JP2003285634A - 車両用空調装置 - Google Patents

車両用空調装置

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JP2003285634A JP2002093769A JP2002093769A JP2003285634A JP 2003285634 A JP2003285634 A JP 2003285634A JP 2002093769 A JP2002093769 A JP 2002093769A JP 2002093769 A JP2002093769 A JP 2002093769A JP 2003285634 A JP2003285634 A JP 2003285634A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 蓄冷式の車両用空調装置において、放冷冷房
モードにおける蓄冷熱交換器での気相冷媒の凝縮能力を
向上する。 【解決手段】 車両エンジン4により駆動される圧縮機
1と、車室内への送風空気を冷却する蒸発器8と、圧縮
機1の稼働時に、低圧冷媒により冷却される蓄冷材11
aを有する蓄冷熱交換器11と、蓄冷熱交換器11の下
方側に配置され、蓄冷熱交換器11にて凝縮した液冷媒
を溜める液冷媒タンク部10aとを備え、車両エンジン
4が停止して圧縮機1が停止したときには、液冷媒タン
ク部10aの液冷媒を蒸発器8に導入し、蒸発器8で蒸
発した気相冷媒を蓄冷熱交換器11内に導入して蓄冷材
11aの蓄冷熱により冷却して凝縮する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、停車時等に圧縮機
の駆動源である車両エンジンを一時的に停止させる車両
に適用される蓄冷式の車両用空調装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】近年、環境保護、車両エンジンの燃費向
上等を目的にして、信号待ち等の停車時に車両エンジン
を自動的に停止する車両(ハイブリッド車等のエコラン
車)が実用化されており、今後、停車時に車両エンジン
を停止する車両が増加する傾向にある。
【0003】ところで、車両用空調装置においては、冷
凍サイクルの圧縮機を車両エンジンにより駆動している
ので、上記エコラン車においては信号待ち等で停車し
て、車両エンジンが停止される毎に、圧縮機も停止して
冷房用蒸発器の温度が上昇し、車室内への吹出空気温度
が上昇するので、乗員の冷房フィーリングを損なうとい
う不具合が発生する。
【0004】そこで、車両エンジン(圧縮機)の稼働時
に蓄冷される蓄冷手段を備え、車両エンジン(圧縮機)
が停止して蒸発器の冷却作用が停止したときには蓄冷手
段の蓄冷熱量を使用して車室内への吹出空気を冷却でき
る蓄冷式の車両用空調装置の必要性が高まっている。
【0005】この種の蓄冷式の車両用空調装置として、
従来、特開2000−313226号公報に記載された
ものが知られている。この従来技術では、図11に示す
ように車両エンジンにより駆動される圧縮機1を有する
空調用冷凍サイクルRにおいて、車室内への吹出空気を
冷却する蒸発器8と並列に蓄冷材40aを内蔵する蓄冷
熱交換器40を設けている。
【0006】そして、車両エンジン(圧縮機1)の稼働
時に蓄冷を行う時は電磁弁41を開弁して、膨張弁6に
より減圧された低圧冷媒を蒸発器8と蓄冷熱交換器40
に並列に流して蓄冷材40aを冷却し、蓄冷材40aへ
の蓄冷を行う。
【0007】そして、車両エンジンの停止により圧縮機
1が停止した時には電動ポンプ42を作動させて、蓄液
タンク43→電磁弁41→電動ポンプ42→蓄冷熱交換
器40→蒸発器8→蓄液タンク43の閉回路にて冷媒を
循環させる。蒸発器8で蒸発した気相冷媒を蓄冷熱交換
器40において蓄冷材40aの蓄冷熱量により凝縮し、
この凝縮後の液冷媒を蒸発器8に循環させる。これによ
り、蒸発器8の冷却作用を圧縮機1の停止時にも続行し
て車室内の冷房機能を発揮できるようにしている。閉回
路にて冷媒を循環させる。
【0008】また、上記従来技術では、車両エンジンの
停止(停車)直後、すなわち、放冷冷房モードの始動直
後に、蓄液タンク43内の液冷媒を電動ポンプ42が吸
入するので、電動ポンプ42の稼働初期にポンプ吸入側
が液冷媒で満たされ、電動ポンプ42の空転を防止でき
る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記従来技
術において、放冷冷房モードでは、蒸発器8で蒸発した
気相冷媒が蓄冷熱交換器40内に送り込まれ、蓄冷材4
0aにより冷却され凝縮する。その凝縮後の液冷媒が蓄
冷熱交換器40内に溜まって、この貯留液冷媒の中に蓄
冷材40aが浸漬される。この結果、蓄冷熱交換器40
内に流入する気相冷媒と蓄冷材40aとが接する伝熱面
積が減少し、気相冷媒の凝縮能力が低下する。従って、
放冷冷房モードにおける蒸発器8への液冷媒供給流量が
減少して、放冷冷房能力の低下をきたす。
【0010】なお、上記不具合を解消するために、蓄冷
熱交換器40を蒸発器8の上方に配置して、蓄冷熱交換
器40内の液冷媒を重力にて蒸発器8に供給することを
検討してみたが、車両においては、蒸発器8を内蔵する
空調室内ユニット20を車室内の計器盤(インパネ)内
側等の狭隘なスペース内に搭載しなければならないとい
う搭載上の制約がある。このため、蓄冷熱交換器40を
蒸発器8の上方に配置することは現実的にはほとんど実
施できず、有効な対策といえない。
【0011】本発明は上記点に鑑みて、蓄冷式の車両用
空調装置において、放冷冷房モードにおける蓄冷熱交換
器での気相冷媒の凝縮能力を向上することを目的とす
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1に記載の発明では、少なくとも停車時に車
両エンジン(4)を停止する制御を行う車両に搭載され
る車両用空調装置であって、車両エンジン(4)により
駆動される圧縮機(1)と、圧縮機(1)から吐出され
た高圧冷媒の放熱を行う高圧側熱交換器(6)と、高圧
側熱交換器(6)を通過した冷媒を減圧する減圧手段
(7、70)と、減圧手段(7、70)により減圧され
た低圧冷媒を蒸発させて車室内へ送風される空気を冷却
する蒸発器(8)と、圧縮機(1)の稼働時に、低圧冷
媒により冷却される蓄冷材(11a)を有する蓄冷熱交
換器(11)と、蓄冷熱交換器(11)の下方側に配置
され、蓄冷熱交換器(11)にて凝縮した液冷媒を溜め
る液冷媒タンク部(10a)とを備え、車両エンジン
(4)が停止して圧縮機(1)が停止したときには、液
冷媒タンク部(10a)の液冷媒を蒸発器(8)に導入
し、蒸発器(8)で蒸発した気相冷媒を蓄冷熱交換器
(11)内に導入して蓄冷材(11a)の蓄冷熱により
冷却して凝縮することを特徴とする。
【0013】これによると、圧縮機(1)の停止時、す
なわち、放冷冷房モード時に蓄冷熱交換器(11)にて
凝縮水を重力にて速やかに下方の液冷媒タンク部(10
a)に落下させることができる。そのため、蓄冷熱交換
器(11)の表面が液冷媒中に浸漬することがないの
で、蓄冷熱交換器(11)においてその蓄冷材表面と気
相冷媒とが直接、接する伝熱面積を常に確保できる。
【0014】これにより、気相冷媒と蓄冷材との間で効
率よく熱交換を行うことができるので、蓄冷熱交換器
(11)における気相冷媒の凝縮能力を常に良好に維持
できる。従って、放冷冷房能力を良好に確保できる。
【0015】また、請求項1によれば、蓄冷熱交換器
(11)の下方側に液冷媒タンク部(10a)を配置す
るだけで、蓄冷熱交換器(11)自体を蒸発器(9)の
上方側に配置するという必要性はない。そのため、空調
装置の車両搭載上、配置レイアウトの自由度が増して非
常に有利である。
【0016】請求項2に記載の発明では、請求項1にお
いて、蓄冷熱交換器(11)を内蔵するタンク部材(1
0)を有し、タンク部材(10)の内部空間の上方側に
蓄冷熱交換器(11)を配置し、タンク部材(10)の
下部に液冷媒タンク部(10a)を一体に形成したこと
を特徴とする。
【0017】これにより、1つの共通のタンク部材(1
0)にて蓄冷熱交換器(11)の内蔵と液冷媒タンク部
(10a)の一体形成とを行うことができ、構成の簡素
化によるコスト低減と車両搭載作業の容易化を図ること
ができる。
【0018】請求項3に記載の発明では、請求項1また
は2において、液冷媒タンク部(10a)内に、圧縮機
(1)が停止したときに作動状態となる電動ポンプ(1
5)を配置し、圧縮機(1)が停止したときに電動ポン
プ(15)の作動により液冷媒タンク部(10a)の液
冷媒を蒸発器(8)に導入することを特徴とする。
【0019】これにより、液冷媒タンク部(10a)内
に電動ポンプ(15)を一体配置するという省スペース
的な構成でもって、圧縮機(1)の停止時に液冷媒タン
ク部(10a)の液冷媒を電動ポンプ(15)の作動に
より蒸発器(8)に導入し、蒸発器(8)の冷房作用を
確実に発揮できる。
【0020】請求項4に記載の発明では、請求項1ない
し3のいずれか1つにおいて、減圧手段は、蒸発器
(8)の出口冷媒の過熱度に応じて冷媒流量を調節する
膨張弁(7)であり、蓄冷熱交換器(11)を蒸発器
(8)の冷媒入口側に設けることを特徴とする。
【0021】これによると、蓄冷熱交換器(11)を、
車室内への送風空気を冷却する蒸発器(8)の冷媒入口
側に設けているから、圧縮機(1)の稼働時には圧縮機
(1)の作動により蓄冷熱交換器(11)と蒸発器
(8)との直列通路を通して常に冷媒を流して、蒸発器
(8)による冷房能力の発揮と、蓄冷熱交換器(11)
の蓄冷材(11a)への蓄冷を行うことができる。
【0022】そのため、蓄冷式の車両用空調装置におい
て、電磁弁による冷媒通路の開閉機能を必要とすること
なく、圧縮機稼働時に冷房機能および蓄冷機能を良好に
発揮できる。
【0023】ところで、蓄冷熱交換器(11)において
蓄冷材(11a)への蓄冷が完了すると、低圧冷媒は蓄
冷熱交換器(11)においてほとんど吸熱することなく
素通りするようになるが、もし、蓄冷熱交換器(11)
を蒸発器(8)の冷媒出口側に設けると、蒸発器出口冷
媒が蓄冷完了した蓄冷材(11a)により冷却されてし
まい、膨張弁(7)による冷媒流量調節を適切に行うこ
とができない事態が生じる。
【0024】しかし、請求項4によると、蓄冷熱交換器
(11)を蒸発器(8)の冷媒入口側に設けているか
ら、膨張弁(7)は蓄冷熱交換器(11)を設けていな
い通常のサイクルと同様に蒸発器出口冷媒の過熱度に応
じて冷媒流量を適切に調節できる。
【0025】請求項5に記載の発明では、請求項4にお
いて、圧縮機(1)の稼働時に、膨張弁(7)を通過し
た冷媒を蓄冷熱交換器(11)の上方側に流入させる冷
媒入口通路部(12)と、圧縮機(1)の停止時に蒸発
器(8)で蒸発した気相冷媒を蓄冷熱交換器(11)の
上方側に流入させる冷媒戻し通路部(16)とを備え、
冷媒入口通路部(12)からの冷媒、および冷媒戻し通
路部(16)からの冷媒が蓄冷熱交換器(11)を上方
から下方へと流れて蓄冷熱交換器(11)の下方側に到
達するようになっており、更に、蓄冷熱交換器(11)
の下方側に到達した冷媒、および液冷媒タンク部(10
a)の液冷媒を蒸発器(8)の冷媒入口側に向けて流出
させる出口通路部(14)を備えること特徴とする。
【0026】これにより、圧縮機稼働時および圧縮機停
止時の双方において蓄冷熱交換器(11)を冷媒が上方
から下方へと流れるので、圧縮機(1)の稼働時、停止
時であるとにかかわらず、常に、蓄冷熱交換器(11)
における冷媒流れ方向と、蓄冷熱交換器(11)部分を
重力にて下方へ落下する液冷媒の移動方向とが一致す
る。従って、蓄冷熱交換器(11)にて冷媒が下方へス
ムーズに流れるとともに、液冷媒がスムーズに下方へ移
動する。
【0027】請求項6に記載の発明では、請求項5にお
いて、蓄冷熱交換器(11)の下端部と液冷媒タンク部
(10a)との間に第1逆止弁(13)を配置し、第1
逆止弁(13)を、蓄冷熱交換器(11)の下方側から
出口通路部(14)へ向かう冷媒流れ方向のみで開弁す
るように構成し、また、冷媒戻し通路部(16)に、蒸
発器(8)の冷媒出口側から蓄冷熱交換器(11)の上
方側へ向かう冷媒流れ方向のみで開弁する第2逆止弁
(18)を配置したことを特徴とする。
【0028】これにより、第1、第2逆止弁(13、1
8)という簡単な弁手段を用いるのみで、圧縮機稼働時
と圧縮機停止時の冷媒流路を確実に切り替えできる。
【0029】ところで、圧縮機稼働時に液冷媒タンク部
(10a)に溜まる液冷媒が第1逆止弁(13)の配置
部位まで上昇すると、液冷媒が第1逆止弁(13)を通
して出口通路部(14)に吸入されるので、圧縮機稼働
時における貯留液冷媒の最大量を第1逆止弁(13)の
配置部位で規定できる。そして、蓄冷熱交換器(11)
の下端部と液冷媒タンク部(10a)との間に第1逆止
弁(13)を配置することにより、タンク部材(10)
の内部空間のうち、蓄冷熱交換器(11)の下端部付近
までの空間を液冷媒タンク部(10a)の液溜め空間と
して有効利用できる。
【0030】請求項7に記載の発明では、請求項1にお
いて、蒸発器(8)の冷媒出口側に配置されるタンク部
材(10)を備え、タンク部材(10)の内部にて蒸発
器(8)出口の低圧冷媒の気液を分離して、気相冷媒を
圧縮機(1)の吸入側に導出するようになっており、蓄
冷熱交換器(11)をタンク部材(10)の内部空間の
上方側に配置し、タンク部材(10)の下部に液冷媒タ
ンク部(10a)を一体に形成したことを特徴とする。
【0031】請求項7におけるタンク部材(10)は一
般にアキュムレータと称される冷媒の気液分離器の機能
を発揮するものであって、これにより、減圧手段として
膨張弁(7)を使用しなくても圧縮機(1)への液冷媒
戻り、ひいては液圧縮を防止できる。このように減圧手
段として膨張弁(7)を使用しない場合は、蓄冷熱交換
器(11)を蒸発器(8)の冷媒出口側に設けてもサイ
クルの冷媒流量調節作用に支障は生じない。
【0032】また、蓄冷熱交換器(11)を通過した低
圧冷媒がタンク部材(10)内部を通過して圧縮機
(1)に吸入されるから、蓄冷熱交換器(11)での冷
却作用により低圧冷媒が液化しても、その液冷媒はタン
ク部材(10)下部の液冷媒タンク部(10a)内に溜
めることができる。
【0033】そして、蒸発器(8)の冷媒流路での圧力
損失分だけ、蒸発器(8)の冷媒出口側の方が冷媒入口
側よりも低圧冷媒温度が低下するので、低圧冷媒温度と
蓄冷材(11a)との温度差が拡大して、蓄冷材(11
a)を効率よく冷却できる。
【0034】しかも、請求項7によると、アキュムレー
タ機能を果たすタンク部材(10)内へ蓄冷熱交換器
(11)を一体化し、かつ、タンク部材(10)下部に
液冷媒タンク部(10a)を一体形成することにより、
請求項2と同様に構成の簡素化と車両搭載作業の容易化
を図ることができる。
【0035】請求項8に記載の発明のように請求項7に
おいて、減圧手段(70)は、具体的には固定絞りもし
くは高圧冷媒状態に応動する可変絞りにて構成できる。
【0036】請求項9に記載の発明では、請求項7また
は8において、液冷媒タンク部(10a)内に、圧縮機
(1)が停止したときに作動状態となる電動ポンプ(1
5)を配置し、圧縮機(1)が停止したときに電動ポン
プ(15)の作動により液冷媒タンク部(10a)の液
冷媒を蒸発器(8)に導入することを特徴とする。
【0037】これにより、請求項3と同様に、圧縮機
(1)の停止時に蓄冷材(11a)の蓄冷熱を利用して
放冷冷房モードを実行するときに、電動ポンプ(15)
の作動により液冷媒タンク部(10a)の液冷媒を蒸発
器(8)に導入して蒸発器(8)の冷房作用を良好に発
揮できる。
【0038】なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述
する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すも
のである。
【0039】
【発明の実施の形態】(第1実施形態)図1は第1実施
形態による車両用空調装置の冷凍サイクルRを示す。車
両用空調装置の冷凍サイクルRは冷媒を吸入、圧縮、吐
出する圧縮機1を有し、この圧縮機1には動力断続用の
電磁クラッチ2が備えられている。圧縮機1には電磁ク
ラッチ2およびベルト3を介して車両エンジン4の動力
が伝達されるので、電磁クラッチ2への通電を空調用制
御装置5により断続することにより圧縮機1の運転が断
続される。
【0040】圧縮機1から吐出された高温、高圧の過熱
気相冷媒は高圧側熱交換器をなす凝縮器6に流入し、図
示しない冷却ファンより送風される外気と熱交換して冷
却され凝縮する。凝縮器6は凝縮部6aと、凝縮部6a
を通過した後の冷媒の気液を分離して液冷媒を溜めると
ともに液冷媒を導出する受液器6bと、受液器6bから
の液冷媒を過冷却する過冷却部6cとを一体に構成した
周知のものである。
【0041】この過冷却部6cからの過冷却液冷媒は減
圧手段をなす膨張弁7により低圧に減圧され、低圧の気
液2相状態となる。膨張弁7は冷房用熱交換器をなす蒸
発器8の出口冷媒の過熱度を調節するように弁7aの開
度(冷媒流量)を調節する温度式膨張弁である。特に、
本例では、蒸発器8の出口冷媒が流れる蒸発器出口冷媒
通路7bをボックス型のハウジング7c内に構成して、
蒸発器8の出口冷媒の感温機構をハウジング7c内に一
体構成するタイプの温度式膨張弁7を用いている。
【0042】蓄冷ユニット9は図1の2点鎖線枠内の機
器を図2に示す1つのタンク部材10の内部に一体的に
構成しているものであって、タンク部材10は上下方向
に延びる円筒状の形状であり、その下部に低温の低圧液
冷媒を溜める液冷媒タンク部10aを一体に構成してい
る。
【0043】そして、タンク部材10内部において、液
冷媒タンク部10aの上方部に蓄冷熱交換器11を構成
している。この蓄冷熱交換器11は具体的には、蓄冷材
を封入した多数の蓄冷材容器11aをその容器相互間に
冷媒が流通する隙間部を形成する状態で配置している。
この多数の蓄冷材容器11aの上下両側に冷媒流通穴を
有する保持板11b、11cを配置し、この保持板11
b、11cの外周部をタンク部材10の内壁面に固定し
ている。
【0044】ここで、蓄冷材容器11aの形態は具体的
には図3(a)に示す冷媒流れ方向に沿って細長く延び
る円筒状からなるスティックタイプ、図3(b)に示す
ボールタイプ、図3(c)に示すカプセルタイプのいず
れでもよい。蓄冷材容器11aは樹脂製の薄膜状パック
部材、あるいはアルミニュウム等の金属板材で形成する
ことができる。
【0045】蓄冷材容器11a内に封入する蓄冷材とし
ては、低圧冷媒により冷却されて相変化(液相→固相)
して凝固潜熱を蓄冷できる材料、すなわち、低圧冷媒温
度よりも高い温度で凝固する材料を選択する。
【0046】ここで、低圧冷媒温度は蒸発器8でのフロ
スト防止のために、通常3〜4℃程度の温度に制御さ
れ、また、冷房時における車室内吹出空気温度の目標上
限温度は冷房フィーリングの確保、蒸発器8からの悪臭
防止等のために、通常は12℃〜15°程度の温度に設
定される。
【0047】従って、蓄冷材としては、凝固点が上記低
圧冷媒温度と冷房時吹出空気温度の目標上限温度との間
に位置する材料が好ましく、具体的には、凝固点が6℃
〜8℃程度のパラフィンが最適である。もちろん、低圧
冷媒温度を0℃以下に制御すれば、蓄冷材として水
(氷)を使用することもできる。
【0048】蓄冷材の蓄冷状態(凝固状態)を維持する
ためには、タンク部材10内部を蓄冷材の凝固点以下の
低温状態に維持する必要があるため、タンク部材10は
断熱タンクとして構成する必要がある。従って、タンク
部材10は断熱性に優れた樹脂タンク、あるいは金属タ
ンク表面に断熱材を貼り付けたもの等を用いる。
【0049】なお、蓄冷熱交換器11をシェルアンドチ
ューブタイプの熱交換器として構成してもよく、その場
合はシェル(タンク)内部に配置されるチューブにサイ
クル低圧冷媒を流通させ、そして、シェル(タンク)内
部においてチューブの外側空間に蓄冷材を充填してサイ
クル低圧冷媒により冷却すればよい。
【0050】次に、蓄冷ユニット9と冷凍サイクル冷媒
通路との接続関係を説明すると、タンク部材10の上面
には、膨張弁7の弁部7aを通過して減圧された低温の
低圧冷媒が流入する入口パイプ12が配置してあり、こ
の入口パイプ12からタンク部材10内において蓄冷熱
交換器11の上面部に低温の低圧冷媒が流入する。
【0051】タンク部材10内において蓄冷熱交換器1
1の下面部には第1逆止弁13が配置してある。この第
1逆止弁13の入口13bは蓄冷熱交換器11の下方空
間に常時連通しており、第1逆止弁13の弁体13aに
対して入口13bから出口13cの方向に冷媒圧力が作
用するときは弁体13aが弁座部13dから開離して開
弁状態となる。逆に、弁体13aに対して出口13cか
ら入口13bの方向に冷媒圧力が作用するときは弁体1
3aが弁座部13dに圧着して閉弁状態となる。ストッ
パ13eは弁体13aの全開位置を規定するものであ
る。
【0052】タンク部材10の中心部には出口パイプ1
4が蓄冷熱交換器11の中心部を貫通して上下方向に延
びるように配置されている。この出口パイプ14の上端
側はタンク部材10の上面を貫通してタンク外部へ取り
出され、図1に示すように蒸発器8の入口部に接続され
る。
【0053】一方、出口パイプ14の下端側は液冷媒タ
ンク部10aの液冷媒貯留領域まで垂下しており、そし
て、出口パイプ14の下端部に液冷媒循環用のポンプを
なす電動ポンプ15が設けてある。この電動ポンプ15
はその底面部側に吸入口15aを配置し、この吸入口1
5aから液冷媒タンク部10aの液冷媒を吸入して出口
パイプ14を通して蒸発器8に循環させるものである。
【0054】出口パイプ14には上下方向の中間部に接
続口14aが開口し、この接続口14aに第1逆止弁1
3の出口13cを接続している。従って、膨張弁7の弁
部7aの出口通路から入口パイプ12、蓄冷熱交換器1
1、第1逆止弁13、および出口パイプ14を経て蒸発
器8の入口に至る冷媒通路が形成され、蓄冷熱交換器1
1は蒸発器8の入口側通路に直列に設けられている。
【0055】また、タンク部材10の上面には冷媒戻し
パイプ16が設けてある。この冷媒戻しパイプ16の一
端側(上端側)は蒸発器8の出口冷媒配管17に接続し
てあり、冷媒戻しパイプ16の他端側(下端側)はタン
ク部材10の上面を貫通してタンク部材10内に配置さ
れた第2逆止弁18に接続される。
【0056】より具体的に説明すると、蒸発器8の出口
冷媒配管17は膨張弁7内部の蒸発器出口冷媒通路7b
に接続されるものであり、この蒸発器出口冷媒通路7b
よりも上流側部位にて冷媒戻しパイプ16の一端が出口
冷媒配管17に接続される。また、タンク部材10内の
空間の最上部に第2逆止弁18が配置され、第2逆止弁
18の入口18bが冷媒戻しパイプ16の他端側(下端
側)に接続される。第2逆止弁18の出口18cは蓄冷
熱交換器11の上面部に対向配置されている。
【0057】第2逆止弁18は第1逆止弁13と同様の
ものであり、第2逆止弁18の弁体18aに対して入口
18bから出口18cの方向に冷媒圧力が作用するとき
は弁体18aが弁座部18dから開離して開弁状態とな
る。逆に、弁体18aに対して出口18cから入口18
bの方向に冷媒圧力が作用するときは弁体18aが弁座
部18dに圧着して閉弁状態となる。ストッパ18eは
弁体18aの全開位置を規定するものである。
【0058】なお、本例では、蓄冷ユニット9のタンク
部材10の上面に膨張弁7を配置して、膨張弁7も蓄冷
ユニット9の一部分として一体化し、膨張弁7と蓄冷ユ
ニット9を一体状態にて車両に搭載するようにしてあ
る。
【0059】蓄冷ユニット9はタンク部材10内部の低
温状態を維持するためにはタンク部材10内部への熱の
侵入をできるだけ抑制した方が良い。そのためには、蓄
冷ユニット9を車室内、例えば、車室内前部の計器盤内
側等に設置した方が良い。しかし、車室内のスペース的
制約から車室内に蓄冷ユニット9の搭載スペースを確保
できない場合は、蓄冷ユニット9を車室外、例えば、エ
ンジンルール等に設置することになる。
【0060】図4は空調室内ユニット20を示すもので
あり、空調室内ユニット20は通常、車室内前部の計器
盤内側に搭載される。空調室内ユニット20の空調ケー
ス21は車室内へ向かって送風される空気の通路を構成
するものであり、この空調ケース21内に蒸発器8が設
置されている。
【0061】空調ケース21において、蒸発器8の上流
側には送風機22が配置され、送風機22には遠心式送
風ファン22aと駆動用モータ22bが備えられてい
る。送風ファン22aの吸入側には内外気切替箱23が
配置され、この内外気切替箱23内の内外気切替ドア2
3aにより外気(車室外空気)または内気(車室内空
気)が切替導入される。
【0062】空調ケース21内で、蒸発器8の下流側に
はエアミックスドア24が配置され、このエアミックス
ドア24の下流側には車両エンジン4の温水(冷却水)
を熱源として空気を加熱する温水式ヒータコア25が暖
房用熱交換器として設置されている。
【0063】そして、この温水式ヒータコア25の側方
(上方部)には、温水式ヒータコア25をバイパスして
空気(冷風)を流すバイパス通路26が形成されてい
る。エアミックスドア24は回動可能な板状ドアであ
り、温水式ヒータコア25を通過する温風とバイパス通
路26を通過する冷風との風量割合を調節するものであ
って、この冷温風の風量割合の調節により車室内への吹
出空気温度を調節する。従って、エアミックスドア24
は車室内への吹出空気の温度調節手段を構成する。
【0064】温水式ヒータコア25からの温風とバイパ
ス通路26からの冷風を空気混合部27で混合して、所
望温度の空気を作り出すことができる。さらに、空調ケ
ース21内で、空気混合部27の下流側に吹出モード切
替部が構成されている。すなわち、車両フロントガラス
内面に空気を吹き出すデフロスタ開口部28、車室内乗
員の上半身側に向けて空気を吹き出すフェイス開口部2
9、および車室内乗員の足元に向けて空気を吹き出すフ
ット開口部30を吹出モードドア31〜33により開閉
するようになっている。
【0065】蒸発器8の温度センサ34は空調ケース2
1内で蒸発器8の空気吹出直後の部位に配置され、蒸発
器吹出温度Teを検出する。ここで、蒸発器温度センサ
34により検出される蒸発器吹出温度Teは、通常の空
調装置と同様に、圧縮機1の電磁クラッチ2の断続制御
や、圧縮機1が可変容量型である場合はその吐出容量制
御に使用され、これらのクラッチ断続制御や吐出容量制
御により蒸発器8の冷却能力を調節して、蒸発器8の吹
出温度を制御する。
【0066】図1に示すように、空調用制御装置5に
は、上記の温度センサ34の他に、空調制御のために、
内気温Tr、外気温Tam、日射量Ts、温水温度Tw
等を検出する周知のセンサ群35から検出信号が入力さ
れる。また、車室内計器盤近傍に設置される空調制御パ
ネル36の操作スイッチ群の操作信号も空調用制御装置
5に入力される。
【0067】空調制御パネル36には乗員により手動操
作される温度設定スイッチ、風量切替スイッチ、吹出モ
ードスイッチ、内外気切替スイッチ、圧縮機1のオンオ
フ信号を発生するエアコンスイッチ等の種々な操作スイ
ッチ群(図示せず)が備えられている。
【0068】また、空調用制御装置5はエンジン用制御
装置37に接続されており、エンジン用制御装置37か
ら空調用制御装置5には車両エンジン4の回転数信号、
車速信号等が入力される。
【0069】エンジン用制御装置37は周知のごとく車
両エンジン4の運転状況等を検出するセンサ群38から
の信号に基づいて車両エンジン4への燃料噴射量、点火
時期等を総合的に制御するものである。さらに、本実施
形態の対象とするエコラン車においては、車両エンジン
4の回転数信号、車速信号、ブレーキ信号等に基づいて
停車状態を判定すると、エンジン用制御装置37は、点
火装置の電源遮断、燃料噴射の停止等により車両エンジ
ン4を自動的に停止させる。
【0070】また、エンジン停止後、運転者の運転操作
により車両が停車状態から発進状態に移行すると、エン
ジン用制御装置37は車両の発進状態をアクセル信号等
に基づいて判定して、車両エンジン4を自動的に始動さ
せる。なお、空調用制御装置5は、車両エンジン4停止
後の放冷冷房モードの時間が長時間に及び、蓄冷熱交換
器11の蓄冷熱量による冷房を持続できない状態になっ
た時、すなわち、蒸発器吹出温度Teが所定の目標上限
温度まで上昇した時は、エンジン再稼働要求の信号をエ
ンジン用制御装置37に出力する。
【0071】空調用制御装置5およびエンジン用制御装
置37はCPU、ROM、RAM等からなる周知のマイ
クロコンピュータと、その周辺回路にて構成されるもの
である。なお、空調用制御装置5およびエンジン用制御
装置37を1つの制御装置として統合してもよい。
【0072】次に、上記構成において第1実施形態の作
動を説明する。図5は車両走行時の通常冷房・蓄冷モー
ド時の作動を示すものであり、この通常冷房・蓄冷モー
ド時では車両エンジン4によって圧縮機1を駆動するこ
とにより冷凍サイクルRが運転される。
【0073】従って、圧縮機1から吐出された高圧気相
冷媒が凝縮器6にて冷却され、過冷却状態の液冷媒とな
って膨張弁7に流入する。この膨張弁7の弁部7aで高
圧液冷媒が減圧されて低温低圧の気液2相状態となり、
入口パイプ12から蓄冷ユニット9のタンク部材10内
に流入する。この流入冷媒はタンク部材10内において
蓄冷熱交換器11の上面部から多数の蓄冷材容器11a
相互間の隙間部を下方へと流れる。
【0074】ここで、蓄冷熱交換器11の下面部に位置
する第1逆止弁13の弁体13aに対して入口13bか
ら出口13cの方向(順方向)に冷媒圧力が作用して、
第1逆止弁13が開弁するので、蓄冷熱交換器11の下
側空間が第1逆止弁13を介して出口パイプ14の中間
部の接続口14aに連通する。
【0075】また、通常冷房・蓄冷モード時は液冷媒循
環用の電動ポンプ15の作動が不要であるため、空調制
御装置5の出力により電動ポンプ15が停止している。
このため、電動ポンプ15が流通抵抗となり、蓄冷熱交
換器11の下側空間の冷媒が電動ポンプ15を介して出
口パイプ14の下端部に流入する量は僅少である。
【0076】従って、蓄冷熱交換器11の下側空間の冷
媒の大部分は第1逆止弁13を介して出口パイプ14の
中間部の接続口14aに流入する。このとき、第2逆止
弁18の弁体18aに対しては出口18cから入口18
bの方向(逆方向)に冷媒圧力が作用して、第2逆止弁
18は閉弁状態を維持する。
【0077】出口パイプ14に流入した低圧冷媒は蒸発
器8の入口部に流入し、蒸発器8において空調ケース2
1内の送風空気から吸熱して蒸発し、気相冷媒となる。
この気相冷媒は、蒸発器8の出口冷媒配管17および膨
張弁7内部の蒸発器出口冷媒通路7bを経て圧縮機1に
吸入され、再度圧縮される。蒸発器8にて吸熱された冷
風はフェイス開口部29等から車室内へ吹き出して車室
内を冷房する。
【0078】次に、通常冷房・蓄冷モード時における蓄
冷ユニット9のタンク部材10内部での冷媒の挙動をよ
り具体的に説明すると、夏期の高外気温時に冷房を始動
する場合には蒸発器8の吸い込み空気温度が40℃以上
にも及ぶ高温となり、蒸発器8の冷房熱負荷が非常に大
きくなる。このような冷房高負荷条件の下では、蒸発器
8の出口冷媒の過熱度が過大となり、膨張弁7の弁部7
aの開度が全開となり、冷凍サイクルの低圧圧力が上昇
する。
【0079】そのため、蓄冷ユニット9の蓄冷熱交換器
11に流入する低圧冷媒の温度が蓄冷熱交換器11の蓄
冷材の凝固点(6〜8℃程度)より高い温度となる。従
って、蓄冷材は低圧冷媒との熱交換で凝固せず、蓄冷材
から顕熱分を吸熱するだけである。その結果、冷房高負
荷条件では低圧冷媒が蓄冷熱交換器11にて吸熱する熱
量は僅少量となる。そのため、低圧冷媒のほとんどは蓄
冷熱交換器11を持たない通常の空調装置と同様に蒸発
器8にて車室内吹出空気から吸熱して蒸発する。
【0080】なお、冷房高負荷時には、通常、図4の内
外気切替箱23から内気を吸入する内気モードが選択さ
れるから、冷房始動後の時間経過により蒸発器8の吸い
込み空気温度が低下し、冷房熱負荷が低下する。これに
より、蒸発器8の出口冷媒の過熱度が減少するので、膨
張弁7の弁部7aの開度が減少し、冷凍サイクルの低圧
圧力が低下し、低圧冷媒温度が低下する。
【0081】そして、低圧冷媒温度が蓄冷熱交換器11
の蓄冷材の凝固点より低下すると、蓄冷材の凝固が開始
され、低圧冷媒は蓄冷材から凝固潜熱を吸熱するので、
蓄冷材からの吸熱量が増加する。しかし、蓄冷材がこの
ように凝固潜熱を蓄冷する段階に至った時点では、既
に、冷房熱負荷の低下により低圧冷媒温度が十分低下
し、車室内吹出空気が十分低下している。
【0082】従って、蓄冷材への凝固潜熱の蓄冷作用に
よって、冷房高負荷条件における急速冷房性能(クール
ダウン性能)が大きく阻害されることがない。換言する
と、蓄冷熱交換器11を冷房用蒸発器8の冷媒回路に直
列接続しても、冷房高負荷条件における急速冷房性能
を、僅少量低下させるだけであり、良好に発揮できる。
【0083】そして、冷房熱負荷が低下して蓄冷材が凝
固する時には、サイクル内の循環冷媒流量が減少し、蓄
冷ユニット9のタンク部材10内での冷媒流速が低下し
て、気液2相状態の低圧冷媒の気液分離が起こりやすく
なる。これにより、タンク部材10の下部に形成されて
いる液冷媒タンク部10aに液冷媒が重力により落下
し、徐々に溜まっていく。
【0084】図2は液冷媒タンク部10aに液冷媒が最
大量溜まった状態を示している。すなわち、液冷媒タン
ク部10aにおける貯留液冷媒の液面が上昇して、第1
逆止弁13の設置高さに到達すると、液冷媒タンク部1
0aの液冷媒は第1逆止弁13を通して蒸発器8に送り
込まれるから、第1逆止弁13の設置高さより貯留液冷
媒の液面が上昇することはない。換言すると、第1逆止
弁13は貯留液冷媒の最大量を決める役割を果たしてい
る。
【0085】次に、信号待ち等の停車時に車両エンジン
4を自動的に停止する場合について説明すると、停車時
には空調作動状態(送風機22の作動状態)であって
も、車両エンジン4の停止に伴って冷凍サイクルRの圧
縮機1も強制的に停止状態となる。そこで、空調用制御
装置5ではこの停車時のエンジン(圧縮機)停止状態を
判定して、蓄冷ユニット9内の電動ポンプ15に給電
し、電動ポンプ15を作動させる。
【0086】これにより、タンク部材10下部の液冷媒
タンク部10aに溜まっている液冷媒を電動ポンプ15
が吸入して、出口パイプ14を介して蒸発器8の入口側
に液冷媒を吐出する。この電動ポンプ15による液冷媒
の吸入、吐出作用によって、第1逆止弁13には冷媒圧
力が逆方向に作用して第1逆止弁13は閉弁する。これ
に反し、第2逆止弁18には冷媒圧力が順方向に作用し
て第2逆止弁18は開弁する。
【0087】そのため、図6の矢印に示すように、液冷
媒タンク部10a→電動ポンプ15→出口パイプ14→
蒸発器8→出口冷媒配管17→冷媒戻しパイプ16→第
2逆止弁18→蓄冷熱交換器11→液冷媒タンク部10
aからなる冷媒循環回路で冷媒が循環する。
【0088】従って、蒸発器8では液冷媒タンク部10
aからの液冷媒が送風機22の送風空気から吸熱して蒸
発するので、圧縮機停止後においても蒸発器8の冷却作
用を継続でき、車室内の冷房作用を継続できる。蒸発器
8で蒸発した気相冷媒の温度は蓄冷熱交換器11の蓄冷
材の凝固点より高いので、蓄冷材は気相冷媒から融解潜
熱を吸熱して固相から液相に相変化(融解)する。これ
により、気相冷媒は蓄冷材により冷却され凝縮する。こ
の液冷媒は重力により落下して液冷媒タンク部10aに
蓄えられる。
【0089】そして、蓄冷材が液相に相変化していくこ
とにより、液冷媒タンク部10a内の液冷媒量が減少し
ていくが、液冷媒タンク部10a内の液冷媒が残存して
いる間、停車時(圧縮機停止時)の車室内冷房作用を継
続できる。
【0090】なお、信号待ちによる停車時間は通常、1
〜2分程度の短時間であるから、蓄冷材として、凝固点
=6℃、凝固潜熱=229kJ/kgのパラフィンを、
420g程度用いることにより、1〜2分程度の停車時
の間、車室内冷房作用を継続できることを確認してい
る。
【0091】ところで、蓄冷ユニット9においては蓄冷
熱交換器11の下方に液冷媒タンク部10aを配置し
て、蓄冷熱交換器11で凝縮した液冷媒を重力にて速や
かに液冷媒タンク部10aに落下させるようにしている
から、蓄冷熱交換器11の蓄冷材容器11aの表面が液
冷媒中に浸漬することがない。このため、蓄冷熱交換器
11において気相冷媒と蓄冷材容器11aとが直接、接
する伝熱面積を常に確保できる。
【0092】これにより、気相冷媒と蓄冷材容器11a
との間の熱交換を効率よく行うことができるので、蓄冷
熱交換器11における気相冷媒の凝縮能力を常に良好に
維持できる。従って、放冷冷房モード時に蒸発器8への
液冷媒供給流量、ひいては放冷冷房能力を良好に確保で
きる。
【0093】また、本実施形態によると、蓄冷熱交換器
11自体を蒸発器8を内蔵する空調室内ユニット20の
上方に配置するという必要性は無く、蓄冷熱交換器11
の下方に液冷媒タンク部10aを配置すればよいから、
車両搭載上、配置レイアウトの自由度が増して非常に有
利である。
【0094】次に、本実施形態による「冷房用蒸発器8
に対して蓄冷熱交換器11を直列接続する」ことの有利
さを従来技術との対比により詳述する。前述の従来技術
(特開2000−313226号公報)では、空調用冷
凍サイクルRにおいて蓄冷材40aを内蔵する蓄冷熱交
換器40を冷房用蒸発器8と並列に設けているので、蓄
冷熱交換器40の冷媒通路を冷凍サイクルの運転状況に
応じて電磁弁41により開閉することが必須となる。
【0095】これに反し、本実施形態によると、冷房用
蒸発器8に対して蓄冷熱交換器11を直列接続している
から、夏期の冷房始動時のように冷房熱負荷が非常に高
い条件においても、サイクル循環冷媒流量の全量が冷房
用蒸発器8を通過するから、蓄冷熱交換器11の追加に
より冷房用蒸発器8への循環冷媒流量が減少することは
ない。
【0096】しかも、蓄冷熱交換器11における蓄冷材
の凝固点を前述のように冷房時吹出空気温度の目標上限
温度(12〜15℃程度)よりも低い温度(6〜8℃程
度)に設定することにより、冷房高熱負荷条件における
低圧冷媒の温度よりも蓄冷材の凝固点が低い温度とな
る。このため、冷房高熱負荷条件では蓄冷材は低圧冷媒
との熱交換で凝固せず、顕熱分の吸熱が僅かに行われる
だけである。
【0097】そのため、低圧冷媒の大部分は蓄冷熱交換
器11を持たない通常の空調装置と同様に蒸発器8にて
車室内吹出空気から吸熱して蒸発する。つまり、蓄冷熱
交換器11への冷媒流れの切替のための特別の操作を行
わなくても、冷房高熱負荷条件における冷房用蒸発器8
の最大冷却能力を良好に発揮できる。
【0098】また、蓄冷熱交換器11における蓄冷材の
凝固が完了し、蓄冷完了状態になると、蓄冷熱交換器1
1における低圧冷媒の吸熱はほとんどなくなるが、蓄冷
熱交換器11を冷房用蒸発器8の入口側に配置している
ため、膨張弁7は蒸発器8の出口冷媒の過熱度を感知し
て冷媒流量を調節できる。従って、蓄冷完了後において
も、蒸発器8の冷房熱負荷に応じた適切な冷媒流量を蒸
発器8に供給できる。
【0099】なお、第1実施形態において、蓄冷熱交換
器11をもし蒸発器8の出口側に配置すると、蓄冷材の
蓄冷完了状態では蒸発器8の出口冷媒が過熱度を持って
いても蒸発器8の出口冷媒が蓄冷材により冷却されて過
熱度が小さくなってしまい、その結果、膨張弁7の開度
が減少して、蒸発器8の冷房熱負荷に対して冷媒流量が
過小になるという不具合が生じるが、蓄冷熱交換器11
を冷房用蒸発器8の入口側に配置することにより、この
ような不具合が生じない。
【0100】以上の説明から理解されるように、第1実
施形態によると、冷凍サイクルにおいて、冷房用蒸発器
8に対して蓄冷熱交換器11を直列接続するという簡単
な構成によって、電磁弁による冷媒通路切替を必要とす
ることなく、車両走行時の通常冷房モードの機能、蓄冷
機能および停車時の放冷冷房モードをすべて良好に発揮
できる。従って、蓄冷式の空調装置を低コストで構成で
きる。
【0101】(第2実施形態)上記の第1実施形態で
は、減圧手段として膨張弁7を用い、膨張弁7により蒸
発器8の出口冷媒の過熱度を調節する冷凍サイクルにつ
いて説明したが、第2実施形態は蒸発器8の出口側(圧
縮機1の吸入側)にアキュムレータを配置し、このアキ
ュムレータにおいて蒸発器出口冷媒の気液を分離して液
冷媒を溜めて、気相冷媒を圧縮機1に吸入させるアキュ
ムレータ式の冷凍サイクルに蓄冷熱交換器11を組み合
わせるものである。
【0102】図7〜図10は第2実施形態を示すもの
で、前述の図1、図2、図5、図6に対応するものであ
り、第1実施形態と同等部分には同一符号を付して説明
を省略する。また、制御装置5、37等の電気制御部は
第1実施形態と同じであるので、図7〜図10ではこの
電気制御部の図示を省略している。
【0103】アキュムレータ式の冷凍サイクルにおいて
は、蒸発器8の出口側にタンク状のアキュムレータを配
置するので、第2実施形態ではこのアキュムレータに着
目して蓄冷ユニット9をアキュムレータと一体に構成す
る。
【0104】すなわち、第2実施形態では、図8に示す
ように蓄冷ユニット9のタンク部材10の上面部に蒸発
器8の出口冷媒を受け入れる入口パイプ120を設け、
この入口パイプ120により蒸発器8の出口冷媒をタン
ク部材10内の上部に流入させる。一方、タンク部材1
0の下部に液冷媒を溜める液冷媒タンク部10aを一体
に形成している。蓄冷熱交換器11は第1実施形態と同
様のものであり、タンク部材10内の上部に配置され、
入口パイプ120からの流入冷媒が多数の蓄冷材容器1
1a相互の隙間部を通過して下方へ流れる。
【0105】タンク部材10の内部には、第1、第2の
2つの出口パイプ141、142が配置してある。第1
出口パイプ141は通常のアキュムレータにおける出口
パイプに相当するものであり、そのため、第1出口パイ
プ141はU状に曲げ形成され、U状の底部にオイル戻
し穴141aを開口し、このオイル戻し穴141aから
液冷媒中に含まれる圧縮機潤滑用オイルを吸い込むよう
になっている。
【0106】また、第1出口パイプ141のU状一端部
に気相冷媒吸入口141bを設け、この気相冷媒吸入口
141bをタンク部材10内の下部の液冷媒タンク部1
0aに溜まる液冷媒よりも上方の空間に開口する。これ
により、タンク部材10内の上部の気相冷媒を気相冷媒
吸入口141bから第1出口パイプ141内に吸入する
ようになっている。第1出口パイプ141の他端側はタ
ンク部材10の上面部からタンク外部へ取り出して、圧
縮機1の吸入側に接続するようになっている。
【0107】また、第1出口パイプ141において、気
相冷媒吸入口141bの下流側(下方側)には冷媒中の
水分を吸収する乾燥剤を内蔵する乾燥剤ユニット141
cが配置してある。
【0108】一方、第2出口パイプ142は停車時の放
冷冷房モード時の冷媒循環回路を構成するためのもので
あり、その下端部を液冷媒タンク部10aの液冷媒中に
位置させ、第2出口パイプ142の下端部に液冷媒循環
用ポンプ手段をなす電動ポンプ15を設け、電動ポンプ
15の下端部の吸入口15aから液冷媒を吸入して第2
出口パイプ142に吐出する。
【0109】第2出口パイプ142の他端側もタンク部
材10の上面部からタンク外部へ取り出してあり、第2
出口パイプ142のうちタンク部材10の上面部の上方
部位に逆止弁18を配置している。これにより、第2出
口パイプ142の他端側は、逆止弁18を介して蒸発器
8の入口配管143に接続してある。この入口配管14
3は減圧装置70の出口側と蒸発器8の入口側との間を
結合する配管である。
【0110】逆止弁18は図2の第2逆止弁18と同様
のものであり、弁体18aに対して入口18bから出口
18cの方向に冷媒圧力が作用するときは弁体18aが
弁座部18dから開離して開弁状態となる。図8は逆止
弁18の開弁状態を示す。逆に、弁体18aに対して出
口18cから入口18bの方向に冷媒圧力が作用すると
きは弁体18aが弁座部18dに圧着して閉弁状態とな
る。
【0111】第2出口パイプ142には、第1出口パイ
プ141の気相冷媒吸入口141bの上方側と蓄冷熱交
換器11の下方側との間に板部材142aを設け、この
板部材142aにより気相冷媒吸入口141bの周辺部
の液冷媒液面に上方から冷媒流が衝突することを防止し
ている。それにより、冷媒流衝突による冷媒液面の波立
ちを防止するとともに、気液分離後の気相冷媒を圧縮機
吸入側に確実に戻すことができる。
【0112】なお、第2実施形態はアキュムレータ式の
冷凍サイクルに関するものであって、アキュムレータタ
ンクの役割を兼ねるタンク部材10にて蒸発器出口冷媒
の気液を分離して液冷媒を溜める。そして、第1出口パ
イプ141の気相冷媒吸入口141bから気相冷媒を吸
入して圧縮機1の吸入側に送り込むことができる。
【0113】従って、蒸発器出口冷媒の過熱度の調節を
行わなくても圧縮機1の液冷媒圧縮を防止できるので、
第2実施形態では減圧装置70としてキャピラリチュー
ブ、オリフィス等の固定絞り、あるいは高圧冷媒圧力に
応動する可変絞り等を使用することができる。これらの
減圧装置70は、過熱度制御機構を持つ温度式膨張弁7
に比して構成が簡素で、安価である。
【0114】図9は第2実施形態による車両走行時の通
常冷房・蓄冷モードであり、車両エンジン4により圧縮
機1が駆動されることにより、図9の矢印で示す回路、
すなわち、圧縮機1の吐出側→凝縮器6→減圧装置70
→入口配管143→蒸発器8→入口パイプ120→蓄冷
熱交換器11→第1出口パイプ141→圧縮機1の吸入
側に至る回路にて冷媒が循環し、蒸発器8にて低圧冷媒
が空調ケース21内の送風空気から吸熱して蒸発するこ
とにより送風空気が冷却され車室内の冷房を行うことが
できる。
【0115】また、蓄冷熱交換器11において蓄冷材を
低圧冷媒により冷却して凝固させることにより蓄冷材へ
の蓄冷を行う。なお、通常冷房・蓄冷モードでは、電動
ポンプ15は第1実施形態と同様に停止しており、ま
た、逆止弁18は閉弁している。
【0116】図10は第2実施形態による停車時の放冷
冷房モードであり、このときは電動ポンプ15を作動さ
せ、図10の矢印で示す回路により冷媒を循環させる。
すなわち、タンク部材10下部の液冷媒タンク部10a
内の液冷媒を電動ポンプ15にて吸入、吐出することに
より、電動ポンプ15→第2出口パイプ142→逆止弁
18(開弁状態)→入口配管143→蒸発器8→入口パ
イプ120→蓄冷熱交換器11→液冷媒タンク部10a
に至る回路にて冷媒が循環する。
【0117】これにより、液冷媒タンク部10aの貯留
液冷媒を蒸発器8に循環するとともに、蒸発器8で蒸発
した気相冷媒を蓄冷熱交換器11により冷却、液化させ
ることにより、第1実施形態と同様に第2実施形態でも
停車時の放冷冷房機能を良好に発揮できる。
【0118】また、第2実施形態においても、蓄冷ユニ
ット9おいて蓄冷熱交換器11の下方に液冷媒タンク部
10aを配置して、蓄冷熱交換器11で凝縮した液冷媒
を重力にて速やかに液冷媒タンク部10aに落下させる
ようにしているから、蓄冷熱交換器11において気相冷
媒と蓄冷材容器11aとが直接、接する伝熱面積を常に
確保して、蓄冷熱交換器11における気相冷媒の凝縮能
力を常に良好に維持できる。従って、放冷冷房能力を良
好に確保できる。
【0119】ところで、第2実施形態はアキュムレータ
式の冷凍サイクルであるため、蒸発器8の出口側に蓄冷
熱交換器11を直列接続している。これは次の理由によ
る。すなわち、アキュムレータ式の冷凍サイクルでは、
減圧装置70をキャピラリチューブ、オリフィス等の固
定絞り、あるいは高圧冷媒圧力に応動する可変絞り等に
より構成することができ、膨張弁7を使用する必要がな
い。従って、蒸発器8の出口側に蓄冷熱交換器11を直
列接続しても、前述の蒸発器出口冷媒の過熱度調節の不
具合が生じない。
【0120】そして、蒸発器8の冷媒通路を流れる冷媒
流れには必ず圧力損失が発生するので、蒸発器8の入口
側に比して出口側の方が冷媒圧力(蒸発圧力)が低下す
る。ここで、アキュムレータ式の冷凍サイクルでは、ア
キュムレータ部、本実施形態ではタンク部材10内部に
冷媒の気液界面が形成され冷媒が飽和状態になっている
ので、蒸発器8内の冷媒が過熱状態にならない。従っ
て、蒸発器8の出口側では冷媒圧力の低下に伴って冷媒
温度(蒸発温度)が必ず入口側よりも低下する。
【0121】この結果、アキュムレータ式の冷凍サイク
ルにおいて、蒸発器8の出口側に蓄冷熱交換器11を直
列接続することにより、蓄冷材をより低温の冷媒にて冷
却でき、蓄冷材と冷媒との温度差を拡大して熱交換効率
を向上でき、蓄冷材の凝固をより短時間で完了できる。
【0122】(他の実施形態)なお、第2実施形態で
は、図8に示すように蓄冷ユニット9のタンク部材10
内にU状に曲げ形成した第1出口パイプ141を配置
し、第1出口パイプ141の一端部をタンク部材10の
上面部から外部へ取り出すように構成しているが、図8
に2点鎖線で図示するように第1出口パイプ141をタ
ンク部材10の底面部から外部へ取り出すように構成し
てもよい。
【0123】また、第2実施形態において逆止弁18は
電動ポンプ15の停止時、すなわち、通常冷房・蓄冷モ
ード時に閉弁することにより、蒸発器8の入口配管14
3から低圧冷媒が第2出口パイプ142側へ逆流するこ
とを防止するものであるから、電動ポンプ15自身の停
止時の流通抵抗により低圧冷媒の上記逆流を実用上問題
のないレベルに低下できるのであれば、逆止弁18を廃
止してもよい。
【0124】また、第1実施形態では、タンク部材10
の下部の断面積をタンク部材10の上部よりも小さくし
て液冷媒タンク部10aを形成している。また、第2実
施形態では、タンク部材10の下部の断面積をタンク部
材10の上部の断面積と同一にして液冷媒タンク部10
aを形成している。
【0125】しかし、車両搭載上の都合等により液冷媒
タンク部10aの高さ寸法を縮小したい場合には、タン
ク部材10の下部の断面積をタンク部材10の上部より
も大きくして液冷媒タンク部10aをタンク部材10の
上部よりも水平方向に拡大する形状とし、これにより、
液冷媒タンク部10aの必要容積を確保するようにして
もよい。
【0126】また、第1、第2実施形態では、いずれも
図2、図8に示すように、液冷媒タンク部10aの内部
に電動ポンプ15を配置しているが、液冷媒タンク部1
0aの液冷媒をタンク外部に取り出す出口パイプ14、
142のうちタンク外部の部位に電動ポンプ15を配置
しても良い。この場合、出口パイプ14、142を液冷
媒タンク部10aの下方側に取り出し、電動ポンプ15
を液冷媒タンク部10aの下方側に配置すれば、電動ポ
ンプ15の吸入側に液冷媒が充満した状態で電動ポンプ
15を始動できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示す冷凍サイクルの回
路図である。
【図2】図1の蓄冷ユニットの具体的構成を例示する断
面図である。
【図3】図2の蓄冷材容器を例示する斜視図である。
【図4】第1実施形態による空調室内ユニット部の概略
断面図である。
【図5】第1実施形態による通常冷房・蓄冷モード時の
作動説明図である。
【図6】第1実施形態による放冷冷房モード時の作動説
明図である。
【図7】第2実施形態を示す冷凍サイクルの回路図であ
る。
【図8】図7の蓄冷ユニットの具体的構成を例示する断
面図である。
【図9】第2実施形態による通常冷房・蓄冷モード時の
作動説明図である。
【図10】第2実施形態による放冷冷房モード時の作動
説明図である。
【図11】従来装置の冷凍サイクルの回路図である。
【符号の説明】
1…圧縮機、4…車両エンジン、6…凝縮器(高圧側熱
交換器)、7…膨張弁(減圧手段)、70…固定絞り等
の減圧装置(減圧手段)、8…蒸発器、9…蓄冷ユニッ
ト、10…タンク部材、10a…液冷媒タンク部、11
…蓄冷熱交換器、11a…蓄冷材容器、15…電動ポン
プ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F25B 5/00 F25B 5/00 A

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも停車時に車両エンジン(4)
    を停止する制御を行う車両に搭載される車両用空調装置
    であって、 前記車両エンジン(4)により駆動される圧縮機(1)
    と、 前記圧縮機(1)から吐出された高圧冷媒の放熱を行う
    高圧側熱交換器(6)と、 前記高圧側熱交換器(6)を通過した冷媒を減圧する減
    圧手段(7、70)と、 前記減圧手段(7、70)により減圧された低圧冷媒を
    蒸発させて車室内へ送風される空気を冷却する蒸発器
    (8)と、 前記圧縮機(1)の稼働時に、前記低圧冷媒により冷却
    される蓄冷材(11a)を有する蓄冷熱交換器(11)
    と、 前記蓄冷熱交換器(11)の下方側に配置され、前記蓄
    冷熱交換器(11)にて凝縮した液冷媒を溜める液冷媒
    タンク部(10a)とを備え、 前記車両エンジン(4)が停止して前記圧縮機(1)が
    停止したときには、前記液冷媒タンク部(10a)の液
    冷媒を前記蒸発器(8)に導入し、前記蒸発器(8)で
    蒸発した気相冷媒を前記蓄冷熱交換器(11)内に導入
    して前記蓄冷材(11a)の蓄冷熱により冷却して凝縮
    することを特徴とする車両用空調装置。
  2. 【請求項2】 前記蓄冷熱交換器(11)を内蔵するタ
    ンク部材(10)を有し、 前記タンク部材(10)の内部空間の上方側に前記蓄冷
    熱交換器(11)を配置し、前記タンク部材(10)の
    下部に前記液冷媒タンク部(10a)を一体に形成した
    ことを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
  3. 【請求項3】 前記液冷媒タンク部(10a)内に、前
    記圧縮機(1)が停止したときに作動状態となる電動ポ
    ンプ(15)を配置し、 前記圧縮機(1)が停止したときに前記電動ポンプ(1
    5)の作動により前記液冷媒タンク部(10a)の液冷
    媒を前記蒸発器(8)に導入することを特徴とする請求
    項1または2に記載の車両用空調装置。
  4. 【請求項4】 前記減圧手段は、前記蒸発器(8)の出
    口冷媒の過熱度に応じて冷媒流量を調節する膨張弁
    (7)であり、 前記蓄冷熱交換器(11)を前記蒸発器(8)の冷媒入
    口側に設けることを特徴とする請求項1ないし3のいず
    れか1つに記載の車両用空調装置。
  5. 【請求項5】 前記圧縮機(1)の稼働時に、前記膨張
    弁(7)を通過した冷媒を前記蓄冷熱交換器(11)の
    上方側に流入させる冷媒入口通路部(12)と、 前記圧縮機(1)の停止時に前記蒸発器(8)で蒸発し
    た気相冷媒を前記蓄冷熱交換器(11)の上方側に流入
    させる冷媒戻し通路部(16)とを備え、 前記冷媒入口通路部(12)からの冷媒、および前記冷
    媒戻し通路部(16)からの冷媒が前記蓄冷熱交換器
    (11)を上方から下方へと流れて前記蓄冷熱交換器
    (11)の下方側に到達するようになっており、 更に、前記蓄冷熱交換器(11)の下方側に到達した冷
    媒、および前記液冷媒タンク部(10a)の液冷媒を前
    記蒸発器(8)の冷媒入口側に向けて流出させる出口通
    路部(14)を備えること特徴とする請求項4に記載の
    車両用空調装置。
  6. 【請求項6】 前記蓄冷熱交換器(11)の下端部と前
    記液冷媒タンク部(10a)との間に、前記蓄冷熱交換
    器(11)の下方側から前記出口通路部(14)へ向か
    う冷媒流れ方向のみで開弁する第1逆止弁(13)を配
    置し、 また、前記冷媒戻し通路部(16)に、前記蒸発器
    (8)の冷媒出口側から前記蓄冷熱交換器(11)の上
    方側へ向かう冷媒流れ方向のみで開弁する第2逆止弁
    (18)を配置したことを特徴とする請求項5に記載の
    車両用空調装置。
  7. 【請求項7】 前記蒸発器(8)の冷媒出口側に配置さ
    れるタンク部材(10)を備え、 前記タンク部材(10)の内部にて前記蒸発器(8)出
    口の低圧冷媒の気液を分離して、気相冷媒を前記圧縮機
    (1)の吸入側に導出するようになっており、 前記蓄冷熱交換器(11)を前記タンク部材(10)の
    内部空間の上方側に配置し、 前記タンク部材(10)の下部に前記液冷媒タンク部
    (10a)を一体に形成したことを特徴とする請求項1
    に記載の車両用空調装置。
  8. 【請求項8】 前記減圧手段(70)は、固定絞りもし
    くは高圧冷媒状態に応動する可変絞りにて構成されるこ
    とを特徴とする請求項7に記載の車両用空調装置。
  9. 【請求項9】 前記液冷媒タンク部(10a)内に、前
    記圧縮機(1)が停止したときに作動状態となる電動ポ
    ンプ(15)を配置し、 前記圧縮機(1)が停止したときに前記電動ポンプ(1
    5)の作動により前記液冷媒タンク部(10a)の液冷
    媒を前記蒸発器(8)に導入することを特徴とする請求
    項7又は8に記載の車両用空調装置。
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