JP2003271912A - Idタグ、idタグを有する集積回路用基板、この集積回路用基板の製造方法、及びid検出装置 - Google Patents

Idタグ、idタグを有する集積回路用基板、この集積回路用基板の製造方法、及びid検出装置

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JP2003271912A
JP2003271912A JP2002070365A JP2002070365A JP2003271912A JP 2003271912 A JP2003271912 A JP 2003271912A JP 2002070365 A JP2002070365 A JP 2002070365A JP 2002070365 A JP2002070365 A JP 2002070365A JP 2003271912 A JP2003271912 A JP 2003271912A
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circuits
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Naoki Rikita
直樹 力田
Shinichiro Inui
信一郎 乾
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 物品の自動識別を容易かつ確実に行う。 【解決手段】 IDタグ1のタグ本体2上に、外部から
入力される特定の周波数の電磁波に共振して共振波を発
する共振回路3を複数設ける。これら共振回路3間にお
ける共振の特性の相対的な関係によってIDタグ1の固
有の情報を表す。ID検出装置を、電磁波を放出する発
信装置と、共振回路3が発する共振波を受信する受信装
置と、受信装置が受信した共振波の解析を行う解析装置
とを有する構成とする。解析装置は、前記受信装置によ
る共振波の受信の有無、または前記受信装置が受信した
前記共振波の特性から前記各共振回路の共振の特性を解
析し、これら共振回路間における共振の特性の相対的な
関係から前記IDタグの固有の情報を検出する構成とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、物品の自動識別に
用いられるIDタグ、IDタグを有する集積回路用基
板、この集積回路用基板の製造方法、及びID検出装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、物品を自動的に識別する方法とし
ては、物品に対してその固有の情報を表す符合(文字や
記号、バーコード等)を設けておき、この符合を文字認
識装置やバーコードリーダー等の読取装置によって光学
的に読み取り、この符合が表す情報に基づいて物品を識
別する方法がある。また、物品に対して、その固有の情
報を記憶する記憶装置と送受信装置、及びこれらを駆動
するための電源(電池等)とを有するIDタグを設けて
おき、外部から無線通信手段によってIDタグの送受信
装置と交信して記憶装置内に記憶された情報を読み出
し、この情報に基づいて物品を識別する方法がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前者のように
符合を光学的に読み取る方法では、物品の表面に符合を
露出させておく必要があり、物品の外観を損ねる上、符
合が汚損することで読み取りが困難となったり読取精度
が低下してしまう恐れがある。また物品における符合の
設置面積(または表示面積)を十分に確保しなければな
らず、小型化が困難である。さらに、読取装置に対する
符合の向きが適正位置からずれていると、情報の読取精
度が低下してしまうという問題があった。一方、後者の
ように物品の固有の情報を無線通信手段によって読み取
る方法では、IDタグは必ずしも物品の表面に露出させ
ておく必要はなく、また無線通信手段に対するIDタグ
の向きにほとんど関係なく情報の読み取りを行うことが
できる。しかし、従来のIDタグでは、送受信装置の他
に、記憶装置と、これらを駆動するための電源を設けな
くてはならないので、小型化が困難である上、さらに電
源のメンテナンス(電池の交換や充電等)が必要となっ
てしまう。
【0004】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たもので、小型で物品の自動識別を容易かつ確実に行う
ことができるIDタグ、IDタグを有する集積回路用基
板、この集積回路用基板の製造方法、及びID検出装置
を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、以下の構成を採用した。本発明にかかる
IDタグにおいては、外部から入力される特定の周波数
の電磁波に共振して共振波を発する共振回路を複数有
し、該各共振回路間における共振の特性の相対的な関係
が固有の情報を表していることを特徴としている。
【0006】このように構成されるIDタグにおいて
は、発信機によって外部から特定の周波数の電磁波を入
力することで、各共振回路のうちこの周波数の電磁波に
共振する共振回路が共振波を発する。本発明にかかるI
Dタグでは、各共振回路間における共振の特性の相対的
な関係(入力した周波数の電磁波に対する各共振回路の
共振の有無も含む)によって各IDタグごとに異なる固
有の情報が表されている。このため、このIDタグにお
いては、固有の情報を記憶する記憶装置及びこれを駆動
するための電源が不要である。
【0007】このIDタグに設けられる各共振回路の共
振の特性は、発信器によって特定の周波数の電磁波をI
Dタグに入力して、受信装置による共振波の受信の有
無、または受信装置が受信した前記共振波の特性を解析
することにより求められる。このため、このIDタグは
必ずしも物品の表面に露出させておく必要はなく、さら
に送受信装置に対する向きにほとんど関係なく非接触で
情報の読み取りを行うことができる。
【0008】本発明にかかるIDタグに用いられる共振
回路は、最も単純な構成では、コンデンサ等の容量性の
素子とコイル等の誘導性の素子とをそれぞれ一つずつ直
列に接続してなる回路とすることができる。これら容量
性の素子、誘導性の素子は、いずれも集積回路を構成す
る素子のうちの基本的な素子である。このような構成の
共振回路は、例えば集積回路を形成する方法と同様の手
法によって形成することで、極めて微小な回路とするこ
とができる。共振回路の共振の特性、例えば共振する電
磁波の周波数や共振波の波形は、共振回路の構成によっ
て異なる。例えば、容量性の素子の容量や誘導性の素子
のインダクタンスの大きさの異なる共振回路は、それぞ
れ異なった共振の特性を有する。
【0009】ここで、共振回路の近傍に導体がある場合
など、共振回路が電磁気的な影響を受ける状況下では、
共振回路の共振の特性が変わってしまうことがある。ま
た、製造ロットごとの製造条件の変動等の影響を受ける
ため、製造ロットの異なる共振回路間ではその配線の太
さや幅にばらつきが生じやすく、共振回路は共振の特性
に製造ロットごとのばらつきが生じやすい。このため、
単に受信装置が受信した共振波の特性を絶対的な値で評
価してしまうと、解析によって求めた共振回路の特性と
実際の共振回路の特性(もしくは製造時に意図した共振
回路の特性)との間に誤差を生じる恐れがある。
【0010】一方、このように共振回路の共振の特性が
変わってしまう場合にも、この特性の変化は定性的な傾
向を示すので、各共振回路間における共振波の特性の相
対的な関係は保たれる。また、受信装置が共振回路の共
振波を受信できる条件下であれば、入力した電磁波に対
する共振の有無を検出することが可能である。そして、
本発明にかかるIDタグでは、各共振回路間における共
振の特性の相対的な関係によって各IDタグの固有の情
報が表されているので、受信装置が共振回路の共振波を
受信できる条件下であれば、その固有の情報を正確に検
出することができる。
【0011】ここで、各共振回路間における共振の特性
の相対的な関係としては、各共振回路の共振波間の周波
数間隔を用いてもよい。この場合、例えば各共振波の周
波数のうちの基準となる周波数(例えば各共振波のうち
最低の周波数や最高の周波数)に対する他の共振波の周
波数の差または比によって固有の情報を表してもよい。
また、共振波間の周波数間隔が等差数列で表される構成
としてその公差によって固有の情報を表したり、共振波
間の周波数間隔が等比数列で表される構成としてその公
比によって固有の情報を表したり、共振波間の周波数間
隔が対数で表した際に等間隔となる構成として、対数で
表した際の共振波間の周波数間隔によって固有の情報を
表してもよい。また、各共振回路間における共振の特性
の相対的な関係としては、各共振回路の共振波間におけ
る先鋭度Qの相対的な関係を用いてもよい。また、各共
振回路間における共振の特性の相対的な関係としては、
入力した周波数の電磁波に対する各共振回路の共振の有
無のパターンを用いてもよい。さらに、これらの関係の
組み合わせによって固有の情報を表すことで、IDタグ
によって表すことのできる情報量を増やすことができ
る。
【0012】本発明にかかるIDタグにおいては、各共
振回路間における共振の特性の相対的な関係とタグ本体
における共振回路の配置との組み合わせが固有の情報を
表している構成としてもよい。この場合には、IDタグ
によって表すことのできる情報量をさらに増やすことが
できる。
【0013】ここで、物品の自動識別の用途としては、
例えば集積回路用基板の表面に集積回路を形成する過程
における集積回路用基板の識別がある。集積回路用基板
(例えば半導体デバイスの基板として用いられるシリコ
ンウェーハや液晶回路の基板等)は、表面に集積回路を
形成する過程で多数の工程を経るので、各集積回路用基
板について工程の履歴等を管理する必要がある。しか
し、集積回路を形成する過程では、集積回路用基板の表
面には薄膜の積層や研磨等の各種の処理が施される上、
集積回路用基板は表面の汚染を嫌うので、集積回路用基
板の表面に符合を設けたり従来のIDタグを取り付けた
りすることはできなかった。このため、従来は、集積回
路用基板自体を直接管理するのではなく、集積回路用基
板が複数枚収納されるケースに符合やIDタグを設け
て、ケースを管理することによって間接的に集積回路用
基板の管理を行っていた。
【0014】本発明にかかる集積回路用基板は、表面に
集積回路が形成される集積回路用基板であって、その表
面には、請求項1から4のいずれかに記載のIDタグが
形成されていることを特徴としている。この集積回路用
基板においては、請求項1から4のいずれかに記載のI
Dタグが表面に形成されているので、集積回路用基板の
情報を、IDタグから非接触かつ高速で読み取ることが
できる。このため、集積回路用基板自体を直接管理する
ことができる。また、このIDタグは、集積回路を形成
する方法と同様の手法によって共振回路を形成すること
で極めて微小な回路とすることができるので、集積回路
用基板の表面において集積回路を形成する領域を減らさ
ずに済み、歩留まりを向上させることができる。ここ
で、集積回路用基板の表面には、集積回路を形成する過
程で、導電性の薄膜を含む複数層の薄膜が積層されるの
で、集積回路用基板上に形成されるIDタグの共振回路
は、このように導電性の薄膜が形成されることで電磁気
的な影響を受けて、その共振の特性が変わってしまう。
本発明にかかる集積回路用基板では、IDタグとして、
共振回路の共振特性に変化が生じても、固有の情報を正
確に読み出すことができるIDタグを用いているので、
受信装置が共振回路の共振波を受信できる条件下であれ
ば、その固有の情報を正確に検出することができる。
【0015】ここで、一般に、集積回路用基板の表面に
集積回路を形成する工程では、集積回路が形成される領
域とは独立した領域に、集積回路の形成と並行してTE
Gの形成が行われる。TEGとは、集積回路を構成する
素子と同一または同様の素子を含む単純な構成の回路で
あって、集積回路用基板上に形成した集積回路の電気的
テストを直接行う代わりにTEGの電気的テストを行う
ことで、集積回路を構成する素子が良好に形成されてい
るかどうかを間接的に評価することができるようになっ
ている。
【0016】本発明にかかる集積回路用基板において
は、表面に集積回路及び該集積回路の電気的テストのた
めのTEGが形成される集積回路用基板であって、前記
TEGが形成される領域内に、外部から入力される特定
の周波数の電磁波に共振して共振波を発する共振回路を
有するIDタグが形成されていることを特徴としてい
る。このように構成される集積回路用基板では、IDタ
グを構成する共振回路自体がTEGとして機能するの
で、IDタグによる集積回路用基板の自動識別が可能な
だけでなく、IDタグが正常に動作するかどうかを検証
することで、集積回路の形成が良好に行われているかど
うかを、非接触で評価することができる。また、IDタ
グは、集積回路を形成する方法と同様の手法によって共
振回路を形成することで極めて微小なものとすることが
でき、さらに、IDタグは集積回路用基板の表面におい
てTEGが形成される領域内に形成されているので、集
積回路用基板の表面において集積回路を形成する領域を
減らさずに済み、歩留まりを向上させることができる。
このIDタグの固有の情報は、共振回路の共振の特性に
よって表すことができる。例えば、共振回路が発する共
振波の周波数の絶対値によって表してもよい。また、こ
のIDタグを、請求項1から4のいずれかに記載のID
タグとすることで、受信装置が共振回路の共振波を受信
できる条件下であれば、その固有の情報を正確に検出す
ることができる。
【0017】本発明にかかるIDタグを有する集積回路
用基板の製造方法は、表面に集積回路が形成される集積
回路用基板の製造方法であって、前記集積回路の形成工
程の初期段階で、前記表面に、外部から入力される特定
の周波数の電磁波に共振して共振波を発する共振回路を
有しこの共振回路の共振の特性が固有の情報を表すID
タグを形成することを特徴としている。この集積回路用
基板の製造方法では、集積回路を形成する工程の初期段
階で、集積回路用基板の表面に集積回路を形成する手法
によってIDタグを形成するので、以降の工程において
IDタグを使用した集積回路用基板の自動識別を行うこ
とができる。
【0018】ここで、従来のIDタグは記憶装置その他
を有していて回路構成が複雑であるため、集積回路用基
板の表面に形成するために要する工程数は、集積回路を
形成するために要する工程数とあまり変わらない。この
ため、集積回路を形成する工程で従来のIDタグを形成
しても、集積回路の形成工程の終わりの方だけしか集積
回路用基板の自動識別を行うことができない。これに対
して、共振回路を有しこの共振回路の共振の特性が固有
の情報を表すIDタグは、最も単純な構成では、コンデ
ンサ等の容量性の素子とコイル等の誘導性の素子とをそ
れぞれ一つずつ直列に接続してなる回路とされるので、
集積回路の形成工程のごく初期の段階で形成することが
でき、集積回路の形成工程のうちより多くの工程で集積
回路用基板の自動識別を行うことができる。
【0019】本発明にかかるID検出装置は、外部から
入力される特定の周波数の電磁波に共振して共振波を発
する共振回路を複数有するIDタグから、その固有の情
報を検出するID検出装置であって、電磁波を放出する
発信装置と、前記共振回路が発する共振波を受信する受
信装置と、該受信装置が受信した共振波の解析を行う解
析装置とを有し、該解析装置は、共振波の受信の有無ま
たは前記受信装置が受信した前記共振波の特性から前記
各共振回路の共振の特性を解析し、これら共振回路間に
おける共振の特性の相対的な関係から前記IDタグの固
有の情報を検出することを特徴としている。このように
構成されるID検出装置においては、発信装置によって
電磁波を放出し、この電磁波に対してIDタグの各共振
回路が共振したかどうかの判定(すなわち受信装置が各
共振回路の共振波を受信したかどうかの判定)、及び受
信装置が受信した共振波の解析を解析装置によって行う
ことで、各共振回路の共振の特性が求められる。そし
て、解析装置は、これら共振回路間における共振の特性
の相対的な関係から、IDタグの固有の情報を検出する
ので、請求項1から3のいずれかに記載のIDタグの固
有の情報を読み出すことができる。
【0020】このID検出装置は、タグ本体における各
共振回路の位置情報を検出する位置情報検出装置を有
し、前記解析装置が、前記各共振回路間における共振の
特性の相対的な関係と前記タグ本体における前記各共振
回路の配置との組み合わせから固有の情報を検出する構
成としてもよい。この場合には、タグ本体における各共
振回路の位置情報に基づいて各共振回路の配置を検出
し、解析装置は、各共振回路間における共振の特性の相
対的な関係と各共振回路の配置との組み合わせから、I
Dタグの固有の情報を検出するので、請求項4に記載の
IDタグの固有の情報を読み出すことができる。
【0021】また、このID検出装置には、IDタグに
設けられる前記複数の共振回路のうちの少なくとも一部
を選択的に破壊可能な回路破壊装置が設けられていても
よい。この場合には、IDタグに設けられている複数の
共振回路のうちの少なくとも一部を選択的に破壊して共
振しない共振回路とすることができ、IDタグの固有の
情報を変更することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】〔第一の実施の形態〕以下、本発
明の一実施形態について、図を参照して説明する。ここ
で、図1は本実施形態にかかるIDタグの構成を示す平
面図、図2は図1のA−A矢視断面図、図3は本実施形
態にかかるIDタグに用いられる共振回路の等価回路
図、図4は本実施形態にかかるID検出装置の構成を示
すブロック図、図5は本実施形態にかかるID検出装置
によるIDタグの固有の情報の検出の様子を示す図であ
る。図1に示すように、本発明にかかるIDタグ1は、
タグ本体2上に、共振回路3が複数設けられたものであ
る。この共振回路3は、外部から入力される特定の周波
数の電磁波に共振して共振波を発するものである。この
IDタグ1は、製造段階で各共振回路3の共振の特性が
定められており、これら共振回路3間における共振の特
性の相対的な関係によって固有の情報を表している。こ
のIDタグ1では、共振回路3の設置数を増やすこと
で、表すことのできる情報量を増加させることができ
る。
【0023】共振回路3は、最も単純な構成では、図3
に示すように、コンデンサ等の容量性の素子6とコイル
等の誘導性の素子7とをそれぞれ一つずつ直列に接続し
てなる回路とすることができる。この共振回路3は、例
えば集積回路を形成する方法(集積回路用基板の表面に
各種の膜を所望のパターンで複数層積層することによっ
て集積回路用基板上に所望の回路構成の集積回路を形成
する方法)と同様の手法によって形成することで、極め
て微小な回路とすることができる。
【0024】本実施の形態では、共振回路3を、集積回
路を形成する方法と同様の手法によって形成しており、
一つの共振回路3は、一つの容量性の素子6と一つの誘
導性の素子7とを直列に接続してなる構成としている。
すなわち、図1及び図2に示すように、容量性の素子6
は、シリコン(Si)基板等の基板8上にSiO2等の
絶縁体からなる層9(以下絶縁体層とする)を形成する
ことによって得ている。本実施の形態では、容量性の素
子6は、基板8の表面に島状に形成される絶縁体層9に
よって構成している。また、誘導性の素子7は、基板8
上にアルミニウム(Al)またはポリシリコン等の導電
体からなる層10(以下導電体層とする)を形成するこ
とによって得ている。本実施の形態では、誘導性の素子
7は、一端10aと他端10bとが絶縁体層9を介して
接続される線状の絶縁体層10によって構成している。
【0025】容量性の素子6の容量Cは、絶縁体層9の
材質と、絶縁体層9において導電体層10の一端と他端
との間に位置する部分の長さとによって決定される。容
量Cは、絶縁体層9において導電体層10の一端10a
と他端10bとの間に位置する部分の長さを短くすると
小さくなり、長くすると大きくなる。また、誘導性の素
子7のリアクタンスLは、導電体層10の材質と形状と
により決定される。ここでいう導電体層10の形状と
は、導電体層10がなす配線の長さや導電体層10がな
す配線の太さ(導電体層10の長さ方向に直交する断面
積)も含むものである。本実施の形態では、図1に示す
ように、導電体層10の中間部10cをジグザグ形状に
形成することで、リアクタンスLを所望の値にしてい
る。この場合、リアクタンスLは、導電体層10におい
てジグザグ形状をなす部分を短くすると小さくなり、長
くすると大きくなる。
【0026】共振回路3の共振の特性、例えば共振する
電磁波の周波数や共振波の波形は、共振回路3の構成に
よって異なる。例えば、容量性の素子6の容量Cや誘導
性の素子7のインダクタンスLの大きさの異なる共振回
路3は、それぞれ異なった共振の特性を有する。
【0027】各共振回路3間における共振の特性の相対
的な関係としては、例えば各共振回路3の共振波間の周
波数間隔が用いられる。本実施の形態では、各IDタグ
1には、第一〜第四の共振回路3a〜3dの計四つの共
振回路3を設けている。このIDタグでは、第一〜第四
の共振回路3a〜3dの誘導性の素子6のインダクタン
スLはそれぞれ13nHとし、容量性の素子7の容量C
は、第一の共振回路3aから第四の共振回路3dの順
に、1200pF、1100pF、1000pF、90
0pFとした。上記の各共振回路における誘導性の素子
6のインダクタンスLの値及び容量性の素子7の容量C
の値は一例であって、これらの値は任意であるが、各共
振回路間における共振の特性の相対的な関係を各IDタ
グ1ごとに異なるものとするため、各IDタグ1ごと
に、これらインダクタンスLの値、容量Cの値のうちの
少なくとも一部を変えている。
【0028】これら共振回路の電磁波レベルの周波数帯
域における共振周波数は、第一の共振回路3aでは4
0.3MHz、第二の共振回路3bでは42.1MH
z、第三の共振回路3cでは44.1MHz、第四の共
振回路3dでは46.5MHzである。そして、これら
共振回路3の共振周波数間の間隔は、周波数の低い側
(第一の共振回路3a側)から順に、0.18MHz、
0.2MHz、0.24MHzである。この周波数間隔
はこのIDタグ1に固有のものであって、本実施の形態
では、この周波数間隔によってIDタグ1に固有の情報
を表している。
【0029】ここで、各共振回路3間における共振の特
性の相対的な関係として各共振回路3の共振波間の周波
数間隔を用いる場合には、上記のように共振波間の周波
数間隔のみによってIDタグ1の固有の情報を表す以外
にも、例えば各共振波の周波数のうちの基準となる周波
数(例えば各共振波のうち最低の周波数や最高の周波
数)に対する他の共振波の周波数の差または比によって
固有の情報を表してもよい。また、共振波間の周波数間
隔が等差数列で表される構成としてその公差によってI
Dタグ1の固有の情報を表したり、共振波間の周波数間
隔が等比数列で表される構成としてその公比によって固
有の情報を表したり、共振波間の周波数間隔が対数で表
した際に等間隔となる構成として対数で表した際の共振
波間の周波数間隔によって固有の情報を表してもよい。
【0030】次に、このように構成されるIDタグ1の
固有の情報を検出するID検出装置11について説明す
る。本発明にかかるID検出装置11は、電磁波を放出
する発信装置Sと、共振回路3が発する共振波を受信す
る受信装置Rと、受信装置Rが受信した共振波の解析を
行う解析装置12とを有している。
【0031】本実施の形態では、ID検出装置11は、
のこぎり波状の信号電圧を発する掃引電圧発生器13
と、掃引電圧発生器13が発する信号電圧に基づいて出
力信号の周波数が制御される電圧制御発振器(VCO)
14と、電圧制御発振器14の出力信号を増幅する広帯
域アンプ15と、広帯域アンプ15の出力信号によって
駆動されるアンテナ16とを有している。本実施の形態
においては、これら掃引電圧発生器13、電圧制御発振
器14、広帯域アンプ15、及びアンテナ16とが前記
の発信装置Sを構成している。また、アンテナ16とし
ては、IDタグ1において共振回路3が設けられる領域
全体を囲むことが可能な大きさのループアンテナを用い
ている。
【0032】また、このID検出装置11において、広
帯域アンプ15とアンテナ16との間には方向性結合器
17が設けられ、電圧制御発振器14と方向性結合器1
7には、直交検波器18が接続されている。方向性結合
器17は、広帯域アンプ15の出力信号をアンテナ16
に出力する一方でアンテナ16からの反射波を直交検波
器18に出力するものである。直交検波器18は、電圧
制御発振器14の出力信号に基づいて、アンテナ16か
らの反射波からアンテナ16が受信した共振波を復調す
るものである。本実施の形態においては、これらアンテ
ナ16、方向性結合器17、及び直交検波器18とが前
記の受信装置Rを構成している。
【0033】前記解析装置12は、掃引電圧発生器13
からは掃引電圧が入力され、直交検波器18からは復調
信号が入力されるようになっている。解析装置12は、
例えばCPU等の演算装置からなり、直交検波器18に
よって得られた復調信号を縦軸にとり、掃引電圧発生器
13の発する掃引電圧を横軸にとることで、アンテナ1
6が受信した各共振回路3の共振のパターンを符合とし
て検出し、これに基づいて得られた共振回路3間におけ
る共振の特性の相対的な関係から、IDタグ1の固有の
情報を検出して、IDタグ1の識別を行うものである。
【0034】本実施の形態にかかるIDタグ1及びID
検出装置11を用いた物品の自動識別は、以下のように
して行われる。本実施の形態にかかるIDタグ1は、図
4に示すように、自動識別の対象となる物品19に対し
て、例えば貼り付けられるか組み込まれるなどして設置
される。このIDタグ1は、ID検出装置11との間で
電磁波のやり取りが可能であれば、必ずしも物品19の
表面に露出させる必要はない。
【0035】このIDタグ1が設けられた物品19の自
動識別を行う際には、IDタグ1とID検出装置11と
の間で電磁波のやり取りが可能な状態で、ID検出装置
11の発信装置SからIDタグ1に向けて電磁波を放射
する。本実施の形態では、図4に示すように、アンテナ
16を、IDタグ1の全ての共振回路3を囲むようにし
てIDタグ1に対向させ、この状態でIDタグ1との電
磁波のやり取りを行う。このとき、アンテナ16に対す
るIDタグ1の向きは任意の向きとすることができる。
【0036】以下、発信装置Sの動作について説明す
る。まず、掃引電圧発生器13によってのこぎり波状の
信号電圧を電圧制御発振器14に入力する。これによっ
て、電圧制御発振器14は、所定の周波数帯域を掃引す
る出力信号(搬送波)を連続的に発する。電圧制御発振
器14の出力信号は、広帯域アンプ15によって増幅さ
れた後に方向性結合器17を介してアンテナ16に入力
される。アンテナ16は、この出力信号によって駆動さ
れて、所定の周波数帯域を掃引する電磁波を放射する。
本実施の形態では、アンテナ16は、IDタグ1の全て
の共振回路3を囲んでいるので、全ての共振回路3に対
して発信装置Sの電磁波が放射される。
【0037】このように、発信装置Sから所定の周波数
帯域を掃引する電磁波を放射することで、IDタグ1に
おいてこの周波数帯域内の電磁波に共振する全ての共振
回路3が共振して共振波を発する。本実施の形態では、
発信装置Sは、アンテナ16から発せられる電磁波が、
共振回路3の共振周波数として使用され得る周波数をす
べて含む周波数帯域を掃引する設定としており、これに
よってIDタグ1に設けられる全ての共振回路3が共振
するようになっている。
【0038】そして、共振回路3が共振して共振波を発
すると、その共振波は受信装置Rによって受信される。
本実施の形態では、アンテナ16は、IDタグ1の全て
の共振回路3を囲んでいるので、全ての共振回路3の共
振波が受信装置Rに受信される。受信装置Rにおいて
は、アンテナ16からの反射波は、方向性結合器17に
よって直交検波器18に出力される。直交検波器18に
は、電圧制御発振器14の出力信号が入力されており、
この出力信号に基づいてアンテナ16の反射波からアン
テナ16が受信した共振波の復調が行われる。
【0039】そして、前記解析装置12には、掃引電圧
発生器13からは掃引電圧が入力され、直交検波器18
からは復調信号が入力される。解析装置12は、図5に
示すように、直交検波器18によって得られた復調信号
の出力の大きさを縦軸にとり、掃引電圧発生器13の発
する掃引電圧の大きさを横軸にとることで、アンテナ1
6が受信した各共振回路3の共振のパターンを符合とし
て検出し、これに基づいて得られた共振回路3間におけ
る共振の特性の相対的な関係から、IDタグ1の固有の
情報を検出する。ここで、図5において、各共振回路の
共振のパターンは、第一の共振回路3aから第四の共振
回路3dの順に、符号Pa、Pb、Pc、Pdで示して
いる。掃引電圧の大きさは、電圧制御発信器14の出力
信号の大きさ、すなわちアンテナ16が発した電磁波の
周波数と比例関係にある。本実施の形態では、解析装置
12によって、このIDタグ1に設けられた各共振回路
3の共振周波数が検出され、さらに、これら共振回路3
の共振周波数間の間隔が求められる。そして、この結果
に基づいてID検出装置11によるIDタグ1の識別が
行われて、IDタグ1を設けた物品が識別される。
【0040】ここで、IDタグ1の共振回路3が電磁気
的な影響を受ける状況下にあったり(例えばIDタグ1
の近傍に導体がある場合など)、また製造ロットごとの
製造条件の変動等の影響を受けるなどして共振回路3の
共振の特性が本来の特性からずれてしまっても、この共
振の特性の変化は定性的な傾向を示すので、各共振回路
3間における共振波の特性の相対的な関係は保たれる。
本実施の形態にかかるIDタグ1では、各共振回路3間
における共振の特性の相対的な関係によって各IDタグ
1の固有の情報が表されているので、受信装置Rが共振
回路3の共振波を受信できる条件下であれば、その固有
の情報を正確に検出することができる。
【0041】以上述べたように、本発明にかかるIDタ
グ1では、各共振回路3間における共振の特性の相対的
な関係によって各IDタグ1ごとに異なる固有の情報が
表されている。このため、このIDタグ1は、固有の情
報を記憶する記憶装置及びこれを駆動するための電源が
不要で、共振回路3のみによって構成することができる
ので、従来のIDタグに比べて非常に小型とすることが
できる。さらに、このように共振回路3の特性の相対的
な関係によって固有の情報を表しているので、本発明に
かかるIDタグ1では、受信装置Rが物品に設けられた
IDタグ1の共振波を受信することができる状況であれ
ば、解析装置12によってIDタグ1に固有の情報を正
確に検出することができ、物品の自動識別を容易かつ確
実に行うことができる。
【0042】ここで、上記実施の形態では、各共振回路
間における共振の特性の相対的な関係として、各共振回
路の共振波間の周波数間隔を用いたが、これに限られる
ことなく、各共振回路の共振波間における先鋭度Qの相
対的な関係を用いてもよい。
【0043】このようにIDタグ1の固有の情報を各共
振回路の先鋭度Qの相対的な関係を用いて表す場合に
は、例えば図6の等価回路図に示すように、上記のID
タグ1において、各共振回路のうち少なくとも一つに、
IDタグごとに抵抗値の異なる抵抗素子20を組み込む
ことで、各共振回路の共振波の先鋭度Qを変化させるこ
とができる。
【0044】図6に示す例では、上記IDタグ1におい
て、第一〜第四の共振回路3a〜3dの代わりに、これ
ら共振回路にそれぞれ抵抗素子20a、20b、20
c、20dを組み込んだ構成の第一〜第四の共振回路3
A〜3Dを設けたIDタグ1aを示している。ここで
は、第一の共振回路3Aの抵抗素子20aと第三の共振
回路3Cの抵抗素子20cとは同一の抵抗値とし、第二
の共振回路3Bの抵抗素子20bと第四の共振回路3D
の抵抗素子20dとはそれぞれ他のいずれの共振回路の
抵抗素子とも異なる抵抗値としている。これら抵抗素子
20a〜20dの値は任意であるが、各共振回路間にお
ける先鋭度Qの相対的な関係を各IDタグ1aごとに異
なるものとするため、各IDタグ1aごとに、これら抵
抗素子20a〜20dのうちの少なくとも一つの抵抗値
を変えている。
【0045】ここで、図7に、図6に示すIDタグ1a
の固有の情報を検出する際に解析装置12によって検出
された第一〜第四の共振回路3A〜3Dの共振のパター
ンを示す。図7において、各共振回路の共振のパターン
は、第一の共振回路3aから第四の共振回路3dの順
に、符号PA、PB、PC、PDで示している。解析装
置12は、このようにして得られた共振のパターンに基
づいて得られた共振回路3間における先鋭度Qの相対的
な関係から、IDタグ1aの固有の情報を検出する。
【0046】また、各共振回路3間における共振の特性
の相対的な関係としては、入力した周波数の電磁波に対
する各共振回路3の共振の有無のパターンを用いてもよ
い。この場合、例えば、基準となる周波数の電磁波に対
する各共振回路3の共振の有無のパターンを用いてもよ
く、また、各共振回路3の共振のパターンを二値化した
情報を用いてもよい。
【0047】基準となる周波数の電磁波に対する各共振
回路3の共振の有無のパターンを用いる場合には、例え
ば、IDタグ1に対して基準となる周波数の電磁波を入
力した際に共振した共振回路の数(または共振しなかっ
た共振回路の数)によってIDタグ1の固有の情報を検
出する構成としてもよい。
【0048】各共振回路3の共振のパターンを二値化し
た情報を用いる場合には、まず、所望の周波数帯域内
で、各周波数間の周波数間隔が等間隔となるようにして
基準となる周波数を複数設定しておき、IDタグ1に設
けられる各共振回路3を、これら基準となる周波数の組
のうちのいずれかの周波数の電磁波に共振する構成とす
る。そして、前記周波数の組のうち、共振回路3の共振
周波数として利用されたものを1とし、そうでないもの
を0として表し、これらの値を周波数の低い側から順に
(または周波数の高い側から順に)並べることによっ
て、このIDタグ1における各共振回路3の共振のパタ
ーンを二値情報として表す。
【0049】以下に、このIDタグ1を用いた物品を自
動認識する手法について図8を用いて説明する。図8
は、IDタグ1の各共振回路3の共振のパターンとその
二値情報を示す図である。この例では、基準となる周波
数を、周波数の低い順にFa〜Ffとしている。また、
IDタグ1には、各共振回路3を4つ設けており、これ
ら共振回路3は、それぞれ周波数Fa、Fc、Fd、F
fの電磁波に対して共振する構成としている。このID
タグ1に対して、前記周波数の組を全て含む周波数帯域
を掃引する電磁波を入力すると、受信装置Rにより、周
波数Fa、Fc、Fd、Ffまたはこれらに近い周波数
の共振波が受信される。そして、ID検出装置11の解
析装置12によって、この共振波の周波数の情報と、基
準となる周波数の情報とに基づいて、前記周波数の組の
うち、共振回路3の共振周波数として利用されたものを
1とし、そうでないものを0として表し、これらの値を
周波数の低い側から順に(または周波数の高い側から順
に)並べることによって各共振回路3の共振のパターン
を二値情報として得る。ここで、受信装置Rが受信した
共振波は、必ずしも基準となる周波数と一致している必
要はなく、受信した共振波は、基準となる共振波のう
ち、最も近い周波数のものと認識することで、共振回路
3の共振の特性が変わってしまっていても、共振のパタ
ーンを正確に認識することができる。
【0050】本発明にかかるIDタグでは、固有の情報
は、上記の関係を用いて表す以外にも、共振回路間にお
ける共振の特性の相対的な関係であれば、他の任意の関
係を用いて表してもよい。さらに、上記した共振の特性
の相対的な関係の組み合わせによってIDタグに固有の
情報を表すことで、IDタグによって表すことのできる
情報量をより多くすることができる。
【0051】ここで、上記実施の形態では、ID検出装
置11は、発信装置Sに所定の周波数帯域を掃引する電
磁波を発させて、受信装置Rによって受信した共振波か
ら共振波の周波数を検出し、これによって共振回路の共
振の特性を検出する構成としたが、これに限らず、共振
回路の共振の特性を検出するID検出装置11は他の構
成としてもよい。例えば、発信装置Sによって前記所定
の周波数帯域内の周波数を含むバースト波状の電磁波を
発させて、受信装置Rによって受信した減衰振動の受信
波形をフーリエ変換することによって得られた各共振回
路の共振波の周波数を符合として認識することで、共振
回路の共振の特性を検出する構成としてもよい。
【0052】ここで、上記実施の形態では、IDタグ1
の共振回路3を、容量性の素子6が島状の絶縁体層9か
らなり、誘導性の素子7が中間部10cにジグザグ部分
が形成される線状の導電体層10によって構成される例
を示したが、容量性の素子6及び誘導性の素子7を含む
回路であれば、共振回路3は任意の構成とすることがで
きる。
【0053】例えば、共振回路3は、容量性の素子6を
構成する絶縁体層9を島状に形成する代わりに、図9に
示すように、基板8に溝Gを形成し、この溝Gの内面に
沿って絶縁体層9を形成して、導電体層10の一端10
aと他端10bとをそれぞれ絶縁体層9に対して溝Gを
挟んで反対側に接続した構成としてもよい。この場合に
は、導電体層10の一端10aと他端10bとの間の直
線距離に比べてこれら一端10aと他端10bとの間に
介在する絶縁体層9の長さを確保することができるの
で、共振回路3のサイズを大きくすることなく、さらに
容量Cを大きくすることができる。
【0054】また、共振回路3は、容量性の素子6を基
板8上に形成される島状の絶縁体層9によって構成する
代わりに、図10に示すように、基板8の表面に下地と
して絶縁体層9を形成し、この絶縁体層9の上に、両端
を離間させて誘導性の素子7を構成する導電体層10を
形成した構成としてもよい。この場合には、絶縁体層9
のうち、導電体層10の両端間に位置する部分が容量性
の素子6となる。
【0055】また、共振回路3は、誘導性の素子7を構
成する導電体層10の中間部10cを、他の形状として
もよい。例えば、中間部10cは、図11(a)に示す
ように角が直角となるジグザグ形状としてもよく、角が
鈍角または曲線となるジグザグ形状に形成してもよい。
また、中間部10cは、図11(b)に示すように、一
端10a側が外周側となる渦巻状に形成され、他端10
b側(図11に二点鎖線で示す)が中間部10cにおい
て渦巻の最内周部から中間部10cの上方(または下
方)に引き出される構成としてもよい。この場合には、
中間部10cの巻き数を増やすことでリアクタンスLを
大きくすることができ、巻き数を減らすことでリアクタ
ンスLを小さくすることができる。このような渦巻状の
導電体層10は、例えば、まず一端10a及び実線で示
す部分(または他端10b及び二点鎖線で示す部分)を
形成し、実線で示す部分と二点鎖線で示す部分との交差
部となる部位のうち、渦巻の最内周部に位置する部分を
除いた部分を絶縁体層等によって覆い、その上に他端1
0b及び二点鎖線部分(または一端10a及び実線で示
す部分)を形成することによって製造することができ
る。また、導電性の膜10自体の長さや太さを調整する
ことで所望のリアクタンスLを得ることができる場合に
は、中間部10cを前記のような複雑な形状ではなく、
単純な線状に形成することができる。
【0056】〔第二の実施の形態〕以下、本発明の第二
の実施形態について図12及び図13を参照して説明す
る。図12は本実施の形態にかかるIDタグ及びID検
出装置の構成を示す図、図13は本実施形態にかかるI
D検出装置によるIDタグの固有の情報の検出の様子を
示す図である。ここで、本実施の形態において、第一の
実施の形態と同一または同様の部分については同じ符号
を用いて説明する。
【0057】本実施の形態にかかるIDタグ21は、第
一の実施の形態に示すIDタグ1と同様に共振回路3が
複数設けられたものであって、このIDタグ21は、製
造段階で各共振回路3の共振の特性、及びタグ本体2に
おける各共振回路3の配置が定められており、これら共
振回路3間における共振の特性の相対的な関係とタグ本
体2における各共振回路3の配置との組み合わせによっ
て固有の情報を表している。ここで、各共振回路3の配
置の情報としては、例えば、各共振回路3同士の位置関
係(例えば共振回路3間の間隔等)や、各共振回路3の
並び順、またはこれらの組み合わせ等を用いることがで
きる。また、本実施の形態では、IDタグ1に設けられ
る共振回路3の共振周波数は全て同じでもよく、それぞ
れ異なる共振周波数としてもよい。このIDタグ21に
おいても、共振回路3の設置数を増やすことで、表すこ
とのできる情報量を増加させることができる。
【0058】本実施の形態では、タグ本体2上に、各共
振回路3を列状に配置している。図12では、共振回路
3を一列に配列した例を示したが、これに限られること
なく、共振回路3を複数列に配列してもよい。このよう
に共振回路3の列を増加させることで、IDタグ21が
表すことのできる情報量を増加させることができる。
【0059】本実施形態にかかるID検出装置22は、
第一の実施の形態にかかるID検出装置11において、
アンテナ16を、一度に一つの共振回路3とのみ電磁波
のやり取りが可能となるように一つの共振回路3のみを
囲むことができる程度の大きさとし、さらに、タグ本体
2における各共振回路3の位置情報を検出する位置情報
検出装置23を設けたものである。
【0060】位置情報検出装置23は、アンテナ16を
基準位置から走査方向に移動させるアンテナ移動装置2
4と、アンテナ16の位置情報を検出するアンテナ位置
検出装置25とを有している。アンテナ位置検出装置2
5は、基準位置から走査方向へのアンテナ16の移動量
を信号電圧の大きさの変化に変換して解析装置12に送
るものである。本実施の形態では、IDタグ21は、共
振回路3を一列に配列した構成としているので、アンテ
ナ移動装置24はアンテナ16を一軸方向にのみ移動さ
せる構成としている。
【0061】ここで、IDタグ21を、共振回路3の列
が複数設けられた構成、または共振回路3がタグ本体2
上で二次元的に配置された構成とした場合には、アンテ
ナ移動装置24は、アンテナ16を二次元的に移動させ
ることが可能な構成、例えば直交する二軸方向に移動さ
せることが可能な構成とされ、アンテナ位置検出装置2
5は、アンテナ16の移動量を二次元的に検出可能な構
成、例えば直交する二軸の各軸方向についてのアンテナ
16の移動量をそれぞれ独立して検出して各軸方向への
移動量をそれぞれ独立した信号電圧に変換して出力する
構成とされる。
【0062】本実施の形態では、解析装置12は、検出
した共振回路3の共振の特性と、各共振回路3の共振を
検出した時点における基準位置からのアンテナ16の移
動量(すなわちアンテナ位置検出装置25の信号電圧の
大きさ)との組み合わせから、IDタグ21の固有の情
報を検出する構成とされる。
【0063】本実施の形態にかかるIDタグ21及びI
D検出装置22を用いた物品の自動識別は、以下のよう
にして行われる。まず、アンテナ16を基準位置に位置
させ、図12に示すように、IDタグ21の共振回路3
の列がアンテナ16の走査方向上に位置するようにこれ
らの位置及び向きを合わせる。ここで、共振回路3の列
が複数ある場合には、アンテナ16は、これら共振回路
3の列のうちのいずれかの列、例えば一番端にある列に
対して位置決めする。
【0064】このようにIDタグ21とアンテナ16の
位置決めを行った後、発信装置Sによってアンテナ16
から電磁波を発しながら、アンテナ移動装置24によっ
てアンテナ16を走査方向に移動させて、走査方向上に
位置する各共振回路3と順次電磁波のやり取りを行う。
本実施の形態では、発信装置Sは、アンテナ16から発
せられる電磁波が、共振回路3の共振周波数として使用
され得る周波数をすべて含む周波数帯域を掃引する設定
としており、これによってIDタグ21に設けられる全
ての共振回路3が共振するようになっている。ここで、
IDタグ21に設けられる共振回路3の共振周波数を全
て同一とした場合には、発信装置Sは、共振回路3が共
振する特定の周波数の電磁波のみを放出する構成として
もよい。
【0065】ここで、IDタグ21が、共振回路3の列
を複数有する構成とされている場合には、例えば走査方
向上にある列の全ての共振回路3との電磁波のやり取り
を終えたのちに、アンテナ移動装置24によってアンテ
ナ16を共振回路3の列に交差する方向に移動させて隣
接する共振回路3の列に対して位置決めし、最初の列と
同様にして走査方向上にある列の全ての共振回路3との
電磁波のやり取りを行う。そして、以降はこの動作を繰
り返すことで、全ての列の共振回路3と電磁波のやり取
りを行う。
【0066】ID検出装置22は、このように共振回路
3との電磁波のやり取りを行うとともに、アンテナ16
からの反射波に基づいて、受信装置Rによって共振波の
復調信号を得る。解析装置12は、この復調信号に基づ
いて共振回路3の共振の特性を検出するとともに、復調
信号の出力の大きさを縦軸にとり、アンテナ位置検出装
置25の出力電圧の大きさ(すなわち走査方向へのアン
テナ16の移動量)を横軸にとることで、図13に示す
ように、配列方向における共振回路3の配置パターンを
検出する。ここで、図13において、復調信号のピーク
のある位置が、アンテナ16の走査経路上での各共振回
路3の設けられている位置を示している。そして、この
ようにして検出された各共振回路3間の共振の特性の相
対的な関係とタグ本体2における各共振回路3の配置の
情報との組み合わせに基づいて、ID検出装置22によ
るIDタグ21の識別が行われて、IDタグ21を設け
た物品が識別される。
【0067】ここで、IDタグ21が、共振回路3の列
を複数有する構成とされている場合には、例えば前記の
ようにして求められた各列における共振回路3の配置パ
ターンと、共振回路3の列に交差する方向へのアンテナ
16の移動量の情報との組み合わせにより、ID検出装
置22によるIDタグ21の識別が行われる。
【0068】このように、本実施の形態では、IDタグ
21が、各共振回路間3における共振の特性の相対的な
関係と、タグ本体2における各共振回路3の配置との組
み合わせによって固有の情報を表しているので、各ID
タグによって表すことのできる情報量をさらに増やすこ
とができる。
【0069】なお、上記実施の形態において、IDタグ
21の各共振回路3間における共振の特性の相対的な関
係としては、入力した周波数の電磁波に対する各共振回
路3の共振の有無のパターンを用いてもよい。この場
合、例えば、前記のように、基準となる周波数の電磁波
に対する各共振回路3の共振の有無のパターンを用いて
もよく、またタグ本体2において各共振回路3を等間隔
に配置し、アンテナ16の走査方向において共振回路3
が設けられる各位置について、図13に示すように、共
振回路3の共振のあった場合には1とし、共振の無い場
合には0として、タグ本体2上での共振回路3の配置パ
ターンを二値情報として用いてもよい。
【0070】〔第三の実施の形態〕以下、本発明の第三
の実施形態について図14及び図15を参照して説明す
る。図14は本実施の形態にかかるID検出装置の構成
を示す図、図15は本実施形態にかかるID検出装置に
よるIDタグの固有の情報の検出の様子を示す図であ
る。ここで、本実施の形態において、第一の実施の形態
と同一または同様の部分については同じ符号を用いて説
明する。本実施形態にかかるID検出装置31は、前記
各実施の形態で示したID検出装置において、前記各実
施の形態で示したIDタグに設けられる複数の共振回路
3のうちの少なくとも一部を選択的に破壊可能な回路破
壊装置32を設けたものである。本実施の形態では、I
D検出装置31を、第二の実施の形態で示したID検出
装置22において回路破壊装置32を設けた構成として
いる。すなわち、アンテナ16を、IDタグの一つの共
振回路のみ囲むことができる大きさとし、アンテナ16
を移動可能な構成としている。回路破壊装置32は、共
振回路3を破壊することで共振しない共振回路とするも
のである。
【0071】このような回路破壊装置32としては、例
えば、共振回路3を構成する素子の破壊が可能な出力の
レーザー光を破壊対象となる共振回路3に対して照射す
るレーザー発生装置や、共振回路3を構成する素子また
は共振回路を構成する素子同士の接続部が共振のエネル
ギーによって焼き切れる程度(炭化する程度)の高出力
で破壊対象となる共振回路3の共振周波数の電磁波を放
出する発信装置とするほか、他の任意の構成とすること
ができる。このような回路破壊装置32としては、ID
タグと非接触で共振回路3を破壊可能な構成のものが好
ましい。
【0072】本実施の形態では、IDタグの固有の情報
の検出に用いる発信装置として、第一、第二の実施の形
態に示す発信装置Sの代わりに、この発信装置Sにおい
て、電圧制御発振器14に対して破壊対象となる共振回
路3の共振周波数で発信させる信号電圧を入力する信号
源33を設けた構成の発信装置S1を設けており、この
発信装置S1を回路破壊装置32としている。この信号
源33は、例えば解析装置12によって、破壊対象とな
る共振回路3の共振周波数に応じて信号電圧を制御され
るようになっている。
【0073】この回路破壊装置32によって共振回路3
を破壊する際には、アンテナ16を破壊対象となる共振
回路3に対向する位置に位置させ、この状態で、電圧制
御発振器14に対して、信号電圧発生器13からではな
く信号源33から信号を入力し、さらに広帯域アンプ1
5によって、電圧制御発信機14の出力信号を、アンテ
ナ16が発する電磁波との共振によって共振回路3を構
成する素子が焼き切れるほどの出力に増幅する。このよ
うにして破壊対象となる共振回路3に対して高出力の電
磁波を入力することで、共振回路3の素子が焼き切られ
て共振回路3が破壊される。このID検出装置31で
は、IDタグに破壊対象となる共振回路3と同じ共振周
波数の共振回路3が設けられている場合にも、アンテナ
16が対向する共振回路3のみを破壊することができ
る。
【0074】本実施の形態にかかるID検出装置31
は、回路破壊装置32によって、IDタグに設けられて
いる共振回路3のうちの任意の共振回路3を選択的に破
壊して共振しない共振回路3とすることができるので、
IDタグに設けられる複数の共振回路3間における共振
の特性の相対的な関係を変化させて、IDタグの固有の
情報を変更することができる(固有の情報を書き換える
ことができる)。例えば、各共振回路3の共振のパター
ンが、図15に実線及び二点鎖線で示すピークを有して
いるIDタグにおいて、破壊対象となる共振回路3(図
15において二点鎖線で示すピークに対応する共振回
路)を回路破壊装置32によって破壊して共振しない共
振回路とすることで、各共振回路3の共振のパターン
を、図15に実線で示すように変化させることができ
る。
【0075】このように、本実施の形態にかかるID検
出装置31によれば、第一、第二の実施の形態に示した
IDタグ1、21を用いることで、従来のバーコード等
の符合を用いた場合には不可能であり、また従来のID
タグのように記憶装置を設けていない場合には不可能で
あった、IDタグの固有の情報の書き換えが可能とな
る。
【0076】ここで、上記のID検出装置31におい
て、第一の実施の形態に示したID検出装置11のよう
に、アンテナ16をIDタグの全ての共振回路3を囲む
ことができる大きさとして、アンテナ移動装置24を設
けない構成としてもよい。この場合には、これら共振回
路3のうち、アンテナ16から発せられた電磁波に共振
する全ての共振回路3が破壊される。
【0077】〔第四の実施の形態〕以下、本発明の第四
の実施形態について図16及び図17を参照して説明す
る。ここで、図16は本実施形態にかかる集積回路用基
板の構成を示す平面図、図17は本実施形態にかかる集
積回路用基板の製造工程を示す図である。
【0078】本実施形態にかかる集積回路用基板41
は、表面に集積回路が形成されるものであって、表面4
1aには、外部から入力される特定の周波数の電磁波に
共振して共振波を発する共振回路3を有しこの共振回路
3の共振の特性がこの集積回路用基板41の固有の情報
を表すIDタグ42が形成されている。このIDタグ4
2は、集積回路用基板41自体がタグ本体2とされるも
のであって、集積回路用基板41自体を基板8としてそ
の表面41aに集積回路を形成する方法と同様の手法に
よって形成された共振回路3によって構成されている。
本実施形態では、集積回路用基板41を、集積回路及び
集積回路の電気的テストのためのTEG(Testing Elem
ent Group)が形成される構成としており、IDタグ4
2は、TEGが形成される領域43内に形成されてい
る。
【0079】ここで、このIDタグ42は、例えば共振
の特性の絶対的な値(共振周波数の絶対値等)によって
固有の情報を表す構成としてもよい。この場合には、共
振回路3は一つ以上設けていればよい。この構成では、
集積回路用基板41の固有の情報は、従来のIDタグの
固有の情報を検出に用いるID検出装置によって検出す
ることができる。
【0080】また、IDタグ42は、第一の実施の形態
に示したIDタグ1、または第二の実施の形態に示した
IDタグ21と同様に、複数の共振回路3を有し、これ
ら共振回路3間の共振の特性、または共振回路3間の共
振の特性と共振回路3の配置によって固有の情報を表す
構成としてもよい。この場合には、第一の実施の形態に
示したID検出装置11、または第二の実施の形態に示
したID検出装置22によって固有の情報を検出するこ
とができ、第三の実施の形態に示したID検出装置32
によって、固有の情報の検出と、固有の情報の書き換え
を行うことができる。
【0081】このIDタグ42を構成する共振回路3
は、集積回路用基板41上に集積回路を形成する工程で
集積回路とともに形成される。具体的には、集積回路を
構成する薄膜のうち、第一層目の絶縁体層44を形成す
る工程において、図17(a)に示すように、第一層目
の絶縁体層44とともに各共振回路3の容量性の素子6
を構成する絶縁体層9を形成する。そして、集積回路を
構成する薄膜のうち、第一層目の導電体層45を形成す
る工程において、図17(b)に示すように、第一層目
の導電体層45とともに各共振回路3の誘導性の素子7
を構成する線状の導電体層10を形成する。
【0082】このように、この集積回路用基板41で
は、最も早い場合には、集積回路を形成する工程におい
て二層の薄膜を形成した段階で、IDタグ42を構成す
る共振回路3を完成させることができるので、以降の集
積回路の形成工程においてこのIDタグ42を用いた集
積回路用基板41の管理を行うことができる。
【0083】ここで、本実施の形態では、集積回路用基
板41上に形成されるIDタグ42として、外部から入
力された電磁波に共振する共振回路3を複数有し、これ
ら共振回路3の共振の特性の相対的な関係、または共振
の特性の相対的な関係と共振回路3の位置情報との組み
合わせが固有の情報を表すIDタグとした。集積回路用
基板41に形成されるIDタグ42をこのような構成と
することで、その後の集積回路の形成工程において集積
回路用基板41上にさらに導体からなる層が形成されて
共振回路3の共振の特性が変化しても、その固有の情報
を正確に読み出すことができる。なお、図16では、I
Dタグ42を構成する共振回路3を複数の領域43に形
成した例を示したが、これに限られることなく、全ての
共振回路3を一つの領域43に形成してもよい。
【0084】さらに、本実施の形態にかかる集積回路用
基板41では、IDタグ42がTEGを兼ねているの
で、IDタグ42を構成する共振回路3が正常に作動し
ていることが確認できれば(すなわちIDタグ42の固
有の情報をID検出装置によって検出することができれ
ば)、TEG自体も良好に形成されていることとなるの
で、IDタグ42が正常に機能するかどうかを検出する
ことで、集積回路用基板41上に形成された集積回路の
良否を判定することができる。
【0085】ここで、上記実施の形態では、集積回路用
基板41として、表面にベアシリコンが露出している集
積回路用基板を用い、その表面に絶縁体層9及び導電体
層10からなる共振回路3を形成した例を示したが、こ
れに限られることなく、例えば図18に示すように、集
積回路用基板41を、表面全体に集積回路形成のための
下地となる絶縁体層44を予め形成した構成としてもよ
い。この構成を採用した場合には、この絶縁体層44が
共振回路3の絶縁体層9となるので、集積回路用基板の
表面に、線状の導電体層10を形成することのみによっ
て共振回路3を形成することができる。
【0086】
【発明の効果】上記のように、本発明にかかるIDタグ
によれば、外部から入力される特定の周波数の電磁波に
共振して共振波を発する共振回路を複数有し、その固有
の情報が、各共振回路間における共振の特性の相対的な
関係によって表されているので、IDタグに固有の情報
を記憶する記憶装置や電源を設ける必要がない。このI
Dタグはこのように構造が単純であるので、小型化が可
能で電源のメンテナンスも不要になる。そして、このI
Dタグは必ずしも物品の表面に露出させておく必要はな
く、また送受信装置に対する向きにほとんど関係なく、
非接触で情報の読み取りを行うことができる。また、固
有の情報が、各共振回路間における共振の特性の相対的
な関係によって表されているので、共振回路が電磁気的
な影響を受ける状況下にあったり、製造ロットごとの共
振特性のばらつきがあった場合にも、固有の情報を正確
に読み取ることが可能となる。このように、本発明にか
かるIDタグによれば、物品の自動識別を容易かつ確実
に行うことができる。
【0087】また、本発明にかかる集積回路用基板によ
れば、その表面には、請求項1から4のいずれかに記載
のIDタグが形成されているので、集積回路を形成する
過程で表面に導電性の膜が積層されて、この導電性の膜
によって電磁気的な影響を受けてIDタグに設けられる
共振回路の共振の特性が変わってしまっても、IDタグ
から固有の情報を正確に読み出すことができる。このよ
うに、本発明にかかる集積回路用基板によれば、集積回
路用基板の自動識別を、非接触で、容易かつ確実に行う
ことができる。
【0088】また、本発明にかかる集積回路用基板によ
れば、表面に集積回路及び該集積回路の電気的テストの
ためのTEGが形成される集積回路用基板においてTE
Gが形成される領域内に、外部から入力される特定の周
波数の電磁波に共振して共振波を発する共振回路を有す
るIDタグが形成されているので、表面に集積回路を形
成する空間を確保しつつ、IDタグを形成することがで
きる。さらに、IDタグ自体もTEGとして機能するの
で、IDタグが正常に動作するかどうかを検証すること
で、集積回路の形成が良好に行われているかどうかを、
非接触で評価することができる。
【0089】本発明にかかるIDタグを有する集積回路
用基板の製造方法によれば、集積回路を形成する工程の
初期段階で表面にIDタグを形成するので、IDタグが
形成された以降の集積回路の形成工程において、IDタ
グを使用した集積回路用基板の管理を行うことができ
る。
【0090】本発明にかかるID検出装置によれば、解
析装置によって求められるIDタグの共振回路間におけ
る共振の特性の相対的な関係から、請求項1から3のい
ずれかに記載のIDタグの固有の情報を検出することが
できる。そして、このID検出装置に、タグ本体におけ
る各共振回路の位置情報を検出する位置情報検出装置を
設けることで、各共振回路間における共振の特性の相対
的な関係と各共振回路の配置との組み合わせから、請求
項4に記載のIDタグの固有の情報を検出することがで
きる。また、このID検出装置に、IDタグに設けられ
る前記共振回路を選択的に破壊可能な回路破壊装置を設
けることで、IDタグに設けられている共振回路を選択
的に破壊して共振しない共振回路とすることができ、I
Dタグの固有の情報を変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第一の実施の形態にかかるIDタグ
の構成を示す平面図である。
【図2】 図1のA−A矢視断面図である。
【図3】 第一の実施形態にかかるIDタグに用いられ
る共振回路の等価回路図である。
【図4】 第一の実施形態にかかるID検出装置の構成
を示すブロック図である。
【図5】 第一の実施形態にかかるID検出装置による
IDタグの固有の情報の検出の様子を示す図である。
【図6】 第一の実施形態にかかる共振回路の他の形態
例を示す等価回路図である。
【図7】 図6に示すIDタグの固有の情報を検出する
際に解析装置によって検出された第一〜第四の共振回路
の共振のパターンを示す図である。
【図8】 IDタグの各共振回路の共振のパターンとそ
の二値情報を示す図である。
【図9】 第一の実施の形態にかかるIDタグに用いら
れる共振回路の他の形態例を示す図である。
【図10】 第一の実施の形態にかかるIDタグに用い
られる共振回路の他の形態例を示す図である。
【図11】 第一の実施の形態にかかるIDタグに用い
られる共振回路の他の形態例を示す図である。
【図12】 本発明の第二の実施の形態にかかるID検
出装置の構成を示す図である。
【図13】 図12に示すIDタグの固有の情報を検出
する際に解析装置によって検出された各共振回路の共振
のパターンを示す図である。
【図14】 本発明の第三の実施の形態にかかるIDタ
グ及びID検出装置の構成を示す図である。
【図15】 第三の実施の形態にかかるID検出装置に
よるIDタグの固有の情報の検出の様子を示す図であ
る。
【図16】 本発明の第四の実施形態にかかる集積回路
用基板の構成を示す平面図である。
【図17】 第四の実施の形態にかかる集積回路用基板
の製造工程を示す図である。
【図18】 第四の実施の形態にかかる集積回路用基板
の製造工程の他の例を示す図である。
【符号の説明】
1、21、42 IDタグ 2 タグ本体 3 共振回路 11、22、31
ID検出装置 12 解析装置 23 位置情報検出
装置 32 回路破壊装置 41 集積回路用基
板 S、S1 発信装置 R 受信装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 乾 信一郎 東京都文京区小石川1−12−14 日本生命 小石川ビル 三菱マテリアル株式会社RF −ID事業センター内 Fターム(参考) 5B035 AA04 BA05 BA07 BB09 CA01 CA08 CA11 5K012 AA01 AB05 AC06 AC08 AC10 BA07

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外部から入力される特定の周波数の電磁
    波に共振して共振波を発する共振回路を複数有し、 これら共振回路間における共振の特性の相対的な関係が
    固有の情報を表していることを特徴とするIDタグ。
  2. 【請求項2】 前記各共振回路間における共振の特性の
    相対的な関係として、前記各共振回路の共振波間の周波
    数間隔を用いていることを特徴とする請求項1記載のI
    Dタグ。
  3. 【請求項3】 前記各共振回路間における共振の特性の
    相対的な関係として、前記各共振回路の共振波間におけ
    る先鋭度Qの相対的な関係を用いていることを特徴とす
    る請求項1または2に記載のIDタグ。
  4. 【請求項4】 前記各共振回路間における共振の特性の
    相対的な関係とタグ本体における前記各共振回路の配置
    との組み合わせが固有の情報を表していることを特徴と
    する請求項1から3のいずれかに記載のIDタグ。
  5. 【請求項5】 表面に集積回路が形成される集積回路用
    基板であって、 前記表面には、請求項1から4のいずれかに記載のID
    タグが形成されていることを特徴とする集積回路用基
    板。
  6. 【請求項6】 表面に集積回路及び該集積回路の電気的
    テストのためのTEG(Testing Element Group)が形
    成される集積回路用基板であって、 前記TEGが形成される領域内に、外部から入力される
    特定の周波数の電磁波に共振して共振波を発する共振回
    路を有しこの共振回路の共振の特性が固有の情報を表す
    IDタグが形成されていることを特徴とする集積回路用
    基板。
  7. 【請求項7】 前記IDタグが、請求項1から5のいず
    れかに記載のIDタグとされていることを特徴とする請
    求項6記載の集積回路用基板。
  8. 【請求項8】 表面に集積回路が形成される集積回路用
    基板の製造方法であって、 前記集積回路の形成工程の初期段階で、前記表面に、外
    部から入力される特定の周波数の電磁波に共振して共振
    波を発する共振回路を有するIDタグを形成することを
    特徴とする集積回路用基板の製造方法。
  9. 【請求項9】 外部から入力される特定の周波数の電磁
    波に共振して共振波を発する共振回路を複数有するID
    タグから、その固有の情報を検出するID検出装置であ
    って、 電磁波を放出する発信装置と、前記共振回路が発する共
    振波を受信する受信装置と、該受信装置が受信した共振
    波の解析を行う解析装置とを有し、 該解析装置は、前記受信装置による共振波の受信の有
    無、または前記受信装置が受信した前記共振波の特性か
    ら前記各共振回路の共振の特性を解析し、これら共振回
    路間における共振の特性の相対的な関係から前記IDタ
    グの固有の情報を検出することを特徴とするID検出装
    置。
  10. 【請求項10】 タグ本体における前記各共振回路の位
    置情報を検出する位置情報検出装置を有し、 前記解析装置が、前記各共振回路間における共振の特性
    の相対的な関係と前記タグ本体における前記各共振回路
    の配置との組み合わせから固有の情報を検出することを
    特徴とする請求項9記載のID検出装置。
  11. 【請求項11】 前記タグ本体に設けられる前記複数の
    共振回路のうちの少なくとも一部を選択的に破壊可能な
    回路破壊装置が設けられていることを特徴とする請求項
    9または10に記載のID検出装置。
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