JP2003268371A - 低強度地盤改良工法のセメント系固化材スラリー - Google Patents

低強度地盤改良工法のセメント系固化材スラリー

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 軟弱地盤の改良工事において、高圧噴射攪拌
工法により造成される改良体の強度を、低強度に抑える
必要がある場合に使用するセメント系固化材スラリーに
関する。 【解決手段】 高圧噴射攪拌工法に用いるセメント系固
化材スラリーを、施工仕様配合のセメント系固化材スラ
リーにより発現される固化強度よりも低強度とするため
に、セメント系固化材の配合割合を減じた貧配合とし、
該セメント系固化材にベントナイトあるいはCMC等の増
粘材を加えた特殊配合とし、粘性度を施工仕様配合のセ
メント系固化材スラリーの粘性度と同等の粘性度を有す
る低強度地盤改良工法用固化材スラリーとしたことであ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、高圧噴射攪拌工
法等のセメント系固化材スラリーを使用する軟弱地盤改
良工法において、改良体の強度を低強度に抑える必要の
ある場合に、強度を抑制しつつ、ブリーディングや強度
の不均一性をなくする前記の軟弱地盤改良工法に用いる
セメント系固化材スラリーに関する。
【0002】
【従来の技術】セメント系固化材スラリーを用いた地盤
改良工法に高圧噴射攪拌工法があるが、この工法におい
て固化材添加量を設定するときには、一般的に次の2点
を考慮して設定される。
【0003】第一は、設計上の目標強度を満足させると
いう点からの必要添加量(「計画配合」)であり、第二
は施工仕様上必要とされる点からの最低添加量でいわゆ
る「施工仕様配合」である。第一の添加量(「計画配
合」)は、改良地盤が供用されるために必要とされる目
標強度を満足するという点から決まる必要添加量で、通
常室内配合試験から決定される。すなわち、計画配合と
いわれる固化材の必要添加量である。
【0004】第二の施工仕様配合については一般的に、
高圧噴射攪拌工法の場合は、造成径を確保するための必
要最少噴射時間とスラリー噴射量が設定されている。例
えばW/C(水:固化材比)=1.0〜1.5、噴射量:Q=100
l/分、噴射時間:t=4.0分/m(最低改良時間)、改良
断面積:S=4.4m2(2軸)の場合137〜100kg/m3とな
る。
【0005】上記のように施工仕様配合が設定されてい
るために、設計上必要な目標改良強度がその施工仕様配
合から得られる強度より低いときに、均一な強度を持っ
た改良体を造成しようとする場合、規定の水・固化材比
を上げて希釈設定すると、固化材スラリーのブリーディ
ングが起こりやすく、また、固化材スラリーの粘性度が
小さくなり、圧力と流量の関係から規定の施工仕様が満
足されず、しいては、改良強度の均一性に問題が生ずる
可能性がある。
【0006】そこで本発明は、低強度の目標強度でかつ
低配合の添加量が設定された場合でも、設計上必要な目
標強度を確保し、均一で強度ムラのない改良体を造成で
きるセメント系固化材スラリーを提供することを課題と
するものである。
【0007】
【課題を解決する手段】この発明は上記の課題を解決す
るために、高圧噴射攪拌工法等に用いるセメント系固化
材スラリーを、施工仕様配合で発現される固化強度に比
べ、目標固化強度が低強度であって、かつ、増粘材を加
えた特殊配合により、粘性度を施工仕様配合のセメント
系固化材スラリーの粘性度と同等の粘性度とする低強度
地盤改良工法用セメント系固化材スラリーとしたことで
ある。
【0008】すなわち、軟弱地盤改良工法のうちの高圧
噴射攪拌工法に用いるセメント系固化材スラリーにおけ
るセメント系固化材と水との配合において、施工仕様配
合よりも計画配合が少ない場合に、セメント系固化材ス
ラリー中のセメント系固化材の配合割合を落として、替
わりに増粘材を加えた特殊配合によって、スラリーの粘
性度を施工仕様配合の粘性度と同等の粘性度とする低強
度地盤改良工法のセメント系固化材スラリーとしたこと
である。
【0009】また、この低強度地盤改良工法に用いるセ
メント系固化材スラリーにおける特殊配合として用いら
れる増粘材が、ベントナイトあるいはCMC(カルボキシ
メチルセルロース)等の増粘材である低強度地盤改良工
法のセメント系固化材スラリーとしたことである。
【0010】この様にこの発明の第一の特徴は、地盤改
良工法のうち、高圧噴射攪拌工法に用いるセメント系固
化材スラリーを、施工仕様配合により発現される固化強
度より低い固化強度を目標強度として得るために、セメ
ント系固化材を減量して水固化材比を調整する方法にお
いて、固化材スラリーの粘性度を施工仕様配合の固化材
スラリーの粘性度と同等の粘性度とするセメント系固化
材スラリーとしたことである。
【0011】第二の特徴は、施工仕様配合の固化材スラ
リー混入量により発現される固化強度より低い固化強度
を目標強度として得るために、セメント系固化材を減量
して水固化材比を調整する方法において、セメント系固
化材にベントナイト、CMC等のような物質を増粘材と
して添加した特殊配合とし、低強度改良を目的とするセ
メント系固化材スラリーの粘性度を施工仕様配合のセメ
ント系固化材スラリーの粘性度と同等の粘性度としたこ
とである。
【0012】上記のように、低強度改良を目的とするセ
メント系固化材スラリーの粘性度を特殊配合により、施
工仕様配合の固化材スラリーと同程度の粘度とする等の
操作を加えることによって低強度改良を実現できる。
【0013】
【発明の実施の形態】実施形態の一例として、液状化防
止および掘削を目的とした高圧噴射攪拌工の現場を挙げ
る。改良対象土はN値4〜15程度の砂質土であり、改良
目標強度は現場での一軸圧縮強さ (quf)で3.0kgf/c
m2、室内目標強度(qul)は9.0kgf/cm2であり、最少改
良時間は4分/mで噴射量:Q=100l/分、標準水セメント
比(W/C)は1.0である。改良断面積はA=4.4m2(2軸)
であったので、施工上必要な最少固化材添加量は137kg/
m3(181l/m3=100l/分×2軸×4.0分/m÷4.4m3/
m)となる。この最小固化材添加量で室内配合試験を行
ったところqul=31.0kgf/cm2の強度が発現し、必要強度
を大幅に上回っていた。当該実施例では改良箇所に掘削
する予定の箇所も含まれていたことから、低強度改良q
uf =3.0kgf/cm2を求められていた。
【0014】そこで水固化材比を上げるとともに、セメ
ント系固化材スラリーにベントナイトを添加し、施工仕
様配合と同等となる固化材スラリー粘性度を保ちつつ、
かつ、目標強度を満足するベントナイト添加量を見いだ
す試験を行った。第1段階の試験として、標準水固化材
比W/C=1.0のスラリーと同じ粘度を有するときの、セメ
ント系固化材にベントナイトを添加した固化材(以下、
CB固化材という)のベントナイト配合割合を求めた。
【0015】その結果は、図1のベントナイト混合固化
材の比のW/(B+C)との粘度の関係、に示すとおりで、
このグラフよりCB固化材のC:B=100:0におけるW/(B
+C)=1.0のときの粘度は24.4秒であり、各ベントナイ
ト混合比におけるCB固化材で粘度が24.4秒になる水:
(ベントナイト+セメント)比は、配合比98:2のときW
/(B+C)=1.7、95:5のときW/(B+C)=2.6、92:8の
ときW/(B+C)=3.4である。そこで、粘度を同一にし
たこれらの配合比と水:セメント比の場合の配合試験を
行った。
【0016】その結果を表1に示す。
【表1】
【0017】1) 各W/(B+C)は、ファンネル粘度f
=24.4秒が、W/C=1.0と同等となる水・固化材比を示
す。 2) aw=181l/m3÷(1/3.1+W/(B+C)) 但し、3.
1:固化材真比重
【0018】第2段階の試験として、f=24.4秒に対応
する各W/(B+C)のスラリーを最低混入量(181l/m3
=100l/分×2軸×4.0分/m÷4.4m3/m)添加したとき
の、一軸圧縮強さ(qul)を求める試験を行った。その
結果は図2に示すとおりである。
【0019】これらの結果より、材齢28日における室内
目標一軸圧縮強さqul=9.0kgf/cm2を満足するCB固化
材の配合は、セメント系固化材:ベントナイト=95:5
(ベントナイト添加率5%)、固化材添加量62kg/m3、水
/CB固化材比=2.6、となり、この仕様で高圧噴射攪
拌工法を施工した。
【0020】
【発明の効果】以上の固化材スラリー仕様により施工を
行い、、スラリー噴射圧力、スラリー噴射量、先端ノズ
ルチップ等の改良仕様を基本的に通常施工仕様及び装置
のまま変化させないで、施工を行った。 固化材スラリー噴射圧力:p=40MPa 固化材スラリー噴射量:Q=100l/分 現場での実測粘度:ファンネル粘度 f=24.4秒 強度確認試験としてコアサンプリングを行い改良体の一
軸圧縮強さ(quf)を確認したところ、平均一軸圧縮強
さはquf=3.15kgf/cm2であり、低強度の目標強度を満
足していた。
【0021】以上のように、本発明による低強度地盤改
良工法、すなわち、水/固化材比を大きくしてベントナ
イト等の増粘材を加えて、通常施工によるスラリーと同
等の粘性を確保する方法によれば、通常の改良仕様を変
えることなく、低強度の地盤改良が可能になる。また、
スラリー式機械攪拌工法においても、最少吐出量が90l
/分とされていることより、必要強度が小さく抑えられ
ている場合に、本発明が適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ベントナイト混合固化材のW/(B+C)と粘
度の関係図である。
【図2】室内強度試験結果のグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 木村 文彦 東京都台東区柳橋2丁目17番4号 小野田 ケミコ株式会社内 Fターム(参考) 2D040 AB03 AC02 AC05 CA01 CA10 CB03 4H026 CA01 CB05 CB08 CC06

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軟弱地盤改良工法に用いるセメント系固
    化材スラリーが、施工仕様配合で発現される固化強度に
    比べ目標固化強度が低強度であり、かつ、増粘材を加え
    た特殊配合により、粘性度を施工仕様配合のセメント系
    固化材スラリーの粘性度と同等の粘性度を有することを
    特徴とする低強度地盤改良工法のセメント系固化材スラ
    リー。
  2. 【請求項2】 軟弱地盤改良工法に用いるセメント系固
    化材スラリーにおける、セメント系固化材と水とを配合
    するセメント系固化材スラリーの添加量について、施工
    仕様上必要な施工仕様配合によるセメント系固化材添加
    量より、設計上の目標強度を満足させる計画配合による
    セメント系固化材添加量が少ない場合に、セメント系固
    化材スラリー中のセメント系固化材の配合割合を落とし
    て、替わりに増粘材を加えた特殊配合によって、スラリ
    ーの粘性度を計画配合の粘性度と同等の粘性度とするこ
    とを特徴とする、低強度地盤改良工法用セメント系固化
    材スラリー。
  3. 【請求項3】 前記増粘材がベントナイトあるいはCM
    C等の増粘材であることを特徴とする請求項1〜2記載
    の低強度地盤改良工法用セメント系固化材スラリー。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007092015A (ja) * 2005-08-31 2007-04-12 Tokuyama Corp ジェットグラウト工法用地盤改良添加剤及びそれを用いた地盤改良セメント組成物

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US7393814B2 (en) 2003-10-29 2008-07-01 Hallburton Energy Services, Inc. Methods, cement compositions and oil suspensions of powder
JP2007092015A (ja) * 2005-08-31 2007-04-12 Tokuyama Corp ジェットグラウト工法用地盤改良添加剤及びそれを用いた地盤改良セメント組成物

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