JP2003270076A - バルブの試験・検査方法とその装置 - Google Patents

バルブの試験・検査方法とその装置

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JP2003270076A JP2002071408A JP2002071408A JP2003270076A JP 2003270076 A JP2003270076 A JP 2003270076A JP 2002071408 A JP2002071408 A JP 2002071408A JP 2002071408 A JP2002071408 A JP 2002071408A JP 2003270076 A JP2003270076 A JP 2003270076A
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晋 三井
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泰則 杉田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 実際の使用状態に近い状態でバルブの試
験を行なうことによって、温度変化によるバルブの性能
の変化を得ることのできるバルブの試験方法であり、特
に、高精度が要求される低温流体流路に好適なバルブの
試験・検査方法を提供すること。 【解決手段】 弁11を全閉状態とし、弁一次側11a
内部のみに低温若しくは高温流体を加圧供給した状態下
で、弁二次側11bの圧力変動を検知することにより弁
座封止機能を確認したバルブの試験・検査方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、LNG
(液化天然ガス)等の低温流体を流体とする流路に設置
され、主に、常温〜−196℃までの広い温度領域の流
体を流したり封止したりする機能を有する仕切弁、玉形
弁、逆止弁、ボール弁、バタフライ弁或いはその他の弁
からなる低温弁に好適で、高温流体にも応用可能なバル
ブの試験・検査方法とその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の低温弁等は、弁内部に低温流体
が流れ、弁が冷却された状態での弁座の封止性能、操作
性が重要な機能の一つであり、この性能を確認する方法
として、通常、浸漬法と通気法という検査方法が知られ
ている。前者の浸漬法は、図11に示すようにバルブ
(供試弁)2の内部温度を測定し、かつバルブ2内部に
外部より加圧できるように特殊な治具3によって弁口径
を塞ぎ、この弁全体を冷媒(例えば液体窒素)を満たし
た大きな冷却槽4に入れることにより、バルブ2を外部
から冷却して所定の低温状態とした後に低温でも液化す
る恐れのないヘリウムガス等を用いて所定の圧力検査を
行なうようにしたものである。
【0003】一方、後者の通気法は、バルブの流路内に
直接液体窒素等の低温流体を流し、バルブを内側から冷
却した後にヘリウムガス等を用いて所定の圧力検査等を
行なうようにしたものであり、具体的には、液体窒素を
バルブに流し、使用最低温度以下に完全に冷却した後に
バルブを全閉して出口側の液体窒素を完全に排除し、入
口側よりヘリウムガスにて加圧して弁座からの漏れを測
定するようにしたものである。
【0004】この通気法は、弁座封止性を検査するため
に弁座を閉じると、その瞬間から低温流体が弁内部を流
れなくなり、弁の温度が上昇し始める。その結果、弁内
圧がボイル・シャルルの法則に従って上昇し、この圧力
上昇も弁座漏れとして観察されてしまうため、例えば、
微少量の弁座漏れを測定することは不可能である。
【0005】また、弁内部を冷却するための冷媒として
は、液体窒素を用いるのが通例であるが、通気法の場合
には、弁座を閉じた直後より弁内部に残留した液体窒素
が気化してガスが発生しするため、弁座検査を行なった
としても、漏れとして生じた気泡が弁座漏れによるもの
であるか、或は冷媒の気化ガスによるものであるかの判
別が困難である。以上のような欠点によって、低温弁の
試験方法は浸漬法によって行われるのが主であり、浸漬
法が標準的な実温弁座検査方法とされている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、実際の
使用に際しては、低温弁は、低温流体によって内部から
冷却されるものであり、浸漬法によるような外部からの
冷却は起こりえないばかりか、弁内部側と弁外部側の温
度がほぼ均一で安定した状態にはなり得ない。例えば、
低温弁をLNGラインのブロック弁(ラインの端部に取
り付けられる末端弁)として使用した場合、弁の上流側
においては−162℃である反面、下流側では大気温度
という非常に大きな温度勾配が弁本体内部に生じること
になり、従って、浸漬法では実際の測定結果を得ること
は不可能であった。
【0007】このように、浸漬法は、弁全体を均一に冷
却し、弁本体が冷却したときの冷却状態が実際の使用状
態とは異なるため、ブロック弁等の弁本体に温度勾配が
生じる弁の封止性能を確認する場合、部分的な熱変形の
影響を考慮した結果を得ることができなかった。このた
め弁箱の押し湯座の有無が与える弁性能への影響や、或
は、弁座構造の違いによる弁座封止性等の優位性の立証
など、弁構造の良否を客観的に判断することが困難であ
った。
【0008】本発明は、以上の問題点を解決するために
開発した試験・検査方法であり、その目的とするところ
は、実際の使用状況に近い状態でバルブの試験・検査を
行なうことによって、温度変化によるバルブの性能の変
化を得ることのできるバルブの試験・検査方法であり、
特に、高精度が要求される低温流体流路に好適なバルブ
の試験・検査方法とその装置を提供することを目的とす
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、請求項1に係る発明は、弁を全閉状態とし、弁一次
側内部のみに低温若しくは高温流体を加圧供給した状態
下で、弁二次側の圧力変動を検知することにより弁座封
止機能を確認したバルブの試験・検査方法である。
【0010】請求項2に係る発明は、弁本体一次側に二
重管を接続し、この二重管の内筒を弁体近傍に導いて弁
一次側に上記流体を供給し、外筒を弁配管接続部側に導
いて弁一次側内部の流体を外部に放出することにより、
弁一次側内部を上記流体で満たした状態で弁座封止性能
を確認するようにしたバルブの試験・検査方法である。
【0011】請求項3に係る発明は、弁本体一次側に流
体供給管を接続し、この流体供給管を弁体近傍に導いて
弁一次側に上記流体を供給し、一方、流体放出管を弁配
管接続部側に導いて弁一次側内部の流体を外部に放出す
ることにより、弁一次側内部を上記流体で満たした状態
で弁座封止性能を確認するように構成したバルブの試験
・検査装置である。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明におけるバルブの試験・検
査方法とその装置の実施形態の一例を図面に基づいて詳
述する。図1において、10は本発明における試験装置
であり、11は供試弁である。本例における供試弁11
はゲート弁であるが、グローブ弁、チェック弁、ボール
弁、バタフライ弁等であっても良い。この弁11内に液
体窒素を加圧用窒素(窒素ガス)と共に流し、弁11の
一次側11aの圧力を測定しながら後述する所定の圧力
に加圧する。弁11は、あらかじめ弁体12を介して全
閉状態としており、弁11の一次側11a内部のみに前
記液体窒素と加圧用窒素からなる低温流体若しくは別途
の媒体からなる高温流体を加圧供給した状態下とし、弁
二次側11bの圧力変動を検知することにより弁座封止
性を確認するようにしている。なお、図中11cは供試
弁用の蓋である。
【0013】図1及び図2において、弁11の本体の一
次側11aに二重管13を接続し、この二重管13の内
筒14を弁体12の近傍まで導いて弁一次側11aに低
温流体を圧力センサ15によって一次側圧力として測定
しながら供給し、外筒16を弁配管接続部側に導いて逃
がし弁17から放出することによって弁一次側11aか
らの排気を可能とし、弁一次側11a内部を低温流体で
満たした状態で弁座封止性能を確認できるものであり、
特に、弁11に大きな温度勾配が生じるブロック弁状態
での弁の封止性能を確認できるものである。図2の実施
例においては、サイズ4Bのバルブの蓋11cに、呼び
径1/2Bの外筒を接続し、この外筒の内部に外径10
mmの内筒14を挿入している。このような二重管を用
いることにより、流体供給管と蓋との接続部位を1ヶ所
とすることができると共に、流体を弁体12の近傍まで
導き、且つ二重管の外筒と内筒との間の絞り作用を利用
して弁外部に放出することにより、弁一次側11aの内
部を効果的に流体で満たすことができる。なお、弁一次
側への流体供給は、二重管を用いずに、弁体12の近傍
に流体供給管を導くと共に、この流体供給管とは別に、
流体取入口が蓋11cの近傍になるように配置した排出
管によって行ってもよく、弁一次側11aの内部が流体
で満たせる構造であればよい。
【0014】試験の実施手順としては、先ず弁体12に
より閉止して弁11を全閉状態として低温流体を弁一次
側11aに加えたときには、この弁一次側11aの内圧
力を1.0MPa、温度降下を出来るだけ一定(1〜3
℃/minの降下速度)に保つよう液体窒素、窒素の流
量をコントロールし、この状態で弁一次側11a及び二
次側11bの温度と圧力変動を記録計21によって記録
し、弁座漏れが生じて弁二次側11bの圧力が急上昇し
た時点で試験を終了するものとする。また、弁二次側圧
力が単調に減少し続けた場合、液体窒素の流量を最大に
しても弁一次側11a温度が降下しなくなった時点にお
いても試験終了とする。
【0015】従って、弁座18が封止した状態でも確実
に低温流体が弁11内部の弁座18に当たり、その後弁
11外部に排気されるため、この弁11の冷却には液体
窒素、弁11内部への加圧力(検査圧力)として加圧用
窒素(窒素ガス)を併用していることで冷却過程中も常
に一定圧力を弁座18に加えられる構造となっている。
この冷却開始から終了までの弁座漏れの有無を弁下流側
内部圧を測定する圧力センサ19で測定記録する。
【0016】続いて、上記試験方法によって低温時弁座
封止性を測定した測定結果の一例を図3に示す。図のグ
ラフにおいて、横軸は、供試弁一次側11aの外表面温
度、縦軸は弁二次側11bの内部圧力を示す。弁は、ク
ラス150ステンレス製仕切弁サイズ2Bを用い、A、
Bの2つのサンプルによって試験を行ない、測定結果を
明らかにするために、本試験においては、サンプルBを
常温から低温まで弁座封止性が良好なバルブ、サンプル
AをサンプルBより弁座封止性の劣るバルブとした。
【0017】サンプルBの場合のように、弁座封止性が
常温から低温まで良好な場合には、弁一次側11aが冷
えるにつれ二次側11bも冷えてくるため、弁二次側1
1bの内部圧力は、ボイル・シャルルの法則に基づき単
調に減少している。一方、サンプルAの場合のように、
弁一次側11aを冷却している過程で弁座漏れが発生し
た場合(図中弁一次側ボデー温度−136℃付近)に
は、弁二次側圧力は急激な上昇に転じている。
【0018】試験時における漏れ量は、計算により算出
する必要があり、実際には試験中の弁温度によって算出
式の定数が変わるが、弁二次側11bの温度を常温〜−
50℃とし、弁二次側11bの温度がT℃/min降下
したにもかかわらず二次側圧力が全く減少しないという
条件で以下の計算式によって算出することができる。漏
れ量L(ml/min)=0.004VTここで、V
(cm)は、弁二次側11bの容積(配管内容積も含
む)である。
【0019】このように、本発明のバルブの試験方法に
よって、従来の浸漬法による弁座検査では全く発見でき
なかった製品設計構造上の違いによる弁座封止性能の差
を明確にすることができ、過酷な状況下において使用さ
れるブロック弁としての適否が容易に判定できる。
【0020】次に、鋳物押し湯座の有無が低温弁の性能
に与える影響を本発明のバルブの試験によって確認す
る。一般に、低温弁に限らず、弁のボデーは内部欠陥が
少なく、内圧を内封する圧力容器として、健全性が高い
鋳造品が必要とされる。特に、形状が複雑なボデーであ
る場合は、鋳造時に多数の押し湯を設定し、健全性を高
めるようにするのが常であり、このときボデー中央部に
は各鋳造現場の違いに関係なくほぼ押し湯座が設定され
ている。この押し湯座跡がボデー本体に残っていると、
図4の(a)に示すように弁本体の形状が流体の流れ方
向に対して非対称形状を呈することになる。
【0021】一般的な工業用として供される弁は、この
非対称形状はそのまま残して使用されてきたが、その理
由としては、第1に、常温より高温側で使用される弁の
弁座面には、通常は摺動時の傷発生防止のため油脂類を
塗布するが、この油脂効果によって弁座封止性が飛躍的
に向上する。第2に、常温より高温側の使用条件では、
弁全体が高温になることはあっても低温ブロック弁のよ
うに日常的・継続的に弁本体内部に極端な温度勾配が生
じることは殆どない。第3に、非対称形状の鋳物をグラ
インダ作業等により対称形状に仕上げる工数を省き、鋳
物製造コストを低く抑えることができる等が挙げられ
る。一方、低温弁にこの非対称形状を採用した場合にお
いても、弁の内外部とも均一に冷却されてしまう浸漬法
による試験では、弁本体に非対称形状が残っていても実
際の使用時に生じると考えられる温度勾配を再現するこ
とができない。また、非対称形状による悪影響は推定で
きても、その影響の大きさが全く定量化されていなかっ
た。これらの理由によって、弁製造コストの上昇を招い
てしまう対称形状のボデーを超低温弁に採用すべきかど
うかを定量的に判断できず、押し湯座を残した非対称形
状の弁をそのまま残して使用するのが無難となってい
た。
【0022】この問題に対応するため、先ず、ブロック
弁として低温流体を流した状態を想定した有限要素法
(FEM)による熱変形解析を実施した。仕切弁を考え
た場合、弁の封止性に支配的影響を与えるのは弁座面の
平面度変化であるため、有限要素法による熱変形解析に
よってこの平面度を測定し、このときの弁の形態として
は、図4の(a)に示す非対称形状と(b)に示す対称
形状をモデリングした。解析する条件としては、弁口径
サイズ4インチの仕切弁を想定し、弁は閉じた状態で、
弁一次側内部の冷却はLNG(液化天然ガス)流入を想
定して−162℃に設定し、また、弁外部は大気開放で
20℃とした。この解析結果例を図5の弁座面の変形解
析結果として示した。図7は、バルブボデーを模式的に
表したものであり、図5の横軸の角度(°)は、ボデー
の弁座面18a縁に沿った角度に対応し、このときの弁
座面18aのX方向変位を縦軸に示した。図4(a)の
場合の変位差は2.5μm、一方、(b)の場合の変位
差は2.0μmであった。
【0023】図5において、以下のことが定量的に判明
した。(a)の非対称形状のボデー19の弁座面は、
(b)の対称形の弁座面に比較すると、2.5(μm)
/2.0(μm)=1.25より、25%平面度が悪化
した。また、非対称形状部である押し湯座19aの存在
により、弁に温度勾配が生じた際の弁座面の相似的変形
が妨げられ、弁体弁座面が追従しにくい変形が生じてい
る。
【0024】次に、上記の解析結果を実証すべく、ボデ
ー19、20のそれぞれについて本発明による試験を実
施し、この結果を図6に示した。図より、弁本体に温度
勾配を生じさせるような厳しい使用条件での弁座封止性
において、明らかに鋳物押し湯座跡を対称形状に仕上げ
たボデー20の方がボデー19より優れており、有限要
素法による熱変形解析結果が実際の弁座封止性の差とし
て再現できた。尚、当該供試弁の従来浸漬法による低温
時の弁座封止性は、両者共2分間漏れ0で、全く性能差
が観察されなかった。
【0025】この有限要素法と低温ブロック弁試験によ
る確認プロセスを繰り返した結果、ブロック弁として使
われる弁の弁座封止性を確保するためには、弁本体形状
は、図7においてX軸、Y軸の両軸に対して対称形状を
なし、この対称部位の肉厚差が肉厚の25%を越えない
ことが必要条件であることが定量的に確認できた。
【0026】以上のように、有限要素法による熱変形解
析によると、押し湯座19aのあるボデー19の弁座面
の平面度に影響を与えることが定量的に確認でき、弁座
封止性にもこの影響が生じることが推察される。従来の
浸漬法では、押し湯座の有無による弁座封止性の差を確
認することはできなかったが、本発明のバルブの試験方
法は、二次側圧力を測定して押し湯座の有無による弁座
封止性の差を図6に示すように明らかにすることができ
た。
【0027】次に、本体弁座形式が異なる場合に低温弁
の性能に与える影響を本発明のバルブの試験・検査方法
によって確認する。仕切弁を想定した場合、弁本体に設
置する弁座の形式としては、図8(a)に示す本体鋳物
部に直接ステライト等を硬化肉盛・加工して弁座とする
場合(以後、インテグラルタイプと呼ぶ)、図8(b)
に示すあらかじめ硬化肉盛されたシートリングと呼ばれ
る別部品を本体にシール溶接し、弁座とする場合(以
後、シートリングタイプと呼ぶ)の二種類が存在する。
【0028】低温用の仕切弁、逆止弁には、通常シート
リングタイプが採用されるが、この理由としては、シー
トリングタイプの方が弁座封止性が良いことが現場にお
いて経験的に分かっていることと、弁内部の圧力変動等
による弁本体の変形が、別部品であるシートリング弁座
面に伝播しにくい等の定性的推定に基づいているもので
あり、定量的に判断するのは難しかった。
【0029】この問題について対応するため、先ず、ブ
ロック弁としての使用状態において弁が冷却される前後
での本体弁座面の変化を有限要素法による熱変形解析に
よって解析した。 解析する条件としては、弁口径サイ
ズ4インチの仕切弁のインテグラルタイプとシートリン
グタイプの長さ11mm、15mmについて先述の解析
と全く同じ条件設定にて弁座面の熱変形解析を実施し
た。その結果を図9に示す。
【0030】図9において、以下のことが定量的に判明
した。図8(b)のシートリングタイプの弁座面と比較
して、(a)のインテグラルタイプの弁座面は、2倍以
上平面度が悪化した。また、ブロック弁状態での冷却に
よる熱変形のみを考えた場合、シートリングの長さが長
くなるほど弁座面の平面度が少ないことが判明した。
【0031】次に、この結果を実証すべく、インテグラ
ルタイプとシートリングタイプについて本発明による試
験を実施し、この結果を図10に示した。図は、インテ
グラルタイプとシートリングタイプの長さ11mmの試
験結果であるが、明らかにシートリングタイプの方が弁
座封止性に優れており、有限要素法による熱変形解析結
果が実際の弁座封止性の差として再現された。また、図
示しないが、同様の確認プロセスを弁口径サイズ2イン
チ、8インチの仕切り弁についても実施した結果、シー
トリングタイプの方が優れていることが確認され、通常
使用される低温弁の製作範囲においては普遍的な結果で
あることが確認された。尚、当該供試弁の従来浸漬法に
よる低温時の弁座封止性は、両方とも2分間漏れ0で全
く性能差が観察されなかった。
【0032】シートリングの長さについては、弁口径の
10〜25%が適当であり、仮に10%より短くした場
合には、上述したシートリングタイプ固有の弁座封止性
への優位性が薄れてくることと、弁本体にシートリング
をシール溶接したときに変形・熱影響が弁座面に及ぶこ
とがあるため、望ましいとはいえない。一方、弁口径の
25%よりシートリングを長くした場合には、弁座封止
性は向上するが、シートリングをはめ込む部分の弁本体
肉厚が薄くなって、付肉が必要になるという新たな問題
が発生すると同時に、不必要に長いシートリングは弁製
造コストを引き上げ、費用の点で不経済である。以上の
ことから、低温用仕切弁、逆止弁の本体弁座形式は、シ
ートリングタイプで、その長さは弁口径の10〜25%
が適当であることが望ましい。
【0033】以上のように、有限要素法による熱変形解
析によると、図8(a)のインテグラルタイプの方が弁
座面の平面度に影響を与える度合いが大きいことが確認
でき、また、(b)のシートリングタイプでは、図9の
ようにその長さの違いが弁座面の平面度に影響を与える
ことが定量的に確認でき、この弁座形式の違いが弁座封
止性に影響を与えていることが確認される。従来の浸漬
法では、弁座形式の違いによる弁座封止性の差を確認す
ることはできなかったが、本発明のバルブの試験方法
は、二次側圧力を測定して弁座形式の違いによる弁座封
止性を図10に示すように明らかにすることができる。
【0034】このように、本発明のバルブの試験方法を
用いた試験を行なった結果、十分な弁座封止性能を有す
る弁の基本的設計構造を定量的に合理性を確認した上で
決定することができる。また、この試験結果に基づいた
低温弁の設計を行なった上で、更に、例えば、品質基準
を常温弁検査基準の1.5〜2.5倍にて実施すること
でより高い品質の低温弁を設けることができ、試験時に
おいて、ほとんど漏れのない低温弁を提供できる。
【0035】なお、本発明のバルブの試験方法の主用途
は低温弁であるが、弁に温度勾配が生じるという条件か
ら流体が高温流体であってもよい。特に、弁一次側と二
次側とで50℃以上の温度勾配が生じる弁に好適な検査
方法であり、ゲート弁、グローブ弁、チェック弁、ボー
ル弁及びバタフライ弁等、低温時あるいは高温時におい
て高い弁座封止性を要求される全ての弁に適用できる。
【0036】
【発明の効果】以上のことから明らかなように、請求項
1に係る発明によると、弁本体に温度勾配を生じさせた
状態で弁座封止性能を測定することができ、実際の使用
状況に近い状態で評価を行なうことができる。この測定
結果は、有限要素法による解析の結果と整合する結果で
あり、温度変化によるバルブの性能変化を定量的に確認
することができる。
【0037】請求項2又は請求項3に係る発明による
と、弁一次側内部を低温又は高温流体で満たした状態で
弁座封止性能を確認することができ、実際の使用状況に
近い状態で評価を行なうことができる。
【0038】また、弁本体に温度勾配が生じる過酷な状
況下に使用することのできる弁座封止性能の確認を行な
ったバルブを提供することができ、実流ラインにおいて
も所定の弁座封止性能を発揮することができるバルブの
試験・検査装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明におけるバルブの試験装置を示した概略
図である。
【図2】図1における弁一次側への流体供給構造を示し
た拡大断面図である。
【図3】本発明におけるバルブの試験方法の試験結果を
示したグラフである。
【図4】(a)は、非対称形状のボデーを示した斜視図
である。(b)は、対称形状のボデーを示した斜視図で
ある。
【図5】有限要素方法による弁座面の変形解析結果の一
例を示したグラフである。
【図6】鋳物押し湯座有無の違いによる弁座封止性の差
を示したグラフである。
【図7】ゲート弁のボデー弁座付近を模式的に表した斜
視図である。
【図8】(a)は、インテグラルタイプの弁座形式を示
した概略断面図である。(b)は、シートリングタイプ
の弁座形式を示した概略断面図である。
【図9】有限要素法による弁座面の変形解析結果の一例
を示したグラフである。
【図10】弁座形式の違いによる弁座封止性の差を示し
たグラフである。
【図11】浸漬法によるバルブの試験方法を示した説明
図である。
【符号の説明】
10 試験装置本体 11 弁 11a 弁一次側 11b 弁二次側 13 二重管 14 内筒 16 外筒
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 杉田 泰則 山梨県北巨摩郡長坂町長坂上条2040番地 株式会社キッツ長坂工場内 (72)発明者 西山 弘一 山梨県北巨摩郡長坂町長坂上条2040番地 株式会社キッツ長坂工場内 Fターム(参考) 2G067 AA37 BB04 BB26 CC04 DD02

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 弁を全閉状態とし、弁一次側内部のみに
    低温若しくは高温流体を加圧供給した状態下で、弁二次
    側の圧力変動を検知することにより弁座封止機能を確認
    することを特徴とするバルブの試験・検査方法。
  2. 【請求項2】 弁本体一次側に二重管を接続し、この二
    重管の内筒を弁体近傍に導いて弁一次側に上記流体を供
    給し、外筒を弁配管接続部側に導いて弁一次側内部の流
    体を外部に放出することにより、弁一次側内部を上記流
    体で満たした状態で弁座封止性能を確認するように構成
    したことを特徴とする請求項1記載のバルブの試験・検
    査装置。
  3. 【請求項3】 弁本体一次側に流体供給管を接続し、こ
    の流体供給管を弁体近傍に導いて弁一次側に上記流体を
    供給し、一方、流体放出管を弁配管接続部側に導いて弁
    一次側内部の流体を外部に放出することにより、弁一次
    側内部を上記流体で満たした状態で弁座封止性能を確認
    するように構成したことを特徴とする請求項1記載のバ
    ルブの試験・検査装置。
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