JP3021208B2 - 巻線一体型磁気素子及びその製造方法 - Google Patents

巻線一体型磁気素子及びその製造方法

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JP3021208B2
JP3021208B2 JP4259449A JP25944992A JP3021208B2 JP 3021208 B2 JP3021208 B2 JP 3021208B2 JP 4259449 A JP4259449 A JP 4259449A JP 25944992 A JP25944992 A JP 25944992A JP 3021208 B2 JP3021208 B2 JP 3021208B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電源用トランス、イン
ダクタ等の用途に幅広く用いることのできる巻線一体型
磁気素子及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、各種のコイル、例えば、チョーク
コイル、ラインフィルタコイル、電源用トランス、リア
クトル等の磁気素子は、けい素鋼板、アモルファス合金
等を材料とする磁心に金属巻線を別途巻き付ける構造と
なっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うに磁心に金属巻線を別途巻き付ける構造であると、磁
心の製作工程とは別に巻線工程が必要になる。そして、
トロイダル形状のように閉磁路を有する場合やノーマル
モードチョークコイルのように径の大きな巻線を用いる
場合には、巻線工程を自動化することが困難であるた
め、その製作にかなりの時間と労力を必要とし、これが
コスト低減の妨げとなっていた。
【0004】また、回路基板上の他の電子部品の小型化
に伴いインダクタをはじめとする磁気素子の小型化も強
く要望されているが、このように磁心に金属巻線を別途
巻き付ける構造であると、磁心自体をある程度大きくす
る必要があるため、この要望に対処することは困難であ
った。
【0005】本発明は、前記従来技術の課題を解決する
ため、磁心と巻線が一体となった巻線一体型の磁気素子
を新たな方式で提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明に係る巻線一体型磁気素子の第1の構成は、
少なくとも鉄及びアルミニウムを主成分とする軟磁性合
金粒子に、膜厚が27nm以上58nm以下の酸化アル
ミニウム膜を主成分とする酸化膜が熱処理によって形成
された酸化軟磁性合金粒子と、金属巻線とを一体で埋め
込み成形し、高温高圧下で高密度成形することによって
作製された、巻線が磁性体中に埋め込まれた構造を有す
ることを特徴とする。
【0007】また、本発明に係る巻線一体型磁気素子の
第2の構成は、少なくとも鉄及びアルミニウムを主成分
とする軟磁性合金粒子を大気中で酸化させることによっ
て膜厚が27nm以上58nm以下の酸化アルミニウム
膜を主成分とする酸化膜が形成された酸化軟磁性合金粒
子と樹脂材料とに、金属巻線を一体で埋め込み成形し、
高温高圧下で高密度成形することによって作製された、
巻線が磁性体中に埋め込まれた構造を有することを特徴
とする。
【0008】また、本発明に係る巻線一体型磁気素子の
第3の構成は、少なくとも鉄及びアルミニウムを主成分
とする軟磁性合金粒子を大気中で酸化させることによっ
て膜厚が27nm以上58nm以下の酸化アルミニウム
膜を主成分とする酸化膜が形成された酸化軟磁性合金粒
子を、高温高圧下で高密度成形することによって得られ
る絶縁性高密度成形体の表層部の一部を溶融連結するこ
とによって作製された、巻線が高密度磁性体成形体に形
成された構造を有することを特徴とする。
【0009】また、本発明に係る巻線一体型磁気素子の
第1の製造方法は、少なくとも鉄及びアルミニウムを主
成分とする軟磁性合金粒子を600℃以上800℃以下
の大気中で熱処理することによって膜厚が27nm以上
58nm以下の酸化アルミニウム膜を主成分とする酸化
膜が形成された酸化軟磁性合金粒子と、金属巻線とを一
体で埋め込み成形し、高温高圧下で高密度成形すること
を特徴とする。
【0010】また、本発明に係る巻線一体型磁気素子の
第2の製造方法は、少なくとも鉄及びアルミニウムを主
成分とする軟磁性合金粒子を600℃以上800℃以下
の大気中で熱処理することによって膜厚が27nm以上
58nm以下の酸化アルミニウム膜を主成分とする酸化
膜が形成された酸化軟磁性合金粒子と樹脂材料とに、金
属巻線を一体で埋め込み成形し、高温高圧下で高密度成
形することを特徴とする。また、前記本発明の巻線一体
型磁気素子の第1又は第2の製造方法においては、金属
巻線を、予め巻線内領域の磁性体が閉磁路を有すること
ができる形状に加工するのが好ましい。
【0011】また、本発明に係る巻線一体型磁気素子の
第3の製造方法は、高導電率の金属容器内に、絶縁性を
有する物質で表面が被覆された鉄を主成分とする軟磁性
合金粒子を封入した後、高温高圧下のガス中で高密度成
形を行い、前記金属容器の表面上で金属巻線を形成する
部分に保護膜を形成し、しかる後に、エッチングによっ
て保護膜に覆われていない金属部分を取り除くことによ
り、金属巻線を形成することを特徴とする。
【0012】また、前記本発明の巻線一体型磁気素子の
第3の製造方法においては、金属容器の表面上で金属巻
線を形成する境界線部分に磁心材料領域に到達する溝を
形成した後、巻線領域の上表面及び溝側面に保護膜を形
成し、しかる後に、エッチングによって保護膜に覆われ
ていない金属部分を取り除くことにより、巻線部分の断
面がエッチングによって浸食されることから防ぐように
するのが好ましい。
【0013】
【作用】前記本発明の第1の構成によれば、磁心と巻線
とを一体構造にすることができるので、巻線工程を省略
して製作コストの低減を図ることができると共に、磁気
素子の小型化を図ることができる。また、熱処理による
酸化によってアルミニウムを含む酸化膜が保護膜として
軟磁性合金粒子の表面に形成されるため、膜厚100n
m以下の薄く、緻密な絶縁皮膜を形成することができ
る。このため、酸化膜に覆われた軟磁性合金粒子を高密
度成形しても、実効比透磁率を100以上にすることが
可能であるので、十分なL値を有する磁気素子を実現す
ることができる。また、前記本発明の第2の構成によれ
ば、前記本発明の第1の構成に樹脂材料が付加されてい
ることにより、幅広い高密度成形条件を適用することが
可能となる。例えば、樹脂材料が無い場合、成形条件
は、700℃以上、500kg/cm2 以上といった高
温高圧に限定されるが、樹脂材料を付加することによ
り、300℃での射出成形といった低温での成形が可能
となる。
【0014】また、前記本発明の第3の構成によれば、
前記本発明の第1及び第2の構成と異なり、巻線を一体
で埋め込み成形する必要がない。
【0015】また、前記本発明の第1の製造方法によれ
ば、前記本発明の第1の構成に係る磁気素子を効率良く
合理的に製造することができる。また、前記本発明の第
2の製造方法によれば、前記本発明の第2の構成に係る
磁気素子を効率良く合理的に製造することができる。
【0016】また、前記本発明の第3の製造方法によれ
ば、金属容器の形状を変えることにより、トロイダルを
はじめとする複雑な形状の巻線一体型磁気素子を簡単に
製造することができる。
【0017】
【実施例】以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的
に説明する。本発明者等は、磁心に必要な特性、すなわ
ち高飽和磁束密度でほぼ絶縁性という特性を有する材料
が次のような方法によって得られることを見い出した。
例えば、軟磁性合金粒子としてFeーSiーAl合金粉
末を用い、それを大気中で酸化させることにより、表面
にアルミ及び鉄の酸化物を形成し、それらの粒子を高温
高圧下において高密度で充填させる方法である。このよ
うな方法を採用すれば、軟磁性合金粒子は、高密度成形
過程においても絶縁性を有する物質によって完全に被覆
され、互いの粒子は完全に隔離された状態となるので、
表面層も絶縁性を有することになる。従って、このよう
な方法によって得られる材料を用いれば、本発明に係る
巻線一体型の磁気素子を容易に作製することができる。
また、上記材料を射出成形によって作製する場合には、
エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、水ガラス等の絶縁性材
料を1〜4wt%程度混入すればよい。
【0018】以下、代表的に、軟磁性合金粒子としてF
eーSiーAl合金粉末を用いた場合について、また、
巻線導体として磁心材料自身であるFeーSiーAl合
金、あるいは銅線、銀線を用いた場合についてそれぞれ
説明する。
【0019】実施例1 まず、平均粒子径が20μmのFeー9.6 wt%Siー5.
4 wt%Al合金粉末を、大気中において800 ℃で1時
間酸化処理し、粉体の表面に厚さ57nmの酸化膜を形成
する。次いで、この粉体10gを円筒状に成形した後、90
0 ℃、1000[kg/cm2 ]の高温高圧下で1時間ホットプ
レス焼結を行う。すると、クローズドポアの円筒状高密
度焼結体(相対密度99%)が得られる。この焼結体の電
気抵抗はほぼ一定しており、6.5 ×1010[Ω・cm]で
あった。次に、焼結体の表層部の酸化膜を塩酸中で酸研
磨し、その後、この焼結体を回転させながら放電加工を
行う。これにより、焼結体の合金粒子領域同士が溶融連
結され、巻数10回分に対応する導体領域が形成される。
図1に本実施例1の方法によって得られたコイルを示
す。図中、1は電気絶縁層で被覆された金属粉末の高密
度焼結体からなる磁心であり、2は該磁心1の周囲に一
体化された金属巻線(FeーSiーAl合金線)であ
る。ここで、導体線の幅は約0.4 mm、巻線間の電気抵
抗は7×1010[Ω・cm]であり、巻線間の絶縁性が十
分に確保されていることが分かる。
【0020】このコイルのインダクタンスL及びインピ
ーダンスESRの周波数特性を表1に示す。L値は幅広
い周波数領域でほぼ一定であり、ESR値は100 [kH
z]領域から上昇し始めた。これにより、本実施例1の
方法で作製したコイルは、ノイズフィルタ等として使用
できることが確認できた。
【0021】比較例1 本比較例では、巻線を、従来の如く別途巻き付けた場合
を示す。まず、実施例1と同様にして、クローズドポア
の円筒状高密度焼結体(相対密度99%)を得る。次い
で、この焼結体からなる磁心の周りに、0.5 mmφの銅
線を10回巻き付け、ソレノイドコイルを構成する。
【0022】このコイルのインダクタンスL及びインピ
ーダンスESRの周波数特性を表1に示す。L値は幅広
い周波数領域でほぼ一定であり、ESR値は100 [kH
z]領域から上昇し始めた。
【0023】以上の対比から明らかなように、実施例1
に記載した方法を採用すれば、金属巻線を別途巻き付け
た従来型のコイルとほぼ同じ周波数特性を示す巻線一体
型のコイルを提供することができ、しかも、従来の巻線
工程に対応する巻線の加工を容易に自動化することがで
きる。
【0024】実施例2 実施例1と同様に、まず、平均粒子径が20μmのFeー
9.6 wt%Siー5.4wt%Al合金粉末を、大気中に
おいて800 ℃で1時間酸化処理し、粉体の表面に厚さ57
nmの酸化膜を形成する。一方、金属巻線として、0.5
mmφの銀線を、巻数が10回で、直径5mmφの断面を
有するバネ状に予め加工しておく。次いで、この金属巻
線を、酸化処理を施した前記粉体に一体で埋め込み成形
し、その後、巻線の外側領域部分の粉体を取り除くこと
により、円筒状の成形体を得る。そして、この成形体
を、実施例1と同一の条件(900 ℃、1000[kg/cm2 ]
の高温高圧下)で1時間ホットプレス焼結を行い、金属
巻線一体型のコイルを作製する。図1に本実施例2の方
法によって得られるコイルを示す。図中、1は電気絶縁
層で被覆された金属粉末の高密度焼結体からなる磁心1
であり、2は該磁心1の周囲に一体化された金属巻線
(銀線)である。
【0025】この方法によって得られたコイルにおいて
も、巻線が断線することはなく、また、線間の絶縁性も
十分に確保されている。このコイルの磁気特性を表1に
示す。周波数特性は良好であり、本実施例2に記載した
方法もチョークコイル等のインダクタを作製する上で有
効であることが分かる。
【0026】実施例3 実施例1と同様に、まず、平均粒子径が20μmのFeー
9.6 wt%Siー5.4wt%Al合金粉末を、大気中に
おいて800 ℃で1時間酸化処理し、粉体の表面に厚さ57
nmの酸化膜を形成する。一方、金属巻線として、0.7
mmφの銅線を、巻数が10回で、直径5mmφの断面を
有するトロイダル形状に予め加工しておく。次いで、実
施例2と同様に、この金属巻線を、酸化処理を施した前
記粉体に一体で埋め込み成形し、その後、巻線の外側領
域部分の粉体を取り除くことにより、トロイダル形状の
成形体を得る。そして、この成形体を、750 ℃、2000
[kg/cm2 ] の高温高圧下で1.5 時間ホットプレス
焼結を行い、閉磁路を有するインダクタを作製する。図
2に本実施例3の方法によって得られた磁気素子を示
す。図中、1は電気絶縁層で被覆された金属粉末の高密
度焼結体からなる磁心1であり、2は該磁心1の周囲に
一体化された金属巻線(銅線)である。
【0027】このようにして得られたコイルの周波数特
性を表1に、L値の直流重畳特性を表2に示す。L値
は、巻数の増加、及び閉磁路による磁束の漏れの減少に
よって約15[μH]となり、この値は、幅広い周波数領
域及び直流重畳電流においてもほぼ一定であった。一
方、ESR値は、200 [kHz]まで0.07[Ω・cm]
であり、本実施例3に記載した方法で作製したコイル
は、ノーマルモードコイル等のノイズフィルタとして使
用できることが確認できた。
【0028】ところで、従来においては、トロイダルコ
アを形成した後、0.7 mmφの太い銅線を手作業によっ
て巻回していたため、巻線作業にかなりの時間と労力を
要していたが、本実施例3に記載した方法を採用すれ
ば、トロイダル形状の金属巻線を予め加工しておくこと
ができるので、従来の巻線工程に対応する巻線の加工を
容易に自動化することができ、その結果、コストの低減
を図ることができる。
【0029】また、0.1 mmφの細い銅線を用いること
により、外径4mmφ、内径2mmφ、厚さ1mmの小
さいサイズであって、周波数特性の安定したトロイダル
コアも作製されており、磁気素子の小型化を図れること
も確認されている。
【0030】尚、上記実施例1ないし実施例3で述べた
磁心については、絶縁体の膜厚を変化させることによっ
て実効透磁率を制御できることが確認されており、ま
た、巻線の巻数を変化させることによって任意のL値を
有するコイルを設計できることも確認されている。
【0031】比較例2 実施例3で用いた銅線を同様にしてトロイダル形状に加
工し、この巻線を、平均粒子径が20μmのFeー9.6 w
t%Siー5.4 wt%Al合金粉末に一体で埋め込み成
形し、巻線の外側領域部分を取り除くことにより、トロ
イダル形状の成形体を得る。その後、4wt%のユポキ
シ樹脂を添加して300 ℃で射出成形を行い、巻線一体型
の圧粉磁心を作製する。
【0032】このコイルの周波数特性を表1に示す。L
値は周波数の増加に伴い1[kHz]あたりから減少
し、局部的に絶縁が得られていない箇所における渦電流
損失等の影響が見られた。
【0033】この結果、従来の樹脂を用いた射出成形で
は、磁気素子に必要な絶縁性が不十分であることが分か
る。尚、NiーZnフェライトを用いて銅や銀の金属巻
線と一体構造の磁気素子を作製しようと試みたが、巻線
の融点との関係から焼結温度を十分に高くすることがで
きず、また、巻線とNiやZnとの間に反応が生じてし
まうため、磁心の透磁率が低くて損失が大きくなり、磁
気素子としては不適当であることが確認された。
【0034】実施例4 平均粒子径が20μmのFeー9.6 wt%Siー5.4 wt
%Al合金粉末を、大気中において800 ℃で1時間酸化
処理し、粉体の表面に厚さ58nmの絶縁膜を形成する。
一方、実施例3及び比較例2と同様に、金属巻線とし
て、0.7 mmφの銅線を、10巻分、直径5mmφの断面
を有するトロイダル形状に加工しておく。次いで、この
金属巻線を、酸化処理を施した前記粉体に一体で埋め込
み成形し、その後、巻線の外側領域部分を取り除くこと
により、トロイダル形状の成形体を得る。そして、この
成形体に、絶縁性材料として1wt%あるいは4wt%
のエポキシ樹脂を添加し、300 ℃で射出成形を行うこと
により、巻線一体型の圧粉磁心を作製した。
【0035】この場合、いずれの添加量における磁心
も、電気抵抗値は107 [Ω・cm]オーダーを示し、十
分な高電気抵抗を有していたので、1wt%のエポキシ
樹脂を添加した場合の磁気特性を表1に示す。
【0036】L値は安定した周波数特性を示し、比較例
2の磁気素子で見られたような導通領域は存在しないと
考えられる。以上の対比から、巻線一体型の磁気素子を
作製する際に、樹脂を用いた射出成形を行う場合におい
ては、合金粉末に適当な絶縁処理を施す必要があること
が分かる。
【0037】また、本実施例4のように、軟磁性合金粒
子に絶縁性材料としてエポキシ樹脂を添加すれば、電気
絶縁体でかつ高密度成形の複合磁性材料を幅広いホット
プレス条件(より低圧、高温等)で作製することも可能
となる。
【0038】尚、本実施例4においては、絶縁性材料と
してエポキシ樹脂を用いているが、必ずしもこの材料に
限定されるものではなく、例えばポリアミド樹脂、水ガ
ラス等であってもよい。
【0039】また、本実施例4においては、金属巻線を
Feー9.6 wt%Siー5.4 wt%Al合金粉末に埋め
込み成形することにより巻線一体型の圧粉磁心を作製し
ているが、前記実施例1と同様に、合金粒子領域同士を
溶融連結して巻線部分を形成することもできる。
【0040】実施例5 本実施例では、電源用トランスを巻線一体型で作製する
場合について述べる。平均粒子径が10μmのFeー9.6
wt%Siー5.4 wt%Al合金粉末を、大気中におい
て600 ℃で1時間酸化処理し、粉体の表面に厚さ27nm
の酸化膜を形成する。一方、1次側、2次側の金属巻線
として、0.5 mmφの銅線2本を、予め7巻分ずつ、直
径6mmφの断面を有するトロイダル形状に加工してお
く。次いで、この金属巻線を、酸化処理を施した前記粉
体に一体で埋め込み成形し、その後、巻線の外側領域の
粉体を取り除くことにより、トロイダル形状の巻線一体
型成形体を得る。そして、この成形体を、750 ℃、2000
[kg/cm2 ] の高温高圧下で1.5 時間ホットプレス
焼結を行うことにより、トランスを作製する。
【0041】このトランスの磁気特性は、1[MHz]
において実効透磁率が153 、鉄損が1029[kW/m3
であり、粉体単独でホットプレス焼結した磁心に巻線を
別途巻き付けたトランスと同様の磁気特性を再現するこ
とができた。
【0042】実施例6 絶縁体の皮膜で表面が被覆された軟磁性合金粒子を高密
度に成形する方法としては、任意の形状を有する高導電
率の金属容器に粉体を封入し、その後、高温高圧下のガ
ス中で高密度成形する方法もある。この方法によれば、
磁心の形状は金属容器の形状によって定まる。
【0043】本実施例6では、高導電率の金属容器とし
て、内径12mmφ、肉圧0.6 mmの銅製パイプを使用す
る。まず、平均粒子径が20μmのFeー9.6 wt%Si
ー5.4 wt%Al合金粉末15gを、大気中において800
℃で1時間酸化処理し、粉体の表面に厚さ57nmの酸化
膜を形成する。次いで、この粉体を前記パイプ内に充填
し、溶接封入を行う。しかる後、750 ℃、2000[kg/
cm2 ]の高温高圧下のガス中で1.5 時間ホットプレス
焼結を行えば、円筒状の銅製パイプと一体になった高密
度焼結体が得られる。次いで、パイプの表面上におい
て、金属巻線10巻分を形成する部分に保護膜を形成し、
その後、塩酸溶液中にて酸研磨を行うことにより、保護
膜に覆われていない部分を取り除く。
【0044】以上のようにして得られた巻線一体型のコ
イルにおいても、導体は断線せず、巻線間同士の絶縁も
確保されることが確認できた。このコイルの周波数特性
を表1に、L値の直流重畳特性を表2に示す。L値、E
SR値の周波数特性は共に良好であり、また、直流重畳
特性においてもL値はほぼ一定である。
【0045】実施例7 実施例6のエッチング工程においては、侵食によって巻
線の断面積がばらついてしまう傾向があるため、このコ
イルのESR値の絶対値はやや大きめの値となっていた
(表1参照)。そこで、巻線を形成する境界線部分に磁
心部分に到達する溝を形成し、巻線領域の上表面及び溝
側面に保護膜を形成し、しかる後にエッチングを行うよ
うにした。このような方法を採用すれば、巻線領域がエ
ッチングによって浸食されることはないので、巻線の断
面積は設計通りほぼ一定の値となり、表1に示すように
ESR値を低減させることができた。
【0046】また、金属容器としてトロイダル形状のも
のを用いれば、閉磁路を有するコイルも容易に作製する
ことができる。尚、実施例6、7においては、金属容器
として銅製のものを使用しているが、必ずしもこの材質
に限定されるものではなく、例えば、ステンレス鋼を用
いても上記構成と同様の巻線一体型コイルを作製するこ
とができる。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、巻線と磁心とが一体になった磁気素子を作製
することができるので、従来の巻線工程に対応する巻線
の加工を自動化して電源用トランス、インダクタをはじ
めとする種々の磁気素子の製作コストを大幅に低減する
ことができると共に、それらの小型化をも図ることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る巻線一体型磁気素子の実施例1及
び実施例2の概略的構成図である。
【図2】本発明に係る巻線一体型磁気素子の実施例3の
概略的構成図である。
【符合の説明】
1 磁心 2 金属巻線
フロントページの続き (72)発明者 釘宮 公一 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭54−163354(JP,A) 特開 昭56−129304(JP,A) 特開 昭63−244706(JP,A) 特開 平1−247503(JP,A) 特開 昭53−91397(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01F 3/08 H01F 41/00,41/02 H01F 41/04,41/06

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも鉄及びアルミニウムを主成分
    とする軟磁性合金粒子に、膜厚が27nm以上58nm
    以下の酸化アルミニウム膜を主成分とする酸化膜が熱処
    理によって形成された酸化軟磁性合金粒子と、金属巻線
    を一体で埋め込み成形し、高温高圧下で高密度成形す
    ることによって作製された、巻線が磁性体中に埋め込ま
    れた構造を有する巻線一体型磁気素子。
  2. 【請求項2】 少なくとも鉄及びアルミニウムを主成分
    とする軟磁性合金粒子を大気中で酸化させることによっ
    て膜厚が27nm以上58nm以下の酸化アルミニウム
    膜を主成分とする酸化膜が形成された酸化軟磁性合金粒
    子と樹脂材料とに、金属巻線を一体で埋め込み成形し、
    高温高圧下で高密度成形することによって作製された、
    巻線が磁性体中に埋め込まれた構造を有する巻線一体型
    磁気素子。
  3. 【請求項3】 少なくとも鉄及びアルミニウムを主成分
    とする軟磁性合金粒子を大気中で酸化させることによっ
    て膜厚が27nm以上58nm以下の酸化アルミニウム
    膜を主成分とする酸化膜が形成された酸化軟磁性合金粒
    子を、高温高圧下で高密度成形することによって得られ
    る絶縁性高密度成形体の表層部の一部を溶融連結するこ
    とによって作製された、巻線が高密度磁性体成形体に形
    成された構造を有する巻線一体型磁気素子。
  4. 【請求項4】 少なくとも鉄及びアルミニウムを主成分
    とする軟磁性合金粒子を600℃以上800℃以下の大
    気中で熱処理することによって膜厚が27nm以上58
    nm以下の酸化アルミニウム膜を主成分とする酸化膜が
    形成された酸化軟磁性合金粒子と、金属巻線とを一体で
    埋め込み成形し、高温高圧下で高密度成形する、巻線が
    磁性体中に埋め込まれた構造を有する巻線一体型磁気素
    の製造方法
  5. 【請求項5】 少なくとも鉄及びアルミニウムを主成分
    とする軟磁性合金粒子を600℃以上800℃以下の大
    気中で熱処理することによって膜厚が27nm以上58
    nm以下の酸化アルミニウム膜を主成分とする酸化膜が
    形成された酸化軟磁性合金粒子と樹脂材料とに、金属巻
    線を一体で埋め込み成形し、高温高圧下で高密度成形す
    る、巻線が磁性体中に埋め込まれた構造を有する巻線一
    体型磁気素子の製造方法
  6. 【請求項6】 金属巻線を、予め巻線内領域の磁性体が
    閉磁路を有することができる形状に加工する請求項4又
    は5に記載の巻線一体型磁気素子の製造方法
  7. 【請求項7】 高導電率の金属容器内に、絶縁性を有す
    る物質で表面が被覆された鉄を主成分とする軟磁性合金
    粒子を封入した後、高温高圧下のガス中で高密度成形を
    行い、前記金属容器の表面上で金属巻線を形成する部分
    に保護膜を形成し、しかる後に、エッチングによって保
    護膜に覆われていない金属部分を取り除くことにより、
    金属巻線を形成する巻線一体型磁気素子の製造方法。
  8. 【請求項8】 金属容器の表面上で金属巻線を形成する
    境界線部分に磁心材料領域に到達する溝を形成した後、
    巻線領域の上表面及び溝側面に保護膜を形成し、しかる
    後に、エッチングによって保護膜に覆われていない金属
    部分を取り除くことにより、巻線部分の断面がエッチン
    グによって浸食されることから防ぐようにした請求項7
    に記載の巻線一体型磁気素子の製造方法。
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