JP2003277618A - 樹脂組成物 - Google Patents

樹脂組成物

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JP2003277618A JP2002081338A JP2002081338A JP2003277618A JP 2003277618 A JP2003277618 A JP 2003277618A JP 2002081338 A JP2002081338 A JP 2002081338A JP 2002081338 A JP2002081338 A JP 2002081338A JP 2003277618 A JP2003277618 A JP 2003277618A
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JP2002081338A
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English (en)
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Takayasu Kido
敬恭 木戸
Masaji Yoshimura
正司 吉村
Masahiko Asano
正彦 浅野
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Mitsui Chemicals Inc
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Mitsui Chemicals Inc
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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 芳香環含有ポリアミド、ポリアミドイミド、
ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリスル
ホン類、ポリエーテルニトリル、ポリエーテルケトン
類、ポリイミド類、液晶ポリマー類、よりなる群から1
種または2種以上選択される熱可塑性樹脂[成分
(A)]と、層状珪酸塩複合体[成分(B)]、およ
び、ポリオキシアルキレン変性ポリジメチルシロキサン
[成分(C)]を含んでなる樹脂組成物であって、成分
(B)が有機ホスホニウムイオン[成分(B−1)]を
含有する膨潤性層状珪酸塩[成分(B−2)]である、
樹脂組成物。 【効果】 成形品の機械的物性を維持しながら熱膨張が
改良される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、機械的性質と寸法
安定性に優れる樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性樹脂の中でも特に耐熱性に優れ
る一群、具体的には、芳香環含有ポリアミド、ポリアミ
ドイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレー
ト、ポリスルホン類、ポリエーテルニトリル、ポリエー
テルケトン類、ポリイミド類、液晶ポリマー類、などは
「スーパーエンジニアリングプラスチック」と総称さ
れ、金属代替分野に幅広く応用されている。
【0003】近年これらの樹脂は、電気・電子部品の分
野、例えばバーンインソケットやPGAソケットなどI
C用ソケットの材料としての用途が多くなってきてい
る。この種の用途では使用環境の雰囲気温度がたとえば
室温から150℃付近といった広い領域にわたることが
あり、成形品の寸法安定性が特に重視される。しかし一
般にプラスチックの線膨張係数は金属やセラミックに対
して大きく、上記のようなIC製造治具用途では、IC
を実際に成型品に填め合わせるなどの状態で温度を上げ
ると、ICと成型品との間で寸法の差を生じてしまい実
用に適さない場合があった。このような場合、例えば
「フィラーハンドブック」(日本ゴム協会ゴム工業技術
員会、1980年、大成社)などに開示されているよう
に、ガラス繊維などの繊維状無機フィラーを添加するこ
とで線膨張係数を低減する技術がある。しかし成形品を
得る際の組成物の流動方向とその直角方向で大きな異方
性が生じ、直角方向ではあまり改善されないと云う問題
がある。
【0004】また、ガラスフレーク、雲母、タルク、セ
リサイト、カオリナイト、窒化ほう素、黒鉛、金属フレ
ークなどの板状の無機フィラーを添加することで異方性
を大きくせず線膨張係数を下げる技術があるが、この場
合は板状無機フィラーを30〜50重量部も添加する必
要があり、組成物の機械的物性を大きく害する問題があ
った。一方、再公表特許WO97/11998号公報に
は膨潤性層状珪酸塩をアザビシクロ環化合物で処理し、
ついでこれを熱可塑性樹脂に接触させて、層状珪酸塩を
樹脂中で剥離させる技術が開示されている。この手法に
よれば、アスペクト比の大きな板状無機フィラーを通常
よりも細かなレベルで分散させられるため、少量で線膨
張係数の低減に対する効果があると期待されるが、用い
られるアザビシクロ環化合物の耐熱性が充分ではないた
め適用できる樹脂に制限が加わるという問題がある。
具体的には、ポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリオ
キシメチレン(POM)といったいわゆる汎用エンプラ
までが限界であり、スーパーエンジニアリングプラスチ
ックのようなさらに成形加工温度の高い樹脂に上記技術
を応用すると、アザビシクロ環化合物が分解して当初の
目的を達成できないばかりか、変色や機械的物性の低下
が起こる欠点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記問題点に
対し、機械的物性と成形品の寸法安定性に優れる樹脂組
成物を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決すべく鋭意研究を行った結果、ポリアミドイミド、
ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリスル
ホン類、ポリエーテルニトリル、ポリエーテルケトン
類、ポリイミド類、液晶ポリマー類、よりなる群から1
種または2種以上選択される熱可塑性樹脂に、有機ホス
ホニウム塩でイオン交換した膨潤性層状珪酸塩とポリオ
キシアルキレン変性ポリジメチルシロキサンを添加し、
押出機中で溶融混練することで上記目的を達成すること
を見いだし、本発明を完成するに至った。本発明は以下
の[1]〜[7]に記載の事項により特定される。
【0007】[1] 芳香環含有ポリアミド、ポリアミ
ドイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレー
ト、ポリスルホン類、ポリエーテルニトリル、ポリエー
テルケトン類、ポリイミド類、液晶ポリマー類、よりな
る群から1種または2種以上選択される熱可塑性樹脂
[成分(A)]と、層状珪酸塩複合体[成分(B)]、
およびポリオキシアルキレン変性ジメチルシロキサン
[成分(C)]を含んでなる強化樹脂組成物であって、
成分(B)が有機ホスホニウムイオン[成分(B−
1)]を含有する膨潤性層状珪酸塩[成分(B−2)]
である、樹脂組成物。
【0008】[2] 成分(B−1)の有機ホスホニウ
ムイオンが化学式(1)で表わされるものである、
[1]記載の樹脂組成物(m=0〜3、n=1〜4の整
数を表し、m+n=4である。Rは炭素数1〜25のア
ルキルを示す。芳香環の水素はアルキル、アリール、ハ
ロゲンその他の基で置換されてよく、Rおよび芳香環は
同一または異なってもよい。)。
【0009】
【化3】
【0010】[3] 成分(B)が、膨潤性層状珪酸塩
[成分(B−2)]に含まれるアルカリ金属イオンを有
機ホスホニウムイオン[成分(B−1)]でイオン交換
して得られるものであり、成分(B)における成分(B
−1)のイオン含有比が、使用した膨潤性層状珪酸塩の
イオン交換容量を基準として、0.3〜1.5の範囲で
あることを特徴とする、[1]〜[2]記載の樹脂組成
物。[4] 成分(C)が、化学式(2)および/また
は(3)で示される構造のポリオキシアルキレン変性ポ
リジメチルシロキサンである、[1]〜[3]記載の樹
脂組成物(mおよびnは1〜100の整数、aおよびb
は1〜30の整数、Rは炭素数1〜10の1価の炭化水
素基または水素原子)。
【0011】
【化4】
【0012】[5] 成分(B)の重量組成比が、成分
(A)と成分(C)の合計100重量部に対して成分
(B)の無機質成分が0.1〜10重量部の範囲であ
る、[1]乃至[4]の何れかに記載の樹脂組成物。
【0013】[6] 成分(C)の重量組成比が、成分
(A)100重量部に対して0.1〜5重量部の範囲で
ある、[1]乃至[5]の何れかに記載の樹脂組成物。
【0014】[7] [1]〜[6]の何れかに記載し
た樹脂組成物を成形して得られる電気または電子部品。
【0015】
【発明の実施形態】本発明に使用する成分(A)は、い
わゆる「スーパーエンジニアリングプラスチック」と総
称される熱可塑性樹脂であり、ここでは非晶性であれば
ガラス転移点が180℃以上、結晶性であれば融点が2
80℃以上のものを指す。また、明確な融点やガラス転
移点を示ずに溶融時に液晶性を示す、いわゆる液晶ポリ
マー類も含まれる。いずれも公知のものを用いることが
でき、具体的には、芳香環含有ポリアミド、ポリアミド
イミド、、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレー
ト、ポリスルホン類、ポリエーテルニトリル、ポリエー
テルケトン類、ポリイミド類、液晶ポリマー類、などが
挙げられる。
【0016】芳香環含有ポリアミドは、テレフタル酸を
必須のジカルボン酸成分とし、さらにテレフタル酸以外
の芳香族ジカルボン酸および/または炭素原子数4〜2
0の脂肪族ジカルボン酸を含んで良いジカルボン酸成分
と、脂肪族ジアミンからなるジアミン成分とからなる繰
り返し単位から構成されるものであり、特開平7−53
715号公報などに記載の公知の方法で製造できる。ジ
カルボン酸成分はテレフタル酸が20〜100モル%
と、テレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸および/ま
たは炭素原子数4〜20の脂肪族ジカルボン酸0〜80
モル%とからなる。
【0017】テレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸成
分としては特にイソフタル酸が好ましく、脂肪族ジカル
ボン酸成分としては特にアジピン酸が好ましい。脂肪族
ジアミン成分の例としては1,4−ジアミノブタン、
1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタ
ン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナ
ン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウ
ンデカン、1,12−ジアミノドデカンなどを挙げるこ
とが出来、1,6−ジアミノヘキサンが好ましい。芳香
環含有ポリアミドの具体例として、例えば化学式(4)
の繰り返し構造を主体とする「アーレン(三井化学社
製)」などが市場より入手可能である。
【0018】
【化5】
【0019】ポリアミドイミドは、芳香族ジアミンと芳
香族トリカルボン酸無水物、またはそれらの誘導体から
得られる重合体であって、骨格中にアミド―アミド結
合、アミド―イミド結合及びイミド―イミド結合を有す
るものである。芳香族トリカルボン酸無水物としてはト
リメリット酸無水物が好ましく用いられ、芳香族ジアミ
ン成分は2種以上を混合して用いても良い。代表的なポ
リアミドイミドとして、化学式(5)のようなランダム
共重合体のものが「トーロン(アモコ社製)」の商標で
入手可能である。
【0020】ポリフェニレンスルフィドは、化学式
(6)で示される繰り返し単位を60モル%以上含むも
のであり、エーテル結合、スルフォン結合を含んでいて
も良い。ポリフェニレンスルフィドは架橋型と直鎖型に
大別されるが、本発明では直鎖型のものが好ましく、特
開昭60−55029号公報に開示されている技術など
により製造可能である。このものは例えば「フォートロ
ン(呉羽化学工業社製)」、「トープレン(トープレン
社製)」などの商標のものが市場より容易に入手可能で
ある。
【0021】ポリアリレートは、ビスフェノール成分と
芳香族ジカルボン酸成分とから得られるものである。好
ましいビスフェノールとしてはビスフェノールA、ビス
フェノールAPおよびテトラメチルビスフェノールAで
あり、芳香族ジカルボン酸成分としてはテレフタル酸、
イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジ
カルボキシジフェニル、ビス(p−カルボキシフェニ
ル)アルカンなどが挙げられる。中でも、テレフタル酸
とイソフタル酸が最も好ましく用いられ、必要に応じて
混合して用いられる。例えば化学式(7)で示される繰
り返し構造単位のものが「U−ポリマー(ユニチカ社
製)」の商標で市場より容易に入手可能である。
【0022】ポリスルホン類は、例えば特公昭40−1
0067号公報、特公昭42−7799号公報などに記
載の方法で製造される重合体であり、極めて代表的な例
として例えば化学式(8)〜化学式(11)の様な繰り
返し単位を有するポリマーが挙げられ、単独あるいは二
種以上を混合して用いられる。たとえば化学式(8)の
繰り返し単位のものとしては「PES(三井化学社
製)」などの商標のものが、化学式(9)の繰り返し単
位のものとしては「Ultrason S(BASF社
製)」などの商標のものが市場より容易に入手可能であ
る。
【0023】ポリエーテルニトリルは、芳香族ニトリル
化合物のハロゲン化物とレゾルシンとを炭酸ナトリウム
の存在下にアミド系溶媒などを用いて反応させることで
得られる重合体である。代表的なポリエーテルニトリル
として、例えば化学式(12)の繰り返し単位を持つ
「PEN(出光マテリアル社製)」などが市場より容易
に入手可能である。
【0024】
【化6】
【0025】ポリエーテルケトン類は、フェニル基をエ
ーテルおよびケトンで結合した繰り返し単位を有する重
合体である。市販されているものとして、化学式(1
3)で示される繰り返し単位の「PEK(ビクトレック
ス・エムシー社製)」、化学式(14)で示される繰り
返し単位の「PEEK(ビクトレックス・エムシー社
製)」、および化学式(15)で示される繰り返し単位
の「Ultrapek(BASF社製)」が挙げられ
る。
【0026】ポリイミド類は、イミド結合を必須の化学
構造とし、ビスカルボン酸無水物と芳香族ジアミンの反
応によって得られるポリアミック酸を熱的にまたは化学
的にイミド化して得られる重合体である。このものは非
熱可塑型と熱可塑型に大別されるが、本発明では熱可塑
型のものが好適に用いられる。熱可塑型ポリイミドとし
ては、化学式(16)の繰り返し単位を持つ「オーラム
(三井化学社製)」や化学式(17)の繰り返し構造単
位を持つ「ウルテム(ジェネラル・エレクトリックス社
製)」などが挙げられ、いずれも本発明に好適に用いら
れる。
【0027】液晶ポリマー類は、芳香族ポリエステルを
骨格の主体とした重合体であり、化学式(18)に示さ
れるような、p―ヒドロキシ安息香酸残基とジオール成
分としてのビフェノール残基、およびジカルボン酸成分
としてのフタル酸残基の結合を基本とするものである。
【0028】ジオール成分としてハイドロキノンを、ジ
カルボン酸成分として2,6−ナフタレンジカルボン酸
を共重合しても良く、さらに必要に応じて、2−ヒドロ
キシ−6−ナフトエ酸、ポリエチレンテレフタレートな
どを含んで良い。例えば、「スミカスーパー(住友化学
社製)」、「ザイダー(日石化学社製)」、「ベクトラ
(ポリプラスチックス社製)」などの商標のものが市場
より容易に入手可能である。
【0029】本発明に使用する層状珪酸塩複合体[成分
(B)]とは、膨潤性層状珪酸塩[成分(B−2)]に
含まれるアルカリ金属イオンを例えば化学式(1)で示
されるような有機ホスホニウムイオン[成分(B−
1)]でイオン交換して得られるものである。
【0030】膨潤性層状珪酸塩[成分(B−2)]と
は、アルミニウムやマグネシウムなどの元素を含む8面
体シートの上下に珪酸4面体シートが重なってできる板
状結晶層が積層したものであって、層間にナトリウムや
リチウムなどの交換性の陽イオンを有するものである。
具体的には、スメクタイト族と呼ばれるモンモリロナイ
ト、バラデナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコ
ナイトなどの粘土鉱物を天然産出品として用いることが
できるが、化学式(18)の一般式で表わされる人工合
成によるフッ素雲母化合物が特に好適である。
【0031】 [化学式] α(MF)・β(aMgF・bMgO)・γSiO (18) (Mはアルカリ金属、α、β、γ、a、bはそれぞれ係
数を表わす。0.1≦α≦2、2≦β≦3.5、3≦γ
≦4、0≦a≦1、0≦b≦1、a+b=1である)
【0032】このような合成フッ素雲母化合物は「粘土
とともに」(古賀慎、1997、三共出版)に記載され
ているように、酸化物、フッ化物、炭酸塩などを140
0℃以上に加熱して、溶融することで合成可能である。
また、タルクを出発原料とし、ケイフッ化アルカリと混
合して700〜900℃の温度範囲で加熱処理すること
でも合成可能である。こうした合成フッ素雲母は、例え
ば「ソマシフ」(コープケミカル(株)社製)などの商
標のものが市場から容易に入手可能である。天然粘土鉱
物および合成フッ素雲母は、単独あるいは2種以上混合
して用いられる。
【0033】本発明に使用する成分(B−1)の有機ホ
スホニウムイオンは、有機ホスフィンのリンの孤立電子
対に他の化学種が配位結合して生じる陽イオンであり、
なかでも化学式(1)で示される構造のものが特に好適
に用いられる。
【0034】
【化7】
【0035】(m=0〜3、n=1〜4の整数を表し、
m+n=4である。Rは炭素数1〜25のアルキルを示
す。芳香環の水素はアルキル、アリール、ハロゲンその
他の基で置換されてよく、Rおよび芳香環は同一または
異なっても良い)たとえば、テトラフェニルホスホニウ
ムイオン、ベンジルトリフェニルホスホニウムイオン、
ヘキシルトリフェニルホスホニウムイオン、テトラデシ
ルトリフェニルホスホニウムイオン、エチルトリフェニ
ルホスホニウムイオン、メトキシメチルトリフェニルイ
オン、アセトニルトリフェニルホスホニウムイオンなど
が挙げられる。該イオンは塩素イオン・臭素イオン・ヨ
ウ素イオンなどのハロゲン陰イオンを対イオンとした塩
を形成し、通常は塩として入手可能であるが、これらは
単独あるいは2種以上混合して用いられる。 膨潤性層
状珪酸塩に有機ホスホニウム塩を接触させてイオン交換
反応を行う場合、膨潤性層状珪酸塩を水で充分に膨潤さ
せたあと有機ホスホニウム塩の水溶液を加えて攪拌す
る。膨潤性層状珪酸塩の交換性アルカリ金属イオンが有
機ホスホニウムイオンで置換されて疎水化(すなわち親
油化)したものを回収・リンス・乾燥することで、成分
(B)の層状珪酸塩複合体が得られる。「複合体」とい
う言葉は、この成分(B)が、珪酸塩の板状結晶層の間
に有機ホスホニウムイオンが挿入された、サンドイッチ
型の構造を主として採っていることを指す。このとき、
有機ホスホニウムイオンのイオン含有比が、使用した膨
潤性層状珪酸塩のイオン交換容量を基準として0.3〜
1.5の範囲であることが好ましい。
【0036】「イオン含有比」とは以下のことを意味す
る語である。 膨潤性層状珪酸塩のイオン交換容量は
メチレンブルー吸着法(日本ベントナイト工業会標準試
験法、JBAS−107−91)で測定される値で、膨
潤性層状珪酸塩100gあたりの交換容量(当量)で表
わされる。一方、層状珪酸塩複合体に含まれる有機ホス
ホニウムイオンの量は示差熱/熱天秤測定(DTA−T
G)から有機成分の重量減少として求められ、これをイ
オンの式量と荷数で除して得られる商が当量となる。こ
のときのイオン交換比は数式(1)で表わされる。
【0037】 [数式] イオン含有比= (膨潤性層状珪酸塩100gあたりの吸着有機ホスホニウムイオン当量)÷ (膨潤性層状珪酸塩のイオン交換容量) (1)
【0038】イオン交換比が0.3未満では疎水化が不
十分であり、効果が低い場合があって好ましくない。ま
た1を超えるということはイオン交換に与からない有機
ホスホニウムイオンが付着していることを指している
が、1.5を超えると過剰な有機ホスホニウム成分が組
成物中で可塑剤的な作用を起こし物性を害する場合があ
り好ましくない。イオン交換比のより好ましい範囲は
0.5〜1.2であり、更に好ましくは0.7〜1.0
の範囲である。本発明における層状珪酸塩複合体の添加
量は、その無機成分、すなわち膨潤性層状珪酸塩の最終
濃度として0.1〜10重量部の範囲である。例えば層
状珪酸塩複合体に含まれる有機ホスホニウム成分が20
重量パーセントであれば、層状珪酸塩複合体の添加量の
0.8倍の値が上記の範囲に入る必要がある。0.1重
量部未満では目的とする効果が得られない場合があり、
10重量部を超える場合は樹脂の流動性などを害する場
合がある。
【0039】本発明に使用するポリオキシアルキレン変
性ポリジメチルシロキサン[成分(C)]とは、ポリジ
メチルシロキサン(シリコーン)の側鎖もしくは末端の
メチル基の一部がポリオキシアルキレン基に置換された
ものであり、化学式(2)およびまたは化学式(3)に
示される構造のものである。
【0040】
【化8】
【0041】(mおよびnは1〜100の整数、aおよ
びbは1〜30の整数、Rは炭素数1〜10の1価の炭
化水素基または水素原子) これらのポリオキシアルキレン変性ポリジメチルシロキ
サンは、一部にSi−H結合を有するポリジメチルシロ
キサンと、末端に炭素―炭素二重結合を有するポリエー
テルとを、白金触媒などを用いて付加反応させることで
製造可能であり、「KF353」(信越シリコーン社
製)、「FZ2123」(日本ユニカー社製)などのグ
レード名のものが市場から容易に入手可能である。本発
明における成分(C)の添加量は、成分(A)100重
量部に対して0.1〜5重量部の範囲である。0.1重
量部未満では目的とする効果が発揮されない場合があ
り、5重量部を超えると組成物中で可塑剤的な効果を起
こし物性を害する場合があるため好ましくない。
【0042】本発明では、目的に応じて任意に無機繊維
や、針状・板状・粒状・その他の形態の無機フィラーを
適当量併用することも可能である。無機繊維としては、
ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、セラミック繊維、ア
ルミナ繊維、ボロン繊維、炭化ケイ素繊維、などが挙げ
られる。これらは一種または複数のものを選択し用いる
ことができる。針状のものとしては、チタン酸カリウム
ウィスカー、ほう酸アルミニウムウィスカー、カーボン
ウィスカー、炭酸カルシウムウィスカー、ワラストナイ
ト、酸化亜鉛ウィスカー、酸化チタンウィスカー、など
が挙げられる。これらは一種または複数のものを選択し
用いることができる。
【0043】また板状のものとしては、天然/合成層状
珪酸塩類、ガラスフレーク、タルク、セリサイト、カオ
リナイト、窒化ほう素、黒鉛、金属フレーク、などが挙
げられる。 また粒状のものとしてはカーボンブラッ
ク、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ガラスビー
ズ、シリカ、硫酸バリウム、金属粉、などが挙げられ
る。これらは一種または複数のものを選択し用いること
ができる。 その他のものとしては種々の性質改良に鑑
み、ケイ石粉、二硫化モリブデンなどの耐摩耗性向上
材、三酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、水酸化マ
グネシウムなどの難燃性向上材、アスベストなどの耐ト
ラッキング向上材、メタケイ酸カルシウム等の耐酸性向
上材、あるいはケイ藻土、アルミナ、シラスバルン、水
和アルミナ、ハイドロタルサイト、ゼオライト、各種の
金属酸化物等が挙げられる。これらは一種または複数の
ものを選択し用いることができる。
【0044】本発明の目的を損なわない範囲で、他の熱
可塑性樹脂を目的に応じて適当量配合することも可能で
ある。さらに着色料、離型剤、各種安定剤、可塑剤、オ
イル類なども本発明の効果を害さない範囲で添加可能で
ある。これらは一種または複数のものを選択し用いるこ
とができる。
【0045】本発明の樹脂組成物は成分(A)、成分
(B)、成分(C)および必要に応じてその他の成分を
均一混合した後、通常の押出機を用いて連続な生産が可
能である。この場合一軸よりも多軸の押出機が好まし
く、スクリュー径に対するスクリュー長さの比(L/
D)が25〜50の範囲が好ましい。L/Dが25未満
では混錬が不十分になる場合があり、50を超えると樹
脂の劣化が起こる場合がある。 本発明の樹脂組成物
は主に射出成形により実用に供されるが、押出成形、圧
縮成形、トランスファー成形などの公知の成形法による
ことも可能である。
【0046】
【実施例】以下実施例によって本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれらの実施例によって限定されるもの
ではない。なお、物性等の評価は以下のようにして行っ
た。
【0047】 イオン含有比 層状珪酸塩複合体[成
分(B)]に含まれる有機ホスホニウムイオン[成分
(B−1)]の分率を熱天秤により減量分として測定
し、数式(1)に従って求めた。
【0048】 線膨張係数 ASTM D−696に
準じて測定した。測定温度は23℃から150℃の範囲
とした。
【0049】アイゾット衝撃強度 ASTM D−2
56に準じた。
【0050】製造例1 膨潤性層状珪酸塩(合成フッ素雲母、コープケミカル
(株)社製、商品名「ソマシフME−100」、陽イオ
ン交換容量=80meq/100g)を蒸留水に5重量
パーセントとなるよう加えて60℃に加温し、ゾルを得
た。ここに有機ホスホニウム塩(テトラフェニルホスホ
ニウムブロマイド、東京化成(株)製)の水溶液を加え
て攪拌し、60℃で6時間イオン交換反応を行った。有
機ホスホニウム塩の仕込み量は、膨潤性層状珪酸塩のイ
オン交換容量に対して1.2倍当量となるようにした。
反応液を遠心分離にかけて内容物の回収、次いで洗浄・
乾燥し、層状珪酸塩複合体(以下「複合体1」)を得
た。イオン含有比は0.92であった。
【0051】製造例2 有機ホスホニウム塩をエチルトリフェニルホスホニウム
ブロマイド(東京化成社製)とした以外は、製造例1と
同様にして層状珪酸塩複合体(以下「複合体2」)を得
た。イオン含有比は0.92であった。
【0052】製造例3 イオン交換に用いる塩をキノクリジン塩酸塩(東京化成
社製)と以外は、製造例1と同様にして層状珪酸塩複合
体(以下「複合体3」)を得た。イオン含有比は0.9
7であった。
【0053】各製造例で得られた層状珪酸塩複合体につ
いて、特徴を表1にまとめた。
【0054】実施例1〜2 化学式(7)の繰り返し構造単位を有するポリエーテル
スルホン(E−2010、三井化学社製)と製造例1〜
2で得られた層状珪酸塩複合体、およびポリオキシアル
キレン変性ポリジメチルシロキサン(KF353、信越
シリコーン社製)を、表2に示す割合で配合したのちタ
ンブラーミキサーで十分に混合して、スクリュー径37
mm、L/D=32の二軸押出機にて320℃、スクリ
ュー回転数100rpmで溶融混合し、押出してペレッ
ト状の成型材料組成物を得た。このペレットを用いて3
50〜320℃に設定した射出成型機で試験片に成型
し、それぞれの物性を測定した。結果を表2に示す。
【0055】実施例3〜4 化学式(13)の繰り返し構造単位を有するポリエーテ
ルエーテルケトン(150P、ビクトレックス・エムシ
ー社製)と製造例1〜2で得られた層状珪酸塩複合体、
およびポリオキシアルキレン変性ポリジメチルシロキサ
ン(KF353、信越シリコーン社製)を、表2に示す
割合で配合したのちに実施例1と同様に評価した(ただ
し押出温度は370℃、射出成形温度は380〜360
℃)。結果を表2に示す。
【0056】実施例5〜6 化学式(15)の繰り返し構造単位を有するポリイミド
(PD450、三井化学社製)と製造例1〜2で得られ
た層状珪酸塩複合体、およびポリオキシアルキレン変性
ポリジメチルシロキサン(KF353、信越シリコーン
社製)を、表2に示す割合で配合したのちに実施例1と
同様に評価した(ただし押出温度は390℃、射出成形
温度は400〜380℃)。結果を表2に示す。
【0057】比較例1〜2 層状珪酸塩複合体の無機成分最終濃度が好適な範囲外と
し、実施例1と同様に評価した。結果を表3に示す。
【0058】比較例3〜4 ポリオキシアルキレン変性ポリジメチルシロキサンの濃
度を好適な範囲外とし、実施例1と同様に評価した。結
果を表3に示す。
【0059】比較例5 未処理の膨潤性層状珪酸塩を用い、実施例1と同様に評
価した。結果を表3に示す。
【0060】比較例6 層状珪酸塩複合体、ポリオキシアルキレン変性ポリジメ
チルシロキサンを使用せず、実施例1と同様に評価し
た。結果を表3に示す。
【0061】比較例7 ガラス繊維チョップドストランド(日本板硝子(株)社
製、RES03−TP78)のみを用いて、実施例1と
同様に評価した。結果を表3に示す。
【0062】比較例8 ガラスフレーク(日本板硝子(株)社製、REF−60
0A)のみを用いて、実施例1と同様に評価した。結果
を表3に示す。比較例9 層状珪酸塩複合体を製造例3
で得た「複合体3」とし、実施例1と同様に評価した。
結果を表3に示す。
【0063】
【表1】
【0064】
【表2】
【0065】
【表3】
【0066】
【発明の効果】本発明の樹脂組成物は、機械的物性に優
れ、成形品の高温時の膨張を改良する事ができ、これま
でのスーパーエンジニアリングプラスチックのように用
途が制限されず電気・電子分野などへの幅広い応用が可
能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F071 AA48 AA51 AA54 AA56 AA60 AA62 AA67 AA77 AB25 AB26 AE17 AF12 AF13 AF54 AH12 BA01 BB05 BC07 4J002 CF16W CH09W CL06W CM04W CN01W CP18X DJ006 FA016 FA116 FD016 GQ00

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芳香環含有ポリアミド、ポリアミドイミ
    ド、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリ
    スルホン類、ポリエーテルニトリル、ポリエーテルケト
    ン類、ポリイミド類、液晶ポリマー類、よりなる群から
    1種または2種以上選択される熱可塑性樹脂[成分
    (A)]と、層状珪酸塩複合体[成分(B)]、およ
    び、ポリオキシアルキレン変性ポリジメチルシロキサン
    [成分(C)]を含んでなる樹脂組成物であって、成分
    (B)が有機ホスホニウムイオン[成分(B−1)]を
    含有する膨潤性層状珪酸塩[成分(B−2)]である、
    樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 成分(B−1)の有機ホスホニウムイオ
    ンが化学式(1)で表わされるものである、請求項1記
    載の樹脂組成物(m=0〜3、n=1〜4の整数を表
    し、m+n=4である。Rは炭素数1〜25のアルキル
    を示す。芳香環の水素はアルキル、アリール、ハロゲン
    その他の基で置換されてよく、Rおよび芳香環は同一ま
    たは異なってもよい。)。 【化1】
  3. 【請求項3】 成分(B)が、膨潤性層状珪酸塩[成分
    (B−2)]に含まれるアルカリ金属イオンを有機ホス
    ホニウムイオン[成分(B−1)]でイオン交換して得
    られるものであり、成分(B)における成分(B−1)
    のイオン含有比が、使用した膨潤性層状珪酸塩のイオン
    交換容量を基準として、0.3〜1.5の範囲であるこ
    とを特徴とする、請求項1または2記載の樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 成分(C)が、化学式(2)および/ま
    たは(3)で示される構造のポリオキシアルキレン変性
    ポリジメチルシロキサンである、請求項1〜3に記載の
    樹脂組成物(mおよびnは1〜100の整数、aおよび
    bは1〜30の整数、Rは炭素数1〜10の1価の炭化
    水素基または水素原子。) 【化2】
  5. 【請求項5】 成分(B)の重量組成比の範囲が、成分
    (A)100重量部に対する成分(B)の無機質成分と
    して0.1〜10重量部である、請求項1乃至4の何れ
    かに記載の樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 成分(C)の重量組成比が、成分(A)
    100重量部に対して0.1〜5重量部の範囲である、
    請求項1乃至5の何れかに記載の樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至6の何れかに記載した強化
    樹脂組成物を成形して得られる電気または電子部品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100553332B1 (ko) * 2004-08-31 2006-02-21 한국화학연구원 신규의 아믹산 올리고머와 이를 이용하여 개질된 친유기성층상실리케이트를 함유하는 폴리이미드 나노복합재

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KR100553332B1 (ko) * 2004-08-31 2006-02-21 한국화학연구원 신규의 아믹산 올리고머와 이를 이용하여 개질된 친유기성층상실리케이트를 함유하는 폴리이미드 나노복합재

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