JP2003283064A - セラミック回路基板及びその製造方法 - Google Patents

セラミック回路基板及びその製造方法

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JP2003283064A
JP2003283064A JP2002087056A JP2002087056A JP2003283064A JP 2003283064 A JP2003283064 A JP 2003283064A JP 2002087056 A JP2002087056 A JP 2002087056A JP 2002087056 A JP2002087056 A JP 2002087056A JP 2003283064 A JP2003283064 A JP 2003283064A
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mass
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ceramic
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JP2002087056A
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Tomoo Tanaka
智雄 田中
Masaya Ito
正也 伊藤
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NGK Spark Plug Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐熱サイクル性及びエッチング性に優れてお
り、更に、エッチングに要する時間を短縮できるセラミ
ック回路基板及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 本回路基板はセラミック基板上にCuを
主成分とした金属回路層及び放熱層のうちの少なくとも
金属回路層がろう材によって各々接合されており、上記
ろう材は、6.0〜60%のSn、2.0〜9.5%の
Ti、Nb、Hf及びZrのうちの少なくとも1種、及
び残部Cuとからなり、Agを含有しない。ろう材は更
に、5.1%以下のY及び/又はY化合物(Y
等)を含有することができる。本回路基板は、セラミ
ック基板に上記ろう材を用いて接合し、接合された金属
回路板及びそれに対応するろう材層をパターン形成して
金属回路を形成し、ろう材及びセラミッ基板の基材との
反応によって形成された導電性の反応層のうち上記金属
回路のパターン間により露出した部分を除去して製造さ
れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はセラミック回路基板
及びその製造方法に関する。更に詳しくは、耐熱サイク
ル性及びエッチング性に優れており、更に、エッチング
に要する時間を短縮することができるセラミック回路基
板及びその製造方法に関する。本発明のセラミック回路
基板は、半導体装置、産業用電装部品、自動車用電装部
品等に広く利用される。
【0002】
【従来の技術】従来より、半導体装置等に使用される回
路基板としてアルミナ焼結体、窒化アルミニウム焼結
体、窒化珪素焼結体等のセラミック絶縁板(以下、セラ
ミック基板とする。)の表面に導電性を有する金属回路
板を接合し、その上に半導体素子を搭載したセラミック
回路基板が普及している。近年、このようなセラミック
回路基板を使用した半導体装置の高出力化、半導体素子
の高集積化が急速に進行し、セラミック回路基板に繰り
返して作用する熱応力や熱負荷も増加する傾向があり、
セラミック回路基板に対しても上記熱応力や熱サイクル
に対して十分な耐熱サイクル性と耐久性、放熱性が要求
される。そこで、放熱性を高めるため、上記金属回路板
の他に金属の放熱板を接合したセラミック回路基板が知
られている。更に、これらの金属回路板や放熱板を接合
する方法として、DBC接合や、AgCuろう材を使用
する方法が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この従来の接
合方法では、半導体装置の高出力化、半導体素子の高集
積化による熱応力や熱負荷の増加に十分に対応できない
場合がある。その理由として以下のことが挙げられる。
即ち、これら半導体装置において、半導体Siチップ実
稼動温度(約200℃)から非稼動温度(室温〜使用環
境下によっては−40℃)の熱サイクル(熱応力)がセ
ラミック回路基板に負荷され、更に、熱膨張係数差に起
因する残留応力も加わる。そこで、DBC接合の場合、
上記応力に耐えるだけの十分な力を持っていない。この
ため、金属回路層は接合剥離を起こしやすい。また、A
gCuろう材で接合したセラミック回路基板の場合、セ
ラミック層/金属層界面にろう材層(主にAgCu共晶
相)が形成され、一般的に、共晶合金は延性に乏しく、
更に、Ag基であるためろう材層の耐力が小さい。これ
により、耐熱サイクル性に最も左右する反応層が熱サイ
クルにより疲労しやすい。従って、AgCuろう材で接
合したセラミック回路基板は、その部分から破壊(接合
力劣化)を引き起こしやすい。このため、金属回路層は
接合剥離を起こしやすい。
【0004】また、上記AgCuろう材で接合する方法
では、エッチング工程に長い時間を要するという問題点
がある。それは以下の理由による。即ち、上記ろう材層
はAg基であるため、塩化鉄溶液でのエッチング工程に
おいてはAgCuろう材層を溶解することができず、セ
ラミック層上に残存することとなり、例えば硝酸系溶液
により、ろう材層の除去を別途行わなければならない。
このとき、AgCuろう材層の厚さは数十μmであるた
め、これらを除去するのに時間がかかるからである。更
に、上記エッチング工程のとき、AgCuろう材層の溶
解時には金属回路層のCuも同時に溶解しており、長時
間要す場合にはパターン精度を悪化させることとなる。
そこで、工数の削減法として、ろう材を予め回路パター
ンで印刷を行い、接合、エッチングを行う手法が考えら
れるが、印刷パターンとエッチングパターンのずれによ
り未接合部が生じ回路基板として信頼性の低いものとな
る。
【0005】そこで、本発明は、上記問題点を解決する
ためになされたものであり、耐熱サイクル性及びエッチ
ング性に優れており、更に、エッチングに要する時間を
短縮することができるセラミック回路基板及びその製造
方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明のセラミック回路
基板は、 セラミック基板上にCuを主成分とした金属
回路層及び放熱層のうちの少なくとも金属回路層が活性
金属を含んだろう材を用いた活性ろう付けによって接合
されているセラミック回路基板において、該ろう材は、
該ろう材の全質量を100質量%とした場合、6.0〜
60質量%のSnと、2.0〜9.5質量%のTi、N
b、Hf及びZrのうちの少なくとも1種(以下活性金
属とする。)と、残部Cuとからなり、Agを含有しな
いことを特徴とする。また、上記ろう材は、更にY及び
Y化合物のうちの少なくとも1種を含有し、該ろう材の
全質量を100質量%とした場合、Y質量換算で5.0
質量%以下とすることができる。更に、本発明のセラミ
ック回路基板の製造方法は、セラミック基板上にCuを
主成分とした金属回路板及び放熱板のうちの少なくとも
金属回路板を、全質量100質量%に対して、6.0〜
60質量%Sn、2.0〜9.5質量%Ti、Nb、H
f、及びZrのうちの少なくとも1種、及び残部Cuか
らなり、Agを含有しない金属組成となるろう材層を介
して配置した後、活性ろう付けによって接合し、その
後、接合された金属回路板をパターン形成して所定の金
属回路を形成し、次いで、該金属回路のパターン間に露
出した上記ろう材及びセラミック基板の基材との反応に
よって形成された導電性の反応層を除去することを特徴
とする。また、上記ろう材は、更にY及びY化合物のう
ちの少なくとも1種を含有し、該Y及びY化合物のうち
の少なくとも1種を含むろう材の全質量を100質量%
とした場合、Y質量換算で5.0質量%以下とすること
ができる。更に、上記ろう材層は、上記ろう材の組成を
有する合金粉末又は上記ろう材の組成を構成する各種金
属単体からなる金属粉末を含有するペーストを塗布する
ことにより作製されたものとすることができる。また、
上記ろう材層は、上記ろう材の組成を有する合金箔によ
り作製されたものとすることができる。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のセラミック回路基板は、セラミック基板上にC
uを主成分とした金属回路層及びCuを主成分とした放
熱層、或いは、セラミック基板上にCuを主成分とした
金属回路層のみがろう材により接合されたものであり、
上記「Cuを主成分とする」の意味は、通常、Cu80
質量%以上、好ましくは90質量%以上(100質量%
を含む。)である。このセラミック基板の材料として、
アルミナ、窒化アルミニウム、炭化珪素等を使用するこ
とができる。
【0008】また、上記ろう材は、Snと、Ti、N
b、Hf及びZrのうちの少なくとも1種(以下活性金
属とする。)と、Cuとからなり、Agを含有しないの
もである。また、それらの含有割合は、この材層の全質
量を100質量%とした場合、6.0〜60質量%、好
ましくは9〜55質量%、より好ましくは15〜50質
量%、更に好ましくは28〜40質量%Sn、2.0〜
9.5質量%、好ましくは2.0〜8.0質量%、より
好ましくは3.0〜5.0質量%、更に好ましくは3.
5〜5.0質量%活性金属、及び残部Cuからなる。こ
こで、これらの活性金属のうち、Tiが好ましい。
【0009】即ち、本発明のセラミック回路基板におい
て、ろう材層をCu基とすることにより、金属回路層と
セラミック層との耐力耐熱サイクル性を向上させ、更
に、エッチングの際に、接合された金属回路板と、それ
に対応するろう材層とを同時にパターン形成することが
できる。このとき、Snの含有量が5.9質量%未満の
場合、接合されるCuを主成分とする金属回路板より融
点を低くすることが困難であり、ろう材溶解時に十分な
流動性を確保することが困難であるため、好ましくな
い。更に、Snの含有量が60質量%を超える場合、上
記ろう材層と上記セラミック層との耐熱サイクル性が低
下するため、好ましくない。また、活性金属の含有量が
1.9%未満の場合、上記活性金属とセラミック層との
反応による接合強度、及びセラミックへのろう材濡れ性
が不十分であり、更に、活性金属の含有量が9.5質量
%を超える場合、耐熱サイクル性が低下するため、好ま
しくない。また、このセラミック回路基板は、上記ろう
材の金属組成を6.0〜60質量%Sn且つ2.0〜
9.5質量%Ti、好ましくは6.0〜60質量%Sn
且つ2.0〜8.0質量%Ti、より好ましくは6.0
〜60質量%Sn且つ2.0〜5.0質量%Ti、更に
好ましくは10.5〜60質量%Sn且つ2.0〜7.
0質量%Ti、特に好ましくは15.0〜50.0質量
%Sn且つ3.0〜5.0質量%Tiとすることができ
る。
【0010】更に、上記ろう材はY及び/又はY化合物
(以下、Y等とする。)を含有することができる。ここ
で、Y化合物とはC,N,O,F,Cl,H等からなる
化合物が挙げられ、例えばY窒化イットリウム、
炭化イットリウム、フッ化イットリウム、塩化イットリ
ウム、炭酸イットリウム等が好ましい。これらのY等は
1種のみ用いてもよく、2種以上を併用しても良い。ま
た、上記Y等の含有量は、Y質量換算(本明細書におい
て、以下同じ。)において5.0質量%以下、好ましく
は1〜5質量%、より好ましくは2〜4質量%とするこ
とができる。即ち、Y等の含有量が5.0質量%を超え
ると、接合強度の向上を図ることが困難であり、これに
より、十分な耐熱サイクル性を得ることが困難なため好
ましくない。また、上記ろう材の金属組成を、ろう材の
全質量を100質量%とした場合、8.5〜55質量%
Sn、且つ、0.5〜5.0質量%Y等、且つ、2〜9
質量%Ti、好ましくは9〜55質量%Sn、0.5〜
5.0質量%Y等、且つ、2.0〜8.5質量%Ti、
より好ましくは15〜50質量%Sn、0.5〜4.5
質量%Y等、且つ、2.0〜8.5質量%Ti、更に好
ましくは23〜50質量%Sn、3.5〜4.0質量%
Y等、且つ、3.0〜4.0質量%Tiとすることがで
きる。
【0011】次に、本発明のセラミック回路基板の製造
方法について説明する。まず、アルミナ、窒化アルミニ
ウム、炭化珪素等により形成されたセラミック基板上に
Cuを主成分とした金属回路板及び放熱板、或いは、C
uを主成分とした金属回路板をろう材より接合する。こ
のとき、金属回路板又は放熱板として、厚さ0.1〜
0.6mm程度のものを使用することができる。
【0012】また、上記「所定の金属組成となるろう
材」としては、これを使用する各金属原料が上記所定の
金属組成割合になるように、この所定の原料を選択使用
すればよい意味である。このろう材の態様としては、例
えば、(1)各種金属単体粉末の混合、(2)所定の金
属組成となる合金粉末単独、(3)2種以上の金属の合
金粉末同士との混合、又はこの合金粉末と各種金属単体
粉末との混合、(4)所定の金属組成になるように組成
された金属箔、(5)更にはこられの組み合わせ等が挙
げられる。尚、上記金属粉末のうち活性金属(Ti等)
の場合は、その一部又は全部をその水素化物粉末に置き
換えてもよい。この場合、活性純金属の水素化物粉末又
は活性金属からなる合金の水素化物粉末等を用いてもよ
い。更に、ろう材において、Y等を含有する場合であっ
ても、このYとして、上記に示すように、金属単体粉
末、他の金属元素との合金粉末若しくは合金箔、それら
の組み合わせ等として使用することができる。また、Y
化合物としては、C,N,O,F,Cl,H等からなる
化合物が挙げられ、例えばY、窒化イットリウ
ム、炭化イットリウム、フッ化イットリウム、塩化イッ
トリウム、炭酸イットリウム等が好ましい。これらY等
は1種のみ用いてもよく、2種以上を併用しても良い。
【0013】また、上記ろう材の形態として、金属粉末
を含有するペースト(以下ペーストろう材とする)又は
合金箔(以下、ろう材箔とする)等を使用することがで
きる。
【0014】このペーストろう材は、上記金属粉末を溶
剤、バインダの中に分散させることによって作製され
る。上記溶剤としてブチルカルビトールアセテート、テ
ルピノール等が挙げられる。これらの溶剤は1種のみ用
いてもよく、2種以上を併用しても良い。バインダとし
てエチルセルロース、ポリメチルメタクリレート等が挙
げられる。これらのバインダは1種のみ用いてもよく、
2種以上を併用しても良い。この金属粉末の粒径は5〜
70μmとすることができる。
【0015】また、上記ろう材箔として、各々の金属元
素が上記所定の割合で含有しているものを使用すること
ができる。更に、このろう材箔は、厚さ10〜60μm
のものを使用することができる。
【0016】上記セラミック基板と上記金属回路板及び
放熱板との接合は、ペーストろう材を使用する場合、こ
のペーストろう材をセラミック基板の両面又は片面に印
刷、乾燥後、真空下で上記セラミック基板の両面に各々
金属回路板、放熱板を配置し、或いは、片面のみにペー
ストろう材が印刷されているときは、ペーストろう材が
印刷された面に金属回路板を配置し、その状態で加熱す
ることにより行うことができる。このとき、加熱すると
きの気圧は約1×10−4〜9×10−4torrとす
ることが好ましい。加熱温度は800〜1070℃、好
ましくは850〜1070℃とすることができる。ま
た、ろう材箔で接合する場合、上記セラミック基板の両
面又は片面に、このろう材箔を載せ、その後、ペースト
ろう材の場合と同様の方法で接合することができる。
【0017】次に、接合された上記金属回路板及びそれ
に対応するろう材層をエッチングすることにより、セラ
ミック回路基板が得られる。このエッチングは、例え
ば、次に示された方法により行う。即ち、まず、上記エ
ッチングを行う面にエッチングレジストを印刷し、塩化
第2鉄水溶液等のエッチング液を用いて、接合された上
記金属回路板及びそれに対応するろう材層のパターン形
成を行う。次いで、上記接合したときのろう材(未反応
Ti)や、ろう材と上記セラミック基板の基材との反応
により、上記ろう材層の下層に厚さ数μmの導電性のT
iN等の反応層が生成されているので、このろう材及び
反応層のうちの金属回路のパターン間に露出した部分を
除去して絶縁形成を行う。この絶縁形成は、硝酸や過酸
化水素水、硫酸を添加したフッ酸系溶液(例えば、フッ
化水素溶液、フッ化アンモニウム等)、好ましくはフッ
化水素溶液の中にパターン形成されたセラミック回路基
板を浸漬することによって行うことができる。
【0018】大気中において、150℃30分→室温1
5分→−40℃30分→室温30分を1サイクルとした
場合における2000サイクル後のクラックの長さを比
較した場合、DBC基板では金属回路が剥離してしまう
のに対し、上記セラミック回路基板は、例えば窒化珪素
を用いた接合回路基板において120μm以下好ましく
は100μm以下、より好ましくは90μm以下、更に
好ましくは80μm以下、特に好ましくは60μm以下
とすることができる。従って、耐熱サイクル性が優れた
セラミック回路基板を得ることができる。特に、このセ
ラミック回路基板は、上記ろう材の金属組成を6.0〜
60質量%Sn且つ2.0〜9.5質量%Tiとするこ
とにより、例えば窒化珪素を用いた接合回路基板におい
て、クラックの長さを98μm以下とすることができ
る。更に、この金属組成を(1)6.0〜60質量%S
n且つ2.0〜8.0質量%Tiの場合、例えば窒化珪
素を用いた接合回路基板において、クラックの長さを9
5μm以下、(2)6.0〜60質量%Sn且つ2.0
〜5.0質量%Tiの場合、例えば窒化珪素を用いた接
合回路基板において、クラックの長さを83μm以下、
(3)10.5〜60質量%Sn且つ2.0〜7.0質
量%Tiの場合、例えば窒化珪素を用いた接合回路基板
において、クラックの長さを85μm以下、(4)1
5.0〜50.0質量%Sn且つ3.0〜5.0質量%
Tiの場合、例えば窒化珪素を用いた接合回路基板にお
いて、クラックの長さを72μm以下とすることができ
る。
【0019】また、DBC基板では金属回路が剥離して
しまうのに対し、上記ろう材層がY及び/又はY化合物
を上記所定の割合で含有するものである場合、例えば窒
化珪素を用いた接合回路基板において、クラックの長さ
を100μm以下、好ましくは70μm以下、より好ま
しくは60μm以下、更に好ましくは50μm以下とす
ることができ耐熱サイクル性がより優れたセラミック回
路基板を得ることができる。更に、上記ろう材の金属組
成を、8.5〜55質量%Sn、且つ、0.5〜5.0
質量%Y等、且つ、2〜9質量%Tiとすることによ
り、例えば窒化珪素を用いた接合回路基板において、ク
ラックの長さを100μm以下とすることができる。特
に、この金属組成が(1)9〜55質量%Sn、0.5
〜5.0質量%Y等、且つ、2.0〜8.5質量%Ti
の場合、クラックの長さを85μm以下、(2)15〜
50質量%Sn、0.5〜4.5質量%Y等、且つ、
2.0〜8.5質量%Tiの場合、クラックの長さを8
1μm以下、(3)23〜50質量%Sn、3.5〜
4.0質量%Y等、且つ、3.0〜4.0質量%Tiの
場合、クラックの長さを46μm以下とすることができ
る。
【0020】また、本発明のセラミック回路基板の製造
方法によれば、絶縁形成は、セラミック基板を硝酸や過
酸化水素水、硫酸を添加したフッ酸系溶液に数秒、浸漬
するだけで、行うことができる。これにより、エッチン
グ工程の時間短縮を図ることができる。更に、絶縁形成
エッチングの際にCuの溶解を最小限に抑えることが可
能となり、結果、回路形成後のパターン間の距離・精度
・外観に優れるものとなる。
【0021】
【実施例】以下、本発明を具体化した実施例について説
明する。 1.実施例のセラミック回路基板の作製 実施例として、上記所定の金属が上記所定の割合で含有
されたろう材で接合されたセラミック回路基板(実施例
1〜37)を、次の方法により作製した。即ち、まず、
セラミック基板に金属回路及び放熱板、又は金属回路板
のみをろう材で接合した。このセラミック基板として表
1〜5に示される材料、厚さのものを使用し、更に、面
の大きさは縦30mm、横60mmとした。また、この
金属回路板、放熱板として、面の大きさは縦30mm、
横60mmであって、表1〜5に示される厚さの無酸素
銅板を用いた。
【0022】また、このろう材として、金属粉末のペー
スト(以下、ペーストろう材)又は合金箔(厚さ30μ
m、以下、ろう材箔)を使用した。この金属粉末又はろ
う材箔に含有されている各金属元素、及びその含有割合
を表1〜5に示した。ここで、この金属粉末として、各
種金属単体粉末を秤量したもの(粒径5〜70μm)、
又は各金属元素を含有する合金粉末(粒径5〜70μ
m)を使用した。また、このペーストろう材の調整は、
上記金属粉末を溶剤(テルピノール)及びバインダ(エ
チルセルロース)に混合することにより行った。尚、表
2〜5の「ろう材の種類」の欄において、ペーストろう
材を用いたものは、いずれの金属粉末を使用したかを示
し、ろう材箔を使用したものは「ろう材箔」とした。
【0023】
【表1】
【0024】
【表2】
【0025】
【表3】
【0026】
【表4】
【0027】
【表5】
【0028】また、上記接合は、ペーストろう材の場
合、セラミック基板の両面又は片面にペーストろう材を
印刷・乾燥後、セラミック基板の両面に金属回路板及び
放熱板を配置し、或いは、上記セラミック基板の一方の
面のみに金属回路板を配置して、気圧10−4torr
の状況下で、表1〜5に示される条件で加熱することに
より行った。更に、ろう材箔の場合、上記合金箔をセラ
ミック基板の両面又は片面に配置し、その後、上記ペー
ストろう材の場合と同様の方法により行った。
【0029】次に、上記セラミック基板に接合された金
属回路板及びそれに対応するろう材層エッチングを次の
ように行った。即ち、まず、互いに隣り合っているパタ
ーンの間隔が1mmとなるようにエッチングレジストを
印刷し、その後、上記セラミック基板を塩化第2鉄水溶
液に浸漬してパターン形成を行った。その結果(浸漬時
間)を、表1、3〜5の「エッチング時間」における
「パターン形成」の欄に示した。次いで、接合したとき
におけるろう材及びセラミック基板の基材との反応によ
り上記ろう材層の下層に厚さ数μmの導電性のTiN等
の反応層等が生成されているので、上記セラミック基板
をフッ化水素系溶液に浸漬して、パターン間の絶縁形成
を行った。その結果(フッ化水素系溶液の浸漬時間)
を、表1、3〜5の「エッチング時間」における「絶縁
形成」の欄に示した。
【0030】2.比較例のセラミック回路基板の作製 比較例1〜6、13として、AgCu系ろう材により接
合されたセラミック回路基板を本実施例と同様の方法に
よって作製し、パターン形成の時間及び絶縁形成の時間
を表1、3示した。また、比較例7〜12、15〜28
として、上記所定の金属を使用しているが、その含有割
合が上記所定の割合から外れているろう材により接合さ
れたセラミック回路基板を本実施例と同様の方法によっ
て作製し、パターン形成の時間及び絶縁形成の時間を表
3〜5に示した。更に、比較例14として、1070℃
×40分、1×10−4torrの状況下でDBC接合
を行ったものも作製した。また、比較例29〜34とし
て、AgCu系ペーストろう材により予め回路パターン
で印刷された試料を次のように作製した。即ち、表6に
示される材料及び厚さのセラミック基板に、表6に示さ
れる組成のAgCu系ペーストろう材を回路パターンと
同パターンで印刷・乾燥した。そして、上記セラミック
基板上に金属回路板及び放熱板を接合し、接合された金
属回路板及び放熱板の上にペーストろう材印刷とずれな
いようにエッチングレジストを印刷し、エッチングを行
った。
【0031】
【表6】
【0032】3.評価 (1)エッチング精度の評価 上記接合されたセラミック基板のパターン形成を行った
後、及び絶縁形成を行った後におけるパターン間の距離
を投影機により測定を行った。更に、パターン直線性
と、金属回路層1におけるエッチングダレ11(図2参
照)の発生具合とを目視により観察し、その結果を表2
に示した。尚、「直線性」の欄において、目視により直
線性が優れているものを「○」、劣っているものを
「×」とし、「ダレ」の欄において、目視によりエッチ
ングダレ11が確認されたものを「×」、確認されなか
ったものを「○」とした。
【0033】(2)パターンずれの観察(比較例の試料
の評価) AgCu系ペーストろう材が予め回路パターンで印刷さ
れたセラミック回路基板(表6の比較例29〜34)に
ついて、パターン形成後に断面観察を行い接合パターン
とエッチングパターンとのずれを測定した。その結果を
表6に示した。
【0034】(3)熱サイクル試験(クラックの長さの
測定) 表3〜5に示された組成のAgCuろう材(表3、比較
例13)CuSnTiろう材(表3)、CuSnTiY
ろう材(表4)、活性金属としてNb、Hf、Zrを用
いたろう材(表5)、及びDBC接合によって接合され
た試料(表3、比較例14)を大気中150℃30分→
室温15分→−40℃30分→室温15分を1サイクル
として2000サイクルの熱サイクルを加え、その後、
切断して界面観察を行い、金属回路層/セラミック層界
面におけるクラック長さを測定した。
【0035】3.実施例の効果 表1、3によれば、AgCu系ろう材で接合した場合
(比較例1〜6、13)、絶縁形成を行うのにセラミッ
ク基板を5分間フッ化水素溶液に浸漬しなければならな
い。即ち、AgCu系ろう材の場合、パターン形成を行
ったとき、数十μmの厚さのAgCu系ろう材層はエッ
チングされずに残っているため、絶縁形成の際にこれを
除去するのに数分がかかるからである。そこで、表6に
示されるように、予め回路パターンと同パターンでAg
Cu系ろう材を印刷することにより、絶縁形成の工程の
省略化を図ったが(比較例29〜34)、このように接
合されたセラミック基板は、全ての試料で接合パターン
とエッチングパターンとのずれが認められ、そのずれは
0.2〜1mmとなり、セラミック層と金属回路層との
未接合部に及んでいる。これにより、これらはセラミッ
ク回路基板として、信頼性にかけるものである。従っ
て、予め回路パターンと同パターンでAgCu系ろう材
を印刷することにより、絶縁形成の工程を省略すること
は困難であることが判る。
【0036】これに対し、CuSnTiろう材、CuS
nTiYろう材又は上記ろう材のTiを他の活性金属に
置き換えたろう材で接合した場合(実施例1〜37、比
較例7〜12、15〜20)、試料をわずか20秒間フ
ッ化水素系溶液に浸漬するだけで、絶縁形成を行うこと
ができる。即ち、CuSnTiろう材又はCuSnTi
Yろう材の場合、ろう材層がCu基であるため、パター
ン形成の際にそのほとんどが除去されるからである。更
にこのとき、接合時における上記ろう材とセラミック基
板との反応により上記ろう材層の下層に生成された反応
層等が残るが、この厚さはわずか数μmであるので、試
料をわずか数十秒間フッ化水素系溶液に浸漬するだけ
で、これらは除去できる。従って、本発明のセラミック
回路基板の製造方法は、エッチング工程の時間短縮を図
ることができる。
【0037】また、表2によれば、従来のAgCu系ろ
う材で接合した場合(比較例1〜6)、絶縁形成後にお
けるパターン間距離は1.25mm以上であり、レジス
トで印刷したパターン間距離(1.00mm)よりも2
5%以上も大きい。また、金属回路層1(図1、2参
照)におけるパターンの直線性は良くないことが確認さ
れ、更に、図2に示すエッチングダレ11がおきている
ことが確認された。これにより、エッチング精度があま
り良くないことが判る。
【0038】これに対し、CuSnTiろう材又はCu
SnTiYろう材で接合した試料の場合(実施例1〜
6)、絶縁形成後におけるパターン間距離は1.10m
m以下であり、レジストで印刷したパターン間距離
(1.00mm)よりも最大10%大きいだけである。
また、金属回路層1におけるエッチングパターンの直線
性が良かった。更に、図2示すエッチングダレ11は確
認されず、図1に示されるように、金属回路層1は鋭く
エッチングされていることが確認された。これにより、
本発明のセラミック回路基板(実施例1〜6)は、エッ
チング精度が良いことが判る。
【0039】また、表3に示において、AgCu系ろう
材で接合した試料(比較例13)の場合、クラックの長
さが215μmとなり、クラックの長さがかなり大き
い。また、DBCにより接合された試料の場合(比較例
14)、回路金属は剥離してしまう。また、表3、4に
おいて、CuSnTiろう材又はCuSnTiYろう材
で接合された試料であっても、Sn、Ti、Yの含有量
が所定の割合(Sn質量6.0〜60%、Ti2.0〜
9.5質量%、Y5質量%以下、残部Cu)ではない場
合(比較例13〜24)、クラックの長さが120μm
以上と比較的大きい。これにより、耐熱サイクル性が十
分でない場合がある。これに対し、表3、4に示される
ように、Sn、Ti、Cuが上記所定の割合で含有する
ろう材の場合(実施例7〜29)、クラックの長さを1
20μm以下とすることができる。従って、耐熱サイク
ル性が十分大きいセラミック回路基板が得られることが
判る。
【0040】また、表3に示されるように、Sn及びT
iの含有量を15〜45質量%Sn、3.0〜4.0質
量%Tiとすることにより(実施例11〜14、17〜
19)、クラックの長さを45〜72μmとすることが
できる。更に、Sn及びTiの含有量を23〜33質量
%Sn、4.0〜5.0質量%Tiとすることにより
(実施例17〜19)、クラックの長さを45〜64μ
mとすることができる。これにより、耐熱サイクル性が
優れていることが判る。
【0041】また、表4に示されるように、更に、Yが
所定の割合で含有されたろう材の場合、クラックの長さ
を100μm以下にすることができる。これにより、Y
を所定の割合で含有することにより、耐熱サイクル性の
優れたセラミック回路基板を得ることができる。
【0042】更に、表4において、Sn、Ti及びYの
含有量を15〜55質量%Sn、2.0〜8.5質量%
Ti、0.5〜5.0質量%Yとした場合(実施例2
1、23〜25、27〜29)、クラックの長さを40
〜75μmとすることができる。また、Sn、Ti及び
Yの含有量を23〜50質量%Sn、3.0〜4.0質
量%Ti、3.5〜4.0質量%Yとした場合(実施例
24、25、27、29)クラックの長さを40〜46
μmとすることができ、Yを含有していないろう材と比
較して、耐熱サイクル性がより優れたセラミック回路基
板を得ることができる。
【0043】また、表5に示されるように、活性金属と
してNb、Hf、Zrを使用したろう材の場合(実施例
30〜37)であっても、クラックの長さを120μm
以下にすることができる。従って、活性金属としてN
b、Hf、Zrを使用しても、耐熱サイクル性が十分大
きいセラミック回路基板が得られることが判る。
【0044】尚、本発明において、上記具体的実施例に
限定されず、目的、用途に応じて、本発明の範囲内で種
々変更した実施例とすることができる。例えば、本実施
例では、活性金属の純金属粉末を使用したが、その純金
属粉末以外にその水素化物粉末を用いることができる。
更に、本実施例では、各々の金属を上記所定の割合で含
有した合金粉末を使用したが、合金粉末に含有されてい
る活性金属の一部又は全部をその水素化物とすることが
できる。更に本実施例では、Yの純金属粉末を使用した
が、それ以外に、Y粉末等のY化合物粉末を使用
することができる。また、セラミック基板、金属回路板
及び放熱板の面の大きさは必ずしも(30×60)mm
とする必要はなく、セラミック基板、金属回路板及び
放熱板の厚さも設計に応じて、適宜変えることができ
る。また、回路パターンを形成する場合において、互い
に隣り合っているパターン間の距離を1mmにする必要
はなく、用途に応じて任意の回路パターンを形成しても
良い。
【0045】
【発明の効果】本発明は、強力な熱サイクルがかかって
もセラミック層と金属回路層との界面にクラックが発生
しにくいため、耐熱サイクル性が優れたセラミック回路
基板を提供することができる。また、本発明は、互いに
隣り合っているパターン間の距離を1mmとなるように
エッチングレジストを印刷した場合、そのパターン間の
距離を1.10以下にすることができる。更に、エッチ
ングダレが起こりにくく、直線性が優れている。従っ
て、エッチングの精度が良いセラミック回路基板を提供
することができる。更に、本発明のセラミック回路基板
の製造方法は、パターン形成の際にろう材層のほとんど
が除去されるので、エッチング工程の時間短縮を図るこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のセラミック回路基板のエッチング性能
を示す説明断面図である。
【図2】従来のセラミック回路基板のエッチング性能を
示す説明断面図である。
【符号の説明】 1;金属回路層、2;セラミック基板、11;エッチン
グダレ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H05K 3/06 H05K 3/06 A Fターム(参考) 4G026 BA03 BA14 BA16 BB17 BB23 BF11 BF17 BF24 BF42 BF44 BG02 BG23 BH07 5E338 AA02 AA18 CC08 CD23 EE02 EE32 5E339 AB06 AD03 BC02 BD03 BD06 BD11 BE13 CC02 CD01 CE13 CE18 GG02

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セラミック基板上にCuを主成分とした
    金属回路層及び放熱層のうちの少なくとも金属回路層が
    活性金属を含んだろう材を用いた活性ろう付けによって
    接合されているセラミック回路基板において、 該ろう材は、該ろう材の全質量を100質量%とした場
    合、6.0〜60質量%のSnと、2.0〜9.5質量
    %のTi、Nb、Hf及びZrのうちの少なくとも1種
    と、残部Cuとからなり、Agを含有しないことを特徴
    とするセラミック回路基板。
  2. 【請求項2】 上記ろう材は、更にY及びY化合物のう
    ちの少なくとも1種を含有し、該ろう材の全質量を10
    0質量%とした場合、Y質量換算で5.0質量%以下で
    ある請求項1に記載のセラミック回路基板。
  3. 【請求項3】 セラミック基板上にCuを主成分とした
    金属回路板及び放熱板のうちの少なくとも金属回路板
    を、全質量100質量%に対して、6.0〜60質量%
    Sn、2.0〜9.5質量%Ti、Nb、Hf、及びZ
    rのうちの少なくとも1種、及び残部Cuからなり、A
    gを含有しない金属組成となるろう材層を介して配置し
    た後、活性ろう付けによって接合しその後、接合された
    金属回路板をパターン形成して所定の金属回路を形成
    し、次いで、該金属回路のパターン間に露出した上記ろ
    う材及びセラミック基板の基材との反応によって形成さ
    れた導電性の反応層を除去することを特徴とするセラミ
    ック回路基板の製造方法。
  4. 【請求項4】 上記ろう材は、更にY及びY化合物のう
    ちの少なくとも1種を含有し、該Y及びY化合物のうち
    の少なくとも1種を含むろう材の全質量を100質量%
    とした場合、Y質量換算で5.0質量%以下である請求
    項5に記載のセラミック回路基板の製造方法。
  5. 【請求項5】 上記ろう材層は、上記ろう材の組成を有
    する合金粉末又は上記ろう材の組成を構成する各種金属
    単体からなる金属粉末を含有するペーストを塗布するこ
    とにより作製されたものである請求項3又は4に記載の
    セラミック回路基板の製造方法。
  6. 【請求項6】 上記ろう材層は、上記ろう材の組成を有
    する合金箔により作製されたものである請求項3又は4
    に記載のセラミック回路基板の製造方法。
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