JP2003284524A - 大豆7sたん白含有ゲルを用いた嚥下困難者用食品 - Google Patents

大豆7sたん白含有ゲルを用いた嚥下困難者用食品

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JP2003284524A
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food
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soybean
dysphagic
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Chiaki Miyazaki
千晶 宮崎
Tetsuhiko Okajima
哲彦 岡嶋
Motohiko Hirotsuka
元彦 廣塚
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Fuji Oil Co Ltd
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Fuji Oil Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 嚥下困難者が好ましい形で栄養成分や水分の
摂取できる嚥下困難者用食品及びその製造法に関する。
さらに本発明品は十分に加熱殺菌されているため、保存
性・流通性に優れた嚥下困難者用の食品を提供すること
を目的とするものである。 【解決手段】 大豆7Sたん白を5重量%以上含有した
水和物を100℃〜130℃の加圧高温加熱することを
特徴とする嚥下困難者用食品の製造法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する分野】この発明は、大豆7Sたん白を含
有する嚥下困難者用食品に関する。
【従来の技術】
【0002】近年高齢化社会を迎え総人口に占める高齢
者人口は増加し続け、総務庁の統計調査によると高齢者
は2015年には人口の4人に1人の割合になることが推定さ
れている。加齢に伴い歯の欠損や義歯による咀嚼力の低
下、嚥下反射機能の低下から咀嚼・嚥下困難者も急増す
ることが予想される。また、高齢者は咀嚼障害や味覚異
常などの食行動の障害により、十分な栄養摂取ができな
くなるため、栄養障害を起こすことが知られている。そ
こで、嚥下困難者が飲み込みやすい、高栄養の食品を開
発することは急務である。嚥下障害者に適した食物の条
件としては、軟らかく、密度が均一で、適度な凝集性が
あり、口腔や咽頭に付着しないものが望まれている。一
般に、嚥下困難者用の食品はゼラチンがゲル化目的で用
いられる場合が多い。しかしながら、ゼラチンゲルは物
性が温度に依存しやすい特徴を有する。嚥下困難者は飲
み込むことが困難であるため、健常者に比べて食事にか
かる時間が長く、ゼラチンゲルでは食べ始めの時は適正
な物性を有していても、喫食中の温度上昇で溶液状に変
化し誤嚥する可能性がある。また、中には口中に入れて
から飲み込むまでに時間がかかり体温で溶液状に変化
し、うまく飲み込めない人もいる。そこで、温度による
物性変化が少ないゲルが求められている。物性が温度変
化に依存しないゲルには分離大豆たん白ゲルがあるが、
通常の分離大豆蛋白ゲルは脆さを有し、口中でばらけて
しまうため、嚥下困難者には誤嚥の可能性があるので、
物性の安定した嚥下困難者用食品が望まれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、嚥下困難者
が好ましい形で栄養成分や水分の摂取できる嚥下困難者
用食品及びその製造法に関する。さらに本発明品は十分
に加熱殺菌されているため、保存性・流通性に優れた嚥
下困難者用の食品を提供することを目的とするものであ
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決すべく鋭意検討の結果、大豆7Sたん白水和物を加
圧高温加熱することを特徴とする嚥下困難者用食品の製
造法である。好ましくは、大豆7Sたん白を5重量%以
上含有する水和物を100℃〜130℃で加圧高温加熱
することを特徴とする嚥下困難者用食品の製造法に関す
る。
【0005】
【発明の実施の形態】大豆の貯蔵蛋白質は、pH4.5 付近
で沈澱し、比較的簡単に蛋白質以外の成分と蛋白質成分
に分けることができる。この貯蔵蛋白質は、大豆分離た
ん白といわれ、食品工業における利用は多くこの形でな
される。蛋白はまた超遠心分析による沈降定数から、2
S、7S、11S、15Sの各グロブリンに分類され
る。このうち、7Sグロブリンと11Sグロブリンはグ
ロブリン画分の主要な構成蛋白成分(注:7Sグロブリ
ン、11Sグロブリンは沈降法による分類名であり、免
疫学的命名法にいうβ−コングリシニン、グリシニンに
実質的に相当する。)であり、この両者は粘性・凝固性
・界面活性等において異なる性質を有する。したがっ
て、大豆蛋白質を7Sグロブリンに富んだ区分と11S
グロブリンに富んだ区分に分画することにより両蛋白質
の性質を利用することが可能となり、産業におけるたん
白利用分野の拡大が期待できる。この中、7Sグロブリ
ンは幾つかのサブユニットからなり、7Sグロブリンは
α、α’、βの3 種類のサブユニット、11Sグロブリ
ンは酸性ポリペプチド(A)と塩基性ポリペプチド(B)を一
対とした数種のサブユニットからなっている。その存在
比率は、典型的にはSDS-ポリアクリルアミドゲル電
気泳動(以下SDS-ポリアクリルアミド電気泳動と云
う)で得られたパターンのデンシトメトリーによる面積
比で7Sグロブリン:11Sグロブリンが略1:2であ
る。7Sグロブリンと11Sグロブリンの性質は、分子
量も荷電の状態もよく似ている。特に、両グロブリンは
サブユニットの組み合わせにより多様性を持つ蛋白で、
これらの性質はある程度幅があり、相互にオーバーラッ
プしている。
【0006】従来から知られている分画法を以下に示
す。すなわち、等電点の違いを利用するもの(特開昭55
- 124457号公報)、カルシウムとの反応性の違いを利用
するもの(特開昭48-56843号公報)、pH・イオン強度で
の溶解性の違いを利用する方法(特開昭49-31843号公
報)、等電点沈澱したスラリーをpH5.0 〜5.6 に調整
し、かつ塩化ナトリウム濃度を0.01〜0.2Mのモル濃度に
調整して、7S、11S画分を分離する方法(特開昭58
-36345号公報)。冷沈現象と還元剤等を利用するもの
(冷沈現象とよぶ)を利用したもの(特開昭61-187755
号公報)等がある。また、7Sグロブリンに富むたん白
を得るということでは、育種による11Sグロブリン欠損
大豆、すなわち7Sグロブリンに富んだ種子(Breeding
Science ,46, 11,1996)から蛋白を分離することが検
討され、それを応用した報告(Breeding Science ,50,
101,2000)や特許(US 6,171,640 B1)も出されている。以
上の様に分画の手法については種々報告されており、本
発明ではいずれの方法で分画された7Sグロブリンを用
いても良いが、フィターゼを用い脱脂大豆から7Sグロ
ブリンと11Sグロブリンを分離する手法に準じ調製し
たものが好ましい(SAITO, Biosci Biotechnol Bioche
Vol.65,No4 ポリアクリルアミド電気泳動.884−887 200
1)。
【0007】本発明において、大豆から分画した7Sた
ん白とは、上記何れかの方法で分画した7Sたん白で、
7Sグロブリンの純度が40%以上、好ましくは60%
以上、より好ましくは80%以上、更に好ましくは85
%以上、最も好ましくは90%以上の7Sたん白を云
う。大豆7Sたん白水和物とは、分画した7Sたん白
と、必要に応じて澱粉類やシーズニング等を、水と混合
しボールカッターやサイレントカッターなどで水和した
ものを云う。
【0008】本発明は7Sたん白に対し澱粉類,糖質を
併用しても良い。本発明では生地に調味することも出来
る。生地に対し油脂、香辛料,調味料等を加えることが
可能である。
【0009】加圧高温加熱とは、典型的にはレトルト殺
菌に代表される殺菌方法で、好ましくは、100℃〜1
30℃、より好ましくは、105〜121℃で殺菌する
のが良い。
【0010】大豆7Sたん白水和物中の7Sたん白の含
量は、所望する食品の硬さなどにより、適宜調整するこ
とができ、5〜14重量%程度、好ましくは8〜12%
である。大豆7Sたん白含量が少ないと、ゲル形成が不
十分になるおそれがあり、また14%を超えると脆さが
でるため嚥下困難者に対しては好ましくない。
【0011】
【実施例】以下に、本発明の有効性を実施例と共に示す
が、これらの例示によって本発明の技術思想が限定され
るものではない。 (製造例1) 〔工業的に分画した7Sたん白(T−1)の調製〕低変
性脱脂大豆1重量部に、10重量部の抽出水を加え、室
温、pH7.0において1時間抽出後、遠心分離し脱脂
豆乳を得た。この脱脂豆乳を塩酸にてpH4.8に調整した
後、50℃になるように加温を行った。pH調整した脱脂豆
乳が50℃に達した後、直ちに45℃付近まで冷却し、苛性
ソーダでpH5.8に調整してバッチ式遠心分離機(1,000
G)で遠心分離した。この時可溶性画分と不溶性画分は
明確に分離した。なお、遠心分離時の溶液温度は40℃付
近であった。得られた可溶性画分を40℃になるように加
温した後、蛋白重量あたり8unit 相当のフィターゼ(ノ
ボ社製「PHYTASE NOVO L」)を加え、30分間酵素反応を
行った。反応後、塩酸にてpH4.9に調整し、遠心分離(
4,000r.p.m.,20℃で10分間) してホエ
ー画分を除き、沈澱カードを得た。沈澱カードは加水
(4倍重量)し、苛性ソーダでpH7.0に中和し、140
℃ 15秒間殺菌し、これを噴霧乾燥して、7Sたん白
(以下T−1と云う。)を得た。T−1の水分は4.8
%で、、粗蛋白質は98.1%/乾物と蛋白含量は高
く、7Sグロブリン純度は97%と高く、クロメタ油分
は0.7%と低く、フィチン酸は0.06%と低い風味
良好な7Sたん白である。 但し、粗蛋白質;:ケールダール法に基づき窒素含量を
求め、係数6.25をかけて粗蛋白質に換算した。 フィチン酸;Alii Mohamed の方法(Cereal Chemistry
63,475-478.1986)に準拠して測定した。 クロメタ油分;乾物試料に対してクロロホルム・メタノ
ールの混合液(容量比、2:1)を約50倍加え、16
0℃にて抽出される固形分をクロメタ油分として測定し
た。
【0012】(比較例1)T−18部に水92部を添加し
フードカッターで撹拌混合し脱泡後容器に充填し、90℃
の温浴中で1時間加熱を行い、水冷後一晩冷蔵し官能評
価を行った。
【0013】(実施例1)T−110部に水90部を比較例
1と同様の方法で生地調製し容器に充填し、105℃0.5Kg
/cm260分レトルト加熱処理を行い一晩冷蔵し官能評価を
行った。
【0014】(実施例2)T−112部に水88部を比較例
1と同様の方法で生地調製し容器に充填し、115℃2Kg/c
m240分レトルト処理を行い一晩冷蔵し官能評価を行っ
た。
【0015】(実施例3)T−112部にトレハロース10
部、水78部を比較例1と同様の方法で生地調製し容器に
充填し、115℃2Kg/cm240分レトルト処理を行い一晩冷蔵
し官能評価を行った。
【0016】各官能評価を表1に記す。 (表1) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 官能評価結果 判定 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 比較例1 均一で適度な硬さはあるが、べたつきが強く喉通りの悪い 不可 実施例1 良好な硬さで、べたつかない 良 実施例2 良好な硬さで、べたつかない 良 実施例3 良好な硬さで、べたつかない。レトルト臭も低減される 良 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0017】比較例1と実施例2について物性測定を行
った。測定条件は、Texture Analysar TA-XT2i (Stabl
e Micro System社製)を使用し、φ20mm円柱プランジャ
ー、圧縮速度2mm/sec50%圧縮、2回挿入しT.P.A解析を行
った。硬さは1回目挿入時の最大荷重を取った。凝集性
は2回目のピーク面積/1回目のピーク面積から算出し
た。付着性の測定方法は以下の通りである。ステンレス
製スパテラに約3g取り、垂直に30秒間保持した後、スパ
テラに残存したゲルの重量を測定した。これを5回行
い、最低値と最高値を除いた3回の値を平均し、その平
均値を最初にスパテラに計り取った重量で除し、百分率
で表した値を付着率とする。この付着率の値は官能評価
とよく相関するものであった。結果を表2に記す。 (表2) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 硬さ(gf) 凝集性 付着率 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 比較例1 7.7 0.96 25 実施例2 5.6 0.95 15 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 硬さや凝集性は大きな差異が無いが、付着率が比較例1
は高い為、嚥下しがたいが、実施例2は付着率が低いの
で、嚥下しやすいことがわかった。
【0018】
【発明の効果】実施例1,2,3のとおり、本発明は、
嚥下困難者が好ましい形で栄養成分や水分の摂取できる
嚥下困難者用食品を得ることが出来る。また、レトルト
加熱処理を行なっている為保存性にも優れた食品であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 廣塚 元彦 大阪府泉佐野市住吉町1番地 不二製油株 式会社阪南事業所内 Fターム(参考) 4B018 MD20 MD58 ME14

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 大豆7Sたん白水和物を加圧高温加熱す
    ることを特徴とする嚥下困難者用食品の製造法。
  2. 【請求項2】 大豆7Sたん白が5重量%以上含有され
    る請求項1記載の製造法。
  3. 【請求項3】 加圧高温加熱が100℃〜130℃であ
    る請求項1または2記載の製造法。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかの製造法で得た
    嚥下困難者用食品。
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