JP2003279693A - X線像拡大装置 - Google Patents
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Abstract
倍率を変更することができるX線像拡大装置を提供す
る。 【解決手段】 本発明に係るX線像拡大装置は、線源1
から発したX線を試料4に照射する照明光学系3と、回
転双曲面と回転楕円面から成る斜入射ミラーにより構成
され試料4を透過したX線を所定の位置に拡大結像させ
る対物レンズ5と、結像したX線像を検出するX線像検
出手段6と、X線像検出手段6、試料4及び照明光学系
3の少なくとも1つを光軸方向に沿って移動させること
でX線像の結像倍率を調整する結像倍率調整手段とを備
えたことを特徴とする。これにより、斜入射ミラーを対
物レンズとして用いるX線像拡大装置において、斜入射
ミラーを交換することなく結像倍率を変更することがで
きる。
Description
料を観察することが可能なX線像拡大装置に関する。
は、試料を未処理で観察することができるX線顕微鏡が
利用されている。例えば結像型X線顕微鏡は、試料にX
線を照射し、そのX線像を結像光学系により検出器上に
拡大結像させて試料を観察するように構成されている。
は、回折を利用したゾーンプレート光学系(特開平9−
251100号公報など)、特定波長のX線に対して高
い反射率を有する多層膜を積層してなるシュバルツシル
ト光学系(特開平6−300900号公報など)などが
用いられている。
9−251100号公報には、検出器を光軸方向に移動
させて検出器とゾーンプレート型対物レンズとの距離を
変化させることによりフォーカシングを行う軟X線顕微
鏡が開示されているが、この技術による結像倍率の変化
は、波長選択性の高いゾーンプレートを使用するため、
波長を僅かに変化させる必要がある。また、X線光量の
損失が大きく、単色性が必要で放射光の利用が必要とさ
れる。また、同じ倍率でも異なる波長で観察する場合に
は、試料及び検出器を移動させる必要があり、シュバル
ツシルト型の対物レンズを用いた場合でも、観察する波
長が決まってしまう。
は、シュバルツシルト型多層膜ミラーで拡大した像を蛍
光面等で可視光に変換した後、低倍率から高倍率までの
複数のレンズを備えた光学顕微鏡で、拡大率を変えなが
ら上記変換後の像を観察する技術が記載されているが、
この技術では、多層膜ミラーを用いるため、観察可能な
波長が限られるとともに、一旦可視光に変換するため、
作業効率が低くなってしまう。
光学素子として、利用効率が高く、波長選択性が無い斜
入射ミラーが適している。
れたものであり、波長選択性が無い斜入射ミラーを用い
て結像倍率を変更することができるX線像拡大装置を提
供することを目的とする。
に、本発明に係るX線像拡大装置は、線源から発したX
線を試料に照射する照明光学系と、回転双曲面と回転楕
円面から成る斜入射ミラーにより構成され、前記試料を
透過したX線を所定の位置に拡大結像させる対物レンズ
と、前記対物レンズにより結像したX線像を検出するX
線像検出手段と、前記X線像検出手段、前記試料、及び
前記照明光学系の少なくとも1つを光軸方向に沿って移
動させることで、前記X線像の結像倍率を調整する結像
倍率調整手段と、を備えたことを特徴とする。
する。試料を置く位置を物点O、斜入射ミラーWは回転
双曲面と回転楕円面からなり、その接合部の位置をS、
結像面の位置をIとし、物点Oから斜入射ミラーの接合
部Sまでの距離をa、位置Sから位置Iまでの距離をb
とする。また、この斜入射ミラーの焦点距離をf、結像
倍率をMとすると、以下の式が成立する。
り、距離a、bは固定値であり、従って、倍率Mも固定
値となる。ところが、光線追跡シミュレーションによれ
ば、分解能は悪くなるものの、距離a、bを調整し結像
倍率Mを変化させても結像可能であることが確認され
た。
2000mm、倍率Mを100で設計した斜入射ミラー
において、倍率Mを変えた場合の分解能の変化(シミュ
レーション結果)を図2に示す。この図2から、設計倍
率Mが100のとき、最も分解能が高いがそれ以外の倍
率でも分解能は低いものの、結像することが解る。分解
能を0.05μmまで許容する場合には、このミラーでは、
倍率60倍から300倍まで使用できることがわかる。
このとき、距離aは20.1〜19.9mmの範囲で、距離b
は、約1200mm〜6000mmの範囲で変化する。
なお、低倍率側での観察で試料探査が主な目的の場合に
は、高分解能はあまり必要とされないため、30倍程度
でも十分使用することができる。
変化させることができれば、斜入射ミラーを交換するこ
となく、結像倍率を変更させることができる。
用いることにより、対物レンズとしてゾーンプレート光
学系やシュバルツシルト型多層膜ミラーを用いた従来例
に比べ、以下の利点がある。
学系を用いた場合に比べ、照明するX線を単一波長に
する必要がなく照明光学系の構成が簡単になること、
同一倍率ならX線波長が変化してもf値が変わらないた
め、距離a、bの値は変わらないこと、X線の利用効
率が高いことが挙げられる。また、対物レンズとしてシ
ュバルツシルト型多層膜ミラーを用いた従来例に比べ、
観察できる波長が単一波長に制限されず、広範囲の波長
域で観察可能であることが挙げられる。
又は紫外光のいずれかの光を前記試料に照射する光照射
手段と、前記試料を透過し前記対物レンズで反射した光
による像を検出する光検出手段と、をさらに備えたこと
を特徴としてもよい。これにより、X線のみを用いる場
合に比べ、装置の取り扱いや観察が容易となり、試料の
放射線損傷が軽減される、という利点がある。
実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明に
おいては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を
省略する。また、図面の寸法比率は、説明のものと必ず
しも一致していない。
施形態に係るX線顕微鏡の概略構成を示す断面図であ
る。図1に示した装置は、X線源1、フィルター2、全
反射を利用した回転楕円面形状からなる照明用斜入射ミ
ラー3、試料4、対物レンズの回転双曲面と回転楕円面
からなる斜入射ミラー5、及びX線検出器6を含んで構
成されている。X線源1としては、例えば、ガスパフ型
プラズマX線源を用いる。
微鏡の動作を説明する。ガスパフ型プラズマX線源1か
ら発生したX線をフィルター2によって、観察するX線
の波長領域に制限し、照明用斜入射ミラー3により試料
4に照射する。試料4を透過したX線は斜入射ミラー5
に入射し、X線検出器6の受光面において、拡大された
X線像が検出される。拡大率を変更する場合は、所望す
る倍率になるようにX線検出器6を矢印Qの光軸方向に
沿って移動させることで斜入射ミラー5から検出器6ま
での距離bを調整する。その後、X線検出器6で検出さ
れた画像を見ながら、フォーカスが合うように試料4
を、図示しない移動機構によって矢印Pの光軸方向に移
動させ、試料4と斜入射ミラー5間の距離aを調整す
る。または、試料4を移動させた後、フォーカスが合う
ようにX線検出器6を移動させても良い。そして最後
に、最適な照明が得られるように照明用斜入射ミラー3
を移動させる。
Oが光源、Iが集光点(光源Oの像)であり、前述した
式(1)が成り立つ。上記の図3の試料4の位置が決ま
れば、試料4の位置と集光点Iとが一致するように照明
用斜入射ミラー3を移動させる。
ミラー3は、矢印Pの光軸方向に沿って数mm移動で
き、X線検出器6は数m移動できる機構を有する必要が
ある。X線として波長1nm以上の比較的長い軟X線を
用いる場合、この領域のX線は空気の吸収が大きく、そ
の光路は真空に保つ必要があり、斜入射ミラー3、試料
4、斜入射ミラー5、X線検出器6は真空容器の中に設
置される。従って、斜入射ミラー3、試料4、斜入射ミ
ラー5、X線検出器6の移動は真空容器の外から移動で
きれば作業効率が向上する。なお、試料4のみ空気中に
設置する構成も採用することができる。
の移動範囲は数mmと小さいため、これらの移動機構は
市販の移動ステージやマニピュレータ等で構成すること
ができる。一方、X線検出器6の移動機構については、
図4に示すような真空ベローズ14を用いることによ
り、数m程度の大きい範囲の移動も可能となる。真空ベ
ローズ14は真空フランジ12a、12bと各真空配管
11によって連結されている。真空フランジ12aは図
3の斜入射ミラー5を有する真空配管に連結され、真空
フランジ12bはX線検出器6との接続を行う真空フラ
ンジ15に連結される。真空配管11と真空フランジ1
2a、12bには、それぞれ支柱16が取り付けられて
おり、その先にボルト17を貫通させる穴が設けられて
いる。真空フランジ12a、12bの支柱の先には、ボ
ルト17をその長さ方向において固定するナット13a
〜13dが設けられている。X線検出器6の位置を調整
するときは、ナット13c、13dを緩め、真空ベロー
ズ14を伸縮して目的の長さに調節し、再びナット13
c、13dを締めることにより、真空ベローズ14の長
さを固定する。
説明する。ここでは、例として式(1)、式(2)にお
いて、設計倍率Mを100、試料4と斜入射ミラー5間
の距離aを20mm、斜入射ミラー5とX線検出器6間
の距離bを2000mmと設定された斜入射ミラー5を
用い、低倍率側で約40倍、高倍率側で約200倍の観
察を行うものとする。また、照明用斜入射ミラー3、試
料4、斜入射ミラー5は、それぞれ独立に移動ステージ
7、8、9によって、その位置および傾き等が調整可能
とされている。
する場合は、図5に示すように斜入射ミラー5とX線検
出器6との距離bが約800mmになるように上述のベ
ローズ付真空配管10の真空ベローズ14を縮め、X線
検出器6の画像を観察しながら、フォーカスが合うよう
に移動ステージ8によって試料4を移動させることで試
料4と斜入射ミラー5間の距離aを調整し、最適な照明
が得られるように移動ステージ7によって照明用斜入射
ミラー3を移動させる。
倍)で観察する場合は、図6に示すように斜入射ミラー
5とX線検出器6との距離bが約4000mmになるよ
うにベローズ付真空配管10の真空ベローズ14を伸ば
し、X線検出器6の画像を観察しながら、フォーカスが
合うように移動ステージ8によって試料4を移動させる
ことで試料4と斜入射ミラー5間の距離aを調整し、最
適な照明が得られるように移動ステージ7によって照明
用斜入射ミラー3を移動させる。
ミラー5を対物レンズとして用いるX線顕微鏡におい
て、試料4と斜入射ミラー5間の距離a、斜入射ミラー
5とX線検出器6間の距離bを調整することにより、斜
入射ミラー5を交換することなく、結像倍率を変更する
ことができる。
検出器6を移動させる方法は、上記の方法に限定され
ず、目的の位置に移動可能な機構を持つものであれば、
種々の変更や変形を加えることができる。
明に係る第2実施形態を説明する。この第2実施形態
は、試料探査のため、低倍率の観測を可視光等で簡単に
行うように構成したものである。
は、第1実施形態の構成に加え、可視光源21、光路上
に挿入及び退避可能なミラー22、23、これらミラー
の矢印R、S方向の挿入・退避動作を駆動する直線導入
端子25、26、並びに、可視光に感度がある検出器2
4が設けられている。図7において実線で示すミラー2
2a、23aは光路から退避した状態を示し、破線で示
すミラー22b、23bは光路上に挿入した状態を示し
ている。
おいて、設計倍率Mを100、試料4と斜入射ミラー5
間の距離aを20mm、斜入射ミラー5とX線検出器6
間の距離bを2000mmと設定された斜入射ミラー5
を用い、可視光により低倍率(約40倍)の観察を行
い、X線により高倍率(約100〜200倍)の観察を
行うものとする。
えば倍率M=約40倍)での観察は、直線導入端子2
5、26を駆動することでミラー22a、23aを、そ
れぞれ光軸上の位置22b、23bに挿入する。次に、
可視光源21を点灯させる。この可視光は、ミラー22
により反射し、照明用斜入射ミラー3により試料4に照
射する。この試料4を透過した可視光は、斜入射ミラー
5により反射して、ミラー23により反射し、検出器2
4に入射する。ミラー23を介した斜入射ミラー5と検
出器24との距離は約800mmに設定する。検出器2
4で検出された画像を見ながら、フォーカスが合うよう
に移動ステージ8によって試料4を移動させることで試
料4と斜入射ミラー5間の距離aを調整し、最適な照明
が得られるように移動ステージ7によって照明用斜入射
ミラー3を光軸方向に移動させる。なお、照明に関して
は、可視光源21を光軸方向に移動させても同様の結果
が得られる。
用いて高倍率の詳細な観察を行う場合、ミラー22、2
3を直線導入端子25、26により、それぞれ位置22
a、23aに退避させ、倍率Mが約100倍の場合は、
斜入射ミラー5とX線検出器6間の距離bを約2000
mmにし、倍率M=約200倍の場合は、斜入射ミラー
5とX線検出器6間の距離bを約4000mmになるよ
うにX線検出器6を移動させる。X線源1からX線を照
射し、X線検出器6において画像を観察しながら、フォ
ーカスが合うように移動ステージ8によって試料4を移
動させることで試料4と斜入射ミラー5間の距離aを調
整し、最適な照明が得られるように移動ステージ7によ
って照明用斜入射ミラー3を光軸方向に移動させる。
加え可視光も用いるため、X線のみを用いる場合に比
べ、取り扱いや観察が容易である。また、可視光で行う
ため、試料の放射線損傷を低減することができる。さら
に、X線での観察は高倍率側だけであるため、X線検出
器6の移動距離を削減することができる。
ある。例えば、上記の例では高倍率での観察において、
ベローズ付真空配管10によりX線検出器6を移動させ
て倍率を調整できるようにしてあるが、高倍率側で倍率
を調整する必要がない場合には、べローズ付配管10を
用いず、長さが一定とされた配管によってX線検出器6
の位置を固定しても良い。この場合、照明用斜入射ミラ
ー3を高倍率の観察で最適な照明が得られる位置に設置
し、可視光を用いた低倍率の観察では、可視光源21の
位置を式(1)によって最適な照明位置が得られる位置
に設定しておけば、低倍率、高倍率で照明光の調整が必
要なくなり、より簡便な手順で観察を行うことができ
る。
いても良く、その場合、ミラー22、23は紫外線用ミ
ラーを用い、検出器24は紫外線に感度がある検出器を
用いる。また、X線源1とは別のX線光源を可視光源2
1の位置に設置しても良く、その場合、ミラー22、2
3はX線用多層膜ミラーを用い、検出器24はX線に感
度がある検出器を用いる。
種々の変形、変更が可能である。例えば、X線源として
は、ガスパフ型プラズマX線源の他に、レーザープラズ
マX線源あるいは放射光を採用しても良い。また、照明
光学系を、全反射を利用した回転楕円面形状からなる照
明用斜入射ミラー3としたが、回転双曲面及び回転楕円
面を有する斜入射ミラーを採用しても良い。
斜入射ミラーを対物レンズとして用いるX線像拡大装置
において、試料と斜入射ミラー間の距離、斜入射ミラー
と検出器間の距離を変更することにより、斜入射ミラー
を交換することなく、結像倍率を変更することができ
る。
ミラーを用いたことで、ゾーンプレート光学系を用いた
場合に比べ、照明するX線を単一波長にする必要がなく
照明光学系の構成を簡素化できること、同一倍率ならX
線波長が変化しても焦点距離fが変わらないため、試
料、検出器を移動させる必要がないこと、X線の利用効
率が高いことの3点において優れており、シュバルツシ
ルト型多層膜ミラーを用いた場合に比べ、観察できる波
長が単一波長に制限されず広範囲の波長域(可視〜X
線)で観察が可能である点で優れている。
能の変化を示すグラフである。
す断面図である。
図である。
図である。
す断面図である。
4…試料、5…斜入射ミラー、6…X線検出器、7、
8、9…移動ステージ、10…ベローズ付真空配管、1
1…真空配管、12a、12b…真空フランジ、13
a、13b、13c…ナット、14…真空ベローズ、1
5…真空フランジ、16…支柱、17…ボルト、21…
可視光源、22、23…ミラー、24…検出器、25…
直線導入端子。
Claims (2)
- 【請求項1】 線源から発したX線を試料に照射する照
明光学系と、 回転双曲面と回転楕円面から成る斜入射ミラーにより構
成され、前記試料を透過したX線を所定の位置に拡大結
像させる対物レンズと、 前記対物レンズにより結像したX線像を検出するX線像
検出手段と、 前記X線像検出手段、前記試料、及び前記照明光学系の
少なくとも1つを光軸方向に沿って移動させることで、
前記X線像の結像倍率を調整する結像倍率調整手段と、 を備えたX線像拡大装置。 - 【請求項2】 可視光又は紫外光のいずれかの光を前記
試料に照射する光照射手段と、 前記試料を透過し前記対物レンズで反射した光による像
を検出する光検出手段と、 をさらに備えた請求項1記載のX線像拡大装置。
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