JP2003277259A - マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤 - Google Patents
マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤Info
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Abstract
オレイン酸、リノール酸、α−リノレン酸、γ−リノレ
ン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸(EP
A)、ドコサヘキサエン酸(DHA)より選ばれる一種
又は二種以上の脂肪酸及び/又はそれらの脂肪酸の塩を
有効成分とすることを特徴とするマトリックスメタロプ
ロテアーゼ亢進性疾患の予防改善剤を提供する。 【構成】本発明はパルミチン酸、ステアリン酸、アラキ
ジン酸、オレイン酸、リノール酸、α−リノレン酸、γ
−リノレン酸、アラキドン酸、EPA、DHAより選ば
れる一種又は二種以上の脂肪酸及び/又はそれらの脂肪
酸の塩を有効成分とすることを特徴とするマトリックス
メタロプロテアーゼ(MMP)亢進性疾患の予防改善剤
である。上記脂肪酸はMMPの阻害活性を有し、ガンの
転移、潰瘍形成、慢性関節リュウマチ、骨粗鬆症、歯周
炎等、MMPの亢進が原因で起こる各種疾患の治療及び
改善に有用である。
Description
形成、慢性関節リュウマチ、骨粗鬆症、歯周炎等、マト
リックスメタロプロテアーゼ(MMP)の亢進が原因で
起こる各種疾患の治療及び改善に効果が期待でき、かつ
安全性の高いMMP阻害剤に関する。
要死亡原因であり、我国では近い将来、3人に1人がガ
ンで亡くなると予想されている。近年の外科療法、放射
線療法の発達により、ガンの原発巣自体はほぼ取り除け
るようになったが、それでも尚死亡率が高いのは、ガン
が転移を起こす性質を有しているためと考えられてお
り、転移が多発するようになったガンを治療することは
現状では非常に困難である。従って、従来の原発巣の治
療法に加えて、転移を抑制する方法を確立することが、
ガン治療の大きな目的の1つである。このような現況の
中、転移のメカニズムが分子レベルで明らかになりつつ
あり、最近では、その転移プロセスの1つとして細胞外
基質の分解系が注目されている。
部位から離脱したガン細胞が血流に乗って全身に散布さ
れ、他の臓器に生着し、その組織で再び増殖をはじめる
ことである。一般に、腫瘍組織は、密な細胞外基質に囲
まれているため、ガン細胞が原発部位からの移動を行う
ためには細胞外基質の酵素分解を必要とする。細胞外基
質はコラーゲン、エラスチン、フィブロネクチン、ラミ
ニン、プロテオグリカン等の多様な高分子によって構成
されており、これら細胞外基質の分解に関わる主要な酵
素群はMMPである。MMPは、ガン組織中で血管が新
生される際あるいはガンが転移する際に、発現量が上昇
したり酵素の活性化が起こることが知られている(An
nals New York Academy of
Sciences、Vol.878、466−486、
1999)。従って、MMPの発現量の低下や活性阻害
は、ガン細胞の浸潤性を抑制し、転移を抑えることに繋
がると考えられる。
て、とりわけコラーゲンの分解は重要なステップであ
る。例えば、ガン細胞が血管内へ侵入、及び血管外へ脱
出するためには、血管の基底膜に存在するIV型コラー
ゲンを分解する必要があるが、Liottaらはガン細
胞が分泌するIV型コラーゲン分解酵素の作用がガンの
転移能を決定する重要な因子であることを示している
(Nature、Vol.284、67−68、198
0)。MMPに属するゼラチナーゼは、線維芽細胞や内
皮細胞、ガン細胞等が産生する酵素であり、IV型コラ
ーゲン、ゼラチン、エラスチン等の基質を分解する。従
って、例えばゼラチナーゼに対して阻害活性を有する物
質は、ガン組織における血管新生やガンの転移を抑制す
る効果が期待され、ガン疾患の予防、治療に有用である
と考えられる。
形成、慢性関節リュウマチ、骨粗鬆症、歯周炎等の種々
の病態での細胞外基質の分解に中心的な役割を果たすこ
とが報告されている(呼吸、Vol.17、No.9、
365−371、1999)。
剤は、MMPの亢進が原因で起こる上記疾患の治療及び
改善に有用であると考えられることから、各方面で盛ん
にスクリーニングが行われてきた。例えば、ヒトコラゲ
ナーゼ阻害剤(特開平9−40552)、コラゲナーゼ
阻害剤(特開平11−147833)、抗老化剤(特開
2000−226311)等が開示されている。しかし
ながら、これまでに報告されているMMP阻害剤は、阻
害活性があまり強くなく、ガン転移抑制効果等のin
vivoにおける有効性も充分でなかった。
細胞株により産生されるMMPに対して優れた阻害活性
を有し、ガンの転移等MMPの亢進が原因として起こる
疾患を予防及び改善しうるMMP阻害剤を得ることを目
的とする。
少なく安全性の高い天然物素材について、MMP阻害活
性のスクリーニングを行った。その結果、特定の脂肪酸
が優れたMMP阻害効果を有し、実験的肺転移モデルを
用いた動物実験においても、高いガン転移抑制効果を示
すことを見出したことから、この知見に基づいて本発明
を完成するに至った。即ち、上述の課題は、特定の脂肪
酸を有効成分とすることを特徴とするMMP阻害剤によ
って解決される。
することを特徴とするMMP阻害剤及びMMP亢進性疾
患の予防改善医薬品又は食品である。
アリン酸、アラキジン酸、オレイン酸、リノール酸、α
−リノレン酸、γ−リノレン酸、アラキドン酸、エイコ
サペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DH
A)とそれらの脂肪酸の塩が挙げられるが、効果の面に
おいて、リノール酸、γ−リノレン酸、アラキドン酸、
EPA、DHAがより好ましい。また、不飽和脂肪酸に
おいて、トランス型よりもシス型の方が好ましい。これ
らの脂肪酸は単独又は二種以上混合して使用しても良
い。
患の予防改善医薬品又は食品には、上記脂肪酸以外に、
必要に応じて通常の医薬品、食品に用いられる成分であ
る賦形剤、安定剤、保存剤、結合剤、崩壊剤、炭化水素
類、脂肪酸類、アルコール類、エステル類、pH調整
剤、防腐剤、香料等の成分を配合することもできる。
剤、注射剤、座剤、乳剤、カプセル剤、顆粒剤、液剤
(エリキシル剤、チンキ剤、流エキス剤、酒精剤、懸濁
剤、リモナーデ剤等を含む)、錠菓、飲料等が挙げられ
る。
挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。実
施例に示す配合量の部とは重量部を示す。
る。次いで成分3を加え、流動層造粒機で成分4を噴霧
して顆粒剤を得る。
換えたものを顆粒剤2とする。
のを顆粒剤3とする。
剤) 実施例1において、リノール酸を乳糖に置き換えたもの
を顆粒剤Aとする。
い脂肪酸配合の顆粒剤) 実施例1において、リノール酸をベヘン酸に置き換えた
ものを顆粒剤Bとする。
360mgのソフトカプセルとする。
を順次加えて混和し、最後に水を加えて全量とする。
め、実験例を挙げる。
より調べた。すなわち、600μg/mLのゼラチンを
含む10%SDS−PAGEゲル(1mm厚)を作製
し、転移性悪性腫瘍細胞株B16マウスメラノーマの培
養上清をMMP粗酵素として、非還元条件下にて電気泳
動を行った。次いで、ゲルを2.5%TritonX−
100溶液にて室温で30分間2回洗浄してSDSを除
去し、200mM塩化ナトリウム、5mM塩化カルシウ
ム、0.01%brij−35(SIGMA)を含む3
0mMトリス塩酸緩衝液(pH7.6)中にて37℃で
24時間インキュベートした。この際、最終濃度(10
0μM)の100倍となるようにジメチルスルホキシド
に溶解した各種脂肪酸を、ゲルを浸した緩衝液中に1/
100量添加した。反応終了後、ゲルを0.2%クマシ
ーブリリアントブルーR溶液にて染色し、5%メタノー
ル−7.5%酢酸溶液にて脱色した。青色のゲル上で染
色されないバンドとして検出されるゼラチナーゼ活性を
デンシトメーター(アトーデンシトグラフ、AE−69
05)にて定量化し、阻害率を算出した。その結果、表
1に示すように、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキ
ジン酸、オレイン酸、リノール酸、α−リノレン酸、γ
−リノレン酸、アラキドン酸、EPA及びDHAは、B
16マウスメラノーマの産生するゼラチナーゼに対して
阻害活性を示した。特にリノール酸、γ−リノレン酸、
アラキドン酸、EPA及びDHAは、終濃度100μM
において70%以上の高い阻害率を示し、MMP阻害活
性の観点から特に優れた脂肪酸であることが示された。
を動物1匹あたり1×105個となるように尾静脈より
注入した。0.1%Tween80を含む生理食塩水に
各種脂肪酸を1%となるように懸濁したものを投与試料
とし、マウス腹腔に0.3mL/日/マウスにて、ガン
細胞の移植日から連続投与を行った。対照群には脂肪酸
を含まない溶液を投与した。動物の例数は各群8匹とし
た。3週後、肺を摘出し、10%ホルマリン溶液中で固
定して、表面に形成された転移巣の数をカウントした。
その結果、表2に示すように、転移巣の形成はパルミチ
ン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、オレイン酸、リノ
ール酸、α−リノレン酸、γ−リノレン酸、アラキドン
酸、EPA及びDHA投与群において抑制され、これら
の脂肪酸は十分な抗転移効果を有していた。
アラキジン酸、オレイン酸、リノール酸、α−リノレン
酸、γ−リノレン酸、アラキドン酸、EPA及びDHA
は、MMP阻害効果とガン転移抑制効果に優れていた。
また、その中でもリノール酸、γ−リノレン酸、アラキ
ドン酸、DHA及びEPAはMMP阻害活性が高く、ガ
ン転移抑制試験においても特に優れた効果を示した。
飼育用−MF)に、リノール酸配合の顆粒剤1(実施例
1)、γ−リノレン酸配合の顆粒剤2(実施例2)又は
EPA配合の顆粒剤3(実施例3)をそれぞれ5.0%
添加した飼料を調製し、C57BL/6マウスに対する
自由摂取を行った。同様に、脂肪酸未配合の顆粒剤A
(比較例1)とMMP阻害活性のない脂肪酸配合の顆粒
剤B(比較例2)を5.0%添加した飼料を調製し、マ
ウスに対し自由摂取を行った。動物の例数は各群8匹と
した。顆粒剤添加飼料による飼育開始から1週後、実験
例2の場合と同様にガン細胞の移植を行い、移植日より
3週後に転移巣の数をカウントした。その結果、表3に
示すように、飼料にMMP阻害活性の高い脂肪酸を含む
顆粒剤を混合することにより、転移巣の形成は顕著に抑
制され、ガン転移の抑制に効果的であることが示され
た。
ルを取り除いた内容物を10%となるように0.5%カ
ルボキシメチルセルロースに懸濁し、その0.3mLを
胃ゾンデを用いて1日1回経口投与し、同様にガン転移
に対する効果を調べた。また、実施例5のエリキシル剤
については、そのまま0.3mLを胃ゾンデを用いて1
日2回経口投与し、同様にガン転移に対する効果を調べ
た。その結果、実施例4及び5についても同様のガン転
移抑制効果が認められた。
酸、アラキジン酸、オレイン酸、リノール酸、α−リノ
レン酸、γ−リノレン酸、アラキドン酸、EPA及びD
HAはガン細胞の産生するMMPに対する阻害効果を有
し、MMPが関与して起こるガンの転移に対しても抑制
効果を示した。本発明のMMP阻害剤は、ガンの転移、
潰瘍形成、慢性関節リュウマチ、骨粗鬆症、歯周炎等、
MMPの亢進が原因で起こる各種疾患の治療及び改善に
有用である。
Claims (5)
- 【請求項1】パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン
酸、オレイン酸、リノール酸、α−リノレン酸、γ−リ
ノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコ
サヘキサエン酸より選ばれる一種又は二種以上の脂肪酸
及び/又はそれらの脂肪酸の塩を有効成分とすることを
特徴とするマトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤。 - 【請求項2】シス型不飽和脂肪酸より選ばれる一種又は
二種以上の脂肪酸及び/又はそれらの脂肪酸の塩を有効
成分とすることを特徴とするマトリックスメタロプロテ
アーゼ阻害剤。 - 【請求項3】リノール酸、γ−リノレン酸、アラキドン
酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸より選
ばれる一種又は二種以上の脂肪酸及び/又はそれらの脂
肪酸の塩を有効成分とすることを特徴とするマトリック
スメタロプロテアーゼ阻害剤。 - 【請求項4】パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン
酸、オレイン酸、リノール酸、α−リノレン酸、γ−リ
ノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコ
サヘキサエン酸より選ばれる一種又は二種以上の脂肪酸
及び/又はそれらの脂肪酸の塩を有効成分とすることを
特徴とし、ガンの転移、潰瘍形成、慢性関節リュウマ
チ、骨粗鬆症、歯周炎に関わるマトリックスメタロプロ
テアーゼ亢進性疾患に対する予防改善医薬品及び食品。 - 【請求項5】リノール酸、γ−リノレン酸、アラキドン
酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸より選
ばれる一種又は二種以上の脂肪酸及び/又はそれらの脂
肪酸の塩を有効成分とすることを特徴とし、ガンの転
移、潰瘍形成、慢性関節リュウマチ、骨粗鬆症、歯周炎
に関わるマトリックスメタロプロテアーゼ亢進性疾患に
対する予防改善医薬品及び食品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002083973A JP2003277259A (ja) | 2002-03-25 | 2002-03-25 | マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤 |
Applications Claiming Priority (1)
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---|---|---|---|
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Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003277259A true JP2003277259A (ja) | 2003-10-02 |
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ID=29231517
Family Applications (1)
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JP2002083973A Pending JP2003277259A (ja) | 2002-03-25 | 2002-03-25 | マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003277259A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005194222A (ja) * | 2004-01-06 | 2005-07-21 | Otsuka Pharmaceut Factory Inc | サイトカイン誘発剤 |
JP2010275204A (ja) * | 2009-05-27 | 2010-12-09 | Gifu Ichi | 抗がん剤 |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0640904A (ja) * | 1978-04-11 | 1994-02-15 | Efamol Ltd | 医薬組成物 |
-
2002
- 2002-03-25 JP JP2002083973A patent/JP2003277259A/ja active Pending
Patent Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0640904A (ja) * | 1978-04-11 | 1994-02-15 | Efamol Ltd | 医薬組成物 |
JPH06166617A (ja) * | 1978-04-11 | 1994-06-14 | Efamol Ltd | 食品組成物 |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005194222A (ja) * | 2004-01-06 | 2005-07-21 | Otsuka Pharmaceut Factory Inc | サイトカイン誘発剤 |
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|
A521 | Written amendment |
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