JP2003277343A - 新規N−カルバモイル−α−アミノ酸及びその製造方法 - Google Patents

新規N−カルバモイル−α−アミノ酸及びその製造方法

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JP2003277343A
JP2003277343A JP2002077409A JP2002077409A JP2003277343A JP 2003277343 A JP2003277343 A JP 2003277343A JP 2002077409 A JP2002077409 A JP 2002077409A JP 2002077409 A JP2002077409 A JP 2002077409A JP 2003277343 A JP2003277343 A JP 2003277343A
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Japan
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carbamoyl
propargylglycine
derivative
hydantoinase
group
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JP2002077409A
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Yoshihiro Yanagisawa
恵広 柳澤
Hironori Nanba
弘憲 難波
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 医薬、農薬、生理活性物質の合成中間体とし
て有用なプロパルギルグリシン誘導体に容易に導くこと
ができる、N−カルバモイル−α−プロパルギルグリシ
ン誘導体、及び、該化合物を入手容易な原料から簡便な
操作で製造する方法を提供する。 【解決手段】 5位に置換プロパルギル基を有するヒダ
ントイン誘導体を、ヒダントイナーゼを利用して加水分
解することにより、N−カルバモイル−α−プロパルギ
ルグリシン誘導体を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規なN−カルバ
モイル−α−アミノ酸及びその製造法に関する。より詳
細には、側鎖として置換プロパルギル基をα位に有する
N−カルバモイル−α−アミノ酸、即ち、下記一般式
(1)
【0002】
【化4】 (式中、R1は水素原子、置換基を有してもよい炭素数
1〜10の環状若しくは非環状のアルキル基、又は、置
換基を有してもよい炭素数7〜10のアラルキル基を表
す。)で表されるN−カルバモイル−α−プロパルギル
グリシン誘導体、とりわけ、光学活性N−カルバモイル
ブチニルグリシン、及び、その製造法に関する。N−カ
ルバモイル−α−プロパルギルグリシン誘導体は、カル
バモイル基を除去することにより、医薬、農薬の中間体
や生理活性物質などとして有用な、プロパルギルグリシ
ン誘導体に容易に導くことができる。
【0003】
【従来の技術】これまでに、側鎖として置換基を有して
いても良いフェニル基をα位に有するN−カルバモイル
−α−アミノ酸及びその製造方法(特開昭53−446
90、特開昭53−69884)や側鎖として置換基を
有しても良いアルキル基または置換基を有していてもよ
いアラルキル基をα位に有するN−カルバモイル−α−
アミノ酸及びその製造方法(特開昭53−91189)
は知られている。しかしながら、前記式(1)で表され
るN−カルバモイル−α−プロパルギルグリシン誘導体
及びその製造方法は知られていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、医
薬、農薬の中間体や生理活性物質などとして有用なプロ
パルギルグリシン誘導体に容易に導くことができる、N
−カルバモイル−α−プロパルギルグリシン誘導体及び
その製造方法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記に鑑
み、特願2001−312243記載の方法で入手可能
な5位に置換プロパルギル基を有するヒダントイン誘導
体を、ヒダントイナーゼを用いて酵素的に加水分解する
ことにより、効率良くN−カルバモイル−α−プロパル
ギルグリシン誘導体を製造できることを見出し、本発明
を完成するに至った。
【0006】即ち、本発明は、一般式(1)
【0007】
【化5】 (式中、R1は水素原子、置換基を有してもよい炭素数
1〜10の環状若しくは非環状のアルキル基、又は、置
換基を有してもよい炭素数7〜10のアラルキル基を表
す)で表されるN−カルバモイル−α−プロパルギルグ
リシン誘導体を提供するものである。
【0008】また、本発明は、一般式(2)
【0009】
【化6】 (式中、R1は水素原子、置換基を有してもよい炭素数
1〜10の環状若しくは非環状のアルキル基、又は、置
換基を有してもよい炭素数7〜10のアラルキル基を表
す)で表される5−置換ヒダントイン誘導体を、ヒダン
トイナーゼにより加水分解することを特徴とする、一般
式(1)
【0010】
【化7】 (式中、R1は前記と同じ)で表されるN−カルバモイ
ル−α−プロパルギルグリシン誘導体の製造方法であ
る。
【0011】なお、本発明により提供される、一般式
(1)で表されるN−カルバモイル−α−プロパルギル
グリシン誘導体は本発明者らによりプロパルギルグリシ
ン誘導体製造における有用性が確認された新規化合物で
ある。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0013】本発明の出発物質である一般式(2)で表
される5−置換ヒダントイン誘導体は以下に示す方法で
容易に取得できる。即ち、特願2001−312243
記載のように、アミノマロン酸ジエステルにシアン酸カ
リウムを作用させて製造される入手容易なN−カルバモ
イルアミノマロン酸ジエステルを原料として、これを塩
基存在下に環化させ、5−アルコキシカルボニルヒダン
トインと成す。続いてアルキン誘導体と反応させて得た
5−置換ヒダントインをエステル加水分解、続いて脱炭
酸することにより、一般式(2)で表される5−置換ヒ
ダントイン誘導体を取得することができる。
【0014】前記式(2)において、R1は水素原子、
置換基を有しても良い炭素数1〜10の環状若しくは非
環状のアルキル基、又は、置換基を有してもよい炭素数
7〜10のアラルキル基を表す。置換基としては、反応
に悪影響を与えない限り特に限定されず、例えば、水酸
基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ハロゲノ基、ニト
ロ基、アミノ基、シアノ基、カルボキシル基などを挙げ
ることができる。これらは、必要に応じて公知の手段に
より保護された形態であってもよい。なお、上記アルキ
ル基、アラルキル基における炭素数は、置換基中の炭素
を含めない数をさす。
【0015】置換基を有してもよい炭素数1〜10の環
状若しくは非環状のアルキル基としては、特に限定され
ず、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イ
ソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、イソ
ブチル基、t−ブチル基、シクロブチル基、n−ペンチ
ル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキ
シル基、n−オクチル基、n−デシル基などを挙げるこ
とができる。
【0016】また、置換基を有してもよい炭素数7〜1
0のアラルキル基としては、特に限定されず、例えば、
ベンジル基、p−ヒドロキシベンジル基、p−メトキシ
ベンジル基、o−ヒドロキシベンジル基、o−メトキシ
ベンジル基などを挙げることができる。
【0017】R1として、好ましくは水素原子又は置換
基を有してもよい炭素数1〜10のアルキル基であり、
より好ましくは水素原子又はメチル基である。
【0018】本発明の第一の態様である前記式(1)で
表されるN−カルバモイル−α−プロパルギルグリシン
誘導体は、本発明者らによりプロパルギルグリシン誘導
体製造における有用性が確認された新規化合物である。
前記式(1)におけるR1は、前記式(2)で表される
化合物に由来し、既に化合物(2)について説明したも
のと同様である。尚、前記式(1)で表される化合物は
不斉炭素原子を有するが、光学活性体、ラセミ体のいず
れも本発明の範囲に含まれる。医薬、農薬あるいは生理
活性物質の合成中間体としては、光学活性体が好まし
く、D体がより好ましい。
【0019】次に本発明の第ニの態様について説明す
る。本態様では、前記式(2)で表される5−置換ヒダ
ントイン誘導体をヒダントイナーゼにより加水分解して
前記式(1)で表されるN−カルバモイル−α−プロパ
ルギルグリシン誘導体を製造する。
【0020】ここでヒダントイナーゼとは、5−置換ヒ
ダントイン誘導体を加水分解してN−カルバモイル−α
−アミノ酸誘導体を生成する活性を有する酵素である。
前記式(2)で表される5−置換ヒダントイン誘導体を
基質として加水分解できる酵素であれば、動物、植物、
又は、微生物由来のいずれの酵素でも使用できるが、工
業的な利用には微生物由来のものが好ましい。また、D
体選択的なヒダントイナーゼ、又は、L体選択的なヒダ
ントイナーゼを用いて、式(1)で表されるN−カルバ
モイル−α−プロパルギルグリシン誘導体のD体、又
は、L体を製造することもできる。
【0021】本発明で用いるD体選択的なヒダントイナ
ーゼとしては、当該酵素の生産能力を有する動物、植
物、又は、微生物由来のいずれの酵素でも使用できる
が、工業的な利用には微生物由来のものが好ましい。例
えば、細菌に属する微生物としてはアセトバクター属
(Acetobacter)、アクロモバクター属(Achromobacte
r)、アエロバクター属(Aerobacter)、アグロバクテ
リウム属(Agrobacterium)、アルカリゲネス属(Alcal
igenes)、アルスロバクター属(Arthrobacter)、バチ
ルス属(Bacillus)、ブレビバクテリウム属(Brevibac
terium)、コリネバクテリウム属(Corynebacteriu
m)、エンテロバクター属(Enterobacter)、エルウイ
ニア属(Erwinia)、エシエリヒア属(Escherichia)、
クレブシエラ属(Klebsiella)、ミクロバクテリウム属
(Microbacterium)、ミクロコッカス属(Micrococcu
s)、プロタミノバクター属(Protaminobacter)、プロ
テウス属(Proteus)、シュードモナス属(Pseudomona
s)、サルチナ属(Sartina)、セラチア属(Serrati
a)、キサントモナス属(Xanthomonas)、アエロモナス
属(Aeromonas)、フラボバクテリウム属(Flavobacter
ium)、リゾビウム属(Rhizobium)など、放線菌に属す
る微生物としてはアクチノミセス属(Actinomyces)、
ミコバクテリウム属(Mycobacterium)、ノカルデイア
属(Nocardia)、ストレプトミセス属(Streptomyce
s)、アクチノプラネス属(Actinoplanes)、ロドコッ
カス属(Rhodococcus)など、かびに属するものとして
はアスペルギルス属(Aspergillus)、パエシロミセス
属(Paecilomyces)、ペニシリウム属(Penicillium)
など、酵母に属する微生物としてはキャンディダ属(Ca
ndida)、ピヒア属(Phichia)、ロードトルラ属(Rhod
otorula)又はトルロプシス属(Torulopsis)などを挙
げることができる。
【0022】好ましくは、アグロバクテリウム属(Agro
bacterium)、バチルス属(Bacillus)、シュードモナ
ス属(Pseudomonas)又はリゾビウム属(Rhizobium)に
属する微生物由来の酵素が挙げられる。
【0023】さらに好ましくは、アグロバクテリウム・
スピーシーズ(Agrobacterium sp.)KNK712(F
ERM BP−1900)、バチルス・スピーシーズ
(Bacillus sp.)KNK245(FERM BP−48
63)、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putid
a)IFO12996、シュードモナス・スピーシーズ
(Pseudomonas sp.)KNK003A(FERM BP
−3181)又はリゾビウム・スピーシーズ(Rhizobiu
m sp.)KNK1415(FERM BP−4419)
由来の酵素が挙げられる。
【0024】本発明で用いるL体選択的なヒダントイナ
ーゼとしては、前述のD体選択的な酵素と同様に、当該
酵素の生産能力を有する動物、植物、微生物由来のもの
が使用できるが、工業的な利用には微生物由来のものが
好ましい。微生物としては、当該酵素の生産能力を有す
る微生物であればいずれも利用できるが、例えば、以下
の公知の、当該酵素の生産能力を有する微生物であるバ
チルス属(Bacillus)、フラボバクテリウム属(Flavob
acterium)、アルスロバクター属(Arthrobacter)、シ
ュードモナス属(Pseudomonas)又はノカルディア属(N
ocardia)に属する微生物を挙げることができる。
【0025】上記微生物は野生株であってもよく、ま
た、変異処理によってヒダントイナーゼ活性が高められ
た変異株であってもよい。さらに、遺伝子組換え等の方
法を用いて、上記微生物由来のヒダントイナーゼを高生
産するように作成された形質転換微生物であってもよ
い。
【0026】ヒダントイナーゼを効率良く高生産する形
質転換微生物の作成方法としては、例えばWO96/2
0275記載のように、ヒダントイナーゼ活性を示す菌
株からヒダントイナーゼ遺伝子をクローニングした後、
適当なベクターとの組換えプラスミドを作成して、これ
を用いて適当な宿主菌を形質転換することで得られる。
なお、組換えDNA技術については当該分野において周
知であり、例えば、Molecular Clonin
g 2nd Edition (Cold Sprin
g Harbor Laboratory Pres
s,1989)、Current Protocols
in Molecular Biology (Gr
eene Publishing Associate
s andWiley−Interscience)に
記載されている。
【0027】このようにして得られた、ヒダントイナー
ゼを高生産する形質転換微生物としてはWO96/20
275記載の、バチルス・スピーシーズ(Bacillus s
p.)KNK245(FERM BP−4863)由来の
ヒダントイナーゼ遺伝子を含有するエシェリヒア・コリ
(Escherichia coli)HB101 pTH104(FE
RM BP−4864)、アグロバクテリウム・スピー
シーズ(Agrobacteriumsp.)KNK712(FERM
BP−1900)由来のヒダントイナーゼ遺伝子を含有
するエシェリヒア・コリ(Escherichia coli)HB10
1 pAH1043(FERM BP−4865)、又
はシュードモナス・スピーシーズ(Pseudomonas sp.)
KNK003A(FERM BP−3181)由来のヒ
ダントイナーゼ遺伝子を含有するエシェリヒア・コリ
(Escherichia coli)HB101pPHD301(FE
RM BP−4866)等を挙げることができる。
【0028】前述のヒダントイナーゼ活性を示す微生
物、或いは、上記形質転換微生物によるヒダントイナー
ゼの生産は、例えば、WO96/20275に記載され
ているように、通常の栄養培地を用いて培養を行えば良
く、必用に応じて、酵素誘導のための処理を行うことも
できる。酵素の誘導は、例えば、培地にウラシルを添加
して培養することにより行うことができる。
【0029】本発明において、上記微生物によって生産
されたヒダントイナーゼは、酵素自体として用いること
ができるほか、本酵素活性を有する微生物若しくはその
処理物としても用いることができる。ここで、微生物の
処理物とは、例えば、粗抽出液、培養菌体凍結乾燥生物
体、アセトン乾燥生物体、またはそれらの菌体の破砕物
を意味する。
【0030】更にそれらは、酵素自体あるいは菌体のま
ま公知の手段で固定化して得た固定化酵素として用いら
れ得る。なお、酵素を固定化して安定化することで、酵
素反応を、より過酷な温度域、高アルカリpH域で行う
ことが可能となり、反応をより効率的に進行させること
ができる。さらに、酵素の反復使用が可能となること、
製造プロセスが簡略化できるなどによる製造コストの低
減等のメリットも期待できる。
【0031】固定化は当業者に周知の方法である架橋
法、共有結合法、物理的吸着法、包括法などで行い得
る。酵素の固定化に使用される支持体としては、例え
ば、Duolite A568またはDS17186(ローム・アンド・ハ
ース社:登録商標)などのフェノールホルムアルデヒド
陰イオン交換樹脂、Amberlite IRA935、IRA945、IRA901
(ローム・アンド・ハース社:登録商標)、Lewatit OC
1037(バイエル社:登録商標)、Diaion EX-05(三菱化
学:登録商標)などのポリスチレン樹脂のような各種ア
ミンやアンモニウム塩あるいはジエタノールアミン型の
官能基を持つ各種の陰イオン交換樹脂が適している。そ
の他、DEAE-セルロースなどの支持体も使用することが
できる。
【0032】固定化酵素の好適な製造方法としては、例
えば、WO96/20275に示す方法で行い得る。す
なわち、ヒダントイナーゼ活性を有する菌株の培養液を
集菌、超音波などにより菌体を破砕後、得られた酵素液
に例えば陰イオン交換樹脂Duolite A−568を加えて
攪拌して酵素を吸着させることができる。この酵素を吸
着した樹脂に例えばグルタルアルデヒドなどの架橋試薬
を加えて攪拌することで架橋処理を行い、さらに安定性
を向上させることもできる。これらの処理を行った後に
樹脂を濾集、洗浄して固定化ヒダントイナーゼを得るこ
とができる。
【0033】本発明の酵素反応は以下の方法で行うこと
ができる。基質として前記式(2)で表される5−置換
ヒダントイン誘導体を用い、前述のヒダントイナーゼ存
在下、水性媒体中で反応を行う。基質の仕込み濃度は
0.1%以上、90%(w/v)以下で溶解または懸濁
した状態で反応を行い、反応温度は10℃以上、80℃
以下の適当な温度で調節し、pH4以上、10以下に保
ちつつ暫時静置または攪拌すればよい。また、基質を連
続的に添加しうる。反応は、バッチ法または連続方式で
行い得る。本発明の反応は、固定化酵素、膜リアクター
などを利用して行うことも可能である。
【0034】水性媒体としては、水、緩衝液、これらに
エタノールのような水溶性有機溶媒を含む水性媒体、あ
るいは、水に溶解しにくい有機溶媒、たとえば、酢酸エ
チル、酢酸ブチル、トルエン、クロロホルム、n−ヘキ
サンなどの有機溶媒を含む水性媒体との2層系などの適
当な溶媒を用いることができる。さらに必用に応じて、
抗酸化剤、界面活性剤、補酵素、金属などを添加するこ
ともできる。
【0035】かくして、前記式(2)で表される5置換
ヒダントインは加水分解され、前記式(1)で表される
N−カルバモイル−α−プロパルギルグリシン誘導体に
変換される。ヒダントイナーゼとして、前述の立体選択
性のヒダントイナーゼを用いた場合には、光学活性のN
−カルバモイル−α−プロパルギルグリシン誘導体を得
ることができる。
【0036】なお、立体選択性のヒダントイナーゼを用
いて光学活性のN−カルバモイル−α−プロパルギルグ
リシン誘導体を製造する場合、反応はpH7.5以上、
好ましくは8以上で反応を行うのが良い。前記pH条件
においては、基質である前記式(2)で表される5置換
ヒダントインが容易にラセミ化するため、50%を超え
る収率でN−カルバモイル−α−プロパルギルグリシン
誘導体を得ることが可能となる。
【0037】生成したN−カルバモイル−α−プロパル
ギルグリシン誘導体は、反応液のまま、脱カルバモイル
反応に供してもよいし、常套分離方法、例えば抽出、濃
縮、晶析、またはカラムクロマトグラフィーなどの分離
方法やそれらの組み合わせにより分離、精製することが
できる。
【0038】以上述べた方法により得られるN−カルバ
モイル−α−プロパルギルグリシン誘導体は、化学的
に、若しくは脱カルバモイル活性を有する酵素を用いて
カルバモイル基を除去することにより、容易にプロパル
ギルグリシン誘導体に導くことができる。
【0039】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく
説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるも
のではない。
【0040】(実施例1)固定化ヒダントイナーゼを用
いた5−(2−ブチニル)ヒダントインからのN−カル
バモイル−D−ブチニルグリシンの製造 WO96/20275記載の培養方法と固定化酵素の調
製方法に従い、バチルス・スピーシーズ KNK245
株(FERM BP−4863)を培養、集菌後、超音
波破砕して得た酵素液に固定化用担体である陰イオン交
換樹脂、Duolite A−568を添加して酵素を
吸着させ、さらにグルタルアルデヒドで架橋処理するこ
とで固定化ヒダントイナーゼを得た。次に、ラセミ体の
5−(2−ブチニル)ヒダントイン1.5gに水30m
lと0.5M硫酸マンガン水溶液0.06mlを加え1
0wt%水酸化ナトリウム水溶液によりpH9.5に調
整した溶液に、上記の様にして得られた固定化ヒダント
イナーゼ1.6g(湿重量)を加えて、55℃、24時
間攪拌して反応させた。反応中は10wt%水酸化ナト
リウム水溶液によりpHを9.5に保った。反応終了
後、固定化ヒダントイナーゼをろ別して得られた淡黄色
の反応液に活性炭200mgを添加、攪拌後、ろ過する
ことで無色透明の溶液を得た。6N塩酸によりpHを
1.1に下げた溶液を減圧濃縮晶析、濾集、乾燥し、白
色のカルバモイルブチニルグリシン粗結晶を1.48g
取得した。この粗結晶1gを水20mlに溶解し、pH
4.3で濃縮晶析、濾集、乾燥することで、白色のN−
カルバモイルブチニルグリシン結晶を516mg取得し
た(ヒダントイン誘導体からの収率30.8%)。この
ようにして得られたN−カルバモイルブチニルグリシン
を、カラム:COSMOSIL 5C8−MS、移動
相:アセトニトリル/10mMリン酸二水素カリウム水
溶液=5/95、流速:0.8ml/min、検出波
長:210nm、カラム温度:40℃の条件でHPLC
分析すると、溶出時間5.5分であり、純度は面積比で
99.7%であった。また、1H−NMR(400MH
z、D2O)分析を行うと、δ1.76〜1.77
(t、J=2.44Hz、3H)、2.58〜2.61
(m、2H)、4.11〜4.13(t、J=5.3
7、1H)であり、比旋光度は、[α]D 20=−15.
4°(c1.0、0.1N水酸化ナトリウム水溶液)で
あった。さらに、得られたN−カルバモイルブチニルグ
リシンの光学純度と絶対配置を以下の方法により決定し
たところ、99.9%e.e.でD体であった。
【0041】光学純度の決定は、得られたN−カルバモ
イルブチニルグリシンを硫酸酸性下、10wt%亜硝酸
ナトリウム水溶液を1.1当量加え1時間室温で反応さ
せて脱カルバモイル化してブチニルグリシンに誘導して
HPLC分析(キラルカラム:CROWNPAK CR
(+)、移動相:過塩素酸水溶液(pH1.5)、流
速:0.3ml/min、検出波長:210nm、カラ
ム温度:0℃)することで行った。
【0042】また、絶対配置決定には、まず、ラセミ体
の5−(2−ブチニル)ヒダントインを上記ヒダントイ
ナーゼで加水分解、D体特異的デカルバモイラーゼ(W
O92/10579を参照)で脱カルバモイル化後、晶
析してD−ブチニルグリシン標品を取得し、この比旋光
度を測定して、文献値( Phytochemistr
y、1972、11、3327−3329を参照)より
D体であることを確認した。次に、取得したN−カルバ
モイルブチニルグリシンを前述の光学純度決定法により
ブチニルグリシンに誘導、HPLC分析したところ、D
−ブチニルグリシン標品と溶出時間が一致した。
【0043】(実施例2)シュードモナス属細菌を用い
た5−(2−ブチニル)ヒダントインからのN−カルバ
モイル−D−ブチニルグリシンの製造 シュードモナス・プチダ(Pseudomonas p
utida)IFO12996を固体培地(10g/l
ポリペプトン、2g/l イーストエキス、1g/l
硫酸マグネシウム七水和物、15g/l 寒天、pH
7.0)で30℃にて24時間培養した。この菌体一白
金耳を、500ml容坂口フラスコ中、120℃で15
分間殺菌した100ml液体培地(20g/l 肉エキ
ス、6g/l グリセロール、1g/l ウラシル、2
g/l リン酸二水素カリウム、1g/l 硫酸マグネ
シウム七水和物、40mg/l 塩化カルシウム二水和
物、20mg/l 硫酸第一鉄七水和物、20mg/l
硫酸マンガン四〜六水和物、20mg/l 硫酸銅五
水和物、pH5.5)に植菌し、30℃にて24時間振
とう培養した。この培養液9mlから遠心分離により得
られた菌体を1.5mlの0.1M炭酸緩衝液(pH
8.7)に懸濁し、ラセミ体の5−(2−ブチニル)ヒ
ダントイン15mgと0.5M硫酸マンガン水溶液0.
003mlを添加後、10N水酸化ナトリウム水溶液に
よりpHを9.0付近に保ちつつ、40℃で24時間攪
拌して反応させた。反応液を実施例1と同様のHPLC
分析条件で定量したところ、6.3mg/mlのN−カ
ルバモイルブチニルグリシンの生成が認められた(変換
率55%)。その光学純度を実施例1と同様の方法で確
認したところ、88.9%e.e.でD体であった。
【0044】(実施例3)アグロバクテリウム属細菌を
用いた5−(2−ブチニル)ヒダントインからのN−カ
ルバモイル−D−ブチニルグリシンの製造 アグロバクテリウム・スピーシーズ KNK712株
(FERM BP−1900)を固体培地(10g/l
ポリペプトン、10g/l 肉エキス、5g/l イ
ーストエキス、3g/l NaCl、15g/l 寒
天、pH7.0)で30℃にて48時間培養した。この
菌体一白金耳を、500ml容坂口フラスコ中、120
℃で15分間殺菌した50ml液体培地(10g/l
ポリペプトン、10g/l 肉エキス、5g/l イー
ストエキス、3g/l NaCl、pH7.0)へ植菌
し、30℃にて24時間振とう培養した。この培養液9
mlから遠心分離により得られた菌体を1.5mlの
0.1M炭酸緩衝液(pH8.7)に懸濁し、ラセミ体
の5−(2−ブチニル)ヒダントイン15mgと0.5
M硫酸マンガン水溶液0.003mlを添加後、10N
水酸化ナトリウム水溶液によりpHを9.0付近に保ち
つつ、40℃で24時間攪拌して反応させた。
【0045】反応液を実施例1と同様のHPLC分析条
件で定量したところ、4.5mg/mlのN−カルバモ
イルブチニルグリシンの生成が認められた(変換率40
%)。その光学純度を実施例1と同様の方法で確認した
ところ、88.2%e.e.でD体あった。
【0046】(実施例4)バチルス属細菌を用いた5−
(2−ブチニル)ヒダントインからのN−カルバモイル
−D−ブチニルグリシンの製造 バチルス・スピーシーズ KNK245株(FERM
BP−4863)の乾燥保存菌体を、500ml容坂口
フラスコ中、120℃で15分間殺菌した100ml液
体培地(10g/l ポリペプトン、10g/l 肉エ
キス、5g/lイーストエキス、pH7.5)に植菌
し、45℃にて15時間振とう培養した。この培養液2
mlを、上記培地成分に更に1g/l ウラシル、2
0mg/l 塩化マンガンを加えた培地に植菌し、4
5℃にて24時間振とう培養した。この培養液9mlか
ら遠心分離により得られた菌体を1.5mlの0.1M
炭酸緩衝液(pH8.7)に懸濁し、ラセミ体の5−
(2−ブチニル)ヒダントイン15mgと0.5M硫酸
マンガン水溶液0.003mlを添加後、10N水酸化
ナトリウム水溶液によりpHを9.0付近に保ちつつ、
40℃で24時間攪拌して反応させた。反応液を実施例
1と同様のHPLC分析条件で定量したところ、6.5
mg/mlのN−カルバモイルブチニルグリシンの生成
が認められた(変換率58%)。その光学純度を実施例
1と同様の方法で確認すると、79.1%e.e.でD
体であった。
【0047】
【発明の効果】本発明は、上述の構成からなるので、入
手容易な5−置換ヒダントイン誘導体から、医薬、農薬
の中間体や生理活性物質などとして有用なプロパルギル
グリシン誘導体の合成中間体であるN−カルバモイル−
α−プロパルギルグリシン誘導体を工業的に有利に提供
できる。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記式(1) 【化1】 (式中、R1は水素原子、置換基を有してもよい炭素数
    1〜10の環状若しくは非環状のアルキル基、若しくは
    置換基を有してもよい炭素数7〜10のアラルキル基を
    表す。)で表されるN−カルバモイル−α−プロパルギ
    ルグリシン誘導体。
  2. 【請求項2】光学活性体である請求項1記載のN−カル
    バモイル−α−プロパルギルグリシン誘導体。
  3. 【請求項3】D体である請求項1記載のN−カルバモイ
    ル−α−プロパルギルグリシン誘導体。
  4. 【請求項4】R1が水素原子又はメチル基である請求項
    1から3のいずれかに記載のN−カルバモイル−α−プ
    ロパルギルグリシン誘導体。
  5. 【請求項5】下記式(2) 【化2】 (式中、R1は水素原子、置換基を有してもよい炭素数
    1〜10の環状若しくは非環状のアルキル基、若しくは
    置換基を有してもよい炭素数7〜10のアラルキル基を
    表す。)で表される5−置換ヒダントイン誘導体を、ヒ
    ダントイナーゼにより加水分解することを特徴とする、
    下記式(1) 【化3】 (式中、R1は前記と同じ)で表されるN−カルバモイ
    ル−α−プロパルギルグリシン誘導体の製造方法。
  6. 【請求項6】D体のN−カルバモイル−α−プロパルギ
    ルグリシン誘導体を製造する請求項5記載の製造方法。
  7. 【請求項7】ヒダントイナーゼが、アグロバクテリウム
    属(Agrobacterium)、バチルス属(Bacillus)又はシ
    ュードモナス属(Pseudomonas)に属する微生物由来で
    ある請求項5又は6記載の製造方法。
  8. 【請求項8】ヒダントイナーゼが、アグロバクテリウム
    ・スピーシーズ(Agrobacterium sp.)KNK712
    (FERM BP−1900)、バチルス・スピーシー
    ズ(Bacillus sp.)KNK245(FERM BP−4
    863)又はシュードモナス・プチダ(Pseudomonas pu
    tida)IFO12996由来である請求項5又は6記載
    の製造方法。
  9. 【請求項9】ヒダントイナーゼを固定化酵素として使用
    することを特徴とする請求項5又は6記載の製造方法。
  10. 【請求項10】R1が水素原子又はメチル基である請求
    項5から9のいずれかに記載の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006103995A1 (ja) * 2005-03-25 2006-10-05 Kaneka Corporation 光学活性α-アミノ酸誘導体の製造方法

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