JP2003270238A - 体液検査用具 - Google Patents

体液検査用具

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JP2003270238A
JP2003270238A JP2002069840A JP2002069840A JP2003270238A JP 2003270238 A JP2003270238 A JP 2003270238A JP 2002069840 A JP2002069840 A JP 2002069840A JP 2002069840 A JP2002069840 A JP 2002069840A JP 2003270238 A JP2003270238 A JP 2003270238A
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JP
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body fluid
blood
less
protease inhibitor
porous material
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JP2002069840A
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English (en)
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Makoto Kunichika
誠 國近
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Sanyo Chemical Industries Ltd
Original Assignee
Sanyo Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 体液中の測定物質(特にペプチド抗原)を安
定に乾燥・保持できる体液検査用具を提供する。 【解決手段】 体液を多孔質材に含浸保持する体液検査
用具において、少なくとも蛋白分解酵素阻害剤を含んで
なることを特徴とする体液検査用具を用いる。なお、蛋
白分解酵素阻害剤がトリプシンインヒビター、セリンプ
ロテアーゼインヒビター及びシステインプロテアーゼイ
ンヒビターからなる群より選ばれる少なくとも一種の蛋
白質分解酵素阻害剤であることが好ましく、さらに好ま
しくはアプロチニン又はフェニルメチルスルホニルフル
オライド(PMSF;Phenylmethylsulfonyl Fluorid
e)である。さらに血液の抗凝固剤を含むことが好まし
い。また、多孔質材が濾紙であることが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、体液検査用具に関
する。さらに詳しくは臨床検査等に供するために体液を
乾燥状態で保存する体液検査用具に関する。
【0002】
【従来の技術】乾燥濾紙血中の甲状腺刺激ホルモンを測
定することにより新生児クレチン症のマススクリーニン
グすることが知られている[Endocrinologie,20(1),17-
23(1982)、Eur.J.Clin.Chem.Clin.Biochem,32(3),137-4
3(1994)]。このような甲状腺刺激ホルモンの場合、乾
燥工程及び乾燥後の保存による劣化が少ないため、実用
上の問題は発生しない。ところが、測定対象物がヘモグ
ロビン、グリコヘモグロビン及び前立腺特異抗原(PS
A)等では、この乾燥工程及び乾燥後の保存により、体
液中の測定対象物質の劣化及び/又は測定対象物の測定
を阻害する物質の生成に起因して正しい測定値が得られ
ないことがあったため、次の及びの体液検査用具が
提案されている。 乾燥状態での血液の安定性を高めるため、カルボン酸
及び非還元糖を有する多孔質材を使用した体液検査用具
(国際公開番号WO00/14532号公報)。 血液の抗凝固剤及び解糖阻止剤を有する多孔質材を使
用した体液検査用具(特開平10−104226号公
報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、及びの体
液検査用具では、ヘモグロビン等の安定性を向上させる
が、不安定な抗原、特にペプチド抗原の安定性には寄与
しないため、正しい測定値が得られなかった。すなわ
ち、本発明は、体液中の測定物質(特にペプチド抗原)
を安定に乾燥・保持できる体液検査用具の提供すること
を目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的を
達成すべく鋭意検討した結果、特定の多孔質材を用いる
ことにより、体液を安定に乾燥・保存できることを見い
だし本発明に到達した。すなわち、本発明の体液検査用
具の特徴は、体液を多孔質材に含浸保持する体液検査用
具において、少なくとも蛋白分解酵素阻害剤を含んでな
る点を要旨とする。
【0005】
【発明実施の形態】本発明において、体液としては、動
物(好ましくは人間)の体内に存在する液体であればす
べて適用でき、例えば血液、尿、唾液、涙液、鼻汁、膿
汁、精液、リンパ液、髄液及び腹水等が挙げられる。血
液としては、動脈血、静脈血及び末梢血が挙げられる。
これらのうち、血液、尿、唾液が好ましく、被検者自身
で採取できるという観点から、抹消血、尿及び唾液がさ
らに好ましい。
【0006】本発明の体液検査用具は、多孔質材と蛋白
質分解酵素阻害剤とを含んでなるものである。多孔質材
としては公知のものが使用でき、例えば濾紙、不織布、
織布又はシート状発泡体等からなる多孔質材が挙げられ
る。その材質としては、公知の天然高分子及び合成高分
子等が使用でき、例えば、綿、羊毛、セルロース、ポリ
スチレン、ポリオレフィン、ポリウレタン、ニトロセル
ロース、セルロースアセテート、ポリエステル、エポキ
シ樹脂、フェノール樹脂、絹、フィブロイン、リグニ
ン、ヘミセルロース、キチン、エボナイト、ゴム、ガラ
ス、石英及びセラミックス等が挙げられる。これらのう
ち、天然高分子が好ましく、さらに好ましくはセルロー
ス及び綿であり、特に好ましくはセルロースである。
【0007】濾紙としては、例えば、JIS P380
1(1995年)又はTAPPI(Technical
Association of the Pulp
and Paper Industry)T205に規
定される濾紙等が挙げられる。不織布としては、例え
ば、ポリオレフィン不織布、ニトロセルロース不織布、
セルソールアセテート不織布、ポリエステル不織布、エ
ポキシ不織布、ガラス不織布及びセラミックス不織布等
が挙げられる。織布としては、例えば、綿布、羊毛布、
セルロース布、ポリオレフィン布、ニトロセルロース
布、セルロールアセテート布、エポキシ布、ガラス布及
びセラミックス布等が挙げられる。シート状発泡体とし
ては、例えば、発泡ポリスチレン、発泡ポリオレフィ
ン、発泡ポリウレタン、発泡ポリエステル、発泡エポキ
シ樹脂、発泡ガラス及び発泡セラミックス等が挙げられ
る。これらのうち、単位体積又は単位面積当たりに吸収
する体液の量が一定になりやすいという(定量精度向
上)観点から、濾紙、不織布及びシート状発泡体が好ま
しく、さらに好ましくは濾紙及び不織布、特に好ましく
は濾紙である。
【0008】多孔質材の厚さ(mm)は、適宜選択する
ことができるが、0.1以上が好ましく、さらに好まし
くは0.2以上、特に好ましくは0.3以上である。ま
た3.0以下が好ましく、さらに好ましくは1.0以
下、特に好ましくは0.6以下である。多孔質材の大き
さ(面積)(cm2)は、体液の採取、保管及び輸送時
などの操作性を考慮して自由に設定できるが、1以上が
好ましく、さらに好ましくは10以上、特に好ましく2
5以上である。また200以下が好ましく、さらに好ま
しくは150以下、特に好ましく100以下である。多
孔質材の孔径は自由に設定選択できるが、平均孔径(μ
m)として、1以上が好ましく、さらに好ましくは2以
上、特に好ましくは5以上である。また100以下が好
ましく、さらに好ましくは80以下、特に好ましくは5
0以下である。
【0009】蛋白質分解酵素阻害剤は、体液検査用具に
含まれていればよく、例えば、多孔質材中に存在させ
ること、及び/又は体液が多孔質材に含浸する際に体
液と接触するように存在させること等が挙げられる。
の方法としては、蛋白質分解酵素阻害剤をガーゼ等の保
持材に保持させ、これを多孔質材と併設する方法等が適
用できる。これらのうち、蛋白質分解酵素阻害剤は多孔
質材中に存在させることが好ましい。
【00010】蛋白分解酵素阻害剤としては、蛋白分解
酵素の活性を低下させる物質が使用でき、トリプシンイ
ンヒビター、セリンプロテアーゼインヒビター、システ
インプロテアーゼインヒビター及びその他の蛋白質分解
酵素阻害剤等が使用できる。トリプシンインヒビターと
しては、アプロチニン、トウモロコシ由来トリプシンイ
ンヒビター、卵白由来トリプシンインヒビター及び大豆
由来トリプシンインヒビター等が挙げられる。セリンプ
ロテアーゼインヒビターとしては、アンチスロンビンI
II、クロルメチルケトンジヒドロクロライド、3,4
−ジクロロカウマリン、フィソネート、ヘパリンコファ
クターII及びフェニルメチルスルホニルフルオライド
(PMSF;Phenylmethylsulfonyl Fluoride)等が挙
げられる。システインプロテアーゼインヒビターとして
は、アンチパイン、カルペプチンカスパーゼインヒビタ
ー、E−64−c及びE−64−d等が挙げられる。そ
の他の蛋白分解酵素阻害剤として、アマスタチン、ロイ
ペプチン、メタロプロテアーゼインヒビター及びペプス
タチンA等が挙げられる。これらのうち、トリプシンイ
ンヒビター、セリンプロテアーゼインヒビター及びシス
テインプロテアーゼインヒビターが好ましく、さらに好
ましくはトリプシンインヒビター及びセリンプロテアー
ゼインヒビター、特に好ましくはアプロチニン及びPM
SFである。
【0011】蛋白質分解酵素阻害剤の含有量は、多孔質
材が保持できる体液量に応じて適宜設定でき、体液1m
L当たり、好ましくは0.01mg以上、さらに好まし
くは0.1mg以上、そして、好ましくは100mg以
下、さらに好ましくは10mg以下となるように設定す
る。例えば、多孔質材がワットマン社製の濾紙[BFC
180(厚さ0.49mm)]では、体液が血液の場
合、濾紙1cm2当たり44μLを保持できる。この
時、蛋白分解酵素阻害剤の含有量(μg/cm2)は、
濾紙1cm2当たりに0.44以上が好ましく、さらに
好ましくは4.4以上である。また4400以下が好ま
しく、さらに好ましくは44以下である。また、多孔質
材が東洋濾紙社製のガラス濾紙[GB140(厚さ0.
56mm)]では、体液が血液の場合、濾紙1cm2
たり130μLを保持できる。この時、蛋白分解酵素阻
害剤の含有量(μg/cm2)は、濾紙1cm2当たりに
1.3以上が好ましく、さらに好ましくは13以上であ
る。また13000以下が好ましく、さらに好ましくは
130以下である。
【0012】本発明の体液検査用具は、蛋白分解酵素阻
害剤に加え、さらに血液の抗凝固剤を含むことが好まし
い。血液の抗凝固剤は、体液検査用具に含まれていれば
よく、例えば、多孔質材中に存在させること、及び/
又は体液が多孔質材に含浸する際に体液と接触するよ
うに存在させること等が挙げられる。の方法として
は、血液の抗凝固剤をガーゼ等の保持材に保持させ、こ
れを多孔質材と併設する方法等が適用できる。これらの
うち、血液の抗凝固剤は多孔質材中に存在させることが
好ましい。
【0013】血液の抗凝固剤としては、一般に臨床検査
の採血時に使用されるものが全て使用でき、ヘパリン、
EDTA、EDTAの塩(3カリウム塩、1ナトリウム
塩、2ナトリウム塩、3ナトリウム塩、4ナトリウム
塩)、及びクエン酸等が挙げられる。これらのうち、E
DTA及びEDTAの塩が好ましく、さらに好ましくは
EDTAの3カリウム塩及びEDTAの4ナトリウム塩
である。血液の抗凝固剤を使用する場合、抗凝固剤の含
有量は、多孔質材が保持できる体液量に応じて適宜設定
でき、体液1mL当たり、好ましくは0.1mg以上、
さらに好ましくは1mg以上、そして、好ましくは10
0mg以下、さらに好ましくは10mg以下となるよう
に設定する。
【0014】本発明の体液検査用具には、さらに公知の
酸化防止剤及び/又は解糖阻止剤等を含ませることもで
きる。酸化防止剤を使用する場合、酸化防止剤の含有量
は、多孔質材が保持できる体液量に応じて適宜設定で
き、体液1mL当たり、好ましくは0.01mg以上、
さらに好ましくは0.11mg以上、そして、好ましく
は100mg以下、さらに好ましくは10mg以下とな
るように設定する。解糖阻止剤を使用する場合、解糖阻
止剤の含有量は、多孔質材が保持できる体液量に応じて
適宜設定でき、体液1mL当たり、好ましくは0.1m
g以上、さらに好ましくは1mg以上、そして、好まし
くは100mg以下、さらに好ましくは10mg以下と
なるように設定する。
【0015】本発明の体液検査用具は、多孔質材に、あ
らかじめ蛋白分解酵素阻害剤、並びに必要に応じて血液
の抗凝固剤、酸化防止剤及び/又は解糖阻止剤等(以
下、蛋白分解酵素阻害剤等という)を含有させる方法等
により生産できる。多孔質材に蛋白分解酵素阻害剤等を
含有させるには、例えば蛋白分解酵素阻害剤等を含む溶
液を多孔質材に噴霧したのち乾燥させる方法、蛋白分解
酵素阻害剤等を含む溶液に多孔質材を浸積したのち乾燥
する方法等が適用できる。
【0016】蛋白分解酵素阻害剤等を溶解する溶剤は、
蛋白分解酵素阻害剤等の溶解性により適宜選択できる。
水溶性の蛋白分解酵素阻害剤等の場合、蒸留水、脱イオ
ン水、生理食塩水、リン酸緩衝液及びグッドの緩衝液等
が使用でき、非水溶性の蛋白分解酵素阻害剤等の場合、
適当な有機溶剤、例えばPMSFの場合、エタノール及
びアセトン等が使用できる。これらのうち、水溶性の場
合、蒸留水及び脱イオン水が好ましい。非水溶性の場合
は、好ましい溶剤は蛋白分解酵素阻害剤等の種類により
異なるが、PMSFの場合、エタノールである。
【0017】溶液中の蛋白分解酵素阻害剤の濃度(mg
/mL)は、蛋白分解酵素阻害剤の種類により適宜設定
できるが、溶液1mL当たり、0.01以上が好まし
く、さらに好ましくは0.1以上、また100以下が好
ましく、さらに好ましくは10以下である。溶液中の血
液の抗凝固剤の濃度(mg/mL)は、抗凝固剤の種類
により適宜設定できるが、溶液1mL当たり、0.01
以上が好ましく、さらに好ましくは0.1以上である。
また100以下が好ましく、さらに好ましくは10以下
である。溶液中の酸化防止剤の濃度(mg/mL)は、
酸化防止剤の種類により適宜設定できるが、溶液1mL
当たり、0.001以上が好ましく、さらに好ましくは
0.01mg以上である。また10以下が好ましく、さ
らに好ましくは1以下である。溶液中の解糖阻止剤の濃
度(mg/mL)は、解糖阻止剤の種類により適宜設定
できるが、溶液1mL当たり、0.01以上が好まし
く、さらに好ましくは0.1以上である。また100以
下が好ましく、さらに好ましくは10以下である。
【0018】乾燥方法としては、例えば、減圧乾燥、冷
凍減圧乾燥、微加熱乾燥及び単純乾燥(風乾)等が適用
でき、これらのうち、減圧乾燥、冷凍減圧乾燥及び単純
乾燥が好ましく、さらに好ましくは減圧乾燥及び単純乾
燥であり、特に好ましくは単純乾燥である。乾燥は、蛋
白分解酵素阻害剤等が劣化しない条件で行うことが好ま
しく、40℃以下の温度で行うのがさらに好ましく、さ
らに好ましくは30℃以下で行う。また冷凍減圧乾燥を
除いて10℃以上で行うことが好ましい。減圧する場
合、圧力(Pa)は、0.02以上が好ましく、さらに
好ましくは0.05以上、特に好ましくは0.1以上で
ある。また10以下が好ましく、さらに好ましくは2以
下、特に好ましくは1以下である。単純乾燥する場合の
湿度(%RH)は、特に制限はないが、10以上が好ま
しく、さらに好ましくは40以上である。また90以下
が好ましく、さらに好ましくは80以下である。乾燥時
間は、乾燥方法、多孔質材の形状、蛋白分解酵素阻害剤
等及び溶剤の量により適宜設定できるが、多孔質材が濾
紙の場合、20分〜1時間程度が好ましい。
【0019】体液検査用具に体液を含浸させる方法とし
ては、例えば、体液に体液検査用具を浸漬する方法、体
液検査用具に体液を滴下する方法及び体液採取部位に体
液検査用具を直接接触させる方法等が挙げられる。これ
らのうち、簡便性の観点から、体液検査用具に体液を滴
下する方法が好ましい。また、体液が末梢血の場合、穿
刺部(体液採取部位)に体液検査用具を押し付ける(直
接接触させる)方法が好ましい。体液の採取は従来公知
の方法で実施でき特に限定はない。例えば、抹消血の採
取は、被検者の指先等を穿刺前によくマッサージ及び/
又は暖めて充血させておき、消毒ガーゼで穿刺部位を拭
いて乾燥させ、ディスポーザブル・ランセット等で穿刺
して被検者自身で行うことができる。
【0020】体液に体液検査用具を浸漬する場合、体液
の使用量(ml)は体液検査用具が浸漬できる量であ
り、体液検査用具の大きさに決定されるが、0.05以
上が好ましく、さらに好ましくは0.1以上、特に好ま
しくは0.15以上である。また2以下が好ましく、さ
らに好ましくは1以下、特に好ましくは0.5以下であ
る。体液検査用具に体液を滴下する場合、体液の使用量
(ml)は体液検査用具の大きさに決定されるが、0.
02以上が好ましく、さらに好ましくは0.05以上、
特に好ましくは0.1以上である。また0.5以下が好
ましく、さらに好ましくは0.3以下、特に好ましくは
0.2以下である。穿刺部に体液検査用具を押し付ける
場合、血液の使用量(ml)は多孔質材の大きさに決定
されるが、0.02以上が好ましく、さらに好ましくは
0.05以上、特に好ましくは0.1以上である。また
0.5以下が好ましく、さらに好ましくは0.3以下、
特に好ましくは0.2以下である。
【0021】体液検査用具の体液保持部分を一定の大き
さに切り取る場合(後述)、切取られる体液検査用具が
保持できる量以上の血液を滴下すればよく、滴下する体
液量を正確に制御する必要はない。例えば、ワットマン
社製濾紙BFC180(厚さ0.49mm)を用いた体
液検査用具の場合、滴下した血液量が50μLであれば
血液を保持した部分の大きさは直径約12mmである。
1滴の液量は約40〜60μLであるので、血液保持部
分を直径6mmの円形に打ちぬく場合、必要な血液の量
は1〜2滴となる。
【0022】さらに、体液の安定性及び定量の再現性の
観点から、体液を体液検査用具に保持させた後、乾燥さ
せることが好ましく、体液検査用具に保持された体液の
重量が50重量%以下(好ましくは30重量%以下)に
なるまで乾燥することがさらに好ましい。乾燥方法とし
ては、例えば、減圧乾燥、冷凍減圧乾燥、微加熱乾燥及
び単純乾燥(風乾)等が適用でき、これらのうち、減圧
乾燥、冷凍減圧乾燥及び単純乾燥が好ましく、さらに好
ましくは減圧乾燥及び単純乾燥であり、特に好ましくは
単純乾燥である。乾燥は、体液中の測定対象物の免疫反
応性が変化しない条件で行うことが好ましく、40℃以
下の温度で行うのがさらに好ましく、さらに好ましくは
30℃以下で行う。また冷凍減圧乾燥を除いて10℃以
上で行うことが好ましい。減圧する場合、圧力(Pa)
は、0.02以上が好ましく、さらに好ましくは0.0
5以上、特に好ましくは0.1以上である。また10以
下が好ましく、さらに好ましくは2以下、特に好ましく
は1以下である。単純乾燥する場合の湿度(%RH)
は、特に制限はないが、10以上が好ましく、さらに好
ましくは40以上である。また90以下が好ましく、さ
らに好ましくは80以下である。乾燥時間は、乾燥方
法、多孔質材の形状及び保持した体液量等により適宜設
定できるが、多孔質材が濾紙の場合、20分〜1時間程
度が好ましい。
【0023】体液を保持した多孔質材を保存する場合、
湿度(%RH)は、80以下が好ましく、さらに好まし
くは60以下、特に好ましくは40以下である。また5
以上が好ましく、さらに好ましくは10以上、特に好ま
しくは20以上である。また、温度(℃)は、0以上が
好ましく、さらに好ましくは1以上、特に好ましくは2
以上である。また40以下が好ましく、さらに好ましく
は30以下、特に好ましくは10以下である。なお、湿
度80%RH以下を保てる状態(密閉下、乾燥剤存在の
密閉下等)であれば郵便又は宅配便等により輸送するこ
とができる。
【0024】本発明における体液検査用具は、その保持
した体液成分中の測定対象物を測定することに用いられ
る。体液成分中の測定対象物質としては、以下に例示す
る(1)〜(5)等が挙げられる。 (1)タンパク質関連物質:AFP、CEA、CA19
−9、CA125、CA15−3、CA72−4、CA
50、トロポニンI、トロポニンT、ペプシノゲンI、
ペプシノゲンII、ProGRP、PSA、PAP、S
CC,KMO1、NSE、IgE、特異IgE、β2−
ミクログロブリン、フェリチン、IAP、C3、C4、
C5、CRP、α2−MG、IgA、IgM、IgG、
IgE、IgD、CK−MB、CK−MM、ミオグロビ
ン、ミオシン、トランスフェリン、アポリポタンパク、
糖タンパク、アルブミン、マイクロアルブミン、ヘモグ
ロビン、グリコヘモグロビン、フルクトサミン、HD
L、LDL、RF、リンパ球サブセット、LE細胞、抗
サイログロブリン抗体、抗マイクロゾーム抗体及びAS
O等。
【0025】(2)ホルモン関連物質:インスリン、A
NP、BNP、HGC、β−HCG、成長ホルモン、T
SH、LH、FSH、プロラクチン、T3、T4、FT
3、FT4、TBG、C−ペプチド、T−Uptak
e、エストロゲン、HPL、E2、コルチゾール、プロ
ゲステロン、テストステロン及びソマトスタチン等。 (3)薬物関連物質:ジゴキシン、フェニトイン、フェ
ノバルビタール及びテオフィリン等。 (4)感染症関連物質:真菌、連鎖球菌、大腸菌、結核
菌、肝炎ウイルス、ヘルペスウイルス、エイズウイル
ス、カンシダ、マイコプラズマ、トキソプラズマ、梅
毒、マラリア原虫及び赤痢アメーバー等そのもの自体、
並びにこれらに対する抗体及びこれらの代謝物等。
【0026】(5)環境・食品関連物質:環境ホルモン
(エストラジオール等の性ホルモン、ペンタクロロフェ
ノール、アトラジン、アラクロール、シマジン、メソミ
ル、ドリン、アルディアルブ、ベミノル、PCB、ダイ
オキシン及びDDT等)、農薬(スミチオン、α−ベン
ゾピエン、フェンバレレート及びメトリブジン等)、貝
毒・藍藻毒(サキシトキシン、マイクロシスチン及びゴ
ニオトキシン等)、及びカビ毒(アフラトキシン、オク
ラトキシン及びゼラレノン等)等。
【0027】これらのうち、(1)及び(2)が好まし
い。(1)及び(2)のうち、分子量が1万以下のペプ
チド抗原がさらに好ましく、例えば、好ましいペプチド
抗原としてはインスリン、ANP、BNP、C−ペプチ
ド及びProGRP等である。
【0028】体液成分は、測定対象物の測定に際して、
あらかじめ多孔質材から抽出される。以下に抽出の具体
的方法を記載するが、例えば測定反応液中に多孔質材を
加え、抽出と同時に測定反応を実施することも可能であ
る。
【0029】体液成分の抽出の前に、体液検査用具の体
液保持部分を一定の大きさに切り取ってから行うことが
好ましい。例えば、体液保持部分の中心部を一定の形状
に切り取ったものを抽出に用いる方法が好ましい。切り
取る方法としては、一定直径のパンチで打ちぬく方法及
び予め入れた切取線(ミシン目等)に沿って切り出す方
法等が適用できる。
【0030】体液検査用具から体液成分の抽出は、体液
中の測定対象物(抗原)の免疫反応性が変化しない限り
特に制限なく行うことができ、例えば、抽出用溶液に体
液検査用具を浸漬し、その上清を抽出液として用いるこ
とができる。抽出用溶液として、pHが中性領域の緩衝
液が使用でき、例えば、pH6〜8のグッド緩衝液及び
pH6〜8のリン酸緩衝液等が好ましく使用される。ま
た、抽出用溶液には、塩、界面活性剤、蛋白質及び抗原
安定化剤等を添加することもできる。塩としては、例え
ば、塩化ナトリウム、塩化カリウム及び臭化リチウム等
が挙げられる。界面活性剤としては、例えば、ソルビタ
ンラウリン酸モノエステルエチレンオキシド付加物(例
えば、ツイーン20及びツイーン40(ICIアメリカ
社))等のノニオン界面活性剤等が挙げられる。蛋白質
としては、例えば、牛血清アルブミン及びカゼイン等が
挙げられる。抗原安定化剤としては、例えば、EDTA
等のキレート剤及びプロテアーゼインヒビター等が挙げ
られる。
【0031】定量再現性の観点から、体液検査用具に対
する抽出用溶液の使用量及び抽出時間等の抽出条件を一
定にする必要がある。抽出用溶液の使用量(ml)とし
ては、体液検査用具1個当たり、0.05以上が好まし
く、さらに好ましくは0.1以上、特に好ましくは0.
2以上である。また5以下が好ましく、さらに好ましく
は1以下、特に好ましくは0.5以下である。抽出時間
(分)としては、0.5以上が好ましく、さらに好まし
くは1以上、特に好ましくは5以上である。また480
以下が好ましく、さらに好ましくは180以下、特に好
ましくは60以下である。撹拌は、ボルテックスミキサ
ーのような装置を用いて、容器を震動して行うことが好
ましく、震動回数は100〜2000rpmが好まし
い。
【0032】抽出条件を例示すると、例えば、多孔質材
から切り取った直径6mm(厚さ0.49mm)の濾紙
(ワットマン社製BFC180)の場合、以下の条件等
で抽出できる。 抽出用溶液組成:塩化ナトリウム含有0.05モル/L
リン酸緩衝液(pH7.2)(塩化ナトリウムの含有
量:緩衝液100mL当たり0.85g、以下同じ。) 抽出用溶液の使用量:200〜300μL 抽出温度:室温(15〜25℃) 抽出時間:20分〜1時間(攪拌後の放置時間) 抽出操作:多孔質材に抽出用溶液を加えボルテックスミ
キサーで攪拌後(500rpm、1分)、上記温度で上
記時間放置する。再度攪拌(ボルテックスミキサーで5
00rpm、5秒)し、1分間静置し分散したろ紙繊維
を沈降させた後、上清液を採取し、測定対象物の測定の
ための検体(抽出液)として用いる。
【0033】上記抽出液中の測定対象物の定量方法は特
に制限されないが、定量値の再現性及び測定感度の観点
から、免疫学的測定法が好ましい。免疫学的測定法とし
ては従来公知の方法が使用できるが、抽出液中の心不全
マーカー濃度が血液中の濃度より低いためより定量感度
の高い測定法が望ましく、例えば、放射免疫測定(RI
A)、酵素免疫測定法(EIA)、蛍光免疫測定(FI
A)及び化学発光免疫測定法(CLIA)が好ましい。
放射免疫測定(RIA)としては、固相抗体とI125
標識抗体を用いた2部位サンドイッチ測定法等が挙げら
れ、多数の測定試薬キットが市販されている。酵素免疫
測定法(EIA)としては、固相抗体と酵素標識抗体を
用いた2部位サンドイッチ測定法等が挙げられ、酵素と
してペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、グル
コースオキシダーゼ等を用いた種々の測定試薬キットが
市販されている。蛍光免疫測定(FIA)としては、固
相抗体とユーロピウム標識抗体を用いた2部位サンドイ
ッチ測定法等が挙げられる。化学発光免疫測定法(CL
IA)としては、固相抗体とアクリジニウムエステル標
識抗体を用いた2部位サンドイッチ測定法等が挙げら
れ、種々の測定試薬キットが市販されている。これらの
免疫学的測定法の中で、好ましいのは酵素免疫測定法
(EIA)であり、さらに好ましくは化学発光酵素免疫
測定法(CLEIA)である。
【0034】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに説明する
が本発明はこれに限定されるものではない。 <実施例1>アプロチニン0.1g(活性;6000K
IU/mg、和光純薬(株)製)を脱イオン水に溶解し
た後、これを採血用濾紙(品番BFC180、ワットマ
ン株式会社製)に濾紙の単位面積当たり50μL/cm
2で噴霧した。次いで、この噴霧濾紙を25℃、60%
RHで1時間自然乾燥して本発明の体液検査用具1を作
成した。
【0035】<実施例2〜5>表1に記載の配合量で溶
液を調製した後、実施例1と同様にして本発明の体液検
査用具2〜5を作成した。なお、表1中、PMSF及び
EDTA・4Na(EDTA4ナトリウム塩)は和光純
薬工業株式会社から購入した。
【0036】<比較例1〜2>表1に記載の配合量で溶
液を調製した後、実施例1と同様にして比較用の体液検
査用具X1〜X2を作成した。
【0037】
【表1】
【0038】<評価1> 1.血液の採取と保存 ボランティア5名(被検者A〜E)の指先をよくマッサ
ージ及び暖めて充血させておき消毒用ガーゼで穿刺部位
を拭いて乾燥させてから、ディスポーザブル・ランセッ
ト(商品名「ヘモレット」、ミドリ十字株式会社製)で
穿刺し、最初の血滴を拭い去り、次の血滴2滴を被検者
1人当たり、実施例1〜5及び比較例1〜2の体液検査
用具の各5枚にぞれぞれに指先から直接滴下し吸収させ
た。次いで、室内(25±1℃、65±5%RH)で風
乾して(風乾時間10分間)、それぞれ血液担持担体を
得た。乾燥後の各血液担持担体(血液乾燥濾紙)の各重
量を計測し、初期血液重量(濾紙重量を除いた値)に対
する比(乾燥度)を求めた(血液担持担体2枚の平均
値)。これらの乾燥度を表1中に示した。次いで、各血
液担持担体を温度25±2℃、湿度55±5%RHで保
存した(保存日数3,5,10,15日)。
【0039】2.抽出操作 以下の操作は温度20〜25℃の室内で実施した。保存
した各血液担持担体の血液保持部分の中心部を、直径6
mmの1穴パンチ(事務用として市販されているもの)
で打ち抜いて濾紙片を得た。試験管に打ち抜いた濾紙片
及び塩化ナトリウム含有0.05モル/Lリン酸緩衝液
(pH7.2)(抽出用溶液)250μLを加え、30
秒間攪拌(ボルテックスミキサーで500rpm)した
後、30分間放置した。その後、30秒間同様に攪拌し
た後1分間静置し、上清を分取して抽出液を調製し、こ
れをC−ペプチドの定量に供した。
【0040】3.抽出液中のC−ペプチドの定量 測定試薬は臨床検査薬としては、和光純薬工業株式会社
より発売されている「スフィアライト C−ペプチド」
を用いた。抽出液中のホルモン量を決定するための標準
溶液は、和光純薬工業株式会社より発売されている「ス
フィアライトC−ペプチドコントロールセット」を用い
た。定量装置としては、オリンパス光学工業株式会社製
のSphereLight180を用いた。本試薬と装
置を用いることで化学発光酵素免疫測定法により、C−
ペプチドの定量ができる。使用する定量用試薬が血清中
のホルモン濃度を測定するための臨床検査薬であり、通
常測定に使用する検体量は50μLに設定されおり、反
応時間はトータル約15分である。抽出液中のC−ペプ
チドの定量の場合、血清中より低濃度であるため、抽出
液は100μL使用した。また、反応時間を約30分に
延長した。
【0041】4.定量結果 定量結果及び次式から求めた求めた安定度を表2〜8に
示した。 (安定度)=(所定保存期間後の定量値)×100/
(初期定量値) なお、初期定量値は、血液担持担体を作成後、直ちに抽
出用溶液に投入し、抽出操作を開始して定量したもので
あり、保存期間0日として示した。
【0042】
【表2】
【0043】
【表3】
【0044】
【表4】
【0045】
【表5】
【0046】
【表6】
【0047】
【表7】
【0048】
【表8】
【0049】各条件で作成、保存した体液検査用具から
得た抽出液中のC−ペプチドは、比較例1〜2が5日以
内に80%以下になるのに対して、実施例1〜5では1
5日でも80%以上と安定であった。従って、本発明の
体液検査用具ではC−ペプチドを安定に保存できること
が判る。
【0050】<評価2> 1.血液の採取と保存 ボランティア3名(被検者G〜I)について、評価1と
同様にして、実施例1〜5及び比較例1〜2で作成した
各体液検査用具に採血し、血液担持担体を作成した。た
だし、血液の乾燥時間は1時間とし、これらの乾燥度を
表1に示した。次いで、各血液担持担体を温度25±2
℃、湿度55±5%RHで保存した(保存日数3,5,
10,15日)。
【0051】2.抽出操作 以下の操作は温度20〜25℃の室内で実施した。血液
担持担体の血液保持部分の中心部を、直径6mmの1穴
パンチ(事務用として市販されている物)で打ち抜いて
濾紙片を得た。試験管に打ち抜いた濾紙片及び塩化ナト
リウム含有0.05モル/Lリン酸緩衝液(pH7.
2)(抽出用溶液)250μLを加え、30秒間攪拌
(ボルテックスミキサーで500rpm)した後、30
分間放置した。その後、30秒間同様に攪拌した後1分
間静置し、上清を分取して抽出液を調製し、これをAN
Pの定量に供した。
【0052】3.抽出液中のANPの定量 定量用試薬としては、臨床検査薬として和光純薬工業株
式会社より発売されている「α−hANPテストワコ
ー」を用いた。抽出液中の心不全マーカー量を決定する
ための標準溶液は、「α−hANPテストワコー」に付
属の標準α−hANPを用いた。本試薬は血漿中の心不
全マーカー濃度を測定するための臨床検査薬であり、抽
出液中の心不全マーカーの定量の場合は測定感度が不足
するため、試薬添付の説明書記載の操作法を以下の通り
変更して測定した。特に説明の無い試薬は「α−hAN
Pテストワコー」の構成試薬を使用した。
【0053】1)試験管に抗α−ANP抗体ビーズ1
個、反応用緩衝液150μL及び検体150μLを加
え、10℃、20時間反応した。 2)反応液をアスピレーターで吸引除去し、試験管に洗
浄液500μLを入れ吸引することで洗浄した。この洗
浄を5回実施した。 3)POD標識抗体液300μLを試験管に加え、10
℃、2時間反応した。 4)2)と同様に洗浄を行った。 5)発光試薬A[ルミノールナトリウム(和光純薬工業
(株)製)0.18gと、4−(シアノメチルチオ)フ
ェノール0.1gとを、0.1M−N,N−ビス(2−
ヒドロキシエチル)メチル/水酸化ナトリウム緩衝液
(pH8.5)1Lに溶解して作成]150μL及び発
光試薬B[200μlの35%過酸化水素水を脱イオン
水1リットルに溶解して作成]150μLを試験管に加
え生じた発光量を計測(アロカ株式会社「ルミネッセン
トリーダーBLR−201」を使用)した。 6)既知濃度のANPを測定した場合の発光量で検量線
を作成し、測定発光量を濃度値とした。
【0054】5.定量結果 定量結果及び評価1と同様にして求めた安定度を表9〜
15に示した。なお、初期定量値は、血液担持担体を作
成後、直ちに抽出用溶液に投入し、抽出操作を開始して
定量したものであり、保存期間0日として示した。
【0055】
【表9】
【0056】
【表10】
【0057】
【表11】
【0058】
【表12】
【0059】
【表13】
【0060】
【表14】
【0061】
【表15】
【0062】各条件で作成、保存した体液検査用具から
得た抽出液中のANPは、比較例1〜2が5日以内に8
0%以下になるのに対して、実施例1〜5では15日で
も80%以上と安定であった。従って、本発明の体液検
査用具ではANPを安定に保存できることが判った。
【0063】<評価3> 1.血液の採取と保存 ボランティア3名(被検者J〜L)について、評価1と
同様にして、実施例1〜5及び比較例1〜2で作成した
各体液検査用具に採血し、血液担持担体を作成した。た
だし、血液の乾燥時間は1時間とし、これらの乾燥度を
表1に示した。次いで、各血液担持担体を温度25±2
℃、湿度55±5%RHで保存した(保存日数3,5,
10,15日)。 2.抽出操作 評価1と同様にして、抽出液を調製し、これをBNPの
定量に供した。ただし、抽出に用いる濾紙片は3枚とし
た。
【0064】3.抽出液中の心不全マーカー(BNP)
の定量 測定試薬は臨床検査薬として塩野義製薬式会社より発売
されている「シオノリアBNP」を用いた。抽出液中の
心不全マーカー量を決定するための標準溶液は、「シオ
ノリアBNP」の構成試薬である標準BNPを用いた。
本試薬は血漿中の心不全マーカー濃度を測定するための
臨床検査薬であり、抽出液中の心不全マーカーの定量の
場合は測定感度が不足するため、試薬添付の説明書記載
の操作法を以下の通り変更して測定した。特に説明の無
い試薬は「シオノリアBNP」の構成試薬を使用した。
【0065】1)試験管に抗体ビーズ、緩衝液(1mL
中にアプロチニン500KIU、カゼイン10mgを含
むリン酸緩衝液)100μL及び検体200μLを加
え、5℃、20時間反応した。 2)反応液をアスピレーターで吸引除去し、試験管に洗
浄液500μLを入れ吸引することで洗浄した。この洗
浄を5回実施した。 3)ヨウ化BNP抗体溶液液300μLを試験管に加
え、5℃、20時間反応した。 4)2)と同様に洗浄を行った。 5)γ−カウンターで放射能カウントを計測した。 6)既知濃度のBNPを測定した場合の放射能カウント
で検量線を作成し、測定カウントを濃度値とした。
【0066】5.定量結果 定量結果及び評価1と同様にして求めた安定度を表16
〜22に示した。なお、初期定量値は、血液担持担体を
作成後、直ちに抽出用溶液に投入し、抽出操作を開始し
て定量したものであり、保存期間0日として示した。
【0067】
【表16】
【0068】
【表17】
【0069】
【表18】
【0070】
【表19】
【0071】
【表20】
【0072】
【表21】
【0073】
【表22】
【0074】各条件で作成、保存した体液検査用具から
得た抽出液中のBNPは、比較例1〜2が5日以内に8
0%以下になるのに対して、実施例1〜5では15日で
も80%以上と安定であった。従って、本発明の体液検
査用具ではBNPを安定に保存できることが判った。
【0075】<評価4> 1.血液の採取と保存 ボランティア3名(被検者M〜O)について、評価1と
同様にして、実施例1〜5及び比較例1〜2で作成した
各体液検査用具に採血し、血液担持担体を作成した。こ
れらの乾燥度を表1に示した。次いで、血液担持担体を
温度25±2℃、湿度55±5%RHで保存した(保存
日数3,5,10,15日)。 2.抽出操作 評価1と同様にして、抽出液を調製し、これをインシュ
リンの定量に供した。
【0076】3.抽出液中のインシュリンの定量 定量用試薬としては、臨床検査薬として和光純薬工業株
式会社より発売されている「スフィアライト インシュ
リン」を用いた。抽出液中のホルモン量を決定するため
の標準溶液は、和光純薬工業株式会社より発売されてい
る「スフィアライト インシュリンコントロールセッ
ト」を用いた。定量装置としては、オリンパス光学工業
株式会社製のSphereLight180を用いた。
本試薬と装置を用いることで化学発光酵素免疫測定法に
より、インシュリンの定量ができる。使用する定量用試
薬が血清中のホルモン濃度を測定するための臨床検査薬
であり、通常測定に使用する検体量は40μLに設定さ
れおり、反応時間はトータル約15分である。抽出液中
のホルモンの定量の場合、血清中より低濃度であるた
め、抽出液は100μL使用し、反応時間を約30分と
して測定した。
【0077】5.定量結果 定量結果及び評価1と同様にして求めた安定度を表23
〜29に示した。なお、初期定量値は、血液担持担体を
作成後、直ちに抽出用溶液に投入し、抽出操作を開始し
て定量したものであり、保存期間0日として示した。
【0078】
【表23】
【0079】
【表24】
【0080】
【表25】
【0081】
【表26】
【0082】
【表27】
【0083】
【表28】
【0084】
【表29】
【0085】各条件で作成、保存した体液検査用具から
得た抽出液中のインシュリンは、比較例1〜2が5日以
内に80%以下になるのに対して、実施例1〜5では1
5日でも80%以上と安定であった。従って、本発明の
体液検査用具ではインシュリンを安定に保存できること
が判った。 <評価5> 1.血液の採取と保存 ボランティア3名(被検者P〜R)について、評価1と
同様にして、実施例1〜5及び比較例1〜2で作成した
各体液検査用具に採血し、血液担持担体を作成した。こ
れらの乾燥度を表1に示した。次いで、血液担持担体を
温度25±2℃、湿度55±5%RHで保存した(保存
日数3,5,10,15日)。 2.抽出操作 評価1と同様にして、抽出液を調製し、これをProG
RPの定量に供した。
【0086】3.抽出液中のProGRPの定量 測定試薬は臨床検査薬として国際試薬株式会社より発売
されている「イムチェック−ProGRP」を用いた。
抽出液中の腫瘍マーカー量を決定するための標準溶液
は、「イムチェック−ProGRP」の構成試薬である
校正用ProGRPを用いた。本試薬は血清中の腫瘍マ
ーカー濃度を測定するための臨床検査薬であり、抽出液
中の腫瘍マーカーの定量の場合は測定感度が不足するた
め、試薬添付の説明書記載の操作法を以下の通り変更し
て測定した。特に説明の無い試薬は「イムチェック−P
roGRP」の構成試薬を使用した。
【0087】1)抗ProGRP抗体固定プレートのウ
エルに反応用緩衝液100μL及び検体50μLを加
え、37℃、60分反応した。 2)反応液をアスピレーターで吸引除去し、ウエルに洗
浄液330μLを入れ吸引することで洗浄した。この洗
浄を5回実施した。 3)POD標識抗体液100μLをウエルに加え、37
℃、30分反応した。 4)2)と同様に洗浄を行った。 5)発光試薬A[ルミノールナトリウム(和光純薬工業
(株)製)0.18gと、4−(シアノメチルチオ)フ
ェノール0.1gとを、0.1M−N,N−ビス(2−
ヒドロキシエチル)メチル/水酸化ナトリウム緩衝液
(pH8.5)1Lに溶解して作成]50μL及び発光
試薬B[200μLの35%過酸化水素水を脱イオン水
1リットルに溶解して作成]50μLをウエルに加え生
じた発光量を計測(大日本製薬株式会社「ルミノスキャ
ンアセント」を使用)した。 6)既知濃度のProGRPを測定した場合の発光量で
検量線を作成し、測定発光量を濃度値とした。
【0088】5.定量結果 定量結果及び評価1と同様にして求めた安定度を表30
〜36に示した。なお、初期定量値は、血液担持担体を
作成後、直ちに抽出用溶液に投入し、抽出操作を開始し
て定量したものであり、保存期間0日として示した。
【0089】
【表30】
【0090】
【表31】
【0091】
【表32】
【0092】
【表33】
【0093】
【表34】
【0094】
【表35】
【0095】
【表36】
【0096】各条件で作成、保存した体液検査用具から
得た抽出液中のProGRPは、比較例1〜2が5日以
内に80%以下になるのに対して、実施例1〜5では1
5日でも80%以上と安定であった。従って、本発明の
体液検査用具ではProGRPを安定に保存できること
が判った。
【0097】本発明の体液検査用具は、体液中の測定物
質を安定に乾燥・保存することができる。特に、従来正
確な測定が得られにくかった前立腺特異抗原(PSA)
等の不安定なペプチド抗原の正確な測定ができる。さら
に、本発明の体液検査用具では、被検者自身が容易に採
血・保存することができるので採血のための熟練者・設
備等が不要である。また、被検者が採血のため病院等に
出向く必要もないという簡便性も併せもつものである。
また、本発明の体液検査用具は、簡単に輸送することが
できるので、多数の検体を一ヶ所に集めて測定すること
ができ輸送及び測定のコストを低減させることができる
等の効果がある。従って、本発明の体液検査用具は、健
康診断等の多数の検体を広い地域から集めて測定する場
合に最適である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 体液を多孔質材に含浸保持する体液検査
    用具において、少なくとも蛋白分解酵素阻害剤を含んで
    なることを特徴とする体液検査用具。
  2. 【請求項2】 蛋白分解酵素阻害剤がトリプシンインヒ
    ビター、セリンプロテアーゼインヒビター及びシステイ
    ンプロテアーゼインヒビターからなる群より選ばれる少
    なくとも一種の蛋白質分解酵素阻害剤である請求項1記
    載の体液検査用具。
  3. 【請求項3】 蛋白分解酵素阻害剤がアプロチニン又は
    フェニルメチルスルホニルフルオライドである請求項1
    記載の体液検査用具。
  4. 【請求項4】 さらに血液の抗凝固剤を含む請求項1〜
    3の何れかに記載の体液検査用具。
  5. 【請求項5】 多孔質材が濾紙である請求項1〜4の何
    れかに記載の体液検査用具。
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