JP2003277171A - Si合金基複合材料の製造方法 - Google Patents

Si合金基複合材料の製造方法

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一郎 青木
Yoshibumi Takei
義文 武井
Tatsuya Shiogai
達也 塩貝
Mutsuo Hayashi
睦夫 林
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 Siと少なくとも一種の金属からなるSi合
金を成形体に浸透させることにより従来のSi基複合材
料の脆さを改善でき、さらに、脆い炭化物の生成を抑制
することが可能なSi合金基複合材料の製造方法を提供
する。 【解決手段】 成形体中のC量がSiCに対して1質量
%未満である成形体と、SiとAl、Mg、Ni、T
i、Zr、Fe、CrおよびSnからなる群から選ばれ
た少なくとも一種の金属からなるSi合金とを炉内に設
置し、真空度5Torr以下で、かつ温度600〜1600
℃で加熱して溶融合金を成形体に浸透させてSi合金基
複合材料を製造する。このようにすれば、複合材料の脆
さを改善でき、さらに、微細加工が必要な精密部品の作
製が容易になる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、Si合金基複合材
料の製造方法に関し、特に微細な加工を必要とする精密
部品として好適に用いられるSi合金基複合材料の製造
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】セラミックス粒子またはセラミックス繊
維で強化された金属基複合材料は、高剛性、低熱膨張
性、耐摩耗性等のセラミックスとしての優れた特性と延
性、高靭性、高熱伝導性等の金属としての優れた特性の
両方を兼ね備えた材料として知られている。
【0003】特に、強化材としてSiCを用い、金属と
してSiを用いたSi基複合材料はその優れた特性によ
り精密部品を中心とした分野への適用が期待されてい
る。したがって、その製造方法としては種々の方法が提
案されているが、その多くがSiCとCで作製した成形
体に溶融したSiを浸透させる製造方法を基本とするも
のである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このSi基複
合材料は、その構成材料であるSiCとSiがともに脆
い材料であることから微細な加工が困難であるという欠
点を有していた。こうした問題に対し、国際公開番号W
O 01/07377号公報にて開示されているように、Siと
少なくとも一種の金属からなるSi合金を浸透させる複
合材料の製造方法が提案されている。しかしながら、こ
の方法では、成形体中のC量がSiCに対して1から1
0質量%と比較的多いため、浸透に際して、Si以外の
他の金属とCの反応により脆い炭化物が形成され、得ら
れた複合材料が脆くなるという課題があった。特に、他
の金属としてAlを用いた場合はAl43が生成し、こ
れが水分と反応するため製品の寸法精度に悪影響を及ぼ
すという課題もあった。
【0005】本発明者らは、上記課題を解決するために
鋭意研究を行い発明を完成したものであり、その目的
は、Siと少なくとも一種の金属からなるSi合金を成
形体に浸透させることにより従来のSi基複合材料の脆
さを改善でき、さらに、脆い炭化物の生成を抑制するこ
とが可能なSi合金基複合材料の製造方法を提供するこ
とである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記した本発明の目的
は、SiCとCを用いて成形した成形体に、SiとA
l、Mg、Ni、Ti、Zr、Fe、CrおよびSnか
ら構成される群から選ばれた少なくとも一種の金属から
なるSi合金を浸透させるSi合金基複合材料の製造方
法において、前記成形体中のC量がSiCに対して1質
量%未満であることを特徴とするSi合金基複合材料の
製造方法によって達成される。
【0007】また、本発明の目的は、前記した成形体と
Si合金とを炉内に設置し、真空度5Torr以下で、かつ
温度600〜2000℃で加熱することを特徴とするS
i合金基複合材料の製造方法によって達成される。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明では、成形体に浸透させる
金属としてSiとAl、Mg、Ni、Ti、Zr、F
e、CrおよびSnから構成される群から選ばれた少な
くとも一種の金属からなるSi合金を用いることを提案
している。これは、従来の構成材料であるSiが脆い材
料であることから微細な加工が困難であるという欠点を
有していたが、これを前記した金属と合金化することで
脆さが改善できるからである。ここで、製造の容易さと
種々の物性の面で、SiとAlの合金を用いることが特
に好ましい。
【0009】また本発明では、成形体中のC量がSiC
に対して1質量%未満であることを提案している。ここ
で、成形体中にCを添加する理由は、SiCの表面は通
常SiO2に覆われており、これが溶融したSi合金と
の濡れ性を阻害し成形体への溶融合金の浸透を邪魔して
いたが、このSiO2をCを添加することにより加熱過
程で還元除去できる作用があるからである。しかし、成
形体中のC量がSiCに対して1質量%以上であると、
前記したように脆い炭化物が形成され、得られる複合材
料が脆くなるため好ましくない。すなわち、市販のSi
C粉末の表面に形成されたSiO2を還元除去するに
は、成形体中のC量がSiCに対して1質量%未満のC
量であることが好ましい。ここで、Cの添加量は、さら
に好ましくは、SiC粉末に対して0.1〜0.6質量
%とすることが好ましいが、0.1質量%未満だとSi
2を加熱過程で還元除去できない。
【0010】本発明においてSiO2の除去を促進する
ために真空中で昇温することが好ましく、その真空度は
5Torr以下、特に好ましくは、3Torr以下である。か
つ、温度600〜2000℃で加熱することが好まし
い。その理由は、加熱温度が600度より低いとSi合
金の浸透が不十分となり、加熱温度が2000℃より高
いと金属の蒸発量が多くなるため好ましくないからであ
る。
【0011】さらに、本発明においてSi合金の浸透を
促進するために成形体中にSi粉末を添加してもよく、
この方法も本発明に包含される。この場合、Si粉末の
添加量は成形体重量の2〜80質量%とすることが好ま
しいまた、成形体にCを添加する変わりに、B4C、T
iC、VC、CrC等の金属炭化物を添加しても良いこ
とは勿論である。
【0012】以下に、本発明の具体的な実施例と比較例
により、本発明を詳細に説明する。
【0013】[実施例]SiC粉末(信濃電気精錬製、
粒径60μm)100重量部に対してC粉末を0.6重量部(S
iCに対して0.6質量%)添加し、混合、成形して成形
体を作製した。この成形体とSi−Al合金(Si/A
lの質量比は40/60)とをともに炉内に設置し、真
空度3Torr、温度1600℃で加熱してSi合金を浸透させ
てSi合金基複合材料を作製した。この材料の組成をX
線回折で調べたところAl43は認められなかった。得
られた複合材料に機械加工により幅0.5mm、長さ1
00mmの溝を3本形成したところ、エッジの欠けなど
の欠陥は生じなかった。
【0014】[比較例]C粉末の添加量を2.0重量部
(SiCに対して2質量%)とした以外は実施例と同様
の方法により複合材料の作製を行った。この材料の組成
をX線回折で調べたところ、Al43が認められた。得
られた複合材料から実施例と同様にして機械加工を行っ
たところ、エッジに欠けが生じた。
【0015】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
脆い炭化物を生成することなくSiCとSiの複合材料
の脆さを改善でき、微細加工が必要な精密部品の作製が
容易になる効果を有する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 武井 義文 千葉県佐倉市大作2−4−2 太平洋セメ ント株式会社中央研究所内 (72)発明者 塩貝 達也 千葉県佐倉市大作2−4−2 太平洋セメ ント株式会社中央研究所内 (72)発明者 林 睦夫 宮城県仙台市泉区明通3−7 セランクス 株式会社仙台工場内 Fターム(参考) 4K020 AA08 AC07 BC02

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 SiCとCを用いて成形した成形体に、
    SiとAl、Mg、Ni、Ti、Zr、Fe、Crおよ
    びSnから構成される群から選ばれた少なくとも一種の
    金属からなるSi合金を浸透させるSi合金基複合材料
    の製造方法において、前記成形体中のC量がSiCに対
    して1質量%未満であることを特徴とするSi合金基複
    合材料の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記した成形体とSi合金とを炉内に設
    置し、真空度5Torr以下で、かつ温度600〜2000
    ℃で加熱することを特徴とする請求項1記載のSi合金
    基複合材料の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005179076A (ja) * 2003-12-16 2005-07-07 Mitsui & Co Ltd 炭化ケイ素とケイ化アルミニウムの複合体の製造方法
CN111807822A (zh) * 2020-07-21 2020-10-23 河南熔金高温材料股份有限公司 一种添加铝硅合金低温烧制的铝锆碳滑板及其生产方法

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