JPH1186273A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JPH1186273A
JPH1186273A JP19185698A JP19185698A JPH1186273A JP H1186273 A JPH1186273 A JP H1186273A JP 19185698 A JP19185698 A JP 19185698A JP 19185698 A JP19185698 A JP 19185698A JP H1186273 A JPH1186273 A JP H1186273A
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JP
Japan
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magnetic
recording medium
powder
layer
magnetic layer
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JP19185698A
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English (en)
Inventor
Nobuo Yamazaki
信夫 山崎
Shinji Saito
真二 斉藤
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】電磁変換特性、特に高密度記録特性が格段に改
良され、耐久性能が実用上充分な高密度記録用磁気記録
媒体を提供すること。 【解決手段】支持体上に実質的に非磁性である下層と強
磁性粉末を結合剤中に分散してなる磁性層をこの順に設
けた磁気記録媒体において、前記磁性層は抗磁力(H
c)が1800エルステッド(Oe)以上であり、かつ
中心面平均表面粗さRaが0.5〜5.0nmであり、
さらに前記磁性層中には平均粒径0.10〜1.0μm
であるダイアモンド微粒子を強磁性粉末に対して0.0
1〜5重量%含有することを特徴とする磁気記録媒体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は塗布型の高記録密度
の磁気記録媒体に関する。特に磁性層と実質的に非磁性
の下層を有し、最上層に強磁性金属微粉末または六方晶
フェライト微粉末を含む高密度記録用の磁気記録媒体に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】磁気ディスクの分野において、Co変性
酸化鉄を用いた2MBのMF−2HDフロッピーディス
クがパーソナルコンピュータに標準搭載されようになっ
た。しかし扱うデータ容量が急激に増加している今日に
おいて、その容量は十分とは言えなくなり、フロッピー
ディスクの大容量化が望まれていた。
【0003】また磁気テープの分野においても近年、ミ
ニコンピューター、パーソナルコンピューター、ワーク
ステーションなどのオフィスコンピューターの普及に伴
って、外部記憶媒体としてコンピューターデータを記録
するための磁気テープ(いわゆるバックアップテープ)
の研究が盛んに行われている。このような用途の磁気テ
ープの実用化に際しては、とくにコンピューターの小型
化、情報処理能力の増大と相まって、記録の大容量化、
小型化を達成するために、記録容量の向上が強く要求さ
れる。
【0004】従来、磁気記録媒体には酸化鉄、Co変性
酸化鉄、CrO2 、強磁性金属粉末、六方晶系フェライ
ト粉末を結合剤中に分散した磁性層を非磁性支持体に塗
設したものが広く用いられる。この中でも強磁性金属微
粉末と六方晶系フェライト微粉末は高密度記録特性に優
れていることが知られている。デイスクの場合、高密度
記録特性に優れる強磁性金属微粉末を用いた大容量ディ
スクとしては10MBのMF−2TD、21MBのMF
−2SDまたは六方晶フェライトを用いた大容量ディス
クとしては4MBのMF−2ED、21MBフロプティ
カルなどがあるが、容量、性能的に十分とは言えなかっ
た。このような状況に対し、高密度記録特性を向上させ
る試みが多くなされている。以下にその例を示す。
【0005】ディスク状磁気記録媒体の特性を向上させ
るために、特開昭64−84418号公報には酸性基と
エポキシ基と水酸基を有する塩化ビニル樹脂を用いるこ
とが提案され、特公平3−12374号公報にはHc1
000Oe以上、比表面積25〜70m2/gの金属微粉末を
用いることが提案され、特公平6ー28106号公報に
は磁性体の比表面積と磁化量を定め、研磨剤を含ませる
ことが提案されている。
【0006】ディスク状磁気記録媒体の耐久性を改善さ
せるために、特公平7−85304には不飽和脂肪酸エ
ステルとエーテル結合を有する脂肪酸エステルを用いる
ことが提案され、特公平7ー70045には分岐脂肪酸
エステルとエーテル結合を有する脂肪酸エステルを用い
ることが提案され、特開昭54−124716にはモー
ス硬度6以上の非磁性粉末と高級脂肪酸エステルを含ま
せることが提案され、特公平7−89407には潤滑剤
を含む空孔の体積と表面粗さを0.005〜0.025
μmとすることが提案され、特開昭61−294637
には低融点と高融点の脂肪酸エステルを用いることが提
案され、特公平7ー36216には磁性層厚みに対し1
/4〜3/4の粒径の研磨剤と低融点の脂肪酸エステル
を用いることが提案され、特開平3−203018には
Alを含むメタル磁性体と酸化クロム用いることが提案
されている。
【0007】非磁性の下層や中間層を有するディスク状
磁気記録媒体の構成として、特開平3ー120613に
は導電層と金属微粉末を含む磁性層を有する構成が提案
され、特開平6−290446には1μm以下の磁性層
と非磁性層を有する構成が提案され、特開昭62−15
9337にはカーボン中間層と潤滑剤を含む磁性層から
なる構成が提案され、特開平5−290358にはカー
ボンサイズを規定した非磁性層を有する構成が提案され
ている。
【0008】一方、最近になり薄層磁性層と機能性非磁
性層からなるディスク状磁気記録媒体が開発され、10
0MBクラスのフロッピーディスクが登場している。こ
れらの特徴を示すものとして、特開平5−109061
にはHcが1400Oe以上で厚さ0.5μm以下の磁性
層と導電性粒子を含む非磁性層を有する構成が提案さ
れ、特開平5−197946には磁性層厚より大きい研
磨剤を含む構成が提案され、特開平5−290354に
は磁性層厚が0.5μm以下で、磁性層厚の厚み変動を
±15%以内とし、表面電気抵抗を規定した構成が、特
開平6−68453には粒径の異なる2種の研磨剤を含
ませ、表面の研磨剤量を規定した構成が提案されてい
る。
【0009】又テープ状の磁気記録媒体においても 近
年、ミニコンピュータ、パーソナルコンピュータなどの
オフィスコンピュータの普及に伴って、外部記憶媒体と
してコンピュータデータを記録するための磁気テープ
(所謂、バックアップテープ)の研究が盛んに行われて
いる。このような用途の磁気テープの実用化に際して
は、特にコンピュータの小型化、情報処理能力の増大と
相まって、記録の大容量化、小型化を達成するために記
録容量の向上が強く要求される。また磁気テープの使用
環境の広がりによる幅広い環境条件下(特に、変動の激
しい温湿度条件下など)での使用、データ保存に対する
信頼性、更に高速での繰り返し使用による多数回走行に
おけるデータの安定した記録、読み出し等の性能に対す
る信頼性なども従来に増して要求される。
【0010】特開平6−52541には研磨剤としてア
ルミナ、酸化クロム、ダイアモンドの内少なくとも1種
を含む磁気記録媒体が示され、これら高硬度粉末を添加
すると走行安定性が良好になるとしている。磁性層の厚
み損失による再生出力の低下を改良するために、磁性層
を薄層化することが知られており、例えば、特開平5ー
182178号公報には非磁性支持体上に無機質粉末を
含み、結合剤に分散してなる下層非磁性層と該非磁性層
が湿潤状態にある内に強磁性粉末を結合剤に分散してな
る1.0μm以下の厚みの上層磁性層を設けた磁気記録
媒体が開示されている。
【0011】しかしながら、急速なディスク状やテープ
状の磁気記録媒体の大容量化、高密度化にともない、こ
のような技術をもってしても満足な特性を得ることが難
しくなってきていた。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は電磁変換特
性、特に高密度記録特性が格段に改良され、耐久性能が
実用上充分な高密度記録用磁気記録媒体を提供すること
を目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは電磁変換特
性と耐久性が良好で特に高密度記録領域でのエラーレー
トが格段に改良された磁気記録媒体を得るために鋭意検
討した結果、以下のような媒体とすることで、本発明の
目的である優れた高密度記録特性が得られることを見い
だし、本発明に至ったものである。
【0014】本発明は支持体上に実質的に非磁性である
下層と強磁性粉末を結合剤中に分散してなる磁性層をこ
の順に設けた磁気記録媒体において、前記磁性層は抗磁
力(Hc)が1800エルステッド(Oe)以上であ
り、かつ中心面平均表面粗さ(Ra)が0.5〜5.0
nmであり、さらに前記磁性層中には平均粒径0.10
〜1.0μmであるダイアモンド微粒子を強磁性粉末に
対して0.01〜5重量%含有することを特徴とする磁
気記録媒体とすることで、従来の技術では得ることがで
きなかった優れた高密度特性と優れた耐久性を併せ持ち
高密度記録領域でのSN比が格段に改良された磁気記録
媒体を得ることができることを見いだしたものである。
【0015】ここで実質的に非磁性である下層とは記録
に関与しない程度に磁性を持っていても良いという意味
であり、以降単に下層または非磁性層という。本発明
は、従来、高密度記録に適している下層を設けた上に薄
層磁性層を設けることと、磁性層のHcを高く、磁性層
表面性を平滑にした磁気記録媒体をもとに検討した結
果、なされたものである。このような磁気記録媒体を越
えて更に高密度記録を達成するためには出力向上よりノ
イズ低減の方が効果が大きく、改善余地も大きいと考え
た。
【0016】塗布型磁気記録媒体のノイズには多くの要
因がある。その要因は磁性体の大きさ、磁性層の欠陥
(磁性層表面の凹凸、空隙、磁性体凝集、磁性層と下層
の界面乱れ、磁性層厚み変動、更に各種物理特性の分
布)等である。これらの要因とノイズへの寄与の大きさ
を見積もった結果、磁性層中に添加する非磁性粉体が空
隙、表面凹凸、磁性体凝集、下層と磁性層の界面の乱れ
等に大きく影響を及ぼしていることをつきとめた。
【0017】本発明はこれら知見に基づいて検討され、
ダイアモンド微粒子を研磨剤とした場合、少量で耐久性
が確保できること、磁性体凝集、他の磁性層欠陥への悪
影響が極端に少なくなることを見いだした。結果的にノ
イズを格段に改良でき、更に出力も若干増加し、従来に
ない優れたSN比と耐久性を両立する磁気記録媒体を得
ることができた。
【0018】本発明に使用するダイアモンド微粒子は、
平均粒径が0.10〜1.0μmで、好ましくは0.1
0〜0.8μmである。平均粒径が0.10μm未満で
は添加量に対する耐久性向上の効果が低くなる。1.0
μmより大きいと耐久性は優れるもののノイズが高くな
り、本発明の目的は達成されない。本発明においては、
各ダイアモンド微粒子の最大径をもって粒径とし、平均
粒径とは電子顕微鏡から無作為に抽出される500ケの
粒子の測定値の平均値を指す。
【0019】ダイアモンド微粒子の添加量は、強磁性粉
末に対して0.01〜5重量%、好ましくは0.03〜
3.00重量%の範囲である。0.01重量%未満で
は、耐久性の確保が困難になり、5重量%を越えるとダ
イアモンド添加によるノイズ低減効果が少なくなる。ノ
イズ、耐久性の観点からダイアモンド微粒子の添加量及
び平均粒径は、上記範囲に規定されるが、ノイズの観点
からは、ダイアモンドの添加量はできるだけ少ない方が
好ましく、本発明の磁気記録媒体は、磁気記録再生装置
にあったダイアモンドの添加量、その平均粒径を上記範
囲から適宜選定することが好ましい。
【0020】また、ダイアモンド微粒子の粒度分布とし
ては、粒径が平均粒径の200%以上の粒子個数がダイ
アモンド全個数中の5%以下であり、粒径が平均粒径の
50%以下の粒子個数がダイアモンド全個数中の20%
以下であることが好ましい。本発明に使用されるダイア
モンド微粒子の粒径の最大値は、3.00μm、好まし
くは2.00μm程度であり、その最小径は0.01μ
m、好ましくは0.02μm程度である。
【0021】粒度分布の測定は、上記の粒子径の測定の
際に平均粒径を基準にその個数を計数して求める。ダイ
アモンド微粒子は、その粒度分布も耐久性とノイズに影
響する。粒度分布が上記範囲より広いと前述したように
本発明において設定した平均粒径に相当する効果がずれ
る。即ち、粒径が大きすぎるものが多いとノイズを増大
させたり、ヘッドを傷つけたりする。また、微小なもの
が多いと研磨効果が不充分となる。また、極端に粒度分
布の狭いものはダイアモンド微粒子の価格が高くなり、
上記範囲とすることがコスト的にも有利である。ダイア
モンド粒子は、高硬度であり、且つ本発明のように粒度
分布がシャープで微粒子のダイアモンド粒子を使用する
と従来の研磨剤よりも含有量が少なくて同じ程度の研磨
効果を期待できるので、ノイズの観点から有利である。
【0022】更に、本発明ではダイアモンド微粒子に、
従来使用されている研磨剤、例えば、アルミナ、SiC
等の研磨剤を併用することもできる。耐久性とSN比へ
の効果は、少量のダイアモンド微粒子のみの方が良好だ
が、コスト他の理由でアルミナ、SiC等のダイアモン
ド微粒子以外の研磨剤を加えてもよい。この場合もダイ
アモンド微粒子を含むためにアルミナ単独で耐久性に必
要な添加量よりもかなり減量することができ、耐久性の
確保及びノイズの低減の観点からも好ましい。
【0023】本発明の磁気記録媒体の磁性層の抗磁力
(Hc)は1800Oe以上であり、好ましくは200
0Oe以上であり、更に好ましくは2300〜3500
Oeである。上限は明確ではないが、本発明による記録
ヘッド(Bs:1.8T(テスラ))での検討では35
00Oe程度と思われる。1800Oe未満では本発明
が指向する高記録密度は達成されない。
【0024】本発明の磁性層の中心面平均表面粗さ(R
a)は、3D−MIRAU法により測定される値であ
り、本発明では0.5〜5.0nm、好ましくは4nm
以下、更に好ましくは3nm以下である。5.0nmを
越えると磁気記録媒体とヘッドのスペーシングロスが大
きくなり、出力が低く、ノイズが高くなり、本発明の磁
気記録媒体が有する媒体性能を発揮出来ない。0.5n
mに満たないと磁性層が磁気ヘッドにより損傷を受けや
すくなるので好ましくない。
【0025】
【発明の実施の形態】
[磁性層]本発明の磁気記録媒体では下層と、超薄層な
磁性層(以下、「上層」、「上層磁性層」ともいう)を
支持体の片面だけでも、両面に設けても良い。上下層は
下層を塗布後、下層が湿潤状態の内(W/W)でも、乾
燥した後(W/D)にでも上層磁性層を設けることが出
来る。生産得率の点から同時、又は逐次湿潤塗布が好ま
しいが、デイスクの場合は乾燥後塗布も十分使用でき
る。本発明の重層構成で同時、又は逐次湿潤塗布(W/
W)では上層/下層が同時に形成できるため、カレンダ
ー工程などの表面処理工程を有効に活用でき、超薄層で
も上層磁性層の表面粗さを良化できる。
【0026】[強磁性金属粉末]本発明の上層磁性層に
使用する強磁性粉末としては、強磁性金属粉末または六
方晶フェライト粉末が好ましい。強磁性金属粉末として
は、α−Feを主成分とする強磁性合金粉末が好まし
い。これらの強磁性粉末には所定の原子以外にAl、S
i、S、Sc、Ca、Ti、V、Cr、Cu、Y、M
o、Rh、Pd、Ag、Sn、Sb、Te、Ba、T
a、W、Re、Au、Hg、Pb、Bi、La、Ce、
Pr、Nd、Sm、P、Co、Mn、Zn、Ni、S
r、Bなどの原子を含んでもかまわない。特に、Al、
Si、Ca、Y、Ba、La、Nd、Sm、Co、N
i、Bの少なくとも1つをα−Fe以外に含むことが好
ましく、Co、Y、Al、Nd、Smの少なくとも一つ
を含むことがさらに好ましい。Coの含有量はFeに対
して0原子%以上40原子%以下が好ましく、さらに好
ましくは15原子%以上35原子%以下、より好ましく
は20原子%以上35原子%以下である。Yの含有量は
1.5原子%以上12原子%以下が好ましく、さらに好
ましくは3原子%以上10原子%以下、より好ましくは
4原子%以上9原子%以下である。Alは1.5原子%
以上12原子%以下が好ましく、さらに好ましくは3原
子%以上10原子%以下、より好ましくは4原子%以上
9原子%以下である。これらの強磁性粉末にはあとで述
べる分散剤、潤滑剤、界面活性剤、帯電防止剤などで分
散前にあらかじめ処理を行ってもかまわない。具体的に
は、特公昭44−14090号、特公昭45−1837
2号、特公昭47−22062号、特公昭47−225
13号、特公昭46−28466号、特公昭46−38
755号、特公昭47−4286号、特公昭47−12
422号、特公昭47−17284号、特公昭47−1
8509号、特公昭47−18573号、特公昭39−
10307号、特公昭46−39639号、米国特許第
3026215号、同3031341号、同31001
94号、同3242005号、同3389014号など
に記載されている。
【0027】強磁性金属粉末には少量の水酸化物、また
は酸化物が含まれてもよい。強磁性金属粉末の公知の製
造方法により得られたものを用いることができ、下記の
方法を挙げることができる。複合有機酸塩(主としてシ
ュウ酸塩)と水素などの還元性気体で還元する方法、酸
化鉄を水素などの還元性気体で還元してFeあるいはF
e−Co粒子などを得る方法、金属カルボニル化合物を
熱分解する方法、強磁性金属の水溶液に水素化ホウ素ナ
トリウム、次亜リン酸塩あるいはヒドラジンなどの還元
剤を添加して還元する方法、金属を低圧の不活性気体中
で蒸発させて微粉末を得る方法などである。このように
して得られた強磁性金属粉末は公知の徐酸化処理、すな
わち有機溶剤に浸漬したのち乾燥させる方法、有機溶剤
に浸漬したのち酸素含有ガスを送り込んで表面に酸化膜
を形成したのち乾燥させる方法、有機溶剤を用いず酸素
ガスと不活性ガスの分圧を調整して表面に酸化皮膜を形
成する方法のいずれを施したものでも用いることができ
る。
【0028】本発明の磁性層の強磁性金属粉末をBET
法による比表面積で表せば45〜80m2 /gであり、
好ましくは50〜70m2/gである。45m2/g以下
ではノイズが高くなり、80m2/g以上では表面性が
得にくく好ましくない。本発明の磁性層の強磁性金属粉
末の結晶子サイズは80〜180Åであり、好ましくは
100〜180Å、更に好ましくは110〜175Åで
ある。強磁性金属粉末の平均長軸長は、好ましくは30
〜150nmであり、さらに好ましくは30〜100n
mである。強磁性金属粉末の針状比は3以上15以下が
好ましく、さらには5以上12以下が好ましい。強磁性
金属粉末の飽和磁化(σS )は100〜200emu/gで
あり、好ましくは120emu/g 〜180emu/g である。
【0029】強磁性金属粉末の含水率は0.01〜2重
量%とするのが好ましい。結合剤の種類によって強磁性
金属粉末の含水率は最適化するのが好ましい。強磁性金
属粉末のpHは、用いる結合剤との組合せにより最適化
することが好ましい。その範囲は通常、4〜12である
が、好ましくは6〜10である。強磁性金属粉末は必要
に応じ、Al、Si、Pまたはこれらの酸化物などで表
面処理を施してもかまわない。その量は強磁性金属粉末
に対し通常、0.1〜10重量%であり表面処理を施す
と脂肪酸などの潤滑剤の吸着が100mg/m2 以下に
なり好ましい。強磁性金属粉末には可溶性のNa、C
a、Fe、Ni、Srなどの無機イオンを含む場合があ
る。これらは、本質的に無い方が好ましいが、200pp
m以下であれば特に特性に影響を与えることは少ない。
また、本発明に用いられる強磁性金属粉末は空孔が少な
いほうが好ましくその値は20容量%以下、さらに好ま
しくは5容量%以下である。また形状については先に示
した粒子サイズについての特性を満足すれば針状、米粒
状、紡錘状のいずれでもかまわない。強磁性金属粉末自
体のSFD(switching field distribution) は小さい
方が好ましく、0.8以下が好ましい。強磁性金属粉末
のHcの分布を小さくする必要がある。尚、SFDが
0.8以下であると、電磁変換特性が良好で、出力が高
く、また、磁化反転がシャープでピークシフトも少なく
なり、高密度デジタル磁気記録に好適である。Hcの分
布を小さくするためには、強磁性金属粉末においてはゲ
ータイトの粒度分布を良くする、焼結を防止するなどの
方法がある。
【0030】[六方晶フェライト粉末]六方晶フェライ
トとしては、バリウムフェライト、ストロンチウムフェ
ライト、鉛フェライト、カルシウムフェライトの各置換
体、Co置換体等がある。具体的にはマグネトプランバ
イト型のバリウムフェライト及びストロンチウムフェラ
イト、スピネルで粒子表面を被覆したマグネトプランバ
イト型フェライト、更に一部スピネル相を含有したマグ
ネトプランバイト型のバリウムフェライト及びストロン
チウムフェライト等が挙げられ、その他所定の原子以外
にAl、Si、S,Sc、Ti、V,Cr、Cu,Y,
Mo,Rh,Pd,Ag、Sn、Sb、Te、Ba、T
a、W、Re、Au、Hg、Pb、Bi、La、Ce、
Pr、Nd、P,Co,Mn,Zn、Ni、Sr、B、
Ge、Nbなどの原子を含んでもかまわない。一般には
Co−Zn、Co−Ti,Co−Ti−Zr、Co−T
i−Zn,Ni−Ti−Zn,Nb−Zn−Co、Sb
ーZn−Co、Nb−Zn等の元素を添加した物を使用
することができる。原料・製法によっては特有の不純物
を含有するものもある。六方晶フェライト粉末の粉体サ
イズは、六角板の最大長径の平均(以下、「平均板径」
という)で、好ましくは10〜35nmである。
【0031】特にトラック密度を上げるため磁気抵抗ヘ
ッド(MRヘッド)で再生する場合、低ノイズにする必
要があり、板径は35nm以下が好ましいが、10nm未満
では熱揺らぎのため安定な磁化が望めない。35nmを越
えるとノイズが高く、いずれも高密度磁気記録には向か
ない。板状比(板径/板厚)は1〜15が望ましい。好
ましくは1〜7である。板状比が小さいと磁性層中の充
填性は高くなり好ましいが、十分な配向性が得られな
い。15より大きいと粒子間のスタッキングによりノイ
ズが大きくなる。この粒子サイズ範囲のBET法による
比表面積は30〜200m2/gを示す。比表面積は概ね
粒子板径と板厚からの算術計算値と符号する。粒子板径
・板厚の分布は通常狭いほど好ましい。数値化は困難で
あるが粒子TEM(透過型電子顕微鏡)写真より500
粒子を無作為に測定する事で比較できる。分布は正規分
布ではない場合が多いが、計算して平均サイズに対する
標準偏差で表すとσ/平均サイズ=0.1〜2.0であ
る。粒子サイズ分布をシャープにするには粒子生成反応
系をできるだけ均一にすると共に、生成した粒子に分布
改良処理を施すことも行われている。たとえば酸溶液中
で超微細粒子を選別的に溶解する方法等も知られてい
る。磁性体で測定される抗磁力Hcは500Oe〜500
0Oe程度まで作成できる。Hcは高い方が高密度記録に
有利であるが、記録ヘッドの能力で制限される。Hcは
粒子サイズ(板径・板厚)、含有元素の種類と量、元素
の置換サイト、粒子生成反応条件等により制御できる。
飽和磁化(σS )は30emu/g〜80emu/gである。微粒
子になるほど小さくなる傾向がある。製法では結晶化温
度、または熱処理温度時間を小さくする方法、添加する
化合物を増量する、表面処理量を多くする方法等があ
る。またW型六方晶フェライトを用いることも可能であ
る。磁性体を分散する際に磁性体粒子表面を分散媒、ポ
リマーに合った物質で処理することも行われている。表
面処理材は無機化合物、有機化合物が使用される。主な
化合物としてはSi、Al、P、等の酸化物または水酸
化物、各種シランカップリング剤、各種チタンカップリ
ング剤が代表例である。量は磁性体に対して0.1〜1
0重量%である。磁性体のpHも分散に重要である。通
常4〜12程度で分散媒、ポリマーにより最適値がある
が、媒体の化学的安定性、保存性から6〜11程度が選
択される。磁性体に含まれる水分も分散に影響する。分
散媒、ポリマーにより最適値があるが通常0.01〜
2.0重量%が選ばれる。六方晶フェライトの製法とし
ては、酸化バリウム・酸化鉄・鉄を置換する金属酸化
物とガラス形成物質として酸化ホウ素等を所望のフェラ
イト組成になるように混合した後溶融し、急冷して非晶
質体とし、次いで再加熱処理した後、洗浄・粉砕してバ
リウムフェライト結晶粉体を得るガラス結晶化法、バ
リウムフェライト組成金属塩溶液をアルカリで中和し、
副生成物を除去した後100℃以上で液相加熱した後洗
浄・乾燥・粉砕してバリウムフェライト結晶粉体を得る
水熱反応法、バリウムフェライト組成金属塩溶液をア
ルカリで中和し、副生成物を除去した後乾燥し1100
℃以下で処理し、粉砕してバリウムフェライト結晶粉体
を得る共沈法等があるが、本発明は製法を選ばない。
【0032】[下層]次に下層に関する詳細な内容につ
いて説明する。本発明の下層は実質的に非磁性であれば
その構成は制限されるべきものではないが、通常、少な
くとも樹脂からなり、好ましくは、粉体、例えば、無機
粉末あるいは有機粉末が樹脂中に分散されたものが挙げ
られる。該無機粉末は、通常、好ましくは非磁性粉末で
あるが、下層が実質的に非磁性である範囲で磁性粉末も
使用され得るものである。下層が実質的に非磁性である
とは、上層の電磁変換特性を実質的に低下させない範囲
で下層が磁性を有することを許容するということであ
る。
【0033】該非磁性粉末としては、例えば、金属酸化
物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属窒化物、金属炭化
物、金属硫化物等の無機化合物から選択することができ
る。無機化合物としては例えばα化率90%以上のα−
アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、θ−アルミ
ナ、炭化ケイ素、酸化クロム、酸化セリウム、α−酸化
鉄、ヘマタイト、ゲータイト、コランダム、窒化珪素、
チタンカーバイト、酸化チタン、二酸化珪素、酸化ス
ズ、酸化マグネシウム、酸化タングステン、酸化ジルコ
ニウム、窒化ホウ素、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸
カルシウム、硫酸バリウム、二硫化モリブデンなどが単
独または組合せで使用される。特に好ましいのは、粒度
分布の小ささ、機能付与の手段が多いこと等から、二酸
化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、硫酸バリウムであり、更
に好ましいのは二酸化チタン、α酸化鉄である。これら
非磁性粉末の平均粒子径は0.005〜2μmが好まし
いが、必要に応じて粒子サイズの異なる非磁性粉末を組
み合わせたり、単独の非磁性粉末でも粒径分布を広くし
て同様の効果をもたせることもできる。とりわけ好まし
いのは非磁性粉末の平均粒子径は0.01μm〜0.2
μmである。特に、非磁性粉末が粒状金属酸化物である
場合は、平均粒子径0.08μm以下が好ましく、針状
金属酸化物である場合は、平均長軸長が0.3μm以下
が好ましく、0.2μm以下がさらに好ましい。タップ
密度は0.05〜2g/ml、好ましくは0.2〜1.5g/
mlである。非磁性粉末の含水率は0.1〜5重量%、好
ましくは0.2〜3重量%、更に好ましくは0.3〜
1.5重量%である。非磁性粉末のpHは通常、2〜1
1であるが、pHは3〜10の間が特に好ましい。非磁
性粉末の比表面積は1〜100m2 /g、好ましくは5〜
80m2 /g、更に好ましくは10〜70m2 /gである。非
磁性粉末の結晶子サイズは0.004μm〜1μmが好
ましく、0.04μm〜0.1μmが更に好ましい。D
BP(ジブチルフタレート)を用いた吸油量は5〜10
0ml/100g、好ましくは10〜80ml/100g、更に好まし
くは20〜60ml/100gである。比重は1〜12、好ま
しくは3〜6である。形状は針状、球状、多面体状、板
状のいずれでも良い。モース硬度は4以上、10以下の
ものが好ましい。非磁性粉末のSA(ステアリン酸)吸
着量は1〜20μmol/ m2 、好ましくは2〜15μmol
/m2 、さらに好ましくは3〜8μmol/m2 である。これ
らの非磁性粉末の表面は表面処理が施されAl23
SiO2、TiO2 、ZrO2 、SnO2 、Sb23
ZnO、Y23 が存在することが好ましい。特に分散
性に好ましいのはAl23 、SiO2 、TiO2 、Z
rO2 であるが、更に好ましいのはAl23 、SiO2
、ZrO2 である。これらは組み合わせて使用しても
良いし、単独で用いることもできる。また、目的に応じ
て共沈させた表面処理層を用いても良いし、先ずアルミ
ナを存在させた後にその表層にシリカを存在させる方
法、またはその逆の方法を採ることもできる。また、表
面処理層は目的に応じて多孔質層にしても構わないが、
均質で密である方が一般には好ましい。
【0034】本発明の下層に用いられる非磁性粉末の具
体的な例としては、昭和電工製ナノタイト、住友化学製
HIT−100,ZA−G1、戸田工業社製αヘマタイ
トDPN−250,DPN−250BX,DPN−24
5,DPN−270BX,DPN−500BX,DBN
−SA1,DBN−SA3、石原産業製酸化チタンTT
O−51B,TTO−55A,TTO−55B,TTO
−55C,TTO−55S,TTO−55D,SN−1
00、αヘマタイトE270,E271,E300,E
303、チタン工業製酸化チタンSTT−4D,STT
−30D,STT−30,STT−65C、αヘマタイ
トα−40、テイカ製MT−100S,MT−100
T,MT−150W,MT−500B,MT−600
B,MT−100F,MT−500HD、堺化学製FI
NEX−25,BF−1,BF−10,BF−20,S
T−M、同和鉱業製DEFIC−Y,DEFIC−R、
日本アエロジル製AS2BM,TiO2P25、宇部興
産製100A,500A、及びそれを焼成したものが挙
げられる。特に好ましい非磁性粉末は二酸化チタンとα
−酸化鉄である。
【0035】下層にカ−ボンブラックを混合させて公知
の効果である表面電気抵抗Rsを下げること、光透過率
を小さくすることができるとともに、所望のマイクロビ
ッカース硬度を得る事ができる。また、下層にカーボン
ブラックを含ませることで潤滑剤貯蔵の効果をもたらす
ことも可能である。カーボンブラックの種類はゴム用フ
ァ−ネス、ゴム用サ−マル、カラ−用ブラック、アセチ
レンブラック、等を用いることができる。下層のカーボ
ンブラックは所望する効果によって、以下のような特性
を最適化すべきであり、併用することでより効果が得ら
れることがある。
【0036】下層のカ−ボンブラックの比表面積は10
0〜500m2/g、好ましくは150〜400m2/g、
DBP吸油量は20〜400ml/100g、好ましくは30
〜400ml/100gである。カ−ボンブラックの平均粒子
径は5nm〜80nm、好ましくは10〜50nm、さ
らに好ましくは10〜40nmである。カ−ボンブラッ
クのpHは2〜10、含水率は0.1〜10重量%、タ
ップ密度は0.1〜1g/mlが好ましい。本発明に用い
られるカ−ボンブラックの具体的な例としてはキャボッ
ト社製 BLACKPEARLS 2000,130
0,1000,900,800,880,700、VU
LCAN XC−72、三菱化成工業社製#3050
B,#3150B,#3250B,#3750B,#3
950B,#950,#650B,#970B,#85
0B,MA−600,MA−230,#4000,#4
010、コロンビアンカ−ボン社製 CONDUCTE
XSC、RAVEN 8800,8000,7000,
5750,5250,3500,2100,2000,
1800,1500,1255,1250、アクゾー社
製ケッチェンブラックECなどがあげられる。カ−ボン
ブラックを分散剤などで表面処理したり、樹脂でグラフ
ト化して使用しても、表面の一部をグラファイト化した
ものを使用してもかまわない。また、カ−ボンブラック
を塗料に添加する前にあらかじめ結合剤で分散してもか
まわない。これらのカーボンブラックは上記無機質粉末
に対して50重量%を越えない範囲、非磁性層総重量の
40重量%を越えない範囲で使用できる。これらのカ−
ボンブラックは単独、または組合せで使用することがで
きる。本発明で使用できるカ−ボンブラックは例えば
「カ−ボンブラック便覧」(カ−ボンブラック協会編)
を参考にすることができる。
【0037】また下層には有機質粉末を目的に応じて、
添加することもできる。例えば、アクリルスチレン系樹
脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、メラミン系樹脂粉
末、フタロシアニン系顔料が挙げられるが、ポリオレフ
ィン系樹脂粉末、ポリエステル系樹脂粉末、ポリアミド
系樹脂粉末、ポリイミド系樹脂粉末、ポリフッ化エチレ
ン樹脂も使用することができる。その製法は特開昭62
−18564号、特開昭60−255827号に記され
ているようなものが使用できる。
【0038】[結合剤]本発明の磁性層と下層、バック
層のバインダー、潤滑剤、分散剤、添加剤、溶剤、分散
方法その他は磁性層、下層、バック層のそれが適用でき
る。特に、バインダー量、種類、添加剤、分散剤の添加
量、種類に関しては磁性層に関する公知技術が適用でき
る。
【0039】本発明に使用される結合剤としては従来公
知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応型樹脂やこれら
の混合物が使用される。熱可塑性樹脂としては、ガラス
転移温度が−100〜150℃、数平均分子量が1,0
00〜200,000、好ましくは10,000〜10
0,000、重合度が約50〜1000程度のものであ
る。
【0040】このような例としては、塩化ビニル、酢酸
ビニル、ビニルアルコ−ル、マレイン酸、アクリル酸、
アクリル酸エステル、塩化ビニリデン、アクリロニトリ
ル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、スチレン、
ブタジエン、エチレン、ビニルブチラ−ル、ビニルアセ
タ−ル、ビニルエ−テル、等を構成単位として含む重合
体または共重合体、ポリウレタン樹脂、各種ゴム系樹脂
がある。また、熱硬化性樹脂または反応型樹脂としては
フェノ−ル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン硬化型樹
脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、アクリル
系反応樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリコ−ン樹脂、
エポキシ−ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂とイソシ
アネ−トプレポリマ−の混合物、ポリエステルポリオ−
ルとポリイソシアネ−トの混合物、ポリウレタンとポリ
イソシアネートの混合物等があげられる。これらの樹脂
については朝倉書店発行の「プラスチックハンドブッ
ク」に詳細に記載されている。また、公知の電子線硬化
型樹脂を各層に使用することも可能である。これらの例
とその製造方法については特開昭62−256219に
詳細に記載されている。以上の樹脂は単独または組合せ
て使用できるが、好ましいものとして塩化ビニル樹脂、
塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル酢酸ビニル
ビニルアルコ−ル共重合体、塩化ビニル酢酸ビニル無水
マレイン酸共重合体、から選ばれる少なくとも1種とポ
リウレタン樹脂の組合せ、またはこれらにポリイソシア
ネ−トを組み合わせたものがあげられる。
【0041】ポリウレタン樹脂の構造はポリエステルポ
リウレタン、ポリエ−テルポリウレタン、ポリエ−テル
ポリエステルポリウレタン、ポリカ−ボネ−トポリウレ
タン、ポリエステルポリカ−ボネ−トポリウレタン、ポ
リカプロラクトンポリウレタンなど公知のものが使用で
きる。ここに示したすべての結合剤について、より優れ
た分散性と耐久性を得るためには必要に応じ、−COO
M,−SO3 M、−OSO3 M、−P=O(OM)2
−O−P=O(OM)2 、(以上につきMは水素原子、
またはアルカリ金属塩基)、−OH、−NR2 、−N+
3 (Rは炭化水素基)、エポキシ基、−SH、−C
N、などから選ばれる少なくともひとつ以上の極性基を
共重合または付加反応で導入したものを用いることが好
ましい。このような極性基の量は10-1〜10-8モル/g
であり、好ましくは10-2〜10-6モル/gである。
【0042】本発明に用いられるこれらの結合剤の具体
的な例としてはユニオンカ−バイト社製VAGH、VY
HH、VMCH、VAGF、VAGD,VROH,VY
ES,VYNC,VMCC,XYHL,XYSG,PK
HH,PKHJ,PKHC,PKFE,日信化学工業社
製、MPR−TA、MPR−TA5,MPR−TAL,
MPR−TSN,MPR−TMF,MPR−TS、MP
R−TM、MPR−TAO、電気化学社製1000W、
DX80,DX81,DX82,DX83、100F
D、日本ゼオン社製MR−104、MR−105、MR
110、MR100、MR555、400X−110
A、日本ポリウレタン社製ニッポランN2301、N2
302、N2304、大日本インキ社製パンデックスT
−5105、T−R3080、T−5201、バ−ノッ
クD−400、D−210−80、クリスボン610
9,7209,東洋紡社製バイロンUR8200,UR
8300、UR−8700、RV530,RV280、
大日精化社製、ダイフェラミン4020,5020,5
100,5300,9020,9022、7020,三
菱化成社製、MX5004,三洋化成社製サンプレンS
P−150、旭化成社製サランF310,F210など
が挙げられる。
【0043】本発明の下層、磁性層に用いられる結合剤
は非磁性粉末または磁性粉末に対し、5〜50重量%の
範囲、好ましくは10〜30重量%の範囲で用いられ
る。塩化ビニル系樹脂を用いる場合は5〜30重量%、
ポリウレタン樹脂を用いる場合は2〜20重量%、ポリ
イソシアネ−トは2〜20重量%の範囲でこれらを組み
合わせて用いることが好ましいが、例えば、微量の脱塩
素によりヘッド腐食が起こる場合は、ポリウレタンのみ
またはポリウレタンとイソシアネートのみを使用するこ
とも可能である。本発明において、ポリウレタンを用い
る場合はガラス転移温度が−50〜150℃、好ましく
は0℃〜100℃、破断伸びが100〜2000%、破
断応力は0.05〜10Kg/mm2 、降伏点は0.05〜
10Kg/mm2が好ましい。
【0044】本発明の磁気記録媒体は二層以上から構成
されてもよい。従って、結合剤量、結合剤中に占める塩
化ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイソシアネ−
ト、あるいはそれ以外の樹脂の量、磁性層を形成する各
樹脂の分子量、極性基量、あるいは先に述べた樹脂の物
理特性などを必要に応じ下層、各磁性層とで変えること
はもちろん可能であり、むしろ各層で最適化すべきであ
り、多層磁性層に関する公知技術を適用できる。例え
ば、各層でバインダー量を変更する場合、磁性層表面の
擦傷を減らすためには磁性層のバインダー量を増量する
ことが有効であり、ヘッドに対するヘッドタッチを良好
にするためには、下層のバインダー量を多くして柔軟性
を持たせることができる。
【0045】本発明に用いるポリイソシアネ−トとして
は、トリレンジイソシアネ−ト、4,4’−ジフェニル
メタンジイソシアネ−ト、ヘキサメチレンジイソシアネ
−ト、キシリレンジイソシアネ−ト、ナフチレン−1,
5−ジイソシアネ−ト、o−トルイジンジイソシアネ−
ト、イソホロンジイソシアネ−ト、トリフェニルメタン
トリイソシアネ−ト等のイソシアネ−ト類、また、これ
らのイソシアネ−ト類とポリアルコールとの生成物、ま
た、イソシアネート類の縮合によって生成したポリイソ
シアネ−ト等を使用することができる。これらのイソシ
アネート類の市販されている商品名としては、日本ポリ
ウレタン社製、コロネートL、コロネ−トHL,コロネ
−ト2030、コロネ−ト2031、ミリオネ−トM
R,ミリオネ−トMTL、武田薬品社製、タケネ−トD
−102,タケネ−トD−110N、タケネ−トD−2
00、タケネ−トD−202、住友バイエル社製、デス
モジュ−ルL,デスモジュ−ルIL、デスモジュ−ル
N,デスモジュ−ルHL,等がありこれらを単独または
硬化反応性の差を利用して二つもしくはそれ以上の組合
せで各層とも用いることができる。
【0046】[カーボンブラック、研磨剤]本発明の磁
性層に使用されるカ−ボンブラックはゴム用ファ−ネ
ス、ゴム用サ−マル、カラ−用ブラック、アセチレンブ
ラック、等を用いることができる。比表面積は5〜50
0m2/g、DBP吸油量は10〜400ml/100
g、平均粒子径は5nm〜300nm、pHは2〜1
0、含水率は0.1〜10重量%、タップ密度は0.1
〜1g/cc、が好ましい。本発明に用いられるカ−ボン
ブラックの具体的な例としてはキャボット社製、BLA
CKPEARLS 2000、1300、1000、9
00、905、800,700、VULCAN XC−
72、旭カ−ボン社製、#80、#60,#55、#5
0、#35、三菱化成工業社製、#2400B、#23
00、#900,#1000,#30,#40、#10
B、コロンビアンカ−ボン社製、CONDUCTEX
SC、RAVEN 150、50,40,15、RAV
EN−MT−P、日本EC社製、ケッチェンブラックE
C、などがあげられる。カ−ボンブラックを分散剤など
で表面処理したり、樹脂でグラフト化して使用しても、
表面の一部をグラファイト化したものを使用してもかま
わない。また、カ−ボンブラックを磁性塗料に添加する
前にあらかじめ結合剤で分散してもかまわない。これら
のカ−ボンブラックは単独、または組合せで使用するこ
とができる。カ−ボンブラックを使用する場合は磁性体
に対する量の0.1〜30重量%で用いることが好まし
い。カ−ボンブラックは磁性層の帯電防止、摩擦係数低
減、遮光性付与、膜強度向上などの働きがあり、これら
は用いるカ−ボンブラックにより異なる。従って本発明
に使用されるこれらのカ−ボンブラックは上層磁性層、
下層でその種類、量、組合せを変え、粒子サイズ、吸油
量、電導度、pHなどの先に示した諸特性をもとに目的
に応じて使い分けることはもちろん可能であり、むしろ
各層で最適化すべきものである。本発明の磁性層で使用
できるカ−ボンブラックは,例えば(「カ−ボンブラッ
ク便覧」カ−ボンブラック協会編)を参考にすることが
できる。
【0047】本発明に用いられる研磨剤としては少なく
ともダイアモンド微粒子が用いられる。ダイアモンドで
あれば、本発明の目的を達成できるが、天然ダイアモン
ドは高価であり、通常、人工ダイヤモンドが使用され
る。ダイアモンドの製法としては、黒鉛と鉄、Co、N
i等を介して高温高圧下で生成する方法、黒鉛またはフ
ラン樹脂炭素を高温高圧下で反応させる静的合成法と呼
ばれるものの他、動的合成法、気相合成法がある。本発
明はダイアモンドの製法を選ばない。
【0048】工業的には切削、研磨として使用したダイ
アモンドを不純物を弁別洗浄したものを用い、2次使用
することも可能である。本発明はダイアモンド粒子の分
布を規定する。ダイアモンド粒子を分級する方法として
は、分散液から遠心力を用いる、特殊なメッシュフィル
ターを用いる方法等がある。本発明においては、ダイア
モンド微粒子と他の研磨剤を組み合わすこともできる。
他の研磨剤としてはα化率90%以上のα−アルミナ、
β−アルミナ、炭化ケイ素、酸化クロム、酸化セリウ
ム、α−酸化鉄、コランダム、窒化珪素、炭化珪素、チ
タンカ−バイト、酸化チタン、二酸化珪素、窒化ホウ
素、など主としてモ−ス硬度6以上の公知の材料が単独
または組合せで使用される。また、これらの研磨剤同士
の複合体(研磨剤を他の研磨剤で表面処理したもの)を
使用してもよい。これらの研磨剤には主成分以外の化合
物または元素が含まれる場合もあるが主成分が90重量
%以上であれば効果にかわりはない。これら研磨剤の平
均粒径は0.01〜2μmが好ましく、特に電磁変換特
性を高めるためには、その粒度分布が狭い方が好まし
い。また耐久性を向上させるには必要に応じて粒子サイ
ズの異なる研磨剤を組み合わせたり、単独の研磨剤でも
粒径分布を広くして同様の効果をもたせることも可能で
ある。タップ密度は0.3〜2g/cc、含水率は0.1〜
5重量%、pHは2〜11、比表面積は1〜30m2/gが
好ましい。本発明に用いられる研磨剤の形状は針状、球
状、サイコロ状、のいずれでも良いが、形状の一部に角
を有するものが研磨性が高く好ましい。具体的には住友
化学社製AKP−12、AKP−15、AKP−20、
AKP−30、AKP−50、HIT−20、HIT−
30、HIT−55、HIT−60、HIT−70、H
IT−80、HIT−100、レイノルズ社製、ERC
−DBM、HP−DBM、HPS−DBM、不二見研磨
剤社製、WA10000、上村工業社製、UB20、日
本化学工業社製、G−5、クロメックスU2、クロメッ
クスU1、戸田工業社製、TF100、TF140、イ
ビデン社製、ベータランダムウルトラファイン、昭和鉱
業社製、B−3などが挙げられる。これらの研磨剤は必
要に応じ下層に添加することもできる。下層に添加する
ことで表面形状を制御したり、研磨剤の突出状態を制御
したりすることができる。これら磁性層、下層の添加す
る研磨剤の粒径、量はむろん最適値に設定すべきもので
ある。
【0049】[添加剤]本発明の磁性層と下層に使用さ
れる、添加剤としては潤滑効果、帯電防止効果、分散効
果、可塑効果、などをもつものが使用される。二硫化モ
リブデン、二硫化タングステングラファイト、窒化ホウ
素、フッ化黒鉛、シリコーンオイル、極性基をもつシリ
コーン、脂肪酸変性シリコーン、フッ素含有シリコー
ン、フッ素含有アルコール、フッ素含有エステル、ポリ
オレフィン、ポリグリコール、アルキル燐酸エステルお
よびそのアルカリ金属塩、アルキル硫酸エステルおよび
そのアルカリ金属塩、ポリフェニルエーテル、フェニル
ホスホン酸、αナフチル燐酸、フェニル燐酸、ジフェニ
ル燐酸、p−エチルベンゼンホスホン酸、フェニルホス
フィン酸、アミノキノン類、各種シランカップリング
剤、チタンカップリング剤、フッ素含有アルキル硫酸エ
ステルおよびそのアルカリ金属塩、炭素数10〜24の
一塩基性脂肪酸(不飽和結合を含んでも、また分岐して
いてもかまわない)、および、これらの金属塩(Li、
Na、K、Cuなど)または、炭素数12〜22の一
価、二価、三価、四価、五価、六価アルコール(不飽和
結合を含んでも、また分岐していてもかまわない)、炭
素数12〜22のアルコキシアルコール(不飽和結合を
含んでも、また分岐していてもかまわない)、炭素数1
0〜24の一塩基性脂肪酸(不飽和結合を含んでも、ま
た分岐していてもかまわない)と炭素数2〜12の一
価、二価、三価、四価、五価、六価アルコールのいずれ
か一つ(不飽和結合を含んでも、また分岐していてもか
まわない)とからなるモノ脂肪酸エステルまたはジ脂肪
酸エステルまたはトリ脂肪酸エステル、アルキレンオキ
シド重合物のモノアルキルエーテルの脂肪酸エステル、
炭素数8〜22の脂肪酸アミド、炭素数8〜22の脂肪
族アミン、などが使用できる。
【0050】これらの具体例としては脂肪酸では、カプ
リン酸、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パル
ミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、エラ
イジン酸、リノール酸、リノレン酸、イソステアリン酸
などが挙げられる。エステル類ではブチルステアレー
ト、オクチルステアレート、アミルステアレート、イソ
オクチルステアレート、ブチルミリステート、オクチル
ミリステート、ブトキシエチルステアレート、ブトキシ
ジエチルステアレート、2ーエチルヘキシルステアレー
ト、2ーオクチルドデシルパルミテート、2ーヘキシル
ドデシルパルミテート、イソヘキサデシルステアレー
ト、オレイルオレエート、ドデシルステアレート、トリ
デシルステアレート、エルカ酸オレイル、ネオペンチル
グリコールジデカノエート、エチレングリコールジオレ
イル、アルコール類ではオレイルアルコ−ル、ステアリ
ルアルコール、ラウリルアルコ−ルなどがあげられる。
また、アルキレンオキサイド系、グリセリン系、グリシ
ド−ル系、アルキルフェノ−ルエチレンオキサイド付加
体、等のノニオン界面活性剤、環状アミン、エステルア
ミド、第四級アンモニウム塩類、ヒダントイン誘導体、
複素環類、ホスホニウムまたはスルホニウム類等のカチ
オン系界面活性剤、カルボン酸、スルフォン酸、燐酸、
硫酸エステル基、燐酸エステル基、などの酸性基を含む
アニオン界面活性剤、アミノ酸類、アミノスルホン酸
類、アミノアルコ−ルの硫酸または燐酸エステル類、ア
ルキルベダイン型、等の両性界面活性剤等も使用でき
る。これらの界面活性剤については、「界面活性剤便
覧」(産業図書株式会社発行)に詳細に記載されてい
る。これらの潤滑剤、帯電防止剤等は必ずしも100%
純粋ではなく、主成分以外に異性体、未反応物、副反応
物、分解物、酸化物等の不純分が含まれてもかまわな
い。これらの不純分は30重量%以下が好ましく、さら
に好ましくは10重量%以下である。
【0051】本発明で使用されるこれらの潤滑剤、界面
活性剤は個々に異なる物理的作用を有するものであり、
その種類、量、および相乗的効果を生み出す潤滑剤の併
用比率は目的に応じ最適に定められるべきものである。
下層、磁性層で融点の異なる脂肪酸を用い表面への滲み
出しを制御する、沸点、融点や極性の異なるエステル類
を用い表面への滲み出しを制御する、界面活性剤量を調
節することで塗布の安定性を向上させる、潤滑剤の添加
量を下層で多くして潤滑効果を向上させるなど考えら
れ、無論ここに示した例のみに限られるものではない。
一般には潤滑剤の総量として磁性層の強磁性粉末または
下層の非磁性粉末に対し、0.1重量%〜50重量%、
好ましくは2重量%〜25重量%の範囲で選択される。
【0052】また本発明で用いられる添加剤のすべてま
たはその一部は、磁性および非磁性塗料製造のどの工程
で添加してもかまわない、例えば、混練工程前に磁性体
と混合する場合、磁性体と結合剤と溶剤による混練工程
で添加する場合、分散工程で添加する場合、分散後に添
加する場合、塗布直前に添加する場合などがある。ま
た、目的に応じて磁性層を塗布した後、同時または逐次
塗布で、添加剤の一部または全部を塗布することにより
目的が達成される場合がある。また、目的によってはカ
レンダー処理(カレンダーロールによる加熱加圧処理)
した後、またはスリット終了後、磁性層表面に潤滑剤を
塗布することもできる。
【0053】本発明で用いられる有機溶剤は公知のもの
が使用でき、例えば特開平6−68453に記載の溶剤
を用いることができる。
【0054】[層構成]本発明の磁気記録媒体の厚み構
成は支持体が2〜100μm、好ましくは2〜80μmで
ある。コンピューターテープの支持体は、3.0〜6.
5μm(好ましくは、3.0〜6.0μm、更に好まし
くは、4.0〜5.5μm)の範囲の厚さのものが使用
される。
【0055】支持体と下層との間に密着性向上のための
下塗り層を設けてもかまわない。本下塗層厚みは0.0
1〜0.5μm、好ましくは0.02〜0.5μmであ
る。本発明は通常、支持体両面に下層と磁性層を設けて
なる両面磁性層ディスク状媒体であっても、片面のみに
それらを設けたディスク状媒体又はテープ状媒体であっ
てもよい。後者の場合、帯電防止やカール補正などの効
果を出すために下層、磁性層側と反対側にバックコ−ト
層を設けてもかまわない。この厚みは0.1〜4μm、
好ましくは0.3〜2.0μmである。これらの下塗
層、バックコ−ト層は公知のものが使用できる。
【0056】本発明の媒体の磁性層の厚みは用いるヘッ
ドの飽和磁化量やヘッドギャップ長、記録信号の帯域に
より最適化されるものであるが、好ましくは0.05〜
0.5μm、更に好ましくは0.1〜0.25μmであ
る。磁性層を異なる磁気特性を有する2層以上に分離し
てもかまわず、公知の重層磁性層に関する構成が適用で
きる。
【0057】本発明になる媒体の下層の厚みは0.2μ
m以上5.0μm以下、好ましくは0.3μm以上3.
0μm以下、さらに好ましくは1.0μm以上2.5μ
m以下である。なお、本発明媒体の下層は実質的に非磁
性であればその効果を発揮するものであり、たとえば不
純物としてあるいは意図的に少量の磁性体を含んでも、
本発明の効果を示すものであり、本発明と実質的に同一
の構成と見なすことができることは言うまでもない。実
質的に非磁性とは下層の残留磁束密度が100ガウス
(G)以下または抗磁力が100Oe以下であることを示
し、好ましくは残留磁束密度と抗磁力をもたないことを
示す。
【0058】[支持体]本発明に用いられる支持体は非
磁性であることが好ましい。非磁性支持体としてはポリ
エチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、
等のポリエステル類、ポリオレフィン類、セルロ−スト
リアセテート、ポリカ−ボネート、ポリアミド(脂肪族
ポリアミドやアラミド等の芳香族ポリアミドを含む)、
ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリスルフォン、ポリ
ベンゾオキサゾールなどの公知のフィルムが使用でき
る。ポリエチレンナフタレート、ポリアミドなどの高強
度支持体を用いることが好ましい。また必要に応じ、磁
性面とベ−ス面の表面粗さを変えるため特開平3−22
4127に示されるような積層タイプの支持体を用いる
こともできる。これらの支持体にはあらかじめコロナ放
電処理、プラズマ処理、易接着処理、熱処理、除塵処
理、などをおこなっても良い。また本発明の支持体とし
てアルミまたはガラス基板を適用することも可能であ
る。
【0059】本発明の目的を達成するには、支持体とし
てWYKO社製の表面粗さ計TOPO−3DのMIRA
U法で測定した中心面平均表面粗さ(Ra)は8.0nm
以下、好ましくは4.0nm以下、さらに好ましくは2.
0nm以下のものを使用することが好ましい。支持体は単
に中心面平均表面粗さが小さいだけではなく、0.5μ
m以上の粗大突起がないことが好ましい。また表面の粗
さ形状は必要に応じて支持体に添加されるフィラ−の大
きさと量により自由にコントロ−ルされるものである。
これらのフィラ−としては一例としてはCa,Si、T
iなどの酸化物や炭酸塩の他、アクリル系などの有機微
粉末があげられる。支持体の最大高さSRmaxは1μm以
下、十点平均粗さSRzは0.5μm以下、中心面山高さ
はSRpは0.5μm以下、中心面谷深さSRvは0.5
μm以下、中心面面積率SSr は10%以上、90%以
下、平均波長Sλaは5μm以上、300μm以下が好ま
しい。所望の電磁変換特性と耐久性を得るため、これら
支持体の表面突起分布をフィラーにより任意にコントロ
ールできるものであり、0.01μmから1μmの大きさ
のもの各々を0.1mm2 あたり0個から2000個の範
囲でコントロ−ルすることができる。
【0060】本発明に用いられる非磁性支持体のF−5
値は好ましくは5〜50Kg/mm2、また、支持体の100
℃30分での熱収縮率は好ましくは3%以下、さらに好
ましくは1.5%以下、80℃30分での熱収縮率は好
ましくは0.5%以下、さらに好ましくは0.1%以下
である。破断強度は5〜100Kg/mm2、弾性率は100
〜2000Kg/mm2 が好ましい。温度膨張係数は10-4
〜10-8/℃であり、好ましくは10-5〜10-6/℃で
ある。湿度膨張係数は10-4/RH%以下であり、好ましく
は10-5/RH%以下である。これらの熱特性、寸法特
性、機械強度特性は支持体の面内各方向に対し10%以
内の差でほぼで等しいことが好ましい。
【0061】[製法]本発明の磁気記録媒体の磁性塗料
又は下層塗料を製造する工程は、少なくとも混練工程、
分散工程、およびこれらの工程の前後に必要に応じて設
けた混合工程からなる。個々の工程はそれぞれ2段階以
上にわかれていてもかまわない。本発明に使用する強磁
性粉末、非磁性粉末、結合剤、カ−ボンブラック、研磨
剤、帯電防止剤、潤滑剤、溶剤などすべての原料はどの
工程の最初または途中で添加してもかまわない。また、
個々の原料を2つ以上の工程で分割して添加してもかま
わない。例えば、ポリウレタンを混練工程、分散工程、
分散後の粘度調整のための混合工程で分割して投入して
もよい。本発明の目的を達成するためには、従来の公知
の製造技術を一部の工程として用いることができる。混
練工程ではオープンニーダ、連続ニーダ、加圧ニーダ、
エクストルーダなど強い混練力をもつものを使用するこ
とが好ましい。ニーダを用いる場合は磁性粉末または非
磁性粉末と結合剤のすべてまたはその一部(ただし全結
合剤の30重量%以上が好ましい)および磁性粉末10
0重量部に対し15〜500重量部の範囲で混練処理さ
れる。これらの混練処理の詳細については特開平1−1
06338、特開平1−79274に記載されている。
また、磁性層液および下層液を分散させるにはガラスビ
ーズを用ることができるが、高比重の分散メディアであ
るジルコニアビーズ、チタニアビーズ、スチールビーズ
が好適である。これら分散メディアの粒径と充填率は最
適化して用いられる。分散機は公知のものを使用するこ
とができる。
【0062】本発明で重層構成の磁気記録媒体を塗布す
る場合、以下のような方式を用いることが好ましい。第
一に磁性塗料の塗布で一般的に用いられるグラビア塗
布、ロール塗布、ブレード塗布、エクストルージョン塗
布装置等により、まず下層を塗布し、下層がウェット状
態のうちに特公平1−46186や特開昭60−238
179,特開平2−265672に開示されている支持
体加圧型エクストルージョン塗布装置により上層を塗布
する方法。第二に特開昭63−88080、特開平2−
17971,特開平2−265672に開示されている
ような塗布液通液スリットを二つ内蔵する一つの塗布ヘ
ッドにより上下層をほぼ同時に塗布する方法。第三に特
開平2−174965に開示されているバックアップロ
ール付きエクストルージョン塗布装置により上下層をほ
ぼ同時に塗布する方法である。なお、磁性粒子の凝集に
よる磁気記録媒体の電磁変換特性等の低下を防止するた
め、特開昭62−95174や特開平1−236968
に開示されているような方法により塗布ヘッド内部の塗
布液にせん断を付与することが望ましい。さらに、塗布
液の粘度については、特開平3−8471に開示されて
いる数値範囲を満足する必要がある。本発明の構成を実
現するには下層を塗布し乾燥させたのち、その上に磁性
層を設ける逐次重層塗布を用いてもむろんかまわず、本
発明の効果が失われるものではない。ただし、塗布欠陥
を少なくし、ドロップアウトなどの品質を向上させるた
めには、前述の同時重層塗布を用いることが好ましい。
【0063】デイスクの場合、配向装置を用いず無配向
でも十分に等方的な配向性が得られることもあるが、コ
バルト磁石を斜めに交互に配置すること、ソレノイドで
交流磁場を印加するなど公知のランダム配向装置を用い
ることが好ましい。等方的な配向とは強磁性金属粉末の
場合、一般的には面内2次元ランダムが好ましいが、垂
直成分をもたせて3次元ランダムとすることもできる。
六方晶フェライトの場合は一般的に面内および垂直方向
の3次元ランダムになりやすいが、面内2次元ランダム
とすることも可能である。また異極対向磁石など公知の
方法を用い、垂直配向とすることで円周方向に等方的な
磁気特性を付与することもできる。特に高密度記録を行
う場合は垂直配向が好ましい。また、スピンコートを用
い円周配向してもよい。
【0064】磁気テープの場合はコバルト磁石やソレノ
イドを用いて長手方向に配向する。乾燥風の温度、風
量、塗布速度を制御することで塗膜の乾燥位置を制御で
きる様にすることが好ましく、塗布速度は20m/分〜1
000m/分、乾燥風の温度は60℃以上が好ましい、ま
た磁石ゾ−ンに入る前に適度の予備乾燥を行なうことも
できる。
【0065】カレンダ処理ロ−ルとしてエポキシ、ポリ
イミド、ポリアミド、ポリイミドアミド等の耐熱性のあ
るプラスチックロ−ルまたは金属ロ−ルで処理するが、
特に両面磁性層とする場合は金属ロ−ル同志で処理する
ことが好ましい。処理温度は、好ましくは50℃以上、
さらに好ましくは100℃以上である。線圧力は好まし
くは200Kg/cm以上、さらに好ましくは300Kg/cm以
上である。
【0066】[物理特性]本発明になる磁気記録媒体の
磁性層の飽和磁束密度は強磁性金属粉末を用いた場合2
000G以上6000G以下である。抗磁力の分布は狭
い方が好ましく、SFDおよびSFDrは0.6以下が
好ましい。角形比はディスクの場合、ランダム配向で
0.45〜0.55、2次元ランダムの場合は0.6以
上0.67以下で、配向テープの場合は0.8以上であ
る。垂直配向した場合は、0.5以上である。
【0067】六方晶系フェライトを用いた場合、磁性層
の飽和磁束密度は1000G以上3000G以下であ
る。角形比はディスクの場合、ランダム配向で0.45
〜0.55、2次元ランダムの場合は0.5〜0.64
以下である。配向テープの場合は0.5以上である。垂
直配向した場合は、0.5以上である。本発明の磁気記
録媒体のヘッドに対する摩擦係数は温度−10℃から4
0℃、湿度0%から95%の範囲において0.5以下、
好ましくは0.3以下、表面固有抵抗は好ましくは磁性
面104〜1012オ−ム/sq、帯電位は−500Vから+
500V以内が好ましい。磁性層の0.5%伸びでの弾
性率は面内各方向で好ましくは100〜2000Kg/mm2
、破断強度は好ましくは10〜70Kg/mm2 、磁気記録
媒体の弾性率は面内各方向で好ましくは100〜150
0Kg/mm2 、残留のびは好ましくは0.5%以下、10
0℃以下のあらゆる温度での熱収縮率は好ましくは1%
以下、さらに好ましくは0.5%以下、もっとも好まし
くは0.1%以下である。磁性層のガラス転移温度(1
10Hzで測定した動的粘弾性測定の損失弾性率の極大
点)は50℃以上120℃以下が好ましく、下層のそれ
は0℃〜100℃が好ましい。損失弾性率は1×108
〜8×109 dyne/cm2の範囲にあることが好ましく、損
失正接は0.2以下であることが好ましい。損失正接が
大きすぎると粘着故障が発生しやすい。これらの熱特性
や機械特性は媒体の面内各方向で10%以内でほぼ等し
いことが好ましい。磁性層中に含まれる残留溶媒は好ま
しくは100mg/m2 以下、さらに好ましくは10mg/m2
以下である。塗布層が有する空隙率は非磁性下層、磁性
層とも好ましくは30容量%以下、さらに好ましくは2
0容量%以下である。空隙率は高出力を果たすためには
小さい方が好ましいが、目的によってはある値を確保し
た方が良い場合がある。例えば、繰り返し用途が重視さ
れるディスク媒体では空隙率が大きい方が走行耐久性は
好ましいことが多い。
【0068】磁性層のRaは前記した通りであり、磁性
層の最大高さSRmaxは0.5μm以下、十点平均粗さS
Rzは0.3μm以下、中心面山高さSRpは0.3μm以
下、中心面谷深さSRvは0.3μm以下、中心面面積率
SSrは20%以上、80%以下、平均波長Sλaは5μ
m以上、300μm以下が好ましい。磁性層の表面突起は
0.01μmから1μmの大きさのものを0個から200
0個の範囲で任意に設定することが可能であり、これに
より電磁変換特性、摩擦係数を最適化することが好まし
い。これらは支持体のフィラ−による表面性のコントロ
−ルや磁性層に添加する粉体の粒径と量、カレンダ処理
のロ−ル表面形状などで容易にコントロ−ルすることが
できる。カールは±3mm以内とすることが好ましい。
【0069】本発明の磁気記録媒体において、目的に応
じ下層と磁性層でこれらの物理特性を変えることができ
るのは容易に推定されることである。例えば、磁性層の
弾性率を高くし走行耐久性を向上させると同時に下層の
弾性率を磁性層より低くして磁気記録媒体のヘッドへの
当りを良くするなどである。
【0070】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を説明するが、
本発明はこれに限定されるべきものではない。なお、以
下の「部」とは「重量部」のことである。実施例に使用
した磁性体の特性を表1と表2に示す。
【0071】
【表1】
【0072】
【表2】
【0073】表1及び2に記載の磁性体を用いて磁気デ
ィスク及び磁気テープを以下のように作成した。 <塗料の作成> 磁性塗料1 (六方晶フェライト:ディスク) バリウムフェライト磁性粉:BaF〜BaF 100部 塩化ビニル共重合体 MR555(日本ゼオン社製) 5部 ポリウレタン樹脂 UR8200(東洋紡社製) 3部 カ−ボンブラック #50(旭カーボン社製) 1部 フェニルホスホン酸 2部 ブチルステアレート 10部 ブトキシエチルステアレート 5部 イソヘキサデシルステアレート 3部 ステアリン酸 2部 メチルエチルケトン 125部 シクロヘキサノン 125部 磁性塗料2 (六方晶フェライト:テープ) バリウムフェライト磁性粉:BaF、 100部 塩化ビニル系共重合体 MR555(日本ゼオン社製) 6部 ポリウレタン樹脂 3部 UR8200(東洋紡社製) 3部 カ−ボンブラック(粒子サイズ0.015μm) #55(旭カーボン社製) 5部 フェニルホスホン酸 2部 ブチルステアレート 1部 ステアリン酸 2部 メチルエチルケトン 125部 シクロヘキサノン 125部 <塗料の作成> 磁性塗料3 (強磁性金属:ディスク) 強磁性金属粉末:MP〜MP 100部 塩化ビニル共重合体 MR110(日本ゼオン社製) 12部 ポリウレタン樹脂 UR8200(東洋紡社製) 3部 カ−ボンブラック #50(旭カーボン社製) 5部 フェニルホスホン酸 3部 ブチルステアレート 10部 ブトキシエチルステアレート 5部 イソヘキサデシルステアレート 3部 ステアリン酸 2部 メチルエチルケトン 180部 シクロヘキサノン 180部 磁性塗料4 (強磁性金属:テープ) 強磁性金属粉末:MP、MP 100部 塩化ビニル系共重合体 MR110(日本ゼオン社製) 12部 ポリウレタン樹脂 UR8200(東洋紡社製) 3部 カ−ボンブラック #55(旭カーボン社製) 1部 ブチルステアレート 1部 ステアリン酸 5部 メチルエチルケトン 100部 シクロヘキサノン 20部 トルエン 60部 非磁性塗料(下層:ディスク) 非磁性粉末 TiO2 結晶系ルチル 80部 平均粒子径0.035μm 、BET法による比表面積 40m2 /g pH 7 TiO2 含有量90%以上、 DBP吸油量27〜38g/100g、 表面にAl23 が粒子全体に対して8重量%存在 カ−ボンブラック コンダクテックスSC−U(コロンビアンカーボン社製) 20部 塩化ビニル共重合体 MR110(日本ゼオン社製) 12部 ポリウレタン樹脂 UR8200(東洋紡社製) 5部 フェニルホスホン酸 4部 ブチルステアレート 10部 ブトキシエチルステアレート 5部 イソヘキサデシルステアレート 2部 ステアリン酸 3部 メチルエチルケトン/シクロヘキサノン(8/2混合溶剤) 250部 非磁性塗料(下層:テープ) 非磁性粉末 TiO2 結晶系ルチル 80部 平均粒子径0.035μm 、BET法による比表面積 40m2 /g pH 7 TiO2 含有量90%以上、 DBP吸油量27〜38g/100g、 表面にAl23 が粒子全体に対して8重量%存在 カ−ボンブラック コンダクテックスSC−U(コロンビアンカーボン社製) 20部 塩化ビニル共重合体 MR110(日本ゼオン社製) 12部 ポリウレタン樹脂 UR8200(東洋紡社製) 5部 フェニルホスホン酸 4部 ブチルステアレート 1部 ステアリン酸 3部 メチルエチルケトン/シクロヘキサノン(8/2混合溶剤) 250部 製法1 ディスク 上記の塗料のそれぞれについて、各成分をニ−ダで混練
したのち、表3及び4に記載のように所定のダイアモン
ド微粒子を加え(または加えず)、サンドミルを用いて
分散させた。得られた分散液に、αアルミナ(住友化学
社製HIT55)を塩化ビニル共重合体(日本ゼオン社
製MR110)に分散したペースト(住友化学社製SL
H55)をαアルミナの量として表3及び表4に記載の
所定量を加えるか、加えず、更にポリイソシアネートを
下層の塗布液には10部、磁性層の塗布液には10部を
加え、さらにそれぞれにシクロヘキサノン40部を加
え,1μm の平均孔径を有するフィルターを用いて濾過
し、下層形成用および磁性層形成用の塗布液をそれぞれ
調製した。
【0074】得られた下層塗布液を、乾燥後の厚さが
1.5μm になるようにさらにその直後にその上に磁性
層の厚さが0.2μm になるように、厚さ62μm で中
心面平均表面粗さが3nmのポリエチレンテレフタレー
ト支持体上に同時重層塗布をおこない、強磁性金属磁性
体を用いた場合は両層がまだ湿潤状態にあるうちに周波
数50Hz、磁場強度250ガウスまた周波数50Hz、1
20ガウスの2つの磁場強度交流磁場発生装置の中を通
過させランダム配向処理行った。もう片方の支持体面に
も同様に塗布、配向し、乾燥後、7段のカレンダで温度
90℃、線圧300Kg/cm にて処理を行い、3.5吋に
打ち抜き表面研磨処理を施してディスク媒体を得た。ま
た、六方晶フェライト磁性体を用いた場合は、ランダム
配向処理を行わなかった以外は上記工程と同一の工程で
ディスク媒体を得た。 製法1−2(ディスク) 表3、表4記載の媒体No16、No29は、前記製法
1の内、ポリエチレンテレフタレート支持体の中心面平
均表面粗さが7nmのものを用いた他は製法1と同様に
ディスク媒体を得た。 製法2 コンピューターテープ 上記の塗料について、各成分をニ−ダで混練したのち、
表5に記載のように所定のダイアモンド微粒子を加え
(または加えず)、αアルミナ(住友化学社製HIT5
5)を塩化ビニル共重合体(日本ゼオン社製MR11
0)に分散したペースト(住友化学社製SLH55)を
αアルミナの量として表5に記載の所定量を加えるか、
加えず、サンドミルを用いて分散させた。得られた分散
液にポリイソシアネートを下層の塗布液には2.5部、
磁性層の塗布液には3部を加え、さらにそれぞれにシク
ロヘキサノン40部を加え,1μm の平均孔径を有する
フィルターを用いて濾過し、下層形成用および磁性層形
成用の塗布液をそれぞれ調製した。
【0075】得られた下層塗布液を、乾燥後の下層の厚
さが1.7μm になるようにさらにその直後にその上に
磁性層の厚さが0.15μm になるように、厚さ4.4
μmで中心面平均表面粗さが2nmのアラミド支持体
(商品名:ミクトロン)上に同時重層塗布をおこない、
両層がまだ湿潤状態にあるうちに6000Gの磁力を持
つコバルト磁石と6000Gの磁力を持つソレノイドに
より配向させた。乾燥後、金属ロ−ルのみから構成され
る7段のカレンダ−で温度85℃にて分速200m/m
in.で処理を行い、その後、厚み0.5μmのバック
層(カ−ボンブラック 平均粒子径:17nm 100
部、炭酸カルシウム 平均粒子径:40nm 80部、
αアルミナ 平均粒子径:200nm 5部をニトロセ
ルロ−ス樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイソシアネート
に分散)を塗布した。3.8mmの幅にスリットし、ス
リット品の送り出し、巻き取り装置を持った装置に不織
布とカミソリブレ−ドが磁性面に押し当たるように取り
付け、テ−プクリ−ニング装置で磁性層の表面のクリ−
ニングを行い、テープ試料を得た。
【0076】上記作成した磁性体、磁気ディスク及びコ
ンピューターテープの各々の性能を下記の測定法により
評価した。 測定法 (1)磁気特性(Hc、σS ):振動試料型磁束計(東
英工業社製)を用い、Hm10KOeで測定した。 (2)ダイアモンド微粒子(粒径分布):ダイアモンド
粉を適量とり、その電子顕微鏡写真から無作為に抽出し
た500ケの粒子を測定して平均粒径φ、粒径が平均粒
径φの200%以上の粒子個数がダイアモンド全個数中
に占める割合(ΔN200 )(%)、粒径が平均粒径φの
50%以下の粒子個数がダイアモンド全個数中に占める
割合(ΔN50)(%)を求めた。 (3)中心面平均表面粗さ(Ra):WYKO社製TO
PO3Dを用いて、3D−MIRAU法で約250μm
×250μmの面積のRa値を測定した。測定波長約6
50nmにて球面補正、円筒補正を加えている。本方式
は光干渉にて測定する非接触表面粗さ計である。 (4)ディスク電磁変換特性 出力:再生出力の測定は、国際電子工業社製(旧東京エ
ンジニアリング)製のディスク試験装置とSK606B
型評価装置を用いギャップ長0.3μmのメタルインギ
ャップヘッドを用い、半径24.6mmの位置において
記録波長90KFCIで記録した後、ヘッド増幅機の再
生出力をテクトロニクス社製オシロスコープ7633型
で測定した。
【0077】SN比:再生出力を測定したディスクをD
C消去した後、アドバンテスト社製TR4171型スペ
クトロアナライザーで再生出力(ノイズ)を測定した。
SN比=−20log(ノイズ/再生出力)とし、媒体
No1、19のSN比を0dBとして相対値で示した。 (5)テープ電磁変換特性 CN比(テープ):記録ヘッド(MIG 、ギャップ0.15μ
m、1.8T)をドラムテスターに取り付けてデジタル
信号を記録再生した。ヘッド−メディア相対速度3m/
sec、記録波長0.35μm、ノイズは変調ノイズを
測定した。 (6)耐久性: 磁気ディスク耐久性:フロッピーディスクドライブ
(米 Iomega社製ZIP100:回転数2968
rpm)を用い半径38mm位置にヘッドを固定した。
その後、以下のフローを1サイクルとするサーモサイク
ル環境で走行させた。目視で試料表面にキズがついた時
点をNGとした。媒体No1、19の耐久時間を100
%とした。 (サーモサイクルフロー) 25℃、50%RH 1時間→(昇温 2時間)→60
℃、20%RH 7時間→(降温 2時間)→25℃、
50%RH 1時間→(降温 2時間)→5℃、10%
RH 7時間→(昇温 2時間)→<これを繰り返す> コンピューターテープ耐久性:DDSドライブを用
い、所定の信号を記録した後、再生信号をモニターしつ
つ50℃、10%RHで走行させた。初期再生出力の7
0%になった時点でNGとした。媒体No32の耐久性
を100%として表示した。
【0078】表3、表4に磁気ディスク評価結果を、表
5に磁気テープ評価結果を示した。
【0079】
【表3】
【0080】
【表4】
【0081】
【表5】
【0082】
【発明の効果】本発明は支持体上に実質的に非磁性であ
る下層と強磁性粉末を結合剤中に分散してなる磁性層を
この順に設けた磁気記録媒体において、好ましくは磁性
層の厚みを0.05〜0.5μm、前記磁性層の抗磁力
(Hc)を1800エルステッド(Oe)以上、中心面
平均表面粗さRaを0.5〜5.0nmとし、さらに前
記磁性層中に平均粒径0.10〜1.0μmであるダイ
アモンド微粒子を強磁性粉末に対して0.01〜5重量
%含有させることにより、耐久性を確保しつつ、その電
磁変換特性におけるノイズを改善することができる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に実質的に非磁性である下層と
    強磁性粉末を結合剤中に分散してなる磁性層をこの順に
    設けた磁気記録媒体において、前記磁性層は抗磁力(H
    c)が1800エルステッド(Oe)以上であり、かつ
    中心面平均表面粗さ(Ra)が0.5〜5.0nmであ
    り、さらに前記磁性層中には平均粒径0.10〜1.0
    μmであるダイアモンド微粒子を強磁性粉末に対して
    0.01〜5重量%含有することを特徴とする磁気記録
    媒体。
  2. 【請求項2】 前記磁性層の厚みが0.05〜0.5μ
    mであることを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒
    体。
  3. 【請求項3】 前記ダイアモンド微粒子は粒径が平均粒
    径の200%以上の粒子個数がダイアモンド全個数中の
    5%以下であり、粒径が平均粒径の50%以下の粒子個
    数がダイアモンド全個数中の20%以下であることを特
    徴とする請求項1または2記載の磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 前記強磁性粉末が平均板径10〜35n
    mの六方晶フェライト粉末であることを特徴とする請求
    項1〜3の何れか1項に記載の磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】 前記強磁性粉末が平均長軸長30〜15
    0nmの強磁性金属粉末であることを特徴とする請求項
    1〜4の何れか1項に記載の磁気記録媒体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6312796B1 (en) 1998-11-11 2001-11-06 Fuji Photo Film Co., Ltd. Magnetic recording medium
JP2003132517A (ja) * 2001-10-25 2003-05-09 Fuji Photo Film Co Ltd 磁気記録媒体

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US6312796B1 (en) 1998-11-11 2001-11-06 Fuji Photo Film Co., Ltd. Magnetic recording medium
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