JP2003272922A - コイル封入圧粉磁芯及びその製造方法 - Google Patents
コイル封入圧粉磁芯及びその製造方法Info
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Abstract
いて、磁性粉末の平均粒子径とコイルを構成する導線の
絶縁被膜の平均厚さを適切に設定することにより、コイ
ルを構成する導線間のショート不具合の防止を図る。 【解決手段】 重量比率で1〜8%の絶縁材をコーティ
ングした強磁性金属粒子からなる磁性粉末中に、コイル
1を埋め込んだコイル封入圧粉磁芯において、前記コイ
ル1を構成する導線2の絶縁被膜の平均厚さをt(μ
m)、及び前記磁性粉末の平均粒子径をφ(μm)とす
るとき、 φ<t×3 を満足する構成である。
Description
インダクタ、その他の電子機器に用いるコイル封入圧粉
磁芯に係り、とくに導線間のショート(短絡)発生を防
止したコイル封入圧粉磁芯及びその製造方法に関する。
小型(低背)で大電流に対応した圧粉磁芯が要求されて
いる。圧粉磁芯の材料には、フェライト粉末や強磁性金
属粉末が用いられている。
して飽和磁束密度が大きいため、直流重畳特性が高磁界
まで保たれ、大電流を必要とする用途に適している。
め、コイルと磁性粉が一体になったコイルが提案されて
いる。この構造のインダクタを、本明細書では、コイル
封入圧粉磁芯と呼ぶ。
提案されている。例えば、特開平5−291046号公
報には、絶縁被覆した市販電線に外部電極を接続し、市
販電線を巻回した巻線全体を絶縁被膜で覆い、さらにそ
れらを包み込むように磁性粉末とともに成形することが
開示されている。
末の間の絶縁は確保されるが、導線間の絶縁は、市販電
線の薄い絶縁被膜のみで保たれているため、巻線時の
傷、又はリフロー時の応力疲労(クレージング:crazin
g)による被膜破れにより、導線間のショート不具合が
発生することが問題となっていた。
には、成形方法について明確な記述がないが、例えば、
コイル封入圧粉磁芯の製造方法として、特許第3108
931号公報に、粉末成形機を用いる方法が開示されて
いる。この場合、導線間のプレス方向に強圧が加わり、
導線の絶縁被膜がダメージを受け、導線間のショート不
具合が多発していた。
には、平角導線を使用し、引き出し線をコイルの上と下
から引き出している例が示されている。しかし、この場
合、強磁性金属粉末が導線間に入り込み、高圧成形され
るため、その金属粉末を経由して、導線間のショート不
具合が起こることがあった。
は、小型で大きなインダクタンスが得られる構造である
が、磁性粉の中にコイルが挿入され、粉末成形法によ
り、3〜10トン/cm2の高圧成形でプレスされるた
め、コイルを構成する導線間のショート不具合が問題と
なっていた。なお、1トン/cm2 =9.8×107Pa
である。
コイルを埋め込んだコイル封入圧粉磁芯において、磁性
粉末の平均粒子径とコイルを構成する導線の絶縁被膜の
平均厚さを適切に設定することにより、コイルを構成す
る導線間のショート不具合の防止を図ったコイル封入圧
粉磁芯を提供することにある。
成する導線間に強磁性金属粒子が入り込まない製法とす
ることで、コイルを構成する導線間のショート不具合の
防止を図ったコイル封入圧粉磁芯の製造方法を提供する
ことにある。
の実施の形態において明らかにする。
ョート不具合を解析した結果、コイルを構成する導線に
元々存在する絶縁被膜のピンホール、又は巻線時に発生
した絶縁被膜の傷があると、絶縁材をコーティングした
強磁性金属粒子からなる強磁性金属粉末中に空心コイル
をインサート成形する工程で、前記金属粒子を経由して
線間ショートが起こることが判明した。
の絶縁被膜の平均厚さt(μm)と、絶縁材でコーティ
ングされた強磁性金属粉末の平均粒子径φ(μm)の関
係を調べた結果、φ<t×3の関係が成り立つ場合に、
レアショート不具合が著しく減少することが判明した。
性金属粒子が入り込まないように、予め熱融着すると、
さらにレアショート不具合が減少することが判明した。
封入圧粉磁芯は、重量比率で1〜8%の絶縁材をコーテ
ィングした強磁性金属粒子からなる磁性粉末中に、コイ
ルを埋め込んだコイル封入圧粉磁芯において、前記コイ
ルを構成する導線の絶縁被膜の平均厚さをt(μm)、
及び前記磁性粉末の平均粒子径をφ(μm)とすると
き、 φ<t×3 を満足することを特徴としている。
磁芯は、請求項1において、前記コイルは熱融着層を塗
布した平角導線を厚さ方向に積層してエッジワイズ状に
巻線したものであり、各層の平角導線同士が隙間無く熱
融着されていることを特徴としている。
磁芯の製造方法は、厚さ0.001〜0.010mmの熱融
着層を塗布した平角導線を厚さ方向に積層してエッジワ
イズ状に巻線した空心コイルを、該空心コイルの軸方向
に圧力を加えた状態で熱融着させた後、重量比率で1〜
8%の絶縁材をコーティングした強磁性金属粒子からな
る磁性粉末中に、前記空心コイルをインサート成形した
ことを特徴としている。
磁芯の製造方法は、請求項3において、前記平角導線の
絶縁被膜の平均厚さをt(μm)、及び前記磁性粉末の
平均粒子径をφ(μm)とするとき、 φ<t×3 を満足することを特徴としている。
粉磁芯及びその製造方法の実施の形態を図面に従って説
明する。
第1の実施の形態であって、図1(A)はコイル上側の
圧粉磁芯部を省略した平面図、(B)は正断面図であ
る。図において、1はコイル、20は圧粉磁芯部であ
り、圧粉磁芯部20はコイル1に継線された電極端子5
の外部導出部分を除き当該コイル1及び電極端子5の周
囲を覆っている。
2(平角銅線)をエッジワイズ状に数ターン巻線したも
の、すなわち、厚さ方向に積層しかつ幅方向に湾曲状に
曲げて筒状に数ターン巻回したものである。コイル1の
両端部にはそれぞれ電極端子5が電気的に接続されてい
る。コイル1の端部と電極端子5との継線部分及び電極
端子5の圧粉磁芯部20内に埋設される部分は、絶縁被
覆されている。なお、コイル1の端部を圧粉磁芯部20
の外部に導出して直接電極端子として用いる継線レス構
造としても差し支えない。
子としては、Fe、Fe−Ni合金、Fe−Si合金等
があり、これらから適宜選択すればよい。
としては、シリコン樹脂、エポキシ樹脂等があり、これ
らの絶縁材を用いて前記強磁性金属粒子はコーティング
されている。前記絶縁材の混合割合は、当該絶縁材をコ
ーティングした強磁性金属粒子からなる磁性粉末に対す
る重量比率で1〜8%とする。なお、コーティングに使
用する絶縁材の重量比を8%より多くすると、成形して
得た圧粉磁芯部20の透磁率が低下し、大きなインダク
タンスを得ることができず、また絶縁材の重量比を1%
未満にすると各強磁性金属粒子相互間の絶縁が不充分と
なり、磁芯としての特性が大幅に低下するため、コーテ
ィングに使用する絶縁材の重量比は1〜8%が適してい
る。
の絶縁材をコーティングした強磁性金属粒子からなる磁
性粉末中に、前記コイル1を設けた状態で粉末成形機に
て4〜7トン/cm2程度の成形圧力をかけて圧粉磁芯部
20を成形一体化する。圧粉磁芯部20の成形方法とし
ては、例えば、前記磁性粉末を成形金型内に充填して圧
縮成形することで、図1(A)のように圧粉磁芯部20
の下部磁芯部20aを成形金型内に作製しておき、その
上にコイル1を載置した後、コイル1が埋まるように再
度磁性粉末を成形金型内に充填して、下部磁芯部20a
及びコイル1が積層された方向に加圧して圧縮成形(コ
イルを磁性粉末でインサート成形)する方法(特開20
01−267160号公報に開示された方法)等を採用
可能である。
金属粉末がコイル導線間に入り込み、その金属粉末を経
由して、導線間のショート不具合が発生するのを回避す
るため、コイル1に使用する平角導線2の絶縁被膜の平
均厚さをt(μm)、及びコーティングした強磁性金属
粒子(つまり磁性粉末)の平均粒子径をφ(μm)とす
るとき、 φ<t×3 …(1) を満足するように設定する。
詳述する。
ィング樹脂でコーティングされた強磁性金属粒子(Fe
−Ni合金、Fe、Fe−Si合金)の平均粒子径φ
(μm)とコイル1の絶縁被膜平均厚さt(μm)との
関係を変化させてコイル封入圧粉磁芯のサンプル(図1
の構造を有するもの)を500個作製し、ショート発生
個数を計数した。
2.2mmの平角銅線で、その絶縁被膜には、ポリエステ
ル、ポリイミド又はエナメルを用いたが、絶縁被膜の樹
脂の材質差はほとんど認められなかった。コーティング
された強磁性金属粒子(つまり磁性粉末)の平均粒子径
は、粒度分布測定器により測定し、平均粒子径の3倍以
上の粒子経を分級によりカットした。レアショートの検
出は、100kHzと1MHzのインダクタンスをLC
RメーターHP4284Aで測定し、L0(1MHz)
/L0(100kHz)の比率が、0.90以下となる
場合をレアショートと判定した。
好、×:不良)より明らかなように、φ/t<3、換言
すれば φ<t×3の関係が成立する場合に、レアショ
ート不具合が著しく減少することが判明した。
変化させたが、ショート発生数と成形圧力の相関は小さ
いことが判明した。また、強磁性金属粒子やコーティン
グ樹脂の材質自体とショート発生数の相関も認められな
いことがわかった。
で1〜8%の絶縁材をコーティングした強磁性金属粒子
からなる磁性粉末中に、コイル1を埋め込んだコイル封
入圧粉磁芯において、前記コイル1に使用する導線の絶
縁被膜の平均厚さをt(μm)、及び前記磁性粉末の平
均粒子径をφ(μm)とするとき、φ<t×3を満足さ
せるように、絶縁被膜の平均厚さをt及び磁性粉末の平
均粒子径をφを設定することにより、レアショート不具
合を著しく低減させることが可能である。この結果、高
い信頼性のコイル封入圧粉磁芯を作製可能となる。
空心コイル1A及び製造方法について説明する。この場
合、図2(A),(B)のように厚さ0.001〜0.0
10mmの熱融着層を絶縁被膜上に塗布した平角導線2A
(平角銅線)をエッジワイズ状に数ターン巻線するが、
この状態では平角導線の各層間に隙間が存在しているた
め、空心コイル1Aの軸方向に圧力を加えた状態で各層
の熱融着層同士を熱融着(250℃で10秒間)させ
て、図2(C)のように各層の平角導線間に隙間が残ら
ないようにする。なお、熱融着層の厚さを0.001〜
0.010mmの範囲とするのは、0.001mm未満では熱
融着層が薄過ぎて、熱融着不良が発生する可能性があ
り、また0.010mmを超えると必要以上に熱融着層が
厚くなり、コイルの薄型化の妨げになるからである。
て、重量比率で1〜8%の絶縁材をコーティングした強
磁性金属粒子からなる磁性粉末中に、熱融着処理したコ
イル1Aを配置してインサート成形することによりコイ
ル封入圧粉磁芯を作製する。
グ樹脂でコーティングされた強磁性金属粒子(Fe−N
i合金、Fe、Fe−Si合金)の平均粒子径φ(μ
m)と熱融着処理したコイル1Aの絶縁被膜平均厚さt
(μm)との関係を変化させたときのショート発生状況
は以下の表2の通りとなった。
着されている点を除けば、測定条件は表1と同じであ
る。
の関係が成立すれば、レアショート不具合発生は無いこ
とがわかり、さらに、それよりも悪い条件(粒子径が
大、絶縁被膜が薄い)でも不良が発生しない場合があ
り、コイル1Aのように各層の平角導線同士が隙間無く
熱融着された構造として、平角導線間に強磁性金属粒子
が入り込まないようにすることが、レアショート発生防
止に有効であることがわかる。
きたが、本発明はこれに限定されることなく請求項の記
載の範囲内において各種の変形、変更が可能なことは当
業者には自明であろう。
絶縁材をコーティングした強磁性金属粒子からなる磁性
粉末中に、コイルを埋め込んだコイル封入圧粉磁芯にお
いて、前記磁性粉末の平均粒子径とコイルに用いる導線
の絶縁被膜の平均厚さを適切に設定することで、ショー
ト発生を確実に防止できる。
て、熱融着層を塗布した平角導線を厚さ方向に積層して
エッジワイズ状に巻線し、かつ各層の平角導線同士を隙
間無く熱融着処理したものを用いることで、前記平角導
線間に強磁性金属粒子が入り込まないようにして、ショ
ート発生防止をいっそう確実にすることができる。
の形態であって、(A)はコイル上側の圧粉磁芯部を省
略した平面図、(B)は正断面図である。
を行うコイルの例を示す説明図である。
Claims (4)
- 【請求項1】 重量比率で1〜8%の絶縁材をコーティ
ングした強磁性金属粒子からなる磁性粉末中に、コイル
を埋め込んだコイル封入圧粉磁芯において、前記コイル
を構成する導線の絶縁被膜の平均厚さをt(μm)、及
び前記磁性粉末の平均粒子径をφ(μm)とするとき、 φ<t×3 を満足することを特徴とするコイル封入圧粉磁芯。 - 【請求項2】 前記コイルは熱融着層を塗布した平角導
線を厚さ方向に積層してエッジワイズ状に巻線したもの
であり、各層の平角導線同士が隙間無く熱融着されてい
る請求項1記載のコイル封入圧粉磁芯。 - 【請求項3】 厚さ0.001〜0.010mmの熱融着層
を絶縁被膜上に塗布した平角導線を厚さ方向に積層して
エッジワイズ状に巻線した空心コイルを、該空心コイル
の軸方向に圧力を加えた状態で熱融着させた後、重量比
率で1〜8%の絶縁材をコーティングした強磁性金属粒
子からなる磁性粉末中に、前記空心コイルをインサート
成形したことを特徴とするコイル封入圧粉磁芯の製造方
法。 - 【請求項4】 前記平角導線の絶縁被膜の平均厚さをt
(μm)、及び前記磁性粉末の平均粒子径をφ(μm)
とするとき、 φ<t×3 を満足する請求項3記載のコイル封入圧粉磁芯の製造方
法。
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- 2002-03-19 JP JP2002077115A patent/JP3960090B2/ja not_active Expired - Lifetime
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