JP2003268087A - ポリエステルブロック共重合体、その製造方法、成形体および熱可塑性樹脂との組成物 - Google Patents

ポリエステルブロック共重合体、その製造方法、成形体および熱可塑性樹脂との組成物

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JP2003268087A
JP2003268087A JP2002259993A JP2002259993A JP2003268087A JP 2003268087 A JP2003268087 A JP 2003268087A JP 2002259993 A JP2002259993 A JP 2002259993A JP 2002259993 A JP2002259993 A JP 2002259993A JP 2003268087 A JP2003268087 A JP 2003268087A
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polyester block
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structural unit
acid
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JP2002259993A
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Makoto Tokumizu
眞 徳水
Takeshi Futai
健 二井
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 長期間透明性を維持しつつ、耐熱性が良好
で、例えばシートなどに成形した場合の柔軟性にも優れ
るポリエステルブロック共重合体を工業的に提供するこ
と。 【解決手段】 下記式(1)で示される単位を主成分と
する構成単位(A)と、ガラス転移温度(Tg)が0℃
以下で、数平均分子量が600〜100000の範囲に
あるエステル形成可能な官能基を両末端に有する化合物
に由来する構成単位(B)とを含有して構成され、前記
構成単位(A)の含有量が、10〜70質量%であるこ
とを特徴とするポリエステルブロック共重合体。 【化1】 (式(1)中、 XおよびYはそれぞれ水素、アルキル
基、フェニル基のいずれかを示す。nは5〜5000で
ある。また、Zは直接結合、炭素数1〜6のアルキレン
基、フェニレン基のいずれかを示す。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シート、フィル
ム、雑貨、家電、自動車部品などに使用されるポリエス
テルブロック共重合体に関する。
【0002】
【従来の技術】芳香族ポリエステルをハードセグメント
としたブロック共重合体は、耐環境性や機械強度などに
優れた熱可塑性エラストマーとして知られている。なか
でも、ポリブチレンテレフタレート(PBT)とポリテ
トラメチレンエーテルグリコール(PTMG)を主成分
とするブロック共重合体は、その性能バランスが優れて
いることから、自動車、家電製品などの分野に使用され
ている。このようなブロック共重合体は、例えば、特公
昭49−31558号公報などに示されているように、
工業的に有利な溶融重合法により製造されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、熱可塑
性エラストマーとして知られているこのようなブロック
共重合体は、一般に透明性が低いことが多い。また、比
較的透明性が高いブロック共重合体であっても、その透
明性を長時間維持することや、透明性とともに耐熱性も
維持することは、非常に困難であった。
【0004】例えば、特開平10−237167号公報
には、硬質セグメントとしてポリエチレンテレフタレー
トやポリエチレンナフタレートを使用したブロック共重
合体からなる成形体が開示されている。このようなブロ
ック共重合体を急冷条件で成形した場合には透明な成形
体が得られるが、徐々にポリエステルの結晶化が進み、
経時的に白化していくという問題があった。
【0005】また、限りなく非晶質に近いポリエステル
を使用することによって、透明性が比較的高いブロック
共重合体が得られるが、このようなブロック共重合体は
耐熱性が不十分であった。
【0006】また、特公昭47−3740号公報には、
ラクトンとポリエーテルからなるブロック共重合体が提
案されているが、このブロック共重合体は不活性溶媒中
でアニオン重合により得られており、ラクトンとポリエ
ーテルとの間にエステル基以外の官能基が入ってしまう
結果、得られるポリエステル共重合体の耐熱性などが劣
るものであった。また、ポリエーテルの末端が開始剤と
なるため、生成ポリマーの分子量との関係からポリエー
テルの含有量を増やすことができず、柔軟性が不十分で
あった。
【0007】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
で、長期間透明性を維持しつつ、耐熱性が良好で、例え
ばシートなどに成形した場合の柔軟性にも優れるポリエ
ステルブロック共重合体を工業的に提供することを目的
とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明のポリエステルブ
ロック共重合体は、下記式(1)で示される単位を主成
分とする構成単位(A)と、ガラス転移温度(Tg)が
0℃以下で、数平均分子量が600〜100000の範
囲にあるエステル形成可能な官能基を両末端に有する化
合物に由来する構成単位(B)とを含有して構成され、
前記構成単位(A)の含有量が、10〜70質量%であ
ることを特徴とする。
【0009】
【化3】 (式(1)中、 XおよびYはそれぞれ水素、アルキル
基、フェニル基のいずれかを示す。nは5〜5000で
ある。また、Zは直接結合、炭素数1〜6のアルキレン
基、フェニレン基のいずれかを示す。) 前記式(1)中のXおよびYがメチル基であって、Zが
メチレン基であることが好ましい。
【0010】また、前記ポリエステルブロック共重合体
は、多官能成分からなる構成単位(C)を、構成単位
(A)に対して0.05〜2モル%さらに含有して構成
されていてもよい。
【0011】本発明のポリエステルブロック共重合体の
製造方法は、下記式(1)で示される単位を主成分とする
構成単位(A)と、ガラス転移温度(Tg)が0℃以下
で、数平均分子量が600〜100000の範囲である
エステル形成可能な官能基を両末端に有する化合物に由
来する構成単位(B)とを含有して構成され、前記構成
単位(A)の含有質量が、10〜70質量%であるポリ
エステルブロック共重合体の製造方法であって、アンチ
モン、ゲルマニウム、チタン、マンガン、マグネシウ
ム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ナトリウ
ム、コバルト、アルミニウム、ガリウム、鉄、スズ、亜
鉛、ホウ素からなる群より選ばれる少なくとも1種の金
属の化合物を、該金属の合計量が生成したポリエステル
ブロック共重合体中0.1〜1000ppmとなるよう
に添加してエステル交換反応する工程を有することを特
徴とする。
【0012】
【化4】 (式(1)中、 XおよびYはそれぞれ水素、アルキル
基、フェニル基のいずれかを示す。nは5〜5000で
ある。また、Zは直接結合、炭素数1〜6のアルキレン
基、フェニレン基のいずれかを示す。) 前記式(1)中のXおよびYがメチル基であって、Zが
メチレン基であることが好ましい。
【0013】また、前記ポリエステルブロック共重合体
は、多官能成分からなる構成単位(C)を、構成単位
(A)に対して0.05〜2モル%さらに含有して構成
されていてもよい。
【0014】本発明の成形体は、前記いずれかに記載の
ポリエステルブロック共重合体からなるものである。
【0015】さらに、本発明の樹脂組成物は、前記いず
れかに記載のポリエステルブロック共重合体と熱可塑性
樹脂からなるものである。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳しく説明する。
【0017】本発明のポリエステルブロック共重合体
は、構成単位(A)と構成単位(B)とを含有して構成
されるものであり、構成単位(A)は下記式(1)で示
される単位を主成分とする。
【0018】
【化5】 上記式(1)中、 XおよびYはそれぞれ水素、アルキ
ル基、フェニル基のいずれかを示す。XとYは同じでも
異なっていてもよいが、ポリエステルブロック共重合体
の耐熱性が優れることから、XとYは同じ置換基である
ことが好ましい。また、式(1)中、nは5〜5000
である。nが5未満ではポリエステルブロック共重合体
の耐熱性が不十分となり、一方5000を超えるとポリ
エステルブロック共重合体の流動性が低下し、成形性が
悪くなる。nが5〜5000であるとポリエステルブロ
ック共重合体の耐熱性と流動性がともに優れるため好ま
しく、さらに好ましくは10〜2000である。
【0019】また、式(1)中、Zは直接結合、下記式
(2)で示される炭素数1〜6のアルキレン基、または
フェニレン基のいずれかを示す。
【0020】
【化6】 (式(2)中、mは1から6の整数) Zは、単なる直接結合を示すものであってもよいが、Z
が炭素数1〜6のアルキレン基またはフェニレン基であ
ると、ポリエステル共重合体をつくる際、反応が容易で
あるため好ましい。また、Zが炭素数が6を超えたアル
キレン基であると、得られるポリエステルブロック共重
合体の耐熱性が低下する傾向がある。
【0021】本発明のポリエステルブロック共重合体に
おいては、構成単位(A)としてこのようなものを含有
するので、特に耐熱性に優れ、優れた透明性が長時間持
続するうえ、柔軟性にも優れたものとなる。
【0022】このような式(1)で示される単位の具体
例としては、XおよびYがメチル基で、Zがメチレン基
であるヒドロキシピバリン酸単位、 Xが水素、Yがメ
チル基で、Zがメチレン基であるヒドロキシイソ酪酸単
位、XおよびYが水素で、Zが直接結合であるグリコー
ル酸単位、XおよびYが水素で、Zがメチレン基である
プロパン酸単位、XおよびYが水素で、Zがジメチレン
基である酪酸単位、XおよびYが水素で、Zがトリメチ
レン基である吉草酸単位、XおよびYが水素で、Zがテ
トラメチレン基であるカプロン酸単位、Xが水素、Yが
メチル基で、Zが直接結合である乳酸単位Xが水素、Y
がフェニル基で、Zが直接結合であるマンデル酸単位、
Xが水素、Yがフェニル基で、Zがメチレン基であるト
ロパ酸単位、XおよびYがフェニル基で、Zが直接結合
であるベンジル酸単位などを挙げることができる。これ
らの中でも合成の容易さからヒドロキシピバリン酸単位
が好ましい。
【0023】ポリピバロラクトンは、ヒドロキシピバリ
ン酸またはそのエステルもしくはピバロラクトンを重合
させる方法で得られるが、好ましくは、工業的に製造さ
れている出発物を用いている点でヒドロキシピバリン酸
またはそのエステルを重合し、得られた重合体を構成単
位(A)の主成分とするのが好ましい。
【0024】また、式(1)で示される単位はポリエス
テルブロック共重合体の融点を著しく低下させない限
り、1種類の化合物から構成されても、複数の化合物か
ら構成されてもよい。例えば、ヒドロキシピバリン酸ま
たはそのエステルのみから構成されても、これらと式
(1)の単位を形成可能なその他の化合物とを組み合わ
せてもよい。
【0025】さらに、構成単位(A)は上記式(1)で
示される単位を主成分とするが、ポリエステルブロック
共重合体の融点を著しく低下させない範囲でその他の共
重合成分を含んでもよい。例えば、ポリエステルブロッ
ク共重合体を製造する際に、仕込み組成中におけるヒド
ロキシル基の量とカルボキシル基の量とを合わせると、
目的のポリエステルブロック共重合体の分子量を大きく
することができるので、そのために共重合成分として、
ジカルボン酸、ジオール、ヒドロキシカルボン酸や、こ
れらのエステルなどを使用してもよい。
【0026】ジカルボン酸の例としては、シュウ酸、マ
ロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン
酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル
酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン
酸、5−スルホイソフタル酸ナトリウムおよびこれらの
低級アルキルエステル、アリールエステル、炭酸エステ
ル、酸ハロゲン化物が好ましく用いられる。
【0027】ジオールの例としてはエチレングリコー
ル、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、
1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、
1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオー
ル、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオ
ール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオ
ール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−
ペンタンジオール、シクロヘキサン1,2−ジオール、
シクロヘキサン1,3−ジオール、シクロヘキサン1,
4−ジオール、シクロヘキサン1,4−ジメタノール、
ヒドロキノン、4,4−ジフェノールなどが挙げられ
る。
【0028】また、ヒドロキシジカルボン酸の例として
は、ヒドロキシ安息香酸およびこれらの低級アルキルエ
ステル、アリールエステル、炭酸エステル、酸ハロゲン
化物が好ましく用いられる。これら共重合成分は、単独
で使用されても、二種以上が併用されてもよい。
【0029】これら共重合成分が使用される場合は、通
常、構成成分(A)中20質量%以下の範囲で使用され
る。
【0030】本発明のポリエステルブロック共重合体に
おける構成単位(A)の質量割合は、10〜70質量%
の範囲であり、好ましくは15〜70質量%であり、よ
り好ましくは20〜50質量%である。構成単位(A)
が10質量%未満では、ポリエステルブロック共重合体
の耐熱性が不十分となり、一方70質量%を超えるとポ
リエステルブロック共重合体の反発弾性や柔軟性が低下
する。
【0031】本発明のポリエステルブロック共重合体を
構成する構成単位(B)は、ガラス転移温度(Tg)が
0℃以下で、数平均分子量が600〜100000であ
るエステル形成可能な官能基を両末端に有する化合物に
由来するものである。ここで構成単位(B)が、ガラス
転移温度(Tg)が0℃を超える化合物に由来するもの
であると、得られるポリエステルブロック共重合体の弾
性体としての性質が低下する。また、このような化合物
の分子量が600未満では、ポリエステルブロック共重
合体の耐熱性が不十分となり、100000を超えると
流動性が不十分となる。また、エステル形成可能な官能
基とは、具体的にはヒドロキシル基、カルボキシル基、
カルボン酸メチル基、カルボン酸エチル基、カルボン酸
プロピル基、アセトキシ基などである。
【0032】このような化合物としては、主鎖骨格がポ
リオレフィン、ポリオキシアルキレングリコール、ポリ
ジメチルシロキサン、ポリエステル、ポリカーボネー
ト、ポリブタジエン、水添ポリブタジエンなどからな
り、両末端が上記のエステル形成可能な官能基からなる
ものが挙げられる。また、構成単位(B)は、これらの
化合物のうち1種類から構成されても、複数の化合物か
ら構成されてもよい。
【0033】主鎖骨格がポリオレフィンからなる化合物
としては、直鎖または枝分かれしたポリオレフィンの両
末端にエステル形成可能な官能基を持つ化合物であれ
ば、制限はない。
【0034】また、構成単位(B)を、このようなポリ
オレフィン由来の単位で構成すると、ポリエステルブロ
ック共重合体の耐水性、耐候性が向上するとともに、そ
の比重を小さくできるなどの利点がある。このようなポ
リエステルブロック共重合体は、例えば、シート、フィ
ルム、雑貨、家電、自動車部品のうち光や水に接触する
ような用途に好ましく使用できる。
【0035】また、主鎖骨格がポリオレフィンからなる
化合物としては、ポリテールHA(三菱化学製)などの
水酸基含有ポリオレフィンを使用してもよい。
【0036】主鎖骨格がポリオキシアルキレングリコー
ルからなる化合物としては、ポリテトラメチレングリコ
ール、3−メチルテトラヒドロフラン共重合ポリテトラ
メチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプ
ロピレングリコール、ポリプロピレングリコールのエチ
レンオキシド付加物などが挙げられる。
【0037】構成単位(B)を、このようなポリオキシ
アルキレングリコール由来の単位で構成すると、ポリオ
キシアルキレングリコールは安価であるので、ポリエス
テルブロック共重合体の製造コストが低くなり工業的に
有利である。このようなポリエステルブロック共重合体
は、例えば、シート、フィルム、雑貨、家電、自動車部
品のうち特に安価であることが要求される用途に好まし
く使用できる。
【0038】主鎖骨格がポリジメチルシロキサンからな
る化合物としては、下記式(3)に示すような化合物が
挙げられる。
【0039】
【化7】 式(3)中、CとDはエステル形成可能な水酸基、カル
ボン酸基、カルボン酸メチル基などである。これらは同
じ基でも異なる基でもよい。
【0040】また、lには制限はないが好ましくは8〜
500であり、より好ましくは8〜200であり、さら
に好ましくは10〜80である。lが8未満ではポリエ
ステルブロック共重合体の耐熱性や柔軟性が不十分とな
る場合があり、一方、lが500を超えると、構成単位
(A)と構成単位(B)との相溶性が低下する場合があ
る。lが8〜500の範囲であると、ポリエステルブロ
ック共重合体の耐熱性と柔軟性が優れるとともに、構成
単位(A)と構成単位(B)との相溶性も特に良好とな
る。
【0041】また、式(3)中のA、Bは、アルキル基
もしくはオキシアルキル基であり、好ましくは炭素数4
以上のアルキル基またはオキシアルキル基である。これ
らのなかでは、ポリエステルブロック共重合体の耐候性
が優れることから炭素数4以上のアルキル基が好まし
い。
【0042】構成単位(B)をこのようなポリジメチル
シロキサン由来の単位で構成すると、ポリエステルブロ
ック共重合体の低温特性が特に優れる。このようなポリ
エステルブロック共重合体は、例えば、シート、フィル
ム、雑貨、家電、自動車部品のうち特に耐寒性が必要と
されるような用途に好ましく使用できる。
【0043】主鎖骨格がポリエステルからなる化合物と
しては、ポリカプロラクトン、バレロラクトンなどのラ
クトンが開環重合した化合物、ジカルボン酸とジオール
との縮合物などが挙げられる。ジカルボン酸およびジオ
ールとしては、構成単位(A)に含まれる共重合成分と
して例示したものと同様の化合物を使用できる。
【0044】また、構成単位(B)をポリエステル由来
の単位で構成すると、ポリエステルブロック共重合体の
耐候性、耐熱性が特に優れ、また安価に製造できる。こ
のようなポリエステルブロック共重合体は、例えば、シ
ート、フィルム、雑貨、家電、自動車部品のうち特に屋
外で使われたり、高温部で使われたりする用途に好まし
く使用できる。
【0045】主鎖骨格がポリカーボネートからなる化合
物としては、環状ポリカーボネートの重合物、グリコー
ルとホスゲンとの縮合物の他、カプロラクトンとの共重
合物も含まれる。具体的には、ポリジメチルトリメチレ
ンカーボネート、ポリモノメチルトリメチレンカーボネ
ート、ポリトリメチレンカーボネート、ポリヘキサメチ
レンカーボネートなどが挙げられる。これらの化合物
は、ガラス転移温度がTgが0℃以下である限りは、ホ
モポリマーでもコポリマーでもよく、さらに芳香族成分
を含んでいてもよい。また構成単位(B)をポリカーボ
ネート由来の単位で構成すると、ポリエステルブロック
共重合体の耐熱性が特に優れる。このようなポリエステ
ルブロック共重合体は、例えば、シート、フィルム、雑
貨、家電、自動車部品のうち特に高温部で使われる用途
に好ましく使用できる。
【0046】また、本発明のポリエステルブロック共重
合体は、構成単位(A)と構成単位(B)とを含有して
構成されるものであるが、さらに多官能成分からなる構
成単位(C)を、前記構成単位(A)に対して0.05
〜2モル%含有することが好ましい。このような構成単
位(C)を含有すると、ポリエステルブロック共重合体
を製造する際の重合時間を短縮できるとともに、ポリエ
ステルブロック共重合体の流動性と引張特性とのバラン
スがより優れる。
【0047】多官能成分としては、トリメチロールプロ
パン、ペンタエリストールなどの3価以上の多価アルコ
ールや、ピロメリット酸とその無水物、トリメリット酸
とその無水物などの3価以上の多価カルボン酸やその無
水物、さらにはスルホイソフタル酸ジメチルナトリウム
のほか、2官能以上のエポキシ基、オキサゾリン基、カ
ルボジイミド基などを含む化合物が挙げられる。
【0048】本発明のポリエステルブロック共重合体の
製造方法には特に制限はなく、例えば溶液重縮合法が挙
げられる。例えば、構成単位(A)が上記式(1)中に
おけるXおよびYがメチル基であってZがメチレン基で
ある場合、ヒドロキシピバリン酸またはヒドロキシピバ
リン酸のエステルを原料として用いた溶融重縮合によれ
ば、ヒドロキシピバリン酸やヒドロキシピバリン酸エス
テルが工業的に容易に入手でき、アニオン重合やカチオ
ン重合による場合のように反応時に有機溶媒を使用する
必要がなく、耐熱性にもより優れたポリエステルブロッ
ク共重合体が得られる。
【0049】また、重合は公知のポリエステルの重合方
法で行え、連続重合であっても、バッチ重合でもよい。
【0050】例えば、ポリエステルブロック共重合体を
構成する原料を窒素を導入した反応釜にすべて一括して
仕込み、160〜240℃程度の温度でエステル交換を
行い、その後240℃、0.13kPa以下などの条件
下で重縮合を行う方法でもよいし、ヒドロキシピバリン
酸、ヒドロキシピバリン酸のエステル、ピバロラクトン
などを重合して構成単位(A)を構成するポリマーをあ
らかじめ製造し、その後、このポリマーと構成単位
(B)を構成する化合物と、必要に応じて使用される構
成単位(C)を構成する化合物とを重縮合する方法でも
よい。このような反応後、得られたポリマーを水中に吐
出、ペレタイズすることにより目的のポリエステルブロ
ック共重合体が得られる。また、構成単位(A)を構成
するポリマーと構成単位(B)を構成する化合物と必要
に応じて使用される構成単位(C)を構成する化合物と
を押出機中で反応させて、目的物を製造する方法でもよ
い。
【0051】また、これら重合工程において、特に以下
に挙げる金属の化合物を、該金属の合計質量が最終的に
得られるポリエステルブロック共重合体中0.1〜10
00ppmとなるように、好ましくは1〜500ppm
となるように添加すると、エステル交換反応や重縮合を
収率よく行うことができる。これらの金属化合物は、少
なくともエステル交換反応の工程において添加されてい
ればよく、例えば、原料投入の段階において供給するこ
ともできるし、エステル交換反応時に供給することもで
きる。
【0052】使用される好適な金属の化合物としては、
アンチモン、ゲルマニウム、チタン、マンガン、マグネ
シウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ナト
リウム、コバルト、アルミニウム、ガリウム、鉄、ス
ズ、亜鉛、ホウ素からなる群より選ばれる少なくとも1
種の金属の化合物が挙げられ、具体的には、これらの金
属の酢酸塩などの脂肪酸塩、これらの元素の炭酸塩、こ
れらの元素の硫酸塩、これらの元素の硝酸塩、塩化物な
どのハロゲン化物、これらの元素のアセチルアセトナー
ト塩、これらの元素の酸化物などが挙げられる。
【0053】これらのなかでチタンの化合物としては、
特にテトラブチルチタネート、テトラメチルチタネート
などのテトラアルキルチタネート、シュウ酸チタンカリ
などのシュウ酸金属などが好ましい。
【0054】スズの化合物とては、ジブチルスズオキサ
イド、ジブチルスズジラウリレートなどが好ましい。
【0055】アルミニウムの化合物としては、酢酸アル
ミニウムなどの脂肪酸アルミニウム塩、炭酸アルミニウ
ム、塩化アルミニウム、アルミニウムのアセチルアセト
ナート塩などが挙げられ、特に酢酸アルミニウムまたは
炭酸アルミニウムが好ましい。
【0056】バリウムの化合物としては、酢酸バリウム
などの脂肪酸バリウム塩、炭酸バリウム、塩化バリウ
ム、バリウムのアセチルアセトナート塩などが挙げら
れ、特に酢酸バリウムまたは炭酸バリウムが好ましい。
【0057】コバルトの化合物としては、酢酸コバルト
などの脂肪酸コバルト塩、炭酸コバルト、塩化コバル
ト、コバルトのアセチルアセトナート塩などが挙げら
れ、特に酢酸コバルトまたは炭酸コバルトが好ましい。
【0058】マグネシウムの化合物としては、酢酸マグ
ネシウムなどの脂肪酸マグネシウム塩、炭酸マグネシウ
ム、塩化マグネシウム、マグネシウムのアセチルアセト
ナート塩などが挙げられ、特に酢酸マグネシウムまたは
炭酸マグネシウムが好ましい。
【0059】マンガンの化合物としては、酢酸マンガン
などの脂肪酸マンガン塩、炭酸マンガン、塩化マンガ
ン、マンガンのアセチルアセトナート塩などが挙げら
れ、特に酢酸マンガンまたは炭酸マンガンが好ましい。
【0060】ストロンチウムの化合物としては、酢酸ス
トロンチウムなどの脂肪酸ストロンチウム塩、炭酸スト
ロンチウム、塩化ストロンチウム、ストロンチウムのア
セチルアセトナート塩などが挙げられ、特に酢酸ストロ
ンチウムまたは炭酸ストロンチウムが好ましい。
【0061】亜鉛の化合物としては、酢酸亜鉛などの脂
肪酸亜鉛塩、炭酸亜鉛、塩化亜鉛、亜鉛のアセチルアセ
トナート塩などが挙げられ、特に酢酸亜鉛または炭酸亜
鉛が好ましい。
【0062】アンチモンの化合物としては、二酸化アン
チモン、酢酸アンチモンなどが挙げられる。
【0063】また、ゲルマニウムの化合物としては二酸
化ゲルマニウム、カルシウムの化合物としては炭酸カル
シウムや酢酸カルシウム、ナトリウムの化合物としては
ナトリウムメチラート、ガリウムの化合物としては三塩
化ガリウムや酸化ガリウム、鉄の化合物としては酢酸
鉄、ホウ素の化合物としては酸化ホウ素、等が挙げられ
る。
【0064】また、これら金属の化合物は、1種単独で
または2種以上組合わせて用いることができる。
【0065】また、重縮合反応においては、必要に応じ
て安定剤を使用してもよい。安定剤としては、トリメチ
ルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリn-ブチ
ルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリフェ
ニルホスフェート、トリクレジルホスフェートなどのリ
ン酸エステル類;トリフェニルホスファイト、トリスド
デシルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイ
トなどの亜リン酸エステル類;メチルアシッドホスフェ
ート、イソプロピルアシッドホスフェート、ブチルアシ
ッドホスフェート、ジブチルホスフェート、モノブチル
ホスフェート、ジオクチルホスフェートなどの酸性リン
酸エステルおよびリン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ポリ
リン酸などのリン化合物が用いられる。
【0066】このようにして製造された本発明のポリエ
ステルブロック共重合体には、例えば、耐熱安定剤、耐
光安定剤などの公知の安定剤を含有させてもよい。
【0067】耐熱安定剤としては、例えば4,4−ビス
(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)などのフェノー
ル化合物、N,N−ビス(β−ナフチル)−p−フェニ
レンジアミンなどのアミン化合物、ジラウリルチオネー
トなどのイオウ化合物などが挙げられる。また、耐光安
定剤としては、例えば置換ベンゾフェノン、ベンゾトリ
アゾール化合物などが挙げられる。さらにポリエステル
ブロック共重合体には、この共重合体の耐熱性と柔軟性
のバランスをさらに高めるために、結晶核剤、有機また
は無機の補強用繊維、有機または無機の粉体などを含有
してもよい。
【0068】ポリエステルブロック共重合体に上記の安
定剤、結晶核剤、補強用繊維、紛体などを配合する際に
は、これらを均一に混合するために、公知の種々の方法
を用いることができる。例えば、ダブルコーンブレンダ
ー、リボンブレンダー等で混合する方法、また、このよ
うな方法で混合した樹脂を一軸押出機、二軸押出機、ベ
ント式押出機等により溶融混練し造粒する方法を採用す
ることも可能である。
【0069】本発明のポリエステルブロック共重合体
は、例えば射出成形によって容器に成形され、押出成形
によってシート等に成形され、また、ブロー成形によっ
て容器等に成形されるなど、通常の溶融成形により目的
に応じた形状に成形できる。また、このポリエステルブ
ロック共重合体を成形品とした後、さらにアニール処理
を行って構成成分(A)の結晶化を促進させ熱安定性を
高めてもよい。
【0070】このようなポリエステル共重合体は、透明
性に優れるとともに、その透明性が長時間持続し、柔軟
性にも優れるため、従来、軟質塩化ビニル樹脂、スチレ
ン−ブタジエン−スチレン系ブロック共重合体およびそ
の水添物、脂肪族ポリエステル共重合体、ポリオレフィ
ンエラストマーなどが用いられていた用途、すなわちシ
ート、フィルム、雑貨など、自動車部品などに好ましく
用いられる。
【0071】また、このポリエステルブロック共重合体
を、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポ
リオレフィン、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチ
ル、ポリ塩化ビニルなどの樹脂に改質剤としてブレンド
することによって、樹脂の耐衝撃性、耐薬品性、摺動性
などを改質し、これらの性能に優れた樹脂組成物を製造
することもできる。このようなポリエステルブロック共
重合体とその他の樹脂とをブレンドし、樹脂組成物とす
る場合には、樹脂組成物中、ポリエステルブロック共重
合体の含有率を30質量%以上とすることが好ましい。
このような範囲とすることによって、樹脂の有する特性
を低下させることなく、樹脂の耐衝撃性、耐薬品性、摺
動性などを向上させることができる。
【0072】
【実施例】以下、実施例を用いて本発明を具体的に説明
するが、本発明は実施例の内容に限定されるものではな
い。
【0073】[製造例1]ヒドロキシピバリン酸メチル
132g(0.1mol)とチタンテトラブトキサイド
0.132gを反応容器に入れ、窒素雰囲気下160℃
から200℃で2時間エステル交換を行った。その後、
この反応系を30分で240℃に昇温した後、2時間か
けて系内を常圧から0.13kPa以下に減圧し、2時
間かけて重縮合反応を行った。
【0074】得られた樹脂の溶融粘度をレオメーターで
測定したところ、240℃で1Pa・sであった。得ら
れた樹脂を(A−1)とする。
【0075】なお、この樹脂(A−1)は、DSCから
求めた融点、粘度などからエステル交換反応率が97%
以上であることを確認した。このときの計算上の分子量
は3200、式(1)におけるnは32である。
【0076】[実施例1]ヒドロキシピバリン酸メチル
2200g(16.4mol)、PTG4000(保土
谷化学製ポリテトラメチレングリコール、数平均分子量
4000)2500g(0.625mol)、アジピン
酸ジメチル74g(0.425mol)、トリメリット
酸無水物25.5g(0.133mol)触媒としてチ
タンテトラブトキサイド4.0gを窒素を導入した反応
釜に仕込み、160℃から240℃で3時間メタノール
を除去しながら反応を進めた。
【0077】次いで、240℃で1時間かけて系内を
0.13kPa以下に減圧し、さらに2時間減圧を保ち
重縮合を行った。生成したポリマーを窒素加圧下で水中
に吐出し、それをペレタイズして4500gのポリマー
を得た。これをクロロホルムに溶かし、ポリスチレン標
準で測定した数平均分子量は35000、分子量分布は
1.8であった。
【0078】なお、得られたポリマーにおけるヒドロキ
シピバリン酸単位を主成分とする構成単位(A)は、ク
ロロホルム不溶分のDSC測定による融点から分子量が
2600と計算され、nは26であった。
【0079】なお、このポリマーを動的粘弾性測定し、
そのtanδのピークから求められる構成単位(B)に
由来するTgは−40℃であった。また、ここで構成単
位(B)は、ポリテトラメチレングリコール(数平均分
子量4000のPTG4000)とアジピン酸ジメチル
とから構成される、両末端がエステル形成性官能基であ
る化合物からなり、その数平均分子量は4100であ
る。
【0080】また、このポリマーをNMRで分析したと
ころ、構成単位(A)の含有量は表1にも示すように2
9質量%であった。また、得られたポリマー中における
触媒として添加したチタンテトラブトキサイド中のチタ
ンの割合(計算値)を表1に示す。
【0081】[実施例2]製造例1で得られた樹脂(A
−1)を51.7g、PTG4000(保土谷化学製ポ
リテトラメチレングリコール、数平均分子量4000)
50g、アジピン酸ジメチル2.92g、触媒としてチ
タンテトラブトキサイド0.05gを窒素を導入した反
応釜に仕込み、160℃から240℃で1時間メタノー
ルを除去しながら反応を進めた。
【0082】次いで、240℃で30分かけて系内を
0.13kPa以下に減圧し、さらに2時間減圧を保ち
重縮合を行った。生成したポリマーを窒素加圧下で水中
に吐出し、それをペレタイズして85gのポリマーを得
た。これをクロロホルムに溶かし、ポリスチレン標準で
測定した数平均分子量は28000、分子量分布は2.
2であった。
【0083】なお、このポリマーを動的粘弾性測定し、
そのtanδのピークから求められる構成単位(B)に
由来するTgは−55℃であった。また、ここで構成単
位(B)は、ポリテトラメチレングリコール(分子量4
000のPTG4000)とアジピン酸ジメチルとから
構成される、両末端がエステル形成性官能基である化合
物からなり、その数平均分子量は8200である。
【0084】また、このポリマーをNMRで分析したと
ころ、構成単位(A)の含有量は27質量%であった。
また、得られたポリマー中における触媒として添加した
チタンテトラブトキサイド中のチタンの割合(計算値)
を表1に示す。
【0085】[実施例3]製造例1で得られた樹脂(A
−1)を51.7g、PTG2000(保土谷化学製ポ
リテトラメチレングリコール、数平均分子量2000)
50g、アジピン酸ジメチル4.4g、触媒として酢酸
マンガン0.05gを窒素を導入した反応釜に仕込み、
160℃から240℃で1時間メタノールを除去しなが
ら反応を進めた。
【0086】次いで、240℃で30分かけて系内を
0.13kPa以下に減圧し、さらに2時間減圧を保ち
重縮合を行った。生成したポリマーを窒素加圧下で水中
に吐出し、それをペレタイズして93gのポリマーを得
た。これをクロロホルムに溶かし、ポリスチレン標準で
測定した数平均分子量は30000、分子量分布は1.
9であった。
【0087】なお、このポリマーを動的粘弾性測定し、
そのtanδのピークから求められる構成単位(B)に
由来するTgは−40℃であった。また、ここで構成単
位(B)は、ポリテトラメチレングリコール(分子量2
000のPTG2000)とアジピン酸ジメチルとから
構成される、両末端がエステル形成性官能基である化合
物からなり、その数平均分子量は2100である。
【0088】また、このポリマーをNMRで分析したと
ころ、構成単位(A)の含有量は38質量%であった。
また、得られたポリマー中における触媒として添加した
チタンテトラブトキサイド中のチタンの割合(計算値)
を表1に示す。
【0089】[実施例4]実施例1で得たポリマーを
0.3kPa、120℃で5時間乾燥したのち、40m
mφ単軸押出機とT−ダイを組合わせた製膜機により2
50[℃]で200μm厚にシート状に成形した。
【0090】[実施例5]実施例1で得たポリマーを
0.3kPa、120℃で5時間乾燥したのち、30質
量%と表3に示す熱可塑性樹脂70質量%を30mmφ
二軸押出機(ウェルナー製ZSK30M)により250
[℃]で混練した。
【0091】[比較例1]PTG4000(保土谷化学
製ポリテトラメチレングリコール、数平均分子量400
0)を75.3g、アジピン酸を4.4g、触媒として
チタンテトラブトキサイド0.05gを窒素を導入した
反応釜に仕込み、160℃から240℃で2時間メタノ
ールを除去しながら反応を進め、67.6gの反応性生
物を得た。クロロホルムに溶かしポリスチレン標準で測
定した数平均分子量は8300、分子量分布は1.9で
あった。
【0092】これに当量のテトラブチルアンモニウムブ
トキサイドと反応させ、相当するアンモニウム塩を合成
しこれを0.01モル/lベンゼン溶液とした。
【0093】窒素置換された反応釜に176gの無水ベ
ンゼンを加え、次いで上記ポリエーテルエステルのベン
ゼン溶液を12.6gを加え攪拌下ベンゼンを環流させ
た。ピバロラクトン41.0gをこれに添加し、6時間
環流を続けた後生成した重合体をろ別後、0.3kP
a,120℃で5時間乾燥し、40.5gの白色粒状物
を得た。これをクロロホルムに溶かし、ポリスチレン標
準で測定した数平均分子量は39000、分子量分布は
1.6であった。
【0094】また、このポリマーをNMRで分析したと
ころ、構成単位(A)の含有量は97.5質量%であっ
た。また、得られたポリマー中における触媒として添加
したチタンテトラブトキサイド中のチタンの割合(計算
値)を表1に示す。
【0095】[比較例2]テレフタル酸ジメチル78.
2g、1,6−ヘキサンジオール71.4g、触媒とし
てチタンテトラブトキサイド0.05gを窒素を導入し
た反応釜に仕込み、160℃から240℃で3時間メタ
ノールを除去しながら反応を進めた。メタノールが2
3.3g以上留出後(理論留出量の90%)、240℃
で30分掛けて系内を0.13kPa以下に減圧しさら
に2時間減圧を保ち重縮合を行う。出来たポリマーを窒
素加圧下で水中に吐出しそれをペレタイズすることによ
り93gのポリマーを得た。クロロホルムに溶かしポリ
スチレン標準で測定した数平均分子量は36,000、
分子量分布は1.7であった。
【0096】なお、このポリマーを動的粘弾性測定し、
そのtanδのピークから求められるTgは7℃であっ
た。
【0097】また、得られたポリマー中における触媒と
して添加したチタンテトラブトキサイド中のチタンの割
合(計算値)を表1に示す。
【0098】[比較例3]製造例1で得られた樹脂(A
−1)を51.7g、ペスポール HP−1000(東
亞合成製 不飽和脂肪酸2量体還元物、数平均分子量5
38)50g、アジピン酸ジメチル16.4g、触媒と
してチタンテトラブトキサイド0.05g(500pp
m対ポリマー)を窒素を導入した反応釜に仕込み、16
0℃から240℃で1時間メタノールを除去しながら反
応を進めた。
【0099】次いで、240℃で30分かけて系内を
0.13kPa以下に減圧し、さらに2時間減圧を保ち
重縮合を行った。生成したポリマーを窒素加圧下で水中
に吐出し、それをペレタイズして92gのポリマーを得
た。これをクロロホルムに溶かし、ポリスチレン標準で
測定した数平均分子量は32,000、分子量分布は
1.7であった。
【0100】また、得られたポリマー中における触媒と
して添加したチタンテトラブトキサイド中のチタンの割
合(計算値)を表1に示す。
【0101】[比較例4]ポリエステルエラストマーP
−40B(東洋紡績株式会社製)を0.3kPa,12
0℃で5時間乾燥したのち、40mmφ単軸押出機とT
−ダイを組合わせた製膜機により250[℃]で200μ
m厚にシート状に成形した。
【0102】[試験例]上記実施例1〜3、比較例1〜
3で得られたポリマーを240℃でプレス成形してサン
プルを製造し、このサンプルの柔軟性、透明性、耐熱性
を以下の方法で測定した。結果を表1に示す。
【0103】実施例4および比較例4については、40
mmφ単軸押出機とT−ダイを組合わせた製膜機により
250[℃]で200μm厚にシート状に成形し、このサ
ンプルの引張特性、透明性、耐熱性を以下の方法で測定
した。結果を表2に示す。
【0104】(1)柔軟性(表中、ショアA硬度で示
す。) JIS K−6301に従い、プレス成形で得られたサ
ンプルを全体の厚さが4mm以上になるように重ねたサ
ンプルを用いて、JIS A型項を測定して柔軟性の指
標とした。
【0105】(2)透明性 プレス成形で得られた2mm厚のサンプルの外観を目視
評価した。また、70℃の温水中に3日間漬けたサンプ
ルも同様に評価した。
【0106】(3)耐熱性 プレス成形で得られた2mm厚のサンプルを30mm×
5mmの短冊状に切りだし、サンプルの端10mmを固
定して120℃のオーブン中に1時間放置し5mm以上
垂れ下がらなかったものを表中○で示し、5mm以上垂
れ下がったものを表中×で示した。
【0107】(4)引張特性 押出成形で得られた200μm厚のシート状サンプルを
ASTM D−638に準拠して測定した。また、20
0%引張後残存伸びは、23℃で上記サンプルを200
%引張った状態で5分間保持した後、開放して30分後
の伸び率を測定した。
【0108】(5)NMR サンプルをクロロホルムに溶かし、遠心分離し、クロ
ロホルム不溶分をIRに供試した。
【0109】サンプルに重水素化クロロホルムを加
え、ろ過してNMRに供試した。
【0110】サンプルを3N KOH/エタノールで
耐圧容器中、105℃X12hrs加水分解した。塩酸
で中和し、生成した塩を分離するため、吸引ろ過(グラ
スフィルター)し、ろ液を濃縮した。ジエチルエーテ
ル、水を加え、分液ロートで抽出した。エーテル相を濃
縮、真空乾燥して、NMRに供試した。
【0111】
【表1】 表1から明らかなように、構成単位(A)の含有量が多
い比較例1のポリエステル共重合体は、柔軟性が非常に
悪く、構成単位(A)がテレフタル酸ジメチルから構成
されている比較例2のポリエステル共重合体は、柔軟性
が悪い上、透明性も低かった。また、構成成分(B)が
数平均分子量が600未満であるポリマーに由来する比
較例3のポリエステル共重合体は、耐熱性が不十分であ
った。一方、各実施例のポリエステルブロック共重合体
は、いずれも耐熱性に優れ、高い透明性が持続し、さら
に柔軟性も良好であった。
【0112】
【表2】 表2から、実施例4のポリエステルブロック共重合体の
シートは、既存の熱可塑性エラストマーの中では耐熱性
に優れていた比較例4のポリエステルエラストマーの強
度と同等の強度を維持しつつ、残留伸び、透明性にも優
れていた。
【0113】
【表3】 表3から、実施例1のポリエステルブロック共重合体
は、既存の熱可塑性樹脂と相分離することなく混練可能
であることがわかる。
【0114】
【発明の効果】以上説明したように本発明のポリエステ
ルブロック共重合体は、良好な透明性が長時間持続し、
柔軟性にも優れる。
【0115】したがって、従来、軟質塩化ビニル樹脂、
スチレン-ブタジエン-スチレン系ブロック共重合体およ
びその水添物、脂肪族ポリエステル共重合体、ポリウレ
タンエラストマー、ポリアミドエラストマー、ポリオレ
フィンエラストマーなどが用いられていた用途、すなわ
ち高圧ホース、塗装ホース、農薬ホース、消防ホース、
油圧用ホース等のホース、ガス管内張り、牽引ロープジ
ャケット、コルゲートチューブ、燃料チューブ、油圧チ
ューブ、空圧チューブ、自転車エアレスチューブ、サッ
カーボールチューブ等のチューブ、コンベアベルト、V
ベルト、丸ベルト、タイミングベルト等のベルト、エア
マット、ターポリン、キーボードシート、土木・防水・
建材用シート等のシート、食品包装用ラミネートフィル
ム等のフィルム、フレキシブルカップリング、ドアラッ
チストライカ、リバウンドストッパー、エンブレム、ス
キー靴、ゴルフボール、スポーツシューズ、靴インナ
ー、時計バンド、ホットカラー、瓶栓、櫛・ブラシ、ボ
タン、ツマミ・グリップ、玩具等の雑貨、電話線カール
コード、光ファイバー被覆、ケーブルカバー、ケーブル
ジャケット、ケーブルライナー、バックアップリング等
の電気・電子部品、医療用バルーン、カテーテル等の医
療用部品、目地材、電子部品封止材、パッキン、ダスト
シール、ポンプ、ダイヤフラム・メンブレン、アキュー
ムレーター内装等のシール・ポンプ部品、シートベルト
ラチェット部品、ATスライドプレート、等速ジョイン
トブーツ、ラックアンドピニオンブーツ、サスペンショ
ンブーツ、マクファーソンストラットカバー、フロー
ト、ギア、リーフスプリングブッシュ、ボールジョイン
トリテーナー、ジョイントブッシュ、エアバッグ、エア
バッグカバー、ステアリングロッドカバー、窓ガラス振
れ止めロール、ジャウンスバンパー、サイドトリム・モ
ール、グロメット、タイヤインサート等の自動車部品、
ポリマーブレンド、グリップ、クッション・ストッパ
ー、ゴーグル、パソコン用マウス、スポーツ用品、合成
皮革、制震遮音材、音質向上材などのエラストマー製品
の樹脂改質剤・相溶化剤などの幅広い用途に使用でき、
工業用樹脂として極めて有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F071 AA02 AA12 AA13 AA14 AA22 AA43 AA44 AA50 AA53 AA54 AA75 AA81 AH07 AH12 AH19 BA01 BB06 BC01 4J002 BB001 BP011 CF001 CF182 CG001 CK021 CL001 GB01 GC00 GG02 GJ02 GL00 GM00 GM01 GQ01 4J029 AA02 AB01 AB04 AB07 AC03 AE03 AE06 AE16 AE18 BA02 BA03 BA04 BA05 BA08 BA09 BA10 BD03 BD04A BE07 BF25 BH04 CA01 CA02 CA03 CA05 CA06 CB04A CB05A CB06A EA05 JC731 JE022 JE042 JE162 JE172 JE182 JE222 JF031 JF131 JF141 JF151 JF161 JF181 JF221 JF231 JF321 JF361 JF371 JF471 JF541 JF561 JF571 KE02

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式(1)で示される単位を主成分と
    する構成単位(A)と、ガラス転移温度(Tg)が0℃
    以下で、数平均分子量が600〜100000の範囲に
    あるエステル形成可能な官能基を両末端に有する化合物
    に由来する構成単位(B)とを含有して構成され、前記
    構成単位(A)の含有量が、10〜70質量%であるこ
    とを特徴とするポリエステルブロック共重合体。 【化1】 (式(1)中、 XおよびYはそれぞれ水素、アルキル
    基、フェニル基のいずれかを示す。nは5〜5000で
    ある。また、Zは直接結合、炭素数1〜6のアルキレン
    基、フェニレン基のいずれかを示す。)
  2. 【請求項2】 前記式(1)中のXおよびYがメチル基
    であって、Zがメチレン基であることを特徴とする請求
    項1に記載のポリエステルブロック共重合体。
  3. 【請求項3】 多官能成分からなる構成単位(C)を、
    前記構成単位(A)に対して0.05〜2モル%含有し
    て構成されていることを特徴とする請求項1または2に
    記載のポリエステルブロック共重合体。
  4. 【請求項4】 下記式(1)で示される単位を主成分と
    する構成単位(A)と、ガラス転移温度(Tg)が0℃
    以下で、数平均分子量が600〜100000の範囲に
    あるエステル形成可能な官能基を両末端に有する化合物
    に由来する構成単位(B)とを含有して構成され、前記
    構成単位(A)の含有量が、10〜70質量%であるポ
    リエステルブロック共重合体の製造方法であって、アン
    チモン、ゲルマニウム、チタン、マンガン、マグネシウ
    ム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ナトリウ
    ム、コバルト、アルミニウム、ガリウム、鉄、スズ、亜
    鉛、ホウ素からなる群より選ばれる少なくとも1種の金
    属の化合物を、該金属の合計質量が生成したポリエステ
    ルブロック共重合体中0.1〜1000ppmとなるよ
    うに添加してエステル交換反応する工程を有することを
    特徴とするポリエステルブロック共重合体の製造方法。 【化2】 (式(1)中、 XおよびYはそれぞれ水素、アルキル
    基、フェニル基のいずれかを示す。nは5〜5000で
    ある。また、Zは直接結合、炭素数1〜6のアルキレン
    基、フェニレン基のいずれかを示す。)
  5. 【請求項5】 前記式(1)中のXおよびYがメチル基
    であって、Zがメチレン基であることを特徴とする請求
    項4に記載のポリエステルブロック共重合体の製造方
    法。
  6. 【請求項6】 前記ポリエステルブロック共重合体は、
    多官能成分からなる構成単位(C)を、前記構成単位
    (A)に対して0.05〜2モル%含有して構成されて
    いることを特徴とする請求項4または5に記載のポリエ
    ステルブロック共重合体の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし3のいずれかに記載のポ
    リエステルブロック共重合体からなることを特徴とする
    成形体。
  8. 【請求項8】 請求項1ないし3のいずれかに記載のポ
    リエステルブロック共重合体と熱可塑性樹脂からなるこ
    とを特徴とする樹脂組成物。
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WO2021172349A1 (ja) 2020-02-26 2021-09-02 東洋紡株式会社 異物の少ないポリエステル樹脂およびこれを用いた塗料組成物または接着剤組成物

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