JP2003272520A - 電極の製造方法、電極、および放電管 - Google Patents

電極の製造方法、電極、および放電管

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ホロー金属体の内面の酸化を確実に防止し、
十分な放電面積を有するホロー金属体内面から適切に放
電させ、ホロー金属体の外表面からの放電を確実に防止
することが可能な電極の製造方法を提供する。 【解決手段】 本発明は、ガラスバルブの両端部に封入
された導入金属体2の先端に取り付けられた電極1の製
造方法であって、前記電極1が前記導入金属体2を嵌入
可能な穴部5を有するホロー金属体1を用いて構成され
ており、前記穴部5に前記導入金属体2を嵌入した状態
で、前記ホロー金属体1の側方部からレーザ光4の照射
を行うことによって、前記穴部5内に前記ホロー金属体
1と前記導入金属体2との接合部3を形成することを特
徴としている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、パーソナ
ルコンピュータ、ワードプロセッサ、および液晶テレビ
などに用いられる液晶表示装置のバックライト光源とし
て使用される放電管、特にその放電管を成す電極に関
し、詳しくは、電極の製造方法、かかる方法によって製
造された電極、およびこの電極を用いて構成された放電
管に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、周知のようにパーソナルコンピュ
ータやワードプロセッサなどに液晶表示装置が用いられ
ており、このような液晶表示装置のバックライト光源と
して、放電管が多用されていることは公知である。
【0003】このような放電管の両端には電極が設けら
れており、かかる電極は、放電管の両端に封入された導
入金属体の先端に取り付けられた状態で、ガラスバルブ
内に位置すべく設けられている。
【0004】ここで、図3は、従来技術にかかる電極の
製造方法を示したものである。最近の電極11として
は、図3に示すように、放電面積を大きくするためにホ
ロー形状に形成された金属体が使用されており、かかる
電極11の形成材料としては、例えば、ニッケル、ニオ
ブ等の金属材料が用いられている。
【0005】そして、従来技術においては、このホロー
形状の金属体11と、例えばタングステン金属体にて形
成された導入金属体の一部を成す第1金属体2との接合
が、図3に示すように、レーザ光4をこれらの接合部分
にスポット照射して溶接することによって行われてい
る。すなわち、レーザ光4によるスポット溶接によって
金属体11と第1金属体2との接合部12が形成されて
いる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来技術においては、次のような問題があった。
【0007】図3に示したように、レーザ光4を用いた
溶接を行うと、この溶接の熱によって、金属体11の内
面が酸化されて酸化膜が形成されることがある。そし
て、このように内面に酸化膜が形成された状態の金属体
を電極11として使用した場合には、ホロー金属体(電
極11)の内面ではなく、十分な放電面積を有しない電
極11の外表面で放電が起こることとなって、暗黒始動
特性が悪化する。
【0008】また、電極11の外表面での放電が起こる
と、金属飛散によるスパッタが発生し、この状態で放電
を継続すると、ホロー金属体(電極11)に穴が開いた
り、電極11と第1金属体2との溶接部分が脆くなって
ホロー金属体が脱落する等の問題が生ずる。
【0009】そこで、本発明は、上記従来技術の問題を
解決するためになされたものであって、ホロー金属体
(電極)の内面の酸化を確実に防止し、十分な放電面積
を有するホロー金属体内面から適切に放電させ、ホロー
金属体の外表面からの放電を確実に防止することが可能
な電極の製造方法、かかる製造方法によって得られる電
極、および放電管を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記従来技術
の課題を解決するためになされたもので、ガラスバルブ
の両端部に封入された導入金属体の先端に取り付けられ
た電極の製造方法であって、前記電極が、前記導入金属
体を嵌入可能な穴部を有するホロー金属体を用いて構成
されており、前記穴部に前記導入金属体を嵌入した状態
で、前記ホロー金属体の側方部からレーザ光の照射を行
うことによって、前記穴部内に前記ホロー金属体と前記
導入金属体との接合部を形成することを特徴としてい
る。
【0011】このような電極の製造方法によれば、前記
レーザ光が前記ホロー金属体の側方部から照射され、前
記穴部内に形成される前記接合部を用いて前記ホロー金
属体と前記導入金属体とが接合されるため、前記ホロー
金属体内表面における酸化膜の形成を抑制することがで
きる。つまり、本発明によれば、従来技術と異なり、前
記ホロー金属体の内表面に対して直接的にレーザ光が照
射されるわけではないため、前記ホロー金属体の内表面
の温度上昇を適切に抑えることにより、前記内表面の酸
化を抑制できる。
【0012】また、本発明にかかる電極の製造方法にお
いては、前記穴部内に前記接合部を複数形成する構成が
好ましい。
【0013】この好ましい構成によれば、前記ホロー金
属体の側方部から前記レーザ光の照射を行って前記接合
部を形成するため、そのレーザ光の照射を複数箇所に行
うことが可能となる。つまり、前記穴部内において、前
記ホロー金属体と前記導入金属体との接合部を複数設け
ることができる。したがって、この好ましい構成によれ
ば、複数の接合部を形成することによって、前記ホロー
金属体(電極)と前記導入金属体とをより強固に接合す
ることができる。
【0014】また、本発明にかかる電極の製造方法にお
いては、前記レーザ光の照射時に、前記ホロー金属体の
内表面に不活性ガスを噴出させる構成が好ましい。
【0015】この好ましい構成によれば、前記レーザ光
の照射時に前記ホロー金属体内表面に不活性ガスを噴出
させるため、前記ホロー金属体の側方部からのレーザ光
の照射によって、前記ホロー金属体の内表面が間接的に
温度上昇する場合であっても、前記不活性ガスによって
前記内表面の酸化を適切に防止することができる。
【0016】さらに、本発明にかかる電極は、上述した
いずれかの方法で製造されたことを特徴とする。
【0017】また、本発明にかかる放電管は、内部に所
定圧の希ガスが封入されたガラスバルブの両端部に電極
が封止された放電管であって、前記電極として、上述し
たいずれかの方法で製造された電極が用いられることを
特徴としている。
【0018】このように構成された放電管によれば、電
極(ホロー電極体)内表面の酸化を適切に防止すること
が可能となるため、電極外表面からの放電が確実に防止
され、十分な放電面積を有する電極内面(ホロー電極体
の内表面)から適切に放電がなされることとなる。した
がって、本発明にかかる放電管によれば、暗黒始動特性
が良好な放電管を得ることができる。また、電極外表面
からの放電が防止されることによって、金属飛散による
スパッタの発生をなくすることができるため、放電を継
続して行っても、電極に穴が開いたり、電極と導入金属
体との溶接部分が脆くならず、電極の脱落等を防ぐこと
ができる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、図面を参照しながら説明する。
【0020】図1は本発明の一実施形態に係る放電管の
断面図を示したものである。本実施形態に係る放電管
は、ガラスバルブ6の両端に電極1が取り付けられた導
入金属体7が、ガラスビード13を介して封止されてい
る。ここで、導入金属体7は、例えば、高融点金属であ
る第1金属体2(例えばタングステン金属体)と低融点
金属である第2金属体8(例えばニッケル金属体)とを
溶接して構成されている。すなわち、導入金属体7とし
ては、接合金属体が用いられている。このように高融点
金属である(すなわち、膨張係数が小さい)第1金属体
2を用いるのは、ガラスビード13等との一体化を図る
ためである。
【0021】また、ガラスバルブ6内面には蛍光被膜9
が形成されており、ガラスバルブ6の内部10には、例
えば所定量のネオンとアルゴンの混合希ガス、および水
銀が拡散封入されている。
【0022】電極1は、その上部は筒状に形成され、下
部は第1金属体2が嵌入可能なように穴部5が形成され
ている。すなわち、本実施形態にかかる電極1は、断面
H型のホロー金属体1を用いて構成されている(図2参
照)。かかるホロー金属体(電極1)は、図1に示すよ
うに、ガラスバルブ6の内部に位置した導入金属体7の
先端部に取り付けられている。より具体的には、導入金
属体7を構成する第1金属体2に対して、ホロー金属体
1が取り付けられている。
【0023】図2は、本実施形態にかかるホロー金属体
と導入金属体との接合方法(電極の製造方法)の概略図
を示したものである。
【0024】図2に示すように、本実施形態において
は、まずはじめに、ホロー金属体1の穴部5に導入金属
体7を成す第1金属体2を嵌入させる。
【0025】次いで、このように第1金属体2を嵌入さ
せた状態において、第1金属体2と穴部5との接触部分
に対して、ホロー金属体1の外面側方部(本発明の「側
方部」に相当)よりレーザ光4が照射させる。このよう
なレーザ光4の照射を行うことにより、ホロー金属体1
と第1金属体2との間には、両金属体1,2を接合させ
るための溶接接合部3(本発明の「接合部」に相当)が
穴部5内に形成されることとなる。
【0026】なお、本実施形態においては、図2に示す
ように、ホロー金属体1の外面側方部からレーザ光4の
照射が行われるため、レーザ光4を複数箇所に照射する
ことにより、穴部5内において、第1金属体2の外周部
とホロー金属体1との間に溶接接合部3を複数設けるこ
とが可能となる。すなわち、このレーザ光4の照射を行
うことによって形成される溶接箇所(溶接接合部3)の
数は、一箇所でもよいが、必要に応じて二箇所および三
箇所以上であってもよい。
【0027】以上のように、本実施形態によれば、レー
ザ光4がホロー金属体1の外面側方部から照射され、穴
部5内に形成される溶接接合部3を用いてホロー金属体
1と導入金属体7(の第1金属体2)とが接合されてい
るため、ホロー金属体1の内表面における酸化膜の形成
を抑制することができる。つまり、本実施形態によれ
ば、従来技術と異なり、ホロー金属体1の内表面に対し
て直接的にレーザ光4が照射されるわけではないため、
ホロー金属体1の内表面の温度上昇を適切に防止し、ホ
ロー金属体1内表面の酸化を抑制できる。
【0028】また、本実施形態によれば、溶接接合部3
を複数設けることが可能となるため、穴部5内におい
て、ホロー金属体1と導入金属体7(の第1金属体2)
との接合部を複数設けることができる。よって、本実施
形態によれば、複数の溶接接合部3により、ホロー金属
体1と導入金属体7とをより強固に接合することができ
る。
【0029】さらに、このようにして形成された電極1
を用いて、図1に示したような放電管を構成すれば、安
定した性能を有する放電管を得ることができる。具体的
には、かかる電極1(ホロー電極)内面の酸化および電
極1外表面からの放電が確実に防止され、十分な放電面
積を有する電極1内面から適切に放電がなされるため、
暗黒始動特性が良好な放電管を得ることができる。ま
た、電極1外表面からの放電が防止されることによっ
て、金属飛散によるスパッタの発生をなくすることがで
きるため、放電を継続して行っても、電極1(ホロー金
属体)に穴が開いたり、電極1と第1金属体2との溶接
部分が脆くならず、電極1の脱落等を防ぐことができ
る。
【0030】なお、本発明は上記実施形態に限定される
ものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、上
述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。
【0031】例えば、上記実施形態においては、電極1
の形状と、その形状に即した適切な溶接箇所の選択等と
に基づいて、上述した種々の効果を奏する場合について
説明したが、本発明はこの構成に限定されず、上述した
実施形態に加えて、不活性ガスの噴出等を行ってもよ
い。具体的には、ホロー金属体1の外面側方部からのレ
ーザ光4の照射時において、このレーザ光4の照射と共
に、ホロー金属体1の内面に対して不活性ガスを噴出し
てもよい。この不活性ガスとしては、例えば窒素ガス等
があげられ、かかる不活性ガスは、ノズル(図示省略)
を介してホロー金属体1の内面に噴出される。
【0032】このようにして、ホロー金属体1の内表面
に対して不活性ガスの噴出を行えば、ホロー金属体1の
内部を不活性雰囲気(窒素雰囲気)とすることが可能と
なるため、レーザ光4の照射時に、間接的にホロー金属
体1内面が温度上昇しても、かかる温度上昇(熱)によ
るホロー金属体1内面の酸化を確実に防止することがで
きる。つまり、より効果的に、ホロー金属体1内面の酸
化を防止することが可能となる。
【0033】したがって、このようにして形成された電
極1を用いて図1に示したような放電管を構成すれば、
暗黒始動特性がより良好であって、電極1の脱落等をよ
り確実に防止可能な、安定した性能を有する放電管を得
ることができる。
【0034】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、電極とし
て、導入金属体を嵌入可能な穴部を有するホロー金属体
を用い、穴部に導入金属体を嵌入した状態で、ホロー金
属体の側方部からレーザ光の照射を行うことによって、
穴部内にホロー金属体と導入金属体との接合部を形成
し、ホロー金属体内部の直接的な温度上昇を抑制するこ
とが可能となるため、ホロー金属体(電極)の内面の酸
化を防止し、十分な放電面積を有するホロー金属体内面
から適切に放電させ、ホロー金属体の外表面からの放電
を確実に防止することが可能な電極の製造方法、かかる
製造方法によって得られる電極、および放電管を得るこ
とができる。
【0035】また、本発明によれば、ホロー金属体内表
面に不活性ガスの噴出を行うことによって、ホロー金属
体(電極)の内面の酸化をより効果的に防止することが
可能となるため、上記効果をより確実に得ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る放電管の断面図
【図2】図1に示された放電管を構成する電極の製造方
法を示す断面図
【図3】従来技術にかかる電極の製造方法を示す断面図
【符号の説明】
1 電極(ホロー金属体) 2 第1の金属体 3 接合部 4 レーザ光 5 穴部 6 ガラスバルブ 7 導入金属体 8 第2の金属体 9 蛍光被膜 10 ガラスバルブ内部 13 ビードガラス

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガラスバルブの両端部に封入された導入
    金属体の先端に取り付けられた電極の製造方法であっ
    て、前記電極が、前記導入金属体を嵌入可能な穴部を有
    するホロー金属体を用いて構成されており、前記穴部に
    前記導入金属体を嵌入した状態で、前記ホロー金属体の
    側方部からレーザ光の照射を行うことによって、前記穴
    部内に前記ホロー金属体と前記導入金属体との接合部を
    形成することを特徴とする電極の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記穴部内に前記接合部を複数形成する
    請求項1に記載の電極の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記レーザ光の照射時に、前記ホロー金
    属体の内表面に不活性ガスを噴出させる請求項1または
    2に記載の電極の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1から3のいずれか1項に記載の
    電極の製造方法にて製造されたことを特徴とする電極。
  5. 【請求項5】 内部に所定圧の希ガスが封入され内面に
    蛍光被膜を形成してなるガラスバルブの両端部に電極が
    封止された放電管であって、前記電極として、請求項4
    に記載された電極が用いられることを特徴とする放電
    管。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2006098234A1 (ja) * 2005-03-15 2006-09-21 Neomax Materials Co., Ltd. 放電電極の溶接方法、その方法によって溶接された放電電極及びその放電電極を備えた蛍光放電管
JP5019390B2 (ja) * 2005-03-15 2012-09-05 株式会社Neomaxマテリアル 放電電極の溶接方法、その方法によって溶接された放電電極及びその放電電極を備えた蛍光放電管

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