JP2003277415A - 硬化性無機有機複合組成物 - Google Patents

硬化性無機有機複合組成物

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JP2003277415A
JP2003277415A JP2002089000A JP2002089000A JP2003277415A JP 2003277415 A JP2003277415 A JP 2003277415A JP 2002089000 A JP2002089000 A JP 2002089000A JP 2002089000 A JP2002089000 A JP 2002089000A JP 2003277415 A JP2003277415 A JP 2003277415A
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phosphoric acid
organic
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organic composite
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Akira Inoue
顕 井上
Seitaro Onoe
清太朗 尾上
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Asahi Fiber Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来技術における硬化性無機有機複合組成物
の問題点を解消し、成形加工性に優れ、且つ、難燃性、
機械的強度及び耐水性に優れた硬化物を得ることができ
る硬化性無機有機複合組成物を提供する。 【解決手段】 本発明の硬化性無機有機複合組成物は、
重合性不飽和結合を有する酸性の有機化合物、該重合性
不飽和結合を有する酸性の有機化合物を中和する塩基性
化合物、リン酸類、及び、2価以上の金属よりなる金属
化合物を含有することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する分野】本発明は、例えば、有機材料の難
燃化、リン酸類を用いた無機系の成形用材料の成形加工
性の改良、又は、該成形用材料から得られた成形品の靭
性の向上等を目的として好適に用いられる硬化性無機有
機複合組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、樹脂等の有機材料を難燃化す
るための材料として、或いは、無機系の成形用材料等と
して、リン酸類を用いた化合物が広く使用されている。
リン酸類は、特に、分子骨格中に酸素を含む材料、例え
ば、エポキシ樹脂やアクリル樹脂に対して、その難燃性
を改良する効果が顕著であり、リン酸類を難燃剤として
使用する技術の提案は数多く、使用されているリン酸類
の種類も多岐に亘っている。
【0003】これまでの数多くの提案において例示され
ているリン酸類としては、トリメチルホスフェート、ト
リエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ
トリルホスフェート、トリフェニルホスフェート等のリ
ン酸エステル類;ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸
メラミン、リン酸ジグアニジン、リン酸グアニル尿素、
リン酸ヒドラジン等のリン酸アダクツ類;ヘキサメチル
リン酸トリアミド、ヘキサブチルリン酸トリアミド、
N’’−シクロヘキシル−N,N,N’,N’−テトラ
エチルリン酸トリアミド、ヘキサキス(2−ヒドロキシ
エチル)リン酸トリアミド、N,N’,N’’,
N’’’−テトライソプロピルピロリン酸アミド、N,
N’−ジシクロヘキシルジアミドリン酸エチルエステ
ル、ブチルアミドリン酸ジブチルエステル、ジメチルア
ミドリン酸ジエチルエステル等のリン酸アミド類(例え
ば、特開昭58−82545号公報を参照)等が挙げら
れる。
【0004】一方、無機系の成形用材料として、リン酸
類及びその硬化剤としての金属化合物を配合した硬化性
組成物が広く使用されていて、このリン酸類系の硬化性
組成物は、水硬化反応によって硬化するものではなく、
硬化物の中に結合水は含有されないために、水硬化反応
によって硬化するセメント系の硬化性組成物と比較し
て、得られる硬化物の耐熱性や機械的強度が高い等の利
点を有している。
【0005】しかし、上記のリン酸類系の硬化性組成物
から得られる硬化物は、無機材料特有の脆さを有してお
り、この脆さを改良するために、該硬化性組成物へ有機
材料を配合する提案がなされている。例えば、特公昭5
7−53471号公報には、全組成物の重量に対して2
〜15重量%のオルトリン酸、縮合リン酸、それぞれの
酸性若しくは中性アルカリ金属塩等のリン酸塩又は硫酸
アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、リン酸アルミニ
ウム、スルファミン酸アルミニウム、硫酸アルミニウム
ナトリウム、硫酸アルミニウムカリウム、アルミン酸ナ
トリウム、アルミン酸カリウム等の水溶性アルミニウム
塩のうちから選ばれた1種又は2種以上の無機質バイン
ダー、5〜30重量%のポリブテンエマルジョン、エチ
レン−酢ビエマルション、アクリロニトリル−ブタジエ
ンラテックス、クロロプレンラテックス、エチレンアク
リルエマルジョン、天然ゴムラテックスのような有機系
天然又は合成ポリマーを乳化させた有機系ラテックス、
30〜70重量%の水及び20〜50重量%の粘土鉱
物、シリカパウダー、水酸化アルミニウム、アルミナパ
ウダー、酸化チタン、ジルコニアの粉末で平均粒度40
μm以下のもののうちから選ばれた1種又は2種以上の
無機質フィラーからなる無機質繊維処理用ペースト状組
成物が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
従来技術のようにリン酸類を添加して樹脂等の有機材料
の難燃性を改良しようとすると、リン酸類の形態(液体
であるか或いは固体であるか)又は化学構造によって
は、難燃性の改良の度合いに限度がある場合や、有機材
料が有している機械的強度又は耐水性等の性能に好まし
くない影響が及ぶ場合がある。
【0007】又、リン酸類の中でもリン酸エステル等の
液状物を使用する場合は、有機材料との混合は容易であ
り、リン酸類の配合量も自由に変えることができる。し
かし、リン酸エステルは、有機材料の難燃化だけでな
く、有機材料を可塑化する材料としても機能するため、
有機材料が本来有している性能が損なわれるという問題
が生じる場合があり、更に、このリン酸エステルは、リ
ン酸の水酸基がアルキル基やフェニル基等で置換された
ものであり、これらの基、即ち有機部位が可燃性である
ので、添加量を多くしていっても、この有機部位の存在
によって有機材料の難燃性の向上が見られないという場
合がある。
【0008】さらに、リン酸類の中のリン酸アダクツ、
リン酸アミド及びリン酸金属塩は、その多くが固体であ
るために、有機材用が有する流動性や成形加工性を損な
わないように考慮すると、それらを有機材料へ充填でき
る量には限界がある。そのため、有機材料の難燃性を向
上させることができても、無機材料又は無機材料を主成
分とした材料ほどの高い難燃性は得られないという問題
がある。
【0009】一方、リン酸類及びその硬化剤としての金
属化合物を配合した硬化性組成物においては、該硬化性
組成物の取り扱い性や成形加工性を良好にしたり、得ら
れる硬化物の靭性等の性能を向上させたりするために、
リン酸類とその硬化剤との急激な反応を緩和することを
目的として、特開平9−241583号公報に開示され
ているように該硬化性組成物に多量の水を含有させてい
る場合が多い。上記の従来技術のような硬化性組成物や
それから得られる硬化物を、有機材料を配合することに
よって改質させる場合、即ち、硬化性組成物の取り扱い
性や成形加工性を良好にしたり、得られる硬化物の靭性
等の性能を向上させたりする場合においては、該硬化性
組成物に多量の水を含有させているために、それに適合
するように有機材料を水系(水溶性又は水分散性)の材
料にして用いる必要がある。
【0010】しかしながら、多くの有機材料は油溶性で
あって非水溶性であり、これを水系の材料に変換するに
は、界面活性剤(乳化剤)等を用いて水分散液(エマル
ジョン)とすることが求められる。この場合の界面活性
剤は硬化性組成物自体には本来必要としない成分であ
り、これが硬化性組成物から得られる硬化物の耐水性等
に好ましくない影響を及ぼす場合がある。
【0011】又、硬化性組成物を有機材料で改質して
も、得られる硬化物では無機材料がマトリックスとなる
ので、その中で有機材料は均一に分散しているのではな
くて偏るような形で存在している場合が多く、有機材料
による改質の効果は発現しても、無機材料が本来的に有
する脆さを該硬化物から完全に解消できるわけではな
い。更に、脆さを解消するために該硬化物のマトリック
スの成分として有機材料が多くを占めるようにするに
は、多くの有機材料が必要となるので、逆に無機材料が
有する難燃性を損なうという問題がある。
【0012】したがって、本発明の目的は、成形加工性
に優れ、且つ、難燃性、機械的強度及び耐水性に優れた
硬化物を得ることができる硬化性無機有機複合組成物を
提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明は、重合性不飽和結合を有する酸性の有機化
合物、該重合性不飽和結合を有する酸性の有機化合物を
中和する塩基性化合物、リン酸類、及び、2価以上の金
属よりなる金属化合物を含有することを特徴とする硬化
性無機有機複合組成物を提供する。
【0014】本発明の硬化性無機有機複合組成物におい
ては、塩基性化合物によって中和された重合性不飽和結
合を有する酸性の有機化合物が、リン酸類とその硬化剤
として機能する2価以上の金属よりなる金属化合物との
反応を緩和して、該組成物の取り扱い性や成形加工性が
良好となる。したがって、従来のリン酸類及びその硬化
剤を配合した硬化性組成物のようなリン酸類とその硬化
剤との反応を緩和するための多量の水は必要としないの
で、水と有機材料との適合性に配慮することなく、有機
材料と無機材料とを任意の割合で均一に混合することが
でき、得られる硬化物では無機材料と有機材料とが均一
に存在するようになって、その脆さが改善される。
【0015】又、本発明の硬化性無機有機複合組成物
は、水の含有量が比較的少ないことから、水を揮発させ
るための加熱をあまり必要としないので、経済性に富ん
でおり、有機材料よりも無機材料を多く含有させること
も可能であるので、難燃性及び機械的強度に優れた硬化
物を得ることができる。
【0016】本発明の硬化性無機有機複合組成物は、重
合性不飽和結合を有する酸性の有機化合物、該重合性不
飽和結合を有する酸性の有機化合物を中和する塩基性化
合物、及び、リン酸類を混合してなる混合物と、2価以
上の金属よりなる金属化合物とを混合してなるものであ
ることが好ましい。
【0017】又、本発明の硬化性無機有機複合組成物に
おいては、前記重合性不飽和結合を有する酸性の有機化
合物及び前記塩基性化合物が、該硬化性無機有機複合組
成物が硬化する温度以下の温度において液状物であるこ
とが好ましく、前記塩基性化合物がアンモニア及び沸点
が250℃以下のアミン類からなる群より選択された少
なくとも1種であることが好ましい。更に、前記塩基性
化合物がエチレン性不飽和単量体であることが好まし
く、前記リン酸類がリン酸水溶液、酸性リン酸エステル
及び酸性リン酸金属塩水溶液からなる群より選択された
少なくとも1種の液状物であることが好ましい。
【0018】更に又、本発明の硬化性無機有機複合組成
物においては、前記2価以上の金属よりなる金属化合物
を、前記リン酸類が有する水酸基の総価数と前記2価以
上の金属よりなる金属化合物における金属イオンの総価
数との比が、次式を満たすような量比で混合することが
好ましい。 (M1×n1+M2×n2+…)/(P1×pn1+P2×p
2+…)≧1.0 (尚、上式において、M1、M2…は2価以上の金属より
なる金属化合物が含有する金属イオンのそれぞれのモル
数を、n1、n2…は上記M1、M2…に対応する各金属イ
オンのそれぞれの価数を、P1、P2…はリン酸類が含有
するリン酸イオン(PO4 3-)のそれぞれのモル数を、
pn1、pn2…は上記P1、P2…に対応する各リン酸イ
オンが有する水酸基のそれぞれの数を示す。)
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。
【0020】本発明の硬化性無機有機複合組成物は、重
合性不飽和結合を有する酸性の有機化合物(以下「酸性
の有機化合物」と略記する)、該重合性不飽和結合を有
する酸性の有機化合物を中和する塩基性化合物(以下
「塩基性化合物」と略記する)、リン酸類、及び、2価
以上の金属よりなる金属化合物(以下「多価金属化合
物」と略記する)を、常法にしたがって混合して得られ
るものである。
【0021】本発明の硬化性無機有機複合組成物を得る
際には、酸性の有機化合物、塩基性化合物、リン酸類、
及び、多価金属化合物を混合する順序に特に制限はない
が、酸性の有機化合物、塩基性化合物及びリン酸類を同
時に混合し得た混合物と、多価金属化合物とを混合する
か、酸性の有機化合物及び塩基性化合物を先に混合した
ものへ更にリン酸類を添加混合して得た混合物と、多価
金属化合物とを混合することが、組成物の安定性が高く
なる点で好ましい。又、塩基性化合物による酸性の有機
化合物の中和が好適となる点では、酸性の有機化合物及
び塩基性化合物を先に混合したものへ更にリン酸類を添
加混合して得た混合物と、多価金属化合物とを混合する
ことがより好ましい。
【0022】本発明の硬化性無機有機複合組成物におい
て使用する酸性の有機化合物は、リン酸類の硬化剤とし
て機能する多価金属化合物に対して弱いながらも作用し
て、リン酸類と多価金属化合物との急激な反応を緩和す
る。
【0023】一般に、酸性の有機化合物としては次の官
能基を有する有機化合物が挙げられ、本発明で使用する
重合性不飽和結合を有する酸性の有機化合物が有する官
能基については、次のものと同様で特に制限がない。 カルボン酸;RCOOH、スルホン酸;RSO3H、ス
ルフィン酸;RSO2H、フェノール;ArOH、エノ
ール;RCH=C(OH)R’、1,3−ジケトン型化
合物;RCOCH2COR’、チオフェノール;ArS
H、イミド;RCONHCOR’、オキシム;RCH=
NOH、芳香族スルホンアミド;ArSO 2NH2又はA
rSO2NHR、酸性リン酸エステル;RPO(OH)2
又はR2PO(OH)
【0024】本発明においては、硬化性無機有機複合組
成物を硬化させるための成分としての機能を酸性の有機
化合物自体にも果たさせるために、酸性の有機化合物は
重合性不飽和結合を有する有機化合物でもある必要があ
る。
【0025】上記のような酸性の有機化合物は、単量
体、多量体又は高分子量体のいずれであっても差し支え
ないが、本発明の硬化性無機有機複合組成物が、コーテ
ィングに用いたり成形加工したりする温度に適合するよ
うに、適宜、単量体、多量体及び/又は高分子量体を配
合する量比を調節することが好ましい。
【0026】更に、硬化性無機有機複合組成物を均質に
するためやその成形加工性を損なわないようにするため
にも、上記酸性の有機化合物は、硬化性無機有機複合組
成物が硬化する温度以下の温度において液状物であるこ
とがより好ましい。
【0027】例えば、本発明の硬化性無機有機複合組成
物を室温又は100℃以下の雰囲気下でコーティングに
用いたり成形加工したりする場合には、この温度領域に
おいて粘度が低い液状物となる単量体を使用することが
好ましく、逆に、100℃を超える高温雰囲気下の場合
には、室温近辺にて粘度が低い単量体を用いると、硬化
性無機有機複合組成物の粘度が低すぎて、コーティング
又は成形加工が困難になったり、リン酸類や多価金属化
合物に対する流動性に大きな差が現われて、硬化の際に
有機成分(酸性の有機化合物及び塩基性有機化合物)と
無機成分(リン酸類及び多価金属化合物)とが分離して
しまう場合があり、得られる硬化物の機械的強度や難燃
性が損なわれる可能性があるので、室温近辺にて粘度の
高い高分子量体を単独で使用するか、この粘度の高い高
分子量体と粘度の低い単量体又は多量体とを併用するこ
とが好ましい。
【0028】本発明で使用する重合性不飽和結合を有す
る酸性の有機化合物として、具体的には例えば、アクリ
ル酸、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イ
タコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ビニル酢酸、
アリル酢酸、アンゲルカ酸、チグリン酸、β,β−ジメ
チルアクリル酸、ソルビン酸、ピロテレピン酸、テラク
リル酸、ウンデシレン酸、エライジン酸、セトレイン
酸、エルカ酸、ブラシジン酸、アラキドン酸、オレイン
酸、リノール酸、リノレン酸等のオレフィンカルボン酸
類;β−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジ
ェンサクシネート、β−(メタ)アクリロイルオキシエ
チルハイドロジェンマレート、β−(メタ)アクリロイ
ルオキシエチルハイドロジェンフタレート、β−(メ
タ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンホスフェ
ート、ジ−β−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイ
ドロジェンホスフェート、2−アクリルアミド−2−メ
チルプロパンスルホン酸等のオレフィンカルボン酸類の
誘導体;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸を含み、末
端にカルボキシル基を有する不飽和ポリエステル類が挙
げられる。
【0029】上記酸性の重合性不飽和結合を有する酸性
の有機化合物は、一種を単独で使用し、又は複数のもの
を併用することができ、これらの有機化合物は、水溶性
であっても油溶性であってもよく、特に制限はない。更
に、上記酸性の有機化合物のうち、得られる硬化物の難
燃性を高めることができる点で、β−(メタ)アクリロ
イルオキシエチルハイドロジェンホスフェートやジ−β
−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンホ
スフェート等のリン酸エステル系の単量体を用いること
が好ましい。
【0030】本発明の硬化性無機有機複合組成物におけ
る酸性の有機化合物の量比には特に制限はなく、得られ
る硬化物に求められる難燃性、機械的強度又は耐水性等
の性能が適合するように、適宜調整すればよい。
【0031】例えば、建築材料の用途に適用できる程度
の難燃性が硬化物に必要とされる場合には、酸性の有機
化合物の量比は、硬化性無機有機複合組成物の全質量に
対して、5〜50質量%であることが好ましく、5〜3
0質量%であることがより好ましい。
【0032】一方、本発明の硬化性無機有機複合組成物
において使用する塩基性化合物は、酸性の有機化合物を
中和することによって、該酸性の有機化合物とリン酸類
との相溶性を向上させる機能を有し、又、それだけでな
くリン酸類にも作用し、リン酸類と金属化合物との急激
な反応を緩和する機能を有している。
【0033】この塩基性化合物は、硬化性無機有機複合
組成物が硬化する温度以下の温度において液状物である
ことが好ましく、酸性の有機化合物と同様に水溶性であ
っても油溶性であっても構わず、又、単量体、多量体又
は高分子量体のいずれの形態であってもよいが、上記の
酸性の有機化合物との混合の容易さや、本発明の硬化性
無機有機複合組成物から得られる硬化物の機械的強度又
は耐水性の低下が生じないことを考慮して、選択するこ
とが好ましい。
【0034】例えば、酸性の有機化合物との混合の容易
さの点からすると、酸性の有機化合物として、硬化性無
機有機複合組成物を得る温度で、好ましくは室温で粘度
が高い多量体若しくは高分子量体を使用する場合又は両
者を併用する場合には、塩基性化合物は、室温で粘度の
低い低分子量の単量体であることが好ましく、逆に、酸
性の有機化合物として室温下で粘度の低い低分子量の単
量体を使用する場合には、塩基性化合物は粘度の高い高
分子量体を使用することが好ましい。
【0035】又、本発明の硬化性無機有機複合組成物か
ら得られる硬化物の機械的強度又は耐水性等の性能を良
好にするためには、塩基性化合物は、硬化性無機有機複
合組成物を加熱硬化した際に気化しやすい揮発性のも
の、例えば、アンモニア及び沸点が250℃以下のアミ
ン類からなる群より選択された少なくとも1種であるで
あることが好ましく、同じ理由によって、酸性の有機化
合物と同様に、塩基性化合物自体を、硬化性無機有機複
合組成物を硬化させるための成分として機能させるため
に、塩基性化合物はエチレン性不飽和単量体であること
が好ましい。
【0036】尚、金属水酸化物又は塩基性金属酸化物も
酸性の有機化合物を中和する効果を有してはいるが、リ
ン酸類と混合した際に、リン酸類と金属水酸化物又は塩
基性金属酸化物とが先に反応してしまい、酸性の有機化
合物の中和が不十分となってリン酸類との相溶性が低下
し、硬化性無機有機複合組成物の硬化の際に酸性の有機
化合物が分離してしまう場合があるので、好ましくな
い。
【0037】本発明で使用する、重合性不飽和結合を有
する酸性の有機化合物を中和する塩基性化合物として、
具体的には例えば、アンモニア、トリエチルアミン、ト
リプロピルアミン、トリブチルアミン、ジエチルアミ
ン、N−n−ブチルエタノールアミン、N−メチルエタ
ノールアミン、N−(β−アミノエチル)エタノールア
ミン、N,N’−ジメチルエタノールアミン、N,N’
−ジエチルエタノールアミン、 N,N’−ジブチルエ
タノールアミン、N,N’−メチルジエタノールアミ
ン、ジエタノールアミン、モルホリン、N−メチルモル
ホリン、ピペラジン、ヒドロキシエチルピペラジン、2
−メチルピペラジン等の揮発性の高いアミン類;ジメチ
ルアミノ(メタ)アクリレート、ジエチルアミノ(メ
タ)アクリレート、t−ブチルアミノエチル(メタ)ア
クリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリル
アミド等の塩基性のエチレン性不飽和単量体等が挙げら
れる。
【0038】本発明の硬化性無機有機複合組成物におけ
る塩基性化合物の量比には特に制限はないが、塩基性化
合物が中和する酸性の有機化合物の当量以下の量比で塩
基性化合物を使用することが好ましく、この当量を超え
る量比で塩基性化合物を使用しても差し支えないが、酸
性の有機化合物の中和に関与しない塩基性化合物が、得
られる硬化物の耐水性を損なう場合があるのであまり好
ましくない。
【0039】更に、本発明の硬化性無機有機複合組成物
において使用するリン酸類は、従来のリン酸類及びその
硬化剤を配合した硬化性組成物で使用されているものと
同様のものを使用できるが、中でも、リン酸水溶液、酸
性リン酸エステル及び酸性リン酸金属塩水溶液からなる
群より選択される少なくとも1種の液状物であること
が、混合が容易であるので好ましい。
【0040】上記リン酸水溶液としては、市販の75%
リン酸(P2554質量%を含有)、89%リン酸(P
2564質量%を含有)若しくはポリリン酸(P25
5.3質量%を含有)又は五酸化リンを水により希釈若
しくは溶解させたものが挙げられる。
【0041】上記酸性リン酸エステルとは、リン酸が有
する水酸基を残しているリン酸エステルのことであり、
リン酸モノエステル及びリン酸ジエステルが包含され
る。この酸性リン酸エステルとしては例えば、エチルホ
スフェート、イソプロピルホスフェート、n−プロピル
ホスフェート、n−ブチルホスフェート、ヘキシルエチ
ルホスフェート、ジエチルホスフェート、オレイルホス
フェート、ジブチルホスフェート、ブトキシエチルホス
フェート、2−エチルヘキシルホスフェート等が挙げら
れる。
【0042】上記酸性リン酸金属塩とは、上記酸性リン
酸エステルと同様にリン酸が有する水酸基を残している
リン酸金属塩のことであり、酸性リン酸金属塩の多く
は、潮解性のある固体であるが、本発明では水溶液で用
いることが好ましい。この酸性リン酸金属塩としては例
えば、第一リン酸ナトリウム、第一リン酸カリウム、第
一リン酸マグネシウム、第一リン酸カルシウム、第一リ
ン酸バリウム、第一リン酸亜鉛、第一リン酸アルミニウ
ム、セスキリン酸アルミニウム、第二リン酸アルミニウ
ム等が挙げられる。
【0043】本発明の硬化性無機有機複合組成物におけ
るリン酸類の量比には特に制限はないが、後述するよう
に多価金属化合物との比を調整することが好ましい。
尚、硬化性無機有機複合組成物から得られる硬化物を、
高い難燃性が要求される用途に使用する場合において
は、上記リン酸類の中でも、有機部位を有する酸性リン
酸エステルの使用を控えることが好ましい。
【0044】本発明の硬化性無機有機複合組成物におい
て使用する2価以上の金属よりなる金属化合物は、リン
酸類の硬化剤として機能するものである。この多価金属
化合物としては例えば、バリウム、マグネシウム、カル
シウム、ストロンチウム、亜鉛、アルミニウム又は鉄等
の多価金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩、ハロゲン化
物、硫酸塩、亜硫酸塩又は硝酸塩等が挙げられるが、こ
れらの中でハロゲン化物、硫酸塩、亜硫酸塩及び硝酸塩
は、リン酸類との反応の際に、副生成物として強塩基酸
を生成し、得られる硬化物の耐水性を損なう場合がある
のであまり好ましくない。
【0045】又、使用する多価金属化合物の種類によっ
て、硬化性無機有機複合組成物の粘度や硬化条件が異な
り、又、得られる硬化物の機械的強度等の性能にも影響
が及び、例えば、マグネシウム、カルシウム、バリウム
及び亜鉛のうちのいずれか1種類を含有する多価金属化
合物を使用すると、リン酸類と混合した直後から硬化反
応が始まって、常温にて数秒〜数分で硬化が完了し、一
方、多価金属化合物として水酸化アルミニウムを使用す
ると、加熱下においてでも硬化完了までに数分〜数時間
を要する。
【0046】したがって、本発明の硬化性無機有機複合
組成物をコーティングに用いたり成形加工したりする際
の温度や許容時間、又は、硬化性無機有機複合組成物組
成物を硬化させる際の温度や許容時間等の条件によっ
て、多価金属化合物の種類を適宜選択すればよい。
【0047】例えば、リン酸類の中でも、特に反応性に
富むリン酸水溶液を使用する場合には、亜鉛、マグネシ
ウム又はカルシウム等を含有する反応が速い多価金属化
合物を、リン酸と該多価金属化合物との反応によって酸
性リン酸金属塩が生成する程度の当量の比に合わせて、
混合及び反応させた後、室温で比較的反応が緩やかな水
酸化アルミニウムを混合し、加熱下で硬化を完了させる
方法を採用することができる。
【0048】又、接着剤やコーティング剤のように、加
工と硬化とをほぼ同時で行うような場合には、多価金属
化合物として反応の緩やかな水酸化アルミニウム、酸化
ジルコニウム又は酸化チタン等とリン酸類及び他の成分
とを先に混合しておき、加工直前に、カルシウム、マグ
ネシウム又は亜鉛を含有する反応が速い多価金属化合物
を混合させる方法を採用することができ、これらの多価
金属の使用方法の中から、硬化性無機有機複合組成物の
加工方法や得られる硬化物の用途に基づいて、適宜選択
して採用すればよい。
【0049】上記多価金属化合物はリン酸類と反応硬化
して、本発明の硬化性無機有機複合組成物から得られる
硬化物のマトリックスの一部をなすと共に、該硬化物の
耐水性を向上させるものでもあり、多価金属化合物の使
用量はリン酸類の使用量によって異なってくるので、得
られる硬化物の機械的強度や耐水性等の性能を良好にす
るためには、該硬化物の中にリン酸類の水酸基が残存し
ないように、リン酸類が有する水酸基の当量以上に多価
金属化合物を使用することが好ましい。
【0050】具体的には、リン酸類が有する水酸基の総
価数と多価金属化合物における金属イオンの総価数との
比が、次式を満たすような量比で、リン酸類と多価金属
化合物とを配合することが好ましい。(M1×n1+M2
×n2+…)/(P1×pn1+P2×pn2+…)≧1.
0尚、上式において、M1、M2…は2価以上の金属より
なる金属化合物が含有する金属イオンのそれぞれのモル
数を、n1、n2…は上記M1、M2…に対応する各金属イ
オンのそれぞれの価数を、P1、P2…はリン酸類が含有
するリン酸イオン(PO4 3-)のそれぞれのモル数を、
pn1、pn2…は上記P1、P2…に対応する各リン酸イ
オンが有する水酸基のそれぞれの数を示す。
【0051】本発明の硬化性無機有機複合組成物には、
必要に応じて、上記の酸性の有機化合物、塩基性化合
物、リン酸類及び多価金属化合物以外に、以下の成分を
配合することができる。
【0052】まず、酸性の有機化合物及び基性化合物と
して選択したエチレン性不飽和単量体の重合の度合い高
めて、硬化性無機有機複合組成物を十分に硬化させるた
めに、重合開始剤を配合することができ、この重合開始
剤としては例えば、アセチルヘキシルスルホニルパーオ
キサイド、イソブチリルパーオキサイド、ジイソプロピ
ルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシル
パーオキシカーボネート、2,4−ジクロロベンゾイル
パーオキサイド、t−ブチルパーオキシビバレート、オ
クタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイ
ド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキ
サイド、プロピオニトリルパーオキサイド、アセチルパ
ーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキ
サノエート、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブ
チルパーオキシベンゾエート、メチルエチルケトンパー
オキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミ
ルパーオキサイド、t−ブチルヒドロキシパーオキサイ
ド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジイソプロピルベ
ンゼンヒドロパーオキサイド、パラメンタンヒドロパー
オキサイド、クメンパーオキサイド、過酸化水素、過硫
酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等
の過酸化物;2,2’−アゾビスブチロニトリル、2,
2’−アゾビス(2−メチルーN−(2−(1−ヒドロ
キシブチル))プロピオンアミド)、2,2’−アゾビ
ス(2−メチルーN−(2−(1−ヒドロキシエチ
ル))プロピオンアミド)、2,2’−アゾビスー4−
メトキシー2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’
−アゾビスー2,4−ジメチルバレロニトリル等のアゾ
化合物が挙げられる。
【0053】又、得られる硬化物に所望の性能を付与す
るためや硬化性無機有機複合組成物の取り扱い性や成形
加工性を良好にするため等の目的で、シリカフューム、
粘土、マイカ、タルク等の無機充填剤、弁柄、群青、フ
タロシアニン類などの顔料、ガラス繊維、カーボン繊
維、ロックウール、セラミック繊維、ウォラストナイト
等の無機強化材、シリコーンオイル、シリコーン系界面
活性剤、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウ
ム、ワックス等のレべリング剤や潤滑剤や離型剤、アゾ
ジカルボンアミド、N,N’−ジニトロソペンタメチレ
ンテトラミン、P,P−オキシビスベンゼンスルホニル
ヒドラジド、パラトルエンスルホニルヒドラジド、シア
ゾアミノベンゼン、重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウ
ム、重炭酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウム等の発泡
剤等を配合することができる。
【0054】更に、コーティングに用いる場合の取り扱
い性や得られるコーティング層の性状を良好にしたり、
成形品を得る際の成形加工性を向上させるために、希釈
剤として有機溶剤や水を配合することもでき、本発明の
硬化性無機有機複合組成物がリン酸類や中和された酸性
の有機化合物を含むために、有機溶剤を使用する場合は
極性の高い有機溶剤であることが好ましく、水は硬化性
無機有機複合組成物の均質な混合常態を阻害しない程度
の量とすることが好ましい。
【0055】前記有機溶剤としては例えば、メタノー
ル、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブ
タノール、イソブタノール等のアルコール類;アセト
ン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等の
ケトン類;n−プロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ
等のセロソルブ類が挙げられる。
【0056】こうして得られた本発明の硬化性無機有機
複合組成物は、常温において又は加熱することによって
硬化物が得られ、種々の用途に用いることができ、又、
硬化性無機有機複合組成物に繊維状の無機強化材を配合
し、かつ、得られる硬化物が成形品である場合には、従
来の繊維強化プラスチックにおいて実施されている成形
法を適宜応用することができる。
【0057】以下に実施例によって本発明を更に詳細に
説明する。
【0058】実施例1 酸性の有機化合物としてのβ−メタクロイルオキシエチ
ルハイドロジェンマレート255gと、塩基性化合物と
しての35%アンモニア水112gとを、ディゾルバー
を用いて撹拌混合したものへ、リン酸類としての89%
リン酸1000gを添加混合し、得られた混合物へ、多
価金属化合物としての酸化マグネシウム110gを徐々
に添加して混合した。酸化マグネシウムの添加混合の際
に、リン酸と酸化マグネシウムとが激しく反応し、液温
が90℃まで上昇した。酸化マグネシウムを添加混合し
た後、1時間をかけて徐冷し、更に多価金属化合物とし
ての水酸化アルミニウム593g及び希釈剤としての水
360gを添加して混合し、本発明の硬化性無機有機複
合組成物を得た。
【0059】実施例2 ネオペンチルグリコール0.8モル、1,4−ブタンジ
オール0.2モル、トリメチロールプロパン0.3モ
ル、無水マレイン酸0.7モル及び無水フタル酸0.5
モルが反応してなり、酸価が40mgKOH/gである
不飽和ポリエステル樹脂1200g及びβ-メタクロイ
ルオキシエチルハイドロジェンマレート600gを混合
して得た酸性の有機化合物としての混合物と、塩基性化
合物としてのN,N’−ジメチルエタノールアミン21
6gとをディゾルバーを用いて撹拌混合した。そこへ、
リン酸類としての89%リン酸1000gを添加混合
し、得られた混合物へ、多価金属化合物としての酸化亜
鉛166gと水酸化アルミニウム225gとの混合物を
徐々に添加混合したところ、液温は95℃まで上昇し
た。その後、2時間かけて徐冷し、更に多価金属化合物
としての水酸化アルミニウム475g及び希釈剤として
のエタノール430gを添加して混合し、粘稠の本発明
の硬化性無機有機複合組成物を得た。
【0060】実施例3 リノール酸220gとマレイン酸46gとを撹拌混合し
ながら130℃まで加熱して酸性の有機化合物としての
混合物を得た。この混合物を冷却してから、塩基性化合
物としてのN,N,N’,N’−テトラメチルエチレン
ジアミン55gを添加混合し、更に希釈剤としての水5
00gを添加混合した。この中和された酸性の有機化合
物に、リン酸類としての粉体の第一リン酸アルミニウム
1000gを添加し、この第一リン酸アルミニウムが溶
解するまで撹拌混合して得た混合物に、多価金属化合物
としての酸化ジルコニウム118g及び水酸化アルミニ
ウム390gを添加混合し、本発明の硬化性無機有機複
合組成物を得た。
【0061】実施例4 酸性の有機化合物としてのβ−メタクロイルオキシエチ
ルハイドロジェンマレート1230gと、塩基性化合物
としてのエチレン性不飽和単量体であるジメチルアミノ
メタクリレート490gとを、ディゾルバーを用いて撹
拌混合したものへ、リン酸類としてのジブチルホスフェ
ート1000gを添加混合し、得られた混合物へ、多価
金属化合物としての酸化亜鉛116g及び水酸化アルミ
ニウム297gを徐々に添加して混合し、本発明の硬化
性無機有機複合組成物を得た。
【0062】実施例5 β−メタクロイルオキシエチルハイドロジェンホスフェ
ート及びジ−β−メタクロイルオキシエチルハイドロジ
ェンホスフェートを質量比で1:1に混合した酸性の有
機化合物としての混合物439gと、塩基性化合物とし
ての35%アンモニア水56gとを、ディゾルバーを用
いて撹拌混合したものへ、リン酸類としての89%リン
酸1000gを添加混合し、得られた混合物へ、多価金
属化合物としての酸化亜鉛166gと水酸化アルミニウ
ム225gとからなる混合物を徐々に添加して混合した
ところ、液温は95℃まで上昇した。その後、1時間か
けて徐冷し、更に多価金属化合物としての水酸化アルミ
ニウム475g及び希釈剤としての水240gを添加し
て混合し、本発明の粘稠の硬化性無機有機複合組成物を
得た。
【0063】比較例1 酸性の有機化合物としてのβ−メタクロイルオキシエチ
ルハイドロジェンマレート255gを撹拌しながら、リ
ン酸類としての89%リン酸1000gを添加して混合
した後、多価金属化合物としての酸化マグネシウム11
0gを徐々に添加して混合した。酸化マグネシウムを添
加した後、リン酸と酸化マグネシウムとが激しく反応し
て、混合物は粘度が極めて高くなり、β−メタクロイル
オキシエチルハイドロジェンマレートが混合物から分離
してしまって、硬化性組成物を得ることができなかっ
た。
【0064】比較例2 リノール酸220g及びマレイン酸46gを撹拌しなが
ら130℃まで加熱して酸性の有機化合物としての混合
物を得た。この混合物を冷却してから、水1000gを
添加混合して希釈した後、リン酸類としての粉体の第一
リン酸アルミニウム1000gを添加し、第一リン酸ア
ルミニウムが溶解するまで撹拌混合し、更に、多価金属
化合物としての酸化ジルコニウム118g及び水酸化ア
ルミニウム390gを添加混合して硬化性組成物を得た
が、時間の経過と共に無機成分が沈降し、使用できなか
った。
【0065】比較例3 水800gにリン酸類としての89%リン酸1000g
を添加して混合したものへ、酸化亜鉛166g及び水酸
化アルミニウム225gを混合してなるリン酸類の硬化
剤としての混合物を徐々に添加したところ、液温は95
℃まで上昇した。その後、2時間かけて徐冷し、更にリ
ン酸類の硬化剤としての水酸化アルミニウム475gを
添加して混合し、粘稠の硬化性組成物を得た。
【0066】比較例4 ネオペンチルグリコール0.8モル、1,4−ブタンジ
オール0.2モル、トリメチロールプロパン0.3モ
ル、無水マレイン酸0.7モル及び無水フタル酸0.5
モルが反応してなり、酸価が40mgKOH/gである
不飽和ポリエステル樹脂1200gとβ−メタクロイル
オキシエチルハイドロジェンマレート600gとを混合
して、硬化性組成物を得た。
【0067】評価例1 実施例1、3及び5で得られた本発明の硬化性無機有機
複合組成物100質量部のそれぞれに、2,2’−アゾ
ビス(2−メチル−N−(2−(1−ヒドロキシブチ
ル))プロピオンアミド)0.3質量部及び発泡剤とし
ての炭酸マグネシウム60質量部を添加混合した。それ
ぞれの混合物は、激しく反応して炭酸ガスを発生させな
がら硬化して、硬化物としての発泡体が得られた。又、
比較例3で得られた硬化性組成物100質量部に、発泡
剤としての炭酸マグネシウム60質量部のみを添加混合
し、同様に硬化物としての発泡体を得た。
【0068】上記の発泡体のそれぞれについて、JIS
A 9511に準じた方法によって密度及び10%圧
縮強度の測定を行い、JIS A 1321によって難
燃性の評価を行った。その結果を表1に示す。尚、JI
S A 1321による表面試験については、温度時間
面積=0、発煙係数<30、残炎時間<30にて、難燃
2級の合格レベルになる。
【0069】
【表1】
【0070】評価例2 実施例1、3及び5で得られた本発明の硬化性無機有機
複合組成物100質量部それぞれに、2,2’−アゾビ
スー2,4−ジメチルバレロニトリル0.3質量部を添
加混合して得られた硬化性組成物のそれぞれを、単位面
積質量が450g/m2のEガラス繊維のチョップドス
トランドマットに、ガラス繊維含有率が硬化して得られ
た複合材の全体の質量の30%になるように含浸させた
後、150℃の加熱炉の中で20分間加熱して硬化させ
て、硬化物としての平板状の繊維強化複合材を得た。
又、比較例3で得た硬化性組成物を用いて、上記と同様
のチョップドストランドマット、条件及び方法によっ
て、硬化物としての平板状の繊維強化複合材を得た。
【0071】上記の繊維強化複合材のそれぞれについ
て、密度の測定、JIS A 1408による常態の曲
げ強度の測定、及び、JIS A 1321による難燃
性の評価を行った。又、上記のそれぞれの繊維強化複合
材を温度25℃の水に24時間浸漬する前後の質量を測
定して質量増加率を算出し、吸水性(耐水性)の指標と
した。それらの結果を表2に示す。
【0072】
【表2】
【0073】評価例3 実施例2、4及び比較例4で得られた硬化性組成物10
0質量部のそれぞれに、ジ−t−ブチルパーオキサイド
0.5質量部を添加混合して得られた硬化性組成物を用
いて、評価例2と同様のガラスチョップドストランドマ
ット、条件及び方法によって、硬化物としてのガラス繊
維含有率30質量%の繊維強化複合材を得た。これらの
繊維強化複合材のそれぞれについて、密度の測定、JI
S A1408による常態の曲げ強度の測定、及び、J
IS A 1321による難燃性の評価を行った。その
結果を表3に示す。
【0074】
【表3】
【0075】実施例1及び3と比較例1及び2との比較
から、本発明によれば、酸性の有機化合物を塩基性化合
物で中和することによって、水が無い又は少量であって
も、リン酸類及び多価金属化合物の混合が容易になり、
安定な硬化性無機有機複合組成物を得ることができる
が、塩基性化合物を用いない場合は、実用可能な硬化性
組成物が得られないことが分かる。
【0076】又、無機材料を有機材料で改質するという
観点からすると、表1に示した評価結果から分かるよう
に、実施例1、3及び5による本発明の硬化性無機有機
複合組成物から得られた発泡体と、比較例3による従来
のリン酸類及びその硬化剤を配合した硬化性組成物から
得た発泡体とを比較すると、発泡剤である炭酸マグネシ
ウムの添加量が同じであるにもかかわらず、本発明の発
泡体は密度が低く、かつ、圧縮強度が高いことが分か
る。これは、本発明の硬化性無機有機複合組成物が流動
性に富み、発泡剤から生じる発泡ガスの量が同じでも、
得られる発泡体の発泡倍率が高くなることを示してい
る。
【0077】又、表1及び表2に示した評価結果から分
かるように、比較例3による従来のリン酸類及びその硬
化剤を配合した硬化性組成物と比較して、実施例1、3
及び5による本発明の硬化性無機有機複合組成物は、発
泡体にした場合の10%圧縮強度、及び、繊維強化複合
材とした場合の曲げ強度が高く、又、従来の硬化性組成
物から得られた発泡体及び繊維強化複合材と比較して、
本発明の硬化性無機有機複合組成物から得られた発泡体
及び繊維強化複合材は、表面試験の評価データは多少劣
るが、JIS規格で定められた同一レベル範囲内にある
ので、難燃性としては実質的に同じである。
【0078】更に、有機材料の難燃性を無機材料によっ
て改良するという観点からすると、表3に示した評価結
果から、比較例4による有機材料のみを用いた硬化性組
成物(従来の不飽和ポリエステル樹脂組成物)から得た
繊維強化複合材と比較して、実施例2及び4による本発
明の硬化性無機有機複合組成物から得た繊維強化複合材
は、ほぼ同等の機械的強度を保ちながらも難燃性が高い
ので、極めて難燃性が改良されたことが分かる。
【0079】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の硬化性無
機有機複合組成物は、酸性の有機化合物、塩基性化合
物、リン酸類、及び、リン酸類の硬化剤となる多価金属
化合物を混合してなるものなので、塩基性化合物によっ
て中和された酸性の有機化合物によって、リン酸類と多
価金属化合物との反応が緩和されて、取り扱い性や成形
加工性が良好な組成物となり、結果的に無機材料と有機
材料とを任意の割合で均一に混合することができる。
【0080】又、リン酸類と多価金属化合物との反応に
よって硬化性無機有機複合組成物が硬化するだけではな
く、酸性の有機化合物が重合性不飽和結合を有してい
て、これも硬化性無機有機複合組成物を硬化させるため
の成分として機能するため、該組成物の硬化が十分なも
のとなる。
【0081】上記の効果によって、本発明の硬化性無機
有機複合組成物は、無機材料の有機材料による強靭化
と、有機材料の無機材料による難燃化との双方の観点か
ら応用することが可能となり、該組成物から得られた硬
化物は、機械的強度、難燃性及び耐水性に優れている。
【0082】更に、本発明の硬化性無機有機複合組成物
は、これに配合する多価金属化合物の種類を適宜変える
ことによって硬化条件を調整できるので、発泡体、繊維
強化成形品のマトリックス、コーティング剤、バインダ
ー或いは接着剤等として、幅広い用途に使用することが
可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C04B 24/26 C04B 24/26 E H Z 28/34 28/34 C08F 20/00 C08F 20/00 22/00 22/00 Fターム(参考) 4G012 PB27 PB28 PB29 PB30 PB31 PB32 PC08 PC11 PC15 4J011 PA06 PA07 PA08 PA09 PA10 PA35 PA36 PA37 PA40 PA43 PA46 PB29 PC02 4J100 AG04P AG10P AJ01P AJ02P AJ03P AJ08P AJ09P AL08P AM21P AS13P AS23P BA02P BA16P BA56P BA65P BC43P CA01 CA03 FA03 JA67

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重合性不飽和結合を有する酸性の有機化
    合物、該重合性不飽和結合を有する酸性の有機化合物を
    中和する塩基性化合物、リン酸類、及び、2価以上の金
    属よりなる金属化合物を含有することを特徴とする硬化
    性無機有機複合組成物。
  2. 【請求項2】 重合性不飽和結合を有する酸性の有機化
    合物、該重合性不飽和結合を有する酸性の有機化合物を
    中和する塩基性化合物、及び、リン酸類を混合してなる
    混合物と、2価以上の金属よりなる金属化合物とを混合
    してなる請求項1に記載の硬化性無機有機複合組成物。
  3. 【請求項3】 前記重合性不飽和結合を有する酸性の有
    機化合物及び該酸性の有機化合物を中和する前記塩基性
    化合物が、前記硬化性無機有機複合組成物が硬化する温
    度以下の温度において液状物である請求項1又は2に記
    載の硬化性無機有機複合組成物。
  4. 【請求項4】 前記塩基性化合物が、アンモニア及び沸
    点が250℃以下のアミン類からなる群より選択された
    少なくとも1種である請求項1乃至3のいずれかに記載
    の硬化性無機有機複合組成物。
  5. 【請求項5】 前記塩基性化合物が、エチレン性不飽和
    単量体である請求項1乃至4のいずれかに記載の硬化性
    無機有機複合組成物。
  6. 【請求項6】 前記リン酸類が、リン酸水溶液、酸性リ
    ン酸エステル及び酸性リン酸金属塩水溶液からなる群よ
    り選択された少なくとも1種の液状物である請求項1乃
    至5のいずれかに記載の硬化性無機有機複合組成物。
  7. 【請求項7】 前記2価以上の金属よりなる金属化合物
    を、前記リン酸類が有する水酸基の総価数と前記2価以
    上の金属よりなる金属化合物における金属イオンの総価
    数との比が、次式を満たすような量比で混合してなる請
    求項1乃至6のいずれかに記載の硬化性無機有機複合組
    成物。 (M1×n1+M2×n2+…)/(P1×pn1+P2×p
    2+…)≧1.0 (尚、上式において、M1、M2…は2価以上の金属より
    なる金属化合物が含有する金属イオンのそれぞれのモル
    数を、n1、n2…は上記M1、M2…に対応する各金属イ
    オンのそれぞれの価数を、P1、P2…はリン酸類が含有
    するリン酸イオン(PO4 3-)のそれぞれのモル数を、
    pn1、pn2…は上記P1、P2…に対応する各リン酸イ
    オンが有する水酸基のそれぞれの数を示す。)
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JP2009007535A (ja) * 2007-06-29 2009-01-15 Three M Innovative Properties Co 難燃性アクリル系樹脂組成物、及びそれを用いた感圧接着シート
KR102269775B1 (ko) * 2020-09-15 2021-06-28 윤미라 저온경화 가능한 난연성 유·무기 바인더 및 그 제조방법

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009007535A (ja) * 2007-06-29 2009-01-15 Three M Innovative Properties Co 難燃性アクリル系樹脂組成物、及びそれを用いた感圧接着シート
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