JP2003274958A - 多コピー型・ゲノム挿入型の選択両用ベクター - Google Patents
多コピー型・ゲノム挿入型の選択両用ベクターInfo
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Abstract
コピー型として保持されるが、導入前に制限酵素で処理
することにより、染色体上の所定の遺伝子座に挿入され
るゲノム挿入型に変換することができる選択両用ベクタ
ーを提供すること。 【解決手段】 切り出し可能なARS(自律複製配列)
に連結された第1選択マーカー遺伝子と、シゾサッカロ
ミセス・ポンベ等の宿主細胞のゲノムDNAとの間で相
同組換え可能な分断された状態の第2選択マーカー遺伝
子とを備え、第1選択マーカー遺伝子が、制限酵素認識
部位を介して第2選択マーカー遺伝子を分断している、
ARSに連結された第1選択マーカー遺伝子の切出しの
有無により、多コピー型とゲノム挿入型とを選択するこ
とができる選択両用ベクターとする。
Description
発現に適した多コピー型のベクターとして、あるいは、
目的遺伝子の細胞当たりの発現量を精確に把握するのに
適したゲノム挿入型のベクターとして使用することがで
きる選択両用ベクターに関する。
細胞と比較して分裂速度が速く、また細菌と比較して翻
訳後修飾が動物細胞と類似していることから、組換えD
NA技術による蛋白質産生の宿主として注目を集め、従
来、種々の酵母を宿主とした発現系が報告されている
(Yeast, 8, 423-488, 1992)。分裂酵母であるシゾサ
ッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)
は、出芽酵母であるサッカロミセス・セレビシエ(Sacc
haromyces cerevisiae)と同様に、その遺伝的及び分子
的アプローチの容易さから真菌一般のモデル生物として
広く利用されている上に、特に細胞周期、染色体の構
造、RNAスプライシング、産生タンパク質のアセチル
化・リン酸化、翻訳後修飾などが動物細胞に類似し(Ce
ll, 45, 781-782, 1986; Nature, 318, 78-80, 1985; C
ell. Biol., 109, 2693-2702, 1989)、このため、動物
細胞由来のタンパク質を発現させる宿主として、すでに
実用化段階に達している。
象の遺伝子を細胞に導入し発現させるためのベクターと
して様々なものが作製されている。これらは主として染
色体外でプラスミドとして保持される多コピー型のもの
であり(Gene, 221, 59-68, 1998; Gene, 191, 191-19
5, 1997; Gene, 164, 173-177, 1995; Yeast, 18, 463-
468, 2001; Yeast,16, 861-872, 2000)、これら多コピ
ー型のベクターを用いて目的遺伝子を発現させることに
より、ある変異の抑圧や遺伝子の過剰発現による影響、
あるいは遺伝子産物の局在観察などが行われてきた。こ
れら多コピー型のベクターは目的遺伝子の過剰発現や遺
伝子産物の検出などが容易になるという利点を有するも
のの、場合によってはその発現量が正しい生理的現象を
反映せず、誤った実験結果を導くこともよく見うけられ
る。
酵素で消化し、その直鎖状のDNA断片を酵母に導入す
ると、制限酵素で消化した部分の周辺のDNA配列と相
同なゲノム上のDNA部分との間で相同組換えが起こ
り、導入した断片がゲノムに挿入されることが明らかに
された(Gene, 123, 127-130, 1993)。このようにして
ゲノムに挿入された遺伝子断片は細胞内でのコピー数が
必ず1に限定されるため、遺伝子の過剰発現の目的には
適さないが、細胞ごとのばらつきがほとんどなくなり、
安定した実験結果が得られるという利点がある。
ベの全ゲノム構造解析が終了した(Nature 415, 871-88
0, 2002)。かかる構造解析により、塩基配列が決定さ
れても遺伝子発現産物のうちデータベースを利用した相
同タンパク質の検索などにより、機能が推定できる遺伝
子は極めて少なく、また、実際に細胞内において発現、
機能しているタンパク質の多くは細胞の状態によって、
その発現量の変化や翻訳後修飾によって様々に変動す
る。そこで、全遺伝子発現産物の機能や発現部位・時期
等について、得られた配列情報に基づいて予測されてい
るすべての遺伝子をクローニングし、得られたDNA
を、蛍光性タンパク質GFP遺伝子に連結しうる多コピ
ー型のベクターを利用して解析を進めたところ、遺伝子
産物を容易に検出することができるが、発現量が正しい
生理的現象を反映しないことがしばしば観察され、他
方、ゲノム挿入型のベクターを用いると、細胞ごとのば
らつきがほとんどなくなり、安定した実験結果が得られ
ることがわかった。被検遺伝子の数が少ない場合は、多
コピー型のベクターとゲノム挿入型のベクターとの両ベ
クターに被検遺伝子をクローニングする作業負担は少な
いが、被検遺伝子の数が数千に及ぶと、多コピー型のベ
クターとゲノム挿入型のベクターとの両ベクターに被検
遺伝子をクローニングする作業負担がきわめて大きくな
る。そして、この両ベクターに被検遺伝子をクローニン
グする作業負担が遺伝子の機能解析上大きな問題となっ
ていた。
適した多コピー型と、目的遺伝子の細胞当たりの発現量
を精確に把握するのに適したゲノム挿入型とを容易に選
択することができる選択両用ベクター、例えば、そのま
ま細胞に導入した場合には細胞内で多コピー型として保
持されるが、導入前に制限酵素で処理することにより、
染色体上の所定の遺伝子座に挿入されるゲノム挿入型に
変換することができる選択両用ベクターを提供すること
にある。かかる選択両用ベクターを用いると、形質転換
体をそれぞれ異なる選択マーカーで選択することによ
り、例えば、制限酵素による消化の有無と形質転換後の
選択培地を組み合わせることによって、多コピー型とゲ
ノム挿入型の二つのタイプを容易に選択することがで
き、ひいては被検遺伝子をクローニングする作業負担を
大幅に軽減できる。
を解決するために鋭意研究し、そのまま細胞に導入した
場合には細胞内で多コピー型として保持されるが、導入
前に制限酵素(Not I,Sac II又はApa I)で処理するこ
とにより、染色体上のleu1遺伝子座に挿入することがで
きるベクターを用いて、分裂酵母シゾサッカロミセス・
ポンベを形質転換すると、かかる形質転換体はそれぞれ
異なる栄養要求性マーカーで選択するため、制限酵素に
よる消化の有無と形質転換後の選択培地を組み合わせる
ことにより、多コピー型とゲノム挿入型の二つのタイプ
を容易に選択することができ、分裂酵母で汎用されるベ
クターの二つの利点を一つのベクターで利用できること
を見い出し、本発明を完成するに至った。
に連結された第1選択マーカー遺伝子と、宿主細胞のゲ
ノムDNAとの間で相同組換え可能な分断された状態の
第2選択マーカー遺伝子とを備え、前記ARSに連結さ
れた第1選択マーカー遺伝子の切出しの有無により、多
コピー型とゲノム挿入型とを選択することができること
を特徴とする選択両用ベクター(請求項1)や、ARS
に連結された第1選択マーカー遺伝子が、制限酵素認識
部位を介して第2選択マーカー遺伝子を分断しているこ
とを特徴とする請求項1記載の選択両用ベクター(請求
項2)や、宿主細胞が、第2選択マーカー遺伝子機能を
ゲノム上で欠失していることを特徴とする請求項1又は
2記載の選択両用ベクター(請求項3)や、宿主細胞
が、真核細胞であることを特徴とする請求項1〜3のい
ずれか記載の選択両用ベクター(請求項4)や、真核細
胞が、酵母であることを特徴とする請求項4記載の選択
両用ベクター(請求項5)や、酵母が、シゾサッカロミ
セス・ポンベであることを特徴とする請求項5記載の選
択両用ベクター(請求項6)や、分断された状態の第2
選択マーカー遺伝子が、その5'側DNA断片にプロモ
ーター領域を含むことを特徴とする請求項1〜6のいず
れか記載の選択両用ベクター(請求項7)や、分断され
た状態の第2選択マーカー遺伝子が、その3'側DNA
断片において、第2選択マーカー遺伝子機能欠失処理が
施されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか
記載の選択両用ベクター(請求項8)や、目的遺伝子の
クローニング部位を有することを特徴とする請求項1〜
8のいずれか記載の選択両用ベクター(請求項9)に関
する。
配列からなるDNA、又はこれらの配列の一部若しくは
全部を含む配列からなり、かつ選択両用ベクター機能を
備えたDNA(請求項10)に関する。
は、切り出し可能なARS(自律複製配列)に連結され
た第1選択マーカー遺伝子と、宿主細胞のゲノムDNA
との間で相同組換え可能な分断された状態の第2選択マ
ーカー遺伝子とを備え、前記ARSに連結された第1選
択マーカー遺伝子の切出しの有無により、多コピー型と
ゲノム挿入型とを選択することができるベクターであれ
ば特に制限されるものではなく、ARSに連結された第
1選択マーカー遺伝子の切出しをしない場合、ARSに
より宿主細胞内で自律的に増殖しうるタイプの多コピー
型ベクターとして選択・利用することができ、ARSに
連結された第1選択マーカー遺伝子の切出しをする場
合、宿主細胞のゲノムDNAとの間で相同組換え可能な
ゲノム挿入型ベクターとして選択・利用することができ
る。
ラスミド、ファージミド、コスミド、ウイルス等を例示
することができる。また、上記ARSとしては、細胞中
で染色体に組み込まれず複製を自律的に続けることがで
きる複製開始点(ori領域)を含むDNA断片であれ
ばどのようなものでもよく、大腸菌oriC、酵母AR
S、大腸菌oriC、出芽酵母2μ、分裂酵母ars
1、糸状菌AMA1等を例示することができる。
ターを自律複製させることができ、かつ、ゲノムDNA
と相同のDNA配列との間で相同組換えを可能とする細
胞であれば特に制限されるものではなく、大腸菌、枯草
菌細菌等の細菌原核細胞や、酵母、アスペルギルス等の
真核細胞や、CHO細胞、COS細胞等の動物細胞や、
ドロソフィラS2、スポドプテラSf9等の昆虫細胞
や、植物細胞などを例示することができるが、カビ、酵
母等の真核細胞が好ましく、中でもシゾサッカロミセス
属(Schizosaccharomyces)に属する分裂酵母が好まし
く、特にシゾサッカロミセス・ポンベ(S.pombe)が好
ましい。これら宿主細胞へのベクターの導入は、Davis
ら(BASIC METHODS IN MOLECULAR BIOLOGY, 1986)及び
Sambrookら(MOLECULAR CLONING: A LABORATORY MANUA
L, 2nd Ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, C
old Spring Harbor, N.Y., 1989)などの多くの標準的
な実験室マニュアルに記載される方法、例えば、リン酸
カルシウムトランスフェクション、DEAE−デキスト
ラン媒介トランスフェクション、トランスベクション(t
ransvection)、マイクロインジェクション、カチオン性
脂質媒介トランスフェクション、エレクトロポレーショ
ン、形質導入、スクレープローディング (scrapeloadin
g)、弾丸導入(ballistic introduction)、感染等により
行うことができる。
第2選択マーカー遺伝子は異なるマーカー遺伝子であ
り、かかるマーカー遺伝子としては、抗生物質等の薬剤
耐性遺伝子や、栄養要求マーカー遺伝子等のレシピエン
ト細胞における欠失産物をコードするDNAを挙げるこ
とができ、上記薬剤耐性遺伝子としては、ネオマイシ
ン、カナマイシン、パロモマイシンの耐性遺伝子である
ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ、G418耐性
遺伝子であるアミノグリコシドホスフォトランスフェラ
ーゼ遺伝子、ハイグロマイシンB耐性遺伝子であるハイ
グロマイシンBホスフォトランスフェラーゼ遺伝子など
を例示することができる。特に、酵母選択マーカー遺伝
子としては、上記の抗生物質耐性遺伝子の他、leu
1、LEU2、HIS3、URA3、ura4等の栄養
要求マーカー遺伝子を例示することができる。これら選
択マーカー遺伝子と選択培地を組み合わせることによっ
て、選択マーカー遺伝子を発現する細胞を選択すること
ができる。
結された第1選択マーカー遺伝子を切出しできるように
構築されている。かかる切出しには、各種制限酵素を使
用する方法や部位特異的な組換え方法を用いることがで
きる。部位特異的な組換えには、バクテリオファージP
1由来のリコンビナーゼCre/loxP配列、出芽酵
母サッカロミセス・セレビッシェ由来のリコンビナーゼ
FLP/FRT配列、醤油酵母チゴサッカロミセス・ル
キシー(Zygosaccharomyces rouxii)由来のリコンビナ
ーゼR/RS配列、バクテリオファージMu由来のリコ
ンビナーゼGin/gix配列等を用いることができ
る。
して、ARSに連結された第1選択マーカー遺伝子が、
制限酵素認識部位を介して第2選択マーカー遺伝子を分
断しているベクターを挙げることができる。この場合、
分断された状態の第2選択マーカー遺伝子の5'側DN
A断片にプロモーター領域を含むものが、相同組換え後
の第2選択マーカー遺伝子の高発現の点で好ましい。こ
のプロモーター領域の上流にターミネーター配列を連結
させ、第2選択マーカー遺伝子の高発現が影響されない
ようにしておくこともできる。また、分断された状態の
第2選択マーカー遺伝子の3'側DNA断片としては、
相同組換えが生起しうる範囲で、3'側末端を削除した
り、読み枠をずらしたりして、第2選択マーカー遺伝子
機能を欠失させる処理を施こしておくことが、第1選択
マーカー遺伝子の切り出し前のベクター上で第2選択マ
ーカー遺伝子が機能する可能性を排除する点で、また、
相同組換え後の宿主細胞において、1つの第2選択マー
カー遺伝子を再構築させる点で好ましい。同様に、相同
組換え後の宿主細胞において、1つの第2選択マーカー
遺伝子を再構築させる目的で、宿主細胞として、点変異
など第2選択マーカー遺伝子機能がゲノム上で欠失して
いるものを用いることもできる。
子のクローニングサイトを設けておくことが好ましく、
このクローニングサイトをGFP遺伝子等の蛍光蛋白質
遺伝子の3'側末端に設けておくことにより、目的遺伝
子の発現産物の局在観察が可能となる。そして、分裂酵
母シゾサッカロミセス・ポンベに好適に用いることがで
きる本発明の選択両用ベクターとして、配列番号1に示
される塩基配列からなるpDUALを具体的に例示すること
ができるが、配列番号1の配列の一部又は全部を含む配
列からなり、かつ選択両用ベクター機能を備えたDNA
もpDUAL同様に好適に用いることができる。
するが、本発明の技術的範囲はこの実施例によって何ら
制限されるものではない。 実施例A(材料と方法) A−1(使用した分裂酵母菌株等) 野生株としてシゾサッカロミセス・ポンベJY3(h90
wild-type)、ロイシン要求株としてシゾサッカロミセ
ス・ポンベJY265(h- leu1-32)、及びウラシル・
ロイシン・アデニン要求株としてシゾサッカロミセス・
ポンベJY745(h+ ura4-D18 leu1-32 ade6-M216)
を用いた。これら分裂酵母菌株は、東京大学大学院理学
系研究科生物化学専攻山本正幸博士から供与されたもの
を用いた。また、これらの分裂酵母菌株に使用する培地
として、通常の分裂酵母の培養・増殖にはYE完全培地
[Yeast extract;0.5%(w/v)、グルコース;
2%(w/v)]を、アミノ酸類が含まれておらず、菌
株の栄養要求性のチェックや形質転換体の選択にはSD
合成選択培地[Yeast nitrogen base w/o amino acid
s;0.67%(w/v)、グルコース;2%(w/
v)]をそれぞれ使用した。なお、栄養要求性株の培養
の際にはアデニン、ロイシン又はウラシルをそれぞれ終
濃度50 μg/mlになるように添加して用いた。そしてま
た、市販品以外のベクターであるpFA6a-3HA-kanMX6とpR
EP2は東京大学大学院理学系研究科生物化学専攻山本正
幸博士から供与されたものを用いた。
2000)に記載されている方法によって実施した。すなわ
ち、分裂酵母菌株をYE完全培地で培養した、対数増殖
期以降の細胞を使用した。遠心分離により細胞を回収
し、50μLの0.1Mの酢酸リチウム、pH5.0に
再懸濁した。直後にサンプルDNA、サケ精子DNA、
及び150μLの50%(v/v)ポリエチレングリコ
ール(PEG4000)を細胞懸濁液に添加し、かかる
混合液を室温で少なくとも30分間インキュベーション
した。20μLのジメチルスルフォキシドを添加した
後、細胞を42℃にて15分間加熱し、遠心沈殿し、H
2Oに再懸濁して、適切な選択培地に蒔いた。得られた
形質転換体はSD培地で選択した。
DNA) PCRによるDNA断片の増幅の際には、Pyrobest D
NA Polymerase(TaKaRa)を用いた。また、DNA断
片の連結にはLigation High(TOYOBO)を用いた。PC
RによるDNA断片の増幅には、以下のプライマーを用
い、95℃で3分間変性させた後、95℃で15秒間変
性させ、50℃で15秒間アニーリングし、72℃で2
分30秒間(leu1-32変異遺伝子を分裂酵母ゲノムDN
Aから増幅する場合のみ1分間)伸長反応させるという
サイクルを25回繰り返し、最後に72℃で3分間伸長
反応を行うという条件下に実施した。
マーカー遺伝子)の変異点、すなわちleu1-32変異遺伝
子の変異点を決定するために、leu1-32変異株(JY2
65)のゲノムDNAを鋳型、SPBC1A4.02c.Fd及びSPBC
1A4.02c.Rv をプライマーとしてPCRをおこない、leu
1遺伝子全長を増幅して、大腸菌ベクターpDONR201(Inv
itrogen)にクローニングした。このleu1-32変異遺伝子
断片の塩基配列を確認したところ、137番目のグアニン
(G)がアデニン(A)に置換していた(図1)。
換えで挿入される際に必要なプラスミド上の配列とゲノ
ム上のleu1遺伝子のオーバーラップする部分として、1
38番目の塩基(A)より下流の領域約740塩基対を
組換え用の配列とし、この断片のほぼ中央に当たる位置
(塩基520付近)に組換えを促進する制限酵素Not I
の認識配列を作製することとした。また、正しくleu1遺
伝子座位で組換えが生じ、ゲノムに挿入された際は、外
部から導入したDNAに含まれている配列に依存してle
u1遺伝子の転写がおこなわれるようになるため、leu1遺
伝子の発現に必要なプロモーター配列としてleu1遺伝子
の開始コドンATGの上流約710bpを含む配列をク
ローニングして用いることとした。さらに、本プロモー
ター配列はプラスミド上でも機能することが十分予想さ
れたので、このプロモーターによって発現するleu1が機
能してしまうことを防ぐため、leu1遺伝子内部に作製し
た制限酵素部位の配列でleu1の読み枠をずらし、正しい
leu1遺伝子産物が生じないようにした他、プラスミド上
のleu1遺伝子の3'末端を欠失させることで、さらにプラ
スミド上のleu1が機能する可能性を排除した(図1)。
u1遺伝子断片をそれぞれPCRプライマーとしてSpeI-P
-leu1-F及びNotI-leu1(5')-R、又はNotI-leu1(3')-F及
びSacI-leu1(delta3)-Rを用いて二つの断片に分けてP
CRで増幅した。これらのPCR断片をアガロースゲル
電気泳動した後、ゲルから切り出して精製し、それぞれ
を制限酵素Spe I及びNot I、又はNot I及びSac Iを用い
て末端を消化した後、一度に大腸菌ベクターpBluescrip
tII-SK(-)(STRATAGENE)のSpe I-Sac I部位にクローニ
ングした。これとは別にpFA6a-3HA-kanMX6プラスミド
(Yeast, 14, 943-951, 1998)を鋳型として、BamHI-Ta
dh-F及びSpeI-Tadh-RをPCRプライマーとしてADH
ターミネーターを増幅し、アガロースゲル電気泳動した
後に制限酵素Bam HI及びSpe Iで消化した。先にクロー
ニングしておいた内部にNot I部位を含むleu1遺伝子断
片をSpe I及びSac Iで消化して切り出し、上述のADH
ターミネーターと共に大腸菌ベクターpUC119(TaKaRa)
のBam HI-Sac I部位にクローニングした。
るura4-ars1断片(ARSに連結された第1選択マーカ
ー遺伝子)は以下のようにして作製した。まず、分裂酵
母ベクターpREP2(J. Bacteriol. 146, 746-754, 199
3)を制限酵素Sph I及びSac Iで消化した後、Klenow Fr
agmentを用いてDNAの末端を平滑化し、再度連結する
ことにより、ura4とars1が連続的に存在するプラスミド
を作製した。このプラスミドを鋳型とし、NotI-ApaI-ar
s1-F及びNotI-ApaI-ura4-Rをプライマーとして用いたP
CRによりura4-ars1断片を増幅した。このDNA断片
をアガロースゲル電気泳動した後、ゲルから切り出すこ
とにより精製し、制限酵素Not Iで消化した。このNot I
消化DNA断片を上述のプラスミドのNot I部位に挿入
することにより、目的のプラスミドベクターpDUALを作
製した(図1)。
裂酵母の形質転換) 宿主細胞として、ウラシル・ロイシン・アデニン要求株
であるシゾサッカロミセス・ポンベJY745を用い
た。作製したプラスミド(pDUAL)を、そのまま(AR
Sに連結された第1選択マーカー遺伝子を切り出すこと
なく)宿主細胞に導入した場合はウラシル要求性を相補
してウラシル非要求性となり、あらかじめ制限酵素で消
化した場合はロイシン要求性を相補してロイシン非要求
性となるかどうかを確認した。pDUALベクターは、制限
酵素Not I、Apa I、Sac IIのいずれかで消化することに
よりura4-ars1断片が切り出され、相同組み換えを生起
するleu1遺伝子断片が分断された直鎖DNA断片に変化
する(図2)。このDNA断片を宿主細胞に導入した場
合、leu1-32変異遺伝子の変異点(G137A)よりも
3'末端側でゲノム上のleu1遺伝子座位と相同組換えを
起こした形質転換体がロイシン非要求性となることが期
待される。pDUALベクターのDNAを上記の制限酵素で
消化し、プラスミド上のleu1断片に挿入されていたura4
-ars1が切り出されてくることをゲル電気泳動で確認し
た(図3)。
(Not I又はApa I)を用いて宿主細胞を形質転換した。
それぞれの形質転換細胞を、ウラシルを含まない選択培
地(SD ade leu)又はロイシンを含まない選択培地(SD
ade ura)に蒔いて、30℃で3日間培養した(図
4)。ロイシンを含まない選択培地においては、制限酵
素で消化しなかった場合は、ロイシン非要求性の形質転
換体は出現せず、制限酵素処理をおこなった場合のみ、
ロイシン非要求性形質転換体が出現した(図4左)。他
方、ウラシルを含まない培地においては、制限酵素処理
の有無に関わらずウラシル非要求性の形質転換体が出現
したが、これはおそらく切断によって生じたura4-ars1
断片がランダムにゲノムに挿入されたためと考えられ
る。このようなマーカー遺伝子断片は、ランダムなゲノ
ムへの挿入を利用して突然変異株(遺伝子破壊株)の単
離などに用いられているが(Nucleic Acids Research,
Vol. 28,No. 11, 2000)、得られたロイシン非要求性の
形質転換体にランダムにura4-ars1断片が挿入されてし
まうことは望ましくない。
換体のゲノムにura4遺伝子が挿入されているかどうかを
形質転換体のウラシル要求性によってチェックした。上
記形質転換体から、ロイシン非要求性又はウラシル非要
求性の少なくとも100株以上をそれぞれ適当に選び、
ウラシルを含まない培地(SD ade leu)とロイシンを含
まない培地(SD ade ura)に蒔いて、30℃で3日間培
養した(図5)。ロイシン非要求性株はウラシルを含ま
ない培地では生育が認められなかったが、ロイシンを含
まない培地では生育が認められた(図5下)。この結果
から、制限酵素処理後のpDUALベクターで形質転換した
宿主細胞のゲノムには、ura4(-ars1)断片が挿入されて
いないことが判明した。他方、ウラシル非要求性株はロ
イシンを含まない培地では生育が認められなかったが、
ウラシルを含まない培地では生育が認められた(図5
上)。この結果から、制限酵素処理後のpDUALベクター
で形質転換した宿主細胞では、leu1遺伝子座位への挿入
とura4断片のランダムな挿入が同一株中では起こってい
ないことが判明した。なお、Sac IIで切断したDNAを
用いた場合でも同様の結果が得られた。これらの結果
は、pDUALベクターを制限酵素で消化した際に生じるura
4-ars1断片は、宿主細胞の形質転換前に除去する必要が
ないことを意味している。なお、ura4遺伝子配列内部に
のみ存在する制限酵素Stu Iの認識部位を予めStu Iによ
って消化することにより、あるいは、制限酵素処理物か
らura4-ars1断片をあらかじめ除去することにより、ura
4遺伝子がゲノムへ挿入して機能しないようにすること
ができる。
に適した多コピー型と、目的遺伝子の細胞当たりの発現
量を精確に把握するのに適したゲノム挿入型とを容易に
選択することができる選択両用ベクター、例えば、その
まま細胞に導入した場合には細胞内で多コピー型として
保持されるが、導入前に制限酵素で処理することによ
り、染色体上の所定の遺伝子座に挿入されるゲノム挿入
型に変換することができる選択両用ベクターを得ること
ができる。かかる選択両用ベクターを用いると、形質転
換体をそれぞれ異なる選択マーカーで選択することによ
り、例えば、制限酵素による消化の有無と形質転換後の
選択培地を組み合わせることによって、多コピー型とゲ
ノム挿入型の二つのタイプを容易に選択することがで
き、例えば、被検遺伝子をクローニングする作業負担を
大幅に軽減できる。
配列を示す図である。leu1-32変異株で置換しているグ
アニン残基(G137)を枠囲いで示した。本発明のpDUAL
ベクターに組み込んだleu1断片の5'及び3'末端部分を
二重下線で示した。また、leu1遺伝子内部に作製したNo
t I部位とその周辺の配列を枠囲いで示した。
入様式を示す図である。制限酵素処理によって生じたD
NAの末端がゲノム上のleu1遺伝子座位に標的化され、
相同組み換えが誘発される。実際の相同組み換えはleu1
-32変異の変異点(G137)より上流でも起こり得るが、
ロイシン非要求性となるのはleu1-32の変異点よりも下
流(3'側)で相同組み換えが起こった形質転換体だけ
である。
処理により、本発明のpDUALベクター内のura4-ars1断片
が切り出されてくることの確認結果を示す図である。ur
a4-ars1断片挿入前のプラスミド1はNot Iでのみ切断さ
れる。
a Iで切断後、分裂酵母株JY745(h+ ura4-D18 leu1-32 a
de6-M216)に導入し、それぞれウラシルを含まない培地
(SD ade leu)又はロイシンを含まない培地(SD ade u
ra)に蒔いて、30℃で3日間培養した結果を示す図で
ある。
はウラシル非要求性の株を適当に選び、ウラシルを含ま
ない培地(SD ade leu)とロイシンを含まない培地(SD
ade ura)で培養をおこなった結果を示す図である。
Claims (10)
- 【請求項1】 切り出し可能なARSに連結された第1
選択マーカー遺伝子と、宿主細胞のゲノムDNAとの間
で相同組換え可能な分断された状態の第2選択マーカー
遺伝子とを備え、前記ARSに連結された第1選択マー
カー遺伝子の切出しの有無により、多コピー型とゲノム
挿入型とを選択することができることを特徴とする選択
両用ベクター。 - 【請求項2】 ARSに連結された第1選択マーカー遺
伝子が、制限酵素認識部位を介して第2選択マーカー遺
伝子を分断していることを特徴とする請求項1記載の選
択両用ベクター。 - 【請求項3】 宿主細胞が、第2選択マーカー遺伝子機
能をゲノム上で欠失していることを特徴とする請求項1
又は2記載の選択両用ベクター。 - 【請求項4】 宿主細胞が、真核細胞であることを特徴
とする請求項1〜3のいずれか記載の選択両用ベクタ
ー。 - 【請求項5】 真核細胞が、酵母であることを特徴とす
る請求項4記載の選択両用ベクター。 - 【請求項6】 酵母が、シゾサッカロミセス・ポンベで
あることを特徴とする請求項5記載の選択両用ベクタ
ー。 - 【請求項7】 分断された状態の第2選択マーカー遺伝
子が、その5'側DNA断片にプロモーター領域を含む
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか記載の選択両
用ベクター。 - 【請求項8】 分断された状態の第2選択マーカー遺伝
子が、その3'側DNA断片において、第2選択マーカ
ー遺伝子機能欠失処理が施されていることを特徴とする
請求項1〜7のいずれか記載の選択両用ベクター。 - 【請求項9】 目的遺伝子のクローニング部位を有する
ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか記載の選択両
用ベクター。 - 【請求項10】 配列番号1に示される塩基配列からな
るDNA、又はこれらの配列の一部若しくは全部を含む
配列からなり、かつ選択両用ベクター機能を備えたDN
A。
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JP2002081360A JP4049364B2 (ja) | 2002-03-22 | 2002-03-22 | 多コピー型・ゲノム挿入型の選択両用ベクター |
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2010087344A1 (ja) * | 2009-01-27 | 2010-08-05 | 旭硝子株式会社 | シゾサッカロミセス・ポンベの形質転換方法および形質転換体、ならびに異種蛋白質の製造方法 |
JP2016063802A (ja) * | 2013-11-22 | 2016-04-28 | 旭硝子株式会社 | 形質転換体の製造方法、形質転換体、および単座組込み用ベクターキット |
US10214754B2 (en) | 2014-10-10 | 2019-02-26 | Jmtc Enzyme Corporation | Transformant and its production process, and method for producing lactic acid |
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-
2002
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