JP2003274700A - 交流電動機のベクトル制御方法及び同装置 - Google Patents

交流電動機のベクトル制御方法及び同装置

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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 高周波電力に対し突極特性を示す交流電動機
において、位置検出器を用いずに回転子位置、速度を安
定に効率良く推定できるベクトル制御方法及び同装置を
提供する。 【解決手段】 ベクトル位置推定器10では、まず同相
鏡相電流ベクトル生成器において、高周波電圧印加に起
因する高周波成分を含む固定子電流ベクトル等を用い
て、高周波の同相電流ベクトルと鏡相電流ベクトルとを
検出あるいは推定する。次に、PLL部において、同
相、鏡相の両電流ベクトルを用い、安定的かつ効率よ
く、回転子逆突極位置の精度よい推定値を生成する。余
弦正弦信号発生器で、推知位置の余弦正弦値を算定し、
ベクトル回転器に向け出力する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、回転する高周波電
圧ベクトルとして扱い得る高周波電圧の印加に対し突極
特性を示す、永久磁石形同期電動機、同期リラクタンス
電動機、誘導電動機などの交流電動機のベクトル制御方
法及び同装置に関するものである。特に、ベクトル制御
のためのベクトル回転器に必要な回転子位置情報の確保
に、回転子に装着される位置検出器に代わって位置推定
器を利用し、更には推定器駆動に必要な信号を、電動機
に印加した高周波電圧に応じ発生した高周波電流を少な
くとも利用して生成するようにしたセンサレスベクトル
制御方法及び同装置に関するものである。
【0002】
【従来技術】交流電動機をして高い制御性能を発揮せし
めるには、固定子電流の制御が不可欠であり、従来より
このための制御方法としてベクトル制御方法が知られて
いる。ベクトル制御方法は、互いに直交するd軸とq軸
とで構成される回転dq座標系上で、トルク発生に寄与
する固定子電流を電流ベクトルのd軸成分とq軸成分と
して分割し制御する電流制御工程を有する。
【0003】このときの回転dq座標系としては、永久
磁石形同期電動機及び同期リラクタンス電動機にあって
は、回転子の逆突極または突極(正突極)の位置(すな
わち、位相)に、永久磁石形同期電動機及び誘導電動機
にあっては回転子磁束の位置(すなわち、位相)に、空
間的位相差ゼロで同期した(すなわちオリエンテーショ
ンした)座標系を採用するのが一般的である。回転dq
座標系を回転子の逆突極、突極、あるいは磁束の位置と
空間的位相差の無い同期状態に構成維持するためには、
一般には回転子の特定の位置を知る必要がある。
【0004】高周波電圧の印加に対し突極特性を示す交
流電動機を対象とした本発明では、以降では、一般性を
失うことなく、回転子の逆突極位置(すなわち、位相)
を回転子位置と呼ぶ。当業者には周知のように、回転子
の逆突極位置と突極位置とは、電気角でπ/2(ra
d)の差があるに過ぎず、逆突極位置より突極位置を特
定できる。また、永久磁石形同期電動機においては、回
転子逆突極の位置は回転子磁束の位置と同一である。以
上の説明より理解されるように、交流電動機制御のため
の回転子の特定の基準位置として、逆突極位置を選定す
ることは、何ら一般性を失うものではない。この一般性
の成立は、永久磁石形同期電動機、同期リラクタンス電
動機及び誘導電動機を対象とした具体的な本発明の実施
形態例を通じ、改めて詳しく説明する。なお、本一般性
は、インクリメンタルエンコーダに代表されるインクリ
メンタル形位置検出器においてz信号発生位置を回転子
の基準位置とするのと、本質的に同じである。
【0005】従来より、回転子位置を正確に知るため、
エンコーダに代表される位置検出器を回転子に装着する
ことが行われてきた。しかし、エンコーダ等の回転子位
置検出器の回転子装着は、1)電動機システムの信頼性
の低下、2)電動機スペースの増大、3)回転子位置検
出器動作用の電源線、検出信号を受けるための信号線の
配線と配線のためのスペースの確保、4)回転子位置検
出器に付随した各種コストの増大、と言った問題を不可
避的に発生してきた。
【0006】上記の問題は回転子位置検出器に直接ある
いは間接的に起因したものであり、回転子位置検出器を
必要としない所謂センサレスベクトル制御方法が確立さ
れれば、必然的に解決される。事実、このための交流電
動機のセンサレスベクトル制御方法に関し、特色ある幾
つかの方法が既に報告されている。例えば、文献1(電
気学会交流電動機駆動方式の新技術調査専門委員会編、
電気学会技術報告第760号、交流電動機駆動における
最近の技術動向、平成12年2月発刊)においては、交
流電動機のセンサレスベクトル制御方法及び同装置に関
する国内外の最近の技術開発のサーベイ結果が詳しく紹
介されている。これに説明されているように、交流電動
機のセンサレスベクトル制御方法は、回転子位置の推定
を、トルク発生のための電圧、電流の基本波成分を用い
て行う方法と、トルク発生に寄与しない高周波電力を別
途注入し電圧電流に含まれる高周波成分を用いて行う方
法とに大別される。また、特に本発明が対象とする高周
波電圧を印加する方法に関しては、研究開発の歴史が浅
く、世界的にも若干の方法が提案されているに過ぎない
ことも報告されている。
【0007】こうした技術開発の中、ごく最近、高周波
電圧を印加するセンサレスベクトル制御方法の1つとし
て、文献2(新中新二、逆突極特性を有する交流モータ
の高周波電流鏡相特性とこれに基づくセンサレスベクト
ル制御のための回転子位置推定法、平成13年電気学会
全国大会講演論文集、4、pp.1403−1404、
平成13年3月)において、新たな方法が提案された。
この新方法は、鏡相形ベクトル制御法とも呼ばれ、回転
する高周波電圧ベクトルとして扱い得る高周波電圧を固
定子電圧の少なくとも一部として印加し、高周波電圧ベ
クトルの印加に応じ発生した、高周波磁束ベクトルと同
方向へ回転する高周波同相電流ベクトルと、高周波磁束
ベクトルとは逆方向へ回転する高周波鏡相電流ベクトル
との成す角の中間角あるいはその推定値を回転子の逆突
極位置として決定するものである。
【0008】図12は、突極特性をもつ代表的交流電動
機である永久磁石形同期電動機に対し、従来の鏡相形ベ
クトル制御法を装置化し装着した場合の代表的1例を概
略的にブロック図で示したものである。1aは交流電動
機(永久磁石形同期電動機)を、2は電力変換器を、3
は電流検出器を、4a、4bは夫々3相2相変換器、2
相3相変換器を、5a、5bは共にベクトル回転器を、
6は電流制御器を、7は指令変換器を、8は速度制御器
を示している。これらは、位置検出器利用の通常のベク
トル制御方法におけるものと同様である。センサレスベ
クトル制御方法としての鏡相形ベクトル制御法を特色づ
けるものは、高周波電圧指令器9、ベクトル位置推定器
10、速度推定器11である。12は、高周波電流除去
フィルタであるが、必ずしも必要ではない。同図より明
らかなように、本例は、速度制御を行う例である。ま
た、本図では、簡明性を確保すべく、本発明と関係の深
い2x1のベクトル信号を1本の太い信号線で表現して
いる。以下のブロック図表現もこれを踏襲する。
【0009】2、3、4a、4b、5a、5b、6など
の機器が固定子電流を回転dq座標系上でd軸成分とq
軸成分に分割し各々をd軸及びq軸の電流指令値に追随
するように制御する電流制御工程を実行する手段を構成
している。また、高周波電圧指令器9が、回転する高周
波電圧ベクトルとして扱い得る高周波電圧を固定子電圧
の少なくとも一部として印加する高周波電圧印加工程の
主要な手段を構成している。ベクトル位置推定器10
が、高周波電圧ベクトルの印加に応じ発生した、高周波
磁束ベクトルと同方向へ回転する高周波同相電流ベクト
ルと、高周波磁束ベクトルとは逆方向へ回転する高周波
鏡相電流ベクトルとの成す角の中間角あるいはその推定
値を回転子の逆突極位置として決定する位置決定工程の
手段を構成している。以下、各手段による工程を説明す
る。
【0010】電流検出器3で検出された3相電流は、3
相2相変換器4aで固定αβ座標系上の2相電流に変換
された後、ベクトル回転器5aで回転dq座標系の2相
電流iに変換され、必要に応じフィルタ処理され、電
流制御器6へ送られる。電流制 相3相変換器4bへ送る。4bでは、2相信号を3相電
圧指令値に変換し、電力変換器2への指令値として出力
する。電力変換器2は、指令値に応じた電力を発生し、
交流電動機1aへ印加しこれを駆動する。
【0011】 また、速度制御器8への入力信号の1つである回転子速
度の推定値は、ベクトル位置推定器10の出力をある種
の微分処理をして得ている。
【0012】図13は、回転する高周波電圧ベクトル印
加のための高周波電圧指令器9の代表的1構成例を示し
たものである。先ず、一定の高周波角周波数ωを位相
積分器9aへ入力し、高周波電圧ベクトルの位相θ
決定する。位相積分器9aの出力たる高周波位相θ
基本的には高周波角周波数ωの積分値であるが、位相 位相は余弦正弦信号発生器9bへ入力され、9bはその
余弦・正弦値u(θ)を発生する。余弦・正弦値は所
要の電圧レベルを得るべく一定のゲインKで増幅さ 圧指令器9から出力されている。図13に明示されてい
るように、高周波電圧指 と位相積分器9aからの余弦・正弦値u(θ)とを出
力している。なお、u(θ)は次の(1)式に示した
ように、余弦・正弦関数からなる2x1単位ベクトルと
して定義されている。
【数1】
【0013】次に、回転子の逆突極位置を決定する位置
決定工程の手段であるベクトル位置推定器10を説明す
る。図14は、該文献2を参考に、従来の鏡相形ベクト
ル制御法におけるベクトル位置推定器10の代表的内部
構造の例を示したものである。ベクトル位置推定器10
は、同相鏡相電流ベクトル生成器10a、余弦正弦生成
器10b、ベクトル回転器10cから構成されている。
【0014】図15(a)は、同相鏡相電流ベクトル生
成器10aの代表的な1構成例を示したものである。本
例では、高周波電流ベクトルを含んだ固定子電流ベクト
ルiと高周波電圧指令器9からの高周波角周波数ω
とを入力信号として利用し、高周波同相電流ベクトルと
高周波鏡相電流ベクトルを検出し出力している。本例に
おける同相鏡相電流ベクトル生成器10aは、可変特性
多変数フィルタの1種である2個のD因子フィルタF
(D)10a−1、10a−2を主要素として構成され
ており、符号反転した高周波角周波数−ωを入力とす
る10a−1が高周波同相電流ベクトルi1hiを、符
号反転のない高周波角周波数ωを入力とする10a−
2が高周波鏡相電流ベクトルi1hmを検出し出力して
いる。
【0015】図15(b)は、同相鏡相電流ベクトル生
成器10aの第2構成例である。第2構成例では、固定
子電流ベクトル、高周波電圧ベクトルの高周波角周波
数、同ベクトルの位相の正弦・余弦値が入力され、同相
電流ベクトルの正規化推定値と鏡相電流ベクトルの検出
値が出力されている。高周波角周波数と同位相は、高周
波電圧指令器9からのものが利用されている。
【0016】D因子フィルタの諸特性及び実現法等に関
しては、文献3(新中新二、三相信号処理のための可変
特性多変数フィルタの提案、ベクトル回転器同伴フィル
タ効果の簡易生成、電気学会論文誌D、Vol.121
−D、No.2、pp.253−260、平成13年2
月)に既に詳しく説明されているので、ここでの説明は
省略する。また、D因子フィルタと等価なフィルタリン
グ効果は、ベクトル回転器同伴フィルタによっても得ら
れることが該文献3に示されている。したがって、同相
鏡相電流ベクトル生成器10aを構成するD因子フィル
タをベクトル回転器同伴フィルタで単純置換しても、同
様に高周波同相電流ベクトルi1hiと高周波鏡相電流
ベクトルi1hmを検出することができる。なお、図1
5(b)におけるJは次の(2)式で定義された2x2
交代行列である。
【数2】
【0017】図16は、ベクトル位置推定器10におけ
る主要な構成要素である余弦正弦生成器10bの1構成
例を示したものである。同図における10b−1は2倍
角余弦正弦生成器であり、10b−2は中間角余弦正弦
生成器である。また、10b−3は、中間角余弦正弦生
成器での決定法選択に利用される選定信号を生成するた
めの判定器である。
【0018】2倍角余弦正弦生成器10b−1は、回転
dq座標系上の高周波同相電流ベクトルi1hi、高周
波鏡相電流ベクトルi1hmあるいはそれらの推定値を
入力として受け取り、両ベクトルの中間角θdqの2倍
角2θdqの余弦・正弦値u(2θdq)あるいはその
推定値を決定し、出力している。このときの決定処理
は、次の(3)式に従って遂行されている。
【数3】
【0019】(3)式が明示しているように、2倍角余
弦正弦生成器10b−1での処理では、高周波同相電流
ベクトルと高周波鏡相電流ベクトルの、あるいはこれら
の推定値の正規化が必要である。当業者には周知のよう
に、ベクトルの正規化にはベクトルのノルム算定が必要
であり、ノルム算定には平方根解法処理が必要とされ
る。
【0020】中間角余弦正弦生成器10b−2は、2倍
角余弦正弦生成器10b−1によって出力された2倍角
2θdqの余弦正弦値あるいはその推定値を入力として
受け取り、これを用いて中間角θdqの余弦・正弦値u
(θdq)あるいはその推定値を決定し出力している。
中間角余弦正弦生成器10b−2には、例えば、下の
(4)−(7)式に示すような4種の決定方法が用意さ
れており、中間角の余弦・正弦値の期待される大きさに
応じて、この4種の決定方法のいずれか1つが選定され
るようになっている。
【数4】
【数5】
【数6】
【数7】
【0021】(4)−(7)式が明示しているように、
中間角余弦正弦生成器10b−2での処理でも、平方根
解法処理が必要とされる。
【0022】判定器10b−3は、中間角の余弦・正弦
値の期待される大きさを定め、上述の決定法を選定する
役割に担っている。すなわち、中間角余弦正弦生成器1
0b−2における処理において、(4)−(7)式の中
から何れの1つを利用するかを判定する役割を担ってい
る。
【0023】図12におけるベクトル位置推定器10が
回転dq座標系上で構成されていることより明白なよう
に、余弦正弦推定器10bは回転dq座標系上での回転
子位置θdqを出力する。一方ベクトル回転器5a、5
bで必要とされるのは、固定αβ座標系上で評価された
回転子位置θである。2つの座標系上の変換処理を行う
ものが、ベクトル回転器10cである。
【0024】ベクトル位置推定器10の処理はすべてデ
ィジタル的に行うものとして、k時点での余弦正弦生成
器10bの出力を、u(θdq)とする。一方、k時点
でのベクトル位置推定器10の最終出力をu(θ
(k))とする。u(θ(k))はu(θdq)の座標
変換値として、次の(8)式の処理により得られてい
る。
【数8】 このとき、ベクトル回転器R(θ)は次の(9)式のよ
うに定義されている。
【数9】
【0025】ベクトル位置推定器10の最終処理ブロッ
クである10cでは(8)式の処理が行われ、(8)式
左辺として生成されたu(θ(k))がベクトル位置推
定器10より最終的に出力されている。本単位ベクトル
u(θ(k))はベクトル回転器5a、5bへ送られ、
ベクトル回転器駆動用信号として利用されている。
【0026】ベクトル位置推定器10が出力したu(θ
(k))は、速度推定器11にも送られる。回転子速度
は、回転子位置と微分積分の関係にある。速度推定器1
1では、回転子位置の微分値として速度を推定してい
る。具体的には、微分を差分近似した次の(10)式の
関係に従がい、回転子位置の余弦・正弦値から直接的に
速度を推定している。
【数10】
【0027】図12の例では、速度制御系を構成した例
を示しているので、速度指令値と速度推定値を入力とす
る速度制御器8の出力としてトルク指令値を得ている。
当業者には周知のように、制御目的が発生トルクにあり
速度制御系を構成しない場合には、速度制御器8、速度
推定器11は不要である。この場合には、トルク指令値
が外部から直接印加される。
【0028】
【発明が解決しようとする課題】以上、永久磁石形同期
電動機を対象に、従来の鏡相形ベクトル制御法を説明し
た。本説明より明白なように、鏡相形ベクトル制御法の
中核は、ベクトル位置推定器10およびこれに付随した
速度推定器11にある。しかし、従来の鏡相形ベクトル
制御法におけるベクトル位置推定器等は、以下の1)−
3)に示す課題を有していた。
【0029】1)(8)式が明示しているように、空間
座標u(θ(k−1))に存在する(k−1)時点での
回転dq座標系上で推定した回転子位置u(θdq
を、直接取込む形で、k時点での回転dq座標系の位置
となるu(θ(k))を決定している。この直接取り込
みのために、固定子電流に含まれる雑音レベルが高い場
合には、推定値u(θdq)、u(θ(k))が振動を
起し、ひいては、鏡相形ベクトル制御系の全系が振動的
になることがあった。
【0030】2)ベクトル位置推定器10の主要構成要
素である余弦正弦生成器10bでは、平方根の解法が数
回要求される。平方根の解法は、繰返し演算として遂行
されるため、加算、乗算処理に比較し、一般に、要求さ
れる演算量が著しく大きく、しかも初期値如何により所
要の演算量も変化する。ベクトル位置推定器10におけ
る処理は、基本的に、ディジタル的に遂行することを前
提としている。ベクトル位置推定器を含む鏡相形ベクト
ル制御系における全処理は、限られた制御周期内に完全
に完了しなければならない。完了し得ない場合には、制
御系がハングアップしてしまうこともある。このため、
従来の鏡相形ベクトル制御法を実現し鏡相形ベクトル制
御装置を得るには、相当高速のマイクロプロセッサー、
DSP等の演算素子が必要であった。
【0031】3)従来の鏡相形ベクトル制御は、(1
0)式が明示しているように、実質的に、先ず回転子の
位置を推定し、次にこの近似微分値として回転子速度を
得るものであった。このため、回転子位置推定値u(θ
(k))がノイズ等の影響により振動する場合には、そ
の近似微分処理に関連して回転子速度の推定値が大きく
狂うことがあった。
【0032】本発明は上記背景の下になされたものであ
り、その目的は、回転する高周波電圧ベクトルとして扱
い得る高周波電圧の印加に対し突極特性を示す、永久磁
石形同期電動機、同期リラクタンス電動機、誘導電動機
を含む交流電動機に対し、上記諸課題を克服し、性能、
有用性を一段と高めたセンサレスベクトル制御方法及び
装置を提供することにある。より具体的には、交流電動
機のための上記諸課題を克服した新しい鏡相形ベクトル
制御法と同装置を提供することにある。
【0033】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1の発明は、トルク発生に寄与する固定子電
流を、ベクトル回転器によって指示された互いに直交す
るd軸とq軸で構成される回転dq座標系上で、電流ベ
クトルのd軸成分及びq軸成分として分割し制御する電
流制御工程と、回転する高周波電圧ベクトルとして扱い
得る高周波電圧を固定子電圧の少なくとも一部として印
加する高周波電圧印加工程と、該高周波電圧ベクトルの
印加に応じ発生した、高周波磁束ベクトルと同方向へ回
転する高周波同相電流ベクトルと、該高周波磁束ベクト
ルとは逆方向へ回転する高周波鏡相電流ベクトルとの成
す角の中間角あるいはその推定値を回転子の逆突極位置
として決定する位置決定工程とを有する交流電動機のベ
クトル制御方法であって、該高周波同相電流ベクトルあ
るいはこれと同相の推定値と該高周波鏡相電流ベクトル
あるいはこれと同相の推定値とを用いて生成した位相偏
差あるいは位相偏差近似値を入力とするフェーズロック
ドループを構成し、該フェーズロックドループの位相出
力を該中間角の推定値とするように、該位置決定工程を
構成することを特徴とする。
【0034】請求項2の発明は、請求項1記載の交流電
動機のベクトル制御方法であって、該位相偏差近似値
を、位相偏差またはこの2倍値の、正接値または正弦値
を利用して生成することを特徴とする。
【0035】請求項3の発明は、請求項1記載の交流電
動機のベクトル制御方法であって、該中間角推定値とな
る該位相出力を積分処理して生成するように該フェーズ
ロックドループを構成することを特徴とする。
【0036】請求項4の発明は、トルク発生に寄与する
固定子電流を、ベクトル回転器によって指示された互い
に直交するd軸とq軸で構成される回転dq座標系上
で、電流ベクトルのd軸成分及びq軸成分として分割し
制御する電流制御手段と、回転する高周波電圧ベクトル
として扱い得る高周波電圧を固定子電圧の少なくとも一
部として印加する高周波電圧印加手段と、該高周波電圧
ベクトルの印加に応じ発生した、高周波磁束ベクトルと
同方向へ回転する高周波同相電流ベクトルと、該高周波
磁束ベクトルとは逆方向へ回転する高周波鏡相電流ベク
トルとの成す角の中間角あるいはその推定値を回転子の
逆突極位置として決定する位置決定手段とを有する交流
電動機のベクトル制御装置であって、該高周波同相電流
ベクトルあるいはこれと同相の推定値と該高周波鏡相電
流ベクトルあるいはこれと同相の推定値とを用いて生成
した位相偏差あるいは位相偏差近似値を入力とし、位相
出力を該中間角の推定値とするフェーズロックドループ
手段を、該位置決定手段が有するようにしたことを特徴
とする。
【0037】次に本発明の作用について説明する。本発
明は、従来の鏡相形ベクトル制御法及び同装置の有する
諸課題を解決する、新たな鏡相形ベクトル制御法及び同
装置を提供するものである。
【0038】従来及び本発明による鏡相形ベクトル制御
法の共通点の第1は、回転する高周波電圧ベクトルの印
加に応じ発生した、高周波磁束ベクトルと同方向へ回転
する高周波同相電流ベクトルと、高周波磁束ベクトルと
は逆方向へ回転する高周波鏡相電流ベクトルとの成す角
の中間角あるいはその推定値を回転子逆突極位置として
決定する位置決定工程を有する点にある。また、従来及
び本発明による鏡相形ベクトル制御法における共通点の
第2は、位置決定工程における、高周波同相電流ベクト
ルあるいはこれと同相の推定値、高周波鏡相電流ベクト
ルあるいはこれと同相の推定値の生成法である。これら
の共通点は、従来の鏡相形ベクトル制御法及び同装置を
通じ既に公知である。共通点の公知性を考慮し、以降で
は、本発明の核心である、高周波同相電流ベクトル、高
周波鏡相電流ベクトルあるいはこれらの推定値を用いた
回転子位置推定法等の作用を説明する。
【0039】先ず、請求項1及び請求項4の本発明によ
る作用を説明する。固定αβ座標系上で評価した回転子
位置(位相)の真値をθとし、同じく固定αβ座標系上
で評 既知であるとして、図1に示したフィードバックループ
を考える。図1の1/s要素10d−3は積分処理を行
う位相積分器であり、CPLL(s)10d−2はフィ
ードバックループを安定化するための位相制御器であ
る。フィードバックループが されて生成されているので、同図に明示しているよう
に、積分処理前の信号は電
【0040】上記フィードバックループのための位相制
御器CPLL(s)は、位相積分器10d−3を制御対
象と見立てて設計すればよい。すなわち、位相制御器
は、最も簡単な制御対象を扱うものでよく、当業者には
周知のように、容易に設計される。一般には、位相制御
器CPLL(s)は次の(11)式のように有理多項式
として記述されるが、
【数11】 簡単には、産業界で多用されている次の(12)式のP
I制御器でよい。
【数12】
【0041】当業者には周知のように、フィードバック
ループを構成する場合には、ループ ができる。これより理解されるように、本フィードバッ
クループは、フェーズロックドループとなっている。
【0042】 理解されるように、位置真値θ、あるいは位置真値と位
置推定値の偏差である位 位置真値θを入手できない。しかし、位相偏差は、高周
波電流を適切に処理することにより得ることができる。
ひいては、フェーズロックドループを正常に動作
【0043】本発明は、高周波同相電流ベクトルあるい
はこれと同相の推定値と、高周波鏡相電流ベクトルある
いはこれと同相の推定値とを用いて、上記位置偏差を直
接生成しようとするものである。簡明のため、以降で
は、従来の鏡相ベクトル制御法に示されている方法など
で(例えば、図15を用い紹介した同相鏡相電流ベクト
ル生成器10aで)、回転dq座標系上の高周波同相電
流ベクトルi1hiと高周波鏡相電流ベクトルi1hm
とが既に得られているとして、本発明の作用を続けて説
明する。
【0044】 。偏差の性質上、位相偏差は、固定αβ座標系上で評価
しても、回転dq座標系上で評価しても不変である。特
に、図2に示すように、回転dq座標系の基軸( た場合には、回転dq座標系上で回転子位置は、固定α
β座標系上の位相偏差そのものとなる。すなわち、回転
dq座標系上から見た回転子位置を従来同様θdqと表
現すると、次の(13)式が成立する。
【数13】
【0045】θdqの2倍角2θdqの余弦、正弦値u
(2θdq)と、回転dq座標系上の高周波同相電流ベ
クトルi1hiと高周波鏡相電流ベクトルi1hm
は、(3)式と同様の次の関係を有する。
【数14】
【0046】位相偏差θdqは、(14)式より理解さ
れるように、(15)式のように決定することができ
る。
【数15】 (15)式左辺の評価に必要な右辺のC2p、S
2pは、(14)式第1式に示した簡単な積和演算によ
り、回転dq座標系上の高周波同相電流ベクトルi
1hiと高周波鏡相電流ベクトルi1hmとから直接的
に得られる。当然のことながら、(15)式左辺の評価
に際し、これら高周波電流ベクトルはその推定値で置換
して差し支えない。
【0047】位相偏差θdqの余弦正弦値に比例した比
例値は、次の(16)、(17)式に示した高周波同相
電流ベクトル、高周波鏡相電流ベクトルの加算あるいは
減算を中心とした簡単な演算処理を通じ直接的に得るこ
とも可能である。
【数16】
【数17】 (16)、(17)式におけるL、Lは、該文献2
に定義されているように、突極特性に関係した電動機固
有のインダクタンスである。
【0048】位相偏差θdqは、(16)、(17)式
のC1p、S1pを用いて、(18)式のように決定す
ることも可能である。
【数18】 (18)式右辺のC1p、S1pは、(16)式第1式
あるいは(17)式第1式に示した簡単な積和演算によ
り、回転dq座標系上の高周波同相電流ベクトルi
1hiと高周波鏡相電流ベクトルi1hmとから直接的
に得られたものである。当然のことながら、C1p、S
1pの評価に際し、これら高周波電流ベクトルは、その
推定値で置換して差し支えない。
【0049】請求項1及び請求項4の本発明は、高周波
同相電流ベクトルあるいはこれと同相の推定値と高周波
鏡相電流ベクトルあるいはこれと同相の推定値とを用い
て生成した位相偏差あるいは位相偏差近似値を入力とす
るフェーズロックドループを構成し、フェーズロックド
ループの位相出力を両ベクトルの中間角の推定値、すな
わち回転子位置推定値とするものである。高周波同相電
流ベクトルと高周波鏡相電流ベクトルと用いた本発明に
よるフェーズロックドループ構成の具体的第1例は(1
4)、(15)式及び次の(19)、(20)式とし
て、表現される。
【数19】
【数20】 また、本発明によるフェーズロックドループ構成の具体
的第2例は(16)(または、(17))、(18)式
及び(19)、(20)式として表現される。
【0050】以上の説明より、容易に理解されるよう
に、請求項1あるいは請求項4の本発明によれば、回転
子位置推定のための安定な推定ループが構成され、この
出力として回転子位置推定を安定的に得ることができる
と言う作用が第1に得られる。
【0051】請求項1あるいは請求項4の本発明によれ
ば、既に明白なように、回転子位置推定に平方根解法の
処理を一切行うことなく、回転子位置を推定できる。こ
の結果、従来の鏡相ベクトル制御法におけるような(例
えば、図16の余弦正弦生成器10bのように)、大き
な演算量を必要としないと言う作用が得られる。ひいて
は、特別高速のマイクロプロセッサー、DSP等の演算
素子を用いることなくセンサレスベクトル制御方法、セ
ンサレスベクトル制御装置を実現できると言う作用が得
られる。
【0052】次に、請求項2の本発明の作用を説明す
る。位相偏差は、厳密には、例えば15)式に基づき生
成される。位相偏差θdqが十分に小さい場合には、
(15)式は次の(21)式のように正接近似すること
ができる。
【数21】
【0053】位相偏差θdqが十分に小さい場合には、
同様に、(15)式は次の(22)式のように正弦近似
することができる。
【数22】
【0054】(21)、(22)式が明白に示すよう
に、位相偏差を、位相偏差の2倍値2θdqの正接値ま
たは正弦値により近似する場合には、近似値をS2p
2pから、あるいは近似値の比例値をS2pから直ち
に生成することができる。しかも、Sp及びC
2pは、(14)式第1式の簡単な積和演算に従い、高
周波同相電流ベクトルi1hi、高周波鏡相電流ベクト
ルi1hmあるいはこれらの推定値から直接的に生成す
ることができる。
【0055】位相制御器CPLL(s)は、(11)、
(12)式に明示しているように定係数で構成され、し
かも(19)式に明示されているように位相偏差θdq
に直接作用する。このため、高周波同相電流ベクトル、
高周波鏡相電流ベクトルのノルムが一定の場合には、位
相偏差θdqに近似的に比例した信号が生成できれば位
相制御器の係数を比例関係を利用して事前調整すること
で、位相偏差比例値を用いた場合にも位相偏差そのもの
を得た場合と同等な応答特性を得ることができる。従来
の鏡相形ベクトル制御に関する報告で既に明らかにされ
ているように(例えば、図13の高周波電圧指令器9が
示すように)、回転する高周波電圧の振幅は一定であ
り、この結果、高周波同相電流ベクトル、高周波鏡相電
流ベクトルのノルムも一定となることを指摘しておく。
【0056】位相偏差θdqが小さい場合には、(1
6)式または(17)式のC1p、S1pを用いた次の
(23)、(24)式に示した正接、正弦近似も可能で
ある。
【数23】
【数24】
【0057】請求項2の本発明は、位相偏差近似値を、
位相偏差またはこの2倍値の、正接値または正弦値を利
用して生成するものである。(21)〜(24)式を用
いた以上の説明より明白なような、請求項2の本発明に
よれば、フェーズロックドループ駆動に不可欠な信号で
ある位相偏差を、近似値ながら、本来必要とされた逆正
接の評価をすることなく、大変軽い演算量で生成できる
と言う作用が得られる。ひいては、請求項1の作用を一
段と軽い演算量で得ることができると言う作用が得られ
る。
【0058】次に、請求項3の本発明の作用について説
明する。請求項3の発明は、高周波同相電流ベクトルと
高周波鏡相電流ベクトルとの中間角の推定値となる位相
出力を積分処理して生成するようにフェーズロックドル
ープを構成するようにしたものである。先に示した図1
は、本発明の要点を図で説明したものでもある。同図よ
り明白なように、請求項3の本発明によれば、位相積分
器の入力信号から直接、換言するならば微分処理あるい
は近似微分処理の要なく、回転子速度(電気角速度)の
推定値を得ることができると言う作用が得られる。ひい
ては、ノイズ等に強い安定した回転子速度推定値を得る
ことができると言う作用が得られる。この結果、鏡相ベ
クトル制御装置が速度制御系を構成するような場合に
は、請求項1の発明による重要な作用の1つである系の
安定性に関し、これを更に向上させることができると言
う作用が得られる。
【0059】
【発明の実施の形態】以下、図面を用いて、本発明の実
施形態を詳細に説明する。本発明の鏡相形ベクトル制御
方法を実現したベクトル制御装置を交流電動機(永久磁
石形同期電動機)に適用した1実施形態例の基本的構造
を図3に示す。本構造と図12を用いて説明した従来の
鏡相形ベクトル制御法による構造との基本的な違いは、
回転子の逆突極位置を決定する位置決定工程の手段であ
るベクトル位置推定器10にある。他の多くの機器に関
しては、基本的には図12に示した従来の鏡相形ベクト
ル制御法に基づく装置と同一であり、その動作原理も従
来と同一である。
【0060】本発明の核心が回転子の逆突極位置を決定
する位置決定工程の手段であるベクトル位置推定器10
にある点を考慮し、本発明によるベクトル位置推定器1
0を中心に実施形態を説明をする。図4は、本発明によ
るベクトル位置推定器10の1実施形態例を示したもの
である。ベクトル位置推定器10は、同相鏡相電流ベク
トル生成器10a、PLL部10d、余弦正弦信号発生
器10eから構成されている。
【0061】同相鏡相電流ベクトル生成器10aの機能
は、固定子電流ベクトルi等を利用して高周波同相電
流ベクトルと高周波鏡相電流ベクトル、あるいはこれら
の推定値を得るものであり、その構成は、従来の鏡相形
ベクトル制御装置で利用されたもの、例えば図15に示
されたものと同一である。
【0062】図5は、PLL部10dの構造を更に詳し
く示したものである。PLL部10dは、位相偏差検出
器10d−1、位相制御器10d−2、位相積分器10
d−3から構成されている。
【0063】図6は、位相偏差検出器10d−1の内部
構造を示したものであり、CS信号生成器10d−1a
と偏差決定器10d−1bとから構成されている。CS
信号生成器10d−1aは、同相鏡相電流ベクトル生成
器10aの出力信号から、(14)式第1式に示した簡
単な積和演算を通じ従いC2p、S2pの2信号を生成
している。また、C2p、S2pを入力された偏差決定
器10d−1bは、(15)式、または(21)式、ま
たは(22)式によって実現されており、C2p、S
2p信号を利用した簡単な演算で、位相偏差あるいはこ
の近似値を出力している。
【0064】当然のことながら、CS信号生成器10d
−1aは、同相鏡相電流ベクトル生成器10aの出力信
号から、(16)式第1式または(17)式第1式に示
した簡単な積和演算を通じ従いC1p、S1pの2信号
を生成するように構成してもよい。この場合には、C
1p、S1pを入力された偏差決定器10d−1bは、
(18)式、または(23)式、または(24)式によ
って実現し、C1p、S1p信号を利用した簡単な演算
で、位相偏差あるいはこの近似値を出力することにな
る。
【0065】位相制御器10d−2は、位相偏差検出器
10d−1が出力した位相偏差ある 出力している。位相制御器CPLL(s)10d−2の
一般的構造は、(11)式に示した通りである。簡単に
は、産業界で多用されている(12)式のPI制御器で
よい。また、この設計は、位相積分器10d−3を制御
対象と見立てて設計すればよい。すなわち、位相制御器
は、最も簡単な制御対象を扱うものでよく、当業者には
周知のように、容易に設計される。
【0066】 、PLL部10d及びベクトル位置推定器10の最終出
力信号の1つとしても出力されている。位相積分器10
d−3は位相制御器10d−2からの入力信号を L部10dの説明を終了する。
【0067】 eは、この余弦値及び正弦値を算出し、2x1ベクトル
信号として出力する。本2x1ベクトル信号はベクトル
位置推定器10の最終出力信号の1つでもあり、ベクト
ル回転器5a、5bへ向け出力される。
【0068】 の(25)式のように電動機の極対数Nの逆数(定
数)を乗じて、機械角速度推定値
【数25】
【0069】 である。図3に示した実施形態例では、回転子位置推定
値を必要としない例となっているので、ベクトル位置推
定器10の構成を示した図4では、破線でこれを明示し
た。位置制御系を構成する場合には、当然のことなが
ら、回転子位置推定 回転子位置推定値が利用されることになる。
【0070】図3の実施形態例では、速度制御系を構成
した例を示しているので、速度指令値と速度推定値を入
力とする速度制御器8の出力としてトルク指令値を得て
いる。当業者には周知のように、制御目的が発生トルク
にあり速度制御系を構成しない場合には、速度制御器8
は不要である。この場合には、トルク指令値が外部から
直接印加される。
【0071】図3の実施形態例では、高周波電流除去フ
ィルタ12を利用した例を示しているが、これは必ずし
も必要ではない。すなわち、電流制御系の帯域が、高周
波電圧指令器9が指示する高周波角周波数ωに比較し
相対的に小さい場合には、高周波電流除去フィルタ12
は必要でないことを指摘しておく。
【0072】次に、本発明の効果ひいては有用性を確認
すべく遂行した実験の1例を示す。供試電動機は、
(株)安川電機製の400(w)永久磁石形同期電動機
である。本電動機の特性概要を表1に示す。
【表1】
【0073】本電動機には4逓倍後の実効分解能で40
96(p/r)に相当するエンコーダが装着されている
が、制御にはもちろん使用していない。これは、回転子
の位置、速度の真値と同推定値を比較し、推定値の妥当
性を確認するためのものである。
【0074】本発明による効果を適切に評価するには、
供試電動機に適当な負荷を与える必要がある。このため
の負荷装置としては、3.7(kW)直流電動機を使用
した。直流電動機の慣性モーメントJはJ=0.085
(kgm)であり、供試電動機の約53倍である。ま
た、高周波電圧指令器9における高周波角周波数ω
は、ω=2π400(rad/s)に設定した。
【0075】定格負荷の下で、定格速度比で約1/1,
800に相当する0.1(rad/s)の極低速度指令
を与えた場合の応答を図7(a)(力行),図7(b)
(回生)に示す。両図とも、上から、U相電流、回転子
速度(エンコーダ検出値)、回転子位置及び同推定を示
している。時間軸は2(s/div)である。U相電流
に高周波電流が重畳している様子が明瞭に確認される。
同図より、回転子位置が適切に推定され、更には、高周
波電流が重畳したU相電流と回転子位置の関係より良好
にトルク発生が行われていることが確認される。
【0076】定格負荷の下で、定格速度指令180(r
ad/s)を与えた場合の応答を図8(a)(力行)、
図8(b)(回生)に示す。図中の波形の意味は、前図
と同様である。ただし、時間軸は5(ms/div)で
ある。本応答においては、回転子速度が高いために、U
相電流に重畳している高周波電流の様子は必ずしも明瞭
ではない。一方、この高周波電流に基づく回転子位置の
推定値は、実測位置との差が視認困難なほど、高い一致
性を示しており、ひいては良好にトルク発生が行われて
いることが確認される。
【0077】図9は、ゼロ速度指令の速度制御状態で定
格負荷を瞬時に印加し、負荷外乱抑圧に関する過渡応答
を調べたものである。図中の信号は、上部から、指令速
度、同応答値、U相電流を示している。時間軸は、2
(s/div)である。図より、瞬時負荷に対しても安
定したゼロ速度の制御が維持し、かつこの影響を排除し
ていることが理解される。なお、ゼロ速度への回復が遅
いが、これは供試電動機の約53倍にも及ぶ負荷装置慣
性モーメントを考慮し、速度制御帯域を2(rad/
s)に設計したことに起因している。供試電動機と同程
度の慣性モーメント負荷に対しては、100(rad/
s)速度帯域の確保は問題ない。
【0078】以上示した実験結果より容易に理解される
ように、本発明によるセンサレスベクトル制御方法、同
装置による場合には、高性能な制御性能がすなわち従来
の諸課題を克服する優れた効果が得られ、ひいては高い
有用性を確保することができる。
【0079】次に、本発明の鏡相形ベクトル制御法に基
づくベクトル制御装置を同期リラクタンス電動機へ適用
した1実施形態例を示す。図10はその基本的構造であ
る。本実施形態例における位置ベクトル推定器10は、
図3に示した永久磁石形同期電動機の実施形態例におけ
るものと同じである。永久磁石形同期電動機を対象とし
た図3の構成と本図の構成との大きな違いは、対象の電
動機が同期リラクタンス電動機1bへ変更されている点
を除けば、第2ベクトル回転器13a、13bが新規導
入されている点にある。
【0080】永久磁石形同期電動機と同期リラクタンス
電動機とのベクトル制御における基本的な違いは、トル
ク発生に寄与する固定子電流の制御における回転座標系
の取り方にある。すなわち、永久磁石形同期電動機の場
合には、回転子逆突極位置に回転座標系の基軸を設定す
るのに対し、同期リラクタンス電動機では、回転子突極
位置に回転座標系の基軸を設定するのが一般的である。
回転子の逆突極位置あるいは突極位置の何れに、回転座
標系の基軸を設定するかは、ベクトル制御の本質ではな
い。しかし、当業者には周知のように、上記の基軸設定
が伝統的に行われている。
【0081】当業者には周知のように、回転子の逆突極
位置と突極位置とは、電気角でπ/2(rad)の差が
あるに過ぎない。図10で新規追加された第2ベクトル
回転器は、ベクトル信号を固定の一定値π/2(ra
d)だけ回転させるためのものである。同期リラクタン
ス電動機のための第2ベクトル回転器Jの定義は、
(2)式に定義されている通りである。(2)式より理
解されるように、第2ベクトル回転器Jの実現は、2x
1ベクトル信号の2成分を交代的に位置変更するだけで
あり、特別な演算を必要とするものではない。
【0082】図10の実施形態例では、速度制御系を構
成した例を示しているので、速度指令値と速度推定値を
入力とする速度制御器8の出力としてトルク指令値を得
ている。当業者には周知のように、制御目的が発生トル
クにあり速度制御系を構成しない場合には、速度制御器
8は不要である。この場合には、トルク指令値が外部か
ら直接印加される。
【0083】図10の実施形態例では、高周波電流除去
フィルタ12を利用した例を示しているが、これは必ず
しも必要ではない。すなわち、電流制御系の帯域が、高
周波電圧指令器9が指示する高周波角周波数ωに比較
し相対的に小さい場合には、高周波電流除去フィルタ1
2は必要でないことを指摘しておく。
【0084】次に、本発明の鏡相形ベクトル制御法に基
づくベクトル制御装置を誘導電動機へ適用した1実施形
態例を示す。図11はその基本的構造である。本実施形
態例における位置ベクトル推定器10は、図3に示した
永久磁石形同期電動機の実施形態例におけるものと同じ
である。永久磁石形同期電動機を対象とした図3の構成
と本図の構成との大きな違いは、対象の電動機が誘導電
動機1cへ変更されている点を除けば、第2ベクトル回
転器13a、13b、滑り角推定器14、余弦正弦信号
発生器15が新規導入されている点にある。
【0085】永久磁石形同期電動機及び誘導電動機のベ
クトル制御においては、トルク発生に寄与する固定子電
流の制御における回転座標系の基軸を、回転子磁束の位
置に設定するのが、一般的である。これは、両電動機に
共通している。永久磁石形同期電動機においては、回転
子磁束の位置と逆突極の位置は同一である。ところが、
誘導電動機はこの同一性はない。すなわち、回転子磁束
位置と回転子逆突極位置は、滑り角周波数に応じて、相
対的に滑っていく。
【0086】新規導入された第2ベクトル回転器13
a、13b、滑り角推定器14、余弦正弦信号発生器1
5は、回転子逆突極位置と回転子磁束位置の相対的滑り
を補正するものである。これらは以下の原理に基づき構
成されている。
【0087】誘導電動機においては、回転子磁束の角周
波数ωφ、回転子の電気角速度ω2n、滑り角周波数ω
の3者間には、次の関係が成立する。
【数26】 (26)式は、積分した状態でも成立する。すなわち、
回転子磁束角周波数、回転子電気角速度、滑り角周波数
の積分値を、各々θφ,θ,θとすると、次の(2
7)式の関係が成立する。
【数27】 したがって、これらθφ,θ,θを用いたベクトル回
転器に関しては、次の(28)式が成立する。
【数28】
【0088】回転dq座標系の基軸(d軸)を回転子磁
束位置に合わせた場合には、滑り角周波数は、固定子電
流と次の(29)、(30)式の関係を有する。
【数29】
【数30】 (29)、(30)式におけるi,iは、同座標系
上での固定子電流のd軸成分とq軸成分であり、φ
2ndは正規化された回転子磁束である。また、W
2nは電動機パラメータであり、各々回転子時定数の
逆数、正規化された回転子抵抗を意味している。
【0089】図11おける滑り角推定器14は、先ず、
(29)、(30)式に従い固定子電流を用いて滑り角
周波数ωを推定し、次に、これを積分処理しその積分
値、すなわち の範囲でモジュラー化された値が出力されるようになっ
ている。余弦正弦信号発生器15は、滑り角に基づきそ
の余弦、正弦信号を発生し、これを第2ベクトル回転器
13a、13bへ向け出力している。
【0090】本実施形態例における第2ベクトル回転器
13a、13bは、図11に明示しているように、ベク
トル回転器5a、5bに対し、シリアル的に配置されて
いる。この結果、2つのベクトル回転器はベクトル信号
にシリアル的に作用し、ひいては、(28)式左辺に示
したベクトル回転器と等価の作用を成す。換言するなら
ば、回転dq座標系の基軸(d軸)を回転子磁束と一致
させる働き、すなわち所期の磁束オリエンテーションが
得られる。
【0091】図11の実施形態例では、速度制御系を構
成した例を示しているので、速度指令値と速度推定値を
入力とする速度制御器8の出力としてトルク指令値を得
ている。当業者には周知のように、制御目的が発生トル
クにあり速度制御系を構成しない場合には、速度制御器
8は不要である。この場合には、トルク指令値が外部か
ら直接印加される。
【0092】図11の実施形態例では、高周波電流除去
フィルタ12を利用した例を示しているが、これは必ず
しも必要ではない。すなわち、電流制御系の帯域が、高
周波電圧指令器9が指示する高周波角周波数ωに比較
し相対的に小さい場合には、高周波電流除去フィルタ1
2は必要でないことを指摘しておく。
【0093】以上、本発明によるベクトル位置推定器1
0に関し、各種の図を利用しつつ、更には、永久磁石形
同期電動機、同期リラクタンス電動機、誘導電動機を対
象とした実施形態例を用いて、具体的かつ詳しく説明し
た。本発明のベクトル位置推定器は、最近のディジタル
技術の進歩を考えるとディジタル的に構成することが好
ましい。ディジタル構成はハードウェア的構成とソフト
ウェア的構成があるが、当業者にとっては既に自明のよ
うに本発明はいずれでも構成できる。
【0094】
【発明の効果】以上の説明より明白なように、本発明は
以下の効果を奏する。特に、請求項1及び請求項4の本
発明は、高周波同相電流ベクトルあるいはこれと同相の
推定値と高周波鏡相電流ベクトルあるいはこれと同相の
推定値とを用いて生成した位相偏差あるいは位相偏差近
似値を入力とするフェーズロックドループを構成し、フ
ェーズロックドループの位相出力を両ベクトルの中間角
の推定値、すなわち回転子位置推定値とするものであ
る。この結果、本発明によれば、第1に、回転子位置推
定のための安定な推定ループが構成され、この出力とし
て回転子位置推定を安定的に得ることができると言う作
用が得られ、第2に、センサレスベクトル制御方法、セ
ンサレスベクトル制御装置の実現に大きな演算量を必要
としないと言う作用が得られた。これらの作用の結果、
本発明によれば、安定性が高く高性能なセンサレスベク
トル制御装置の実現が可能、更には特別高速で高価なマ
イクロプロセッサー、DSP等の演算素子を要すること
なく、廉価で、有用性の高いセンサレスベクトル制御装
置の実現が可能と言う効果が得られる。
【0095】特に、請求項2の本発明は請求項1記載の
ベクトル制御方法であって、位相偏差近似値を、位相偏
差またはこの2倍値の、正接値または正弦値を利用して
生成するものである。この結果、フェーズロックドルー
プ駆動に不可欠な信号である位相偏差を、近似値なが
ら、本来必要とされた逆正接の評価をすることなく、大
変軽い演算量で生成できると言う作用が、ひいては、請
求項1の作用を一段と軽い演算量で得ることができると
言う作用が得られた。この結果、請求項2の本発明によ
れば、請求項1で得られた効果すなわち有用性を、更に
高めると言う効果が得られる。
【0096】請求項3の本発明は、請求項1記載のベク
トル制御方法であって、高周波同相電流ベクトルと高周
波鏡相電流ベクトルとの中間角の推定値となる位相出力
を積分処理して生成するようにフェーズロックドループ
を構成するようにするものである。この結果、微分処理
あるいは近似微分処理の要なく、ひいてはノイズ等に強
い安定した回転子速度推定値を得ることができると言う
作用が得られた。これにより、速度制御系を構成するよ
うな場合には、請求項1の発明による重要な作用の1つ
である系の安定性に関し、これを更に向上させることが
できると言う作用が得られた。これら作用の結果、請求
項3の本発明によれば、請求項1の発明による重要な効
果の1つである安定性に関する高性能化を更に推し進め
ると言う効果が得られる。
【0097】特に、本発明による高性能化に関する効果
に関しては、永久磁石形同期電動機を対象とした実施形
態例に関連して実機実験による詳細な結果を示し、従来
のセンサレスベクトル制御方法による性能を遥かに超え
る、極めて高度な性能が得られることを実験検証的に明
示した。
【0098】
【図面の簡単な説明】
【図1】フェーズロックドループの原理を示すブロック
【図2】回転子逆突極位置(電気角度)と固定αβ座標
系、回転子位置推定のための回転dq座標系の1関係を
示すベクトル図
【図3】永久磁石形同期電動機を対象とした1実施形態
例におけるベクトル制御装置の基本構成を示すブロック
【図4】1実施形態例におけるベクトル位置推定器の概
略構成を示すブロック図
【図5】1実施形態例におけるPLL部の概略構成を示
すブロック図
【図6】1実施形態例における位相偏差検出器の概略構
成を示すブロック図
【図7】永久磁石形同期電動機を対象とした1実施形態
例における実験的性能例
【図8】永久磁石形同期電動機を対象とした1実施形態
例における実験的性能例
【図9】永久磁石形同期電動機を対象とした1実施形態
例における実験的性能例
【図10】同期リラクタンス電動機を対象とした1実施
形態例におけるベクトル制御装置の基本構成を示すブロ
ック図
【図11】誘導電動機を対象とした1実施形態例におけ
るベクトル制御装置の基本構成を示すブロック図
【図12】従来のベクトル制御装置の概略構成を示すブ
ロック図
【図13】従来の高周波電圧指令器の概略構成を示すブ
ロック図
【図14】従来のベクトル位置推定器の概略構成を示す
ブロック図
【図15】従来の同相鏡相電流ベクトル生成器の概略構
成を示すブロック図
【図16】従来の余弦正弦生成器の概略構成を示すブロ
ック図
【符号の説明】
1a 交流電動機(永久磁石形同期電動機) 1b 交流電動機(同期リラクタンス電動機) 1c 交流電動機(誘導電動機) 2 電力変換器 3 電流検出器 4a 3相2相変換器 4b 2相3相変換器 5a ベクトル回転器 5b ベクトル回転器 6 電流制御器 7 指令変換器 8 速度制御器 9 高周波電圧指令器 9a 位相積分器 9b 余弦正弦信号発生器 10 ベクトル位置推定器 10a 同相鏡相電流ベクトル生成器 10a−1 D因子フィルタ 10a−2 D因子フィルタ 10a−3 高周波同相電流ベクトル推定器 10b 余弦正弦生成器 10b−1 2倍角余弦正弦生成器 10b−2 中間角余弦正弦生成器 10b−3 判定器 10c ベクトル回転器 10d PLL部 10d−1 位相偏差検出器 10d−1a CS信号生成器 10d−1b 偏差決定器 10d−2 位相制御器 10d−3 位相積分器 10e 余弦正弦信号発生器 11 速度推定器 12 高周波電流除去フィルタ 13a 第2ベクトル回転器 13b 第2ベクトル回転器 14 滑り角推定器 15 余弦正弦信号発生器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5H550 BB08 BB10 DD03 DD08 DD09 GG03 GG05 HB08 JJ04 JJ22 JJ24 JJ25 JJ26 JJ30 LL14 LL22 LL35 LL60 5H560 BB04 BB17 BB18 DA12 DB20 DC12 DC20 EB01 EC01 RR10 TT08 TT20 XA02 XA04 XA13 5H576 BB06 DD02 DD04 DD07 DD09 EE01 GG02 GG04 HB01 JJ04 JJ05 JJ20 JJ22 JJ24 JJ26 JJ30 LL14 LL22 LL30 LL41 LL60

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】トルク発生に寄与する固定子電流を、ベク
    トル回転器によって指示された互いに直交するd軸とq
    軸で構成される回転dq座標系上で、電流ベクトルのd
    軸成分及びq軸成分として分割し制御する電流制御工程
    と、回転する高周波電圧ベクトルとして扱い得る高周波
    電圧を固定子電圧の少なくとも一部として印加する高周
    波電圧印加工程と、該高周波電圧ベクトルの印加に応じ
    発生した、高周波磁束ベクトルと同方向へ回転する高周
    波同相電流ベクトルと、該高周波磁束ベクトルとは逆方
    向へ回転する高周波鏡相電流ベクトルとの成す角の中間
    角あるいはその推定値を回転子の逆突極位置として決定
    する位置決定工程とを有する交流電動機のベクトル制御
    方法であって、 該高周波同相電流ベクトルあるいはこれと同相の推定値
    と該高周波鏡相電流ベクトルあるいはこれと同相の推定
    値とを用いて生成した位相偏差あるいは位相偏差近似値
    を入力とするフェーズロックドループを構成し、該フェ
    ーズロックドループの位相出力を該中間角の推定値とす
    るように、該位置決定工程を構成することを特徴とする
    交流電動機のベクトル制御方法。
  2. 【請求項2】該位相偏差近似値を、位相偏差またはこの
    2倍値の、正接値または正弦値を利用して生成すること
    を特徴とする請求項1記載の交流電動機のベクトル制御
    方法。
  3. 【請求項3】該中間角推定値となる該位相出力を積分処
    理して生成するように該フェーズロックドループを構成
    することを特徴とする請求項1記載の交流電動機のベク
    トル制御方法。
  4. 【請求項4】トルク発生に寄与する固定子電流を、ベク
    トル回転器によって指示された互いに直交するd軸とq
    軸で構成される回転dq座標系上で、電流ベクトルのd
    軸成分及びq軸成分として分割し制御する電流制御手段
    と、回転する高周波電圧ベクトルとして扱い得る高周波
    電圧を固定子電圧の少なくとも一部として印加する高周
    波電圧印加手段と、該高周波電圧ベクトルの印加に応じ
    発生した、高周波磁束ベクトルと同方向へ回転する高周
    波同相電流ベクトルと、該高周波磁束ベクトルとは逆方
    向へ回転する高周波鏡相電流ベクトルとの成す角の中間
    角あるいはその推定値を回転子の逆突極位置として決定
    する位置決定手段とを有する交流電動機のベクトル制御
    装置であって、 該高周波同相電流ベクトルあるいはこれと同相の推定値
    と該高周波鏡相電流ベクトルあるいはこれと同相の推定
    値とを用いて生成した位相偏差あるいは位相偏差近似値
    を入力とし、位相出力を該中間角の推定値とするフェー
    ズロックドループ手段を、該位置決定手段が有するよう
    にしたことを特徴とする交流電動機のベクトル制御装
    置。
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