JP2003272124A - 磁気記録再生システムおよびそれに用いる磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録再生システムおよびそれに用いる磁気記録媒体

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JP2003272124A
JP2003272124A JP2002070279A JP2002070279A JP2003272124A JP 2003272124 A JP2003272124 A JP 2003272124A JP 2002070279 A JP2002070279 A JP 2002070279A JP 2002070279 A JP2002070279 A JP 2002070279A JP 2003272124 A JP2003272124 A JP 2003272124A
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JP2002070279A
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Ken Harasawa
建 原澤
Kiyomi Ejiri
清美 江尻
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Fujifilm Holdings Corp
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】電磁変換特性が良好で特に高密度記録領域での
S/N比が格段に改良され、かつ耐久性に優れた、イン
ダクティブヘッドとMRヘッドを組み合わせた記録再生
システムを提供すると共に、生産性に優れた磁気記録媒
体であって、かつMRヘッドを組み合わせた記録再生シ
ステムにおいてノイズの低い高密度特性に優れ、かつ耐
久性に優れた塗布型磁気記録媒体を提供すること。 【解決手段】磁気記録媒体にインダクティブヘッドによ
り信号を記録し、磁気抵抗型ヘッドにより信号を再生す
る磁気記録再生システムにおいて、前記磁気記録媒体
が、支持体上に強磁性粉末および結合剤を含む磁性層を
有し、前記インダクティグヘッドのギャップ長が0.3
μm以下であり、前記強磁性粉末の平均粒子径が10〜
35nm、板状比が2〜6であり、前記磁性層の面内に
おける角形比が長手方向に0.5〜0.9の範囲、厚み
方向に0.2〜0.6の範囲で、かつ前記磁性層の厚み
が0.01〜0.2μmであることを特徴とする磁気記
録再生システム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】高密度記録再生用のシステム
及び磁気記録媒体に関する。特に磁気抵抗型ヘッド(M
Rヘッド)を用いて再生するシステムにおいて、電磁変
換特性、高密度記録領域でのS/N比、及び耐久性に優
れた磁気記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】磁気ディスクの分野においては、現在で
はMF−2HDフロッピー(登録商標)ディスクを用い
るフロッピーディスクドライブがパーソナルコンピュー
ターに標準搭載されるようになっている。しかしなが
ら、画像データ等処理するデータ容量が急激に増加して
いる今日において、その容量は十分とは言えなくなり、
フロッピーディスクの大容量化が望まれている。一方、
磁気テープの分野においても、近年ミニコンピュータ
ー、パーソナルコンピューター、ワークステーションな
どのオフィスコンピューターの普及に伴って、外部記憶
媒体としてコンピューターデータを記録するための磁気
テープ(いわゆるバックアップテープ)の研究が盛んに
行われている。このような用途の磁気テープの実用化に
際しては、特にコンピューターの小型化、情報処理能力
の増大と相まって、記録の大容量化、小型化を達成する
ために、記録容量の向上が強く要求される。
【0003】従来、磁気記録媒体には酸化鉄、Co変性
酸化鉄、CrO2、強磁性金属粉末、六方晶系フェライ
ト粉末等の磁性体を結合剤中に分散した磁性層を非磁性
支持体に塗設したものが広く用いられている。近年、フ
レキシブル記録媒体を用いたシステムにおいて、ハード
ディスク装置用として磁気抵抗型ヘッド(MRヘッド)
が用いられ始めている。MRヘッドは、高感度で充分な
再生出力が得られるので、比較的飽和磁化σsが低い磁
性体微粒子を用いると低ノイズ化によって高いC/N比
が得られる。例えば、特開平10−302243号公報
には、バリウムフェライト(BaFe)微粒子を用いてMRヘ
ッドで再生した例が開示されている。また、記録密度
(特に線記録密度)が高い記録システムでは、前記MR
ヘッドを再生時に使用することに加えて記録条件と媒体
との関係を最適化する必要がある。一般に高線記録密度
では、記録時に起きる記録減磁、ビットシフト等の影響
を軽減するために記録ヘッドのギャップを小さくする。
しかしながら、これによって記録磁界が狭まり、オーバ
ーライト、厚み損失がトレードオフになってくる。さら
に磁化反転幅が狭くなるので磁化遷移領域での磁化の乱
れの影響が無視できなくなる。結果的にS/Nの損失が
生じる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は電磁変換特性
が良好で、特に高密度記録領域でのS/N比が格段に改
良され、かつ耐久性にも優れるインダクティブヘッドと
MRヘッドを組み合わせた記録再生システムを提供する
と共に、生産性に優れた磁気記録媒体であって、かつM
Rヘッドを組み合わせた記録再生システムにおいてノイ
ズの低い高密度特性に優れかつ耐久性にも優れる塗布型
磁気記録媒体を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、鋭意検討
した結果、特定ギャップ長のインダクティブヘッドと特
定の物性の強磁性粉末を含有する特定厚みの磁性層を有
した磁気記録媒体とを組み合わせることによって、上記
課題を解決し得ることを見出し、本発明に至った。即
ち、本発明は、磁気記録媒体にインダクティブヘッドに
より信号を記録し、磁気抵抗型ヘッドにより信号を再生
する磁気記録再生システムにおいて、前記磁気記録媒体
が、支持体上に強磁性粉末および結合剤を含む磁性層を
有し、前記インダクティブヘッドのギャップ長が0.3
μm以下であり、前記強磁性粉末の平均粒子径が10〜
35nm、板状比が2〜6であり、前記磁性層の面内に
おける角形比が長手方向に0.5〜0.9の範囲、厚み
方向に0.2〜0.6の範囲で、かつ前記磁性層の厚み
が0.01〜0.2μmであることを特徴とする磁気記
録再生システムである。また、本発明は、ギャップ長が
0.3μm以下のインダクティブヘッドにより信号を記
録し、磁気抵抗型ヘッドにより信号を再生する磁気記録
再生システムに用いる磁気記録媒体であって、該磁気記
録媒体が、支持体上に強磁性粉末および結合剤を含む磁
性層を有し、前記強磁性粉末の平均粒子径が10〜35
nm、板状比が2〜6であり、前記磁性層の面内におけ
る角形比が長手方向に0.5〜0.9の範囲、厚み方向
に0.2〜0.6の範囲で、かつ前記磁性層の厚みが
0.01〜0.2μmであることを特徴とする磁気記録
媒体である。
【0006】更に、本発明の好ましい態様を以下に示
す。 (1)前記強磁性粉末が六方晶系フェライト粉末である
前記磁気記録媒体とこれを用いた磁気記録再生システ
ム。。 (2)前記磁性層表面の電気抵抗が1×109Ω/sqで
ある前記磁気記録媒体とこれを用いた磁気記録再生シス
テム。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明において、強磁性粉末の粒
子径とは高分解能透過型電子顕微鏡写真及び画像解析装
置より求められる。即ち、粒子径は、粉体の形状が針
状、紡錘状、柱状(ただし、高さが底面の最大長径より
大きい)等の場合は、粉体を構成する長軸の長さ、即ち
長軸長で表され、粉体の形状が板状乃至柱状(ただ
し、厚さ乃至高さが板面乃至底面の最大長径より小さ
い)の場合は、その板面乃至底面の最大長径で表され、
粉体の形状が球形、多面体状、不特定形等であって、
かつ形状から粉体を構成する長軸を特定できない場合
は、円相当径で表される。円相当径とは、円投影法で求
められるものを言う。また、該粉体の平均粒子径は、上
記粉体サイズの算術平均であり、約350個の一次粒子
について上記の如く測定を実施して求めたものである。
一次粒子とは、凝集のない独立した粉体をいう。あるい
は、凝集体を構成している個々の粒子でもある。
【0008】また、該粉体の平均針状比は、上記測定に
おいて粉体の短軸の長さ、即ち短軸長を測定し、各粉体
の(長軸長/短軸長)の値の算術平均を指す。ここで、
短軸長とは、上記粉体サイズの定義での場合は、粉体
を構成する短軸の長さを、同じくの場合は、厚さ乃至
高さを各々指し、の場合は、長軸と短軸の区別がない
から、(長軸長/短軸長)は、便宜上1とみなす。そし
て、粉体の形状が特定の場合、例えば、上記粉体サイズ
の定義の場合は、平均粉体サイズを平均長軸長と言
い、同定義の場合は平均粉体サイズを平均板径と言
い、(最大長径/厚さ乃至高さ)の算術平均を平均板状
比という。同定義の場合は平均粉体サイズを平均粒子
径というが、本発明においては、全てを総称して平均粒
径と呼ぶ。粒子サイズ測定において、標準偏差/平均値
を百分率で表示したものを変動係数と定義する。
【0009】[磁性層]本発明の磁気記録媒体は、支持
体上に直接磁性層を設けても、非磁性下層を介して磁性
層を設けてもよい。本発明においては、磁性層の厚み
は、0.01μm〜0.2μmであり、好ましくは0.
05μm〜0.15μmである。磁性層の厚みが薄すぎ
ると、再生出力が不足し、また逆に磁性層の厚みが厚す
ぎると、深層部の磁化成分と表層部の磁化成分の位相差
が生じ、波形の非対称性が大きくなる。また、オーバー
ライト消去率が低下する。本発明においては、この様に
磁性層の厚みが薄目であるので、非磁性下層を用いた重
層構成が好ましい。
【0010】磁性層の抗磁力Hcは158〜350kA
/m(2000〜4430Oe)が好ましく、170〜
280kA/mで有ることが更に好ましい。磁化分布に
於いて、80kA/m以下の印可磁場によって磁化反転
する成分が好ましくは最大1%未満、更に好ましくは
0.7%以下、特に0.5%以下に規定されることがさ
らに好ましい。磁性層の面内長手方向に測定した角形比
SQは0.5〜0.9の範囲、好ましくは0.6〜0.
8の範囲である。また、磁性層の面内厚み(垂直)方向
に測定した角形比SQ⊥は0.2〜0.6の範囲、好ま
しくは0.3〜0.5の範囲である。長手方向の角形比
が0.5未満では残留磁束密度(Br)が低くなり過
ぎ、0.9を越えると配向による凝集によりノイズが高
くなるという問題がある。また、厚み方向の角形比が
0.2未満では磁化の垂直成分の効果(出力向上)が薄
れ、0.6を越えると長手成分の効果が薄れ出力が下が
るという問題がある。
【0011】[強磁性粉末]本発明の磁性層に使用する
強磁性粉末は、特に制限はないがFeを主体とした針状
強磁性合金粉末もしくは六方晶系フェライト粉末が好ま
しく、最も好ましくは六方晶系フェライト粉末である。
本発明において、磁性粉末の平均粒径は、10nm〜3
5nmであり、好ましくは20nm〜30nmである。
平均粒径が小さすぎると熱揺らぎにより磁化が不安定、
大きすぎるとS/Nが低下する。また、本発明において
磁性粉末の板状比は、2〜6である。板状比が小さすぎ
ると、磁性層中の充填性は高くなり好ましいが、十分な
配向性が得られないという問題が、また逆に板状比が大
きすぎると、粒子間のスタッキングによりノイズが大き
くなるという問題が生じる。
【0012】(強磁性合金粉末)強磁性合金粉末は、F
eを主成分としてCo、Ni、Mn、Zn、Ndなどを
合金成分として含む。特にFe−Co合金は高い抗磁力
Hcが得られる物質として知られている。強磁性合金粉
末のσsは、通常、80〜140A・m2/kg、好ま
しくは90〜130A・m2/kgであり、Hcは通
常、120〜360kA/m、好ましくは158〜35
0kA/mである。
【0013】(六方晶系フェライト粉末)六方晶系フェ
ライト粉末は例えば、バリウムフェライト、ストロンチ
ウムフェライト、鉛フェライト、カルシウムフェライト
の各置換体、Co置換体等がある。具体的にはマグネト
プランバイト型のバリウムフェライト及びストロンチウ
ムフェライト、スピネルで粒子表面を被覆したマグネト
プランバイト型フェライト、更に一部スピネル相を含有
したマグネトプランバイト型のバリウムフェライト及び
ストロンチウムフェライト等が挙げられ、その他所定の
原子以外にAl、Si、S、Sc、Ti、V、Cr、C
u、Y、Mo、Rh、Pd、Ag、Sn、Sb、Te、
Ba、Ta、W、Re、Au、Hg、Pb、Bi、L
a、Ce、Pr、Nd、P、Co、Mn、Zn、Ni、
Sr、B、Ge、Nbなどの原子を含んでもかまわな
い。一般にはCo−Zn、Co−Ti、Co−Ti−Z
r、Co−Ti−Zn、Ni−Ti−Zn、Nb−Zn
−Co、SbーZn−Co、Nb−Zn等の元素を添加
した物を使用することができる。原料・製法によっては
特有の不純物を含有するものもある。
【0014】六方晶系フェライト粉末の平均板厚は再生
に使用するMRヘッドの素子厚みより薄く、好ましくは
MRヘッドの素子厚みの80%以下、より好ましくは6
0%以下である。薄いほど好ましいが、現実的には3n
m以上である。
【0015】この粉体サイズ範囲のBET法による比表
面積(SBET)は、10〜100m2/gであるのが好ま
しい。比表面積は概ね粒子板径と板厚からの算術計算値
と符号する。粒子板径・板厚の分布は通常狭いほど好ま
しい。分布は正規分布ではない場合が多いが、計算して
平均サイズに対する標準偏差σで表す変動係数は、σ/
平均サイズ=0.1〜2.0である。粉体サイズ分布を
シャープにするには粒子生成反応系をできるだけ均一に
すると共に、生成した粒子に分布改良処理を施すことも
行われている。たとえば酸溶液中で超微細粒子を選別的
に溶解する方法等も知られている。該六方晶系フェライ
ト粉末の平均粒子体積は通常、1000〜10000n
3、好ましくは1500〜8000nm3、さらに好ま
しくは2000〜8000nm3である。磁性体で測定
される抗磁力Hcは通常、40〜400kA/m程度ま
で作成できる。Hcは高い方が高密度記録に有利である
が、記録ヘッドの能力で制限される。本発明では磁性体
のHcは120〜360kA/m程度であるが、好まし
くは158〜350kA/mである。ヘッドの飽和磁化
が1.4テスラを越える場合は、175kA/m以上に
することが好ましい。Hcは粉体サイズ、含有元素の種
類と量、元素の置換サイト、粒子生成反応条件等により
制御できる。
【0016】飽和磁化σsは、通常、40〜80A・m
2/kgである。σsは微粒子になるほど小さくなる傾
向がある。σs改良のためマグネトプランバイトフェラ
イトにスピネルフェライトを複合すること、含有元素の
種類と添加量の選択等が良く知られている。またW型六
方晶系フェライト粉末を用いることも可能である。磁性
体を分散する際に磁性体粒子表面を分散媒、ポリマーに
合った物質で処理することも行われている。表面処理材
は無機化合物、有機化合物が使用される。主な化合物と
してはSi、Al、P、等の酸化物または水酸化物、各
種シランカップリング剤、各種チタンカップリング剤が
代表例である。量は磁性体に対して0.1〜10%であ
る。磁性体のpHも分散に重要である。通常4〜12程
度で分散媒、ポリマーにより最適値があるが、媒体の化
学的安定性、保存性から6〜11程度が選択される。磁
性体に含まれる水分も分散に影響する。分散媒、ポリマ
ーにより最適値があるが通常0.01〜2.0%が選ば
れる。
【0017】六方晶系フェライト粉末の製法としては、
酸化バリウム・酸化鉄・鉄を置換する金属酸化物とガラ
ス形成物質として酸化ホウ素等を所望のフェライト組成
になるように混合した後溶融し、急冷して非晶質体と
し、次いで再加熱処理した後、洗浄・粉砕してバリウム
フェライト結晶粉体を得るガラス結晶化法、バリウムフ
ェライト組成金属塩溶液をアルカリで中和し、副生成物
を除去した後100℃以上で液相加熱した後洗浄・乾燥
・粉砕してバリウムフェライト結晶粉体を得る水熱反応
法、バリウムフェライト組成金属塩溶液をアルカリで中
和し、副生成物を除去した後乾燥し1100℃以下で処
理し、粉砕してバリウムフェライト結晶粉体を得る共沈
法等があるが、本発明は製法を選ばない。
【0018】[非磁性層]次に支持体と磁性層の間に下
層である非磁性層を設ける時の下層に関して詳細に説明
する。本発明の下層は実質的に非磁性であればその構成
は制限されるべきものではないが、通常、少なくとも樹
脂からなり、好ましくは、粉体、例えば、無機粉末ある
いは有機粉末が樹脂中に分散されたものが挙げられる。
該無機粉末は、通常、好ましくは非磁性粉末であるが、
下層が実質的に非磁性である範囲で磁性粉末も使用され
得るものである。該非磁性粉末としては、例えば、金属
酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属窒化物、金属炭
化物、金属硫化物等の無機化合物から選択することがで
きる。無機化合物としては例えばα化率90%以上のα
−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、θ−アルミ
ナ、炭化ケイ素、酸化クロム、酸化セリウム、α−酸化
鉄、ヘマタイト、ゲータイト、コランダム、窒化珪素、
チタンカーバイト、酸化チタン、二酸化珪素、酸化ス
ズ、酸化マグネシウム、酸化タングステン、酸化ジルコ
ニウム、窒化ホウ素、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸
カルシウム、硫酸バリウム、二硫化モリブデンなどが単
独または組合せで使用される。特に好ましいのは、粒度
分布の小ささ、機能付与の手段が多いこと等から、二酸
化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、硫酸バリウムであり、更
に好ましいのは二酸化チタン、α酸化鉄である。
【0019】これら非磁性粉末の粉体サイズは0.00
5〜2μmが好ましいが、必要に応じて粉体サイズの異
なる非磁性粉末を組み合わせたり、単独の非磁性粉末で
も粒径分布を広くして同様の効果をもたせることもでき
る。とりわけ好ましいのは非磁性粉末の粉体サイズは
0.01μm〜0.2μmである。特に、非磁性粉末が
粒状金属酸化物である場合は、平均粒子径0.08μm
以下が好ましく、針状金属酸化物である場合は、長軸長
が0.3μm以下が好ましく、0.2μm以下がさらに
好ましい。タップ密度は0.05〜2g/ml、好まし
くは0.2〜1.5g/mlである。非磁性粉末の含水
率は0.1〜5質量%、好ましくは0.2〜3質量%、
更に好ましくは0.3〜1.5質量%である。非磁性粉
末のpHは2〜11であるが、pHは5.5〜10の間
が特に好ましい。非磁性粉末の比表面積は1〜100m
2/g、好ましくは5〜80m2/g、更に好ましくは1
0〜70m2/gである。非磁性粉末の結晶子サイズは
0.004μm〜1μmが好ましく、0.04μm〜
0.1μmが更に好ましい。DBP(ジブチルフタレー
ト)を用いた吸油量は5〜100ml/100g、好ま
しくは10〜80ml/100g、更に好ましくは20
〜60ml/100gである。比重は1〜12、好まし
くは3〜6である。形状は針状、球状、多面体状、板状
のいずれでも良い。モース硬度は4以上、10以下のも
のが好ましい。非磁性粉末のSA(ステアリン酸)吸着
量は1〜20μmol/m2、好ましくは2〜15μm
ol/m2、さらに好ましくは3〜8μmol/m2であ
る。pHは3〜6の間にあることが好ましい。
【0020】これらの非磁性粉末の表面には表面処理を
施すことによりAl23、SiO2、TiO2、Zr
2、SnO2、Sb23、ZnO、Y23を存在させる
ことが好ましい。特に分散性に好ましいのはAl23
SiO2、TiO2、ZrO2であるが、更に好ましいの
はAl23、SiO2、ZrO2である。これらは組み合
わせて使用しても良いし、単独で用いることもできる。
また、目的に応じて共沈させた表面処理層を用いても良
いし、先ずアルミナを存在させた後にその表層をシリカ
で処理する方法、またはその逆の方法を採ることもでき
る。また、表面処理層は目的に応じて多孔質層にしても
構わないが、均質で密である方が一般には好ましい。
【0021】本発明の下層に用いられる非磁性粉末の具
体的な例としては、昭和電工製ナノタイト、住友化学製
HIT−100、ZA−G1、戸田工業社製αヘマタイ
トDPN−250、DPN−250BX、DPN−24
5、DPN−270BX、DPN−500BX、DBN
−SA1、DBN−SA3、石原産業製酸化チタンTT
O−51B、TTO−55A、TTO−55B、TTO
−55C、TTO−55S、TTO−55D、SN−1
00、αヘマタイトE270、E271、E300、E
303、チタン工業製酸化チタンSTT−4D、STT
−30D、STT−30、STT−65C、αヘマタイ
トα−40、テイカ製MT−100S、MT−100
T、MT−150W、MT−500B、MT−600
B、MT−100F、MT−500HD、堺化学製FI
NEX−25、BF−1、BF−10、BF−20、S
T−M、同和鉱業製DEFIC−Y、DEFIC−R、
日本アエロジル製AS2BM、TiO2P25、宇部興
産製100A、500A、及びそれを焼成したものが挙
げられる。特に好ましい非磁性粉末は二酸化チタンとα
−酸化鉄である。
【0022】下層にカーボンブラックを混合させて公知
の効果である表面電気抵抗Rsを下げること、光透過率
を小さくすることができるとともに、所望のマイクロビ
ッカース硬度を得る事ができる。また、下層にカーボン
ブラックを含ませることで潤滑剤貯蔵の効果をもたらす
ことも可能である。カーボンブラックの種類はゴム用フ
ァーネス、ゴム用サーマル、カラー用ブラック、アセチ
レンブラック、等を用いることができる。下層のカーボ
ンブラックは所望する効果によって、以下のような特性
を最適化すべきであり、併用することでより効果が得ら
れることがある。
【0023】下層のカーボンブラックの比表面積は10
0〜500m2/g、好ましくは150〜400m2
g、DBP吸油量は20〜400ml/100g、好ま
しくは30〜400ml/100gである。カーボンブ
ラックの粒子径は5nm〜80nm、好ましく10〜5
0nm、さらに好ましくは10〜40nmである。カー
ボンブラックのpHは2〜10、含水率は0.1〜10
%、タップ密度は0.1〜1g/mlが好ましい。本発
明に用いられるカーボンブラックの具体的な例としては
キャボット社製BLACKPEARLS 2000、1
300、1000、900、800、880、700、
VULCAN XC−72、三菱化学社製#3050
B、#3150B、#3250B、#3750B、#3
950B、#950、#650B、#970B、#85
0B、MA−600、MA−230、#4000、#4
010、コロンビアンカーボン社製CONDUCTEX
SC、RAVEN 8800、8000、7000、5
750、5250、3500、2100、2000、1
800、1500、1255、1250、アクゾー社製
ケッチェンブラックECなどがあげられる。カーボンブ
ラックを分散剤などで表面処理したり、樹脂でグラフト
化して使用しても、表面の一部をグラファイト化したも
のを使用してもかまわない。また、カーボンブラックを
塗料に添加する前にあらかじめ結合剤で分散してもかま
わない。これらのカーボンブラックは上記無機質粉末に
対して50質量%を越えない範囲、非磁性層総質量の4
0%を越えない範囲で使用できる。これらのカーボンブ
ラックは単独、または組合せで使用することができる。
本発明で使用できるカーボンブラックは例えば「カーボ
ンブラック便覧」(カーボンブラック協会編)を参考に
することができる。
【0024】また下層には、目的に応じて有機質粉末を
添加することもできる。例えば、アクリルスチレン系樹
脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、メラミン系樹脂粉
末、フタロシアニン系顔料が挙げられるが、ポリオレフ
ィン系樹脂粉末、ポリエステル系樹脂粉末、ポリアミド
系樹脂粉末、ポリイミド系樹脂粉末、ポリフッ化エチレ
ン樹脂も使用することができる。その製法は特開昭62
−18564号、特開昭60−255827号各公報に
記されているようなものが使用できる。
【0025】下層の結合剤樹脂、潤滑剤、分散剤、添加
剤、溶剤、分散方法その他は以下に記載する磁性層のそ
れが適用できる。特に、結合剤樹脂量、種類、添加剤、
分散剤の添加量、種類に関しては磁性層に関する公知技
術が適用できる。
【0026】[結合剤]本発明に使用される結合剤とし
ては従来公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応型樹
脂やこれらの混合物が使用される。熱可塑系樹脂として
は、ガラス転移温度が−100〜150℃、数平均分子
量が1,000〜200,000、好ましくは10,0
00〜100,000、重合度が約50〜1000程度
のものである。
【0027】このような例としては、塩化ビニル、酢酸
ビニル、ビニルアルコール、マレイン酸、アクリル酸、
アクリル酸エステル、塩化ビニリデン、アクリロニトリ
ル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、スチレン、
ブタジエン、エチレン、ビニルブチラール、ビニルアセ
タール、ビニルエーテル、等を構成単位として含む重合
体または共重合体、ポリウレタン樹脂、各種ゴム系樹脂
がある。また、熱硬化性樹脂または反応型樹脂としては
フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン硬化型樹
脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、アクリル
系反応樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリコーン樹脂、
エポキシ−ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂とイソシ
アネートプレポリマーの混合物、ポリエステルポリオー
ルとポリイソシアネートの混合物、ポリウレタンとポリ
イソシアネートの混合物等があげられる。これらの樹脂
については朝倉書店発行の「プラスチックハンドブッ
ク」に詳細に記載されている。また、公知の電子線硬化
型樹脂を各層に使用することも可能である。これらの例
とその製造方法については特開昭62−256219号
公報に詳細に記載されている。以上の樹脂は単独または
組合せて使用できるが、好ましいものとして塩化ビニル
樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル酢酸
ビニルビニルアルコール共重合体、塩化ビニル酢酸ビニ
ル無水マレイン酸共重合体、から選ばれる少なくとも1
種とポリウレタン樹脂の組合せ、またはこれらにポリイ
ソシアネートを組み合わせたものがあげられる。
【0028】ポリウレタン樹脂の構造はポリエステルポ
リウレタン、ポリエーテルポリウレタン、ポリエーテル
ポリエステルポリウレタン、ポリカーボネートポリウレ
タン、ポリエステルポリカーボネートポリウレタン、ポ
リカプロラクトンポリウレタンなど公知のものが使用で
きる。ここに示したすべての結合剤について、より優れ
た分散性と耐久性を得るためには必要に応じ、−COO
M、−SO3M、−OSO3M、−P=O(OM)2、−
O−P=O(OM)2、(以上につきMは水素原子、ま
たはアルカリ金属塩基)、OH、NR2、N+3(Rは
炭化水素基)、エポキシ基、SH、CN、などから選ば
れる少なくともひとつ以上の極性基を共重合または付加
反応で導入したものを用いることが好ましい。このよう
な極性基の量は10-1〜10-8モル/gであり、好まし
くは10-2〜10-6モル/gである。
【0029】本発明に用いられるこれらの結合剤の具体
的な例としてはユニオンカーバイト社製VAGH、VY
HH、VMCH、VAGF、VAGD、VROH、VY
ES、VYNC、VMCC、XYHL、XYSG、PK
HH、PKHJ、PKHC、PKFE、日信化学工業社
製、MPR−TA、MPR−TA5、MPR−TAL、
MPR−TSN、MPR−TMF、MPR−TS、MP
R−TM、MPR−TAO、電気化学社製1000W、
DX80、DX81、DX82、DX83、100F
D、日本ゼオン社製MR−104、MR−105、MR
110、MR100、MR555、400X−110
A、日本ポリウレタン社製ニッポランN2301、N2
302、N2304、大日本インキ社製パンデックスT
−5105、T−R3080、T−5201、バーノッ
クD−400、D−210−80、クリスボン610
9、7209、東洋紡社製バイロンUR8200、UR
8300、UR−8700、RV530、RV280、
大日精化社製、ダイフェラミン4020、5020、5
100、5300、9020、9022、7020、三
菱化成社製、MX5004、三洋化成社製サンプレンS
P−150、旭化成社製サランF310、F210など
があげられる。
【0030】本発明の非磁性層、磁性層に用いられる結
合剤は非磁性粉末または強磁性粉末に対し、5〜50質
量%の範囲、好ましくは10〜30質量%の範囲で用い
られる。塩化ビニル系樹脂を用いる場合は5〜30質量
%、ポリウレタン樹脂を用いる場合は2〜20質量%、
ポリイソシアネートは2〜20質量%の範囲でこれらを
組み合わせて用いることが好ましいが、例えば、微量の
脱塩素によりヘッド腐食が起こる場合は、ポリウレタン
のみまたはポリウレタンとイソシアネートのみを使用す
ることも可能である。本発明において、ポリウレタンを
用いる場合はガラス転移温度が−50〜150℃、より
好ましくは0℃〜100℃、破断伸びが100〜200
0%、破断応力は0.05〜10Kg/mm2(0.4
9〜98MPa)、降伏点は0.05〜10Kg/mm
2(0.49〜98MPa)が好ましい。
【0031】本発明の磁気記録媒体において、結合剤
量、結合剤中に占める塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン
樹脂、ポリイソシアネート、あるいはそれ以外の樹脂の
量、磁性層を形成する各樹脂の分子量、極性基量、ある
いは先に述べた樹脂の物理特性などを必要に応じ非磁性
層、磁性層とで変えることはもちろん可能であり、むし
ろ各層で最適化すべきであり、多層磁性層に関する公知
技術を適用できる。例えば、各層で結合剤量を変更する
場合、磁性層表面の擦傷を減らすためには磁性層の結合
剤量を増量することが有効であり、ヘッドに対するヘッ
ドタッチを良好にするためには、非磁性層の結合剤量を
多くして柔軟性を持たせることができる。
【0032】本発明で使用し得るポリイソシアネートと
しては、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェ
ニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシ
アネート、キシリレンジイソシアネート、ナフチレン−
1,5−ジイソシアネート、o−トルイジンジイソシア
ネート、イソホロンジイソシアネート、トリフェニルメ
タントリイソシアネート等のイソシアネート類、また、
これらのイソシアネート類とポリアルコールとの生成
物、また、イソシアネート類の縮合によって生成したポ
リイソシアネート等を使用することができる。これらの
イソシアネート類の市販されている商品名としては、日
本ポリウレタン社製、コロネートL、コロネートHL、
コロネート2030、コロネート2031、ミリオネー
トMR、ミリオネートMTL、武田薬品社製、タケネー
トD−102、タケネートD−110N、タケネートD
−200、タケネートD−202、住友バイエル社製、
デスモジュールL、デスモジュールIL、デスモジュー
ルN、デスモジュールHL、等がありこれらを単独また
は硬化反応性の差を利用して二つもしくはそれ以上の組
合せで各層とも用いることができる。
【0033】[カーボンブラック、研磨剤]本発明の磁
性層に使用されるカーボンブラックはゴム用ファーネ
ス、ゴム用サーマル、カラー用ブラック、アセチレンブ
ラック、等を用いることができる。比表面積は5〜50
0m2/g、DBP吸油量は10〜400ml/100
g、粒子径は5nm〜300nm、好ましくは10〜2
50nm、更に好ましくは20〜200nmである。p
Hは2〜10、含水率は0.1〜10%、タップ密度は
0.1〜1g/cc、が好ましい。本発明に用いられる
カーボンブラックの具体的な例としてはキャボット社
製、BLACKPEARLS 2000、1300、1
000、900、905、800、700、VULCA
N XC−72、旭カーボン社製、#80、#60、#
55、#50、#35、三菱化成工業社製、#2400
B、#2300、#900、#1000#30、#4
0、#10B、コロンビアンカーボン社製、CONDU
CTEX SC、RAVEN 150、50、40、1
5、RAVEN−MT−P、日本EC社製、ケッチェン
ブラックEC、などがあげられる。カーボンブラックを
分散剤などで表面処理したり、樹脂でグラフト化して使
用しても、表面の一部をグラファイト化したものを使用
してもかまわない。また、カーボンブラックを磁性塗料
に添加する前にあらかじめ結合剤で分散してもかまわな
い。これらのカーボンブラックは単独、または組合せで
使用することができる。カーボンブラックを使用する場
合は磁性体に対する量の0.1〜30%でもちいること
が好ましい。カーボンブラックは磁性層の帯電防止、摩
擦係数低減、遮光性付与、膜強度向上などの働きがあ
り、これらは用いるカーボンブラックにより異なる。従
って本発明に使用されるこれらのカーボンブラックは上
層磁性層、下層非磁性層でその種類、量、組合せを変
え、粉体サイズ、吸油量、電導度、pHなどの先に示し
た諸特性をもとに目的に応じて使い分けることはもちろ
ん可能であり、むしろ各層で最適化すべきものである。
本発明の磁性層で使用できるカーボンブラックは例えば
「カーボンブラック便覧」(カーボンブラック協会編)
を参考にすることができる。
【0034】本発明に用いられる研磨剤としてはα化率
90%以上のα−アルミナ、β−アルミナ、炭化ケイ
素、酸化クロム、酸化セリウム、α−酸化鉄、コランダ
ム、人造ダイアモンド、窒化珪素、炭化珪素、チタンカ
ーバイト、酸化チタン、二酸化珪素、窒化ホウ素、など
主としてモース硬度6以上の公知の材料が単独または組
合せで使用される。また、これらの研磨剤どうしの複合
体(研磨剤を他の研磨剤で表面処理したもの)を使用し
てもよい。これらの研磨剤には主成分以外の化合物また
は元素が含まれる場合もあるが主成分が90%以上であ
れば効果にかわりはない。これら研磨剤の粉体サイズは
0.01〜2μmが好ましく、更に好ましくは0.05
〜1.0μm、特に好ましくは0.05〜0.5μmの
範囲である。特に電磁変換特性を高めるためには、その
粒度分布が狭い方が好ましい。また耐久性を向上させる
には必要に応じて粉体サイズの異なる研磨剤を組み合わ
せたり、単独の研磨剤でも粒径分布を広くして同様の効
果をもたせることも可能である。タップ密度は0.3〜
2g/cc、含水率は0.1〜5%、pHは2〜11、
比表面積は1〜30m2/g、が好ましい。本発明に用
いられる研磨剤の形状は針状、球状、サイコロ状、のい
ずれでも良いが、形状の一部に角を有するものが研磨性
が高く好ましい。
【0035】具体的には住友化学社製AKP−12、A
KP−15、AKP−20、AKP−30、AKP−5
0、HIT20、HIT−30、HIT−55、HIT
60、HIT70、HIT80、HIT100、レイノ
ルズ社製、ERC−DBM、HP−DBM、HPS−D
BM、不二見研磨剤社製、WA10000、上村工業社
製、UB20、日本化学工業社製、G−5、クロメック
スU2、クロメックスU1、戸田工業社製、TF10
0、TF140、イビデン社製、ベータランダムウルト
ラファイン、昭和鉱業社製、B−3などが挙げられる。
これらの研磨剤は必要に応じ非磁性層に添加することも
できる。非磁性層に添加することで表面形状を制御した
り、研磨剤の突出状態を制御したりすることができる。
これら磁性層、非磁性層の添加する研磨剤の粒径、量は
むろん最適値に設定すべきものである。
【0036】[添加剤]本発明の磁性層や任意の非磁性
層に使用される添加剤としては、潤滑効果、帯電防止効
果、分散効果、可塑効果、などをもつものが使用され
る。例えば、二硫化モリブデン、二硫化タングステング
ラファイト、窒化ホウ素、フッ化黒鉛、シリコーンオイ
ル、極性基をもつシリコーン、脂肪酸変性シリコーン、
フッ素含有シリコーン、フッ素含有アルコール、フッ素
含有エステル、ポリオレフィン、ポリグリコール、アル
キル燐酸エステルおよびそのアルカリ金属塩、アルキル
硫酸エステルおよびそのアルカリ金属塩、ポリフェニル
エーテル、フェニルホスホン酸、αナフチル燐酸、フェ
ニル燐酸、ジフェニル燐酸、p−エチルベンゼンホスホ
ン酸、フェニルホスフィン酸、アミノキノン類、各種シ
ランカップリング剤、チタンカップリング剤、フッ素含
有アルキル硫酸エステルおよびそのアルカリ金属塩、炭
素数10〜24の一塩基性脂肪酸(不飽和結合を含んで
も、また分岐していてもかまわない)、および、これら
の金属塩(Li、Na、K、Cuなど)または、炭素数
12〜22の一価、二価、三価、四価、五価、六価アル
コール、(不飽和結合を含んでも、また分岐していても
かまわない)、炭素数12〜22のアルコキシアルコー
ル、炭素数10〜24の一塩基性脂肪酸(不飽和結合を
含んでも、また分岐していてもかまわない)と炭素数2
〜12の一価、二価、三価、四価、五価、六価アルコー
ルのいずれか一つ(不飽和結合を含んでも、また分岐し
ていてもかまわない)とからなるモノ脂肪酸エステルま
たはジ脂肪酸エステルまたはトリ脂肪酸エステル、アル
キレンオキシド重合物のモノアルキルエーテルの脂肪酸
エステル、炭素数8〜22の脂肪酸アミド、炭素数8〜
22の脂肪族アミン、などが使用できる。
【0037】これらの具体例としては脂肪酸では、カプ
リン酸、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パル
ミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、エラ
イジン酸、リノール酸、リノレン酸、イソステアリン
酸、などが挙げられる。エステル類ではブチルステアレ
ート、オクチルステアレート、アミルステアレート、イ
ソオクチルステアレート、ブチルミリステート、オクチ
ルミリステート、ブトキシエチルステアレート、ブトキ
シジエチルステアレート、2−エチルヘキシルステアレ
ート、2−オクチルドデシルパルミテート、2−ヘキシ
ルドデシルパルミテート、イソヘキサデシルステアレー
ト、オレイルオレエート、ドデシルステアレート、トリ
デシルステアレート、エルカ酸オレイル、ネオペンチル
グリコールジデカノエート、エチレングリコールジオレ
イル、アルコール類ではオレイルアルコール、ステアリ
ルアルコール、ラウリルアルコール、などがあげられ
る。
【0038】また、アルキレンオキサイド系、グリセリ
ン系、グリシドール系、アルキルフェノールエチレンオ
キサイド付加体、等のノニオン界面活性剤、環状アミ
ン、エステルアミド、第四級アンモニウム塩類、ヒダン
トイン誘導体、複素環類、ホスホニウムまたはスルホニ
ウム類、等のカチオン系界面活性剤、カルボン酸、スル
フォン酸、燐酸、硫酸エステル基、燐酸エステル基、な
どの酸性基を含むアニオン界面活性剤、アミノ酸類、ア
ミノスルホン酸類、アミノアルコールの硫酸または燐酸
エステル類、アルキルベダイン型、等の両性界面活性剤
等も使用できる。これらの界面活性剤については、「界
面活性剤便覧」(産業図書株式会社発行)に詳細に記載
されている。これらの潤滑剤、帯電防止剤等は必ずしも
100%純粋ではなく、主成分以外に異性体、未反応
物、副反応物、分解物、酸化物等の不純分が含まれても
かまわない。これらの不純分は30%以下が好ましく、
さらに好ましくは10%以下である。
【0039】本発明で使用されるこれらの潤滑剤、界面
活性剤は個々に異なる物理的作用を有するものであり、
その種類、量、および相乗的効果を生み出す潤滑剤の併
用比率は目的に応じ最適に定められるべきものである。
非磁性層、磁性層で融点の異なる脂肪酸を用い表面への
にじみ出しを制御する、沸点、融点や極性の異なるエス
テル類を用い表面へのにじみ出しを制御する、界面活性
剤量を調節することで塗布の安定性を向上させる、潤滑
剤の添加量を中間層で多くして潤滑効果を向上させるな
ど考えられ、無論ここに示した例のみに限られるもので
はない。一般には潤滑剤の総量として磁性体または非磁
性粉末に対し、0.1%〜50%、好ましくは2%〜2
5%の範囲で選択される。
【0040】また本発明で用いられる添加剤のすべてま
たはその一部は、磁性および非磁性塗料製造のどの工程
で添加してもかまわない、例えば、混練工程前に磁性体
と混合する場合、磁性体と結合剤と溶剤による混練工程
で添加する場合、分散工程で添加する場合、分散後に添
加する場合、塗布直前に添加する場合などがある。ま
た、目的に応じて磁性層を塗布した後、同時または逐次
塗布で、添加剤の一部または全部を塗布することにより
目的が達成される場合がある。また、目的によってはカ
レンダーした後、またはスリット終了後、磁性層表面に
潤滑剤を塗布することもできる。本発明で用いられる有
機溶剤は公知のものが使用でき、例えば特開昭6−68
453号公報に記載の溶剤を用いることができる。
【0041】[層構成]本発明の磁気記録媒体の厚み構
成は支持体が2〜100μm、好ましくは2〜80μm
である。コンピューターテープの支持体は、3.0〜
6.5μm(好ましくは、3.0〜6.0μm、更に好
ましくは、4.0〜5.5μm)の範囲の厚さのものが
使用される。
【0042】支持体と非磁性層または磁性層の間に密着
性向上のための下塗層を設けてもかまわない。本下塗層
厚みは0.01〜0.5μm、好ましくは0.02〜
0.5μmである。
【0043】本発明において、下層である非磁性層を設
ける場合、非磁性層の厚みは0.2μm以上5.0μm
以下、好ましくは0.3μm以上3.0μm以下、さら
に好ましくは1.0μm以上2.5μm以下である。な
お、本発明媒体の下層は実質的に非磁性層であればその
効果を発揮するものであり、たとえば不純物としてある
いは意図的に少量の磁性体を含んでも、本発明の効果を
示すものであり、本発明と実質的に同一の構成と見なす
ことができることは言うまでもない。ここで、実質的に
非磁性とは下層の残留磁束密度が0.01T以下または
抗磁力が7.96kA/m(100Oe以下)であるこ
とを示し、好ましくは残留磁束密度と抗磁力をもたない
ことを示す。
【0044】[バック層]一般に、コンピュータデータ
記録用の磁気テープは、ビデオテープ、オーディオテー
プに比較して、繰り返し走行性が強く要求される。この
ような高い走行耐久性を維持させるために、支持体の磁
性層を有する面と反対側の面にバック層を設けるのが好
ましい。バック層には、カーボンブラックと無機粉末が
含有されていることが好ましい。
【0045】カーボンブラックは、平均粒子径の異なる
二種類のものを組み合わせて使用することが好ましい。
この場合、平均粒子径が10〜20nmの微粒子状カー
ボンブラックと平均粒子径が230〜300nmの粗粒
子状カーボンブラックを組み合わせて使用することが好
ましい。一般に、上記のような微粒子状のカーボンブラ
ックの添加により、バック層の表面電気抵抗を低く設定
でき、また光透過率も低く設定できる。磁気記録装置に
よっては、テープの光透過率を利用し、動作の信号に使
用しているものが多くあるため、このような場合には特
に微粒子状のカーボンブラックの添加は有効になる。ま
た微粒子状カーボンブラックは一般に液体潤滑剤の保持
力に優れ、潤滑剤併用時、摩擦係数の低減化に寄与す
る。一方、平均粒子径が230〜300nmの粗粒子状
カーボンブラックは、固体潤滑剤としての機能を有して
おり、またバック層の表面に微小突起を形成し、接触面
積を低減化して、摩擦係数の低減化に寄与する。しかし
粗粒子状カーボンブラックを単独で用いると、過酷な走
行系では、テープ摺動により、バック層からの脱落が生
じ易くなり、エラー比率の増大につながる欠点を有して
いる。
【0046】微粒子状カーボンブラックの具体的な商品
としては、以下のものを挙げることができる。カッコ内
に平均粒子径を示す。RAVEN2000B(18n
m)、RAVEN1500B(17nm)(以上、コロ
ンビアカーボン社製)、BP800(17nm)(キャ
ボット社製)、PRINNTEX90(14nm)、P
RINTEX95(15nm)、PRINTEX85
(16nm)、PRINTEX75(17nm)(以
上、デグサ社製)、#3950(16nm)(三菱化成
工業(株)製)。
【0047】また粗粒子カーボンブラックの具体的な商
品の例としては、サーマルブラック(270nm)(カ
ーンカルブ社製)、RAVEN MTP(275nm)
(コロンビアカーボン社製)を挙げることができる。
【0048】バック層において、平均粒子径の異なる二
種類のものを使用する場合、10〜20nmの微粒子状
カーボンブラックと230〜300nmの粗粒子状カー
ボンブラックの含有比率(質量比)は、前者:後者=9
8:2〜75:25の範囲にあることが好ましく、更に
好ましくは、95:5〜85:15の範囲である。
【0049】バック層中のカーボンブラック(二種類の
ものを使用する場合には、その全量)の含有量は、結合
剤100質量部に対して、通常30〜80質量部の範囲
であり、好ましくは、45〜65質量部の範囲である。
【0050】無機粉末は、硬さの異なる二種類のものを
併用することが好ましい。具体的には、モース硬度3〜
4.5の軟質無機粉末とモース硬度5〜9の硬質無機粉
末とを使用することが好ましい。モース硬度が3〜4.
5の軟質無機粉末を添加することで、繰り返し走行によ
る摩擦係数の安定化を図ることができる。しかもこの範
囲の硬さでは、摺動ガイドポールが削られることもな
い。またこの無機粉末の平均粒子径は、30〜50nm
の範囲にあることが好ましい。
【0051】モース硬度が3〜4.5の軟質無機粉末と
しては、例えば、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、珪
酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸
亜鉛、及び酸化亜鉛を挙げることができる。これらは、
単独で、あるいは二種以上を組み合わせて使用すること
ができる。
【0052】バック層内の軟質無機粉末の含有量は、カ
ーボンブラック100質量部に対して10〜140質量
部の範囲にあることが好ましく、更に好ましくは、35
〜100質量部である。
【0053】モース硬度が5〜9の硬質無機粉末を添加
することにより、バック層の強度が強化され、走行耐久
性が向上する。これらの無機粉末をカーボンブラックや
前記軟質無機粉末と共に使用すると、繰り返し摺動に対
しても劣化が少なく、強いバック層となる。またこの無
機粉末の添加により、適度の研磨力が付与され、テープ
ガイドポール等への削り屑の付着が低減する。特に軟質
無機粉末と併用すると、表面の粗いガイドポールに対し
ての摺動特性が向上し、バック層の摩擦係数の安定化も
図ることができる。
【0054】硬質無機粉末は、その平均粒子サイズが8
0〜250nmの範囲にあることが好ましく、更に好ま
しくは100〜210nmである。
【0055】モース硬度が5〜9の硬質無機質粉末とし
ては、例えば、α−酸化鉄、α−アルミナ、及び酸化ク
ロム(Cr23)を挙げることができる。これらの粉末
は、それぞれ単独で用いても良いし、あるいは併用して
も良い。これらの内では、α−酸化鉄又はα−アルミナ
が好ましい。硬質無機粉末の含有量は、カーボンブラッ
ク100質量部に対して通常3〜30質量部であり、好
ましくは、3〜20質量部である。
【0056】バック層に前記軟質無機粉末と硬質無機粉
末とを併用する場合、軟質無機粉末と硬質無機粉末との
硬さの差が、2以上(更に好ましくは、2.5以上、特
に、3以上)であるように軟質無機粉末と硬質無機粉末
とを選択して使用することが好ましい。
【0057】バック層には、前記それぞれ特定の平均粒
子サイズを有するモース硬度の異なる二種類の無機粉末
と、前記平均粒子サイズの異なる二種類のカーボンブラ
ックとが含有されていることが好ましい。
【0058】バック層には、潤滑剤を含有させることが
できる。潤滑剤は、前述した非磁性層、あるいは磁性層
に使用できる潤滑剤として挙げた潤滑剤の中から適宜選
択して使用できる。バック層において、潤滑剤は、結合
剤100質量部に対して通常1〜5質量部の範囲で添加
される。
【0059】[支持体]本発明に用いられる支持体は、
特に制限されるべきものではないが、実質的に非磁性で
可撓性のものが好ましい。本発明に用いられる可撓性支
持体としてはポリエチレンテレフタレ−ト、ポリエチレ
ンナフタレート、等のポリエステル類、ポリオレフィン
類、セルロ−ストリアセテ−ト、ポリカ−ボネート、ポ
リアミド(脂肪族ポリアミドやアラミド等の芳香族ポリ
アミドを含む)、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリ
スルフォン、ポリベンゾオキサゾールなどの公知のフィ
ルムが使用できる。ポリエチレンナフタレ−ト、ポリア
ミドなどの高強度支持体を用いることが好ましい。また
必要に応じ、磁性面とベ−ス面の表面粗さを変えるため
特開平3−224127号公報に示されるような積層タ
イプの支持体を用いることもできる。これらの支持体に
はあらかじめコロナ放電処理、プラズマ処理、易接着処
理、熱処理、除塵処理、などをおこなっても良い。また
本発明の支持体としてアルミまたはガラス基板を適用す
ることも可能である。
【0060】本発明の目的を達成するには、支持体とし
てWYKO社製の表面粗さ計TOPO−3Dで測定した
中心面平均表面粗さ(Ra)は8.0nm以下、好まし
くは4.0nm以下、さらに好ましくは2.0nm以下
のものを使用することが好ましい。支持体は単に中心面
平均表面粗さが小さいだけではなく、0.5μm以上の
粗大突起がないことが好ましい。また表面の粗さ形状は
必要に応じて支持体に添加されるフィラ−の大きさと量
により自由にコントロ−ルされるものである。これらの
フィラ−の一例としては、Ca、Si、Tiなどの酸化
物や炭酸塩の他、アクリル系などの有機微粉末があげら
れる。支持体の最大高さRmaxは1μm以下、十点平
均粗さRzは0.5μm以下、中心面山高さはRpは
0.5μm以下、中心面谷深さRvは0.5μm以下、
中心面面積率Srは10%以上、90%以下、平均波長
λaは5μm以上、300μm以下が好ましい。所望の
電磁変換特性と耐久性を得るため、これら支持体の表面
突起分布をフィラーにより任意にコントロールできるも
のであり、0.01μmから1μmの大きさのもの各々
を0.1mm2あたり0個から2000個の範囲でコン
トロ−ルすることができる。本発明に用いられる支持体
のF−5値は好ましくは5〜50Kg/mm2(49〜
490MPa)である。また、支持体の100℃30分
での熱収縮率は好ましくは3%以下、さらに好ましくは
1.5%以下、80℃30分での熱収縮率は好ましくは
1%以下、さらに好ましくは0.5%以下である。破断
強度は5〜100Kg/mm2(≒49〜980MP
a)、弾性率は100〜2000Kg/mm2(≒0.
98〜19.6GPa)が好ましい。温度膨張係数は1
-4〜10-8/℃であり、好ましくは10-5〜10-6
℃である。湿度膨張係数は10-4/RH%以下であり、
好ましくは10-5/RH%以下である。これらの熱特
性、寸法特性、機械強度特性は支持体の面内各方向に対
し10%以内の差でほぼ等しいことが好ましい。
【0061】[製法]本発明の磁気記録媒体の磁性塗
料、非磁性塗料を製造する工程は、少なくとも混練工
程、分散工程、およびこれらの工程の前後に必要に応じ
て設けた混合工程からなる。個々の工程はそれぞれ2段
階以上にわかれていてもかまわない。本発明に使用する
磁性体、非磁性粉体、結合剤、カ−ボンブラック、研磨
剤、帯電防止剤、潤滑剤、溶剤などすべての原料はどの
工程の最初または途中で添加してもかまわない。また、
個々の原料を2つ以上の工程で分割して添加してもかま
わない。例えば、ポリウレタンを混練工程、分散工程、
分散後の粘度調整のための混合工程で分割して投入して
もよい。本発明の目的を達成するためには、従来の公知
の製造技術を一部の工程として用いることができる。混
練工程ではオープンニーダ、連続ニ−ダ、加圧ニ−ダ、
エクストルーダなど強い混練力をもつものを使用するこ
とが好ましい。ニ−ダを用いる場合は磁性体または非磁
性粉体と結合剤のすべてまたはその一部(ただし全結合
剤の30%以上が好ましい)および磁性体100部に対
し15〜500部の範囲で混練処理される。これらの混
練処理の詳細については特開平1−106338号、特
開平1−79274号各公報に記載されている。また、
磁性層液および非磁性層液を分散させるにはガラスビー
ズを用ることができるが、高比重の分散メディアである
ジルコニアビーズ、チタニアビーズ、スチールビーズが
好適である。これら分散メディアの粒径と充填率は最適
化して用いられる。分散機は公知のものを使用すること
ができる。
【0062】本発明で重層構成の磁気記録媒体を塗布す
る場合、以下のような方式を用いることが好ましい。第
一に磁性塗料の塗布で一般的に用いられるグラビア塗
布、ロール塗布、ブレード塗布、エクストルージョン塗
布装置等により、まず下層を塗布し、下層がウェット状
態のうちに特公平1−46186号や特開昭60−23
8179号、特開平2−265672号の各公報に開示
されている支持体加圧型エクストルージョン塗布装置に
より上層を塗布する方法。第二に特開昭63−8808
0号、特開平2−17971号、特開平2−26567
2号の各公報に開示されているような塗布液通液スリッ
トを二つ内蔵する一つの塗布ヘッドにより上下層をほぼ
同時に塗布する方法。第三に特開平2−174965号
公報に開示されているバックアップロール付きエクスト
ルージョン塗布装置により上下層をほぼ同時に塗布する
方法である。なお、磁性粒子の凝集による磁気記録媒体
の電磁変換特性等の低下を防止するため、特開昭62−
95174号公報や特開平1−236968号公報に開
示されているような方法により塗布ヘッド内部の塗布液
にせん断を付与することが望ましい。さらに、塗布液の
粘度については、特開平3−8471号公報に開示され
ている数値範囲を満足する必要がある。本発明の構成を
実現するには下層を塗布し乾燥させたのち、その上に磁
性層を設ける逐次重層塗布をもちいてもむろんかまわ
ず、本発明の効果が失われるものではない。ただし、塗
布欠陥を少なくし、ドロップアウトなどの品質を向上さ
せるためには、前述の同時重層塗布を用いることが好ま
しい。
【0063】デイスクの場合、配向装置を用いず無配向
でも十分に等方的な配向性が得られることもあるが、コ
バルト磁石を斜めに交互に配置すること、ソレノイドで
交流磁場を印加するなど公知のランダム配向装置を用い
ることが好ましい。等方的な配向とは強磁性金属微粉末
の場合、一般的には面内2次元ランダムが好ましいが、
垂直成分をもたせて3次元ランダムとすることもでき
る。六方晶フェライトの場合は一般的に面内および垂直
方向の3次元ランダムになりやすいが、面内2次元ラン
ダムとすることも可能である。また異極対向磁石など公
知の方法を用い、垂直配向とすることで円周方向に等方
的な磁気特性を付与することもできる。特に高密度記録
を行う場合は垂直配向が好ましい。また、スピンコート
を用い円周配向をしてもよい。
【0064】磁気テープの場合はコバルト磁石やソレノ
イドを用いて長手方向に配向する。乾燥風の温度、風
量、塗布速度を制御することで塗膜の乾燥位置を制御で
きる様にすることが好ましく、塗布速度は20m/分〜
1000m/分、乾燥風の温度は60℃以上が好まし
い、また磁石ゾ−ンに入る前に適度の予備乾燥を行なう
こともできる。
【0065】上記塗布、乾燥後、通常、磁気記録媒体に
カレンダー処理を施す。カレンダー処理ロ−ルとしてエ
ポキシ、ポリイミド、ポリアミド、ポリイミドアミド等
の耐熱性のあるプラスチックロ−ルまたは金属ロ−ルで
処理するが、特に両面磁性層とする場合は金属ロ−ル同
志で処理することが好ましい。処理温度は、好ましくは
50℃以上、さらに好ましくは100℃以上である。線
圧力は好ましくは200kg/cm(196kN/m)
以上、さらに好ましくは300kg/cm(294kN
/m)以上である。
【0066】[物理特性]本発明による磁気記録媒体の
磁性層の飽和磁束密度は、強磁性金属微粉末を用いた場
合0.2〜0.5T、六方晶系フェライト粉末を用いた
場合0.1〜0.3Tである。抗磁力HcおよびHrは
2000〜4330Oe(158〜350kA/m)で
あるが、好ましくは170〜280kA/mである。抗
磁力の分布は狭い方が好ましく、SFDおよびSFDr
は0.6以下が好ましい。
【0067】本発明の磁気記録媒体のヘッドに対する摩
擦係数は温度−10℃から40℃、湿度0%から95%
の範囲において0.5以下、好ましくは0.3以下、表
面固有抵抗は好ましくは磁性面104〜1012オ−ム/
sq、帯電位は−500Vから+500V以内が好まし
い。磁性層の0.5%伸びでの弾性率は面内各方向で好
ましくは100〜2000Kg/mm2(0.98〜1
9.6GPa)、破断強度は好ましくは10〜70Kg
/mm2(98〜686MPa)、磁気記録媒体の弾性
率は面内各方向で好ましくは100〜1500Kg/m
2(0.98〜14.7GPa)、残留のびは好まし
くは0.5%以下、100℃以下のあらゆる温度での熱
収縮率は好ましくは1%以下、さらに好ましくは0.5
%以下、もっとも好ましくは0.1%以下である。磁性
層のガラス転移温度(110Hzで測定した動的粘弾性
測定の損失弾性率の極大点)は50℃以上120℃以下
が好ましく、下層非磁性層のそれは0℃〜100℃が好
ましい。損失弾性率は1×109〜8×1010μN/c
2の範囲にあることが好ましく、損失正接は0.2以
下であることが好ましい。損失正接が大きすぎると粘着
故障が発生しやすい。これらの熱特性や機械特性は媒体
の面内各方向で10%以内でほぼ等しいことが好まし
い。磁性層中に含まれる残留溶媒は好ましくは100m
g/m2以下、さらに好ましくは10mg/m2以下であ
る。塗布層が有する空隙率は非磁性層、磁性層とも好ま
しくは30容量%以下、さらに好ましくは20容量%以
下である。空隙率は高出力を果たすためには小さい方が
好ましいが、目的によってはある値を確保した方が良い
場合がある。例えば、繰り返し用途が重視されるディス
ク媒体では空隙率が大きい方が走行耐久性は好ましいこ
とが多い。
【0068】磁性層の中心面平均表面粗さRaはWYC
O社製TOPO−3Dを用いて約250μm×250μ
mの面積での測定で通常、4.0nm以下、好ましくは
3.8nm以下、さらに好ましくは3.5nm以下であ
る。磁性層の最大高さRmaxは0.5μm以下、十点
平均粗さRzは0.3μm以下、中心面山高さRpは
0.3μm以下、中心面谷深さRvは0.3μm以下、
中心面面積率Srは20%以上、80%以下、平均波長
λaは5μm以上、300μm以下が好ましい。磁性層
の表面突起は前述の通りに設定することにより電磁変換
特性、摩擦係数を最適化することが好ましい。これらは
支持体のフィラ−による表面性のコントロ−ルや前述し
たように磁性層に添加する粉体の粒径と量、カレンダ処
理のロ−ル表面形状などで容易にコントロ−ルすること
ができる。カールは±3mm以内とすることが好まし
い。
【0069】本発明の磁気記録媒体で非磁性層と磁性層
を有する場合、目的に応じ非磁性層と磁性層でこれらの
物理特性を変えることができるのは容易に推定されるこ
とである。例えば、磁性層の弾性率を高くし走行耐久性
を向上させると同時に非磁性層の弾性率を磁性層より低
くして磁気記録媒体のヘッドへの当りを良くするなどで
ある。
【0070】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を説明するが、
本発明はこれに限定されるべきものではない。なお、以
下の「部」とは「質量部」のことである。 実施例1 <塗料の作成> 磁性塗料 バリウムフェライト磁性粉 100部 (平均粒径20nm、板状比3、 面内角形比:長手方向0.7、垂直方向0.3) 塩化ビニル共重合体 MR110(日本ゼオン社製) 5部 ポリウレタン樹脂 UR8200(東洋紡社製) 3部 硬化剤(ポリイソシアネート) 5部 αアルミナ HIT55(住友化学社製) 5部 平均粒子径:0.2μm カ−ボンブラック #50(旭カーボン社製) 1部 平均粒子径:0.08μm 比表面積:23m2/g DBP吸油量:25ml/100g pH:5.5 揮発分:1.0% フェニルホスホン酸 2部 ブチルステアレート 10部 ブトキシエチルステアレート 5部 イソヘキサデシルステアレート 3部 ステアリン酸 2部 メチルエチルケトン 125部 シクロヘキサノン 125部
【0071】上記塗料について、各成分をニ−ダで混練
したのち、サンドミルをもちいて分散させた。得られた
分散液に、1μmの平均孔径を有するフィルターを用い
て濾過し、磁性層形成用の塗布液をそれぞれ調製した。
得られた液を厚さ62μmの中心線平均表面粗さ3nm
のPET支持体上に塗布し、湿潤状態のうちに塗布磁場
強度3000Gの中を通過させて、長手配向処理をおこ
ない乾燥後、7段のカレンダで温度90℃、線圧300
kg/cmにて処理を行い、テープ試料を得た。
【0072】テープ性能等を下記の測定法により評価し
た。 測定法 (1)強磁性粉末の平均粒径 透過型電子顕微鏡(TEM)にて50万倍で粒子の写真
を撮影し、画像解析装置で500個の粒子のサイズを計
測した。 (2)強磁性粉末の板状比 上記TEMにおいて、粒子の厚さ(六角板の垂直方向)
に対する板径(粒径)の比を求めた。 (3)磁性層角形比 振動試料型磁束計(東英工業社製)を用い、飽和磁界
(Hm)10kOeで測定した。 (4)磁性層厚み 媒体の切片を作成し、TEMにて磁性層の平均厚みを測
定した。 (5)表面電気抵抗 FEC式表面電気抵抗治具を用い、Digital High Megoh
m meter (TR-86110)により、50Vの電圧をかけて測定
した。 (6)電磁変換特性 回転ドラムに巻き付けた磁気テープに磁気ヘッドを押し
当てて測定した。回転ドラムの直径は60mm、ヘッド
/テープ相対速度は10m/secとした。記録は飽和
磁化1.4TのMIGヘッド(gl:0.3μm、トラ
ック幅18μm)を使い記録電流は、各テープの最適記
録電流に設定した。再生ヘッドには素子厚み25nm
の、シールド間隔0.2μmの異方性型MRヘッド(A
−MR)を用いた。 (7)S/N比 記録波長0.2μmの信号を記録し、再生信号をシバソ
ク製のスペクトラムアナライザーで周波数分析し、キャ
リア信号(波長0.2μm)の出力と、スペクトル全帯
域の積分ノイズとの比をS/N(dB)とした。
【0073】実施例2〜10、比較例1〜11 記録ヘッドのギャップ長(gl)、強磁性粉末、磁性層
厚を表1及び表2に記載のように変更した以外は、実施
例1と同様にしてテープ試料を得た。尚、全ての実施例
において強磁性粉末は、バリウムフェライトを使用し
た。
【0074】
【表1】
【0075】
【表2】
【0076】上表より、本発明のシステムまたは磁気記
録媒体を用いた実施例1〜10は、ノイズが小さく、S
/N比及び出力が比較例よりも優れていることが分る。
【発明の効果】本発明によれば、電磁変換特性が良好で
特に高密度記録領域でのS/N比が格段に改良され、か
つ耐久性に優れた、インダクティブヘッドとMRヘッド
を組み合わせた記録再生システムを提供することがで
き、また生産性に優れた磁気記録媒体であって、かつM
Rヘッドを組み合わせた記録再生システムにおいてノイ
ズの低い高密度特性に優れ、かつ耐久性に優れた塗布型
磁気記録媒体を提供することができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】磁気記録媒体にインダクティブヘッドによ
    り信号を記録し、磁気抵抗型ヘッドにより信号を再生す
    る磁気記録再生システムにおいて、前記磁気記録媒体
    が、支持体上に強磁性粉末および結合剤を含む磁性層を
    有し、前記インダクティブヘッドのギャップ長が0.3
    μm以下であり、前記強磁性粉末の平均粒子径が10〜
    35nm、板状比が2〜6であり、前記磁性層の面内に
    おける角形比が長手方向に0.5〜0.9の範囲、厚み
    方向に0.2〜0.6の範囲で、かつ前記磁性層の厚み
    が0.01〜0.2μmであることを特徴とする磁気記
    録再生システム。
  2. 【請求項2】ギャップ長が0.3μm以下のインダクテ
    ィブヘッドにより信号を記録し、磁気抵抗型ヘッドによ
    り信号を再生する磁気記録再生システムに用いる磁気記
    録媒体であって、該磁気記録媒体が、支持体上に強磁性
    粉末および結合剤を含む磁性層を有し、前記強磁性粉末
    の平均粒子径が10〜35nm、板状比が2〜6であ
    り、前記磁性層の面内における角形比が長手方向に0.
    5〜0.9の範囲、厚み方向に0.2〜0.6の範囲
    で、かつ前記磁性層の厚みが0.01〜0.2μmであ
    ることを特徴とする磁気記録媒体。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007114394A1 (ja) * 2006-03-30 2007-10-11 Fujifilm Corporation 磁気記録媒体、リニア磁気記録再生システムおよび磁気記録再生方法
JP2007305197A (ja) * 2006-04-10 2007-11-22 Fujifilm Corp 磁気記録媒体

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