JP2003277768A - 炭化水素油中の硫黄化合物の低減方法 - Google Patents

炭化水素油中の硫黄化合物の低減方法

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JP2003277768A
JP2003277768A JP2002089040A JP2002089040A JP2003277768A JP 2003277768 A JP2003277768 A JP 2003277768A JP 2002089040 A JP2002089040 A JP 2002089040A JP 2002089040 A JP2002089040 A JP 2002089040A JP 2003277768 A JP2003277768 A JP 2003277768A
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hydrocarbon oil
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sulfur
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Hiromitsu Masaoka
弘光 正岡
Hiroshi Mizuguchi
博史 水口
Setsuko Miyanari
節子 宮成
Takashi Mizoguchi
隆 溝口
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Cosmo Oil Co Ltd
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  • Treatment Of Liquids With Adsorbents In General (AREA)
  • Production Of Liquid Hydrocarbon Mixture For Refining Petroleum (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 オレフィンの水素化反応など不要な反応を
抑制し、ガソリンの基材となる炭化水素油中に含まれる
硫黄分を長期間に渡り連続的に低減する方法を提供する
こと。 【解決手段】 複数の吸着槽への流路を切り替えて炭化
水素油中の硫黄化合物を低減する方法であって、各吸着
槽は無機酸化物担体に金属を担持した吸着剤を配置した
固定床式吸着剤床を少なくとも1つ有しており、複数の
吸着槽のうち一部の吸着槽中の吸着剤と硫黄化合物を有
する炭化水素油とを0〜300℃の条件下で接触させる
工程と、他部の吸着槽中の吸着剤と水素とを温度100
〜450℃の条件下で接触させる工程とを交互に連続す
ることを特徴とする、炭化水素油中の硫黄化合物の低減
方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する利用分野】本発明は、炭化水素油中の硫
黄化合物の低減方法に関する。
【0002】
【従来の技術】原油の蒸留や分解によって得られる各油
留分は、一般に、硫黄化合物を含み、これらの油を燃料
として使用する場合には、この硫黄化合物に起因する硫
黄酸化物等が大気中に放出される。特に、自動車からの
排ガスによる硫黄酸化物の排出が深刻化しており、その
燃料面からの対策として、ガソリンの硫黄分の低減が要
望されている。
【0003】通常、ガソリンは、原油を蒸留して得られ
るブタンやナフサの他、アルキレーション装置、接触改
質装置、流動接触分解装置(FCC)などの生成油を基
材とし、これらを配合したものを製品としている。これ
らの基材のうち、一般に、FCC装置の生成油(FCC
ガソリン)やナフサは、硫黄分が高いため、ガソリンの
硫黄分を低減するためには、FCCガソリンやナフサの
硫黄分を低減することが重要である。
【0004】上記のガソリンの基材となる炭化水素油中
の硫黄分の低減化技術としては、通常、水素化脱硫法が
用いられている。しかし、この方法では、脱硫反応だけ
でなく、オレフィンの水素化反応も進行するため、オレ
フィンを多く含むFCCガソリンを水素化脱硫した場
合、オクタン価が低下する。しかも、水素化脱硫は一般
に、高温、高圧の条件下、大量の水素を使用するため、
精製コストが高い。ガソリン基材のなかでも、特に、F
CCガソリンを多く使用することは、ガソリンの製品コ
ストの面から好ましいが、これらは、一般に、脱硫され
難いチオフェン類やベンゾチオフェン類を主に含んでお
り、オレフィンの水素化によるオクタン価の低下などの
不要な反応を抑制して、硫黄分を除去することが困難で
あった。
【0005】これに対し、例えば、特開2001−27
9255号などのように、硫黄化合物を吸着により除去
する方法も提案されている。しかし、これらの技術に用
いられる吸着剤は、石油精製の装置から多量に留出する
炭化水素油を処理した場合、吸着能が飽和するため、硫
黄分を長期間にわたり連続的に低減する方法には適用し
難い。また、装置内で、吸着剤を再生し、長期間にわた
り連続的に、多量の炭化水素油の硫黄分を低減する流動
床のプロセスとして、例えば、米国特許第591429
2号のような技術もある。しかし、本技術では、水素存
在下、高温、高圧の条件下で吸着及び再生を行うため、
生成油のオクタン価が低下する。このような流動床式あ
るいは移動床式の吸着剤床を形成して多量の炭化水素油
の硫黄分の低減することもできるが、装置や運転操作が
複雑であり、吸着剤強度や形状に制約を受ける。
【0006】このような状況下、常温、常圧に近い穏和
な条件で、オレフィンの水素化によるオクタン価の低下
を抑制し、かつ、脱硫され難いチオフェン類やベンゾチ
オフェン類を主に含むFCCガソリンなどの炭化水素油
の硫黄分を長期間に渡り連続的に低減する技術開発が求
められていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、オレ
フィンの水素化反応など不要な反応を抑制し、ガソリン
の基材となる炭化水素油中に含まれる硫黄分を長期間に
渡り連続的に低減する方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的を
達成するため検討を重ねた結果、炭化水素油を、特定の
条件下、吸着剤と接触させて硫黄化合物を吸着させる工
程と、吸着剤に水素を通気させることにより吸着剤から
硫黄化合物を脱離する工程を繰り返すことにより、オレ
フィンの水素化反応など不要な反応を抑制し、ガソリン
の基材となる炭化水素油に含まれる硫黄分を連続的に低
減することを見出し、本発明を完成するに至った。即ち
本発明は、下記構成である。
【0009】(1) 複数の吸着槽への流路を切り替え
て炭化水素油中の硫黄化合物を低減する方法であって、
各吸着槽は無機酸化物担体に金属を担持した吸着剤を配
置した固定床式吸着剤床を少なくとも1つ有しており、
複数の吸着槽のうち一部の吸着槽中の吸着剤と硫黄化合
物を有する炭化水素油とを0〜300℃の条件下で接触
させる工程と、他部の吸着槽中の吸着剤と水素とを温度
100〜450℃の条件下で接触させる工程とを交互に
連続することを特徴とする、炭化水素油中の硫黄化合物
の低減方法。
【0010】(2) 吸着剤が、アルミナを含有する担
体に、周期律表の8族、1B族、及び2B族の金属のう
ち少なくとも1種を、金属換算で全吸着剤中0.5〜3
0重量%担持することからなり、その比表面積が120
2/g以上であることを特徴とする上記(1)記載の
炭化水素油中の硫黄化合物の低減方法。 (3) 炭化水素油が、流動接触分解装置から生成する
沸点範囲20〜250℃の留分であることを特徴とする
上記(1)又は(2)記載の炭化水素油中の硫黄化合物
の低減方法。
【0011】(4) 炭化水素油と吸着剤を接触させる
際の線速度が50cm/min以下、吸着剤と水素とを
接触させる際のガス空間速度が50〜5000h-1であ
る、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の炭化水素油
中の硫黄化合物の低減方法。 (5) 担持される金属の少なくとも1種がニッケルで
あることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに
記載の炭化水素油中の硫黄化合物の低減方法。
【0012】
【発明の実施の形態】以下に本発明について詳細に説明
する本発明は、吸着槽内の吸着剤と炭化水素油を接触さ
せて、硫黄化合物を吸着剤に吸着させる工程(吸着工程
ともいう)と、該吸着剤と水素ガスを接触させて、吸着
剤から硫黄化合物を脱離させ、吸着剤を再生する工程
(再生工程ともいう)の2つの工程から構成される。本
発明で用いる吸着槽の形状は特に問わないが、円筒型を
有する塔状のものが好ましい。なお、以下の記載では説
明の便宜上「吸着槽」に代え適宜「吸着塔」の語を用い
ることとする。炭化水素油と吸着剤を接触させる方法と
しては、一般的には、固定床式吸着剤床を吸着塔内に形
成し、原料油を吸着塔の下部に導入し、固定床の下から
上に通過させ、吸着塔の上部から生成油を流出させるこ
とが好ましい。
【0013】具体的には、吸着塔を2塔以上用い、例え
ばそのうちの第1番目の吸着塔に炭化水素油を導入し
て、硫黄化合物を吸着剤に吸着させる工程を行う。第1
番目の吸着塔が、硫黄化合物を吸着し、吸着能力が飽和
した状態となると、硫黄化合物が除去しきれなくなり、
吸着塔から流出する炭化水素油中の硫黄化合物濃度が上
昇する。このとき、第1番目の吸着塔への炭化水素油の
導入を止め、吸着能力が十分ある第2番目の吸着塔への
炭化水素油の導入を行うことで、吸着塔から流出する炭
化水素油の硫黄化合物濃度を低く保つことができる。第
2番目の吸着塔で吸着工程を行っている間、第1番目の
吸着塔に水素を導入し、吸着剤から硫黄化合物を脱離さ
せ、吸着剤を再生する工程を行う。これを交互に繰り返
すことで、炭化水素油中の硫黄化合物を連続的に除去す
ることが可能となる。
【0014】その際、吸着工程において吸着能力が飽和
するまでの時間(破過時間)を、再生工程で、吸着剤を
再生するのに要する時間(再生時間)の関係を考慮し、
吸着塔の数や、吸着塔の大きさ、固定床数を決めること
が重要である。即ち、破過時間と再生時間が同じであれ
ば、吸着塔を2つ用い、1塔で吸着工程、もう1塔で再
生工程を行い、これを順次切り替えながら繰り返せば、
硫黄化合物を連続的に除去することができるし、また、
例えば、破過時間が、再生時間の1/2である場合、吸
着塔を3つ用い、1塔で吸着工程、残りの2塔で再生工
程を行い、これを順次切り替えながら繰り返せば硫黄化
合物を連続的に除去することができる。
【0015】このように、本発明では破過時間と再生時
間とのバランスが取れれば、2または3以上の複数の吸
着塔を適宜使用することができる。また、破過時間は、
一般に、吸着剤の吸着性能と炭化水素油の線速度及び、
吸着塔の大きさに依存するので、吸着塔、吸着剤床を適
切な大きさに設計することで、破過時間を適切に調節
し、吸着塔数を少なくすることも可能である。
【0016】吸着剤と炭化水素油を接触させる際の炭化
水素油は、線速度が50cm/min以下、より好まし
くは0.5〜40cm/min、更に好ましくは1〜3
0cm/minとなるように導入されるのが好ましい。
線速度が大きすぎると、吸着剤床をすり抜けて除去され
ない硫黄化合物が増加し、吸着塔から流出する炭化水素
油の硫黄化合物濃度を低く保つことができなくなる。ま
た、線速度が小さいと吸着塔のサイズが大きくなるた
め、設備の建設コストが高くなるなどで不利となる。
尚、線速度は以下の式により計算される。
【0017】線速度(cm/min)=原料油の導入量
(cm3/min)÷吸着剤床の断面積(cm2
【0018】また、複数の吸着塔を使用する時は、各々
の吸着塔において、吸着剤と炭化水素油を接触させる際
の炭化水素油は、線速度が上記のように50cm/mi
n以下、より好ましくは0.5〜40cm/min、更
に好ましくは1〜30cm/minとなるように導入さ
れる。
【0019】吸着剤と炭化水素油を接触させる際、0〜
300℃、より好ましくは0〜200℃、さらに好まし
くは50〜200℃の温度範囲となるように接触させ
る。温度が高すぎると、吸着剤の担持金属が硫黄化合物
と反応して硫化物を生成し吸着能力が劣化したり、炭化
水素の分解などの不要な反応を引き起こすため、好まし
くない。吸着工程の圧力は、特に制限しないが、一般的
には0〜5MPa、好ましくは0〜3MPaの範囲であ
る。
【0020】吸着工程で硫黄化合物を吸着し、吸着能が
飽和した吸着剤は、次に、水素ガスと接触させることに
より硫黄化合物を脱離させて再生する。再生工程前には
液抜き、及びパージを充分行い、吸着剤から炭化水素油
を取り除くことが好ましい。パージに用いるガスは特に
限定しないが、不活性ガス又は水素ガスが好ましい。再
生工程で水素ガスを用いることは、水素と吸着した硫黄
化合物が反応し、硫化水素に変換され、硫黄化合物の脱
離が促進されるだけでなく、通常、製油所等では、硫化
水素の回収処理装置等を備えているので、発生する硫化
水素の処理が容易であるという点でも好ましい。
【0021】水素ガスの導入方法は特に限定されない
が、吸着塔内に溜まっている炭化水素油の抜き出しやす
さを考慮すると、水素ガスを吸着塔の上部より導入し、
上から下に流すことが好ましい。このとき、使用する水
素ガスは、製油所等にある水素製造装置の水素ガスや接
触改質装置(リフォーマー)からの生成する水素ガス等
が好ましく使用できる。また、吸着塔から導出された水
素ガスを循環して再び吸着塔に導入し、再利用すること
も可能である。水素ガスの純度は、特に制限は無いが、
50%以上が好ましく、70%以上が更に好ましい。水
素純度が低過ぎる場合、吸着塔に導入するガス全体の量
が大きくなり、ガス導入のための設備が大きくなるた
め、コストの面で不利なだけでなく、ガス中の不純物に
より吸着剤の性能を劣化させるなどの悪影響を及ぼす可
能性もある。
【0022】再生工程の温度は100〜450℃、より
好ましくは100〜400℃、さらに好ましくは150
〜400℃である。再生温度が高すぎると、吸着剤の比
表面積が低下するなどによって吸着性能が劣化するので
好ましくない。再生工程の圧力は、0〜5MPa、より
好ましくは0〜2MPa程度が良い。圧力を高くする
と、コンプレッサーの能力や吸着塔の耐圧強度を増加す
る必要があり、装置の建設コストや運転コストの面で不
利となるため、好ましくない。
【0023】再生工程で吸着剤と水素とを接触させる際
のガス空間速度(Gas Hourly SpaceVelocity)(以下、
GHSVという)は、50〜5000h-1、より好まし
くは、100〜2000h-1、さらに好ましくは、20
0〜1000h-1である。GHSVが低すぎると、硫黄
化合物の脱離が進行せず、再生に要する時間が長くなる
など好ましくない。また高すぎてもガスが無駄になるの
で好ましくない。尚、GHSVは以下の式により計算さ
れる。
【0024】GHSV(1/h)=水素の導入量(0
℃、1atm換算)(cm3/h)÷吸着剤床の体積
(cm3
【0025】また、複数の吸着塔を使用する時は、各々
の吸着塔において、再生工程で吸着剤と水素とを接触さ
せる際のGHSVは、50〜5000h-1、より好まし
くは、100〜2000h-1、さらに好ましくは、20
0〜1000h-1である。
【0026】担体の無機酸化物としては、アルミナ、も
しくはアルミナに加えて、シリカ、チタニア、ジルコニ
ア、マグネシア、ボリア等の無機酸化物を含んでいても
よい。上記アルミナとしては、α−アルミナ、β−アル
ミナ、γ−アルミナ、δ−アルミナ等の種々のアルミナ
を使用することができるが、γ−アルミナが好ましい。
また、担体の比表面積は250m2/g以上、より好ま
しくは300m2/g以上が良い。担体の比表面積が小
さいと金属担持量を多くしたとき、吸着剤の比表面積が
低下し、吸着量が減少する。
【0027】8族金属としてはニッケル、ロジウム、ル
テニウム、パラジウム、白金、1B族金属としては銅、
銀、2B族としては亜鉛が好ましい。これらの金属は、
単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせても良
い。
【0028】担体に金属を担持する方法としては、金属
塩を用いる、含浸法、混練法、イオン交換法、共沈法な
ど公知の方法を用いることができる。担体に担持させる
金属の出発物質としては、金属の硝酸塩、塩化物塩、硫
酸塩、炭酸塩、水酸化物塩等の水溶液を用いることが好
ましい。
【0029】金属を担持した後、乾燥、焼成し、その
後、活性化処理として、還元処理を行い、吸着剤が形成
される。この工程の内、乾燥、焼成のどちらかを省いて
も何ら問題はない。乾燥工程は、90〜150℃の温度
で行なうことが好ましく、焼成工程は、酸素の存在する
雰囲気で250〜450℃の温度で(strikethrough:
3時間以上)焼成する。還元方法は、気相還元、液相還
元などの公知の方法を用いることが可能であるが、気相
による水素還元が好ましく、水素雰囲気で200〜45
0℃の温度で行うことが好ましい。還元温度が低いと吸
着能が十分発現しない。また、還元温度が高すぎると、
吸着剤の比表面積が低下し、吸着能が低下する。
【0030】本発明で使用する吸着剤は、無機酸化物の
担体に、周期律表の8族、1B族、2B族の金属を少な
くとも1種以上を、全金属換算で全吸着剤中0.5〜3
0重量%、より好ましくは1〜30重量%、更に好まし
くは1〜25重量%となるように担持することが好まし
い。金属担持量が少ないと、吸着活性点の数が少なくな
るため、硫黄化合物の吸着能が低く、逆に多すぎても担
持金属即ち吸着活性点の分散性が低下し、担持した金属
が無駄になるばかりでなく、比表面積、細孔直径が低下
するなど物性の面へも悪影響を与える。
【0031】金属を担持した後の吸着剤の比表面積は1
20m2/g以上、より好ましくは150m2/g以上が
良い。比表面積が120m2/g未満では、硫黄化合物
を吸着する活性点の数が少なくなり、吸着能力が低下す
る。また、吸着剤の平均細孔直径は、特に限定されない
が、1nm以上が好ましい。細孔直径が小さすぎる場
合、硫黄化合物の細孔内への拡散が阻害され、吸着能力
が低下する。吸着剤の細孔容積は、特に限定されない
が、通常0.2〜1.0cm3/gの範囲にある。
【0032】吸着剤形状は、特に限定されず、通常、こ
の種の吸着剤に用いられている種々の形状、例えば、球
形、円柱状、四葉型等を採用することができる。吸着剤
の大きさは、通常、直径あるいは長さが0.1〜5mm
程度のものが好ましい。
【0033】本発明の原料となる炭化水素油としては、
LPG、ガソリンやナフサ、灯油、軽油などが挙げられ
るが、最も適しているものは、流動接触分解装置から留
出する生成油(FCCガソリン)で、沸点範囲が20〜
250℃のものである。
【0034】これらの炭化水素油は、一般に、数十pp
m〜数百ppmの硫黄を含んでいる。また、含まれる硫
黄化合物としては、チオフェン類、ベンゾチオフェン類
が主である。ここで、チオフェン類とは、チオフェン
と、メチルチオフェン、ジメチルチオフェン、エチルチ
オフェンなどのようなチオフェンにアルキル基が置換し
たアルキルチオフェン類のことである。また、ベンゾチ
オフェン類とは、ベンゾチオフェンと、メチルベンゾチ
オフェン、ジメチルベンゾチオフェン、エチルベンゾチ
オフェンなどのようなベンゾチオフェンにアルキル基が
置換したアルキルベンゾチオフェン類のことである。本
発明の方法では、生成油の硫黄濃度は、30ppm以
下、より好ましくは10ppm以下に低減することがで
きる。尚、濃度の単位ppmは、炭化水素油中に含まれ
る硫黄原子の質量を表しており、1ppmとは炭化水素
油1g中に硫黄原子が1×10-6g含まれていることを
意味する。
【0035】また、これらの炭化水素油のなかでも、特
に、FCCガソリンは、通常、20〜70体積%程度の
オレフィン成分が含まれている。本発明の方法では、生
成油中のオレフィンの含有量が原料油と殆ど変化しない
が、原料油のオレフィン含有量と生成油のオレフィン含
有量の差は、5体積%以下、特に1体積%以下にでき
る。この場合、オクタン価の低下の度合い(=原料油の
オクタン価−生成油のオクタン価)も5以下、特に1以
下とすることができる。
【0036】
【実施例】以下に本発明を、実施例によりさらに詳しく
説明するが、これは単なる例示であって本発明を制限す
るものではない。
【0037】(1)吸着剤の調製 合成例1 吸着剤Aの調製 比表面積が352m2/gのアルミナ担体80gに、硝酸
ニッケル6水和物42.4gを35mlの水に溶解させ
た水溶液を含浸し、温度110℃で12時間乾燥した
後、温度400℃で3時間、空気中で焼成を行った。さ
らに、温度400℃で、3時間、水素で還元を行い、吸
着剤Aを得た。このときの吸着剤Aの物性を表1に示
す。
【0038】合成例2 吸着剤Bの調製 合成例1の硝酸ニッケル水溶液のかわりに、塩化ロジウ
ム3水和物32.5gを41mlの水に溶解させた水溶
液を含浸する以外は、合成例1と同様の方法で、吸着剤
Bを得た。このときの吸着剤Bの物性を表1に示す。
【0039】合成例3 吸着剤Cの調製 合成例1の硝酸ニッケル水溶液のかわりに、硝酸パラジ
ウム10gと硝酸銀10gを50mlの水に溶解させた
水溶液を含浸する以外は、合成例1と同様の方法で、吸
着剤Cを得た。このときの吸着剤Cの物性を表1に示
す。
【0040】合成例4 吸着剤Dの調製 合成例1の硝酸ニッケル水溶液のかわりに、硝酸ニッケ
ル6水和物43.9gと塩化ロジウム3水和物3.5g
を35mlの水に溶解させた水溶液を含浸する以外は、
合成例1と同様の方法で、吸着剤Dを得た。このときの
吸着剤Dの物性を表1に示す。
【0041】合成例5 吸着剤Eの調製 合成例1の硝酸ニッケル水溶液のかわりに、硝酸ニッケ
ル6水和物63.7gと硝酸亜鉛6水和物62.8gを
50mlの水に溶解させた水溶液を含浸する以外は、合
成例1と同様の方法で、吸着剤Eを得た。このときの吸
着剤Eの物性を表1に示す。
【0042】合成例6 吸着剤Fの調製 合成例1のアルミナ担体のかわりに、比表面積が488
2/gのシリカアルミナ担体に変えた以外は、合成例
1と同様の方法で、吸着剤Fを得た。このときの吸着剤
Fの物性を表1に示す。
【0043】合成例7 吸着剤Gの調製 合成例1の硝酸ニッケル6水和物の量、水の量をそれぞ
れ2.6gと48mlに変更した以外は、合成例1と同
様の方法で、吸着剤Gを得た。このときの吸着剤Gの物
性を表2に示す。
【0044】合成例8 吸着剤Hの調製 合成例1のアルミナ担体を温度400℃で3時間、空気
中で焼成し、吸着剤Hを得た。このときの吸着剤Hの物
性を表2に示す。
【0045】合成例9 吸着剤Iの調製 合成例1の硝酸ニッケル6水和物の量、水の量をそれぞ
れ297gと160mlに変更した以外は、合成例1と
同様の方法で、吸着剤Iを得た。このときの吸着剤Iの
物性を表2に示す。
【0046】合成例10 吸着剤Jの調製 合成例1の硝酸ニッケル6水和物の量、水の量をそれぞ
れ0.13gと49mlに変更した以外は、合成例1と
同様の方法で、吸着剤Jを得た。このときの吸着剤Jの
物性を表2に示す。
【0047】合成例11 吸着剤Kの調製 合成例1の硝酸ニッケル水溶液のかわりに、硝酸カルシ
ウム4水和物38.4gを38mlの水に溶解させた水
溶液を含浸する以外は、合成例1と同様の方法で、吸着
剤Kを得た。このときの吸着剤Kの物性を表2に示す。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】(2)実施例1〜17、比較例1〜8 実施例1 得られた吸着剤Aを、断面積0.44cm2の吸着塔1
及び吸着塔2にそれぞれ57ml充填した。表3に示し
た性状の原料油を、表3に示した温度、圧力、線速度の
条件で、吸着塔1の下部に導入し、吸着塔1上部より流
出する生成油の硫黄濃度を時間毎に測定した。120分
後、原料油を、吸着塔2の下部に導入するよう切り替
え、吸着塔1の上部より、表3に示した温度、圧力、G
HSVの条件で水素を導入し、吸着剤を2時間再生し
た。尚、この再生時間には、液抜き時間、水素パージ時
間、パージ再生温度までの昇温時間、計30分、及び室
温までの冷却時間30分を含む。この間、吸着塔2上部
より流出する生成油の硫黄濃度を時間毎に測定した。2
40分後、原料油の導入を再び吸着塔1に切り替え、同
様に、吸着塔2に水素を導入して吸着剤を再生した。こ
の間、吸着塔1上部より流出する生成油の硫黄濃度を時
間毎に測定した。360分後、さらに再び原料油の導入
を吸着塔2に切り替え、同様に、吸着塔1に水素を導入
して吸着剤を再生した。この間、吸着塔1上部より流出
する生成油の硫黄濃度を時間毎に測定した。時間毎の生
成油の硫黄濃度測定結果は表3に示す通りであった。ま
た、得られた生成油をすべて混合し、オレフィン組成と
オクタン価を測定した結果も表3に示した。
【0051】尚、オレフィン組成は、JIS K 25
36.6のガスクロマトグラフによる全成分試験方法に
準拠して測定を行った。また、オクタン価は、特許番号
2101883号のガスクロマトグラフによる方法、す
なわち原料油の組成をガスクロマトグラフで特定後、各
組成物のオクタン価の加重平均値をCFRエンジンのオ
クタン価の相関関係で補正し、算出した。
【0052】実施例2 得られた吸着剤Bを、実施例1と同様に吸着塔に充填
し、原料油の導入と吸着剤再生を繰り返し、生成油の硫
黄濃度を時間毎に測定した。時間毎の硫黄濃度測定結果
は、表3の通りであった。また、得られた生成油をすべ
て混合し、オレフィン組成とオクタン価を測定した結果
も表3に示した。
【0053】実施例3 得られた吸着剤Cを、実施例1と同様に吸着塔に充填
し、原料油の導入と吸着剤再生を繰り返し、生成油の硫
黄濃度を時間毎に測定した。時間毎の硫黄濃度測定結果
は、表3の通りであった。また、得られた生成油をすべ
て混合し、オレフィン組成とオクタン価を測定した結果
も表3に示した。
【0054】実施例4 得られた吸着剤Dを、実施例1と同様に吸着塔に充填
し、原料油の導入と吸着剤再生を繰り返し、生成油の硫
黄濃度を時間毎に測定した。時間毎の硫黄濃度測定結果
は、表3の通りであった。また、得られた生成油をすべ
て混合し、オレフィン組成とオクタン価を測定した結果
も表3に示した。
【0055】実施例5 得られた吸着剤Eを、実施例1と同様に吸着塔に充填
し、原料油の導入と吸着剤再生を繰り返し、生成油の硫
黄濃度を時間毎に測定した。時間毎の硫黄濃度測定結果
は、表3の通りであった。また、得られた生成油をすべ
て混合し、オレフィン組成とオクタン価を測定した結果
も表3に示した。
【0056】実施例6 得られた吸着剤Fを、実施例1と同様に吸着塔に充填
し、原料油の導入と吸着剤再生を繰り返し、生成油の硫
黄濃度を時間毎に測定した。時間毎の硫黄濃度測定結果
は、表3の通りであった。また、得られた生成油をすべ
て混合し、オレフィン組成とオクタン価を測定した結果
も表3に示した。
【0057】実施例7 得られた吸着剤Gを、実施例1と同様に吸着塔に充填
し、原料油の導入と吸着剤再生を繰り返し、生成油の硫
黄濃度を時間毎に測定した。時間毎の硫黄濃度測定結果
は、表4の通りであった。また、得られた生成油をすべ
て混合し、オレフィン組成とオクタン価を測定した結果
も表4に示した。
【0058】実施例8 実施例1の吸着剤Aを用いて、実施例1と同様に吸着塔
に充填したあと、吸着温度のみ50℃とした以外は実施
例1と同条件で原料油の導入と吸着剤再生を繰り返し、
生成油の硫黄濃度を時間毎に測定した。時間毎の硫黄濃
度測定結果は、表4の通りであった。また、得られた生
成油をすべて混合し、オレフィン組成とオクタン価を測
定した結果も表4に示した。
【0059】実施例9 実施例1の吸着剤Aを用いて、実施例1と同様に吸着塔
に充填したあと、吸着条件を表4の通りに変更した以外
は実施例1と同条件で原料油の導入と吸着剤再生を繰り
返し、生成油の硫黄濃度を時間毎に測定した。時間毎の
硫黄濃度測定結果は、表4の通りであった。また、得ら
れた生成油をすべて混合し、オレフィン組成とオクタン
価を測定した結果も表4に示した。
【0060】実施例10 実施例1の吸着剤Aを用いて、実施例1と同様に吸着塔
に充填したあと、吸着条件を表4のとおりに変更した以
外は実施例1と同条件で原料油の導入と吸着剤再生を繰
り返し、生成油の硫黄濃度を時間毎に測定した。時間毎
の硫黄濃度測定結果は、表4の通りであった。また、得
られた生成油をすべて混合し、オレフィン組成とオクタ
ン価を測定した結果も表4に示した。
【0061】実施例11 実施例1の吸着剤Aを用いて、実施例1と同様に吸着塔
に充填したあと、再生温度のみ150℃とした以外は実
施例1と同条件で原料油の導入と吸着剤再生を繰り返
し、生成油の硫黄濃度を時間毎に測定した。時間毎の硫
黄濃度測定結果は、表4の通りであった。また、得られ
た生成油をすべて混合し、オレフィン組成とオクタン価
を測定した結果も表4に示した。
【0062】実施例12 実施例1の吸着剤Aを用いて、実施例1と同様に吸着塔
に充填したあと、再生温度のみ400℃とした以外は実
施例1と同条件で原料油の導入と吸着剤再生を繰り返
し、生成油の硫黄濃度を時間毎に測定した。時間毎の硫
黄濃度測定結果は、表4の通りであった。また、得られ
た生成油をすべて混合し、オレフィン組成とオクタン価
を測定した結果も表4に示した。
【0063】実施例13 実施例1の吸着剤Aを用いて、実施例1と同様に吸着塔
に充填したあと、GHSVのみ200h-1とした以外は
実施例1と同条件で原料油の導入と吸着剤再生を繰り返
し、生成油の硫黄濃度を時間毎に測定した。時間毎の硫
黄濃度測定結果は、表5の通りであった。また、得られ
た生成油をすべて混合し、オレフィン組成とオクタン価
を測定した結果も表5に示した。
【0064】実施例14 実施例1の吸着剤Aを用いて、実施例1と同様に吸着塔
に充填したあと、GHSVのみ2500h-1とした以外
は実施例1と同条件で原料油の導入と吸着剤再生を繰り
返し、生成油の硫黄濃度を時間毎に測定した。時間毎の
硫黄濃度測定結果は、表5の通りであった。また、得ら
れた生成油をすべて混合し、オレフィン組成とオクタン
価を測定した結果も表5に示した。
【0065】実施例15 実施例1の吸着剤Aを用いて、実施例1と同様に吸着塔
に充填したあと、GHSVのみ4000h-1とした以外
は実施例1と同条件で原料油の導入と吸着剤再生を繰り
返し、生成油の硫黄濃度を時間毎に測定した。時間毎の
硫黄濃度測定結果は、表5の通りであった。また、得ら
れた生成油をすべて混合し、オレフィン組成とオクタン
価を測定した結果も表5に示した。
【0066】実施例16 実施例1の吸着剤Aを用いて、断面積0.44cm2
吸着塔1、吸着塔2、及び吸着塔3にそれぞれ114m
l充填した。表8に示した性状の原料油を、実施例1の
条件から線速度のみ16cm/minに変更し、吸着塔
1の下部に導入し、吸着塔1の上部より流出する生成油
の硫黄濃度を時間毎に限定した。60分後、原料油を、
吸着塔2の下部に導入するよう切り替え、生成油の硫黄
濃度を時間毎に測定した。また、吸着塔1の上部より、
表8に示した温度、圧力、GHSVの条件で水素を導入
し、吸着剤を2時間再生した。尚、再生時間の2時間に
は、液抜き時間、水素パージ時間、パージ再生温度まで
の昇温時間、計30分、及び室温までの冷却時間30分
を含む。
【0067】120分後、原料油を、吸着塔3の下部に
導入するよう切り替え、吸着塔3の上部より流出する生
成油の硫黄濃度を時間毎に測定した。また、吸着塔2の
上部より、表8に示した温度、圧力、GHSVの条件で
水素を導入し、吸着剤を2時間再生した。180分後、
原料油の導入を再び吸着塔1に切り替え、吸着塔1の上
部より流出する生成油の硫黄濃度を時間毎に測定した。
また、吸着塔3の上部より、表8に示した温度、圧力、
GHSVの条件で水素を導入し、吸着剤を2時間再生し
た。240分後、原料油の導入を再び、吸着塔2の下部
に導入するよう切り替え、吸着塔2の上部より流出する
生成油の硫黄濃度を時間毎に測定した。また、吸着塔1
の上部より、表8に示した温度、圧力、GHSVの条件
で水素を導入し、吸着剤を2時間再生した。300分
後、原料油の導入を再び、吸着塔3の下部に導入するよ
う切り替え、吸着塔3の上部より流出する生成油の硫黄
濃度を時間毎に測定した。また、吸着塔2の上部より、
表8に示した温度、圧力、GHSVの条件で水素を導入
し、吸着剤を2時間再生した。時間毎の生成油の硫黄濃
度測定結果は表8に示す通りであった。また、得られた
生成油をすべて混合し、オレフィン組成とオクタン価を
測定した結果を表8に示した。
【0068】実施例17 実施例1の吸着剤Aを用いて、断面積0.44cm2
吸着塔1、吸着塔2、吸着塔3、吸着塔4、及び吸着塔
5にそれぞれ114ml充填した。表9に示した性状の
原料油を、実施例1の条件から線速度のみ36cm/m
inに変更し、吸着塔1の下部に導入し、吸着塔1の上
部より流出する生成油の硫黄濃度を時間毎に測定した。
30分後、原料油を、吸着塔2の下部に導入するよう切
り替え、生成油の硫黄濃度を時間毎に測定した。また、
吸着塔1の上部より、表9に示した温度、圧力、GHS
Vの条件で水素を導入し、吸着剤を2時間再生した。
尚、再生時間の2時間には、液抜き時間、水素パージ時
間、パージ再生温度までの昇温時間、計30分、及び室
温までの冷却時間30分を含む。60分後、原料油を、
吸着塔3の下部に導入するよう切り替え、吸着塔3の上
部より流出する生成油の硫黄濃度を時間毎に測定した。
また、吸着塔2の上部より、表9に示した温度、圧力、
GHSVの条件で水素を導入し、吸着剤を2時間再生し
た。
【0069】90分後、原料油を、吸着塔4の下部に導
入するように切り替え、吸着塔4の上部より流出する生
成油の硫黄濃度を時間毎に測定した。また、吸着塔3の
上部より、表9に示した温度、圧力、GHSVの条件で
水素を導入し、吸着剤を2時間再生した。120分後、
原料油を、吸着塔5の下部に導入するよう切り替え、吸
着塔5の上部より流出する生成油の硫黄濃度を時間毎に
測定した。また、吸着塔4の上部より、表9に示した温
度、圧力、GHSVを条件で水素を導入し、吸着剤を2
時間再生した。150分後、原料油の導入を再び吸着塔
1に切り替え、吸着塔1の上部より流出する生成油の硫
黄濃度を時間毎に測定した。また、吸着塔5の上部よ
り、表9に示した温度、圧力、GHSVの条件で水素を
導入し、吸着剤を2時間再生した。180分後、原料油
の導入を再び、吸着塔2の下部に導入するよう切り替
え、吸着塔2の上部より流出する生成油の硫黄濃度を時
間毎に測定した。また、吸着塔1の上部より、表9に示
した温度、圧力、GHSVの条件で水素を導入し、吸着
剤を2時間再生した。
【0070】210分後、原料油の導入を再び、吸着塔
3の下部に導入するよう切り替え、吸着塔3の上部より
流出する生成油の硫黄濃度を時間毎に測定した。また、
吸着塔2の上部より、表9に示した温度、圧力、GHS
Vの条件で水素を導入し、吸着剤を2時間再生した。2
40分後、原料油の導入を再び、吸着塔4の下部に導入
するよう切り替え、吸着塔4の上部より流出する生成油
の硫黄濃度を時間毎に測定した。また、吸着塔3の上部
より、表9に示した温度、圧力、GHSVの条件で水素
を導入し、吸着剤を2時間再生した。270分後、原料
油の導入を再び、吸着塔5の下部に導入するよう切り替
え、吸着塔5の上部より流出する生成油の硫黄濃度を時
間毎に測定した。また、吸着塔4の上部より、表9に示
した温度、圧力、GHSVの条件で水素を導入し、吸着
剤を2時間再生した。時間毎の生成油の硫黄濃度測定結
果は表9に示す通りであった。また、得られた生成油を
すべて混合し、オレフィン組成とオクタン価を測定した
結果も表9に示した。
【0071】比較例1 得られた吸着剤Hを、実施例1と同様に吸着塔に充填
し、原料油の導入と吸着剤再生を繰り返し、生成油の硫
黄濃度を時間毎に測定した。時間毎の硫黄濃度測定結果
は、表6の通りであった。また、得られた生成油をすべ
て混合し、オレフィン組成とオクタン価を測定した結果
も表6に示した。
【0072】比較例2 得られた吸着剤Iを、実施例1と同様に吸着塔に充填
し、原料油の導入と吸着剤再生を繰り返し、生成油の硫
黄濃度を時間毎に測定した。時間毎の硫黄濃度測定結果
は、表6の通りであった。また、得られた生成油をすべ
て混合し、オレフィン組成とオクタン価を測定した結果
も表6に示した。
【0073】比較例3 得られた吸着剤Jを、実施例1と同様に吸着塔に充填
し、原料油の導入と吸着剤再生を繰り返し、生成油の硫
黄濃度を時間毎に測定した。時間毎の硫黄濃度測定結果
は、表6の通りであった。また、得られた生成油をすべ
て混合し、オレフィン組成とオクタン価を測定した結果
も表6に示した。
【0074】比較例4 得られた吸着剤Kを、実施例1と同様に吸着塔に充填
し、原料油の導入と吸着剤再生を繰り返し、生成油の硫
黄濃度を時間毎に測定した。時間毎の硫黄濃度測定結果
は、表6の通りであった。また、得られた生成油をすべ
て混合し、オレフィン組成とオクタン価を測定した結果
も表6に示した。
【0075】比較例5 実施例1の吸着剤Aを用いて、実施例1と同様に吸着塔
に充填したあと、吸着条件を表6の通りに変更した以外
は実施例1と同条件で原料油の導入と吸着剤再生を繰り
返し、生成油の硫黄濃度を時間毎に測定した。時間毎の
硫黄濃度測定結果は、表6の通りであった。また、得ら
れた生成油をすべて混合し、オレフィン組成とオクタン
価を測定した結果も表6に示した。
【0076】比較例6 実施例1の吸着剤Aを用いて、実施例1と同様に吸着塔
に充填したあと、再生温度のみ50℃とした以外は実施
例1と同条件で原料油の導入と吸着剤再生を繰り返し、
生成油の硫黄濃度を時間毎に測定した。時間毎の硫黄濃
度測定結果は、表6の通りであった。また、得られた生
成油をすべて混合し、オレフィン組成とオクタン価を測
定した結果も表6に示した。
【0077】比較例7 実施例1の吸着剤Aを用いて、実施例1と同様に吸着塔
に充填したあと、GHSVのみ10h-1とした以外は実
施例1と同条件で原料油の導入と吸着剤再生を繰り返
し、生成油の硫黄濃度を時間毎に測定した。時間毎の硫
黄濃度測定結果は、表7の通りであった。また、得られ
た生成油をすべて混合し、オレフィン組成とオクタン価
を測定した結果も表7に示した。
【0078】比較例8 実施例1の吸着剤Aを用いて、実施例1と同様に吸着塔
に充填したあと、再生ガスのみ空気とした以外は実施例
1と同条件で原料油の導入と吸着剤再生を繰り返し、生
成油の硫黄濃度を時間毎に測定した。時間毎の硫黄濃度
測定結果は、表7の通りであった。また、得られた生成
油をすべて混合し、オレフィン組成とオクタン価を測定
した結果も表7に示した。
【0079】
【表3】
【0080】
【表4】
【0081】
【表5】
【0082】
【表6】
【0083】
【表7】
【0084】
【表8】
【0085】
【表9】
【0086】表3〜9からわかるように、本発明の実施
例の方法では、通油時間の経過によらず、常に、生成油
の硫黄濃度は10ppm以下となっており、炭化水素油
の硫黄分を連続的に低減できることが分かる。また、生
成油のオレフィン含有量は、原料油とほぼ同じであり、
オクタン価の低下もほとんどないことが分かる。一方、
比較例1〜4では、吸着剤の能力が低いため、硫黄濃度
を十分低くすることができないことが分かる。比較例5
では、再生しても生成油の硫黄濃度が、時間の経過とと
もに上昇し、硫黄分を連続的に低減できていないことが
分かる。比較例6では吸着剤の再生温度が低いため、生
成油の硫黄濃度が、時間の経過とともに上昇し、硫黄分
を連続的に低減できていないことが分かる。比較例7で
は、GHSVが低すぎ、再生しても生成油の硫黄濃度が
時間の経過とともに上昇し、硫黄分を低減できていない
ことが分かる。比較例8では吸着剤の再生ガスに空気を
使用しているため、再生時、吸着剤が酸化されることに
より、吸着剤の能力が低下し、時間の経過とともに上昇
し、硫黄分を連続的に低減できていないことが分かる。
【0087】
【発明の効果】本発明により、オレフィンの水素化反応
など不要な反応を抑制し、ガソリンの基材となる炭化水
素油中に含まれる硫黄分を長期間に渡り連続的に低減す
る方法を提供することができる。また、本発明の方法で
は、従来よりも常温、常圧に近い穏和な条件で反応前後
におけるオレフィン含有量の変化を抑制して、オクタン
価の低下を抑制し、脱硫され難いチオフェン類やベンゾ
チオフェン類を含む炭化水素油中の硫黄化合物を長期に
渡り連続して低減することが可能となり、ガソリンの基
材の硫黄低減技術として好ましく用いることができる。
フロントページの続き (72)発明者 宮成 節子 埼玉県幸手市権現堂1134−2 コスモ石油 株式会社中央研究所内 (72)発明者 溝口 隆 東京都港区芝浦1丁目1番1号 コスモ石 油株式会社内 Fターム(参考) 4D017 AA04 BA04 CA05 CB01 DA01 DB02 EA01 EA03 EB02 EB07 EB10

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の吸着槽への流路を切り替えて炭化
    水素油中の硫黄化合物を低減する方法であって、各吸着
    槽は無機酸化物担体に金属を担持した吸着剤を配置した
    固定床式吸着剤床を少なくとも1つ有しており、複数の
    吸着槽のうち一部の吸着槽中の吸着剤と硫黄化合物を有
    する炭化水素油とを0〜300℃の条件下で接触させる
    工程と、他部の吸着槽中の吸着剤と水素とを温度100
    〜450℃の条件下で接触させる工程とを交互に連続す
    ることを特徴とする、炭化水素油中の硫黄化合物の低減
    方法。
  2. 【請求項2】 吸着剤が、アルミナを含有する担体に、
    周期律表の8族、1B族、及び2B族の金属のうち少な
    くとも1を、金属換算で全吸着剤中0.5〜30重量
    %担持することからなり、その比表面積が120m2
    g以上であることを特徴とする請求項1記載の炭化水素
    油中の硫黄化合物の低減方法。
  3. 【請求項3】 炭化水素油が、流動接触分解装置から生
    成する沸点範囲20〜250℃の留分であることを特徴
    とする請求項1又は2記載の炭化水素油中の硫黄化合物
    の低減方法。
  4. 【請求項4】 炭化水素油と吸着剤を接触させる際の線
    速度が50cm/min以下、吸着剤と水素とを接触さ
    せる際のガス空間速度が50〜5000h-1である、請
    求項1〜3のいずれかに記載の炭化水素油中の硫黄化合
    物の低減方法。
  5. 【請求項5】 担持される金属の少なくとも1種がニッ
    ケルであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに
    記載の炭化水素油中の硫黄化合物の低減方法。
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