JP2004099656A - ポリエステル成形体 - Google Patents
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Abstract
【課題】長期間透明性を維持しつつ、耐熱性、耐薬品性も良好なポリエステル成形体を工業的に提供すること。
【解決手段】繰返し単位中にエステル結合を少なくとも1つ有する単位を主成分とする構成単位(A)と、数平均分子量が600〜100000の範囲にあるエステル形成可能な官能基を両末端に有する化合物に由来する構成単位(B)を含有するブロック共重合体からなり、JIS−K−6262に準じて測定した圧縮永久歪が5〜65%の範囲にある弾性体であって、かつJIS−K−7361−1に準じて測定した全光線透過率が75%以上であることを特徴とするポリエステル成形体。
【選択図】 なし
【解決手段】繰返し単位中にエステル結合を少なくとも1つ有する単位を主成分とする構成単位(A)と、数平均分子量が600〜100000の範囲にあるエステル形成可能な官能基を両末端に有する化合物に由来する構成単位(B)を含有するブロック共重合体からなり、JIS−K−6262に準じて測定した圧縮永久歪が5〜65%の範囲にある弾性体であって、かつJIS−K−7361−1に準じて測定した全光線透過率が75%以上であることを特徴とするポリエステル成形体。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、押出成形、射出成形、ブロー成形、カレンダー成形などによって得られた、シート、フィルム、雑貨、家電、自動車部品などのポリエステル成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱可塑性エラストマーは軟質塩ビ代替として生産性に優れ、自動車部品、事務機器、家電部品、医療部品、シート、フィルム、雑貨用途等に幅広く採用されつつあり、今後期待される材料である。例としては、ジエン系、水素添加ジエン系(ビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体の水素添加誘導体)、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系が知られている。しかしながらこれらの成形材料は、耐スクラッチ性、柔軟性、加工性、経済性、リサイクル性の面でそれぞれ欠点を有しているのが現状である。
【0003】
すなわち、オレフィン系エラストマーは比較的安価で耐候性、耐熱性に優れるものの柔軟性、耐スクラッチ性に問題があり、ジエン系は耐候性に問題があるあるいは、ポリアミド系は高価である等の問題がある。
【0004】
また、水添ジエン系についてもいくつかの提案がなされている。例えば特開昭50−14742号、特開昭52−65551号、特開昭58−206644号各公報には水添ブロック共重合体にゴム用軟化剤およびオレフィン系樹脂を配合した組成物が開示されている。しかしこれらの組成物もオレフィン系エラストマーと同様、耐スクラッチ性の劣るものであった。
【0005】
これに対し、ポリエステル系は、耐環境性や機械強度などに優れた熱可塑性エラストマーとして知られている。なかでも、ポリブチレンテレフタレート(PBT)とポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)を主成分とするブロック共重合体は、その性能バランスが優れていることから、自動車、家電製品などの分野に使用されている。このようなブロック共重合体は、例えば、特公昭49−31558号公報などに示されているように、工業的に有利な溶融重合法により製造されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、熱可塑性エラストマーとして知られているこのようなブロック共重合体からなる成形体は、一般に透明性が低く不透明であることが多い。また、比較的透明性が高いブロック共重合体を使用しても、その透明性を長時間維持することや、透明性とともに耐熱性や耐薬品性も維持することは、非常に困難であった。
【0007】
例えば、特開平10−237167号公報には、硬質セグメントとしてポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートを使用したブロック共重合体からなる成形体が開示されている。このようなブロック共重合体を急冷条件で成形した場合には透明な成形体が得られるが、徐々にポリエステルの結晶化が進み、経時的に白化していくという問題があった。
【0008】
また、限りなく非晶質に近いポリエステルを使用することによって、透明性が比較的高いブロック共重合体が得られる。しかし、このようなブロック共重合体は耐熱性や耐薬品性が不十分であった。
【0009】
また、特公昭47−3740号公報には、ラクトンとポリエーテルからなるブロック共重合体が提案されているが、このブロック共重合体は不活性溶媒中でアニオン重合により得られており、ラクトンとポリエーテルとの間にエステル基以外の官能基が入ってしまう結果、得られるポリエステル共重合体の耐熱性などが劣るものであった。また、ポリエーテルの末端が開始剤となるため、生成ポリマーの分子量との関係からポリエーテルの含有量を増やすことができず、柔軟性を付与できるものではなかった。
【0010】
一方、タッチパネルなど視認性の必要な部品類に必要とされる全光線透過率は一般的に75%以上であり、熱可塑性エラストマー成形体において全光線透過率がこの数値以上であれば、視認性の良いソフトタッチのカバー類、スイッチ類、パネル類、カラーテープなど工業的に利用価値があるが、透明性に優れる水添ジエン系は耐熱性が100℃未満と低く、耐熱性、耐薬品性に優れる既存のポリエステル系は不透明であり、透明性、耐熱性、耐薬品性のバランスの良い熱可塑性エラストマーが望まれていた。
【0011】
本発明は、長期間透明性を維持しつつ、耐熱性、耐薬品性も良好なポリエステル成形体を工業的に提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明のポリエステル成形体は、繰返し単位中にエステル結合を少なくとも1つ有する単位を主成分とする構成単位(A)と、数平均分子量が600〜100000の範囲にあるエステル形成可能な官能基を両末端に有する化合物に由来する構成単位(B)を含有するブロック共重合体からなり、JIS−K−6262に準じて測定した圧縮永久歪が5〜65の範囲にある弾性体であって、かつJIS−K−7361−1に準じて測定した全光線透過率が75%以上であることを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳しく説明する。
【0014】
本発明のポリエステル成形体は、構成単位(A)と構成単位(B)とから構成されるブロック共重合体からなるものであり、構成単位(A)は繰返し単位中にエステル結合を少なくとも1つ有する単位を主成分とする。
【0015】
エステル結合を繰返し単位中に含まない場合は、耐熱性、透明性が不十分、工業的に高コストのいずれかとなる傾向にある。
【0016】
本発明における構成単位(A)としては、好ましくは下記式(1)で示される単位を主成分とする。
【0017】
【化2】
(式(1)中、 XおよびYはそれぞれ水素、アルキル基、フェニル基のいずれかを示す。nは5〜5000である。また、Zは直接結合、炭素数1〜6のアルキレン基、フェニレン基のいずれかを示す。)
上記式(1)中、 XおよびYはそれぞれ水素、アルキル基、フェニル基のいずれかを示す。XとYは同じでも異なっていてもよいが、ブロック共重合体の耐熱性が優れることから同じ置換基であることが好ましい。また、式(1)中、nは5〜5000である。nが5未満ではブロック共重合体の耐熱性が不十分となり、一方5000を超えるとブロック共重合体の流動性が低下し、成形性が悪くなる。nが5〜5000であるとブロック共重合体の耐熱性と流動性がともに優れるため好ましく、さらに好ましくは10〜2000である。
【0018】
また、式(1)中、Zは直接結合、炭素数1〜6のアルキレン基、またはフェニレン基のいずれかを示す。
【0019】
Zは、単なる直接結合を示すものであってもよいが、Zが炭素数1〜6のアルキレン基またはフェニレン基であると、ブロック共重合体をつくる際、反応が容易であるため好ましい。また、炭素数1〜6のアルキレン基は分岐構造を含んでいても構わない。さらに、炭素数が6を超えると耐熱性が劣る傾向がある。
【0020】
本発明のポリエステル成形体においては、構成単位(A)としてこのようなものを含有するので、特に耐熱性に優れ、優れた透明性が長時間持続するうえ、柔軟性にも優れたものとなる。
【0021】
構成単位(A)の主な構成成分である上記式(1)の単位の具体例としては、XおよびYがメチル基で、Zがメチレン基であるヒドロキシピバリン酸単位、 Xが水素、Yがメチル基で、Zがメチレン基であるヒドロキシイソ酪酸単位、XおよびYが水素で、Zが直接結合であるグリコール酸単位、XおよびYが水素で、Zがメチレン基であるプロパン酸単位、XおよびYが水素で、Zがジメチレン基である酪酸単位、XおよびYが水素で、Zがトリメチレン基である吉草酸単位、XおよびYが水素で、Zがテトラメチレン基であるカプロン酸単位、Xが水素、Yがメチル基で、Zが直接結合である乳酸単位Xが水素、Yがフェニル基で、Zが直接結合であるマンデル酸単位、Xが水素、Yがフェニル基で、Zがメチレン基であるトロパ酸単位、XおよびYがフェニル基で、Zが直接結合であるベンジル酸単位などを挙げることができる。これらの中でも合成の容易さからヒドロキシピバリン酸単位が好ましい。
【0022】
ポリピバロラクトンの製造方法としてはヒドロキシピバリン酸またはそのエステルもしくはピバロラクトンを重合させて得られるものが好ましい。さらに好ましくは、工業的に製造されている出発物を用いることができる点でヒドロキシピバリン酸またはそのエステルの重合体を構成単位(A)の主成分とするのが好ましい。
【0023】
また、式(1)で示される単位はブロック共重合体の融点を著しく低下させない範囲で1種類の化合物から構成されても、複数の化合物から構成されてもよい。例えば、ヒドロキシピバリン酸またはそのエステルのみから構成されても、これらと式(1)の単位を形成可能なその他の化合物とを組み合わせてもよい。
【0024】
また、構成単位(A)は上記式(1)で示される単位を主成分とするが、ブロック共重合体の融点を著しく低下させない範囲でその他の共重合成分を含んでもよい。例えば、ポリエステルブロック共重合体を製造する際に、仕込み組成中におけるヒドロキシル基量とカルボキシル基量とを合わせると、目的のポリエステルブロック共重合体の分子量を大きくすることができる。
【0025】
その他の共重合成分としては、ジカルボン酸、ジオール、ヒドロキシカルボン酸およびこれらのエステル化物などが挙げられる。
【0026】
ジカルボン酸の例としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、5−スルホイソフタル酸ナトリウムおよびこれらの低級アルキルエステル、アリールエステル、炭酸エステル、酸ハロゲン化物が好ましく用いられる。ジオールの例としてはエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール1,10−デカンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、シクロヘキサン1,2−ジオール、シクロヘキサン1,3−ジオール、シクロヘキサン1,4−ジオール、シクロヘキサン1,4−ジメタノール、ヒドロキノン、4,4−ジフェノールなどが挙げられる。また、ヒドロキシカルボン酸の例としては、ヒドロキシ安息香酸およびこれらの低級アルキルエステル、アリールエステル、炭酸エステル、酸ハロゲン化物が好ましく用いられる。これら共重合成分は、単独で使用されても、二種以上が併用されてもよい。
【0027】
これら共重合成分が使用される場合は、通常、構成成分(A)中20質量%以下の範囲で使用される。
【0028】
本発明のポリエステル成形体に使用されるブロック共重合体の製造方法には特に制限はないが、ヒドロキシピバリン酸またはヒドロキシピバリン酸のエステルを構成単位(A)の出発物質として用いて溶融重縮合法で反応させる方法が挙げられる。ヒドロキシピバリン酸やヒドロキシピバリン酸エステルが工業的に容易に入手でき、アニオン重合やカチオン重合による場合のように反応時に有機溶媒を使用する必要がなく、耐熱性にもより優れたブロック共重合体が得られることから溶融重縮合法が好ましい。
【0029】
重合は公知のポリエステルの重合方法で行え、連続重合であっても、バッチ重合でもよい。
【0030】
ブロック共重合体を構成する原料を窒素を導入した反応釜にすべて一括して仕込み、160〜240℃程度の温度でエステル交換を行い、その後240℃、0.13kPa以下などの条件下で重縮合を行う方法でもよいし、ヒドロキシピバリン酸、ヒドロキシピバリン酸のエステル、ピバロラクトンなどを重合して構成単位(A)を構成するポリマーを初めに製造し、その後、このポリマーと構成単位(B)を構成する化合物とを重縮合する方法でもよい。このような反応後、得られたポリマーを水中に吐出、ペレタイズすることにより目的のブロック共重合体が得られる。
【0031】
また、構成単位(A)を構成するポリマーと構成単位(B)を構成する化合物とを押出機中で反応させて、目的物を製造する方法でもよい。
【0032】
なお、目的のブロック共重合体を製造する際、仕込み組成中におけるヒドロキシル基の量とカルボキシル基の量とを合わせると、目的のブロック共重合体の分子量を大きくすることができる。ヒドロキシル基の量とカルボキシル基の量とを合わせるためには、ジカルボン酸、ジオールなどを使用する。これらの具体例としては、前述のジカルボン酸、ジオールなどを例示できる。
【0033】
また、重合時には以下に挙げる触媒を用いることが好ましい。エステル交換反応および重縮合に用いられる好適な触媒としてはチタン触媒が挙げられ、特にテトラブチルチタネート、テトラメチルチタネートなどのテトラアルキルチタネート、シュウ酸チタンカリなどのシュウ酸金属などが好ましい。また、その他の触媒としては、ジブチルスズオキサイド、ジブチルスズジラウリレートなどのスズ化合物、さらには、アンチモン、ゲルマニウム、マンガン、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ナトリウム、コバルト、アルミニウム、ガリウム、鉄、亜鉛、ホウ素から選ばれる元素の酢酸塩などの脂肪酸塩、炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、アセチルアセトナート塩、塩化物などのハロゲン化物、酸化物などが挙げられる。
【0034】
これらの触媒化合物は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0035】
重縮合反応に必要に応じて用いられる安定剤としては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリn−ブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェートなどのリン酸エステル類;トリフェニルホスファイト、トリスドデシルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイトなどの亜リン酸エステル類;メチルアシッドホスフェート、イソプロピルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、ジブチルホスフェート、モノブチルホスフェート、ジオクチルホスフェートなどの酸性リン酸エステルおよびリン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ポリリン酸などのリン化合物が用いられる。
【0036】
これらの重縮合触媒の使用割合は、得られたブロック共重合体の重量に対して、重縮合触媒の場合には重縮合触媒中の金属の重量として、通常0.1〜1000ppm、好ましくは1〜500ppmの範囲である。これらの重縮合触媒の供給方法は、原料投入の段階において供給することもできるし、エステル交換反応工程に供給することもできる。
【0037】
また、ブロック共重合体には、重合時間を短縮できるとともに、流動性と引張特性とのバランス調整のために公知の多官能成分を配合しても良い。多官能成分としては、トリメチロールプロパン、ペンタエリストール、ピロメリット酸とその無水物、トリメリット酸とその無水物、スルホイソフタル酸ジメチルナトリウムのほか、2官能以上のエポキシ基、オキサゾリン基、カルボジイミド基などを含む化合物を例示できる。
【0038】
本発明のポリエステル成形体を構成する構成単位(B)は、エステル形成可能な官能基を両末端に有する化合物に由来する。エステル形成可能な官能基とは、具体的にはヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボン酸メチル基、カルボン酸エチル基、カルボン酸プロピル基、アセトキシ基などである。
【0039】
このような化合物としては、主鎖骨格がポリオレフィン、ポリオキシアルキレングリコール、ポリジメチルシロキサン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリブタジエン、水添ポリブタジエンなどからなり、両末端が上記のエステル形成可能な官能基からなるものが挙げられる。また、構成単位(B)は、これらの化合物のうち1種類から構成されても、複数の化合物から構成されてもよい。
【0040】
ここで使用される主鎖骨格がポリオレフィンからなる化合物としては、直鎖または枝分かれしたポリオレフィンの両末端にエステル形成可能な官能基を持つ化合物であれば、制限はない。主鎖骨格がポリオレフィンからなる化合物の数平均分子量としては600〜100000が好ましい。数平均分子量が600未満では耐熱性不足となる場合があり、100000を超えると流動性不足となる場合がある。構成単位(B)をポリオレフィン由来の単位で構成すると、ブロック共重合体の耐水性、耐候性が向上し、また、ブロック共重合体の比重を小さくできるなどの利点がある。このようなブロック共重合体は、例えば、シート、フィルム、雑貨、家電、自動車部品のうち光や水に接触するような用途に好ましく使用できる。
【0041】
また、主鎖骨格がポリオレフィンからなる化合物は、ポリテールHA(三菱化学製)などの水酸基含有ポリオレフィンを使用してもよい。
【0042】
主鎖骨格がポリオキシアルキレングリコールからなる化合物としては、ポリテトラメチレングリコール、3−メチルテトラヒドロフラン共重合ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコールのエチレンオキシド付加物などが挙げられる。主鎖骨格がポリオキシアルキレングリコールからなる化合物の数平均分子量としては600〜100000が好ましい。数平均分子量が600未満では耐熱性不足となる場合があり、100000を超えると流動性不足となる場合がある。好ましい数平均分子量の範囲としては1500〜100000であり、さらに好ましくは2000〜100000の範囲、最も好ましくは2000〜10000の範囲である。
【0043】
構成単位(B)をポリオキシアルキレングリコール由来の単位で構成すると、ポリオキシアルキレングリコールは安価であるので、ブロック共重合体の製造コストが低くなり工業的に有利である。このようなブロック共重合体は、例えば、シート、フィルム、雑貨、家電、自動車部品のうち特に安価が要求される用途に好ましく使用できる。
【0044】
主鎖骨格がポリジメチルシロキサンからなる化合物としては、下記式(2)に示すような化合物が挙げられる。
【0045】
【化3】
式(2)中、CとDはエステル形成可能な水酸基、カルボン酸基、カルボン酸メチル基などである。これらは同じ基でも異なる基でも良い。また、lには制限はないが好ましくは8〜500であり、より好ましくは8〜200であり、さらに好ましくは10〜80である。lが8未満ではブロック共重合体の耐熱性や柔軟性が不十分となる場合があり、一方、lが500を超えると、構成単位Aと構成単位Bとの相溶性が低下する場合がある。lが8〜500の範囲であると、ブロック共重合体の耐熱性と柔軟性が優れるとともに構成単位Aと構成単位Bとの相溶性も良好となるため好ましい。
【0046】
また、式(2)中のA、Bは、アルキル基もしくはオキシアルキル基であり、好ましくは炭素数4以上のアルキル基またはオキシアルキル基である。さらには、ブロック共重合体の耐候性が優れることから炭素数4以上のアルキル基が好ましい。
【0047】
構成単位(B)をポリジメチルシロキサン由来の単位で構成すると、ブロック共重合体の低温特性が良くなる。このようなブロック共重合体は、例えば、シート、フィルム、雑貨、家電、自動車部品のうち特に耐寒性が必要とされるような用途に好ましく使用できる。
【0048】
主鎖骨格がポリエステルからなる化合物としては、ポリカプロラクトン、バレロラクトンなどのラクトンが開環重合した化合物、ジカルボン酸とジオールとの縮合物などが挙げられる。ジカルボン酸およびジオールとしては、構成単位(A)に含まれる共重合成分として例示したものと同様の化合物を使用できる。主鎖骨格がポリエステルからなる化合物の数平均分子量としては600〜100000が好ましい。数平均分子量が600未満では耐熱性不足となる場合があり、100000を超えると流動性不足となる場合がある。これらの化合物は、ガラス転移温度がTgが0℃以下である限りは、単独で使用されても、二種以上が併用されてもよい。また、構成単位(B)をポリエステル由来の単位で構成すると、ブロック共重合体の耐候性、耐熱性が良くなり、また安価に製造できる。このようなブロック共重合体は、例えば、シート、フィルム、雑貨、家電、自動車部品のうち特に屋外で使われたり、高温部で使われたりする用途に好ましく使用できる。
【0049】
主鎖骨格がポリカーボネートからなる化合物としては、環状ポリカーボネートの重合物、グリコールとホスゲンとの縮合物の他、カプロラクトンとの共重合物も含まれる。具体的には、ポリジメチルトリメチレンカーボネート、ポリモノメチルトリメチレンカーボネート、ポリトリメチレンカーボネート、ポリヘキサメチレンカーボネートなどがあげられる。これらの化合物は、ガラス転移温度がTgが0℃以下である限りは、ホモポリマーでもコポリマーでもよく、さらに芳香族成分を含んでいてもよい。主鎖骨格がポリカーボネートからなる化合物の数平均分子量としては600〜100000が好ましい。数平均分子量が600未満では耐熱性不足となる場合があり、100000を超えると流動性不足となる場合がある。
【0050】
また、構成単位(B)をポリカーボネート由来の単位で構成すると、ブロック共重合体の耐熱性が良くなる。このようなブロック共重合体は、例えば、シート、フィルム、雑貨、家電、自動車部品のうち特に高温部で使われる用途に好ましく使用できる。
【0051】
本発明におけるブロック共重合体の溶融粘度は、ASTM D1238に準じて測定されたメルトフロ−レ−ト(MFR)にて表現されるが、好ましいMFRの範囲は3〜300g/10min.、好ましくは5〜250g/10min.、さらに好ましくは10〜250g/10min.である。MFRが3g/10min.未満では、射出成形性に劣り、ショートショットとなってしまう傾向にある。また、MFRが300g/10分を超えると、成形体の引張特性等に劣る傾向にある。
【0052】
本発明のポリエステル成形体を形成するブロック共重合体は弾性体であり、JIS−K−6262に準じて測定したその圧縮永久歪は5〜65%の範囲である。圧縮永久歪が5%未満の場合、成形加工性が悪くなる傾向にある。また、圧縮永久歪が65%を超えるとゴム弾性が低く、成形体を使用できる用途が制限される傾向にある。さらに、JIS−K−6262の測定法で測定不能である場合は、弾性体の定義外であり、熱可塑性エラストマーとしての使用に適さない。より好ましい圧縮永久歪の範囲は25〜60%であり、さらに好ましくは30〜55%の範囲である。
【0053】
本発明のポリエステル成形体のJIS−K−7361−1に準じて測定した全光線透過率は75%以上である。全光線透過率は測定物の表面状態により左右されるが、表面加工、表面処理を施さない試験片により求められ、理論上は93%が上限となる。
【0054】
全光線透過率が75%未満であると成形体の透明性が低く、工業的に利用できる用途が限定される。より好ましい全光線透過率の範囲は80%以上である。
【0055】
ポリエステル成形体を構成する構成単位(B)が、ガラス転移温度(Tg)が0℃を超える化合物に由来するものであると、ブロック共重合体の弾性体としての性質が低下する傾向がある。
【0056】
本発明のポリエステル成形体は、構成単位(A)と構成単位(B)とから構成され、ブロック共重合体中における構成単位(B)の重量割合は、30〜90質量%の範囲が好ましく、さらに好ましくは30〜85質量%であり、より好ましくは50〜80質量%である。構成単位(B)が90質量%を超えるとブロック共重合体の耐熱性が不十分となる場合があり、一方30質量%未満では、ブロック共重合体の反発弾性や柔軟性が低下する場合がある。
【0057】
本発明のポリエステル成形体には、例えば、耐熱安定剤、耐光安定剤などの公知の安定剤を含有させても良い。耐熱安定剤としては、例えば4,4−ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)などのフェノール化合物、N,N−ビス(β−ナフチル)−p−フェニレンジアミンなどのアミン化合物、ジラウリルチオネートなどのイオウ化合物などが挙げられる。また、耐光安定剤としては、例えば置換ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール化合物などが挙げられる。
【0058】
本発明のポリエステル成形体のJIS−K−7136に準じて測定したヘイズが50以下であることは、視認性の良い成形体を得ることができる点で好ましい。より好ましくは、ヘイズ値が35以下である。さらに、JIS−K−7105に記載の黄色度指数(以下、YI)が30以下であることは、成形体の外観を保持し好ましい。より好ましくはYIが20以下、さらに好ましくは10以下である。
【0059】
さらに本発明のポリエステル成形体には、この共重合体の耐熱性と柔軟性のバランスをさらに高めるために、結晶核剤、有機または無機の補強用繊維、有機または無機の粉体などを含有させてもよい。これらを均一に混合するために、公知の種々の方法を用いることができるが、例えば、ダブルコーンブレンダー、リボンブレンダー等で混合する方法、また、このような方法で混合した樹脂を一軸押出機、二軸押出機、ベント式押出機等により溶融混練し造粒する方法を採用することも可能である。また、このブロック共重合体を成形品とした後、さらにアニール処理を行ってポリエステル成分の結晶化を促進させ熱安定性を高めてもよい。
【0060】
本発明のポリエステル成形体は、例えば射出成形によって容器に成形され、押出成形によってシート等に成形され、また、ブロー成形によって容器等に成形されるなど、通常の溶融成形により目的に応じた形状に成形できる。
【0061】
このようなブロック共重合体は、透明性に優れるとともに、柔軟性、耐薬品性にも優れるため、従来、軟質塩化ビニル樹脂、スチレン−ブタジエン−スチレン系ブロック共重合体およびその水添物、脂肪族ポリエステル共重合体、ポリオレフィンエラストマーなどが用いられていた用途、すなわちシート、フィルム、雑貨など、自動車部品などに好ましく用いられる。また、このブロック共重合体を、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリ塩化ビニルなどの樹脂に改質剤としてブレンドすることによって、耐衝撃性、耐薬品性、摺動性などを改質し、これらの性能に優れた樹脂組成物を製造できる。
【0062】
【実施例】
以下、実施例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例の内容に限定されるものではない。
【0063】
[製造例1]
ヒドロキシピバリン酸メチル528g(3.94mol)とチタンテトラブトキサイド0.528g(仕込みヒドロキシピバリン酸メチルに対し1000ppm)を反応容器に入れ、窒素雰囲気下160℃から200℃で2時間エステル交換を行った。その後、この反応系を30分で240℃に昇温した後、2時間かけて系内を常圧から0.13kPa以下に減圧し、2時間かけて重縮合反応を行った。
【0064】
得られた樹脂の溶融粘度をレオメーターで測定したところ、240℃で1Pa・sであった。得られた樹脂を(A−1)とする。
【0065】
なお、この樹脂(A−1)は、DSCから求めた融点、粘度などからエステル交換反応率が97%以上であることを確認した。このときの計算上の分子量は3290、nは32である。
【0066】
[実施例1]
ヒドロキシピバリン酸メチルを792g(5.9mol)、PTG4000(保土谷化学製、数平均分子量4000)を900g(0.225mol)、アジピン酸ジメチルを26.7g(0.153mol)、トリメリット酸無水物を9.15g(0.048mol)、安定剤としてテトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシハイドロシンナメート)]メタンを6g、触媒としてチタンテトラブトキサイドを1.5gとを窒素を導入した反応釜に仕込み、160℃から240℃で3時間メタノールを除去しながら反応を進めた。
【0067】
次いで、240℃で1時間かけて系内を0.13kPa以下に減圧し、さらに2時間減圧を保ち重縮合を行った。生成したポリマーを窒素加圧下で水中に吐出し、それをペレタイズして1210gのポリマーを得た。これをクロロホルムに溶かし、ポリスチレン標準で測定した数平均分子量は35000、分子量分布は1.8であった。
【0068】
なお、このポリマーを動的粘弾性測定し、そのtanδのピークから求められる構成成分BにあたるPTG4000に由来するTgは−43℃であった。
【0069】
また、このポリマーを NMRで分析したところ、構成単位(B)の含有量は68質量%であった。
【0070】
このようにして得たポリマーを0.3kPa,120℃で5時間乾燥したのち、40mmφ単軸押出機とT−ダイを組合わせた製膜機により250℃で200μm厚にシート状に成形した。また、240℃でプレス成形、および射出成形を行い所定厚さの試験片を作成し、評価した。評価結果を表1、表2に示す。
【0071】
[実施例2]
製造例1で得られた樹脂(A−1)を444g、PTG4000(保土谷化学製、分子量数平均4000)を1050g、アジピン酸ジメチルを36.4g、トリメリット酸無水物を6.84g、安定剤としてテトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシハイドロシンナメート)]メタンを6g、触媒としてチタンテトラブトキサイドを1.5gとを窒素を導入した反応釜に仕込み、160℃から240℃で1時間メタノールを除去しながら反応を進めた。
【0072】
次いで、240℃で30分かけて系内を0.13kPa以下に減圧し、さらに2時間減圧を保ち重縮合を行った。生成したポリマーを窒素加圧下で水中に吐出し、それをペレタイズして1180gのポリマーを得た。これをクロロホルムに溶かし、ポリスチレン標準で測定した数平均分子量は28000、分子量分布は2.2であった。
【0073】
なお、このポリマーを動的粘弾性測定し、そのtanδのピークから求められる構成成分Bにあたるアジピン酸とPTG4000のポリエーテルエステルに由来するTgは−45℃であった。
【0074】
また、このポリマーを NMRで分析したところ、構成単位(B)の含有量は77質量%であった。
【0075】
このようにして得たポリマーを実施例1と同様にして成形し評価した結果を表1、表2に示す。
【0076】
[比較例1]
テレフタル酸ジメチルを387.1g(1.99mol)、1,4−テトラメチレングリコールを269.5g(2.99mol)、PTG4000(保土谷化学製ポリテトラメチレングリコール、数平均分子量4000)を500g、安定剤としてテトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシハイドロシンナメート)]メタンを5g、触媒としてチタンテトラブトキサイド0.31gを窒素を導入した反応釜に仕込み、160℃から240℃で2時間メタノールを除去しながら反応を進め、880gの反応性生物を得た。クロロホルムに溶かしポリスチレン標準で測定した数平均分子量は39000、分子量分布は2.0であった。
【0077】
このようにして得たポリマーを実施例1と同様にして成形し評価した結果を表1、表2に示す。
【0078】
[比較例2]
製造例1で得られた樹脂(A−1)を444g、ペスポール HP−1000(東亞合成製、数平均分子量538)を1050g、アジピン酸ジメチルを339.8g、安定剤としてテトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシハイドロシンナメート)]メタンを6g、触媒としてチタンテトラブトキサイドを1.5gとを窒素を導入した反応釜に仕込み、160℃から240℃で1時間メタノールを除去しながら反応を進めた。
【0079】
次いで、240℃で30分かけて系内を0.13kPa以下に減圧し、さらに2時間減圧を保ち重縮合を行った。生成したポリマーを窒素加圧下で水中に吐出し、それをペレタイズして1280gのポリマーを得た。これをクロロホルムに溶かし、ポリスチレン標準で測定した数平均分子量は32,000、分子量分布は1.9であった。
【0080】
なお、このポリマーを動的粘弾性測定し、そのtanδのピークから求められる構成成分Bにあたるアジピン酸とペスポールHP−1000のポリエステルに由来するTgは−11℃であった。
【0081】
また、このポリマーを NMRで分析したところ、構成単位(B)の含有量は75質量%であった。
【0082】
このようにして得たポリマーを実施例1と同様にして成形し評価した結果を表1、表2に示す。
【0083】
[試験例]
(1)柔軟性(表中、ショアA硬度で示す。)
JIS K−6301に準じて、プレス成形で得られたサンプルを全体の厚さが4mm以上になるように重ねたサンプルを用いて、JIS A型項を測定して柔軟性の指標とした。
【0084】
(2)透明性
プレス成形で得られた2mm厚のサンプルの外観を目視評価した。また、70℃の温水中に3日間漬けたサンプルも同様に評価した。
【0085】
(3)耐熱性
プレス成形で得られた2mm厚のサンプルを30mm×5mmの短冊状に切りだし、サンプルの端10mmを固定して120℃のオーブン中に1時間放置し5mm以上垂れ下がらなかったものを表中○で示し、5mm以上垂れ下がったものを表中×で示した。
【0086】
(4)引張特性
押出成形で得られた200μm厚のシート状サンプルをASTM D−638に準じて測定した。また、200%引張後残存伸びは、23℃で上記サンプルを200%引張った状態で5分間保持した後、開放して30分後の伸び率を測定した。
【0087】
(5)NMR
▲1▼サンプルをクロロホルムに溶かし、遠心分離し、クロロホルム不溶分をIRに供試した。
【0088】
▲2▼サンプルに重水素化クロロホルムを加え、ろ過してNMRに供試した。
【0089】
▲3▼サンプルを3N KOH/エタノールで耐圧容器中、105℃×12hrs加水分解した。塩酸で中和し、生成した塩を分離するため、吸引ろ過(グラスフィルター)し、ろ液を濃縮した。ジエチルエーテル,水を加え、分液ロートで抽出した。エーテル相を濃縮,真空乾燥して、NMRに供試した。
【0090】
(6)全光線透過率、ヘイズ
全光線透過率は、JIS−K−7361に準じて、射出成形で得られた3mm厚、50mm×50mmの平板サンプルを23℃においてヘイズメーターにて測定した。
【0091】
同装置、同試験片により、JIS−K−7136に準じてヘイズ値を測定した。
【0092】
(7)YI
JIS−K−7105に準じて、3mm厚、50mm×50mmの平板サンプルを23℃においてカラーメーターにて測定した。
【0093】
(8)耐薬品性
プレス成形で得られた2mm厚のサンプルを、23℃でアセトンラビングし、目視評価した。
【0094】
(9)MFR
ASTM D1238に準じて、メルトインデクサーにより190℃、荷重21.2Nで測定した。
【0095】
(10)圧縮永久歪
JIS−K−6262に準じて、プレス成形で得られた2mm厚のサンプルを直径13mmに打ち抜き3枚積層した小試験片を作成、5.3mmのスペーサーを用い15%圧縮した。これを70℃、22時間保持したのち、30分後に試験片厚みを測定した数値により算出した。
【0096】
【表1】
【表2】
表1、表2から明らかなように、比較例のポリエステル成形体は透明性が不十分であり、さらに比較例2のポリエステル成形体は柔軟性も不足し、引張による残留伸び、圧縮永久歪も大きい。これに対し、本発明のポリエステル成形体は、いずれも耐熱性に優れ、高い透明性が持続し、さらに柔軟性、耐薬品性も良好であった。
【0097】
【発明の効果】
本発明のポリエステル成形体は、耐熱性に優れるとともに、透明性も良好であり、さらに高い透明性が持続する。また、柔軟性、耐薬品性も良好であるため、消防ホース、油圧用ホース等のホース、ガス管内張り、牽引ロープジャケット、コルゲートチューブ、空圧チューブ、自転車エアレスチューブ、サッカーボールチューブ等のチューブ、コンベアベルト、Vベルト、タイミングベルト等のベルト、土木・防水・建材用シート等のシート、食品包装用ラミネートフィルム等のフィルム、フレキシブルカップリング、ドアラッチストライカ、リバウンドストッパー、エンブレム、スキー靴、ゴルフボール、靴インナー、時計バンド、ホットカラー、瓶栓、櫛・ブラシ、ボタン、玩具等の雑貨、電話線カールコード、光ファイバー被覆、ケーブルカバー、ケーブルジャケット、ケーブルライナー、バックアップリング等の電気・電子部品、医療用バルーン、カテーテル等の医療用部品、目地材、電子部品封止材、パッキン、ダストシール、ポンプ、ダイヤフラム・メンブレン、アキュームレーター内装等のシール・ポンプ部品、シートベルトラチェット部品、ATスライドプレート、等速ジョイントブーツ、ラックアンドピニオンブーツ、サスペンションブーツ、マクファーソンストラットカバー、フロート、ギア、リーフスプリングブッシュ、ボールジョイントリテーナー、ジョイントブッシュ、エアバッグカバー、ステアリングロッドカバー、窓ガラス振れ止めロール、ジャウンスバンパー、サイドトリム・モール、グロメット、タイヤインサート等の自動車部品、ポリマーブレンド、グリップ、クッション・ストッパー、ゴーグル、パソコン用マウス、スポーツ用品、制震遮音材、音質向上材などのエラストマー製品の樹脂改質剤・相溶化剤などの幅広い用途に使用でき、工業用樹脂として極めて有用である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、押出成形、射出成形、ブロー成形、カレンダー成形などによって得られた、シート、フィルム、雑貨、家電、自動車部品などのポリエステル成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱可塑性エラストマーは軟質塩ビ代替として生産性に優れ、自動車部品、事務機器、家電部品、医療部品、シート、フィルム、雑貨用途等に幅広く採用されつつあり、今後期待される材料である。例としては、ジエン系、水素添加ジエン系(ビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体の水素添加誘導体)、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系が知られている。しかしながらこれらの成形材料は、耐スクラッチ性、柔軟性、加工性、経済性、リサイクル性の面でそれぞれ欠点を有しているのが現状である。
【0003】
すなわち、オレフィン系エラストマーは比較的安価で耐候性、耐熱性に優れるものの柔軟性、耐スクラッチ性に問題があり、ジエン系は耐候性に問題があるあるいは、ポリアミド系は高価である等の問題がある。
【0004】
また、水添ジエン系についてもいくつかの提案がなされている。例えば特開昭50−14742号、特開昭52−65551号、特開昭58−206644号各公報には水添ブロック共重合体にゴム用軟化剤およびオレフィン系樹脂を配合した組成物が開示されている。しかしこれらの組成物もオレフィン系エラストマーと同様、耐スクラッチ性の劣るものであった。
【0005】
これに対し、ポリエステル系は、耐環境性や機械強度などに優れた熱可塑性エラストマーとして知られている。なかでも、ポリブチレンテレフタレート(PBT)とポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)を主成分とするブロック共重合体は、その性能バランスが優れていることから、自動車、家電製品などの分野に使用されている。このようなブロック共重合体は、例えば、特公昭49−31558号公報などに示されているように、工業的に有利な溶融重合法により製造されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、熱可塑性エラストマーとして知られているこのようなブロック共重合体からなる成形体は、一般に透明性が低く不透明であることが多い。また、比較的透明性が高いブロック共重合体を使用しても、その透明性を長時間維持することや、透明性とともに耐熱性や耐薬品性も維持することは、非常に困難であった。
【0007】
例えば、特開平10−237167号公報には、硬質セグメントとしてポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートを使用したブロック共重合体からなる成形体が開示されている。このようなブロック共重合体を急冷条件で成形した場合には透明な成形体が得られるが、徐々にポリエステルの結晶化が進み、経時的に白化していくという問題があった。
【0008】
また、限りなく非晶質に近いポリエステルを使用することによって、透明性が比較的高いブロック共重合体が得られる。しかし、このようなブロック共重合体は耐熱性や耐薬品性が不十分であった。
【0009】
また、特公昭47−3740号公報には、ラクトンとポリエーテルからなるブロック共重合体が提案されているが、このブロック共重合体は不活性溶媒中でアニオン重合により得られており、ラクトンとポリエーテルとの間にエステル基以外の官能基が入ってしまう結果、得られるポリエステル共重合体の耐熱性などが劣るものであった。また、ポリエーテルの末端が開始剤となるため、生成ポリマーの分子量との関係からポリエーテルの含有量を増やすことができず、柔軟性を付与できるものではなかった。
【0010】
一方、タッチパネルなど視認性の必要な部品類に必要とされる全光線透過率は一般的に75%以上であり、熱可塑性エラストマー成形体において全光線透過率がこの数値以上であれば、視認性の良いソフトタッチのカバー類、スイッチ類、パネル類、カラーテープなど工業的に利用価値があるが、透明性に優れる水添ジエン系は耐熱性が100℃未満と低く、耐熱性、耐薬品性に優れる既存のポリエステル系は不透明であり、透明性、耐熱性、耐薬品性のバランスの良い熱可塑性エラストマーが望まれていた。
【0011】
本発明は、長期間透明性を維持しつつ、耐熱性、耐薬品性も良好なポリエステル成形体を工業的に提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明のポリエステル成形体は、繰返し単位中にエステル結合を少なくとも1つ有する単位を主成分とする構成単位(A)と、数平均分子量が600〜100000の範囲にあるエステル形成可能な官能基を両末端に有する化合物に由来する構成単位(B)を含有するブロック共重合体からなり、JIS−K−6262に準じて測定した圧縮永久歪が5〜65の範囲にある弾性体であって、かつJIS−K−7361−1に準じて測定した全光線透過率が75%以上であることを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳しく説明する。
【0014】
本発明のポリエステル成形体は、構成単位(A)と構成単位(B)とから構成されるブロック共重合体からなるものであり、構成単位(A)は繰返し単位中にエステル結合を少なくとも1つ有する単位を主成分とする。
【0015】
エステル結合を繰返し単位中に含まない場合は、耐熱性、透明性が不十分、工業的に高コストのいずれかとなる傾向にある。
【0016】
本発明における構成単位(A)としては、好ましくは下記式(1)で示される単位を主成分とする。
【0017】
【化2】
(式(1)中、 XおよびYはそれぞれ水素、アルキル基、フェニル基のいずれかを示す。nは5〜5000である。また、Zは直接結合、炭素数1〜6のアルキレン基、フェニレン基のいずれかを示す。)
上記式(1)中、 XおよびYはそれぞれ水素、アルキル基、フェニル基のいずれかを示す。XとYは同じでも異なっていてもよいが、ブロック共重合体の耐熱性が優れることから同じ置換基であることが好ましい。また、式(1)中、nは5〜5000である。nが5未満ではブロック共重合体の耐熱性が不十分となり、一方5000を超えるとブロック共重合体の流動性が低下し、成形性が悪くなる。nが5〜5000であるとブロック共重合体の耐熱性と流動性がともに優れるため好ましく、さらに好ましくは10〜2000である。
【0018】
また、式(1)中、Zは直接結合、炭素数1〜6のアルキレン基、またはフェニレン基のいずれかを示す。
【0019】
Zは、単なる直接結合を示すものであってもよいが、Zが炭素数1〜6のアルキレン基またはフェニレン基であると、ブロック共重合体をつくる際、反応が容易であるため好ましい。また、炭素数1〜6のアルキレン基は分岐構造を含んでいても構わない。さらに、炭素数が6を超えると耐熱性が劣る傾向がある。
【0020】
本発明のポリエステル成形体においては、構成単位(A)としてこのようなものを含有するので、特に耐熱性に優れ、優れた透明性が長時間持続するうえ、柔軟性にも優れたものとなる。
【0021】
構成単位(A)の主な構成成分である上記式(1)の単位の具体例としては、XおよびYがメチル基で、Zがメチレン基であるヒドロキシピバリン酸単位、 Xが水素、Yがメチル基で、Zがメチレン基であるヒドロキシイソ酪酸単位、XおよびYが水素で、Zが直接結合であるグリコール酸単位、XおよびYが水素で、Zがメチレン基であるプロパン酸単位、XおよびYが水素で、Zがジメチレン基である酪酸単位、XおよびYが水素で、Zがトリメチレン基である吉草酸単位、XおよびYが水素で、Zがテトラメチレン基であるカプロン酸単位、Xが水素、Yがメチル基で、Zが直接結合である乳酸単位Xが水素、Yがフェニル基で、Zが直接結合であるマンデル酸単位、Xが水素、Yがフェニル基で、Zがメチレン基であるトロパ酸単位、XおよびYがフェニル基で、Zが直接結合であるベンジル酸単位などを挙げることができる。これらの中でも合成の容易さからヒドロキシピバリン酸単位が好ましい。
【0022】
ポリピバロラクトンの製造方法としてはヒドロキシピバリン酸またはそのエステルもしくはピバロラクトンを重合させて得られるものが好ましい。さらに好ましくは、工業的に製造されている出発物を用いることができる点でヒドロキシピバリン酸またはそのエステルの重合体を構成単位(A)の主成分とするのが好ましい。
【0023】
また、式(1)で示される単位はブロック共重合体の融点を著しく低下させない範囲で1種類の化合物から構成されても、複数の化合物から構成されてもよい。例えば、ヒドロキシピバリン酸またはそのエステルのみから構成されても、これらと式(1)の単位を形成可能なその他の化合物とを組み合わせてもよい。
【0024】
また、構成単位(A)は上記式(1)で示される単位を主成分とするが、ブロック共重合体の融点を著しく低下させない範囲でその他の共重合成分を含んでもよい。例えば、ポリエステルブロック共重合体を製造する際に、仕込み組成中におけるヒドロキシル基量とカルボキシル基量とを合わせると、目的のポリエステルブロック共重合体の分子量を大きくすることができる。
【0025】
その他の共重合成分としては、ジカルボン酸、ジオール、ヒドロキシカルボン酸およびこれらのエステル化物などが挙げられる。
【0026】
ジカルボン酸の例としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、5−スルホイソフタル酸ナトリウムおよびこれらの低級アルキルエステル、アリールエステル、炭酸エステル、酸ハロゲン化物が好ましく用いられる。ジオールの例としてはエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール1,10−デカンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、シクロヘキサン1,2−ジオール、シクロヘキサン1,3−ジオール、シクロヘキサン1,4−ジオール、シクロヘキサン1,4−ジメタノール、ヒドロキノン、4,4−ジフェノールなどが挙げられる。また、ヒドロキシカルボン酸の例としては、ヒドロキシ安息香酸およびこれらの低級アルキルエステル、アリールエステル、炭酸エステル、酸ハロゲン化物が好ましく用いられる。これら共重合成分は、単独で使用されても、二種以上が併用されてもよい。
【0027】
これら共重合成分が使用される場合は、通常、構成成分(A)中20質量%以下の範囲で使用される。
【0028】
本発明のポリエステル成形体に使用されるブロック共重合体の製造方法には特に制限はないが、ヒドロキシピバリン酸またはヒドロキシピバリン酸のエステルを構成単位(A)の出発物質として用いて溶融重縮合法で反応させる方法が挙げられる。ヒドロキシピバリン酸やヒドロキシピバリン酸エステルが工業的に容易に入手でき、アニオン重合やカチオン重合による場合のように反応時に有機溶媒を使用する必要がなく、耐熱性にもより優れたブロック共重合体が得られることから溶融重縮合法が好ましい。
【0029】
重合は公知のポリエステルの重合方法で行え、連続重合であっても、バッチ重合でもよい。
【0030】
ブロック共重合体を構成する原料を窒素を導入した反応釜にすべて一括して仕込み、160〜240℃程度の温度でエステル交換を行い、その後240℃、0.13kPa以下などの条件下で重縮合を行う方法でもよいし、ヒドロキシピバリン酸、ヒドロキシピバリン酸のエステル、ピバロラクトンなどを重合して構成単位(A)を構成するポリマーを初めに製造し、その後、このポリマーと構成単位(B)を構成する化合物とを重縮合する方法でもよい。このような反応後、得られたポリマーを水中に吐出、ペレタイズすることにより目的のブロック共重合体が得られる。
【0031】
また、構成単位(A)を構成するポリマーと構成単位(B)を構成する化合物とを押出機中で反応させて、目的物を製造する方法でもよい。
【0032】
なお、目的のブロック共重合体を製造する際、仕込み組成中におけるヒドロキシル基の量とカルボキシル基の量とを合わせると、目的のブロック共重合体の分子量を大きくすることができる。ヒドロキシル基の量とカルボキシル基の量とを合わせるためには、ジカルボン酸、ジオールなどを使用する。これらの具体例としては、前述のジカルボン酸、ジオールなどを例示できる。
【0033】
また、重合時には以下に挙げる触媒を用いることが好ましい。エステル交換反応および重縮合に用いられる好適な触媒としてはチタン触媒が挙げられ、特にテトラブチルチタネート、テトラメチルチタネートなどのテトラアルキルチタネート、シュウ酸チタンカリなどのシュウ酸金属などが好ましい。また、その他の触媒としては、ジブチルスズオキサイド、ジブチルスズジラウリレートなどのスズ化合物、さらには、アンチモン、ゲルマニウム、マンガン、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ナトリウム、コバルト、アルミニウム、ガリウム、鉄、亜鉛、ホウ素から選ばれる元素の酢酸塩などの脂肪酸塩、炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、アセチルアセトナート塩、塩化物などのハロゲン化物、酸化物などが挙げられる。
【0034】
これらの触媒化合物は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0035】
重縮合反応に必要に応じて用いられる安定剤としては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリn−ブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェートなどのリン酸エステル類;トリフェニルホスファイト、トリスドデシルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイトなどの亜リン酸エステル類;メチルアシッドホスフェート、イソプロピルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、ジブチルホスフェート、モノブチルホスフェート、ジオクチルホスフェートなどの酸性リン酸エステルおよびリン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ポリリン酸などのリン化合物が用いられる。
【0036】
これらの重縮合触媒の使用割合は、得られたブロック共重合体の重量に対して、重縮合触媒の場合には重縮合触媒中の金属の重量として、通常0.1〜1000ppm、好ましくは1〜500ppmの範囲である。これらの重縮合触媒の供給方法は、原料投入の段階において供給することもできるし、エステル交換反応工程に供給することもできる。
【0037】
また、ブロック共重合体には、重合時間を短縮できるとともに、流動性と引張特性とのバランス調整のために公知の多官能成分を配合しても良い。多官能成分としては、トリメチロールプロパン、ペンタエリストール、ピロメリット酸とその無水物、トリメリット酸とその無水物、スルホイソフタル酸ジメチルナトリウムのほか、2官能以上のエポキシ基、オキサゾリン基、カルボジイミド基などを含む化合物を例示できる。
【0038】
本発明のポリエステル成形体を構成する構成単位(B)は、エステル形成可能な官能基を両末端に有する化合物に由来する。エステル形成可能な官能基とは、具体的にはヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボン酸メチル基、カルボン酸エチル基、カルボン酸プロピル基、アセトキシ基などである。
【0039】
このような化合物としては、主鎖骨格がポリオレフィン、ポリオキシアルキレングリコール、ポリジメチルシロキサン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリブタジエン、水添ポリブタジエンなどからなり、両末端が上記のエステル形成可能な官能基からなるものが挙げられる。また、構成単位(B)は、これらの化合物のうち1種類から構成されても、複数の化合物から構成されてもよい。
【0040】
ここで使用される主鎖骨格がポリオレフィンからなる化合物としては、直鎖または枝分かれしたポリオレフィンの両末端にエステル形成可能な官能基を持つ化合物であれば、制限はない。主鎖骨格がポリオレフィンからなる化合物の数平均分子量としては600〜100000が好ましい。数平均分子量が600未満では耐熱性不足となる場合があり、100000を超えると流動性不足となる場合がある。構成単位(B)をポリオレフィン由来の単位で構成すると、ブロック共重合体の耐水性、耐候性が向上し、また、ブロック共重合体の比重を小さくできるなどの利点がある。このようなブロック共重合体は、例えば、シート、フィルム、雑貨、家電、自動車部品のうち光や水に接触するような用途に好ましく使用できる。
【0041】
また、主鎖骨格がポリオレフィンからなる化合物は、ポリテールHA(三菱化学製)などの水酸基含有ポリオレフィンを使用してもよい。
【0042】
主鎖骨格がポリオキシアルキレングリコールからなる化合物としては、ポリテトラメチレングリコール、3−メチルテトラヒドロフラン共重合ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコールのエチレンオキシド付加物などが挙げられる。主鎖骨格がポリオキシアルキレングリコールからなる化合物の数平均分子量としては600〜100000が好ましい。数平均分子量が600未満では耐熱性不足となる場合があり、100000を超えると流動性不足となる場合がある。好ましい数平均分子量の範囲としては1500〜100000であり、さらに好ましくは2000〜100000の範囲、最も好ましくは2000〜10000の範囲である。
【0043】
構成単位(B)をポリオキシアルキレングリコール由来の単位で構成すると、ポリオキシアルキレングリコールは安価であるので、ブロック共重合体の製造コストが低くなり工業的に有利である。このようなブロック共重合体は、例えば、シート、フィルム、雑貨、家電、自動車部品のうち特に安価が要求される用途に好ましく使用できる。
【0044】
主鎖骨格がポリジメチルシロキサンからなる化合物としては、下記式(2)に示すような化合物が挙げられる。
【0045】
【化3】
式(2)中、CとDはエステル形成可能な水酸基、カルボン酸基、カルボン酸メチル基などである。これらは同じ基でも異なる基でも良い。また、lには制限はないが好ましくは8〜500であり、より好ましくは8〜200であり、さらに好ましくは10〜80である。lが8未満ではブロック共重合体の耐熱性や柔軟性が不十分となる場合があり、一方、lが500を超えると、構成単位Aと構成単位Bとの相溶性が低下する場合がある。lが8〜500の範囲であると、ブロック共重合体の耐熱性と柔軟性が優れるとともに構成単位Aと構成単位Bとの相溶性も良好となるため好ましい。
【0046】
また、式(2)中のA、Bは、アルキル基もしくはオキシアルキル基であり、好ましくは炭素数4以上のアルキル基またはオキシアルキル基である。さらには、ブロック共重合体の耐候性が優れることから炭素数4以上のアルキル基が好ましい。
【0047】
構成単位(B)をポリジメチルシロキサン由来の単位で構成すると、ブロック共重合体の低温特性が良くなる。このようなブロック共重合体は、例えば、シート、フィルム、雑貨、家電、自動車部品のうち特に耐寒性が必要とされるような用途に好ましく使用できる。
【0048】
主鎖骨格がポリエステルからなる化合物としては、ポリカプロラクトン、バレロラクトンなどのラクトンが開環重合した化合物、ジカルボン酸とジオールとの縮合物などが挙げられる。ジカルボン酸およびジオールとしては、構成単位(A)に含まれる共重合成分として例示したものと同様の化合物を使用できる。主鎖骨格がポリエステルからなる化合物の数平均分子量としては600〜100000が好ましい。数平均分子量が600未満では耐熱性不足となる場合があり、100000を超えると流動性不足となる場合がある。これらの化合物は、ガラス転移温度がTgが0℃以下である限りは、単独で使用されても、二種以上が併用されてもよい。また、構成単位(B)をポリエステル由来の単位で構成すると、ブロック共重合体の耐候性、耐熱性が良くなり、また安価に製造できる。このようなブロック共重合体は、例えば、シート、フィルム、雑貨、家電、自動車部品のうち特に屋外で使われたり、高温部で使われたりする用途に好ましく使用できる。
【0049】
主鎖骨格がポリカーボネートからなる化合物としては、環状ポリカーボネートの重合物、グリコールとホスゲンとの縮合物の他、カプロラクトンとの共重合物も含まれる。具体的には、ポリジメチルトリメチレンカーボネート、ポリモノメチルトリメチレンカーボネート、ポリトリメチレンカーボネート、ポリヘキサメチレンカーボネートなどがあげられる。これらの化合物は、ガラス転移温度がTgが0℃以下である限りは、ホモポリマーでもコポリマーでもよく、さらに芳香族成分を含んでいてもよい。主鎖骨格がポリカーボネートからなる化合物の数平均分子量としては600〜100000が好ましい。数平均分子量が600未満では耐熱性不足となる場合があり、100000を超えると流動性不足となる場合がある。
【0050】
また、構成単位(B)をポリカーボネート由来の単位で構成すると、ブロック共重合体の耐熱性が良くなる。このようなブロック共重合体は、例えば、シート、フィルム、雑貨、家電、自動車部品のうち特に高温部で使われる用途に好ましく使用できる。
【0051】
本発明におけるブロック共重合体の溶融粘度は、ASTM D1238に準じて測定されたメルトフロ−レ−ト(MFR)にて表現されるが、好ましいMFRの範囲は3〜300g/10min.、好ましくは5〜250g/10min.、さらに好ましくは10〜250g/10min.である。MFRが3g/10min.未満では、射出成形性に劣り、ショートショットとなってしまう傾向にある。また、MFRが300g/10分を超えると、成形体の引張特性等に劣る傾向にある。
【0052】
本発明のポリエステル成形体を形成するブロック共重合体は弾性体であり、JIS−K−6262に準じて測定したその圧縮永久歪は5〜65%の範囲である。圧縮永久歪が5%未満の場合、成形加工性が悪くなる傾向にある。また、圧縮永久歪が65%を超えるとゴム弾性が低く、成形体を使用できる用途が制限される傾向にある。さらに、JIS−K−6262の測定法で測定不能である場合は、弾性体の定義外であり、熱可塑性エラストマーとしての使用に適さない。より好ましい圧縮永久歪の範囲は25〜60%であり、さらに好ましくは30〜55%の範囲である。
【0053】
本発明のポリエステル成形体のJIS−K−7361−1に準じて測定した全光線透過率は75%以上である。全光線透過率は測定物の表面状態により左右されるが、表面加工、表面処理を施さない試験片により求められ、理論上は93%が上限となる。
【0054】
全光線透過率が75%未満であると成形体の透明性が低く、工業的に利用できる用途が限定される。より好ましい全光線透過率の範囲は80%以上である。
【0055】
ポリエステル成形体を構成する構成単位(B)が、ガラス転移温度(Tg)が0℃を超える化合物に由来するものであると、ブロック共重合体の弾性体としての性質が低下する傾向がある。
【0056】
本発明のポリエステル成形体は、構成単位(A)と構成単位(B)とから構成され、ブロック共重合体中における構成単位(B)の重量割合は、30〜90質量%の範囲が好ましく、さらに好ましくは30〜85質量%であり、より好ましくは50〜80質量%である。構成単位(B)が90質量%を超えるとブロック共重合体の耐熱性が不十分となる場合があり、一方30質量%未満では、ブロック共重合体の反発弾性や柔軟性が低下する場合がある。
【0057】
本発明のポリエステル成形体には、例えば、耐熱安定剤、耐光安定剤などの公知の安定剤を含有させても良い。耐熱安定剤としては、例えば4,4−ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)などのフェノール化合物、N,N−ビス(β−ナフチル)−p−フェニレンジアミンなどのアミン化合物、ジラウリルチオネートなどのイオウ化合物などが挙げられる。また、耐光安定剤としては、例えば置換ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール化合物などが挙げられる。
【0058】
本発明のポリエステル成形体のJIS−K−7136に準じて測定したヘイズが50以下であることは、視認性の良い成形体を得ることができる点で好ましい。より好ましくは、ヘイズ値が35以下である。さらに、JIS−K−7105に記載の黄色度指数(以下、YI)が30以下であることは、成形体の外観を保持し好ましい。より好ましくはYIが20以下、さらに好ましくは10以下である。
【0059】
さらに本発明のポリエステル成形体には、この共重合体の耐熱性と柔軟性のバランスをさらに高めるために、結晶核剤、有機または無機の補強用繊維、有機または無機の粉体などを含有させてもよい。これらを均一に混合するために、公知の種々の方法を用いることができるが、例えば、ダブルコーンブレンダー、リボンブレンダー等で混合する方法、また、このような方法で混合した樹脂を一軸押出機、二軸押出機、ベント式押出機等により溶融混練し造粒する方法を採用することも可能である。また、このブロック共重合体を成形品とした後、さらにアニール処理を行ってポリエステル成分の結晶化を促進させ熱安定性を高めてもよい。
【0060】
本発明のポリエステル成形体は、例えば射出成形によって容器に成形され、押出成形によってシート等に成形され、また、ブロー成形によって容器等に成形されるなど、通常の溶融成形により目的に応じた形状に成形できる。
【0061】
このようなブロック共重合体は、透明性に優れるとともに、柔軟性、耐薬品性にも優れるため、従来、軟質塩化ビニル樹脂、スチレン−ブタジエン−スチレン系ブロック共重合体およびその水添物、脂肪族ポリエステル共重合体、ポリオレフィンエラストマーなどが用いられていた用途、すなわちシート、フィルム、雑貨など、自動車部品などに好ましく用いられる。また、このブロック共重合体を、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリ塩化ビニルなどの樹脂に改質剤としてブレンドすることによって、耐衝撃性、耐薬品性、摺動性などを改質し、これらの性能に優れた樹脂組成物を製造できる。
【0062】
【実施例】
以下、実施例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例の内容に限定されるものではない。
【0063】
[製造例1]
ヒドロキシピバリン酸メチル528g(3.94mol)とチタンテトラブトキサイド0.528g(仕込みヒドロキシピバリン酸メチルに対し1000ppm)を反応容器に入れ、窒素雰囲気下160℃から200℃で2時間エステル交換を行った。その後、この反応系を30分で240℃に昇温した後、2時間かけて系内を常圧から0.13kPa以下に減圧し、2時間かけて重縮合反応を行った。
【0064】
得られた樹脂の溶融粘度をレオメーターで測定したところ、240℃で1Pa・sであった。得られた樹脂を(A−1)とする。
【0065】
なお、この樹脂(A−1)は、DSCから求めた融点、粘度などからエステル交換反応率が97%以上であることを確認した。このときの計算上の分子量は3290、nは32である。
【0066】
[実施例1]
ヒドロキシピバリン酸メチルを792g(5.9mol)、PTG4000(保土谷化学製、数平均分子量4000)を900g(0.225mol)、アジピン酸ジメチルを26.7g(0.153mol)、トリメリット酸無水物を9.15g(0.048mol)、安定剤としてテトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシハイドロシンナメート)]メタンを6g、触媒としてチタンテトラブトキサイドを1.5gとを窒素を導入した反応釜に仕込み、160℃から240℃で3時間メタノールを除去しながら反応を進めた。
【0067】
次いで、240℃で1時間かけて系内を0.13kPa以下に減圧し、さらに2時間減圧を保ち重縮合を行った。生成したポリマーを窒素加圧下で水中に吐出し、それをペレタイズして1210gのポリマーを得た。これをクロロホルムに溶かし、ポリスチレン標準で測定した数平均分子量は35000、分子量分布は1.8であった。
【0068】
なお、このポリマーを動的粘弾性測定し、そのtanδのピークから求められる構成成分BにあたるPTG4000に由来するTgは−43℃であった。
【0069】
また、このポリマーを NMRで分析したところ、構成単位(B)の含有量は68質量%であった。
【0070】
このようにして得たポリマーを0.3kPa,120℃で5時間乾燥したのち、40mmφ単軸押出機とT−ダイを組合わせた製膜機により250℃で200μm厚にシート状に成形した。また、240℃でプレス成形、および射出成形を行い所定厚さの試験片を作成し、評価した。評価結果を表1、表2に示す。
【0071】
[実施例2]
製造例1で得られた樹脂(A−1)を444g、PTG4000(保土谷化学製、分子量数平均4000)を1050g、アジピン酸ジメチルを36.4g、トリメリット酸無水物を6.84g、安定剤としてテトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシハイドロシンナメート)]メタンを6g、触媒としてチタンテトラブトキサイドを1.5gとを窒素を導入した反応釜に仕込み、160℃から240℃で1時間メタノールを除去しながら反応を進めた。
【0072】
次いで、240℃で30分かけて系内を0.13kPa以下に減圧し、さらに2時間減圧を保ち重縮合を行った。生成したポリマーを窒素加圧下で水中に吐出し、それをペレタイズして1180gのポリマーを得た。これをクロロホルムに溶かし、ポリスチレン標準で測定した数平均分子量は28000、分子量分布は2.2であった。
【0073】
なお、このポリマーを動的粘弾性測定し、そのtanδのピークから求められる構成成分Bにあたるアジピン酸とPTG4000のポリエーテルエステルに由来するTgは−45℃であった。
【0074】
また、このポリマーを NMRで分析したところ、構成単位(B)の含有量は77質量%であった。
【0075】
このようにして得たポリマーを実施例1と同様にして成形し評価した結果を表1、表2に示す。
【0076】
[比較例1]
テレフタル酸ジメチルを387.1g(1.99mol)、1,4−テトラメチレングリコールを269.5g(2.99mol)、PTG4000(保土谷化学製ポリテトラメチレングリコール、数平均分子量4000)を500g、安定剤としてテトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシハイドロシンナメート)]メタンを5g、触媒としてチタンテトラブトキサイド0.31gを窒素を導入した反応釜に仕込み、160℃から240℃で2時間メタノールを除去しながら反応を進め、880gの反応性生物を得た。クロロホルムに溶かしポリスチレン標準で測定した数平均分子量は39000、分子量分布は2.0であった。
【0077】
このようにして得たポリマーを実施例1と同様にして成形し評価した結果を表1、表2に示す。
【0078】
[比較例2]
製造例1で得られた樹脂(A−1)を444g、ペスポール HP−1000(東亞合成製、数平均分子量538)を1050g、アジピン酸ジメチルを339.8g、安定剤としてテトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシハイドロシンナメート)]メタンを6g、触媒としてチタンテトラブトキサイドを1.5gとを窒素を導入した反応釜に仕込み、160℃から240℃で1時間メタノールを除去しながら反応を進めた。
【0079】
次いで、240℃で30分かけて系内を0.13kPa以下に減圧し、さらに2時間減圧を保ち重縮合を行った。生成したポリマーを窒素加圧下で水中に吐出し、それをペレタイズして1280gのポリマーを得た。これをクロロホルムに溶かし、ポリスチレン標準で測定した数平均分子量は32,000、分子量分布は1.9であった。
【0080】
なお、このポリマーを動的粘弾性測定し、そのtanδのピークから求められる構成成分Bにあたるアジピン酸とペスポールHP−1000のポリエステルに由来するTgは−11℃であった。
【0081】
また、このポリマーを NMRで分析したところ、構成単位(B)の含有量は75質量%であった。
【0082】
このようにして得たポリマーを実施例1と同様にして成形し評価した結果を表1、表2に示す。
【0083】
[試験例]
(1)柔軟性(表中、ショアA硬度で示す。)
JIS K−6301に準じて、プレス成形で得られたサンプルを全体の厚さが4mm以上になるように重ねたサンプルを用いて、JIS A型項を測定して柔軟性の指標とした。
【0084】
(2)透明性
プレス成形で得られた2mm厚のサンプルの外観を目視評価した。また、70℃の温水中に3日間漬けたサンプルも同様に評価した。
【0085】
(3)耐熱性
プレス成形で得られた2mm厚のサンプルを30mm×5mmの短冊状に切りだし、サンプルの端10mmを固定して120℃のオーブン中に1時間放置し5mm以上垂れ下がらなかったものを表中○で示し、5mm以上垂れ下がったものを表中×で示した。
【0086】
(4)引張特性
押出成形で得られた200μm厚のシート状サンプルをASTM D−638に準じて測定した。また、200%引張後残存伸びは、23℃で上記サンプルを200%引張った状態で5分間保持した後、開放して30分後の伸び率を測定した。
【0087】
(5)NMR
▲1▼サンプルをクロロホルムに溶かし、遠心分離し、クロロホルム不溶分をIRに供試した。
【0088】
▲2▼サンプルに重水素化クロロホルムを加え、ろ過してNMRに供試した。
【0089】
▲3▼サンプルを3N KOH/エタノールで耐圧容器中、105℃×12hrs加水分解した。塩酸で中和し、生成した塩を分離するため、吸引ろ過(グラスフィルター)し、ろ液を濃縮した。ジエチルエーテル,水を加え、分液ロートで抽出した。エーテル相を濃縮,真空乾燥して、NMRに供試した。
【0090】
(6)全光線透過率、ヘイズ
全光線透過率は、JIS−K−7361に準じて、射出成形で得られた3mm厚、50mm×50mmの平板サンプルを23℃においてヘイズメーターにて測定した。
【0091】
同装置、同試験片により、JIS−K−7136に準じてヘイズ値を測定した。
【0092】
(7)YI
JIS−K−7105に準じて、3mm厚、50mm×50mmの平板サンプルを23℃においてカラーメーターにて測定した。
【0093】
(8)耐薬品性
プレス成形で得られた2mm厚のサンプルを、23℃でアセトンラビングし、目視評価した。
【0094】
(9)MFR
ASTM D1238に準じて、メルトインデクサーにより190℃、荷重21.2Nで測定した。
【0095】
(10)圧縮永久歪
JIS−K−6262に準じて、プレス成形で得られた2mm厚のサンプルを直径13mmに打ち抜き3枚積層した小試験片を作成、5.3mmのスペーサーを用い15%圧縮した。これを70℃、22時間保持したのち、30分後に試験片厚みを測定した数値により算出した。
【0096】
【表1】
【表2】
表1、表2から明らかなように、比較例のポリエステル成形体は透明性が不十分であり、さらに比較例2のポリエステル成形体は柔軟性も不足し、引張による残留伸び、圧縮永久歪も大きい。これに対し、本発明のポリエステル成形体は、いずれも耐熱性に優れ、高い透明性が持続し、さらに柔軟性、耐薬品性も良好であった。
【0097】
【発明の効果】
本発明のポリエステル成形体は、耐熱性に優れるとともに、透明性も良好であり、さらに高い透明性が持続する。また、柔軟性、耐薬品性も良好であるため、消防ホース、油圧用ホース等のホース、ガス管内張り、牽引ロープジャケット、コルゲートチューブ、空圧チューブ、自転車エアレスチューブ、サッカーボールチューブ等のチューブ、コンベアベルト、Vベルト、タイミングベルト等のベルト、土木・防水・建材用シート等のシート、食品包装用ラミネートフィルム等のフィルム、フレキシブルカップリング、ドアラッチストライカ、リバウンドストッパー、エンブレム、スキー靴、ゴルフボール、靴インナー、時計バンド、ホットカラー、瓶栓、櫛・ブラシ、ボタン、玩具等の雑貨、電話線カールコード、光ファイバー被覆、ケーブルカバー、ケーブルジャケット、ケーブルライナー、バックアップリング等の電気・電子部品、医療用バルーン、カテーテル等の医療用部品、目地材、電子部品封止材、パッキン、ダストシール、ポンプ、ダイヤフラム・メンブレン、アキュームレーター内装等のシール・ポンプ部品、シートベルトラチェット部品、ATスライドプレート、等速ジョイントブーツ、ラックアンドピニオンブーツ、サスペンションブーツ、マクファーソンストラットカバー、フロート、ギア、リーフスプリングブッシュ、ボールジョイントリテーナー、ジョイントブッシュ、エアバッグカバー、ステアリングロッドカバー、窓ガラス振れ止めロール、ジャウンスバンパー、サイドトリム・モール、グロメット、タイヤインサート等の自動車部品、ポリマーブレンド、グリップ、クッション・ストッパー、ゴーグル、パソコン用マウス、スポーツ用品、制震遮音材、音質向上材などのエラストマー製品の樹脂改質剤・相溶化剤などの幅広い用途に使用でき、工業用樹脂として極めて有用である。
Claims (6)
- 繰返し単位中にエステル結合を少なくとも1つ有する単位を主成分とする構成単位(A)と、数平均分子量が600〜100000の範囲にあるエステル形成可能な官能基を両末端に有する化合物に由来する構成単位(B)を含有するブロック共重合体からなり、JIS−K−6262に準じて測定した圧縮永久歪が5〜65%の範囲にある弾性体であって、かつJIS−K−7361−1に準じて測定した全光線透過率が75%以上であることを特徴とするポリエステル成形体。
- 下記式(1)で示される単位を主成分とする構成単位(A)と、ガラス転移温度(Tg)が0℃以下で、数平均分子量が600〜100000の範囲にありエステル形成可能な官能基を両末端に有する化合物に由来する構成単位(B)とを含有して構成されるポリエステルブロック共重合体からなり、前記構成単位(A)の含有量が、10〜70質量%であり、JIS−K−6262に準じて測定した圧縮永久歪が5〜65%の範囲にあり弾性体であって、かつJIS−K−7361−1に準じて測定した全光線透過率が75%以上であることを特徴とするポリエステル成形体。
- 前記式(1)中のXおよびYがメチル基であって、Zがメチレン基であることを特徴とする請求項2に記載のポリエステル成形体。
- 多官能成分を構成単位(A)に対して0.05〜2モル%含有して構成されることを特徴とする請求項1に記載のポリエステル成形体。
- 前記ブロック共重合体のASTM D1238に準じて測定したMFRが3〜300g/10min.であることを特徴とする請求項1に記載のポリエステル成形体。
- JIS−K−7136に準じて測定したヘイズが50以下であり、JIS−K−7105に記載の黄色度指数が30以下であることを特徴とする請求項1から3に記載のポリエステル成形体。
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