターは、容易に分離できる程度
であるが付着していた。実施例1と同様にZr及びYの
分布を測定したところ、Zrは表面から深さ約150μ
mのところまで、Yは深さ約200μmのところまでそ
れぞれ侵入していることが分かった。また、焼成体のセ
ッターとの接触面を見ると、変色が見られ、接触面付近
では収縮が確認され、各所でその度合いが異なり、変形
していた。
【0035】〔3〕Ba−Ti−Nd−Bi系セラミッ
クス焼成体の製造及び評価 実施例2 上記Ba−Ti−Nd−Bi系材料粉末を用いて、内径
8mm、外径20mm、厚さ10mmのドーナツ型成形
体を作製した。これを上記で得たCa安定化Zrセッタ
ーの保護部の上に配置し、大気雰囲気中、1400℃で
2時間焼成し、Ba−Ti−Nd−Bi系セラミックス
焼成体を得た。
【0036】上記のようにして得られたBa−Ti−N
d−Bi系セラミックス焼成体のセッターとの接触部の
表面からその深さ方向に、Caの分布をEPMAにより
測定した。その結果、Caは全く検出されず、セッター
からの異物質の移動がないことが分かった。また、焼成
体はセッターに付着しなかった。ドーナツ型形状に変形
は見られず、寸法も変化がなかった。更に、焼成体のセ
ッターとの接触面も、目視においても、変色等変化は全
く確認されなかった。
【0037】比較例2 実施例2と同様のドーナツ型成形体を、保護部のないC
a安定化Zrセッターの上に直に配置し、実施例2と同
様の条件で焼成し、Ba−Ti−Nd−Bi系セラミッ
クス焼成体を得た。焼成体とセッターは、容易に分離で
きる程度であるが付着していた。実施例2と同様にCa
の分布を測定したところ、一様な移動ではなく、乱れた
分布を示し、程度の大きいところでは表面から深さ約2
00μmのところまでそれぞれ侵入しており、組成が変
化していることが分かった。また、焼成体のセッターと
の接触面を見ると、部分的に変色していた。
【0038】〔4〕実施例の効果 以上より、保護部を有するセッターを用いて成形体を焼
成すると、保護部が50μmという比較的薄い厚さであ
るにも関わらず、焼成体の表面部に組成不良のない、均
一組成の焼成体を得ることができた。更に、寸法変化が
なくこのまま誘電体磁器製品とすることができた。これ
は、即ち、成形体を最終製品の形状として、焼成するこ
とが可能であることを意味する。更に、成形体の構成成
分や、最終製品を得るための焼成条件によって、保護部
の最適厚さ、形状等を決めることによって、積層する等
により大量製造が可能となる。また、焼成しようとする
セラミック成形体の構成成分によっては、1回の焼成に
より、同じ主成分を含む保護部の組成が変化してしまう
こともあるが、使用後の保護部の表面に、更に新たな保
護部を設けることによって、繰り返し焼成することが可
能となる。
【0039】
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1におけるセラミック成形体の焼成方法
を説明する概略図である。
【図2】実施例1で用いた焼成用セッターを示す説明断
面図である。
【図3】他の焼成用セッターの例を示す説明断面図であ
る。
【図4】他の焼成用セッターの例を示す説明断面図であ
る。
【図5】他の焼成用セッターの例を示す説明断面図であ
る。
【図6】他の焼成用セッターの例を示す説明断面図であ
る。
【図7】セラミック成形体の他の焼成方法を説明する概
略図である。
【符号の説明】 1;セラミック成形体、2;焼成用セッター、2a;保
護部、21a;第1保護部、22a;第2保護部、2
b;耐火体。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小野 詔次 名古屋市瑞穂区高辻町14番18号 日本特殊 陶業株式会社内 (72)発明者 村上 勝久 名古屋市瑞穂区高辻町14番18号 日本特殊 陶業株式会社内 (72)発明者 中西 一晃 名古屋市瑞穂区高辻町14番18号 日本特殊 陶業株式会社内 Fターム(参考) 4G031 AA04 AA06 AA07 AA08 AA11 AA12 BA09 BA25 GA16 GA18

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セラミック成形体の焼成に用いられる焼
    成用セッターであって、 耐火材料からなる耐火体と、該耐火体の表面に形成され
    且つ上記セラミック成形体の焼成物を構成する主成分を
    含む保護部と、を備えることを特徴とする焼成用セッタ
    ー。
  2. 【請求項2】 上記耐火材料は安定化ジルコニアである
    請求項1に記載の焼成用セッター。
  3. 【請求項3】 上記セラミック成形体は、希土類元素を
    含む請求項1又は2に記載の焼成用セッター。
  4. 【請求項4】 セラミック成形体の焼成に用いられるセ
    ッターの製造方法であって、 耐火材料からなる耐火体の表面に、上記セラミック成形
    体の焼成物を構成する主成分を形成することとなる成分
    を含む組成物を載置し、これを熱処理することを特徴と
    する焼成用セッターの製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載の焼成用セッターの少な
    くとも保護部の表面にセラミック成形体を配置し、焼成
    することを特徴とするセラミック成形体の焼成方法。
  6. 【請求項6】 請求項1に記載の焼成用セッターの少な
    くとも保護部の表面にセラミック成形体を配置し、焼成
    することを特徴とする誘電体磁器の製造方法。
  7. 【請求項7】 上記セラミック成形体は、希土類元素の
    酸化物を含む原料からなる請求項6に記載の誘電体磁器
    の製造方法。
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